JP4692648B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、像形成装置に関するものである。
近年、電子写真法式を利用した画像形成装置においては、カラー化、高画質化の要求から、中間調再現が求められる。それゆえ、画像形成装置に用いられる電子写真用感光体(以下、「感光体」と略す場合がある)も中間調の再現性、すなわち露光電位の再現性が要求される。
一方、近年、サービスコスト低減の観点から、電子写真用感光体の交換頻度を下げることが求められており、感光体の長寿命化は重要な技術課題となっている。
電子写真用感光体としては有機感光体や無機感光体が知られている。有機感光体は無機感光体と比較して、コストなどの点で優れるものの、有機感光層が磨耗するため寿命の点では劣る。
それゆえ、有機感光体の長寿命化のために、有機感光層の上に、高硬度で耐摩耗性を有する保護層を設けることが従来より検討されている。この保護層を構成する材料としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン等の炭素系材料、酸化アルミや、酸化ガリウム等の酸化物系材料、窒化炭素などの無機材料が知られている(特許文献1、2参照)。
これらの材料からなる保護膜を用いれば、有機感光体の磨耗を抑制するため、寿命が大幅に改善される。しかし、耐久性に優れているとしても、長期の使用では、この保護層の磨耗が生じてしまう場合がある。例えば、感光体の周囲に帯電ロールや、クリーニングブレード、中間転写体などの感光体表面と直接接触する部材が配置されている場合や、トナーの外添剤としてシリカや酸化セリウムなどの硬質の粒子が用いられている場合などである。
一方、保護層を有機感光体層表面に設けた場合、保護層と有機感光体層との界面において、レーザーや発光ダイオードなどの単色光源から照射された光の反射を招く。この反射は、露光時に感光体表面に照射される光が、感光層へと到達した際に、その光量がより小さくなることを意味する。
従って、この感光層へ入射する光の光量低下を抑制するために、感光層の屈折率n1と、最表層(表面層)の屈折率n2とが、1<n2≦n1なる関係を満たす感光体が提案されている(例えば、特許文献3参照)
特開平5−53487号公報 特開2006−267507号公報 特開2004−151519号公報
一方、保護層の磨耗は、感光体の面内で均一に起こるものではなく、大なり小なり偏在的である。これは、感光体に対して接触して配置される部材(例えば、帯電ロールや、中間転写体、クリーニングブレード等)との接触具合などの影響により摩耗が感光体の面内で不均一に起こるなどの理由による。それゆえ、感光体面内において偏磨耗に起因する保護層の膜厚ムラが発生すると、干渉の効果により感光層への入射光の透過率が感光体面内の位置によって異なるため、感光体面内の露光電位ムラが発生する。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、表面が偏磨耗した場合でも感光体面内の露光後電位ムラを抑制する画像形成装置を提供することを課題とする。
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
請求項1に係る発明は、
露光光が照射されることにより電荷発生する感光層と、該感光層表面に設けられた表面層とを有し、前記表面層が、前記感光層側に設けられ且つ屈折率n1を有する第1の層と、該第1の層の前記感光層が設けた側と反対側に設けられ且つ屈折率n2を有する第2の層とを含み、前記第1の層および前記第2の層から選択される少なくとも1層が、Ga、酸素、及び水素を含む層または非晶質炭素からなる層であり、且つ、下式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする電子写真用感光体である。
請求項に係る発明は、
露光光が照射されることにより電荷発生する有機感光層と、該有機感光層表面に設けられた表面層とを有し、前記表面層が、前記有機感光層側に設けられ且つ屈折率n1を有する第1の層と、該第1の層の前記有機感光層が設けた側と反対側に設けられ且つ屈折率n2を有する第2の層とを含み、前記第1の層および前記第2の層が、Ga、酸素、及び水素を含む層または非晶質炭素からなる層であり、且つ、下式()〜()を満たす電子写真用感光体と、
該電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
帯電された前記電子写真用感光体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
前記電子写真用感光体表面に現像剤を付与して前記静電潜像を現像し、トナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像を前記電子写真用感光体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、前記トナー像が前記記録媒体表面に定着する定着手段と、
前記トナー像を前記電子写真用感光体表面から記録媒体表面に転写した後の前記電子写真用感光体表面をクリーニングするクリーニング手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置である。
・式() |n0−n2|>0.1
・式() n0<n1<n2、又は、n0>n1>n2
・式(
λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)≦d1≦3×λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)
〔式()〜式(3)中、n0は前記有機感光層の屈折率、n1は前記第1の層の屈折率、n2は前記第2の層の屈折率、d1は前記第1の層の膜厚(nm)、aは0以上の整数、λは静電潜像を形成する際に、前記電子写真用感光体表面に照射される光の波長(nm)を表す。ただし、式()〜式()中、n0、n1、n2は、式()中のλにおける屈折率を表す。〕
請求項に係る発明は、
前記帯電手段が、帯電ロールであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置である。
請求項に係る発明は、前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項または請求項に記載の画像形成装置である。
請求項に係る発明は、中間転写体を備え、前記トナー像が、前記電子写真用感光体表面から前記中間転写体表面へと1次転写された後、前記中間転写体表面から前記記録媒体表面へと2次転写されることを特徴とする請求項のいずれか1つに記載の画像形成装置である。
請求項に記載の発明によれば、表面に膜厚差を生じた場合でも感光体面内の露光電位ムラを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば、感光体表面に接触する部材が設けられた構成を有していても感光体面内の露光電位ムラを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば、感光体表面に接触する部材が設けられた構成を有していても感光体面内の露光電位ムラを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば感光体表面に接触する部材が設けられた構成を有していても感光体面内の露光電位ムラを抑制する画像形成装置が提供される。
請求項に記載の発明によれば、表面に膜厚差を生じた場合でも感光体面内の露光電位ムラを抑制するプロセスカートリッジが提供される。
感光層表面に2層構成の表面層が設けられた本実施形態に用いられる感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に用いられる感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本実施形態に用いられる感光体の層構成の他の例を示す模式断面図である。 (A)(B)本実施形態に用いられる感光体の表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 図4に示す成膜装置において利用することのできるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図である。 実施例の評価に用いたA4サイズの原稿画像の画像パターンを示す平面図である。 本実施形態画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 感光層表面に単層構成の表面層が設けられた従来の感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
(電子写真用感光体)
本実施形態に用いられる電子写真用感光体は、露光光が照射されることにより電荷発生する感光層と、該感光層表面に設けられた表面層とを有し、前記表面層が、前記感光層側に設けられ且つ屈折率n1を有する第1の層と、該第1の層の前記感光層が設けた側と反対側に設けられ且つ屈折率n2を有する第2の層とを含み、前記第1の層および前記第2の層が、Ga、酸素、及び水素を含む層または非晶質炭素からなる層であり、且つ、下式(1)〜(3)を満たすことを特徴とする。但し、本実施形態に用いられる電子写真用感光体では、感光層として有機感光層が適用される。
・式(1) |n0−n2|>0.1
・式(2) n0<n1<n2、又は、n0>n1>n2
・式(3)
λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)≦d1≦3×λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)
式(1)〜式(3)中、n0は前記感光層の屈折率、n1は前記第1の層の屈折率、n2は前記第2の層の屈折率、d1は前記第1の層の膜厚(nm)、aは0以上の整数、λは静電潜像を形成する際に、前記電子写真用感光体表面に照射される光の波長(nm)を表す。ただし、式(1)〜式(3)中、n0、n1、n2は、式(3)中のλにおける屈折率を表す。
ここで、屈折率n0は、感光層が複数の層から構成される場合(例えば、電荷輸送層と電荷発生層とから構成される場合)には、表面層側に設けられた層の屈折率を意味する。
また、屈折率n0、n1、n2は、静電潜像形成時に感光体に照射される光の波長(通常は、レーザーや発光ダイオードなどの単色光源の波長を意味するが、波長に広がりがある場合は強度が最大となる波長)における屈折率であり、吸収を伴う媒質において、複屈折率n=n+ikにおける実部nを意味する。
なお、屈折率は、J.A.WOOLLAM社製分光エリプソメーターM−2000を用いて波長範囲1500nmから200nmの範囲で3つの入射角でΔ、ψ(エリプソメトリーで測定される偏光状態を示すパラメタで、それぞれs、p偏光成分の位相、振幅に関するパラメタ)を測定し、解析ソフトWVAS32で解析して複素屈折率の実部nと虚部k、さらに膜厚dを求めた。試料にはSi基板に測定対象となる層のみを、感光体を作製する場合と同一条件で成膜したサンプルを用いた。
また、各層の膜厚は、感光体の断面を走査型電子顕微鏡で観察して得られた画像から求めた。
上述したように本実施形態に用いられる感光体は、表面層が2層構成からなり、且つ、式(1)〜式(3)を満たすように各層の屈折率や膜厚を設定することにより、表面が偏磨耗した場合でも感光体面内の露光電位ムラを抑制する。この効果が達成される原理を以下に図面を用いて説明する。
図8は、感光層表面に単層構成の表面層が設けられた従来の感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、具体体には露光光の干渉状態を説明する図である。ここで、図8中、100は感光体、110は感光層、120は表面層(単層表面層)、n0は感光層110の屈折率、nsは表面層120の屈折率、dsは表面層120の膜厚、R0sは感光層110と表面層120との界面で反射された反射光成分、Rsaは表面層120表面で反射された反射光成分を表し、n0≠nsである。
図8に示す感光体100では、膜厚dsにも依存するものの、反射光成分R0sの位相とRsaの位相とが、反位相の関係であれば弱めあい、両反射光成分の位相が完全に同位相であれば強めあう。表面層の偏磨耗が進行すれば、このような干渉の効果で感光体面内で場所によって入射光の透過率が変動する。それゆえ、n0とnsとの差が大きければ、結果として感光体面内で露光電位ムラが生じることになる。
図1は、感光層表面に2層構成の表面層が設けられた本実施形態に用いられる感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、具体体には露光光の干渉状態を説明する図である。ここで、図1中、102は感光体、110は感光層、121は第1の層、122は第2の層、123は表面層(第1の層121および第2の層122から構成される2層表面層)、n0は感光層110の屈折率、n1は第1の層121の屈折率、n2は第2の層122の屈折率、d1は第1の層121の膜厚、d2は第2の層122の膜厚、R01は感光層110と第1の層121との界面で反射された反射光成分、R12は第1の層121と第2の層122との界面で反射された反射光成分、R2aは第2の層122表面で反射された反射光成分を表し、n0、n1、n2は、n0>n1>n2又はn0<n1<n2なる関係を満たす。
図1に示す感光体102では、膜厚d1、d2にも依存するものの、3つの反射光成分R01、R12およびR2a間で干渉が生じることになる。
ここで、反射光成分R01の位相とR12の位相とが反位相であると仮定した場合、(1)反射光成分R2aの位相とR12の位相とが同位相であれば、これら両反射光成分に対してR01が反位相となり、(2)反射光成分R2aの位相とR01の位相とが同位相であれば、これら両反射光成分に対してR12が反位相となる。このため、表面層123の偏磨耗が進行しても、磨耗が第2の層122の範囲内に留まる限り、図8に例示した場合のように全ての反射光成分の位相が全て同位相となることがなく、いずれか1成分は干渉を抑制する方向に作用する。従って、n0とn2との差が大きくなったとしても、結果として感光体面内での露光電位ムラの発生が抑制されることになる。また、この効果は、反射光成分R01の位相とR12の位相とが完全に反位相でなくても、ある程度干渉を打ち消しあう関係であれば得られる。
なお、同様の考え方は、表面層が3層以上の多層構成からなる場合や、表面層の膜厚方向に対して感光層側から表面層表面側へと屈折率が連続的に変化(増加又は減少)する傾斜構造を有する層構成からなる場合にも適用してよい。
次に、上記式(1)〜式(3)についてより詳細に説明する。
本実施形態に用いられる感光体においては、式(1)に示されるように感光層の屈折率n0と、第2の層の屈折率n2との絶対値の差(以下、「Δn」と称す場合がある)が0.1より大きいことが必要である。本実施形態の解決課題である表面層の膜厚ムラに起因して発生する感光体面内の露光電位ムラは、感光層および表面層間で屈折率にある程度の差がなければ生じ得ないためである。
ここで、式(1)を満たす屈折率差は、通常、第2の層が公知の表面層用材料から構成され、且つ、感光層も公知の感光層用材料から構成される場合、両者の組み合わせの殆どにおいて満たされる。代表的には、感光層が有機感光層用材料又は無機感光層用材料から構成され、第2の層が既述した表面層用の無機材料から構成される場合が挙げられる。
それゆえ、Δnは0.1より大きいことが必要であるが、0.2以上であることが好ましい。
また、式(2)に示されるように、感光層、第1の層、および第2の層各々の屈折率n0、n1、およびn2は、この順に増加又は減少する関係を満たすことが必要である。なお、式(2)を満たさない場合は、単層より強い干渉を生じることになるため、効果は得られない。
また、3つの反射光成分の干渉抑制効果を最大とするためには、下式(4)に示されるように屈折率n1が、屈折率n0と屈折率n2との平均値前後の値を取りうることが好ましい
・式(4)
(n0+n2)/2―|(n0−n2)/4|≦n1≦(n0+n2)/2+|(n0−n2)/4|
上記式(4)中、n0は前記感光層の屈折率、n1は前記第1の層の屈折率、n2は前記第2の層の屈折率である。
屈折率n1が、上記範囲を外れる場合には、3つの反射光成分の干渉抑制効果が得られなくなる場合があり、結果として感光体面内で露光電位ムラが生じる場合がある。
なお、n1は、(n0+n2)/2−|(n0−n2)/8|以上、(n0+n2)/2+|(n0−n2)/8|以下の範囲がより好ましい。
また、本実施形態に用いられる感光体では第1の層の膜厚d1が上記式(3)を満たすことが必要である。静電潜像を形成する際に感光体表面に照射される光の波長(露光波長)λの第1の層中における1周期に相当する長さはλ/(2×n1)である。それゆえ、この値を整数倍した値前後の値(すなわち、式(3)を外れる範囲の値)を膜厚d1が取りえる場合には、3つの反射光成分R01、R12およびR2a間で干渉を打ち消しあう効果が不十分となるため、感光体面内で露光電位ムラが発生する。
ここで、膜厚d1〔nm〕は、式(3)に示されるように、λ/(8×n1)+a×λ/(2×n1)≦d1≦3×λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)の範囲であることが必要であるが、3×λ/(16×n1)+ a×λ/(2×n1)≦d1≦5×λ/(16×n1)+a×λ/(2×n1)の範囲が好ましく、λ/(4×n1)+a×λ/(2×n1)が最も好ましい。
また、式(3)中、aは0以上の整数であれば特に限定されないが、例えば必要とする第2の層の厚さに応じて選択でき、第2の層に比べて第1の層が、機械的特性、光透過性、電気伝導性などにおいて劣る場合には、特性上a=0とすることが好ましい。
なお、第2の層の膜厚d2は特に限定されるものではなく、第2の層の機械的耐久性や、磨耗代の確保、光の吸収損失の抑制等の観点から選択できるが、第2の層が無機材料から構成される場合には50nm以上2000nm以下の範囲が好ましく、100nm以上1000nm以下の範囲がより好ましい。膜厚d2が50nm未満では磨耗代が少なすぎるために、感光体を長期に渡って使用した場合に磨耗が第1の層まで進行してしまうことがある。このように磨耗が第1の層まで進行した箇所では、図8に示すように感光層上に単層の保護膜を設けた場合と同様の状態となるため感光体面内で露光電位ムラが発生することになる。膜厚d1が2000nmを超える場合には、第2の層に起因する光の吸収損失が大きくなる場合がある。
一方、第2の層が樹脂や、樹脂マトリックス中にフィラーを分散させた構成からなる場合には、上述と同様の観点から、膜厚d1は100nm以上20000nm以下の範囲が好ましく、1000nm以上10000nm以下の範囲がより好ましい。
なお、本発明は、均一に成膜された表面層が、偏摩耗により膜厚差を生じる場合において効果を発揮するが、成膜時の膜厚ムラに起因する膜厚差に対しても効果を有する。
−感光体の層構成−
次に、本実施形態に用いられる感光体の層構成について説明する。
本実施形態に用いられる感光体は、感光層と、該感光層表面に設けられた表面層とを有し、この表面層が第1の層および第2の層を含むものであれば特に限定されない。なお、通常、感光層は導電性(電気抵抗が体積抵抗率で1013Ωcm未満の範囲。以下同様)を有する基体(以下、「導電性基体」と略す)上に設けられ、導電性基体および感光層間には必要に応じて下引層等の中間層を設けてもよい。
また、感光層は、2層以上であってもよく、更に、機能分離型であってもよい。さらに、本実施形態に用いられる感光体は、感光層が有機感光材料等の有機高分子を含むいわゆる有機感光体である。以下、本実施形態に用いられる感光体の層構成の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図2は、本実施形態に用いられる感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図2中、1は導電性基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、3は表面層を表す。なお、図2中、表面層3を構成する第1の層および第2の層については記載を省略してある(以下、図3においても同じ)。
図2に示す感光体は、導電性基体1上に、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。
図3は、本実施形態に用いられる感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図3中、6は感光層を表し、他は、図2中に示したものと同様である。
図3に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、感光層6、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図2に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
なお、感光層2、及び感光層6は、有機高分子から形成されたものである。
−有機感光体−
次に、本実施形態に用いられる感光体としての有機感光体概要を説明する。
有機感光層を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでも良い。
有機感光体の有機感光層は、図2に示すように電荷発生層と電荷輸送層に分かれた機能分離型でも良いし、図3に示すように機能一体型であってもよい。機能分離型の場合には感光体の表面側に電荷発生層を設けたものでも良いし、表面側に電荷輸送層を設けたものでも良い。
−表面層−
次に、表面層についてより詳細に説明する。
感光層表面に設けられる表面層は、記述したように第1の層と第2の層とを含むものであれば特に限定されない。
なお、本実施形態に用いられる感光体は、感光層、第1の層および第2の層の屈折率や膜厚を、上記式(1)〜式(3)を満たすように組み合わせることにより、これらの層間の界面からの反射光成分の干渉を抑制して、感光体面内の露光電位ムラの発生を抑制するものであるが、この効果の発揮を阻害しない範囲であれば、例えば、表面層の下層側(すなわち、感光層および表面層間)や、第1の層および第2の層間に中間層を設けることができる。この中間層の屈折率は特に限定されないが、上述した効果の発揮を阻害しないという観点からその膜厚は、中間層の屈折率にもよるが50nm以下であることが好ましく、25nm以下であることがより好ましい。
表面層の表面側を構成する第2の層を構成する材料としては、感光体用の表面層として用いられている材料が利用できる。この材料としては、優れた機械的耐久性を有する点から、例えば、非晶質炭素等の炭素系材料、酸化アルミや、酸化ガリウム等の酸化物系材料、窒化炭素等の窒化物系材料などを利用することが好ましい。
本発明でいう非晶質炭素とは、主に炭素と水素で構成される非晶質のカーボン硬質膜のことで、水素濃度は60%以下である。一般に含有水素量が小さく、sp3炭素成分比が大きいほど、よりダイヤモンドライクになり、硬質となる。
また、これらの材料の中でも、非晶質炭素や、Ga、酸素および水素を含む材料を用いることがより好ましい。これは、感光層が有機感光層からなる場合において、式(2)や式(4)を満たすことがより容易であるため、結果として感光体面内で露光電位ムラがより容易に抑制されるためである。さらに、感光体残留電位のサイクルアップも抑制する点も考慮すれば、特にGa、酸素および水素を含む材料を用いることが好ましい。また、これらの無機材料から構成される第2の層は、非晶性あるいは結晶性のいずれでもよい。
なお、参考までに述べれば、上述した材料の屈折率は、組成や作製条件にも依存するが、例えばGa、酸素および水素を含む材料では1.7以上2.0以下程度の範囲であり、非晶質炭素では1.5以上2.4以下程度の範囲である。また、有機感光層の屈折率は、その組成等に依存するが、1.5以上1.75以下程度の範囲である
表面層の感光層側を構成する第1の層を構成する材料としても、上述した第2の層として利用できるものが挙げられる。なお、第2の層材料として第1の層と同じ組成系の材料を用いる場合には、第1の層の屈折率と第2の層の屈折率とが式(2)を満たせるように、第1の層を構成する材料の組成と第2の層を構成する材料の組成とが若干異なるように組成を選択したり、あるいは、同じ組成であってもその成膜条件が異なるように選択される。
また、表面層を構成する第1の層および第2の層のうち、基本的に耐摩耗性や機械的耐久性が最も要求されるのは、表面層表面を構成する第2の層である。このため、第1の層としては、上述した耐摩耗性や機械的耐久性に優れる無機材料以外の材料も必要に応じて用いることができる。この材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。
なお、感光層が有機感光層である場合の第1の層および第2の層の構成材料の好適な組み合わせとしては、例えば、(第1の層:第2の層)=(Ga、酸素および水素を含む材料:Ga、酸素および水素を含む材料)、(非晶質炭素:非晶質炭素)などが挙げられる
次に、表面層として、Ga、酸素および水素を含む材料を用いる場合についてより詳細に説明する。
Ga、酸素および水素を含む材料の組成としては特に限定されないが、(1)適度な電気伝導性を有することや、(2)表面層の膜厚が0.2μm程度を超えても感光体残留電位のサイクルアップが起こりにくいこと、(3)また、感光層が有機感光層(特にポリカーボネートを主成分とする有機感光層)である場合に、上記式(2)や上記式(4)に示す関係を満たすことが容易であることから、GaOx:H(x=1.1以上1.4以下)なる組成であることが特に好ましい。なお、この場合、上記式(2)や上記式(4)に示す関係を満たすことが容易である点から、感光層(多層構成の場合は表面層側の層)は、ポリカーボネートを主成分として含む有機感光層であることが好ましい。
GaOx:H(x=1.1以上1.4以下)系では、xを大きくすると電気抵抗が大きくなり屈折率が小さくなる。したがって、例えば、感光層として屈折率が1.65程度の有機感光層を形成し、かつ、表面層をこの系の材料で構成する場合、表面側の第2の層ではxを相対的に小さくし、感光層側の第1の層ではxを相対的に大きくすることにより、n2>n1>n0なる関係を満たされる。
なお、この場合、第1の層の電気抵抗が高くなるため、感光体の電気特性に悪影響を与えることも考えられるが、式(3)を満たす範囲で第1の層の膜厚d1をできる限り薄くすることで上述した問題の発生が抑制される。
また、GaOx:H(x=1.1以上1.4以下)系において、屈折率を制御する方法として、xを調整する以外にも炭素を添加する方法も挙げられる。この場合、屈折率をより小さくするには炭素の添加量を増加させる。したがって、例えば、感光層として屈折率が1.6程度の有機感光層を形成し、かつ、表面層をGaOx:H(x=1.1以上1.4以下)系にさらに炭素を加えた材料で構成する場合、表面側の第2の層では炭素量を相対的に小さくするかまたは炭素フリーとし、感光層側の第1の層では炭素量を相対的に大きくすることにより、n2>n1>n0なる関係を満たされる。
なお、炭素量の増加は機械的強度や耐摩耗性の低下を招くことがあるが、この特性の低下は、表面層の表面を構成しない第1の層で起こるため、感光体の短寿命化を招くこともない。
表面層における、ガリウムや酸素等の元素の含有量は、膜厚方向の分布も含めてラザフォードバックスキャッタリング(以下、「RBS」と称す)により以下のようにして求められる。
RBSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
なお、RBSの測定条件は、He++イオンビームエネルギーは2.275eV、検出角度160°、入射ビームに対してGrazing Angleは109°±2°である。
RBS測定は、具体的には以下のように行った。
まず、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。組成比及び膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定しても良い。深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度を向上させる。
ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度の3つの要素のみにより決まる。 測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
また、表面層中に含まれる水素量はハイドロジェンフォワードスキャタリング(以下、「HFS」という場合がある)により、以下のようにして求められる。
HFSは、加速器としてNEC社 3SDH Pelletron、エンドステーションとしてCE&A社 RBS−400を用い、システムとして3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。HFSの測定条件は、以下の通りである。
・He++イオンビームエネルギー:2.275eV
・検出角度:160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFS測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾うことが可能である。この時検出器を薄いアルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことが良い。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによって行う。
参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。白雲母は水素濃度が6.5原子%±1原子%であることが知られている。なお、最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行うことができる。
なお、深さ方向の元素組成データに関しては、表面からの深さプロファイルのデータを取得する方法、表面を真空中でスパッタリングなどによりエッチングしながら表面を測定する方法、断面サンプルを作製して、断面の組成マッピングにより測定する方法が考えられるが、それぞれの分析手法にあった方法を用いればよい。
−表面層の形成方法−
次に、表面層の形成方法についてより具体的に説明する。表面層の形成に際しては、プラズマCVD法、有機金属気相成長法、分子線エピタキシー法、スパッタリング法等の公知の気相成膜方法が利用できる。また、感光層側に設けられる第1の層が、硬質な無機材料から構成されない場合には、上述した成膜法以外にも浸漬塗布法などの公知の液相成膜法を利用することもできる。
表面層が、図1に例示した2層構成や、あるいは、3層以上の多層構成の場合には、各層毎に成膜条件や成膜方法を変えて成膜を実施することにより、上記式(2)に示す関係を満たすことができる。
また、表面層がその膜厚方向に対して屈折率が連続的に変化する構成を有する場合には、成膜時に時間と共に成膜条件を徐々に変化させることにより成膜を実施することができる。あるいは、膜厚方向に対する組成が同一である単層構成の表面層を形成した後に、表面層表面に対してイオン注入を行うことによって表面層膜厚方向に対して打ち込まれたイオンの濃度分布を設けることで、組成プロファイルを制御して膜厚方向に屈折率が連続的に変化する表面層を形成することができる。また、非晶質炭素は、He等のイオンや放射光を照射することによっても屈折率を変化させることができる。
以下、表面層の形成に用いる装置の一例を図面を示しつつ具体例を挙げて説明する。
図4は、本実施形態に用いられる感光体の表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図4(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図4(B)は、図4(A)に示す成膜装置のA1−A2間における模式断面図を表す。図4中、10は成膜室、11は排気口、12は基体回転部、13は基体ホルダー、14は基体、15はガス導入部、16はシャワーノズル、17はプラズマ拡散部、18は高周波電力供給部、19は平板電極、20はガス導入管、21は高周波放電部である。
図4に示す成膜装置において、成膜室10の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口11が設けられており、成膜室10の排気口11が設けられた側と反対側に、高周波電力供給部18、平板電極19および高周波放電部21からなるプラズマ発生装置が設けられている。
このプラズマ発生装置は、高周波放電部21と、高周波放電部21内に配置され、放電面が排気口11側に設けられた平板電極19と、高周波放電部21外に配置され、平板電極19の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部18とから構成されたものである。なお、高周波放電部21には、高周波放電部21内にガスを供給するためのガス導入管20が接続されており、このガス導入管20のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、図4に示す成膜装置に設けられたプラズマ発生装置の代わりに、図5に示すプラズマ発生装置を用いてもよい。図5は、図4に示す成膜装置において利用することのできるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図であり、プラズマ発生装置の側面図である。図5中、22が高周波コイル、23が石英管を表し、ガス導入管20は、図4中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管23と、石英管23の外周面沿って設けられた高周波コイル22とからなり、石英管23の一方の端は成膜室10(図5中、不図示)と接続されている。また、石英管23のもう一方の端には、石英管23内にガスを導入するためのガス導入管20が接続されている。
平板電極19の放電面側には、放電面と略平行な棒状のシャワーノズル16が接続されており、シャワーノズル16の一端は、ガス導入管15と接続されており、このガス導入管15は成膜室10外に設けられた不図示の第2のガス供給源と接続されている。
また、成膜室10内には、基体回転部12が設けられており、円筒状の基体14が、シャワーノズルの長手方向と基体14の軸方向とが略平行に対面するように基体ホルダー13を介して基体回転部12に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部12が回転することによって、基体14が周方向に回転させられる。なお、基体14としては、予め感光層まで積層された感光体が用いられる。
次に、図4に示す成膜装置を用いた表面層の形成例として、表面層が、ガリウムと酸素と水素とを含む材料からなる場合を例として説明する。
この場合、まず、He希釈OとHの混合ガスをガス導入管20から高周波放電部21内に導入すると共に、高周波電力供給部18から平板電極19に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極19の放電面側から排気口11側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部17が形成される。
次に、水素をキャリアガスとして用いて水素希釈したトリメチルガリウムガスをガス導入管15、シャワーノズル16を介して成膜室10に導入することによって、基体14表面に水素と酸素とガリウムとを含む膜を成膜することができる。
成膜時の表面層の形成温度は特に限定されないが、アモルファスシリコン感光体を作製する場合には50℃から350℃で形成することが好ましく、有機感光体を作製する場合には、20℃から100℃で形成することが好ましい。
有機感光体を作製する場合において、表面層の成膜時の基体温度は、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。基体温度が150℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、この影響を考慮して基体温度を設定することが好ましい。
基体温度は図示していない方法で制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体14を加熱する場合にはヒータを基体14の外側や内側に設置しても良い。基体14を冷却する場合には基体14の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
放電による基体温度の上昇を避けたい場合には、基体14表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
また、表面層中に水素を添加する場合には、ガス導入管15,20から、水素ガスを導入してもよい。この場合、窒素やトリメチルガリウムガス等の表面層を構成する必須の構成成分を含むガスと共に混合して導入することができる。
また、表面層には、導電型を制御するためにドーパントを添加することができる。
成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としてはn型用としてはSiH3,SnH4を、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、などをガス状態で使用できる。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することもできる。
具体的には、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入管15、シャワーノズル16を介して成膜室10内に導入することによってn型、p型等任意の導電型の表面層を得ることができる。
図4に示す成膜装置のプラズマ発生手段は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いたり、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置をもちいてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でも良い。
さらに、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起できるようにする必要がある。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けても良い。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種類のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図4に示す成膜装置を例に上げれば、シャワーノズル16を電極として成膜室10内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用できる。この場合、ガス導入管15を介して、シャワーノズル16に高周波電圧を印加して、シャワーノズル16を電極として成膜室10内に放電を起こさせることができる。
あるいは、シャワーノズル16を電極として利用する代わりに、成膜室10内の基体14およびプラズマ拡散部17間に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して、成膜室10内に放電を起こさせることもできる。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(70000Pa以上110000Pa以下)で行っても良い。
−導電性基体および感光層−
次に、本実施形態に用いられる電子写真感光体を構成する導電性基体および感光層の詳細や、必要に応じて設けられる下引層等の詳細について、本実施形態に用いられる感光体が機能分離型の感光層を有する有機感光体用である場合について説明する。
−導電性基体−
導電性基体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体として金属製パイプ基体を用いる場合、当該金属製パイプ基体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基体表面を粗面化しておいてもよい。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラが抑制される。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
特に、感光層との密着性向上や成膜性向上の点で、以下のようにアルミニウム基体の表面に陽極酸化処理を施したものを導電性基体として用いることが好ましい。
以下、表面に陽極酸化処理を施した導電性基体の製造方法について説明する。まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS H4080(2006) 合金番号1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10質量%以上20質量%以下、浴温:5℃以上25℃以下、電流密度:14A/dm以上4A/dm以下、電解電圧:5V以上30V以下、処理時間:5分以上60分以下程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
このようにしてアルミニウム基体上に成膜された陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高く、表面が非常に不安定であるため、皮膜形成後にその物性値が経時的に変化しやすくなっている。この物性値の変化を防止するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが行われる。封孔処理の方法には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。これらの方法のうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最もよく用いられる。
このようにして封孔処理が行われた陽極酸化皮膜の表面には、封孔処理により付着した金属塩等が過剰に残留している。この金属塩等が基体の陽極酸化皮膜上に過剰に残存すると、陽極酸化皮膜上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまう傾向にあるため、この基体を感光体に用いて画像を形成した場合に地汚れの発生原因になる。
そこで、封孔処理に引き続き、封孔処理により付着した金属塩等を除去するために陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。洗浄処理は純水により基体の洗浄を1回行うことでも構わないが、多段階の洗浄工程により基体の洗浄を行うのが好ましい。この際、最終の洗浄工程における洗浄液としては、可能な限りきれいな(脱イオンされた)洗浄液が用いられる。また、多段階の洗浄工程のうち、いずれか1工程において、ブラシ等の接触部材を用いた物理的なこすり洗浄を施すことがよりさらに好ましい。
以上のようにして形成される導電性基体表面の陽極酸化皮膜の膜厚は、3μm以上15μm以下程度の範囲内であることが好ましい。陽極酸化皮膜上には多孔質陽極酸化膜のポーラスな形状の極表面に沿ってバリア層といわれる層が存在する。バリア層の膜厚は本実施形態に用いられる感光体においては1nm以上100nm以下の範囲内であることが好ましい。以上のようにして、陽極酸化処理された導電性基体が得られる。
このように得られた導電性基体は、陽極酸化処理により基体上に成膜された陽極酸化皮膜が高いキャリアブロッキング性を有している。そのため、この導電性基体を用いた感光体を画像形成装置に装着して反転現像(ネガ・ポジ現像)を行う場合に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を抑制するとともに、接触帯電時に生じやすい接触帯電器からの電流リーク現象も抑制する。また、陽極酸化皮膜に封孔処理を施すことにより、陽極酸化皮膜の作製後における物性値の経時変化が抑制される。また、封孔処理後に導電性基体の洗浄を行うことにより、封孔処理により導電性基体表面に付着した金属塩等を除去することができ、この導電性基体を用いて作製した感光体を備えた画像形成装置により画像を形成した場合に地汚れの発生が抑制される。
−下引層−
次に、下引層について説明する。下引層を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いてもよい。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独または2種以上を混合したり、さらに上述の結着樹脂と混合して用いてもよい。
有機シリコン化合物(シリコン原子を含有する有機金属化合物)としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が好ましく使用される。
有機ジルコニウム化合物(ジルコニウムを含有する有機金属化合物)としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物(チタンを含有する有機金属化合物)としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(アルミニウムを含有する有機金属化合物)としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
また、下引層を形成するための下引層形成用塗布液に用いる溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお2種以上の溶媒を混合する場合に使用できる溶媒としては、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば、いかなるものでも使用することができる。
下引層の形成は、まず、下引層用塗布剤および溶媒を分散及び混合して調合された下引層形成用塗布液を用意し、導電性基体表面に塗布することにより行う。下引層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、リング塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。下引層を形成する場合には、その膜厚は0.1μm以上3μm以下の範囲内となるように形成することが好ましい。下引層の膜厚をこの膜厚範囲内とすることにより、電気的な障壁を過剰に強くすることなく減感及び繰り返しによる電位の上昇が抑制される。
このようにして導電性基体上に下引層を形成することにより、下引層上に形成される層を塗布形成する際の濡れ性の改善が図られるとともに、電気的なブロッキング層としても機能する。
上記により形成された下引層の表面粗さは、使用される露光用の光の波長λの1/(4n)倍(但し、nは下引層よりも外周側に設けられる層の屈折率)以上1倍以下程度の範囲内の粗度を有するように調整してもよい。表面粗さの調整は、下引層形成用塗布液中に樹脂粒子を添加することにより行われる。これにより下引層の表面粗さを調整して作製した感光体を画像形成装置に用いた場合に、露光用光源による干渉縞像がより抑制される。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
また、下引層形成用塗布液に、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を加えることも好ましい。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウムキレート化合物の具体例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの添加物は、単独で用いることもできるが、複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることもできる。
また、上述した下引層形成用塗布液には、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させておくことが好ましい。電子受容性物質の具体例としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体がより好ましく用いられる。これにより、感光層における光感度の向上や残留電位の低減を図るとともに、繰り返し使用した場合の光感度の劣化を低減することができ、下引層に電子受容性物質を含む感光体を備えた画像形成装置により形成したトナー像の濃度ムラを抑制する。
また、上述した下引層用塗布剤の代わりに下記に示す分散型下引層用塗布剤を用いることも好ましい。これにより、適度に下引層の抵抗値を調整することにより残留電荷の蓄積を防ぐとともに、下引層の膜厚をより厚くすることが容易となるため感光体の耐リーク性、特に接触帯電時のリークも抑制される。
この分散型下引層用塗布剤としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散したものが挙げられる。導電性金属酸化物としては、平均1次粒径0.5μm以下の金属酸化物粒子が好ましく用いられる。平均1次粒径が大きすぎる場合には局部的な導電路形成を起こしやすく、電流のリークが発生しやすく、その結果かぶりの発生や帯電器からの大電流のリークが生じる場合がある。下引層はリーク耐性の向上のために適切な抵抗値に調整されることが必要である。そのため、上述の金属酸化物粒子は、10Ω・cm以上1011Ω・cm以下程度の粉体抵抗を有することが好ましい。
なお、上記範囲の下限よりも金属酸化物粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こす場合ある。従って、中でも上記の範囲内の抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粒子がより好ましく用いられる。また、金属酸化物粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物粒子にカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体の抵抗制御が容易となる。この際使用可能なカップリング剤としては上述の下引層形成用塗布液と同様の材料を用いることができる。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して用いることもできる。
この金属酸化物粒子の表面処理においては、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物粒子表面にカップリング剤が吸着させられる。次に、金属酸化物粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって金属酸化物粒子表面が処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物粒子と堅固な化学反応を起こさせる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で選択してよい。
湿式法を用いる場合においては、乾式法と同様に、まず、金属酸化物粒子の表面吸着水を除去する。この表面吸着水を除去する方法として、乾式法と同様の加熱乾燥の他に、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等を実施できる。次に、金属酸化物粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、カップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで金属酸化物粒子表面が処理される。溶剤除去した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
金属酸化物粒子に対する表面処理剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であることが必須である。電子写真特性は表面処理後に金属酸化物粒子に表面処理剤が付着している量によって影響される。シランカップリング剤の場合、その付着量は蛍光X線分析により測定される(シランカップリング剤に起因する)Si強度と、使用されている金属酸化物の主たる金属元素強度とから求められる。この蛍光X線分析により測定されるSi強度は用いられる金属酸化物の主たる金属元素強度の1.0×10−5倍以上1.0×10−3倍以下の範囲であることが好ましい。この範囲を下回った場合、かぶりなどの画質欠陥が発生しやすく、この範囲を上回った場合、残留電位の上昇による濃度低下が発生しやすくなる場合がある。
分散型下引層用塗布剤に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
上述した方法により表面処理された金属酸化物粒子を結着樹脂に分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が用いた方法が挙げられる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層を形成する方法と同様に行うことができる。
−感光層:電荷輸送層−
次に、感光層について、電荷輸送層と電荷発生層とに分けてこの順に以下に説明する。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、結着樹脂は、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものであることが望ましい。
この結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件に応じて選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000以上30万以下の範囲内が好ましく、2万以上20万以下の範囲内がより好ましい。
電荷輸送層は、上記電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥することによって形成してもよい。電荷輸送層形成用塗布液の形成に使用される溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1乃至1:5の範囲内が好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般に5μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましく、10μm以上40μm以下の範囲であることがより好ましい。
電荷輸送層および/または後述する電荷発生層は、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤では、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
なお、有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われるもので、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより酸化防止効果を相乗的により高めるられる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル 5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロ ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
電荷輸送層は、上記に示した電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥させることによって形成してもよい。電荷輸送層形成用塗布液の調整に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2ーブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或るいは直鎖状エーテル等、あるいはこれ等の混合溶媒を用いることができる。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1乃至1:5であることが好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般には5μm以上50μm以下の範囲内とすることが好ましく、10μm以上30μm以下の範囲内がより好ましい。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布は、感光体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での乾燥の後に加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥は、30℃以上200℃以下の温度域で5分以上2時間以下の範囲の時間で行うことが望ましい。
−感光層:電荷発生層−
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型を用いてもよい。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が好ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアを発生させる。
更にフタロシアニン化合物の中でも、下記(1)〜(3)に示すフタロシアニンがより好ましい。すなわち、
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
これらのフタロシアニン化合物は、特に、光感度が高いだけでなく、その光感度の安定性も高いため、これらフタロシアニン化合物を含む感光層を有する感光体は、高速な画像形成及び繰り返し再現性が要求されるカラー画像形成装置の感光体として好適である。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度や位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断される。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いてもよい。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、質量比で、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。また電荷発生層の厚みは、一般には0.01以上5μmの範囲内であることが好ましく0.05以上2.0μmの範囲内であることがより好ましい。
また電荷発生層は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピークリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。2種類以上の溶媒を混合して用いる場合には、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば使用することができる。但し、感光層が、導電性基体側から、電荷輸送層と電荷発生層とをこの順に形成した層構成を有する場合に、浸漬塗布のように下層を溶解しやすい塗布方法を利用して電荷発生層を形成する際には、電荷輸送層等の下層を溶解しない溶媒を用いることが望ましい。また、比較的下層の侵食性の少ないスプレー塗布塗布法やリング塗布法を利用して電荷発生層を形成する場合には溶媒の選択範囲が広げられる。
(プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本実施形態に用いられる感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本実施形態に用いられるプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に対して脱着可能であり、かつ、本実施形態に用いられる感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本実施形態に用いられる感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段および除電手段からなる群より選択される少なくとも一つとを一体に有し、画像形成装置本体に脱着可能である構成を有するものであることが好ましい。
また、本実施形態の画像形成装置は、本実施形態に用いられる感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本実施形態に用いられる感光体と、この感光体表面を帯電する帯電手段と、帯電された感光体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、感光体表面に現像剤を付与して静電潜像を現像し、トナー像を形成するトナー像形成手段と、トナー像を感光体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、トナー像が記録媒体表面に定着する定着手段とを、トナー像を感光体表面から記録媒体表面に転写した後の感光体表面をクリーニングするクリーニング手段と、備えたものであることが好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよく、この場合、全ての感光体が本実施形態に用いられる感光体であることが好ましい。また、中間転写ベルトや中間転写ドラムなどの中間転写体を備えていてもよい。この場合、トナー像は、感光体表面から中間転写体表面へと1次転写された後、中間転写体表面から記録媒体表面へと2次転写される。
また、本実施形態に用いられる感光体は、偏磨耗が発生しても感光体面内の露光電位ムラを抑制することが容易である。このため、画像形成装置が、感光体表面の偏磨耗が発生し易い態様(すなわち、感光体の周囲に感光体と接触する部材が配置された構成や、感光体の磨耗が起こりやすい現像剤の利用など)であっても、感光体面内の露光電位ムラを抑制することが容易である。この観点からは、帯電手段としては、帯電ロールを用いることが好ましく、クリーニング手段としては、クリーニングブレードを用いることが好ましい。また、中間転写体を用いることも好ましい。さらに、現像剤を構成するトナーには、外添剤として、シリカや酸化セリウムなどの硬質で研磨性能の高い粒子を用いることが好ましい。
次に、画像形成装置の具体例を図面を用いてより詳細に説明する。図7は、本実施形態画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図7に示すように、本実施形態の画像形成装置82は、所定方向(図7中、矢印D方向)に回転する電子写真用感光体80を備えている。電子写真用感光体80の周囲には、電子写真用感光体80の回転方向に沿って、帯電ロール(帯電手段)84、露光装置(露光手段)86、現像装置(現像手段)88、転写装置(転写手段)89、除電装置81、及びクリーニング装置87が設けられている。
帯電ロール84は、電子写真用感光体80の表面を所定電位に帯電する。露光装置86は、帯電ロール84によって帯電された電子写真用感光体80の表面を露光することにより、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置88は、静電潜像を現像するためのトナーを含む現像剤を予め貯留すると共に、貯留された現像剤を電子写真用感光体80表面に供給することにより静電潜像を現像してトナー像を形成する。
転写装置89は、電子写真用感光体80上に形成されたトナー像を、電子写真用感光体80および転写装置89間で記録媒体83を挟持搬送することにより、記録媒体83に転写する。記録媒体83に転写されたトナー像は、図示を省略する定着装置によって記録媒体83表面に定着される。
除電装置81は、電子写真用感光体80表面に付着した帯電されている付着物を除電する。クリーニング装置87は、電子写真用感光体80の表面に接触するように設けられたクリーニングブレードを備え、クリーニングブレードと電子写真用感光体80表面との摩擦力によって、表面の付着物を除去する。
なお、図7に示す実施形態において、感光体80と、帯電ロール84、現像装置88、クリーニング装置87、除電装置81からなる群より選択される少なくとも一つとからなる部分が一体となって構成された部分(プロセスカートリッジ)が、画像形成装置82本体に対して脱着自在であってもよい。
(受光素子)
なお、本実施形態に用いられる感光体は、電子写真用途以外の受光素子としても利用できる。この場合、表面層が摺擦に曝される態様で利用される用途であることが好適である。また、感光層は、既述した電子写真用に特化された構成を有するものでなくてもよい。
以下に本発明を、実施例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(感光体A1の作製)
−下引層の形成−
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製試作品)100質量部をトルエン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名:KBM603、信越化学社製)1.5質量部を添加して2時間攪拌した。その後、減圧蒸留によりトルエンを留去し、150℃で2時間焼き付けを行った。
このようにして表面処理を施した酸化亜鉛60質量部、硬化剤(ブロック化イソシアネート、商品名:スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)15質量部及びブチラール樹脂(商品名:エスレック BM−1、積水化学社製)15質量部をメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部に、メチルエチルケトン25質量部を混合して被処理液を得た。
次に、水平型メディアミル分散機(KDL−PILOT型、ダイノーミル、シンマルエンタープライゼス社製)を用いて以下の手順で分散処理を行った。分散機のシリンダー及び撹拌ミルはジルコニアを主成分としたセラミックスで構成されている。このシリンダーに直径1mmのガラスビーズ(ハイビーD20、株式会社オハラ製)をかさ充填率80%で投入し、攪拌ミルの周速を8m/分、被処理液の流量を1000mL/分として、循環方式により分散処理を行った。被処理液の送液にはマグネットギヤポンプを用いた。
上記分散処理において、所定時間経過後に被処理液の一部をサンプリングし、成膜時の透過率を測定した。すなわち、被処理液をガラスプレート上に膜厚20μmとなるように塗布し、150℃で2時間の硬化処理を行って塗膜を形成させた後、分光光度計(U−2000、日立社製)を用いて波長950nmの透過率を求めた。そして、この透過率(膜厚20μmに対する値)が70%を超えた時点で分散処理を終了した。
このようにして得られた分散液に、触媒としてジオクチルスズジラウレート0.005質量部及びシリコーンオイル(商品名:SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.01質量部を添加し、下引層用塗布液を調製した。この塗布液を浸漬塗布法にて直径30mm、長さ404mm、肉厚1mmのアルミニウム基体上に塗布し、160℃、100分の乾燥硬化を行い、膜厚20μmの下引層を形成させた。
−感光層の形成−
まず、電荷発生物質として、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4゜,16.6゜,25.5゜,28.3゜の位置に回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂として塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:VMCH、日本ユニカー社製)10質量部、及びn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散処理し、電荷発生層用塗布液を得た。得られた分散液を下引層上に浸漬塗布し、乾燥させて、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成させた。
さらに、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1’]ビフェニル−4,4’−ジアミン4質量部及びビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40000)6質量部をクロルベンゼン80質量部に加えて溶解して電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成させ、有機感光体(ノンコート感光体)を得た。ここで、有機感光層の屈折率測定用の試料として、10mm×10mmのアルミ蒸着PETフィルム(東レフィルム株式会社製、メタルミ―、S(#25))を粘着テープでドラムに貼り付け、同様に電荷輸送層を塗布した有機感光層の参照試料を作製した。
−表面層の形成−
<第1の層>
続いて、図4に示す成膜装置を利用して、ノンコート感光体上にプラズマCVD法により表面層の形成を行った。
まず、ノンコート感光体を基体ホルダー13に取り付けて、成膜室10内に配置した後、成膜室10内を、圧力が1×10−2Paとなるまで真空排気した。次に、成膜室10に、表1に示す条件にてガスを供給した。ここで、H、N、He希釈酸素(4モル%)、CHに関してはガス導入管20から、水素希釈トリメチルガリウム(以下、「水素希釈TMG」と称する場合がある、トリメチルガリウム濃度10モル%)に関してはガス導入管15、シャワーノズル16を介して導入される。
この状態で、コンダクタンスバルブ(図中、不図示)を調整することにより、成膜室10内の圧力を表1に示した値に調整し、さらに高周波電力供給部18及びマッチングボックス(図中、不図示)により、13.56MHzのラジオ波を表1に示す出力値にセットし、チューナーでマッチングを取り反射波を0Wとして平板電極19から放電を行った。
この状態で、ノンコート感光体を40rpmの速度で回転させながら、表1に示す成膜時間で成膜を行い、第1の層を形成した。同じ条件で合計5回成膜を行なった。うち4回はノンコート感光体にそのまま成膜した。1回はノンコート感光体の軸方向中央に、単結晶シリコン基板(5mm×10mm:以下「Si基板」という場合もある)を粘着テープで貼り付け第1の層を製膜したSi参照試料A1-1を作製した。
<第2の層>
第1の層を成膜した感光体に、成膜条件を表1に示す条件に変更した以外は、第1の層を形成する場合と同様にして合計5回成膜を行い、第2の層を形成した。うち1回は、第1の層形成において、Si基板を貼り付けたものから、Si基板を取外し、さらに成膜させていない新しいSi基板を貼り付けて成膜を行なった。
これにより、感光体試料A1を4本と第1の層を製膜したSi参照試料、第2の層を製膜したSi参照試料を得た。
(感光体A2〜A11の作製)
ノンコート感光体としては、感光体A1の作製に用いたものと同様のものを準備した。続いて、第1の層および第2の層を形成する際の成膜条件を表1に示す条件に変更した以外は、感光体A1の場合と同様にして表面層を形成し、感光体A2〜A11を各々4本と第1の層を製膜したSi参照試料、第2の層を製膜したSi参照試料を各々得た。
(感光体B1〜B4の作製)
ノンコート感光体としては、感光体A1の作製に用いたものと同様のものを準備した。続いて、第1の層、第2の層、単層を形成する際の成膜条件を表1に示す条件に変更した以外は、感光体A1の場合と同様にして表面層を形成し、感光体B1〜B4を各々4本と第1の層を製膜したSi参照試料、第2の層を製膜したSi参照試料、単層を製膜したSi参照試料を得た。
感光体A1〜A11、感光体B1〜B4について有機感光層の参照試料、第1の層の参照試料、第2の層の参照試料を、分光エリプソメトリーで測定、解析し、それぞれの膜の屈折率と膜厚を得た。測定には、J. A. WOOLLAM社製分光エリプソメーターM−2000を用いて波長範囲1500nmから200nmの範囲で、3つの入射角でΔ、ψを測定し、解析ソフトWVAS32で解析して、複素屈折率の実部nと虚部k、さらに膜厚dを求めた。得られたそれぞれの層のn、dの結果を表2に示した。
以下の表1、表2に各感光体の表面層の成膜条件を示す。
Figure 0004692648



Figure 0004692648

(評価)
評価には富士ゼロックス社製の画像形成装置(DocuCenter Colar a450)を用いた。この装置は、感光体に接触する部材として中間転写ベルト、帯電ロールおよびクリーニングブレードを備えたものである。
評価に際しては、上述した感光体を取り付けた後、A4サイズの用紙(富士ゼロックス社製、P紙)を短手方向が給紙方向となるようにして、20℃50RH%環境下にて図6に示す画像パターンを連続的にプリントした。
なお、図6は、実施例の評価に用いたA4サイズの原稿画像の画像パターンを示す平面図である。ここで、図6に示す原稿画像200は、用紙の短手方向を基準とした時に、90%の長さ(188mm)を有するベタ画像210(ベタ部長さ90%画像)、および30%の長さ(62mm)を有するベタ画像部220(ベタ部長さ30%画像)の2つの画像パターンを有するものである。
プリントテストに際しては、それぞれの条件で4本作製した感光体をそれぞれプリント初期、3万枚後、6万枚後および9万枚後の状態で、ベタ部長さ90%画像部に対応する感光体表面の露光電位VL90(V)とベタ部長さ30%画像部に対応する感光体表面の露光電位VL30(V)との差(露光電位差ΔVL(V)=|VL90−VL30|)、を測定した。また、初期(1枚目)、3万枚後、6万枚後および9万枚後の各々における露光電位差ΔVLの最大値を最大露光電位ばらつき(ΔVLmax)として求めた。なお、露光電位および磨耗深さは以下に示す手順で測定した。
評価に用いた感光体の主要な特性値及び評価結果を表3に示す。
−露光電位−
画像形成装置に取り付けて所定枚数をプリントした後の表面層が形成された感光体を画像形成装置から取り出し、この感光体を40rpmで回転させながらスコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長:780nm、出力:5mW)を、感光体の表面に走査しながら照射した。
なお、この際の露光光量は、表面層形成前のノンコート感光体の上述と同様の条件で露光したときに、露光電位が―350Vとなる条件に設定した。
次に、感光体表面(ベタ部長さ90%画像部および30%画像部に対応する領域)の露光電位を測定した。露光電位の測定には、表面電位計(モデル344、トレック・ジャパン社製)と、測定領域幅10mmのプローブ(モデル555P−1、トレック・ジャパン社製)とを用いた。なお、測定に際しては、プローブと感光体との距離が2mmとなるようにプローブを配置し、感光体の周方向4点(0、90、180、270度の位置)における平均値を露光電位VL90、VL30として求めた。
−磨耗深さ−
電位測定後の感光体を表面と垂直方向に切り出し、高分子樹脂で表面を覆い埋め込んだ後にミクロトームにより切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子社製、JSM6340F、倍率:2万倍)で観察し、各試料の表面層膜厚d1+d2、またはdsを求めた。ここで、感光体の周方向4点(0、90、180、270度の位置)で観察を行い平均値を表面層膜厚とした。初期状態の感光体試料との表面層膜厚との差からそれぞれの摩耗深さを得た。
Figure 0004692648


1 導電性基体
2 感光層
2A 電荷発生層
2B 電荷輸送層
3 表面層
4 下引層
6 感光層
10 成膜室
11 排気口
12 基体回転部
13 基体ホルダー
14 基体
15 ガス導入管
16 シャワーノズル
17 プラズマ拡散部
18 高周波電力供給部
19 平板電極
20 ガス導入管
21 高周波放電部
22 高周波コイル
23 石英管
80 電子写真用感光体
81 除電装置
84 帯電ロール(帯電手段)
86 露光装置(露光手段)
88 現像装置(現像手段)
87 クリーニング装置
89 転写装置(転写手段)
100、102 感光体
110 感光層
120 表面層(単層表面層)
121 第1の層
122 第2の層
123 表面層(第1の層121および第2の層122から構成される2層表面層)
200 原稿画像
210、220 ベタ画像部

Claims (4)

  1. 露光光が照射されることにより電荷発生する有機感光層と、該有機感光層表面に設けられた表面層とを有し、前記表面層が、前記有機感光層側に設けられ且つ屈折率n1を有する第1の層と、該第1の層の前記有機感光層が設けた側と反対側に設けられ且つ屈折率n2を有する第2の層とを含み、前記第1の層および前記第2の層が、Ga、酸素、及び水素を含む層または非晶質炭素からなる層であり、且つ、下式()〜()を満たす電子写真用感光体と、
    該電子写真用感光体表面を帯電する帯電手段と、
    帯電された前記電子写真用感光体表面を露光して静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、
    前記電子写真用感光体表面に現像剤を付与して前記静電潜像を現像し、トナー像を形成するトナー像形成手段と、
    前記トナー像を前記電子写真用感光体表面から記録媒体表面に転写する転写手段と、
    前記トナー像が前記記録媒体表面に定着する定着手段と、
    前記トナー像を前記電子写真用感光体表面から記録媒体表面に転写した後の前記電子写真用感光体表面をクリーニングするクリーニング手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
    ・式() |n0−n2|>0.1
    ・式() n0<n1<n2、又は、n0>n1>n2
    ・式(
    λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)≦d1≦3×λ/(8×n1)+ a×λ/(2×n1)
    〔式(1)〜式(3)中、n0は前記有機感光層の屈折率、n1は前記第1の層の屈折率、n2は前記第2の層の屈折率、d1は前記第1の層の膜厚(nm)、aは0以上の整数、λは静電潜像を形成する際に、前記電子写真用感光体表面に照射される光の波長(nm)を表す。ただし、式()〜式()中、n0、n1、n2は、式()中のλにおける屈折率を表す。〕
  2. 前記帯電手段が、帯電ロールであることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  3. 前記クリーニング手段が、クリーニングブレードであることを特徴とする請求項または請求項に記載の画像形成装置。
  4. 中間転写体を備え、前記トナー像が、前記電子写真用感光体表面から前記中間転写体表面へと1次転写された後、前記中間転写体表面から前記記録媒体表面へと2次転写されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像形成装置。
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