JP2008076877A - 電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体、画像形成装置およびプロセスカートリッジ Download PDF

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Abstract

【課題】表面の機械的耐久性や耐酸化性に優れ、放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制できると共に、感度にも優れ、摺動に対する低摩擦や高撥水性、さらにこれらの特性を経時的に高いレベルで維持することが容易な電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層された電子写真感光体であって、前記表面層が、13族元素と、窒素および/または酸素と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有することを特徴とする電子写真感光体。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真方式により画像を形成する複写機等に用いられる電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置およびプロセスカートリッジに関するものである。
近年、電子写真法は、複写機やプリンター等に幅広く利用されている。このような電子写真法を利用した画像形成装置に使用される電子写真感光体(以下、「感光体」と称す場合がある)は、装置内で、様々な接触やストレスに曝されるため、これらに起因して劣化を招くが、その一方で、画像形成装置のデジタル化やカラー化にともなって高い信頼性が求められている。
例えば、感光体の帯電プロセスに着目した場合、以下のような問題がある。まず、非接触帯電方式では、放電生成物が感光体に付着して、画像ぼけなどが発生する。従って、感光体に付着した放電生成物を除去するために、例えば、現像剤中に研磨機能を持つ粒子を混合してクリーニング部でかきとるシステムが採用されたりする。この場合、感光体表面が磨耗により劣化する。一方、近年、接触帯電方式が広く使用されている。この方式においても感光体の磨耗が加速される場合がある。
このような背景から、電子写真感光体にはさらなる長寿命化が求められている。電子写真感光体の長寿命化には、耐磨耗性の向上が必要であるため、感光体表面の硬度を大きくすることが求められる。
しかしながら、表面が、硬度の高いアモルファスシリコンからなる感光体では、放電生成物の付着などが発生し、画像ボケや画像ながれが発生し易く、この現象は特に高湿時に顕著である。これは有機感光層を有する有機感光体の表面層に関しても同様である。
このような問題の発生を抑制するために、感光体の表面層として、炭素系の材料が用いられる場合が多い。
例えば、有機感光層上に、触媒CVD法を利用してアモルファスシリコンカーバイド表面保護層を形成する方法(例えば、特許文献1参照)、耐湿性や耐刷性を改善することを目的としてアモルファス炭素中に微量のガリウム原子を含有させる技術(例えば、特許文献2参照)、ダイヤモンド結合を有するアモルファス窒化炭素を用いる技術(例えば、特許文献3参照)、非単結晶の水素化窒化物半導体を用いる技術(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
しかしながら炭素系の膜;例えば水素化アモルファス炭素膜(a−C:H)や、これをフッ素化した膜(a−C:H,F)では、膜の硬度を向上させると、その一方で膜が着色してしまう傾向にある。従って、炭素系の膜からなる表面層が、使用により磨耗してくると、経時的にみた場合、表面層の光透過量が大きくなり、表面層内側に設けられた感光層の感度が高くなるという問題があった。また、表面層の面方向の磨耗が不均一に起こると、感光層の感度も不均一となるため、特に中間調の画像を形成する場合に、画像むらが発生し易くなるという問題があった。
一方、炭素系の薄膜材料の一般的な特性として、硬度の向上と透明性の向上とがトレードオフの関係にあることが知られている。これは、膜中の炭素の結合に着目した場合、硬度を高めるためには、ダイヤモンド型のsp3結合性を高める必要があるが、これらの膜の中には、光を吸収するグラファイト型のsp2結合が混在することが避けられない上に、グラファイト型のsp2結合の存在を膜中への水素の添加等により抑制しようとすると、透明性は向上するが膜質が有機的な膜となり硬度が低下してしまうからである。
また、近年、窒化炭素膜の研究開発も行われているが、ダイヤモンド膜やダイヤモンドライクカーボン膜等の従来から知られている炭素系薄膜以上の硬さや特性には至っていない。さらに硬く緻密な膜を得るためには、成膜時に、1000℃程度の加熱が必要である上に、放電電力を大きくしなければならない。しかし、かような高温や高エネルギーの放電条件を前提とした成膜方法は、特に有機感光体のような熱や放電によりダメージを受けやすい有機感光体への適用は困難であり、実用的ではない。
このように、硬度と透明性との両立という点では、従来の炭素系薄膜は感光体の表面層としては不充分である。一方、この点については、水素化アモルファス炭化ケイ素膜(a−SiC:H)が優れている。しかし、放電生成物の付着などで画像ボケや画像ながれが発生しやすいため、これらの発生を抑制するためにドラムヒータを使用する必要がある。
さらに、水素化窒化物半導体は、硬度と透明性には優れるものの、高湿環境下では、耐水性に欠け、実用性に劣る。
これらの問題に対しては、たとえば、フッ化マグネシウムを表面層に用いることが提案がされている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、フッ化マグネシウムは水や酸に溶解するため高湿雰囲気での耐湿性が不足する。
また本発明者は、リモートプラズマを用いた非単結晶III族窒化物化合物半導体を用いた電子写真感光体の表面層を提案した(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、非単結晶III族窒化物化合物半導体を有機感光体の表面層とする場合には、基板温度と成長表面温度が異なるため有機高分子表面が熱で損傷を受ける問題があり、本来の有機高分子フィルムなどの透明で平滑な特性を生かすことができなかった。また電荷輸送層が劣化して、光応答を示さなくなるという問題があった。
一方、上述したような気相中での成膜を利用して表面層を形成する方法に対して、塗布法により表面層を形成する方法も提案されている。中でも、耐磨耗性を向上させるために、シロキサン結合を有する高分子化合物を用いたものを表面層に用いることが知られている。しかしながら、このような材料からなる表面層は、気相成膜を利用して形成された表面層と比較すると硬度が低い。このため、経時的に、感光体表面に傷が発生したり磨耗が進行した場合に、表面の付着性が増加して、トナーが感光体表面に付着することにより感光体の寿命が低下するという問題がある。
特開2003−316053号公報 特開2−110470号公報 特開2003−27238号公報 特開平11−186571号公報 特開2003−29437号公報
このように、感光体の表面層としては、高い硬度と優れた透明性を両立させると共に放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制でき、さらに、これらの特性を経時的に高いレベルで維持できることが求められるが、上述したような従来から知られている材料では、これら全ての特性を高いレベルで両立させることは困難であった。
本発明は、上記問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、表面の機械的耐久性や耐酸化性に優れ、放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制できると共に、感度にも優れ、摺動に対する低摩擦や高撥水性、さらにこれらの特性を経時的に高いレベルで維持することが容易な電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
上記目的は、以下の本発明により達成される。すなわち、本発明の電子写真感光体は、
<1> 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有する電子写真感光体である。
<2> 前記中間層が硬化された有機樹脂層である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<3> 前記中間層がプラズマにより硬化された層である前記<1>又は<2>に記載の電子写真感光体である。
<4> 前記中間層が、アルミニウムと、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有する層である前記<1>に記載の電子写真感光体である。
<5> 前記感光層が有機感光層である前記<1>〜<4>の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
<6> 前記表面層に含有される13族元素がガリウムである前記<1>〜<5>の何れか1項に記載の電子写真感光体である。
また、本発明の画像形成装置は、
<7> 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有する電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、該帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を少なくとも備える画像形成装置である。
更に、本発明のプロセスカートリッジは、
<8> 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有する電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、前記電子写真感光体表面にトナーを含む現像剤によりトナー像を形成する現像手段、および前記電子写真感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択された少なくとも1つの手段と、を一体として有するプロセスカートリッジである。
以上に説明したように本発明によれば、表面の機械的耐久性や耐酸化性に優れ、放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制できると共に、感度にも優れ、摺動に対する低摩擦や高撥水性、さらにこれらの特性を経時的に高いレベルで維持することが容易な電子写真感光体、該電子写真感光体を用いた画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することができる。
本発明の電子写真感光体(以下、「感光体」と略す場合がある)は、導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層された電子写真感光体であって、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有することを特徴とする。
表面層中に含まれる13族元素と、窒素および/または酸素とは、硬度および透明性に優れた窒化物半導体化合物、或いは酸化物半導体化合物を構成する。具体的には、本発明の感光体は摺動に対する低摩擦や高撥水性を得ることができ、そのため表面の耐磨耗性に優れ、傷の発生を抑制できると共に、良好な感度を得ることが容易である。
また、画像形成装置内で帯電器によって発生するオゾンや窒素酸化物等による酸化雰囲気に対して、感光体表面自体が酸化され難いため(耐酸化性)、酸化による感光体の劣化を防止することができ、特に表面層が13族元素の酸化物半導体化合物である場合にはより良好な耐酸化性を発揮することができる。加えて、表面層への放電生成物の付着も抑制できるため、画像欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
また、表面層と感光層との間に中間層を設けることにより、表面層と感光層との硬度および熱膨張率の差による機械的ストレスを減少することができ、良好な機械的耐久性が得られる。また、従来においては特に厚い表面層を有する感光体において、感光層成膜直後から内在する応力によって、プリント出力時に累積して印加されるクリーナー系や紙や転写機構などとの機械的刺激により、表面層に微小のクラックや欠陥が発生し、電荷輸送性が劣化したり、不均一な輸送が起こるため画像濃度のむらとして現われる問題があったが、本発明の感光体においては、中間層を形成することにより上記クラックや欠陥を防止することができる。これらにより、長期にわたり高品質な感光体を提供することができる。
また、中間層を介していることにより、製造段階では、表面層成膜の際におけるプラズマの電子やイオンUVなどの照射による電荷輸送層の疲労(電荷輸送層中の電荷輸送材分子が励起、イオン化し導電化する現象をさす)を防止することができる。さらに、画像形成装置に装着した段階では、感光体表面へのコロナ放電や各種光源からの紫外線などの短波長光の感光体への照射を防ぐことができ、電荷輸送層の疲労や劣化が防止されることによって良好な感度を長期にわたり維持することができる。
これらの効果により、表面の機械的耐久性や耐酸化性に優れ、放電生成物の付着に起因する画像欠陥も抑制できると共に、感度にも優れ、摺動に対する低摩擦や高撥水性、さらにこれらの特性を経時的に高いレベルで維持することが容易な電子写真感光体を提供することができる。
<電子写真感光体>
−感光体の層構成−
まず、本発明の感光体の層構成について説明する。
本発明の感光体は、その層構成が導電性基体上に感光層と表面層とがこの順に積層され、更に前記感光層と表面層との間に中間層を有するものである。また、必要に応じて前記基体と感光層との間に下引層を設けてもよい。また、感光層は2層以上からなる層であってもよく、更に2層以上の層からなる感光層は機能分離型であってもよい。尚、本発明の感光体は、感光層が有機感光材料等の有機高分子を含むいわゆる有機感光体であっても、シリコン原子を含むいわゆるアモルファスシリコン感光体であってもよいが、本発明における表面層および中間層を設けた感光体は、前記有機感光体において特にその効果をより顕著に発揮することができる。
以下、本発明の感光体の層構成の具体例について、図面を用いてより詳細に説明する。
図1は、本発明の感光体の層構成の一例を示す模式断面図であり、図1中、1は導電性基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、3は表面層、5は中間層を表す。図1に示す感光体は、導電性基体1上に、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、中間層5、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。
図2は、本発明の感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図2中、4は下引層、他は図1中に示したものと同様である。図2に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、中間層5、表面層3がこの順に積層された層構成を有する。
図3は、本発明の感光体の層構成の他の例を示す模式断面図であり、図3中、6は感光層を表し、他は図1、図2中に示したものと同様である。図3に示す感光体は、導電性基体1上に、下引層4、感光層6、中間層5、表面層3がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図1や図2に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
なお、感光層2,6は、有機高分子から形成されたものでも良いし、無機材料から形成されたものでも良いし、それらが組み合わされたものでも良い。
−有機感光体−
次に、本発明の感光体が有機感光体である場合の好ましい構成について、その概要を説明する。
感光層を形成する有機高分子化合物は熱可塑性であっても熱硬化性のものであっても、また2種類の分子を反応させて形成するものでも良い。尚、硬度や膨張係数、弾力性の調整、密着性の向上などの観点から感光層と表面層との間に設けられる中間層は、表面層の物性および感光層の物性の両者に対して、中間的な特性を示すものが好適である。また、中間層は電荷をトラップする層として機能しても良い。
有機感光体の場合には、感光層は、図1,2に示すように電荷発生層と電荷輸送層に分かれた機能分離型でも良いし、図3に示すように機能一体型であってもよい。機能分離型の場合には感光体の表面側に電荷発生層を設けたものでも良いし、表面側に電荷輸送層を設けたものでも良い。
本発明の感光体のように、感光層上に中間層を設けることにより、後述する方法によって表面層を形成する際に、熱以外の短波長電磁波の照射により感光層が分解することを防ぐことができる。尚、短波長光の感光層への照射をより良好に防止する観点から、上記中間層とは別に、表面層を形成する初期の段階で、バンドギャップの小さい層を最初に形成することもできる。このような、感光層側に設けられるバンドギャップの小さい層の組成としては、例えば、Inを含んだGaIn(1−X)N(0≦X≦0.99)が好適である。
−表面層−
本発明の感光体は、表面層全体が、13族元素と、窒素および/または酸素のみからなるものであってもよいが、表面層にはこの他にも水素や炭素等の他の元素が必要に応じて含まれていてもよい。このような他の元素を用いることにより、表面層の組成・構造・諸物性がより容易且つ柔軟に制御できるため、上述した効果をより高いレベルで達成することが容易になる。
特に、上記他の元素としては、表面層に水素が含まれていることが好ましい。この場合、13族元素と水素との結合により、ダングリングボンドや構造欠陥の補償によって電気的な安定性と化学的安定性、機械的な安定性などから高い撥水性と低摩擦係数などを高い硬度と透明性とともに得ることができる。
また表面層は、厚み方向の組成濃度(各成分の含有割合)に傾斜が有っても良い。濃度に傾斜がある場合としては、一層構成であって厚み方向に組成濃度の傾斜がある場合や、組成濃度の異なる層を複数積層した多層構成からなるものであってもよい。
尚、表面層厚み方向における窒素の濃度分布は感光層側に向かって増加し、酸素の濃度分布は感光層側に向かって減少(すなわち、感光体の表面側に向かって増加)している態様が好ましい。更に、感光体の表面側近傍では、13族元素と酸素とからなり、感光体の中間層側近傍では、13族元素と酸素以外の他の元素(窒素を含む)とからなっている態様(すなわち、酸素を含まない)がより好ましい。
このような濃度分布を有することにより、機械的耐久性、耐酸化性、放電生成物の付着に起因する画像欠陥および感度をより高いレベルで両立させることができる上に、これらの特性をより長期に渡って維持することが容易である。なお、表面層厚み方向の濃度の分布プロファイルは特に限定されず、例えば、直線状、曲線状、階段状のいずれでもよい。また酸素濃度は表面から均一でも良い。
なお、表面層の13族元素の総和と窒素および/または酸素の総和量との原子数の比は、1.0:0.5から1.0:3.0の間にあることが好ましい。この範囲外にあると三次元的結合を形成した部分が少なく、二次元的結合やイオン分子結合的となり、十分な化学的安定性や硬さを得ることができないことがある。また三配位結合での三次元的結合とならず二次元的な広がりを有する粗な結合となってしまうことがある。
また、水素は0.1原子%〜50原子%の範囲が好ましい。水素が0.1原子%未満の場合には、13族元素と窒素および/または酸素との結合に構造的な乱れを内蔵したままとなり、電気的な不安定さや機械的な特性も不十分となる。また50原子%を超える場合には、水素が13族元素と窒素および/または酸素原子に2原子以上結合する確率が増加して三次元構造を保つことができず、硬度や化学的安定性、特に耐水性などに不十分となることがある。
尚、水素量はハイドロジェンフォワードスキャタリングにより絶対値を測定することができる。さらに赤外吸収スペクトル測定により、13族元素−水素結合や、N−H結合の強度から推定することもできる。
表面層に含まれる13族元素としては、具体的には、B,Al,Ga,Inから選ばれる少なくとも一つ以上の元素を用いることができ、二つ以上の元素を含むこともできる。この場合In以外の元素は可視光に吸収がないのでこれらの原子の表面層中の含有量の組み合わせは制限は無いが、Inの場合には可視光に吸収があるので、使用する電子写真システムの露光波長やイレーズ波長などに注意し、これらの光を出来るだけ吸収しないように選択する必要がある。これらの中でも、表面層に用いる13族元素としては、Gaが特に好ましい。
また、後述する中間層が、Alと窒素および/または酸素とを含有する中間層である場合には、表面層にはAl以外の13族元素を用いることが好ましく、前記同様Gaを用いることが特に好ましい。
表面層の最表面における、13族元素や窒素、酸素等の元素の含有量は、XPS(X線光電子分光法)により求めることができる。
例えば、XPSの測定装置として日本電子社製JPS9010MXを用い、X線ソースにはMgKα線をもちい、10kV、20mAで照射することにより測定できる。この場合、光電子の測定は1eVのステップで行い、元素量としては、例えばGa元素に対しては3d5/2、Nは1s、Oは1sスペクトルを測定し、スペトクルの面積強度と感度因子により元素量を求めることができる。なお、測定前にArイオンエッチングを500Vで10s程度行う。
また、表面層全体中における各元素の含有量については二次電子質量分析法やラザフォードバックスキャタリング法で測定することができる。
表面層は、微結晶、多結晶、あるいは、非晶質のいずれであってもよいが、感光体表面の平滑性を向上させる点からは非晶質性であることが好ましい。さらに安定性や硬度から微結晶が含まれた非晶質、非晶質が含まれた微結晶/多結晶が特にこのましい。結晶性/非晶質性は、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別することができる。
表面層中には、導電型の制御のために種々のドーパントを添加することができる。導電性をn型に制御する場合には、例えば、Si,Ge,Snから選ばれる一つ以上の元素を用いることができ、p型に制御する場合には、例えば、Be,Mg,Ca,Zn,Srから選ばれる一つ以上の元素を用いることができる。
表面層は、微結晶、多結晶あるいは非晶質のいずれの場合においても、その内部構造に結合欠陥や、転位欠陥、結晶粒界の欠陥などが多く含まれる傾向にある。このため、これらの欠陥の不活性化のために、表面層中には水素および/またはハロゲン元素が含まれていても良い。表面層中の水素やハロゲン元素は結晶内の結合欠陥や結晶粒界の欠陥などに取り込まれて、反応活性点を消失させ、電気的な補償を行う働きを有する。このため、表面層内のキャリアの拡散や移動に関係するトラップが抑制されるため、帯電と露光が繰り返された場合の電荷の内部蓄積による残留電位の上昇や感光体表面の帯電特性をより安定化することができる。
(表面層の形成方法)
次に、表面層の形成方法についてより詳細に説明する。
表面層は、既述したように非晶性あるいは結晶性のいずれでもよいが、中間層との密着性を高めかつ感光体表面の滑りを良くするためには、表面層の下側(感光層側)が微結晶性であり、上側(感光体表面側)が微結晶性の非晶質であることが好ましい。また全体が微結晶性の非晶質であっても良い。
表面層は、帯電時、感光層から拡散・移動してきた電荷を表面層に注入させるものでも良い。この場合表面層と中間層、および中間層と感光層の各々の界面で電荷がトラップする必要があり、また電荷が表面層の表面にトラップしても良い。例えば、感光層が図1、2に示すように機能分離型である場合、負帯電で表面層が電子を注入する場合には電荷輸送層の表面層側の面が電荷トラップの機能を果たしても良いし、また中間層が電荷輸送層と表面層との間で電荷の注入阻止とトラップの機能を果たしてもよい。正帯電性の場合にも同様にすることができる。
表面層の厚さは0.01μmから1μmであることが好ましい。0.01μm未満では感光層の影響を受けやすく、機械的強度が不十分となることがある。また1μmを超える場合には帯電露光の繰り返しによって、残留電位が上昇し、また感光層に対する機械的な内部応力が増加して、剥離やひび割れが発生しやすくなる。
本発明の感光層および中間層上の表面層は、全体の表面粗さが、中心間粗さで0.1μm以下であることが好ましい。0.1μmを超える場合には電子写真装置内でのクリーニング工程でブレードやブラシなどによるクリーニング不良が発生し、表面にトナーが残存したままで帯電、現像工程、転写工程を経てしまうため、解像度が低下し、さらに画像濃度が低下、画像ムラやゴーストが出やすくなる。
また、表面層は電荷注入阻止層、あるいは、電荷注入層としての機能を兼ねてもよい。この場合、既述したように表面層の導電型をn型やp型に調整することによって、表面層を電荷注入阻止層、あるいは、電荷注入層としても機能させることができる。
表面層が電荷注入層としても機能する場合には、中間層や感光層の表面(表面層側の面)で電荷がトラップされる。負帯電の場合にn型の表面層は電荷注入層として機能し、p型の表面層は電荷注入阻止層として機能する。正帯電の場合にはn型の表面層は電荷注入阻止層として機能し、p型の表面層は電荷注入層として機能する。
次に、表面層の形成方法について具体的に説明する。表面層の形成に際しては、中間層上に直接13族元素と窒素および/または酸素を含むように形成することができる。また形成前に中間層をプラズマでクリーニングしても良い。
表面層の形成に際しては、プラズマCVD法、有機金属気相成長法、分子線エピタキシー法等の公知の気相成膜方法が利用できる。以下、表面層の形成に用いる装置の図面を示しつつ具体例を挙げて説明する。
図4は、本発明の感光体の表面層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図であり、図4(A)は、成膜装置を側面から見た場合の模式断面図を表し、図4(B)は、図4(A)に示す成膜装置のA1−A2間における模式断面図を表す。図4中、10は成膜室、11は排気口、12は基体回転部、13は基体ホルダー、14は基体、15はガス導入部、16はシャワーノズル、17はプラズマ拡散部、18は高周波電力供給部、19は平板電極、20はガス導入管、21は高周波放電管部である。
図4に示す成膜装置において、成膜室10の一端には、不図示の真空排気装置に接続された排気口11が設けられており、成膜室10の排気口11が設けられた側と反対側に、高周波電力供給部18、平板電極19および高周波放電管部21からなるプラズマ発生装置が設けられている。
このプラズマ発生装置は、高周波放電管部21と、高周波放電管部21内に配置され、放電面が排気口11側に設けられた平板電極19と、高周波放電管部21外に配置され、平板電極19の放電面と反対側の面に接続された高周波電力供給部18とから構成されたものである。なお、高周波放電管部21には、高周波放電管部21内にガスを供給するためのガス導入管20が接続されており、このガス導入管20のもう一方の端は、不図示の第1のガス供給源に接続されている。
なお、図4に示す成膜装置に設けられたプラズマ発生装置の代わりに、図5に示すプラズマ発生装置を用いてもよい。図5は、図4に示す成膜装置において利用することのできるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図であり、プラズマ発生装置の側面図である。図5中、22が高周波コイル、23が石英管を表し、20は、図4中に示すものと同様である。このプラズマ発生装置は、石英管23と、石英管23の外周面沿って設けられた高周波コイル22とからなり、石英管23の一方の端は成膜室10(図5中、不図示)と接続されている。また、石英管23のもう一方の端には、石英管23内にガスを導入するためのガス導入管20が接続されている。
平板電極19の放電面側には、放電面と略平行な棒状のシャワーノズル16が接続されており、シャワーノズル16の一端は、ガス導入部15と接続されており、このガス導入部15は成膜室10外に設けられた不図示の第2のガス供給源と接続されている。
また、成膜室10内には、基体回転部12が設けられており、円筒状の基体14が、シャワーノズルの長手方向と基体14の軸方向とが略平行に対面するように基体ホルダー13を介して基体回転部12に取りつけられるようになっている。成膜に際しては、基体回転部12が回転することによって、基体14が周方向に回転させることができる。なお、基体14としては、予め感光層まで積層された感光体、あるいは、感光層上に中間層までが積層された感光体が用いられる。
表面層の形成は、例えば以下のように実施することができる。NとHとを含有させる場合、まず、NとHをガス導入管20から高周波放電管21内に導入すると共に、高周波電力供給部18から平板電極19に、13.56MHzのラジオ波を供給する。この際、平板電極19の放電面側から排気口11側へと放射状に広がるようにプラズマ拡散部17が形成される。
次に、水素をキャリアガスとして用いて水素希釈したトリメチルガリウムガスをガス導入部15、シャワーノズル16を介して成膜室10に導入することによって、基体14表面に水素とチッ素とガリウムとを含む膜を成膜することができる。
とHガスを同時に高周波放電管内に導入して活性種をつくることによって、トリメチルガリウムガスを分解し基体上に水素を含んだ13族元素と窒素の化合物を低温で作製することができる。
水素と窒素化合物を同時に活性化し、13族元素を含む有機金属化合物を反応させることで水素による基体表面で成長している膜のエッチング効果により100℃以下の低温でも高温成長時と同等の膜質の13族元素と窒素の化合物を有機物の上にも良好な膜質で形成できる。その結果安定で中心間粗さで0.1μm以下の平滑膜を形成できる。
さらに、プラズマにより活性化される水素の水素源としては、成膜装置内に一旦導入された水素原子を含む有機金属化合物を活性化して、遊離生成した水素を利用することもできるが、低温での成長では温度による表面からの余剰水素の脱離などが少ないため、窒素原子よりも多量の水素原子が活性化されていることが望ましい。
活性化のために供給される混合気体中の水素濃度は10%以上90%以下が好ましい。水素が10%以下では低温でも十分なエッチング反応が行われず、水素含量が多い13族窒化物化合物が生成され、耐水性が不足し、大気中で不安定な膜となる。また水素が90%よりも多いと、膜成長時のエッチングが多すぎこのため膜成長速度が低くなりまた膜質も成長表面が荒れてしまうため反って水素の多すぎる不良な膜となってしまう。
水素ガスと窒素ガスとは別々の位置から成膜装置内に導入しても良いし、混合して導入しても良い。また、水素および窒素の供給材料としてNHのようなチッ素原子と水素原子とを同時に含むガスを用い、これをプラズマにより活性化することも装置が簡素化できるため好ましい。
また酸素を含んだ酸化膜を作製する場合には、NとHガス導入管20から高周波放電管21内に導入するときに、同時に酸素を混合して導入して活性化させることができる。あるいは酸素はトリメチルガリウムと直接反応するため、上流で活性化させることが望ましい。酸素を含む化合物として、酸素ガス、HO,CO,CO,NO,NOなどが使用できる。
ここで、膜中に酸素を導入するためには、成膜中に酸素原子を取り込ませる方法、あるいは、成膜後に酸素により酸化する方法を利用することができる。
前者の場合には、窒素ガスに酸素ガスやN2OやH2Oなどの酸素を含有するガスを混合することよって酸素と窒素と13族元素とを含む表面層を成膜することができる。また
HeやArなどの希ガスに酸素ガスやN2OやH2Oなどの酸素を含有するガスを混合してプラズマを発生し、トリメチルガリウムガスなどの有機金属ガスと反応させ、酸素とガリウムとを含む表面層を形成することもできる。
一方、後者の場合には、真空中で行うこともできるし、大気中で行うこともできる。真空中で行う場合には、例えば希ガスなどで希釈した酸素ガスを用いて高周波放電を行い膜中に酸素を取り込ませることができる。さらに酸素を膜中に取り込ませる他の方法としては、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することができる。あるいは、水素を含みチッ素とガリウムからなる膜が表面に形成された基体14を、空気のコロナ放電に曝したり、大気圧下で酸素やオゾン雰囲気に晒すことによっても酸化を行うこともできる。
成膜時の表面層の形成温度は有機感光体を作製する場合には、表面層の成膜時の基体表面温度は、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。基体温度が100℃以下であっても、プラズマの影響で150℃より高くなる場合には感光層が熱で損傷を受ける場合があるため、このような影響を考慮して基体温度を設定することが好ましい。温度は基板表面温度である。アモルファスシリコン感光体を作製する場合には50℃から350℃で形成することが好ましい。
基体温度は図示していない方法で制御しても良いし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。基体14を加熱する場合にはヒータを基体14の外側や内側に設置しても良い。基体14を冷却する場合には基体14の内側に冷却用の気体または液体を循環させても良い。
放電による基体温度の上昇を避けたい場合には、基体14表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。
13族元素を含むガスとしてはトリメチルガリウムガスの代わりにインジウム、アルミニウムを含む有機金属化合物やジボランのような水素化物を用いることもでき、これらを2種類以上混合してもよい。
例えば、表面層の形成の初期において、トリメチルインジウムをガス導入部15、シャワーノズル16を介して成膜室10内に導入することにより、基体14上にチッ素とインジウムとを含む膜を成膜すれば、この膜が、継続して成膜する場合に発生し、感光層を劣化させる紫外線を吸収することができる。このため、成膜時の紫外線の発生による感光層へのダメージを抑制できる。
また、表面層には、導電型を制御するためにドーパントを添加することができる。
成膜時におけるドーパントのドーピングの方法としてはn型用としてはSiH,SnHを、p型用としては、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム、ジメチルカルシウム、ジメチルストロンチウム、ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛、などをガス状態で使用できる。また、ドーパント元素を表面層中にドーピングするには、熱拡散法、イオン注入法等の公知の方法を採用することもできる。
具体的には、少なくとも一つ以上のドーパント元素を含むガスをガス導入部15、シャワーノズル16を介して成膜室10内に導入することによってn型、p型等任意の導電型の表面層を得ることができる。
上述したような方法により、活性化された水素、窒素、酸素、および、13族原子が基体上に存在し、さらに、活性化された水素が、有機金属化合物を構成するメチル基やエチル基等の炭化水素基の水素を分子として脱離させる効果を有する。それゆえ、基体表面には、水素、窒素、酸素および13族元素が三次元的な結合を構成する硬質膜からなる表面層が低温で形成される。
このような硬質膜は、シリコンカーバイトに含まれるsp2結合性の炭素原子とは異なり、ダイヤモンドを構成する炭素原子のように、GaとNとがsp3結合を形成するため透明である。また、この硬質膜を、自然酸化や、成膜後に酸素やオゾンなどの酸化処理によって酸素を含んだ膜とすることができ、この膜は透明且つ硬質であり、膜の表面は撥水性やすべり性が高く低摩擦である。
図4に示す成膜装置のプラズマ発生手段は、高周波発振装置を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いたり、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置をもちいてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でも良い。
プラズマの照射によって基体温度が上昇しないようにするためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を防止する装置を設けても良い。
さらに、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、あるいは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起できるようにする必要がある。また、放電する領域と、成膜する領域(基体が設置された部分)とに圧力差を設けても良い。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
例えば、2種類のプラズマ発生手段をガス流に対して直列に設置する場合、図4に示す成膜装置を例に上げれば、シャワーノズル16を電極として成膜室10内に放電を起こさせる第2のプラズマ発生装置として利用できる。この場合、ガス導入部15を介して、シャワーノズル16に高周波電圧を印加して、シャワーノズル16を電極として成膜室10内に放電を起こさせることができる。
あるいは、シャワーノズル16を電極として利用する代わりに、成膜室10内の基体14とプラズマ拡散部17との間に円筒状の電極を設けて、この円筒状電極を利用して、成膜室10内に放電を起こさせることもできる。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍で行っても良い。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
なお、表面層の形成に際しては、上述した方法以外にも、通常の有機金属気相成長法や分子線エピタキシー法を使用することが出来るが、これらの方法による成膜に際しても、活性窒素および/または活性水素を使用することは低温化に有効である。この場合、チッ素原料としてはN,NH,NF,N、メチルヒドラジンなどの気体、液体を気化したり、あるいは、キャリアガスでバブリングしたものが利用できる。
−中間層−
本発明の感光体は、表面層と感光層との間に中間層を有することを必須の要件とする。
前記中間層としては、表面層と感光層との硬度および膨張率の差による機械的ストレスをより顕著に減少する観点から、感光層と表面層の中間の硬さや膨張率を持つものが好ましい。また、前記表面層は、その下層が硬いほど緻密な表面層を形成することができ、低摩擦、高撥水性の表面層とすることができ、機械的強度を強くすることができ、且つ放電生成物の付着も防止することができる。
この観点から本発明の中間層としては、(1)硬化型の有機樹脂層や、(2)Alと窒素および/または酸素とを含有する層が好ましい。
また、中間層は感光層と接着性の良いものが好ましいが、中間層を形成する溶剤が感光層を溶解してしまうものは好ましく無い。
更に、中間層は画像形成装置中にて感光体に使用する光の波長に対し透明であることが必要である。該光としては、例えば、露光光源波長やイレーズ光源波長が挙げられる。
また更に、中間層は紫外線吸収剤を含む層とすることが好ましい。
(1)硬化型の有機樹脂層
有機樹脂層は、熱硬化性のものであっても、2種類の分子を反応させて形成するものであっても良い。硬化型有機樹脂の中間層の形成は、有機樹脂やその他の成分を溶剤に溶解して塗布液を調製し、感光層上に塗布し、乾燥することによって得ることができる。
前記熱硬化型の有機樹脂としては、例えば、シリコーン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アセタール樹脂等を挙げることができる。
熱硬化型の有機樹脂を用いる場合、塗布後に加熱を行うが、その際の温度としては、50〜170℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。また、加熱時間は5〜200分の範囲内で、温度によって適宜調整することが好ましい。
また、前記2種類の分子を反応させて形成する有機樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、等を挙げることができ、これらの中でも、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂が特に好ましい。
また前記その他の成分としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を挙げることができる。
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、アクリロニトリロ紫外線吸収剤等を挙げることができる。
前記酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の酸化防止剤等を挙げることができる。
また前記溶媒としては、例えば、アルコール系溶剤が好ましい。エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、このほかに酢酸エチル、酢酸ブチル等が好ましく用いられる。
上記中間層は、電気抵抗の観点で絶縁性でもよいが、その場合でも中間層の厚さは残留電位との関係から薄くすることが好ましい。また中間層が半導電性の場合には、静電潜像の形成の妨げにならない抵抗値10−9から10−13Ωcmであることが好ましい。半導電性の材料としては有機の半導体でもよいし、有機や無機の導電粉などを分散した膜でも良い。また電荷輸送性を持たせる場合には、低分子電荷輸送材を混合しても良い。また高分子鎖に化学結合をつくり輸送性を持たせたものでも良い。残留電位の制御のためには低分子電荷輸送材料を溶解してもよいし、高分子樹脂に化学的に結合させても良い。後述の電荷輸送層で使用する材料を使用することができる。
無機系材料(無機の導電粉)としては、チタンやジルコニウムのアルコキシドや、アセチルアセトン化合物、シラン化合物などを使用することができる。
また、特に硬化型有機樹脂の中間層は、プラズマに晒すことにより硬化させた層であることが好ましい。前記のよう塗布乾燥して形成した中間層を、テトラフルオロメタンと窒素、あるいはテトラフルオロメタンと窒素および希ガスのプラズマで処理することにより、中間層を高硬度化、緻密化し、低エネルギー表面に改質することができる。
尚、プラズマ中でテトラフルオロメタンとの混合によって、プラズマ重合膜を形成するものは硬度が不十分なため混入を避けることが好ましい。例えば水素、メタンなど水素を含む化合物との混合ガスを用いたプラズマにおいては、フッ化炭素膜などを生成するため好ましくない。また重合膜を作るテトラフルオロエチレンも使用しないことが好ましい。したがって、テトラフルオロメタンと混合してフッ素を含み高硬質な改質層を形成するためには、重合膜を作らない窒素、希ガスなどを使用することが好ましい。なかでも、窒素が好適である。窒素はラジカルとして直接バインダーの橋かけ構造を構築するのに利用されるとともに、バインダー元素、特に結合水素などをフッ素化するために補助的な作用をすると考えられる。また希ガスの場合には、CASING処理として知られているように、樹脂自体の橋かけ構造を促すための鎖の開裂などを引き起こすため、テトラフルオロメタンからのフッ素の取り込みと架橋による硬質化と低エネルギー表面化とを達成することができる。
また、水素と窒素、あるいは水素と窒素及び希ガスのプラズマで処理することも好ましく、中間層を高硬度化、緻密化することができる。
これらのプラズマによって硬質化した表面は、溶剤で拭いて不溶であることを確認することにより、硬質層の生成を判別することができる。
硬化型有機樹脂の中間層の厚さとしては、0.5μmから10μmであることが好ましく、更には1μmから5μmであることがより好ましい。
(2)Alと窒素および/または酸素とを含有する層
Alと窒素および/または酸素とを含有する中間層は、Alと窒素の化合物およびAlと酸素の化合物を積層したものでもよく、またAlと窒素の化合物およびその他の13族元素(例えばGa)と窒素の化合物を積層したものでもよく、さらにはAlと酸素の化合物およびその他の13族元素(例えばGa)と窒素の化合物を積層したものでもよい。
上記中間層は、アルミニウムを含む化合物と窒素や酸素を含む化合物との反応によって得られる。基板(感光層を形成した基板)温度が室温から100℃では、上記反応をプラズマを利用して起こすことが好ましい。プラズマ中にこれらの元素を含む化合物を同時に導入しても良いし、窒素や酸素を含む非成膜性の反応性プラズマの下流に、アルミニウムを含む化合物を導入して分解し基板上で窒素や酸素と反応させても良い。
尚、Alと窒素および/または酸素とを含有する中間層の形成は、前述の「表面層の作製方法」に示す方法を用いるのが、連続的な成膜となるため好ましい。
上記中間層は、電気抵抗の観点で絶縁性でもよいが、その場合でも中間層の厚さは残留電位との関係から薄くすることが好ましい。また中間層が半導電性の場合には、静電潜像の形成に妨げにならない抵抗値10−9から10−13Ωcmであることが好ましい。残留電位の制御のためには、上記中間層に他の元素をドーピングしても良い。
Alと窒素および/または酸素とを含有する中間層の厚さとしては、0.01μmから1μmであることが好ましく、更には0.02μmから0.5μmであることがより好ましい。
尚、中間層は2層以上の複数層からなっていてもよく、例えば、前記(1)硬化型の有機樹脂層と(2)Alと窒素および/または酸素とを含有する層とを両方積層した中間層であってもよい。その場合、感光層上に、(1)硬化型の有機樹脂層と、(2)Alと窒素および/または酸素とを含有する層と、をこの順に積層することが好ましい。
−導電性基体−
次に、本発明の電子写真感光体を構成する導電性基体および感光層の詳細や、必要に応じて設けられる下引層の詳細について、本発明の電子写真感光体が機能分離型の感光層を有する有機感光体である場合を例に説明する。
導電性基体としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケル等の金属ドラム;シート、紙、プラスチック、ガラス等の基材上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケル−クロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したもの;酸化インジウム、酸化スズ等の導電性金属化合物を上記基材に蒸着したもの;金属箔を上記基材にラミネートしたもの;カーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズ−酸化アンチモン粉、金属粉、ヨウ化銅等を結着樹脂に分散し、上記基材に塗布することによって導電処理したもの等が挙げられる。また、導電性基体の形状は、ドラム状、シート状、プレート状のいずれであってもよい。
また、導電性基体として金属製パイプ基体を用いる場合、当該金属製パイプ基体の表面は素管のままのものであってもよいが、予め表面処理により基体表面を粗面化しておくことも可能である。かかる粗面化により、露光光源としてレーザービーム等の可干渉光源を用いた場合に、感光体内部で発生し得る干渉光による木目状の濃度ムラを防止することができる。表面処理の方法としては、鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニング等が挙げられる。
特に、感光層との密着性向上や成膜性向上の点で、以下のようにアルミニウム基体の表面に陽極酸化処理を施したものを導電性基体として用いることが好ましい。
以下、表面に陽極酸化処理を施した導電性基体の製造方法について説明する。まず、基体として純アルミ系あるいはアルミニウム合金(例えば、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金)を用意する。次に陽極酸化処理を行う。陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行うが、硫酸浴による処理がよく用いられる。陽極酸化処理は、例えば、硫酸濃度:10〜20質量%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の条件で行われるが、これに限定するものではない。
このようにしてアルミニウム基体上に成膜された陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高く、表面が非常に不安定であるため、皮膜形成後にその物性値が経時的に変化しやすくなっている。この物性値の変化を防止するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが行われる。封孔処理の方法には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。これらの方法のうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最もよく用いられる。
このようにして封孔処理が行われた陽極酸化皮膜の表面には、封孔処理により付着した金属塩等が過剰に残留している。このような金属塩等が基体の陽極酸化皮膜上に過剰に残存すると、陽極酸化皮膜上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまう傾向にあるため、この基体を感光体に用いて画像を形成した場合に地汚れの発生原因になる。
そこで、封孔処理に引き続き、封孔処理により付着した金属塩等を除去するために陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。洗浄処理は純水により基体の洗浄を1回行うことでも構わないが、多段階の洗浄工程により基体の洗浄を行うのが好ましい。この際、最終の洗浄工程における洗浄液としては、可能な限りきれいな(脱イオンされた)洗浄液が用いられる。また、多段階の洗浄工程のうち、いずれか1工程において、ブラシ等の接触部材を用いた物理的なこすり洗浄を施すことがよりさらに好ましい。
以上のようにして形成される導電性基体表面の陽極酸化皮膜の膜厚は、3〜15μm程度の範囲内であることが好ましい。陽極酸化皮膜上には多孔質陽極酸化膜のポーラスな形状の極表面に沿ってバリア層といわれる層が存在する。バリア層の膜厚は本発明に用いられる感光体においては1〜100nmの範囲内であることが好ましい。以上のようにして、陽極酸化処理された導電性基体を得ることができる。
このように得られた導電性基体は、陽極酸化処理により基体上に成膜された陽極酸化皮膜が高いキャリアブロッキング性を有している。そのため、この導電性基体を用いた感光体を画像形成装置に装着して反転現像(ネガ・ポジ現像)を行う場合に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止することができるとともに、接触帯電時に生じやすい接触帯電器からの電流リーク現象を防止することができる。また、陽極酸化皮膜に封孔処理を施すことにより、陽極酸化皮膜の作製後における物性値の経時変化を防止することができる。また、封孔処理後に導電性基体の洗浄を行うことにより、封孔処理により導電性基体表面に付着した金属塩等を除去することができ、この導電性基体を用いて作製した感光体を備えた画像形成装置により画像を形成した場合に地汚れの発生を十分に防止することができる。
−下引層−
次に、下引層について説明する。下引層を構成する材料としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂;ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などが挙げられる。
これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。これらの中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないため好ましく使用される。また、有機金属化合物は、これを単独または2種以上を混合したり、さらに上述の結着樹脂と混合して用いることが可能である。
有機シリコン化合物(シリコン原子を含有する有機金属化合物)としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が好ましく使用される。
有機ジルコニウム化合物(ジルコニウムを含有する有機金属化合物)としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
有機チタン化合物(チタンを含有する有機金属化合物)としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(アルミニウムを含有する有機金属化合物)としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
また、下引層を形成するための下引層形成用塗布液に用いる溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。なお2種以上の溶媒を混合する場合に使用できる溶媒としては、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば、いかなるものでも使用することができる。
下引層の形成は、まず、下引層用塗布剤および溶媒を分散及び混合して調合された下引層形成用塗布液を用意し、導電性基体表面に塗布することにより行う。下引層形成用塗布液の塗布方法としては、浸漬塗布法、リング塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。下引層を形成する場合には、その膜厚は0.1〜3μmの範囲内となるように形成することが好ましい。下引層の膜厚をこのような膜厚範囲内とすることにより、電気的な障壁を過剰に強くすることなく減感及び繰り返しによる電位の上昇を防止することができる。
このようにして導電性基体上に下引層を形成することにより、下引層上に形成される層を塗布形成する際の濡れ性の改善を図ることができるとともに、電気的なブロッキング層としての機能を十分に果たすことができる。
上記により形成された下引層の表面粗さは、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)倍(但し、nは下引層よりも外周側に設けられる層の屈折率)〜1倍程度の範囲内の粗度を有するように調整することが可能である。表面粗さの調整は、下引層形成用塗布液中に樹脂粒子を添加することにより行われる。これにより下引層の表面粗さを調整して作製した感光体を画像形成装置に用いた場合に、レーザ光源による干渉縞像をより十分に防止することができる。
なお、樹脂粒子としては、シリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。また、表面粗さの調整のために下引層表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることができる。なお、正帯電構成の画像形成装置に用いられる感光体では、レーザ入射光は感光体の極表面近傍で吸収され、さらに感光層中で散乱されるため、下引層の表面粗さの調整は強くは必要とされない。
また、下引層形成用塗布液に、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加物を加えることも好ましい。添加物としては、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールや2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’テトラ−t−ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送性物質、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料を用いることができる。
ここで用いられるシランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ジルコニウムキレート化合物の具体例としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
チタニウムキレート化合物の具体例としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
アルミニウムキレート化合物の具体例としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
これらの添加物は、単独で用いることもできるが、複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることもできる。
また、上述した下引層形成用塗布液には、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させておくことが好ましい。電子受容性物質の具体例としては、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体がより好ましく用いられる。これにより、感光層における光感度の向上や残留電位の低減を図るとともに、繰り返し使用した場合の光感度の劣化を低減することができ、下引層に電子受容性物質を含む感光体を備えた画像形成装置により形成したトナー像の濃度ムラを十分に防止することができる。
また、上述した下引層用塗布剤の代わりに下記のような分散型下引層用塗布剤を用いることも好ましい。これにより、適度に下引層の抵抗値を調整することにより残留電荷の蓄積を防ぐことができるとともに、下引層の膜厚をより厚くすることが可能となるため感光体の耐リーク性、とくに接触帯電時のリークの防止を図ることができる。
この分散型下引層用塗布剤としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散したものが挙げられる。導電性金属酸化物としては、平均1次粒径0.5μm以下の金属酸化物微粒子が好ましく用いられる。平均1次粒径が大きすぎる場合には局部的な導電路形成を起こしやすく、電流のリークが発生しやすく、その結果かぶりの発生や帯電器からの大電流のリークが生じる場合がある。下引層はリーク耐性の向上のために適切な抵抗値に調整されることが必要である。そのため、上述の金属酸化物微粒子は、10〜1011Ω・cm程度の粉体抵抗を有することが好ましい。
なお、上記範囲の下限よりも金属酸化物微粒子の抵抗値が低いと十分なリーク耐性が得られず、この範囲の上限よりも高いと残留電位上昇を引き起こす場合ある。従って、中でも上記の範囲内の抵抗値を有する酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物微粒子がより好ましく用いられる。また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物微粒子にカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体の抵抗を制御することができる。この際使用可能なカップリング剤としては上述の下引層形成用塗布液と同様の材料を用いることができる。また、これらのカップリング剤は2種以上を混合して用いることもできる。
この金属酸化物微粒子の表面処理においては、公知の方法であればいかなる方法でも使用可能であるが、乾式法あるいは湿式法を用いることができる。
乾式法を用いる場合においては、まず、金属酸化物微粒子を加熱乾燥して表面吸着水を除去する。表面吸着水を除去することによって、金属酸化物微粒子表面に均一にカップリング剤を吸着させることができる。次に、金属酸化物微粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接あるいは有機溶媒または水に溶解させたカップリング剤を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させることによって均一に処理される。カップリング剤を添下あるいは噴霧する際には、50℃以上の温度で行われることが好ましい。カップリング剤を添加あるいは噴霧した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことが好ましい。焼き付けの効果によりカップリング剤を硬化させ金属酸化物微粒子と堅固な化学反応を起こさせることができる。焼き付けは、所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
湿式法を用いる場合においては、乾式法と同様に、まず、金属酸化物微粒子の表面吸着水を除去する。この表面吸着水を除去する方法として、乾式法と同様の加熱乾燥の他に、表面処理に用いる溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法等が実施できる。次に、金属酸化物微粒子を溶剤中に攪拌、超音波、サンドミルやアトライター、ボールミルなどを用いて分散し、カップリング剤溶液を添加し攪拌あるいは分散したのち、溶剤除去することで均一に処理される。溶剤除去した後、さらに100℃以上で焼き付けを行うことができる。焼き付けは所望の電子写真特性が得られる温度、時間であれば任意の範囲で実施できる。
金属酸化物微粒子に対する表面処理剤の量は所望の電子写真特性が得られる量であることが必須である。電子写真特性は表面処理後に金属酸化物微粒子に表面処理剤が付着している量によって影響される。シランカップリング剤の場合、その付着量は蛍光X線分析により測定される(シランカップリング剤に起因する)Si強度と、使用されている金属酸化物の主たる金属元素強度とから求められる。この蛍光X線分析により測定されるSi強度は用いられる金属酸化物の主たる金属元素強度の1.0×10−5〜1.0×10−3倍の範囲であることが好ましい。この範囲を下回った場合、かぶりなどの画質欠陥が発生しやすく、この範囲を上回った場合、残留電位の上昇による濃度低下が発生しやすくなる場合がある。
分散型下引層用塗布剤に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などが挙げられる。
中でも下引層上に形成される層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。分散型下引層形成用塗布液中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は所望する感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
上述した方法により表面処理された金属酸化物微粒子を結着樹脂に分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が用いた方法が挙げられる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
この分散型下引層用塗布剤により下引層を形成する方法は、上述した下引層用塗布剤を用いて下引層を形成する方法と同様に行うことができる。
−感光層:電荷輸送層−
次に、感光層について、電荷輸送層と電荷発生層とに分けてこの順に以下に説明する。
電荷輸送層に用いられる電荷輸送材料としては、下記に示すものが例示できる。即ち2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジンなどの1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン、β,β−ビス(メトキシフェニル)ビニルジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリンなどのα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が用いられる。あるいは、上記化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、単独又は2種以上を組み合せて使用できる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、結着樹脂は、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有するものであることが望ましい。
この結着樹脂の例として、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリアリレート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
電荷輸送層に用いられる結着樹脂の分子量は、感光層の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万の範囲内が好ましく、2万〜20万の範囲内がより好ましい。
電荷輸送層は、上記電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の形成に使用される溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などを用いることができる。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5の範囲内が好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般に5〜50μmの範囲内であることが好ましく、10〜40μmの範囲であることがより好ましい。
電荷輸送層および/または後述する電荷発生層は、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を含んでもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン又はそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
酸化防止剤の具体的な化合物例として、フェノール系酸化防止剤では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチル−フェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチル エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルなどが挙げられる。
ヒンダードアミン系化合物では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6,−ペンタメチル−4ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物などが挙げられる。
有機イオウ系酸化防止剤では、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾールなどが挙げられる。
有機燐系酸化防止剤では、トリスノニルフェニルフォスフィート、トリフェニルフォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−フォスフィートなどが挙げられる。
なお、有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われるもので、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより酸化防止効果を相乗的により高めることができる。
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
ベンゾフェノン系光安定剤として、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジ−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系光安定剤として、2−(−2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3’’,4’’,5’’,6’’−テトラ−ヒドロフタルイミド−メチル)−5’−メチルフェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(−2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル−)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル−)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル−)−ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
その他の光安定剤としては、2,4,ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチル−ジチオカルバメートなどがある。
電荷輸送層は、上記に示した電荷輸送材料及び結着樹脂を適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥させることによって形成することができる。電荷輸送層形成用塗布液の調整に用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2ーブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状或るいは直鎖状エーテル等、あるいはこれ等の混合溶媒を用いることができる。
また電荷輸送層形成用塗布液には、塗布形成される塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1〜1:5であることが好ましい。また電荷輸送層の膜厚は一般には5〜50μmの範囲内とすることが好ましく、10〜30μmの範囲内がより好ましい。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布は、感光体の形状や用途に応じて、浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥することが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度域で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが望ましい。
−感光層:電荷発生層−
電荷発生層は、電荷発生材料を真空蒸着法により蒸着させて形成するか、有機溶剤及び結着樹脂を含む溶液を塗布することにより形成される。
電荷発生材料としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物;セレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体;又はこれらを色素増感したもの、無金属フタロシアニン,チタニルフタロシアニン,銅フタロシアニン,錫フタロシアニン,ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン化合物;スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料;又は染料が用いられる。
また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン化合物ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることが可能である。
なお、上述した電荷発生材料の中でも、フタロシアニン化合物が好ましい。この場合、感光層に光が照射されると、感光層に含まれるフタロシアニン化合物がフォトンを吸収してキャリアを発生させる。このとき、フタロシアニン化合物は、高い量子効率を有するため、吸収したフォトンを効率よく吸収してキャリアを発生させることができる。
更にフタロシアニン化合物の中でも、下記(1)〜(3)に示すようなフタロシアニンがより好ましい。すなわち、
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.6°,10.0°,25.2°,28.0°の位置に回折ピークを有する結晶型のヒドロキシガリウムフタロシアニン。
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.3°,16.5°,25.4°,28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型のクロルガリウムフタロシアニン、
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°,24.2°,27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン。
これらのフタロシアニン化合物は、特に、光感度が高いだけでなく、その光感度の安定性も高いため、これらフタロシアニン化合物を含む感光層を有する感光体は、高速な画像形成及び繰り返し再現性が要求されるカラー画像形成装置の感光体として好適である。
なお、結晶の形状や測定方法によりこれらのピーク強度や位置が微妙にこれらの値から外れることも有るが、X線回折パターンが基本的に一致しているものであれば同じ結晶型であると判断できる。
電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、以下のものを例示することができる。即ちビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプなどのポリカーボネート樹脂およびその共重合体、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン−アルキド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾールなどである。
これらの結着樹脂は、単独であるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(電荷発生材料:結着樹脂)は、質量比で、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また電荷発生層の厚みは、一般には0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく0.05〜2.0μmの範囲内であることがより好ましい。
また電荷発生層は、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有してもよい。電荷発生層に用いられる電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピークリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸などを挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特によい。
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
電荷発生層を形成する為の塗布液の溶媒として公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。
また、これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。2種類以上の溶媒を混合して用いる場合には、混合溶媒として結着樹脂を溶かす事ができる溶媒であれば使用することができる。但し、感光層が、導電性基体側から、電荷輸送層と電荷発生層とをこの順に形成した層構成を有する場合に、浸漬塗布のように下層を溶解しやすい塗布方法を利用して電荷発生層を形成する際には、電荷輸送層等の下層を溶解しないような溶媒を用いることが望ましい。また、比較的下層の侵食性の少ないスプレー塗布塗布法やリング塗布法を利用して電荷発生層を形成する場合には溶媒の選択範囲を広げることができる。
(プロセスカートリッジおよび画像形成装置)
次に、本発明の感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本発明のプロセスカートリッジは、本発明の感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本発明の感光体と、該感光体表面を帯電する帯電手段、前記感光体表面にトナーを含む現像剤によりトナー像を形成する現像手段、前記感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段、および感光体表面の電荷を除電する除電手段からなる群より選択される少なくとも一つの手段と、を一体に有し、画像形成装置本体に脱着自在である構成を有するものであることが好ましい。
また、本発明の画像形成装置は、本発明の感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本発明の感光体と、この感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電手段により帯電される感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた構成を有するものであることが好ましい。なお、本発明の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよく、この場合、全ての感光体が本発明の感光体であることが好ましい。また、トナー像の転写は、中間転写体を利用した中間転写方式であってもよい。
図6は、本発明のプロセスカートリッジの好適な一実施形態の基本構成を示す概略構成図である。プロセスカートリッジ100は、電子写真感光体107とともに、帯電手段108、現像手段111、クリーニング手段113、露光のための開口部105、及び除電手段114を取り付け、ケース101、取り付けレール103を用いて組み合せて一体化したものである。このプロセスカートリッジ100は、転写手段112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とからなる画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図7は、本発明の画像形成装置の一実施形態の基本構成を示す概略構成図である。図7に示す画像形成装置200は、電子写真感光体207と、電子写感光体207を接触方式により帯電させる帯電手段208と、帯電手段208に接続された電源209と、帯電手段208により帯電される電子写真感光体207を露光する露光手段210と、露光手段210により露光された部分を現像する現像手段211と、現像手段211により電子写真感光体207に現像された像を転写する転写手段212と、クリーニング装置213と、除電手段214と、定着装置215とを備える。
本発明のプロセスカートリッジや画像形成装置の感光体クリーニング手段としては、特に限定されるものではないが、クリーニングブレードであることが好ましい。クリーニングブレードは、他のクリーニング手段と比べると感光体表面を傷つけ、また、磨耗を促進しやすいものである。しかし、本発明のプロセスカートリッジや画像形成装置においては、感光体として本発明の感光体を用いているため、長期に渡る使用においても、感光体表面の傷の発生や磨耗を抑制することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
(実施例1)
まず、以下に説明する手順により、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部およびブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部および酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、および下記構造式(2)で表される高分子化合物(重量平均分子量39000)3質量部をクロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬法により電荷発生層上に塗布し、110℃で40分間加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体(以下、「ノンコート感光体」と称す場合がある)を得た。
Figure 2008076877
Figure 2008076877
−中間層の形成−
下記構造式(3)に示す化合物を5質量部、レゾール型フェノール樹脂(PL−4852、群栄化学社製)を7質量部、メチルフェニルポリシロキサンを0.03質量部、及びイソプロパノールを20質量部混合して溶解し、中間層形成用塗布液を得た。この塗布液を、浸漬コーティング法で前記ノンコート感光体の電荷輸送層上に塗布し、130℃で40分乾燥させ、膜厚3μmmのフェノール樹脂からなる中間層を形成した表面コート感光体を得た。
Figure 2008076877
−表面層の形成−
中間層を設けた感光体(以下、「中間層形成感光体」と称す)表面への表面層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、中間層形成感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.1Pa程度になるまで真空排気した。次に、窒素ガスとHガスとを1:2の割合で混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm)導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルガリウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この状態で、中間層形成感光体を2rpmの速度で回転させながら60分間成膜し、膜厚0.15μmのGaN膜を形成し、中間層表面に表面層が設けられた有機感光体を得た。なお、成膜に際しては、中間層形成感光体の加熱処理は行わなかった。また、別途成膜と同条件で予め中間層形成感光体の表面に貼り付けておいたサーモテープの色を、成膜後に確認したところ45℃であった。
−表面層の分析・評価−
中間層形成感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Ga−H結合、Ga−N結合およびN−H結合に起因するピークが確認された。このことから、表面層中には、ガリウムと窒素と水素とが含まれていることがわかった。Ga−N吸収ピークの半値幅は130cm−1であった。
さらに、XPS測定後のサンプルについて、ラザフォードバックスキャタリングで組成を測定したところ、表面から10nmの表面近傍でGaとNのほかに酸素が20原子%検出されたが、それより深いところではGaとNが0.45:0.55であった。
さらにHFS(ハイドロジェン・フォワード・スキャタリング)にて、膜中の水素含有量を測定したところ15原子%であり、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはぼやけたリングが見え、膜は非晶質中に微結晶が混在しているか、微結晶の粒径が50オングストローム程度であることがわかった。
また、成膜直後のSi基板上に形成された膜は、水に浸すと溶解した跡が残ったが、通常の常温常湿環境に1日放置した後の膜は水に浸しても溶解しない上に、ステンレス鋼で擦っても傷が付かなかった。
以上の分析・評価結果から、形成された表面層は、微結晶性の非晶質膜で、水素、窒素、ガリウムに加えて酸素も含む組成を有し、酸素については表面層膜厚方向に対する酸素原子の濃度が、最表面で最もリッチであり、電荷輸送層側に向かって減少する分布を有している膜であることがわかった。
−評価−
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を成膜終了直後に評価した。まず、上述の中間層および表面層形成前のノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で40rpmで回転させている感光体の表面に走査しながら照射した後の感光体表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた有機感光体は−25V以下で、かつ温度湿度依存性が少なく良好なレベルであることがわかった。
また、感度に対する影響については、光源の波長を赤外領域から可視領域全体にわたって評価したが、ノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とでは殆ど差異は見られず、中間層および表面層を設けたことによる感度の低下が無いことがわかった。
さらに、中間層および表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
次に、この中間層および表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃80%)下で、連続20000枚のプリント評価を行った。なお、画質評価は成膜数時間後におこなったが、画像濃度は十分であった。またリファレンスとして、ノンコート感光体についてもDocuCentre Color 500に取り付けて、同様の画像を形成した。
その結果プリントテスト初期およびプリントテスト終了後のいずれにおいてもノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と同様の鮮明で網点部での画像ボケの無い画像で10本/mmの解像度を得ることができた。またプリントテスト後の感光体表面を目視により観察したところ傷の発生は無く、放電生成物の付着も確認されなかった。また、表面のすべりはペーパータオルで擦った定性試験ですべり性がよく低摩擦であった。これに対し、ノンコート感光体では、プリントテスト後の感光体表面に傷が発生し、磨耗は0.6μmであった。
以上の結果から、中間層および表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
(実施例2)
実施例1と同じ中間層を設けた有機感光体を準備し、この感光体を、実施例1と同様の成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.1Pa程度になるまで真空排気した。
次に、この中間層形成感光体の表面に表面層を設けた。窒素ガスとHガスとを1:2の割合で混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm)導入し、さらにガス導入管20にヘリウムで酸素を100:1で希釈し混合したガスを60sccm導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルガリウムを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この状態で、感光体を2rpmの速度で回転させながら90分間成膜し、膜厚0.25μmのGaON膜を形成し、表面層が設けられた有機感光体を得た。なお、成膜に際しては、感光体の加熱処理は行わなかった。また、別途成膜と同条件で予め感光体の表面に貼り付けておいたサーモテープの色を、成膜後に確認したところ42℃であった。
−評価−
次に、この中間層および表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を成膜終了直後に評価した。まず、上述の中間層および表面層形成前のノンコート感光体と、表面層を設けた感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で40rpmで回転させている感光体の表面に走査しながら照射した後の感光体表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた有機感光体は−30V以下で、かつ温度湿度依存性が少なく良好なレベルであることがわかった。
また、感度に対する影響については、光源の波長を赤外領域から可視領域全体にわたって評価したが、ノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とでは殆ど差異は見られず、中間層および表面層を設けたことによる感度の低下が無いことがわかった。
さらに、中間層および表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
−表面層の分析・評価−
中間層形成感光体表面への表面層の成膜に際し、同時にSi基板に成膜した膜の赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Ga−H結合、Ga−O結合に起因するピークが確認された。このことから、表面層中には、ガリウムと酸素と水素とが含まれていることがわかった。Ga−N吸収ピークの半値幅は250cm−1であった。
さらに、XPS測定後のサンプルについて、ラザフォードバックスキャタリングで組成を測定したところ、Gaと酸素がほぼ2:3の割合で検出され、他に窒素が検出された。
さらにHFS(ハイドロジェン・フォワード・スキャタリング)にて、膜中の水素含有量を測定したところ12原子%であり、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像にはぼやけたリングが見え、膜は非晶質中に微結晶が混在しているか、微結晶の粒径が50オングストローム程度であることがわかった。
また、成膜直後のSi基板上に形成された膜は、接触角は92°でステンレス鋼で擦っても傷が付かなかった。
以上の分析・評価結果から、形成された表面層は、微結晶性の非晶質膜で、水素、酸素ガリウムに加えて窒素も含む組成を有する膜であることがわかった。
次に、この中間層および表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃80%)下で、連続20000枚のプリント評価を行った。なお、画質評価は成膜数時間後におこなったが、画像濃度は十分であった。またリファレンスとして、ノンコート感光体についてもDocuCentre Color 500に取り付けて、同様の画像を形成した。
その結果プリントテスト初期およびプリントテスト終了後のいずれにおいてもノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と同様の鮮明で網点部での画像ボケの無い画像で10本/mmの解像度を得ることができた。またプリントテスト後の感光体表面を目視により観察したところ傷の発生は無く、膜厚測定による磨耗は0μmであった。放電生成物の付着も確認されなかった。また表面のすべりはペーパータオルで擦った定性試験ですべり性がよく低摩擦であった。これに対し、ノンコート感光体では、プリントテスト後の感光体表面に傷が発生し、磨耗は0.6μmであった。
以上の結果から、中間層および表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
(実施例3)
まず、実施例1と同様にして、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体(ノンコート感光体)を得た。
−中間層の形成−
ノンコート感光体表面への中間層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、ノンコート感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.1Pa程度になるまで真空排気した。次に、窒素ガスとHガスとを1:2の割合で混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm)導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルアルミニウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルアルミニウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この状態で、ノンコート感光体を10rpmの速度で回転させながら60分間成膜し、膜厚0.15μmのAlN膜を形成し電荷輸送層表面に中間層が設けられた有機感光体を得た。
−表面層の形成−
中間層を設けた有機感光体表面に、前記実施例2と同様の方法により表面層を設けた。
−中間層と表面層の分析・評価−
上記中間層と同様の膜を、実施例1の表面層の形成と同じ条件でSi基板上に成膜し、赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Al−H結合、Al−N結合およびN−H結合に起因するピークが確認された。このことから、表面層中には、Alと窒素と水素とが含まれていることがわかった。
−評価−
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を評価した。まず、上述の中間層および表面層形成前のノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で40rpmで回転させている感光体の表面に走査しながら照射した後の感光体表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた有機感光体は−50V以下で、かつ温度湿度依存性が少なく良好なレベルであることがわかった。
また、感度に対する影響については、光源の波長を赤外領域から可視領域全体にわたって評価したが、ノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とでは殆ど差異は見られず、中間層および表面層を設けたことによる感度の低下が無いことがわかった。
さらに、中間層および表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
次に、この中間層および表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃80%)下で、連続10000枚のプリント評価を行った。なお、画質評価を行うためのリファレンスとして、ノンコート感光体についてもDocuCentre Color 500に取り付けて、同様の画像を形成した。
その結果、成膜翌日のプリントテスト初期およびプリントテスト終了後のいずれにおいてもノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と同様の鮮明で網点部での画像ボケの無い画像で10本/mmの解像度を得ることができた。またプリントテスト後の感光体表面を目視により観察したところ傷の発生は無く、放電生成物の付着も確認されなかった。また、表面のすべりはペーパータオルで擦った定性試験ですべり性がよく低摩擦であった。これに対し、ノンコート感光体では、プリントテスト後の感光体表面に傷が発生し、磨耗は0.6μmであった。
以上の結果から、中間層および表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
(実施例4)
−中間層の形成−
実施例1と同様のノンコート感光体を準備し、表面への中間層の形成は、図4に示す構成を有する成膜装置を用いて行った。
まず、ノンコート感光体を、成膜装置の成膜室10内の基体ホルダー13に載せ、排気口11を介して成膜室10内を、圧力が0.1Pa程度になるまで真空排気した。次に、窒素ガスとHガスと酸素ガスを1:2:0.001の割合で混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm,酸素0.1sccm)導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、窒素ガスとHガスとを1:2の割合で混合したガスをガス導入管20から、直径50mmの電極19が設けられた高周波放電管部21内に300sccm(窒素ガス100sccm、水素ガス200sccm)導入し、さらにガス導入管20にヘリウムで酸素を100:1で希釈し混合したガスを5sccm導入し、高周波電力供給部18およびマッチング回路(図4中不図示)により、13.56MHzのラジオ波を出力100Wにセットしチューナでマッチングを取り平板電極19から放電を行った。この時の反射波は0Wであった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルアルミニウムを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この状態で、感光体を2rpmの速度で回転させながら60分間成膜し、膜厚0.15μmのAlON膜を形成し、中間層が設けられた有機感光体を得た。なお、成膜に際しては、感光体の加熱処理は行わなかった。また、別途成膜と同条件で予め感光体の表面に貼り付けておいたサーモテープの色を、成膜後に確認したところ42℃であった。
次に、水素ガスをキャリアガスとしたトリメチルアルミニウムガスを含む混合ガスを、ガス導入部15を介してシャワーノズル16から成膜室10内のプラズマ拡散部17に、トリメチルアルミニウムガスの流量が3sccmとなるように導入した。この時、バラトロン真空計で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
この状態で、ノンコート感光体を2rpmの速度で回転させながら30分間成膜し、膜厚0.05μmのAlON膜を形成し電荷輸送層表面に中間層が設けられた有機感光体を得た。
−表面層の形成−
中間層を設けた有機感光体表面に、前記実施例2と同様の方法により表面層を設け、中間層と表面層が設けられた有機感光体を得た。
−中間層と表面層の分析・評価−
上記中間層と同様の膜を、実施例1の表面層の形成と同じ条件でSi基板上に成膜し、赤外線吸収スペクトル測定を実施したところ、Al−O結合、Al−N結合に起因するピークが確認された。この他には特徴的なピークはなかった。このことから、表面層中には、Alと窒素と酸素とが含まれていることがわかった。
−評価−
次に、この表面層を設けた有機感光体の電子写真特性を評価した。まず、上述の中間層および表面層形成前のノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とに対して、露光用の光(光源:半導体レーザー、波長780nm、出力5mW)を、スコロトロン帯電器により−700Vに帯電させた状態で40rpmで回転させている感光体の表面に走査しながら照射した後の感光体表面の残留電位を測定した。その結果、ノンコート感光体が−20Vであるの対し、表面層を設けた有機感光体は−25V以下で、かつ温度湿度依存性が少なく良好なレベルであることがわかった。
また、感度に対する影響については、光源の波長を赤外領域から可視領域全体にわたって評価したが、ノンコート感光体と、中間層および表面層を設けた感光体とでは殆ど差異は見られず、中間層および表面層を設けたことによる感度の低下が無いことがわかった。
さらに、中間層および表面層を設けた感光体の表面に対して、貼りつけた粘着テープを剥がす剥離試験を行ったが、表面層は全く剥離せず、接着性は良好であることがわかった。
次に、この中間層および表面層を設けた感光体を、富士ゼロックス社製DocuCentre Color 500に取り付けて、高温高湿環境(28℃80%)下で、連続20000枚のプリント評価を行った。なお、画質評価を行うためのリファレンスとして、ノンコート感光体についてもDocuCentre Color 500に取り付けて、同様の画像を形成した。
その結果、成膜翌日のプリントテスト初期およびプリントテスト終了後のいずれにおいてもノンコート感光体を用いて形成されたプリントテスト初期の画像と同様の鮮明で網点部での画像ボケの無い画像で10本/mmの解像度を得ることができた。またプリントテスト後の感光体表面を目視により観察したところ傷の発生は無く、膜厚測定による磨耗は0μmであった。放電生成物の付着も確認されなかった。また、表面のすべりはペーパータオルで擦った定性試験ですべり性がよく低摩擦であった。これに対し、ノンコート感光体では、プリントテスト後の感光体表面に傷が発生し、磨耗は0.3μmであった。
以上の結果から、中間層および表面層を設けた感光体は、耐久性が向上すると共に、感度や画像ボケのように画質の点では実用上問題ないレベルであることがわかった。
本発明の感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。 本発明の感光体の層構成の他の例を示す模式断面図である。 本発明の感光体の層構成の他の例を示す模式断面図である。 本発明の感光体の表面層および中間層の形成に用いる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 図4に示す成膜装置において利用することのできるプラズマ発生装置の他の例を示す概略模式図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 導電性基体
2 感光層
2A 電荷発生層
2B 電荷輸送層
3 表面層
4 下引層
5 中間層
6 感光層
10 成膜室
11 排気口
12 基体回転部
13 基体ホルダー
14 基体
15 ガス導入部
16 シャワーノズル
17 プラズマ拡散部
18 高周波電力供給部
19 平板電極
20 ガス導入管
21 高周波放電管部
22 高周波コイル
23 石英管
100 プロセスカートリッジ
101 ケース
107,207 電子写真感光体
108,208 帯電手段
111,211 現像手段
112,212 転写手段
113,213 クリーニング手段
114,214 除電手段
115,215 定着手段
200 画像形成装置
210 露光手段

Claims (3)

  1. 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、
    前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、
    且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有することを特徴とする電子写真感光体。
  2. 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有する電子写真感光体と、
    該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段と、該帯電された電子写真感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを含む現像剤によりトナー像として現像する現像手段と、該トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を少なくとも備えることを特徴とする画像形成装置。
  3. 導電性基体と、感光層と、表面層とを含み、前記導電性基体上に前記感光層と前記表面層とがこの順に積層され、前記表面層が、13族元素と、窒素および酸素の少なくとも何れか一方と、を含有し、且つ前記表面層と前記感光層との間に中間層を有する電子写真感光体と、
    該電子写真感光体表面を帯電する帯電手段、前記電子写真感光体表面にトナーを含む現像剤によりトナー像を形成する現像手段、および前記電子写真感光体表面に残存したトナーを除去するクリーニング手段から選択された少なくとも1つの手段と、を一体として有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
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