JP2004205946A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 - Google Patents
電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004205946A JP2004205946A JP2002377083A JP2002377083A JP2004205946A JP 2004205946 A JP2004205946 A JP 2004205946A JP 2002377083 A JP2002377083 A JP 2002377083A JP 2002377083 A JP2002377083 A JP 2002377083A JP 2004205946 A JP2004205946 A JP 2004205946A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- electrophotographic
- charge generation
- support
- electrophotographic photoreceptor
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】干渉縞、黒スジ、白スジなどの欠陥のない画像を出力できる電子写真感光体を提供すること、さらには、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供する。
【解決手段】支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該支持体は表面が粗面化された支持体であり、該中間層は浸漬塗布により形成された層であり、該電荷発生層は浸漬塗布により形成された層であり、該電荷発生層は電荷発生物質および結着樹脂を含有し、該電荷発生層中の該電荷発生物質の含有量は該結着樹脂に対して180〜500質量%であり、該中間層の上端未塗布幅d1(mm)と該電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす。
d2−d1≧1.5(mm) (1)
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、該支持体は表面が粗面化された支持体であり、該中間層は浸漬塗布により形成された層であり、該電荷発生層は浸漬塗布により形成された層であり、該電荷発生層は電荷発生物質および結着樹脂を含有し、該電荷発生層中の該電荷発生物質の含有量は該結着樹脂に対して180〜500質量%であり、該中間層の上端未塗布幅d1(mm)と該電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす。
d2−d1≧1.5(mm) (1)
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体、該子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真装置に用いられる電子写真感光体として、有機光導電性物質を用いた有機電子写真感光体(OPC)の開発が進められ、普及している。
【0003】
また、電子写真感光体の構成としては、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性の支持体上に感光層を設けた構成が主流である。
【0004】
電子写真装置の進歩に伴い、より高品位な画質が要求されるようになってきており、支持体については、コスト低減や画質欠陥の改善などを目的として、押し出し管やED管(引き抜き管)、EI管などが用いられるようになってきた。
【0005】
ED(Extrusion Drawing)管とは、先端を潰して細くした長い素管を外形の決まったダイスの中を引っ張って通し、素管の外形を減少させ、表面精度を出す冷間加工方法によって得られる管である。また、EI(Extrusion Ironing)管とは、素管の外形をダイスで扱き加工をして、素管の外形と表面精度を出す冷間加工方法によって得られる管である。
【0006】
電子写真感光体の支持体を製造する場合、熱間押し出しによる素管製造後、冷間引き抜きにより素管の振れ・外径の精度を出し、あるいは、旋盤によりダイヤモンド切削バイトで素管を切削加工して素管の振れ・外径の精度を出す。その際、表面をなるべく平滑にするためにはバイトの送り量を少なくしなければならず、1本の素管を切削するための時間が長くなる(数分程度)。また、画像露光光としてレーザー光を採用する電子写真装置に電子写真感光体を搭載する場合、レーザー光が支持体に反射して起こる干渉縞を防止しなければならない。
【0007】
そこで、素管(円筒状部材)から支持体を製造するためには、引き抜きや切削加工後の素管(円筒状部材)の表面を粗面化処理する必要がある。粗面化後の表面粗さはRzで0.6μm以上は必要である。
【0008】
粗面化処理としては、湿式ホーニング処理または乾式ブラスト処理(乾式ホーニング処理)が挙げられる。
【0009】
湿式ホーニング処理とは、水などの液体に粒子状の研磨材(砥粒)を懸濁させ、高速度で素管(円筒状部材)に吹き付けて、素管(円筒状部材)表面を粗面化する処理であり、表面粗さは、吹き付け圧力、速度、砥粒の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重および懸濁温度などにより制御することができる。
【0010】
乾式ブラスト処理とは、砥粒をエアにより、高速度で素管(円筒状部材)表面に吹き付けて、素管(円筒状部材)表面を粗面化する処理であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。
【0011】
これら湿式ホーニング処理または乾式ブラスト処理に用いる砥粒としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ、プラスティックショットなどの粒子が挙げられる。
【0012】
しかし、乾式ブラスト処理や不定形アルミナ砥粒を用いた湿式ホーニング処理では、砥粒が素管(円筒状部材)表面に突き刺さり、そのように作製した支持体を用いて電子写真感光体を作製した際に反転現像系における白画像上の黒ポチ、正転現像系における黒画像上の白抜けが発生してしまう。
【0013】
また、砥粒としてガラスビーズを用いた湿式ホーニング処理では、ガラスがすぐに割れて素管(円筒状部材)表面に突き刺さってしまうという問題や、粗さのコントロールが難しいという問題がある。
【0014】
そのため、研磨材(砥粒)として球状アルミナ砥粒やステンレス砥粒などを用いた湿式ホーニング処理によって素管(円筒状部材)を粗面化して支持体を作製した後、その上に中間層を形成し、次いでその上に電荷発生層および電荷輸送層(感光層)を形成して、電子写真感光体を作製するのが一般的である。
【0015】
また、電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、ビスアゾ顔料やトリスアゾ顔料などのアゾ顔料が知られており、また、赤外領域に高感度を有する電荷発生物質として、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料も注目されている。
【0016】
フタロシアニン顔料は多くの結晶形をとることが知られており、例えば、オキシチタニウムフタロシアニンの場合、特開昭63−366号公報や特開平03−250059号公報などに結晶形が開示されている。
【0017】
上述のアゾ顔料やフタロシアニン顔料などを含有する電荷発生層を支持体上に直接成膜・形成すると、支持体の塩化物などの欠陥や汚れなどに起因する正孔の注入が起こりやすく、出力画像上の欠陥を起こしやすい。このような支持体からの注入を阻止する場合にも、電荷発生層と支持体との間にバリア層としての機能と接着層としての機能を有する中間層を設けることが提案されている。
【0018】
中間層に用いられる樹脂としては、ポリアミド(特開昭46−47344号公報、特開昭52−25638号公報)、ポリエステル(特開昭52−20836号公報)、ポリウレタン(特開昭49−10044号公報)などが挙げられる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
電荷発生物質を結着樹脂に分散した電荷発生層は、結着樹脂に対する電荷発生物質の比率が大きいほうがより高感度となる。近年、電子写真装置は、高速化・高画質化がより一層求められてきているため、電荷発生物質の比率が大きいほうが電子写真特性の良化には効果的である。
【0020】
また、電荷発生物質の比率が小さい場合、電子写真プロセスによっては、ポジやネガゴーストを発生することがある。この場合にも、電荷発生物質の比率を大きくすることは効果的である。
【0021】
しかし、電荷発生物質の比率が大きくなると、成膜性が悪くなるばかりでなく、支持体の表面形状の影響を受けやすくなる。したがって、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層を一般的な浸漬塗布にて成膜・形成する場合、電荷発生層の塗布上端にバリア層である中間層が存在しないと、支持体を浸漬ポットから引き上げる際、粗面化された支持体表面の微小なキズや窪みが起点となって電荷発生物質の色あるいは白抜けの引きスジが電荷発生層に生じる。この引きスジが黒スジあるいは白スジといった画像欠陥につながる。
【0022】
本発明の目的は、上記課題を解決し、干渉縞、黒スジ、白スジなどの欠陥のない画像を出力できる電子写真感光体を提供すること、さらには、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該支持体は表面が粗面化された支持体であり、
該中間層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は電荷発生物質および結着樹脂を含有し、
該電荷発生層中の該電荷発生物質の含有量は該結着樹脂に対して180〜500質量%であり、
該中間層の上端未塗布幅d1(mm)と該電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0024】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
本発明の電子写真感光体は、粗面化された支持体上に、少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する。
【0027】
図1に示す電子写真感光体は、支持体上に中間層を成膜し、その上に電荷発生層、電荷輸送層を順に成膜した積層構造を有するものである。浸漬塗布時の中間層の上端部は、電荷発生層の上端部よりも上側にある。すなわち、浸漬塗布時の中間層の上端未塗布幅は、電荷発生層の上端未塗布幅よりも短くなっている。具体的には、中間層の上端未塗布幅d1(mm)と電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす。
【0028】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
本発明に用いられる支持体は、素管(円筒状部材)の表面を粗面化したものである。素管としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押し出し管、ED管やEI管などが挙げられる。
【0029】
粗面化には、多くの方法があり、本発明にはそのいずれもが適用可能である。
【0030】
粗面化方法の例として、砥石による研削、研磨テープによる研磨、化学的なエッチング、センターレス研磨やホーニング処理が挙げられる。それらの中でも、素管(円筒状部材)が研磨材(砥粒)と常に接触していないため、研磨時に破砕した研磨材(砥粒)、削れ片などによるキズがつきにくいという点では、エッチング、ホーニング処理が好ましい。ただし、エッチングでは、エッチング前後に、脱脂処理、中和処理、洗浄処理、乾燥処理など、多数の工程が必要となり、設備投資のコストが高くなりやすい。少なくとも中和処理は不要であり、比較的工程数の少ないホーニング処理がより好ましい。
【0031】
▲1▼ 砥石による研削
ごく一般的な方法で、砥石を用いて表面を研磨する方法である。容易な方法である反面、研磨中に砥粒の破砕、脱落が起こり、素管(円筒状部材)表面に食い込んで残留するといった問題がある。また、砥石の目詰まり防止や、砥粒の切れ刃の自生作用を促すために、油などの切削剤を使用するため、この切削剤の除去に手間がかかる場合もある。
【0032】
▲2▼ 研磨テープによる研磨
柔軟性のある基材に研磨砥粒を結着させた研磨テープを用いて表面を研磨する方法である。素管(円筒状部材)への研磨砥粒の食い込みを防止できるだけでなく、粗面化前の工程での残留物を除去できる。しかし、前処理加工として切削加工が必要であったり、同一研磨面での繰り返し利用ができなかったりという難点もある。
【0033】
▲3▼ エッチング
アルカリあるいは酸による浸漬エッチングが大部分であり、アルカリエッチングとしては水酸化ナトリウム、酸エッチングとしてはリン酸−硫酸系あるいはフッ酸系の酸を使用するのが一般的である。1回のエッチングで、多数の素管(円筒状部材)を処理し、多数の支持体を作製できるが、前述のようにエッチング前後で多くの処理工程を必要とする。
【0034】
▲4▼ センターレス研磨
一般的には、回転する2つの円筒状研磨ブラシ上に、素管(円筒状部材)を載せ、両者の円筒状ブラシの回転速度を異なるように設定し、素管(円筒状部材)を回転させながら研磨して支持体を作製していく方法である。研磨中にブラシの破砕、脱落が起こり、素管(円筒状部材)表面に食い込んで残留したり、螺旋状のキズを与えたりといった問題がある。
【0035】
▲5▼ ホーニング処理
湿式ホーニング処理は、図3に示すように、球状アルミナやジルコニア砥粒などを用い、素管(円筒状部材)4面にホーニング砥粒13を吐出させて行う。
【0036】
図2は、湿式ホーニング処理装置の概略構成図である。この装置で行う湿式ホーニング処理は、砥粒を液体に懸濁させて被加工物に細いノズル1の先からエア圧で投射させて表面を粗面化する方法で、懸濁媒体7としては一般的に水を用いて、研磨材(砥粒、メディア)としては、アルミナ、ジルコニアまたはステンレスビーズなどが用いられる。この湿式ホーニング処理に用いられる砥粒の粒径は、5μm〜数100μm程度であり、特に5μm〜100μmが好ましい。これらの種類や粒径などは、使用目的に応じて使い分けられる。
【0037】
これらの研磨材(砥粒、メディア)を懸濁媒体(水など)に対して2%〜30%の割合で混合させる。特に、5%〜25%の割合が好ましい。研磨材(砥粒、メディア)の割合が少な過ぎると加工の効率が低下してしまい、多過ぎると懸濁媒体の流動性が悪くなりノズルからの吐出量が少なくなる、あるいは出なくなる。
【0038】
湿式ホーニング処理は、砥粒を懸濁させた液体をポンプ11で循環し、ノズルの噴射口形状が円形の場合、口径5mm〜20mmのノズルの先から吐出させ、被加工物4に投射するが、毎分5〜50L程度の循環量では、懸濁液が被加工物に当たっても表面の粗さはあまり変わらない。投射時のエアの圧力により、大きく粗さが変化する。このエア圧力は、0.01MPa〜0.6MPaが好ましい。0.01MPa未満では加工の効率が低下し、0.6MPaを超えると表面粗さが大きくなり過ぎる傾向にある。
【0039】
球状アルミナの砥粒を用いた場合、平均粒径が20〜30μmで、粒度分布としては2〜40μmの粒径のものが含まれる砥粒が好ましい。ある程度粒度分布がシャープなものを製造することは、可能ではあるが、完全に小粒径の砥粒を無くすことはできないし、コストが高くなる。
【0040】
ノズル1先端と被加工物4との距離は、近いほど効率がよいが、一般的に、円筒状のものを回転させながらノズル1を移動させていく方法では、ノズルを近付け過ぎると加工ムラが出てしまうため、10mm〜400mmの距離で加工を行う。ノズルの移動速度は、毎分0.2m〜2m程度であり、一般に被加工物を回転させながら、ノズルを移動させてホーニングする方法が用いられる。回転数は速い程ムラが出にくいが、0.5s−1〜10s−1程度が好ましく、ノズルの移動速度に合わせて調節する。
【0041】
湿式ホーニング処理の場合、ノズルから吐出された砥粒は、同時に吐出された懸濁媒体(水など)の影響で被加工物にソフトに衝突する。そのため、懸濁媒体(水など)を用いない乾式ブラスト処理よりも、砥粒の衝撃が少なく、したがって加工する表面の粗さは、乾式ブラスト処理よりも同じ条件では少なく、砥粒の割れる割合も少ない。
【0042】
一般に、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理では、表面を粗面化するということは表面を削ることと考えられているが、実際にはほとんど表面は削れておらず、主に砥粒が衝突した衝撃で表面が塑性変形を起こし凹んでいるのである。特に、球状の砥粒を用いた場合にはその傾向が強い。
【0043】
それゆえ、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理では、表面に隈無く砥粒を投射すれば、それ以上は同じ条件で砥粒を当てても表面の粗さはほとんど変化しない。
【0044】
また、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理による粗面化の場合、被加工物面に対して吐出砥粒を垂直に当てるよりも、角度を小さくして斜めに当てると、砥粒噴射時の加工面積が広がるなどしてムラが出にくくなる傾向にある。
【0045】
湿式ホーニング処理によって素管(円筒状部材)表面を粗面化して支持体を作製した後、支持体上に感光層を形成する前に通常表面の洗浄を行い、付着した研磨材(砥粒)、研磨液、ごみ、油系物質、人の指紋などの除去を行う。
【0046】
支持体の洗浄工程において、支持体の清浄度を高めるために、界面活性剤などの補助剤を水と併用したり、超音波発振によるキャビテーション効果やジェットノズルなどによる高圧噴射、さらにはブラシやブレードなどを併用したりすると効果的である。
【0047】
本発明においては、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層が浸漬塗布にて中間層上に成膜される。具体的には、電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は結着樹脂に対して180〜500質量%である。
【0048】
そして、粗面化された支持体の表面粗さの最大高さ(RmaxD)、十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)が下記条件を満たすことが好ましい。
【0049】
1.2μm≦RmaxD≦5.0μm、
1.2μm≦Rz≦3.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.5μm、
30μm<Sm≦80μm
さらには、下記条件を満たすことがより好ましい。
【0050】
1.2μm≦RmaxD≦4.5μm、
1.2μm≦Rz≦2.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.3μm、
31μm≦Sm≦80μm
Rzが1.2μmよりも小さくなると干渉縞が発生しやすく、3.0μmよりも大きいと中間層または電荷発生層が表面を被覆しきれなくなり画像欠陥が生じやすくなる。特に、電荷発生物質の比率が大きいと、分散後に電荷発生物質が再凝集を起こしやすく、支持体の表面状態(粗面状態)に応じてスジやポチなどの画像欠陥を生じやすくなってしまう。
【0051】
本発明において、支持体の表面粗さは、JISB0601(1994)に準じ、小坂研究所製表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで測定した。
【0052】
十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)は、JISB0601(1994)での設定における値を意味し、最大高さ(RmaxD)は、RmaxDINを意味する。
【0053】
支持体の表面性や、感光層の材料の種類によっては、感光層に正孔が注入されることがあり、感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。そこで、支持体と感光層との間に電気的バリア性を有する中間層(バリア層:例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによって、正孔の注入を効果的に抑制することができる。
【0054】
中間層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷんなどの水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンやポリグルタミン酸エステルなどの樹脂を用いることができる。
【0055】
特に、塗工性、密着性、耐溶剤性および電気的バリア性、抵抗などの点でポリアミドが中間層(バリア層)の材料として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性もしくは非結晶性の共重合ナイロンなどが好ましい。
【0056】
また、無機高分子化合物を用いたゾルゲル法による中間層も用いてもよい。これらは、ジルコニウムとシラン化合物の混合物、シラン化合物およびジルコニウム化合物にセルロース樹脂を添加したもの、ブチラール樹脂をジルコニウムおよびシランの無機成分に添加した塗工液などがある。
【0057】
中間層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、特には0.3〜2μmが好ましく、より好ましくは0.3〜1μmである。中間層の膜厚が2μm以下になると、支持体の表面状態(粗面状態)の影響を受けやすく、支持体表面を被覆しきれなくなる場合がある。電荷発生物質の比率が大きくなると、その傾向は顕著になる。よって、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層を中間層上に浸漬塗布にて成膜・形成する場合、中間層の膜厚を2μm以下にすると、上述のとおり、支持体を浸漬ポットから引き上げる際に、粗面化された支持体表面の微小なキズや窪みが起点となって電荷発生物質の色あるいは白抜けの引きスジが電荷発生層に生じやすくなる。この引きスジは黒スジあるいは白スジといった画像欠陥となる。
【0058】
そこで、本発明のように、中間層の上端未塗布幅d1(mm)と電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たすことによって、上述の黒スジあるいは白スジをなくすことができるのである。
【0059】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
なお、上記d1およびd2の関係が、0≦d2−d1≦0.5(mm)を満たすとき、電荷発生層用の分散液の粘度、塗布時の浸漬速度などによっては、電荷発生層用の分散液のしみ上がりが浸漬塗布時に発生する場合があるため、上記式(1)を満たすことが好ましい。
【0060】
本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層した積層型感光層である。
【0061】
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、アゾ顔料(トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料など)、インジゴ顔料、キナクリドン顔料および非対称キノシアニンなどが挙げられる。
【0062】
露光光(画像露光光)としてレーザーなどを採用した、いわゆるデジタル電子写真装置用の電子写真感光体の場合は、これら電荷発生物質の中でも、赤外領域や可視光領域のレーザーへの対応において、波長への感光依存性の広さから、フタロシアニン顔料が優れており、さらにフタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン、ジアルコキシシリコンフタロシアニン、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーおよび無金属フタロシアニンが、その感度の高さから特に優れている。
【0063】
次に、フタロシアニン顔料の結晶形について説明する。
【0064】
I型と呼ばれる結晶形を有するオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折パターンは、図5に示すようにブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°の位置に強いピークを示す。上記ピークは、ピーク強度の強い上位4点をとったものであり、主要なピークとなっている。
【0065】
図5のX線回折パターンにおいて特徴的なことは、上記4点のピークのうち、27.1°のピークが1番強く、9.0°のピークが2番目に強い。また、17.9°の位置に上記4点より弱いピーク、さらに弱いピークが13.3°の位置にある。また、10.5°〜13.0°、14.8°〜17.4°および18.2°〜23.2°の範囲には実質的にピークがない。
【0066】
なお、X線回折のピーク形状は、製造時における条件の相違によって、また測定条件などによって、わずかではあるが異なったり、各ピークの先端部がスプリットしたりする場合もありうる。
【0067】
図5の場合には、8.9°のピークの山は9.4°付近に、また14.2°のピークの山は14.1°付近に別のスプリットしたピークが見られる。
【0068】
また、上記以外にも、ブラッグ角2θ±0.2°の7.6°および28.6°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、9.6°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°および26.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンも好ましい。
【0069】
なお、オキシチタニウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0070】
【外1】
【0071】
(式中、X111〜X114は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pi、qi、riおよびsiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)また、クロロガリウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0072】
【外2】
【0073】
(式中、X121〜X124は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pii、qii、riiおよびsiiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0074】
【外3】
【0075】
(式中、X131〜X134は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。piii、qiii、riiiおよびsiiiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0076】
【外4】
【0077】
(式中、X141〜X144は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。piv、qiv、rivおよびsivは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジアルコキシシリコンフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0078】
【外5】
【0079】
(式中、X151〜X154は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。R151、R152は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基を示す。pv、qv、rvおよびsvは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーの構造は、下記式で示される。
【0080】
【外6】
【0081】
(式中、X161〜X168は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pvi、qvi、rviおよびsviは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
クロロガリウムフタロシアニンの中でも、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形であるクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0082】
ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0083】
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.1°、9.3°、12.8°、15.8°、17.2°、25.6°および26.9°に強いピークを有する結晶形のジヒドロキシシリコンフタロシアニンが好ましい。
【0084】
また、ジアルコキシシリコンフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.1°、12.2°、13.0°、17.0°、18.7°、23.3°、26.0°、27.8°および30.4°に強いピークを有する結晶形のジメトキシシリコンフタロシアニンなどが好ましい。
【0085】
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.9°、8.0°、10.6°、16.0°、26.3°および27.4°に強いピークを有する結晶形のジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーが好ましい。
【0086】
また、無金属フタロシアニンの中でも、χ型無金属フタロシアニンが好ましい。
【0087】
また、可視光領域に高い感度を有する電荷発生物質として、アゾ顔料も好ましい。アゾ顔料としては、下記式で示される構造の中心骨格を有するジスアゾ顔料が好ましい。
【0088】
【外7】
【0089】
(式中、A211、A212は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A221、A222は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A231、A232は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A241、A242は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A251、A212は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。)
上記芳香環を有するカプラー残基としては、下記式で示される構造を有するカプラー残基が好ましい。
【0090】
【外8】
【0091】
上記電荷発生物質は、単独で用いても2つ以上を組み合わせて用いてもよく、例えば、可視光領域に高い感度を示すジスアゾ顔料と赤外領域に高い感度を持つフタロシアニン顔料とを併用することができる。
【0092】
本発明の電子写真感光体は、電子写真装置の高速化・電子写真感光体の高感度化という観点から、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して180質量%以上となっている。
【0093】
一方、電荷発生物質の比率が大き過ぎると、分散後に顔料が再凝集を起こしやすく、電荷発生層を積層した際の成膜性が悪くなってしまい、ムラ・黒ポチ・白抜けなどの画像欠陥が発生してしまう。
【0094】
この成膜性は、支持体の表面粗さに大きく影響されるが、ムラ・黒ポチ・白抜けなどの画像欠陥が発生しない電子写真感光体を提供するためには、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して500質量%以下でなければならない。
【0095】
さらに、電荷発生物質の比率が大き過ぎると、分散後に顔料が再凝集を起こし、ゲル化の原因となりやすいため、電荷発生物質を分散させた塗布液の寿命が短くなってしまう。塗布液の寿命の観点からも、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して500質量%以下でなければならない。
【0096】
電荷発生層の膜厚は0.001〜5μmが好ましく、特には0.05〜2μmがより好ましい。
【0097】
本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送物質としては、例えば、各種ヒドラゾン類、ピラゾリン類、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン系化合物、トリアリールアミン系化合物およびポリアリールアルカン類などが挙げられる。
【0098】
電荷輸送層の膜厚は、1〜40μmが好ましく、特には10〜30μmがより好ましい。
【0099】
一般的に、電荷発生物質や電荷輸送物質は、適当な結着樹脂と組み合わせて塗布液とし、成膜を行う。電荷発生層や電荷輸送層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニールアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂またはセルロース系樹脂などが挙げられる。
【0100】
感光層上には、感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は主に樹脂で構成される。保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアクリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂およびブチラール樹脂などが挙げられる。
【0101】
これらの樹脂中には、クリーニング性や耐摩耗性などの改善のために、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビリニデン、フッ素系グラフトポリマー、シリコーン系グラフトポリマーおよびシリコーン系オイルなどの潤滑剤や、保護層の抵抗制御の意味で酸化スズ粉体や導電性酸化チタンなどを分散させることも可能である。
【0102】
保護層の膜厚は0.05μm〜15μmが好ましく、特には1μm〜10μmがより好ましい。
【0103】
上記各層を形成するための塗布方法としては、浸漬塗布法、ブレードコーティング法、バーコート法などが挙げられる。支持体の形状が円筒状の場合は、浸漬塗布法が好ましい。
【0104】
図4に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0105】
図4において、21はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸22を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0106】
電子写真感光体21は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)23により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光24を受ける。こうして電子写真感光体21の表面(周面)に、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0107】
形成された静電潜像は、次いで現像手段25によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体21と転写手段26との間に電子写真感光体21の回転と同期して取り出されて給紙された転写材27に、電子写真感光体21の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段26により順次転写されていく。
【0108】
トナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体面から分離されて定着手段28へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0109】
像転写後の電子写真感光体21の表面は、クリーニング手段29によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光30により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0110】
なお、帯電手段23が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0111】
本発明においては、上述の電子写真感光体21、帯電手段23、現像手段25およびクリーニング手段29などの構成要素のうち、複数のものを容器31に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段23、現像手段25およびクリーニング手段29の少なくとも1つを電子写真感光体21と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段32を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとすることができる。
【0112】
また、露光光24は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0113】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機やレーザービームプリンターの他にも、CRTプリンター・LEDプリンター・液晶プリンター・ファクシミリ・レーザー製版などの電子写真応用技術にも広く用いることができる。
【0114】
【実施例】
以下、実施例にしたがい、本発明をより一層詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0115】
(実施例1)
支持体に用いる素管(円筒状部材)として、JISのA3003の外径30.0mm、内径28.5mm、長さ260.5mm、表面の十点平均粗さRz=1.2μmのアルミニウムシリンダー(ED管)を準備した。
【0116】
<粗面化>
準備したアルミニウムシリンダー(ED管)に対して、図1に示す湿式ホーニング処理装置((株)不二精機製造所製)を用いて、下記条件にて湿式ホーニング処理を行った。
【0117】
・湿式ホーニング処理条件
研磨材(砥粒):平均粒径30μmの球状アルミナビーズ(商品名:CB−A30S、昭和電工(株)製)
懸濁媒体:水
研磨材(砥粒)/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数:1.65s−1
エア吹き付け圧力:0.14MPa
ガン移動速度:13.3mm/s
ガンノズルとアルミニウム管の距離:190mm
研磨材(砥粒)吐出角度:45°
研磨液投射回数:1回(片道)
ホーニング後の支持体の表面粗さは、RmaxD=2.60μm、Rz=1.3μm、Ra=0.23μm、Sm=35μmであった。
【0118】
<電子写真感光体の作製>
上記ホーニング処理によって得られた支持体上に、ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部を、メタノール60部とn−ブタノール40部の混合溶媒中に溶解した塗料を浸漬塗布し、90℃で10分間熱風乾燥させ、膜厚0.50μmの中間層を形成した。
【0119】
次に、電荷発生物質としてCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料6部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン100部からなる液を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで4時間分散し、これに100部のエチルアセテートを加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を中間層上に浸漬塗布して100℃で10分間加熱乾燥し、電荷発生層を形成した。このときの中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)は、下記式を満たすように設定した。
d2−d1=1.0(mm)
電荷発生層の膜厚は0.25μmであった。
【0120】
次に、下記式で示される構造を有するアミン化合物10部、
【外9】
【0121】
およびビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン70部とジクロロメタン30部の混合溶媒に溶解した。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃で1時間乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0122】
このようにして電子写真感光体を作製した。
【0123】
<評価>
作製した電子写真感光体の表面におけるスジ(黒スジ・白スジ)あるいは黒ポチの塗工欠陥の有無を目視観察で行った。
【0124】
評価基準は、次のとおりである。
○:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチが全く見られない。
△:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチがほとんど見られない。
×:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチが見られる。
【0125】
また、作製した電子写真感光体の出力画像評価は、光量および帯電設定を変えられるように改造したヒューレット・パッカード社製プリンターLaserJet4000にて行った。
【0126】
画像評価は、ベタ黒および1ドットを桂馬パターンで印字したハーフトーンの画像で行った。
【0127】
評価基準は、次のとおりである。
○:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチが全く見られない。
△:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチがかすかにあるが、実用上問題ない。
×:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチが見られる。
【0128】
評価結果を表1に示す。
【0129】
(実施例2)
実施例1において、アルミニウムシリンダー(ED管)の粗面化処理を湿式ホーニング処理から次のようにエッチング処理に変更し、また、電荷発生層に関して、オキシチタニウムフタロシアニンを3.8部、シクロヘキサノンを75部に変更し、さらに中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0130】
エッチング溶液として、炭酸ナトリウム3%およびリン酸ナトリウム7%を含む水溶液に1分間浸漬した。エッチング後の支持体の表面粗さは、RmaxD=2.11μm、Rz=1.5μm、Ra=0.25μm、Sm=34μmであった。
d2−d1=0.5(mm)
評価結果を表1に示す。
【0131】
(実施例3)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.17MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0132】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=4.10μm、Rz=2.0μm、Ra=0.29μm、Sm=32μmであった。
【0133】
評価結果を表1に示す。
【0134】
(実施例4)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.12MPaとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0135】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=2.10μm、Rz=1.1μm、Ra=0.16μm、Sm=33μmであった。
【0136】
評価結果を表1に示す。
【0137】
(実施例5)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.33MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0138】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=4.90μm、Rz=2.4μm、Ra=0.34μm、Sm=31μmであった。
【0139】
評価結果を表1に示す。
【0140】
(実施例6)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.38MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0141】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=5.10μm、Rz=2.7μm、Ra=0.45μm、Sm=39μmであった。
【0142】
評価結果を表1に示す。
【0143】
(実施例7)
実施例1において、電荷発生層の塗布液のオキシチタニウムフタロシアニンを9.6部、シクロヘキサノンを120部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0144】
評価結果を表1に示す。
【0145】
(実施例8)
実施例1において、中間層の膜厚を1.0μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0146】
評価結果を表1に示す。
【0147】
(実施例9)
実施例1において、中間層の膜厚を0.2μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0148】
評価結果を表1に示す。
【0149】
(実施例10)
実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.6°および27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンとした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0150】
評価結果を表1に示す。
【0151】
(実施例11)
実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニンとし、さらに分散時間を6時間とした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0152】
評価結果を表1に示す。
【0153】
(実施例12)
実施例11において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンとした以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0154】
評価結果を表1に示す。
【0155】
(実施例13) 実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.1°、9.3°、12.8°、15.8°、17.2°、25.6°および26.9°に強いピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニンとし、さらに浸漬塗布後の乾燥温度を85℃とした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0156】
評価結果を表1に示す。
【0157】
(実施例14)
実施例3において、電荷発生物質をχ型無金属フタロシアニンとした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0158】
評価結果を表1に示す。
【0159】
(実施例15)
実施例2において、電荷発生層を次のように形成した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0160】
電荷発生物質として下記式で示される構造を有するアゾ顔料、
【外10】
【0161】
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBLS、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン40部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で12時間分散し、その後にメチルエチルケトン60部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。この分散液を中間層上に浸漬塗布法で塗布し、80℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0162】
評価結果を表1に示す。
【0163】
(実施例16)
実施例15において、電荷発生物質を下記式で示される構造を有するアゾ顔料とした以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0164】
【外11】
【0165】
評価結果を表1に示す。
【0166】
(比較例1〜4)
中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、それぞれ、実施例1、2、11および15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
d1−d2=1.0(mm)
評価結果を表1に示す。
【0167】
(比較例5)
中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
d2−d1=0.1(mm)
評価結果を表1に示す。
【0168】
(比較例6、7)
実施例2、3において、電荷発生層の塗布液のオキシチタニウムフタロシアニンを12部、シクロヘキサノンを175部とした以外は、それぞれ、実施例2および3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0169】
評価結果を表1に示す。
【0170】
(比較例8)
比較例7において、中間層の膜厚を1.0μmとした以外は、比較例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0171】
評価結果を表1に示す。
【0172】
(参考例1、2)
実施例10、15において、電荷発生層の塗布液の電荷発生物質を2.2部、シクロヘキサノンを60部とし、さらに中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、それぞれ、実施例10および15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。d1−d2=0.1(mm)
評価結果を表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】
参考例1および参考例2では、電荷発生物質である顔料の比率が、結着樹脂1質量部に対して1.8質量部より少なく、電子写真感光体表面に黒スジ、白スジ、黒ポチなどの塗工欠陥は認められず、画像評価においても干渉縞をはじめとする黒スジ、白スジ、黒ポチなどの画像欠陥は無かった。すなわち、本発明にて解決しようとしている課題が生じなかった。しかしながら、電子写真感光体の感度が不十分であり、画像濃度が薄いという問題があった。
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、干渉縞、黒スジ、白スジなどの欠陥のない画像を出力できる電子写真感光体を提供すること、さらには、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体の層構成図である。
【図2】湿式ホーニング処理装置の概略構成図である。
【図3】湿式ホーニング処理装置の素管(円筒状部材)付近の拡大構成図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図5】オキシチタニウムフタロシアニンの特性X線回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
a 支持体
b 中間層
c 電荷発生層
d 電荷輸送層
b´ 中間層の浸漬塗布時の上端部
c´ 電荷発生層の浸漬塗布時の上端部
1 ホーニングのノズル
2 エア供給管
3 ホーニング液循環管
4 素管(円筒状部材):ワーク
5 ワーク置き台
6 ワーク回転モーター
7 ホーニング液
8 攪拌モーター
9 攪拌用プロペラ
10 ホーニング液回収管
11 ホーニング液循環ポンプ
12 ノズル移動方向
13 ホーニング砥粒
21 電子写真感光体
22 軸
23 帯電手段
24 露光光
25 現像手段
26 転写手段
27 転写材
28 定着手段
29 クリーニング手段
30 前露光光
31 プロセスカートリッジ
32 案内手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関し、詳しくは、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体、該子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、電子写真装置に用いられる電子写真感光体として、有機光導電性物質を用いた有機電子写真感光体(OPC)の開発が進められ、普及している。
【0003】
また、電子写真感光体の構成としては、アルミニウムやアルミニウム合金などの導電性の支持体上に感光層を設けた構成が主流である。
【0004】
電子写真装置の進歩に伴い、より高品位な画質が要求されるようになってきており、支持体については、コスト低減や画質欠陥の改善などを目的として、押し出し管やED管(引き抜き管)、EI管などが用いられるようになってきた。
【0005】
ED(Extrusion Drawing)管とは、先端を潰して細くした長い素管を外形の決まったダイスの中を引っ張って通し、素管の外形を減少させ、表面精度を出す冷間加工方法によって得られる管である。また、EI(Extrusion Ironing)管とは、素管の外形をダイスで扱き加工をして、素管の外形と表面精度を出す冷間加工方法によって得られる管である。
【0006】
電子写真感光体の支持体を製造する場合、熱間押し出しによる素管製造後、冷間引き抜きにより素管の振れ・外径の精度を出し、あるいは、旋盤によりダイヤモンド切削バイトで素管を切削加工して素管の振れ・外径の精度を出す。その際、表面をなるべく平滑にするためにはバイトの送り量を少なくしなければならず、1本の素管を切削するための時間が長くなる(数分程度)。また、画像露光光としてレーザー光を採用する電子写真装置に電子写真感光体を搭載する場合、レーザー光が支持体に反射して起こる干渉縞を防止しなければならない。
【0007】
そこで、素管(円筒状部材)から支持体を製造するためには、引き抜きや切削加工後の素管(円筒状部材)の表面を粗面化処理する必要がある。粗面化後の表面粗さはRzで0.6μm以上は必要である。
【0008】
粗面化処理としては、湿式ホーニング処理または乾式ブラスト処理(乾式ホーニング処理)が挙げられる。
【0009】
湿式ホーニング処理とは、水などの液体に粒子状の研磨材(砥粒)を懸濁させ、高速度で素管(円筒状部材)に吹き付けて、素管(円筒状部材)表面を粗面化する処理であり、表面粗さは、吹き付け圧力、速度、砥粒の量、種類、形状、大きさ、硬度、比重および懸濁温度などにより制御することができる。
【0010】
乾式ブラスト処理とは、砥粒をエアにより、高速度で素管(円筒状部材)表面に吹き付けて、素管(円筒状部材)表面を粗面化する処理であり、湿式ホーニング処理と同じように表面粗さを制御することができる。
【0011】
これら湿式ホーニング処理または乾式ブラスト処理に用いる砥粒としては、炭化ケイ素、アルミナ、ジルコニア、ステンレス、鉄、ガラスビーズ、プラスティックショットなどの粒子が挙げられる。
【0012】
しかし、乾式ブラスト処理や不定形アルミナ砥粒を用いた湿式ホーニング処理では、砥粒が素管(円筒状部材)表面に突き刺さり、そのように作製した支持体を用いて電子写真感光体を作製した際に反転現像系における白画像上の黒ポチ、正転現像系における黒画像上の白抜けが発生してしまう。
【0013】
また、砥粒としてガラスビーズを用いた湿式ホーニング処理では、ガラスがすぐに割れて素管(円筒状部材)表面に突き刺さってしまうという問題や、粗さのコントロールが難しいという問題がある。
【0014】
そのため、研磨材(砥粒)として球状アルミナ砥粒やステンレス砥粒などを用いた湿式ホーニング処理によって素管(円筒状部材)を粗面化して支持体を作製した後、その上に中間層を形成し、次いでその上に電荷発生層および電荷輸送層(感光層)を形成して、電子写真感光体を作製するのが一般的である。
【0015】
また、電荷発生層に用いる電荷発生物質としては、ビスアゾ顔料やトリスアゾ顔料などのアゾ顔料が知られており、また、赤外領域に高感度を有する電荷発生物質として、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン顔料も注目されている。
【0016】
フタロシアニン顔料は多くの結晶形をとることが知られており、例えば、オキシチタニウムフタロシアニンの場合、特開昭63−366号公報や特開平03−250059号公報などに結晶形が開示されている。
【0017】
上述のアゾ顔料やフタロシアニン顔料などを含有する電荷発生層を支持体上に直接成膜・形成すると、支持体の塩化物などの欠陥や汚れなどに起因する正孔の注入が起こりやすく、出力画像上の欠陥を起こしやすい。このような支持体からの注入を阻止する場合にも、電荷発生層と支持体との間にバリア層としての機能と接着層としての機能を有する中間層を設けることが提案されている。
【0018】
中間層に用いられる樹脂としては、ポリアミド(特開昭46−47344号公報、特開昭52−25638号公報)、ポリエステル(特開昭52−20836号公報)、ポリウレタン(特開昭49−10044号公報)などが挙げられる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
電荷発生物質を結着樹脂に分散した電荷発生層は、結着樹脂に対する電荷発生物質の比率が大きいほうがより高感度となる。近年、電子写真装置は、高速化・高画質化がより一層求められてきているため、電荷発生物質の比率が大きいほうが電子写真特性の良化には効果的である。
【0020】
また、電荷発生物質の比率が小さい場合、電子写真プロセスによっては、ポジやネガゴーストを発生することがある。この場合にも、電荷発生物質の比率を大きくすることは効果的である。
【0021】
しかし、電荷発生物質の比率が大きくなると、成膜性が悪くなるばかりでなく、支持体の表面形状の影響を受けやすくなる。したがって、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層を一般的な浸漬塗布にて成膜・形成する場合、電荷発生層の塗布上端にバリア層である中間層が存在しないと、支持体を浸漬ポットから引き上げる際、粗面化された支持体表面の微小なキズや窪みが起点となって電荷発生物質の色あるいは白抜けの引きスジが電荷発生層に生じる。この引きスジが黒スジあるいは白スジといった画像欠陥につながる。
【0022】
本発明の目的は、上記課題を解決し、干渉縞、黒スジ、白スジなどの欠陥のない画像を出力できる電子写真感光体を提供すること、さらには、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該支持体は表面が粗面化された支持体であり、
該中間層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は電荷発生物質および結着樹脂を含有し、
該電荷発生層中の該電荷発生物質の含有量は該結着樹脂に対して180〜500質量%であり、
該中間層の上端未塗布幅d1(mm)と該電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす
ことを特徴とする電子写真感光体である。
【0024】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
また、本発明は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0026】
本発明の電子写真感光体は、粗面化された支持体上に、少なくとも中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する。
【0027】
図1に示す電子写真感光体は、支持体上に中間層を成膜し、その上に電荷発生層、電荷輸送層を順に成膜した積層構造を有するものである。浸漬塗布時の中間層の上端部は、電荷発生層の上端部よりも上側にある。すなわち、浸漬塗布時の中間層の上端未塗布幅は、電荷発生層の上端未塗布幅よりも短くなっている。具体的には、中間層の上端未塗布幅d1(mm)と電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす。
【0028】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
本発明に用いられる支持体は、素管(円筒状部材)の表面を粗面化したものである。素管としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金製の押し出し管、ED管やEI管などが挙げられる。
【0029】
粗面化には、多くの方法があり、本発明にはそのいずれもが適用可能である。
【0030】
粗面化方法の例として、砥石による研削、研磨テープによる研磨、化学的なエッチング、センターレス研磨やホーニング処理が挙げられる。それらの中でも、素管(円筒状部材)が研磨材(砥粒)と常に接触していないため、研磨時に破砕した研磨材(砥粒)、削れ片などによるキズがつきにくいという点では、エッチング、ホーニング処理が好ましい。ただし、エッチングでは、エッチング前後に、脱脂処理、中和処理、洗浄処理、乾燥処理など、多数の工程が必要となり、設備投資のコストが高くなりやすい。少なくとも中和処理は不要であり、比較的工程数の少ないホーニング処理がより好ましい。
【0031】
▲1▼ 砥石による研削
ごく一般的な方法で、砥石を用いて表面を研磨する方法である。容易な方法である反面、研磨中に砥粒の破砕、脱落が起こり、素管(円筒状部材)表面に食い込んで残留するといった問題がある。また、砥石の目詰まり防止や、砥粒の切れ刃の自生作用を促すために、油などの切削剤を使用するため、この切削剤の除去に手間がかかる場合もある。
【0032】
▲2▼ 研磨テープによる研磨
柔軟性のある基材に研磨砥粒を結着させた研磨テープを用いて表面を研磨する方法である。素管(円筒状部材)への研磨砥粒の食い込みを防止できるだけでなく、粗面化前の工程での残留物を除去できる。しかし、前処理加工として切削加工が必要であったり、同一研磨面での繰り返し利用ができなかったりという難点もある。
【0033】
▲3▼ エッチング
アルカリあるいは酸による浸漬エッチングが大部分であり、アルカリエッチングとしては水酸化ナトリウム、酸エッチングとしてはリン酸−硫酸系あるいはフッ酸系の酸を使用するのが一般的である。1回のエッチングで、多数の素管(円筒状部材)を処理し、多数の支持体を作製できるが、前述のようにエッチング前後で多くの処理工程を必要とする。
【0034】
▲4▼ センターレス研磨
一般的には、回転する2つの円筒状研磨ブラシ上に、素管(円筒状部材)を載せ、両者の円筒状ブラシの回転速度を異なるように設定し、素管(円筒状部材)を回転させながら研磨して支持体を作製していく方法である。研磨中にブラシの破砕、脱落が起こり、素管(円筒状部材)表面に食い込んで残留したり、螺旋状のキズを与えたりといった問題がある。
【0035】
▲5▼ ホーニング処理
湿式ホーニング処理は、図3に示すように、球状アルミナやジルコニア砥粒などを用い、素管(円筒状部材)4面にホーニング砥粒13を吐出させて行う。
【0036】
図2は、湿式ホーニング処理装置の概略構成図である。この装置で行う湿式ホーニング処理は、砥粒を液体に懸濁させて被加工物に細いノズル1の先からエア圧で投射させて表面を粗面化する方法で、懸濁媒体7としては一般的に水を用いて、研磨材(砥粒、メディア)としては、アルミナ、ジルコニアまたはステンレスビーズなどが用いられる。この湿式ホーニング処理に用いられる砥粒の粒径は、5μm〜数100μm程度であり、特に5μm〜100μmが好ましい。これらの種類や粒径などは、使用目的に応じて使い分けられる。
【0037】
これらの研磨材(砥粒、メディア)を懸濁媒体(水など)に対して2%〜30%の割合で混合させる。特に、5%〜25%の割合が好ましい。研磨材(砥粒、メディア)の割合が少な過ぎると加工の効率が低下してしまい、多過ぎると懸濁媒体の流動性が悪くなりノズルからの吐出量が少なくなる、あるいは出なくなる。
【0038】
湿式ホーニング処理は、砥粒を懸濁させた液体をポンプ11で循環し、ノズルの噴射口形状が円形の場合、口径5mm〜20mmのノズルの先から吐出させ、被加工物4に投射するが、毎分5〜50L程度の循環量では、懸濁液が被加工物に当たっても表面の粗さはあまり変わらない。投射時のエアの圧力により、大きく粗さが変化する。このエア圧力は、0.01MPa〜0.6MPaが好ましい。0.01MPa未満では加工の効率が低下し、0.6MPaを超えると表面粗さが大きくなり過ぎる傾向にある。
【0039】
球状アルミナの砥粒を用いた場合、平均粒径が20〜30μmで、粒度分布としては2〜40μmの粒径のものが含まれる砥粒が好ましい。ある程度粒度分布がシャープなものを製造することは、可能ではあるが、完全に小粒径の砥粒を無くすことはできないし、コストが高くなる。
【0040】
ノズル1先端と被加工物4との距離は、近いほど効率がよいが、一般的に、円筒状のものを回転させながらノズル1を移動させていく方法では、ノズルを近付け過ぎると加工ムラが出てしまうため、10mm〜400mmの距離で加工を行う。ノズルの移動速度は、毎分0.2m〜2m程度であり、一般に被加工物を回転させながら、ノズルを移動させてホーニングする方法が用いられる。回転数は速い程ムラが出にくいが、0.5s−1〜10s−1程度が好ましく、ノズルの移動速度に合わせて調節する。
【0041】
湿式ホーニング処理の場合、ノズルから吐出された砥粒は、同時に吐出された懸濁媒体(水など)の影響で被加工物にソフトに衝突する。そのため、懸濁媒体(水など)を用いない乾式ブラスト処理よりも、砥粒の衝撃が少なく、したがって加工する表面の粗さは、乾式ブラスト処理よりも同じ条件では少なく、砥粒の割れる割合も少ない。
【0042】
一般に、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理では、表面を粗面化するということは表面を削ることと考えられているが、実際にはほとんど表面は削れておらず、主に砥粒が衝突した衝撃で表面が塑性変形を起こし凹んでいるのである。特に、球状の砥粒を用いた場合にはその傾向が強い。
【0043】
それゆえ、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理では、表面に隈無く砥粒を投射すれば、それ以上は同じ条件で砥粒を当てても表面の粗さはほとんど変化しない。
【0044】
また、乾式ブラスト処理や湿式ホーニング処理による粗面化の場合、被加工物面に対して吐出砥粒を垂直に当てるよりも、角度を小さくして斜めに当てると、砥粒噴射時の加工面積が広がるなどしてムラが出にくくなる傾向にある。
【0045】
湿式ホーニング処理によって素管(円筒状部材)表面を粗面化して支持体を作製した後、支持体上に感光層を形成する前に通常表面の洗浄を行い、付着した研磨材(砥粒)、研磨液、ごみ、油系物質、人の指紋などの除去を行う。
【0046】
支持体の洗浄工程において、支持体の清浄度を高めるために、界面活性剤などの補助剤を水と併用したり、超音波発振によるキャビテーション効果やジェットノズルなどによる高圧噴射、さらにはブラシやブレードなどを併用したりすると効果的である。
【0047】
本発明においては、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層が浸漬塗布にて中間層上に成膜される。具体的には、電荷発生層中の電荷発生物質の含有量は結着樹脂に対して180〜500質量%である。
【0048】
そして、粗面化された支持体の表面粗さの最大高さ(RmaxD)、十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)が下記条件を満たすことが好ましい。
【0049】
1.2μm≦RmaxD≦5.0μm、
1.2μm≦Rz≦3.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.5μm、
30μm<Sm≦80μm
さらには、下記条件を満たすことがより好ましい。
【0050】
1.2μm≦RmaxD≦4.5μm、
1.2μm≦Rz≦2.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.3μm、
31μm≦Sm≦80μm
Rzが1.2μmよりも小さくなると干渉縞が発生しやすく、3.0μmよりも大きいと中間層または電荷発生層が表面を被覆しきれなくなり画像欠陥が生じやすくなる。特に、電荷発生物質の比率が大きいと、分散後に電荷発生物質が再凝集を起こしやすく、支持体の表面状態(粗面状態)に応じてスジやポチなどの画像欠陥を生じやすくなってしまう。
【0051】
本発明において、支持体の表面粗さは、JISB0601(1994)に準じ、小坂研究所製表面粗さ計サーフコーダーSE3500を用い、カットオフを0.8mm、測定長さを8mmで測定した。
【0052】
十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)は、JISB0601(1994)での設定における値を意味し、最大高さ(RmaxD)は、RmaxDINを意味する。
【0053】
支持体の表面性や、感光層の材料の種類によっては、感光層に正孔が注入されることがあり、感光体の帯電能が低下し、画像特性に大きな影響を及ぼす。そこで、支持体と感光層との間に電気的バリア性を有する中間層(バリア層:例えば適当な樹脂薄膜)を設けることによって、正孔の注入を効果的に抑制することができる。
【0054】
中間層としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸類、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリグルタミン酸、カゼイン、でんぷんなどの水溶性樹脂や、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンやポリグルタミン酸エステルなどの樹脂を用いることができる。
【0055】
特に、塗工性、密着性、耐溶剤性および電気的バリア性、抵抗などの点でポリアミドが中間層(バリア層)の材料として好ましい。ポリアミドとしては、溶液状態で塗布できるような低結晶性もしくは非結晶性の共重合ナイロンなどが好ましい。
【0056】
また、無機高分子化合物を用いたゾルゲル法による中間層も用いてもよい。これらは、ジルコニウムとシラン化合物の混合物、シラン化合物およびジルコニウム化合物にセルロース樹脂を添加したもの、ブチラール樹脂をジルコニウムおよびシランの無機成分に添加した塗工液などがある。
【0057】
中間層の膜厚は、0.01〜5μmが好ましく、特には0.3〜2μmが好ましく、より好ましくは0.3〜1μmである。中間層の膜厚が2μm以下になると、支持体の表面状態(粗面状態)の影響を受けやすく、支持体表面を被覆しきれなくなる場合がある。電荷発生物質の比率が大きくなると、その傾向は顕著になる。よって、電荷発生物質の比率の大きい電荷発生層を中間層上に浸漬塗布にて成膜・形成する場合、中間層の膜厚を2μm以下にすると、上述のとおり、支持体を浸漬ポットから引き上げる際に、粗面化された支持体表面の微小なキズや窪みが起点となって電荷発生物質の色あるいは白抜けの引きスジが電荷発生層に生じやすくなる。この引きスジは黒スジあるいは白スジといった画像欠陥となる。
【0058】
そこで、本発明のように、中間層の上端未塗布幅d1(mm)と電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たすことによって、上述の黒スジあるいは白スジをなくすことができるのである。
【0059】
d2−d1≧0.5(mm) (1)
なお、上記d1およびd2の関係が、0≦d2−d1≦0.5(mm)を満たすとき、電荷発生層用の分散液の粘度、塗布時の浸漬速度などによっては、電荷発生層用の分散液のしみ上がりが浸漬塗布時に発生する場合があるため、上記式(1)を満たすことが好ましい。
【0060】
本発明の電子写真感光体の感光層は、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層した積層型感光層である。
【0061】
電荷発生層に用いられる電荷発生物質としては、例えば、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン顔料、ピラントロン顔料、アゾ顔料(トリスアゾ顔料、ジスアゾ顔料、モノアゾ顔料など)、インジゴ顔料、キナクリドン顔料および非対称キノシアニンなどが挙げられる。
【0062】
露光光(画像露光光)としてレーザーなどを採用した、いわゆるデジタル電子写真装置用の電子写真感光体の場合は、これら電荷発生物質の中でも、赤外領域や可視光領域のレーザーへの対応において、波長への感光依存性の広さから、フタロシアニン顔料が優れており、さらにフタロシアニン顔料の中でも、オキシチタニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ジヒドロキシシリコンフタロシアニン、ジアルコキシシリコンフタロシアニン、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーおよび無金属フタロシアニンが、その感度の高さから特に優れている。
【0063】
次に、フタロシアニン顔料の結晶形について説明する。
【0064】
I型と呼ばれる結晶形を有するオキシチタニウムフタロシアニンのX線回折パターンは、図5に示すようにブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°の位置に強いピークを示す。上記ピークは、ピーク強度の強い上位4点をとったものであり、主要なピークとなっている。
【0065】
図5のX線回折パターンにおいて特徴的なことは、上記4点のピークのうち、27.1°のピークが1番強く、9.0°のピークが2番目に強い。また、17.9°の位置に上記4点より弱いピーク、さらに弱いピークが13.3°の位置にある。また、10.5°〜13.0°、14.8°〜17.4°および18.2°〜23.2°の範囲には実質的にピークがない。
【0066】
なお、X線回折のピーク形状は、製造時における条件の相違によって、また測定条件などによって、わずかではあるが異なったり、各ピークの先端部がスプリットしたりする場合もありうる。
【0067】
図5の場合には、8.9°のピークの山は9.4°付近に、また14.2°のピークの山は14.1°付近に別のスプリットしたピークが見られる。
【0068】
また、上記以外にも、ブラッグ角2θ±0.2°の7.6°および28.6°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、9.6°および27.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニン、9.3°および26.3°に強いピークを有する結晶形のオキシチタニウムフタロシアニンも好ましい。
【0069】
なお、オキシチタニウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0070】
【外1】
【0071】
(式中、X111〜X114は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pi、qi、riおよびsiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)また、クロロガリウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0072】
【外2】
【0073】
(式中、X121〜X124は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pii、qii、riiおよびsiiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ヒドロキシガリウムフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0074】
【外3】
【0075】
(式中、X131〜X134は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。piii、qiii、riiiおよびsiiiは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0076】
【外4】
【0077】
(式中、X141〜X144は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。piv、qiv、rivおよびsivは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジアルコキシシリコンフタロシアニンの構造は、下記式で示される。
【0078】
【外5】
【0079】
(式中、X151〜X154は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。R151、R152は、それぞれ独立に、置換または無置換の炭素数1〜8のアルキル基を示す。pv、qv、rvおよびsvは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーの構造は、下記式で示される。
【0080】
【外6】
【0081】
(式中、X161〜X168は、それぞれ独立に、塩素原子または臭素原子を示す。pvi、qvi、rviおよびsviは、それぞれ独立に、0〜4の整数である。)
クロロガリウムフタロシアニンの中でも、CuKαのX線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有する結晶形であるクロロガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0082】
ヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°に強いピークを有する結晶形のヒドロキシガリウムフタロシアニンが好ましい。
【0083】
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.1°、9.3°、12.8°、15.8°、17.2°、25.6°および26.9°に強いピークを有する結晶形のジヒドロキシシリコンフタロシアニンが好ましい。
【0084】
また、ジアルコキシシリコンフタロシアニンとしては、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の8.1°、12.2°、13.0°、17.0°、18.7°、23.3°、26.0°、27.8°および30.4°に強いピークを有する結晶形のジメトキシシリコンフタロシアニンなどが好ましい。
【0085】
また、ジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーの中でも、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の6.9°、8.0°、10.6°、16.0°、26.3°および27.4°に強いピークを有する結晶形のジヒドロキシシリコンフタロシアニンダイマーが好ましい。
【0086】
また、無金属フタロシアニンの中でも、χ型無金属フタロシアニンが好ましい。
【0087】
また、可視光領域に高い感度を有する電荷発生物質として、アゾ顔料も好ましい。アゾ顔料としては、下記式で示される構造の中心骨格を有するジスアゾ顔料が好ましい。
【0088】
【外7】
【0089】
(式中、A211、A212は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A221、A222は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A231、A232は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A241、A242は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。A251、A212は、それぞれ独立に、芳香環を有するカプラー残基を示す。)
上記芳香環を有するカプラー残基としては、下記式で示される構造を有するカプラー残基が好ましい。
【0090】
【外8】
【0091】
上記電荷発生物質は、単独で用いても2つ以上を組み合わせて用いてもよく、例えば、可視光領域に高い感度を示すジスアゾ顔料と赤外領域に高い感度を持つフタロシアニン顔料とを併用することができる。
【0092】
本発明の電子写真感光体は、電子写真装置の高速化・電子写真感光体の高感度化という観点から、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して180質量%以上となっている。
【0093】
一方、電荷発生物質の比率が大き過ぎると、分散後に顔料が再凝集を起こしやすく、電荷発生層を積層した際の成膜性が悪くなってしまい、ムラ・黒ポチ・白抜けなどの画像欠陥が発生してしまう。
【0094】
この成膜性は、支持体の表面粗さに大きく影響されるが、ムラ・黒ポチ・白抜けなどの画像欠陥が発生しない電子写真感光体を提供するためには、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して500質量%以下でなければならない。
【0095】
さらに、電荷発生物質の比率が大き過ぎると、分散後に顔料が再凝集を起こし、ゲル化の原因となりやすいため、電荷発生物質を分散させた塗布液の寿命が短くなってしまう。塗布液の寿命の観点からも、電荷発生物質の含有量は、結着樹脂に対して500質量%以下でなければならない。
【0096】
電荷発生層の膜厚は0.001〜5μmが好ましく、特には0.05〜2μmがより好ましい。
【0097】
本発明の電子写真感光体に使用される電荷輸送物質としては、例えば、各種ヒドラゾン類、ピラゾリン類、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン系化合物、トリアリールアミン系化合物およびポリアリールアルカン類などが挙げられる。
【0098】
電荷輸送層の膜厚は、1〜40μmが好ましく、特には10〜30μmがより好ましい。
【0099】
一般的に、電荷発生物質や電荷輸送物質は、適当な結着樹脂と組み合わせて塗布液とし、成膜を行う。電荷発生層や電荷輸送層の結着樹脂としては、例えば、ポリビニールアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル樹脂またはセルロース系樹脂などが挙げられる。
【0100】
感光層上には、感光層を保護することを目的とした保護層を設けてもよい。保護層は主に樹脂で構成される。保護層を構成する材料としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリサルホン、ポリアクリルエーテル、ポリアセタール、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂およびブチラール樹脂などが挙げられる。
【0101】
これらの樹脂中には、クリーニング性や耐摩耗性などの改善のために、ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビリニデン、フッ素系グラフトポリマー、シリコーン系グラフトポリマーおよびシリコーン系オイルなどの潤滑剤や、保護層の抵抗制御の意味で酸化スズ粉体や導電性酸化チタンなどを分散させることも可能である。
【0102】
保護層の膜厚は0.05μm〜15μmが好ましく、特には1μm〜10μmがより好ましい。
【0103】
上記各層を形成するための塗布方法としては、浸漬塗布法、ブレードコーティング法、バーコート法などが挙げられる。支持体の形状が円筒状の場合は、浸漬塗布法が好ましい。
【0104】
図4に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備えた電子写真装置の概略構成を示す。
【0105】
図4において、21はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸22を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0106】
電子写真感光体21は、回転過程において、帯電手段(一次帯電手段)23により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光24を受ける。こうして電子写真感光体21の表面(周面)に、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0107】
形成された静電潜像は、次いで現像手段25によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体21と転写手段26との間に電子写真感光体21の回転と同期して取り出されて給紙された転写材27に、電子写真感光体21の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段26により順次転写されていく。
【0108】
トナー画像の転写を受けた転写材27は、電子写真感光体面から分離されて定着手段28へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0109】
像転写後の電子写真感光体21の表面は、クリーニング手段29によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光30により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。
【0110】
なお、帯電手段23が帯電ローラーなどを用いた接触帯電手段である場合は、前露光は必ずしも必要ではない。
【0111】
本発明においては、上述の電子写真感光体21、帯電手段23、現像手段25およびクリーニング手段29などの構成要素のうち、複数のものを容器31に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段23、現像手段25およびクリーニング手段29の少なくとも1つを電子写真感光体21と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段32を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとすることができる。
【0112】
また、露光光24は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
【0113】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機やレーザービームプリンターの他にも、CRTプリンター・LEDプリンター・液晶プリンター・ファクシミリ・レーザー製版などの電子写真応用技術にも広く用いることができる。
【0114】
【実施例】
以下、実施例にしたがい、本発明をより一層詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
【0115】
(実施例1)
支持体に用いる素管(円筒状部材)として、JISのA3003の外径30.0mm、内径28.5mm、長さ260.5mm、表面の十点平均粗さRz=1.2μmのアルミニウムシリンダー(ED管)を準備した。
【0116】
<粗面化>
準備したアルミニウムシリンダー(ED管)に対して、図1に示す湿式ホーニング処理装置((株)不二精機製造所製)を用いて、下記条件にて湿式ホーニング処理を行った。
【0117】
・湿式ホーニング処理条件
研磨材(砥粒):平均粒径30μmの球状アルミナビーズ(商品名:CB−A30S、昭和電工(株)製)
懸濁媒体:水
研磨材(砥粒)/懸濁媒体=1/9(体積比)
アルミニウム切削管の回転数:1.65s−1
エア吹き付け圧力:0.14MPa
ガン移動速度:13.3mm/s
ガンノズルとアルミニウム管の距離:190mm
研磨材(砥粒)吐出角度:45°
研磨液投射回数:1回(片道)
ホーニング後の支持体の表面粗さは、RmaxD=2.60μm、Rz=1.3μm、Ra=0.23μm、Sm=35μmであった。
【0118】
<電子写真感光体の作製>
上記ホーニング処理によって得られた支持体上に、ポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部を、メタノール60部とn−ブタノール40部の混合溶媒中に溶解した塗料を浸漬塗布し、90℃で10分間熱風乾燥させ、膜厚0.50μmの中間層を形成した。
【0119】
次に、電荷発生物質としてCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.0°、14.2°、23.9°および27.1°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料6部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン100部からなる液を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで4時間分散し、これに100部のエチルアセテートを加えて電荷発生層用の分散液を調合した。この分散液を中間層上に浸漬塗布して100℃で10分間加熱乾燥し、電荷発生層を形成した。このときの中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)は、下記式を満たすように設定した。
d2−d1=1.0(mm)
電荷発生層の膜厚は0.25μmであった。
【0120】
次に、下記式で示される構造を有するアミン化合物10部、
【外9】
【0121】
およびビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン70部とジクロロメタン30部の混合溶媒に溶解した。この塗料を浸漬法で塗布し、120℃で1時間乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0122】
このようにして電子写真感光体を作製した。
【0123】
<評価>
作製した電子写真感光体の表面におけるスジ(黒スジ・白スジ)あるいは黒ポチの塗工欠陥の有無を目視観察で行った。
【0124】
評価基準は、次のとおりである。
○:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチが全く見られない。
△:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチがほとんど見られない。
×:スジ(黒スジ・白スジ)、黒ポチが見られる。
【0125】
また、作製した電子写真感光体の出力画像評価は、光量および帯電設定を変えられるように改造したヒューレット・パッカード社製プリンターLaserJet4000にて行った。
【0126】
画像評価は、ベタ黒および1ドットを桂馬パターンで印字したハーフトーンの画像で行った。
【0127】
評価基準は、次のとおりである。
○:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチが全く見られない。
△:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチがかすかにあるが、実用上問題ない。
×:干渉縞、黒スジ、白スジ、黒ポチが見られる。
【0128】
評価結果を表1に示す。
【0129】
(実施例2)
実施例1において、アルミニウムシリンダー(ED管)の粗面化処理を湿式ホーニング処理から次のようにエッチング処理に変更し、また、電荷発生層に関して、オキシチタニウムフタロシアニンを3.8部、シクロヘキサノンを75部に変更し、さらに中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0130】
エッチング溶液として、炭酸ナトリウム3%およびリン酸ナトリウム7%を含む水溶液に1分間浸漬した。エッチング後の支持体の表面粗さは、RmaxD=2.11μm、Rz=1.5μm、Ra=0.25μm、Sm=34μmであった。
d2−d1=0.5(mm)
評価結果を表1に示す。
【0131】
(実施例3)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.17MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0132】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=4.10μm、Rz=2.0μm、Ra=0.29μm、Sm=32μmであった。
【0133】
評価結果を表1に示す。
【0134】
(実施例4)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.12MPaとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0135】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=2.10μm、Rz=1.1μm、Ra=0.16μm、Sm=33μmであった。
【0136】
評価結果を表1に示す。
【0137】
(実施例5)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.33MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0138】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=4.90μm、Rz=2.4μm、Ra=0.34μm、Sm=31μmであった。
【0139】
評価結果を表1に示す。
【0140】
(実施例6)
実施例1の湿式ホーニング処理において、エア吹き付け圧力=0.38MPa、ガンノズルとアルミニウム管の距離=150mmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0141】
なお、ホーニング後のシリンダー表面粗さは、RmaxD=5.10μm、Rz=2.7μm、Ra=0.45μm、Sm=39μmであった。
【0142】
評価結果を表1に示す。
【0143】
(実施例7)
実施例1において、電荷発生層の塗布液のオキシチタニウムフタロシアニンを9.6部、シクロヘキサノンを120部とした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0144】
評価結果を表1に示す。
【0145】
(実施例8)
実施例1において、中間層の膜厚を1.0μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0146】
評価結果を表1に示す。
【0147】
(実施例9)
実施例1において、中間層の膜厚を0.2μmとした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0148】
評価結果を表1に示す。
【0149】
(実施例10)
実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の9.6°および27.3°に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニンとした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0150】
評価結果を表1に示す。
【0151】
(実施例11)
実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.4°、16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有するクロロガリウムフタロシアニンとし、さらに分散時間を6時間とした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0152】
評価結果を表1に示す。
【0153】
(実施例12)
実施例11において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.3°、24.9°および28.1°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンとした以外は、実施例11と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0154】
評価結果を表1に示す。
【0155】
(実施例13) 実施例3において、電荷発生物質をCuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2°の7.1°、9.3°、12.8°、15.8°、17.2°、25.6°および26.9°に強いピークを有するジヒドロキシシリコンフタロシアニンとし、さらに浸漬塗布後の乾燥温度を85℃とした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0156】
評価結果を表1に示す。
【0157】
(実施例14)
実施例3において、電荷発生物質をχ型無金属フタロシアニンとした以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0158】
評価結果を表1に示す。
【0159】
(実施例15)
実施例2において、電荷発生層を次のように形成した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0160】
電荷発生物質として下記式で示される構造を有するアゾ顔料、
【外10】
【0161】
ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBLS、積水化学工業(株)製)2部およびシクロヘキサノン40部を、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミル装置で12時間分散し、その後にメチルエチルケトン60部を加えて電荷発生層用分散液を調製した。この分散液を中間層上に浸漬塗布法で塗布し、80℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
【0162】
評価結果を表1に示す。
【0163】
(実施例16)
実施例15において、電荷発生物質を下記式で示される構造を有するアゾ顔料とした以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0164】
【外11】
【0165】
評価結果を表1に示す。
【0166】
(比較例1〜4)
中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、それぞれ、実施例1、2、11および15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
d1−d2=1.0(mm)
評価結果を表1に示す。
【0167】
(比較例5)
中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
d2−d1=0.1(mm)
評価結果を表1に示す。
【0168】
(比較例6、7)
実施例2、3において、電荷発生層の塗布液のオキシチタニウムフタロシアニンを12部、シクロヘキサノンを175部とした以外は、それぞれ、実施例2および3と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0169】
評価結果を表1に示す。
【0170】
(比較例8)
比較例7において、中間層の膜厚を1.0μmとした以外は、比較例7と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。
【0171】
評価結果を表1に示す。
【0172】
(参考例1、2)
実施例10、15において、電荷発生層の塗布液の電荷発生物質を2.2部、シクロヘキサノンを60部とし、さらに中間層の上端未塗布幅(d1)および電荷発生層の上端未塗布幅(d2)が下記式を満たすように設定した以外は、それぞれ、実施例10および15と同様にして電子写真感光体を作製し、評価した。d1−d2=0.1(mm)
評価結果を表1に示す。
【0173】
【表1】
【0174】
参考例1および参考例2では、電荷発生物質である顔料の比率が、結着樹脂1質量部に対して1.8質量部より少なく、電子写真感光体表面に黒スジ、白スジ、黒ポチなどの塗工欠陥は認められず、画像評価においても干渉縞をはじめとする黒スジ、白スジ、黒ポチなどの画像欠陥は無かった。すなわち、本発明にて解決しようとしている課題が生じなかった。しかしながら、電子写真感光体の感度が不十分であり、画像濃度が薄いという問題があった。
【0175】
【発明の効果】
本発明によれば、干渉縞、黒スジ、白スジなどの欠陥のない画像を出力できる電子写真感光体を提供すること、さらには、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子写真感光体の層構成図である。
【図2】湿式ホーニング処理装置の概略構成図である。
【図3】湿式ホーニング処理装置の素管(円筒状部材)付近の拡大構成図である。
【図4】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを備える電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図5】オキシチタニウムフタロシアニンの特性X線回折パターンを示す図である。
【符号の説明】
a 支持体
b 中間層
c 電荷発生層
d 電荷輸送層
b´ 中間層の浸漬塗布時の上端部
c´ 電荷発生層の浸漬塗布時の上端部
1 ホーニングのノズル
2 エア供給管
3 ホーニング液循環管
4 素管(円筒状部材):ワーク
5 ワーク置き台
6 ワーク回転モーター
7 ホーニング液
8 攪拌モーター
9 攪拌用プロペラ
10 ホーニング液回収管
11 ホーニング液循環ポンプ
12 ノズル移動方向
13 ホーニング砥粒
21 電子写真感光体
22 軸
23 帯電手段
24 露光光
25 現像手段
26 転写手段
27 転写材
28 定着手段
29 クリーニング手段
30 前露光光
31 プロセスカートリッジ
32 案内手段
Claims (10)
- 支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層をこの順に有する電子写真感光体において、
該支持体は表面が粗面化された支持体であり、
該中間層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は浸漬塗布により形成された層であり、
該電荷発生層は電荷発生物質および結着樹脂を含有し、
該電荷発生層中の該電荷発生物質の含有量は該結着樹脂に対して180〜500質量%であり、
該中間層の上端未塗布幅d1(mm)と該電荷発生層の上端未塗布幅d2(mm)とが下記式(1)で示される関係を満たす
ことを特徴とする電子写真感光体。
d2−d1≧0.5(mm) (1) - 前記表面が粗面化された支持体の表面粗さの最大高さ(RmaxD)、十点平均粗さ(Rz)、算術平均粗さ(Ra)および凹凸の平均間隔(Sm)が下記条件を満たす請求項1に記載の電子写真感光体。
1.2μm≦RmaxD≦5.0μm、
1.2μm≦Rz≦3.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.5μm、
30μm<Sm≦80μm - 前記最大高さ(RmaxD)、前記十点平均粗さ(Rz)、前記算術平均粗さ(Ra)および前記凹凸の平均間隔(Sm)が下記条件を満たす請求項2に記載の電子写真感光体。
1.2μm≦RmaxD≦4.5μm、
1.2μm≦Rz≦2.0μm、
0.15μm≦Ra≦0.3μm、
31μm≦Sm≦80μm - 前記中間層が樹脂を含有するバリア層である請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記中間層の膜厚が0.3〜1.0μmである請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生物質がフタロシアニン顔料である請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニン顔料が、オキシチタニウムフタロシアニン、シリコンフタロシアニンおよびガリウムフタロシアニンからなる群より選択されるフタロシアニン顔料である請求項6に記載の電子写真感光体。
- 前記表面が粗面化された支持体が、ホーニング加工により表面が粗面化された支持体である請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段およびクリーニング手段からなる群より選択される少なくとも1つの手段とを一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段および転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377083A JP2004205946A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002377083A JP2004205946A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004205946A true JP2004205946A (ja) | 2004-07-22 |
Family
ID=32814366
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002377083A Withdrawn JP2004205946A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004205946A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005064416A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Shindengen Electric Mfg. Co., Ltd. | 電子写真感光体及び電子写真装置 |
JP2010033034A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-02-12 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、その製造方法、及びそれを使用した画像形成装置 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377083A patent/JP2004205946A/ja not_active Withdrawn
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005064416A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2005-07-14 | Shindengen Electric Mfg. Co., Ltd. | 電子写真感光体及び電子写真装置 |
JPWO2005064416A1 (ja) * | 2003-12-26 | 2009-05-07 | 山梨電子工業株式会社 | 電子写真感光体及び電子写真装置 |
JP2010033034A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-02-12 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体、その製造方法、及びそれを使用した画像形成装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2002174921A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
US6656652B2 (en) | Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and electrophotographic apparatus | |
JP2006201686A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2007086320A (ja) | 電子写真感光体と画像形成方法 | |
US20090280420A1 (en) | Organic photoreceptor, image forming method, image forming apparatus, and image forming unit | |
JP2004205946A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2007086319A (ja) | 電子写真感光体、その製造方法、並びにそれを有するプロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JPH08292592A (ja) | 電子写真感光体用基体およびその製造方法 | |
JP3913168B2 (ja) | 支持体の製造方法、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
US5919594A (en) | Substrate honing method | |
JP3907583B2 (ja) | 電子写真感光体とその製造方法、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2007086523A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP4181763B2 (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2003316040A (ja) | 電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、ならびに該電子写真感光体を含むプロセスカートリッジおよび電子写真装置 | |
JP2005196148A (ja) | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2004077505A (ja) | 電子写真感光体用基体の処理方法、電子写真感光体並びにそれを用いたプロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2002107958A (ja) | 電子写真感光体基体の処理方法、該方法によって得られた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2004133045A (ja) | 電子写真感光体基体の処理方法、および電子写真感光体 | |
JP2005234034A (ja) | ホーニング処理方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2004101815A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2966284B2 (ja) | 電子写真感光体用基体および該基体の製造方法 | |
JP2001296679A (ja) | 電子写真感光体基材の表面粗面化方法及び装置、電子写真感光体及びその製造方法 | |
JP2002107959A (ja) | ホーニング洗浄処理方法、該方法によって得られた電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 | |
JP2004177596A (ja) | 電子写真感光体 | |
JP2005292363A (ja) | 円筒状電子写真感光体用基体の製造方法及びそれに用いる切削加工装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |