以下、本発明における第1実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は第1実施の形態に係るパワーウィンドモータの横断面図を示しており、このパワーウィンドモータ(モータ装置)10は、図示しない車両に設けられるパワーウィンド装置のアクチュエータとして用いられ、車体のドアの内部に装着されてレギュレータを介してウィンドガラスを開閉駆動するようになっている。パワーウィンドモータ10は、モータ本体11とフレームユニット12とを備えており、これらが1つのユニットとして組まれた減速機付きのモータ装置となっている。
図2は図1のモータ本体を示す斜視図を、図3は図2のブラシユニットを裏側から見た斜視図を、図4は図3のブラシ部分を拡大して示す斜視図をそれぞれ表している。
図1および図2に示すように、モータ本体11はヨークとしてのモータケース13を備えている。このモータケース13は導体である鋼板をプレス装置等により絞り加工することにより、断面が略小判形状に形成されており、その軸方向の一端が底壁部13aにより閉塞され他端が開口された有底円筒状に形成されている。モータケース13の開口端には、径方向に突出するフランジ部13bが設けられている。略小判形状のモータケース13は円弧面13dと平坦面13eとからなり、円弧面13dの内面には、図1に示すように、界磁部としての一対のマグネット15が互いに同極を向かい合わせて固定されており、各マグネット15の背面に位置する異極がモータケース13の円弧面13dと平坦面13eを磁路として平坦面13eにまで至ることで、平坦面13eには擬似的な異極が形成され、モータケース13とこれらのマグネット15により、モータケース13には磁界が形成されるようになっている。なお、フランジ部13bには、締結ねじ14が装着されるねじ孔13cが形成されている。
ここで、図示したモータケース13は、鋼板を絞り加工することにより容器状に形成しているが、これに限らず、例えば、樹脂材料を同様の容器状に形成するとともに、その内側に鋼板よりなる筒状のヨーク本体を固定し、このヨーク本体の内側に一対のマグネットを装着する構成としても良い。この場合、モータケースに換えてヨーク本体が磁界を形成する部材として機能するようになる。
モータケース13の内部にはアマチュア(電機子)16が回転自在に収容されており、このアマチュア16の回転中心には回転軸としてのアマチュア軸17が貫通して装着されている。このアマチュア軸17の一端は、モータケース13の底壁部13aの軸受支持部13fに設けられた軸受18によってラジアル方向が軸支され、軸受支持部13fの内面側に配されたスラストプレート18aと、アマチュア軸17とスラストプレート18aとの間に配されたスチールボール18bとによりスラスト方向が軸支されることでアマチュア軸17は当該モータケース13に回転自在に支持されている。
アマチュア軸17には各マグネット15により形成される磁界の内部に位置するようアマチュアコア19が固定されている。アマチュアコア19は導体である板状鋼材を軸方向に積層することにより略円柱状に形成されており、その外周に開口する複数のスロット19aが周方向に沿って設けられている。各スロット19aにはアマチュアコイル20がそれぞれ重ね巻により巻装されており、各アマチュアコイル20はアマチュアコア19、つまり、アマチュア軸17とともに回転するようになっている。
アマチュア軸17にはアマチュアコア19に対して軸方向に隣接してコミュテータ(整流子)21が固定されている。コミュテータ21は周方向に並ぶ複数のセグメント片(整流子片)21aを備えており、各セグメント片21aにはそれぞれ対応するアマチュアコイル20のコイル端が電気的に接続されている。
モータケース13の内部には、コミュテータ21を介して各アマチュアコイル20に駆動電流を供給するためのブラシユニット22が装着されている。図3に示すように、ブラシユニット22は、樹脂製のブラシホルダ23と当該ブラシホルダ23に保持される一対のブラシ24とを備えている。
ブラシホルダ23は、例えば、溶融した樹脂材料を射出成形することにより形成されており、図3に示すように、モータケース13の開口の内面形状に倣うよう一対の辺と一対の円弧とを有する略小判形状の外形に形成される環状のリング部23aと、このリング部23aの軸方向端部に一体に形成される板状のベース部23bとを備えている。そして、ブラシホルダ23は、ベース部23bが外側を向くようにしてリング部23aをモータケース13の内部に軽圧入することにより、モータケース13の内部に装着されるようになっている。
リング部23aには、軸方向(アマチュア軸17に平行な方向)に延びるとともに径方向外側に所定の高さで突出する複数のリブ25が設けられており、各リブ25をモータケース13の円弧面13dと平坦面13eにおける内面に摺接させることで、ブラシホルダ23はモータケース13に装着される。このとき、各リブ25がモータケース13の内面によって径方向内側に若干弾性変形されて、これによりブラシホルダ23はモータケース13の内面に軽圧入により装着されることになり、ブラシホルダ23がモータケース13から不用意に離脱することが防止される。
また、図1に示すように、モータケース13の円弧面13dにおける内面には、絞り加工により開口端から所定深さの位置に段差部26が設けられており、ブラシホルダ23はリング部23aの軸方向端部が当該段差部26に当接することにより、ベース部23bがモータケース13の開口端のフランジ部13bと略面一となるように、モータケース13の内部で軸方向に位置決めされるようになっている。
なお、図示においては、ブラシホルダ23をモータケース13に設けられる段差部26に当接させて当該モータケース13に対して軸方向に位置決めするようにしているが、これに限らず、例えば、各リブ25の径方向外側への突出量を増加させ、ブラシホルダ23をモータケース13に略面一となるよう強圧入により装着するようにしても良く、この場合、モータケース13の段差部26を省略することができる。
図1および図2に示すように、ベース部23bの中心には貫通孔27が設けられており、この貫通孔27にはメタル軸受28が装着されて当該メタル軸受28は、アマチュア軸17の他端を回転自在に支持するようになっている。これにより、モータケース13にブラシホルダ23を装着することで、アマチュア軸17の一端はモータケース13の底壁部13aに回転自在に支持され、他端はメタル軸受28を介してブラシホルダ23に回転自在に支持されるようになっている。このようにしてアマチュア16はモータケース13の内部で回転自在となり、一対のブラシ24に電源を供給することでモータ本体11を単体で作動させることができる。
図3および図4に示すように、ブラシホルダ23のモータケース13の内部側(図中上側)には、各ブラシ24を貫通孔27つまりアマチュア軸17(図1参照)に向けて移動自在に保持する一対のブラシケース29が一体的に形成されている。各ブラシケース29は、互いにアマチュア軸17の回転方向に沿って90度ずれるよう配置されており、したがって、各ブラシ24はコミュテータ21(図1参照)に対してその回転方向に沿って90度ずれた位置で摺接するようになっている。
ブラシホルダ23の各ブラシケース29の近傍、つまり、ベース部23bの略小判形状の一方の円弧側には、一対の支持突起30が一体的に形成されており、各支持突起30には、各ブラシ24をそれぞれコミュテータ21に向けて所定の弾性力で押圧する一対の押圧ばね31が装着されている。各押圧ばね31はコイル状に形成されており、その一端側には、各ブラシ24の背面側に当接して各ブラシ24をコミュテータ21に向けて押圧する押圧部31aがそれぞれ設けられている。また、ブラシホルダ23における各支持突起30の間には支柱23cが立設されており、各押圧ばね31の他端側に設けられた係止部31bをそれぞれ支柱23cの中間位置に設けられた段部にそれぞれ係止することで、各押圧部31aの反力が支柱23cによって受けられるように構成されている。
各ブラシケース29を形成する支持突起30側の側壁の径方向外側には、それぞれ傾斜面sfを有する第1突部32および、この第1突部32の下側で第1突部32よりも径方向外側への突出量が小さく設定されて、それぞれ凹面dfを有する第2突部33が一体的に形成されている。また、第1突部32と第2突部33との間には、各押圧ばね31の各押圧部31aが入り込む案内溝34がそれぞれ設けられている。
ここで、各第2突部33は、本発明における押圧ばね仮保持手段を構成しており、各第2突部33の図中下方側に形成される各凹面dfに、各押圧ばね31の各押圧部31aを引っ掛けておくことにより、各押圧ばね31を各ブラシ24に対して非押圧状態で仮保持可能となっている。
各ブラシケース29を形成する天井面35には、一端が各ブラシ24に電気的に接続される一対の導電線(ピッグテール)36がそれぞれ入り込むスリット35aが一体的に形成されている。なお、各導電線36の他端は、ブラシホルダ23にインサート成形によりインサートされた一対のブラシ側ターミナル37の一端側にスポット溶接等によって電気的に接続されている。
各ブラシ側ターミナル37は、例えば、銅板等の導電性を有する板材を所定形状に屈曲成形して形成されており、その他端側は、ベース部23bの略小判形状の他方の円弧側まで延びるよう配設されている。そして、各ブラシ側ターミナル37の他端側は、図2に示すように外部に露出してブラシホルダ側の端子接続部を構成し、フレームユニット12に対向するようになっている。
ブラシホルダ23の各ブラシケース29の近傍、つまり、ベース部23bの略小判形状の一方の円弧側には、モータ本体11の外部から解除治具T1(図2の二点鎖線参照)を挿通するための一対の治具挿通孔38が形成されている。各治具挿通孔38の軸方向には、各第2突部33の凹面dfに仮保持された各押圧ばね31の各押圧部31aが対向するようになっており、各解除治具T1を各治具挿通孔38に挿通して各押圧部31aを凹面dfから押し上げることで、各押圧ばね31の仮保持解除ができるようになっている。
図5は図1のフレームユニットを示す斜視図を、図6は図5のコネクタユニットを示す斜視図をそれぞれ表している。
図5に示すように、フレームユニット12は、減速機ユニット40とコネクタユニット41とを有しており、減速機ユニット40にコネクタユニット41を装着することにより、フレームユニット12として構成されるようになっている。
減速機ユニット40は、エンドケースとしての減速機ケース42を有している。この減速機ケース42は、樹脂材料等を射出成形することにより所定の形状に形成され、モータケース13の開口を閉塞する面には、コネクタユニット41を装着する際のガイドとなるガイド部42aとガイド部42bとが設けられている。また、減速機ケース42にはモータケース13の3箇所のねじ孔13cに対向して3箇所のねじ孔42cが設けられている。なお、符号42dは各ねじ孔42cの孔奥位置に図示しないにナット部材を挿入するためのナット孔である。そして、モータケース13の開口端つまりフランジ部13bに設けられた各ねじ孔13cから締結ねじ14(図1参照)を挿入し、減速機ケース42の各ねじ孔42cを介してナット孔42d内の図示しないナットと締結して、モータケース13の開口を閉塞するようになっている。ただし、減速機ケース42は樹脂製に限らず、例えば、アルミダイカスト製とすることもできる。
図1に示すように、減速機ケース42の内部には減速機構43が収容されている。この減速機構43は、所謂ウォームギヤ機構となっており、ウォーム軸44とウォームホイル45とを有している。
回転軸としてのウォーム軸44の外周には、ウォーム44aが一体的に形成されている。ウォーム軸44の両端部は、減速機ケース42に装着された軸受46,47によってラジアル方向が軸支されており、ウォーム軸44の他端は減速機ケース42に回転自在に支持されている。また、ウォーム軸44の軸受46側の端面には凹部を有し、その内部にスチールボール46aが設けられており、減速機ケース42側に配されたスラストプレート46bによってスラスト方向が軸支されている。
ウォーム軸44をアマチュア軸17に相対回転不能に連結するために、ウォーム軸44の減速機ケース42の開口側に位置する一端には、横断面が略長方形形状の連結凹部44bが設けられ、アマチュア軸17の先端には、横断面が略長方形形状の連結凸部17aが設けられている。これにより、減速機構43を収容した減速機ケース42つまりフレームユニット12を、モータ本体11のモータケース13に取り付けることで、連結凹部44bに連結凸部17aが差し込まれて、ウォーム軸44はアマチュア軸17に相対回転不能に連結される。
ウォームホイル45の回転中心には出力軸48が固定されており、この出力軸48は減速機ケース42に回転自在に支持されている。ウォームホイル45の外周には、ウォーム44aに噛み合うギヤ歯45aが形成されており、これにより、アマチュア軸17が回転すると、その回転がウォーム軸44とウォームホイル45とによって、所定の回転数にまで減速されて、その高トルク化された回転駆動力が出力軸48から外部に出力されるようになっている。
出力軸48の先端部分(図示せず)は、減速機ケース42から外部に突出されており、この出力軸48の減速機ケース42から突出した先端部分には、図示しないピニオン等が設けられ、パワーウィンド装置を構成するレギュレータ(図示せず)と連結されている。
コネクタ部材としてのコネクタユニット41は、樹脂材料等を射出成形することにより形成され、図6に示すように、本体部としての環状部49とこれと一体的に形成される給電用のコネクタ部としてのコネクタ接続部50とを備えている。そして、環状部49は、モータケース13と減速機ケース42との間に装着され、モータケース13と減速機ケース42とを、締結ねじ14(図1参照)を所定の締め付けトルクにより締結することで、モータケース13と減速機ケース42との間で挟持固定されている。
環状部49は、ブラシホルダ23のベース部23bの外形形状に合わせた略小判形状の外形を有する環状に形成されており、この環状部49の内側には当該環状部49と一体的にアマチュア軸17の軸方向に垂直な平板状の平板部51が設けられている。この平板部51には、減速機ケース42側に向けて軸方向に突出する一対のスカート部52,53が一体的に設けられており、環状部49がガイド部42aによってガイドされるとともに、各スカート部52,53が減速機ケース42の開口に挿入されることにより、コネクタユニット41は減速機ケース42に装着されるようになっている。
各スカート部52,53の外周には、それぞれ軸方向に延びるとともに径方向外側に所定の高さで突出する複数のリブ54が設けられ、各スカート部52,53は、各リブ54が減速機ケース42の内面に接して径方向内側に押圧されて若干弾性変形しつつ減速機ケース42に挿入される。これにより、コネクタユニット41は減速機ケース42に軽圧入により装着されることになり、減速機ケース42から不用意に離脱することがない。
平板部51の中心には貫通孔55が設けられ、モータ本体11にフレームユニット12が組み付けられたときには、アマチュア軸17はこの貫通孔55を貫通してウォーム軸44に連結されるようになっている。
コネクタユニット41の一方のスカート部53の内側、つまり、コネクタユニット41の減速機ケース42側には、平板部51から所定距離離れるとともに当該平板部51と平行となるようセンサ基板56が装着されている。このセンサ基板56には回転検出センサとして一対のホールセンサ57が搭載されており、各ホールセンサ57は、アマチュア軸17に固定されるリングマグネット58(図1参照)と軸方向に対向するよう配置されている。このリングマグネット58は周方向に等間隔に並ぶ複数の磁極を有しており、これにより、アマチュア軸17が回転すると各ホールセンサ57からアマチュア軸17の回転数に反比例した周期のパルス信号が出力されるようになっている。また、各ホールセンサ57は互いに回転方向に位相を90度ずらして配置されており、これにより、各ホールセンサ57から出力されるパルス信号の発生順に基づいてアマチュア軸17の回転方向を検出することができるようになっている。
各ホールセンサ57には、センサ基板56にプリントされたプリント配線(図示せず)を介して、コネクタユニット41にインサート成形によりインサートされた4つのセンサ用ターミナルC1〜C4の一端側が電気的に接続されている。また、各センサ用ターミナルC1〜C4の他端側は、コネクタ接続部50の内部に突出され、図示しない外部給電コネクタに内装されたセンサ線に接続される外部接続端子とされ、これにより、各ホールセンサ57が出力するパルス信号は、外部給電コネクタを介してモータ制御用の制御装置(図示せず)に入力される。そして、制御装置は、入力されたパルス信号から認識されるアマチュア軸17の回転速度や回転方向に基づいて、モータ本体11の作動を制御するようになっている。なお、4つのセンサ用ターミナルC1〜C4のうち、2つのセンサ用ターミナルは各ホールセンサ57を駆動するための電源線として機能し、他の2つのセンサ用ターミナルは各ホールセンサ57からの検出信号が流れる信号線として機能するようになっている。
コネクタ接続部50は、図6に示すように一端が開口する断面矩形の箱形状に形成されており、連結部59を介して環状部49と一体的に形成されている。また、コネクタ接続部50は、図1に示すように、減速機ケース42に隣接して減速機ケース42およびモータケース13の外側に配置されており、減速機ケース42側から車両側に設けられる外部給電コネクタ(図示せず)に接続されるようになっている。なお、コネクタユニット41が減速機ケース42に装着される際に、連結部59はガイド部42bによってガイドされるとともに所定位置に位置決めされるようになっている。
コネクタユニット41には、例えば、銅板等の導電性を有する板材を所定形状に屈曲成形して形成される一対のコネクタ側ターミナル60がインサート成形によりインサートされており、各コネクタ側ターミナル60の一端側は、図5に示すように、環状部49の内側に配置されて、モータ本体11側にその一部が突出されている。そして、各コネクタ側ターミナル60の一端側は、モータ本体11にフレームユニット12を組み付けたときに、各コネクタ側ターミナル60に対応する各ブラシ側ターミナル37(図2参照)の他端側とそれぞれ電気的に接続されるようになっている。
また、各コネクタ側ターミナル60の他端側は、コネクタ接続部50の内部に突出されており、これにより、コネクタ接続部50に外部給電コネクタが接続されると、外部給電コネクタに内装された給電線(図示せず)に各コネクタ側ターミナル60の他端側が接続されるようになっている。
図5に示すように、コネクタユニット41の平板部51には、モータ本体11側に向けて突出する一対の主係合突起61と副係合突起62とが一体的に設けられている。各主係合突起61は、図2に示す各治具挿通孔38に対応して略同様の形状に形成されている。また、ブラシホルダ23のベース部23bには、副係合突起62に対応して略同様の形状に形成された係合孔63が設けられている。そして、コネクタユニット41の各主係合突起61をブラシホルダ23の各治具挿通孔38に係合させるとともに、副係合突起62を係合孔63に係合させることにより、コネクタユニット41はブラシホルダ23に対して位置決めされるようになっている。
次に、以上のように構成したパワーウィンドモータ10の製造方法について、図面を用いて詳細に説明する。
図7はモータ本体の組み立て工程を説明する説明図を、図8(a),(b),(c)は押圧ばねの仮保持解除の手順を説明する説明図を、図9(a),(b),(c)は図8のそれぞれのA−A線に沿う断面図を、図10はフレームユニットの組み立て工程を説明する説明図を、図11はモータ本体とフレームユニットとの組み立て工程を説明する説明図をそれぞれ表している。
パワーウィンドモータ10は、図7および図10に示すように、モータ本体11とフレームユニット12とは互いに別々の製造ラインで、つまりモータ本体11の製造工程とフレームユニット12の製造工程とが並行に進められるパラレル方式により製造される。
図7に示すように、モータ本体11の製造工程においては、まず、モータケース13の組み立て工程において、モータケース13の内面に一対のマグネット15(図1参照)を図示しない接着剤等によって固定するとともに、モータケース13の底壁部13aに設けられた軸受支持部13fに軸受18(図1参照)を装着する。なお、軸受18は予めアマチュア軸17の端部に固定するよう構成してもよい。次に、アマチュア16の組み立て工程において、アマチュア軸17にコミュテータ21とアマチュアコア19とを固定するとともに、アマチュアコア19にアマチュアコイル20を巻装し、そのコイル端をコミュテータ21にそれぞれ接続してアマチュア16を組み立てる。
次に、ブラシホルダ23の組み立て工程において、ブラシホルダ23の各ブラシケース29に、各ブラシ24をそれぞれ組み付ける。このとき、各導電線36はある程度のばね性を有しており、図8(a)に示すように、各導電線36を所定方向に屈曲させることで、図中矢印方向、つまり、径方向外側に各ブラシ24を移動させて当該位置にて保持させることができる。
その後、各支持突起30に各押圧ばね31をそれぞれ装着する。このとき、各押圧ばね31は、その押圧部31aが第1突部32の傾斜面sf上を滑るように移動するため、容易に装着することができる。そして、各押圧ばね31の各支持突起30への装着を進めていくと、図9(a)に示すように、第1突部32の径方向外側への突出高さが第2突部33の径方向外側への突出高さよりも高く設定されていることから、押圧部31aは案内溝34を乗り越えて第2突部33の凹面dfに配置される。なお、この装着作業と同時に各係止部31bは支柱23cの段部に係止される。これにより、各押圧ばね31は仮保持状態とされて、ブラシホルダ23の組み立てが完了する。
そして、モータケース13,アマチュア16およびブラシホルダ23に加え、リングマグネット58を準備し、図7の矢印に示すようにそれぞれを組み付けていく。その後、各押圧ばね31が仮保持状態とされたモータ本体11を図示しない着磁装置にセットし、当該着磁装置を用いて各マグネット15の着磁作業を実施する。このとき、各押圧ばね31は仮保持状態とされ、各ブラシ24はコミュテータ21と離間した状態となっているので、着磁作業中における各ブラシ24とコミュテータ21との間での不要なスパーク発生を防止できるようになっている。
続いて、図8および図9の(a)〜(c)に示すように、着磁作業を終えたモータ本体11の各押圧ばね31における仮保持状態を解除する。つまり、解除治具T1を治具挿通孔38に外部から挿通させ、解除治具T1の先端を押圧ばね31の押圧部31aに臨ませて当接させる。次に、解除治具T1の治具挿通孔38への挿通作業を継続して行い、押圧部31aを凹面dfから図中上方へ移動させる。このとき、凹面dfは緩やかな円弧形状に形成されているので、当該移動作業を容易に行えるようになっている。引き続き、解除治具T1の治具挿通孔38への挿通作業を継続して行うことで押圧部31aが案内溝34に導かれて、押圧部31aがブラシ24の背面側に当接するとともに、押圧ばね31の弾性力がブラシ24に付与されて、ブラシ24が図中矢印に示す方向、つまり、コミュテータ21に向けて移動される。その後、解除治具T1を図中矢印に示すように治具挿通孔38から抜き取ってモータ本体11の組み立てが完了する。
組み立てが完了したモータ本体11は、単体で回転可能に構成されているため、モータ本体11が完成した時点でモータ本体11の作動チェックを実施する。つまり、図2に示すブラシホルダ23における外部に露出したブラシ側ターミナル37の他端側に、図示しない作動チェック用電源装置の端子を接続し、モータ本体11の作動状態(回転状態)を検査する。このように、モータ本体11の作動チェックを単体で実施することにより、パワーウィンドモータ10として組み立てる前にモータ本体11の良否を検査することができるので、製造過程における歩留まりを向上させることが可能となっている。
一方、図10に示すように、フレームユニット12の製造工程においては、まず、図中矢印に示すように、スラストプレート46b,軸受46,ウォーム軸44,軸受47の順で減速機ケース42組み込んでいく。その後、出力軸48が装着されたウォームホイル45を、ウォーム44aとギヤ歯45aとが噛み合うよう位置決めした状態で、減速機ケース42に組み込んで、これにより、減速機ユニット40の組み立てが完了する。
次に、各センサ用ターミナルC1〜C4および各コネクタ側ターミナル60をインサート成形するとともに、所定形状にコネクタユニット41を形成する(図6参照)。その後、各ホールセンサ57が装着されたセンサ基板56をスカート部53に装着し、これにより、コネクタユニット41の組み立てが完了する。
そして、減速機ユニット40とコネクタユニット41を準備して、図中矢印に示すように減速機ユニット40にコネクタユニット41を組み付けて、これにより、フレームユニット12の組み立てが完了する。
図11に示すように、パワーウィンドモータ10の組み立て工程においては、まず、完成したモータ本体11とフレームユニット12とを準備する。次に、モータケース13と減速機ケース42との間でコネクタユニット41の環状部49を挟持するようにして、モータ本体11とフレームユニット12とを複数の締結ねじ14により固定する。ここで、締結ねじ14は、所定の締め付けトルクによりねじ結合させ、これにより、モータ本体11と環状部49および環状部49とフレームユニット12を、相互に隙間無く密着させて密閉性を確保するようにする。
このとき、ウォーム軸44の連結凹部44bにアマチュア軸17の連結凸部17a(図1参照)をその形状が整合するように差し込み、ウォーム軸44をアマチュア軸17に相対回転不能に連結するようにする。また、これと同時に、コネクタユニット41のコネクタ側ターミナル60の一端側を、ブラシホルダ23のブラシ側ターミナル37の他端側に電気的に接続するようにする。これにより、モータ本体11にフレームユニット12が組み付けられて、パワーウィンドモータ10の組み立てが完了する。
以上詳述したように、第1実施の形態に係るパワーウィンドモータ10によれば、ブラシホルダ23とコネクタユニット41とを別体とし、ブラシホルダ23にはブラシ24に電気的に接続されるブラシ側ターミナル37を装着するとともに、コネクタユニット41にはブラシ側ターミナル37に電気的に接続されるコネクタ側ターミナル60を装着し、パワーウィンドモータ10の組み立て時においてブラシ側ターミナル37とコネクタ側ターミナル60とを電気的に接続させることができる。
したがって、ブラシホルダ23上には従前よりも大きなスペースを確保することができ、押圧ばね31やブラシケース29などを任意位置に比較的自由に配置することが可能となり、ブラシホルダ23の設計自由度の向上を図ることができる。また、モータ本体11を単体で回転可能に構成したので、モータ本体11を共通化して、例えば、センサレスのモータ装置や減速機構43を備えないモータ装置等、他の製品へ流用することが可能となり、ブラシホルダ23等の部品の流用性を高めることが可能となる。これとは逆に、回転特性等の仕様が異なるモータ本体11を準備することにより、モータ仕様の変更に容易に対応することが可能となる。
また、第1実施の形態に係るパワーウィンドモータ10によれば、コネクタユニット41には、コネクタユニット41の減速機ケース42側でアマチュア軸17の回転を検出するホールセンサ57と、一端側がホールセンサ57に電気的に接続され他端側が外部給電コネクタに内装されたセンサ線に電気的に接続されるセンサ用ターミナルC1〜C4とを設けたので、ブラシホルダ23の形状を変更することなく、回転検出機能を備えた仕様のモータ装置に対応できる。
さらに、第1実施の形態に係るパワーウィンドモータ10によれば、ブラシホルダ23を、一対の辺と一対の円弧とを有する略小判形状に形成し、当該ブラシホルダ23の一方の円弧側に治具挿通孔38を配置し、他方の円弧側にブラシ側ターミナル37の他端側を配置したので、ブラシホルダ23上の限られたスペースに効率的に解除治具T1を挿通する治具挿通孔38とブラシ側ターミナル37とを配置することができる。
また、第1実施の形態に係るパワーウィンドモータ10によれば、コネクタユニット41を、外部給電コネクタに接続されるコネクタ接続部50および当該コネクタ接続部50に一体的に設けられる環状部49とから形成し、環状部49の内側にコネクタ側ターミナル60の一端側を配置するとともに、環状部49をモータケース13と減速機ケース42とで挟持固定したので、環状部49をモータケース13と減速機ケース42とのそれぞれに密着させて、環状部49の内側に配置されるコネクタ側ターミナル60を埃や雨水等から確実に保護することができる。
さらに、第1実施の形態に係るパワーウィンドモータ10によれば、回転軸をアマチュア軸17とウォーム軸44とから形成するとともに、エンドケースをウォーム軸44およびウォームホイル45を収容する減速機ケース42とし、アマチュア軸17とウォーム軸44とを相対回転不能に連結したので、アマチュア軸17およびウォーム軸44の回転を、ウォームホイル45を介して減速し、外部にその高トルク化された回転駆動力を出力することができ、小型でありながら比較的重量が嵩むウィンドガラスを昇降させることが可能となる。
次に、本発明における第2実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の第1実施の形態と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図12は第2実施の形態に係るモータ本体を示す斜視図を、図13は図12のブラシユニットを裏側から見た斜視図をそれぞれ表している。
第2実施の形態に係るモータ本体70は、上述した第1実施の形態に比して、着磁装置による着磁作業中の各ブラシ24とコミュテータ21との間でのスパーク発生を、より確実に防止できるようにした点が異なっている。
図12に示すように、ブラシホルダ23のベース部23bにおける貫通孔27の近傍には、ベース部23bを貫通するように略円弧形状の貫通スリット71が形成されており、この貫通スリット71には、着磁作業中に絶縁治具T2が挿入されるようになっている。この絶縁治具T2は、例えば、樹脂材料等により形成されており、図13に示すように、各押圧ばね31の仮保持状態、つまり、各ブラシ24が径方向外側に位置している状態において、各ブラシ24とコミュテータ21との間に介在されるようになっている。
そして、図13に示す状態のもとで着磁作業を実施し、この着磁作業を終えた後に、貫通スリット71から絶縁治具T2を引き抜くとともに、上述のように解除治具T1により各押圧ばね31の仮保持を解除して、次工程のモータ本体70の作動チェックを実施するようにしている。
以上のように構成したモータ本体70を有する第2実施の形態に係るパワーウィンドモータにおいても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第2実施の形態によれば、着磁作業時に各ブラシ24とコミュテータ21との間に絶縁治具T2を介在させるので、着磁作業中の各ブラシ24とコミュテータ21との間でのスパーク発生をより確実に防止することができる。
次に、本発明における第3実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の第1実施の形態と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図14は第3実施の形態に係るフレームユニットを示す斜視図を表している。
第3実施の形態に係るフレームユニット80は、上述した第1実施の形態に比して、解除治具T1を用いずに、フレームユニット80をモータ本体11に装着する際に、自動的に各押圧ばね31(図3参照)を仮保持解除できるようにした点が異なっている。
図14に示すように、コネクタユニット41の平板部51には、モータ本体11側に向けて突出する一対の主係合突起81が一体的に設けられている。各主係合突起81は、本発明における治具として機能するものであり、治具挿通孔38に挿通された際に、各押圧ばね31(図3参照)の仮保持解除が可能な長さ寸法、つまり、上述した解除治具T1の長さ寸法と略同一の長さ寸法となるように形成されている。これにより、フレームユニット80をモータ本体11に組み付ける際に、各押圧ばね31の仮保持解除ができるようになっている。
以上のように構成したフレームユニット80を有する第3実施の形態に係るパワーウィンドモータにおいても、モータ本体11を単体で作動チェックすることを除き、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第3実施の形態によれば、解除治具T1による各押圧ばね31の仮保持解除の作業(例えば図8参照)が不要となるので、製造工程を簡素化することが可能となる。
次に、本発明における第4実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の第1実施の形態と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図15は第4実施の形態に係るブラシユニットを裏側から見た斜視図を、図16は図15のブラシユニットが組み込まれたモータ本体を示す斜視図をそれぞれ表している。
第4実施の形態に係るブラシユニット90は、上述した第1実施の形態に比して、ブラシユニット90を構成するブラシホルダ23のベース部23bに、貫通孔27を中心に一対のブラシケース29を対向配置するとともに、貫通孔27を中心に一対のブラシ側ターミナル37の他端側を対向配置した点が異なっている。つまり、各ブラシケース29のそれぞれと各ブラシ側ターミナル37の他端側のそれぞれとを、アマチュア軸17の回転方向に沿って180度ずれるよう配置した点が異なっている。
各ブラシケース29には、それぞれブラシ24が移動自在に保持されており、各ブラシケース29は、ベース部23bの略小判形状の対向する一対の円弧側にそれぞれ一体的に形成されている。これに伴い、各ブラシケース29の近傍には、それぞれ押圧ばね31が装着される支持突起30および解除治具T1(図16参照)が挿通される治具挿通孔38が一体的に形成されている。なお、図15においては一対の治具挿通孔38のうちの一方側のみを示している。
各ブラシ24に電気的に接続される一対のブラシ側ターミナル37は、各導電線36,ターミナル部材39,チョークコイル91,コンデンサ92,サーキットブレーカ93等を介して、それぞれスポット溶接等によって電気的に接続されている。ここで、ターミナル部材39は、ブラシホルダ23の貫通孔27を中心に対向するようベース部23bと一体的に設けられた一対のインサート部94にインサート成形等によりインサートされている。
図16に示すように、各ブラシ側ターミナル37の他端側は、貫通孔27を中心にベース部23bの略小判形状の対向する一対の辺側にそれぞれ配置されており、ブラシホルダ23から外部に露出してブラシホルダ側の端子接続部を構成し、フレームユニット12(図5参照)に対向するようになっている。ここで、第4実施の形態に係るブラシユニット90においては、各ブラシ側ターミナル37の他端側を、貫通孔27を中心にベース部23bの一対の辺側にそれぞれ配置しているので、上述の第1実施の形態に係る各ブラシ側ターミナル37の他端側よりも離間して設けられることになる。したがって、各ブラシ側ターミナル37の他端側の間隔に対応させるようにして、コネクタユニット41にインサート成形される一対のコネクタ側ターミナル60(図5参照)を設けるようにする。なお、チョークコイル91,コンデンサ92は各ブラシ24を介して外部に放射される電気ノイズを吸収する役割を果たすものであり、サーキットブレーカ93は過電流からパワーウィンドモータ10を保護する電気素子となっている。
また、第4実施の形態においても、上述した第1実施の形態と同様に、各ブラシケース29の径方向外側には、それぞれ傾斜面sfを有する第1突部32および、この第1突部32の下側で第1突部32よりも径方向外側への突出量が小さく設定されて、それぞれ凹面dfを有する第2突部33が一体的に形成されており、同様の機能を奏するようになっている。
以上のように構成したブラシユニット90を有する第4実施の形態に係るパワーウィンドモータにおいても、上述した第1実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第4実施の形態によれば、ブラシホルダ23の一対の円弧側に貫通孔27を中心に治具挿通孔38をそれぞれ対向配置し、ブラシホルダ23一対の辺側に貫通孔27を中心にブラシ側ターミナル37の他端側をそれぞれ対向配置したので、各ブラシ24に電気的に接続される各導電線36や各チョークコイル91等についてもそれぞれ離間させてブラシホルダ23に配置でき、したがって、これらの電子部品をブラシホルダ23に対して組み付け易くすることが可能となる。
次に、本発明における第5実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述の第1実施の形態と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図17は第5実施の形態に係るブラシユニットを裏側から見た斜視図を、図18(a),(b),(c),(d)は図17のB−B線に沿う断面図をそれぞれ表している。
第5実施の形態に係るブラシユニット100は、図17に示すように、上述した第4実施の形態に比して、チョークコイル91およびコンデンサ92、つまり電気ノイズ吸収機能を省略して構造を簡略化し、各ブラシケース29に、押圧ばね31の押圧部31aを第2突部33の凹面dfに誘導する爪部(押圧ばね誘導手段)101をそれぞれ設けた点が異なっている。
各爪部101は、各ブラシケース29の第1突部32の先端側、つまり各ブラシケース29の径方向外側において、各ブラシケース29の第2突部33側に向くよう一体的に設けられている。各爪部101は、各押圧ばね31の各押圧部31aが入り込む案内溝34を各ブラシケース29の径方向外側から覆っており、その先端側(図中下側)は、各第2突部33の各凹面dfにまで臨んでいる。ただし、各爪部101の長さ寸法は各凹面dfにまで臨む長さ寸法にしなくとも、押圧部31aを案内溝34に落とさずに凹面dfに誘導し得る長さ寸法に設定すれば良い。
図18に示すように、各爪部101と各第2突部33との間の隙間寸法(図中左右方向の隙間寸法)は、各押圧ばね31の各押圧部31aが通過し得る寸法、つまり各押圧ばね31の線径寸法よりも大きな寸法に設定されている。
次に、ブラシユニット100における各押圧ばね31の装着状態および仮保持解除状態について説明する。まず、各支持突起30にそれぞれ押圧ばね31を装着する。このとき、図18(a)に示すように、各押圧ばね31の押圧部31aが第1突部32の傾斜面sf上を滑るように移動して、その後、図中矢印に示すように爪部101上を滑るように移動する。各支持突起30への押圧ばね31の装着を継続して行うと、図18(b)の矢印に示すように、押圧部31aは爪部101に誘導されて当該爪部101から脱落し、第2突部33の凹面dfに配置される。これにより、各押圧ばね31を仮保持状態とすることができる。
次に、各押圧ばね31の仮保持状態を解除する。まず、図18(c)の矢印に示すように解除治具T1を治具挿通孔38に外部から挿通させ、解除治具T1の先端を押圧ばね31の押圧部31aに臨ませて当接させる。その後、解除治具T1の治具挿通孔38への挿通作業を継続して行い、押圧部31aを凹面dfから図中上方へ移動させ、爪部101と第2突部33との間に移動させる。引き続き、図18(d)に示すように、解除治具T1の治具挿通孔38への挿通作業を継続して行い、解除治具T1の先端側(図中上側)を爪部101と第2突部33との間に挿入する。これにより、押圧部31aが案内溝34に導かれて、押圧部31aがブラシ24の背面側に当接するとともに、押圧ばね31の弾性力がブラシ24に付与されて、ブラシ24が図中矢印に示す方向、つまり、コミュテータ21に向けて移動される。その後、解除治具T1を図中矢印に示すように治具挿通孔38から抜き取る。
以上のように構成したブラシユニット100を有する第5実施の形態に係るパワーウィンドモータにおいても、上述した第1実施の形態および第4実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、第5実施の形態によれば、ブラシホルダ23は、押圧ばね31をブラシホルダ23に装着する際に、押圧ばね31を第2突部33に誘導する爪部101を有するので、押圧ばね31を第2突部33に確実に保持させることができる。したがって、パワーウィンドモータ10の組み立て作業性を向上させることが可能となる。
本発明は上記各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記各実施の形態おいては、モータ本体11にフレームユニット12を組み付けたパワーウィンドモータ10に本発明を適用したが、本発明はこれに限らず、例えば、減速機構43を備えないモータ装置に本発明を適用することもできる。この場合、モータケース13の開口端には減速機ケース42に換えてエンドケースが固定される。
また、上記各実施の形態においては、モータ装置として、パワーウィンド装置のパワーウィンドモータ10に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、車体に設けられるスライドドア,バックドア,サンルーフ等の開閉体を開閉駆動する車両用開閉体の駆動装置におけるモータ装置としても適用することができる。
さらに、上記各実施の形態においては、回転軸としてアマチュア軸17とウォーム軸44とを別体とし、両者を相対回転不能に連結したものを示したが、本発明はこれに限らず、各ユニットの組み立て手順を変更して、アマチュア軸17を減速機ケース42の内部にまで達する長さ寸法に形成し、当該アマチュア軸17の先端側にウォーム44aを一体に形成するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態においては、ブラシホルダ23に一対のブラシ24を保持するとともに、コネクタユニット41に一対のコネクタ側ターミナル60を設け、ブラシホルダ23には一対のコネクタ側ターミナル60に対向して一対のブラシ側ターミナル37を設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ワイパ装置の駆動源として用いられるワイパモータのように、共通ブラシ,低速運転用ブラシおよび高速運転用ブラシの3つのブラシをブラシユニット22に設けるようにしても良い。この場合、ブラシホルダ23に3つのブラシを設けるとともに、コネクタユニット41に3つのコネクタ側ターミナルを設け、ブラシホルダ23には3つのコネクタ側ターミナルに対向して3つのブラシ側ターミナルを設けるようにする。