上記のように、制御基板に伝達する熱の主な熱源は、FETおよびモータ部のコイルである。しかしながら、近年、モータの小型化のために、ワイパ装置に用いられるモータにおいて、マグネットの磁極数が4極以上の多極モータが提案され、ブラシも制御基板に伝達する熱源となりえる。この多極モータにおいて、ブラシ収容部内に配置された接地側のブラシと電源側のブラシとの距離が短くなるものがある。このように、接地側および電源側のブラシが近づいた場合、ブラシで発熱した熱により、ブラシに近接して設けられ、減速機構部に一体的に取り付けられている樹脂製のカバーの温度が上昇する。そのため、カバーと、制御基板を備える減速機構部との温度勾配が大きくなり、FETおよびモータ部のコイルのみならず、ブラシから発生した熱によっても制御基板の温度が上昇する。
そして、ブラシからの熱が制御基板にさらに加わることにより、制御基板の温度はより高温になりやすく、温度検出回路の温度が予め定められた温度に達しやすくなり、減速機構付きモータを長時間作動させることが困難になるという課題がある。
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、ブラシから発生する熱を効率よく放熱し、制御基板に伝達されるブラシから熱を減少させることができる減速機構付きモータを提供するものである。
上記の課題を解決するために、有底状のヨークと、ヨークの内周面上に配置されて異なる磁極が交互に配置された少なくとも4極からなるマグネットと、一端がヨークの底部に回転自在に支承されたアーマチュアシャフトと、アーマチュアシャフトに固定されたコンミテータと、アーマチュアシャフトに固定され、巻き線が巻装されるコアとを有し、マグネットの内側に回転自在に配置されるアーマチュアと、コンミテータに摺接する少なくとも2本のブラシと、少なくとも2本のブラシが取り付けられるブラシホルダと、アーマチュアシャフトに形成されたウォームと噛合する減速機構が収容される減速機構収容部を有するとともに有底開口形状に形成されたギヤハウジングと、ギヤハウジングの開口を覆うギヤハウジングカバーと、を有する減速機構付きモータであって、ギヤハウジングには、第1の放熱部材が取り付けられ、第1の放熱部材には、少なくとも2本のブラシが第1の放熱部材に近接して配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングに形成された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
また、ギヤハウジングカバーには、複数のFETが取付けられた制御基板が固定され、複数のFETに近接したギヤハウジングの外周面上には複数のFETから発生した熱が放熱される第2の放熱部材が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、FETから発生した熱および第1の放熱部材から伝達された熱を第2の放熱部材から放熱させることができる。
また、第1の放熱部材とブラシとの間には熱伝導部材が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱を第1の放熱部材から熱伝導部材を介して放熱させることができる。
また、第2の放熱部材とFETとの間にはFET放熱部材が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、FETから発生した熱を第2の放熱部材からFET放熱部材を介して放熱させることができる。
また、ギヤハウジングには、一対の平面部と、一対の湾曲部とが交互に配置された小判形状に形成され、一対の平面部のうち一方の平面部上に第1の放熱部材が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングの一対の平面部のうちの一方の平面部上に配置された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
また、有底状のヨークと、ヨークの内周面上に配置されて異なる磁極が交互に配置された少なくとも4極からなるマグネットと、アーマチュアコアに巻回された巻線部と、複数のセグメント部のうち対向する一対のセグメント部同士が電気的に接続された複数の接続部材とを備えたアーマチュアと、コンミテータに摺接してアーマチュアシャフトの回転中心に対して互いに略90度ずれて配置された少なくとも2本のブラシと、ブラシをそれぞれ保持するブラシホルダとを備えたブラシホルダユニットと、ヨークの開口に連結されてアーマチュアシャフトに形成されたウォームと噛合する減速機構が収容される減速機構収容部とを備えたギヤハウジングと、アーマチュアの回転制御を行う制御基板が取付けられてギヤハウジングの開口を覆うギヤハウジングカバーと、を有する減速機構付きモータであって、ギヤハウジングには、第1の放熱部材が形成され、少なくとも2本のブラシが第1の放熱部材に近接して配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングに形成された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
また、制御基板には、複数のFETが取付けられ、複数のFETに近接したギヤハウジングの外周面上には複数のFETから発生した熱が放熱される第2の放熱部材が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、FETから発生した熱および第1の放熱部材から伝達された熱を第2の放熱部材から放熱させることができる。
また、第1の放熱部材とブラシとの間には熱伝導部材が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱を第1の放熱部材から熱伝導部材を介して放熱させることができる。
また、第2の放熱部材とFETとの間にはFET放熱部材が配置されていることを特徴とする。
このように構成することで、FETから発生した熱を第2の放熱部材からFET放熱部材を介して放熱させることができる。
また、ギヤハウジングには、一対の平面部と、一対の湾曲部とが交互に配置された小判形状に形成され、一対の平面部のうち一方の平面部上に第1の放熱部材が形成されていることを特徴とする。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングの一対の平面部のうちの一方の平面部上に配置された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
また、有底状のヨークと、ヨークの内周面上に配置されて異なる磁極が交互に配置された少なくとも4極からなるマグネットと、一端がヨークの底部に回転自在に支承されたアーマチュアシャフトと、アーマチュアシャフトに固定されたコンミテータと、アーマチュアシャフトに固定され、巻き線が巻装されるコアとを有し、マグネットの内側に回転自在に配置されるアーマチュアと、コンミテータに摺接する少なくとも2本のブラシと、少なくとも2本のブラシが取り付けられるブラシホルダと、アーマチュアシャフトに形成されたウォームと噛合する減速機構が収容される減速機構収容部を有するとともに有底開口形状に形成されたギヤハウジングと、ギヤハウジングの開口を覆うギヤハウジングカバーと、を有する減速機構付きモータであって、ギヤハウジングカバーには、ギヤハウジングに向けて突出して形成され、ブラシと電気的に接続される2本の導電部材が固定され、ブラシホルダには、2本の導電部材がそれぞれ電気的に接続されるブラシターミナル接続部が形成され、ギヤハウジングには、ブラシターミナル接続部から離間して第1の放熱部材が形成されている。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングに形成された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
また、ギヤハウジングカバーには、複数のFETが取付けられた制御基板が固定され、複数のFETに近接したギヤハウジングの外周面上には複数のFETから発生した熱が放熱される第2の放熱部材が形成されている。
このように構成することで、FETから発生した熱および第1の放熱部材から伝達された熱を第2の放熱部材から放熱させることができる。
また、第1の放熱部材とブラシとの間には熱伝導部材が配置されている。
このように構成することで、ブラシから発生した熱を第1の放熱部材から熱伝導部材を介して放熱させることができる。
また、第2の放熱部材とFETとの間にはFET放熱部材が配置されている。
このように構成することで、FETから発生した熱を第2の放熱部材からFET放熱部材を介して放熱させることができる。
また、ギヤハウジングには、一対の平面部と、一対の湾曲部とが交互に配置された小判形状に形成され、一対の平面部のうち一方の平面部上に第1の放熱部材が形成されている。
このように構成することで、ブラシから発生した熱をギヤハウジングの一対の平面部のうちの一方の平面部上に配置された第1の放熱部材に伝達させて放熱させることができる。
本発明によれば、ブラシから発生した熱を、ギヤハウジング上に配置された第1の放熱部材から放熱させることができる。このため、制御基板に熱が伝わりにくく、温度検出回路の温度が予め定められた温度に達しにくくなるため、ワイパモータを長い時間作動させることができる。
本発明に適用される減速機構付きモータとしてのワイパモータ1は、図1および図2Aに示されるように、通電により回転動作を行うモータ部10と、モータ部10の回転動作を減速して出力軸24に伝達する減速機構部25からなる。
図1、図2Aおよび図2Bに示されるように、モータ部10は、有底状の円筒形状に形成され、その内周面上に少なくとも4極からなるマグネット11が固定され、一方の端面にギヤハウジング26が固定され、他方に軸受部12が固定されるヨーク13を備えている。
また、図2Aおよび図3Aに示されるように、モータ部10は、一端が軸受部12によって回転自在に支承され、先端にウォーム部14aが形成されるアーマチュアシャフト14と、アーマチュアシャフト14に固定されるコンミテータ15と、コンミテータ15に隣接してアーマチュアシャフト14に固定されるアーマチュアコア16と、アーマチュアコア16に巻回された巻線部17とからなり、複数のマグネット11の内側に回転自在に配置されるアーマチュア18を備えている。さらに、図5Aおよび図5Bに示されるように、モータ部10は、アーマチュア18の回転により、コンミテータ15に摺動する複数のブラシ20,20と、それぞれのブラシ20,20を保持するブラシホルダ21,21とからなるブラシホルダユニット19とを備えている。
減速機構部25は、モータ部10の回転を減速するウォームホイール部25aと、ウォームホイール部25aを収容する有底形状の減速機構収容部26fを有するギヤハウジング26とを備えている。また、減速機構収容部26fの開口を覆うギヤハウジングカバー29と、ブラシホルダユニット19を収容するブラシホルダ収容部26dとを備えている。そして、ウォームホイール部25aは、モータ部10のアーマチュア18の回転を減速して伝達する出力軸24を備えており、ブラシホルダ収容部26dは、筒状に形成され、ギヤハウジング26と一体に成形されている。ギヤハウジング26とギヤハウジングカバー29とは、複数本のネジ40によって互いに固定されている。
減速機構部25に備わるウォームホイール部25aは、ポリアセタール等の樹脂によって円盤状に形成され、外周面上にアーマチュアシャフト14のウォーム部14aと噛合する噛合部25bが形成されている。ウォームホイール部25aの回転中心には出力軸24が一体的に取り付けられている。これにより、アーマチュア18が回転を行うと、ウォーム部14aの回転により、ウォーム部14aと噛合するウォームホイール部25aが減速された回転数で回転し、アーマチュア18の回転が減速されて出力軸24に伝達される。
ウォームホイール部25aの出力軸24の基端の近傍には、円環状マグネット25cが、出力軸24の回転軸心とその回転軸心とが一致するように取付けられている。また、円環状マグネット25cは、周方向90度の範囲にN極、その他の周方向270度の範囲にS極となるように着磁されている。円環状マグネット25cに近接して、後述する制御基板29c上に2つの絶対位置検出用のホールIC29d,29dが設けられている。絶対位置検出用のホールIC29d,29dは、出力軸24の回転によって円環状マグネット25cから発生する磁極の切り替わりを検出する。そして、2つの絶対位置検出用のホールIC29d,29dが発生する円環状マグネット25cから発生する磁極の切り替わりに対応する信号に基づき、減速機構付きモータの出力軸24の先端に取付けられたワイパ装置の移動方向と移動位置とが検出される。
次に、本発明の特徴となるギヤハウジング26の放熱構造を図2A、図3A、図6および図7に基づき説明する。
ヨーク13は、プレス加工によって板材から有底状の円筒形状に一体成形されており、ヨーク13には、その内周面上に複数のマグネット11が固定されているマグネット固定部13aと、マグネット固定部13aに一体に連結し、一対の湾曲部13bと一対の平面部13cとが交互に連結され、軸方向から見た端面の形状は小判形状になっているヨーク連結部13dとが形成されている。そして、ヨーク13の端面には、フランジ状の固定部13eが形成されており、後述するギヤハウジング26がフランジ状の固定部13eに固定されている。ヨーク連結部13dは、マグネット固定部13aからヨーク端面に向かうに従って、円弧径が漸次広がるように形成されている。マグネット固定部13aの内周面上には、4個のマグネット11が接着剤などにより固定されており、異なる磁極であるN極とS極とが交互に2個ずつ、つまり同極が対向するように配置されている。
アーマチュアシャフト14は、その一端がヨーク13の軸受部12に回転自在に支承されており、4個のマグネット11の内側に配置されている。そして、アーマチュアシャフト14の他端には、転造加工によって螺旋状に形成されたウォーム部14aが形成されている。アーマチュアシャフト14には、円筒状のリングマグネット14bが固定されており、リングマグネット14bには、N極とS極とが30度ずつ離れて交互に、つまり12極の磁極が着磁形成されている。そして、後述する制御基板29c上には、2つの回転方向検出用のホールIC29b,29bが、リングマグネット14bに対向した位置に設けられている。回転方向検出用のホールIC29b,29bは、アーマチュア18の回転に伴ってリングマグネット14bから発生する磁極の切り替わりを検出し、それぞれのホールIC29b,29bは、互いに位相が90度ずれた回転信号を発生する。そして、アーマチュア18の回転方向が、互いに位相が90度ずれた回転信号に基づき検出される。
図3Aおよび図4Aに示されるように、コンミテータ15は、熱硬化性樹脂などの絶縁材料によって円筒状に形成された絶縁円筒部15aと、絶縁円筒部15aの外周面上に周方向に所定間隔を空けて配置され、銅などの導電部材から形成される複数のセグメント部15bとから構成されている。コンミテータ15は、絶縁円筒部15aの内周面とアーマチュアシャフト14の外周面とを嵌合させてアーマチュアシャフト14に固定されている。各セグメント部15bの外周面上の一端には、コイル接続部15cが形成されており、各コイル接続部15cにコイル17aが接続されている。
アーマチュアコア16は、プレス加工によって打抜かれたコア基板を所定枚数積層することによって円筒状に形成されており、アーマチュアシャフト14が固定されるシャフト固定部と、シャフト固定部から放射状に延びる18本のティース部と、を備えている。
図3Aおよび図3Cに示されるように、アーマチュアコア16には銅線からなるコイル17aが巻回されている。コイル17aの一端が、セグメント部15bのコイル接続部15cに固定され、コイル17aが所定のティース部の間に、重ね巻きにより複数回巻回される。さらに、コイル17aが、所定のティース部の間に、重ね巻きにより複数回巻回された後、コイル17aの他端が異なるセグメント部15bのコイル接続部15cに固定される。続いて、セグメント部15bと対向したセグメント部15bに、接続線(電流供給線)17bが接続される。このように、コイル17aを各ティース部に巻回する工程を繰り返して、コイル17aがアーマチュアコア16に巻回される。これにより、ブラシ20,20に電力が供給されると、コイル17aに電流が流れ、アーマチュア18が回転することで、ワイパモータ1が駆動される。
本発明のように、4極のマグネットを用いた場合、通常4つのブラシが必要になるが、対向するセグメント同士を接続線(電流供給線)17bで繋ぐことにより、ブラシ20からセグメント部に流れる電流が、接続線17bを介して対向したセグメント部にも流れる。これにより、ブラシの数を4本から2本に減らすことができる。
図5Aおよび図5Bに示されるように、ブラシホルダユニット19は、一対の湾曲部19aと、一対の平面部19bとが交互に連結された小判形状に形成されたベース部19cを備えている。
ベース部19cには、アーマチュアシャフト14が貫通する開口部19c1と、ネジ41が貫通し、ブラシホルダユニット19とギヤハウジング26との固定を行う固定用開口部19c2とが形成されている。そして、ベース部19cには、真鍮などの金属材料からなるブラシホルダ21,21が固定されており、ブラシホルダ21,21内には、2本のブラシ20,20が、コンミテータ15に対して接近離反できるように配置されている。図4Aおよび図5Bに示されるように、本発明では、2本のブラシ20,20がアーマチュア18の回転軸心Oを中心として略90度ずれて配置されている。
ブラシホルダ21は、ベース部19cの一対の平面部19bのうちの一方の平面部19bに近接して配置されている。そして、ブラシホルダ21の固定爪21aがベース部19cに形成されたブラシホルダ固定部19c3に差し込まれ、固定爪21aがベース部19cの裏面に折り曲げられることで、ブラシホルダ21がベース部19cに固定される。
さらに、ブラシホルダユニット19は、ブラシホルダ案内壁19dとブラシターミナル接続部19eとを備え、ブラシホルダ案内壁19dは、ベース部19cの外形(小判形状)とほぼ同形状に形成されてベース部19cから直角に延出して配置されている。また、ブラシターミナル接続部19eは、ベース部19cからブラシホルダ案内壁19dとは反対方向に、かつベース部19cに対し直角に突出している。そして、ブラシターミナル接続部19eは、ブラシ20と対向した位置、つまり、ブラシ20,20が配置される一方の平面部19bと離れた他方の平面部19bに配置されている。これにより、ブラシ20から発生した熱がブラシターミナル接続部19eおよびブラシターミナル接続部19eに電気的に接続された制御基板29cに伝達されにくくなる。
ベース部19cには、雑音防止素子としてのチョークコイル22,22が取付けられ、チョークコイル22,22の一端とブラシ20,20とが、ピグテール20a,20aを介して電気的に接続されている。チョークコイル22の他端には、雌形ブラシターミナル23が電気的に接続されており、雌形ブラシターミナル23はギヤハウジングカバー29に設けられた雄型ターミナル29gと電気的に接続される。雌形ブラシターミナル23の先端は、ブラシターミナル接続部19eの内部に収容されており、ギヤハウジングカバー29の雄型ターミナル29gと電気的に接続できるようにブラシターミナル接続部19eから露出している。ブラシホルダユニット19をブラシホルダ収容部26dに組付ける際、ブラシホルダ案内壁19dは、ブラシホルダ収容部26dの内壁26d1に当接して、ブラシホルダユニット19は、ブラシホルダ収容部26dの底部26d2に案内される。そして、ブラシホルダユニット19とギヤハウジング26とが、ベース部19cに形成された固定用開口部19c2に貫通されたネジ41によって固定される。
図2A、図3Aおよび図4Bに示されるように、ギヤハウジング26は、アルミ等の金属材料を用いてダイカスト成形によって形成されている。そして、ギヤハウジング26には、ヨーク固定部26aが形成され、ヨーク固定部26aとヨーク13のフランジ状の固定部13eとが互いに当接されて、複数のネジ42によりギヤハウジング26にヨーク13が取り付けられる。
ヨーク固定部26aは、フランジ状の固定部13eの形状に合わせて一対の湾曲部26bと、一対の平面部26cとが交互に連結された小判形状に形成されている。そして、ギヤハウジング26には、ブラシホルダ収容部26dがヨーク固定部26aと一体に形成されており、ブラシホルダ収容部26dにブラシホルダユニット19が収容されている。ブラシホルダ収容部26dの底部26d2には、ブラシホルダ21の固定爪21aと当接するブラシホルダ当接部26eが、底部26d2から突出して形成されており、ブラシ20,20から発生した熱が、ブラシホルダ21の固定爪21aからブラシホルダ当接部26eを介してギヤハウジング26に伝達され、ギヤハウジング26から外部に放熱される。
さらに、ギヤハウジング26には、ウォームホイール部25aを収容する減速機構収容部26fが、ブラシホルダ収容部26dに隣接して形成される。そして、ギヤハウジング26には、出力軸24を支承する出力軸支承部26gが、減速機構収容部26fの開口と反対方向に形成されている。
さらに、減速機構収容部26fには、カバー接続部26hが開口しており、前述したブラシホルダユニット19がブラシホルダ収容部26dに収容された後、ギヤハウジングカバー29の底面から減速機構収容部26fに向けて突出して設けられた2本の雄型ターミナル29gが、カバー接続部26hを貫通して減速機構収容部26fに配置されたブラシホルダユニット19の雌形ブラシターミナル23に電気的に接続される。
出力軸支承部26gから突出した出力軸24は、出力軸固定部(ティースワッシャ)27によって固定される。そして、出力軸24の先端にはワイパ装置固定部24aが形成され、ワイパ装置(図示せず)を構成する部品が機械的に結合される。
図6および図7に示されるように、減速機構収容部26fの裏面に位置するギヤハウジング26の外周面上には、電気的な要因であるブラシ20,20とコンミテータ15の間の接触抵抗により発生したジュール熱、および機械的な要因であるブラシ20,20とコンミテータ15との摺動により発生した摩擦熱を放出する第1の放熱部材としての第1のヒートシンク26iと、後述する制御基板上に取付けられたFET29eから発生する熱を放出する第2の放熱部材としての第2のヒートシンク26jおよび第3の放熱部材としての第3のヒートシンク26kと、が形成されている。
第1のヒートシンク26iは、ブラシホルダ収容部26dの一対の平面部26cのうち、ブラシ20,20が近接して配置される一方の平面部26cの外周面から突出しており、所定間隔を空けて平行に複数形成される。第1のヒートシンク26iは、アーマチュアシャフト14の長手方向に平行になるように形成される。
図7に示されるように、本発明では、互いに略90度の角度を隔てて配置された2本のブラシ20,20が、第1のヒートシンク26iに近接した位置に配置されているため、ブラシ20,20から発生した熱は、第1のヒートシンク26iに伝達されて外部に放熱される。また、ブラシ20,20は、第1のヒートシンク26iに対し、制御基板29cから離間した位置に配置されているため、ブラシから発生した熱は、第1のヒートシンク26iに伝達されやすく、制御基板29cには伝達され難い。
さらに、図5Aに示されるようにベース部19cとギヤハウジング26のブラシホルダ当接部26eとの間には、ゲル状の熱伝導部材28が配置され、ブラシ20,20から発生した熱が、熱伝導部材28を介して第1のヒートシンク26iに容易に伝達される。
ギヤハウジング26の開口には、絶縁材料によって形成された有底状のギヤハウジングカバー29が設けられており、ギヤハウジング26の開口した端面とギヤハウジングカバー29とが当接され、複数本のネジ40によりギヤハウジングカバー29はギヤハウジング26に固定されている。
図3A、図3Bおよび図4Aに示されるように、ギヤハウジングカバー29は、カプラ部29aを備えており、カプラ部29aには複数のターミナル29fが設けられている。複数のターミナル29fの一端は、車両に設けられたコネクタ部(図示せず)に電気的に接続されており、複数のターミナル29fの他端は、制御基板29cに電気的に接続されている。そして、ターミナル29fの中間部はギヤハウジングカバー29に埋設される。
さらに、ギヤハウジングカバー29の底部29hから2本の雄型ターミナル29gが突出しており、ブラシホルダユニット19に配置された雌形ブラシターミナル23と電気的に接続されている。この構成により、車両の電源から供給された電力は、複数のターミナル29f、制御基板29c、雄型ターミナル29g、雌形ブラシターミナル23、ピグテール20a、ブラシ20,20を通って、モータ部10に電流が供給される。
図8に示されるように、制御基板29cは、ギヤハウジングカバー29の底部29hに複数本のネジによって取り付けられ、ギヤハウジング26の減速機構収容部26fの内部に収容されている。
ギヤハウジングカバーの底部29hに対向する制御基板29cの面上には、回転検出用のホールIC29b,29bと、絶対位置検出用のホールIC29d,29dが設けられている。回転検出用のホールIC29b,29bは、アーマチュア18のアーマチュアシャフト14に設けられたリングマグネット14bに近接して配置され、アーマチュア18の回転状態を検出する。また、絶対位置検出用のホールIC29d,29dは、ウォームホイール部25aに設けられた円環状マグネット25cに近接して配置され、ウォームホイール部25aに一体的に取り付けられているワイパモータ1の出力軸24の回転状態を検出する。
そして、制御基板29cは、モータ部10のアーマチュア18の回転状態や、ワイパモータ1の出力軸24の回転状態に基づき、モータ部10のアーマチュア18の回転を制御する。
制御基板29cには、FET29eが複数設けられ、FET29eのオンオフ動作により、モータ部10に供給される電流が制御され、モータ部10のアーマチュア18の正方向および逆方向の回転が制御される。さらに、制御基板29c上には、図示しない温度検出部が配置され、制御基板29cの温度が検出される。
ワイパモータ1に負荷が加わり、温度検出部により、制御基板29cの温度が、予め定められた温度以上になったと検出された場合には、温度検出部からの予め定められた温度以上になった旨の信号に基づき、制御基板29cは、アーマチュア18の回転数を低くし、さらには、アーマチュア18の回転を停止させて、温度検出部により、ワイパモータ1の制御基板29cの保護が図られる。
また、減速機構収容部26fのFET29eに近接した面上には、FET放熱部26mが形成されている。FET放熱部26mは、減速機構収容部26fの底面から開口方向に向けて突出し、FET29eが固定された制御基板29cの裏面に近接して形成される。FET放熱部26mには、ゲル状であって、熱伝導性の高い材料によって形成されたFET放熱部材30が制御基板29cとFET放熱部26mとの隙間を埋めるように取付けられており、FET29eから発生した熱が、制御基板29cおよびFET放熱部材30を介してFET放熱部26mに伝達され、ギヤハウジング26の外周面上に形成された第2のヒートシンク26jおよび第3のヒートシンク26kからギヤハウジングの外部に放熱される。これにより、FET29eの発熱による制御基板29cの温度上昇を抑えることができる。このため、ワイパモータ1をより長く作動させることができる。
さらに、減速機構収容部26fに収容されたウォームホイール部25aと制御基板29cとの間には、絶縁性材料からなる制御基板カバー31が、ギヤハウジングカバー29に取り付けられている。制御基板カバー31は、ウォームホイール部25aと制御基板29cとの間に配置されており、減速機構部25に塗布されたグリスが制御基板29cに付着しないように固定されている。
ワイパ装置を長時間作動させた場合、ブラシ20,20、モータ部10およびFET29eが熱を発生し、ワイパ装置の連続作動ができなくなるおそれがある。このため、本発明では、さらに、第1のヒートシンク26iに近接して、ギヤハウジング26の外周面上に、第2のヒートシンク26jおよび第3のヒートシンク26kが外部(ギヤハウジングカバー29と反対側)に延出して形成されている。複数のFET29eが、制御基板29cを挟んで第2のヒートシンク26jおよび第3のヒートシンク26kに近接して配置されている。これにより、FET29eから発生した熱が、制御基板29cを介して第2のヒートシンク26jおよび第3のヒートシンク26kからギヤハウジング26の外部に放熱される。
以上のように、実施するための形態では、接続線を有するワイパモータに適用した場合につき説明したが、本発明はこれに限らず、小判形状を有するギヤハウジングに収容されるブラシと、ブラシに近接したギヤハウジングの外周面上にヒートシンクを配置する構造を有する減速機構付きモータ全般に適用することができる。