JP2682188B2 - 電子写真用感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、普通紙複写機,レーザビームプリンタな
どの電子写真応用装置に用いられる有機系電子写真用感
光体の製造方法に関し、詳しくは感光層形成前の導電性
基体表面の洗浄方法に関する。
〔従来の技術〕
有機系電子写真用感光体は、通常、導電性基体上に有
機材料からなる電荷発生層,電荷輸送層を順次塗布形成
してなる感光層が設けられたものである。
このような感光体の導電性基体としては、従来のセレ
ンなどの無機材料を用いた感光体の場合と同様に、一般
にアルミニウムを主成分とする合金を材料とする円筒が
用いられる。すなわち、アルミニウムを主成分とする合
金(Al−Mn系合金,Al−Mg−Si系合金など)を押し出し
成形法により円筒状とし、さらに引き抜き加工,しごき
加工を行って寸法精度を高めた円筒を用い、所要の外形
寸法に加工した後、その外表面を後工程における品質の
維持,向上に役立つように均一な表面に仕上げ、有機溶
剤,中性洗剤,弱アルカリ洗剤などで洗浄して使用す
る。
このような基体の具備すべき要件としては、 a)表面が局部的に変化せず安定であること。
b)所要の一定の表面粗さを安定して保っていること。
c)プリンタなどに用いられた場合、出力画像に基体表
面での露光光の反射に起因する干渉縞が発生しないこ
と。
d)洗浄性が良く、洗浄後の表面に異物,汚れが残存し
ていないこと。
などが挙げられる。
これらの項目のうち、a),b)およびc)項を満たす
有効な方法の一つとして、基体としてのアルミニウム合
金円筒の表面に陽極酸化皮膜(アルマイト層)を設ける
ことが知られている。すなわち、アルミニウム合金円筒
外表面を超精密旋盤で所要の一定の粗さに均一に仕上げ
たのち、陽極酸化処理を施して表面を硬質の陽極酸化皮
膜で被覆し、有機溶剤(例えばトリクレン)中で超音波
洗浄し、さらに有機溶剤蒸気で蒸気洗浄して清浄にした
基体を用いることが行われている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上述のような陽極酸化皮膜で被覆され
た基体表面は洗浄性に問題があり、前述のような精密な
洗浄を行っても微小な異物や汚れを完全には取り除くこ
とが難しく、このような基体を用いた感光体では残存す
る異物や汚れに起因すると見られる画像欠陥が発生する
という問題があった。
この発明は、上述の問題点を解消して、画像欠陥の少
ない高品質の出力画像の得られる有機系の電子写真用感
光体の製造方法を提供することを解決すべき課題とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題は、この発明によれば、表面に陽極酸化皮
膜が形成されたアルミニウム合金からなる導電性基体の
表面を弱アルカリ性洗浄液を用いて拭浄材によりストレ
スを加えながら洗浄したのち、この基体表面に有機光導
電性材料を含む感光層を形成して感光体を製造するとに
より解決される。
拭浄材としては弱アルカリ性洗浄液に対して耐久性を
有する柔軟な材質のもの、例えばスポンジ,不織布など
を用いることができる。
〔作用〕
弱アルカリ性洗剤を用いて拭浄材でストレスを加えな
がら洗浄することにより、従来の有機溶剤での超音波洗
浄および蒸気洗浄では除去しきれなかった異物,汚れを
取り除くことができ、基体表面の清浄度が大幅に向上す
る。このようにして得られた表面清浄な基体を用いるこ
とにより、画像欠陥の少ない感光体が得られることにな
る。
〔実施例〕
以下、この発明の実施例について説明する。
実施例1 所要の外形寸法に加工されたアルミニウム合金円筒の
表面を超精密施盤により所要の一定の粗さに加工し、そ
の表面を硫酸溶液で陽極酸化処理してアルマイト層を形
成した。この円筒表面を以下の工程で洗浄して導電性基
体とした。
実施例2,3 実施例1の洗浄工程(d)で用いた弱アルカリ性洗浄
液の濃度を変え、それぞれ1.0容量%水溶液,1.5容量%
水溶液としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例
2,実施例3の導電性基体とした。
比較例1 円筒表面の洗浄を実施例1の洗浄工程(c)まで行い
以後の工程を行わない従来の洗浄方法とし、比較例1の
導電性基体とした。
比較例2,3,4 実施例1の洗浄工程(d)で用いた弱アルカリ性洗浄
液のかわりに、それぞれ中性洗剤の5容量%水溶液,10
容量%水溶液,15容量%水溶液を用いたこと以外は実施
例1と同様にして、比較例2,比較例3,比較例4の導電性
基体とした。
これらの導電性基体について、その表面の水切れ,濡
れ性,外観を評価した。その結果を第1表に示す。
また、これらの導電性基体上に有機材料からなる電荷
発生層,電荷輸送層を順次塗布形成して感光体を作製
し、塗工後外観,電気特性,画像品質(半導体レーザビ
ームプリンタによる)を評価した。その結果を使用した
導電性基体に対応させて第1表に示す。
第1表より、実施例の導電性基体は基体表面のアルマ
イト層表面が比較例1に比べて非常に清浄になってお
り、その上に電荷発生層,電荷輸送層を良好に塗布する
ことができ、電気特性,画像品質ともに優れた感光体が
得られることが判る。また、比較例2〜4より、拭浄材
でストレスを加えながら洗浄を行っても、中性洗剤では
アルマイト層表面の洗浄は不充分で、弱アルカリ性洗浄
液を用いることが必要であることが判る。
〔発明の効果〕
この発明によれば、表面に陽極酸化皮膜が形成された
アルミニウム合金からなる導電性基体の表面を弱アルカ
リ性洗浄液を用いて拭浄材でストレスを加えながら洗浄
する。このような洗浄工程により、陽極酸化皮膜表面の
洗浄度を従来よりも大幅に向上させることができ、その
上に有機材料の塗膜からなる感光層を均一に密着性良く
形成することが可能となり、画像欠陥の少ない高品質の
出力画像が得られる有機系の電子写真用感光体が得られ
ることになる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に陽極酸化被膜が形成されたアルミニ
    ウム合金からなる導電性基体の表面を弱アルカリ性洗浄
    液を用いて拭浄材によりストレスを加えながら洗浄した
    のち、この基体表面に有機光導電性材料を含む感光層を
    形成することを特徴とする電子写真用感光体の製造方
    法。
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