JP2010119276A - 電動モータおよび電動モータの組付け方法 - Google Patents

電動モータおよび電動モータの組付け方法 Download PDF

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Abstract

【課題】外部からの衝撃により電動モータが不作動状態となることを防止することにある。
【解決手段】ブラシ25の摺動方向側面に係合溝45を形成し、ブラシ25が後退位置のもとで当該係合溝45に連通孔37を介して連通する挿入孔40をブラシホルダ26に設ける。挿入孔40に挿入される仮止め部材47に、ブラシ25側に突出するとともに圧縮状態で挿入孔40に挿入可能となる板ばね部48を設ける。仮止め部材47が仮止め位置まで挿入されると、板ばね部48と係合溝45とが係合されてブラシ25が後退位置に保持される。仮止め部材47が仮止め位置からさらに挿入されて通常位置となると、ブラシ25の後退位置への保持が解除されるとともに、板ばね部48とブラシホルダ26とが係合されて仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることが防止されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、アーマチュアにコンミテータを介して給電するためのブラシ装置を有する電動モータおよびその組付け方法に関する。
自動車等の車両に搭載されるワイパ装置やパワーウィンド装置等のアクチュエータ(駆動源)には、電動モータと減速機構とを1つのユニットとした減速機構付きモータが用いられている。この減速機構付モータの電動モータとしてはブラシ付モータが広く用いられ、ブラシ付モータにはコンミテータを介してアーマチュアに給電するためのブラシ装置が装着されている。
電動モータのブラシ装置はコンミテータに摺接する少なくとも一対のブラシを有しており、当該ブラシおよびコンミテータを介してアーマチュアに電流が供給されて、電動モータが駆動されるようになっている。各ブラシはコンミテータ周りに装着されるブラシホルダに摺動自在に支持され、ブラシホルダに組み付けられたばね部材により、各ブラシはコンミテータに摺接する前進位置に向けて径方向内側へ付勢されている。また、各ブラシには、ブラシを電気的に接続するピグテールが組み付けられており、ブラシホルダにはピグテールが挿通されるスリットが形成されている。このようなブラシ装置を有する電動モータが、例えば、特許文献1に記載されている。
ところで、電動モータのコンミテータ(アーマチュア)をブラシ装置に組み付ける際には、ブラシが前進位置つまりブラシホルダから径方向内側へ突出した位置にあると、ブラシとコンミテータが干渉してコンミテータの組付け作業が煩雑となる。そこで、特許文献1に示す電動モータのブラシ装置においては、ばね部材のばね力に抗してブラシを後退移動させた状態でブラシを保持するための係止部をブラシホルダに設け、コンミテータの組付け時にはブラシをブラシホルダ内に収容した後退位置に保持するようにして、コンミテータの組付け作業を容易に行えるようにしている。
実用新案登録2544401号公報
上述したように、特許文献1に記載された電動モータでは、ブラシホルダの径方向内側端部に係止部を設け、当該係止部にブラシの径方向内側端面を引っ掛け固定することでブラシを後退位置に保持するようにしている。ブラシが後退位置に仮止めされた状態でブラシ装置とコンミテータとの組付け作業が終了すると、スリットを介してブラシが押されてブラシの係止部への引っ掛け固定が解除され、ブラシはコンミテータに摺接して電動モータが作動状態となる。
しかしながら、このような構造によりブラシを後退位置に仮止めする場合には、電動モータに外部から衝撃が加わると、ブラシが後退移動されて係止部に引っ掛け固定され、ブラシが後退位置に仮止めされることがある。これにより、ブラシがコンミテータに非接触となり、電動モータが作動しなくなる。このように電動モータの組み付け後にブラシが後退位置に仮止めされた場合には、電動モータを解体してブラシの係止部への引っ掛け固定を解除しなければならず、ブラシの仮止めを解除する作業が煩雑である。
本発明の目的は、外部からの衝撃により電動モータが不作動状態となることを防止することにある。
本発明の電動モータは、アーマチュアにコンミテータを介して給電するブラシ装置を有する電動モータであって、摺動方向側面に係合溝を備え、付勢手段の付勢力により前進移動されて前記コンミテータに摺接する前進位置と、前記付勢手段の付勢力に抗して後退移動されて前記コンミテータと非接触となる後退位置とに摺動自在なブラシと、前記ブラシが前記後退位置のもとで前記係合溝に連通する連通孔を備え、前記ブラシを摺動自在に支持するブラシホルダと、前記ブラシ側に突出する保持部を備え、前記ブラシホルダに形成された挿入孔に挿入されて前記保持部が前記連通孔を介して前記係合溝に係合することにより前記ブラシを前記後退位置に保持する仮止め位置と、当該仮止め位置のもとからさらに前記挿入孔に挿入されて前記保持部と前記係合溝との係合が解除されることにより前記ブラシの前記後退位置への保持が解除される通常位置とに操作される仮止め部材と、前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止する係止手段とを有し、前記コンミテータの組付け時には、前記仮止め部材により前記ブラシを前記後退位置に保持することを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記係止手段は、前記仮止め部材が前記通常位置のもとで前記保持部と前記ブラシホルダとが係合することにより、前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止することを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記係止手段は、前記仮止め部材が前記通常位置のもとで、前記仮止め部材と前記ブラシホルダとの一方に設けられた突起と、前記仮止め部材と前記ブラシホルダとの他方に設けられた係止孔とが係合することにより、前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止することを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記仮止め部材には前記挿入孔の内周面に当接する凸部が形成されていることを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記保持部は、前記仮止め部材の挿入方向先端側から挿入方向基端側に向かうにつれて前記ブラシ側に向けて傾斜された板ばねであり、当該板ばねは圧縮状態で前記挿入孔に挿入可能となることを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記板ばねは、前記仮止め部材の挿入方向先端側に切り込みを設けることにより形成されていることを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記板ばねは、前記仮止め部材の挿入方向先端側を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする。
本発明の電動モータは、前記仮止め部材は熱伝導部材から形成されていることを特徴とする。
本発明の電動モータの組付け方法は、摺動方向側面に係合溝を備え、付勢手段の付勢力により前進移動されてコンミテータに摺接する前進位置と、前記付勢手段の付勢力に抗して後退移動されて前記コンミテータと非接触となる後退位置とに摺動自在なブラシと、前記ブラシが前記後退位置のもとで前記係合溝に連通する連通孔を備え、前記ブラシを摺動自在に支持するブラシホルダとを有する電動モータの組付け方法であって、前記ブラシが前記後退位置のもとで、前記ブラシホルダに設けられた挿入孔に仮止め部材を仮止め位置まで挿入し、前記連通孔を介して前記仮止め部材の保持部を前記係合溝に係合して、前記ブラシを前記後退位置に保持する工程と、前記ブラシが前記後退位置に保持された状態で前記コンミテータを組付ける工程と、前記コンミテータの組付け後に、前記仮止め部材を前記挿入孔に前記仮止め位置のもとからさらに挿入して、前記ブラシの前記後退位置への保持を解除するとともに、係止手段により前記仮止め部材が前記仮止め位置に戻るのを防止する工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、ブラシを後退位置に保持する仮止め位置とブラシの後退位置への保持を解除する通常位置とに操作される仮止め部材を設け、仮止め部材が通常位置から仮止め位置に戻ることを防止する係止手段を設けるようにしたので、電動モータの組付け後に外部から衝撃が加わっても、仮止め部材によりブラシが後退位置に保持されることがなく、電動モータの不作動を防止することができる。
本発明によれば、仮止め部材に挿入孔の内周面に当接する凸部を設けたので、当該凸部により仮止め部材の挿入が案内され、仮止め部材を挿入孔にスムーズに挿入することが可能となる。つまり、凸部が挿入孔の内周面に当接することで、仮止め部材が軸方向に傾斜した状態で挿入されることを防止し、仮止め部材が容易に操作されるようになっている。
本発明によれば、仮止め部材を熱伝導部材により形成したので、ブラシがコンミテータの外周面に摺接することにより発生する熱の放熱性を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1はワイパモータの内部構造を示す一部切り欠き断面図である。このワイパモータ10は車両用のワイパ装置に備えられ、ワイパに連結されたリンク機構を駆動するものである。ワイパモータ10は、電動モータ11と電動モータ11の回転を減速させてリンク機構に伝達する減速機構とを1つのユニットとした減速機構付モータであり、駆動源である電動モータ11と減速機構を備えるギヤ部12とを有している。
電動モータ11にはブラシ付直流モータが用いられており、電動モータ11に設けられる回転軸13が正逆両方向に回転可能となっている。電動モータ11は、薄板鋼板等を有底の段付筒状にプレス成形することにより形成されるヨーク14を有しており、ヨーク14の内面には径方向内側に向けてN極とS極に着磁された複数の永久磁石15が回転軸13の回転方向に交互に固着されている。
ヨーク14の内部には、微小隙間(エアギャップ)を介して各永久磁石15に対向するアーマチュア(電機子)16が収容されている。アーマチュア16は、回転方向に複数のスロットを備えるアーマチュアコア16aを有しており、各スロットには導線が重ね巻されて複数のアーマチュアコイル16bが装着されている。アーマチュア16の軸心には回転軸13が貫通して設けられており、この回転軸13の軸方向一端側(図1中右側)の端部はヨーク14の底壁に固定された軸受17によって回転自在に支持されている。
回転軸13には、アーマチュア16の軸方向他端側に隣接して当該アーマチュア16と一体に回転するコンミテータ18が固定されている。コンミテータ18は、互いに絶縁された状態で回転方向に等間隔に並べて配置される複数のセグメント片を備えており、各セグメント片にはそれぞれ対応するアーマチュアコイル16bのコイル端が電気的に接続されている。
電動モータ11は、ヨーク14の開口側においてギヤ部12のギヤケース20に取り付けられている。回転軸13の軸方向他端側はギヤケース20内に突出され、軸受21等によって回転自在に支持されている。ギヤケース20内には図示しない減速機構が収容されており、回転軸13の回転が減速機構により所定の減速比で減速されて、出力軸22からワイパ装置のリンク機構に出力されるようになっている。
このワイパモータ10の電動モータ11には、コンミテータ18を介してアーマチュア16のアーマチュアコイル16bに給電するためのブラシ装置24が装着されている。ブラシ装置24は、コンミテータ18周りに位置してギヤケース20の開口部20aに配されている。
図2はブラシ装置の平面図であり、図3はブラシ装置を一部拡大した概略斜視図であり、図4は図3に示すブラシ装置の分解斜視図であり、図5は図3におけるA−A線に沿う断面図である。
図2に示すように、ブラシ装置24は、コンミテータ18の外周面に摺接される一対のブラシ25を支持するブラシホルダ26を有している。このブラシホルダ26は樹脂製のホルダベース27と当該ホルダベース27に装着される一対のブラシケース28とを備えており、各ブラシ25はブラシケース28内に支持されている。
ホルダベース27はギヤケース20の開口部20aに対応して略小判形状に形成されている。ホルダベース27の外周には回転軸13の軸方向一端側(アーマチュア16側)に突出する外壁27aが形成され、ホルダベース27の径方向内側には軸方向に貫通する貫通孔27bが形成されている。図1に示すように、ホルダベース27(ブラシホルダ26)は、ギヤケース20の開口部20aに軽圧入することにより装着され、貫通孔27bを貫通するコンミテータ18周りに配置されている。
ホルダベース27の軸方向一端側の端面には、相互に回転軸13の回転方向に90°離間して配された一対のブラシケース28と、各ブラシケース28内に支持されたブラシ25を図示しない給電装置と電気的に接続する導電部材29とが固着されている。図4に示すように、ブラシケース28は、ホルダベース27の貫通孔27bから外壁27aにかけて回転軸13の径方向に延びる一対の側壁28aと、各側壁28aの径方向外側(外壁27a側)端部を連結する後壁28bと、各側壁28aの軸方向一端側の端部を連結する天井壁28cとを備えるケース形状となっており、ブラシケース28は径方向内側および軸方向他端側に開口している。各ブラシケース28の装着位置に対応させて、ホルダベース27の軸方向一端側の端面には略長方形状の凹部27cが形成されており、当該凹部27cに嵌め込まれたプレート30により、ブラシケース28の軸方向他端側の開口部が閉塞されている。
ブラシケース28は、各側壁28aの径方向内側端部から軸方向他端側に延びるカシメ爪32と、後壁28bから軸方向他端側に延びる係止爪33とを備えている。カシメ爪32はホルダベース27に形成された貫通孔34に挿入され、当該貫通孔34から軸方向他端側に突出されたカシメ爪32の先端部が曲げ加工される。係止爪33はホルダベース27に形成された貫通孔35に挿入され、図5に示すように、係止爪33に形成された係合孔33aと貫通孔35の内周面に設けられた突起27dとが係合される。これらカシメ爪32と係止爪33とによって、ブラシケース28はホルダベース27に装着されている。
ブラシケース28の天井壁28cには、ブラシ25に組付けられた後述するピグテール43が挿通されるスリット36が形成されている。スリット36は径方向に延びて形成されており、軸方向に貫通するとともに径方向内側に開口している。
ブラシケース28の一方の側壁(図5中右側の側壁)28aには、カシメ爪32よりも径方向外側に位置して、略矩形状の連通孔37が形成されている。連通孔37は一方の側壁28aの軸方向他端側に位置して形成されており、回転軸13の回転方向(図5中左右方向)に貫通してブラシケース28の内外を連通するとともに軸方向他端側に開口している。なお、本実施の形態においては、一方の側壁28aとして、一対のブラシケース28の相互に対向する側の側壁28aに連通孔37を形成するようにしたが、これに限定されず、例えば、一対のブラシケース28の相互に離反する側の側壁28aに連通孔37を形成するようにしても良い。
ブラシケース28の一方の側壁28aつまり連通孔37が形成された側壁28aに隣接させて、ホルダベース27には案内壁39が軸方向一端側に突出して設けられている。案内壁39は、連通孔37に対向する位置にブラシケース28の一方の側壁28aと所定の間隔を介してほぼ平行に延びる側壁部39aと、側壁部39aの径方向両側端部からブラシケース28に向けて突出する一対の端壁部39bとを備えた断面コの字形状に形成されており、案内壁39は連通孔37の開口側を覆うように配されている。これにより、ホルダベース27の案内壁39とブラシケース28の一方の側壁28aとの間に、断面略矩形状の挿入孔40が形成されている。図5に示すように、この挿入孔40は、ホルダベース27を軸方向に貫通して軸方向両端側に開口するとともに、挿入孔40の軸方向略中央部においてブラシケース28の連通孔37に連通している。
また、ホルダベース27には挿入孔40のブラシケース28側に隣接させて、軸方向に貫通する収容スペース41が形成されており、挿入孔40はその軸方向基端側において収容スペース41に連通している。収容スペース41の径方向寸法はブラシケース28の連通孔37の径方向寸法と略同一寸法に形成され、連通孔37および収容スペース41には後述する仮止め部材47の板ばね部48が突出可能となっている。収容スペース41は連通孔37の軸方向他端側に形成されて、収容スペース41と連通孔37とはプレート30により軸方向に区画されている。
ブラシケース28の内部にはブラシ25が摺動自在に支持されている。ブラシ25は導電材料により径方向(摺動方向)に延びるブロック状に形成されており、その径方向内側(摺動方向前方側)の端面においてコンミテータ18の外周面に摺接されるようになっている。ブラシ25の径方向外側(摺動方向後方側)の端面とブラシケース28の後壁28bとの間には、付勢手段としてのコイルばね42が組付けられ、コイルばね42の付勢力によりブラシ25は径方向内側に向けて付勢されている。これにより、ブラシ25は、コイルばね42の付勢力により径方向内側に前進移動されてコンミテータ18の外周面に摺接する前進位置と、コイルばね42の付勢力に抗して径方向外側に後退移動されてコンミテータ18と非接触となる後退位置とにプレート30上を摺動自在となっている。なお、図2〜図5においては後退位置におけるブラシ25が図示されている。
ブラシ25には、軸方向一端側の端面から突出するピグテール(導線)43の一端が組付けられている。ピグテール43はブラシケース28のスリット36を介してホルダベース27に固着された導電部材29に連結されており、ブラシ25はピグテール43および導電部材29等を介して図示しない給電装置に電気的に接続されている。ピグテール43は、ブラシ25がブラシケース28内を摺動移動すると、ブラシケース28のスリット36内を移動するようになっている。ブラシ25が前進位置のもとで、ピグテール43からブラシ25に電流が供給されると、コンミテータ18を介してアーマチュア16に給電されて電動モータ11が駆動される。一方、ブラシ25が後退位置のもとでは、ブラシ25がコンミテータ18と非接触となっているため、電動モータ11は不作動状態となる。
ブラシ25の一方の側面(摺動方向側面)つまり案内壁39が設けられた側の側面には、当該案内壁39側に開口する係合溝45が形成されている。係合溝45はブラシケース28の連通孔37に対応した略矩形状であり、後述する仮止め部材47の板ばね部48が連通孔37を介して突出可能となっている。ブラシ25がブラシケース28内に収容される後退位置のもとでは、係合溝45は連通孔37を介して挿入孔40に連通される。一方、ブラシ25が前進限位置のもとでは、係合溝45が連通孔37に対して径方向にずれ、係合溝45と挿入孔40との連通が遮断される。
このブラシ装置24は、ブラシ25を後退位置に保持するための仮止め部材47を有している。仮止め部材47は熱伝導性を有する金属材料(熱伝導部材)により形成され、軸方向に延びて挿入孔40に挿入される挿入部47aと、当該挿入部47aの軸方向他端側から案内壁39の側壁部39a側に突出する操作部47bとを備えた断面略L字のプレート形状となっている。挿入部47aは挿入孔40に挿入可能な断面形状となっており、挿入部47aの軸方向長さは挿入孔40の軸方向長さに対応して形成されている。
挿入部47aの軸方向他端側(挿入方向先端側)には保持部としての板ばね部48が設けられている。板ばね部48は、挿入部47aに略コの字形状の切り込みを設け、当該切り込みに囲まれた部分を軸方向他端側から軸方向一端側(挿入方向基端側)に向かうにつれてブラシ25側に傾斜するように曲げ加工することで形成されている。板ばね部48は連通孔37、係合溝45および収容スペース41内に突出可能な形状となっており、板ばね部48は通常状態でブラシ25側に向けて突出され、圧縮状態で挿入孔40に挿入可能となる。
挿入部47aの軸方向一端側には回転軸13の回転方向両側に突出する複数の凸部49が設けられている。図5に示すように、仮止め部材47が挿入孔40に挿入されると、凸部49が挿入孔40の内面つまりブラシケース28の一方の側壁28aと案内壁39の側壁部39aとの相互に対向する面にそれぞれ当接するようになっている。
この仮止め部材47は挿入孔40に挿入されて、ブラシ25を後退位置に保持する仮止め位置と、図5に示すようにブラシ25の後退位置への保持を解除する通常位置とに操作される。
図6はブラシの仮止め状態を示す断面図である。図6に示すように、ブラシ25が後退位置のもとで仮止め部材47が挿入孔40に仮止め位置(板ばね部48が連通孔37の形成位置に達する位置)まで挿入されると、板ばね部48が連通孔37を介して係合溝45内に突出されて、板ばね部48と係合溝45とが係合される。これにより、ブラシ25の径方向の摺動移動が規制され、ブラシ25が後退位置に保持される。この仮止め状態のもとでブラシ装置24とコンミテータ18との組付け作業が行われる。
図5に示すように、仮止め部材47が仮止め位置からさらに挿入されて通常位置となると、板ばね部48と係合溝45との係合が解除されてブラシ25の後退位置への保持が解除される。このとき、仮止め部材47は、挿入部47aのほぼ全体が挿入孔40に挿入されて、板ばね部48がホルダベース27の軸方向他端側に形成された収容スペース41に突出され、板ばね部48とプレート30(ブラシホルダ26)との係合(係止手段)により、仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることが防止される。
次に、電動モータ11の組付け工程について説明する。ギヤケース20の開口部20aに装着されたブラシ装置24にコンミテータ18を組付ける際には、ブラシ25が後退位置に保持された状態で組付け作業が行われる。
まず、ブラシ25を後退位置に保持するために、ブラシ25を後退移動させた状態で仮止め部材47の操作部47bを押して挿入部47aを挿入孔40に挿入する。このとき、挿入部47aの軸方向他端側に設けられた板ばね部48は、挿入孔40への挿入によりブラシケース28の一方の側壁28aと案内壁39の側壁部39aとの間で圧縮されて挿入孔40に挿入可能となる。
仮止め部材47が図6に示す仮止め位置にまで挿入されると、板ばね部48は連通孔37の形成位置に位置されて板ばね部48の圧縮状態が解除される。つまり、板ばね部48はブラシ25側に突出する通常状態となって連通孔37を介して係合溝45内に突出され、板ばね部48と係合溝45とが係合される。これにより、ブラシ25の径方向の摺動移動が規制され、ブラシ25が後退位置に保持される。この仮止め状態のもとでは、ブラシ25とコンミテータ18とが干渉することがなく、ブラシ装置24とコンミテータ18との組付け作業をスムーズに行うことができる。
コンミテータ18の組付け作業が完了すると、仮止め部材47の操作部47bを押して挿入部47aを仮止め位置からさらに挿入する。このとき、板ばね部48は再びプレート30と案内壁39の側壁部39aとの間で圧縮されて挿入孔40に挿入可能となる。
仮止め部材47が図5に示す通常位置にまで挿入されると、板ばね部48と係合溝45との係合が解除されて仮止め部材47によるブラシ25の後退位置への保持が解除され、ブラシ25はコイルばね42により前進位置に移動されて電動モータ11が作動状態となる。通常位置のもとでは、板ばね部48は収容スペース41の形成位置に位置されて板ばね部48の圧縮状態が解除される。つまり、板ばね部48はブラシ25側に突出する通常状態となって収容スペース41内に突出され、板ばね部48とプレート30(ブラシホルダ26)とが係合される。これにより、仮止め部材47の軸方向一端側への移動が規制され、仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることが防止される。
このように、ブラシ25を後退位置に保持する仮止め位置とブラシ25の後退位置への保持を解除する通常位置とに操作される仮止め部材47を設け、仮止め部材47が通常位置のもとで板ばね部48とプレート30とが係合することにより仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることを防止するようにしたので、電動モータ11の組付け後に外部から衝撃が加わっても、仮止め部材47によりブラシ25が後退位置に保持されることがなく、電動モータ11の不作動を防止することができる。
また、仮止め部材47の挿入部47aに挿入孔40の内周面に当接する凸部49を設けたので、当該凸部49により仮止め部材47の挿入が案内されて、仮止め部材47を挿入孔40にスムーズに挿入することが可能となる。つまり、凸部49が挿入孔40の内周面に当接することで、挿入部47aが挿入孔40の軸方向に対して傾斜した状態で挿入されることを防止し、仮止め部材47が容易に操作されるようになっている。
さらに、仮止め部材47を熱伝導性を有する金属材料(熱伝導部材)により形成したので、ブラシ25がコンミテータ18の外周面に摺接することにより発生する熱の放熱性を向上させることができる。なお、熱伝導部材としては、熱伝導性を有する樹脂材料を用いるようにしてもよい。
図7(A)、(B)はブラシ装置の変形例における仮止め状態と通常状態を示す断面図である。このブラシ装置24における仮止め部材47の板ばね部48は、挿入部47aの軸方向他端側(挿入方向先端側)を軸方向他端側から軸方向一端側に向かうにつれてブラシ25側に傾斜されるように曲げ加工することにより形成されている。
図5に示すブラシ装置24においては、仮止め部材47が通常位置のもとで板ばね部48が収容スペース41に突出されて、板ばね部48とプレート30とが係合することにより仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることを防止するようにしている。一方、図7(B)に示すように、このブラシ装置24においては、仮止め部材47の挿入部47aに回転軸13の回転方向(図中左右方向)に貫通する係止孔47cを設けるとともに、挿入孔40の内周面つまり案内壁39の側壁部39aのブラシ25側端面に当該ブラシ25側に突出する突起部39cを設け、仮止め部材47が通常位置のもとで、これら係止孔47cと突起部39cとが係合すること(係止手段)により仮止め部材47が通常位置から仮止め位置に戻ることを防止するようにしている。これにより、図5に示すブラシ装置と同様の効果を奏することができる。
なお、前記実施の形態においては、仮止め部材47の挿入部47aに係止孔47cを設けるとともに、挿入孔40の内周面にブラシ25側に突出する突起部39cを設けるようにしたが、仮止め部材47の挿入部47aに突起部を設けるとともに、挿入孔40の内周面に突起部と係合する係止孔(係止溝)を設けるようにしてもよい。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態においては、本発明の電動モータをワイパモータ10に設けられる電動モータ11に適用したが、これに限定されず、他の電動モータに適用できることはもちろんである。
また、前記実施の形態においては、ブラシ装置24に一対のブラシ25を設けるようにしたが、ブラシ装置24に設けられるブラシ25の数は任意に設定可能である。例えば、ワイパを低速と高速との二段階で駆動するような場合には、3つのブラシ25を設けるようにしてもよい。
また、前記実施の形態においては、電動モータ11に設けられる回転軸13が正逆両方向に回転可能となっているが、本発明はこれに限定されず、一方向のみに回転可能な電動モータであっても良い。
ワイパモータの内部構造を示す一部切り欠き断面図である。 ブラシ装置の平面図である。 ブラシ装置を一部拡大した概略斜視図である。 図3に示すブラシ装置の分解斜視図である。 図3におけるA−A線に沿う断面図である。 ブラシの仮止め状態を示す断面図である。 (A)、(B)はブラシ装置の変形例における仮止め状態と通常状態を示す断面図である。
符号の説明
10 ワイパモータ
11 電動モータ
12 ギヤ部
13 回転軸
14 ヨーク
15 永久磁石
16 アーマチュア
16a アーマチュアコア
16b アーマチュアコイル
17 軸受
18 コンミテータ
20 ギヤケース
20a 開口部
21 軸受
22 出力軸
24 ブラシ装置
25 ブラシ
26 ブラシホルダ
27 ホルダベース
27a 外壁
27b 貫通孔
27c 凹部
27d 突起
28 ブラシケース
28a 側壁
28b 後壁
28c 天井壁
29 導電部材
30 プレート
32 カシメ爪
33 係止爪
33a 係合孔
34,35 貫通孔
36 スリット
37 連通孔
39 案内壁
39a 側壁部
39b 端壁部
39c 突起部
40 挿入孔
41 収容スペース
42 コイルばね(付勢手段)
43 ピグテール
45 係合溝
47 仮止め部材
47a 挿入部
47b 操作部
47c 係止孔
48 板ばね部(保持部)
49 凸部

Claims (9)

  1. アーマチュアにコンミテータを介して給電するブラシ装置を有する電動モータであって、
    摺動方向側面に係合溝を備え、付勢手段の付勢力により前進移動されて前記コンミテータに摺接する前進位置と、前記付勢手段の付勢力に抗して後退移動されて前記コンミテータと非接触となる後退位置とに摺動自在なブラシと、
    前記ブラシが前記後退位置のもとで前記係合溝に連通する連通孔を備え、前記ブラシを摺動自在に支持するブラシホルダと、
    前記ブラシ側に突出する保持部を備え、前記ブラシホルダに形成された挿入孔に挿入されて前記保持部が前記連通孔を介して前記係合溝に係合することにより前記ブラシを前記後退位置に保持する仮止め位置と、当該仮止め位置のもとからさらに前記挿入孔に挿入されて前記保持部と前記係合溝との係合が解除されることにより前記ブラシの前記後退位置への保持が解除される通常位置とに操作される仮止め部材と、
    前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止する係止手段とを有し、
    前記コンミテータの組付け時には、前記仮止め部材により前記ブラシを前記後退位置に保持することを特徴とする電動モータ。
  2. 請求項1記載の電動モータにおいて、前記係止手段は、前記仮止め部材が前記通常位置のもとで前記保持部と前記ブラシホルダとが係合することにより、前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止することを特徴とする電動モータ。
  3. 請求項1記載の電動モータにおいて、前記係止手段は、前記仮止め部材が前記通常位置のもとで、前記仮止め部材と前記ブラシホルダとの一方に設けられた突起と、前記仮止め部材と前記ブラシホルダとの他方に設けられた係止孔とが係合することにより、前記仮止め部材が前記通常位置から前記仮止め位置へ戻るのを防止することを特徴とする電動モータ。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記仮止め部材には前記挿入孔の内周面に当接する凸部が形成されていることを特徴とする電動モータ。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記保持部は、前記仮止め部材の挿入方向先端側から挿入方向基端側に向かうにつれて前記ブラシ側に向けて傾斜された板ばねであり、当該板ばねは圧縮状態で前記挿入孔に挿入可能となることを特徴とする電動モータ。
  6. 請求項5記載の電動モータにおいて、前記板ばねは、前記仮止め部材の挿入方向先端側に切り込みを設けることにより形成されていることを特徴とする電動モータ。
  7. 請求項5記載の電動モータにおいて、前記板ばねは、前記仮止め部材の挿入方向先端側を折り曲げることにより形成されていることを特徴とする電動モータ。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動モータにおいて、前記仮止め部材は熱伝導部材から形成されていることを特徴とする電動モータ。
  9. 摺動方向側面に係合溝を備え、付勢手段の付勢力により前進移動されてコンミテータに摺接する前進位置と、前記付勢手段の付勢力に抗して後退移動されて前記コンミテータと非接触となる後退位置とに摺動自在なブラシと、
    前記ブラシが前記後退位置のもとで前記係合溝に連通する連通孔を備え、前記ブラシを摺動自在に支持するブラシホルダとを有する電動モータの組付け方法であって、
    前記ブラシが前記後退位置のもとで、前記ブラシホルダに設けられた挿入孔に仮止め部材を仮止め位置まで挿入し、前記連通孔を介して前記仮止め部材の保持部を前記係合溝に係合して、前記ブラシを前記後退位置に保持する工程と、
    前記ブラシが前記後退位置に保持された状態で前記コンミテータを組付ける工程と、
    前記コンミテータの組付け後に、前記仮止め部材を前記仮止め位置のもとからさらに前記挿入孔に挿入し、前記ブラシの前記後退位置への保持を解除するとともに、係止手段により前記仮止め部材が前記仮止め位置に戻るのを防止する工程とを有することを特徴とする電動モータの組付け方法。
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