JP3721703B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム基体に塗布により感光層を形成する電子写真感光体の製造法の改良に関するものである。なお、本明細書において、アルミニウム基体とはアルミニウム合金を含む広義のアルミニウムで製造された基体を意味する。
【0002】
【従来の技術】
アルミニウム基体に塗布により感光層を形成して電子写真感光体を製造することは、電子写真感光体の主要な製造方法の一つである。アルミニウム基体は、通常はアルミニウムビレットから、ポートホール法やマンドレル法により押出管を製造し、次いでこれを引抜き加工、インパクト加工、しごき加工又は切削加工などにより、所定の肉厚及び外形寸法を有する表面が鏡面の円筒に加工することにより製作される。
【0003】
このようにして製作されたアルミニウム基体には、引抜油、切削油、防錆油などの油分や各種の塵埃が付着しているので、感光層の塗布に先立ち、アルミニウム基体を洗浄してその表面を清浄にすることが必要である。従来、アルミニウム基体の洗浄にはトリクロロエチレン等の塩素系溶剤やフロン等のフッ素系溶剤が用いられていたが、これらの溶剤に対する規制の強化に伴い、水系洗浄剤を用いる洗浄方法への転換が進行しつつある。
【0004】
アルミニウム基体ないしはこれを陽極酸化処理したものを水系洗浄剤で洗浄する方法としては、水に界面活性剤を加えた溶液や水と親水性有機溶媒との溶液が種々検討されている。例えば特開平6−3835号公報には、陽極酸化処理したアルミニウム基体の洗浄にカルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤;脂肪族アミン塩、脂肪族第4級アンモニウム塩、環状アミンの第4級塩などのカチオン系界面活性剤;ポリエーテル、ポリエーテルエステル、エステルなどのノニオン系界面活性剤;ベタイン、アミノカルボン酸、イミダゾリン誘導体などの両性界面活性剤などを含む水溶液を用いることが記載されている。
【0005】
特開平5−210246号公報には、ノニオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤を含む水溶液、又はこれに炭酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの無機ビルダーや、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、有機アミン等の有機ビルダーを添加した水溶液で、アルミニウム基体を洗浄することが記載されている。
特開平6−3831号公報には、脂肪族高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルジメチルベタイン、脂肪族高級アルコールエチレンオキサイド付加物などを含む水溶液を用いて、アルミニウム基体を洗浄することが記載されている。
【0006】
特開平6−3837号公報には、陽極酸化処理したアルミニウム基体の洗浄にアルコール水溶液を用いることが記載されている。
特開平7−219244号公報には、N−メチル−2−ピロリドンのようなピロリドン化合物と水を含有する溶液を用いてアルミニウム基体を洗浄することが記載されている。また、特願平7−258605号には、下記式(1)で示されるジヒドロキシ化合物又はその誘導体と水を含有する溶液を用いてアルミニウム基体を洗浄することが記載されている。
【0007】
【化2】
R3 −CH(OR1 )−CH(OR2 )−R4 (1)
【0008】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアシル基又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。但しR3 とR4 との炭素数の合計は2以上である。)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように水系洗浄剤については種々の提案がなされており、改良がなされつつあるが、水系洗浄剤で清浄化したアルミニウム基体を用いた電子写真感光体は、複写画像に黒点、白点、むらなどの画像欠陥が発生し易いという問題がある。なかでも高感度の感光層を備えた電子写真感光体に画像欠陥が発生することが多く、感光体の高感度化に伴いこの問題の解決が急がれている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、アルミニウム基体を水系洗浄剤で洗浄し、次いでこれに感光層を塗布して電子写真感光体を製造するに際し、洗浄してから感光層を塗布するまでの間に基体を140℃以上の温度で熱処理することにより、画像欠陥の発生を著しく減少させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明すると、本発明で用いるアルミニウム基体の素材としては、従来からこの用途に用いられている種々の材料、例えば1050材、1070材、1080材などの純アルミニウムや、Al−Mg系合金、Al−Cu系合金、Al−Si系合金、Al−Mg−Si系合金、Al−Cu−Si系合金などのアルミニウム合金を用いることができる。
好ましくはAl−Mg系合金である3003材又はAl−Si系合金である6063材を用いる。
これらの素材からのアルミニウム基体の製作は、これらの素材を先ず押出管に加工し、次いで引抜、インパクト、しごき又は切削などの常用の加工法を適宜適用することにより行うことができる。
【0012】
このようにして製作されたアルミニウム基体は、その表面に付着している油分や切削粉、さらには種々の塵埃などを除去するため水系洗浄剤で洗浄する。水系洗浄剤としては、水に界面活性剤を添加したものや水と親水性有機溶媒との溶液など、従来から提案されている種々のものを用いることができる。好ましくは5〜95重量%の有機溶媒を含む水と有機溶媒との混合溶液を用いる。特に好ましい水系洗浄剤としては下記のものが挙げられる。
【0013】
ピロリドン化合物と水との混合溶液;
ピロリドン化合物としては、2−ピロリドン、3−ピロリドンやこれらの誘導体、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリドン、N−エチル−3−ピロリドン、N−プロピル−3−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのN−アルキル(又はアルケニル)ピロリドン、5−メチル−2−ピロリドンなどが用いられるが、N−メチル−2−ピロリドンを用いるのが好ましい。混合溶液中に占めるピロリドン化合物の濃度は通常50〜90重量%、好ましくは70〜80重量%である。また混合溶液中には過酸化物の生成を抑制するため酸化防止剤を含有させておくのが好ましい。酸化防止剤としてはフェノール系、ホスファイト系、イオウ系など常用のものを用いることができる。酸化防止剤は洗浄液中に0.01〜5重量%、特に0.05〜2重量%となるように含有させるのが好ましい。
下記式(1)で表わされるジヒドロキシ化合物又はその誘導体と水との混合溶液;
【0014】
【化3】
R3 −CH(OR1 )−CH(OR2 )−R4 (1)
【0015】
(式中、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、ブチル基など炭素数1〜4のアルキル基又はホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基など炭素数1〜4のアシル基を示す。R3 及びR4 は、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基、エチル基、ブチル基など炭素数1〜4のアルキル基を示す。R3 とR4 との炭素数の合計は2以上であるが、一方がエチル基、他方が水素であるのが好ましい。)
【0016】
上記式で表わされる化合物としては例えば、1,2−ブタンジオール、1−メトキシ−2−ブタノール、2−メトキシ−1−ブタノール、1−エトキシ−2−ブタノール、2−エトキシ−1−ブタノール、1−アセトキシ−2−ブタノール、2−アセトキシ−1−ブタノールなどが用いられる。混合溶液中に占めるこれらの化合物の濃度は通常は40〜95重量%であるが、50〜90重量%、特に60〜85重量%であるのが好ましい。
【0017】
アルミニウム基体を水系洗浄剤で洗浄して表面を清浄化する工程は、アルミニウム基体を30〜95℃、好ましくは40〜80℃の水系洗浄剤中に浸漬し、超音波洗浄やブラシ洗浄により付着物の大部分を除去する主洗浄と、主洗浄を経たアルミニウム基体から残余の付着物や水系洗浄剤を除去する仕上げ洗浄とからなる。主洗浄の時間は通常は30分間以下であり、生産性の点よりして1〜10分間が好ましい。
【0018】
仕上げ洗浄は、アルミニウム基体を純水で2〜4回濯ぐことにより行ない得る。好ましくは酒石酸を添加した純水を用いる。これによりアルミニウム基体が純水と水和反応を起すのを抑制することができる。これは酒石酸の添加によりOH- イオンが減少すること、及び酒石酸がアルミニウム表面に吸着してOH- イオンによる攻撃を緩和することによるものと考えられる。仕上げ洗浄の少くとも最終段階は、酒石酸を添加した純水を用いるのが特に好ましい。
【0019】
仕上げ洗浄は濯ぎ段階と乾燥段階に分けて行うのが好ましい。濯ぎ段階では残留付着物や水系洗浄剤を十分に除去するのを目的とし、超音波を作用させるのが好ましい。乾燥段階ではアルミニウム基体に付着している水分を均一に蒸発させ、もってアルミニウム基体の表面で付着水が局部的に濃縮されてしみなどを生じないようにするのを目的とする。通常は加温され、かつ酒石酸が添加されている洗浄水中にアルミニウム基体を浸漬してその温度を上昇させたのち、洗浄水とアルミニウム基体との界面を乱さないように徐々に引上げ、アルミニウム基体が水面を離れると直ちにその保有する熱量により付着水が蒸発するようにする。好ましくは純水に酒石酸を0.3〜10ppm、特に0.5〜1ppmとなるように添加した洗浄水を50〜95℃、好ましくは70〜85℃に保持し、これにアルミニウム基体を5〜100秒間、特に20〜60秒間浸漬したのち、洗浄水との界面を乱さないように引上げる。
【0020】
仕上げ洗浄を経たアルミニウム基体は、熱風などで乾燥して付着水を十分に除いたのち、次工程である熱処理に供する。上述の仕上げ洗浄の最終段階を高温で行うと、放置するだけでもほぼ乾燥する。
アルミニウム基体の熱処理は、125℃以上、好ましくは140℃以上の温度にアルミニウム基体を加熱することにより行う。熱処理温度の上限は限定的ではないが、通常は200℃以下、好ましくは180℃以下での熱処理で十分に所期の目的を達成することができる。熱処理に要する時間は通常は少くとも5分間であり、一般には20分間以上熱処理するのが好ましい。熱処理時間の上限は限定的ではないが、生産性の観点から1時間以内が好ましい。一般に高温ほど短時間で所期の熱処理効果が得られる。熱処理は熱風加熱、赤外線加熱、誘導加熱など常用の任意の加熱手段により行うことができる。熱処理は空気中で行えばよく、雰囲気の湿度は低い方が好ましい。
熱処理を経たアルミニウム基体を用いて電子写真感光体を製造すると、画像欠陥が著しく減少する理由の詳細は不明であるが、熱処理によりアルミニウム基体の表面が不活性化されることが大きく寄与しているものと考えられる。すなわち、アルミニウムは大気中ではその表面に薄い酸化膜を形成して一種の不働態化していると考えられている。そして非水系の有機溶剤による洗浄では、この酸化膜に悪影響を与えずに付着物だけが除去されるが、水系洗浄剤による洗浄の場合には、水がアルミニウムないしはその表面の酸化膜に作用して、表面を部分的に変質させる。これに感光層を塗布すると、変質した部分に塗布欠陥を生ずるか、又はこの部分で基体と感光層を形成する物質との間で何らかの反応を生じ、これらが画像欠陥を引き起すものと考えられる。しかし水系洗浄剤で洗浄した後に大気中で125℃以上、好ましくは140℃以上で熱処理すると、変質した部分が安定化して不活性化されるので、画像欠陥が減少するものと考えられる。このことは、水系洗浄剤で洗浄したのち乾燥したアルミニウム基体を、80℃の超純水に浸漬した場合の水素発生所要時間が、乾燥後の熱処理の有無及びその程度により大きく変化することからも明らかである。
【0021】
例えば、表1は1050材製のアルミニウム基体を、1,2−ブタンジオールを含有する水系洗浄剤(kaseiクリーナーKC500、三菱化学社製)で洗浄したのち水洗・乾燥したものにつき、これをそのまま又は150℃で熱処理したのち80℃の超純水に浸漬した場合の、水素発生に要する時間を測定した結果である(表面が清浄なアルミニウムを80℃の熱水中に浸漬すると、表面に気泡が生成する。これはアルミニウムが水と水和反応して水素を生成するためである)
【0022】
【表1】
【0023】
表1からも明らかなように、アルミニウム基体は熱処理によりその表面が漸次不活性化される。本発明においては水素発生に要する時間が70秒以上、特に80秒以上になるまで熱処理するのが好ましい。
熱処理を経たアルミニウム基体は、次いで冷却したのち常法により感光層を塗布する。通常はアルミニウム基体の上に直接に感光層を塗布し、かつこの場合に熱処理の効果が最もよく発揮されるが、所望ならば先ず下引き層を塗布し、その上に感光層を塗布するようにしてもよい。
【0024】
感光層には周知のように電荷発生剤と電荷移動剤とをそれぞれ異なる層に含有させた積層型の感光層と、これらを一つの層に含有させた単層型の感光層とがある。本発明はいずれのタイプの感光層にも適用できるが、積層型の感光層が好ましい。積層型の感光層について説明すると、電荷発生剤としては、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機物や、フタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、キノン系、ペリレン系、インジゴ系、ベンゾイミダゾール系などの有機顔料などが用いられる。好ましくは、フタロシアニン類又は銅、塩化インジウム、塩化ガリウム、スズ、酸化チタン、亜鉛、バナジウム等の金属やその酸化物、ハロゲン化物などの配位した金属フタロシアニン類や、モノアゾ、ビスアゾ、トリスアゾ、ポリアゾなどのアゾ顔料を用いる。
【0025】
電荷発生層は、通常はこれらの電荷発生剤をバインダー中に微粒子状に分散させた状態で形成される。バインダーとしては、ポリビニルブチラール、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレートなどが用いられる。
電荷発生剤は、バインダー100重量部に対し20〜300重量部、特に30〜150重量部用いるのが好ましい。また、電荷発生層の厚さは通常は5μm以下、好ましくは0.01〜1μmである。
【0026】
電荷移動剤としては、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリアセナフチレンなどの高分子化合物や、ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体などの低分子化合物が用いられる。これらの電荷移動剤も通常はバインダーと混合して電荷移動層の形成に用いられる。バインダーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどのビニル化合物の重合体や共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが用いられる。所望ならばバインダーに架橋剤を併用して、電荷移動層の形成後にバインダーを架橋させてもよい。電荷移動剤とバインダーとの配合比は、通常はバインダー100重量部に対し電荷移動剤30〜200重量部であるが、バインダー100重量部に対し電荷移動剤50〜150重量部の範囲が好ましい。なお、電荷移動層には、上述の電荷移動剤とバインダーに加えて、所望により酸化防止剤や増感剤などの助剤を含有させておくこともできる。電荷移動層の厚さは通常は10〜40μm、好ましくは13〜30μmの範囲である。
【0027】
なお、積層型の感光層の代りに単層型の感光層を形成する場合には、電荷移動層を形成する上述の電荷移動剤とバインダーとの組合せに、更に上述の電荷発生剤を組合せればよい。この場合には、バインダー100重量部に対し電荷発生剤と電荷移動剤は合せて20〜200重量部、特に40〜150重量部の範囲が好ましく、また電荷発生剤は感光層全体の1〜20重量%を占めるのが好ましい。
【0028】
本発明は任意の感度を有する電子写真感光体に広く適用し得るが、特に高感度の電子写真感光体に適用した場合に、その効果がよく発現する。従って通常は半減露光量(E1/2 )が1.5lux・sec以下、特に1.0lux・sec以下の電子写真感光体に適用するのが有利である。半減露光量は、暗所で感光体を一定速度で回転させつつ、コロナ帯電器により感光体表面を所定の電位に帯電させ、次に同じ速度で回転させながら、これに白色光を照射して、感光体表面電位を初期帯電電位から半減させるのに必要な露光量と定義される。
【0029】
【実施例】
以下に実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
アルミニウム基体の洗浄及び熱処理;
表面を鏡面仕上げした1050材製のアルミニウム管(長さ348mm、直径65mm、肉厚1mm)を、1,2−ブタンジオール85重量%と純水15重量%からなる65℃の水系洗浄液に浸漬し、周波数変調式超音波発振機(基幹周波数39kHz)を用いて5分間超音波洗浄した。これを30秒間静置して液切りしたのち、純水に0.5ppmの酒石酸を添加した30℃の水溶液に浸漬し、周波数変調式超音波発振機(基幹周波数39kHz)を用いて30秒間超音波洗浄した。次いで純水をふりかけながら刷子洗浄し、さらにもう一度上記の超音波洗浄を反復した。このアルミニウム基体を、純水に0.5ppmの酒石酸を添加した80℃の水溶液に60秒間浸漬したのち引上げ、静置して付着水を蒸発させて除去した。電気加熱式クリーンオーブンDM−60S(E&Mエンジニアリング社製)に上記の処理を経たアルミニウム基体を収容し、150℃で30分間熱処理した。
【0030】
電荷発生層の形成;
下記(1)の構造を有するビスアゾ化合物10重量部を150重量部の4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノンに加え、サンドグラインドミルで粉砕分散させた。得られた分散液を、1,2−ジメトキシエタンにポリビニルブチラール(電気化学工業社製、#6000−C)を5%濃度となるように溶解した溶液100重量部に加え、固形分濃度4%の分散液とした。この分散液に上記の熱処理を経たアルミニウム基体を浸漬して引上げ、乾燥膜厚0.63μmの電荷発生層を形成した。
【0031】
【化4】
【0032】
電荷移動層の形成;
下記(2)のヒドラゾン化合物110重量部、下記(3)の繰返し構造を有する粘度平均分子量約25000のポリカーボネート100重量部及びフェノール化合物8重量部をテトラヒドロフラン500重量部に溶解させた。
この溶液中に上記で調製した表面に電荷発生層を有するアルミニウム基体を浸漬して引上げ、125℃で30分間乾燥して、膜厚27μmの電荷移動層を形成した。この電子写真感光体の半減露光量は約0.9〔lux・sec〕であった。
【0033】
【化5】
【0034】
電子写真感光体の評価
上記で得た電子写真感光体を市販の正規現像型複写機(SF−2040、シャープ社製)に搭載して複写を行い、画像の評価を行った。
6本の電子写真感光体について評価を行ったが、いずれも画像に欠陥は発生していなかった。
比較例1
洗浄後のアルミニウム基体に熱処理を施さなかった以外は実施例1と全く同様にして電子写真感光体を製造した。
この電子写真感光体6本について実施例1と同様にして評価を行ったところ、1本に白すじ状の画像欠陥が発生した。
Claims (9)
- アルミニウム基体を水系洗浄液で洗浄して表面を清浄にする工程、清浄化された基体を140℃以上の温度で熱処理する工程及び基体に感光層を塗布により形成する工程の各工程を順次経ることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 水系洗浄剤で洗浄して表面を清浄にする工程が、アルミニウム基体を5〜95重量%の有機溶媒を含む水と有機溶媒との混合溶液で主洗浄する工程と、酒石酸を添加した純水で仕上げ洗浄して乾燥する工程との少くとも2工程から成ることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
- 仕上げ洗浄を、酒石酸を0.3〜10ppm添加した純水で行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の電子写真感光体の製造方法。
- 清浄化されたアルミニウム基体の熱処理を、80℃の純水に基体を浸漬した場合の水素発生時間が70秒以上となるように行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 清浄化されたアルミニウム基体の熱処理を20分以上行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- アルミニウム基体に接して感光層を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- アルミニウム基体に下引き層を形成し、その上に感光層を形成することを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 感光層の半減露光量が1.0〔lux・sec〕以下であることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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