JP2011128213A - 電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】環境への影響が小さく、火災等の危険性が低い水を使用したエマルション型の電荷輸送層用水性塗工液、該塗工液の製造方法、該塗工液を用いて形成した電荷輸送層を有し従来の有機塗工液で作成した電荷輸送層と同等以上の性能を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】感光層5の最外層に電荷輸送層4を積層するための塗工液であって、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂が溶解した有機溶液を、界面活性剤の存在下に水に安定に分散させて形成した水中油型エマルションからなることを特徴とする電荷輸送層形成用水性塗工液。
【選択図】図1

Description

本発明は、水に分散したエマルション型の電荷輸送層用水性塗工液、該塗工液を用いる電子写真感光体の製造方法、該方法により形成された電荷輸送層を有する電子写真感光体およびそれを備えた画像形成装置に関する。
デジタル複合機、プリンタなどに多用されている電子写真方式の画像形成装置(「電子写真装置」ともいう)に用いられる電子写真感光体(以下「感光体」ともいう)は、導電性支持体上に光導電性材料を含む感光層が積層されてなり、その光導電性材料として、毒性、製造コスト、材料設計の自由度などの観点から、有機光導電性材料が広く用いられている。
また、感光体の構成は、電荷発生物質と電荷輸送物質とをバインダ樹脂中に分散した単層型から、電荷発生層と電荷輸送層とを分離した機能分離型へと変遷し、その性能も向上してきている。
現在では、導電性支持体上に、中間層と、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型(機能分離型)感光層とがこの順で積層された構成が主流となっている。
上記の電荷輸送層は、現在そのほとんどが浸漬塗工法を用いて製造されているが、この塗工法は大量の有機溶剤を使用するため、製造ラインは火災や爆発防止のために多大な投資を必要とする。
また、最近急速にクローズアップされてきた揮発性有機化合物(VOC:Volatile Organic Compounds)の低減や、CO2削減等の環境への影響の低減のため、これら有機溶剤の使用削減が急務となっている。
また、この電荷輸送層は前述の通り最外層に配置されることが多いため、クリーニングブレードや帯電ローラなどの接触部材によってその一部が削り取られることを余儀なくされる。
したがって、複写機やレーザビームプリンタの高耐久化のためには、それらの接触部材に対して強い電荷輸送層、すなわち、それらの接触部材によって削り取られることが少ない、耐刷性の高い電荷輸送層が求められる。
しかしながら、前記電荷輸送層の強化および耐久性の向上を目的として電荷輸送層中のバインダ樹脂の含有率を高くすると、光応答性が低下する。
これは、バインダ樹脂の含有率の増加に伴って電荷輸送層中の電荷輸送物質が希釈され、電荷輸送層の電荷輸送能力が低下して光応答性が悪くなるからである。
このように光応答性が悪いと、感光体における残留電位が上昇し、感光体の表面電位が充分に減衰していない状態で繰返し使用されることになるので、露光によって消去されるべき部分の表面電荷が充分に消去されず、早期に画像品質が低下するなどの弊害が生じる。
したがって、耐摩耗性の向上と共に充分な光応答性を確保する研究が続けられている。
本発明は、環境への影響が小さく、火災等の危険性が低い水を使用したエマルション型の電荷輸送層用塗工液を用いて形成された電荷輸送層を有する、従来の有機塗工液で作成された電荷輸送層と同等以上の性能を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意研究努力を重ねた結果、上記のようにVOCを使用せず、かつ火災の危険のない水を使用したエマルション型の電荷輸送層用塗工液を考案し、本発明を完成した。
しかるに、本発明によれば、感光層の最外層に電荷輸送層を積層するための塗工液であって、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂が溶解した有機溶液を、界面活性剤の存在下に水に安定に分散させて形成した水中油型エマルションからなることを特徴とする電荷輸送層形成用水性塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記の電荷輸送層用水性塗工液を用いて電荷輸送層を最外層に積層する電子写真感光体の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、前記の電荷輸送層用水性塗工液を用い、導電性支持体上に積層された電荷発生層上に電荷輸送層を積層して製造した電子写真感光体が提供される。
さらに、本発明によれば、前記の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録材上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置が提供される。
本発明によれば、環境への影響が小さく、火災等の危険性が低い水を使用したエマルション型の電荷輸送層用塗工液を用いて形成された電荷輸送層を有する、従来の有機塗工液で作成された電荷輸送層と同等以上の性能を有する感光体およびそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
すなわち、本発明によれば、有機溶剤に電荷輸送物質とバインダー樹脂を溶解させた溶液を水にエマルション化されているため、製造過程におけるVOCによる処理費用が軽減されるだけでなく、火災や爆発の危険性も少ないので、製造システムを簡略化でき、製造コストを低減することができる。
また、電荷輸送物質とバインダー樹脂は有機溶剤に溶解させた後エマルション化するため、実績のある電荷輸送物質とバインダー樹脂を用いる事ができ、感光体の特性への影響が極めて小さい。さらに、電荷輸送物質は水に溶けないか、溶解してもその濃度が低く、また電気的な性能も低いため、エマルション化による水性化は、従来と同様な材料を使用できる利点もある。
また、耐刷性の高い電荷輸送層を形成させるため、年々バインダー樹脂の分子量が高くなってきているが、分子量が高くなると粘度も急激に高くなるため、現在ほとんどの感光体の製造に利用されている浸漬塗工法では、時間が掛かりすぎたり、塗布欠陥が生じたりしてしまい、塗布できなくなってしまう。
しかしながら、これらの塗工液もエマルション化されることにより、劇的に粘度を下げることができるため、安価で容易な浸漬塗工法が可能になる。
さらに、電荷輸送層を2層以上で構成し、その最外層を前記電荷輸送層用水性塗工液で塗布することにより、機能分離ができる。すなわち、最外層のバインダー樹脂の分子量を高くしたり、電荷輸送物質(M)とバインダー樹脂(B)の比M/Bを、10/25以上にすることにより、耐摩耗性の高い感光体を提供できる。
また、最外層のみ酸化防止剤を大量に添加することにより耐ガス性を向上することや、最外層のみ表面自由エネルギーの低い材料を使用することより耐キズ性を向上することもでき、さらに内部に安価な材料を使用することによりコストを低減することも可能である。
また、現在ほとんどの感光体の製造に利用されている浸漬塗工法で電荷輸送層を2層以上塗布する場合に、上層を塗布時に下地層の材料を溶解・膨潤させてしまい、均質な塗工を行うことができないが、本発明のエマルション型の電荷輸送層用塗工液では下地層の材料を溶解・膨潤させないため、塗布時に感光体への悪影響や塗工液の汚染を防ぐことができる。
本発明の一つの積層型感光体構成を示す模式断面図である。 本発明の他の積層型感光体構成を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体を備える画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
本発明によれば、前記水性塗工液が、水に対して電荷輸送物質とバインダー樹脂を有機溶剤に溶解した溶液を7/3〜3/7の割合で含む前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、HLBが10以上の界面活性剤を0.5〜5重量%の範囲で含有する前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、平均粒径0.1〜50μmの水中油滴型エマルションから構成されている前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、10μS/cm以下の導電率を有する水を含む前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、水に対して1wt%以下の溶解度を有する有機溶剤を含む前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、芳香族炭化水素化合物を有機溶剤として含む前記塗工液が提供される。
また、本発明によれば、前記水性塗工液が、バインダー樹脂(B)対して電荷輸送物質(M)を、10/25〜10/60(M/B)の割合で含む前記塗工液が提供される。
さらに、本発明によれば、前記感光体が、少なくとも導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した積層型感光層からなり、該電荷輸送層が2層以上で構成され、少なくともその最外層が前記電荷輸送層用水性塗工液で塗布された電子写真感光体が提供される。
本発明の感光体は、有機溶剤に電荷輸送物質とバインダー樹脂を溶解させた溶液を、イオン交換水に加え安定なエマルション化した電荷輸送層用水性塗工液を該感光層の最外層に塗布して電荷輸送層を積層したことを特徴とする。
本発明の感光体について図面を用いて具体的に説明する。
図1および2は、本発明の感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図1は、感光層が電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光層(「機能分離型感光層」ともいう)である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2は、図1の電荷輸送層が2層で構成されている積層型感光層である積層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
これらの感光層は、前記のようにして形成される電荷発生層と電荷輸送層とが積層されて成る積層構造を有する。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料を独立して選択することができるので、電荷発生機能および電荷輸送機能それぞれに最適な材料を選択することができる。したがって、感光体は、帯電性、感度および光応答性などの電気特性、ならびに電気的および機械的耐久性に特に優れる。
本発明の特徴である電荷輸送層、およびその構成やその他の層について詳細に説明する。
[導電性支持体1]
導電性支持体は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
具体的には、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属および合金材料:ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリスチレン、セルロース、ポリ乳酸などの高分子材料、硬質紙、ガラスなどからなる基体表面に金属箔をラミネートしたもの、金属材料または合金材料を蒸着したもの、導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム、カーボンブラックなどの導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したものなどが挙げられる。
導電性支持体の形状としては、シート状、円筒状、円柱状、無端ベルト(シームレスベルト)状などが挙げられる。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
乱反射処理は、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスにおいて本発明による感光体を用いる場合に特に有効である。すなわち、レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザ光と感光体の内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥の発生することがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
[中間層2]
電子写真感光体には、導電性支持体と感光層との間に、中間層が設けられてもよい。
導電性支持体と感光層との間に中間層がない場合、導電性支持体から感光層に電荷が注入され、感光層の帯電性が低下し、露光される部分以外の表面電荷が減少し、画像にかぶりなどの欠陥の発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成されるので、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生し、画質の著しい劣化が生じるおそれがある。
本発明による感光体では、前述のように導電性支持体と感光層との間に中間層が設けられているので、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止することができる。したがって、感光層の帯電性の低下を防ぐことができ、露光される部分以外での表面電荷の減少を抑え、画像にかぶりなどの欠陥が発生することを防止することができる。
また、中間層を設けることによって、導電性支持体表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層の成膜性を高めることができる。
さらに、中間層が導電性支持体と感光層とを接着する接着剤として機能するので、感光層の導電性支持体からの剥離を抑えることができる。
中間層としては、各種樹脂材料から成る樹脂層、アルマイト層などが用いられる。
該樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリアミド樹脂などの合成樹脂、ならびにこれらの合成樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などを挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよびエチルセルロースなどが挙げられる。
これらの樹脂の中でも、ポリアミド樹脂を用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂が好適に用いられる。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、たとえば6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロンなどを共重合させた、いわゆる共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロンおよびN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂などを挙げることができる。
また中間層には、金属酸化物粒子などの粒子を含有させてもよい。中間層にこれらの粒子を含有させることによって、該中間層の体積抵抗値を調節し、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止する効果を高めることができる。またいろいろな環境下において感光体2の電気特性を維持し、環境安定性を向上させることができる。
含有させ得る金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムおよび酸化スズなどの粒子が挙げられる。
中間層は、例えば前記の樹脂を適当な溶剤中に溶解または分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に塗布することによって形成することができる。中間層に上記の金属酸化物粒子などの粒子を含有させる場合には、例えば前記の樹脂を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層用塗布液を調製し、この塗布液を導電性支持体の表面に塗布することによって中間層を形成することができる。
中間層用塗布液の溶剤としては、水もしくは各種有機溶剤、またはこれらの混合溶剤が用いられる。その中でも、水、メタノール、エタノールもしくはブタノールなどの単独溶剤、または水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソランなどとアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類などの混合溶剤が好適に用いられる。
上記の金属酸化物粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機またはペイントシェーカなどを用いる公知の分散方法を使用することができる。
中間層用塗布液中において、中間層用塗布液に使用されている溶剤の重量(D)に対する樹脂および金属酸化物の合計重量(C)の重量比(C/D)は、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。
また樹脂の重量(E)と金属酸化物の重量(F)との重量比(E/F)は、70/30〜5/95であることが好ましく、より好ましくは70/30〜10/90である。
中間層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、中間層を形成する場合にも好適に用いられる。
中間層の膜厚は、0.1μm以上20μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.5μm以上10μm以下である。中間層の膜厚が0.1μmよりも薄いと、実質的に中間層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性を得ることができず、導電性支持体からの感光層への電荷の注入を防止することができなくなる可能性があり、感光層の帯電性の低下が生じるおそれがある。中間層の膜厚を20μmよりも厚くすることは、該中間層を浸漬塗布法によって形成する場合に、該中間層の形成が困難になるとともに、該中間層上に感光層を均一に形成することができず、感光体の感度が低下するおそれがあるので好ましくない。
[電荷発生層3]
電荷発生層は光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質とバインダ樹脂とを含有する。
電荷発生物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料およびトリスアゾ系顔料などのアゾ系顔料、インジゴおよびチオインジゴなどのインジゴ系顔料、ペリレンイミドおよびペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、アントラキノンおよびピレンキノンなどの多環キノン系顔料、オキソチタニウムフタロシアニン化合物などの金属フタロシアニンおよび無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類およびチオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素などの有機光導電性材料、ならびにセレンおよび非晶質シリコンなどの無機光導電性材料などを挙げられる。
これらの電荷発生物質は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が組合わされて使用されてもよい。
これらの電荷発生物質の中でも、フタロシアニン化合物、特にオキソチタニウムフタロシアニン化合物やヒドロキシガリウムフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
本発明において用いられる電荷発生物質は、他の増感染料と併用してもよい。
そのような増感染料としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルーおよびビクトリアブルーなどに代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジおよびフラペオシンなどに代表されるアクリジン染料、メチレンブルーおよびメチレングリーンなどに代表されるチアジン染料、カプリブルーおよびメルドラブルーなどに代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料またはチオピリリウム塩染料などの増感染料が挙げられる。
電荷発生層には、結着性を向上させるために、バインダ樹脂が含有される。
該バインダ樹脂としては、例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂およびポリビニルホルマール樹脂などの樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂などが挙げられる。
該共重合体樹脂の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂およびアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂などを挙げることができる。バインダ樹脂はこれらに限定されるものではなく、この分野において一般に用いられる樹脂をバインダ樹脂として使用することもできる。バインダ樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
電荷発生層における電荷発生物質の割合は、バインダ樹脂に対し10重量%以上、99重量%以下であることが好ましい。電荷発生物質の割合が10重量%未満であると、感光体の感度が低下するおそれがある。また、電荷発生物質の割合が99重量%を超えると、バインダー樹脂の含有量が低すぎて、電荷発生層の膜強度が低下する可能性がある。さらに、電荷発生層における電荷発生物質の分散性が低下して電荷発生物質の粗大粒子が増大し、消去されるべき部分以外の表面電荷が露光によって減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される、いわゆる黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなるおそれもある。
電荷発生層の形成方法としては、前述の電荷発生物質を真空蒸着する真空蒸着法、前記の電荷発生物質を含む電荷発生層用塗布液を塗布する塗布法などが挙げられる。これらの中でも簡便な塗布法が好適に用いられる。
電荷発生層用塗布液は、例えば、適当な溶剤中に前述の電荷発生物質および必要に応じて前述のバインダ樹脂を加え、従来公知の方法で分散させることによって調製することができる。
電荷発生層用塗布液に使用される溶剤としては、例えばジクロロメタン、ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールのアルキルエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどの非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて混合溶剤として使用されてもよい。
電荷発生物質は、溶剤中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミルおよび超音波分散機などが挙げられる。
電荷発生物質を溶剤中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミルおよびサンドミルなどを挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器および分散機を構成する部材の摩耗などによる不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択する。
電荷発生層用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法および浸漬塗布法などを挙げられる。
これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗工槽に基体を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって基体の表面に層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、好適に用いられる。
浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の分散性を安定させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。なお、塗布方法はこれらに限定されるものではなく、塗布液の物性および生産性などを考慮に入れて最適な方法を適宜選択することができる。
なお、電荷発生層の層厚は、0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以上1μm以下である。電荷発生層の層厚が0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体の感度が低下するおそれがある。また、電荷発生層の層厚が5μmを超えると、電荷発生層内部での電荷移動が感光層表面の電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体の感度が低下するおそれがある。
[電荷輸送層4]
電荷輸送層は、電荷発生物質で発生した電荷を受け入れ、それを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、バインダ樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
電荷輸送物質としては、当該分野で用いられる化合物を使用できる。
具体的には、カルバゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、多環芳香族系化合物、アニリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、芳香族アミン化合物、トリフェニルアミン系化合物及びその2量体、トリフェニルメタン系化合物、テトラフェニルブタジエン系化合物、エナミン系化合物およびスチルベン系化合物、ならびにこれらの化合物から生じる基を主鎖または側鎖に有するポリ−N−ビニルカルバゾール等の重合体などのホール輸送物質;
フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子輸送物質が挙げられる。これらの電荷輸送物質は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
電荷輸送物質の重量(M)とバインダ樹脂の重量(B)との比率(M/B)は、図1の構成の場合、10/12〜10/25、好ましくは10/16〜10/20である。比率(M/B)が10/25未満であると、電荷輸送物質に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなり、十分な感度が得られないおそれがある。一方、比率(M/B)が10/12を超えると、電荷輸送層の耐刷性や感光体の耐久性が低下するおそれがある。
バインダ樹脂は、電荷輸送層の機械的強度や耐久性、層間の結着性などを向上させることができ、当該分野で用いられる結着性を有する樹脂を使用できる。
具体的には、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、ポリアリレート、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル、ポリフェニレンオキサイドなどの熱可塑性樹脂;エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、フェノキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、これらの樹脂の部分架橋物、これらの樹脂に含まれる構成単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂(塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂などの絶縁性樹脂)などが挙げられる。これらのバインダ樹脂は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの樹脂の中でも、ポリカーボネートを主成分とする樹脂、ポリアリレート樹脂およびポリスチレン樹脂は、光化学的に安定で、電荷輸送物質との相溶性に優れ、さらに体積抵抗値が1013Ω以上であって電気絶縁性に優れ、かつ成膜性、電位特性などにも優れるので好ましい。
有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタンなどの芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロプロパン、ジクロルベンゼンなどのハロゲン系溶剤;ジベンジルエーテル、などのエーテル類;シクロヘキサノン、アセトフェノン、イソホロンなどのケトン類;安息香酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類、ジフェニルスルフィドなどの含イオウ系溶剤などなどが挙げられる。エマルション型の電荷輸送層用塗工液の場合は、上記有機溶剤の中で、水に対する溶解度が1wt%以下の溶剤である必要がある。溶解度が1wt%を越えると、エマルション化の際、有機溶剤に水が多く混入するため、電荷輸送物質やバインダー樹脂の有機溶剤に対する溶解度が激減し、電荷輸送物質が析出したり、バインダー樹脂がゲル化したりするため、エマルションを作ることができなくなる。よって、上記の溶剤の中でも、芳香族炭化水素類やハロゲン系溶剤が好適だが、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤の芳香族炭化水素類が最適である。
本発明の水にエマルション化した電荷輸送層用塗工液は、上記の少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂を上記の有機溶剤に溶解した溶液を乳化剤としての界面活性剤の存在下に水に加え安定なエマルションを形成させる事により製造される。
なお、この電荷輸送物質等を溶かした有機溶液には、必要に応じて酸化防止剤などの各種添加剤を含んでもよい。これによって、電位特性が向上するとともに、塗布液としての安定性が高まり、また感光体を繰返し使用した際の疲労劣化を軽減し、耐久性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリベンジルアミン誘導体、リン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤またはヒンダードアミン誘導体が好適に用いられる。これらの酸化防止剤を単独で用いる場合には、それぞれ電荷輸送物質に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲で使用されることが好ましい。
また、上記のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリベンジルアミン誘導体、リン系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤またはヒンダードアミン誘導体は、任意の割合で混合して使用されてもよい。この場合、添加された酸化防止剤の合計使用量は、電荷輸送物質に対して0.1重量%以上50重量%以下の範囲にあることが好ましい。
酸化防止剤の合計使用量が0.1重量%未満であると、塗布液の安定性の向上および感光体の耐久性の向上に充分な効果を得ることができない。また50重量%を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼす。
上記エマルションの分散媒として使用する水は、イオン交換樹脂等で金属イオン等を除去し、その導電率が10μS/cm以下である事が望ましい。特に導電率が1μS/cm以下であることが最適である。導電率が10μS/cm以上の場合、電荷輸送層内部に水に混入していたNa+やCa+イオン等の金属イオンが残留するため、感光体の電気特性に悪影響を及ぼす。
また、本発明のエマルション化した電荷輸送層用塗工液は、乳化剤としてHLBが10以上の界面活性剤を、含有率0.5〜5重量%の範囲で含有している。HLBが8未満の界面活性剤のみ使用すると、電荷輸送物質が溶解している有機性の大きい溶液では、安定な水中油型エマルション塗工液が作成できない。
前記塗工液における上記界面活性剤の含有率が、0.5重量%以下であると、安定な水中油型エマルションが形成されず、また、5重量%以上であると、安定なエマルション形成に影響を及ぼさないが、電荷輸送層中に残存した乳化剤のため電気特性や対刷性が悪化し、望ましくない。
該界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤(非イオン性界面活性剤)が最適である。その他アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤および両性界面活性剤もあるが、これらは、形成された電荷輸送層中にイオンが残留するために感光体特性に悪影響を及ぼす。ノニオン性界面活性剤の例としては、親水部が非電解質、つまりイオン化しない親水性部分を持つもので、アルキルグリコシドのような低分子系、あるいはポリエチレングリコールやポリビニルアルコールのような高分子系が存在する。たとえば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル [RO(CH2CH2O)mH]、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、脂肪酸ジエタノールアミド [RCON(CH2CH2OH)2]、およびアルキルモノグリセリルエーテル [ROCH2CH(OH)CH2OH]などが挙げられる。
具体的な商品としては、三洋化成工業株式会社製のナロアクティーシリーズ、エマルミンシリーズ、サンノニックシリーズ、及びニューポールシリーズ、花王株式会社製のエマルゲンシリーズ、レオドールシリーズ、およびエマノーンシリーズ、株式会社ADEKA製のアデカトールシリーズ、アデカエストールシリーズ、およびアデカノールシリーズ、日本乳化剤株式会社製のニューコールシリーズのうちの非イオン性界面活性剤のシリーズなどが挙げられる。これらの界面活性剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができ、エマルションの安定化のためHLBが異なる界面活性剤を複数使用することも多い。
電荷輸送層用塗工液は、消泡剤をさらに含んでいてもよい。消泡剤は、塗工液にごく微量添加することによって泡を抑えることを目的としている。
本発明の電荷輸送層用塗工液のように溶剤として水を使用する場合には、乳化や攪拌により発泡して乳化の効率を低下させるだけでなく、塗布時に発泡して塗膜欠陥を引き起こすことがある。消泡剤はこれらの問題を抑制する。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系,界面活性剤系,ポリエーテル系、高級アルコール系、エマルション系、オイルコンパウンド系などが挙げられる。これらの中でも、破泡性の強いシリカ粉を含有しているオイルコンパウンド系が特に好ましい。
消泡剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:SNデフォーマー444、470、485、PC(ポリエーテル系)、SNデフォーマー1311、1316(シリコーン系)、SNデフォーマー777、328、480、Hー2(オイルコンパウンド系)、日硝産業株式会社製、製品名:TSA750(オイルコンパウンド系)、TSA770(エマルション系)、東レ・ダウコーニング株式会社製:製品名:DK Q1−1247のようなシリコーンエマルションなどが挙げられる。
本発明の電荷輸送層用塗工液は、本発明の効果を阻害しない範囲で、粘弾性調整剤、防腐剤などの添加剤を含んでいてもよい。
粘弾性調整剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:SNシックナー601、A816(ポリエーテル系)、SNシックナー607(ウレタン変性ポリエーテル系)、SNシックナー617(変性ポリアクリル酸系)、信越化学工業株式会社製、製品名:メトローズ65SH−4000のような水溶性セルロースエーテルなどが挙げられる。
防腐剤としては、例えば、サンノプコ株式会社製、製品名:ノプコサイドSN−135Wのような有機窒素硫黄系化合物などが挙げられる。
また、本発明のエマルション化した電荷輸送層用塗工液は、各種公知の乳化方法で製造することができる。具体的には、あらかじめ前述の電荷輸送物質、バインダー樹脂、及び添加剤を有機溶媒に溶かした溶液と、水、界面活性剤、必要なら消泡剤を混合し、高速攪拌装置、コロイドミル等で乳化することにより製造できる。
界面活性剤は水、有機溶液あるいは両方のいずれかに予め混合しても良い。
高速攪拌装置は、安定なエマルションを形成するために粒子径を小さくする必要があり、せん断力が大きく3000rpm以上で攪拌できる、一般的にホモジナイザーと呼称される高速タービン型攪拌装置(乳化装置)が適している。
さらに、最近では上述の装置の欠点であった、キャビーテーションによる分散・乳化の限界を超えられる、高圧化での乳化装置(株式会社美粒製の音レス高圧乳化装置NANO3000、真空乳化装置(みづほ工業株式会社製真空乳化攪拌装置VTU-1-350)、および高速旋回薄膜法による攪拌装置(プライミクス株式会社製薄膜旋回型高速ミクサー T.K.フィルミックス)等が開発され、好適に用いられている。
これらの装置では乳化時の泡の発生も最小限に抑えられているため、本発明の塗工液の製造には最適である。
上記のいずれかの装置を用いて調製した本発明による電荷輸送層用水性塗工液は、粒径
0.1〜50μmを有する安定なエマルションを形成している。
この電荷輸送層用塗工液の塗布方法は、シートの場合にはベーカーアプリケーター法、バーコーター法(例えば、ワイヤーバーコーター法)、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法、ビード法、カーテン法など、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗工法などが挙げられる。
塗布方法は、塗工液の物性や生産性などを考慮して最適な方法を選択すればよく、浸漬法、ブレードコーター法およびスプレー法が特に好ましい。
浸漬塗布法は、塗工液を満たした塗工槽に導電性支持体1を浸漬した後、一定速度または逐次変化する速度で引上げることによって導電性支持体1上に層を形成する方法である。この方法は比較的簡単で、生産性および原価の点で優れているので、感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗工液のエマルションを安定させるために超音波発生装置に代表される塗工液分散装置や泡を除く脱泡装置を設けてもよい。
電荷輸送層の膜厚は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、より好ましくは15μm以上40μm以下である。
電荷輸送層の膜厚が10μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがある。電荷輸送層の膜厚が50μmを超えると、感光体の解像度が低下する可能性がある。
本発明の感光体における電荷輸送層は、単層だけでなく、複数層であってもよい。
このように電荷輸送層を2層以上で構成し、その最外層を前記電荷輸送層用水性塗工液で塗布することにより、機能分離ができ、例えば、最外層のバインダー樹脂の分子量を高くしたり、電荷輸送物質(M)とバインダー樹脂(B)の比M/Bが、10/25以上にすることにより、耐摩耗性の高い感光体を提供できる。この場合のM/Bは前述の1層で構成した場合より広く制御でき、下層の構成を最適化することにより、M/Bは10/25〜10/60、好ましくは10/25〜10/40である。
比率(M/B)が10/60を超えると、電荷輸送物質に対するバインダ樹脂の相対量比が高くなりすぎ、ホッピング電導ができなくなり、十分な感度が得られないおそれがある。一方、比率(M/B)が10/25未満の場合、単一層で形成した場合と耐久性がほとんどかわらない。
さらに、最外層のみ酸化防止剤を大量に添加することにより耐ガス性を向上することや、最外層のみ表面自由エネルギーの低い材料を使用することより耐キズ性を向上することもでき、また下層に安価な材料を使用することによりコストを低減することも可能となる。
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、本発明の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
図面を用いて本発明の画像形成装置について説明するが、以下の記載内容に限定されるものではない。
図3は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図3の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図1および2の感光体のいずれか1つ)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーニング手段(クリーナ)27と、定着手段(定着器)31と、除電手段(図示せず、クリーニング手段27に併設される)を含んで構成される。図番30は転写紙を示す。
感光体21は、図示しない画像形成装置20本体に回転自在に支持され、図示しない駆動手段によって回転軸線22回りに矢符23方向に回転駆動される。駆動手段は、例えば電動機と減速歯車とを含んで構成され、その駆動力を感光体21の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体21を所定の周速度で回転駆動させる。帯電器24、露光手段28、現像器25、転写器26およびクリーナ27は、この順序で、感光体21の外周面に沿って、矢符23で示される感光体21の回転方向上流側から下流側に向って設けられる。
帯電器24は、感光体21の外周面を所定の電位に帯電させる帯電手段である。具体的には、例えば帯電器24は、接触式の帯電ローラ24aや帯電ブラシあるいはコロトロンやスコロトロンなどのチャージャーワイヤによって実現される。図番24bはバイアス電源を示す。
露光手段28は、例えば半導体レーザなどを光源として備え、光源から出力されるレーザビームなどの光28aを、感光体21の帯電器24と現像器25との間に照射することによって、帯電された感光体21の外周面に対して画像情報に応じた露光を施す。光28aは、主走査方向である感光体21の回転軸線22の延びる方向に繰返し走査され、これに伴って感光体21の表面に静電潜像が順次形成される。
現像器25は、露光によって感光体21の表面に形成される静電潜像を、現像剤によって現像する現像手段であり、感光体21を臨んで設けられ、感光体21の外周面にトナーを供給する現像ローラ25aと、現像ローラ25aを感光体21の回転軸線22と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持すると共にその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング25bとを備える。
転写器26は、現像によって感光体21の外周面に形成される可視像であるトナー像を、図示しない搬送手段によって矢符29方向から感光体21と転写器26との間に供給される記録媒体である転写紙30上に転写させる転写手段である。転写器26は、例えば、帯電手段を備え、転写紙30にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー像を転写紙30上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ27は、転写器26による転写動作後に感光体21の外周面に残留するトナーを除去し回収する清掃手段であり、感光体21の外周面に残留するトナーを剥離させるクリーニングブレード27aと、クリーニングブレード27aによって剥離されたトナーを収容する回収用ケーシング27bとを備える。また、このクリーナ27は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
また、画像形成装置20には、感光体21と転写器26との間を通過した転写紙30が搬送される下流側に、転写された画像を定着させる定着手段である定着器31が設けられる。定着器31は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ31aと、加熱ローラ31aに対向して設けられ、加熱ローラ31aに押圧されて当接部を形成する加圧ローラ31bとを備える。
この画像形成装置20による画像形成動作は、次のようにして行われる。まず、感光体21が駆動手段によって矢符23方向に回転駆動されると、露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向上流側に設けられる帯電器24によって、感光体21の表面が正または負の所定電位に均一に帯電される。
次いで、露光手段28から、感光体21の表面に対して画像情報に応じた光28aが照射される。感光体21は、この露光によって、光28aが照射された部分の表面電荷が除去され、光28aが照射された部分の表面電位と光28aが照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、静電潜像が形成される。
次いで、露光手段28による光28aの結像点よりも感光体21の回転方向下流側に設けられる現像器25から、静電潜像の形成された感光体21の表面にトナーが供給されて静電潜像が現像され、トナー像が形成される。
感光体21に対する露光と同期して、感光体21と転写器26との間に、転写紙30が供給される。転写器26によって、供給された転写紙30にトナーと逆極性の電荷が与えられ、感光体21の表面に形成されたトナー像が、転写紙30上に転写される。
次いで、トナー像の転写された転写紙30は、搬送手段によって定着器31に搬送され、定着器31の加熱ローラ31aと加圧ローラ31bとの当接部を通過する際に加熱および加圧され、トナー像が転写紙30に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された転写紙30は、搬送手段によって画像形成装置20の外部へ排紙される。
一方、転写器26によるトナー像の転写後も感光体21の表面上に残留するトナーは、クリーナ27によって感光体21の表面から剥離されて回収される。このようにしてトナーが除去された感光体21の表面の電荷は、除電ランプからの光によって除去され、感光体21の表面上の静電潜像が消失する。その後、感光体21はさらに回転駆動され、再度帯電から始まる一連の動作が繰り返されて連続的に画像が形成される。
以下に実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
実施例1
酸化アルミニウム(Al23)と二酸化ジルコニウム(ZrO2)とで表面処理した樹枝状の酸化チタン(石原産業株式会社製:TTO−D−1)9重量部と、共重合ナイロン樹脂(東レ株式会社製:CM8000)9重量部とを、1,3−ジオキソラン41重量部とメタノール41重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェーカを用いて12時間分散し、中間層用塗布液(100g)を調製した。調製した中間層用塗工液を、厚み0.2mmのアルミニウム製板状導電性支持体上に、ベーカアプリケーターにて塗布した後、乾燥して、膜厚1μmの中間層を形成した。
次いで、電荷発生物質としてX型無金属フタロシアニン2重量部を、THF97重量部にポリビニルブチラール樹脂(積水化学工業株式会社製:BX−1)1重量部を溶解させて得た樹脂溶液に加えた後、ペイントシェーカで10時間分散し、電荷発生層用塗工液
(100g)を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した中間層上に、ベーカアプリケーターにて塗布した後、乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
電荷輸送物質として下記構造式(1):
Figure 2011128213
で表される化合物(1)(高砂香料社製)4.5重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ400)8重量部と、イルガノックス1010 0.13重量部とを、トルエン(水に対する溶解度0.05wt%)37.5重量部に溶解させ、電荷輸送層用の有機溶液(100g)を調製した。
次にイオン交換水(導電率0.5μS/cm)50重量部に界面活性剤であるナロアクティーCL-70(三洋化成工業株式会社製、HLB=11.7)1.5重量部を加え、ホモジナイザーで5000回転で攪拌しながら、上記の電荷輸送層用の有機溶液を徐々に加え、10分間攪拌した後、回転数を7000回転に上げさらに5分間攪拌し、エマルション型の電荷輸送層用塗工液(100g)を調製した。この電荷発生層用塗布液を、先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。なお、得られたエマルションは、0.15μm〜9.8μmの範囲のサイズを有していた。
以上のようにして、実施例1の電子写真感光体を作製した。
実施例2
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例2の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:下記構造式(2):
Figure 2011128213
で表される化合物(2)(東京化成社製) 4.8重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 7.7重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.14重量部
溶媒:クロロホルム(水に対する溶解度0.8wt%) 50重量部
イオン交換水:50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6)1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.16μm〜8.9μmの範囲のサイズを有していた。
実施例3
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例3の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:下記構造式(3):
Figure 2011128213
で表される化合物(3)(高砂香料社製) 4.8重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 7.7重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.14重量部
溶媒:テトラリン(水に対する溶解度0.1wt%以下) 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6)1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.11μm〜7.2μmの範囲のサイズを有していた。
実施例4
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例4の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:下記構造式(4):
Figure 2011128213
で表される化合物(4)(Sensient Imaging Technologies GmbH製) 4.5重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 8.0重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:o-ジクロロベンゼン(水に対する溶解度1.0wt%) 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:エマルミン140(HLB=14.2) 1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.21μm〜8.3μmの範囲のサイズを有していた。
実施例5
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例5の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:前記構造式(1) 4.5重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 7.7重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-40(HLB=8.9)0.75重量部 + ナロアクティーCL-120(HLB=14.1) 0.75重量部
なお、得られたエマルションは、0.11μm〜5.8μmの範囲のサイズを有していた。
実施例6
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例6の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 4.5重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 3.9重量部 + ユーピロンZ800 3.9重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-95(HLB=8.9)1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.32μm〜18μmの範囲のサイズを有していた。
実施例7
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にして実施例7の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 4.6重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 8.0重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
水道水(導電率187μS/cm): 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6)1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.21μm〜9.5μmの範囲のサイズを有していた。
実施例8
実施例1と同様に中間層と電荷発生層を塗布した後、電荷輸送物質として上記構造式(1)の化合物11.4重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ300)13.6重量部(M/B=10/12)とを、THF75重量部に溶解させた電荷輸送層用有機溶液(100g)を、実施例1と同様に塗布・乾燥させ膜厚15μmの第1層(下層)の電荷輸送層を形成した。その上部に実施例1と同様に調整した下記成分のエマルション型の電荷輸送層用塗工液(100g)を、実施例1と同様に塗布・乾燥させ膜厚5μmの第2層(上層)の電荷輸送層を形成した。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 3.6重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400(M/B=10/25)8.9重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6)1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.26μm〜14μmの範囲のサイズを有していた。
以上のようにして、上下2層構成の電荷輸送層を有する実施例8の電子写真感光体を作製した。
実施例9
第2層(上層)の電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例8と同様にして実施例9の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 2.1重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400(M/B=10/50)10.4重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6) 1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.38μm〜22μmの範囲のサイズを有していた。
実施例10
第2層(上層)の電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例8と同様にして実施例10の電子写真感光体を作製した。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 1.6重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400(M/B=10/70)10.9重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6) 1.5重量部
なお、得られたエマルションは、0.45μm〜31μmの範囲のサイズを有していた。
比較例1
実施例1と同様に中間層と電荷発生層を塗布した後、電荷輸送物質として上記構造式(1)の化合物4.5重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ400)8.0重量部と、イルガノックス1010 0.13重量部とを、THF37.5重量部に溶解させた電荷輸送層用有機溶液(100g)を、実施例1と同様に塗布・乾燥させ膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、比較例1の電子写真感光体を作製した。
比較例2
実施例1と同様に中間層と電荷発生層を塗布した後、電荷輸送物質として上記構造式(4)の化合物4.5重量部と、バインダー樹脂としてポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製:ユーピロンZ400)8.0重量部と、イルガノックス1010 0.13重量部とを、THF37.5重量部に溶解させた電荷輸送層用有機溶液(100g)を、実施例1と同様に塗布・乾燥させ膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
以上のようにして、比較例2の電子写真感光体を作製した。
比較例3
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にしてエマルション塗工液(100g)を調整しようと試みたが、有機溶液がゲル化してエマルションにならなかった。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 4.6重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 8.0重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:トルエン 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-40(HLB=8.9)1.5重量部
比較例4
電荷輸送層用塗工液の処方を下記成分とした以外は実施例1と同様にしてエマルション塗工液(100g)を調整しようと試みたが、有機溶液がゲル化してエマルションにならなかった。
電荷輸送物質:上記構造式(1) 4.6重量部
バインダー樹脂:ユーピロンZ400 8.0重量部
酸化防止剤:イルガノックス1010 0.13重量部
溶媒:シクロヘキサノン(水に対する溶解度2.3wt%) 37.5重量部
イオン交換水: 50重量部
界面活性剤:ナロアクティーCL-85(HLB=12.6) 1.5重量部
以上の感光体の構成を以下の表1に示す。
Figure 2011128213
評価1
以上のようにして作製した実施例1〜10および比較例1および2の各感光体について、静電複写紙試験装置(株式会社川口電機製作所製:EPA−8200)を用いて、初期特性および繰返し特性を評価した。評価は、温度25℃、相対湿度50%の環境下において行なった。
初期特性は以下のようにして評価した。感光体にマイナス(−)5kVの電圧を印加することによって感光体表面を帯電させ、このときの感光体の表面電位を帯電電位V0[V]として測定し、帯電電位V0の絶対値が大きいほど、帯電性に優れると評価した。
次に、帯電された感光体表面に対して露光を施した。このとき、感光体の表面電位を帯電電位V0から半減させるのに要した露光エネルギを半減露光量E1/2[μJ/cm2]として測定し、半減露光量E1/2が小さいほど、感度に優れると評価した。また露光開始から10秒間経過した時点の感光体の表面電位を残留電位Vr[V]として測定し、残留電位Vrの絶対値が小さいほど、光応答性に優れると評価した。
なお、露光光としては、モノクロメータにて分光して得られた波長780nm、露光エネルギー1μW/cm2の単色光を用いた。
繰返し特性は以下のようにして評価した。前述の帯電および露光の操作を1サイクルとして5000回繰返した後、初期特性の評価と同様にして、帯電電位V0、半減露光量E1/2および残留電位Vrを測定し、帯電性、感度および光応答性を評価した。
評価2
実施例1および8〜10および比較例1の各感光体について、テーパー摩耗試験機(加重1.0kg・60rpm・1.0時間)を用いて摩耗させ、摩耗前後の重量を測定することにより摩耗量を測定した。各感光体の結果を、比較例1の摩耗量を1.0とした時の相対値とし表2に示す。
Figure 2011128213
表2に示すとおり、本発明の感光体(実施例1〜10)は、塗工液の溶剤を水性エマルションにしたにもかかわらず、現在の感光体で多く用いられている有機溶剤を用いた感光体、比較例1および2に対して、電気特性、疲労特性ともほぼ同等の性能を有することが確認できた。
また、実施例7のように水道水を使用すると、水道水中のイオン(金属イオン)のため、電気特性が若干悪化した。
また、実施例8〜10のように電荷輸送層を2層とし、その上層のM/Bをバインダーリッチにすることにより、摩耗量が減少し、感光体の耐摩耗性が向上していることも確認できた。しかし実施例10のようにM/Bを10/70にすると、電荷輸送層中の電荷輸送物質の濃度が低くなり、ホッピング伝導が困難となったため、電気特性が急激に悪化した。
さらに、界面活性剤のHLBが10以下の物を使用したり、有機溶剤が水に溶けやすい物を使用すると、エマルション化しなかった。
実施例11
実施例1の中間層用塗工液をアルミニウム製で厚み0.8mm(t)×直径30mm(φ)×長さ357mmの円筒型導電性支持体に垂直リング塗工により塗布・乾燥させ、膜厚1.0μmの中間層を形成した。次いで実施例1の電荷発生層用塗工液を先に形成した中間層と同様に垂直リング塗工により中間層上に塗布し、乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。最後に実施例1の電荷輸送層用塗工液を、ロールコーティング法により先に形成した電荷発生層上に塗布した後、温度130℃で1時間乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
比較例5
実施例11と同様に中間層、電荷発生層を形成した後、比較例1の電荷輸送層用塗工液を、垂直リング塗工により先に形成した電荷発生層上に塗布し・乾燥して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
評価3
実施例11および比較例5において得られた感光体を、画像形成工程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(ジェンテック株式会社製、型式:CATE751)を設けた、市販のデジタル複写機(シャープ株式会社製、型式:MX−3100)にそれぞれ搭載し、各感光体の電気特性を評価した。
まず、温度22℃、相対湿度65%の環境下において、帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を帯電電位V0(V)として測定した。また、レーザ光(波長:780nm)によって露光を施した直後の感光体の表面電位をN/N環境下における残留電位VL(V)として測定した。また、同時に文字・写真混在画像を出力し、その画像評価も行った
その結果を以下の表に示す。
Figure 2011128213
表3のように、本発明の感光体は、実際の複写機においても、従来の有機溶剤で塗工した感光体とほぼ同様な電気特性を示し、画像も同等であった。
1 導電性支持体
2 中間層(下引き層)
3 電荷発生層
4 電荷輸送層
4‘ 電荷輸送層(上層)
5 積層型感光層
20 画像形成装置
21 感光体
22 回転軸線
23、29 矢符
24 帯電手段(帯電器)
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像手段(現像器)
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写手段(転写器)
27 クリーニング手段(クリーナ)
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a 光
30 記録媒体(転写紙)
31 定着手段(定着器)
31a 加熱ローラ
31b 加圧ローラ

Claims (12)

  1. 感光層の最外層に電荷輸送層を積層するための塗工液であって、少なくとも電荷輸送物質とバインダー樹脂が溶解した有機溶液を、界面活性剤の存在下に水に安定に分散させて形成した水中油型エマルションからなることを特徴とする電荷輸送層形成用水性塗工液。
  2. 前記水性塗工液が、水に対して前記溶液を7/3〜3/7の割合で含む請求項1に記載の塗工液。
  3. 前記水性塗工液が、HLBが10以上の界面活性剤を0.5〜5重量%の範囲で含有する請求項1または2に記載の塗工液。
  4. 前記水性塗工液が、平均粒径0.1〜50μmの水中油滴型エマルションから構成されている請求項1〜3のいずれか一つに記載の塗工液。
  5. 前記水性塗工液が、10μS/cm以下の導電率を有する水を含む請求項1〜4のいずれか一つに記載の塗工液。
  6. 前記水性塗工液が、水に対して1wt%以下の溶解度を有する有機溶剤を含む請求項1〜5のいずれか一つに記載の塗工液。
  7. 前記水性塗工液が、芳香族炭化水素化合物を有機溶剤として含む請求項1〜6に記載の塗工液。
  8. 前記水性塗工液が、バインダー樹脂(B)対して電荷輸送物質(M)を、10/25〜10/60(M/B)の割合で含む請求項1〜7のいずれか一つに記載の塗工液。
  9. 前記請求項1〜8のいずれか一つに記載の電荷輸送層用水性塗工液を用いて電荷輸送層を最外層に積層する電子写真感光体の製造方法。
  10. 前記請求項1〜8のいずれか一つに記載の水性塗工液を用い、導電性支持体上に積層された電荷発生層上に電荷輸送層を積層して製造した電子写真感光体。
  11. 前記感光体が、少なくとも導電性支持体上に電荷発生層と電荷輸送層とを積層した積層型感光層からなり、該電荷輸送層が2層以上で構成され、少なくともその最外層が前記電荷輸送層用水性塗工液で塗布された請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 請求項10または11に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段と、前記電子写真感光体に残留するトナーを除去し回収するクリーニング手段と、前記電子写真感光体に残留する表面電荷を除電する除電手段を少なくとも備えたことを特徴とする画像形成装置。
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