JP4506805B2 - 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
請求項1に係る発明は、
導電性基体上に、有機感光層と表面層とをこの順に積層して構成され、
前記表面層が、ガリウム(Ga)と酸素(O)と水素(H)とを少なくとも構成元素とする層であり、該表面層の前記ガリウム(Ga)及び酸素(O)の全元素量に対する各構成比の和が0.70以上であり、かつ、酸素(O)及びガリウム(Ga)の元素組成比(酸素/ガリウム)が1.1以上1.5以下であり、かつ厚み0.2μm以上1.5μm以下で、微小硬度2GPa以上15GPa以下であることを特徴とする電子写真感光体である。
前記表面層が、厚み0.2μm以上0.7μm以下で、微小硬度4GPa以上10GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
前記表面層を構成する元素のうち、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の全元素量に対する各構成比の和が0.70以上であり、ガリウム(Ga)、酸素(O)及び水素(H)の全元素量に対する各構成比の和が0.95以上であり、かつ、酸素(O)及びガリウム(Ga)の元素組成比(酸素/ガリウム)が1.1以上1.4以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体である。
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、及び前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくとも1つと、
を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、
該帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
該静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に係る発明によれば、より効果的に、表面層に対する偏磨耗、及び繰り返し使用による機械的損傷(例えば割れや凹み)が抑制され、初期の表面特性が維持される。
請求項3に係る発明によれば、表面層に対する繰り返し使用による機械的損傷(例えば割れや凹み)、及び過剰な残留電位の発生を抑制し、耐久性と電気特性との両立が図れる。
請求項4に係る発明によれば、表面層に対する偏磨耗、及び繰り返し使用による機械的損傷(例えば割れや凹み)が抑制され、初期の表面特性が維持される。
請求項5に係る発明によれば、表面層に対する偏磨耗、及び繰り返し使用による機械的損傷(例えば割れや凹み)が抑制され、初期の表面特性が維持される。
<電子写真感光体>
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性基体上に、有機感光層と表面層とをこの順に積層して構成され、表面層が、ガリウム(Ga)と酸素(O)と水素(H)とを少なくとも構成元素とする層であり、かつ厚み0.2μm以上1.5μm以下で、微小硬度2GPa以上15GPa以下であることを特徴としている。
図1は、本実施形態に係る感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は導電性基体、2は有機感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、3は表面層を表す。図1に示す感光体は、導電性基体1上に、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、有機感光層2は電荷発生層2A及び電荷輸送層2Bの2層から構成される。
図3は、本実施形態に係る感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図3中、6は有機感光層を表し、他は、図1、図2中に示したものと同様である。図3に示す感光体は、導電性基体1上に、有機感光層6、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、有機感光層6は、図1や図2に示す電荷発生層2A及び電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
表面層の厚みが0.2μmより小さいと、表面層の微小硬度が上記の範囲にあっても層自体の機械的強度が不足し、繰り返し使用による機械的損傷が生じる。結果、例えば、画像流れが生じる。
一方、表面層の厚みが1.5μmより大きいと、感光体に接触する部材から受ける剪断力に起因する繰り返し使用による機械的損傷が生じる。結果、例えば、高温高湿下(例えば28℃、85%RH環境下)での繰り返し使用し一晩放置した後の立上げ直後の画像にハーフトーン濃度の低下の回復が困難になる。
表面層の微小硬度が2GPaより小さいと、層自体の硬さが足りないため、現像量に依存した偏摩耗が発生する。結果、例えば、表面層と下層の有機感光層とのの屈折率差が大きいことに起因する干渉の効果で、有機感光層への入射光量の変動が発生し、ハーフトーン濃度のムラを発生する。
一方、表面層の微小硬度が15GPaより大きいと、層が脆くなり繰り返し使用による機械的損傷が生じる。結果、例えば、高温高湿下(例えば28℃、85%RH環境下)での繰り返し使用し一晩放置した後の立上げ直後の画像にハーフトーン濃度の低下の回復が困難になる。
RBSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは109°±2である。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度が向上される。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
HFSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。白雲母は水素濃度が6.5原子%±1%であることが知られている。なお、最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行われる。また、2次イオン質量分析法(SIMS)、X線光電子分光法(XPS)、オージェ電子分光(AES)、蛍光X線元素分析(EDS)、エネルギー分散型蛍光X線分析(EDX)、電子線マイクロプローブアナライザ(EPMA)、電子線エネルギー損失分光(EELS)などが挙げられるがこれらに限ったものではない。また、これらは単独、又は2つ以上組み合わせて用いてもよい。
なお、有機感光層のダイナミック硬度は、後述するように下引層や中間層を形成した場合、これを含む層全体(即ち導電性基体と表面層との間に存在する層全体)のダイナミック硬度を示す。
DH=3.8584P/D
[式中、DHはダイナミック硬度(N/m2)すなわち(Pa)を表し、Pは押し込み荷重(N)を表し、Dはお師込み深さ(m)を表す]
に基づいて得られる値(Pa)を意味する。押し込み深さは1.0μm以下の領域でDHを得る。
表面層の形成は、一般公知の薄膜形成方法が用いられる。なお、有機感光層に表面層を形成する場合、基板の被成膜面である有機感光体の温度が150℃以下であることが好ましい。中でもプラズマCVDは、有機感光層などの下地に、本実施形態に係る無機薄膜が接着性よく形成されること、本実施形態に係る組成範囲の無機薄膜が原料の供給量により制御性良く形成されること、低温(例えば10℃以上60℃以下程度)で無機薄膜が形成されること、などの点で好適である。その他には、触媒CVD、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、分子線堆積法などが用いられるが、これらに限られるものではない。
成膜装置30は、真空排気される真空チャンバー32を含んで構成されている。真空チャンバー32の内部には、表面層の成膜が未だなされていない状態の電子写真感光体(以下、ノンコート感光体と称する)50を、ノンコート感光体50の長尺方向を回転軸方向として回転するように支持する支持部材46が設けられている。支持部材46は、支持部材46を支持するための支持軸52を介してモータ48に接続されており、モータ48の駆動力を、支持軸52を介して支持部材46へ伝達され得るように構成されている。
高周波電源58からマッチングボックス56を介して放電電極54へ高周波電力が供給されると、放電電極54による放電が行われる。
ガス供給管34の一端は、放電電極54内に連結(すなわち、放電電極54及び開口34Aを介して真空チャンバー32内に連結)しており、他端は、ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、ガス供給装置41C各々に接続されている。
なお、上記ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々に含まれるガス供給源40に充填されているガスの種類は、同一種類であってもよいが、複数のガスを用いて処理を行う場合には、互いに異なる種類のガスを充填したガス供給源40を用いてもよい。この場合には、互いに異なる種類のガスが、ガス供給装置41A、ガス供給装置41B、及びガス供給装置41C各々のガス供給源40からガス供給管34に供給されて合流された混合ガスが、放電電極54及び開口34Aを介して真空チャンバー32内のノンコート感光体50へ向かって供給される。
なお、図4に示す一例では、放電電極54による放電方式は、容量型である場合を説明するが、誘導型であってもよい。
なお、上記プラズマ形成時の真空チャンバー32内の圧力は、1Pa以上500Pa以下であることが好ましい。
水素ガスと酸素ガスとを同時にプラズマ内で活性化し、ガリウムを含む有機金属化合物を反応させることで、プラズマ放電により生成した活性水素により有機金属ガスに含まれるメチル基やエチル基等の炭化水素基のエッチング効果が得られ、これにより低温でも高温(例えば200℃以上600℃以下)成長時と同等の膜質のガリウム及び酸素を含む化合物の膜を、有機物(有機感光層)の表面にも該有機物にダメージを与えることなく形成される。
その他の方法による場合においても、ガス供給量を変えることによって成長雰囲気を制御したり、スパッタリングなどにおいてはターゲットに含まれるガリウムと酸素との割合によって制御される。
放電によるノンコート感光体50の温度上昇を避けたい場合には、ノンコート感光体50表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整すればよい。
本実施形態に係る電子写真感光体は、その層構成が導電性基体上に有機感光層と表面層とがこの順に積層されたものである。また、これらの層の間に必要に応じて下引層等の中間層を設けてもよい。さらに有機感光層は、前記のように2層以上であってもよく、更に、機能分離型であってもよい。
このように、表面層を形成する前に感光体表面に中間層を設けることで、表面層を形成するときの紫外線や、画像形成装置内で感光体が使用された場合のコロナ放電や各種の光源からの紫外線などの短波長光による有機感光層への影響が抑制される。
まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10質量%以上20質量%以下、浴温:5℃以上25℃以下、電流密度:1A/dm2以上4A/dm2以下、電解電圧:5V以上30V以下、処理時間:5分以上60分以下程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
これらの化合物は、例えば単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いられる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が低減されると共に、繰り返し使用による電位の変化も低減されることから好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独又は2種以上を混合したり、さらに上述の結着樹脂と混合して用いてもよい。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等が用いられる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウェットホーニング、研削処理等を用いられる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面の近くで吸収され、さらに有機感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
これらの添加物は、単独で用いてもよいが、複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物粒子表面にカップリング剤を吸着させてもよい。次に、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒又は水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって吸着のバラツキが抑制されて処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物粒子と堅固な化学反応が起される。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施される。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定される。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層を形成する方法と同様に行われる。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示される。即ち、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用される。
この結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用される。
また、前記電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1乃至1:5の範囲内が好ましい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを添加してもよい。
なお、電荷輸送層の膜厚は一般に5μm以上50μm以下であることが好ましく、10μm以上40μm以下であることがより好ましい。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型も用いられる。
(1)電荷発生材料としてCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有するチタニルフタロシアニン。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度や位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断される。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
電荷注入阻止層の材料としては上記に列挙したシランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機ジルコニウム化合物、有機チタン化合物、その他の有機金属化合物、ポリエステル、ポリビニルブチラールなどの汎用樹脂を用いられる。電荷注入阻止層の膜厚は0.001μm以上5μm以下程度で成膜性及びキャリアブロッキング性を考慮して適宜設定される。
次に、本実施形態に係る電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置について実施形態により説明する。
図5に示すように、本実施形態に係る画像形成装置82は、所定方向(図5中、矢印D方向)に回転する電子写真感光体80を備えている。電子写真感光体80周辺には、電子写真感光体80の回転方向に沿って、帯電装置(帯電手段)84、露光装置(露光手段)86、現像装置(現像手段)88、転写装置(転写手段)89、除電装置81、及びクリーニング部材87が設けられている。
転写装置89は、電子写真感光体80上に形成されたトナー像を、電子写真感光体80との間で記録媒体83を挟持搬送することにより、記録媒体83に転写する。記録媒体83に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体83表面に定着される。
本実施形態において、クリーニング手段としては特に限定されるものではないが、クリーニングブレードであることが好ましい。クリーニングブレードは、他のクリーニング手段と比べると感光体表面を傷つけ、また、磨耗を促進しやすいものである。
<実施例1>
(電子写真感光体の作製)
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学社製)1.5質量部を添加して2時間攪拌した。その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
次の如く、下引層上に、電荷発生層及び電荷輸送層で構成される有機感光層を形成した。まず、電荷発生物質として、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた分散液を下引層上に浸漬塗布し、乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成させた。
続いて、ノンコート感光体上にプラズマCVDにより表面層の形成を行った。ノンコート感光体に参照試料作製のためのSi基板(5mm×10mm)を粘着テープで貼り付け、図4に示すプラズマCVD装置に導入し、真空チャンバー32内を、圧力が1×10−2Paとなるまで真空排気した。次に、ガス供給管から、マスフローコントローラー36を介して真空チャンバー32に、水素ガス流量100sccm、He希釈酸素(4%)流量4sccm、及び水素希釈トリメチルガリウム(約10%)流量4sccmを供給すると共にコンダクタンスバルブを調整することにより、真空チャンバー32内の圧力を10Paとし、高周波電源58及びマッチングボックス56により、13.56MHzのラジオ波を出力80Wにセットし、チューナーでマッチングを取り反射波を0Wとして放電電極54から放電を行った。この状態で、ノンコート感光体を40rpmの速度で回転させながら60分間成膜し表面層付きの感光体1を得た。なお、この水素希釈トリメチルガリウムガスの供給は、0℃に保たれたトリメチルガリウムに、水素をキャリアガスとしてバブリングすることによって行った。得られた感光体を温度20℃の環境で24時間放置した。
前記Si基板上に形成した参照試料を癖開した断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、膜厚を測定し表2の結果を得た。
また、Si参照試料に形成された膜の組成分析を、ラザフォードバックスキャッタリング(RBS)とハイドロジェンフォワードスキャッタリング(HFS)により行い、Ga、O、H、Cの組成を表2のように得た。
前記Si基板上に形成した参照試料に対し、MTSシステムズ社製 超微小硬度計「Nano Indenter DCM」を用いて、連続剛性測定法により表面層の微小硬度を測定した。圧子にはダイヤモンド製正三角錐圧子(Berkovich圧子)を用いた。測定条件は、測定環境20℃、湿度50%でおこなった。得られた硬度プロファイルから押し込み深さ40nmでの硬度値を得た。その結果を表2に示した。。
表面層を形成した電子写真感光体の電位特性を評価した。まず、上述の表面層形成前のノンコート感光体と、表面層を形成した電子写真感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長:780nm、出力:5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で40rpmで回転させている感光体の表面に走査しながら照射した。
さらに、前記条件での帯電、露光を100回繰り返し、同様にノンコート感光体及び表面層を設けた感光体について残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体で−22Vであるのに対し、表面層を設けた感光体では表2に示した値であった。
表面層を形成した電子写真感光体を、富士ゼロックス社製DocuCenter Colar 500用のプロセスカートリッジに搭載し、これをDocuCenter Colar 500に取り付けて、プリントテストを実施した。プリントテストは気温28℃、湿度85%の高温高湿環境にて行った。
○:画像濃度が全面均一で目視ではほとんど差が見られない。差があったとしても、走行チャートの画像濃度に依存したものではない。
△:走行チャート中の100%の画像部にあたる位置のみ濃度が他よりもわずかに高い、または低いことが目視でわかる。
×:走行チャート中の100%の画像部にあたる位置の濃度が他よりも高い、または低いことが目視でわかる。さらに50%の画像部にあたる位置の濃度が他よりもわずかに高い、または低いことが目視でわかる。
○:横ラダーが正常に形成されている。
×:筋状の画像ながれが発生して、横ラダーに異常がみられる。
○:電源オン後1枚目の画像に濃度低下が見られない
△:電源オン後1枚目の画像に濃度低下が見られるが、電源オン後10枚目の画像には濃度低下が見られない。
×:電源オン後1000枚目の画像に濃度低下が見られる。
実施例1の電子写真感光体の作製において、表面層の成膜条件(ラジオ波出力、He希釈トリメチルガリウム流量、He希釈酸素(4%)流量、成長時間)を表1に示す条件示す変更した以外は実施例1と同様にして、表面層付きの感光体2〜9、比較感光体1〜3を得た。Si参照試料を用いて、実施例1と同様にして表面層の分析、硬さ、電気特性の評価を行った。また、上記感光体を用いて、実施例1と同様にして電子写真特性の評価を行った。結果をまとめて表2に示す。
2 有機感光層
2A 電荷発生層
2B 電荷輸送層
3 表面層
4 下引層
5 中間層
6 有機感光層
30 成膜装置
32 真空チャンバー
34 ガス供給管
34A 開口
36 マスフローコントローラー
38 圧力調整器
40 ガス供給源
41A ガス供給装置
41B ガス供給装置
41C ガス供給装置
42 排気管
42A 開口
44 真空排気装置
46 支持部材
48 モータ
50 ノンコート感光体
52 支持軸
54 放電電極
56 マッチングボックス
58 高周波電源
60 キャリアガス供給源
62 原料ガス供給源
64 ガス導入管
64A シャワーノズル
80 電子写真感光体
81 除電装置
82 画像形成装置
83 記録媒体
84 帯電装置
86 露光装置
87 クリーニング部材
88 現像装置
89 転写装置
Claims (5)
- 導電性基体上に、有機感光層と表面層とをこの順に積層して構成され、
前記表面層が、ガリウム(Ga)と酸素(O)と水素(H)とを少なくとも構成元素とする層であり、該表面層の前記ガリウム(Ga)及び酸素(O)の全元素量に対する各構成比の和が0.70以上であり、かつ、酸素(O)及びガリウム(Ga)の元素組成比(酸素/ガリウム)が1.1以上1.5以下であり、かつ厚み0.2μm以上1.5μm以下で、微小硬度2GPa以上15GPa以下であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記表面層が、厚み0.2μm以上0.7μm以下で、微小硬度4GPa以上10GPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記表面層を構成する元素のうち、ガリウム(Ga)及び酸素(O)の全元素量に対する各構成比の和が0.70以上であり、ガリウム(Ga)、酸素(O)及び水素(H)の全元素量に対する各構成比の和が0.95以上であり、かつ、酸素(O)及びガリウム(Ga)の元素組成比(酸素/ガリウム)が1.1以上1.4以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、及び前記電子写真感光体表面に形成された静電潜像を現像剤によりトナー像に現像する現像手段、及び前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段から選択される少なくとも1つと、
を有し、画像形成装置本体に対して着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、
該帯電手段により帯電された前記電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、
該静電潜像を少なくともトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、
該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
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