JP5440062B2 - 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
近年、電子写真法を利用した画像形成装置に使用される電子写真感光体(以下、「感光体」と称す場合がある)に関し、該感光体の感光層表面に表面層(保護層)を設ける技術が検討されている。
また、導電性基板上に有機感光層を形成し、この有機感光層上に特定の条件による触媒CVD法によりアモルファスシリコンカーバイドからなる表面保護層を成膜形成した電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、感光体の表面層として、アモルファス炭素中にガリウムを含有する表面層(例えば、特許文献3参照)や、ダイヤモンド結合を有するアモルファス窒化炭素を含む表面層(例えば、特許文献4参照)、非単結晶の水素化窒化物半導体を含む表面層(例えば、特許文献5参照)が知られている。
更には、酸素と13族元素とを含み最表面における酸素の含有量が15原子%を超える表面層(例えば、特許文献6参照)、酸素と13族元素とを含み元素組成比(酸素/13族元素)が1.1以上1.5以下である表面層(例えば、特許文献7参照)が知られている。
放電生成物による板状グリッド表面の錆の発生を防止するために、板状グリッドのグリッド基材の表面に、グラファイトを含む導電性塗料スプレー法で均一に塗布して、導電層を形成する技術も知られている(例えば、特許文献9参照)
コロナ放電器の制御電極の基材表面に、グラファイト粒子及びニッケル粒子、アルミニウム化合物粒子のいずれか又は複数からなる導電性粒子を含む導電性被膜を形成することが知られている(例えば、特許文献10参照)。
コロナ放電器の対向電極部材の表面に、炭素原子、又は炭素原子と所望の他の原子あるいは他の複数原子を主成分として、炭素原子によるsp3構造を有する被覆材で被覆した層を成膜することも知られている(例えば、特許文献11参照)。
請求項1に係る発明は、
基体と、感光層と、酸素及びガリウムを含有し、外周面側に存在する第1の領域、及び前記第1の領域よりも前記基体に近い側に存在し、前記第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域を有する保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段であって、炭素原子を含んで構成され、前記炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有する帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。
前記帯電手段を冷却する冷却手段を備える請求項1に記載の画像形成装置。
前記冷却手段が、前記画像形成装置の外部から外気を前記帯電手段に送風する送風手段である請求項2に記載の画像形成装置。
基体と、感光層と、酸素及びガリウムを含有し、外周面側に存在する第1の領域、及び前記第1の領域よりも前記基体に近い側に存在し、前記第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域を有する保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段であって、炭素原子を含んで構成され、前記炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有する帯電手段と、
を備えたプロセスカートリッジ。
請求項2に係る発明によれば、冷却手段を採用しない場合に比べ、画像の白抜けが抑制される。
請求項3に係る発明によれば、冷却手段として送風手段を採用しない場合に比べ、簡易な構成で、画像の白抜けが抑制される。
請求項4に係る発明によれば、上記下記特定の酸素及びガリウムを含有する保護層を有する電子写真感光体を採用した画像液性装置において、炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有さない帯電手段を採用した場合に比べ、画像の白抜けが抑制される。
即ち、上記保護層は、層厚方向についての原子数比〔酸素/ガリウム〕の分布において、外周面側に存在する第1の領域と、第1の領域よりも基体に近い側に存在し、第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域と、を有する構成となっている。
なお、保護層は、必要に応じ、第1の領域及び第2の領域以外の領域を有していてもよい。
ところが、今回検討した結果、酸素及びガリウムを含む領域(第2の領域)の基体から離れた側に、相対的に原子数比〔酸素/ガリウム〕が小さい領域(第1の領域)を配置させることで、保護層形成による感度の低下が抑制されることが明らかとなった。この原因については、第1の領域が電荷注入領域としての機能を有し、第2の領域が電荷輸送領域としての機能を有する結果、残留電位を低減でき同時に光吸収が低下するため、と推測される。ただし、本実施形態はこの原因によって限定されることはない。
そこで、電子写真感光体を、上記構成とすることにより、保護層が、外周面側に存在する第1の領域よりも原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域を有しない場合と比較して、保護層形成による感度の低下が抑制される。更に、上記本実施形態の構成とすることにより、残留電位が低減される。
このため、帯電手段に付着・堆積する放電生成物が低減されることから、気化する放電生成物ガス(例えば、無水硝酸ガス)も低減され、放電生成物ガス(例えば、無水硝酸ガス)が電子写真感光体の保護層に生じたひび割れや陥没した個所から電子写真感光体内部(保護層及び感光層内部)へ浸入し、その部分の抵抗が低下することが抑制される。その結果、電子写真感光体の部分的な抵抗低下による画像欠陥、即ち画像の白抜け(所謂、パーキングデリーション)が抑制される。
特に、冷却手段として、画像形成装置の外部から外気を帯電手段に送風する送風手段を採用することで、外気により帯電装置(その被覆層)が冷却されることから、簡易な構成で、画像の白抜け(所謂、パーキングデリーション)が抑制される。また、送風手段による送風により、放電生成物が気化(昇華)が気化したとしても、帯電手段、電子写真感光体の周囲から、気化した放電生成物が排除され易くなる。
なお、冷却手段としては、上記送風方式の送付手段に限られず、例えば、水冷方式の冷却手段や、その他方式の冷却手段であってもよい。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
なお、図示しないが、壁部材や空気流入・排出管(ダクト)が配置され、画像形成装置101内に取り込んだ外気を、帯電装置20を通過して、空気流入口76aから排出するように案内させている。また、空気流入口76a及び空気排出口76bは複数あってもよく、それぞれに、外気が帯電装置を通過して、流入・排出されるように、壁部材や空気流入・排出管(ダクト)が配置して案内するようにしてもよい。
電子写真感光体は、基体と、感光層と、酸素及びガリウムを含有する保護層であって、外周面側に存在する第1の領域、及び、第1の領域よりも基体に近い側に存在し、第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕(以下、「原子数比〔O/Ga〕」とも表記する)が大きい第2の領域を有する保護層と、をこの順に有する
以下、隣接する領域との界面が明確である場合の第1の領域を「第1の層」といい、隣接する領域との界面が明確である場合の第2の領域を「第2の層」という。
即ち、保護層は、外周面側に存在する第1の層と、第1の層よりも基体に近い側に存在し、第1の層に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の層と、を有する形態であってもよい。
中間層を有する形態によれば、保護層形成による残留電位増加及び感度の低下がより低減される。この原因は、第1の層から第2の層への電荷の輸送がより効果的に行われるためと推定される。但し、本形態はこの原因によって限定されることはない。
RBSは、例えば、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いる。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いる。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは109°である。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上する。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素により決まる。
測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて層厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
また、保護層全体中における各元素の含有量については、例えば、二次電子質量分析法やXPS(X線光電子分光法)で測定する。
例えば、第2の領域よりも基体に近い側に存在し、第2の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が小さい第3の領域を有していてもよい。
第3の領域を有する形態では、保護層の層厚方向についての原子数比〔酸素/ガリウム〕の分布は、外周面側の第1の領域から、一旦、原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きくなり(第2の領域)、再び原子数比〔酸素/ガリウム〕が小さくなり(第3の領域)、そして感光層に至る分布となる。
第3の領域を有する形態によれば、繰り返し使用時における残留電位が抑制される。即ち、電子写真感光体の繰り返し特性が向上する。この原因については、繰り返し使用により感光層で生じた正孔を、第3の領域に注入するためと推測される。但し、本形態はこの原因によって限定されることはない。
また、第3の領域は、他の領域との界面が明確な、第3の層であってもよい。
本実施形態における保護層は、前述の通り、保護層形成による感度の低下を抑制する効果を有するため、保護層の層厚が厚い形態に好適である。即ち、本実施形態によれば、層厚を厚くしたときでも、保護層形成による感度の低下が抑制される。
従って、耐久性向上と、保護層形成による感度の低下抑制と、を両立させる観点より、保護層の層厚は1.0μm以上であることが望ましい。さらに、1.5μm以上がより望ましく、2.0μm以上が更に望ましく、2.5μm以上が特に望ましい。
保護層の層厚の上限には特に限定はないが、保護層形成による感度低下と、残留電位上昇と、をより低減する観点から、6.0μmである。
電子写真感光体の耐久性の確認方法としては、例えば、画像形成を繰り返し行った際の電子写真感光体の表面の傷の有無を調べる方法が挙げられる(傷が少ない程、耐久性が高い)。
また、画像形成を繰り返し行った際、形成された画像中に、電子写真感光体の表面の傷に起因する白筋状の画像欠陥があるかどうかを調べてもよい(白筋状の画像欠陥が少ない程、耐久性が高い)。
この範囲であれば、第2の領域の着色が抑制され(即ち、透明性が向上し)、紫外から赤外までの波長領域(例えば、350nm以上800nm以下の波長領域)の光の透過率が向上する。その結果、帯電された電子写真感光体を除電するために、感光体外部から光を照射した際、保護層における該光の吸収が抑制される。従って、照射された光が効率よく感光層に到達するため、ひいては、電子写真感光体の感度が向上する。
更に、第2の領域における原子数比〔酸素/ガリウム〕を1.30以上1.50以下としても、第2の領域よりも基体から離れた側には、前述の第1の領域が存在するため、前述のとおり残留電位は抑制される。
第2の領域が亜鉛を含有することにより、感度の低下がより抑制され、残留電位が更に抑制される。
この原因については、第2の領域に亜鉛を含有させることにより、該第2の領域の電荷輸送性が向上するためと推測される。ただし、本実施形態はこの原因によって限定されない。
残留電位抑制の観点から、第2の領域における亜鉛の含有量は、0.4原子%以上25原子%以下であることが望ましく、0.5原子%以上20原子%以下であることがより望ましく、10原子%以上20原子%以下であることが特に望ましい。
ここで、第2の領域における亜鉛の含有量は、第2の領域が、ガリウムと酸素と亜鉛とからなる場合には、これらの合計の原子数に対する亜鉛の原子数の割合(%)である。
また、感度の低下抑制の観点から、第2の領域における原子数比〔酸素/(ガリウム+亜鉛)〕は、1.00以上1.40以下であることが望ましい。
また、感度の低下抑制の観点から、第2の領域における原子数比〔亜鉛/ガリウム〕は、1.00以下であることが望ましく、0.01以上0.50以下であることがより望ましく、0.20以上0.50以下であることが特に望ましい。
感度の低下抑制の観点から、第2の領域における亜鉛の含有量は、0.4原子%以上25原子%以下であることが望ましく、0.5原子%以上20原子%以下であることがより望ましく、1原子%以上15原子%以下であることが特に望ましい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の構成について、図1乃至図4を参照して説明するが、本実施形態は図1乃至図4によって限定されることはない。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
図1中、1は基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、3は保護層、3Aは第1の領域、3Bは第2の領域を表す。4は下引層である。
図1に示す感光体は、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、保護層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2A及び電荷輸送層2Bの2層から構成される。
保護層3は、外周面側に存在する第1の領域3A、及び、第1の領域3Aよりも基体1に近い側に存在する第2の領域3Bを有して構成されている。
図1では、図示の都合上、第1の領域3Aと第2の領域3Bとの境界が明確となっている(即ち、第1の領域3Aが第1の層であり、第2の領域3Bが第2の層である形態となっている)が、この境界は明確であることに限定されない。下記、図2及び図3中の第1の領域3Aと第2の領域3Bとの境界、図3中の第2の領域3Bと第3の領域3Cとの境界についても同様である。
図2に示す感光体は、基体1上に、下引層4、感光層6、保護層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図1に示す電荷発生層2A及び電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
なお、感光層2及び感光層6は、有機高分子から形成されたものでもよいし、無機材料から形成されたものでもよいし、それらが組み合わされたものでもよい。
図3に示す感光体は、基体1上に、下引層4、感光層2、第3の領域3C、第2の領域3B、第1の領域3Aがこの順に積層された層構成を有している。
保護層3は、外周面側に存在する第1の領域3A、第1の領域3Aよりも基体1に近い側に存在する第2の領域3B、及び、第2の領域よりも基体1に近い側に存在する第3の領域3C、を有して構成されている。
図4に示す感光体は、基体1上に、下引層4、感光層2、第2の層3E、中間層3F、第1の層3Dがこの順に積層された層構成を有している。
保護層3は、外周面側に存在する第1の層3D、第1の層3Dよりも基体1に近い側に存在する第2の層3E、第1の層3Dと第2の層3Eとの間に存在する中間層3Fを有して構成されている。
図4に示す感光体は、更に、感光層2と第2の層3Eとの間に、前述の第3の領域を有していてもよい。
本実施形態における保護層は、前述のとおり、酸素(O)及びガリウム(Ga)を含有する層であり、基体上に設けられた感光層の更に上に設けられる層である。
保護層は、例えば、電子写真感光体の表面の傷を抑制すること、研磨バラツキを抑制すること、窒素酸化物などの吸着を抑制すること、オゾンや窒素酸化物による酸化雰囲気に対する耐性を向上すること、等の目的で設けられる層である。保護層は、透明性が高く緻密で硬度に優れた膜であることが望ましい。
本実施形態における保護層は、表面電荷を表面にトラップしても、また内部にトラップするものでもよい。また表面電荷を積極的に注入させるものでもよい。保護層の内部に電荷を注入する場合には有機感光層との界面に電荷がトラップする構成を有することが望ましい。また、負帯電で表面層が電子を注入する場合には正孔輸送層の表面が電荷トラップの機能を果たしてもよいし、電荷注入阻止とトラップのための層を設けてもよい。正帯電性の場合にも同様に構成される。
これらの中で非晶質は表面の平滑性で特に望ましいが、微結晶膜は硬度の点でより望ましい。
さらに、保護層の成長断面は柱状構造をとっていてもよいが、滑り性の観点からは平坦性の高い構造が望ましく、非晶質が望ましい。
感光層との密着性を高めつつ、表面の滑りを良くするためには、感光層との界面側の領域(例えば、第2の領域)を微結晶膜とし、表面側の領域(例えば、第1の領域)を非晶質膜としてもよい。
保護層中には、さらに導電型の制御のために、例えば、n型の場合、C、Si、Ge、Snから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。また、例えば、p型の場合、N、Be、Mg、Ca、Srから選ばれる1つ以上の元素を含んでいてもよい。
保護層が、微結晶、多結晶、非晶質の場合には、結合欠陥や転位欠陥や結晶粒界の欠陥などが多くなる傾向があるが、層中に水素やハロゲン元素を含むことで、結合欠陥の不活性化が行われるため望ましい。
水素やハロゲン元素は、結晶内の結合欠陥や結晶粒界の欠陥などに取り込まれ、電気的な補償を行う。このため、光キャリア発生やキャリアの拡散や移動に関係するトラップが少なくなり、反応活性点が少なくなり、より安定な保護層が構成される。
保護層中における「水素及びハロゲン元素の少なくとも1種」の含有量は、5原子%以上25原子%以下であることが望ましく、10原子%以上25原子%以下であることがより望ましい。
HFSは、加速器としてNEC社の3SDH Pelletronを用い、エンドステーションとしてCE&A社のRBS−400を用い、システムとしてCE&A社の3S−R10を用いる。
解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いる。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度160°入射ビームに対してGrazing Angle30°である。
白雲母は水素濃度が6.5原子%であることが知られている。
最表面に吸着しているHは、例えば、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって補正を行う。
第1の領域は、保護層のうち、膜厚方向において、外周面側(支持体から離れた側)に存在する領域である。
第1の領域の組成には特に限定はないが、例えば、ガリウム及び酸素を含有する組成が挙げられる。
第1の領域がガリウム及び酸素を含有する場合、原子数比〔O/Ga〕は、1.00以上1.35未満であることが望ましく、1.10以上1.30以下であることがより望ましい。
また、第1の領域は、感光体の感度の低下をより効果的に低減する観点から、水素を含んでいてもよい。
第1の領域における水素の含有量は、5原子%以上25原子%以下が望ましく、10原子%以上25原子%以下がより望ましい。
その他、第1の領域の望ましい形態は、保護層の望ましい形態として前述したとおりである。
負帯電の場合、n型層は電荷注入層として機能し、p型層は電荷注入阻止層として機能する。正帯電の場合、n型層は電荷注入阻止層として機能し、p型層は電荷注入層として機能する。
第2の領域は、保護層のうち、第1の領域よりも基体に近い側に存在し、第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい領域である。
第2の領域の組成は、前述の通り、ガリウム及び酸素(及び、必要に応じ亜鉛)を含有する組成である。
第2の領域は、更に、感光体の感度の低下をより効果的に低減する観点から、水素を含んでいてもよい。
第2の領域における水素の含有量は、5原子%以上25原子%以下が望ましく、10原子%以上25原子%以下がより望ましい。
その他、第2の領域の望ましい形態は、保護層の望ましい形態として前述したとおりである。
第3の領域は、保護層中、必要に応じて設けられる領域であり、第2の領域よりも基体に近い側に(望ましく感光層と接して)存在する領域であり、第2の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が小さい領域である。
第3の領域の組成には特に限定はないが、例えば、ガリウム及び酸素を含有する組成が挙げられる。
第3の領域がガリウム及び酸素を含有する場合、原子数比〔O/Ga〕は、1.00以上1.40未満であることが望ましく、1.10以上1.35以下であることがより望ましい。
また、第3の領域は、感光体の感度の低下をより効果的に低減する観点から、水素を含んでいてもよい。
第3の領域における水素の含有量は、5原子%以上25原子%以下が望ましく、10原子%以上25原子%以下がより望ましい。
その他、第3の領域の望ましい形態は、保護層の望ましい形態として前述したとおりである。
中間層は、保護層中、必要に応じて設けられる層であり、保護層が第1の層と第2の層とを有する場合において、第1の層と第2の層との間に、原子数比〔酸素/ガリウム〕が第1の層の原子数比〔酸素/ガリウム〕以上であり第2の層の原子数比〔酸素/ガリウム〕以下である組成で設けられる層である。
中間層の組成は、ガリウム及び酸素(及び、必要に応じ亜鉛)を含有する組成である。
中間層は、更に、感光体の感度の低下をより効果的に低減する観点から、水素を含んでいてもよい。
中間層における水素の含有量は、5原子%以上25原子%以下が望ましく、10原子%以上25原子%以下がより望ましい。
その他、中間層の望ましい形態は、保護層の望ましい形態として前述したとおりである。
次に、前述した保護層の形成方法について説明する。
保護層の形成には、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法、有機金属気相成長法、分子線エキタピシー法、蒸着、スパッタリング等の公知の気相成膜法が利用される。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部221と、高周波放電管部221内に配置され、放電面が排気口211側に設けられた平板電極219と、高周波放電管部221外に配置され、平板電極219の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部218とから構成されたものである。なお、高周波放電管部221には、高周波放電管部221内にガスを供給するためのガス導入管220が接続されており、このガス導入管220のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
また、成膜室210内には、基材回転部212が設けられており、円筒状の基材214が、シャワーノズル216の長手方向と基材214の軸方向とが沿って対面するように基材支持部材213を介して基材回転部212に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基材回転部212が回転することによって、基材214が周方向に回転する。なお、基材214としては、例えば、予め感光層まで積層された感光体、感光層上に第2の領域までが積層された感光体、感光層上に第3の領域までが積層された感光体、等が用いられる。
まず、酸素ガス(又は、ヘリウム(He)希釈酸素ガス)、ヘリウム(He)ガス、及び必要に応じ水素(H2)ガスを、ガス導入管220から高周波放電管部221内に導入すると共に、高周波電力供給部218から平板電極219に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極219の放電面側から排気口211側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部217が形成される。ここで、ガス導入管220から導入されたガスは成膜室210を平板電極219側から排気口211側へと流れる。平板電極219は電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
次に、トリメチルガリウムガスをガス導入管215、活性化手段である平板電極219の下流側に位置するシャワーノズル216を介して成膜室210に導入することによって、基材214表面にガリウムと酸素とを含む非単結晶膜を成膜する。
基材214としては、例えば、感光層が形成された基体を用いる。
また、第2の領域として、亜鉛を含む形態の第2の領域を成膜する際には、ガス導入管215から導入するガスとして、例えば、トリメチルガリウムガスと有機亜鉛(例えば、ジメチル亜鉛又はジエチル亜鉛)ガスとを用いる。このとき、トリメチルガリウムと、有機亜鉛と、は別々の容器から気体としてガス導入管215に導入する。
基材214表面の温度が成膜開始当初は150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には有機感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基材214の表面温度を制御することが望ましい。
また、アモルファスシリコン感光体を用いる場合には、保護層の成膜時の基材214表面の温度は、例えば、30℃以上350℃以下とされる。
基材214表面の温度は加熱及び/又は冷却手段(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基材214を加熱する場合にはヒータを基材214の外側や内側に設置してもよい。基材214を冷却する場合には基材214の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による基材214表面の温度の上昇を避けたい場合には、基材214表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
例えば、保護層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することにより、基材214上に窒素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、感光層を劣化させる紫外線を吸収する。このため、成膜時の紫外線の発生による感光層へのダメージが抑制される。
成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としては、n型用としてはSiH3,SnH4を、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、などをガス状態で使用する。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用してもよい。
具体的には、例えば、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管215、シャワーノズル216を介して成膜室210内に導入することによって、n型、p型等の導電型の保護層を得る。
このようにすることで、基材214表面上には、活性化された、炭素原子、ガリウム原子、窒素原子、水素原子、等が制御された状態で存在する。そして、活性化された水素原子が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。
このため、三次元的な結合を構成する硬質膜(保護層)が形成される。
さらに、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって基材214表面の温度上昇を抑制するためには高周波発振装置が望ましいが、熱の照射を抑制する装置を設けてもよい。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧(例えば70000Pa以上110000Pa以下)で行ってもよい。大気圧で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
また、各領域(又は各層)の形成を別個独立に行ってもよい。
各領域(又は各層)の成膜条件は同一としてもよいが、例えば、第2の領域の形成を低温で行うため出力を低めとし、第1の領域の形成を出力を高めにして行ってもよい。
感光層は、電子写真感光体において、基体と保護層との間に設けられる層である。
本実施形態に係る電子写真感光体は、その層構成が、基体上に感光層と保護層とがこの順に積層されたものであれば特に限定されず、基体と感光層の間に必要に応じて下引層等を設けてもよい。また、感光層は、2層以上であってもよく、更に、機能分離型であってもよい。さらに、本実施形態に係る電子写真感光体は、感光層がシリコン原子を含むいわゆるアモルファスシリコン感光体であってもよい。
特に、感光層が、有機感光材料等の有機材料を含むいわゆる有機感光体であることが望ましい。有機感光体の場合、磨耗が起こりやすいが、表層部に本実施形態における保護層を用いれば、磨耗が抑制される。
感光層を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでもよい。感光層と第1の領域との間に設けられる第2の領域は、硬度や膨張係数、弾力性の調整、密着性の向上などの観点から、第1の領域の物性及び感光層(機能分離型の場合は電荷輸送層)の物性の両者に対して、中間的な特性を示すものが好適である。また、第2の領域は、電荷をトラップする領域として機能してもよい。
このように、保護層を形成する前に感光体表面に紫外線吸収剤を含む層を設けることで、保護層を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による感光層への影響が低減される。
アモルファスシリコン感光体は、正帯電用でも負帯電用の感光体でもよい。
例えば、基体上に、電荷注入阻止層(下引層)と、光導電層と、電荷注入阻止表面層と、をこの順に設けたものが使用される。
本実施形態における保護層は、電荷注入阻止表面層上に形成される。
基体としては、導電性基体が用いられる。
なお、本明細書中において「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm未満である性質を指し、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上である性質を指す。
導電性基体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、基体の形状は、円筒形であることが望ましい。
まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JISH4080に規定されている合金番号1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10質量%以上20質量%以下、浴温:5℃以上25℃以下、電流密度:1A/dm2以上4A/dm2以下、電解電圧:5V以上30V以下、処理時間:5分以上60分以下程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
次に、下引層について説明する。下引層を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため望ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独又は2種以上を混合して用いてもよいし、さらに上述の結着樹脂と混合して用いてもよい。
次に、感光層について、電荷輸送層と電荷発生層とに分けてこの順に以下に説明する。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示される。即ち2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物を含む基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用する。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを添加してもよい。
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型で用いてもよい。
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン。
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
即ち、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂及びその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
帯電装置20としては、非接触方式、接触方式のいずれも採用されるが、非接触方式がよい。そして、帯電装置20には、炭素原子を含んで構成され、炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有するが、非接触方式の場合、具体的には、例えば、被放電面に当該被覆層を有することがよい。また、接触帯電方式、例えば帯電ロールの場合、当該ロール表面に当該被覆層を有することがよい。
炭素原子は、混成軌道の違いにより結合する原子の数が異なり、その結晶構造によりSP2結合している炭素原子からなるグラファイトから、sp3結合している炭素原子からなる高硬度のダイヤモンドに分類される。そして、被覆層は、上述のように、sp2構造(sp2結合)とsp3構造(sp3結合)とが混在した炭素原子を含むアモルファスカーボン層である。
なお、上記炭素原子によるsp3構造の比率(sp3結合している炭素原子の比率)は、透過電子顕微鏡(TEM)に接続した電子線エネルギー損失スペクトルでエネルギー損失関数によるピークを波形分離し、その各ピークの面積比から算出される。
なお、水素原子の含有量は、Ta−C層表面から深さ1nmまでを水素前方散乱法(HFS)により測定することで算出される。
ここで、FCVA法自体は従来公知、例えば帯電装置ではないが、磁気ディスクに耐磨耗膜を形成する特開2001−195717号公報や、現像ロール表面に耐磨耗膜を形成する特開2005−173141号公報等に記載の方法が採用される。
このFCVA法によれば、アモルファスカーボン層(Ta−C層)の成膜は、炭素原子、必要応じて、他の原子、あるいは他の複数原子をプラズマ化し、イオン化された原子を形成面に付着させて形成される。
図9,図10において、シールド電極301の外側の右部では、前後一対の回転軸支持部306a、308bの間に、前後方向に延びる回転軸316が回転可能に支持されている。回転軸316の後部は、後側回転軸支持部308bを貫通して後方に延びており、後端部には、図示しないギアが装着され、図示しないモータから回転が伝達される。回転軸316の外周には、螺旋状のねじ山316aが形成されている。
露光装置30としては、例えば、電子写真感光体10表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体10の分光感度領域にあるものがよい。半導体レーザーの波長としては、例えば、780nm前後に発振波長を有する近赤外がよい。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザーや青色レーザーとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザーも利用してもよい。また、露光装置30としては、例えばカラー画像形成のためにはマルチビーム出力するタイプの面発光型のレーザー光源も有効である。
現像装置40は、例えば、現像領域で電子写真感光体10に対向して配置されており、例えば、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を収容する現像容器41(現像装置本体)を有している。現像容器41は、現像容器本体41Aとその上端を塞ぐ現像容器カバー41Bとを有している。
現像剤は、トナーとキャリアを含む二成分系現像剤が採用される。
トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、及び必要に応じて離型剤等の他の添加剤を含むトナー粒子と、必要に応じて外添剤と、を含んで構成される。
一次転写装置51、及び二次転写装置52としては、例えば、ベルト、ローラ、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
クリーニング装置70は、筐体71と、筐体71から突出するように配設されるクリーニングブレード72を含んで構成されている。クリーニングブレード72は、電子写真感光体10の回転軸に沿った方向に延びた板状のものであって、電子写真感光体10の回転方向(矢印a)の上流側に、先端部が圧力を掛けつつ接触されるように設けられている。
送風機75としては、例えば、ファン、その他羽根車等が挙げられる。
送風機75による画像形成装置内への外気の引き込みは、すなわち帯電装置20への外気の送風は、例えば、画像形成装置101における画像形成動作時、非動作時(待機時)のいずれで行ってもよい。特に、送風機75による帯電装置への送風は、画像形成装置101内温度(帯電装置の周囲の温度)が、付着する放電生成物の昇華温度(例えば(例えば、無水酢酸の場合32℃)以上のときに行うことがよい。具体的には、例えば、送風機75による帯電装置への送風は、放電生成物の昇華温度の基準に、送風機75の駆動・停止を制御して行うことがよい。
なお、送風手段としては、空気流入口76aから外気を取り込む送風機75、すなわち、取り込みファンに限られず、例えば、空気排出口76bの周囲に配置して空気排出口76bから排出する排出ファンであってもよい。
プロセスカートリッジ101Aの構成は、これに限られず、例えば、少なくとも、電子写真感光体10と帯電装置20を備えてえればよく、その他、例えば、露光装置30、現像装置40、一次転写装置51、及びクリーニング装置70から選択される少なくとも一つを備えていてもよい。
に制限されるものではない。
まず、以下に説明する手順により、アルミニウム(Al)基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部及びブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、層厚1.0μmの下引層を形成した。
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部及び酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、層厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、及び、繰り返し単位が下記構造式(2)で表される高分子化合物(粘度平均分子量:39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
(第2の層の形成)
ノンコート感光体(1)表面への第2の層の形成は、図5に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、ノンコート感光体(1)を、成膜装置の成膜室210内の基材支持部材213に載せ、排気口211を介して成膜室210内を、圧力が0.1Paになるまで真空排気した。
次に、He希釈20%酸素ガス(20sccm)、Heガス(100sccm)、及びH2ガス(500sccm)を、ガス導入管220から直径50mmの平版電極219が設けられた高周波放電管部221内に導入し、高周波電力供給部218及びマッチング回路(図6中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り平版電極219から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、トリメチルガリウムガス(3sccm)を、ガス導入管215を介してシャワーノズル216から成膜室210内のプラズマ拡散部217に導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室210内の反応圧力は40Paであった。
次に、高周波放電を停止し、He希釈20%酸素ガスの流量を1sccmに変更した後、再び高周波放電を開始した。
この状態で、第2の層を形成したノンコート感光体(1)を100rpmの速度で回転させながら30分間成膜し、第2の層上に、層厚0.3μmの第1の層を形成した。
なお、保護層(第2の層及び第1の層)の成膜に際しては、ノンコート感光体(1)の加熱処理は行わなかった。また、成膜時の温度をモニターするために、成膜前に予めノンコート感光体の表面に貼り付けておいた温度測定用ステッカー(Wahl社製、テンプ・プレート P/N101)の色を、第1の層の成膜後に確認したところ、45℃であった。
また、第1の層の層厚及び第2の層の層厚は、以下の分析用試料膜を用いて、触針段差測定によって求めた。
分析用試料膜を形成する基板としては、5mm×10mmにカットされた厚さ400μmのSiウェハーを用いた。
Siウェハー表面の一部にポリイミド製粘着テープを貼り付け、該粘着テープを貼り付けた側の面に、第1の層の成膜と同条件にて、第1の層の分析用試料膜を形成した。
次に、粘着テープを剥がし、Siウェハー表面に、非着膜部(粘着テープを貼り付けた箇所)と、着膜部(粘着テープを貼り付けていない箇所)と、を設けた。
次に、非着膜部と着膜部との段差を、触針段差測定器(東京精密社製サーフコム550A)により測定し、第1の層の層厚を求めた。
第2の層の層厚も、第1の層の層厚と同様の方法によって求めた。
厚さ300μmのSi基板上に、第1の層の成膜と同条件にて分析用の試料膜を形成した。
形成された第1の層(試料膜)について、膜の組成をラザフォード・バック・スキャタリング(RBS)とハイドロジェン・フォワードスキャタリング(HFS)とを用いて測定した。
原子数比〔O/Ga〕及び水素含有量(GaとOとHとの総原子数に対するHの原子数の比率;原子%)は表1に示すとおりであった。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第1の層は非晶質であることがわかった。
更に、第1の層(試料膜)の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
また、石英基板上に成膜した第1の層について、780nmにおける透過率を、紫外−可視自記分光光度計(日立社製)により測定したところ、95%であった。
第1の層の分析・評価と同様の手法により、第2の層の分析・評価を行った。
原子数比〔O/Ga〕及び水素含有量(GaとOとHとの総原子数に対するHの原子数の比率;原子%)は表1に示すとおりであった。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
また、紫外−可視吸収測定を行った結果、第2の層のバンドギャップは4.4eVであった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層は透明であり、780nmにおける透過率は、95%であった。
上記で作製した、保護層付き電子写真感光体について以下の評価を行った。
評価結果を表1に示す。
まず、上述の保護層形成前の電子写真感光体(ノンコート感光体)と、保護層付き電子写真感光体と、に対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を用い、感光体の表面を走査しながら40rpmで回転させながら、スコロトロン帯電器により−700Vに負帯電させた状態で照射した後の、表面の残留電位を測定した。
その結果、ノンコート感光体の残留電位が−10Vであるの対し、保護層付き感光体の残留電位は−70V以下であった。
まず、保護層付き電子写真感光体に対して、上述の方法によりスコロトロン帯電器により−700Vに負帯電させた。
次に、負帯電した保護層付き電子写真感光体に対し、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を照射して除電を行い、単位光量当りの電位減衰率(V・m2/mJ)を求め、保護層付き電子写真感光体の感度A(V・m2/mJ)とした。
下記式1により保護層形成による感度の低下率を求めた。
・・・式1
以上で得られた、各波長における感度の低下率(%)から、下記評価基準に従って、保護層形成による感度の低下を評価した。
A:波長領域全域にわたり、保護層形成による感度の低下率は10%未満であり、保護層形成による感度の低下が抑制されていた。
B:波長領域全域にわたり、保護層形成による感度の低下率が、10%以上30%未満であるが、保護層形成による感度の低下が、実用上の許容範囲内であった。
C:波長800nmにおける感度の低下率が30%以上35%以下であり、保護層形成による感度の低下が実用上の許容範囲内であった。
D:波長800nmにおける感度の低下率が35%を超えており、保護層形成による感度の低下が実用上の許容範囲を超えていた。
保護層付き電子写真感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃、80%RH)下で、連続2万枚のプリントテストを行い、以下の評価を行った。
なお、画質評価を行うためのリファレンスとして、ノンコート感光体についてもDocuCentre Color 500に取り付けて、同様の画像を形成した。
画像上の白筋欠陥を2万枚プリント終了後の画像について評価した。評価基準は以下の通りである。
A:白筋状の画像欠陥は全く見られない。
B:感光体の傷に起因すると考えられる白筋状の画像欠陥がわずかに見られるものの、実用上許容範囲内である。
C:感光体の傷に起因すると考えられる白筋状の画像欠陥が見られる多数見られ、実用上の許容範囲を超えていた。
1000枚プリント後に、エリアカバレッジ100%のベタ画像を100枚連続で印画し、得られた画像について、下記評価基準に従って画像濃度を評価した。
A:100枚を超えて印画後も画像濃度低下が全くみられない。
B:90枚を超えて100枚以下において、印画後に画像濃度低下がわずかに見られるものの、実用上許容範囲内である。
C:70枚を超えて90枚以下において、印画後に画像濃度低下がわずかに見られるものの、実用上許容範囲内である。
D:70枚以下において、一見して画像濃度低下が起こっており、実用上許容範囲を超えていた。
画像ボケは、2万枚プリント後に、水溶性である放電生成物を除去するため感光体表面の一部分のみを水拭きした。
その後、ハーフトーン画像(画像密度30%)をプリントし、ハーフトーン画像中に感光体表面の水拭きした箇所と水拭きしていない箇所とに対応するような濃度差の有無を目視で確認し、下記評価基準に従って評価した。
A:濃度差の有無が全くみられない。
B:濃度差の有無がわずかに見られるものの、実用上許容範囲内である。
C:一見して濃度差が確認でき、実用上の許容範囲を超えていた。
2万枚プリントテスト後の感光体表面を目視により観察し、表面の傷の有無を調べた。
評価基準は以下のとおりである。
A:表面の傷が全くみられない。
B:表面の傷がわずかに見られるものの、実用上許容範囲内である。
C:一見して表面の傷が確認でき、実用上の許容範囲を超えていた。
まず、上記画質評価における2万枚のプリントテスト前に、保護層付き電子写真感光体について、波長780nmにおける残留電位を測定した。
次に、上記画質評価における2万枚のプリントテスト後に、保護層付き電子写真感光体について、波長780nmにおける残留電位を測定した。
これらの結果に基づき、繰り返し使用時の残留電位の増加(増加率(%))を、下記評価基準に従って評価した。
なお、下記表1中では、残留電位を「RP」と表記する。
A:2万枚のプリントテストによる残留電位の増加が10%未満であり、繰り返し使用時の残留電位の低下が抑制されていた。
B:2万枚のプリントテストによる残留電位の増加が10%以上30%未満であり、繰り返し使用時の残留電位の増加が、実用上の許容範囲内であった。
C:2万枚のプリントテストによる残留電位の増加が30%以上であり、繰り返し使用時の残留電位の増加が、実用上の許容範囲を超えていた。
電子写真感光体1の作製中、第2の層の形成において、He希釈20%酸素ガスの流量を10sccmに変更した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層は薄く黄色に着色しており、780nmにおける透過率は85%であった。
電子写真感光体1の作製中、第2の層の形成において、He希釈20%酸素ガス(20sccm)、Heガス(100sccm)、及びH2ガス(500sccm)を、He希釈20%酸素ガス(7sccm)及びHeガス(200sccm)に変更し、さらに、成膜時間を180分間に変更した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層は薄く茶色に着色しており、780nmにおける透過率は70%であった。
電子写真感光体3の作製中、第2の層の形成において、成膜時間を60分間に変更した以外は電子写真感光体3と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体3と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層はうすく黄色に着色しており、780nmにおける透過率は80%であった。
電子写真感光体1の作製中、第2の層の形成において、He希釈20%酸素ガスの流量を40sccmに、トリメチルガリウムガス(3sccm)をトリメチルガリウムガス(2.4sccm)及びジエチル亜鉛(0.6sccm)に、それぞれ変更した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層は透明であり、780nmにおける透過率は95%であった。
電子写真感光体5の作製中、第2の層の形成において、トリメチルガリウムガス(2.4sccm)及びジエチル亜鉛(0.6sccm)を、トリメチルガリウムガス(2.1sccm)及びジエチル亜鉛(0.9sccm)に変更した以外は電子写真感光体5と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体5と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはまったく点や線が見られず、第2の層は非晶質であることがわかった。
更に、第2の層の表面はステンレス鋼で擦っても傷がつかなかった。
石英基板上に形成された第2の層は透明であり、780nmにおける透過率は95%であった。
電子写真感光体5の作製において、ノンコート感光体(1)の代わりに、以下のようにして作製したノンコート感光体(2)を用いた以外は電子写真感光体5と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体5と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
得られた保護層付きの電子写真感光体は、粘着テープによっても保護層が剥離せず、接着性は良好であった。表面性も、保護層形成前であるノンコート感光体(2)の表面よりも平滑で、かつ、すべりが良かった。
Al基体上に、3μmのn型のSi3N1の電荷注入阻止層と、20μmのi型アモルファスシリコン光導電層と、0.5μmのp型のSi2C1の電荷注入阻止表面層と、をこの順にプラズマCVDにより形成し、負帯電型のアモルファスシリコン感光体であるノンコート感光体(2)を作製した。
電子写真感光体1の作製中、第2の層の形成後であって第1の層形成前に、中間層を形成した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
ここで、中間層の成膜条件は、He希釈20%酸素ガスの流量を8sccmに変更し、成膜時間を層厚0.1μmとなるように変更した以外は第2の層と同様の条件である。
電子写真感光体1の作製中、ノンコート感光体(1)表面への第2の層の形成前に、ノンコート感光体(1)表面へ第3の層を形成した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
なお、中間層の成膜条件は、He希釈20%酸素ガスの流量を8sccmに変更し、成膜時間を層厚0.05μmとなるように変更した以外は第2の層と同様の条件である。
電子写真感光体1の作製中、第2の層の形成において、He希釈20%酸素ガスの流量を1sccmに、成膜時間を240分間に、それぞれ変更した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、石英基板上に成膜した第2の層(分析用の試料膜)は、茶色く着色しており、780nmにおける透過率は40%であった。
電子写真感光体1の作製中、第1の層の形成において、He希釈20%酸素ガスの流量を2sccmに変更し、かつ、第2の層の形成において、He希釈20%酸素ガスの流量を1sccmに成膜時間を180分間に、それぞれ変更した以外は電子写真感光体1と同様にして保護層付きの電子写真感光体を作製し、電子写真感光体1と同様の分析及び評価を行った。
分析及び評価の結果を下記表1に示す。
また、石英基板上に成膜した第2の層(分析用の試料膜)は、茶色く着色しており、780nmにおける透過率は50%であった。
また、電子写真感光体1乃至電子写真感光体9では、残留電位も低減されていた。
一方、比較電子写真感光体1及び比較電子写真感光体2では、感度が著しく低下しており、画像濃度が低かった。
また、比電子写真感光体1及び比較電子写真感光体2は、成長速度(成膜速度)も遅く、生産性も低いことがわかった。
表2に従って、上記作製した電子写真感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500改造機(下記非接触型の帯電装置に改造)に、装着し、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
非接触型の帯電装置は、シールド電極(ステンレス製の筒状の包囲電極部材:対向電極の一例)と、シールド電極内に配置される放電電極部材(タングステンからなる、直径0.04mm、長さ400mmのワイヤー)と、シールド電極の開口位置に配設される網状電極部材(ステンレス製の対向電極部材)と、を主要部とし(図9乃至図11参照)、シールド電極と網状電極における放電電極部材との対向面(被放電面)に、FCVA装置(島津製作所製)を用い、成膜温度40℃、成膜速度1.5nm/sの成膜条件で、膜厚が5.0μmのTa−C層(炭素原子によるsp3構造の比率80%、水素含有量4atm%)を形成した構成である。
−画像評価−
プロセススピード75mm/secで、用紙(富士ゼロックス(株)P紙A4サイズ)に対して、シアン色のスクリーン200クラスタードット画像(全面ハーフトーン:画像濃度20%)を300000枚出力した後、動作を停止して、10時間待機した後、同様に画像を形成したときの、帯電装置位置における画像の白抜け(パーキングデリーション)の発生の有無を確認して評価した。画像の白抜けは、白抜け発生部と未発生部との色差をX Rite社分光濃度計938により測定して評価した。評価基準は以下の通りである。なお、画像形成装置の設置環境は、20℃RH10%とした。
−評価基準−
AAA:色差0.1未満
AA:色差0.1以上0.5未満
A:色差0.5以上1.0未満
B:色差1.0以上2.0未満
C:色差2.0以上
実施例1乃至実施例9において、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500改造機として、空気流入口及び空気排出口を設けると共に、非接触型の帯電装置に外気を送風するように送風機を取り付けた改造機(図7参照)を適用した以外は、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、送風機による帯電装置への送風は、温度センサにより装置内温度が32℃以上(無水酢酸の昇華温度)のときに送風機を駆動して、風速1m/secで外気を装置内に吸入し、帯電装置(そのTa−C層)に外気を送風して帯電装置を冷却し、装置内温度が32℃未満となったとき駆動を停止するように制御して行った。これは、画像形成時、待機時のいずれにおいても実施した。
表2に従って、上記作製した電子写真感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500(Ta−C層なしの非接触型の帯電装置を装着)に、装着し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表2に示す。
また、本実施例10〜18は、本実施例1〜8に比べ、画像の抜けが抑制されることがわかる。
Claims (4)
- 基体と、感光層と、酸素及びガリウムを含有し、外周面側に存在する第1の領域、及び前記第1の領域よりも前記基体に近い側に存在し、前記第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域を有する保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段であって、炭素原子を含んで構成され、前記炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有する帯電手段と、
前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面を露光して静電潜像を形成する潜像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体に形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記電子写真感光体に形成された前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を備えた画像形成装置。 - 前記帯電手段を冷却する冷却手段を備える請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記冷却手段が、前記画像形成装置の外部から外気を前記帯電手段に送風する送風手段である請求項2に記載の画像形成装置。
- 基体と、感光層と、酸素及びガリウムを含有し、外周面側に存在する第1の領域、及び前記第1の領域よりも前記基体に近い側に存在し、前記第1の領域に比べて原子数比〔酸素/ガリウム〕が大きい第2の領域を有する保護層と、をこの順に有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段であって、炭素原子を含んで構成され、前記炭素原子によるsp3構造を持つ被覆層を有する帯電手段と、
を備えたプロセスカートリッジ。
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