JP2745630B2 - 感光体の製造方法 - Google Patents

感光体の製造方法

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JP2745630B2 JP2183989A JP2183989A JP2745630B2 JP 2745630 B2 JP2745630 B2 JP 2745630B2 JP 2183989 A JP2183989 A JP 2183989A JP 2183989 A JP2183989 A JP 2183989A JP 2745630 B2 JP2745630 B2 JP 2745630B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、複写機やプリンター等の電子写真装置に
使用する感光体の製造方法に関し、特に、感光層を設け
る前に行う導電性基体の洗浄方法に特徴を有するもので
ある。
[従来の技術及びその問題点] 従来より、複写機やプリンター等の電子写真装置にお
いて使用する感光体を製造する場合には、感光体用の導
電性基体が機械的な工程によって形成されるため、これ
を洗浄した後、この導電性基体上に感光層を形成するよ
うにしている。
ここで、このような感光体においては、電荷保持性,
高感度,繰り返し安定性,耐絶縁破壊性,耐摩耗性,耐
久性,耐湿性,転写性,クリーニング性,保存安定性等
の基本的な条件を満足することが要求され、さらに、近
年においては、このような感光体をレーザープリンター
等に利用するようになったため、反転現像時での高い画
像信頼性及び繰り返し安定性も要求されるようになっ
た。
そこで、従来においては、このような感光体におい
て、導電性基体上に形成する感光層の材料等について種
々検討されてきた。
そして、このような感光体において、感光層を構成す
る材料としては、従来より一般に、セレン,酸化亜鉛,
酸化チタン,硫化カドミウム等の無機系光導電性材料が
用いられ、また有機系光導電性材料も用いられるように
なった。
しかし、無機系光導電性材料を用いた感光体は、一般
に毒性が強いものが多く、耐湿性等にも問題がある一
方、有機系光導電性材料を用いた感光体においては、未
だ十分な感度が得られず、耐久性及び環境変化による安
定性の点でも不十分なものであった。
このため、近年においては、感光体における電荷の発
生と電荷の輸送という両機能を、それぞれ別個の物質に
分担させるようにした積層型あるいは分散型の機能分離
型感光体が開発されるようになった。
このように、従来より、導電性基体上に形成する感光
層について種々検討されてきたが、これらのいずれの感
光体においても、より高い画像信頼性や繰り返し安定性
を得る場合には、感光層のみならず、この感光層を設け
る導電性基体側にも大きな問題があった。
すなわち、このような導電性基体は機械的な工程によ
って作製されるため、この導電性基体の外面及び内面
に、埃,ごみ,金属微片,錆,油等の異物が付着してお
り、これを十分に除去しないで感光層を形成した場合に
は、形成される感光層に欠陥が生じ、画像欠陥を起こし
たり、クリーニング不良が発生したりするという問題が
あった。
そして、導電性基体から上記のような異物を除去する
ため、従来においては、上記のような導電性基体をトリ
クレン等の有機溶剤で洗浄したり、酸溶液やアルカリ溶
液を用いて洗浄することが一般に行われており、また特
開昭61−157687号公報においては、アルカリ溶液を用い
て導電性基体を規定量エッチングする方法が示されてい
る。
しかし、上記のように導電性基体を有機溶剤で洗浄す
るだけでは、導電性基体に付着した油分しか除去するこ
とができず、また酸溶液やアルカリ溶液で導電性基体の
表面を洗浄し、エッチングする場合には、導電性基体表
面の平滑性が損なわれ、かえって画像欠陥を招くという
問題があった。
さらに、これらのいずれの方法においても、導電性基
体に付着した細かなごみや金属微片等を十分に取り除く
ことができず、特に、反転現像時において白紙部に黒斑
点が生じるという問題があった。
[発明が解決しようとする課題] この発明は、電子写真装置に使用する感光体を製造す
る場合における上記のような問題を解決することを課題
とするものである。
すなわち、この発明は、導電性基体の表面に感光層を
形成して感光体を製造するにあたり、機械的な工程によ
って作製された導電性基体の外面及び内面に付着した
埃,ごみ,金属微片,錆,油等の異物を十分に除去し、
導電性基体に形成される感光層に欠陥が生じるのを抑制
し、画像欠陥を起こしたり、クリーニング不良が発生し
たりすることがなく、高い画像信頼性及び繰り返し安定
性を有し、反転現像時における白紙部での黒斑点の発生
も少ない感光体を提供することを目的とするものであ
る。
[課題を解決するための手段及び作用] この発明は、上記のような課題を解決するため、感光
体用の導電性基体を、少なくとも溶剤中においてパイル
の長さが5〜50mm、パイルの太さが2.5〜30.0デニー
ル、パイルの密度が100本/cm2以上のブラシで摩擦して
洗浄した後、この導電性基体上に感光層を形成するよう
にしたのである。
このように、機械的な工程によって作製された感光体
用の導電性基体を、溶剤中でブラシにより摩擦して洗浄
した場合には、導電性基体に付着している油分の他に、
埃,ごみ,金属微片,錆等の細かな異物まで十分に除去
されるようになり、導電性基体に形成される感光層にお
いて、欠陥の発生が抑制される。
ここで、この発明において使用する導電性基体は、感
光体に一般に用いられているアルミニウム等の各種材料
で作製されたものであればどのようなものであってもよ
く、その形状も円周状,板状,ベルト状等のどのような
形状のものであってもよい。
そして、このような導電性基体を溶剤中でブラシ洗浄
するにあたり、その溶剤としては、純水、ジクロルメタ
ン,ジクロルエタン,トリクロルエタン,トリクロルエ
チレン,パークロルエチレン等の塩素系脂肪族炭化水素
類、フレオン等のフッ素系脂肪族炭化水素類、トルエ
ン,キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケト
ン,アセトン等のケトン系溶剤、テトラヒドロフラン等
の環状エーテル系溶剤、メタノール,エタノール,イソ
プロパノール等のアルコール類、酢酸エチル,酢酸ブチ
ル等の酢酸エステル類等の一般的な溶剤を使用すること
ができ、特にこれらの溶剤のうち、沸点が100℃以下の
ものを用いるようにすることが乾燥条件等の点から好ま
しい。
また、このブラシ洗浄に用いるブラシとしては、レー
ヨン,ナイロン,アクリル,ポリエステル,ポリプロピ
レン,テフロン(商品名)及びこれらの合繊、獣毛等の
材質で形成されたものを用いることができるが、ブラシ
が硬いと導電性基体を傷つけるおそれがあるため、特
に、ナイロン、ポリエステル、獣毛等の材質のものを用
いることが好ましく、さらに、これらのものに導電性処
理を行ったものを用いるようにすることが望ましい。
さらに、導電性基体の洗浄をより充分に行うため、上
記ブラシによる洗浄と他の洗浄方法とを組み合わせて行
うことが好ましく、例えば、導電性基体を有機溶剤,純
水,希酸,純水,有機溶剤の順に浸漬させ、あるいは、
有機溶剤,純水,有機溶剤の順に浸漬させて洗浄するよ
うにし、さらに、上記ブラシによる洗浄と同時に超音波
洗浄を行うことがより好ましい。
そして、上記のように溶剤中において導電性基体をブ
ラシで摩擦して洗浄した後、この導電性基体上に感光層
を形成して感光体を製造する場合、その感光層を構成す
る材料は、無機系,有機系いずれの光導電性材料であっ
てもよく、また感光層の層状態や形成方法等も特に限定
されない。
更に、上記導電性基体に対する感光層の付着性やブロ
ッキング性等を強化するために、下引き層等を設けるこ
とも可能である。
[実施例] 以下、この発明の各実施例に係る感光体の製造方法を
添付図面に基づいて具体的に説明すると共に、比較例を
あげ、各実施例に係る感光体の製造方法によって製造さ
れた感光体が優れていることを明らかにする。
(実施例1) この実施例においては、外径80mm,内径76mm,長さ320m
mの円筒状になったアルミニウム合金製の導電性基体を
用い、この導電性基体の外周面を旋盤加工して鏡面仕上
げした。
次いで、この実施例においては、上記のように鏡面仕
上げされた導電性基体を、溶剤中においてブラシで摩擦
して洗浄する前に、この導電性基体を40℃のトリクレン
槽,40℃の純水槽,40℃のトリクレン槽,40℃の純水槽の
順でそれぞれ各槽内に2分間浸漬させて前洗浄を行っ
た。
そして、このように前洗浄した導電性基体を、溶剤中
においてブラシで摩擦して洗浄するにあたっては、第1
図に示すように、前洗浄された導電性基体(1)を、溶
剤(2)が収容された洗浄槽(3)内に浸漬させ、この
洗浄槽(3)内に設けられた大小一対のブラシ(4),
(5)により、この導電性基体(1)の外周面及び内周
面を摩擦して洗浄するようにした。
ここで、この実施例においては、上記洗浄槽(3)内
に、溶剤(2)としてトリクレン液を収容させて40℃に
保ち、また上記大小一対のブラシ(4),(5)には、
それぞれパイル長さが10mm,パイル太さが5デニールで
ある大小のナイロンブラシを用いるようにした。
そして、上記導電性基体(1)が小径のブラシ(5)
の外周を覆うようにして、導電性基体(1)を洗浄槽
(3)内に浸漬させ、上記大小一対のブラシ(4),
(5)を、第1のモータ(6)によりベルト(7)を介
してそれぞれ30rpmの回転速度で回転させる一方、上記
導電性基体(1)を、第2のモータ(8)によってこれ
らのブラシ(4),(5)と反対方向に15rpmの回転速
度で回転させ、導電性基体(1)の外周面を大径のブラ
シ(4)で、導電性基体(1)の内周面を小径のブラシ
(5)でそれぞれ摩擦して、1分間洗浄を行った。
次いで、上記のようにブラシによって洗浄した導電性
基体を、冷却槽内に30秒間放置した後、この導電性基体
を90℃のトリクレン蒸気槽内において1分間蒸気洗浄を
行い、その後、この導電性基体を冷却した。
そして、このように洗浄された導電性基体に、下記の
化学式[I]で示されるビスアゾ顔料からなる電荷発生
材料が分散された分散液を塗布し、これを乾燥させて上
記導電性基体上に電荷発生層を形成した。
次いで、このように形成された電荷発生層上に、下記
の化学式[II]に示されるヒドラゾン化合物からなる電
荷輸送材料とポリカーボネイト樹脂とを含む塗布液を塗
布し、これを乾燥させて電荷輸送層を形成し、導電性基
体上に電荷発生層と電荷輸送層とが積層された機能分離
型の積層感光体を作製した。
(実施例2) この実施例のものも、導電性基体を上記実施例1のも
のと同様にして鏡面仕上げした後、この導電性基体を、
溶剤中においてブラシで摩擦して洗浄する前に、上記実
施例1の場合と同様にして導電性基体を前洗浄した。
そして、この実施例のものにおいては、前洗浄した導
電性基体を、溶剤中でブラシによって摩擦して洗浄する
にあたり、上記第1図に示す洗浄槽(3)内に、溶剤
(2)として1,1,2−トリクロロ−1,2,2−トリフルオロ
エタン(フレオンTF)を収容させて、35℃に保つように
すると共に、大小一対のブラシ(4),(5)には、そ
れぞれパイル長さが30mm,パイル太さが82デニールで、
導電性処理された大小のポリエステルブラシを用いるよ
うにした。
そして、これら大小一対のブラシ(4),(5)を、
第1のモータ(6)によって30rpmの回転速度で回転さ
せる一方、導電性基体(1)を、第2のモータ(8)に
よってこれらのブラシ(4),(5)と反対方向に20rp
mの回転速度で回転させ、導電性基体(1)の外周面を
大径のブラシ(4)で、導電性基体(1)の内周面を小
径のブラシ(5)でそれぞれ摩擦して5分間洗浄すると
共に、上記洗浄槽(3)内に設けられた超音波発生器
(9)によって、周波数28kHzの超音波で1分間,45kHz
の超音波で1分間超音波洗浄を行った。
そして、このように洗浄された導電性基体を、冷却槽
内において30秒間放置した後、この導電性基体を、50℃
のフレオンTF蒸気槽内において1分間蒸気洗浄し、その
後、この導電性基体を冷却させた。
そして、このように洗浄された導電性基体上に、上記
実施例1の場合と同様にして、電荷発生層と電荷輸送層
とを形成し、機能分離型の積層感光体を作製した。
(比較例) この比較例においては、導電性基体を溶剤中において
ブラシで摩擦して洗浄する工程を省き、それ以外につい
ては、上記実施例1の場合と同様にして、導電性基体上
に電荷発生層と電荷輸送層とが積層された機能分離型の
積層感光体を作製した。
そして、上記のようにして実施例1,2及び比較例の各
感光体をそれぞれ100本作製し、これらの感光体を市販
の電子写真複写機(ミノルタカメラ(株)製EP−470Z)
に搭載して、感光体の初期表面電位V0を−750V,現像バ
イアス電圧VBを−500Vにして斑点現像を行い、形成され
た画像の白紙部における黒斑点を評価し、それぞれの不
良品の発生本数を測定した。
この結果、実施例1のものにおいては、発生した不良
品の数が2本、実施例2のものにおいては不良品の数が
0本であったのに対し、導電性基体を溶剤中においてブ
ラシで洗浄しなかった比較例のものにおいては、不良品
の数が13本と非常に多くなっていた。
この結果から明らかなように、導電性基体を溶剤中に
おいてブラシで摩擦して洗浄した各実施例のもの、特
に、溶剤中においてブラシによる摩擦洗浄と超音波洗浄
とを併用した実施例2のものは、このような洗浄を行わ
なかった比較例のものに比べ、感光層に欠陥が生じるこ
とが少なく、良好な画像特性を示し、特に、反転現像時
において問題となる白紙部での黒斑点が著しく低下し
た。
[発明の効果] 以上詳述したように、この発明に係る感光体の製造方
法においては、感光体用の導電性基体を溶剤中において
パイルの長さが5〜50mm、パイルの太さが2.5〜30.0デ
ニール、パイルの密度が100本/cm2以上のブラシで摩擦
して洗浄するようにしたため、機械的な工程によって作
製された導電性基体に付着している油分の他に、埃,ご
み,金属微片,錆等の細かな異物まで十分に除去され、
導電性基体に形成される感光層に欠陥が発生することが
少なくなった。
この結果、上記のようにして製造された感光体におい
ては、感光層における欠陥が少なく、画像欠損を起こし
たり、クリーニング不良を生じたりすることがなく、高
い画像信頼性及び繰り返し安定性が得られるようにな
り、特に、反転現像時における白紙部での黒斑点の発生
も著しく低下した。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施例において導電性基体を溶剤中
においてブラシで摩擦して洗浄するのに使用した装置の
概略断面図である。 (1)……導電性基体,(2)……溶剤,(4),
(5)……ブラシ。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】感光体用の導電性基体を、少なくとも溶剤
    中においてパイルの長さが5〜50mm、パイルの太さが2.
    5〜30.0デニール、パイルの密度が100本/cm2以上のブラ
    シで摩擦して洗浄した後、この導電性基体上に感光層を
    形成するようにしたことを特徴とする感光体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】少なくとも溶剤中においてパイルの長さが
    5〜50mm、パイルの太さが2.5〜30.0デニール、パイル
    の密度が100本/cm2以上のブラシで摩擦して洗浄した感
    光体用の導電性基体と、この導電性基体上に形成された
    感光層を有する感光体。
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