本発明について図面を参照して詳細に説明する。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、円筒状基体の表面を洗浄したのち感光体材料の塗布液を塗布して感光塗膜を形成する電子写真感光体の製造方法であって、前記円筒状基体に振動を付加して電子写真感光体を製造するものである。
ここで、『円筒状基体』は、表面未塗布の基体、および、下引層、電荷発生層、電荷輸送層が単層または複層塗布され、未だ乾燥工程を終了していない基体を含み、『電子写真感光体』は、上記工程を経て、各層が表面に形成されたものをいう。
さらに、詳細に説明すると、本発明の実施の形態における電子写真感光体の製造方法は、前記円筒状基体の表面の洗浄時に、前記円筒状基体に振動を付加するものであり、本発明の他の実施の形態における電子写真感光体の製造方法は、前記円筒状基体の表面に前記塗布液を浸漬塗布する際に、前記円筒状基体に振動を付加するものである。
特に、円筒状基体の表面の洗浄時に、円筒状基体に振動を付加する場合、前記円筒状基体に付加する振動周波数は、前記円筒状基体を円筒状基体保持装置によって保持した状態で前記円筒状基体が洗浄液に接触していない時の前記円筒状基体の固有振動数または該固有振動数付近の振動周波数であることが望ましい。
図1に示すように、ポンプ17を用いフィルタ18を介してメッシュ12が底部に設けられた液槽10に洗浄液が送液され、一方、液槽10からオーバーフローした洗浄液は再度ポンプ17、フィルタ18を介して再度液槽10に送液される。円筒状基体はその先端に膨張体102を有する円筒状基体保持装置101により保持される。すなわち、後述するように膨張体102が円筒状基体の内面に当接することによって、円筒状基体保持装置101は円筒状基体を吊り下げ保持する。そして、円筒状基体は、この吊り下げ保持された円筒状基体を液槽10へ降下させ、洗浄液に浸漬洗浄させた後、上昇させることによって洗浄処理がなされる。
ここで、図1及び図2に示すように、円筒状基体の吊り下げられた位置における円筒状基体の振動数は異なる。すなわち、液面14から距離L1分上方に位置する場合の円筒状基体23aの振動数F1と、円筒状基体の下端の一部が液面14より距離L2分浸漬した位置における円筒状基体23bの振動数F2と、円筒状基体のほぼ全てが浸漬し液面14より距離L3分浸漬した位置における円筒状基体23cの振動数F3は、洗浄液の緩衝度合いにより、振動数は図2に示すように、F1>F2>F3となっている。
円筒状基体を洗浄する場合には、液面14から距離L1分上方に位置する場合の円筒状基体23aの振動数F1、すなわち、円筒状基体の固有振動数または該固有振動数付近の振動周波数を円筒状基体に付加することが好ましい。これにより、円筒状基体と洗浄液の接触効果が高く、また円筒状基体を洗浄液から引き上げた際円筒状基体が共鳴し、洗浄液の液切れ性が向上する。
一方、円筒状基体に塗布液を塗布する際に、円筒状基体に振動を付加する場合、前記円筒状基体に付加する振動周波数は、前記円筒状基体を円筒状基体保持装置によって保持した状態で前記円筒状基体の下端が塗布液に接触していない時の前記円筒状基体の固有振動数より大きい振動周波数であることが望ましい。
図1及び図2に用いて上述したように、円筒状基体の吊り下げられた位置における円筒状基体の振動数は異なる。そして、円筒状基体表面に塗布液を塗布する場合、液面14から距離L1分上方に位置する場合の円筒状基体23aの振動数F1より大きな振動周波数F0を円筒状基体に付加することが好ましい。これにより、円筒状基体の少なくとも一部が塗布液に浸漬されている間、一定の振動が連続して円筒状基体及び基体付近の塗布液に付与されるため、塗布液の液面の不連続な振動による段むらを抑制することができる。
以下に、電子写真感光体の製造方法ならびに円筒状基体の洗浄および塗布液塗布、乾燥工程について説明する。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明における電子写真感光体の製造方法の概要について、以下に説明する。電子写真感光体は円筒体のものが多く用いられるので以下、円筒状基体について説明する。
円筒状基体の素材については後述するが、通常、電子写真感光体を製造する場合は、アルミニウムの円筒状基体が用いられる。この円筒状基体は通常、後述するように鏡面切削される。鏡面切削は一般に、以下のようにして行われる。先ず精密切削用の旋盤にダイヤモンドバイトをセットし、旋盤の回転フランジに、予め荒切削された円筒状基体を固定する。そして、旋盤により円筒状基体を回転させ、これに潤滑油として灯油を噴霧しながらバイトを当て、鏡面切削を施す。従って、円筒状基体に対して鏡面切削を行うと、円筒状基体の表面には、灯油による油分やアルミニウムの切粉が付着することがある。したがって、この円筒状基体に対しては、洗浄液を用いた洗浄(脱脂洗浄と呼ばれる)を行った後、濯ぎ洗浄を行う。このとき、脱脂洗浄工程(脱脂洗浄及び濯ぎ洗浄)は、本発明による洗浄方法を用いると効果的である。
こうして洗浄された円筒状基体には更に粗面化処理(非鏡面処理、凹凸形成処理)がなされる場合がある(粗面化工程)。これにより、電子写真感光体において、露光を行う時に、円筒状基体23の表面において光が散乱され、干渉縞の発生が十分に防止される。
粗面化処理する場合円筒状基体に対しては、粗面化処理後ブラシ等の摺擦部材による洗浄や、高圧水による洗浄等により粗面化時に付着した研磨剤などの異物を剥離する洗浄を行っても良い(剥離工程)。
次に、上述した本発明による洗浄を行う。本発明の洗浄工程は精密洗浄工程と呼び、洗浄液を用いた洗浄(精密洗浄と呼ばれる)およびすすぎ洗浄を用いることにより、剥離工程で取りこぼした異物を速やかに除去することが可能である(精密洗浄工程)。
なお、すすぎ洗浄槽の純水の電気伝導度が1μS/cmを超えると、水によるシミや鉄サビ等の付着による塗膜欠陥が発生する傾向がある。また、水温は20〜60℃にすることが、洗浄性及び基体の腐蝕防止の点で効果的である。
こうして洗浄された円筒状基体は、当該基体に付着した水分を除去する為に乾燥機に入れられ、温風乾燥される。これにより、円筒状基体23の表面に残留した水滴による基体上でのシミの発生が防止され、得られる電子写真感光体を用いた画像形成装置において画質欠陥の発生を十分に防止できる。なお、円筒状基体23の外周面においては、1cm2当たりの表面油分付着量が1×10−3g以下となるように洗浄する。この場合、外周面に感光層を形成するための塗布液を塗布しても、ハジキやシミ等の塗布欠陥の発生を十分に防止できる。
乾燥後の円筒状基体は室温まで冷却され、こうして円筒状基体の洗浄が完了する。
なお、本発明の精密洗浄工程の後において円筒状基体の温風乾燥の前に、円筒状基体を温純水に浸漬して引き上げることが好ましい。この場合、基体表面に水滴が残留しにくく、水シミが発生しにくくなる。温純水の温度は通常は40〜70℃であり、好ましくは45〜60℃である。
次に、この円筒状基体の表面に、下引層形成用塗布液を塗布し、乾燥させる。これにより下引層が得られる。このとき、円筒状基体の表面においては、ハジキ、シミ等の塗布欠陥の原因となる異物等の付着率が十分に低減されている。従って、下引き層形成用塗布液を塗布する際にハジキ、シミ等の塗布欠陥の発生を十分に防止できる。
その後、下引層の上に電荷発生層形成用塗布液が塗布、乾燥され、これにより電荷発生層が得られる。最後に、電荷発生層の上に電荷輸送層形成用塗布液が塗布、乾燥され、これにより電荷輸送層が得られる。
上記塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、スプレー塗布法、フローコート塗布法等の様々な塗布方法があるが、塗布方法は、塗布液の特性に応じて任意に選択することができる。また、通常は1層塗布する毎に塗布液を乾燥させる必要があるが、塗布液の種類により乾燥が不要なものもあるため、必ずしも乾燥機を使用する必要はない。更に下引き層、電荷発生層及び電荷輸送層は、本明細書においてはいずれも感光層とする。
こうして円筒状基体の上に感光層が形成され、電子写真感光体の製造が終了する。この電子写真感光体においては、上述したように塗布欠陥の発生が十分に防止される。このため、電子写真感光体を画像形成装置に装着して画像を形成しても、画像において黒ポチ、白ポチの発生、ハーフトーン画像のムラ等が防止され、画像品質への悪影響を十分に防止することができる。
なお、上記電子写真感光体の製造方法の実施形態においては、下引き層が用いられているが、下引き層は必ずしも必要ではない。また、電荷発生層及び電荷輸送層の積層位置は逆であってもよい。即ち電荷輸送層の上に電荷発生層が形成されていてもよい。また、電荷輸送層の磨耗を防ぐために保護層を設けてもよい。さらに、下引き層などに干渉防止機能を持たせる場合、前記の粗面化工程は不要となるため、本発明の方法を用い脱脂洗浄工程で十分洗浄を完了させることが可能であれば脱脂洗浄工程のみで精密洗浄工程は不要となる。完了できなければ脱脂洗浄工程後に、精密洗浄工程を設けても良い。
以下に、上述した下引層、電荷発生層、電荷輸送層について具体的に説明する。上述した下引層は、リーク耐性獲得のために適切な抵抗を得ることが必要であり、微粒子として金属酸化物微粒子を用いることが好ましい。金属酸化物微粒子としては102〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗が必要であり、中でも上記抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子を用いるのが好ましい。尚、上記範囲の下限よりも金属酸化物微粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こしてしまう懸念がある。
金属酸化物微粒子に表面処理を行うことも可能である。表面処理にあたっては、該金属酸化物微粒子の表面積が表面処理後の電子写真特性に大きく影響する。金属酸化物微粒子としては、比表面積が10m2/g以上のものが用いられる。比表面積値が10m2/g 以下のものは帯電性低下を招きやすく、良好な電子写真特性を得にくい欠点がある。
また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。
下引層の形成用塗布液のバインダ樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
下引層の形成用塗布液中の金属酸化物微粒子とバインダー樹脂との比率は所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
下引層の形成用塗布液には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を用いることができる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤は金属酸化物の表面処理に用いられるが、添加剤としてさらに塗布液に添加して用いることもできる。ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
下引層の形成用塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
微粒子を分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの下引層2を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
このようにして得られた下引層の形成用塗布液を用い、導電性基材上に下引層が成膜される。また、下引層は、ビッカース強度が35以上とされていることが好ましい。さらに、下引層は、厚さが10μm以上が好ましく、さらに好ましくは20μm以上50μm以下とされていることが好ましい。
また、下引層の表面粗さはモアレ像防止のために、使用される露光用レーザー波長λの1/4n(nは上層の屈折率)〜1/2λに調整される。表面粗さ調整のために下引層2中に樹脂粒子を添加することもできる。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。
また、表面粗さ調整のために下引層を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることもできる。
さらに、この下引層と感光層との間に、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために中間層を設けてもよい。中間層は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウムもしくはもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
シリコーン化合物の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。これらのなかでも特に好ましく用いられるシリコン化合物はビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
有機ジルコニウム化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.05〜3μmの膜厚範囲に設定される。
感光層の電荷発生層は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。
分散塗布により電荷発生層を形成する場合、電荷発生物質を有機溶剤及び結着樹脂、添加剤等とともに分散し、得られた分散液を塗布することにより電荷発生層は形成される。
本発明において、電荷発生材料としては、公知の電荷発生物質なら何でも使用できる。赤外光用ではフタロシアニン顔料、スクアリリウム、ビスアゾ、トリスアゾ、ペリレン、ジチオケトピロロピロール、可視光用としては縮合多環顔料、ビスアゾ、ペリレン、トリゴナルセレン、色素増感した金属酸化物微粒子等を用いる。これらの中で、特に優れた性能が得られ、好ましく使用される電荷発生物質として、フタロシアニン系顔料が用いられる。これを用いることにより、特に高感度で、繰り返し安定性の優れる電子写真感光体が得られることができる。また、フタロシアニン顔料は一般に数種の結晶型を有しており、目的にあった感度が得られる結晶型であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。特に好ましく用いられる電荷発生物質としては、クロロガリウムフタロシアニン、ジクロロススフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、無金属フタロシアニン、オキシチタニルフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン等が挙げられる。
本発明に用いるフタロシアニン顔料結晶は、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料を、自動乳鉢、遊星ミル、振動ミル、CFミル、ローラーミル、サンドミル、ニーダー等で機械的に乾式粉砕するか、乾式粉砕後、溶剤と共にボールミル、乳鉢、サンドミル、ニーダー等を用いて湿式粉砕処理を行うことによって製造することができる。上記の処理において使用される溶剤は、芳香族類(トルエン、クロロベンゼン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等)、脂肪族アルコール類(メタノール、エタノール、ブタノール等)、脂肪族多価アルコール類(エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等)、芳香族アルコール類(ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、エステル類(酢酸エステル、酢酸ブチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、ジメチルスルホキシド、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)、さらには数種の混合系、水とこれら有機溶剤の混合系があげられる。使用される溶剤は、顔料結晶に対して、1〜200部、好ましくは10〜100部の範囲で用いる。処理温度は、−20℃〜溶剤の沸点以下、好ましくは−10〜60℃の範囲で行う。また、粉砕の際に食塩、ぼう硝等の磨砕助剤を用いることもできる。磨砕助剤は顔料に対し0.5〜20倍、好ましくは1〜10倍用いればよい。また、公知の方法で製造されるフタロシアニン顔料結晶を、アシッドペースティングあるいはアシッドペースティングと前述したような乾式粉砕あるいは湿式粉砕を組み合わせることにより、結晶制御することもできる。アシッドペースティングに用いる酸としては、硫酸が好ましく、濃度70〜100%、好ましくは95〜100%のものが使用され、溶解温度は、−20〜100℃好ましくは−10〜60℃の範囲に設定される。濃硫酸の量は、フタロシアニン顔料結晶の重量に対して、1〜100倍、好ましくは3〜50倍の範囲に設定される。析出させる溶剤としては、水あるいは、水と有機溶剤の混合溶剤が任意の量で用いられる。析出させる温度については特に制限はないが、発熱を防ぐために、氷等で冷却することが好ましい。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂をあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。これらの中で特にポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。
また、電荷発生物質と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が好ましい。塗布液を調整するための溶媒としては公知の有機溶剤、例えばアルコール系、芳香族系、ハロゲン化炭化水素系、ケトン系、ケトンアルコール系、エーテル系、エステル系等から任意で選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を用いることができる。
また、これらの分散に用いる溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤としてバインダー樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカーなどの方法を用いることができる。さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
さらにこの分散の際、粒子を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることは高感度・高安定性に対して有効である。
さらに、電荷発生材料は電気特性の安定性向上、画質欠陥防止などのために表面処理を施すことができる。表面処理剤としてはカップリング剤などを用いることができるがこれに限定されるものではない。表面処理に用いるカップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が上げられる。
また、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどの有機ジルコニウム化合物も用いることができる。また、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどの有機チタン化合物、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などの有機アルミニウム化合物も用いることができる。
さらに、この電荷発生層用塗布液には電気特性向上、画質向上などのために種々の添加剤を添加することもできる。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。シランカップリング剤の例としてはビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどである。ジルコニウムキレート化合物の例として、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。
さらにこの電荷発生層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層に含有される電荷輸送物質としては、公知のものならいかなるものでも使用可能であるが、下記に示すものを例示することができる。2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N’−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N’−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質。クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質。あるいは以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などがあげられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層の結着樹脂は公知のものであればいかなるものでも使用することが出来るが、電機絶縁性のフィルム形成可能な樹脂が好ましい。例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂。シリコン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−カルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルフォルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、フェノール樹脂、ポリアミド、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーワックス、ポリウレタン等があげられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、単独又は2種類以上混合して用いられるが、特にポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂が電荷輸送材との相溶性、溶剤への溶解性、強度の点で優れ好ましく用いられる。結着樹脂と電荷輸送物質との配合比(重量比)はいずれの場合も任意に設定することができるが、電気特性低下、膜強度低下に注意しなくてはならない。電荷輸送層の厚みは5〜50μm、好ましくは10〜40μmが適当である。さらにこの電荷輸送層を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができる。
さらに、本発明の電子写真感光体には電子写真装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体の劣化を防止する目的で、感光層中に酸化防止剤・光安定剤などの添加剤を添加する事ができる。
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル フェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル フェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル フェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われフェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として2−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシ ベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシ ベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤として2−(−2’−ヒドロキシ−5’−メチル フェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3'',4'',5'',6''−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチル フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミル フェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4−ジ−t−ブチルフェニル 3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。本発明の感光体に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などをあげる事ができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。また、電荷輸送層にはシリカやPTFEのような微粒子を含有させることもできる。
また塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
本発明の電子写真感光体は、必要に応じて感光層上に保護層を設けることもできる。この保護層は、積層構造からなる電子写真感光体では帯電時の電荷輸送層の化学的変化を防止したり、感光層の機械的強度をさらに改善する為に用いられる。この保護層は、硬化性樹脂、電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜などから成る。硬化性樹脂としては公地の樹脂であれば何でも使用できるが、例えばフェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シロキサン樹脂等が挙げられる。電荷輸送性化合物を含むシロキサン樹脂硬化膜の場合、電荷輸送性化合物として公知の材料であればいかなるものでも使用可能であるが、例えば特開平10−95787号公報、特開平10−251277号公報、特開平11−32716号公報、特開平11−38656号公報、特開平11−236391号公報に示された化合物等が挙げられるがこれに限定されるものではない。保護膜が導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させて形成された膜である場合、導電性材料としては、N,N’−ジメチルフェロセン等のメタロセン化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン化合物、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物微粒子を混合したもの、あるいは被覆したものがあげられるが、これらに限定されるものではない。
この保護層に用いる結着樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等の公知の樹脂が用いられ、これらは必要に応じて架橋して使用することも出来る。保護層には酸化防止剤を含有させることができる。酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では2,6−ジ−t−ブチル−4−メチル フェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル 4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチル フェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル フェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル フェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィートなどの公知の酸化防止剤の他、シロキサン樹脂と結合可能な水酸基、アミノ基、アルコキシシリル基等の官能基を有する酸化防止剤などが挙げられる。
さらに、保護層にはシリカやPTFEのような微粒子を含有させることもできる。保護層の厚みは1〜20μm、好ましくは1〜10μmが適当である。さらにこの保護層5を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。塗布に用いる溶剤としては、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、できるだけ下層を溶解しにくい溶剤を用いることが好ましい。
本発明により得られた電子写真感光体は、近赤外光もしくは可視光に発光するレーザービームプリンター、デイジタル複写機、LEDプリンター、レーザーファクシミリなどの電子写真装置に用いることができる。レーザービームとしては高精細な画像を得るために350〜800nmの光を発振するレーザーが好ましい。さらに、レーザービームとしては高精細な画像を得るためにスポット径104μm2以下が好ましく、さらに好ましくは3×103μm2以下が好ましく用いられる。
本発明により得られた電子写真感光体は、高解像度を得るための電荷発生層より上層の機能層の膜厚は60μm以下、好ましくは40μm以下が好ましく用いられる。機能層が薄膜の場合は本発明の粒子分散型下引層と高強度な保護層の組み合わせが特に有効に用いられる。
また、本電子写真感光体は一成分系、二成分系の正規現像剤あるいは反転現像剤とも合わせて用いることができる。高精細な画像を得るためのトナーの粒子径としては、10μm以下が好ましく、さらに8μm以下が好ましく用いられる。これらのトナーは公知の製造方法に寄り得ることが出来るが、特に溶解懸濁法、重合法によって得られる球形トナーが好ましく用いられる。また、トナーには表面潤滑剤(金属脂肪酸塩)や研磨効果を有する微粒子を添加することもできる。
また、本発明の製造法を用いて製造された電子写真感光体は、帯電ローラーや帯電フィルム、帯電ブラシを用いた接触帯電方式においても電流リークの発生が少ない良好な特性が得られる。
次に、円筒状基体の洗浄について以下に図面を用いて説明する。
[円筒状基体の洗浄]
(洗浄装置)
図3には、円筒状基体の洗浄装置の第1の実施形態の構成が示されている。図3に示すように、洗浄装置は、洗浄液40を収容する洗浄槽20を備えており、洗浄槽20の上部は開放されている。洗浄槽20の底部は平らでも良いが、溜りを少なくするため、角をカットしても良い。円筒状基体23を複数本浸漬する場合、洗浄槽20もそれに比例して大きくする必要があるため、図3では供給口28は1つであるが、複数個あることが流れの均一化の観点で望ましく、できれば等間隔に並べるのが良い。洗浄槽20内には効率を上げるため、超音波装置29を補助手段として並設してもよい。超音波の出力や周波数は適宜決定される。超音波を設置する場合には、超音波が供給口28を塞がないようにすることが必要であるため、洗浄槽20の下側かつ側面に分割して取り付けてもよい。
洗浄槽20の上部側面には、オーバーフロー液受け槽21が設けられ、オーバーフロー液受け槽21に一旦受けられた洗浄液は、オーバーフロー配管25を介してリザーバータンク26に戻される。リザーバータンク26には、予め洗浄液40が貯留され、リザーバータンク26は、ポンプ17、フィルタ18を介して供給配管22によって洗浄槽20の底部に設けられている供給口28に接続されている。
図3に示す洗浄装置は、洗浄槽20からオーバーフローした洗浄液が、オーバーフロー液受け槽21からオーバーフロー配管25を介してリザーバータンク26に戻され、さらにポンプ17によって送液され、フィルタ18により異物が除去されたのち、再度洗浄槽20へ供給する循環方式を採用している。上記循環方式によれば、水を再利用でき経済的である。フィルタ18は要求される洗浄性能に対し適宜決めてやればよいが、電子写真感光体のごとく高品質洗浄を要求される場合、0.01〜40μmの目開きが好ましい。より好ましくは0.2〜10μmの目開きのものがよい。フィルタを2つ設け、流れの上流側をプレフィルタとして目の粗いものを設けても良い。また、リザーバータンク26を中間に設けてもよい。
一方、円筒状基体23は、1本ずつ円筒状基体下部内壁面に当接して把持可能な把持具が設けられたパレット30に載置され、このパレット30を介して、昇降装置27により浸漬して洗浄したのち、洗浄槽20より引き上げられる。円筒状基体23の把持はその上部からでも下部からでもよい(図3は下把持である)。また、円筒状基体を把持する際、円筒状基体の内面を全て塞がないようにしたほうがよい。そうすれば円筒状基体内面を洗浄液が通過する流れが形成されるため、円筒状基体内面に存在する異物がスムーズに移動できる。また、パレット30には、連結棒31が設けられ、連結棒31は昇降装置27に連結されている。昇降装置27には、連結棒31を介してパレット30を昇降可能に駆動させるモータ33が設けられている。昇降装置27は、円筒状基体23を複数回上下に揺動させることが可能な仕様になっている。すなわち、上記モータ33を振動源として用い、後述するように、パレット30を上下に揺動または振動させる。さらに、洗浄槽20内に配設した超音波装置29を用いて、洗浄液40に振動を与えることがより好ましい。これによって、円筒状基体23の表面に付着した異物を円筒状基体から効率よく除去することができる。
(円筒状基体の洗浄方法)
次に、上記洗浄装置を用いた円筒状基体23の洗浄方法について説明する。例えば電子写真感光体を例にあげると、円筒状基体23の素材としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。基体1の形状は、シート状、プレート状としてもよいが、円筒体形状のものがよく用いられる。
円筒状基体には通常、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削等の前処理が行われる。また基体は通常、鏡面切削される。更に、基体に対しては、干渉縞防止等の目的で非鏡面としたり、或は所望形状の凹凸を付与する粗面化処理がなされる。このとき、円筒状基体の表面には、油分やダスト、金属の切粉が付着することがある。
次に、このような円筒状基体23を洗浄する。洗浄槽20、供給配管22、リザーバータンク26には洗浄液40が満たされており、ポンプ17によって循環される。ポンプ17を通過した洗浄液40は、供給配管22を介してフィルタ18を通過し、供給口28から洗浄槽20内に送液され、そののちオーバーフロー後リザーバータンク26を通り再度ポンプ17を介して循環される。ポンプ17から供給する時間当たりの供給量(循環する場合は循環流量)は多いほど望ましいが、供給量が多いとポンプ17や付帯設備を大型化させるためコスト高となる。このため、洗浄液40の供給量をQ、洗浄槽20に円筒状基体23を浸漬する時点から次の円筒状基体23を浸漬する時点までの時間をT、洗浄槽20の容積をVとしたときに、Q、T、Vが下記式:
0.5≦QT/V
を満足するようにすることが好ましく、またコストを配慮する必要がある場合は、
10.0≧QT/V
を満足することがより好ましい。QT/Vが0.5未満になると、洗浄槽内に異物が溜まり、基体1に異物が再付着しやすくなる傾向がある。
そして、円筒状基体23を把持具が設けられたパレット30を介して昇降装置27を駆動させて、円筒状基体23を下降させ、洗浄槽20の洗浄液40中に浸漬させ(浸漬工程)、設定された最下端位置で一定時間基体停止させて、振動を与え洗浄した後、円筒状基体23を上昇させる(引上工程)。
引上げ工程中は、円筒状基体23に1Hz以上5000Hz以下の振動を付与することが望ましい。1Hz未満では洗浄力に乏しく、また5000Hzを超えると汎用の加振装置であるモータ33では対応できないためコストが高くなる。また、付与する振動の振幅は、0.1〜20mmにあることが好ましい。振幅が小さすぎると洗浄力に乏しく、振幅が大きすぎると汎用の加振装置であるモータ33では対応できないためコストが高くなる。また昇降装置27に高負荷がかかるため、故障頻度が増加することが考えられる。
より好ましくは、引上げ工程中、円筒状基体23を把持具が設けられているパレット30によって保持した状態で円筒状基体23が洗浄液40に接触していない時の円筒状基体23の固有振動数または該固有振動数付近の振動周波数で、昇降装置27のモータ33を用いて、パレット30を振動させる。一般に一番多く用いられる電子写真感光体に使用される円筒状基体の上記固有振動数は、例えば約35Hzであり、モータ33を用いてパレット30に35Hzまたはその付近の振動周波数で振動させることが望ましい。これにより、円筒状基体23が共鳴現象を生じ、液切れ性が向上する。
また、上記モータ33は、市販の加振装置を用いても良いが、モータなどの回転を伝える方法が簡便である。ポンプ17は通常、3〜60Hzの回転数を選定するため、ポンプ17を昇降装置27に接触させても良い。加振は液中を引き上げている期間だけでも良いし、液面から出て停止位置に到達するまで、さらに停止後もしばらく加振してもよい。基体が液面より上にある位置でも加振をしていれば、基体に付着した洗浄液を洗浄槽内に落下させることが可能で付着した液を再利用可能となる。液の使用効率が高まり、コストの面でも優れる。
なお、浸漬/引上げ工程は繰返し行っても良く、引上げ時の停止位置は液中でも良いし、液面より上でも良い。この動作により円筒状基体23に付着した油、ダスト、切粉等の異物が洗浄液により除去され、円筒状基体23の洗浄が行われる。
上記洗浄液40としては、円筒状基体を洗浄しうる液体であれば特に限定されないが、地球環境保護の観点、取り扱いの容易さなどから水系洗浄液が使用される。例えば(1)市水、純水、イオン交換水、井戸水などの水、(2)ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブロックコポリマー型及びノニルフェノールポリオキシエチレンエーテルなどのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼン、高級アルコール、α−オレフィンの硫酸、ケイ酸、リン酸及び炭酸などのオキシ酸塩などのアニオン系界面活性剤、(3)電解性アルカリイオン水、またその一種である超還元性水(日本電子アクティブ株式会社製、商品名:EKO−13、EKO−13ALなど)、(4) (1)から(3)の任意の混合物など公知の洗浄液があげられる。しかし、洗浄効果を考慮すると、(3)電解性アルカリイオン水、またその一種である超還元性水(日本電子アクティブ株式会社製、商品名:EKO−13、EKO−13ALなど)が高価ではあるが好適である。
次に、洗浄装置の第2の実施形態について図4を用いて以下に説明する。なお、図3と同じ構成には、同一の符号を付しその説明を省略する。
図4の洗浄装置では、膨張体102を有する円筒状基体保持装置101によって、円筒状基体23を吊り下げ保持して、洗浄槽20に浸漬洗浄する構成になっている。また、図4に示すように洗浄装置を複数用いて順次洗浄してもよい。その場合、前段から後段に向けて、すなわち、徐々に洗浄槽20内の洗浄液40の成分や濃度、液温を変えて洗浄してもよい。洗浄装置は数が多いほど、洗浄後の円筒状基体23に付着する油分やダスト、金属の切粉といった異物が付着する可能性が低くなるが、コストとの兼ね合いで槽数を決定する。また、オ―バーフロー液受け槽21から直接フィルタ18を介してポンプ17を用いて洗浄槽20に洗浄液を戻して循環させてもよい。
さらに、図4の黒矢印方向に円筒状基体23は浸漬洗浄引き上げを繰り返しながら移動する。そこで、最終後段の洗浄槽20には、他の洗浄槽20からのオーバーフローした洗浄液がリザーバータンク26に戻さない構成にすることが望ましい。
図4に示す洗浄装置の場合、浸漬洗浄工程ならびに引き上げ工程において円筒状基体23に振動を付加する振動は、円筒状基体保持装置101による円筒状基体23の小刻みな昇降によって行っているが、後述する図6,図7に示すように、円筒状基体保持装置101の上端部が固定されている基板188上に振動源120aを配設してもよく、または、円筒状基体保持装置101上部の固定部102a内部または膨張体102が位置する固定部102a内部に、それぞれ振動源120b,120c設けてもよい。
なお、通常、洗浄液による洗浄に続いて、洗浄液を基体から除去する目的ですすぎ洗浄を行う。すすぎ洗浄に関しても同様に、図3,図4に示す洗浄槽20の代わりにすすぎ槽を用い、このすすぎ槽に洗浄液40の代わりに純水を満たし、その中に洗浄後の円筒状基体23を浸漬し、所定の時間保持した後、槽から引き上げてすすぎを施す。すすぎ槽底面部から純水を供給し、すすぎ槽の上部開放端からオーバーフローさせ、循環させて再使用する。すすぎも必要に応じて複数のすすぎ槽を多段に設け、順次浸漬させてすすぎ処理を施してもよい。
次に、円筒状基体の感光層形成用塗布液の塗布について以下に図面を用いて説明する。
[円筒状基体への塗布]
(塗布装置および塗布方法)
図5には、円筒状基体への感光層形成用塗布液の塗布装置の構成の一例が示されている。
図5は、円筒状基体23を塗布液槽50から引上げ途中の状態を示すものである。塗布液44は、リザーバータンク26から供給配管22を通してポンプ17によって圧送され、フィルタ18を介して塗布液槽50内に供給される。塗布液槽50は、槽内塗布液流速均一性を得るために下部に少なくとも一つ以上のメッシュ52が挿入されている。塗布液槽50内に供給された塗布液44は、円筒状基体23毎に浸漬可能な各々独立の塗布室54を有している。独立した塗布室54内に供給された塗布液44は、オーバーフローし、塗布液槽50の上端周辺に設けられたオーバーフロー液受け槽21で補集されオーバーフロー配管25に流出しリザーバータンク26に回収される。
この浸漬塗布装置を用いて浸漬塗布を行う場合、円筒状基体23が独立の塗布室54に浸漬され、その後、引き上げられた時、塗布液槽液面24を一定に保持する目的で、常にオーバーフローするように塗布液循環手段によって塗布液を循環する。さらに、オーバーフロー配管25の途中に溶剤蒸気を排出する排出口51が設けられているが、排出口51は、塗布液槽50の液面24より低い位置に設けられているのが好ましい。排出口51から強制的に溶剤蒸気を吸引する事で膜厚ムラを抑制する。排出口はAからエアーを供給し、Bから排出することでC吸引室が減圧になり、溶剤蒸気を強制的に排出する即ち、エアーエジェクター効果を利用し排出するものである。手段としては、電動式またはエアー式真空ポンプ等の利用でも問題ない。Cの真空度を表示する圧力計38を具備するのが好ましい。エアーエジェクター効果を利用し排出された溶剤蒸気は配管45を通り、リザーバータンク26に排出される。その際、溶剤蒸気冷却機49にて冷却され、有機溶剤蒸気の飽和蒸気圧が下がり、有機溶剤が凝集する。溶剤蒸気冷却機49には冷却温度を測定する温度計41を具備するのが好ましい。凝集した有機溶剤は配管45を伝わり、重力によってリザーバータンク26内の塗布液44に混ざる。溶剤蒸気を冷却する手段として、ここでは冷却水42を配管45に接触させる方法を記載したが、本発明はこれに限られたものではない。
また、塗布液槽50の上部には、外部のエアー流れの影響を防止するためのフード35を具備している。ここで、排出口51を設けない場合や、排出口51を塗布液槽50の液面24より高い箇所に設定した場合は、円筒状基体23に形成される塗布膜から蒸発する溶剤蒸気、及び塗布液槽50の液面14より蒸発する溶剤蒸気は、外部のエアー流れに影響を受けないようフード35を具備していることも影響し、円筒状基体周辺に滞留する。厚膜塗布では更に塗布膜からの蒸発溶剤蒸気量が増加するため、自然排出では溶剤蒸気の排出不足が発生し、円筒状基体23に形成される塗布膜の指触乾燥速度ムラを発生させる。しかしながら、本発明においては、溶剤蒸気を排出する排出口51に強制的に吸引する手段を具備する事で、すなわち、円筒状基体周辺の指触乾燥領域の溶剤蒸気を均一に且つ、厚膜塗布時で溶剤蒸気量が増えても排出する効果に優れ、膜厚ムラの少ない電子写真感光体を得ることが可能となる。
円筒状基体は通常、液に浸漬しない端部を密閉して塗布される。円筒状基体の把持方法は種々のものが報告されているが、基材を把持する際に芯ズレが小さい筒状基体の端部を当接する平面状の当接面の形成された当接部と、筒状基体を把持した膨張体の支持部を当該当接面方向に付勢して筒状基体の端部を当該当接面に押し付ける付勢機構とを備えた把持具を使用するのが好ましい。
以下に、円筒状基体保持装置101の把持構造ならびに加振構成の例を図6,図7を用いて説明する。
図6に示すように、円筒状基体保持装置101はそれぞれ、固定部101aと可動部101bとを含む。このうち可動部101bの下端部に膨張体102が設けられている。固定部101aは、図3に示すように基板188に固定され、可動部101bは、固定部101aに対して上下動自在に構成される。図6(a)に示すように、可動部101bは固定部101aとの間に設けられた弾性部材(例えばスプリング)198によって上方に付勢されている。また、図7に示すように、可動部101bは、上方の空気圧シリンダ90から、下方に押圧される。空気圧シリンダ90による押圧力は、弾性部材198による付勢力よりも大きく設定されており、空気圧シリンダ90が押圧力を発生すると、図6(b)に示すように、可動部101bは下方に移動する。本実施形態では、図6(b)の状態、すなわち、空気圧シリンダ90で可動部101bを下方に押圧した状態で、チューブ106および貫通孔108を通じて加圧空気を供給して膨張体102を膨張させ、円筒状基体23を把持し、その後、図6(a)の状態、すなわち、空気圧シリンダ90による押圧を解除し、弾性部材198による付勢力によって可動部101bを上方に戻す。これにより、円筒状基体23の上端23uは、固定部101aに設けられた当接面101cに押し付けられる。膨張体102による把持のみでは、円筒状基体23がゆがんで把持さたり揺動したり上下動したりするおそれがあるが、円筒状基体23の上端23uを当接面101cに押し付けることで、円筒状基体23を一定の姿勢でしっかりと保持することができ、基材の長さにもよるが、実質上軸ずれを1mm以下に抑えることができる。ここで、当接面101cは平面とするのが好適である。こうすることで、内径が異なる円筒状基体23であっても、その上端23uの断面が当接面101cに含まれる限り、一定の姿勢でしっかりと保持することができるようになる。このとき、当接面101cは水平面(アーム101の軸方向に垂直な面)とするのが好適である。ただし、この方式で円筒状基体23の上端23uを当接面101cに押し付けるには、図6(b)における円筒状基体23を把持するときの上端23uと当接面101cとの間隙yを、図6(a)と図6(b)とのストロークxより小さくしておく必要があることに留意すべきである。なお、この例では、固定部101aが当接部に、可動部101bが膨張体102の支持部に、弾性部材198が付勢機構に、また空気圧シリンダ90が押圧機構に相当する。しかし、これはあくまでも一例であって、かかる構成には限定されない。なお、チューブ106および貫通孔108は、膨張体102から加圧空気を抜く経路としても用いられる。そして、図1,図4には、膨張体102が膨張した様子を破線で示している。
通常、段むらは、液の浮力等で低下した円筒状基体の固有振動数とポンプ17の振動が同一になった位置での共振によって発生する。
図7に示すように、基板188上に、10Hz以上200Hz以下に可変の加振機能を有する振動源120aを配設し、円筒状基体保持装置101を経由させて円筒状基体に振動を付加してもよい。また、図7に示すように、円筒状基体保持装置101上部の固定部102a内部に振動源120bも配設してもよく、または、膨張体102が位置する固定部102a内部に振動源120cを配設してもよい。振動源120a,120b,120cとしては、例えば、モータやピエゾ素子などを用いることができる。また、一般に一番多く用いられる電子写真感光体に使用される円筒状基体の上記固有振動数は、例えば約35Hzであることから、上記振動源120a,120b,120cは、例えば、35Hzより大きい周波数、例えば40Hz以上の振動周波数を発生させることが望ましい。
円筒状基体保持装置から円筒状基体に液中に浸漬していない状態での円筒状基体の固有振動より大きい周波数の振動を塗布時に与えることによって、段むら発生を防止できる。与える周波数の上限値は特に限られたものではないが、基板188にて把持している全ての円筒状基体に振動を与える必要があるため、500Hz以下が好ましい。すなわち、500Hzを超える周波数を付加した場合、円筒状基体の下方まで振動を伝えるには、大きなエネルギーを必要とし、非効率となる。なお、発明者らは、ポンプの振動と共振しない周波数の振動を円筒状基体に積極的に常時与えることによって、共振による基材の振動による段むらを低減できるものと考える。
次に、感光層用塗布液が塗布された円筒状基体の乾燥工程について、図8を用いて説明する。
[円筒状基体の乾燥]
(乾燥装置)
図8(a)には、本発明における円筒状基体の乾燥装置の構成が示されており、一方、図8(b)には、従来の円筒状基体の乾燥装置の構成が示されている。また、図9において、時間1〜時間5という形で経時を表している。
品種切り替え時、図8(b)に示すように、従来の円筒状基体の乾燥炉70の前品種の円筒状基体23が乾燥炉70から抜けきるまで乾燥温度等の乾燥条件を変えることができなかった。一方、本発明では乾燥炉が温調制御されるエアー循環装置を備えた複数個のチャンバー61,62,63,64からなっているため、各チャンバーを前品種の円筒状基体23が抜けることによって各チャンバーの乾燥条件を順次変更する事ができる。図8(a)に示すように、時間1には乾燥炉には満杯の円筒状基体23が入っているが、時間2では乾燥炉のチャンバー61には円筒状基体23が入っていないため、チャンバー61の乾燥条件を変えることができる。このようにして、乾燥炉のチャンバー62,63,64と円筒状基体23が抜けるたびに乾燥炉のチャンバー62,63,64の乾燥条件を順次変えていくことにより品種切替変更を大幅に短くすることができる。すなわち、本発明の電子写真感光体の製造装置によれば、種々の乾燥条件の異なる電子写真感光体の品種切り替え時間を大幅に短くすることができる。
[好ましい態様]
(1)複数本の円筒状基体を洗浄液に浸漬する浸漬工程と、円筒状基体を前記洗浄液から引き上げる引上工程と、を含む円筒状基体の洗浄方法であって、引上げ工程中に、円筒状基体に1Hz以上5000Hzの振動を与える円筒状基体の洗浄方法。
(2)前記円筒状基体の表面に前記塗布液を浸漬塗布する際に、前記円筒状基体に10Hz以上500Hz以下、好ましくは10Hz以上200Hz以下振動を付加する電子写真感光体の製造方法。
(3)上記(1)または(2)、または、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電子写真感光体の感光体製造方法を用いて製造された電子写真感光体と、前記電子写真感光体を帯電させる帯電手段と、前記帯電手段により帯電される前記電子写真感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を被記録媒体に転写する転写手段と、を有する電子写真装置。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[円筒状基体の洗浄]
(実施例1)
アルミニウム素管(JIS H4080 合金番号:1050A)からなる円筒状基体を、ダイヤモンドバイトを用いて鏡面切削加工することにより、厚さ0.75mm×外径30mm×長さ340mmにした。その後、その表面を、十点平均粗さ(Ra)が0.03〜0.04μmの平滑面に仕上げた。
図9に示す洗浄工程に沿って、洗浄を行った。
先ず、鏡面切削加工終了後、図3に示す洗浄槽20を複数槽備え、順次次の洗浄槽に円筒状基体を浸漬洗浄させる洗浄システムにより円筒状基体の脱脂洗浄を行った(脱脂洗浄工程)。上記洗浄システムにおいては、まず脱脂洗浄を前段2つの洗浄装置で順次行った。上記前段2つの洗浄槽20には、底部より、界面活性剤をイオン交換水に溶解させた洗浄液を供給し、上部からオーバーフローさせた。界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤(ライオン(株)製LH−600F)を用い、洗浄液中の界面活性剤の濃度は、1段目の洗浄槽20では10〜20重量%とし、2段目の洗浄槽20では1〜2重量%とした。また、洗浄液のイオン交換水としては、電気伝導度が1μS/cm以下のものを使用した。更に円筒状基体23には、超音波発振機により洗浄液を介して40kHzの超音波をエロージョンが発生しない出力で印加した。
なお、図10に示すように、円筒状基体同士の中心間距離は60mmとなるように配置し、縦4本×横4本の16本を同時浸漬した。槽の大きさは300mm×300mm、深さ500mmの容積45リットルとした。循環流量は100リットル/minとし、各洗浄装置での滞留時間は2.5分とした。浸漬中、基体は50mmのストロークを500mm/minの速度で液中を上下に揺動させた後に、2.0分後引き上げた。こうして円筒状基体の脱脂洗浄を行った後、円筒状基体の濯ぎ洗浄を、次の2つの濯ぎ装置(3段目、4段目の洗浄槽20)で順次行った。濯ぎ洗浄は、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と同様にして行った。
濯ぎ洗浄を行った後は、温純水浸漬を最後段の洗浄装置20で行った。円筒状基体を、35℃に保持した温純水中に50秒間浸漬した後、300mm/minの速さで引き上げた。
こうして得られた円筒状基体に対し湿式ホーニング装置によってその表面の粗面化処理を行った(粗面化工程)。粗面化処理においては、研磨材5.7kgを水51リットルに懸濁させた懸濁液を、10リットル/minの流量でガンに送り込み、0.1〜0.2MPaの圧縮空気圧で円筒状基体に吹き付け、表面粗さ十点平均粗さ(Ra)が0.1〜0.3μmになるようにした。なお、上記研磨材としては、粒径35μmの酸化アルミニウム(昭和タイタニウム社製アルナビーズ(CB−A35S))を用いた。
こうして粗面化処理した円筒状基体に対して以下の洗浄処理を行った(剥離工程)。即ち先ず粗面化処理した円筒状基体に対し、25リットル/minで60秒間井戸水を吹きかけた後、0.2%界面活性剤を2リットル/minで吹きかけながら、押付ブラシで押付処理を行った。押付ブラシとしては、棒状の軸部材と、軸部材に放射状に取り付けられる多数のナイロン製ブラシとから構成されるものを用いた。ブラシの線径は65μm、ブラシ部分の外径は130mm、ブラシの長さは30mmとし、軸部材が円筒状基体の回転軸と平行になるように且つブラシの先端が円筒状基体の表面に接触するように配置した。押付処理は、円筒状基体及び押付ブラシの回転方向を同じ方向とし、回転速度を100rpmにして60秒間行った。
こうして押付処理した円筒状基体について、図4に示すように洗浄槽を複数槽備え、順次次の洗浄槽に円筒状基体を浸漬洗浄させる洗浄システムにより洗浄を行った(精密洗浄工程)。洗浄システムにおいては、前段2つの洗浄装置の1段目と2段目の洗浄槽20a,20b(上記脱脂洗浄工程での槽と同じ形状300mm×300mm、深さ500mmの容積45リットル)に、純水(導電度0.1〜1.0μS/cm、温度18〜25℃)を入れ、3段目の洗浄槽20cには温純水(導電度0.1〜1.0μS/cm、温度48〜55℃)を入れた。そして、前段2つの洗浄槽20a,20bのそれぞれにおいて、それぞれポンプ17bを作動してそれぞれリザーバータンク26から純水を吸い上げ、それぞれフィルタ18bで濾過した後、供給配管22a,22bのそれぞれに供給し、それぞれの供給口28a,28bから洗浄槽20a,0b内に洗浄液を供給した。このとき、循環流量Qは100Lリットル/minとした(上記脱脂洗浄工程と同じ)。
この状態で、移動装置130をガイドレール129に沿って洗浄槽20aの真上まで移動させ、円筒状基体23を洗浄槽20aの真上に配置した後、円筒状基体保持装置101により、円筒状基体を下降させ、洗浄槽20aの洗浄液中に浸漬した。その後、円筒状基体23を引き上げ、移動装置130をガイドレール129に沿って移動させ、次の洗浄槽20bの真上に配置した。以降、同様にして、円筒状基体23の洗浄を行った。このとき、各洗浄槽20a,20bにおける滞留時間は2.5分とした。
なお、図3の昇降装置27および図4の円筒状基体保持装置101により、浸漬中、円筒状基体23は50mmのストロークを500mm/minの速度で液中を上下に揺動させた後に、2.0分後引上げた。また、各洗浄装置20で引き上げ中、図3の昇降装置27および図4の円筒状基体保持装置101に加振装置(エミック社製小型振動発生器511−A)13を接触させ、30Hzの振動を与えて、基体が横方向に振幅1mmで振動するようにした。引上げ終了後、次の洗浄装置に移動するまで振動を付与しつづけた。
最終段の洗浄槽20cにおいては、洗浄液中、円筒状基体23を20秒浸漬した後、300mm/minの速度でゆっくりと引き上げて洗浄した。
最終段の洗浄槽20cにて洗浄された円筒状基体23は、乾燥室で135℃の熱風を2分間吹き付けることにより乾燥させ(温風乾燥工程)、その後基体の温度が25℃になるよう冷風を当て冷却した(冷却工程)。
次に、有機ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、松本製薬(株)製)100部、シランカップリング剤(商品名:A1100、日本ユニカー(株)製)10部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−S、積水化学(株)製)10部及びn−ブチルアルコール130部を混合して得られた塗布液で円筒状基体を浸漬塗布し、140℃で15分間加熱して、厚さ1.0μmの下引き層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学(株)製)の2%シクロヘキサノン溶液に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、顔料と樹脂との比が2:1となるように混合し、次いでサンドミルにより3時間分散処理を行った。得られた分散液をさらに酢酸n−ブチルで希釈して下引き層上に浸漬塗布し、厚さ0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(m−トリル)ベンジジン4部及びポリカーボネートZ樹脂6部をモノクロロベンゼン36部に溶解させた溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃で40分間乾燥して、厚さ24μmの電荷輸送層を形成した。こうして電子写真感光体を得た。
なお、洗浄工程を同様に行った別の円筒状基体について、塗布を行わずに以下のようにして表面油分付着量を算出した。即ち先ず超音波槽内に550 mlの油分抽出溶媒(商品名:S−316、堀場製作所製)を入れ、5分間超音波をかけた。そして、その抽出溶媒30mlを採取し、油分濃度A(単位:mg/l)を油分濃度測定機(OCMA−220、堀場製作所製)により測定した。こうして油分抽出液に予め含まれている油分濃度(バックグラウンド)を測定した。
次に、上記超音波槽内に残った520mlの油分抽出液中に円筒状基体を完全に浸漬させ、5分間超音波をかけた。そして、その油分抽出液を30ml採取し、油分濃度B(単位:mg/l)を上記と同様にして測定した。そして、下記式:
表面油分付着量=(油分濃度B−油分濃度A)×520/(1000×円筒状基体の表面積[cm2])
に基づき、表面油分付着量を算出した。その結果、表面油分付着量は、検出限界(5×10−5mg/cm2未満)であった。
(実施例2)
引き上げ時に5Hzの振動を与えた以外は実施例1と同じとした。
(実施例3)
引き上げ時に1000Hzの振動を与えた以外は実施例1と同じとした。
(実施例4)
実施例1同様、鏡面切削加工を行った。
鏡面切削加工終了後、円筒状基体の脱脂/精密一体洗浄、濯ぎ洗浄において、洗浄液としてイオン交換水のみを用いた以外は脱脂洗浄と同様にして行い、濯ぎ洗浄を行った後、、円筒状基体を、48〜55℃に保持した温純水(電気伝導度が1μS/cm以下)中に20秒間浸漬した後、300mm/minの速さで引き上げた以外は、実施例1と同様にして行った。
洗浄された円筒状基体23は、乾燥室で135℃の熱風を2分間吹き付けることにより乾燥させ(温風乾燥工程)、その後基体の温度が25℃になるよう冷風を当て冷却した(冷却工程)。
次に、円筒体の外周面に塗膜を形成した。以下の構成の下引き層を塗布、150℃、30分の硬化処理を行い、20μmの膜厚とした。
酸化チタン 25重量部
樹脂前駆体としてのブロック化イソシアネート(商品名:住友バイエルンウレタン社製スミジュール3175)10重量部
メチルエチルケトン60重量部
ブチラール樹脂(商品名:積水化学社製BM−1)9重量部
シリコーンボール(商品名:東芝シリコーン社製トスパール120)3重量部
レベリング剤(商品名:東レダウコーニングシリコーン社製シリコーンオイルSH29PA)0.01重量部
次に、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BM−1、積水化学(株)製)の2%シクロヘキサノン溶液に、ヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料を、顔料と樹脂との比が2:1となるように混合し、次いでサンドミルにより3時間分散処理を行った。得られた分散液をさらに酢酸n−ブチルで希釈して下引き層上に浸漬塗布し、厚さ0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、N,N'−ジフェニル−N,N'−ビス(m−トリル)ベンジジン4部及びポリカーボネートZ樹脂6部をモノクロロベンゼン36部に溶解させた溶液を電荷発生層上に浸漬塗布し、115℃で40分間乾燥して、厚さ24μmの電荷輸送層を形成した。こうして電子写真感光体を得た。
なお、洗浄工程を同様に行った別の円筒状基体について、塗布を行わずに実施例1と同様の方法で表面油分付着量を測定したところ、5×10−4mg/cm2であった。
(比較例1)
加振装置による振動を与えない以外は実施例1と同じとした。
(比較例2)
引き上げ時に0.5Hzの振動を与えた以外は実施例1と同じとした。
(比較例3)
28kHzの超音波振動子を槽の底部に設置した以外は実施例1と同じとした。
(欠陥発生率の評価)
実施例1〜4および比較例1〜3により得られた電子写真感光体各々1000本について、CCDカメラと顕微鏡とからなる表面欠陥評価装置を用いて感光体表面の欠陥数を測定し、欠陥発生率を算出した。その結果、欠陥発生率は、表1のようになった。
これより、実施例の方が、欠陥発生率が十分に低減されることが分かった。また、同様に表面油分付着量は表1のようになった。また、欠陥発生率は、表面油分付着量が小さいほど小さくなることも分かった。
[円筒状基体への塗布]
<実施例5>
(基材の準備)
アルミニウムパイプ(円筒状基材)にダイヤモンドバイトを用いた鏡面旋盤により鏡面切削加工を行い、表面粗さ(Ra(JIS B0601(1982)に規定されている中心線平均粗さ):0.02μm、Rmax(JIS B0601(1982)に規定されている最大高さ):0.2μm)の平滑面に仕上げた。次に、循環型処理装置にて、電気分解アルカリ性水を用いて基材を洗浄(電気分解アルカリ性水処理)した。処理槽に供給・循環される電気分解アルカリ性水としては、水以外のイオンを3.4wt%含む原液(商品名:ルミックEKO−13AL、日本電子アクティブ社製)を、イオン交換水にて3倍に希釈したもの(pH11)を用いた。電気分解アルカリ性水の原液を希釈するためのイオン交換水としては、比抵抗5(MΩ・cm)のものを用いた。また、電気分解アルカリ性水の温度は50℃に設定され、15秒間、基材を洗浄した。なお、処理槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。 また、使用済み電気分解アルカリ性水に含まれる油分は、油水分離装置として超極細繊維フィルタ(商品名:ユーテックTH、旭化成社製)を用いて分離した。次に、濯ぎ処理を行った。濯ぎ処理に用いた循環型濯ぎ装置における濯ぎ槽では、比抵抗5(MΩ・cm)のイオン交換水を使用した。また、イオン交換水の温度は50℃に設定された。また、濯ぎ処理の際には、15秒間、基材を濯いだ。なお、濯ぎ槽で照射した超音波の周波数は133kHzであった。最後に、水切り処理を行った。水切り処理に用いた循環型水切り装置における水切り槽では、比抵抗5(MΩ・cm)のイオン交換水を、液温50℃に設定して使用した。基材を水切り槽25b内に15秒浸漬した後、2000mm/minで引き上げた。その後、露点が7℃以下の60℃の熱風で乾燥し、円筒状基体(外径60mm、肉厚1mm、長さ357mm)を得た。
(下引き層用塗液の作成)
一方、酸化亜鉛(平均粒子径70nm:テイカ社製試作品)100重量部をトルエン500重量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(KBM603:信越化学社製)1.5重量部を添加して2時間攪拌した。その後、トルエンを減圧蒸留にて留去し、150℃で2時間焼き付けを行って表面処理が施された酸化亜鉛を得た。次に、表面処理を施した酸化亜鉛60重量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)15重量部、及びブチラール樹脂(エスレックBM−1、積水化学社製)15重量部をメチルエチルケトン85重量部に溶解し、この溶液38重量部とメチルエチルケトン25重量部とを混合し、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散処理を行い、分散液を得た。得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005重量部を添加し、下引き層形成用塗布液を得た。
(下引き層の塗布)
この塗布液を浸漬塗布槽の手前の配管が内径21mmであり循環フィルタの目開きが絶対濾過精度で25μmであるフィルタ−を含む浸漬塗布循環機内で循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基体232本を一度に浸漬後毎分250mmの引き上げ速度にて塗布した。独立の塗布室54の内径は77mmのものを用いた。その後、170℃、40分の乾燥硬化を行い平均膜厚24μmの塗膜を得た。
(電荷発生層用塗液の作成)
次に、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体(VMCH、ユニオンカーバイド社製)4部を酢酸−n−ブチル100部に溶解させた溶液とII型クロロガリウムフタロシアニン結晶4部を混合し、ガラスビーズとともに、12時間ダイノーミルで分散し、酢酸−n−ブチルで希釈して固形分濃度7.0重量%の電荷発生層形成用塗布液を調製した。
(電荷発生層の塗布)
この塗布液を図5に示す浸漬塗布循環機内で、毎分20リットルの流量にて循環した。この浸漬塗布槽に円筒状基体232本を一度に浸漬後毎分170mmの引き上げ速度にて塗布した。独立の塗布室54の内径は77mmのものを用いた。塗布の際、基板188(図7)に40Hzの振動を加振した。液中に浸漬していない状態での筒状基体の固有振動を測定したところ、35Hzだった。図5における吸引室Cの真空度は圧力計38で管理し、−5kPaとなる様エアー流れの量(エジェクターエアー量)を調整決定した。ここでの圧力(真空度)は塗布液物性、膜厚ムラ目標値等を考慮し任意に設定するパラメータであるが、好ましくは。−0.1kPa〜−20kPaに設定されることが望ましい。溶剤蒸気冷却機49の冷却水の温度は10℃に設定した。ここでの冷却水の温度は、溶媒の凝集、再生量を考慮し任意に設定するパラメータであるが、20℃以下に設定されることが望ましい。その後、100℃で10分間加熱乾燥し、0.25μm厚の電荷発生層を形成した。
<比較例4>
電荷発生層の塗布にて加振しない以外は、実施例5と同様にして電荷発生層まで塗布した。
<比較例5>
電荷発生層の塗布にて振動(加振)周波数を25Hzにした以外は、実施例5と同様にして電荷発生層まで塗布した。
<比較例6>
電荷発生層の塗布にて振動(加振)周波数を20Hzにした以外は、実施例5と同様にして電荷発生層まで塗布した。
(評価)
電荷発生層まで形成した円筒状基体を黄色灯の下で目視評価し、段むら故障の発生有無を確認した。実施例5では『段むら故障』は12本全て観測されなかったものの、比較例1では8本、基体下端から50mmの位置に段むら故障が見つかった。比較例2及び3では12本、基体下端から60mm、100mmの位置に段むら故障が見つかった。
20,20a,20b,20c 洗浄槽、22,22a,22b 供給配管、23 円筒状基体、24 液面、25 オーバーフロー配管、26 リザーバータンク、27 昇降装置、28,28a,28b 供給口、30 パレット、31 連結棒、33 モータ、35 フード、38 圧力計、40 洗浄液、41 温度計、42 冷却水、44 塗布液、50 塗布液槽、51 排出口、54 塗布室、90 空気圧シリンダ、101 円筒状基体保持装置、101a 固定部、101b 可動部、101c 当接面、102 膨張体、106 チューブ、108 貫通孔、120a,120b,120c 振動源。