JP2001242644A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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JP2001242644A
JP2001242644A JP2000053141A JP2000053141A JP2001242644A JP 2001242644 A JP2001242644 A JP 2001242644A JP 2000053141 A JP2000053141 A JP 2000053141A JP 2000053141 A JP2000053141 A JP 2000053141A JP 2001242644 A JP2001242644 A JP 2001242644A
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malic acid
water
aluminum
aqueous solution
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Masakatsu Murayama
正勝 村山
Susumu Taguchi
将 田口
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布ムラ、電気特性、画像特性の均一性の
少なくとも一つ以上を向上させた電子写真感光体の製造
方法を提供することを目的とする。 【解決手段】 導電性基体上に少なくとも光導電層を
設けてなる電子写真感光体の製造法において、前記導電
性基体をリンゴ酸を含有する水溶液と接触させる工程の
後に、前記光導電層を設ける電子写真感光体の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性基体を洗浄
した後光導電層を設けることにより、画像特性の不均一
性を抑制する電子写真感光体の製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】一般的に電子写真感光体は円筒状の導電
性基体上に光導電層を形成したものである。引き抜き等
により製造した導電性基体は、油成分、ちり等が付着し
ている。このため、導電性基体を洗浄後に光導電層を形
成していた。近年の基体表面の洗浄の主流は、環境汚染
やオゾン層破壊等の問題を解決すべく、塩素系溶剤やフ
ッ素系溶剤を用いた洗浄法から水系の洗浄法に転換され
つつある。
【0003】水系の洗浄法としては、界面活性剤を含有
したアルカリ系洗浄液、中性洗浄液やN−メチル−2−
ピロリドンと水を含有する洗浄液あるいは1,2−ブタ
ンジオールと水を含有する洗浄液で、アルミニウム製導
電性基体表面の汚れを除去した後、基体表面に残留して
いる洗浄液を除去するために、水を用いた濯ぎ処理がお
こなわれ、続いて、50−95℃程度に加温された純水
中に所定時間浸漬後、所定速度で引き上げて乾燥を行う
方法(以下、「温純水乾燥」と略す)が挙げられる。
【0004】上記乾燥においては、アルミニウム製導電
性基体と純水との水和反応により、その表面に不均一な
溶解や水和物等の生成(腐食)がおこることがある。そ
のようなアルミニウム製導電性基体に光導電層を形成す
ると、塗布ムラが発生したり、製造された電子写真感光
体は、暗部電位の低下及びバラツキ、明部電位の低下等
を招き、その画像特性に黒点、白点、ムラなどの欠陥が
生じることがある。
【0005】アルミニウム製導電性基体表面の不均一な
溶解やアルミナ水和物(腐食)の生成を効果的に防止す
る技術として、特開平10−123736号公報には、
導電性基体を少なくとも酒石酸を含有する水溶液に接触
させることによって、水洗による導電性基体表面の不均
一な変質を防止することが開示されている。しかしなが
ら、十分にアルミニウム製導電性基体と純水の水和反応
を抑制出来ず、製造された電子写真感光体の部位による
電気特性の違いが実用上不十分で問題となる場合があっ
た。また、温純水乾燥は、加温された純水中に所定時間
浸漬後、概ね5乃至20mm/秒の速度で引き上げて乾
燥を行うため、アルミニウム製導電性基体の上部と下部
とでは実際の浸漬時間が異なる。このため、アルミニウ
ム導電性基体の材質や加工後の保管状態によっては、酒
石酸を用いた場合でも純水との水和反応のされかたが微
妙に異なってしまい、その結果各部位での電気特性の違
いが見られる場合があった。
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した問題
を改善し、塗布ムラ、電気特性、画像特性の均一性の少
なくとも一つ以上を向上させた電子写真感光体の製造方
法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため鋭意検討を行った結果、導電性基体上に
少なくとも光導電層を設けてなる電子写真感光体の製造
法において、前記導電性基体をリンゴ酸を含有する水溶
液(以下、「リンゴ酸水溶液」と略す。)と接触させる
工程の後に、前記光導電層を設けることによって、温純
水乾燥による導電性基体表面の不均一な変質の防止し、
製造された電子写真感光体特性の均一性を改善した電子
写真感光体の製造方法を見いだし、本発明に到達した。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明につき詳細に説明す
る。本発明において用いられる電子写真感光体の導電性
基体としては、特に限定されるものではないがアルミニ
ウムまたはアルミニウム合金が好適に使用される。アル
ミニウム製導電性基体の材質としては、例えば、JIS
1050、JIS1070、JIS1080等の純アル
ミニウムまたは、Al−Mg系合金、Al−Cu系合
金、Al−Si系合金、Al−Mg−Si系合金、Al
−Cu−Si系合金等の種々のアルミニウム合金が挙げ
られ、より好ましくはAl−Mn系合金であるJIS3
003、Al−Si系合金であるJIS6063等が挙
げられる。なお、本発明において「アルミニウム」とい
う時はアルミニウム合金と分けて表現しない限り、通
常、アルミニウム合金も含めた総称を表す。
【0008】これらのアルミニウム製導電性基体の製造
法は特に限定されないが、アルミニウムビレットをポー
トホール法、マンドレル法等により押し出し管に加工
し、続いて所定の肉厚、外径寸法の円筒とするため、引
き抜き加工、インパクト加工、しごき加工、あるいは切
削による鏡面加工を行うことで作ることができる。導電
性基体表面には引き抜き油、切削油、防錆油、空気中の
各種塵埃等が付着しているため、通常、光導電層を形成
する前に洗浄処理が行われる。
【0009】加工後のアルミニウム製導電性基体は、洗
浄処理が行われる。洗浄処理としては塩素系溶剤、フッ
素系溶剤、石油炭化水素系の有機溶剤系のものや界面活
性剤系の洗剤を用いた公知の処理方法を使用することが
出来るが、有機溶剤系洗剤を使用した処理では、環境汚
染、オゾン層破壊、可燃性である等の問題があり、ま
た、界面活性剤系の洗剤を使用した処理ではエッチング
や腐食の問題が少なくないため、洗浄処理としては、特
開平7−219244号公報のN−メチル−2−ピロリ
ドンと水を含有する洗浄剤や特開平9−101624公
報の1,2−ブタンジオールと水を含有する水系の液体
を用いた洗浄剤を使用することが好ましい。
【0010】上記洗浄処理は、通常、洗浄槽を用いて行
なわれる。洗浄槽には、洗浄液が満たされており、一般
的に、所定の温度に一定に保たれている。また、槽下部
等には超音波発振器が備え付けられており、基体浸漬時
に超音波を発振させて洗浄することが多い。超音波の種
類としては、基体表面にできるかぎり均一に超音波を照
射し、エロージョン等のダメージを与えないために、多
重周波のものや周波数を一定周期で変更できるものが好
ましい。なお、必要に応じて浸漬中に基体を振動や回転
をさせてもよい。また、該洗浄液が槽上部からオーバー
フローされるように液循環を行うことが好ましい。この
ことによって、導電性基体を洗浄液から引き上げる際に
よごれの再付着が防止される。
【0011】脱脂液の温度は、通常30〜95℃、望ま
しくは40〜80℃の範囲に設定されることが好まし
い。処理温度が30℃より低い場合は脱脂性が劣り、処
理温度が95℃を越える場合は洗浄液成分の蒸発量が急
激に増加し、洗浄液成分の管理上好ましくない。洗浄の
処理時間は通常30秒から30分、好ましくは1分から
10分がよい。処理時間が30秒より短い場合は、よご
れの除去が不十分のため、洗浄ムラが発生しやすく、3
0分を越える場合は、スループットが下がるため、実生
産上、好ましくない。
【0012】洗浄されたアルミニウム製導電性基体は、
付着した洗浄液を除去するために、1乃至数段階の水洗
処理が行われる。水洗処理には、純水または脱イオン水
を用いることができるが、本発明においては、アルミニ
ウム製導電性基体と純水の水和反応によりその表面に不
均一な溶解や水和物等が生成(腐食)されることを防止
するため、リンゴ酸水溶液を使用する。リンゴ酸水溶液
は水洗処理すべての段階あるいは一部の段階で使用する
ことができるが、少なくとも最終段階の水洗処理である
温純水乾燥で使用することが好ましい。
【0013】アルミニウムの純水による水和反応機構は
現在のところ明確にはなっていないが、その推定機構が
水酸化物イオンが関与するものであることから、リンゴ
酸によるアルミニウム製導電性基体の水和反応抑制効果
は、水洗溶液を酸性にすることによる水酸化物イオンの
減少及びリンゴ酸のアルミニウム表面への吸着によって
水酸化物イオンの攻撃が弱められることによると考えら
れる。
【0014】洗浄後のアルミニウム製導電性基体の水洗
は、一般には、以下の方法で行う。まず、水洗層に水を
満たし、所定の温度とした後、洗浄後のアルミニウム製
導電性基体を浸漬して第1段階の水洗を行う。腐食防止
の効果を高めるために、この段階での水洗にも、リンゴ
酸水溶液を用いることが好ましい。この段階でリンゴ酸
水溶液を用いる場合、後述する第2段階の水洗で用いる
リンゴ酸水溶液を回収して使用することが、純水及び排
水量を削減できることから好ましい。なお、より効果的
に水洗を行うため、浸漬水洗時に超音波を併用すること
が好ましい。超音波の種類としては、基体表面にできる
かぎり均一に超音波を照射し、エロージョン等のダメー
ジを与えないために、多重周波のものや周波数を一定周
期で変更できるものが好ましい。なお、必要に応じて浸
漬中に基体を揺動や回転させてもよい。また、基体を洗
浄液から引き上げる際にシャワーリング水洗をすること
が、汚れの再付着防止が図られるためより好ましい。
【0015】第一段階の水洗後、水洗浴に水を満たし、
所定の温度とした後に、上記第1段階水洗後のアルミニ
ウム導電性基体を所定時間浸漬し第2段階の水洗を行
う。その際、アルミニウム製導電性基体と純水との水和
反応によりその表面に不均一な溶解や水和物等が生成
(腐食)されることを防止するため、リンゴ酸水溶液を
使用することが好ましい。
【0016】上述した、第2段階の水洗工程は、通常、
ヒーターにより一定温度に加熱された純水または脱イオ
ン水が満たされた槽内に、アルミニウム製導電性基体を
所定時間浸漬後、一定速度で引き上げる温純水乾燥を行
なう。一般的に、槽内の温度分布の均一性や清浄度を保
つために、純水または脱イオン水は槽下部より導入さ
れ、槽上部よりオーバーフローされる。さらに、基体の
引き上げ時には、引き上げ直後の基体表面の水膜の均一
性を図るために、槽上部よりのオーバーフローを止め、
水面の乱れを少なくすることが好ましい。また、必要に
よっては水面上部の水蒸気を除去するために、水面近傍
に冷却管等を設置して水蒸気の凝縮をさせたり、排気装
置を設けてもよい。
【0017】リンゴ酸水溶液の温度は、通常50℃〜9
5℃、望ましくは70℃から85℃が好ましい。処理温
度が50℃より低い場合は、引き上げ時に水分の均一な
蒸発が行なわれずに、水分の凝集物による乾燥むらが発
生しやすく、処理温度が95℃より高い場合は、水和反
応の速度が速くなるとともに、水面上部の水蒸気が増加
し、好ましくない。
【0018】リンゴ酸水溶液に浸漬する時間は、アルミ
ニウム製導電性基体の上端部で、通常5秒から3分、望
ましくは20秒から1分が好ましい。浸漬時間が短い
と、アルミニウム製導電性基体の肉厚が厚い場合、アル
ミニウム製導電性基体の温度上昇速度が遅く、乾燥に必
要な熱量を基体に与えられないために、引き上げ時に水
分の蒸発が十分に行なわれず、水分の凝集物による乾燥
むらが発生しやすい。また、生産速度が低下すること及
び少なからず水和反応が進行するために、必要以上に浸
漬時間を長くすることは好ましくない。
【0019】リンゴ酸水溶液中のリンゴ酸濃度は、通常
0.5ppm乃至10ppm、より好ましくは1ppm
乃至2ppmであることが好ましい。濃度が低すぎると
温純水との水和反応の抑制効果が乏しく、その結果、温
純水との水和反応によって不均一な水和酸化物が生成
し、所望の電子写真感光体特性が得られない傾向にあ
る。濃度が高い場合は、不必要にリンゴ酸がアルミニウ
ム製導電性基体表面に残存し、塗布むら等が発生しやす
くなるので好ましくない。
【0020】温純水乾燥後の乾燥手段としては、熱風乾
燥、赤外線乾燥、誘導加熱による乾燥、または、それら
の組み合わせが挙げられる。該基体表面の水分を均一に
除去する方法であれば手段は問わない。一般的には、乾
燥処理面の均一性や装置の簡便性から熱風乾燥処理がな
される。熱風乾燥は、熱風乾燥装置により行なわれる。
外部より取り込まれた空気はヒーター室に導入され、電
気または蒸気ヒーターによって加熱されつつ、送風ファ
ンにより槽内へ送られる。この際、耐熱ヘパフィルター
を通すことにより、熱風中の塵埃を除去し、基体表面へ
の付着を防止する。槽内の温度は、熱風の経路に設置さ
れた温度検出器および調節計により制御される。また、
アルミニウム製導電性基体表面が熱風の偏流により不均
一に加熱されると、基体表面のアルミニウム酸化被膜が
不均一に変質する懸念があるため、熱風が出来るかぎり
均一に基体表面に当たるようにすることが望ましい。
【0021】以上のようにして洗浄処理された導電性基
体上に光導電層が設けられる。光導電層としては、無機
系、有機系の各種光導電層を使用することができる。光
導電層は、一層からなる単層型でも電荷発生層、電荷移
動層よりなる積層型光導電層でも良いが、積層型光導電
層が特に有用である。電荷発生層、電荷移動層等の光導
電層は、層を構成する物質をそれぞれの含有する塗布液
を浸漬法やスプレー法などによって、該基体の表面に形
成される。以下、積層型光導電体について説明するが、
本発明は積層型光導電体に限定されるものではない。
【0022】電荷発生層に用いる電荷発生物質として
は、セレン及びその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウ
ム、酸化亜鉛、その他の無機光導電体、フタロシアニ
ン、アゾ、キナクリドン、多環キノン、ペリレン、イン
ジゴ、ベンズイミダゾールなどの有機顔料を使用するこ
とができる。特に銅、塩化インジウム、塩化カリウム、
スズ、オキシチタニウム、亜鉛、バナジウムなどの金
属、またはその酸化物や塩化物の配位したフタロシアニ
ン類、無金属フタロシアニン類、または、モノアゾ、ビ
スアゾ、トリスアゾ、ポリアゾ類などのアゾ顔料が好ま
しい。
【0023】電荷発生層は、これらの物質の均一層とし
てまたはバインダー中に微粒子分散した状態で形成され
る。バインダー樹脂としてはポリビニルブチラール、フ
ェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アク
リル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化
ビニル、メチルセルロース、ポリカーボネート樹脂など
が挙げられる。
【0024】バインダー樹脂100重量部に対して、上
記電荷発生物質は20〜300重量部範囲で含有させる
ことが好ましく、特に30〜150部の範囲が好まし
い。また、電荷発生層の膜厚は通常5μm以下、好まし
くは0.01〜1μmの範囲である。電荷移動層中に用
いる電荷移動物質としては、ポリビニルカルバゾール、
ポリビニルピレン、ポリアセナフチレン等の高分子化合
物、または、各種ピラゾリン誘導体、オキサゾール誘導
体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体などの低分子
化合物が使用できる。これらの電荷移動物質と共に必要
に応じて、バインダー樹脂が配合される。好ましいバイ
ンダー樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体およびその
共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリサル
フォン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹
脂などが挙げられる。また、これらの部分的架橋硬化物
も使用される。
【0025】電荷移動層に用いられる電荷移動物質は、
公知の電荷移動物質を用いることが可能である。電荷移
動物質は、バインダー樹脂100重量部に対し、30〜
200重量部、特に50〜150重量部の範囲含有させ
ることが好ましい。また、電荷移動層には、必要に応じ
て酸化防止剤、増感剤などの各種添加剤を含んでもよ
い。電荷移動層の膜厚は通常10〜40μm、好ましく
は10〜35μmの範囲とされる。
【0026】なお、光導電層の他の例として、バインダ
ー樹脂と上記電荷移動物質からなる結合剤中に、前記の
如き電荷発生物質粒子を分散させた分散型光導電層があ
る。この場合、電荷発生物質と電荷移動物質の合計量
は、バインダー樹脂100重量部に対して20〜200
重量部の範囲が好ましく、特に40〜150重量部の範
囲が好ましい。
【0027】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明を
より具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない
かぎり、以下の実施例に限定されるものではない。な
お、以下において、「部」とは「重量部」を表す。 [実施例1]表面を鏡面仕上げしたアルミニウム製導電
性基体(JIS6063材ポートホール管、肉厚1m
m)をトリクロルエチレンを用いて、超音波洗浄、冷浴
洗浄、蒸気洗浄を行ない、評価用アルミニウム製導電性
基体を得た。純水にリンゴ酸を加え、0.5ppmのリ
ンゴ酸水溶液を5リットル調整し、80℃に加温した。
該リンゴ酸水溶液に該アルミニウム製導電性基体を浸漬
し、アルミニウム製導電性基体表面から水素の気泡が発
生するまでの時間を、水和酸化反応開始までの誘導時間
(以下、「水和反応誘導時間」と称する)として測定し
た。上記と同様の方法で、リンゴ酸濃度、1.0pp
m、100ppmについて水和反応誘導時間を測定し
た。なお、水和誘導時間測定のための観察は、1.0p
pmと100ppmについては60分までとした。
【0028】[比較例1]アルミニウム製導電性基体
を、リンゴ酸を添加していない80℃に加温した純水に
浸漬した以外は実施例1と同様にして、水和反応誘導時
間を測定した。 [比較例2]純水に乳酸を加え、0.5ppmの乳酸含
有水溶液を調整し、80℃に加温したものに、アルミニ
ウム製導電性基体を浸漬した以外は実施例1と同様にし
て、水和反応誘導時間を測定した。上記と同様の方法
で、乳酸濃度1.0ppm、2.0ppm、について水
和反応誘導時間を測定した。 [比較例3]純水にコハク酸を加え、0.5ppmのコ
ハク酸含有水溶液を調整し、80℃に加温したものに、
アルミニウム製導電性基体を浸漬した以外は実施例1と
同様にして、水和反応誘導時間を測定した。上記と同様
の方法で、コハク酸濃度1.0ppm、2.0ppm、
について水和反応誘導時間を測定した。実施例1及び比
較例1、2、3で行なった水和反応誘導時間測定結果を
表−1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】これらの結果からリンゴ酸水溶液に水和酸
化(腐食)抑制効果があることがわかった。
【0031】[実施例2]1,2−ブタンジオール85
重量%と純水15重量%からなる洗浄液を65℃に加温
した洗浄液中に、表面を鏡面切削加工した円筒状アルミ
ニウム製導電性基体(JIS1050材ポートホール
管、長さ348mm、肉厚1mm)を浸漬し、周波数変
調式超音波発振機(基幹周波数39kHz)を発振させ
て5分間脱脂洗浄を行った。
【0032】続いて、該アルミニウム製導電性基体を洗
浄槽上部に約30秒間静置して液切りした後、第1段階
の水洗として、後述の第2段階の水洗行程で使用された
該リンゴ酸水溶液を30℃に冷却、回収した該水溶液中
に浸漬し、周波数変調式超音波発振機(基幹周波数39
kHz)を発振させて30秒間水洗を行なった。その
後、脱イオン水を振り掛けながらブラシ洗浄を行ない、
更に上述の該リンゴ酸水溶液中に浸漬し、周波数変調式
超音波発振機(基幹周波数39kHz)を発振させて3
0秒間水洗を行なった。
【0033】次いで、第2段階の水洗として、脱イオン
水にリンゴ酸を添加して所定濃度に調整されたリンゴ酸
水溶液が、90リットル/時で連続的に供給され、一定
温度の該リンゴ酸水溶液が槽下部より供給され、槽上部
よりオーバーフローするように循環された容量約100
リットルの湯上げ乾燥槽に、上記水洗後の該アルミニウ
ム製導電性基体を上端部で深さ30mmまで浸漬し、所
定時間保持した後、10mm/秒の速度で引き上げて液
切り乾燥を行なった。
【0034】なお、処理条件としては次の3種類を行な
った。 (A)リンゴ酸濃度;0.5ppm、温度;80℃、浸
漬保持時間;5秒 (B)リンゴ酸濃度;0.5ppm、温度;80℃、浸
漬保持時間;60秒 (C)リンゴ酸濃度;0.5ppm、温度;80℃、浸
漬保持時間;180秒 その後、125℃のクリーンオーブンで5分間加熱し
て、電子写真感光体用導電性基体を得た。
【0035】[比較例4]第1段階及び第2段階の水洗
に使用する水溶液が、酒石酸を添加した水溶液であるこ
と以外は、実施例2と同様な処理を行なって、電子写真
感光体用導電性基体を得た。
【0036】電荷発生物質として下記構造を有するビス
アゾ化合物10重量部を150重量部の4−メトキシ−
4−メチル−2−ペンタノンに加え、サンドグラインド
ミルにて粉砕分散処理を行なった。ここで得られた顔料
分散液をポリビニルブチラール(電気化学工業社製、商
品名#6000−C)の5%1,2−ジメトキシエタン
溶液100重量部に加え、最終的に固形分濃度4.0%
の分散液を作成した。上記電荷発生層用分散液に、実施
例2及び比較例3、4で製造した該電子写真感光体用導
電性基体を浸漬し、乾燥後の膜厚が0.63μmとなる
ように電荷発生層を設けた。
【0037】
【化1】
【0038】次に、この電荷発生層上に次に示す化合物
110重量部と
【0039】
【化2】
【0040】下記構造のポリカーボネート樹脂100重
量部を
【0041】
【化3】
【0042】1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン
(50:50)の混合溶媒600重量部に溶解させて電
荷移動層用液を得た。この溶液を用いて先に電荷発生層
を設けた電子写真感光体用導電性基体を浸漬し、125
℃で30分間乾燥した後の膜厚が27μmとなるように
電荷移動層を設け、電子写真感光体を得た。
【0043】実施例2および比較例4で得た電子写真感
光体各2本について、3種類の測定環境の暗所にて、ス
コロトロン帯電器により−700Vに帯電させた後、白
色光で露光させ、表面電位が半減するまでの露光量(半
減露光量;lux・sec.)を測定した。それらの結
果を表−2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】表−2から、本発明のリンゴ酸を含有する
水溶液と接触処理を行なった電子写真感光体を使用した
場合、酒石酸を用いた場合と比較して、浸漬保持時間の
違いによる半減露光量値のばらつきが小さく、かつ、同
一処理、測定条件の各サンプル間のばらつきも総じて小
さいことがわかった。半減露光量が低く、感光体の感度
が改良されることがわかった。
【0046】この結果から明らかなように、本発明のリ
ンゴ酸を含有する水溶液と接触処理を行なうことによ
り、アルミニウム製導電性基体の水和酸化(腐食)を効
果的に抑制するとともに、温純水乾燥における浸漬保持
時間の違いによる電気特性のばらつきが改善されること
がわかった。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、水系洗浄における水洗
処理や温純水乾燥処理時におこる、不均一なアルミニウ
ム製導電性基体表面の溶解や水和物等の生成等に起因し
た電子写真感光体特性の劣化を防止し、電子写真感光体
特性の均一さを改善することが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性基体上に少なくとも光導電層を設
    けてなる電子写真感光体の製造法において、前記導電性
    基体をリンゴ酸を含有する水溶液と接触させる工程の後
    に、前記光導電層を設けることを特徴とする電子写真感
    光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記リンゴ酸を含有する水溶液のリンゴ
    酸濃度が、0.5ppm乃至10ppmであることを特
    徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記リンゴ酸を含有する水溶液と接触さ
    せる工程が、水系液体を用いた洗浄を行なった後の工程
    であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子
    写真感光体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003262964A (ja) * 2002-03-08 2003-09-19 Furukawa Electric Co Ltd:The アルミニウム製感光ドラム基体の製造方法
KR100780713B1 (ko) * 2001-10-17 2007-11-30 엘지.필립스 엘시디 주식회사 액정 표시패널의 테스트장치

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