以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は車両のルーフに搭載されたサンルーフ装置を示す概略図を、図2はサンルーフモータの分解斜視図を、図3はモータ部の分解斜視図を、図4はサンルーフモータのアーマチュア軸(ウォーム軸)の軸方向に沿う断面図を、図5は図4における連結部材の部分を拡大した部分拡大断面図を、図6はギヤケースを単体で示す斜視図を、図7(a),(b)は軸受保持部材を単体で示す斜視図を、図8は傾斜壁の機能を説明する部分拡大断面図を、図9はウォーム軸アッシーのギヤケースへの装着手順を説明する斜視図を、図10はブラシホルダを単体で示す斜視図を、図11は導電部材を単体で示す斜視図をそれぞれ示している。
図1に示されるように、サンルーフ装置10は、ルーフパネル11を備えている。ルーフパネル11は、車両12のルーフ13に形成された開口部14を開閉する。ルーフパネル11の車幅方向(図中上下方向)に沿う両側には、一対のシュー15a,15bがそれぞれ固定されている。また、ルーフ13の開口部14の車幅方向に沿う両側には、車両12の前後方向(図中左右方向)に延びるガイドレール16がそれぞれ固定されている。そして、一対のシュー15a,15bが、対応する一対のガイドレール16にそれぞれ案内されることで、ルーフパネル11が、車両12の前後方向に移動自在つまり開閉自在となっている。
車両12の後方側(図中右側)に配置されたシュー15bのそれぞれには、ギヤ付きの駆動ケーブル17a,17bの一端が連結されている。これらの駆動ケーブル17a,17bの他端は、開口部14よりも車両12の前方側(図中左側)に取り回されている。
車両12の前方側で、開口部14とフロントガラスFGとの間に配置されたルーフ13の内部には、サンルーフモータ(モータ装置)20が搭載されている。そして、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端が、サンルーフモータ20に設けられた出力ギヤ52bに噛み合わされている。ここで、サンルーフモータ20が駆動されると、出力ギヤ52bの回転に伴い、一対の駆動ケーブル17a,17bが互いに逆向きに移動される。これにより、ルーフパネル11は、一対のシュー15bを介して一対の駆動ケーブル17a,17bによって押し引きされ、ひいては自動的に開閉される。
図2ないし図4に示されるように、サンルーフモータ20は、ブラシ付きの電動モータであるモータ部30を備えている。モータ部30は、鋼板をプレス加工等することで有底筒状に形成されたヨーク(モータケース)31を備えている。つまり、ヨーク31は金属製となっている。このヨーク31の内壁には、断面が略円弧形状に形成された4つのマグネットMG1(図4では2つのみ示す)が、ヨーク31の周方向に等間隔(90度間隔)で固定されている。そして、これらのマグネットMG1の内側には、所定の隙間を介してアーマチュア32が回転自在に収容されている。
アーマチュア32は、断面が円形の鋼棒よりなるアーマチュア軸33を備えている。つまり、アーマチュア軸33は金属製となっている。このアーマチュア軸33の基端側は、ヨーク31の小径底部31aに設けられた第1ラジアル軸受RB1に回転自在に支持されている。一方、アーマチュア軸33の先端側は、ブラシホルダ40に装着された第2ラジアル軸受RB2に回転自在に支持されている。また、アーマチュア軸33の基端側は、その軸方向から第1鋼球B1により支持されている。一方、アーマチュア軸33の先端側は、その軸方向から第2鋼球B2により支持されている。これにより、アーマチュア軸33は、その軸方向に移動すること無くスムーズに回転することができ、アーマチュア32はヨーク31の内部でがたつくことが無い。
さらに、アーマチュア軸33には、複数の鋼板(詳細図示せず)を積層してなるアーマチュアコア34が固定されている。アーマチュアコア34には、合計6つのスロット34a(図3参照)が設けられ、これらのスロット34aには、コイル(銅線)35がそれぞれ所定の巻き方および巻き数で巻装されている。
また、アーマチュア軸33の軸方向に沿う第2ラジアル軸受RB2とアーマチュアコア34との間には、コンミテータ(整流子)36が固定されている。コンミテータ36は、合計6つの整流子片36aをプラスチック等の樹脂材料(絶縁材料)でモールディングして略筒状に形成され、それぞれの整流子片36aには、コイル35のコイル端が電気的に接続されている。
ヨーク31の開口部31bには、当該開口部31bを塞ぐようにして、ブラシホルダ40が装着されている。ブラシホルダ40は、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、コイル35に駆動電流を供給する機能を有している。そして、ブラシホルダ40は、一対のブラシ41を摺動自在に保持しており、これらのブラシ41は、コンミテータ36の周囲に互いに90度間隔となるように配置されている。なお、図4においては、一方のブラシ41のみが示されている。
図4に示されるように、ブラシホルダ40の内側には、コンミテータ36が回転自在に入り込んでいる。これにより、一対のブラシ41は、コンミテータ36の外周面、つまり合計6つの整流子片36aにそれぞれ摺接される。したがって、一対のブラシ41およびコンミテータ36を介して所定のタイミングで転流された駆動電流が、コイル35に供給される。
図4に示されるように、ヨーク31の開口部31b(図3参照)側には、ギヤ部50が接続されている。具体的には、ヨーク31には、ギヤ部50の外郭を形成するギヤケース51が、3つの締結ネジS(図4では2つのみ示す)により強固に固定されている。そして、ギヤケース51は、プラスチック等の樹脂材料により略バスタブ形状に形成され、その内部には、ウォームホイール収容部51a,ウォーム収容部51bおよび基板収容部51cが設けられている。
ウォームホイール収容部51aおよびウォーム収容部51bは、いずれもギヤケース51の長手方向に沿うヨーク31寄り(図4中右側)の部分に配置されている。これに対し、基板収容部51cは、図2に示されるように、ギヤケース51の略全域に亘って配置され、当該基板収容部51cには、モータ部30を制御する制御基板60が収容されている。つまり、ギヤ部50を組み立てた状態で、制御基板60は、ウォームホイール52およびウォーム軸54に対して、出力ギヤ52bの軸方向に重ねられている。
図4に示されるように、基板収容部51cの最も深い部分は、コネクタ収容部51c1となっており、当該コネクタ収容部51c1は、ギヤケース51の長手方向に沿うヨーク31側とは反対側(図4中左側)の部分に配置されている。そして、コネクタ収容部51c1には、制御基板60に一体に設けられ、かつ比較的厚肉となったコネクタ接続部61(図2参照)が収容される。なお、コネクタ接続部61には、車両12側に設けられた外部コネクタ(図示せず)が接続されるようになっている。また、図4においては、制御基板60およびコネクタ接続部61の図示を省略している。
さらに、ギヤケース51の開口部分は、図2に示されるように、ギヤカバーCVによって閉塞されている。ギヤカバーCVは、プラスチック等の樹脂材料により略平板状に形成され、ギヤケース51に対して所謂スナップフィットの係合構造により容易に装着可能となっている。具体的には、ギヤカバーCVには、合計5つの引っ掛け爪HC(図2では3つのみ示す)が設けられ、これらの引っ掛け爪HCが、ギヤケース51に設けられた合計5つの係合突起TK(図4参照)にそれぞれ引っ掛けられるようになっている。
ウォームホイール収容部51aは、ギヤケース51の厚み方向(図4中奥行き方向)であって、かつギヤカバーCV(図2参照)側とは反対側に窪んで設けられている。ウォームホイール収容部51aの深さ寸法は、ギヤケース51の厚み寸法程度に浅くなっており、ウォームホイール収容部51aは、ギヤケース51の厚み方向に沿うギヤカバーCV側に開口されている。そして、ウォームホイール収容部51aには、減速機構SDを形成するウォームホイール52が回転自在に収容されている。
ウォームホイール52は、プラスチック等の樹脂材料により略円板形状に形成され、その径方向外側には、ウォーム軸54のウォーム54aが噛み合わされる歯部52aが形成されている。また、ウォームホイール52の回転中心には、出力ギヤ52bの軸方向基端側が固定されている。ここで、出力ギヤ52bは鋼製であって、その軸方向中間部がギヤケース51のボス部BS(図2参照)に回転自在に支持されている。そして、出力ギヤ52bの軸方向先端側は、ギヤケース51の外部に延出されており、これにより出力ギヤ52bの先端側には、一対の駆動ケーブル17a,17bの他端が噛み合わされる(図1参照)。
図2に示されるように、ウォームホイール収容部51aは、ウォームホイール52を収容した状態において、ウォームホイールカバー53によって閉塞されている。これにより、ウォームホイール52がウォームホイール収容部51aから脱落したり、ウォームホイール収容部51aの内部でがたついたりすることが防止される。
ウォームホイールカバー53は、鋼板をプレス加工等することで略円板状に形成され、その外周部分には合計4つの差し込み脚53aが一体に設けられている。これらの差し込み脚53aは、いずれもウォームホイール52の軸方向であって、かつギヤケース51に向けられている。そして、これらの差し込み脚53aをギヤケース51の所定箇所に差し込むことで、ウォームホイールカバー53はギヤケース51に固定される。
ここで、図4に示されるように、4つある差し込み脚53aのうちの1つ(図中右上の差し込み脚53a)は、軸受保持部材80の接続脚83bに電気的に接続されている。これにより、ウォームホイールカバー53に伝達された電磁ノイズを、軸受保持部材80を介して、車両12のルーフ13(図1参照)に逃がす(ボディアースさせる)ことができる。
ウォーム収容部51bは、ギヤケース51の長手方向(図4中左右方向)であって、かつヨーク31側とは反対側に窪んで設けられている。ウォーム収容部51bの深さ寸法は、ウォームホイール収容部51aの深さ寸法よりも深くなっており、ウォーム収容部51bは、ギヤケース51の長手方向に沿うヨーク31側に開口されている。そして、ウォーム収容部51bには、減速機構SDを形成するウォーム軸54が回転自在に収容されている。
ウォーム軸54は、鋼製の丸棒を切削加工等することで、その軸方向に段付き形状に形成されている。ウォーム軸54の長手方向中間部には、ウォームホイール52の歯部52aに噛み合わされるウォーム54aが形成されている。また、ウォーム軸54の長手方向先端側(図4中左側)には、ウォーム54aの外径寸法よりも小さい外径寸法の小径部54bが設けられている。これに対し、ウォーム軸54の長手方向基端側(図4中右側)には、ウォーム54aの外径寸法よりも大きい外径寸法の大径部54cが設けられている。
このように、ウォーム軸54の外径寸法を、その長手方向基端側から長手方向先端側に向かうに連れて徐々に小さくすることで、ウォーム収容部51bに対するウォーム軸54の収容作業を、容易に行えるようにしている。
ウォーム軸54の小径部54bは、第3ラジアル軸受RB3に回動自在に支持されている。第3ラジアル軸受RB3は、その径方向外側がウォーム収容部51bの最深部51b1に固定されている。ここで、ウォーム軸54の長手方向先端側には、鋼球が設けられていない。これは、ウォーム軸54は、ボールベアリング55によって、その軸方向への移動が規制されているためである。すなわち、本実施の形態におけるウォーム軸54の支持構造は、アーマチュア軸33の支持構造とは異なり、鋼球で支持する必要の無い支持構造となっている。よって、部品点数の削減や小型軽量化等が図られている。
ウォーム軸54の軸方向に沿うウォーム54aと大径部54cとの間には、センサマグネットMG2が固定されている。センサマグネットMG2は環状に形成され、その周方向に交互に磁極が現れるように形成されている。そして、制御基板60(図2参照)のセンサマグネットMG2との対向部分に、複数のホールIC(図示せず)が設けられ、これらのホールICから出力されるパルス信号の出現タイミングをコントローラ(図示せず)が検出することで、当該コントローラはウォーム軸54の回転状態(回転速度や回転方向等)を制御する。なお、センサマグネットMG2は、最深部51b1の内径寸法よりも若干大きい内径寸法のマグネット収容部51b2(図5参照)に回転自在に収容されている。
図5に示されるように、ウォーム軸54の大径部54cには、当該ウォーム軸54を回転自在に支持するボールベアリング(軸受部材)55が固定されている。ボールベアリング55は、内輪(インナーレース)55aと、外輪(アウターレース)55bと、内輪55aと外輪55bとの間に転動自在に設けられた複数の鋼球(スチールボール)55cと、を備えている。そして、内輪55aの径方向内側が、大径部54cに固定されている。
より具体的には、内輪55aの径方向内側が、大径部54cに圧入により固定されている。ただし、内輪55aは、大径部54cに対して軸方向への移動が規制されていれば良い(抜け止めがされていれば良い)ため、大径部54cに圧入により固定するに限らず、例えば、大径部54cに環状溝を形成するとともに、当該環状溝に止め輪を装着し、これにより内輪55aの大径部54cからの抜け止めをするようにしても良い。
また、ボールベアリング55の外輪55bは、ギヤケース51に設けられた軸受収容部51dに収容されている。つまり、ボールベアリング55は、ギヤケース51の内部に設けられている。軸受収容部51dは、ウォーム収容部51bの一部を構成しており、マグネット収容部51b2の軸方向に沿うヨーク31側、つまりウォーム収容部51bの軸方向に沿う開口側に配置されている。そして、軸受収容部51dの内径寸法は、外輪55bの外径寸法よりも若干大きい寸法とされ、これにより軸受収容部51dの内部でボールベアリング55ががたつくのを抑制しつつ、外輪55bを軸受収容部51dに容易に装着できるようにしている。
外輪55bの軸方向一側、すなわちボールベアリング55の軸方向に沿うセンサマグネットMG2側(図5中左側)には、第1環状面(第1環状部)SF1が設けられている。これに対し、外輪55bの軸方向他側、すなわちボールベアリング55の軸方向に沿うヨーク31側(図中右側)には、第2環状面(第2環状部)SF2が設けられている。
ここで、軸受収容部51dの軸方向に沿うマグネット収容部51b2側には、ウォーム軸54の軸方向と交差する方向に拡がる環状壁面(第1環状支持部)51d1が設けられている。そして、当該環状壁面51d1は、外輪55bにおける第1環状面SF1の全周を支持している。これに対し、外輪55bにおける第2環状面SF2の全周は、軸受保持部材80の環状底面81a1によって支持されている。
このように、ボールベアリング55における外輪55bの径方向外側が、軸受収容部51dの内壁に支持され、外輪55bにおける第1環状面SF1の全周が、ギヤケース51の環状壁面51d1に支持され、外輪55bにおける第2環状面SF2の全周が、軸受保持部材80の環状底面81a1に支持されている。すなわち、外輪55bは、環状壁面51d1および環状底面81a1により、その軸方向に挟持されている。
したがって、ボールベアリング55は、ギヤケース51の内部でがたつくこと無く保持される。よって、ボールベアリング55の内輪55aに固定されたウォーム軸54は、ウォーム収容部51bの内部でぶれること無く、スムーズに回転可能となっている。これにより、十分な静粛性が確保されて、サンルーフモータ20として有利となる。特に、サンルーフモータ20は、乗員の頭上近傍に配置されるため、静粛性の向上は必須である。
ウォーム軸54の軸方向に沿う最も基端側には、周方向に沿って凹凸形状となった動力伝達部54d(詳細は図9参照)が設けられている。具体的には、動力伝達部54dは、略ギヤ形状に形成され、連結部材70を形成するウォーム軸側連結部71に、動力伝達可能に係合されている。そして、動力伝達部54dとアーマチュア軸33との間には、アーマチュア軸33の軸方向への移動を規制する第2鋼球B2が設けられている。言い換えれば、アーマチュア軸33は、ボールベアリング55に固定されたウォーム軸54によって、その軸方向に支持されている。
図3および図5に示されるように、アーマチュア軸33とウォーム軸54との間には、両者を互いに動力伝達可能に連結する連結部材(連結部)70が設けられている。連結部材70は、ウォーム軸側連結部71と、アーマチュア軸側連結部72とから形成されている。ウォーム軸側連結部71は、硬質プラスチック等よりなる連結本体71aと、当該連結本体71aにインサート成形等により埋設された鋼製の芯金71bとを備えている。そして、芯金71bに、動力伝達部54dが動力伝達可能に係合されている。
これに対し、アーマチュア軸側連結部72は、鋼板をプレス加工等することで、略扇風機の羽根形状に形成され、3つの係合歯部72aを備えている。そして、アーマチュア軸側連結部72は、アーマチュア軸33の先端側に設けられた二方取り固定部33aに、相対回転不能に固定されている。
そして、3つの係合歯部72aは、連結本体71aに設けられた3つの係合凹部71c(図3では2つのみ示す)にそれぞれ係合される。これにより、ウォーム軸側連結部71とアーマチュア軸側連結部72とが動力伝達可能に連結されて、アーマチュア軸33の回転力がウォーム軸54に伝達される。ここで、ウォーム軸側連結部71とアーマチュア軸側連結部72との間に多少のがたつきがあったとしても、連結本体71aが樹脂製で、アーマチュア軸側連結部72が鋼製となっている。したがって、動力伝達効率を低下させること無く、メカノイズ(騒音)の発生が効果的に抑えられている。
図6に示されるように、ギヤケース51における軸受収容部51dのヨーク31側(図中左側)には、略小判形状に形成され、かつギヤケース51内に向けて窪んだ軸受保持部材装着部51eが設けられている。この軸受保持部材装着部51eには、軸受保持部材80の装着部82(図7参照)が、がたつくこと無く装着される。
また、ギヤケース51における軸受保持部材装着部51eの周囲で、かつヨーク31側には、合計3つの雌ネジ穴51fが設けられている。これらの雌ネジ穴51fには、ヨーク31をギヤケース51に固定するための合計3つの締結ネジS(図2参照)がネジ結合されるようになっている。なお、雌ネジ穴51fのうちの2つはギヤケース51の中央寄りに配置され、残りの1つはギヤケース51の端部分に配置されている。これにより、ギヤケース51が無用に大きくなるのを抑制して、ギヤケース51の小型化を実現している。
さらに、軸受保持部材装着部51eの外周部分で、かつギヤケース51の中央寄りにある2つの雌ネジ穴51fの間には、軸受保持部材80の接続脚83b(図7(a)参照)が挿通される第1挿通孔51e1が設けられている。また、軸受保持部材装着部51eの外周部分で、かつギヤケース51の端部分にある1つの雌ネジ穴51fの近傍には、ブラシホルダ40に設けられた一対の電源ターミナルPT(図10参照)がそれぞれ挿通される一対の第2挿通孔51e2が設けられている。これらの第1,第2挿通孔51e1,51e2は、いずれもアーマチュア軸33(ウォーム軸54)の軸方向に貫通されている。
図7に示されるように、軸受保持部材80は、鋼板をプレス加工等することで所定形状に形成されている。つまり、軸受保持部材80は金属製となっている。この軸受保持部材80は、軸受収容部51dに嵌め込まれて、ボールベアリング55を保持する本体部81を備えている。すなわち、軸受保持部材80は、ギヤケース51に装着されて、ボールベアリング55のギヤケース51からの脱落を防止する機能を有している。
本体部81は、環状に形成された底壁部81aと、当該底壁部81aに一体に設けられた筒状壁部81bとを備えている。つまり、軸受保持部材80の本体部81は、底部の真ん中が貫通された有底筒状に形成されている。本体部81の底壁部81aは、図5に示されるように、筒状壁部81bの軸方向に沿うボールベアリング55側を、径方向内側に屈曲させて形成されている。
そして、底壁部81aの外側、すなわちボールベアリング55と対向する部分には、環状底面(第2環状支持部)81a1が設けられている。この環状底面81a1は、外輪55bにおける第2環状面SF2の全周を支持している。また、底壁部81a(環状底面81a1)の径方向内側には、環状の傾斜壁(環状壁部)81a2が一体に設けられている。さらに、本体部81を形成する筒状壁部81bの内側には、連結部材70が回転自在に収容されている。
ここで、傾斜壁81a2の基端側は底壁部81aに接続され、傾斜壁81a2の先端側は連結部材70に向けられている。これにより、図5に示されるように、傾斜壁81a2の断面形状は略釣り針の返しのような形状となっている。そして、環状の傾斜壁81a2は、図8に示されるように、連結部材70に塗布された摺動グリス(グリス)Gが、ボールベアリング55に移動して到達されるのを防止する機能を有している。具体的には、サンルーフモータ20の作動に伴い、連結部材70に塗布された摺動グリスGは、当該連結部材70の径方向外側に飛散することがある。この場合、図8の矢印に示されるように、摺動グリスGは、傾斜壁81a2により折り返されて、ボールベアリング55に到達することが無い。
このように、環状の傾斜壁81a2は、当該傾斜壁81a2を基準として、ボールベアリング55がある側とは反対側から、ボールベアリング55がある側への摺動グリスGの移動を阻止する。よって、長期に亘りボールベアリング55のスムーズな動作が確保される。なお、ボールベアリング55用の摺動グリス(図示せず)と、連結部材70用の摺動グリスGとは、それぞれ組成が異なっている。そのため、組成の異なる摺動グリスが混合されることで当該摺動グリスは劣化してしまう。よって、本実施の形態では、組成の異なる摺動グリスを確実に分離するために、軸受保持部材80に環状の傾斜壁81a2を設けている。
また、図7に示されるように、本体部81の軸方向に沿う傾斜壁81a2側とは反対側には、略小判形状に形成された装着部82が一体に設けられている。装着部82は、底壁82aと側壁82bとを備えている。そして、装着部82は、ギヤケース51の軸受保持部材装着部51e(図6参照)にがたつくこと無く装着される。
装着部82の底壁82aには、略長方形形状の貫通孔82a1が形成されている。この貫通孔82a1は、軸受保持部材80をギヤケース51に装着した状態で、ギヤケース51に設けられた一対の第2挿通孔51e2(図6参照)と重ねられる。これにより、貫通孔82a1にも、ブラシホルダ40に設けられた一対の電源ターミナルPT(図10参照)が挿通されるようになっている。
さらに、図7(b)に示されるように、装着部82には、その内側に突出するようにして一対の突出部82cが設けられている。そして、これらの突出部82cには、サンルーフモータ20を組み立てた状態で、ブラシホルダ40に装着された導電部材90の外側舌片91b(図10および図11参照)が電気的に接続されるようになっている。具体的には、図11に示されるように、導電部材90の外側舌片91bは、合計4つ設けられているが、突出部82cのそれぞれには、2つずつの外側舌片91bが接触(接続)されるようになっている。
また、図7に示されるように、装着部82の軸方向に沿う本体部81側とは反対側には、装着部82の径方向外側に突出されたフランジ部83が一体に設けられている。すなわち、フランジ部83は、筒状壁部81bの軸方向に沿う底壁部81aがある側とは反対側に配置されている。このフランジ部83は、装着部82の周囲を取り囲むように設けられ、サンルーフモータ20を組み立てた状態で、ギヤケース51とヨーク31との間に挟持されるようになっている。つまり、軸受保持部材80のフランジ部83とヨーク31とは、互いに電気的に接続されるようになっている。
ここで、フランジ部83には、合計3つのネジ挿通孔83aが設けられ、装着部82を中心とした一方側(図7(b)中左側)に2つのネジ挿通孔83aが配置され、装着部82を中心とした他方側(図7(b)中右側)に1つのネジ挿通孔83aが配置されている。そして、ネジ挿通孔83aのうちの2つはギヤケース51の中央寄りに配置され、残りの1つはギヤケース51の端部分に配置される。
さらに、フランジ部83には、接続脚83bが一体に設けられている。この接続脚83bは、ギヤケース51の中央寄りに配置される2つのネジ挿通孔83aの間に設けられている。また、接続脚83bは、本体部81および装着部82の軸方向に延在され、ギヤケース51の内部にまで延ばされている。そして、接続脚83bは、軸受保持部材80をギヤケース51に装着した状態で、ギヤケース51の第1挿通孔51e1(図6参照)に挿通される。
ここで、図9に示されるように、ウォーム軸アッシーWAをギヤケース51に組み付けるには、まず、ウォーム軸アッシーWAの軸方向に沿う第3ラジアル軸受RB3側を、ギヤケース51のウォーム収容部51bに臨ませる。なお、ここで言うウォーム軸アッシーWAとは、ウォーム軸54に、ボールベアリング55と第3ラジアル軸受RB3を装着(固定)した状態のものを言う。
次いで、図9の矢印Mに示されるように、ウォーム軸アッシーWAをウォーム収容部51bに収容させる。これにより、ウォーム軸アッシーWAを構成する第3ラジアル軸受RB3が、ウォーム収容部51bの最深部51b1(図4参照)に装着され、ウォーム軸アッシーWAを構成するボールベアリング55が、軸受収容部51dに装着される。
その後、図9の矢印Mに示されるように、軸受保持部材80の本体部81を、軸受収容部51dに装着しつつ、軸受保持部材80の装着部82を、軸受保持部材装着部51eに装着する。これにより、ウォーム収容部51bへのウォーム軸アッシーWAの収容が完了し、かつギヤケース51への軸受保持部材80の装着が完了する。
したがって、外輪55bにおける第1環状面SF1(図5参照)の全周が、ギヤケース51の環状壁面51d1に支持され、外輪55bにおける第2環状面SF2(図5参照)の全周が、軸受保持部材80の環状底面81a1(図7(a)参照)に支持され、ギヤケース51内でのボールベアリング55のがたつきが確実に抑えられる。
なお、軸受保持部材80のギヤケース51への装着時には、軸受保持部材80の接続脚83b(図7(a)参照)を、ギヤケース51に設けられた第1挿通孔51e1に挿通させるようにし、かつ軸受保持部材80の貫通孔82a1を、ギヤケース51に設けられた一対の第2挿通孔51e2に重ねるようにする。また、上述のように軸受保持部材80をギヤケース51に装着することで、ギヤケース51に設けられた3つの雌ネジ穴51fと、軸受保持部材80に設けられた3つのネジ挿通孔83aとが、それぞれ自動的に整合される。
さらに、図5に示されるように、軸受保持部材80における本体部81の径方向内側には、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを動力伝達可能に連結する連結部材70と、第2鋼球B2とが回転自在に収容されている。また、軸受保持部材80における装着部82の径方向内側には、アーマチュア軸33の先端側を回転自在に支持する第2ラジアル軸受RB2が収容されている。
すなわち、サンルーフモータ20を形成する部品の中でも、比較的メカノイズの大きい部品(連結部材70,第2鋼球B2および第2ラジアル軸受RB2)が、軸受保持部材80によって包囲されている。したがって、これらの部品から発生するメカノイズの外部への漏洩が効果的に抑えられている。よって、軸受保持部材80は、サンルーフモータ20の静粛性向上を図る点でも有利な構造となっている。
ブラシホルダ40は、図10に示されるように、プラスチック等の樹脂材料により所定形状に形成され、略小判形状に形成された底壁42と、その周囲に一体に設けられた側壁43とを備えている。ブラシホルダ40は、ヨーク31の開口部31b(図3参照)を塞ぐようにして設けられ、その内側には一対のブラシ41(図10では1つのみ示す)が摺動自在に設けられている。
さらに、ブラシホルダ40の内側には、チョークコイル等の雑防素子(図示せず)が設けられている。そして、チョークコイル等の雑防素子は、アース端子ETを介して、ヨーク31に電気的に接続されている。これにより、一対のブラシ41が発生する電磁ノイズが、車両12のルーフ13(図1参照)に逃がされる(ボディアースされる)。
底壁42の軸方向に沿う側壁43側とは反対側(図10中左側)には、一対の電源ターミナルPTが突出されている。これらの電源ターミナルPTは、底壁42の中心部分からオフセットされた位置に設けられ、その長手方向一端側は、チョークコイル等の雑防素子を介して一対のブラシ41に電気的に接続されている。これに対し、一対の電源ターミナルPTの長手方向他端側は、サンルーフモータ20を組み立てた状態で、ギヤケース51の内部にまで延在されている。
そして、一対の電源ターミナルPTの長手方向他端側には、制御基板60(図2参照)に設けられた電源供給用端子(図示せず)が電気的に接続される。これにより、コントローラにより制御された所定の大きさの駆動電流が、制御基板60から一対の電源ターミナルPTを介して、一対のブラシ41に供給される。よって、サンルーフモータ20の出力ギヤ52b(図1参照)が、所定の回転方向に所定の回転数で駆動される。
底壁42の中心部分には、第2ラジアル軸受RB2を保持する軸受保持部42aが設けられている。また、この軸受保持部42aの径方向外側には、導電部材90を保持する一対の導電部材保持部42bが設けられている。これらの導電部材保持部42bは略円弧形状に形成され、軸受保持部42aを中心に互いに対向配置されている。そして、一対の導電部材保持部42bの内側には、導電部材90の環状本体91が圧入により固定されている。
なお、図10においては、導電部材90のブラシホルダ40に対する配置関係を判り易くするために、当該導電部材90に網掛けを施している。また、図4,図5,図8,図12および図13においては、導電部材90の図示を省略している。
一対の導電部材保持部42bに保持される導電部材90は、図11に示されるように、導電性に優れた黄銅等よりなる薄板をプレス加工等することで略環状に形成されている。導電部材90は、環状本体91を備えており、当該環状本体91の外周部分には、導電部材保持部42bの内側に圧入により引っ掛けられる複数の折り返し部91aが一体に設けられている。これにより、固定ネジ等の固定手段を用いること無く、導電部材90を導電部材保持部42bに対してがたつくこと無く容易に固定することができる。
また、環状本体91の外周部分には、合計4つの外側舌片91bが一体に設けられている。これらの外側舌片91bは、環状本体91の径方向外側に大きく突出され、環状本体91の幅寸法よりも大きな幅寸法に設定されている。そして、導電部材90は、サンルーフモータ20を組み立てた状態で、軸受保持部材80の装着部82(図7(b)参照)の内部に収容され、4つの外側舌片91bは、軸受保持部材80の突出部82cに電気的に接続される。
さらに、環状本体91の内周部分には、合計6つの内側舌片91cが一体に設けられている。これらの内側舌片91cは、環状本体91の径方向内側に突出され、環状本体91の幅寸法よりも小さな幅寸法に設定されている。なお、内側舌片91cの環状本体91からの突出量は、外側舌片91bの環状本体91からの突出量よりも小さくなっている。そして、6つの内側舌片91cの先端部分は、図10に示されるように、第2ラジアル軸受RB2に電気的に接続されている。なお、第2ラジアル軸受RB2は金属製であって、例えば、焼結金属等により形成されている。
このように、導電部材90は、金属製の軸受保持部材80と、金属製のアーマチュア軸33との間に、互いに導通可能に設けられている。これにより、アーマチュア軸33(図4参照)に伝達された電磁ノイズが、金属製の第2ラジアル軸受RB2から導電部材90を介して軸受保持部材80に伝達され、その後、軸受保持部材80からヨーク31を介して車両12のルーフ13に逃がされる(ボディアースされる)。これによっても、サンルーフモータ20から空中に放射される電磁ノイズが効果的に抑えられて、他の車載機器に悪影響を与えることが防止される。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、ボールベアリング55における外輪55bの軸方向一側に第1環状面SF1が設けられ、ボールベアリング55における外輪55bの軸方向他側に第2環状面SF2が設けられ、ギヤケース51に第1環状面SF1の全周を支持する環状壁面51d1が設けられ、軸受保持部材80に第2環状面SF2の全周を支持する環状底面81a1が設けられている。
これにより、ボールベアリング55の軸方向両側が全周で押さえられて、ボールベアリング55のギヤケース51に対する固定強度を向上させることができる。したがって、サンルーフモータ20の作動効率を向上させて、ひいては騒音の発生を抑えることができる。
また、本実施の形態によれば、ボールベアリング55の内輪55aが、ウォーム軸54に固定され、ボールベアリング55の外輪55bが、環状壁面51d1および環状底面81a1により挟持されているので、ボールベアリング55のみで、ウォーム軸54をその軸方向に支持することができる。
したがって、アーマチュア軸33の支持構造(図4参照)とは異なり、鋼球によりウォーム軸54の軸方向両側を支持させる必要が無く、つまりスラスト軸受が不要となり、ひいては部品点数の削減や小型軽量化等を図ることが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、軸受保持部材80が、底壁部81aおよび筒状壁部81bを有する有底筒状に形成され、底壁部81aの外側に、環状底面81a1が設けられ、筒状壁部81bの内側に、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に連結する連結部材70が収容されている。
これにより、連結部材70から発生する騒音の外部への漏洩が効果的に抑えられて、ひいてはサンルーフモータ20の静粛性をより向上させることができる。
また、本実施の形態によれば、筒状壁部81bの軸方向に沿う底壁部81aがある側とは反対側に、ヨーク31とギヤケース51との間に挟持されるフランジ部83が設けられている。
これにより、ヨーク31とギヤケース51とを組み付けるだけで、環状壁面51d1と環状底面81a1との間に、ボールベアリング55の外輪55bを挟持させることができる。したがって、サンルーフモータ20の組み付け性をより向上させることが可能となる。
さらに、本実施の形態によれば、ヨーク31および軸受保持部材80が金属製であり、軸受保持部材80とアーマチュア軸33との間に、導電部材90が設けられている。
これにより、アーマチュア軸33に伝達された電磁ノイズを、車両12のルーフ13に効果的に逃がす(ボディアースする)ことができる。よって、サンルーフモータ20から空中に放射される電磁ノイズが効果的に抑えられて、ひいては他の車載機器への悪影響を低減させることができる。
また、本実施の形態によれば、環状底面81a1の径方向内側に、当該環状底面81a1のボールベアリング55がある側とは反対側から、環状底面81a1のボールベアリング55がある側への摺動グリスGの移動を阻止する傾斜壁81a2が設けられている。
これにより、長期に亘りボールベアリング55のスムーズな動作を確保することができ、ひいてはサンルーフモータ20のメンテナンス周期を延ばすことが可能となる。
このように、本実施の形態におけるサンルーフモータ20の軸受保持部材80は、(1)ボールベアリング55を押さえる機能,(2)連結部材70等から発生する騒音が外部に漏洩するのを防止する機能,(3)サンルーフモータ20の内部で発生する電磁ノイズを効率良くボディアースする機能を備えている。
言い換えれば、本実施の形態によれば、軸受保持部材80のみで、上述の3つ作用効果(1)〜(3)の全てを奏することができる。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は実施の形態2を説明する図5に対応した図を示している。
図12に示されるように、実施の形態2のサンルーフモータ(モータ装置)100は、実施の形態1のサンルーフモータ20(図5参照)に比して、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に連結する連結部の構造のみが異なっている。実施の形態1では、連結部としての連結部材70を設け、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に連結していた。これに対し、実施の形態2では、連結部材70を廃止して、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに凹凸嵌合させて連結している。
具体的には、図12に示されるように、ウォーム軸54の長手方向基端側(図12中右側)には、当該ウォーム軸54の軸方向に窪んだ嵌合凹部101が設けられている。そして、この嵌合凹部101に、アーマチュア軸33の先端側に一体に設けられた差し込み部102が、圧入により強固に固定されている。これにより、アーマチュア軸33とウォーム軸54とが互いに動力伝達可能に連結される。ここで、嵌合凹部101および差し込み部102のA−A線に沿う断面形状は、それぞれ円形となっている。また、嵌合凹部101に対する差し込み部102の連結作業は、モータ部30とギヤ部50(図2参照)とを一体化する際に行われる。
なお、図12に示されるように、嵌合凹部101および差し込み部102の部分を形成する連結部JTが、本発明における連結部を構成している。また、嵌合凹部101および差し込み部102の断面形状は円形に限らず、三角形や四角形等の多角形形状であっても良い。この場合、アーマチュア軸33とウォーム軸54との連結強度を高めることができ、より大きな回転トルクのモータ装置にも適用可能となる。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、連結部材70を廃止して、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に一体化したので、部品点数を削減しつつメカノイズの発生をより抑えることができる。また、アーマチュア軸33の回転時において、当該アーマチュア軸33が軸方向に移動しようとしても、アーマチュア軸33はウォーム軸54と一体化されているので、その移動を阻止することができる。よって、これによってもメカノイズの発生が効果的に抑えられる。さらに、連結部材70を廃止した分、サンルーフモータ100の長さ寸法を詰めることができ、小型車両にも容易に搭載可能となる。
次に、本発明の実施の形態3について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図13は実施の形態3を説明する図5に対応した図を示している。
図13に示されるように、実施の形態3のサンルーフモータ(モータ装置)200は、実施の形態1のサンルーフモータ20(図5参照)に比して、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に連結する連結部の構造のみが異なっている。実施の形態1では、連結部としての連結部材70を設け、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに動力伝達可能に連結していた。これに対し、実施の形態2では、連結部材70を廃止して、アーマチュア軸33とウォーム軸54とを互いに揺動自在に凹凸係合させて連結している。
具体的には、図13に示されるように、ウォーム軸54の長手方向基端側(図13中右側)には、当該ウォーム軸54の軸方向に窪んだ係合凹部201が設けられている。そして、この係合凹部201に、アーマチュア軸33の先端側に一体に設けられた係合凸部202が、矢印SWに示されるように揺動自在に係合されている。これにより、アーマチュア軸33とウォーム軸54とが互いに動力伝達可能に連結される。ここで、係合凹部201および係合凸部202のB−B線に沿う断面形状は、それぞれ六角形となっている。また、係合凹部201に対する係合凸部202の係合作業は、モータ部30とギヤ部50(図2参照)とを一体化する際に行われる。
なお、図13に示されるように、係合凹部201および係合凸部202の部分は、所謂ボールポイントレンチの構造となっており、この係合部BPが、本発明における連結部を構成している。また、係合凹部201および係合凸部202の断面形状は六角形に限らず、アーマチュア軸33とウォーム軸54とが互いに揺動可能であれば、四角形や八角形等の多角形形状であっても良い。さらに、B−B線に沿う断面形状が多角形形状となった凹凸係合に限らず、互いに揺動可能なギヤ同士の係合による係合部BP(ギヤカップリング)であっても良い。
以上のように形成した実施の形態3においても、上述した実施の形態2と略同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態3では、アーマチュア軸33とウォーム軸54とが互いに揺動できるので、モータ部30とギヤ部50との組み立て精度が低い場合であっても、アーマチュア軸33およびウォーム軸54をスムーズに回転させることができる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態では、ルーフパネル11を開閉するサンルーフモータ20であるものを示したが、本発明はこれに限らず、他の車載用モータ(例えば、ワイパモータやパワーウィンドモータ等)にも適用することができる。
また、上記各実施の形態では、本発明における軸受部材がボールベアリング55であるものを示したが、本発明はこれに限らず、焼結金属等よりなる所謂メタルと呼ばれるラジアル軸受を用いることもできる。この場合、メタルの外周部分を外輪55b(図5参照)と同様にギヤケース51に固定し、メタルの内周部分にウォーム軸54を回転自在に支持させるようにし、さらにはウォーム軸54を軸方向に移動させないようにするために、当該ウォーム軸54の長手方向先端側に鋼球等を追加するようにする。
その他、上記各実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記各実施の形態に限定されない。