JP4599853B2 - 浸漬塗布方法、浸漬塗布装置、および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

浸漬塗布方法、浸漬塗布装置、および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、被塗布物を塗布槽内の塗布液に浸漬した後、引き上げることによって被塗布物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布方法および装置、ならびに電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、塗布を行う方法としては、ブレード塗布法、ロールコート法、スプレー塗布法、浸漬塗布法が知られている。
特に、塗布槽内の塗布液に基体を垂直方向に浸漬した後、引き上げることにより塗膜を形成する浸漬塗布法は、均一な塗膜が得られやすいこと、装置が簡便であること、一つの塗布槽で複数同時に塗布できること、短尺物や円筒体にも対応できることなど、他の塗布法と比較して品質、生産性の点で優れている。このため、高品質な塗膜を要求される円筒体の電子写真感光体の製造方法としてよく利用されている。
しかし、この方式では、基体の浸漬位置により浮力が変化するため、基体の固有振動数が変化する。そして、この固有振動数が塗布槽へ供給される塗布液の脈動の周波数と一致する位置で共振が発生し、その部分だけ塗膜が局所的に厚くなる塗膜むら(通常、段むらと称される)が発生する。なお、塗膜の形成により被処理体に防錆や防水といった機能を付与することのみを目的とする場合であれば大きな問題とはならないが、電子写真感光体などの有機電子デバイスの場合は、膜厚の均一性の要求が厳しいため、段むらをできるだけ防止することが重要となる。
この段むら発生を防止するため、いくつかの提案がなされている。
基体の保有空間の最適化や加振により固有振動数を変更させる方法(例えば、特許文献1〜4参照)、塗布槽の口径を大きくして塗布液の脈動を小さくする方法(例えば、特許文献5、6参照)、塗布槽と塗布液供給手段との間にエアーチャンバーを設け、この中に加圧空気を追加して塗布液の脈動を小さくする方法(例えば、特許文献7参照)がある。
特開平4−235562号公報 特開平5−185000号公報 特開平10−48852号公報 特開2001−162216号公報 特開平4−235563号公報 特開平5−337417号公報 特開平1−148360号公報
しかし、基体の保有空間の最適化や加振により固有振動数を変更させる方法では、脈動の周波数が変わると最適な保有空間が変わるため都度調整が必要となってしまう。また、加振により固有振動数を変更させる方法では、可燃性塗液使用時の安全(防爆)対策や加振手段が必要となりコストアップとなる。また、塗布槽の口径を大きくして塗布液の脈動を小さくする方法では、塗布槽の設置スペース拡大や必要液量の増大といった問題が発生してしまう。
これらの方法に対し、エアーチャンバーを設ける方法は、設置スペースが小さく済み、安価で優れた方法である。しかし、この方法においても、段むらの防止が十分であるとは言えない。
そこで、本発明は、段むらの発生をより確実に防止することが可能な浸漬塗布方法および浸漬塗布装置を提供する。また、本発明は、膜厚が均一な塗膜が形成された電子写真感光体を製造することが可能な電子写真感光体の製造方法を提供する。
本発明は、被塗布物を塗布槽内の塗布液に浸漬した後、引き上げることによって前記被塗布物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布方法において、前記塗布槽に塗布液供給手段を用いて塗布液を供給し、前記塗布液供給手段から供給された塗布液からフィルターにより異物を除去し、前記塗布槽と前記フィルターとの間に、塗布液の脈動を平滑化するエアーチャンバーが設けられ、前記塗布槽に供給される前記塗布液の圧力変動が、ゲージ圧で±30%以内であることを特徴とする。
また、本発明は、被塗布物を塗布槽内の塗布液に浸漬した後、引き上げることによって前記被塗布物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布装置において、前記塗布槽に塗布液供給手段を用いて塗布液を供給し、前記塗布液供給手段から供給された塗布液からフィルターにより異物を除去し、前記塗布槽と前記フィルターとの間に、塗布液の脈動を平滑化するエアーチャンバーが設けられ、前記塗布槽に供給される前記塗布液の圧力変動が、ゲージ圧で±30%以内であることを特徴とする。
ここで、前記エアーチャンバーの容積は、160ml以上であることが望ましい。また、前記エアーチャンバーの断面積は、40cm以上であることが望ましい。また、前記エアーチャンバーの高さは、40mm以上であることが望ましい。
本発明の浸漬塗布装置において、前記エアーチャンバーは、分解可能であることが望ましい。このとき、前記エアーチャンバーを構成する複数の部品は、シール部材を介して互いに密着固定されることが望ましい。このとき、前記シール部材は、耐溶剤性の材質であることが望ましい。
また、本発明の浸漬塗布装置において、前記エアーチャンバー内の空気の圧力、または、前記エアーチャンバーと前記塗布槽とを連通させる配管内の塗布液の圧力を検出する圧力検出手段が設けられることが望ましい。
また、本発明の浸漬塗布装置において、前記塗布液の粘度は、100mPa・s以下であることが望ましい。
また、本発明は、導電性基体上に感光層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、上記のいずれかの浸漬塗布装置を用いて、前記感光層のうち少なくとも一つを形成することを特徴とする。
本発明の浸漬塗布方法および装置によれば、段むらの発生をより確実に防止することが可能となる。また、本発明の電子写真感光体の製造方法によれば、膜厚が均一な塗膜が形成された電子写真感光体を製造することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。勿論、本発明は以下の具体的構成に限定されるものではない。
図1は、実施の形態に係る浸漬塗布装置の概略断面図である。この浸漬塗布装置は、被塗布物である基体1を塗布液2に浸漬した後、引き上げることによって基体1の表面に塗布膜を形成するものである。図1において、浸漬塗布装置は、基体1を昇降させる昇降装置10と、塗布液2を循環させる塗布液循環装置20とを有する。
昇降装置10は、基体1を支持しつつ昇降させることにより、塗布液2に基体1を浸漬して引き上げるものである。この昇降装置10は、一般的なものであるので、詳細な説明については省略する。
塗布液循環装置20は、基体1が浸漬される塗布槽21と、この塗布槽21からオーバーフローした塗布液2を受ける回収槽22と、この回収槽22から塗布槽21へ塗布液2を送り込むポンプ23と、塗布槽21と回収槽22とを連通させる配管24と、を有する。これらの他に、塗布槽21周辺の気流を制御するためのフード25や、塗布液2中の異物を取り除くためのフィルター26が設けられることが多い。
塗布液2は、予め必要とされる膜厚を得るのに最適とされる濃度、温度に制御されている。具体的には、塗布液2の濃度および温度が一定となるように、例えば、濃度計、温度計、塗布液追加機構、塗布液調製機構等を用いた制御や攪拌等が行われている。また、塗布液2は、ポンプ23により塗布槽21からオーバーフローし、回収槽22を通り、ポンプ23により再度塗布槽21へ送られる、という具合に循環している。
基体1は、昇降装置10に付随した把持装置(図示せず)等により、基体上端側が密閉されながら昇降可能に把持され、塗布槽21に浸漬される。ここで、昇降装置10は、非塗布部分として残す必要がある位置で基体1を停止させ、数秒間保持した後、必要な膜厚を得るのに必要な速度で引き上げる。これにより、基体1の表面に塗膜が形成される。
なお、基体1は、中空の円筒体であることが望ましい。ただし、基体1の形状は、特に限定されず、例えば、円柱状、シート状、またはプレート状であってもかまわない。
本実施の形態では、ポンプ23の脈動による塗布液2の脈動を平滑化するため、塗布液供給手段であるポンプ23と塗布槽21との間に、エアーチャンバー30を配置する。このエアーチャンバー30を設けることにより、当該エアーチャンバー30内の空気の膨張、圧縮によってエアーチャンバー30内に配管24の塗布液2が出入りし、ポンプ23の圧力変動を緩和し、塗布液2の脈動を平滑化することができる。
ここで、フィルター26を設置する場合は、フィルター26と塗布槽21との間に、エアーチャンバー30を配置するとよい。フィルター設置により圧力損失が大きくなるため、脈動の原因であるポンプ23の負荷が大きくなって、さらに脈動を増幅させる場合があるためである。
また、塗布液2の脈動が大きくなると、段むらの程度が悪くなる。このため、塗布液2の脈動は、ゲージ圧±30%以内とされることが望ましい。言い換えると、塗布槽21に供給される塗布液2の圧力変動は、ゲージ圧で±30%以内に制御されることが望ましい。ここで、エアーチャンバー30が小さいと、塗布液2が液圧によりエアーチャンバー30の内部空間をほとんどしめるため、ゲージ圧で±30%以内とすることは困難である。このため、エアーチャンバー30には、ある程度の大きさが要求される。具体的には、エアーチャンバー30の容積は、160ml以上であることが望ましい。より具体的には、エアーチャンバー30の内部空間の断面積は40cm以上であることが望ましく、高さは40mm以上であることが望ましい。
塗布槽21に供給される塗布液2の圧力変動は、ゲージ圧で±10%以内であることがさらに望ましい。また、エアーチャンバー30の断面積は、80cm以上であることがさらに望ましい。
また、反応性等固形化しやすい塗布液2を使用する場合、エアーチャンバー30の内壁に固形分が固着しやすく、定期的な清掃が必要となる。したがって、エアーチャンバー30は、分解可能であることが望ましい。この場合、隙間からエアーが漏れて機能を果たさなくなることを回避するため、エアーチャンバー30を構成する複数の部品は、シール部材を介してネジ締め等により互いに密着固定されることが好ましい。すなわち、継ぎ目部分を密着させるとよい。ここで、シール部材としては、例えば、ガスケットやOリングなどの可撓性物質からなる部材が好適に用いられる。
また、塗布液2が溶剤系である場合、シール部材として、耐溶剤性の材質のものを用いることが望ましい。
また、エアーチャンバー30内の空気の圧力、または、エアーチャンバー30と塗布槽21とを連通させる配管24内の塗布液2の圧力を検出する圧力検出手段を設けて圧力変動を監視すれば、エアーリークがないか、また機能が十分かを迅速に確認することができる。なお、圧力検出手段は、エアーチャンバー30の上部あるいはエアーチャンバー30と塗布槽21との間に設けられる。
また、塗布液2の粘度が低いほど脈動は大きくなりやすく、特に、粘度が100mPa・s以下の塗布液2に対して、本実施の形態に係る浸漬塗布装置および方法は有効である。
次に、エアーチャンバー30の具体的な構成の一例を示す。図2は、エアーチャンバー30の概略断面図である。以下、図2の矢印X方向を上方向として説明する。なお、通常、エアーチャンバー30は、矢印X方向を上方向として設置される。図2に示されるとおり、エアーチャンバー30は、略円筒状の中空のチャンバー本体部31を有する。このチャンバー本体部31の上端には大径の開口部31aが形成されており、下端には小径の開口部31bが形成されている。チャンバー本体部31の内部空間の断面積は、上下方向の略全域にわたって略一定であるが、下方の所定箇所Aから下端にかけて漸次減少し、開口部31bの断面積で収束している。
チャンバー本体部31の下方において、開口部31bは、流通路32を介して、配管24と連通している。これにより、チャンバー本体部31と配管24との間における塗布液2の出入りが可能となっている。
一方、チャンバー本体部31の上方において、開口部31aの外周には、ドーナツ状のフランジ部31cが形成されている。このフランジ部31cの上面には、可撓性材料からなるOリング33を介して、ねじ締めにより、円板状の蓋部34が密着固定されている。この蓋部34により、上端の開口部31aが密閉されている。
ここで、エアーチャンバー30の作用について簡単に説明する。密閉されたエアーチャンバー30の内部空間の上部は、空気で満たされている。ポンプ23が送り出す塗布液2の量(以下、吐出量と称す)は、一定ではなく、変動している。塗布液の一部がエアーチャンバーの方へ分流し、ポンプ23の瞬間吐出量が平均吐出量を超えた過剰吐出体積は、エアーチャンバー30内の空気を圧縮して貯えられる。そして、ポンプ23の瞬間吐出量が平均吐出量より少なくなったときに、貯えられた塗布液2が配管24へ送られる。このような圧力変動のピークが緩和される作用と、位相のずれが生じる作用により、エアーチャンバー30は、塗布槽21に供給される塗布液2の脈動を平滑化する。
本実施の形態において、塗布槽21は、基体1を浸漬し得るものであれば、その内径、長さ等如何なる大きさであっても構わないが、電子写真感光体の構成層を塗布するに当たっては、通常内径15〜260mm、長さ250〜600mm程度のものが用いられる。
また、塗布槽21の内径と基体1の外径との間隙が狭いと、周方向にわたる間隙のばらつきが膜厚のばらつきとなるので、両者の間隙が5mm以上となるよう設計することが好ましい。
また、同時に複数個の基体1を処理可能とすることも好ましい態様である。これは、同時に多数個の被塗布物を処理可能とすることにより、生産性の向上を図ることができるからである。
また、ポンプ23としては、基体1を引き上げる際に液面が下降しない(オーバーフローする)送液流量を維持できる能力のものを、少なくとも選定する必要がある。
塗布速度は、必要とされる膜厚と塗布液2の液物性(粘度、固形分比、表面張力、乾燥速度)により適宜決定される。塗布液2の液物性は、塗膜の表面性や膜厚均一性から適宜決定される。また、塗布後の基体1の乾燥工程に関し、塗布後から乾燥までの時間、乾燥温度、および乾燥時間は、塗膜の表面性や残留溶媒量から決定される。さらに、電子写真感光体の場合、電子写真特性への影響を考慮することも必要である。
本実施の形態に係る浸漬塗布装置および方法は、要求される機能等により種々の有機デバイスの製造に適用可能である。その好適な例として、有機電子写真感光体(OPC)を挙げることができる。
図3は、電子写真感光体の好適な一実施形態の積層構造を示す模式断面図である。図3に示した電子写真感光体40は、電荷発生層45と電荷輸送層46とが別個に設けられた機能分離型の感光層43を備えるものであり、導電性基体42上に、下引き層44、電荷発生層45、電荷輸送層46が、この順序で積層された構造を有している。
なお、感光層43を構成する各層45、46は、その下層までが形成されたものを被塗布物(被処理体ともいう)とし、形成する層の塗布液を浸漬塗布する際に本実施の形態に係る浸漬塗布方法を適用することによって形成可能である。また、本実施の形態では、感光層43を構成するいずれかの層が本実施の形態に係る浸漬塗布方法により形成されたものであればよく、かかる条件を満たせば、本実施の形態に係る浸漬塗布方法以外の塗布方法により形成された層が含まれてもよい。
以下、電子写真感光体40の各要素について説明する。
導電性基体42としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。導電性基体42の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
導電性基体42として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引き層44は、導電性基体42表面における光反射の防止、導電性基体42から感光層43への不要なキャリアの注入防止などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層44の材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、支持体上に塗布したものが挙げられる。また、金属酸化物微粒子は2種以上混合して用いることもできる。さらに、金属酸化物微粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
下引き層44に含まれる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂などの公知の高分子樹脂化合物、また電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂やポリアニリン等の導電性樹脂などを用いることができる。中でも上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好ましく用いられ、特にフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などが好ましく用いられる。
下引き層44中の金属酸化物微粒子と結着樹脂との比率は特に制限されず、所望する電子写真感光体特性を得られる範囲で任意に設定できる。
下引き層44の形成の際には、上記成分を所定の溶媒に加えた塗布液が使用される。かかる溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独又は2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解可能であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
また、下引き層形成用塗布液中に金属酸化物微粒子を分散させる方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用できる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる下引き層形成用塗布液を被処理体である導電性基体42上に塗布する際には、本実施の形態に係る浸漬塗布方法が好ましく適用される。なお、他の層が本実施の形態に係る浸漬塗布方法により形成される場合は、本実施の形態に係る浸漬塗布方法と異なる浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等を適用してもよい。下引き層44の膜厚は15μm以上が好ましく、20〜50μmがより好ましい。
下引き層44には、表面粗さ調整のために下引き層中に樹脂粒子を添加することもできる。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型PMMA樹脂粒子等を用いることができる。
また、表面粗さ調整のために下引き層44の表面を研磨することもできる。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、ウエットホーニング、研削処理等を用いることもできる。
また、図示は省略するが、電気特性向上、画質向上、画質維持性向上、感光層接着性向上などのために、下引き層44上に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物は残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
中間層の形成に使用される溶媒としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n―ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶かす事ができる溶剤であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
このようにして得られる中間層形成用塗布液を下引き層44上に塗布する際には、本実施の形態に係る浸漬塗布方法が好ましく適用される。なお、他の層が本実施の形態に係る浸漬塗布方法により形成される場合は、本実施の形態に係る浸漬塗布方法と異なる浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。
中間層は上層の塗布性改善の他に、電気的なブロッキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、中間層を形成する場合には、0.1〜3μmの膜厚範囲に設定される。
また、この場合の中間層を下引き層44として使用してもよい。
電荷発生層45は、電荷発生材料を適当な結着樹脂中に分散して形成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用可能であり、特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を使用することができる。その他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等を使用することができる。また、これらの電荷発生材料は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
電荷発生層45における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂等を用いることができる。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層45の形成の際には、上記成分を所定溶剤に加えた塗布液が使用される。かかる溶剤としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤、などの有機溶剤が挙げられる。これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解可能であれば、いかなるものでも使用することが可能である。
電荷発生材料を樹脂中に分散させるために、塗布液には分散処理が施される。分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用できる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる電荷発生層形成用塗布液を下引き層44上に塗布する際には、本実施の形態に係る浸漬塗布方法が好ましく適用される。なお、他の層が本実施の形態に係る浸漬塗布方法により形成される場合は、本実施の形態に係る塗布方法と異なる浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等を適用してもよい。電荷発生層45の膜厚は、好ましくは0.01〜5μm、より好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
電荷輸送層46は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含んで構成される。かかる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N′−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−N,N′−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4′−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4′−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、電荷輸送層46における結着樹脂としては、例えば、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプ等のポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリアミド樹脂、塩素ゴム等の絶縁性樹脂、およびポリビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン等の有機光導電性ポリマー等があげられる。これ等の結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。
電荷輸送層46は、上記成分を所定溶剤に加えた塗布液を用いて形成される。電荷輸送層46の形成に使用される溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶剤、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶剤、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶剤等があげられる。また、これらの溶剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができる。混合する際、使用される溶剤としては、混合溶剤として結着樹脂を溶解可能であれば、いかなるものでも使用することが可能である。電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましい。
電荷輸送層46中にフッ素系樹脂粒子を分散させるための塗布液の分散方法としては、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用できる。さらに、高圧ホモジナイザーとして、高圧状態で分散液を液−液衝突や液−壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式などが挙げられる。
このようにして得られる電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層45上に塗布する際には、本実施の形態に係る浸漬塗布方法が好ましく適用される。なお、他の層が本実施の形態に係る浸漬塗布方法により形成される場合は、本実施の形態に係る塗布方法と異なる浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。電荷輸送層46の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
電子写真装置中で発生するオゾンや窒素酸化物、あるいは光、熱による電子写真感光体40の劣化を防止する目的で、感光層43を構成する各層中に酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤などの添加剤を添加することができる。例えば、酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機リン化合物等があげられる。光安定剤の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペン等の誘導体が挙げられる。
また、表面の平滑性を向上させる目的で、表面層中にシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
このような電子写真感光体40においては、本実施の形態に係る浸漬塗布方法により感光層43に含まれる各層を形成させることによって、段むらの発生を充分に防止することができ、そのため膜厚が均一であり且つ高品質の感光層43が実現されている。従って、電子写真感光体40を、電子写真方式の画像形成装置に適用することによって、優れた感光体特性を達成することができる。
本実施の形態の電子写真感光体40が適用される画像形成装置としては特に制限されず、電子写真方式の画像形成が行われるプリンター、複写機、ファクシミリなどに好適に適用することができる。かかる画像形成は、白黒画像形成、カラー画像形成のいずれであってもよい。また、カラー画像形成装置の場合、各色トナーに対応する画像形成ユニットが並列配置されるタンデム方式の装置にも好適に適用することができる。
以上のとおり、本実施の形態によれば、塗布槽に供給される塗布液の圧力変動をゲージ圧で±30%以内とするので、段むらの発生を効果的に防止することができる。この結果、感光層として良好で均一な塗膜を有する電子写真感光体を製造することができる。すなわち、電子写真感光体の如く膜厚の均一性が厳しく要求される円筒体外周面に良好で均一な塗膜を形成することのできる浸漬塗布装置および方法を提供することができる。
また、塗布槽と塗布液供給手段であるポンプとの間にエアーチャンバーを配置し、このエアーチャンバーの容積を160ml以上とするので、エアーチャンバー内に加圧空気を供給することなく、塗布液の脈動をゲージ圧で±30%以内にすることができる。このため、エアーチャンバー内への加圧空気の供給に伴う、安全対策によるコストアップや設置スペースの増大を回避することができる。すなわち、設置スペースが小さく、安全対策が不要で低コストでありながら、段むらを確実に防止することが可能な浸漬塗布装置および方法を提供することができる。この結果、生産性に優れ、電子写真感光体の如く膜厚の均一性が厳しく要求される円筒体外周面に良好で均一な塗膜を形成することのできる浸漬塗布装置および方法を提供することができる。また、特に、エアーチャンバーの断面積を40cm以上とし、高さを50mm以上とするので、上記の効果をより確実に得ることができる。
なお、本発明に係る浸漬塗布装置、浸漬塗布方法、および電子写真感光体の製造方法は、上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、感光層43の構成は上記に限定されず、例えば、電荷発生層45と電荷輸送層46との順序は逆であってもよい。また、下引き層44を設けずに、導電性基体42上に電荷発生層45等を隣接配置してもよい。さらに、上記の機能分離型の感光層43の代わりに、電荷発生材料と電荷輸送材料との双方を含有する単層型感光層を設けてもよい。
また、図4に示すように、電荷輸送層46上に保護層47をさらに設け、電子写真感光体40の表面層としてもよい。保護層47としては、例えば、アクリル系ポリマー、イミド系のポリマー、メラミン系のポリマー、アクリル、メラミン系のポリマー、シリコン系ポリマー又はポリマー前駆体などのバインダーポリマー又はポリマー前駆体中に低分子電荷輸送材を分散し、その後バインダーポリマー又はポリマー前駆体を反応硬化させたものが挙げられる。また、反応性の電荷輸送材料を単独もしくはバインダーとともに硬化させることにより保護層47を形成してもよい。また、電子写真感光体40表面の潤滑性を高めるために、シリコーン含有ポリマー、フッソ含有ポリマー、シリコーンポリマー微粒子、フッ素ポリマー微粒子などを添加してもよい。また、メラミン樹脂微粒子や、導電性の粉体等の強固な微粒子をバインダーポリマー中に添加してもよい。
また、エアーチャンバー30は、必ずしも設置される必要はなく、他の手段によって塗布液2の脈動を抑えることとしてもよい。
本発明の効果を一層明確にするために、以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
本実施例においては、図1に示される浸漬塗布装置により、円筒体の外周面に塗膜を形成した。塗布槽21として、内径110mm×深さ500mmの円筒状のステンレス製のものを用いた。基体1として、外径80mm×長さ340mmの円筒状のアルミパイプを用いた。この基体1に下引き層をあらかじめ塗布し、150℃、30分の硬化処理を行い、20μmの膜厚とした。ここで、下引き層の構成は、酸化チタン25重量部、樹脂前駆体としてのブロック化イソシアネート(商品名:住友バイエルンウレタン社製スミジュール3175)10重量部、メチルエチルケトン60重量部、ブチラール樹脂(商品名:積水化学社製BM−1)9重量部、シリコーンボール(商品名:東芝シリコーン社製トスパール120)3重量部、およびレベリング剤(商品名:東レダウコーニングシリコーン社製シリコーンオイルSH29PA)0.01重量部である。
次に、この下引き層の上に、図1に示される浸漬塗布装置を用いて、電荷発生層を形成した。ここでは、電荷発生層の構成は、塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(商品名:日本ユニカー社製VMCH)10重量部、およびn−酢酸ブチル300重量部である。
ここで、塗布液2の流量は1.5l/min、粘度は2.0mPa・s、塗布液温度は23℃とした。配管24として、外形27.2mm、内径23.2mmのものを用いた。この配管24からT字配管で上方に分岐した先に、図2に示されるエアーチャンバー30を設置した。ここで、エアーチャンバー30の設置場所は、フィルター26と塗布槽21との間とした。流通路32は、上下方向長さ40mm、内径23.2mmであった。また、エアーチャンバー30と塗布槽21との間に、配管24内の塗布液2の圧力を検出するための圧力計を設置した。
このような条件において、エアーチャンバー30の内部空間の直径Rと高さHとを振って、電荷発生層の浸漬塗布を行った。具体的には、膜厚が0.15μmとなるように浸漬後、基体1全体にわたって150mm/minの一定速度で引き上げ塗布を行った。ここで、この浸漬塗布動作中に、圧力計により、塗布槽21に供給される塗布液2のゲージ圧の中心値および振れ幅を測定した。また、浸漬塗布から5分後に、塗膜を目視観察し、段むらが発生しているか否かを確認した。さらに、段むらが発生していないものに電荷輸送層を塗布してプリンターに入れて画像評価したところ、段むらは画質欠陥として検出されなかった。
比較例として、エアーチャンバー30を設置しない以外は上記実施例と全く同じ浸漬塗布装置および材料を用いて、浸漬塗布および圧力測定を行った。塗布終了5分後塗膜を目視観察したところ、段むらが基体上端より160mmの位置に確認された。これに電荷輸送層を塗布してプリンターに入れて画像評価したところ、段むらは画質欠陥として検出された。
上記の実施例および比較例の結果を表1に示す。
Figure 0004599853
上記の結果より、塗布槽21に供給される塗布液2のゲージ圧の変動幅が±30%以内の場合には、段むらが発生しないことが分かる。そして、エアーチャンバー30の断面積が40cm以上、かつ、高さが40mm以上である場合には、おおよそ、ゲージ圧の変動幅は±30%以内となることが分かる。
実施の形態に係る浸漬塗布装置の概略断面図である。 エアーチャンバーの概略断面図である。 電子写真感光体の好適な一実施形態の積層構造を示す模式断面図である。 電荷輸送層上に保護層が設けられてなる電子写真感光体の積層構造を示す模式断面図である。
符号の説明
1 基体、2 塗布液、10 昇降装置、20 塗布液循環装置、21 塗布槽、22 回収槽、23 ポンプ、24 配管、25 フード、26 フィルター、30 エアーチャンバー、31 チャンバー本体部、31a,31b 開口部、31c フランジ部、32 流通路、33 Oリング、34 蓋部、40 電子写真感光体、42 導電性基体、43 感光層、44 下引き層、45 電荷発生層、46 電荷輸送層、47 保護層。

Claims (8)

  1. 被塗布物を塗布槽内の塗布液に浸漬した後、引き上げることによって前記被塗布物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布方法において、
    前記塗布槽に塗布液供給手段を用いて塗布液を供給し、前記塗布液供給手段から供給された塗布液からフィルターにより異物を除去し、
    前記塗布槽と前記フィルターとの間に、塗布液の脈動を平滑化するエアーチャンバーが設けられ、
    前記塗布槽に供給される前記塗布液の圧力変動が、ゲージ圧で±30%以内であることを特徴とする浸漬塗布方法。
  2. 被塗布物を塗布槽内の塗布液に浸漬した後、引き上げることによって前記被塗布物の表面に塗膜を形成する浸漬塗布装置において、
    前記塗布槽に塗布液を供給する塗布液供給手段と、前記塗布液供給手段から供給された塗布液から異物を除去するフィルターとを有し、
    前記塗布槽と前記フィルターとの間に、塗布液の脈動を平滑化するエアーチャンバーが設けられ、
    前記塗布槽に供給される前記塗布液の圧力変動が、ゲージ圧で±30%以内であることを特徴とする浸漬塗布装置。
  3. 請求項に記載の浸漬塗布装置において、
    前記エアーチャンバーの容積は、160ml以上であることを特徴とする浸漬塗布装置。
  4. 請求項または3に記載の浸漬塗布装置において、
    前記エアーチャンバーは、分解可能であることを特徴とする浸漬塗布装置。
  5. 請求項に記載の浸漬塗布装置において、
    前記エアーチャンバーを構成する複数の部品は、シール部材を介して互いに密着固定されることを特徴とする浸漬塗布装置。
  6. 請求項のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置において、
    前記エアーチャンバー内の空気の圧力、または、前記エアーチャンバーと前記塗布槽とを連通させる配管内の塗布液の圧力を検出する圧力検出手段が設けられたことを特徴とする浸漬塗布装置。
  7. 請求項2〜のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置において、
    前記塗布液の粘度は、100mPa・s以下であることを特徴とする浸漬塗布装置。
  8. 導電性基体上に感光層を形成する電子写真感光体の製造方法であって、請求項2〜のいずれか1項に記載の浸漬塗布装置を用いて、前記感光層のうち少なくとも一つを形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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