JP5532817B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
また、潤滑剤の粒子が分散された最表面層を備えた電子写真感光体が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
塗布液を保持する浸漬槽、該浸漬槽から塗布液を回収する回収機構、および該回収機構によって回収された前記塗布液を浸漬槽に供給する供給配管を有する塗布装置を用い、
最表面を構成する層以外の全ての層を形成した基体を、フッ素系樹脂粒子および該フッ素系樹脂粒子の分散助剤を含有し且つ前記浸漬槽に保持される最表面を構成する層形成用の塗布液中に浸漬し、その後該塗布液中から前記基体を取り出して最表面を構成する層を形成する工程を有し、
前記最表面を構成する層を形成する工程は、前記供給配管における前記塗布液のレイノルズ数が2000以上5080以下の状態で行われる電子写真感光体の製造方法である。
本実施形態に係る電子写真感光体(以下単に「感光体」と称す場合がある)は、基体と、該基体上に感光層と、を有し、且つ最表面を構成する層(以下単に「最表面層」と称す場合がある)が、フッ素系樹脂粒子および該フッ素系樹脂粒子の分散助剤を含有し、該最表面を構成する層の断面を観察した際の下記式(1)で表される前記フッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキが0%以上10%以下であることを特徴とする。
式(1)
面積比のバラツキ = (粒子面積最大値−粒子面積平均値)/粒子面積最大値
即ち、フッ素系樹脂粒子と分散助剤を含有する最表面層を備えた感光体では、フッ素系樹脂粒子が密な領域と粗な領域とが生じることによって前記木目筋が生じる。しかし、前記式(1)を満たす面積比のバラツキの小さい本実施形態に係る感光体であれば、フッ素系樹脂粒子の疎密が低減され、前記木目筋の発生が抑制されるものと推察される。また、木目筋の発生が抑制されることから、画像形成装置においては連続してプリントを行った後においても表面における粒子の状態が変化せず、クリーニング不良の発生が抑制されるものと推察される。
上記式(1)で表されるフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキは、感光体から以下の方法で断面ブロックサンプルを作製して算出する。
まず、感光体から基体ごと小片を切り出し、感光体の表面にPtを蒸着して包埋する。続いてミクロトームにて断面を作成し、試料台に固定した後、導電性を付与するためにPtを蒸着して、断面ブロックサンプルを作製する。次いで、
・SEM/EDS:日本電子製JSM−6700F/JED−2300Fを使用
・観察モード:2次電子像(SEI)、下方電子像(LEI,凹凸強調、帯電障害に強い)
・加速電圧:観察時5kv、分析時20kv
の条件にて観察された断面映像から、任意の観察視野におけるφ10μm×3箇所の画像を抽出し、上記3箇所の画像で観察される全てのフッ素系樹脂粒子の粒子面積を測定し、その全ての粒子面積の平均値と最大値を求めて、前記式(1)から求める。
フッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキを前記数値範囲に制御するには、以下の本実施形態に係る感光体の製造方法によって製造することが望ましい。
即ち、本実施形態に係る感光体の製造方法は、塗布液を保持する浸漬槽、該浸漬槽から塗布液を回収する回収機構、および該回収機構によって回収された前記塗布液を浸漬槽に供給する供給配管を有する塗布装置を用い、最表面層以外の全ての層を形成した基体を、フッ素系樹脂粒子および該フッ素系樹脂粒子の分散助剤を含有し且つ前記浸漬槽に保持される最表面層形成用の塗布液中に浸漬し、その後該塗布液中から前記基体を取り出して最表面層を形成する工程を有し、前記最表面を構成する層を形成する工程は、前記供給配管における前記塗布液のレイノルズ数が2000以上5080以下の状態で行われることを特徴とする。
具体例としては、図5に示す、最表面層形成用の塗布液52が供給された浸漬槽53と、該浸漬槽53中の塗布液52に最表面層以外の全ての層を形成した基体51を浸漬することによって浸漬槽53より溢れた塗布液52を回収する回収容器21と、回収された塗布液52を収容する回収タンク22と、回収タンク22から塗布液52を浸漬槽53に供給する供給配管24と、を有する塗布装置が挙げられる。
尚、上記レイノルズ数の数値範囲は、更に3000以上5000以下であることがより望ましく、3500以上4500以下であることが特に望ましい。
上記最表面層形成用の塗布液におけるレイノルズ数は、前記浸漬槽と前記循環機構としての前記供給配管とを有する塗布装置を用いる場合であれば、以下の方法により計算される。尚、本明細書に記載の数値は該方法によって計算されたものである。
レイノルズ数Re=V×d/ν
(V:供給配管中における塗布液の流速(m/s)、d:供給配管の内径(m)、ν:塗布液の動粘度(m2/s))
動粘度(m2/s)=粘度(mPa・s)/密度(g/cm2W)/1000000
粘度は、東洋計器製B型粘度計にて液温度24℃における粘度の測定を行う。また、密度は、京都電子工業株式会社製密度比重計にて液温度24℃における密度の測定を行ない、動粘度を計算により算出する。
また、供給配管中における塗布液の流速は、供給配管中で塗布液を送り出すポンプの設定により算出される。
本実施形態に係る感光体は、基体上に感光層を少なくとも有し、且つ最表面層がフッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、前述のフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキの数値範囲を満たすものであれば、その層構成等に特に限定はない。本実施形態に係る感光層は電荷輸送能と電荷発生能とを併せ持つ機能一体型の感光層であってもよいし、電荷輸送層と電荷発生層とを含む機能分離型の感光層であってもよい。さらには、下引層や中間層、保護層等のその他の層を設けてもよい。
図1は、本実施形態に係る感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。図1中、1は基体、2は感光層、2Aは電荷発生層、2Bは電荷輸送層、4は下引層を表す。
図1に示す感光体は、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2Bがこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。
尚、図1に示す感光体においては電荷輸送層2Bが最表面層であり、該電荷輸送層2Bがフッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ前述のフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキの数値範囲を満たす。
図2に示す感光体は、基体1上に、下引層4、電荷輸送層2B、電荷発生層2Aがこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷輸送層2Bおよび電荷発生層2Aの2層から構成される。
尚、図2に示す感光体においては電荷発生層2Aが最表面層であり、該電荷発生層2Aがフッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ前述のフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキの数値範囲を満たす。
図3に示す感光体は、基体1上に、下引層4、感光層6がこの順に積層された層構成を有し、感光層6は、図1に示す電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの機能が一体となった層である。
尚、図3に示す感光体においては機能一体型の感光層6が最表面層であり、該感光層6がフッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ前述のフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキの数値範囲を満たす。
図4に示す感光体は、基体1上に、下引層4、電荷発生層2A、電荷輸送層2B、保護層5がこの順に積層された層構成を有し、感光層2は電荷発生層2Aおよび電荷輸送層2Bの2層から構成される。
尚、図4に示す感光体においては保護層5が最表面層であり、該保護層5がフッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ前述のフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキの数値範囲を満たす。
図1に示す感光体において、基体1としては、従来から使用されているものであれば、如何なるものを使用してもよい。例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼等の金属類、およびアルミニウム、チタニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼、金、バナジウム、酸化錫、酸化インジウム、ITO等の薄膜を設けたプラスチックフィルム等、あるいは導電性付与剤を塗布、または含浸させた紙、およびプラスチックフィルム等が挙げられる。基体1の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。
基体1として金属パイプを用いる場合、表面は素管のままであってもよいし、予め鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理が行われていてもよい。
下引層4は、基体1表面における光反射の防止、基体1から感光層2への不要なキャリアの流入の防止などの目的で設けられる。下引層4の材料としては、アルミニウム、銅、ニッケル、銀などの金属粉体や、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性金属酸化物や、カーボンファイバ、カーボンブラック、グラファイト粉末などの導電性物質等を結着樹脂に分散し、基体1上に塗布したものが挙げられる。また、金属酸化物粒子は2種以上混合して用いてもよい。さらに、金属酸化物粒子へカップリング剤による表面処理を行うことで、粉体抵抗を制御して用いてもよい。
また、図示は省略するが、下引層4上に中間層をさらに設けてもよい。中間層に用いられる結着樹脂としては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などがある。これらの化合物は単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いられる。中でも、ジルコニウムもしくはシリコンを含有する有機金属化合物が優れている。
図1に示す感光体における電荷発生層2Aは、電荷発生材料を結着樹脂中に分散して形成される。かかる電荷発生材料としては、無金属フタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジクロロスズフタロシアニン、チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン顔料が使用される。特に、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.4゜、16.6゜、25.5゜および28.3゜に強い回折ピークを有するクロロガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.4゜および28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜および28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも9.6゜、24.1゜および27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が使用される。またその他、電荷発生材料としては、キノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、ビスベンゾイミダゾール顔料、アントロン顔料、キナクリドン顔料等が使用される。尚、これらの電荷発生材料は単独または2種以上を混合して使用される。
図1に示す電荷輸送層2Bは感光体における最表面層に相当し、前述の通り、フッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ断面を観察した際の前記式(1)で表されるフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキが0%以上10%以下である。
フッ素系樹脂粒子としては、4フッ化エチレン樹脂(PTFE)、3フッ化塩化エチレン樹脂、6フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、2フッ化2塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を選択して用いられる。尚、さらに望ましくは4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂であり、特に望ましくは4フッ化エチレン樹脂である。
尚、上記フッ素系樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所製)を用いて、フッ素系樹脂粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
まず、フッ素系樹脂粒子の「分散助剤」とは、PTFE粒子等の前記フッ素系樹脂粒子の分散性を向上させる機能を有し、前記フッ素系樹脂粒子表面への吸着性を維持しながら、最表面層に含まれる結着樹脂との相溶性を保持し得る化合物を指す。
電荷輸送層2Bは上記成分に加えて、電荷輸送層としての本来的機能を発現させるための電荷輸送材料、さらには結着樹脂を含む。かかる電荷輸送材料としては、例えば、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、トリ(p−メチルフェニル)アミニル−4−アミン、ジベンジルアニリン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質、クロラニル、ブロアントラキノン等のキノン系化合物、テトラアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物等の電子輸送物質、および上記した化合物からなる基を主鎖または側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種または2種以上を組み合わせて使用される。
図1に示す最表面層たる電荷輸送層2Bの形成は、フッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキを前述の数値範囲に制御する観点から、以下の本実施形態に係る感光体の製造方法によって製造することが望ましい。
即ち、塗布液を保持する浸漬槽、該浸漬槽から塗布液を回収する回収機構、および該回収機構によって回収された前記塗布液を浸漬槽に供給する供給配管を有する塗布装置を用い、最表面層(つまり図1では電荷輸送層2B)以外の全ての層(つまり図1では下引層4と電荷発生層2A)を形成した基体1を、前記浸漬槽に保持される最表面層(電荷輸送層2B)形成用の塗布液中に浸漬し、その後該塗布液中から前記基体を取り出して最表面層を形成する工程を有し、前記最表面層を形成する工程は、前記供給配管における前記塗布液のレイノルズ数が2000以上5080以下の状態で行われることが望ましい。
尚、最表面層形成用の塗布液におけるレイノルズ数は、前述の方法によって計算される。
前記基体1を最表面層(電荷輸送層2B)形成用の塗布液に浸漬して取り出す浸漬塗布法に関し、図面を用いてその一例を説明する。
図5は、浸漬塗布装置の構造を示す概略断面図である。なお、本明細書において、「基体を上昇」とは、基体と最表面層形成用の塗布液の液面との相対関係であり、基体を固定し、液面を下降させる場合を含む。
尚、上記浸漬槽53より溢れた塗布液52は回収容器21によって回収されて回収タンク22に収容される。その後回収タンク22と浸漬槽53とを接続した供給配管24の途中に設けられたポンプ23により浸漬槽53に向け供給され、さらにフィルタ26を経由して供給配管24を通り浸漬槽53に供給される。
上記浸漬槽53の中における最表面層形成用の塗布液52のレイノルズ数は、前記の通り2000以上5000以下に制御される。具体的には、前述の通り浸漬槽53につながる供給配管24の内径(配管径L1(m))や、供給配管24中における塗布液52の流速、循環させる塗布液52の動粘度によって制御する。
まず、電荷輸送層におけるフッ素系樹脂粒子以外の成分を溶解させ、且つフッ素系樹脂粒子を膨潤させない溶媒を用いる。該溶媒に電荷輸送層を溶解させてフッ素系樹脂粒子の1質量%溶解液を調製する。前記溶解液におけるフッ素系樹脂粒子の粒度分布の測定は、該溶解液1mlと溶媒10mlをバッチ式セル中で攪拌し、堀場製作所製粒度分布計(LA−920)で測定し求められる。
尚、電荷輸送層を溶解する前記溶媒として具体的には、電荷輸送層形成用塗布液の溶媒が挙げられる。この溶媒としては、例えば、トルエン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール等の脂肪族アルコール系溶媒、アセトン、シクロヘキサノン、2−ブタノン等のケトン系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは2種以上混合して用いてもよい。
また、電荷輸送層2Bが最表面層でない場合には上記以外の方法によっても電荷輸送層2Bを形成し得る。例えば、電荷輸送層形成用の塗布液を塗布する方法としては、上記の浸漬塗布法の他にも、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
この場合の電荷発生層2Aの形成は、前述の最表面層たる電荷輸送層2Bの形成方法に準じて行われることが望ましい。
この場合の機能一体型の感光層6の形成は、前述の最表面層たる電荷輸送層2Bの形成方法に準じて行われることが望ましい。
図4に示す感光体は、図1に示す感光体の最表面にさらに保護層5を有する態様である。該保護層5は感光体における最表面層に相当し、前述の通り、フッ素系樹脂粒子と該フッ素系樹脂粒子の分散助剤とを含有し、且つ断面を観察した際の前記式(1)で表されるフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキが0%以上10%以下である。
また、保護層5の形成は、前述の最表面層たる電荷輸送層2Bの形成方法に準じて行われることが望ましい。
保護層は、導電性材料を適当な結着樹脂中に含有させ、且つフッ素系樹脂粒子および該フッ素系樹脂粒子の分散助剤を含有させた塗布液を感光層上に塗布することにより形成される。
次に、本実施形態の電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置について説明する。
本実施形態のプロセスカートリッジは、本実施形態の電子写真感光体を用いたものであれば特に限定されないが、具体的には、本実施形態の電子写真感光体と、帯電装置、現像装置およびクリーニング装置から選択された少なくとも1つとを一体として有するものであり、画像形成装置本体に脱着自在である構成を有するものであることが望ましい。
図6に示すプロセスカートリッジ100は、電子写真感光体107とともに、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部105、および除電器114を取り付け、ケース101、取り付けレール103を用いて組み合せて一体化したものである。そして、このプロセスカートリッジ100は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とを含む画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、電子写真装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
図7に示す画像形成装置200は、電子写真感光体207と、電子写真感光体207を接触方式により帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続された電源209と、帯電装置208により帯電される電子写真感光体207を露光する露光装置210と、露光装置210により露光された部分を現像する現像装置211と、現像装置211により電子写真感光体207に現像された像を転写する転写装置212と、クリーニング装置213と、除電器214と、定着装置215とを備える。
・下引層の形成
酸化亜鉛(平均粒子径:70nm、テイカ社製、比表面積値:15m2/g)100質量部をメタノール500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤として、KBM603(信越化学社製)1.25質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、メタノールを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛粒子を得た。
次に、電荷発生材料として、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の少なくとも7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜および28.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶15質量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニオンカーバイト社製)10質量部およびn−ブチルアルコール300質量部からなる混合物を、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を前記下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
次に、(A)4フッ化エチレン樹脂粒子(フッ素系樹脂粒子/平均一次粒径:0.2μm)0.5質量部および下記構造式で表される繰り返し単位を含むフッ化アルキル基含有共重合体(分散助剤/重量平均分子量50,000、l:m=1:1、s=1、n=60)0.01質量部を、テトラヒドロフラン4質量部、トルエン1質量部と共に20℃の液温に保ち、48時間攪拌混合し、4フッ化エチレン樹脂粒子懸濁液を得た。次に、(B)電荷輸送物質としてN,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニルベンジジン2質量部、N,N’−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン2質量部、ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:40,000)6質量部、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1質量部を混合してテトラヒドロフラン24質量部およびトルエン11質量部を混合溶解した。上記B液に上記A液を加えて攪拌混合した後、微細な流路を持つ貫通式チャンバーを装着した高圧ホモジナイザー(吉田機械興行株式会社製)を用いて、500kgf/cm2まで昇圧しての分散処理を6回繰り返した液に、ジメチルシリコーンオイル(商品名:KP−340 信越シリコーン社製)を5ppm添加し、十分に攪拌して電荷輸送層形成用塗布液を得た。
動粘度(m2/s)=粘度(mPa・s)/密度(g/cm2W)/1000000
その結果、動粘度は0.000025(m2/s)であった。
このようにして得られた感光体を用いて、以下のテストを行なった。
−フッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキ−
既述の方法により、最表面層の断面を観察して、前記式(1)で表されるフッ素系樹脂粒子の面積比のバラツキを算出した。算出結果を表1に示す。
尚、実施例1において最表面層の断面は、図8の(A)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が抑制されて疎密が抑制され、また表面における木目筋は確認されなかった。
接触型直流電圧帯電システム、低電圧転写システムを有するDocuPrint C1100改造機(富士ゼロックス社製)に前記感光体を搭載し、A4短手方向を用紙走行方向として100000枚の連続プリントを行ったのち、ハーフトーン画質をプリントし、そのクリーニング不良によるハーフトーン画質筋の発生の評価を行った。結果を表1に示す。尚、評価基準は以下のとおりである。
○:ハーフトーン画質筋の発生はない
△:ハーフトーン画質筋の発生が確認されるが許容範囲である
×:ハーフトーン画質筋が顕著に発生し許容できないレベルである
実施例1の電荷輸送層の形成において、浸漬槽53中における電荷輸送層形成用塗布液のレイノルズ数が3560(供給配管24中における塗布液の流速8.9(m/s)、供給配管の内径0.01(m)、塗布液の動粘度0.000025(m2/s))になるように調整された浸漬塗布装置を用いて、電荷輸送層の形成を行った以外は、実施例1に記載の方法により感光体を作製し、評価を行った。
尚、実施例2において最表面層の断面は、図8の(A)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が抑制されて疎密が抑制され、また表面における木目筋は確認されなかった。結果を表1に示す。
実施例1の電荷輸送層の形成において、浸漬槽53中における電荷輸送層形成用塗布液のレイノルズ数が5080(供給配管24中における塗布液の流速12.7(m/s)、供給配管の内径0.01(m)、塗布液の動粘度0.000025(m2/s))になるように調整された浸漬塗布装置を用いて、電荷輸送層の形成を行った以外は、実施例1に記載の方法により感光体を作製し、評価を行った。
尚、実施例3において最表面層の断面は、図8の(A)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が抑制されて疎密が抑制され、また表面における木目筋は確認されなかった。結果を表1に示す。
実施例1の電荷輸送層の形成において、浸漬槽53中における電荷輸送層形成用塗布液のレイノルズ数が1880(供給配管24中における塗布液の流速4.7(m/s)、供給配管の内径0.01(m)、塗布液の動粘度0.000025(m2/s))になるように調整された浸漬塗布装置を用いて、電荷輸送層の形成を行った以外は、実施例1に記載の方法により感光体を作製し、評価を行った。
尚、比較例1において最表面層の断面は、図8の(B)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が発生し疎密が確認され、また表面における木目筋が確認された。結果を表1に示す。
実施例1の電荷輸送層の形成において、浸漬槽53中における電荷輸送層形成用塗布液のレイノルズ数が1520(供給配管24中における塗布液の流速3.8(m/s)、供給配管の内径0.01(m)、塗布液の動粘度0.000025(m2/s))になるように調整された浸漬塗布装置を用いて、電荷輸送層の形成を行った以外は、実施例1に記載の方法により感光体を作製し、評価を行った。
尚、比較例2において最表面層の断面は、図8の(B)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が発生し疎密が確認され、また表面における木目筋が確認された。結果を表1に示す。
実施例1の電荷輸送層の形成において、浸漬槽53中における電荷輸送層形成用塗布液のレイノルズ数が1000(供給配管24中における塗布液の流速2.5(m/s)、供給配管の内径0.01(m)、塗布液の動粘度0.000025(m2/s))になるように調整された浸漬塗布装置を用いて、電荷輸送層の形成を行った以外は、実施例1に記載の方法により感光体を作製し、評価を行った。
尚、比較例3において最表面層の断面は、図8の(B)に示すごとくフッ素系樹脂粒子の凝集が発生し疎密が確認され、また表面における木目筋が確認された。結果を表1に示す。
Claims (1)
- 塗布液を保持する浸漬槽、該浸漬槽から塗布液を回収する回収機構、および該回収機構によって回収された前記塗布液を浸漬槽に供給する供給配管を有する塗布装置を用い、
最表面を構成する層以外の全ての層を形成した基体を、フッ素系樹脂粒子および該フッ素系樹脂粒子の分散助剤を含有し且つ前記浸漬槽に保持される最表面を構成する層形成用の塗布液中に浸漬し、その後該塗布液中から前記基体を取り出して最表面を構成する層を形成する工程を有し、
前記最表面を構成する層を形成する工程は、前記供給配管における前記塗布液のレイノルズ数が2000以上5080以下の状態で行われる電子写真感光体の製造方法。
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