以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態であるパワーウインドモータの横断面図であり、ブラシ付き電動モータとしてのパワーウインドモータ11は、図示しない車両に設けられるパワーウインド装置の駆動源として用いられるものであり、車体のドアの内部に装着されてレギュレータを介してウインドガラスを開閉駆動する。
このパワーウインドモータ11は、モータ本体12とフレームユニット13とを備えており、これらが1つのユニットとして組まれた減速機付き電動モータとなっている。
図2は図1に示すモータ本体の詳細を示す斜視図であり、モータ本体12のステータ14はモータケースとしてのモータヨーク15を備えている。モータヨーク15は導体である鋼板をプレス装置等により絞り加工することにより、断面が略小判形であってその軸方向の一端が開口し他端が底壁部15aにより閉塞された有底筒状に形成されており、その開口端には径方向に突出するフランジ部15bが設けられている。小判形のモータヨーク15は円弧面15eと平坦面15fとからなり、円弧面15eの内面には、図1に示すように、界磁部としての一対のマグネット16が互いに同極を向かい合わせて固定されており、各マグネット16の背面に位置する異極がモータヨーク15の円弧面15eと平坦面15fを磁路として平坦面15fにまで至ることで、平坦面15fには擬似的な異極が形成され、モータヨーク15とこれらのマグネット16により、モータヨーク15には磁界が形成されるようになっている。なお、フランジ部15bには3箇所のねじ孔15dが開設されている。
なお、図示する場合では、モータケースとして、鋼板を絞り加工して形成される容器状のモータヨーク15を用いるようにしているが、これに限らず、例えば鋼板により筒状に形成されたヨーク本体の一端を樹脂等により形成される蓋部材により閉塞して容器状としたものをモータケースとして用いるようにしてもよい。
モータヨーク15の内部にはアマチュア17(電機子)が収容されており、このアマチュア17はアマチュア軸18を備え、このアマチュア軸18はその一端においてモータヨーク15の底壁部15aの軸受支持部15cに設けられる軸受21によりラジアル方向が軸支され、軸受支持部15cの内面側に配されたスチールプレート21aとアマチュア軸18とスチールプレート21aの間に配されたスチールボール21bによってスラスト方向が軸支されることでアマチュア軸18は当該モータヨーク15に回転自在に支持されている。
アマチュア軸18にはマグネット16による磁界の内部に位置するようにアマチュアコア19が固定されている。アマチュアコア19は導体である板状鋼材を軸方向に積層することにより円柱状に形成されており、その外周に開口する複数のスロット19aが周方向に並べて設けられている。各スロット19aには複数のアマチュアコイル22が重ね巻により装着されており、これらのアマチュアコイル22はアマチュアコア19つまりアマチュア軸18とともに回転するようになっている。
アマチュア軸18にはアマチュアコア19に対して軸方向に隣接してコミュテータ(整流子)23が固定されている。コミュテータ23は周方向に並ぶ複数のセグメント片(整流子片)23aを備えており、各セグメント片23aにはそれぞれ対応するアマチュアコイル22のコイル端が電気的に接続されている。
モータヨーク15の内部には、コミュテータ23を介して各アマチュアコイル22に駆動電流を供給するために、ブラシユニット24が装着されている。
図3は図1に示すブラシユニットの詳細を示す斜視図であり、図4はブラシホルダのモータヨークの内部への位置決め構造を示す断面図である。
図3に示すように、このブラシユニット24は樹脂製のブラシホルダ25とブラシホルダ25に保持される一対のブラシ26とを備えている。
このブラシホルダ25は樹脂材料を射出成形して形成されており、図3に示すように、モータヨーク15の開口の内面形状に合わせた略小判形の外形に形成される環状のリング部25aと、このリング部25aの軸方向端部に一体に形成される板状のベース部25bとを備えている。そして、ブラシホルダ25は、ベース部25bが外側を向くようにリング部25aの側からモータヨーク15の内部に挿入されることによりモータヨーク15の内部に装着されるようになっている。
リング部25aの外周には軸方向(アマチュア軸18に平行な方向)に延びるとともに径方向外側に所定の高さで突出する複数のリブ27が設けられており、図4に示すように、ブラシホルダ25はこれらのリブ27がモータヨーク15の円弧面15eと平坦面15fにおける内面に摺接するようにモータヨーク15に装着される。このとき、各リブ27は、モータヨーク15の内面に接することにより、径方向内側に若干弾性変形する。これにより、ブラシホルダ25はモータヨーク15の内面に軽圧入により装着されることになり、ブラシホルダ25がモータヨーク15から不用意に離脱することが防止される。また、図4に示すように、モータヨーク15の円弧面15eにおける内面には絞り加工により開口端から所定深さに位置して軸方向に垂直な当接面28aを備える段差部28が設けられており、ブラシホルダ25はリング部25aの軸方向端部が当該段差部28つまり当接面28aに当接することにより、ベース部25bがモータヨーク15の開口端のフランジ部15bとほぼ面一となるように、モータヨーク15の内部に軸方向に位置決めされるようになっている。
なお、図示する場合では、ブラシホルダ25をモータヨーク15に設けられる段差部28の当接面28aに当接させて当該モータヨーク15の内部に位置決めするようにしているが、これに限らず、例えば、各リブ27の径方向外側への突出量を増すこと等により、ブラシホルダ25をモータヨーク15の内部に圧入により装着するようにして、当該圧入によりブラシホルダ25をモータヨーク15の内部に位置決めするようにしてもよい。
図2、図3に示すように、ベース部25bの軸心には貫通孔31が設けられており、この貫通孔31には軸受(メタル軸受)32が装着され、アマチュア軸18の他端側はこの軸受32により回転自在に支持されるようになっている。このように、モータヨーク15にブラシホルダ25が装着されると、アマチュア軸18はその一端がモータヨーク15の底壁部15aに回転自在に支持されるとともにその他端側がブラシホルダ25に回転自在に支持されるようになっている。これにより、モータ本体12に後述するフレームユニット13が取り付けられなくても、アマチュア17はモータヨーク15の内部で回転自在となり、一対のブラシ26に電源を供給することでモータ本体12を単体で作動させることができる。
図3に示すように、一対のブラシ26は互いにアマチュア軸18の回転方向に90度ずれて配置されており、それぞれリング部25aにおいてブラシホルダ25に保持されるようになっている。そして、モータヨーク15にブラシホルダ25が装着されると、図1に示すように、コミュテータ23はブラシホルダ25のリング部25aの内側に配置され、一対のブラシ26はそれぞれコミュテータ23(セグメント片23a)の外周面に摺接するようになっている。また、各ブラシ26はそれぞれコミュテータ23に接近・離反する方向に進退移動自在となっており、それぞれリング部25aに装着されるスプリング33によって付勢されてコミュテータ23の外周面に弾性的に摺接するようになっている。
図5は図1に示すフレームユニット13の詳細を示す斜視図であり、図6は図5に示すコネクタユニット42の詳細を示す斜視図である。
図5に示すように、フレームユニット13は減速機41とコネクタユニット42とを有しており、減速機41にコネクタユニット42が装着されるとフレームユニット13として構成されるようになっている。
減速機41はエンドケースとしてのギヤケース43を有している。このギヤケース43は樹脂材料の射出成形により所定の形状に形成され、モータヨーク15の開口を閉塞する面には、コネクタユニット42を装着する際のガイドとなるガイド部43aとガイド部43bとが設けられている。また、ギヤケース43にはモータヨーク15の3箇所のねじ孔15dに対向して3箇所のねじ孔43cが設けられている。なお、符号43dは各ねじ孔43cの孔奥位置に図示しないにナット部材を挿入するためのナット孔である。そして、モータヨーク15の開口端つまりフランジ部15bに設けられた各ねじ孔15dから締結部材(ボルト等)44を挿入し、ギヤケース43の各ねじ孔43cを介してナット孔43d内の図示しないナットと締結することにより、ギヤケース43はモータヨーク15の開口端に取り付けられ、当該モータヨーク15の開口を閉塞するようになっている。
図1に示すように、ギヤケース43の内部には減速機構45が収容されている。この減速機構45はいわゆるウォームギヤ機構となっており、ウォーム軸46とウォームホイル47とを有している。
ウォーム軸46はその両端部を軸受48,49によりラジアル方向が軸支されてギヤケース43に回転自在に収容されており、その外周にはウォーム46aが一体に形成されている。また、ウォーム軸46の軸受49側の端面には凹部が形成され、その内部にスチールボール49aが設けられており、ギヤケース43側に配されたスラストプレート49bによってスラスト方向が軸支されている。ウォーム軸46をアマチュア軸18に連結するために、ウォーム軸46のギヤケース43の開口側に位置する一端には連結孔46bが設けられ、アマチュア軸18の先端には連結凸部18aが設けられている。減速機構45を収容したギヤケース43つまりフレームユニット13がモータ本体12のモータヨーク15に取り付けられると、ウォーム軸46の連結孔46bにアマチュア軸18の先端に設けられる連結凸部18aが差し込まれ、これにより、ウォーム軸46はアマチュア軸18に連結されるようになっている。
ウォームホイル47は出力軸51の軸心に固定されてギヤケース43に回転自在に収容されており、このウォームホイル47の外周部はウォーム46aに噛み合わされている。これにより、アマチュア軸18が回転すると、その回転がウォーム軸46つまりウォーム46aとウォームホイル47とにより所定の回転数にまで減速されて出力軸51から出力される。
詳細は図示しないが、出力軸51の先端部分はギヤケース43から突出しており、出力軸51のギヤケース43から突出した先端部分には、図示しないピニオン等が設けられ、図示しないパワーウインド装置のレギュレータと連結されている。
一方、コネクタユニット42は樹脂材料の射出成形により形成される樹脂製となっており、図6に示すように、挟持部52と給電用のコネクタ部53と本体部としての平板部54とが一体に設けられた構造となっている。
挟持部52は、ブラシホルダ25のベース部25bの外形形状に合わせた略小判形の外形を有する環状に形成されており、平板部54はこの挟持部52の内側に設けられている。平板部54はアマチュア軸18の軸方向に垂直な平板状に形成され、そのギヤケース43の側に向く面上にはギヤケース43の側に向けて軸方向に突出する一対のスカート部55,56が一体に設けられており、挟持部52がガイド部43aによってガイドされるとともに、これらのスカート部55,56がギヤケース43の開口に挿入されることにより、コネクタユニット42はギヤケース43に装着されるようになっている。
各スカート部55,56の外周には、それぞれ軸方向に延びるとともに径方向外側に所定の高さで突出する複数のリブ57が設けられ、スカート部55,56はこれらのリブ57がギヤケース43の内面に接して径方向に若干弾性変形するようにギヤケース43に挿入される。これにより、コネクタユニット42はギヤケース43に軽圧入により装着されることになり、ギヤケース43から不用意に離脱することがない。
平板部54の軸心には貫通孔58が設けられ、モータ本体12にフレームユニット13が組み付けられたときには、アマチュア軸18はこの貫通孔58を貫通してウォーム軸46に連結される。
図6に示すように、コネクタユニット42の平板部54には、アマチュア軸18の回転を検出するための回転検出装置としてのセンサ基板61が搭載されている。センサ基板61は平板部54の一方のスカート部55の内側部分に支持され、平板部54に対してブラシホルダ25とは反対側であるとともに当該平板部54に対して平行(アマチュア軸18の軸方向に垂直)に配置されている。
センサ基板61には回転センサとして一対のホールセンサ62が搭載されており、図1に示すように、これらのホールセンサ62はアマチュア軸18に固定されるリングマグネット63と軸方向に対向するよう配置されている。リングマグネット63は周方向に等間隔に並ぶ複数の磁極を有しており、アマチュア軸18が回転すると各ホールセンサ62からアマチュア軸18の回転数に反比例した周期のパルス信号が出力される。また、ホールセンサ62は互いに回転方向に位相を90度ずらして配置されており、これにより、アマチュア軸18の回転方向に応じて、各ホールセンサ62から出力されるパルス信号の発生順が逆になるようにされている。
なお、本実施の形態においては、センサ基板61を平板部54に対して平行(アマチュア軸18の軸方向に垂直)に配置するようにしているが、これに限らず、図7に示すように、センサ基板61を平板部54に対して垂直(アマチュア軸18の軸方向に平行)に配置するようにしてもよい。この場合、センサ基板61に設けられる各ホールセンサ62をリングマグネット63の外周面に対向させるようにしてもよい。
図1に示すように、フレームユニット13がモータ本体12に取り付けられると、挟持部52と平板部54とがブラシホルダ25のベース部25bに軸方向に重ねて配置される。そして、挟持部52はブラシホルダ25を介してモータヨーク15の段差部28に支持され、これにより、挟持部52つまりブラシホルダ25はフレームユニット13の平板部54とモータヨーク15の段差部28との間に挟持固定される。
ここで、図2に示すように、ブラシホルダ25のベース部25bにはギヤケース43の側に向けて開口する3つの係合孔64が設けられ、図5に示すように、コネクタユニット42の平板部54にはモータ本体12の側に向けて突出する3つの係合突起65が一体に設けられている。そして、コネクタユニット42に設けられる係合突起65がブラシホルダ25に設けられる対応する係合孔64に係合することにより、挟持部52はブラシホルダ25に対して位置決めされるようになっている。
図6に示すように、挟持部52には、これを覆うように環状のシール部材66が装着されている。このシール部材66の材質は、例えば合成ゴム等のエラストマ材とされており、2色成形により挟持部52と一体的に形成されている。そして、図1に示すように、モータ本体12にフレームユニット13が組み付けられたときには、このシール部材66はモータヨーク15のフランジ部15bとギヤケース43と挟持部52との間、及び、ギヤケース43と挟持部52との間に挟み込まれるようになっている。つまり、挟持部52はシール部材66を介してモータヨーク15のフランジ部15bとギヤケース43との間にも挟持固定(挟み込まれて固定)されるようになっている。これにより、モータヨーク15とギヤケース43との間に挟持部52を挟み込んでコネクタユニット42を固定する構造としても、シール部材66がモータヨーク15のフランジ部15bとギヤケース43の開口端とに接することにより、その挟持部分からの雨水や埃等の異物が侵入することを防止することができる。
なお、図示する場合では、シール部材66を2色成形により挟持部52と一体的に形成するようにしているが、これに限らず、挟持部52とは別体に形成されたシール部材66をモータヨーク15のフランジ部15bと挟持部52との間、及び、ギヤケース43と挟持部52との間に位置するように挟持部52に取り付けるようにしてもよい。
図1、図6に示すように、コネクタ部53は、一端が開口する断面矩形の箱形に形成されており、モータヨーク15とギヤケース43との間から突出する連結部67を介して挟持部52と一体に形成されている。また、コネクタ部53はギヤケース43に隣接するようにギヤケース43やモータヨーク15の外側に配置されており、車両側に設けられる外部コネクタ(不図示)に接続されるようになっている。なお、コネクタユニット42がギヤケース43に装着される際に、連結部67はガイド部43bによってガイドされるとともに所定位置に位置決めされるようになっている。
図8はコネクタユニットに設けられる給電用リード部材とセンサ用リード部材の配置を示す斜視図であり、コネクタユニット42には、一対の給電用リード部材68と4つの検出装置用リード部材としてのセンサ用リード部材69とがインサート成形により埋設されている。
給電用リード部材68は、銅板等の導電性を有する板材を折り曲げて形成されており、その一端はそれぞれコネクタ部53の内部にアマチュア軸18に平行となって並んで突出して一対の電源接続端子71を構成している。そして、コネクタ部53に外部コネクタが接続されると、各電源接続端子71は外部コネクタを介して図示しない制御装置に接続されるようになっている。また、給電用リード部材68はそれぞれ当該コネクタ部53から連結部67を介して平板部54にまで導かれており、図5に示すように、その他端は平板部54から突出して一対のコネクタ側接続端子72を構成している。これらのコネクタ側接続端子72は、それぞれ平板部54からモータヨーク15が取り付けられる側の軸方向つまりアマチュア軸18の軸方向に平行な方向に突出しており、互いに並んだ状態で配置されている。
一方、図2に示すように、ブラシホルダ25にはコネクタユニット42のコネクタ側接続端子72に対向して一対のブラシ側接続端子73が設けられている。これらのブラシ側接続端子73は、銅板等の導電性を有する板材を折り曲げて形成されており、それぞれ断面矩形の接続孔73aを備えている。これらの接続孔73aはコネクタ側接続端子72に対応した大きさに形成されており、各ブラシ側接続端子73はこれらの接続孔73aがギヤケース43の側に向けて開口するようにブラシホルダ25のベース部25bに並べて固定されている。また、図3に示すように、ブラシ側接続端子73には板状の接続部73bが設けられており、これらの接続部73bはそれぞれリード板74,75を介して対応するブラシ26に電気的に接続されている。
なお、過電流からアマチュアコイル22を保護するために、一方のリード板74とブラシ26との間にはサーキットブレーカ76が接続されている。
図9はブラシ側接続端子とコネクタ側接続端子との接続部分の詳細を示す断面図である。
フレームユニット13がモータ本体12に取り付けられ、コネクタユニット42の平板部54がブラシホルダ25に軸方向に重ねて配置されると、図9に示すように、コネクタ側接続端子72は対応するブラシ側接続端子73の接続孔73aに挿通されて当該ブラシ側接続端子73に電気的に接続される。これにより、外部コネクタを介して図示しない制御装置から供給される駆動電流は、給電用リード部材68つまりコネクタ部53の電源接続端子71とコネクタ側接続端子72およびブラシ側接続端子73を介して各ブラシ26に供給される。このように、ブラシ側接続端子73とコネクタ側接続端子72とを電気的に接続することにより、各ブラシ26に駆動電流が供給されるようになっている。
図10はコネクタユニットにおけるセンサ基板と各リード部材の配置を側面から見た説明図である。
図8、図10に示すように、センサ用リード部材69は、それぞれ銅板等の導電性を有する板材を折り曲げて形成されており、その内の2本はセンサ基板61への給電用、他の2本は各ホールセンサ62の検出信号出力用となっている。図8に示すように、各センサ用リード部材69の一端はそれぞれコネクタ部53の内部にアマチュア軸18に平行となって並んで突出し、それぞれ検出装置用接続端子としての4つのセンサ用接続端子77を構成している。そして、コネクタ部53に外部コネクタが接続されると、各センサ用接続端子77は外部コネクタを介して図示しない制御装置に接続されるようになっている。
また、センサ用リード部材69はそれぞれ当該コネクタ部53から連結部67を介して平板部54にまで導かれており、図8、図10に示すように、その他端は平板部54からコネクタ側接続端子72とは反対側つまりブラシホルダ25とは反対側に向けて突出してそれぞれ基板側接続端子78を構成している。これらの基板側接続端子78は、それぞれ平板部54から軸方向つまりアマチュア軸18の軸方向に平行な方向に突出しており、互いに並んだ状態で配置されている。そして、それぞれの基板側接続端子78はセンサ基板61に電気的に接続され、これにより、外部コネクタを介してセンサ基板61に電力を供給し、また、各ホールセンサ62の検出信号を制御装置に出力することができるようになっている。
図示しない制御装置にセンサ基板61を介してホールセンサ62の検出信号が入力されると、当該制御装置は入力されたパルス信号からアマチュア軸18の回転速度や回転方向を認識し、これらの回転速度や回転方向に基づいて、モータ本体12の作動を制御するようになっている。
図11はリード部材形成用素材を示す斜視図であり、図12はインサート成形後のリード部材形成用素材の状態を示す斜視図である。
前述のように、このパワーウインドモータ11では、コネクタユニット42には一対の給電用リード部材68と4つのセンサ用リード部材69の計6つのリード部材68,69が埋設され、連結部67においては、これらのリード部材68,69はその軸方向を平行として並べて配置されている。
このように複数のリード部材68,69が埋設されるコネクタユニット42をインサート成形する方法としては、各リード部材68,69を成形型の内部に配置するとともにその両端部分を成形型により保持し、この状態で成形型の内部に樹脂材料を注入する方法が考えられる。しかしながら、この方法では、各リード部材68,69をそれぞれ成形型内に互いに絶縁状態にセットする必要があるため作業が煩雑になる上、各リード部材68,69の中間部分が樹脂圧により押されて位置ずれを生じるおそれがあり、本実施の形態のように連結部67において各リード部材68,69を並べて配置するようにした場合には、各リード部材68,69の絶縁を確保することが困難となる。
そのため、このパワーウインドモータ11では、図11に示すようなリード部材形成用素材81をインサート成形によりコネクタユニット42に埋設し、インサート成形後にこのリード部材形成用素材81を切断・分離させて、各リード部材68,69を形成するようにしている。
図11に示すように、リード部材形成用素材81は、銅板等の導電性を有する板材を所定の形状に打ち抜き加工し、これを折り曲げることにより、一対の給電用リード部材68と4つのセンサ用リード部材69とがコネクタユニット42に埋設される配置(図8に示す配置)のまま5つの連接部81aにより互いに連接された形状に形成されている。つまり、リード部材形成用素材81は、隣り合うリード部材68,69をそれぞれ連接部81aにより連接した一体物として形成されている。各連接部81aは、それぞれリード部材68,69の軸方向に垂直な方向に一直線上に並べて配置されており、リード部材形成用素材81がコネクタユニット42にインサート成形により埋設されたときには、コネクタユニット42の連結部67に位置するようになっている。
コネクタユニット42をインサート成形する際には、リード部材形成用素材81の両先端部分(つまり、各リード部材68,69の先端部分に対応する部分)と連接部81aが設けられる中間部分とが成形型により保持され、その状態で成形型内に樹脂材料が注入される。これにより、リード部材形成用素材81の両端部分がコネクタ部53や平板部54から突出して外部に露出する。また、リード部材形成用素材81の中間部分が成形型に保持されることにより、連結部67には当該連結部67の表面からリード部材形成用素材81にまで達する露出部としての露出孔82が形成される。これにより、図12に示すように、リード部材形成用素材81の各リード部材68,69の中間部分に対応する部分と各連接部81aとが露出孔82から外部に露出するように配置されている。
図13(a)〜(c)はそれぞれリード部材形成用素材の分離手順を示す説明図である。なお、図13(a)〜(c)においては、左側には露出孔82をその開口側から見た図が記載され、右側には左側の図の露出孔82の軸心を通る断面図が記載されている。
図13(a)に示すように、リード部材形成用素材81がコネクタユニット42にインサート成形により埋設されたときには、各連接部81aは露出孔82から外部に露出している。
次に、図13(b)に示すように、露出孔82から露出する各連接部81aが切断用の治具やカッター装置等により切断される。これにより、リード部材形成用素材81が一対の給電用リード部材68と4つのセンサ用リード部材69とに分割され、コネクタユニット42の内部に各リード部材68,69が互いに確実に絶縁された状態に配置されることになる。
このように、このパワーウインドモータ11では、一対の給電用リード部材68と4つのセンサ用リード部材69とが連接部81aにより連接された構造のリード部材形成用素材81をコネクタユニット42にインサート成形により埋設し、その後、露出孔82から露出するように配置された連接部81aを切断して各リード部材68,69を形成するようにしたので、各リード部材68,69のインサート成形を容易にするとともに、各リード部材68,69を並べて配置するようにしても、互いのリード部材68,69を干渉させることなく絶縁を確実に確保することができる。
一方、リード部材形成用素材81が分割されると、図13(b)に示すように、各リード部材68,69の全てが露出孔82から外部に露出するので、雨水や埃等の異物が露出孔82に侵入すると、リード部材間の絶縁不良や各リード部材68,69の腐食等が生じるおそれがある。
そのため、このパワーウインドモータ11では、図13(c)に示すように、各連接部81aの切断作業を終えた後に、露出孔82にシリコンなどの充填材83を充填して、当該露出孔82を閉塞するようにしている。これにより、露出孔82に雨水や埃等の異物が侵入することを防止して、リード部材間の絶縁不良や各リード部材68,69の腐食等を防止することができる。
このように、このパワーウインドモータ11では、露出孔82に充填材83を充填し、この充填材83により露出孔82を閉塞するようにしたので、リード部材間の絶縁不良や各リード部材68,69の腐食等を防止して、このパワーウインドモータ11の耐久性や作動信頼性を高めることができる。
なお、図13(c)に示す場合では、露出孔82を充填材83により閉塞するようにしているが、これに限らず、例えば図14に示すように、リード部材形成用素材81をインサート成形によりコネクタユニット42に埋設し、各連接部81aを切断した後、挟持部52と連結部67とに所謂アウトサート成形法によりシール部材66を一体形成し、このシール部材66により露出孔82を覆うようにしてもよい。このように、シール部材66により露出孔82を覆うようにしても、露出孔82に雨水や埃等の異物が侵入することを防止して、パワーウインドモータ11の耐久性や作動信頼性を高めることができる。
図15はコネクタ部の仕様が相違する2種類のパワーウインドモータ11の製造方法について説明する図である。
このパワーウインドモータ11では、給電用のコネクタ部53を備えたコネクタユニット42をブラシホルダ25とは別体に形成し、このコネクタユニット42を減速機41とモータ本体12との間に挟み込んで固定するようにしたので、外部コネクタの仕様違いに対して、ブラシホルダ25の仕様はそのままにコネクタユニット42の仕様のみを換えることで容易に対応することができる。
例えば、図15に示すように、コネクタ部53の差し込み方向が相違する2つの仕様のパワーウインドモータ11を製造する際には、減速機41とモータ本体12つまりブラシホルダ25は同一の仕様のものを用い、コネクタユニット42としてコネクタ部53の仕様が相違する2種類を用意することにより、2つの仕様のパワーウインドモータ11を容易に製造することができる。
このように、このパワーウインドモータ11では、給電用のコネクタ部53を備えたコネクタユニット42をブラシホルダ25とは別体に形成するようにしたので、外部コネクタに合わせてコネクタ部53の仕様が相違する複数種類のパワーウインドモータ11を製造する際にも、これらに共通の仕様のブラシホルダ25を用いることができる。したがって、外部コネクタの仕様違いに対するブラシホルダ25の汎用性を高めて、このパワーウインドモータ11のコストを低減することができる。
また、このパワーウインドモータ11では、図9に示すように、コネクタユニット42の平板部54をブラシホルダ25のベース部25bに軸方向に重ねて配置することにより、ブラシホルダ25に設けられるブラシ側接続端子73とコネクタユニット42に設けられるコネクタ側接続端子72とが電気的に接続されて各ブラシ26がコネクタ部53に設けられる電源接続端子71に接続されるようにしたので、コネクタユニット42とブラシホルダ25とを別体とした構成としても、簡単な構成で各ブラシ26と電源接続端子71とを電気的に接続することができる。
さらに、このパワーウインドモータ11では、図6に示すように、センサ基板61をコネクタユニット42の側に搭載するようにしているので、ブラシユニット24とコネクタユニット42とを組み合わせたときの電気的な接続構造は、ブラシ側接続端子73とコネクタ側接続端子72とによる各ブラシ26への給電用のみを設ければよい。したがって、センサ基板61への給電等の接続構造を別途設ける必要がなく、ブラシユニット24とコネクタユニット42との間の電気的な接続構造を簡素化して、このパワーウインドモータ11のコストを低減することができる。
さらに、このパワーウインドモータ11では、センサ基板61をコネクタユニット42の平板部54に対してブラシホルダ25とは反対側に配置するようにしたので、センサ基板61は各ブラシ26に対してブラシホルダ25のベース部25bとコネクタユニット42の平板部54とにより隔離された状態となる。これにより、各ブラシ26とコミュテータ23との摺接部分から発生するブラシ摩耗粉がセンサ基板61やホールセンサ62に付着することを防止して、センサ基板61によるアマチュア軸18の回転検出の信頼性を高めることができる。
さらに、このパワーウインドモータ11では、センサ基板61をコネクタユニット42の側に搭載するようにしたので、基板側接続端子78をハンダ付けによりセンサ基板61に電気的に接続する際に、フラックスやハンダがブラシ26に付着することを防止することができる。
次に、本発明における他の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態と同様の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。図16は他の実施の形態に係るブラシユニットを裏側から見た斜視図である。
他の実施の形態に係るブラシユニット90は、上述した実施の形態に比して、ブラシユニット90を構成するブラシホルダ25のベース部25bに、一対のブラシ26を対向配置、つまり、互いにアマチュア軸18(図1参照)の回転方向に沿って180度ずれるよう配置した点が異なっている。
各ブラシ26は、略小判形状のベース部25bにおける比較的大きなスペースを有する両方の円弧側(図中上下側)にそれぞれ設けられており、これに伴い、ベース部25bにおける各ブラシ26の近傍には、各ブラシ26をコミュテータ23(図1参照)に向けて付勢するスプリング33がそれぞれ配置されている。また、各ブラシ26に電気的に接続されるブラシ側接続端子73の接続部73bは、各リード板74,75,チョークコイル91,コンデンサ92,サーキットブレーカ76等を介して電気的に接続されている。また、各リード板74,75は、ベース部25bの軸心に形成された貫通孔31を中心に対向するようにベース部25bに一体的に設けられた各インサート部93にインサート成形等によりインサートされている。なお、各電気的接続部はスポット溶接等によって接続されている。
このように、本実施の形態においては、上述した実施の形態に係る各接続部73bよりも離間した位置に各接続部73bを設けるようにしている。したがって、詳細は図示しないが、コネクタユニット42にインサート成形される一対のコネクタ側接続端子72(図5参照)を、各接続部73bの間隔に対応させるようにして設けるようにする。なお、チョークコイル91およびコンデンサ92は、各ブラシ26を介して外部に放射される電気ノイズを吸収する役割を果たすものである。
以上のように構成したブラシユニット90を有するパワーウインドモータ11においても、上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。これに加え、本実施の形態によれば、各ブラシ26をそれぞれ対向離間させて設けたので、各ブラシ26に電気的に接続される各リード板74,75や各接続部73b等についてもそれぞれ離間させてブラシホルダ25に配置でき、したがって、これらの電子部品をブラシホルダ25に対して組み付け易くすることが可能となる。
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、前記実施の形態おいては、モータ本体12にフレームユニット13が取り付けられたパワーウインドモータ11に本発明を適用しているが、これに限らず、例えば減速機41を持たない電動モータに本発明を適用してもよい。この場合、モータヨーク15の開口端にはギヤケース43に換えてエンドケースが固定される。
また、前記実施の形態においては、本発明はパワーウインド装置の駆動源に用いられるパワーウインドモータ11に適用されているが、これに限らず、例えば、車体に設けられるワイパ装置の駆動源、スライドドア、バックドア、サンルーフ等の開閉体を自動的に駆動する車両用自動開閉装置の駆動源など、他の用途に用いられる電動モータに本発明を適用するようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、減速機構45を構成するウォーム軸46をアマチュア軸18とは別体に形成するようにしているが、これに限らず、アマチュア軸18をギヤケース43の内部にまで達する長さ寸法に形成し、アマチュア軸18の外周にウォーム46aを一体に形成するようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、ブラシ側接続端子73を凹型に形成し、コネクタ側接続端子72を凸型に形成するようにしているが、これに限らず、ブラシ側接続端子73を凸型に形成し、コネクタ側接続端子72を凹型に形成するようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、ブラシホルダ25のリング部25aの軸方向端部をモータヨーク15内面に設けられた段差部28の当接面28aに当接させることにより、モータヨーク15の内部に軸方向に位置決めし、モータヨーク15とギヤケース43との間にコネクタユニット42の挟持部52を挟持する際に、ブラシホルダ25もモータヨーク15の段差部28と挟持部との間に挟持固定するようになっているが、これに限らず、リング部25aの軸方向端面に段差部28と対向する位置、また、ベース部25bの後述するコネクタユニット42と対向する位置に変形可能な小突起を設けておき、モータヨーク15の内部に軸方向に軽圧入した際に、リング部25aの突起が段差部28に当接するよう構成しておき、モータヨーク15とギヤケース43との固定によってこれらの小突起を変形させることで、モータヨーク15の段差部28とコネクタユニット42との間にブラシホルダ25を挟持するようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、ブラシホルダ25に一対のブラシ26を保持するとともに、コネクタユニット42に一対のコネクタ側接続端子72を設け、ブラシホルダ25には一対のコネクタ側接続端子72に対向して一対のブラシ側接続端子73を設けたものを示したが、これに限らず、例えばワイパ装置の駆動源として用いられるワイパモータのように、ブラシユニット24に共通ブラシと低速運転用ブラシと高速運転用ブラシの3つのブラシ26を設けるようにしてもよい。この場合、ブラシホルダ25に3つのブラシ26を設けるとともに、コネクタユニット42に3つのコネクタ側接続端子72を設け、ブラシホルダ25には3つのコネクタ側接続端子72に対向して3つのブラシ側接続端子73を設けるように構成することもできる。
さらに、前記実施の形態においては、回転検出装置としてホールセンサ62を備えたセンサ基板61が用いられているが、これに限らず、例えば、MR(磁気抵抗素子)センサを備えたセンサ基板61を用いるなど、アマチュア軸18の回転を検出できるものであれば他の検出装置を用いるようにしてもよい。
さらに、前記実施の形態においては、露出部は露出孔82として孔状に形成されているが、これに限らず、各リード部材68,69がそれぞれ同一箇所で全て露出させるものであれば、例えば、切り欠き等、他の構成や形状であってもよい。