JP4743000B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式により画像を形成する複写機等の画像形成装置に用いられる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
近年、電子写真法は、複写機やプリンター等の画像形成装置に幅広く利用されている。このような電子写真法を利用した画像形成装置に使用される電子写真感光体(以下、「感光体」と称す場合がある)は、装置内で様々な接触やストレスに曝されるために劣化を招くが、その一方で、画像形成装置のデジタル化やカラー化にともなって高い信頼性が求められている。
このような感光体の中でも、有機感光体が近年広く用いられている。有機感光体は、非晶質シリコンを用いた感光体などと比べて低コストであり、セレンや硫化カドミウム等を用いた感光体と比較すると安全上の問題がない、といった長所を有している。しかしながら有機感光体は、セレンや硫化カドミウム等を用いた感光体と比較して硬度が小さいために、画像形成装置において繰り返し使用されることによりクリーニング部材や現像剤等との摩擦による摩耗が問題となっている。感光体が摩耗すると、短寿命で短いサイクルで交換が必要となるという問題が生じたり、摩擦による表面の粗さの増大により滑りが悪くなる等の問題が生じるおそれがある。
このような問題を解決するために、有機感光体上に、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)や非晶質窒化炭素(CN)、非晶質窒化珪素のような硬質な膜を表面保護層として形成することが行われている(例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。
しかしながら、有機感光体と大きく硬度が異なるこのような表面保護層を有機感光体の上に直接形成すると、その硬度差に起因してヒビ割れやクラック、剥がれといった問題が発生することがある。
また、非晶質シリコンを用いた感光体や、DLCなどの表面保護層を有する有機感光体のような表面耐磨耗性に優れる感光体では、特に高湿環境下での繰り返し使用において、感光体表面の付着物のために感光体表面の低抵抗化が生じ、形成される画像にボケや濃度低下が生じる。
これは、感光体表面に付着した放電生成物と、空気中の水分とが反応し、表面の電気抵抗が低下することに起因すると考えられている。通常の有機感光体では、感光体自身が磨耗することによって放電生成物等の付着物が除去されるために、このようなことは問題となりにくい。しかしながら、有機感光体に硬質な表面層を設けることによってこのような問題が発生することがある。
ここで、高分子材料表面をプラズマに曝すと、高分子材料表面に架橋構造が形成され、プラズマに曝された表面が改質することが知られている。具体的には、HeやNe等の不活性ガスや窒素、酸素、水素などのさまざまなガスのプラズマを用いた処理がこれまでに行われている。そこで得られる効果とその程度は、ガスの種類等のプラズマ処理条件によって異なるが、主には接着性、親水性など表面特性の変化が挙げられる。また、プラズマ処理によって架橋構造が形成され、高分子材料の表面硬度が向上することも報告されている。
例えばオルガノシリコーンガスのプラズマで高分子材料の表面処理を施すと、ビッカーズ強度が10倍から30倍向上し、同時に表面抵抗が低下し、帯電防止効果があることが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
電子写真有機感光体をプラズマ処理した例としては、これまでにフッ素化合物ガスのプラズマにより撥水性を得るための表面処理(特許文献4参照)、表面被覆層を成膜するときに膜の接着性を向上させるための成膜表面処理などがある。しかしながら、プラズマ処理による電子写真感光体の耐磨耗性向上といったことは行われていなかった。これは、有機感光体をプラズマに直接曝すと電荷発生物質や電荷輸送物質等の劣化による感光体特性の低下が起こりえることから、むしろ特許文献5のように有機感光体を直接プラズマに曝すことを避ける例がある。
特開平9−101625号公報 特開2003−27238号公報 特開昭58−80647号公報 特開昭62−280754号公報 特開平1−133063号公報 高分子学会高分子表面研究会編、高分子表面技術、p.213、日刊工業新聞社
有機感光体の表面をプラズマ処理によって改質、硬化させて耐磨耗性向上させるためには、電子写真プロセスにおけるクリーニング部材、現像剤等との摩擦に耐え得る硬度、膜厚を有する改質層を得ることが必要である。しかし、窒素のプラズマによって処理された有機感光体は電子写真プロセスにおいて容易に磨耗し、耐磨耗性の向上の効果は得られない。また、先に述べたように、プラズマ処理により帯電が得られなくなる、電荷発生物質や電荷輸送物質が劣化する、などの電子写真感光体としての特性低下が起こらない処理方法を見出すことが必要である。また、電子写真感光体として使用したときに潤滑性に優れたもの、すなわちクリーニング部材などとの摩擦抵抗が小さいものであることも重要である。
本発明は、耐磨耗性に優れた電子写真感光体、及びこれを用いたプロセスカートリッジ、並びに画像形成装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、ポリカーボネートを含む有機感光体表面を水素、または水素と窒素の混合ガスのプラズマにより表面処理することによって電子写真感光体としての特性を低下させずに耐磨耗性に優れた電子写真感光体を得られることを見出した。
すなわち本発明は、導電性基体上に有機感光層を設けた電子写真感光体であって、前記有機感光層の最表面が、少なくともポリカーボネートを含有し、前記有機感光層の前記最表面が、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理されてなり、前記電子写真感光体の最表面が前記プラズマにより表面処理されてなる前記有機感光層の前記最表面であることを特徴とする電子写真感光体である。
なお、上記有機感光層が厚み方向に向かって複数層で構成される場合には、複数層の内の少なくとも最表面層に、ポリカーボネートが含有される
本発明のプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくとも1つと、を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、前記電子写真感光体が、本発明の電子写真感光体であることを特徴としている。
また、本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を有する画像形成装置であって、前記電子写真感光体が、本発明の電子写真感光体であることを特徴としている。
以上に説明したように、本発明の電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置によれば、耐磨耗性に優れた電子写真感光体、及びこれを用いたプロセスカートリッジ、並びに画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体(以下、「感光体」という場合がある)は、導電性基体上に少なくともポリカーボネートを含有する有機感光層を設けた電子写真感光体であって、前記有機感光層の最表面が、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理されてなることを特徴としている。
電子写真感光体の有機感光層の最表面は、耐磨耗性や、傷の発生を防止し、放電生成物の付着を防止する上で最も重要な部分である。
本発明における電子写真感光体は、少なくともポリカーボネートを含有する有機感光層の最表面が水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理されることにより得られる。
なお、上記「最表面」とは、有機感光層の一部であって、有機感光層の一部が改質されたものであり、有機感光層表面からの深さが少なくとも数μmの範囲内(具体的には、表面から0.01〜 3.0μm程度の範囲)の極薄い層を意味し、実質的にはXPS(X線光電子分光法)により固体表面を測定した際の、深さ方向の測定範囲に相当する部分の層を意味する。また、前記最表面は、有機感光層の表面から深さ方向に0.01μm以上の厚みを有していることが好ましく、0.05μm以上の厚みを有していることが更に好ましい。3μm以上で改質された最表面が存在する場合、感度や残留電位、繰り返しなどの電気特性が不良となる。
また、本発明における最表面は、塗布膜や堆積膜のような明確な界面を有する層ではなく、後述の顕微鏡写真で示すように、表面から一定の範囲において元素組成が変化している部分をいう。
なお、下記では、この「最表面」を、適宜「改質層」と称して説明する。
少なくともポリカーボネートを含有する有機感光層の最表面が、水素、または水素と窒素との混合気体のプラズマで表面処理されると、この表面処理された最表面(改質層)は、プラズマ処理が施されていない最表面と比べて、赤外吸収スペクトルにおいてカーボネート結合による1770cm−1付近にピークを示す吸収が減少し、1650cm−1〜1750cm−1にかけては吸収が増加する。これは有機感光層の最表面におけるカーボネート結合が切れて、架橋構造が形成されたことによる変化であると考えられる。
このようなスペクトルの測定は、好ましくは全反射法(赤外吸収スペクトルATR法)が用いられる。ATR法は表面状態に対して高感度であるため、ATR法によればこのような表面の化学結合変化を感度良く検出できる。
このように、電子写真感光体の有機感光層の最表面が上記水素または水素と窒素とを含む気体のプラズマにより表面処理されることにより、この有機感光層に含まれるポリカーボネート結合が切れて架橋構造が形成されることにより、有機感光層の最表面が硬質化された改質層となる。
従って、本発明の電子写真感光体は、表面の耐磨耗性に優れている。
また、本発明の電子写真感光体のプラズマにより表面処理された最表面は、有機感光層の一部が改質した領域であるため、導電性基体、及び有機感光層の非改質領域との接着性に優れ、剥離するといった問題がない。このため、電子写真方式の画像形成装置に搭載されることでクリーニングシステムや転写システムなどによる摺擦されても剥離などが起こらず、また低摩擦表面が持続でき、最表面の放電生成物の付着も抑制できるため、画像欠陥の発生も抑制できる。さらに、機械的耐久性にも優れることから、これらの特性を長期に渡って高いレベルで維持することが容易である。
有機感光層の最表面を、水素、または水素と窒素との混合気体のプラズマにより表面処理すると、有機感光層の最表面(改質層)における、表面処理前に対する表面処理後の酸素元素含有量が0.1〜20原子%増加し、より好ましくは1〜15原子%増加する。
酸素含有量の増加量が0.1原子%未満では、架橋構造を十分に構築することができないため、電荷輸送層等の表面部分(最表面)の十分な硬質化が得られない場合がある。また、含有量の増加量が20原子%を超えると、電荷輸送層の電荷輸送特性が低下する場合がある。なお、最表面の厚み方向における酸素元素の濃度分布は、均一でも不均一でもよい。
感光層の最表面における、酸素元素等の含有量は、XPS(X線光電子分光法)により求めることができる。
具体的には、例えば、日本電子社製JPS9010MXを用い、X線ソースにはMgKαを用い、10kV,20mAで照射した。光電子の測定は1eVのステップで行い、元素量としてはフッ素元素及び窒素元素は1sスペクトルを測定し、スペトクルの面積強度と感度因子とにより元素量を求めた。なお、測定前にArイオンエッチングを500Vで10s程度行った。
また、感光体表面における各元素の含有量については、XPSのほかに二次電子質量分析法やラザフォードバックスキャタリング法などを用いることができる。
そして、前記窒素元素やフッ素元素含有量の表面処理後の増加量は、表面処理した感光体については、感光層表面から約5μm程度を研磨剤を用いて研磨すること等により削り取り、削り取り前後の表面の前記XPS分析結果から求めることができる。
本発明の電子写真感光体においては、電子写真感光体の最表面が前記プラズマにより表面処理されてなる前記有機感光層の前記最表面である。一方、参考例の電子写真感光体においては、上記表面処理された有機感光層上には、表面被覆層が積層されてなることが好ましい。水素、または水素と窒素との混合ガスのプラズマ処理によって有機感光層の一部が改質、硬化した改質層は耐摩耗性に優れているが、さらにこの改質層より硬度の高い表面被覆層を形成することによって、耐摩耗性のさらなる向上を図ることができる。
このように、水素、または水素と窒素との混合ガスのプラズマ処理によって硬化した改質層を成長表面として、この硬化した改質層上に、該改質層より硬質な表面被覆層を設けることにより、有機感光層の未改質領域から改質層、表面被覆層へと段階的または連続的に硬度が上昇することから、有機感光層と表面被覆層との硬度差に起因する剥離、クラックなどの問題を改善することができる。
この表面被覆層は、撥水性が高く、その高い撥水性を電子写真感光体として繰り返し使用しても長期に渡って維持できることが望ましい。このような特性を有することにより、この表面被覆層を有する電子写真感光体を電子写真方式の画像形成装置に搭載して高湿環境下において繰り返し使用した場合であっても、高解像度の画像を得ることが可能となる。
さらに、この表面被覆層は、この表面被覆層を有する電子写真感光体を電子写真方式の画像形成装置に搭載したときに、潤滑性に優れていることが好ましい。このような特性を有することにより、クリーニング部材等との摩擦抵抗を抑制することができる。
上記特性を満たすために、表面被覆層は、周期律表における13族元素と、窒素と、を含むことが好ましい。なかでも、13族元素としてGa及びAlの何れか一方または双方を含む薄膜として構成された表面被覆層は、不純物添加などにより電気伝導特性が制御可能であること、化学的な安定性が高いこと、硬度が大きく耐磨耗性に優れており且つこれらを自然酸化などにより酸化した表面の撥水性が高く、その撥水性が低下せず、さらに電子写真感光体として用いたときに潤滑性に優れていることから好ましい。
このような、13族元素と、窒素と、を含む表面被覆層は、大気中に放置された後、あるいは電子写真感光体としての使用を続けた後であっても、良好な撥水性を示す。また、電子写真感光体として用いたとき、初期の特性としては、表面被覆層が設けられていない有機感光体と比べて潤滑性が劣るが、繰り返し使用するうちに、飛躍的に潤滑性が向上する。
なお、この表面被覆層の層厚は、0.01μm〜3.0μmであることが好ましく、0.05μm〜0.5μmであることがより好ましい。
表面被覆層の層厚が0.01μm以下であると、耐磨耗性の向上が得られないと言う問題があり、3.0μm以上であると、感度や残留電位、繰り返しなどの電気特性が不良となる。
以下、まず本発明の電子写真感光体の構成について説明する。
本発明の感光体は、その構成が導電性基体上に有機感光層を含む感光層が設けられてなるものであれば特に限定されず、有機感光層と導電性基体との間に必要に応じて下引層を設けてもよい。また、有機感光層は、2層以上であってもよく、更に、機能分離型であってもよい。以下、本発明の感光体の層構成の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図1は、本発明の電子写真感光体10の層構成の一例を示す模式断面図である。電子写真感光体10は、導電性基体12上に、下引層14、及び有機感光層17が積層されて構成されている。
有機感光層17は、電荷発生層16上に電荷輸送層18が積層されて構成されており、この電荷輸送層18の最表面(有機感光層17の最表面)が、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理された改質層18Aとして機能する。
なお、図1では、本発明の電子写真感光体10は、導電性基体12上に、下引層14、及び有機感光層17が積層されて構成される場合を説明したが、導電性基体12上に直接有機感光層17が積層されて構成されていてもよく、また、導電性基体12上に、図1に示す電荷発生層16及び電荷輸送層18の機能が一体となった有機感光層が設けられた構成であってもよい。そして、本発明においては、図1に示す有機感光層17と、電荷発生層16と電荷輸送層18とが一体となった有機感光層(図示省略)と、必要に応じて設けられる下引層14と、を併せたものを感光層と称して説明する。
また、図1では、有機感光層17は、電荷発生層16上に電荷輸送層18が積層されて構成される場合を示したが、電荷輸送層18上に電荷発生層16が積層された構成であってもよい。この場合には、電荷発生層16の最表面が改質層18Aとして機能する。
なお、図2に示すように、参考例の電子写真感光体11は、図1に示す有機感光層17上に更に表面被覆層20が積層されて構成されていることが好ましい。
本発明の電子写真感光体は、電荷輸送層18の表面、すなわち有機感光層17の表面を、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理することにより作製されるが、まず、この表面処理について説明する。
(表面処理)
有機感光層の表面処理に際しては、直流、交流、高周波、マイクロ波プラズマ等を用いることができる。装置は平行平板型電極や円筒型電極のプラズマCVD装置やリモートプラズマ装置などを用いることができる。以下、表面処理に用いる装置の図面を示しつつ具体例を挙げて説明する。
図3は、本発明の有機感光体の表面処理に用いる表面処理装置の一例を示す概略模式図である。
表面処理装置30は、真空排気される真空チャンバー32を含んで構成されている。
真空チャンバー32の内部には、表面処理が未だなされていない状態の電子写真感光体(以下、未処理感光体と称する)50を、未処理感光体50の長尺方向を回転軸方向として回転可能に支持する支持部材46が設けられている。支持部材46は、支持部材46を支持するための支持軸52を介してモータ48に接続されており、モータ48の駆動力を、支持軸52を介して支持部材46へ伝達可能に構成されている。
支持部材46に、未処理感光体50が保持された後に、モータ48が駆動することにより、モータ48の駆動力が支持軸52及び支持部材46を介して未処理感光体50に伝達されると、未処理感光体50は、長尺方向を回転軸方向として回転する。
真空チャンバー32の一端には、真空チャンバー32内のガスを排気するための排気管42が設けられている。排気管42の一端は、真空チャンバー32の開口42Aを介して真空チャンバー32の内部に連通して設けられ、他端は、真空排気装置44に接続されている。真空排気装置44は、1つ、または複数の真空ポンプからなるが、必要に応じてコンダクタンスバルブなどの排気速度を調整する機構を備えていてもよい。
真空排気装置44の駆動によって、排気管42を介して真空チャンバー32内の空気が排気されると、真空チャンバー32の内部は所定の圧力まで減圧される。なお、この所定の圧力とは、詳細は後述するが、真空チャンバー32内においてプラズマを発生可能な程度の圧力であればよく、ガスの種類、供給する電力と電源の周波数にも依存するが、具体的には、1Pa〜200Paである事が好ましい。
真空チャンバー32の内部に設置された未処理感光体50の近傍には、放電電極54が設けられている。放電電極54は、マッチングボックス56を介して高周波電源58に電気的に接続されている。高周波電源58としては、交流電源を用いることができるが、効率的にガスを励起できることから交流の高周波電源を用いることが好ましい。
放電電極54は、板状であって、放電電極54の長尺方向は、未処理感光体50の回転軸方向(長尺方向)と同一となるように設けられ、且つ未処理感光体50の外周面から所定距離離間されて設けられている。放電電極54は、中空状(空洞構造)で放電面にプラズマを生成するガスを供給するための1つまたは複数の開口34Aを有するものである。 放電電極54が空洞構造でなく放電面に開口34Aが無いものである場合、プラズマを生成するガスは別に設けられたガス供給口から供給され未処理感光体50と放電電極54との間を通過するようにした構成でもよい。また、放電電極54と真空チャンバー32との間で放電が起こらないように、未処理感光体50と対向している面以外の電極面が約3mm以下程度のクリアランスを有してアースされた部材により覆われていることが好適である。
高周波電源58からマッチングボックス56を介して放電電極54へ高周波電力が供給されると、放電電極54による放電が行われる。
真空チャンバー32内の、放電電極54を介して未処理感光体50に対向する領域には、中空構造の放電電極54内部を介して真空チャンバー32内の未処理感光体50に向かってガスを供給するためのガス供給管34が設けられている。
ガス供給管34の一端は、放電電極54内に連通(すなわち、放電電極54及び開口34Aを介して真空チャンバー32内に連通)しており、他端は、ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、ガス供給装置41C各々に接続されている。
ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々は、ガス供給量を調整するためのMFC(マスフローコントローラー)36、圧力調整器38、及びガス供給源40を含んで構成されている。各ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々のガス供給源40は、ガス供給管34の上記他端に、圧力調整器38及びMFC36を介して接続されている。
ガス供給源40内のガスは、圧力調整器38によって供給圧を調整され、且つMFC36によってガス供給量を調整されつつ、ガス供給管34、放電電極54、及び開口34Aを介して、真空チャンバー32内の未処理感光体50へ向かって供給される。
なお、上記ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々に含まれるガス供給源40に充填されているガスの種類は、同一種類であってもよいが、複数のガスを用いて処理を行う場合には、互いに異なる種類のガスを充填したガス供給源40を用いても良い。この場合には、互いに異なる種類のガスが、ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々のガス供給源40からガス供給管34に供給されて合流された混合ガスを、放電電極54及び開口34Aを介して真空チャンバー32内の未処理感光体50へ向かって供給することができる。
なお、図3に示す一例では、放電電極54による放電方式は、容量型である場合を説明するが、誘導型であってもよい。
表面処理は、例えば、以下のように実施することができる。まず、真空排気装置44によって真空チャンバー32内が所定の圧力まで減圧された状態で、マッチングボックス56を介して高周波電源58から放電電極54に高周波電力を供給すると共に、Hガス、またはNとHを含む混合ガスをガス供給管34から真空チャンバー32内へと導入する。このとき、放電電極54の放電面側から排気管42による開口42A側へと放射状に広がるように、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマが形成される。
なお、上記プラズマ形成時の真空チャンバー32内の圧力は、1〜500Paであることが好ましい。
本発明においては、真空チャンバー32内に水素ガスと窒素ガスとの混合ガスを供給する場合には、この混合ガスの真空チャンバー32内での混合比(窒素ガス/水素ガス)は、100以下とすることが好ましい。また、真空チャンバー32内に水素ガス、または水素及び窒素を含む混合ガスの何れを供給する場合においても、真空チャンバー32への全体のガス流量は、処理速度の観点から10sccm以上の範囲とすることが好ましい。
表面処理時の未処理感光体50表面の温度は特に限定されないが、0℃以上〜150℃以下の範囲で処理を行うことが好ましい。また、表面処理を行う場合において、未処理感光体50表面の温度は、100℃以下とすることがよりより好ましい。さらに、未処理感光体50温度が150℃以下であっても、プラズマの影響で表面が150℃より高くなる場合には有機感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、このような影響を考慮して未処理感光体50温度を設定することが好ましい。
なお、未処理感光体50の温度は図示していない方法で制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。未処理感光体50を加熱する場合にはヒータを未処理感光体50の外側や内側に設置しても良い。未処理感光体50を冷却する場合には未処理感光体50の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
放電による未処理感光体50の温度上昇を避けたい場合には、未処理感光体50表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整すればよい。
図3に示す表面処理装置30のプラズマ発生方法は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いたり、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でも良い。
本発明においては、放電電極54、高周波電源58、マッチングボックス56、ガス供給管34、MFC36、圧力調整器38、及びガス供給源40をプラズマ発生装置として用いており、このプラズマ発生装置を1組用いているが、このプラズマ発生装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。さらに、円筒型の未処理感光体50を取り囲むようにした円筒型電極を有する容量結合型のプラズマCVD装置を用いても良いし、平行平板電極と未処理感光体50との間で放電を起こすものでも良い。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起できるようにする必要がある。また、放電する領域と、表面処理する領域(未処理感光体50が設置された部分)とに圧力差を設けても良い。これらの装置は、処理装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も未処理感光体50の処理面に対向するように配置してもよい。
本発明においては、例えば高周波放電により放電する場合、硬質で低表面エネルギーの改質層とするために、周波数としては、10kHz〜50MHzの範囲とすることが好ましい。また、出力は表面処理対象となる未処理感光体の面積に依存するが10W〜2000Wの範囲とすることが好ましく、さらに、処理時間は所望の改質度にもよるが1分間〜60分間の範囲とすることが好ましい。
なお、上記出力は、真空チャンバー32内に設置された表面処理対象となる未処理感光体50表面1cm辺り10W時以下とすることが好ましい。10W時以下とすることにより、プラズマ処理により、有機感光層中に含まれる電荷発生物質や電荷輸送物質などが劣化することを抑制することができる。また、水素ガス、または水素と窒素との混合ガスを用いたプラズマ処理においては、このような電力量で有機感光層の特性低下を抑制しつつ、且つ十分な硬質化を図ることができる。1cm辺り10W時以上の電力量で処理を行うと、感光体としての特性が劣化し画質劣化が発生することがある。
また、放電は大気圧近傍で行っても良い。ここで、該大気圧近傍とは70000〜110000Paの範囲を意味する。なおこの場合には、希ガスとしてHe、Arガスを水素と混合して用い放電を行うと、放電の安定化が得易くなる。
以上述べたような、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマによる表面処理が未処理感光体50に行われることにより、有機感光層17の最表面が改質されて硬質化された改質層を有する、本発明の電子写真感光体10を作製することができる。
このような最表面に改質層を有する感光体は、硬質で耐磨耗性に優れるため、繰り返し使用したときにも平坦な表面を維持することができ、その結果クリーニングブレードなどに対してすべり性が高く低摩擦である。
上記撥水性は、水の接触角で測定することができ、本発明の感光体表面の接触角は40度以上の範囲とすることが好ましく、70度以上の範囲とすることがより好ましい。
上記表面の水接触角は、接触角計(協和界面科学(株)製:CA−X)を用い、25℃、50%RHの環境下で、純水を円筒状芯体の各部表面に約3.1μl滴下し、15秒後の接触角を求めた。なお、測定は端部、中央部で周方向に4点測定し、これらの平均値を接触角とした。
なお、本明細書における「水接触角」は、25℃における蒸留水の接触角である。
電子写真感光体の25℃における蒸留水の接触角の測定方法について図4を用いて説明する。図4は、電子写真感光体表面の25℃における蒸留水の接触角の測定方法を説明するための図であり、電子写真感光体10または電子写真感光体11表面に蒸留水を滴下した状態を表す断面図を示す。図4に示すように電子写真感光体10または電子写真感光体11表面に液滴の一部がかかるようにして、蒸留水を電子写真感光体10または電子写真感光体11上に滴下する。この液滴について光学顕微鏡写真を撮影して、該写真から電子写真感光体10または電子写真感光体11上面部分の25℃における蒸留水の接触角θを求めることができる。
(導電性基体、有機感光層、及び表面被覆層)
次に、本発明の電子写真感光体を構成する導電性基体および有機感光層の詳細や、必要に応じて設けられる下引層や、上記表面処理の施された有機感光層上に設けられる表面被覆層の詳細について、本発明の電子写真感光体が機能分離型の有機感光層を有する有機感光体である場合について説明する。
導電性基体12としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体12の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体12として金属製パイプ基体を用いる場合、該金属製パイプ基体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基体表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラを防止することができる。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウェットホーニング等が挙げられる。
特に、有機感光層17との密着性向上や成膜性向上の点で、以下のようにアルミニウム基体の表面に陽極酸化処理を施したものを導電性基体12として用いることが好ましい。
以下、表面に陽極酸化処理を施した導電性基体12の製造方法について説明する。
まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10〜20質量%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
このようにしてアルミニウム基体上に成膜された陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高く、表面が非常に不安定であるため、皮膜形成後にその物性値が経時的に変化しやすくなっている。この物性値の変化を防止するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが行われる。封孔処理の方法には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。これらの方法のうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最もよく用いられる。
このようにして封孔処理が行われた陽極酸化皮膜の表面には、封孔処理により付着した金属塩等が過剰に残留している。このような金属塩等が基体の陽極酸化皮膜上に過剰に残存すると、陽極酸化皮膜上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまう傾向にあるため、この基体を感光体に用いて画像を形成した場合に地汚れの発生原因になる。
そこで、封孔処理に引き続き、封孔処理により付着した金属塩等を除去するために陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。洗浄処理は純水により基体の洗浄を1回行うことでも構わないが、多段階の洗浄工程により基体の洗浄を行うのが好ましい。この際、最終の洗浄工程における洗浄液としては、可能な限りきれいな(脱イオンされた)洗浄液が用いられる。また、多段階の洗浄工程のうち、いずれか1工程において、ブラシ等の接触部材を用いた物理的なこすり洗浄を施すことがよりさらに好ましい。
以上のようにして形成される導電性基体12表面の陽極酸化皮膜の膜厚は、3〜15μm程度の範囲内であることが好ましい。陽極酸化皮膜上には多孔質陽極酸化膜のポーラスな形状の極表面に沿ってバリア層といわれる層が存在する。バリア層の膜厚は、本発明の感光体においては1〜100nmの範囲内であることが好ましい。以上のようにして、陽極酸化処理された導電性基体12を得ることができる。
このように得られた導電性基体12は、陽極酸化処理により基体上に成膜された陽極酸化皮膜が高いキャリアブロッキング性を有している。そのため、この導電性基体を用いた感光体を画像形成装置に装着して反転現像(ネガ・ポジ現像)を行う場合に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止することができるとともに、接触帯電時に生じやすい接触帯電器からの電流リーク現象を防止することができる。また、陽極酸化皮膜に封孔処理を施すことにより、陽極酸化皮膜の作製後における物性値の経時変化を防止することができる。また、封孔処理後に導電性基体の洗浄を行うことにより、封孔処理により導電性基体表面に付着した金属塩等を除去することができ、この導電性基体12を用いて作製した感光体を備えた画像形成装置により画像を形成した場合に地汚れの発生を十分に防止することができる。
次に、必要に応じて、導電性基体12上に設けられる下引層14について説明する。
下引層14を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独または2種以上を混合したり、さらに後述する結着樹脂と混合して用いることが可能である。
有機シリコン化合物(シリコン原子を含有する有機金属化合物)としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が好ましく使用される。
有機ジルコニウム化合物(ジルコニウムを含有する有機金属化合物)としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物(チタンを含有する有機金属化合物)としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(アルミニウムを含有する有機金属化合物)としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
また、下引層14を形成するための下引層形成用塗布液に用いる溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお2種以上の溶媒を混合する場合に使用できる溶媒としては、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば、いかなるものでも使用することができる。
下引層14の形成は、まず、下引層用塗布剤および溶媒を分散及び混合して調合された下引層形成用塗布液を用意し、導電性基体表面に塗布することにより行う。下引層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、リング塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。下引層を形成する場合には、その膜厚は0.1〜3μmの範囲内となるように形成することが好ましい。下引層の膜厚をこのような膜厚範囲内とすることにより、電気的な障壁を過剰に強くすることなく減感及び繰り返しによる電位の上昇を防止することができる。
このようにして導電性基体上に下引層14を形成することにより、下引層上に形成される層を塗布形成する際の濡れ性の改善を図ることができるとともに、電気的なブロッキング層としての機能を十分に果たすことができる。
上記により形成された下引層14の表面粗さは、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)倍(但し、nは下引層よりも外周側に設けられる層の屈折率)〜1倍程度の範囲内の粗度を有するように調整することが可能である。表面粗さの調整は、下引層形成用塗布液中に樹脂粒子を添加することにより行われる。これにより下引層の表面粗さを調整して作製した感光体を画像形成装置に用いた場合に、レーザ光源による干渉縞像をより十分に防止することができる。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウェットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
また、下引層形成用塗布液に、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を加えることも好ましい。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウムキレート化合物の具体例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの添加物は、単独で用いることもできるが、複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることもできる。
また、上述した下引層形成用塗布液には、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させておくことが好ましい。電子受容性物質の具体例としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体がより好ましく用いられる。これにより、感光層における光感度の向上や残留電位の低減を図るとともに、繰り返し使用した場合の光感度の劣化を低減することができ、下引層14に電子受容性物質を含む感光体を備えた画像形成装置により形成したトナー像の濃度ムラを十分に防止することができる。
また、上述した下引層用塗布剤の代わりに、下記のような分散型下引層用塗布剤を用いることも好ましい。これにより、適度に下引層14の抵抗値を調整することにより残留電荷の蓄積を防ぐことができるとともに、下引層14の膜厚をより厚くすることが可能となるため感光体の耐リーク性、とくに接触帯電時のリークの防止を図ることができる。
この分散型下引層用塗布剤としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散したものが挙げられる。導電性金属酸化物としては、平均1次粒径0.5μm以下の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。平均1次粒径が大きすぎる場合には局部的な導電路形成を起こしやすく、電流のリークが発生しやすく、その結果かぶりの発生や帯電器からの大電流のリークが生じる場合がある。下引層14はリーク耐性の向上のために適切な抵抗値に調整されることが必要である。そのため、上述の金属酸化物微粒子は、10〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有することが好ましい。
なお、上記範囲の下限よりも金属酸化物微粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こす場合ある。従って、中でも上記の範囲内の抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子がより好ましく用いられる。また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物微粒子にカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体の抵抗を制御することができる。この際使用可能なカップリング剤としては上述の下引層形成用塗布液と同様の材料を用いることができる。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して用いることもできる。
この金属酸化物微粒子の表面処理においては、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物微粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物微粒子表面に均一にカップリング剤を吸着させることができる。次に、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物微粒子と堅固な化学反応を起こさせることができる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法を用いる場合においては、乾式法と同様に、まず、金属酸化物微粒子の表面吸着水を除去する。この表面吸着水を除去する方法として、乾式法と同様の加熱乾燥の他に、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等が実施できる。次に、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、カップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に処理される。溶剤除去した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
金属酸化物微粒子に対する表面処理剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であることが必須である。電子写真特性は表面処理後に金属酸化物微粒子に表面処理剤が付着している量によって影響される。シランカップリング剤の場合、その付着量は蛍光X線分析により測定される(シランカップリング剤に起因する)Si強度と、使用されている金属酸化物の主たる金属元素強度とから求められる。この蛍光X線分析により測定されるSi強度は用いられる金属酸化物の主たる金属元素強度の1.0×10−5〜1.0×10−3倍の範囲であることが好ましい。この範囲を下回った場合、かぶりなどの画質欠陥が発生しやすく、この範囲を上回った場合、残留電位の上昇による濃度低下が発生しやすくなる場合がある。
分散型下引層用塗布剤に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
上述した方法により表面処理された金属酸化物微粒子を結着樹脂に分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が用いた方法が挙げられる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層14を形成する方法と同様に行うことができる。
−有機感光層−
有機感光層17を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでも良い。
ここで、上述したように、有機感光層17は、図1に示すように電荷発生層16と電荷輸送層18に分かれた機能分離型でも良いし、機能一体型であってもよい。機能分離型の場合には電子写真感光体の表面側に電荷発生層を設けたものでも良いし、表面側に電荷輸送層を設けたものでも良い。
なお、本発明においては、有機感光層17が機能一体型である場合には、有機感光層17は、結着樹脂として、少なくともポリカーボネートを含むことが必須である。また、本発明において、有機感光層17が機能分離型(電荷発生層16と電荷輸送層18とにより構成)の場合には、有機感光層17のより表面側に位置する層に、結着樹脂として、少なくともポリカーボネートを含むことが必須である。
有機感光層17が機能一体型である場合におけるポリカーボネートの含有量は、有機感光層17を構成する材料の全固形分に対して10重量%〜90重量%であることが必須であり、40重量%〜80重量%であることが好ましい。
有機感光層17を構成する材料の全固形分に対するポリカーボネートの含有量が10重量%未満であると、十分な耐磨耗性が得られないと言う問題があり、90重量%以上であると、十分な電荷発生および電荷輸送特性が得られないと言う問題がある。
また、有機感光層17が機能分離型であり、複数層により構成される場合には、この複数層の内の、少なくとも最も最表面に位置する層を構成する材料の全固形分に対するポリカーボネートの含有量が、10重量%〜90重量%であることが必須であり、40重量%〜80重量%であることが好ましい。
該最表面に位置する層を構成する材料の全固形分に対するポリカーボネートの含有量が10重量%未満であると、十分な耐磨耗性が得られないと言う問題があり、90重量%以上であると、十分な電荷発生または電荷輸送特性が得られないと言う問題がある。
次に、有機感光層17について、電荷輸送層18と電荷発生層16とに分けて、この順に以下説明する。
電荷輸送層18に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層18に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、結着樹脂は、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものであることが望ましい。
この結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
これらの中では、本発明では電荷輸送層を表面側とする場合、表面処理による硬質化の効果がより有効に得られるという点で、ポリカーボネート樹脂を含んでいる。
電荷輸送層18に用いられる結着樹脂の分子量は、有機感光層17の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万の範囲内が好ましく、2万〜20万の範囲内がより好ましい。
また、前記電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲内が好ましい。
電荷輸送層18及び/または後述する電荷発生層16は、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤では、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
なお、有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われるもので、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより酸化防止効果を相乗的により高めることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
電荷輸送層18は、上記に示した電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の調整に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或るいは直鎖状エーテル等、あるいはこれ等の混合溶媒を用いることができる。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布は、感光体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度域で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
なお、電荷輸送層18の膜厚は一般に5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜40μmの範囲であることがより好ましい。
電荷発生層16は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が好ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアを発生させることができる。
更にフタロシアニン化合物の中でも、下記(1)〜(3)に示すようなフタロシアニンがより好ましい。すなわち、
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
これらのフタロシアニン化合物は、特に、光感度が高いだけでなく、その光感度の安定性も高いため、これらフタロシアニン化合物を含む感光層を有する感光体は、高速な画像形成及び繰り返し再現性が要求されるカラー画像形成装置の感光体として好適である。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度や位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
電荷発生層16に用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの中では、本発明では電荷発生層を表面側とする場合、表面処理による硬質化の効果がより有効に得られるという点で、ポリカーボネート樹脂を含んでいる。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、質量比で、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また電荷発生層16の厚みは、一般には0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく0.05〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。
また電荷発生層16は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
電荷発生層16を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。2種類以上の溶媒を混合して用いる場合には、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば使用することができる。但し、感光層が、導電性基体側から、電荷輸送層18と電荷発生層16とをこの順に形成した層構成を有する場合に、浸漬塗布のように下層を溶解しやすい塗布方法を利用して電荷発生層16を形成する際には、電荷輸送層等の下層を溶解しないような溶媒を用いることが望ましい。また、比較的下層の侵食性の少ないスプレー塗布法やリング塗布法を利用して電荷発生層16を形成する場合には溶媒の選択範囲を広げることができる。
−表面被覆層−
次に、表面処理された有機感光層17上に設けられる表面被覆層20について説明する。
プラズマ処理により最表面が硬質化した有機感光層17上、すなわち改質層18A上に、さらに表面被覆層20を形成する場合、表面被覆層20の硬度は、耐磨耗性の向上の観点から、有機感光層17の水素または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理された改質層18Aに比べて高いことが好ましいこのように有機感光層17、改質層18A、表面被覆層20の順で、段階的に硬度を上げることにより、有機感光層と表面被覆層との硬度差に起因する剥離、クラックなどの問題を改善することができる。
また、表面被覆層20の体積抵抗率は、10Ωcm以上、より好ましくは1010Ωcm以上であることが好ましい。
この体積抵抗率が10Ωcm未満である場合には、電荷が表面被覆層の面内で流れ、その結果画像流れが発生しやすくなり、高解像度の画像出力ができなくなると言う問題がある。
なお、この改質層18A及び表面被覆層20各々の体積抵抗率の測定は、円形電極(例えば、三菱油化(株)製ハイレスターIPのHRプローブ)を用い、JIS K6991に従って測定することができる。この体積抵抗率の測定方法を、図を用いて説明する
図5は、体積抵抗率の計測方法の一例を示す概略模式図であり、図5(a)は円形電極の一例を示す概略平面図であり、図5(b)は、図5(a)に示す円形電極の概略断面図である。
図5に示す円形電極は、第一電圧印加電極A’と板状絶縁体B’とを備える。第一電圧印加電極A’は、円柱状電極部C’と、円柱状電極部C’の外径よりも大きい内径を有し、且つ、円柱状電極部C’を一定の間隔で囲む円筒状のリング状電極部D’と、を備える。
体積抵抗率の測定は、第一電圧印加電極A’の円柱状電極部C’及びリング状電極部D’と、板状絶縁体B’と、の間に測定対象となる有機感光層T等を挟持した状態で、第一電圧印加電極Aの円柱状電極部Cとリング状電極部Dとの間に電圧V(V)を印可してから30秒後に流れる電流I(A)を測定することにより行う。
この際、下記式(3)により、感光体の体積抵抗率ρv(Ωcm)を算出することができる。ここで、下記式(3)中、tは、測定対象となる感光体Tの厚さを示す。
・式(3) ρv=19.6×(V/I)×t
上記表面被覆層20を構成する材料の具体例としては、ダイアモンドライクカーボン、窒化珪素、炭化珪素、窒化炭素、窒化ガリウム、窒化アルミ、酸化アルミ、酸化ガリウム、酸化亜鉛などが例として挙げられる。
表面被覆層20は、撥水性が高く、電子写真感光体として使用したときに潤滑性に優れる特性を有することがさらに好ましい。このような特性を有するために、窒化ガリウム、あるいは窒化アルミ薄膜を形成し、これらを自然酸化などにより表面酸化させたものを表面被覆層として用いたものが、電子写真感光体として使用したときに、撥水性やスベリを長期間維持できることから特に好ましい。また、これらの表面被覆層は微結晶、多結晶、あるいは非晶質のいずれであってもよい。
さらにこれらの表面被覆層には電気特性を制御することを目的として不純物が添加されていてもよい。たとえばSi、Ge、Snから選ばれる元素をドナーとして、またBe,Mg,Ca,Zn、Srから選ばれる元素をアクセプターとして添加することが可能である。また、これら表面被覆層には水素が含まれていても良い。水素は結合欠陥を終端することによって欠陥準位を電気的に不活性化する効果が期待できる。
この表面被覆層20は、一般公知の薄膜形成方法によって形成することができる。例を挙げると化学気相堆積法(CVD)、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシー法、真空蒸着法などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
なお、表面被覆層20として、窒化ガリウム、または窒化アルミからなる薄膜を形成する場合には、プラズマ有機金属化学堆積法を用いることが好ましい。これらのIII族窒化物薄膜は、有機金属化学堆積法、ハイドライドエピタキシー法、分子線エピタキシー法などによっても形成できる。しかしながら、有機金属化学堆積法、ハイドライドエピタキシー法、アンモニアガスを用いるガスソース分子線エピタキシー法などにおいては、分解、反応に300℃以上の高温を必要とする。本発明では電子写真感光体の熱変性をさけるために成膜温度は150℃以下であることが好ましく、このような低温での膜形成が可能であるプラズマ有機金属化学堆積法やプラズマ分子線エピタキシー法などを用いて、窒素やアンモニアのプラズマにより生成する活性窒素を用いた手段により表面被覆層20としての膜形成を行うことが好ましい。
このうちプラズマCVDは、分子線エピタキシー法と比べると、大面積成膜が可能であること、低コストであることから好ましい。
(プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本発明の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本発明の画像形成装置は、本発明の電子写真感光体10または電子写真感光体11が搭載されている。
図6に示すように、本発明の画像形成装置82は、所定方向(図6中、矢印D方向)に回転する該電子写真感光体80を備えている。
電子写真感光体80の近傍には、電子写真感光体80の回転方向に沿って、帯電装置84、露光装置86、現像装置88、転写装置89、除電装置81、及びクリーニング部材87が設けられている。
帯電装置84は、電子写真感光体80の表面を所定電位に帯電する。露光装置86は、帯電装置84によって帯電された電子写真感光体80の表面を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置88は、静電潜像を現像するためのトナーを含む現像剤を予め貯留すると共に、貯留された現像剤を電子写真感光体80表面に供給することにより静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置89は、電子写真感光体80上に形成されたトナー像を、電子写真感光体80との間で記録媒体83を挟持搬送することにより、記録媒体83に転写する。記録媒体83に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体83表面に定着される。
除電装置81は、電子写真感光体80表面に付着した帯電されている付着物を除電する。クリーニング部材87は、電子写真感光体80の表面に接触するように設けられ、電子写真感光体80表面との摩擦力によって、表面の付着物を除去する。
なお、本発明の画像形成装置82は、各色のトナーに対応して電子写真感光体80を複数有するいわゆるタンデム機であってもよい。また、トナー像の記録媒体83転写は、電子写真感光体80表面に形成されたトナー像を中間転写体に転写した後に記録媒体に転写する、中間転写方式であってもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、画像形成装置82本体に対して着脱可能に設けられ、帯電装置84と、現像装置88と、クリーニング部材87と、除電装置81からなる群より選択される少なくとも一つとを一体に有して構成されている。
本発明のプロセスカートリッジや、本発明の画像形成装置82においては、電子写真プロセスにおいて繰り返し使用したときの耐磨耗性を向上させるに十分な硬度とその膜厚を有する表面を有する本発明の電子写真感光体を用いているため、長期に渡る使用においても、電子写真感光体表面の傷の発生や磨耗を抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<実施例1>
まず、以下に説明する手順により、導電性基体としてのAl基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部およびブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および、下記構造式(2)で表される高分子化合物(重量平均分子量 39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。


この塗布液を、浸漬法により電荷発生層上に塗布し、110℃で40分間加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体(以下、「未処理感光体」と称す場合がある)を得た。
―有機感光体のプラズマ表面処理―
このようにして得られた有機感光体の表面処理を、図3の表面処理装置30を用いて行った。
まず、未処理感光体を、真空チャンバー32内の支持部材46上に固定し、排気管42を介して真空排気装置44によって真空チャンバー32内を、圧力が1×10−2Paとなるまで真空排気した。次に、MFC36を介して真空チャンバー32内の未処理感光体に向かって水素ガスを3000sccm供給すると共にコンダクタンスバルブを調整することにより、真空チャンバー内の圧力を100Paとし、高周波電源58及びマッチングボックス56により、13.56MHzのラジオ波を出力600Wにセットし、チューナーでマッチングを取り放電電極54から放電を行った。
このときの反射波は0Wであった。
この状態で、未処理感光体を5rpmの速度で回転させながら40分間プラズマ暴露を行うことで表面処理して、有機感光層の最表面が改質された電子写真感光体を得た。このとき、未処理感光体表面の被処理電力量は0.5W時/1cm であった。
なお、表面処理に際しては、未処理感光体の加熱処理は行わなかった。
同様の条件で表面処理を行い合計2つの表面処理が施された感光体を作製し、1つは10万枚の画像出力試験を行わずにXPS、断面SEMによる初期状態の破壊試験に使用し、もう1つは10万枚の画像出力試験を行ったあとに断面SEM観察を行った。
―プラズマ処理による改質層の分析・評価―
上記表面処理を行っていない未処理感光体表面の元素組成を、XPS(X線光電子分光法)により測定し、表面処理を行った電子写真感光体表面についても同様にXPSにより表面の元素組成分析を行った。その結果、表面処理前に比べ表面処理後では、酸素元素が5原子%増加していることがわかった。
なお、これらの分析及び評価は、表面処理された上記電子写真感光体を支持部材46から外して真空チャンバー32外へと取り出した後、約24時間、室内の暗所にて保管した後に行った。
表面処理状態(断面観察)
次に、表面処理後の感光体を表面と垂直方向に切り出し、高分子樹脂で表面を覆い埋め込んだ後にミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM6340F、倍率:2万倍)で観察したところ、図11の写真に示すように、表面から深さ約0.20μmの範囲にプラズマで改質されたと思われる部分(最表面、改質層)が存在することが確認された。
このプラズマ処理された有機感光層の赤外吸収スペクトルを、日本電子社製IR7000を用いて全反射法(ATR法)により測定した。また、処理前の有機感光体(未処理感光体)についても測定を行った。
図7はプラズマによる表面処理前の有機感光体の赤外吸収スペクトルである。図8は水素ガスプラズマにより表面処理された有機感光体の赤外吸収スペクトルである。図7及び図8に示されるように、未処理感光体最表面において1772cm−1付近に現れていたカルボニル官能基由来の吸収、すなわちカーボネート結合による吸収ピークの吸収強度は、表面処理後においては減少していることが分かる。また、未処理感光体表面においては見られないが、表面処理後の有機感光層表面においては、3400cm−1付近にOH基由来の吸収ピーク、及び1600〜1750cm−1にC=O基またはCOOH基由来の吸収ピークが見られ、OH基、C=O基、及びCOOH基の生成を示唆する結果が得られた。
このことから、ポリカーボネートを含む有機感光層の最表面を水素のプラズマにより表面処理することにより、有機感光層の最表面に架橋構造が形成されたと考えることができる。
次に、この表面処理を行った電子写真感光体を、富士ゼロックス社製DocuCenter Colar 500用の感光体としてプロセスカートリッジに搭載し、これをDocuCenter Colar 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃、80%RH)下で、低解像度領域(1本/mm、面積被覆率50%)、及び高解像領域(10本/mm、面積被覆率50%)を含む画像を、A4サイズの用紙(富士ゼロックスオフィスサプライ社製、商品名:P紙)に連続10万枚形成するプリントテストを実施し、初期状態及び10万枚の画像形成後の各々におけるスベリ、画像欠陥、水に対する接触角を評価した。
なお、「上記初期状態」とは、上記A4サイズの用紙に上記画像を形成する処理を10枚行った直後の状態を示している。
また、上記「画像形成後」とは、上記A4サイズの用紙に上記画像を形成する処理を10万枚行った直後の状態を示している。
上記各特性は、以下のようにして測定及び評価した。
−スベリ評価−
富士ゼロックス社製、商品名:Docucenter Colar 500のクリーニングブレードを用いて、感光体表面を擦ったときの摩擦の大きさを、処理を行っていない有機感光体と比較することにより行い、以下の判断基準で評価した。
○:摩擦が使用前の有機感光体と同等かそれより小さい場合。
△:摩擦が10万枚プリント後の有機感光体と同等かそれより小さく、使用前の有機感光体より大きい場合。
×:摩擦が10万枚プリント後の有機感光体と同等かそれより大きい場合。
−画像評価−
上記A4サイズの用紙に形成された画像の画質について、以下の基準により評価した。
○:高解像度部、低解像度部とも解像できている場合。
△:高解像度部で解像できておらず、低解像度で解像できている場合。
×:高解像度部、低解像度部とも解像が得られていない場合。
「水接触角」の測定は、前記した「水接触角」の測定方法を用いて行った。
−摩耗量の評価−
摩耗量は、この10万枚画像形成後の感光体の断面SEM観察により表面改質層の厚さを測定し、プリントテストを行わずに測定した表面改質層の厚さと比較することにより行った。
○:磨耗量が0.00μm以上、0.05μm未満
△:磨耗量が0.05μm以上、0.10μm未満
×:磨耗量が0.10μm以上
これらの評価結果を表1に示す。
<実施例2>
表面処理時に、水素ガス3000sccmと窒素300sccmとの混合ガスを真空チャンバー32内に供給した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
―プラズマ処理による改質層の分析・評価―
上記表面処理を行っていない未処理感光体表面の元素組成を、XPS(X線光電子分光法)により測定し、表面処理を行った電子写真感光体表面についても同様にXPSにより表面の元素組成分析を行った。その結果、表面処理前に比べ表面処理後では、酸素元素が6原子%増加していることがわかった。
表面処理状態(断面観察)
実施例1と同様の方法で断面SEM観察を行ったところ、次に、表面処理後の感光体を表面と垂直方向に切り出し、高分子樹脂で表面を覆い埋め込んだ後にミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM6340F、倍率:2万倍)で観察したところ、表面から深さ約0.20μmの範囲にプラズマで改質されたと思われる部分(改質層、最表面)が存在することが確認された。
また、このプラズマ処理された有機感光層の赤外吸収スペクトルを、日本電子社製IR7000を用いて全反射法(ATR法)により測定した。また、処理前の有機感光体(未処理感光体)についても測定を行った。
図9はプラズマによる表面処理前の有機感光体の赤外吸収スペクトルであり、図8と同様に、未処理感光体に対する、プラズマ処理による変化が得られた。このことから、ポリカーボネートを含む有機感光層の最表面を水素のプラズマにより表面処理することにより、有機感光層の最表面に架橋構造が形成されたと考えることができる。
上記作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例3>
実施例1において得られた未処理感光体を、図3の表面処理装置30の真空チャンバー32内の支持部材46上に固定し、排気管42を介して真空排気装置44によって真空チャンバー32内を、圧力が1×10−2Paとなるまで真空排気した。次に、ガス供給管34から、MFC36を介して真空チャンバー32内の未処理感光体に向かって、水素ガスを3000sccm、窒素ガスを300sccm供給すると共にコンダクタンスバルブを調整することにより、真空チャンバー内の圧力を100Paとし、高周波電源58及びマッチングボックス56により、13.56MHzのラジオ波を出力600Wにセットし、チューナーでマッチングを取り放電電極54から放電を行った。
このときの反射波は0Wであった。
この状態で、未処理感光体を5rpmの速度で回転させながら40分間プラズマ暴露を行うことで、有機感光層の最表面が改質された電子写真感光体を得た。このとき、未処理感光体表面の被処理電力量は、0.5W時/1cm であった。
なお、表面処理に際しては、未処理感光体の加熱処理は行わなかった。
この状態で更に、有機感光層の最表面が改質された電子写真感光体を、続けて5rpmの速度で回転させながら、ガス供給管34から、MFC36を介して真空チャンバー32内の有機感光層の最表面が改質された電子写真感光体に向かって、水素ガス3000sccm、窒素ガス300sccm、水素希釈トリメチルガリウム5sccmを供給すると共にコンダクタンスバルブを調整することにより、真空チャンバー内の圧力を100Paとし、高周波電源58及びマッチングボックス56により、13.56MHzのラジオ波を出力600Wにセットし、チューナーでマッチングを取り放電電極54から放電した。このときの反射波は、0Wであった。これを1時間連続することにより、最表面が改質された有機感光層上に表面被覆層を形成した。
なお、この水素希釈トリメチルガリウムガスの供給は、0℃に保たれたトリメチルガリウムに、水素をキャリアガスとしてバブリングすることによって行った。
なお、この表面被覆層形成処理時には、表面被覆層未形成の電子写真感光体の加熱を行わなかった。
―表面被覆層の分析・評価―
表面被覆層の元素組成を、XPS(X線光電子分光法)により測定したところ、表面ではGa:N:O=42:8:50の組成を示し、表面から約50nmのエッチングしたところではGa:N:O=48:42:10の組成を示し、酸素を含んだ窒化ガリウム薄膜が形成されていることが分かった。
表面処理状態(断面観察)
次に、表面処理後の感光体を表面と垂直方向に切り出し、高分子樹脂で表面を覆い埋め込んだ後にミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM6340F、倍率:2万倍)で観察したところ、表面から深さ約0.21μmの範囲に表面被覆層と思われる領域が存在し、さらに、この表面被覆層から深さ約0.20μm(有機感光層の最表面)にプラズマで改質されたと思われる領域(改質層、最表面)が存在することが確認された。
さらに、表面被覆層が設けられた電子写真感光体の表面に対して、貼り付けた粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))をはがす剥離試験を行ったが、表面からの剥離物は全くなく、表面被覆層の有機感光層への接着性は良好であることが分かった。
また、表面クラックの有無を見るために、10万枚画像形成処理後の電子写真感光体表面を接眼レンズ5倍、対物レンズ10倍に設定した光学顕微鏡で表面を50倍拡大して観察したところ、表面クラックの発生は見られなかった。
上記作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
参考例4>
表面被覆層の形成時に、トリメチルガリウムガスに変えてトリメチルアルミニウムを用い水素希釈トリメチルアルミニウムを5sccm供給した以外は、参考例3と同様にして電子写真感光体を作製した。
なお、この水素希釈トリメチルアルミニウムガスの供給は、20℃に保たれたトリメチルアルミニウムに、水素をキャリアガスとしてバブリングすることによっ行った。
なお、この表面被覆層形成処理時には、表面被覆層未形成の電子写真感光体の加熱を行わなかった。
―表面被覆層の分析・評価―
表面被覆層の元素組成を、XPS(X線光電子分光法)により測定したところ、表面ではAl:N:O=39:10:51の組成を示し、表面から約50nmのエッチングしたところではAl:N:O=49:41:10の組成を示し、酸素を含んだ窒化アルミ薄膜が形成されていることが分かった。
表面処理状態(断面観察)
次に、表面処理後の感光体を表面と垂直方向に切り出し、高分子樹脂で表面を覆い埋め込んだ後にミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM6340F、倍率:2万倍)で観察したところ、表面から深さ約0.15μmの範囲に表面被覆層と思われる領域が存在し、さらに、この表面被覆層から深さ0.20μm(有機感光層の最表面)にプラズマで改質されたと思われる領域(改質層)が存在することが確認された。
さらに、表面被覆層が設けられた電子写真感光体の表面に対して、貼り付けた粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))をはがす剥離試験を行ったが、表面からの剥離物は全くなく、表面被覆層の有機感光層への接着性は良好であることが分かった。
また、表面クラックの有無を見るために、10万枚画像形成処理後の電子写真感光体表面を接眼レンズ5倍、対物レンズ10倍に設定した光学顕微鏡で表面を50倍拡大して観察したところ、表面クラックの発生は見られなかった。
上記作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1で作製した未処理感光体を、電子写真感光体として用い、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1で作製した未処理感光体に、真空チャンバー32内の放電電極54に向かって供給するガスとして水素ガスに替えて、窒素ガスを3000sccm供給した以外は、実施例1と同様にしてプラズマ表面処理を行い、電子写真感光体を得た。
この表面処理された上記電子写真感光体を支持部材46から外して真空チャンバー32外へと取り出し、このプラズマ処理された有機感光層の赤外吸収スペクトルを、日本電子社製IR7000を用いて全反射法(ATR法)により測定した。
図10は水素ガスプラズマにより表面処理された有機感光体の赤外吸収スペクトルである。図10に示されるように、3400cm−1付近にOH基に由来する吸収ピーク、及び1600〜1750cm−1にC=O基またはCOOH基に由来する吸収ピークが見られず、OH基、C=O基、及びCOOH基の生成を示唆する結果が得られなかった。
このことから、ポリカーボネートを含む有機感光層の最表面を窒素のみのプラズマにより表面処理した場合には、有機感光層の最表面に架橋構造の形成を示唆する結果は得られなかった。
<比較例3>
実施例1で作製した未処理感光体を、図3の表面処理装置30の真空チャンバー32内の支持部材46上に固定し、排気管42を介して真空排気装置44によって真空チャンバー32内を、圧力が1×10−2Paとなるまで真空排気した。次に、ガス供給管34から、MFC36を介して真空チャンバー32内の放電電極54に向かって、窒素ガスを3000sccm、水素希釈トリメチルガリウムガス5sccmを供給すると共にコンダクタンスバルブを調整することにより真空チャンバー内の圧力を100Paとし、高周波電源58及びマッチングボックス56により、13.56MHzのラジオ波を出力600Wにセットし、チューナーでマッチングを取り放電電極54から放電を行った。
このときの反射波は、0Wであった。
この状態で、未処理感光体を5rpmの速度で回転させながら1時間有機感光層上に表面被覆層を形成した。
なお、この表面被覆層形成処理時には、表面被覆層未形成の電子写真感光体の加熱を行わなかった。
―表面被覆層の分析・評価―
表面被覆層の元素組成を、XPS(X線光電子分光法)により測定したところ、表面ではGa:N:O=35:10:55の組成を示し、表面から約50nmのエッチングしたところではGa:N:O=41:31:28の組成を示し、酸素を含んだ窒化ガリウム薄膜が形成されていることが分かった。
さらに、表面被覆層が設けられた電子写真感光体の表面に対して、貼り付けた粘着テープ(ニチバン社製、商品名:セロテープ(登録商標))をはがす剥離試験を行ったところ、表面からの剥離物がみられた。
また、表面クラックの有無を見るために、10万枚画像形成処理後の電子写真感光体表面を接眼レンズ5倍、対物レンズ10倍に設定した光学顕微鏡で表面を50倍拡大して観察したところ、表面クラックの発生が見られ、その幅が10μmより広かった。
上記作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1で作成した電子写真感光体の磨耗量はSEM観察の結果3μm以上であった。従って、実施例1で作製した電子写真感光体は、比較例1で作製した電子写真感光体、及び比較例2で作製した電子写真感光体に比べて、電子写真感光体として使用したときの摩耗量が約30分の1以下であった。
さらに、実施例1で作製した電子写真感光体の画像評価については、初期画像には異常は見られなかったものの、10万枚目の出力画像については、高解像度部が現像されていないことが分かった。
また、スベリ性については、初期ドラム特性についても10万枚出力後ドラム特性についても、同等の結果が得られ、また、10万枚出力後の電子写真感光体の表面を目視で確認したところ、鏡面であった。
実施例2で作製した電子写真感光体は、比較例1で作製した電子写真感光体、及び比較例2で作製した電子写真感光体に比べて、電子写真感光体として使用したときの摩耗量が約30分の1以下であった。
さらに、画像評価については、初期画像には異常は見られなかったものの、10万枚目の出力画像については、高解像度部が現像されていないことが分かった。
また、スベリ性については、初期ドラム特性についても10万枚出力後ドラム特性についても、同等の結果が得られた。
また、参考例3で作製した電子写真感光体、及び参考例4で作製した電子写真感光体は、比較例1で作製した電子写真感光体、及び比較例2で作製した電子写真感光体に比べて、電子写真感光体として使用したときの摩耗量が約60分の1以下であった。
さらに、参考例3で作製した電子写真感光体、及び参考例4で作製した電子写真感光体の画像評価については、初期画像及び10万枚目の出力画像の双方において、良好な結果が得られた。また、スベリ性については、初期ドラム特性については、比較例1で作製した表面処理されていない電子写真感光体に比べてやや劣る結果が得られていたが、10万枚出力後ドラム特性については、スベリ性向上が見られ、10万枚出力後の電子写真感光体の表面を目視で確認したところ、鏡面であった。
一方、比較例1及び比較例2で作製した電子写真感光体では、出力画像の画質評価については良好な結果が得られているものの、実施例1〜4に比べて摩耗量が多かった。また、比較例1で作製した電子写真感光体では、10万枚出力後ドラムのスベリ性が、初期状態におけるドラムのスベリ性に比べて低下していた。
この比較例1で作製した電子写真感光体の、上記10万枚の画像を出力した後の表面を目視で観察したところ、粗面であり、東京精密社製表面粗さ形状測定機サーフコム550Aにより表面粗さを測定したところ、表面粗さ(RMS)は0.2μmであった。
これらの結果から、比較例1及び比較例2で作製した電子写真感光体は、画質については略良好な結果が得られているものの、実施例1〜4で作製した電子写真感光体に比べて摩耗量が大きく、且つ画像形成処理が継続されることによりスベリ性が低下するといえる。
さらに、比較例3で作製した電子写真感光体は、作製した電子写真感光体の表面を光学顕微鏡で観察したところ、幅10μm以上のクラックが観察された。さらに、この比較例3で作製した電子写真感光体表面について、スベリ性の評価を行ったところ、皮膜がはがれて有機感光層表面が露出した。このため、初期ドラム特性、10万枚出力後ドラム特性、及び摩耗量について評価を行うことはできなかった。
以上の評価結果から、実施例1〜4で作製した電子写真感光体は、画像形成装置に搭載されて使用された場合であっても、比較例1〜3で作製した電子写真感光体に比べて摩耗量が少なく、良好な耐摩耗性を得ることができる、といえる。
さらに、参考例3及び参考例4で作製した表面被覆層が設けられている本発明の電子写真感光体は、実施例1及び実施例2で作製した表面被覆層が設けられていない本発明の電子写真感光体に比べて、初期状態及び画像形成後の双方において水接触角が大きい。このため、表面被覆層を設けることにより、さらに撥水性に優れた電子写真感光体を提供することができるといえる。また、参考例3及び参考例4で作製した電子写真感光体は、初期状態に比べて画像形成後における水接触角が大きく、撥水性を長期に渡って維持することができる、といえる。
また、参考例3及び参考例4で作製した表面被覆層が設けられている本発明の電子写真感光体は、実施例1及び実施例2で作製した表面被覆層が設けられていない本発明の電子写真感光体に比べて、さらに長期に渡って良好なスベリ性を得ることができるといえる。
また、参考例3及び参考例4で作製した表面被覆層が設けられている本発明の電子写真感光体は、実施例1及び実施例2で作製した表面被覆層が設けられていない本発明の電子写真感光体に比べて摩耗量が少ないことから、より耐摩耗性の向上を図ることができ、といえる。
本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 参考例の電子写真感光体の層構成の他の一例を示す模式断面図である。 本発明の表面処理装置の一例を示す模式図である。 本発明において測定する水接触角θを示す模式図である。 体積抵抗率の計測方法の一例を示す概略模式図であり、(a)は円形電極の一例を示す概略平面図であり、(b)は、(a)に示す円形電極の概略断面図である。 本発明のプロセスカートリッジ及び画像形成装置を示す概略模式図である。 実施例1におけるプラズマによる表面処理前の有機感光体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例1におけるプラズマにより表面処理された有機感光体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 実施例2におけるプラズマにより表面処理された有機感光体の赤外吸収スペクトルを示すグラフである。 比較例2における、プラズマにより表面処理された有機感光体の赤外吸収スペクトルである。 実施例1における、表面処理後の電荷輸送層の断面の走査型電子顕微鏡写真である。
符号の説明
10、11、70 電子写真感光体
12 導電性基体
17 有機感光層
20 表面被覆層
82 画像形成装置
84 帯電装置
86 露光装置
88 現像装置
89 転写装置

Claims (3)

  1. 導電性基体上に有機感光層を設けた電子写真感光体であって、
    前記有機感光層の最表面が、少なくともポリカーボネートを含有し、前記有機感光層の前記最表面が、水素、または水素及び窒素を含む気体のプラズマにより表面処理されてなり、前記電子写真感光体の最表面が前記プラズマにより表面処理されてなる前記有機感光層の前記最表面であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段、前記静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくとも1つと、を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジであって、
    前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  3. 電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、
    前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
    前記静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    を有する画像形成装置であって、
    前記電子写真感光体が、請求項1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
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