JP6300590B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および電子写真装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真感光体ならびに電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
プロセスカートリッジや電子写真装置に搭載される電子写真感光体としては、有機光導電性物質(電荷発生物質)を含有する電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)が用いられている。電子写真感光体は、一般的に、支持体、支持体上に電荷発生物質を含有する感光層を有する。また、感光層については、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層してなる積層型(順層型)のものが一般的である。
電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じた電気的特性、機械的特性、さらには光学的特性など様々な特性が要求される。特に、繰り返し使用される感光体にあたっては、帯電、露光、現像、転写、クリーニングといった電気的、機械的な力が直接的又は間接的に繰り返し加えられるため、安定した特性を得るため高い耐久性が要求される。
更に、電子写真システムを用いた装置においては、現在から将来に向けて、高速化、高画質化、高安定化、長寿命化への性能向上が進んでいる。このようなシステムの性能向上に伴い、感光体の表面は、システムの構成部品である帯電器、現像器、転写部材、クリーニングブレードや、紙などの種々のものと高速で接触し、長期間摺擦される。このことにより引き起こされる感光体表面の摩耗が、感光体特性の変化を引き起こすことから、表面層の強度や耐久性の向上が強く要求され、改善のための多くの試みがなされてきた。
感光体の耐摩耗性を向上させる手段として、表面層に高強度の結着樹脂を用いる手法が挙げられる。例えば、表面層用の結着樹脂として、従来使用されてきたポリカーボネート樹脂に替えて、より機械的強度が高いポリアリレート樹脂を使用する手法が知られている。なお、ポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸ポリエステル樹脂の1種である。
また、感光体の耐摩耗性を高める他の手段として、感光体の表面層に有機樹脂粒子や無機粒子を含有させる手法がある。例えば、特許文献1では、フッ素原子含有樹脂粒子を含有させることによって、より良好な潤滑性を得ることにより、感光体の耐摩耗性を高めている。また、特許文献2には、無機粒子を含有させて表面層の高強度化を図る手法が開示されている。
しかしながら、表面層に粒子を含有させる際に起こり得る問題として、一般に粒子は樹脂を含有する表面層用溶液中において凝集傾向が強く、均一な分散が困難であるということがある。電子写真感光体を作製するために粒子を分散させた分散液を静置した場合、分散工程直後に一時的に分散しても時間経過に伴い二次的な凝集や沈降が起こるため、粒子の均一分散状態を保持することができず、経時的に安定して均一な塗膜を形成することが難しい。また、表面層の内部で粒子が二次的な凝集を起こすと、感光体の繰り返し使用時に感光体上に傷を発生させ、画像欠陥を引き起こしやすい。これらの問題を解決するために、例えば、フッ素系界面活性剤を分散剤として分散液に含有させ、粒子の二次的な凝集を抑制することにより安定した画像を提供できる電子写真感光体を得る手法が知られている。しかしながら、フッ素系界面活性剤は、残留電位の上昇や繰り返し使用における電位変動の増大を引き起こす場合があることから、それに代わる手法が望まれている。
特許文献3には、分散剤としてフルオロアルキル基を有するジオルガノポリシロキサンを使用することで、感光体の電気特性に対する低下を改善させる提案がなされている。また、特許文献4には、表面層に特定の構造単位を有するポリアリレート樹脂を含有させることで、感光体の電気特性を低下させる原因となる場合がある分散剤の使用量を削減し、感光体の電気特性と耐摩耗性を両立させる提案がなされている。
特開2000−19765号公報 特開平8−146641号公報 特開2005−241981号公報 特開2007−108240号公報
しかしながら、感光体の繰り返し使用に対する耐久性と安定性のさらなる向上への要求に伴い、表面層における電気特性と耐摩耗性の両立を更に向上させることが望まれている。
本発明の目的は、長期にわたる繰り返し使用時においても、耐摩耗性と繰り返し使用時の電位安定性の両立に優れ、かつ、それらの特性を安定して得ることができる電子写真感光体を提供することがある。また、本発明の別の目的は、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することにある。
本発明は、支持体と、電荷発生層と、表面層である電荷輸送層と、この順にる電子写真感光体において、
該電荷輸送層が、
無機粒子およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子
(A)で示される構造おび式(B)で示される構造を有するポリエステル樹脂Aと、
を含有し、
該ポリエステル樹脂Aに占める、該式(A)で示される構造の割合5質量%以上40質量%以下であり、
該ポリエステル樹脂Aに占める、該式(B)で示される構造の割合60質量%以上95質量%以下であり、
該電荷輸送層中における、該ポリエステル樹脂Aの含有量が、該粒子の含有量に対して、20質量%以上であることを特徴とする電子写真感光体に関する。
Figure 0006300590
式(A)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。R11〜R14は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。リエステル樹脂Aにおけるnの平均値は、20以上120以下である。
Figure 0006300590
式(B)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
また、本発明は、上記電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジに関する。
また、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有する電子写真装置に関する。
本発明によれば、長期にわたる繰り返し使用時においても、安定的に良好な画像を形成し、耐摩耗性と繰り返し使用時の電位安定性の両立に優れ、かつ、それらの特性を安定して得ることができる電子写真感光体、ならびに、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す図である。
本発明の電子写真感光体は、支持体と、電荷発生層と、表面層である電荷輸送層とをこの順に積層している。そして、電荷輸送層が、無機粒子およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子と、式(A)で示される構造おび式(B)で示される構造を有するポリエステル樹脂Aとを含有する。そして、電荷輸送層中におけるポリエステル樹脂Aの含有量が、粒子の全含有量に対して、20質量%以上である。
Figure 0006300590
式(A)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。R11〜R14は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。リエステル樹脂Aにおけるnの平均値は、20以上120以下である。
Figure 0006300590
式(B)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。
本発明における無機粒子としては、例えば、無機塩化物や無機臭化物等の無機塩類、一部の無機酸化物、粘土や窒化ケイ素等のセラミックス等が挙げられる。なかでも、無機酸化物が化合物の化学的安定性の点から好ましい。とりわけ、ケイ素の酸化物であるシリカや、アルミニウムの酸化物であるアルミナが好ましい。また、これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる無機粒子の平均一次粒径は、0.02μm以上1.0μm以下であることが好ましい。すなわち、電荷輸送層の透明性の点で、1.0μm以下であることが好ましく、0.3μm以下であることがさらに好ましい。また、機械的強度を効果的に付与する点から、0.02μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがさらに好ましい。
無機粒子、またはフッ素原子含有樹脂粒子の平均一次粒径は、SEMによる断面観察から求めることが可能である。SEMによる断面観察としては、FIB−SEMを用いた元素マッピングおよびFIB−SEMのスライス&ビューから得られた3次元構造解析により計測して得ることができる。
また、無機粒子表面を表面処理した粒子を用いてもよい。表面処理剤としては、例えばシラン化合物が挙げられる。シラン化合物として、具体的には、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン及びp−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
本発明におけるフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合樹脂などを含有する粒子が挙げられる。なかでも、特に四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン)粒子が好ましい。
本発明に用いられるフッ素原子含有樹脂粒子の平均一次粒径は、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましい。すなわち、電荷輸送層の透明性の点で、0.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以下であることがさらに好ましい。また、潤滑性を効果的に付与する点から、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。
フッ素原子含有樹脂粒子を電荷輸送層中に均一に含有させるために、フッ素原子含有樹脂粒子をホモジナイザー、ラインミキサー、ウルトラディスパーサー、ホモミキサー、液衝突型高速分散機及び超音波分散機などの各種乳化機や分散機、ミキサーなどの混合装置を用いて分散することができる。
電荷輸送層中における粒子の含有量は、0.5質量%以上30質量%以下であることが好ましい。すなわち、耐摩耗性向上の点で、電荷輸送層中における該粒子含有、0.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましい。また、露光光の透過率や光散乱の程度を維持し、感度や画質を安定化させる観点から、電荷輸送層中における該粒子の含有量は、30質量%以下であることが好ましい。
本発明に係る電荷輸送層を構成するポリエステル樹脂Aについて説明する。
ポリエステル樹脂Aは、式(A)で示される構造おび式(B)で示される構造を有する。
式(A)中のXは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。これらの基は、単独で用いてもよく、2種以上の基を併用してもよい。m−フェニレン基とp−フェニレン基を併用する場合は、m−フェニレン基とp−フェニレン基の比(モル比)は1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。
式(A)中、R11〜R14は、電荷輸送層の内部における粒子分散性および塗布液中の粒子分散安定性向上の点で、メチル基であることが好ましい。
式(A)中の、ポリエステル樹脂Aにおけるnの平均値は20以上120以下である。特に、nの平均値は、40以上80以下であることが好ましい。さらに括弧内の構造の繰り返し数nは、nの繰り返し数の平均値で示した値の±10%以内の範囲内であることが、本発明の効果が安定的に得られる点で好ましい。
以下に、式(A)で示される構造の具体例を示す。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
Figure 0006300590
これらの中でも、上記式(A−2)、(A−3)、(A−6)、(A−7)、(A−10)または(A−11)で示される構造が好ましい。また、上記の構造を1種のみで用いても、併用してもよい。
以下に、式(B)で示される構造の例を示す。
Figure 0006300590
ポリエステル樹脂Aに占める、該式(A)で示される構造の割合は、5質量%以上40質量%以下である。ポリエステル樹脂Aに占める、該式(A)で示される構造の割合が5質量%以上40質量%以下であると、電荷輸送層の内部における粒子分散性および塗布液中の粒子分散安定性を向上できる。また、式(A)で示される構造の割合が40質量%以下であると、機械的強度を良好に保つこともできる。
また、ポリエステル樹脂Aに占める、該式(B)で示される構造の割合は、60質量%以上95質量%以下である。ポリエステル樹脂Aに占める該式(B)で示される構造の割合が60質量%以上95質量%以下であると、電荷輸送層の内部における粒子分散性および塗布液中の粒子分散安定性を向上できる。
また、ポリエステル樹脂Aを構成する構造として、式(A)または式(B)で示される構造以外の構造を用いることができる。具体的には、下記式(C−1)〜(C−12)のいずれかで示される構造が挙げられる。式(A)または式(B)で示される構造以外の構造を用いる場合、本発明の効果の観点から、ポリエステル樹脂Aに占める、式(A)または式(B)で示される構造以外の構造の割合は、35質量%以下であることが好ましい。さらには、30質量%以下であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂Aは、式(A)で示される構造と式(B)で示される構造を有する共重合体である。その共重合形態は、ブロック共重合、ランダム共重合、交互共重合などのいずれの形態であってもよい。
ポリエステル樹脂Aに占める、式(A)で示される構造の割合、および式(B)で示される構造の割合は、一般的な分析手法で解析可能である。以下に、分析手法の例を示す。
まず、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層を溶剤で溶解させる。その後、サイズ排除クロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィーなどの各組成成分を分離回収可能な分取装置で、表面層である電荷輸送層に含有される種々の材料を分取する。分取されたポリエステル樹脂Aをアルカリ存在下などで加水分解させ、カルボン酸部分とビスフェノール部分に分解する。得られたビスフェノール部分に対し、核磁気共鳴スペクトル分析や質量分析をおこない、式(A)で示される構造および式(B)で示される構造の繰り返し数やモル比を算出し、割合(質量比)に換算する。
ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量は、30,000以上200,000以下であることが好ましい。さらには、40,000以上150,000以下であることがより好ましい。
本願において、樹脂の重量平均分子量とは、常法に従い、具体的には特開2007−79555号公報に記載の方法により測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
電荷輸送層中に含まれるポリエステル樹脂Aの質量は、無機粒子、およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される粒子の全質量に対して、20質量%以上である。さらには、25質量%以上1,000質量%以下であることがより好ましい。
本発明の電荷輸送層には、ポリエステル樹脂Aを含有するが、本発明の効果を損なわない範囲で、以下に例示する他の樹脂を併用してもよい。その場合、電荷輸送層における本発明のポリエステル樹脂Aの含有量は、電荷輸送層に含有される全樹脂の全質量に対して5質量%以上100質量%未満であることが好ましい。さらには、10質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。併用可能な樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、アリル樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアリルエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリプロピレン樹脂、メタクリル樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。特に、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂などが好ましい。さらには、式(C)で示される構造を有するポリエステル樹脂C、もしくは式(D)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂Dがより好ましい。ポリエステル樹脂Aと併用可能な樹脂は、単独、混合又は共重合体として1種又は2種以上用いることができる。
Figure 0006300590
式(C)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を示す。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、メチレン基、エチリデン基、またはプロピリデン基を示す。
Figure 0006300590
式(D)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を示す。Yは、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子を示す。
次に、式(C)で示される構造を有するポリエステル樹脂Cについて説明する。
式(C)中のXは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。これらの基は、単独で用いてもよく、2種以上の基を併用してもよい。m−フェニレン基とp−フェニレン基を併用する場合は、m−フェニレン基とp−フェニレン基の比(モル比)は1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましい。
式(C)中のYは、プロピリデン基が好ましい。
以下に、式(C)で示される構造の具体例を示す。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
これらの中でも、上記式(C−1)、(C−2)、(C−4)、(C−5)または(C−9)で示される構造であることが好ましい。
次に、式(D)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂Dについて説明する。
式(D)中のYは、プロピリデン基およびシクロヘキシリデン基が好ましい。
以下に、式(D)で示される構造の具体例を示す。
Figure 0006300590
これらの中でも、式(D−1)、(D−2)、(D−3)または(D−4)で示される構造であることが好ましい。
以下に、ポリエステル樹脂Aの合成例を示す。
〔合成例1〕
上記式(A−10)および(B−3)で示される構造を有するポリエステル樹脂A(A1)の合成
下記式(1−1)で示されるジカルボン酸ハライド48.4gをジクロロメタンに溶解させ、酸ハロゲン化物溶液を調製した。
Figure 0006300590
また、酸ハロゲン化物溶液とは別に、下記式(2−1)で示されるシロキサン構造を有するジオール9.4gおよび下記式(3−1)で示されるジオール54.2gを10%水酸化ナトリウム水溶液に溶解させた。さらに、重合触媒としてトリブチルベンジルアンモニウムクロライドを添加して攪拌し、ジオール化合物溶液を調製した。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
次に、上記酸ハロゲン化物溶液を上記ジオール化合物溶液に攪拌しながら加え、重合を開始した。重合は、反応温度を25℃以下に保ち、攪拌しながら、3時間行った。
その後、酢酸の添加により重合反応を終了させ、水相が中性になるまで水での洗浄を繰り返した。洗浄後、攪拌下のメタノールに滴下して、重合物を沈殿させ、この重合物を真空乾燥させた後、165℃で24時間乾燥させることで上記式(A−10)および(B−3)で示される構造を有するポリエステル樹脂A(A1)を得た。
前述の手法でポリエステル樹脂A(A1)の全質量に対する上記式(A−10)で示される構造の含有量を算出したところ、10質量%であった。また、ポリエステル樹脂A(A1)の重量平均分子量は90,000であった。
〔合成例2〜13〕
合成例1に記載の合成方法を用い、式(A)で示される構造および式(B)で示される構造に応じた原材料を用いて表1の合成例に示すポリエステル樹脂A(A2〜A13)を合成した。ポリエステル樹脂Aの重量平均分子量は、重合開始から重合終了までの時間を調整することで制御した。合成したポリエステル樹脂Aの構成および重量平均分子量を表1に示す。
Figure 0006300590
表1中の「式(A)」は、式(A)で示される構造を示す。式(A)で示される構造を混合して用いた場合は、構造の種類と混合比(モル比)を示す。表1中の「式(B)」は、式(B)で示される構造を示す。式(B)で示される構造を混合して用いた場合は、構造の種類と混合比(モル比)を示す。表1中の「式(A)の含有量」は、ポリエステル樹脂A中の式(A)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表1中の「式(B)の含有量」は、ポリエステル樹脂A中の式(B)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。
〔電荷輸送物質〕
電荷輸送層は、電荷輸送物質を含有する。電荷輸送物質としては、例えば、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、ブタジエン化合物、エナミン化合物などが挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、電荷輸送物質としてトリアリールアミン化合物を用いることが電子写真特性の向上の点で好ましい。
以下に、電荷輸送物質の具体例を示す。
Figure 0006300590
電荷輸送層は、電荷輸送物質、ポリエステル樹脂Aおよび無機粒子、およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも一方の粒子を含有する電荷輸送層用塗布液の塗膜を形成し、塗膜を乾燥させることによって形成することができる。
電荷輸送物質と樹脂との割合は、4:10〜20:10(質量比)の範囲が好ましく、5:10〜12:10(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いられる溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよいが、2種類以上を混合して使用してもよい。これらの溶剤の中でも、エーテル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤を使用することが、樹脂の溶解性の観点から好ましい。
電荷輸送層の膜厚は、5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上35μm以下であることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
次に、本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の電子写真感光体は、支持体、該支持体上に設けられた電荷発生層および該電荷発生層上に設けられた電荷輸送層を有する電子写真感光体である。また、電荷輸送層が電子写真感光体の表面層(最上層)である電子写真感光体である。
電子写真感光体は、一般的には、円筒状支持体上に感光層を形成してなる円筒状の電子写真感光体が広く用いられるが、ベルト状、シート状などの形状とすることも可能である。
〔支持体〕
支持体としては、導電性を有するもの(導電性支持体)が好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスのような金属製の支持体を用いることができる。アルミニウムまたはアルミニウム合金製の支持体の場合は、ED管、EI管や、これらを切削、電解複合研磨、湿式または乾式ホーニング処理した支持体を用いることもできる。また、金属支持体、樹脂支持体上にアルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金を真空蒸着によって被膜形成したものも用いることもできる。支持体の表面は、切削処理、粗面化処理、アルマイト処理などを施してもよい。
また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子のような導電性粒子を樹脂などに含浸した支持体や、導電性樹脂を有するプラスチックを用いることもできる。
支持体と、後述の下引き層または電荷発生層との間には、レーザー光などの散乱による干渉縞の抑制や、支持体の傷の被覆を目的として導電層を設けてもよい。これは、導電性粒子を樹脂に分散させた導電層用塗布液を用いて形成される層である。導電性粒子としては、たとえば、カーボンブラック、アセチレンブラックや、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀のような金属粉や、導電性酸化スズ、ITOのような金属酸化物粉体が挙げられる。
導電層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂およびアルキッド樹脂が挙げられる。
導電層用塗布液の溶剤としては、例えば、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤および芳香族炭化水素溶剤が挙げられる。
導電層の膜厚は、0.2μm以上40μm以下であることが好ましく、1μm以上35μm以下であることがより好ましく、さらには5μm以上30μm以下であることがより好ましい。
〔下引き層〕
本発明の電子写真感光体では、支持体または導電層と、電荷発生層との間には、下引き層を設けてもよい。
下引き層は、樹脂を含有する下引き層用塗布液を導電層上に塗布し、これを乾燥または硬化させることによって形成することができる。
下引き層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド酸樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
下引き層の膜厚は、0.05μm以上7μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、下引き層には、半導電性粒子、電子輸送物質、あるいは電子受容性物質を含有させてもよい。
〔電荷発生層〕
支持体、導電層または下引き層上には、電荷発生層が設けられる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、インジゴ顔料およびペリレン顔料が挙げられる。これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、特にオキシチタニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンのような金属フタロシアニンは、高感度であるため好ましい。
電荷発生層に用いられる樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂および尿素樹脂が挙げられる。これらの中でも、特には、ブチラール樹脂が好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層は、電荷発生物質を樹脂および溶剤とともに分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、得られた塗膜を乾燥させることによって形成することができる。また、電荷発生層は、電荷発生物質の蒸着膜としてもよい。
分散方法としては、たとえば、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルを用いた方法が挙げられる。
電荷発生物質と樹脂との割合は、1:10〜10:1(質量比)の範囲が好ましく、特には1:1〜3:1(質量比)の範囲がより好ましい。
電荷発生層用塗布液に用いられる溶剤は、例えば、アルコール系溶剤、スルホキシド系溶剤、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤または芳香族炭化水素溶剤などが挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、0.01μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上2μm以下であることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。また、電荷発生層において電荷の流れが滞らないようにするために、電荷発生層には、電子輸送物質、または電子受容性物質を含有させてもよい。
電荷発生層上には、上述の電荷輸送層が設けられる。
上記各層の塗布液を塗布する際には、浸漬塗布法(浸漬コーティング法)、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
また、電子写真感光体の表面層である電荷輸送層の表面には、凹凸形状(凹形状、凸形状)を形成してもよい。凹凸形状の形成方法は、既知の方法を採用することができる。形成方法としては、以下の方法が挙げられる。電荷輸送層の表面に研磨粒子を吹き付けることにより凹形状を形成する方法がある。また、電荷輸送層の表面に凸凹形状を有するモールドを加圧接触させることにより凹凸形状を形成する方法がある。さらには、塗布された表面層用塗布液の塗膜表面を結露させた後これを乾燥させることにより凹形状を形成する方法や、電荷輸送層の表面にレーザー光を照射し凹形状を形成する方法などが挙げられる。これらの中でも、電子写真感光体の表面層の表面に凸凹形状を有するモールドを加圧接触させることにより凹凸形状を形成する方法が好ましい。また、塗布された表面層用塗布液の塗膜表面を結露させた後、乾燥させることにより凹形状を形成する方法が好ましい。
〔電子写真装置〕
図1に、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成の一例を示す。
図1において、1は円筒状の電子写真感光体であり、軸2を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。回転駆動される電子写真感光体1の表面は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段:帯電ローラーなど)3により、正または負の所定電位に均一に帯電される。次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)4を受ける。こうして電子写真感光体1の表面に、目的の画像に対応した静電潜像が順次形成されていく。
電子写真感光体1の表面に形成された静電潜像は、現像手段5の現像剤に含まれるトナーで反転現像により現像されてトナー像となる。次いで、電子写真感光体1の表面に形成担持されているトナー像が、転写手段(転写ローラーなど)6からの転写バイアスによって、転写材(紙など)Pに順次転写されていく。なお、転写材Pは、転写材供給手段(不図示)から電子写真感光体1と転写手段6との間(当接部)に電子写真感光体1の回転と同期して取り出されて給送される。
トナー像の転写を受けた転写材Pは、電子写真感光体1の表面から分離されて定着手段8へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
トナー像転写後の電子写真感光体1の表面は、クリーニング手段(クリーニングブレードなど)7によって転写残りの現像剤(トナー)の除去を受けて清浄面化される。次いで、前露光手段(不図示)からの前露光光(不図示)により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、図1に示すように、帯電手段3が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
電子写真感光体1、帯電手段3、現像手段5、転写手段6およびクリーニング手段7などの構成要素のうち、複数のものを選択し、容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成する。このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。図1では、電子写真感光体1と、帯電手段3、現像手段5およびクリーニング手段7とを一体に支持してカートリッジ化して、電子写真装置本体のレールなどの案内手段10を用いて電子写真装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9としている。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
〔実施例1〕
直径24mm、長さ257mmのアルミニウムシリンダーを支持体(導電性支持体)とした。
次に、SnOコート処理硫酸バリウム粒子(導電性粒子)10部、酸化チタン粒子(抵抗調節用顔料)2部、フェノール樹脂6部、シリコーンオイル(レベリング剤)0.001部およびメタノール4部/メトキシプロパノール16部の混合溶剤を用いて導電層用塗布液を調製した。
この導電層用塗布液を支持体上に浸漬塗布し、これを30分間140℃で硬化(熱硬化)させることによって、膜厚が15μmの導電層を形成した。
次に、N−メトキシメチル化ナイロン3部および共重合ナイロン3部をメタノール65部/n−ブタノール30部の混合溶剤に溶解させることによって、下引き層用塗布液を調製した。
この下引き層用塗布液を導電層上に浸漬塗布し、これを10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.7μmの下引き層を形成した。
次に、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°にピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン(電荷発生物質)10部を用意した。このヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、シクロヘキサノン250部およびポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)5部を混合し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で23±3℃雰囲気下1時間分散した。分散後、酢酸エチル250部を加えることによって、電荷発生層用塗布液を調製した。この電荷発生層用塗布液を下引き層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を10分間100℃で乾燥させることによって、膜厚が0.26μmの電荷発生層を形成した。
次に、シリカ粒子(平均一次粒径0.1μm、商品名:KMPX−100、信越化学工業(株)製)2部と、合成例1で合成したポリエステル樹脂A(A1)3部およびポリエステル樹脂C(C1)(上記式(C−1)で示される構造単位と上記式(C−2)で示される構造単位を5:5の比で含有する。重量平均分子量120,000)7部、ジメトキシメタン30部およびo−キシレン50部の混合溶剤を混合し、ポリエステル樹脂Aおよびポリエステル樹脂C(C1)を溶解させた。その後、高速液衝突型分散機(Microfluidics Corporation製)を用い、分散圧600kgf/cmで2回分散を行い、分散液を作製した。この分散液に対し、式(E−1)で示される化合物(電荷輸送物質)7.2部と式(E−5)で示される化合物(電荷輸送物質)0.8部を溶解させ、電荷輸送層用塗布液を作製した。
この電荷輸送層用塗布液を電荷発生層上に浸漬塗布し、得られた塗膜を1時間120℃で乾燥させることによって、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
このようにして、電荷輸送層が表面層である電子写真感光体を作製した。
次に、評価について説明する。
評価は、3,000枚繰り返し使用時の明部電位の変動量(電位変動)、画像欠陥の有無に関する画像評価、塗布液中における粒子の分散安定性および感光体表面層の摩耗量について行った。
<電位変動評価>
評価装置としては、キヤノン(株)製レーザービームプリンターLBP−5050を用いた。評価は、温度23℃、相対湿度50%環境下で行った。評価装置の780nmのレーザー光源の露光量(画像露光量)については、電子写真感光体の表面での光量が0.3μJ/cmとなるように設定した。電子写真感光体の表面電位(暗部電位および明部電位)の測定は、電子写真感光体の端部から130mmの位置に電位測定用プローブが位置するように固定された冶具と現像器とを交換して、現像器位置で行った。電子写真感光体の非露光部の暗部電位が−450Vとなるように設定し、レーザー光を照射して暗部電位から光減衰させた明部電位を測定した。また、A4サイズの普通紙を用い、連続して画像出力を3,000枚行い、その前後での明部電位の変動量を評価した。テストチャートは、印字比率5%のものを用いた。結果を表5中の電位変動に示す。
<画像評価>
評価装置としては、キヤノン(株)製レーザービームプリンターLBP−5050を用いた。評価は、温度23℃、相対湿度50%環境下で行った。評価方法は、電子写真感光体を用いてA3用紙全面にハーフトーン画像を出力し、A3用紙全面において、局所的な濃淡ムラとして現れる画像欠陥の個数を目視で計測した。画像欠陥がない場合:○、欠陥が1〜2個の場合:△、3個以上の場合:×として判定した。結果を表5中の画像評価に示す。
<塗布液中における粒子の分散安定性評価>
電荷輸送層用塗布液を室温で暗所に1ヶ月放置した後の粒子の凝集について観察した。評価方法は、静置前の塗布液における粒子の平均粒径(粒度分布計:(株)堀場製作所製、CAPA700で測定)と1ヶ月静置後の塗布液における粒子の平均粒径の差を測定した。平均粒径差が0.2μm未満の場合:○、平均粒径差が0.2μm以上0.5μm未満の場合:△、平均粒径差が0.5μm以上の場合:×として判定した。結果を表5中の分散安定性に示す。
<摩耗量評価>
繰り返し画像出力による使用の前後の感光体膜厚の差から、表面層の摩耗量を求めた。画像出力枚数を10,000枚にした以外は、上記電位変動評価と同じ条件にて連続して画像出力を行った。膜厚の測定は、膜厚測定機(フィッシャー(株)製、フィッシャーMMS渦電流法プローブEAW3.3)で行った。結果を表5中の摩耗量に示す。
上記の方法により製造された電子写真感光体に対して、電荷輸送層を垂直方向に切断した電荷輸送層の断面を超深度形状測定顕微鏡VK−9500((株)キーエンス製)を用いて断面観察を行った。その結果、シリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例2〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリエステル樹脂C(C2)(上記式(C−1)で示される構造と上記式(C−3)で示される構造を3:7の比で含有する。重量平均分子量130,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例3〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリカーボネート樹脂D(D1)(上記式(D−1)で示される構造を含有する。重量平均分子量140,000)に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例4〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)を用いず、ポリエステル樹脂A(A1)を10部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例5〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を5部、ポリエステル樹脂C(C1)を5部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例6〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を0.5部、ポリエステル樹脂C(C1)を9.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、シリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例7〜18〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を表2に示すポリエステル樹脂Aに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例19〕
実施例1において、電荷輸送層に含まれるシリカ粒子をシリカ粒子(平均一次粒径0.08μm、商品名:Nanotek−SiO、シーアイ化成(株)製)に変更して用いた。それ以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、シリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例20〕
実施例1において、電荷輸送層のシリカ粒子を4.5部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例21〕
実施例1において、電荷輸送層のシリカ粒子をアルミナ粒子(平均一次粒径0.1μm、商品名:LS−231、日本軽金属(株)製)に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、アルミナ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例22〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリエステル樹脂C(C2)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例23〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリカーボネート樹脂D(D1)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例24〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)を用いず、ポリエステル樹脂A(A1)を10部に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例25〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を5部、ポリエステル樹脂C(C1)を5部に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例26〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を0.5部、ポリエステル樹脂C(C1)を9.5部に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例27、28〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を表2に示すポリエステル樹脂Aに変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例29〕
実施例1において、電荷輸送層のシリカ粒子をポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均一次粒径0.12μm、商品名:TFマイクロパウダー TF9207Z、住友スリーエム(株)製)に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例30〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリエステル樹脂C(C2)に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例31〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)をポリカーボネート樹脂D(D1)に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例32〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂C(C1)を用いず、ポリエステル樹脂A(A1)を10部に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例33〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を5部、ポリエステル樹脂C(C1)を5部に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例34〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を0.5部、ポリエステル樹脂C(C1)を9.5部に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例35〜46〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を表2に示すポリエステル樹脂Aに変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例47〕
実施例29において、分散液調合時に、再沈、粉体化を行ったフッ化アルキル鎖をグラフトしたアクリルポリマー(アロンGF300、東亜合成(株)製)を0.02部添加し、その後分散を行った。それ以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例48〕
実施例47において、フッ化アルキル鎖をグラフトしたアクリルポリマーの添加量を0.2部に変更した以外は、実施例47と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例49〕
実施例47において、フッ化アルキル鎖をグラフトしたアクリルポリマーを下記式(G)で示される分散剤Gに変更した以外は、実施例47と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0006300590
〔実施例50〕
実施例49において、分散剤Gの添加量を0.2部に変更した以外は、実施例49と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例51〕
実施例29において、電荷輸送層のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子にポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子(平均一次粒径0.20μm、商品名:TFマイクロパウダー TF9201Z、住友スリーエム(株)製)を用いた。それ以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔実施例52〕
実施例29において、電荷輸送層のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を4.5部に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。
〔実施例53〕
実施例29において、電荷輸送層のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を2.25部に変更し、更に、シリカ粒子(平均一次粒径0.1μm、商品名:KMPX−100、信越化学工業(株)製)2.25部を加えた。それ以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表5に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子およびシリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに、各々均一に分布している様子が確認された。
Figure 0006300590
表2中の「粒子」は、実施例で用いた無機粒子およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される粒子の種類を示す。粒子を複数種類用いた場合は、それらを併記して記載する。表2中の「PTFE」は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を意味する。表2中の「他の樹脂」は、実施例で用いたポリエステル樹脂A以外の樹脂の種類を示す。表2中の「樹脂比率(樹脂A/他の樹脂)」は、電荷輸送層中のポリエステル樹脂Aの含有量と、ポリエステル樹脂A以外の樹脂の含有量の質量比を示す。表2中の「粒子に対する樹脂Aの比率」は、電荷輸送層に含まれる粒子の全質量に対するポリエステル樹脂Aの比率(質量%)を示す。表2中の「分散剤」は、実施例にて分散剤を添加した場合における分散剤の種類と、電荷輸送層に含まれる粒子の全質量に対する分散剤の質量比を示す。
〔比較例〕
比較樹脂として、ポリエステル樹脂F(F1)〜(F6)を作製した。ポリエステル樹脂Fが有する構造とポリエステル樹脂Fの分子量を表3に示す。ポリエステル樹脂F(F5)が有する式(F−1)で示される構造およびポリエステル樹脂F(F6)が有する式(F−2)で示される構造を以下に示す。
Figure 0006300590
表3中の「式(A)または式(F)」は、式(A)、式(F−1)または式(F−2)で示される構造を示す。表4中の「式(B)」は、式(B)で示される構造を示す。表3中の「式(C)」は、式(C)で示される構造を示す。表3中の「式(A)または式(F)の含有量」は、ポリエステル樹脂F中の式(A)、式(F−1)または式(F−2)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表3中の「式(B)の含有量」は、ポリエステル樹脂F中の式(B)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。表3中の「式(C)の含有量」は、ポリエステル樹脂F中の式(C)で示される構造の含有量(質量%)を意味する。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
〔比較例1〜6〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を表4に示すポリエステル樹脂Fに変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例7〕
実施例1において、電荷輸送層のシリカ粒子を4.5部、ポリエステル樹脂A(A1)を0.5部、ポリエステル樹脂C(C1)を9.5部に変更した。それ以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例8〕
実施例1において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を用いず、ポリエステル樹脂C(C1)を10部に変更した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、シリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こし、電荷輸送層中におけるシリカ粒子の分散状態が不均一となっている様子が確認された。
〔比較例9〕
比較例8において、フッ化アルキル鎖をグラフトしたアクリルポリマー(アロンGF300、東亜合成(株)製)を0.2部添加し、その後分散を行った以外は、比較例8と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。なお、前記手法により電荷輸送層の断面観察を行ったところ、シリカ粒子は電荷輸送層中において二次的な凝集を起こさずに均一に分布している様子が確認された。
〔比較例10〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)をポリエステル樹脂F(F3)に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例11〕
実施例21において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を用いず、ポリエステル樹脂C(C1)を10部に変更した以外は、実施例21と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例12〜16〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を表4に示すポリエステル樹脂Fに変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例17〕
実施例29において、電荷輸送層のポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子を4.5部、ポリエステル樹脂A(A1)を0.5部、ポリエステル樹脂C(C1)を9.5部に変更した以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例18〜21〕
実施例47〜50において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を用いず、ポリエステル樹脂C(C1)を10部に変更した。それ以外は、それぞれ実施例47〜50と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
〔比較例22〕
実施例29において、電荷輸送層のポリエステル樹脂A(A1)を下記式(H−1)、下記式(H−2)および下記式(H−3)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂H(式(H−1)、式(H−2)および式(H−3)示される構造を9:2:9の比で含有する。重量平均分子量122,000)に変更した。それ以外は、実施例29と同様にして電子写真感光体を作製した。作製した電子写真感光体を用いて、実施例1と同様に、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
Figure 0006300590
〔比較例23〕
実施例1において、電荷輸送層のシリカ粒子を用いない以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、電位変動、画像欠陥の有無、分散安定性、摩耗量を評価した。結果を表6に示す。
Figure 0006300590
表4中の「粒子」は、比較例で用いた無機粒子およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される粒子の種類を示す。表4中の「PTFE」は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を意味する。表4中の「他の樹脂」は、比較例で用いたポリエステル樹脂Aまたはポリエステル樹脂F以外の樹脂の種類を示し、樹脂を混合して用いる場合は混合比(モル比)も示す。表4中の「樹脂比率(樹脂Aまたは樹脂F/他の樹脂)」は、電荷輸送層中のポリエステル樹脂Aまたはポリエステル樹脂Fの含有量と、ポリエステル樹脂Aまたはポリエステル樹脂F以外の樹脂の含有量のモル比を示す。表4中の「粒子に対する樹脂Aまたは樹脂Fの比率」は、電荷輸送層中に含まれる粒子の全質量に対するポリエステル樹脂Aまたはポリエステル樹脂Fの比率(質量%)を示す。表4中の「分散剤」は、比較例にて分散剤を添加した場合における分散剤の種類と、電荷輸送層中に含まれる粒子の全質量に対する分散剤の質量比を示す。
Figure 0006300590
Figure 0006300590
実施例と比較例1〜4、10および12〜14との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、ポリエステル樹脂Aにおける式(A)で示される構造の含有量または式(B)で示される構造の含有量が適正でないと、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。
実施例と比較例5、6、15および16との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、ポリエステル樹脂Aに含まれる式(A)で示される構造における繰り返し数nが大きすぎたり小さすぎたりする場合、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。
実施例と比較例7および17との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、電荷輸送層中の粒子の含有量に対してポリエステル樹脂Aの含有量が少なすぎると、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。
実施例と比較例8および11との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、電荷輸送層にポリエステル樹脂Aが含まれないと、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。
実施例と比較例9、19および21との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が得られているものの、繰り返し使用時の電位変動が増大している。これは、電荷輸送層にポリエステル樹脂Aを用いずに分散剤の添加を行うと、電位変動抑制効果が十分に得られないことを示している。この結果は、分散剤の一部が電荷輸送層と電荷発生層との界面に局在化し、電荷発生層から電荷輸送層への電荷が移動する際の電荷の移動の障壁になっているためと考えられる。一方、電荷輸送層にポリエステル樹脂Aが含まれると、分散剤を併用した場合においても電位変動が抑制されていることが実施例により示されている。これは、ポリエステル樹脂Aの存在により、分散剤と樹脂との親和性が比較的良好となっており、分散剤が電荷輸送層と電荷発生層との界面へ局在化することが抑えられているためと考えられる。繰り返し使用時の電位変動が大きいと、画像濃度が低下するという弊害が起こる。検討により、本評価において、電位変動が20V以下であれば画像品位を安定的に維持できることが分かっている。
実施例と比較例18および20との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、ポリエステル樹脂Aを用いずに分散剤の添加を行った比較例19および21に対して、電位変動を抑制するために分散剤の添加量を減らすと、電位変動は比較的抑制される。その一方で、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。このことから、電位変動の抑制と、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果を両立させるためには、電荷輸送層にポリエステル樹脂Aを含有させることが有効であることが示唆される。
実施例と比較例22との比較より、比較例では、表面層中における粒子の分散不良に起因する画像欠陥の抑制や、塗布液中における粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られていない。これは、ポリエステル樹脂Aをポリカーボネート樹脂Hに変更すると、表面層中における粒子の分散性や塗布液中の粒子の分散安定性向上の効果が十分に得られないことを示している。
実施例と比較例23との比較より、比較例では、繰り返し画像出力による表面層の摩耗量が増大している。これは、表面層に無機粒子やフッ素原子含有樹脂粒子が含まれないと、表面層の耐摩耗性が十分に向上しないことを示している。
1 電子写真感光体
2 軸
3 帯電手段
4 露光光
5 現像手段
6 転写手段
7 クリーニング手段
8 定着手段
9 プロセスカートリッジ
10 案内手段
P 転写材

Claims (10)

  1. 支持体と、電荷発生層と、表面層である電荷輸送層と、この順にる電子写真感光体において、
    該電荷輸送層が、
    無機粒子およびフッ素原子含有樹脂粒子からなる群より選択される少なくとも1種の粒子
    (A)で示される構造おび式(B)で示される構造を有するポリエステル樹脂Aと、
    を含有し、
    該ポリエステル樹脂Aに占める、該式(A)で示される構造の割合が、5質量%以上40質量%以下であり、
    該ポリエステル樹脂Aに占める、該式(B)で示される構造の割合が、60質量%以上95質量%以下であり、
    該電荷輸送層中における、該ポリエステル樹脂Aの含有量が、該粒子の含有量に対して、20質量%以上であることを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 0006300590
    (式(A)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。R11〜R14は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、またはフェニル基を示す。リエステル樹脂Aにおけるnの平均値は20以上120以下である。)
    Figure 0006300590
    (式(B)中、Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。)
  2. 前記無機粒子の平均一次粒径が、0.02μm以上1.0μm以下である請求項に記載の電子写真感光体。
  3. 記粒子が、シリカまたはアルミナである請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記フッ素原子含有樹脂粒子の平均一次粒径が、0.05μm以上0.5μm以下である請求項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記粒子が、ポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子である請求項1または4に記載の電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送層中における、前記粒子の含有量が、0.5質量%以上30質量%以下である請求項1から5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷輸送層中における、前記ポリエステル樹脂Aの含有量が、5質量%以上である請求項1に記載の電子写真感光体。
  8. 前記電荷輸送層が、式(C)で示される構造を有するポリエステル樹脂Cおよび式(D)で示される構造を有するポリカーボネート樹脂Dからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂を含有する請求項1から7のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
    Figure 0006300590
    (式(C)中、R31〜R38は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を示す。Xは、m−フェニレン基、p−フェニレン基、または2つのp−フェニレン基が酸素原子を介して結合した2価の基を示す。Yは、単結合、メチレン基、エチリデン基、またはプロピリデン基を示す。)
    Figure 0006300590
    (式(D)中、R41〜R48は、それぞれ独立に、水素原子、またはメチル基を示す。Yは、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、フェニルエチリデン基、シクロヘキシリデン基、または酸素原子を示す。)
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1から8のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
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