<実施例1>
以下、実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。
なお、特に断りがない場合、電子写真感光体ドラム(感光体、感光体ドラム)の回転軸線方向を単に長手方向とよぶ。回転軸線方向(軸線方向)とは、感光体ドラムの軸線(回転軸線)と平行な方向である。なお感光体ドラムの軸線とは、感光体ドラムの回転中心に沿って延びる仮想的な直線である。感光体ドラムは、その回転軸線を中心として回転する。
また、長手方向において、画像形成装置本体から電子写真感光ドラムが駆動力を受ける側を駆動側とし、その反対側を非駆動側とする。
図2および図3を用いて全体構成および画像形成プロセスについて説明する。
図2は、電子写真画像形成装置の装置本体(電子写真画像形成装置本体、画像形成装置本体)A及びプロセスカートリッジ(以下、カートリッジBと記載する)の断面図である。
図3は、カートリッジBの断面図である。
ここで、装置本体Aとは、電子写真画像形成装置からカートリッジBを除いた部分である。カートリッジBは装置本体Aに対して着脱可能である。
<電子写真画像形成装置全体構成>
図2に示す電子写真画像形成装置(画像形成装置)は、カートリッジBを装置本体Aに着脱自在とした電子写真技術を利用したレーザビームプリンタである。カートリッジBが装置本体Aに装着されたとき、カートリッジBの像担持体としての電子写真感光体ドラム62に潜像を形成するための露光装置3(レーザスキャナユニット)が配置される。また、カートリッジBの下側に画像形成対象となる記録媒体(以下、シート材PAと記載する)を収納したシートトレイ4が配置されている。電子写真感光体ドラム62は、電子写真画像形成用に用いられる感光体(電子写真感光体)である。
更に、装置本体Aには、シート材PAの搬送方向Dに沿って、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5c、転写ガイド6、転写ローラ7、搬送ガイド8、定着装置9、排出ローラ対10、排出トレイ11等が順次配置されている。なお、定着装置9は、加熱ローラ9a及び加圧ローラ9bにより構成されている。
<画像形成プロセス>
次に、画像形成プロセスの概略を説明する。プリントスタート信号に基づいて、電子写真感光体ドラム(以下、感光体ドラム62あるいは、単にドラム62と記載する)は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
バイアス電圧が印加された帯電ローラ(帯電部材)66は、ドラム62の外周面に接触し、ドラム62の外周面を一様均一に帯電する。帯電ローラ66は、ドラム62に接触した状態で、回転移動可能な回転体(ローラ)である。なお、帯電部材はこのような回転可能な接触ローラ構成に限られるわけではなく、コロン帯電器のように、ドラム62との間に間隔をあけて固定された帯電部材(帯電器)を用いることも可能である。
露光装置3は、画像情報に応じたレーザ光Lを出力する。そのレーザ光LはカートリッジBのクリーニング枠体71に設けられたレーザ開口71hを通り、ドラム62の外周面を走査露光する。これにより、ドラム62の外周面には画像情報に対応した静電潜像が形成される。
一方、図3に示すように、現像装置としての現像ユニット20において、トナー室29内のトナーTは、搬送部材(撹拌部材)43の回転によって撹拌、搬送され、トナー供給室28に送り出される。
トナーTは、マグネットローラ34(固定磁石)の磁力により、現像ローラ32の表面に担持される。現像ローラ32は、ドラム62に形成された潜像(静電潜像)を現像するために、現像剤(トナーT)をその表面に担持する現像剤担持体である。本実施例では現像ローラ32とドラム62との間に微小な間隔をあけた状態で潜像が現像される非接触現像方式が用いられている。現像ローラ32をドラム62に接触させた状態で潜像を現像する接触現像方式を採用することも可能である。
トナーTは、現像ブレード42によって摩擦帯電されつつ、現像剤担持体としての現像ローラ32周面上での層厚が規制される。
そのトナーTは、静電潜像に応じてドラム62へ供給され、潜像を現像する。これにより、潜像はトナー像として可視像化される。ドラム62はその表面に潜像や、トナー(現像剤)で形成される像(トナー像、現像剤像)を担持する像担持体である。
またドラム62および現像ローラ32は、現像剤(トナー)をその表面に担持した状態で回転可能な回転体(回転部材)である。
図2に示すように、レーザ光Lの出力タイミングとあわせて、ピックアップローラ5a、給送ローラ対5b、搬送ローラ対5cによって、装置本体Aの下部に収納されたシート材PAがシートトレイ4から送り出される。そして、そのシート材PAが転写ガイド6を経由して、ドラム62と転写ローラ7との間の転写位置へ搬送される。この転写位置において、トナー像はドラム62からシート材PAに順次転写されていく。
トナー像が転写されたシート材PAは、ドラム62から分離されて搬送ガイド8に沿って定着装置9に搬送される。そしてシート材PAは、定着装置9を構成する加熱ローラ9aと加圧ローラ9bとのニップ部を通過する。このニップ部で加圧・加熱定着処理が行われてトナー像はシート材PAに定着される。トナー像の定着処理を受けたシート材PAは、排出ローラ対10まで搬送され、排出トレイ11に排出される。
一方、図3に示すように、転写後のドラム62は、クリーニングブレード77により外周面上の残留トナーが除去されて、再び、画像形成プロセスに使用される。ドラム62から除去されたトナークリーニングユニット60の廃トナー室71bに貯蔵される。クリーニングユニット60は感光体ドラム62を有するユニットである。
上記において、帯電ローラ66、現像ローラ32、転写ローラ7、クリーニングブレード77がドラム62に作用するプロセス手段(プロセス部材、作用部材)である。
<カートリッジ全体の構成>
次にカートリッジBの全体構成について図3、図4、図5を用いて説明する。図3はカートリッジBの断面図、図4、図5は、カートリッジBの構成を説明する斜視図である。なお本実施例においては各部品を結合する際のビスに関しては省略して説明する。
また、レバー部材を含む作動ユニットの説明は後述するので、ここでは説明を割愛する。
カートリッジBは、クリーニングユニット(感光体保持ユニット、ドラム保持ユニット、像担持体保持ユニット、第1ユニット)60と、現像ユニット(現像剤担持体保持ユニット、第2ユニット)20を有する。
なお、本実施例のカートリッジBはプロセスカートリッジである。プロセスカートリッジとは一般的には、電子写真感光体と、これに作用するプロセス手段の少なくとも一つを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置の本体(装置本体)に対して着脱可能としたものである。プロセス手段の例としては、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段などがある。
図3に示すように、クリーニングユニット60は、ドラム62と、帯電ローラ66と、クリーニング部材77と、これらを支持するクリーニング枠体71を有する。ドラム62は、駆動側において、駆動側に設けられた駆動側ドラムフランジ63がドラム軸受73の穴部73aにより回転可能に支持される。広義には、ドラム軸受73とサイド部材76とクリーニング枠体71を総称してクリーニング枠体と呼ぶこともできる。ドラム軸受73とサイド部材76とクリーニング枠体71は、いずれもカートリッジを構成する枠体の一部である。ドラム軸受73とサイド部材76とクリーニング枠体71は、感光体ドラム62を支持するための枠体なのでドラム枠体と呼ぶ場合もある。
非駆動側において、図5に示すように、クリーニング枠体71に設けられた穴部71cに圧入されたドラム軸78によって、非駆動側ドラムフランジの穴部(不図示)を回転可能に支持される構成となっている。
クリーニングユニット60において、帯電ローラ66、クリーニング部材77は、それぞれドラム62の外周面に接触して配置される。
クリーニング部材77は、弾性材料としてのゴムで形成されたブレード状の弾性部材であるゴムブレード77aと、ゴムブレードを支持する支持部材77bと、を有する。ゴムブレード77aは、ドラム62の回転方向に対してカウンター方向にドラム62に当接している。即ち、ゴムブレード77aは、その先端部がドラム62の回転方向の上流側を向くようにドラム62に当接している。
図3に示すように、クリーニング部材77によってドラム62の表面から除去された廃トナーは、クリーニング枠体71とクリーニング部材77によって形成された廃トナー室71bに溜められる。
また、図3に示すように、クリーニング枠体71から廃トナーが漏れることを防止するためのスクイシート65が、ドラム62に当接するようにクリーニング枠体71の縁部に設けられている。
帯電ローラ66は、クリーニング枠体71の長手方向における両端部において、帯電ローラ軸受(不図示)を介し、クリーニングユニット60に回転可能に取り付けられている。
なお、クリーニング枠体71の長手方向(カートリッジBの長手方向)は、ドラム62の回転軸線が延びる方向(軸線方向)と略平行である。以下、特に断りなく単に長手方向あるいは単に軸線方向といった場合には、ドラム62の軸線方向(ドラムの軸線と平行な方向)を意図する。
帯電ローラ66は、帯電ローラ軸受67が付勢部材68によりドラム62に向けて加圧されることでドラム62に圧接されている。帯電ローラ66は、ドラム62の回転に従動回転する。
図3に示すように、現像ユニット20は、現像ローラ32と、現像ローラ32を支持する現像容器23と、現像ブレード42等を有する。現像ローラ32は、両端に設けられた軸受部材27(図5)、軸受部材37(図4)により回転可能に現像容器23に取り付けられている。現像容器23、軸受部材27、軸受部材37は、いずれもカートリッジの枠体の一部である。現像容器23、軸受部材27、軸受部材37は、現像ユニット20を構成する枠体(現像ローラ32を支持する枠体)なので、これらを総称して現像枠体と呼ぶことがある。
また、現像ローラ32内にはマグネットローラ34が設けられている。現像ユニット20において、現像ローラ32上のトナー層を規制するための現像ブレード42が配置されている。図4、図5に示すように、現像ローラ32には間隔保持部材38が現像ローラ32の両端部に取り付けられており、間隔保持部材38とドラム62が当接することで、現像ローラ32はドラム62と微少隙間をもって保持される。また、図3に示すように、現像ユニット20からトナーが漏れることを防止するための吹き出し防止シート33が、現像ローラ32に当接するように底部材22の縁部に設けられている。更に、現像容器23と底部材22によって形成されたトナー室29には、搬送部材43が設けられている。搬送部材43は、トナー室29に収容されたトナーを撹拌すると共に、トナー供給室28へトナーを搬送する。
図4、図5に示すように、カートリッジBはクリーニングユニット(第1ユニット)60と現像ユニット(第2ユニット)20を合体して構成される。
現像ユニットとクリーニングユニットの結合の際には、まずクリーニング枠体71の駆動側の第1吊り穴71iに対する現像容器23の現像第1支持ボス26aの中心と、非駆動側の第2吊り穴71jに対する現像第2支持ボス23bの中心を合わせる。具体的には、現像ユニット20を矢印G方向に移動させることで、第1吊り穴71i、第2吊り穴71jに現像第1支持ボス26a、現像第2支持ボス23bが嵌合する。これにより、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が移動可能に連結される。より詳細にいうと、クリーニングユニット60に対して現像ユニット20が回転移動可能(回動可能)に連結される。この後、サイド部材76をクリーニングユニット60に組み付けることによってカートリッジBを構成する。
本実施例においては非駆動側付勢部材46L(図4)、非駆動側付勢部材46R(図4)は圧縮バネで形成されている。これらバネの付勢力により、現像ユニット20はクリーニングユニット60に付勢され、現像ローラ32はドラム62の方向へ確実に押圧される。
そして、現像ローラ32の両端部に取り付けられた間隔保持部材38によって、現像ローラ32はドラム62から所定の間隔をもって保持される。
<カップリング部材の進退機構>
カップリング部材64および、カップリング部材を進退移動させる進退機構部について説明する。カップリング部材64は、カートリッジの外部(すなわち画像形成装置本体)から、ドラム62や現像ローラ32を回転させるための駆動力(回転力)を受けるための部材(駆動入力部材、入力カップリング)である。
図25に駆動伝達部材(駆動出力部材)81の斜視図を示す。ここで示されるように駆動伝達部材81にはほぼ三角形状を有する凹部(駆動伝達部81a)を備える。この凹部(駆動伝達部81a)に、カップリング部材64の被駆動伝達部64aが係合し、カップリング部材64は駆動力を受ける構成である。つぎに駆動側フランジユニット69について図6を用いて説明する。
カップリング部材64は感光体ドラム62の端部に設けられている。つまりカップリング部材64は、感光体ドラム62の端部に固定されたフランジ部材75によって移動可能に支持される。
本実施例にかかる駆動側フランジユニット69はカップリング部材64、駆動側フランジ部材75、フタ部材58、第一押圧部材59から構成される。カップリング部材64は被駆動伝達部(駆動力受部)64aや、駆動伝達部64bを有する。被駆動伝達部64aは、装置本体Aの駆動伝達部材(駆動出力部材)81(図14、図25参照)から駆動力が伝達される。駆動伝達部64bは、駆動側フランジ部材75に支持されると同時に、駆動側フランジ部材75に駆動を伝達する。
駆動側フランジ部材75は、現像ローラ端部に設けられたギア部材36(図27参照)に駆動を伝達するギア部75aと、カップリング支持部75b(図26参照)等から構成される。カップリング部材64が駆動側フランジ部材75の内周(カップリング支持部75b)に挿入された後、カップリング部材64を駆動側に付勢するための第一押圧部材59が挿入される。その後、フタ部材58が駆動側フランジ部材75の端部75cに溶着等の手段で固定されることで駆動側フランジユニット69が構成される。
図26に、駆動側フランジ部材75とカップリング部材64の斜視図を示す。駆動側フランジ部材75の内周面は、カップリング支持部75bとなっている。この内周面(カップリング支持部75b)に、カップリング部材64の外周面が支持されることで、駆動側フランジ部材75によってカップリング部材64が支持される。そして、カップリング部材64の外周面のうち、回転軸線にたいして対称に配置された2面が平面部になっている。
この平面部が、カップリング部材64の駆動伝達部64bである。フランジ部材75の内周面75bにも、駆動伝達部64bに対応するように平面部75b1が2つ設けられている。このフランジ部材75の平面部がフランジ部材75の被駆動伝達部75b1となる。
すなわち、カップリング部材64の駆動伝達部64bが、フランジ部材75の被伝達部75b1に接触することで、カップリング部材64からフランジ部材75に駆動力が伝達される。
駆動側フランジユニット69の駆動側フランジ75は感光体ドラム62の端部に圧入やかしめ等の手段によって固定される(図8参照)。これによりカップリング部材64が駆動伝達部材81(図14、図25参照)から受けた駆動力(回転力)は、駆動側フランジ75を介して感光体ドラム62に伝達される。つまり、カップリング部材64は、駆動側フランジ部材75を介して感光体ドラムの端部に接続するので、カップリング部材64は感光体ドラム62に向けて駆動を伝えることが可能である。
次に図27にカートリッジの分解斜視図を示す。この図27に示すように駆動側フランジ75からは、ギア75aを介して現像ローラ32にも駆動力(回転力)が伝達される。すなわち、ギア75aは、現像ローラギア36に噛み合い、駆動側フランジ75の回転を現像ローラギア36に伝える。現像ローラギア36は、現像ローラ32に設けられたギアであって、詳細に言うと、現像ローラ32の端部に固定された現像ローラフランジ35の軸部に係合している。そのため現像ローラギア36の回転が、現像ローラフランジ35を介して現像ローラ32に伝達される。さらに現像ローラギア36はアイドラギア39を介して搬送部材ギア41にも駆動を伝達する。搬送部材ギア41は搬送部材43(図3参照)に設けられたギアであって、搬送部材ギア41が回転すると搬送部材43も回転する。
すなわち駆動側フランジ75は、カップリング部材64から、ドラム62や現像ローラ32、搬送部材43などに駆動を伝達するための駆動伝達部材(カートリッジ側駆動伝達部材)である。本実施例ではカップリング部材64の被駆動伝達部64aは、断面が実質的に三角形で凸型の形状(凸部)を採用した。具体的には、実質的に三角形状の断面を駆動側から非駆動側にかけて感光体ドラムの軸線に対して反時計周りに捩じった形状のものを採用した。しかしながら、被駆動伝達部64aはこのような形状に限られるものではなく、駆動伝達部材81(図25参照)に係合して駆動力を受けられるものであればよい。本実施例であれば装置本体Aが有する駆動伝達部材81には被駆動伝達部64aと係合可能な略三角形状の凹部(駆動伝達部81a:図25参照)が設けられている。そのため、被駆動伝達部64aはこの凹部に係合する凸部形状を有している。この凸形状は1つでなく複数であってもよいし、また形状は三角形に限られない。また凸形状は三角形を捻じったような形状をしていたが、必ずしも捻じれがなくてもよい。
このカップリング部材64は、図14に示すように長手方向(軸線方向)に沿って進退移動が可能な構成となっている。図14(a)ではカップリング部材が退避して駆動伝達部材81との係合を解除している状態を示し、図14(c)ではカップリング部材64が進出して駆動伝達部材81と係合をしている状態を示している。また図14(b)では、図14(a)と図14(c)の間の状態(進退移動の過程)を示している。
そこで次にこのようなカップリング部材64の長手方向の進退移動を可能にする作動ユニット(作動機構、進退ユニット、進退機構)について図7、図8、図9を用いて説明する。
図7は本実施例に係るクリーニングユニット60に設けられた作動ユニットの構成を説明するための部分斜視図である。
図8は本実施例に係るドラムユニット駆動側端部の部分長手断面図である。
図9は図7同様本実施例に係る作動ユニットを説明するための部分斜視図である。
図7から図9に示すように、作動ユニットは外側円筒カム部材70、内側円筒カム部材74、レバー部材12、第二押圧部材(弾性部材、付勢部材)14などから構成される。作動ユニットは、カップリング部材64に連結され、カップリング部材64の移動(進退移動)を制御する制御機構(制御ユニット)である。
外側円筒カム部材70は、円筒カム部70bとレバー部材12を係合させるレバー部材係合部70a等から構成される。内側円筒カム部材74は外側円筒カム部材70と同様に、円筒カム部70b及びカップリング部材64と当接することでカップリング部材64の長手位置を規制するカップリング部材64長手位置規制面74d等から構成される。
図7、図8に示すように、本実施例において、外側円筒カム部材70、及び内側円筒カム部材74はドラム軸受部材73の外周部73aに支持されるよう構成した。また、外側円筒カム部材70のレバー部材係合部70aはドラム軸受部材73の外側に露出するよう構成されている(図9参照)。
レバー部材12は現像ユニット20がクリーニングユニット60に支持された後、レバー部材12の一端に設けられた被係合部12bを外側円筒カム部材70のレバー部材係合部70aに係合される。またレバー部材12は、その他端の被スライド部12cをクリーニング枠体71に設けられたスライドリブ間71gに位置するよう配置される。つまり穴形状の被係合部12bの内部に、突起状の係合部70aが進入して両者が係合し、レバー部材12が外側円筒カム部材70に連結されている。
レバー部材12が配置された後は、レバー部材12を押圧・付勢する第二押圧部材14がクリーニング枠体71とレバー部材12間に配置される。本実施例では第二押圧部材(付勢部材)14として捻じりコイルバネを用いたが、これに限られるわけではなく、たとえば圧縮コイルばねなど異なる構造の弾性部材(ばね)も好適に用いることが可能である。
サイド部材76がクリーニング枠体71に固定されることで、本実施例にかかる作動ユニットを有するプロセスカートリッジが構成される。
この作動ユニットは内側円筒カム74においてカップリング部材64に接続しており、レバー部材12の操作によってカップリング部材64を進退(移動)させることができる。
詳細な動作原理については後述するが、レバー部材12が外側円筒カム部材70に連結しているためレバー部材12がほぼ直線的な移動をすることによって外側円筒カム70が回転する。そして外側円筒カム70は内側円筒カム74に接触しており、外側円筒カム70の回転運動によって内側円筒カム74が長手方向に進退する。この内側円筒カム74はカップリング部材62に接触しており、内側円筒カム74の進退とカップリング部材62の進退が連動する。
すなわちレバー部材12は、外側円筒カム部材70、内側円筒カム部材74を介してカップリング部材64と機能的に(間接的に、動作的に)接続されており、レバー部材12とカップリング部材64は連動する。
そこで次に図1及び図10~図14を用いて、レバー部材12の移動に連動して、カップリング部材64が進退する動きについて説明する。このレバー部材12は、装置本体Aに設けられたカートリッジ押圧部材(押圧力付与部材)との当接及び離間によって移動する構成である。
図1は本実施例に係るプロセスカートリッジBの側面図である。
図10は装置本体の開閉扉13を開け、プロセスカートリッジBを装置本体Aに装着させる前の状態の画像形成装置の断面図である。
図11はプロセスカートリッジBの装置本体Aへの装着が完了し、開閉扉13を閉める前の状態の画像形成装置の断面図である。
図12(a)は装置本体Aの開閉扉13を図中H方向に閉めていく過程で、カートリッジ押圧部材1がレバー部材12の被押圧部12aに当接し始めた状態の画像形成装置の断面図である。
図12(b)は装置本体Aの開閉扉13を完全に閉じた状態の画像形成装置の断面図である。
図13は本実施例に係るレバー部材12、外側円筒カム部材70、内側円筒カム部材74の斜視図である。ここで、図13(a)は、レバー部材12の被押圧部12aにカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態(図10、図11、図12(a))の斜視図である。
図13(c)は、開閉扉13が完全に閉じ、レバー部材12の当接部12aに、カートリッジ押圧バネ19の所定の圧が加えられた状態(図12(b))の斜視図である。図13(b)は図13(a)と図13(c)の間の状態(図12(a)~図12(b))での斜視図である。
図14は上記したように本実施例に係る装置本体Aの駆動伝達部材81とカップリング部材64の長手断面図である。図13同様にここで、図14(a)は、レバー部材12の被押圧部12aにカートリッジ押圧部材が当接する前の状態(図10、図11、図12(a))の長手断面図である。図14(c)は、開閉扉13が完全に閉じ、レバー部材12の当接部12aに、カートリッジ押圧バネ19の所定の圧が加えられた状態((図12(b))の長手断面図である。図14(b)は図14(a)と図14(c)の間の状態(図12(a)~図12(b))での長手断面図である。図10に示すようにプロセスカートリッジBの装置本体Aへの装着は、装置本体Aの開閉扉13を回転中心13Xの回りに回転させることで開放したのちに行われる。開閉扉13は装置本体Aの内部に設けられたカートリッジ装着部(カートリッジを装着するための空間)を開閉するための開閉部材である。装着部にはプロセスカートリッジBの被ガイド部76c、76gを案内するためのガイドレール(ガイド部材)15h、15gが設けられており、このガイドレール15h、15gに沿ってカートリッジBを装置本体Aの装着部に挿入される(駆動側のみ図示)。図11に示すようにプロセスカートリッジBの装着はドラム軸受部材73に設けられた被位置決め部73d、73fが装置本体位置決め部15a,15bに当接、あるいはその近傍まで挿入されることで完了する。
2つのカートリッジ押圧部材1が開閉扉13の軸方向両端に取付けられている(図11)。2つのカートリッジ押圧部材1はそれぞれ開閉扉13に対して一定の範囲で移動可能な構成である。
そして2つのカートリッジ押圧バネ19は装置本体Aに設けられた前板18の長手方向両端部に取付けられている。クリーニング枠体71にはカートリッジ押圧バネ19の付勢力受け部としてのカートリッジ被押圧部71eが長手両端部に設けられている。後述するが、開閉扉13を完全に閉じることによって、カートリッジ被押圧部71e、レバー部材被押圧部12aにはカートリッジ押圧バネ19から所定の圧F2が加わるよう構成されている。
次にカップリング部材64の進退移動について説明する。レバー部材12にカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態(図10、図11、図12(a))では、レバー部材12は第二押圧部材14(図9参照)によって図13(a)中E方向に付勢されている。
レバー部材12に係合され、ドラム軸周りを回転可能に支持された外側円筒カム部材70は図13(a)中G方向に付勢される。外側円筒カム部材70の最も非駆動側に突出した面70cと内側円筒カム部材74の最も内側に突出した面74cが当接する。
図14(a)に示すように、カップリング部材64は第一押圧部材59により駆動側に付勢され、カップリング当接部64cが内側円筒カム部材74のカップリング部材長手位置規制面74dに押し付けられている。すなわち内側円筒カム部材74の長手位置(長手方向の位置)に応じて、カップリング部材64の長手位置も決まるよう構成されている。なお第一押圧部材59はカップリング部材64を駆動側に作動させるために用いられるものなので、第一押圧部材59を先述の作動ユニットの一部とみなすこともできる。本実施例では、第一押圧部材59として圧縮コイルばねを用いたが、その他の形状の弾性部材などを用いてカップリング部材64を付勢することも可能である。
カートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態では、内側円筒カム部材74は、第一押圧部材59の弾性力に抗してカップリング部材64をドラム内へ退避させるように配置されている。すなわち図10及び図11に示すように本体扉13が解放されている状態や、レバー部材12にカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態においては、カップリング部材64は最も非駆動側に位置するよう構成されている。カップリング部材64が非駆動側(すなわちカートリッジBの内部側)に退避した状態の位置を第一の位置(退避位置、内側位置、非係合位置、離脱位置)と呼ぶこととする。図14(a)に示すように、カップリング部材64が第一の位置にいるときは、カップリング部材64の被駆動伝達部64aと駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは長手方向でオーバーラップしないよう構成されている。つまり、プロセスカートリッジBの装置本体Aの着脱は、カップリング部材64と装置本体の駆動伝達部材81の干渉等がなく、スムーズに行うことができる。
カートリッジBが装置本体Aに装着されたのちに開閉扉13が閉じられると、開閉扉13に設けられたカートリッジ押圧部材1がレバー部材12に当接する。押圧部材1に押圧されることによってレバー部材12の移動が開始される。このレバー部材12の動きに連動して、カップリング部材64が前記第一の位置(退避位置)から駆動側に移動するので、以下その動きについて説明する。
図12(a)に示すように、プロセスカートリッジBの装着が終了し、開閉扉13を図中H方向に閉じていくと、カートリッジ押圧部材1とレバー部材12の当接が開始し、レバー部材12にカートリッジ押圧バネ19の押圧力が作用しはじめる。この押圧力によりレバー部材12は、第二押圧部材14の付勢力(弾性力)に抗して図中K方向へ移動を開始しはじめる。図13(b)に示すように、レバー部材12がK方向に移動すると、レバー部材12に係合された外側円筒カム部材70は図中M方向に回転しはじめる。
この外側円筒カム部材70には内側円筒カム部材74が隣接している。内側円筒カム部材74は回転可能には構成されておらず、軸線方向にのみ移動が可能な構造である。外側円筒カム部材70のM方向の回転によって、外側円筒カム部材70の円筒カム部70bと内側円筒カム部材74の円筒カム部74bが互いの斜面において接触する。すると、内側円筒カム部材74は第一押圧バネ部材59の押圧力によって長手方向に沿って駆動側(N方向)に移動しはじめる。また内側円筒カム部材74がN方向に移動すると、この第一押圧バネ部材59によって押圧されるカップリング部材64も長手方向に沿った移動が許容されるようになる。このカップリング部材64の移動により、カップリング部材64は駆動側(すなわちカートリッジBの外部側)に向かって進出する。そしてカップリング部材64の被駆動伝達部64aは装置本体の駆動伝達部材の駆動伝達部81aと長手方向で係合できる関係となる(図14(b))。さらに開閉扉13を完全に閉じると(図12(b)の状態)、図13(c)に示すように外側円筒カム部材74と内側円筒カム部材70の円筒カム部の位相は一致する。この時、内側円筒カム部材74及びカップリング部材64は第一押圧部材59の付勢力によって、最も駆動側に位置するよう構成される。このようにカップリング部材64が駆動側に進出する位置を本実施例では第二の移置(進出位置、外側位置、係合位置、駆動伝達位置)と呼ぶ。
第二の位置(進出位置)に位置するカップリング部材64は、感光体ドラム62の外部(カートリッジの外部)に向かって進出しているとみなすことができる。
一方で、前述した第一の位置(退避位置)に位置するカップリング部材64は、感光体ドラム62の内部(カートリッジの内部)に向かって退避しているとみなすことができる。
なお本実施例では、カップリング部材64は、感光体ドラム62の軸線に沿って軸線と略平行に移動する。しかしながら、必ずしもこのような構成に限定されるわけではなく、たとえば、カップリング部材64が軸線に対して傾いた方向に移動することで、第一の位置(退避位置)と第二の位置(進出位置)と、に移動してもよい。
図14(c)に示すように、カップリング部材64が第二の位置にいるときは、カップリング部材64の被駆動伝達部64aと駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは安定した駆動伝達に必要な長手方向の係合量を確保できるよう構成されている。
なおカップリング部材64を第二の位置(進出位置)に保持している際のレバー部材12の位置のことも、第二の位置(レバー部材の第二の位置)と呼ぶ場合がある。レバー部材12による第二の位置は、カートリッジBの外部からレバー部材12に力が加わることで移動する位置(動作位置、作動位置)であり、カップリング部材64に作用するための作用位置である。また、カップリング部材64の進出状態を保持し、かつ、カップリング部材64と駆動伝達部材81の係合状態を保持するための係合保持位置、進出保持位置である。
また、前述したように本実施例に係るカップリング部材64の被駆動伝達部は捻じれた三角形状を用いた。そのため、レバー部材12が第二の位置へ操作された際に、装置本体の駆動伝達部材81の駆動伝達部81aとカップリング部材64の被駆動伝達部64aの互いの三角形状の位相が揃っていない場合がある。このときは、カップリング部材64は駆動側の第二の位置に移動する過程で、駆動伝達部64aが駆動伝達部材81の端面81cにあたって、停止する。言い換えると、駆動伝達部64aが駆動伝達部81aに係合できないため、駆動伝達部材81とカップリング部材64が干渉して、カップリング部材64が第二の位置に移動することができない。この状態では第一押圧部材59が一部圧縮されている。
このような場合であっても、装置本体Aに駆動が入力され、駆動伝達部材81が回転することによって、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aの位相差が一定の範囲内に収まる。すると駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aが係合できるようになる。このとき圧縮されていた第一押圧部材59の弾性変形が一部解消され、カップリング部材64は前記第二の位置へ移動することが可能となる。なお、上記したように第一押圧部材59は、駆動伝達部材81とカップリング部材64が干渉した際に圧縮することで、その干渉の影響が駆動伝達部材81やカップリング部材64に及ぶのを抑えている。第一押圧部材59は干渉の影響を抑えるためのクッション部材(緩衝部材、ダンパー)でもある。プロセスカートリッジを本体扉13を開放して外部に引き出す際は、開閉扉13を開けていく過程で、本体押圧部材1はレバー部材12から離れる。その後、レバー部材12は第二押圧部材14(図9)の付勢力により図13(c)の状態からE方向に移動を開始する。これにより外側円筒カム部材70はG方向へ回転し、それぞれの外側、内側円筒カム部の形状70b、74bにより内側円筒カム部材74及びカップリング部材64は第一の位置を取るよう構成されている。すなわち、レバー部材12がE方向へ移動することでカップリング部材64は第一の位置(退避位置)へ移動する。カップリング部材64を第一の位置へ位置させる際のレバー部材12の位置のことも、第一の位置と呼ぶことがある。レバー部材12の第一の位置は、レバー部材12にカートリッジの外部から外力が加わっていない状態の位置(通常位置、非作動位置)である。またレバー部材12の第一の位置は、カップリング部材12が退避している状態を保持、許容する退避保持位置、退避許容位置であり、またカートリッジBが装置本体Aに対して、装着および取り外しされるのを許容する、装着許容位置、取り外し許容位置である。
図13(a)、図14(a)はそれぞれレバー部材12とカップリング部材64が第一の位置にある状態を示している。図13(c)、図14(c)はそれぞれレバー部材12とカップリング部材64が第二の位置にある状態を示している。図13(b)、図14(b)はそれぞれレバー部材12とカップリング部材64が第一の位置から第二の位置に移動する過程の位置(中間位置)を示している。
カップリング部材64が第一の位置(退避位置)に移動することにより、プロセスカートリッジBを装置本体Aから取り出すことが可能となる。
以上説明したように、レバー部材12はカートリッジの外部(すなわち装置本体A)からの力によって操作されて移動する操作部材(移動部材)である。そしてレバー部材12の運動が、2つのカム部材70、74を介してカップリング部材64に伝わり、カップリング部材64が第一の位置(退避位置)と第二の位置(進出位置)の間で移動することになる。すなわちレバー部材12はカップリング部材64を移動させるために操作される。
作動ユニットに設けられた2つのカム部材(外側円筒カム部材70、内側円筒カム部材74)は、レバー部材12をカップリング部材64に連動させるためのカム機構である。レバー部材12は、長手方向と交差する交差方向(実質的に長手方向と直交する方向)に移動するように構成している。カム機構によってこの交差方向の運動が、長手方向に沿ったカップリング部材64の運動に変換される。
第一押圧部材59は、カップリング部材64を付勢することで特定の位置(第二の位置・進出位置)に向けて付勢する付勢部材である。また第二押圧部材14は、レバー部材12を特定の位置(第一の位置・通常位置)に付勢する付勢部材である。
そして本実施例では、図1に示すようにレバー部材12が第1の位置(通常位置)から第2の位置(作動位置)へ移動する移動方向の下流側(図中矢印Kで示される側)に帯電ローラ接点部材82の接点面82aを向けるよう構成した。すなわち、接点面82aは、図28における矢印J1方向に面している。
帯電ローラ接点部材82は帯電ローラ66と電気的に接続されていて装置本体Aに設けられた帯電バイアス印加用の接点部材(本体側電気接点)に接触することで、装置本体Aから電圧が印加される電気接点である。
すなわち、帯電ローラ接点部材82の接点面(露出面、露出部)82aが図28に示す本体側接点部材101と所定の帯電接点圧で当接する。そのことで、装置本体Aからの帯電バイアス電圧が帯電ローラ接点部材82を介して帯電ローラに印加されるよう構成されている。なお図28は、カートリッジBと装置本体Aの電気接点(接点部材)を示す説明図である。
また、図1に示すように、カートリッジBは現像ローラ32と電気的に接続された現像ローラ接点部材83を有する。現像ローラ接点部材83は装置本体Aに設けられた現像バイアス電圧印加用の接点部材(電気接点:図28参照)102と接触することで、装置本体Aから電圧が印加される。すなわち、現像ローラ接点部材83の接点面(露出面、露出部)83aが装置本体側の接点部材102と接触することで、装置本体Aからの現像バイアス電圧が現像ローラ32に現像ローラ接点部材83を介して印加されるようになっている。
この現像ローラ接点部材の接点面83aも、レバー部材12の移動方向下流側(図中K方向)に向くよう構成した。すなわち接点面83aは図28における矢印I1方向に面している。
開閉扉13が閉じられカートリッジ押圧部材1がレバー部材12を押圧する際に、その押圧力はレバー部材12の移動方向の下流側(矢印Kで示される側)に向かってくわえられる。上記したように帯電ローラ接点部材82(接点面82a)や現像ローラ接点部材83(接点面83a)も下流側に面している。そのためカートリッジ押圧部材1による押圧力(矢印K方向に働く力)を用いて、帯電ローラ接点部材82(接点面82a)や現像ローラ接点部材83(接点面83a)を対応する装置本体側の本体接点部材に向かって付勢することができる。これにより、カートリッジ側の各接点部材(82、83)と本体接点部材の接触状態を安定化させることが可能である。
また、レバー部材12が受ける押圧力を用いて、カートリッジBの被位置決め部73d、73fを確実に装置本体の位置決め部15a、15b(図12)に押圧することができる。すなわち通常、帯電ローラ接点部材82や現像ローラ接点部材83の各々は、対応する本体側の本体接点部材と接触する際に、帯電接点面82aや現像接点面83aと垂直な方向に向かってそれぞれ本体接点部材から接触圧(接点圧)を受ける。図28において帯電接点面82aは矢印J2方向に力をうけ、現像接点面83aは矢印I2方向に力を受ける。しかしながら、レバー部材12を介してカートリッジBに加わるカートリッジ押圧部材1の押圧力が矢印K方向に働くと、これらの接触圧を打ち消すように働く。したがって、帯電接点面82aや現像接点面83aが接触圧(接点圧)を受けたとしても、その接触圧によってカートリッジBの姿勢が不安的になることが抑えられる。
カートリッジ押圧部材1の力によってカートリッジBの被位置決め部73d、73fをより確実に、装置本体の位置決め部15a、15bに押し付け、カートリッジを安定した姿勢で装置本体Aに装着、位置決めできる。このように装置本体内へのカートリッジの位置決め精度が向上するため、カップリング部材64と装置本体の駆動伝達部材81の安定した係合が可能となる。
なお、帯電ローラ接点部材82や現像ローラ接点部材83のような電気接点(接点部材)が、レバー部材12の移動方向(矢印Kで示される側)下流側に面するようにする場合、電気接点が面する方向を、矢印Kと平行にさせることまでは要求されない。電気接点が面している方向が、矢印Kに対してなす角度が90度より小ければ(すなわち上記角度が0度以上90度未満であれば)、電気接点がレバー部材12の移動方向の下流側に面しているとみなすことができる。
すなわち図28において矢印Kと矢印J1のなす角度が90度未満であり、矢印Kと矢印I1のなす角度が90度未満である。
本実施例では長手方向(軸線方向)において、レバー部材12を、各電気接点(帯電ローラ接点部材82や現像ローラ接点部材83)とカートリッジの同じ側に配置した。すなわち、レバー部材12、各電気接点82,83はともに、長手方向におけるカートリッジの一端側(一方側)に配置される。各電気接点82、83が受ける接触圧と、カートリッジ押圧部材1がレバー部材12に加える押圧力がともにカートリッジの同じ一端側に作用する。したがって、レバー部材12が押圧される押圧力によって、接触圧に抗しつつカートリッジ押圧部材1によってカートリッジBを付勢、位置決めしやすい。
なお、カートリッジが電気接点を複数有する場合、それぞれの電気接点がカートリッジの両端側に分かれて配置される場合もあり得る。仮に電気接点の数が奇数であれば、より多くの電気接点が配置された側に、レバー部材12を配置するなどすることが考えられる。
なお本実施例においてレバー部材12や各電気接点82,83が配置されるカートリッジの一端側は、カップリング部材64が配置されている側(駆動側)である。カップリング部材64が回転力を受けている際に、カップリング部材64が設けられたカートリッジBの駆動側に振動等が伝わったとしても、カートリッジBの駆動側はレバー部材12が付勢されていることでその振動等による影響を抑えることができる。
なお本実施例では、レバー部材12が押圧される押圧力を用いて、カートリッジBに設けられた2つの電気接点82、83の両方を、装置本体Aに設けられた本体側の接点部材102、103に向かって付勢した。しかしながら、複数ある電気接点の内、すべてがレバー部材12が押圧される押圧力を用いて付勢される必要があるわけでない。カートリッジBが有する複数の電気接点のうち、少なくとも一つの電気接点がレバーの移動方向の下流側に面していれば、その(それらの)電気接点をレバー部材12が受ける押圧力によって本体Aに設けられた本体側の電気接点に付勢することができる。
また本実施例では、装置本体Aにはカートリッジ押圧部材1が2つ設けられる。一方の押圧部材1は、カートリッジBの駆動側においてレバー部材12を押圧し、もう一方の押圧部材1はカートリッジBの他端側(他方側、非駆動側)においてカートリッジBの枠体を押圧した。このようにカートリッジBはその両端の2点で力を受けることで姿勢が安定するものの、必ずしもこのような構造に限られるわけではなく、たとえばカートリッジBが1点で力を受けるような構成であってもよい。すなわち少なくともレバー部材12が押圧部材1によって力を受けていればよい。
さらに、本実施例では、ドラムの軸線に垂直な平面において、帯電接点面82aと現像接点面83aの間にレバー部材12を配置した。すなわち、図28に示すようにレバー部材12が第一の位置にいる際に、上記平面において、レバー部材12の両端を結ぶ線分L1と、帯電接点面82aと現像接点面83aを結ぶ線分L2を描くと、これら2つの線分L1、L2同士が交わる。
このような配置関係を取ることにより、レバー部材12が押圧部材1から受ける押圧力が2つの電気接点82、83にバランスよく配分可能となる。すなわち、カートリッジ装着の過程においてカートリッジBには、電気接点82、83がそれぞれ受ける力と、レバー部材12が受ける力とが加わるが、これらによってカートリッジBに生じるモーメントが安定する。レバー部材12が押圧力を受けたとしても、カートリッジBの姿勢が変わるようなことが生じにくい。
その結果、複数の電気接点から受ける接点圧に抗して、レバー部材12が受ける力を用いて、カートリッジBの被位置決め部73d、73fを装置本体の位置決め部15a、15b(図12)に確実に押圧することができる。つまり、カップリング部材64と装置本体の駆動伝達部材81の安定した係合が可能となる。
なおより詳細に言うと、レバー部材12の当接部212aと被係合部212bを結ぶ線分と、線分L2が交わる。
なお、レバー部材12はレバー部材の移動方向(K方向)に沿って延びた形状を有している。そのためレバー部材12が装置本体Aの押圧部材1から押圧されてK方向に移動する過程で、押圧部材1の力がレバー部材12を介して円滑にカートリッジBに伝達されるようになっている。そのため押圧部材1の力を用いて、カートリッジ側の接点部材82、83を対応する本体側の各接点部材により確実に接触させやすい。
また操作部材として、一体のレバー部材12を用いたが、複数の部材の連結によって操作部材が構成されていてもよい。
なお、複数の接点部材(電気接点)をそれぞれ第一の接点部材(第一の電気接点)、第二の接点部材(第二の電気接点)などと呼ぶ場合がある。また本実施例において、帯電ローラ接点部材82と現像ローラ接点部材83は、帯電ローラ67と現像ローラ30に接続されていた。すなわち各電気接点82、83は、感光体に作用するプロセス部材6730に接続されていて、それぞれこれらのプロセス部材6730に装置本体Aから電圧を印加するために用いられていた。しかしながら、電気接点(接点部材)はこのようなプロセス部材に電圧印加をするためのものに限られるわけではない。たとえば、カートリッジBに関する情報を記憶したメモリチップがカートリッジBに設けられている場合、メモリに電気接続している電気接点(接点部材)がカートリッジBに設けられる。この電気接点は、装置本体Aの電気接点と接触することで、装置本体Aがメモリの情報を読み取ったり、メモリに新たに情報を書き込むために用いられる。このような情報通信用の電気接点に対しても本実施例を好適に適用できる。
なお、前述したように、本実施例では、クリーニング枠体73に装置本体内のカートリッジ押圧部材1から押圧される被押圧部71eを設けてある。すなわち押圧部材1は、レバー部材12を押圧して第一の位置から第二の位置に移動させた後、クリーニング枠体73の被押圧部71eにも接触する。そして押圧部材1は、レバー部材12および被押圧部71eを介してカートリッジBに押圧力を加える。しかしながら、必ずしもクリーニング枠体73に押圧部材1が接触する必要はなく、レバー部材の被当接部12aのみに押圧部材1が接触し、レバー部材12のみを介してカートリッジBに押圧力を加えるように構成してもよい。
<変形例>
また、前述の説明(図14)では、駆動伝達部材81とカップリング部材64が係合する前(図14(a))、各々の回転軸L2、L1が同軸上にある場合を前提に説明したが、このような構成に限られるわけではない。駆動伝達部材81とカップリング部材64が係合する前に、駆動伝達部材81の回転軸線が、カップリング部材64の回転軸線に対して傾斜している場合も考えられる。しかしながらカップリング部材64が進退可能な構成であることで、このような場合であっても駆動伝達部材81とカップリング部材64を係合させることが可能である。以下、実施例1の駆動伝達部81が傾動可能(傾斜可能)に構成された変形例について説明する。
図15を用いて、駆動伝達部材81とカップリング部材64の回転軸L3、L1がカップリング部材64が係合する前に同軸上でない場合、カップリング部材64と駆動伝達部材81がどう係合していくかについて説明する。
ここで、図15(a)はプロセスカートリッジを装置本体Aに挿入し、開閉扉13を閉じた状態の長手断面図である。図15(b)は装置本体Aに駆動力が入力され、駆動伝達部材81が回転し始め、駆動伝達部81aの位相とカップリング部材64の被駆動伝達部64aの位相が所定の範囲に収まった直後の長手断面図である。図15(c)は、駆動伝達部材81の駆動伝達部81aとカップリング部材64の被駆動伝達部64aの係合が完了した状態の長手断面図である。図15(a)、(b)、(c)では、カップリング部材64が第二の位置(進出位置)に移動することに伴って駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくしながら、駆動伝達部材81と係合する過程が示されている。
図16は図15(a)の丸Jで囲った部分を拡大して示した部分詳細図、図17はカップリング部材64の被駆動伝達部64aの端面に設けられた面取り部64eを説明する斜視図である。
図15(a)に示すように、本変形例では、駆動伝達部材81の被支持部81bの径φD1と駆動伝達部材支持部材85の支持部85aの径φD2はφD1>φD2となるように構成してある。
このため駆動伝達部材81は支持部材85に対して移動することが可能である。駆動伝達部材81とカップリング部材64が係合した際に、駆動伝達部材81がその軸線をカップリング部材64の軸線にそろえるように移動することができる。すなわち駆動伝達部材81の回転軸L3を、カップリング部材64の回転軸L1と精度良く一致させられるよう構成されている。
詳しくは、図15(c)に示すように、駆動伝達部材81の支持は、カップリング部材64の被駆動伝達部64aによって行われる。この時、駆動伝達部材81の被支持部81bと駆動伝達部材支持部材85の支持部85aにはφD1>φD2の関係により、隙間が設けられるよう構成されている。この隙間の範囲内で、駆動伝達部材81は移動可能である。この隙間の大きさを適切に設定すれば、駆動伝達部材81がカップリング部材64とが係合した際に、駆動伝達部材81の先端側の中心位置(駆動伝達部材81の先端側の芯の位置)を、カップリング部材64の中心位置に合わせることが可能である。その結果、駆動伝達部材81の回転軸線L3をカップリング部材64の回転軸線L1と精度良く一致させることができる。
一方、カップリング部材64と係合する前の駆動伝達部材81は、φD1>φD2の関係より、図15(a)に示すように、図中V方向に自重によって傾斜している。前述したように、装置本体Aの回転扉13を完全に閉じると、本来であれば、カップリング部材64は第一の位置から第二の位置へ移動可能な状態になる。しかし、本変形例においては、駆動伝達部材81が図中V方向に傾斜しているため、カップリング部材64の被駆動伝達部64aは駆動伝達部材81の駆動伝達部81aとはすぐには係合できない。
すなわち、駆動伝達部材81の駆動伝達部81a)が、カップリング部材64のカップリング部材64の被駆動伝達部64aと係合できるようになるまで、駆動伝達部材81の水平面に対する傾斜角度を小さくする必要がある。
本変形例ではカップリング部材64が第二の位置に移動する過程で、カップリング部材64が駆動伝達部材81に力を加えることで、その傾斜角度を小さくなるように駆動伝達部材81を動かしている。このため、図16、図17に示すように、カップリング部材64の駆動側端部の三角形状の稜線には、カップリング部材64の軸線に対して傾斜した面取部(傾斜部、テーパー部)64eが設けられている。この面取り部64eは駆動伝達部材81に作用するための作用部であり、特定の条件下では駆動伝達部材81に接触することで駆動伝達部材81を動かすことができる。
面取り部64eの大きさは、駆動伝達部材81がV方向に傾斜した状態(図15(a))の際に、図16に示すように、径方向において、面取り部64eの一部が、駆動伝達部材81の駆動伝達部81a内に位置するよう構成した。詳しく説明するため、図16において、面取り部64eの内側の稜線の位置をL4で示し、駆動伝達部81aである凹部の縁(へり)の位置をL5で示した。図16で示すように駆動伝達部材81が回転した際に、L5がL4よりも径方向において外側に位置させるような状態が生じれば、面取り部64eの傾斜部が駆動伝達部81a(凹部)の縁に接触する。図16では、駆動伝達部81aの縁(L5)が距離xぶん面取り部64eの内側の稜線(L4)よりも径方向外側に位置している。
傾斜した面取り部64eは、その表面に垂直な方向に向かって駆動伝達部材81に力を加える。そのため面取り部64eは駆動伝達部81aの縁に接触すると、駆動伝達部材81に対して図中、左上向きの力を加える。そのため、図15(b)に示すように、駆動伝達部材81には、その固定端を支点として矢印W方向にモーメントが加わる。これにより駆動伝達部材81は矢印W方向に搖動(傾動)する。
駆動伝達部材81が矢印W方向に搖動すると、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aが係合できるようになるので、カップリング部材64は駆動側の第二の位置へ向かって移動し、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aの係合を完了させる。カップリング部材64と駆動伝達部材81の係合が完了すると、駆動伝達部材81の回転軸L3はカップリング部材64の回転軸L1と精度良く一致する。
以上説明したように、カップリング部材64の進退方向に対して面取り部64eが傾斜しているため、カップリング部材64の進出移動に連動して、駆動伝達部材81の先端(自由端側)を上方に持ち上ることができる。これにより駆動伝達部材81とカップリング部材64の角度差(互いの回転軸同士がなす角度)を小さくして、駆動伝達部材81とカップリング部材64とを係合させることができる。面取り部(傾斜部)64eは、駆動伝達駆動伝達部材81を付勢する付勢部であり、駆動伝達部材81に作用する作用部でもある。面取り部(傾斜部)64eは駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくさせる方向に作用する力を駆動伝達部材81に加えるため、傾斜している。
図16に示すように、面取り部64eは、カップリング部材64の先端の近傍に位置する傾斜した面(表面部)である。面取り部64eは、カップリング部材64の先端に近づくにしたがって、カップリング部材64の軸線との距離が近くなるように傾斜している。別のいい方をすると、面取り部64eは、カップリング部材64の先端に近づくにしたがって、感光体ドラムの軸線との距離が近くなるように傾斜している。
図16に示された面取り部64eを例に詳しく説明すると、面取り部64eは左に向かうにしたがって下に降るように傾斜している。面取り部64eの左端は、カップリング部材64の先端である。また面取り部64eよりも下にカップリング部材64の軸線や、感光体ドラムの軸線が位置している。つまり面取り部64eは、左に位置するカップリング部材の先端に向かうにつれて、下に位置するカップリング部材64の軸線に近づいている。
カップリング部材64は、カートリッジBに移動可能に設けられた可動部材であって、駆動伝達部材81を付勢することで、カップリング部材64に対する駆動伝達部材81の傾斜を小さくする。これによって駆動伝達部材81は、カップリング部材64に対して調芯される。
なお、カップリング部材64が第二の位置に移動する際に、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aの位相が大きく異なっている場合も考えられる。その場合には、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aは係合できないので、カップリング部材64が第二の位置に移動する途中で、駆動伝達部材81と接触して一端停止する。その場合であっても、次に装置本体に駆動が入力されれば、駆動伝達部材81が回転することで駆動伝達部81aの位相に対するカップリング部材64の被駆動伝達部64aの位相が変化する。その結果、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aの位相差が小さくなって、駆動伝達部81aの三角形状の姿勢とカップリング部材64の被駆動伝達部64aの三角形状の姿勢が、近づく。
その結果、カップリング部材64が駆動伝達部材81と係合できるような状態になる(図15(b)参照)
このときカップリング部材64はその面取部64eによって駆動伝達部材81を押圧して、V方向に傾斜した駆動伝達部材81をその傾斜角度を小さくする方向(図中W方向)に揺動させる。すなわち面取り部64eを駆動伝達部材81に接触させることで、駆動伝達部材81の先端の中心位置を、カップリング部材64の先端の中心の位置に近づけることができる。この状態で、そしてカップリング部材64自身が駆動側に移動し、駆動伝達部材81との係合を完了させる(図15(c))。
なお、以上の説明では、駆動伝達部材81の傾斜方向(V方向)は重力方向としたが、この傾斜方向はどの方向であっても良い。
また、係合前の、カップリング部材64と駆動伝達部材81の回転軸が平行で、かつ同軸でない場合も本変形例のカップリング部材64は駆動伝達部材と81係合することができる。すなわち、面取り部64aが駆動伝達部材81に接触した際に、駆動伝達部材81の先端の中心位置をカップリング部材64の先端の中心位置に近づけるように動かすのは前述の説明と同様である。つまり駆動伝達部材81が傾斜していた場合と同様、任意の方向に駆動伝達部材81の軸線がずれていても、駆動伝達部材81とカップリング部材64とを係合させることが可能である。
なお本実施例において、感光体ドラム62の内部に向かって退避したカップリング部材64の位置(退避位置)を第一の位置と呼び、感光体ドラムの外部に向かって進出したカップリング部材64の位置(進出位置)を第二の位置と呼んだ。これは便宜的なものであり、退避位置を第二の位置とよび、進出位置を第一の位置と呼んでもよい。同様に、本実施例では、レバー部材12の通常位置を第一の位置とよび、レバー部材12の動作位置を第二の位置と呼んだ。しかしながら通常位置をレバー部材12の第二の位置とよび、作用位置をレバー部材の第一の位置と呼んでもよい。これらは後述の実施例でも同様である。
<実施例2>
次に実施例2について説明する。なお前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例1で説明した部材と対応しているものは、実施例1の部材と同様の名称を付すこととし、実施例1のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。
前述の実施例1では操作部材(レバー部材12)をカートリッジBの駆動側(カップリング部材が配置された側)に配置していたが、本実施例では操作部材をカートリッジBの非駆動側(長手方向において駆動側とは反対側)に配置している。この操作部材の配置の変更に伴って生じる、構成や作用の違いについて特に詳しく説明を行う。
先ず、本実施例に係る駆動側フランジユニット269及びドラムユニットについて図18、図19を用いて説明する。
図18は実施例2のドラムユニットの長手断面図である。図19は実施例2のドラムユニットの組立て方法を説明するための図である。
図18、図19に示すように、本実施例にかかる駆動側フランジユニット269はカップリング部材264、駆動側フランジ部材275、フタ部材258、第一押圧部材259等から構成される。さらに、ドラムユニットは前記駆動側フランジユニット269と、連結部材261、クッション部材(緩衝部材、ダンパー)255、非駆動側フランジ部材254、内側円筒カム部材274で構成される。実施例1と同様、カップリング部材264は被駆動伝達部264a、及び駆動側フランジ部材275に駆動を伝達する駆動伝達部264b等から構成される。駆動側フランジ部材275も、実施例1と同様に、現像ローラ端部に設けられた現像ローラギアに駆動を伝達するギア部275a等を有する。連結部材261はクッション部材支持部261a、カップリング部材264と内側円筒カム部材274を連結する連結部261b、内側円筒カム部材に支持される被支持部261c等から構成される。内側円筒カム部材274は、円筒カム部274a(図23)、連結部材支持部274b、ドラム軸278に支持される被支持部274c、及び、非駆動側フランジ部材254の内周部254bに挿入される外径部274d等から構成される。
圧縮バネ等からなる第一押圧部材259はカップリング部材264の第一部材当接面264d(図24参照)と駆動側フランジ部材275の第一部材当接面275d(図24参照)の間に設けられている。
本実施例においても、カップリング部材264は感光体ドラム62の端部に設けられる。
つまり、カップリング部材264を有する駆動側フランジユニット269は実施例1と同様、圧入やかしめ等の手段によって感光体ドラム62の駆動側端部に固定される。さらに、図19に示すように、クッション部材255を支持した連結部材261が非駆動側端部62bからドラム内部に挿入される。非駆動側フランジ部材254は内周部254bに内側円筒カム部材274が嵌められた状態で実施例1と同様にかしめ等の手段によって非駆動側ドラム端部62bに固定される(図18)。以上により、実施例2のドラムユニットが構成される。カップリング部材264は駆動側フランジ部材275に対して移動可能に接続している。
本実施例においてもカップリング部材264の被駆動伝達部264aは、断面が実質的に三角形で凸型の形状を採用した。具体的には、実質的に三角形状の断面を駆動側から非駆動側にかけて感光体ドラムの軸線を中心として反時計周りに捩じった形状のものを採用した。
次にカップリング部材264の長手方向の進退移動を可能にする作動ユニットについて図20から図23を用いて説明する。
図20は本実施例に係る作動ユニットを有するクリーニングユニット260の構成を説明するための部分斜視図である。
図21は本実施例のプロセスカートリッジの斜視図である。
図22(a)は装置本体Aの開閉扉13を図中H方向に閉めていく過程で、カートリッジ押圧部材1がレバー部材212の被押圧部212aに当接し始めた状態の画像形成装置の断面図である。
図22(b)は装置本体Aの開閉扉13を完全に閉じた状態の画像形成装置の断面図である。
図23は本実施例に係るレバー部材212、外側円筒カム部材270、内側円筒カム部材274の斜視図である。ここで、図23(a)は、レバー部材212の被押圧部212aにカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態の斜視図である。図23(c)は、開閉扉13が完全に閉じ、レバー部材212の当接部212aに、カートリッジ押圧バネ19の所定の圧が加えられた状態(図22(b))の斜視図である。図23(b)は図23(a)と図23(c)の間の状態(図22(a)~図22(b))での斜視図である。
図23に示すように、作動ユニットは外側円筒カム部材270、内側円筒カム部材274、レバー部材(操作部材)212、第二押圧部材214(図21)等から構成される。外側円筒カム部材270は、円筒カム部270aとレバー部材212を係合するレバー部材係合部270b等から構成される。レバー部材212は装置本体Aのカートリッジ押圧部材1(図21)が当接する当接部212a、及び外側カム部材270に係合される被係合部212b等で構成される。図20に示すように、レバー部材212が係合された外側円筒カム部材270は図中の上から下にむかってクリーニング枠体271に取付けられる。
具体的には、被支持部270cを介して、ドラムユニットと伴に、ドラム軸278によってクリーニング枠体271に対して回転可能になるよう支持される。
図21に示すように、クリーニングユニット260に第二押圧部材214、及び現像ユニット20が取り付けられ、本実施例のプロセスカートリッジが構成される。
次に、装置本体Aに設けられたカートリッジ押圧部材1がレバー部材212に当接及び離間することでレバー部材212が移動し、カップリング部材264が進退する動きについて説明する。
先ずは、本実施例のカップリング部材264の長手位置決め構成について図19を用いて説明する。本実施例においてカップリング部材264の長手位置は、外側円筒カム部材270、内側円筒カム部材274、連結部材261によって決まるよう構成されている。
具体的には、第一押圧部材259により非駆動側に押圧されたカップリング部材264が、連結部材261を図23(a)に示すs方向に付勢させ、端面261dが内側円筒カム部材274の長手規制面274dに当接する。このことでカップリング部材の長手位置が決まる。後述するが、内側円筒カム部材274の長手位置は、図23に示すように外側円筒カム部材270と内側円筒カム部材274の円筒カム部の位相によって決まるよう構成されている。
次にレバー部材212の移動と、カップリング部材264の長手方向の進退移動について図21から図24を用いて説明する。
ここで、図24は、本実施例に係る装置本体Aの駆動伝達部材81とカップリング部材264の長手断面図である。図23同様に、図24(a)は、レバー部材212の被押圧部212aにカートリッジ押圧部材が当接する前の状態の長手断面図である。図24(c)は、開閉扉13が完全に閉じ、レバー部材212の当接部12aに、カートリッジ押圧バネ19の所定の圧が加えられた状態((図22(b))の長手断面図である。図24(b)は図24(a)と図24(c)の間の状態(図22(a)~図22(b))での長手断面図である。
図23(a)に示すように、レバー部材212にカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態では、レバー部材212は第二押圧部材214(図21参照)によって図21、図23(a)中の矢印E方向に付勢されている。この時、外側円筒カム部材270と内側円筒カム部材274の円筒カム部は図23(a)に示す位相になるよう構成されているため、内側円筒カム部材274は最も非駆動側(図中S方向)に位置した状態となる。よって、連結部材261、クッション部材255を介して長手位置が決まるカップリング部材264は最も非駆動側に位置するよう構成されている。すなわち、連結部材261等から成る作動ユニットは、カップリング部材264が第一押圧部材259(図19参照)の付勢力によって非駆動側に退避するのを許容している。このようにカップリング部材264が非駆動側に退避した位置を実施例1と同様に、本実施例においても第一の位置と呼ぶ。カップリング部材264を非駆動側に向けて付勢する第一押圧部材(付勢部材、弾性部材)259を作動ユニットの一部とみなすこともできる。
図24(a)に示すように、カップリング部材264が第一の位置にいるときは、カップリング部材264の被駆動伝達部264aと駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは長手方向でオーバーラップしないよう構成されている。つまり、プロセスカートリッジBの装置本体Aの着脱は、カップリング部材264と装置本体の駆動伝達部材81の干渉等がなく、スムーズに行うことができる。
次にカートリッジ押圧部材1がレバー部材212に当接し、レバー部材212の移動が開始し、カップリング部材264が前記第一の位置から駆動側に移動する動きについて説明する。
図22(a)に示すように、プロセスカートリッジBの装着が終了し、開閉扉13を図中H方向に閉じていくと、カートリッジ押圧部材1とレバー部材212の当接が開始し、レバー部材212にカートリッジ押圧バネ19の押圧力が作用しはじめる。この押圧力によりレバー部材212は、第二押圧部材214に抗して、図22(a)及び図23(b)に示すK方向へ移動を開始しはじめる。図23(b)に示すように、レバー部材212がK方向に移動すると、レバー部材212に係合された外側円筒カム部材270は図中M2方向に回転しはじめる。外側円筒部材270がM2方向に回転すると、外側円筒カム部材270及び内側円筒カム部材274の円筒カム部により、内側円筒カム部材274は図23(b)に示すN方向(駆動側)に移動をし始める。なお実施例1と同様、内側円筒カム部材274は、回転はせず、長手方向にのみ移動可能に支持されている。
内側円筒カム部材274の長手方向(N方向)の移動により、内側円筒カム部材274に連結された連結部材261も第一押圧部259(図19)の付勢力に抗して移動を開始する。そして連結部材261の移動によってさらにカップリング部材264aもN方向に移動を開始し、カップリング部材264の被駆動伝達部264aと装置本体の駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは長手方向で係合できる関係となる(図24(b))。なお、連結部材261はカップリング部材264に対して直接連結されているわけではなく、前述したようにクッション部材255(図19参照)を介して連結部材261はカップリング部材264に連結されている。クッション部材255は伸縮可能な弾性部材であり、連結部材261がN方向に移動すると、クッション部材255が圧縮され、その圧縮によって生じる弾性力を用いて、カップリング部材264がN方向に移動される。すなわちクッション部材255の弾性力(付勢力)が第一押圧部材259(図19参照)の弾性力(付勢力)を上回ることで、カップリング部材264が第一押圧部材259の付勢力こうしてカートリッジの外部に向かって進出移動する。このクッション部材255も作動ユニットの一部とみなすことができる。
さらに開閉扉13を閉じ、開閉扉13を完全に閉じると(図22(b)の状態)、図23(c)に示すように外側円筒カム部材270と内側円筒カム部材274の各々円筒カム部の長手端面で当接するよう構成される。この時、内側円筒カム部材274は最も駆動側に位置する。つまり、連結部材261を介して、カップリング部材264も最も駆動側に位置するよう構成される。このカップリング部材264が駆動側に突出した位置を本実施例においても第二の位置と呼ぶ。
図24(c)に示すように、カップリング部材264が第二の位置にいるときは、カップリング部材264の被駆動伝達部264aと駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは安定した駆動伝達に必要な長手方向の係合量を確保できるよう構成されている。
なお本実施例においても実施例1と同様に、カップリング部材264の第一の位置、第二の位置に対応するレバー部材212の位置をそれぞれ第一の位置、第二の位置と呼ぶこととする。すなわち、図23(a)、図24(a)がそれぞれレバー部材212とカップリング部材264の第一の位置を示しており、図23(c)、図24(c)がそれぞれレバー部材212とカップリング部材264の第二の位置を示している。図23(b)、図24(b)は、それぞれレバー部材212とカップリング部材264が第一の位置から第二の位置に移動する過程の中間位置を示している。
また、前述したように本実施例に係るカップリング部材264の被駆動伝達部264aは捻じれた三角形状を用いた。そのため、駆動伝達部材81の駆動伝達部81a(図25とカップリング部材264の駆動伝達部64の位相が合ってないときは、駆動伝達部81aと被駆動伝達部64aが完全には係合せず、カップリング部材264と駆動伝達部材81が干渉してしまう。このときにはカップリング部材264が第二の位置(突出位置)まで十分に移動することができない。
すなわち、レバー部材212が装置本体Aの押圧部材1に操作されて第二の位置(図23(c)参照)に移動しているにもかかわらず、カップリング部材264が第二の位置(図24(c)参照)に移動できない。このときは、クッション部材255が大きく圧縮されることで、レバー部材212とカップリング部材264の互いの位置のずれを吸収している。すなわち、クッション部材255は、レバー部材212とカップリング部材264の間に配置された緩衝部材であり、カップリング部材264と駆動伝達部材81の干渉を許容するために用いられる。
つまり、クッション部材255をカップリング部材264と連結部材261の間に配置した為、カップリング部材264が、長手方向で突っ張ることなく、駆動伝達部材81の端面81cで静止されるよう構成されている。
この状態で装置本体Aに駆動が入力されると、駆動伝達部材81が回転することで実施例1の時と同様カップリング部材264と駆動伝達部材81の位相差が所定の範囲内に収まる。するとカップリング部材264は前記第二の位置へ移動することが可能となる。つまりカップリング部材264と駆動伝達部材81の位相差が所定の範囲内に収まった時点で、クッション部材255の弾性変形が一部解消され、クッション部材255の弾性力を用いてカップリング部材264は第二の位置に移動する。これによってカップリング部材264と駆動伝達部材81は係合する。本実施例ではクッション部材255に圧縮コイルばねを用いたが、ゴムなどの他の弾性部材も好適に用いることが可能である。また、クッション部材255はレバー部材212とカップリング部材264の間のどこかに配置されていればよく、かならずしもクッション部材255を連結部材261とカップリング部材264の間に配置していなくてもよい。たとえばレバー部材212を構成する樹脂の一部が弾性変形することで、クッション部材として作用してもよい。この場合にもレバー部材212とカップリング部材264の間にクッション部材があるとみなせる。
なお本実施例ではクッション部材255は、カップリング部材264の突起部に対して隙間を介して取り付けられる。そのためクッション部材255は、カップリング部材264に対して回転可能である。言い換えるとカップリング部材264は回転力を受けた際、にクッション部材255に対して摺動して回転する。カップリング部材264の回転時に、クッション部材255は回転はせず、クッション部材255が連結された連結部材261も回転しない。また、本実施例においては、ドラム軸278と内側円筒カム部材274は互いに対して回転不能となるよう構成した。具体的には、ドラム軸278の断面と内側円筒カム部材274の凹部(支持部274c)は断面が非円形となっており、ドラム軸278が支持部274cに係合(嵌合)することで、ドラム軸278に対して内側円筒カム部材274は回転しない。つまり内側円筒カム274は、回転移動はせず、ドラム軸278に沿って軸線方向(長手方向)への進退移動のみが可能である。さらに、非駆動側フランジ部材254は、感光体ドラム62に固定される一方で、内側円筒カム部材274の外径部274d(図19)に対して回転可能になるよう構成した。
カップリング部材264に駆動が伝達されると、感光体ドラム62および非駆動側フランジ部材254が回転する。すると内側円筒カム部材274を囲うように配置された非駆動側フランジ部材254が内側円筒カム部材274に対して摺動しつつ回転する。非駆動側フランジ部材254は内側円筒カム部材274を介してドラム軸278に支持されている。
本実施例では、前述の実施例1と異なり、操作部材(レバー部材212)やカム機構(内側円筒カム部材274や外側円筒カム部材270)が、非駆動側に設けられている。そのため、これら非駆動側にある操作部材やカム機構と、駆動側にあるカップリング部材264とを連結するための連結部材261がカートリッジBに設けられている。この連結部材261もカップリング部材264を移動させるための作動ユニットの一部とみなすことができる。連結部材261は、カートリッジBの長手方向に延びる延在部材である。本実施例ではドラム62の内部に連結部材261を配置させることで、ドラム62内のデッドスペースを有効に活用している。
また上記したように、カップリング部材264を第一の位置(退避位置)に付勢するための付勢部材として第一押圧部材259がある。レバー部材212が第一の位置(通常位置)の位置にある際、作用ユニットは第一押圧部材259の力によって、カップリング部材264が退避位置に位置するのを許容している。
一方、レバー部材212が第二の位置(作動位置)に移動すると、カム機構(内側円筒カム部材274、外側円筒カム部材270)および連結部材261が連動する。このカム機構がカップリング部材264を第一押圧部材259の付勢力に抗して、第二の位置(進出位置)へと移動させる。なお連結部材261は直接、カップリング部材264に接続されるわけではなく、上記したようにクッション部材255を間に介して連結部材261とカップリング部材264は連結されている。なお、本実施例では、ドラム軸278、内側円筒カム部材274、非駆動側フランジ部材254は導電性を有する材質を用いた。これにより、ドラム62からドラム軸278は電気的に接続された構成となっている。また、ドラム軸278は、ドラム62と電気的に接続しており、ドラム62を接地するために用いられる接点部材(電気接点)である。ドラム軸278は図29に示すように装置本体Aに設けられた接点部材103を介して装置本体Aの板金部材に電気的に接続されるよう構成されている。図29は感光体ドラム62の接地について説明する説明図である。接点部材103は、板金部材(装置本体Aを構成する板状の金属フレーム)104に電気的に接続されている装置本体A側の電気接点である。
そして作動ユニットの一部がドラム62およびドラム軸278と電気的に接続されていることで、ドラム軸278および作動ユニットを介してドラム62と装置本体Aの板金部材を電気的に接続されるよう構成されている。
よって、ドラム軸278、内側円筒カム部材274、非駆動側フランジ部材254を導電性の有する材質で構成したことにより、ドラムを安定してアースに接続(接地)することができる。
また、実施例1の変形例と同様に、本実施例におけるカップリング部材264は、係合前にその回転軸線がカップリング部材264の回転軸線に対して傾斜しているような構成の駆動伝達部材81であっても、係合することが可能である。つまり実施例1の変形例と同様に、カップリング部材264が駆動伝達部材81に向かって進出することに伴って、カップリング部材264が駆動伝達部材81の傾斜を小さくすることができる(図15(a)~(c)参照)。これによって駆動伝達部材81がカップリング部材264に対して調芯され、両者は係合できる。
さらに、係合前の、カップリング部材64と駆動伝達部材81の回転軸が平行で、かつ同軸でない場合も本実施例のカップリング部材264は駆動伝達部材と81係合することができる。
以上説明したように本実施例では、レバー部材212(操作部材)をカップリング部材264の反対側の非駆動側に配置した。カートリッジBの非駆動側は駆動側と比較して、ギア等の駆動伝達部材を配置しない(あるいは配置される数を少なくする)ことが可能なため、レバー部材212を配置するスペースを確保しやすい。すなわち、カートリッジBの非駆動側にレバー部材212を配置すれば、レバー部材212の構造、形状、配置に関して設計の自由度を高められる。また非駆動側に作動ユニットの一部が配置されているため、この作動ユニットの一部を、ドラム62を接地させるための経路としても有効活用することができる。また各電気接点82、83が配置された側と反対の非駆動側にレバー部材212を配置しても、実施例1ほどではなくてもレバー部材212が受ける押圧力によって各電気接点82、83を本体側電気接点102、103へ押圧することが可能である。
前述の実施例1では、感光体ドラムの軸線方向において、操作部材12とカップリング部材64を、カートリッジの同じ側に配置した(図1、4、5、9参照)。つまり、実施例1では、操作部材12はカップリング部材64と同じように、カートリッジの枠体の駆動側の端部の近傍に配置されている。つまり、操作部材12やカップリング部材64は共に、駆動側に配置されたドラム軸受73の近傍に配置されている。
これに対して本実施例では、操作部材212とカートリッジ部材264とを、それぞれカートリッジの反対側に配置した(図21)。つまり、操作部材212は、クリーニング枠体71の非駆動側の端部近傍に配置されている。
実施例1および本実施例で説明したことを踏まえて、カートリッジBや装置本体Aに求められる機能、構成、条件等に応じて、操作部材を駆動側に配置するか非駆動側に配置するかを適宜選択すればよい。後述する各実施例においても、操作部材をカーリッジの駆動側に配置するか、非駆動側に配置するかは適宜、選択できる事項である。
<実施例3>
次に実施例3について説明する。実施例3では、実施例1の変形例で示した駆動伝達部材81と同様に、感光体ドラムの軸線に対してその軸線が傾斜した駆動伝達部材581を示す。
傾斜した駆動伝達部材581の軸線にならうようにカップリング部材(駆動入力部材)の位置および姿勢を定めることにより、傾斜した駆動伝達部材581にカップリング部材(駆動入力部材)が係合させる構成について説明する(図35にて後述)。
先ず、本実施例に係る軸継手であるオルダムカップリング549を有する駆動側フランジユニット569及びドラムユニットについて図30、図31、図32を用いて説明する。
図30はドラムユニットの長手断面図である。
図31は本実施例で用いたオルダムカップリング549を説明するための斜視図で図31(a)は組立前の斜視図、図31(b)は組立後の斜視図である。図32は駆動側フランジユニット569の長手断面図である。
図30、図31、図32に示すように、本実施例にかかる駆動側フランジユニット569は駆動入力部材564、中間体545、駆動力伝達ピン548、出力部材547、フタ部材558、第一押圧部材559等から構成される。また、本実施例のドラムユニットは図30に示すように、前記駆動側フランジユニット569と、連結部材261、クッション部材255、非駆動側フランジ部材254、内側円筒カム部材274で構成される。駆動入力部材564を長手方向に進退させる作動部材ユニットである連結部材261、クッション部材255、非駆動側フランジ部材254、内側円筒カム部材274に関しては実施例2と同じ構成のものを用いているため、詳細な説明は割愛する。
図30、図31に示すように、本実施例の駆動入力部材564は、前述した実施例と同様、被駆動伝達部(駆動力受け部)564aを有する。駆動入力部材564はカップリング部材(オルダムカップリング549)の一部であり、被駆動伝達部564aを介して駆動入力部材564に駆動力が入力される。
被駆動伝達部564aの形状は、前述の実施例と同様、三角形状のものを用いた。また、駆動入力部材564には、後述するオルダムカップリング549に係止される被ガイドリブ564bが設けられている。オルダムカップリング549は、図31に示すように、駆動入力部材(入力ディスク、入力部材、入力部)564、中間体(中間部材、中間ディスク、中間部)545、駆動出力部材(出力部材、出力ディスク、出力部)547を含む。
中間体545はガイド溝545a、被ガイドリブ545bを有する。出力部材547は中間体545と同様、被ガイド溝547a、後述する駆動伝達ピンが挿入される穴部547bが設けられている。図31(a)に示すように、駆動入力部材564は、駆動入力部材に設けられた被ガイドリブ564bを中間体545のガイド溝545aに係合されることで、中間体545に係止される。これにより駆動入力部材564は中間体に対して図31(a)中x1方向に移動可能になる。つまり入力部材564は中間体545に対してx1方向にスライド可能となるように、中間体545に対いて係合している。
中間体545は中間体に設けられた被ガイドリブ545bを出力部材547の被ガイド溝547aが係合されることで出力部材547に係止される。これにより中間体545は出力部材547に対して図31(a)中x2方向に移動可能になる。つまり中間体545は、出力部材547に対してx2方向にスライド可能となるように、出力部材547と係合している。
x1方向とx2方向は異なる方向(すなわち互いに直交する方向)であるため、駆動入力部材564は、出力部材547に対して、x1方向、x2方向の任意の方向に移動できるよう構成されている。また、図2(a)に示すように、本実施例では駆動入力部材の被ガイドリブ564bの被ガイド幅d5と中間体のガイド溝の幅d6、及び中間体の被ガイド幅d7と出力部材のスライド溝の幅d8をd5<d6、d7<d8となるよう構成した。
詳細は後述するが、これにより駆動入力部材564の軸線は感光体ドラムの軸線に対して傾斜可能に構成されている。
また、出力部材547の穴部547bには、駆動入力部材564が受けた駆動力を駆動側フランジ部材575に被伝達面575dを介して伝達するための駆動伝達ピン548が挿入される。これにより、駆動入力部材564を含むオルダムカップリング549が完成する(図31(b))。
入力部材564は外部から駆動力が入力されるディスクである。出力部材547は、オルダムカップリング549から感光体ドラムに向けて駆動力を出力するためのディスクである。つまり出力部材547は、駆動側フランジ部材575に駆動力を出力するための駆動伝達ピン(駆動伝達部)548を有する。出力部材547から駆動伝達ピン548を介して出力された駆動力は、駆動側ドラムフランジを通って感光体ドラムまで伝達される。また中間体(中間部材)545は、入力部材564から出力部材547に駆動力を伝達するように、入力部材564と出力部材547の間に設けられ、かつ、入力部材564と出力部材547とに係合しているディスクである。
図32は駆動側ドラムフランジユニット569の断面であり、フタ部材558を組み付ける前の図である。
図32に示すように、駆動入力部材564を含むオルダムカップリング549は、駆動側フランジ部材575に、実施例2と同様、第一押圧部材559とともに挿入される。第一押圧部材559は出力部材547の当接面547cと駆動側フランジ部材575の当接面575cの間に配置される。これにより、駆動入力部材564を含むオルダムカップリング549は、退避位置である長手方向の第一の位置に付勢されるよう構成されている。また、出力部材547の軸線x3と駆動側フランジ部材575の軸線x4は同軸となるよう構成されている。フタ部材558が駆動側フランジ部材575に固定される。フタ部材558が固定された駆動側フランジ部材564は感光体ドラム62に固定される。実施例2で説明した連結部材261、クッション部材255、非駆動側フランジ部材254、内側円筒カム部材274もドラムユニットに取り付けられている(図30)。
前述したように、駆動入力部材564は、出力部材547に対して図31(a)中x1方向、x2方向の任意の位置をとるよう構成されている。また、出力部材547、駆動側フランジ部材の軸線x3、x4は感光体ドラム62の軸線L1と同軸であるため、本実施例における駆動入力部材564は感光体ドラム62の軸線に対してx1方向、x2方向の任意の位置をとることができる。
次に本実施例に係るドラムユニットの組み付け方法について図33、図34を用いて説明する。図33(a)は、ドラムユニットを組み付け方法を説明するための斜視図である。
図33(b)はカップリング支持部材552とドラム軸受573の係止部を説明するための部分詳細図である。
図34は本実施例にかかるプロセスカートリッジの側面図である。
本実施例のドラムユニットは図33に示すように、ドラム軸受573を介して、クリーニング枠体571に回転可能に支持される。本実施例のドラム軸受573には、カップリング支持部材552、カップリング付勢部材553が取り付けられている。図33(a)に示すように、カップリング支持部材552は、その被係止部552b部を、ドラム軸受573に設けられた切欠き部573aに係止されるよう構成されている。また、本実施例ではカップリング支持部材552の被係止部552bの幅d3とドラム軸受573の切欠き部573aの切欠き幅d4の関係をd4>d3となるようにしている。
これにより、カップリング支持部材552の軸線が感光体ドラムの軸線に対して傾斜可能になるよう構成される。本実施例のカップリング付勢部材553としてはねじりコイルバネを用い、ねじりコイルバネはドラム軸受573のボス部573c、573dに保持される。前記ねじりコイルバネの一端はカップリング支持部材552の被当接部552dに当接され、カップリング支持部材552は図34(b)中、X5方向に付勢するよう構成されている。
図30、図34に示すようにカップリング支持部材552は、内周部552aで駆動入力部材外周部564cを回転可能に支持するよう構成されている。これにより、カップリング支持部材552に支持された駆動入力部材564は、カップリング付勢部材553の付勢力により図中x5方向に付勢される。後述するが、方向x5は、感光体ドラムの軸線に対して傾斜された軸線を有する駆動伝達部材81に、駆動入力部材564が係合するための方向である。
次に、駆動伝達部材581の傾斜について図34(a)を用いて説明する。前述した実施例1の変形例などと同じく、本実施例においても駆動伝達部材581を傾斜可能に構成している。すなわち前述した実施例と同様に、駆動伝達部材581を支持する軸受部と駆動伝達部材581の間には隙間(ガタ)がある。この隙間の範囲内で駆動伝達部材581は傾斜することが可能になっている。
しかしながら本実施例は駆動伝達部材581を傾斜させる方向を前述の各実施例とは異ならせている。すなわち前述の実施例では駆動伝達部材は、カートリッジBに連結されていない状態では重力によって真下に向かって傾斜していた(図15等参照)。しかしながら本実施例では重力方向(真下方向)とは異なる方向に駆動伝達部材581を傾斜させている。具体的には図34(a)に示すように、カートリッジBの装着方向KHの下流側に、駆動伝達部材581の先端を向かせるように駆動伝達部材581を傾斜させている。これは以下の理由による。
図34(a)に示すように装置本体に対してカートリッジが多少傾いた状態で装置本体に装着される場合が考えられる。このとき、カートリッジBの一部が駆動伝達部材581の先端部に軽く接触してこれを押してしまい、駆動伝達部材581が装着方向KHの下流側に傾く可能性がある。そしてカートリッジBを装着する際の姿勢や勢いが異なれば、カートリッジBと駆動伝達部材581の接触の仕方も異なり、駆動伝達部材581の傾く方向や傾く距離が変化してしまう可能性がある。このような環境下では、カートリッジBが装着されるたびに駆動伝達部材581の姿勢(傾き方)が変わるので、駆動伝達部材581とカートリッジBを安定して係合させにくくなる可能性が生じる。
そこで本実施例では、あらかじめ駆動伝達部材581を装着方向KHの下流側に傾けた。
つまりカートリッジBの装着のされ方によらず駆動伝達部材581は常に略同じ方向に傾け、略姿勢を取るようにした。これによって、駆動伝達部材581とカートリッジBの連結を毎回安定化させている。
なお、カートリッジBが装置本体に装着された状態では、駆動伝達部材581の先端はカートリッジBに対して図34(b)に示す矢印x5方向に向かって傾斜している。
矢印X5方向は、感光体ドラムの中心から現像ローラの中心に向かって延びる線(半直線)X6を反時計回りに41度回転した線が延びる方向である。なお、図34(b)において反時計方向は、感光体ドラムの表面に潜像およびトナー像を形成する際に感光体ドラムが回転する方向である。
そして本実施例では、このようにX5方向に傾斜した駆動伝達部材581に対して、駆動入力部材564も感光体ドラムに対してX5方向に移動させる。これによって駆動伝達部材581と駆動入力部材564とを係合(連結)させるようにしている。図35、図36を用いて詳細に説明する。
図35(a)、(b)、(c)は感光体ドラムの軸線L1に対して傾斜した軸線L6を有する駆動伝達部材581に、本実施例の駆動入力部材564が係合していく様子を段階的に示したものである。
実施例2と同様、図35(a)はプロセスカートリッジを装置本体Aに挿入し、開閉扉13を閉じた状態の長手断面図である。図35(b)は装置本体Aに駆動力が入力され、駆動伝達部材581が回転し始め、駆動伝達部581aの位相と駆動入力部材564の被駆動伝達部564aの位相が所定の範囲に収まった直後の長手断面図である。図35(c)は、駆動伝達部材581の駆動伝達部581aと駆動入力部材564の被駆動伝達部564aの係合が完了した状態の長手断面図である。
図36は図35(a)のy部の部分詳細図である。
なお、本実施例のカップリング部材(オルダムカップリング549)は、前述の実施例1、2のカップリング部材と同様に進退可能な構成である。オルダムカップリング549(駆動入力部材564、中間体545、出力部材547)が長手方向に沿って移動させるための構成については、実施例2と同様である。つまり出力部材547が、図26に示したカップリング部材264と同様に感光体ドラム62の軸線方向に沿って移動する。この出力部材547の移動によって、カップリング部材(オルダムカップリング549)の全体が、進出位置(図35(c)参照)と退避位置(図35(a)参照)の間を移動する。
前述したように、本実施例では、軸線L6を有する駆動伝達部材581に駆動入力部材564が係合できるように、駆動入力部材564を図34(b)のx5方向に付勢させている。
より具体的には、装置本体の開閉扉13を閉じた図35の(a)の状態で、径方向において、面取り部564eの一部が、駆動伝達部材581の駆動伝達部581a内に位置するよう駆動入力部材564をx5方向に付勢させている。
装置本体Aに駆動が入力され、駆動伝達部材581が回転し、駆動伝達部材581の三角形状の姿勢と駆動入力部材564の三角形状の姿勢が近づくと、駆動入力部材564と駆動伝達部材581の係合が開始しはじめる(図35(b))。さらに駆動伝達部材581が回転することで、駆動入力部材564が長手方向第二の位置へ移動し、オルダムカップリングの入力部材564と駆動伝達部材581の係合が完了する(図35(c))。
前述したように、本実施例では駆動入力部材(入力部材、入力部)564及びカップリング支持部材(カップリング軸受)552の軸線は感光体ドラムの軸線に対して傾斜可能に構成されている。よって、駆動入力部材564と駆動伝達部材581の係合が完了した段階では、駆動入力部材564及びカップリング支持部材552の軸線は駆動伝達部材581の軸線と同軸になる。
また、装置本体の駆動伝達部材の駆動は、駆動入力部材564、中間体(中間部材、中間部)545、出力部材(出力部)547、駆動伝達ピン548、駆動側フランジ部材575を介して感光体ドラムへ伝達される。
以上の説明のように、本実施例では、駆動入力部材564をx5方向(図34)に付勢させる構成をとったことで、感光体ドラムの軸線L1に対して傾斜された軸線L6を有する駆動伝達部材81に、駆動入力部材564を係合させることができる。
オルダムカップリング549(駆動入力部材564、中間体545、出力部材547)は、駆動伝達部材581の軸線と感光体ドラムの軸線が一致していない状態(軸ずれ状態)を許容するための軸ずれ許容機構(軸ずれ吸収機構)である。
つまりカップリング部材(オルダムカップリング549)は駆動力が装置本体から入力されるための入力部材564と、駆動力を感光体ドラムへ出力するための出力部材547がある。出力部材547の軸線は、感光ドラムの軸線L1に実質的に一致している一方で、入力部材564は出力部材547に対して出力部材の軸線と交差する方向(直交する方向)に移動可能である。つまり入力部材564の軸線(回転中心)が、出力部材547の軸線(L1)に対してずれる(オフセットする、離れる)ことができる。これにより、駆動伝達部材581の軸線と、感光体ドラムの軸線の間に生じたズレを入力部材564が吸収することができる。すなわち入力部材654が軸線L1と交差する方向に変位しているので、カートリッジBが装置本体に装着された時点で駆動伝達部材581の先端と入力部材654は近い位置にある。この状態で入力部材654が軸線L1に沿ってさらに駆動伝達部材581に近づき駆動伝達部材581と係合する。
なお本実施例では、入力部材654の中心が出力部材547や感光体ドラムに対して変位している方向は、図34(b)に示す矢印X5方向である。X5方向は、前述したように駆動伝達部材581の先端側が傾斜している方向である。X5方向は、感光体ドラムの中心から現像ローラの中心に向かって延びる線X6を反時計回りに(すなわち感光体ドラムの回転方向下流側に)角度X5回転させた方向である。
本実施例では駆動伝達部材581の先端が傾く方向X5の角度は41度である。したがって入力部材654を変位させる方向の角度X7も41度である。しかしながら、駆動伝達部材581が変位する方向の角度は、厳密に41度でなくてもよく11°~71°の範囲(駆動伝達部材581の角度に対して±30度の範囲)となるようにしてもよい。つまり、入力部材654が感光体ドラムに対して変位する方向は、X6に対して11度よりも大きく71度よりも小さい範囲である。
なお入力部材654をカップリング付勢部材553(図33(a)参照)で付勢することで、入力部材654をX5方向に移動させた状態に保持している。カップリング付勢部材553として弾性部材(バネ)を採用した。本実施例のカップリング付勢部材553は捻じりコイルバネであるが、これに限られるわけではなく、別構成であってもよい。
なお本実施例ではさらに、入力部材654の軸線が、出力部材547や感光体ドラム62の軸線(L1)に対して傾斜することも可能である。傾斜した駆動伝達部材581に沿って入力部材654も傾斜し、駆動伝達部材581と入力部材654の係合状態を安定化させている。図35(a)、(b)、(c)で示すように、入力部材654の軸線は、オルダムカップリングの先端(すなわち左側)に向かうにつれてドラムの軸線に近づくように傾斜している。図35(a)、(b)、(c)では、入力部材654の軸線は、左上に向かうように傾斜している。
前述したように本実施例において駆動伝達部材581はKH方向(X5方向)に傾斜させている(図34(a)、(b)参照)。実施例1や実施例2の駆動伝達部材も本実施例のような方向に傾斜させてもよい。また後述する実施例においても駆動伝達部材を本実施例のような方向に傾斜させてもよい。
<実施例4>
次に実施例4について説明する。なお前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例1で説明した部材と対応しているものは、実施例1の部材と同様の名称を付すこととし、実施例1のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。
前述の実施例1の変形例ではカップリング部材64を駆動伝達部材81に向けて移動させる過程で、カップリング部材64先端の斜面を駆動伝達部材81に接触させた。これによって、カップリング部材64が駆動伝達部材81の傾きを起こしてカップリング部材64を駆動伝達部材81と係合させていた。
これに対して本実施例では駆動伝達部材81の傾きに応じて、カップリング部材の位相を特定の状態になるように制御することで、駆動伝達部材81とカップリング部材を係合させる。すなわち、傾いた駆動伝達部材81と係合しやすい位相にカップリング部材を保持させている。このようなカップリングの係合手法の変更に伴って生じる、構成や作用の違いについて特に詳しく説明を行う。
(プロセスカートリッジの着脱の説明)
図37は、本願に係る1つの実施例を示すカートリッジBの斜視図である。
図37(a)は、カートリッジBの全体図である。図37(b)は、入力部材(駆動入力部材、移動部材)764を作動させるための機構を説明するためのカートリッジBの分解図である。
図37(a)において、クリーニング枠体771の側面に、入力部材764を含むカップリングユニットU3が設けられる。またこの側面には、ドラムユニットU1を回転可能に支持するドラム軸受773と、ドラム軸受773に固定されカップリングユニットU3が長手外側方向LOに移動するのを規制する規制部材790も備えられる。
図37(b)は、規制部材790とドラム軸受773を取り外した際の分解斜視図である。規制部材790はドラム軸受773にビス791で固定される。規制部材790の端面790aは図43で後述する外側円筒カム770の端面770aと当接可能であり、外側円筒カム770が長手外側方向LOに移動するのを規制する。
続いて、図38を用いて、装置本体Aが有する駆動伝達部材81から回転力を受ける為のカップリングユニットU3の内部構成を説明する。図38(a)(b)はカップリングユニットU3の分解斜視図である。長手外側をLO、長手内側をLIとする。
カップリングユニットU3は、カップリング軸793、第3押圧部材787、入力部材764、外側円筒カム770、内側円筒カム774、第1押圧バネ759、駆動側フランジ775、ネジリバネ789、固定ビス788から構成される。
カップリング軸793は駆動側フランジ775に設けられる。本実施例においては、カップリング軸793は、固定ビス788を用いて駆動側フランジ775に固定される。本実施例においては、カップリング軸793はドラム62の回転軸線L1と同軸上に設けられている。詳細に述べると、固定ビス788は、駆動側フランジ775の穴775aを貫通し、カップリング軸793の穴793a1に差し込まれネジにより固定される。カップリング軸793は、長手外側方向LO(長手外側端部)に規制部としての先端部793bと、長手内側方向LIに軸793aと、を有する。先端部793bの長手内側方向LIには、複数の凹凸からなる駆動伝達部としての係合部793b1を有する。係合部793b1の径方向内側には端面793b2を有する(図43に拡大図を示す)。
本実施例においては、入力部材764は一端に略三角形状のねじれた角柱である被駆動伝達部764aと、他端に略三角形状の角柱764eとを有す。入力部材764は回転軸線L1中心に貫通穴764cと複数の凹凸部からなる駆動力伝達部としての係合部764fを有する。(図39(a)に拡大図を示す。)係合部764fは被駆動伝達部764aの径方向内側かつ貫通穴764cの長手外側方向LOに隣接する。カップリング軸793は入力部材764が有する貫通穴764cに挿入される。第3押圧部材787はカップリング軸793の軸793aの周囲に取り付けられ、カップリング軸793の規制部としての先端部793bが有する端面793b2と入力部材764との間に配置される。カップリング軸793の駆動力受け部としての係合部793b1と、入力部材764の駆動力伝達部としての係合部764fは係合及び離脱が可能となるように構成されている。これによって、入力部材764とカップリング軸793との間で、駆動力が伝達または遮断される。
本実施例のカップリング部材は、入力部材764とカップリング軸793を含む。入力部材764は、外部から駆動力の入力を受けるためにカップリング部材に設けられた駆動入力部材である。また詳細は後述するが入力部材764はカップリング部材の軸線に沿って移動可能な移動部材(移動カップリング部材)である。一方、カップリング軸793は、カップリング部材から感光体ドラムに向かって駆動力を出力するための出力部材(駆動出力部材+)である。またカップリング軸793は、駆動側フランジ775に駆動力を伝達可能に接続された接続部材であり、駆動側フランジ775や感光体ドラムに対して固定された固定部材である。
ここで、係合部793b1は規制部として、係合部764fは被規制部として、それぞれ機能する。規制部(係合部793b1)と被規制部(係合部764f)との接触により、カップリング軸793が入力部材764の移動を規制し得る。すなわち、入力部材764の駆動側フランジ775(または、ドラム62)から離れる方向への移動が規制され得る。
外側円筒カム770は入力部材764の周囲を囲うように設けられる。外側円筒カム770の長手外側方向LOには端面770aを有する。外側円筒カム770の長手内側方向LIにはカム770eが備えられた端面770bと、中心に貫通穴770dが備えられた円筒部770cを有する。
内側円筒カム774は、円筒774a、穴774j、外側端面774b、穴774c、カム774d、穴774e、軸774f、内側端面774g、壁774h、穴774iを有する。穴774jは円筒部774aの中心に設けられている。カム774dは外側端面774bから長手外側方向LOに突出する。円筒部774aの周囲に穴774cが配置される。穴774eは少なくとも外側端面774bに備えられる。穴774eは貫通していても良い。軸774fと壁774hは内側端面774gから長手内側方向LIに突出するように配置される。内側円筒カム774の長手内側方向LIには穴774iが備えられる。
穴774iにはカップリング軸793の軸793aが収容される。
穴774jには入力部材764の軸764dが収容される。穴774cには外側円筒カム770の円筒部770cが収容される。内側円筒カム774が有するカム774dと、外側円筒カム770が有する斜面770eを含む端面770bと、が当接するように構成されている。
ネジリバネ789は穴789a、腕789b、腕789cを有する。ネジリバネ789の穴789aが軸774fに差し込まれる事により、ネジリバネ789は軸774fに保持される。腕789cは内側円筒カム774に備えられた壁774hの径方向内側面と当接する。腕789bは入力部材764に備えられた略三角形状の角柱786eと当接する。
本実施例においては、カム774d、穴774eはそれぞれ2つ備えられ、軸774f、壁774hはそれぞれ3つ備えられる。
駆動側フランジ775は、長手内側方向LIに穴775aを有する。駆動側フランジ775は、長手外側方向LOにギア775b、穴775c、端面775dを有する。
付勢部材としての第1押圧バネ759は、駆動側フランジ775の穴775cに収容される。第1押圧バネ759は、長手内側方向LIにおいて駆動側フランジ775の端面775dと当接し、長手外側方向LOにおいて内側円筒カム774の端面774gに当接する。
図39はカップリング軸793と、付勢部材としての第3押圧部材787と、入力部材764と、の拡大斜視図である。カップリング軸793の規制部としての先端部793bを説明する為のものである。
複数の凹凸からなる駆動力受け部としての係合部793b1は、カップリング軸793の被規制部としての先端部793bに設けられている。先端部793bの任意の凸部は周方向片側に面793b3、周方向の反対側に面793b4を有する。本実施例では、面793b3が駆動伝達面(軸側駆動力受け部、もしくはフランジ側駆動力受け部)である。
軸793aの周囲に第3押圧部材787が備えられる。第3押圧部材787の端面787aは組み立てられた状態において、先端部793bの端面793b2に当接する。
次に、入力部材764を説明する。
係合部764fの任意の凸部は周方向片側に面764j、周方向の反対側に面764kを有する。本実施例では面764jが駆動伝達面(駆動力伝達部)である。カップリング軸793と入力部材764が駆動伝達状態にある時、カップリング軸793の駆動力受け部としての面793b3と、入力部材764の駆動力伝達部としての面764jと、が当接し、入力部材764はカップリング軸793に駆動力を伝達する。入力部材764は端面764lを備える。端面764lは組み立てられた状態において、第3押圧部材787の端面787b(図43)と当接する。
入力部材764は、軸L1を中心とした貫通穴764cを有する。
図40は外側円筒カム770と内側円筒カム774の当接部を説明する図である。外側円筒カム770の円筒部770cが、内側円筒カム774の穴774cに収容され、支持される。外側円筒カム770が有する端面770bは、斜面770e、端面770g、端面770hを含む。内側円筒カム774が有するカム774dは、斜面774kと、端面774lを含む。
入力部材764が長手内側方向LI(非駆動側)に向けて退避している状態(図43(a))において、外側円筒カム770が有する端面770gは、内側円筒カム774が有する端面774lと当接している。
入力部材764長手外側方向LO(駆動側)向けて突出している状態(図5(b))において、外側円筒カム770が有する端面770hは、内側円筒カム774が有する端面774lと当接している。
なお、入力部材764が退避状態(図43(a))から突出状態(図43(b))に移動する過程において、外側円筒カム770の斜面770eと、内側円筒カム774の斜面774kと、が当接する。
図41は、外側円筒カム770を収容するドラム軸受773の構成を説明する図である。
外側円筒カム770は、円筒部770cと、外側円筒部770iと、係合部770fと、端面770bを備える。ドラム軸受773は、円筒部770cを収容する扇形状の穴773cと、外側円筒部770iを収容する穴773dと、端面770bと当接する端面773eと、係合部770fを収容するスリット773fを備える。外側円筒カム770は、ドラム軸受773に対して回動可能に取り付けられている。
図42は、内側円筒カム774とドラム軸受773の構成を説明する図である。
内側円筒カム774は、カム774dと、穴774eと、外側端面774bを備える。ドラム軸受773はリブ773fと、穴773gと、端面773hを備える。内側円筒カム774が有する穴774eに、ドラム軸受773が有するリブ773fが収容される。それにより、内側円筒カム774は、ドラム軸受773に対して、相対回転不能に規制されつつ、ドラム62の回転軸線L1に沿ってスライド可能に構成されている。内側円筒カム774のカム774dは、ドラム軸受773の穴773gに収容される。内側円筒カム774の外側端面774bは、ドラム軸受773の端面773hと当接可能に構成されている。
図43はカップリングユニットU3とドラム軸受773とを図37の断面線で切った断面図である。
図43(b)は、入力部材764が長手内側方向LIに向けて退避している状態(退避位置に位置する状態)を示す。
駆動側フランジ775に対して、カップリング軸793が固定ビス788により保持される。
入力部材764はカップリング軸793に対して、軸線L1周りに回転可能で、軸線L1方向に移動可能に支持される。カップリング軸793の係合部793b1と入力部材764の係合部764fは係合していない。カップリング軸793と入力部材764の間に付勢部材としての第3押圧部材787が備えられている。第3押圧部材787は、カップリング軸793に対して入力部材764を長手内側方向LIへ相対移動させるように作用する。第3押圧部材787が有する端面787aは、カップリング軸793の端面793b2に当接する。第3押圧部材787が有する端面787bは、入力部材764の端面764lに当接する。内側円筒カム774は入力部材764と駆動側フランジ775の間に配置される。内側円筒カムを押圧するための第1押圧バネ759は、内側円筒カム774と駆動側フランジ775との間に配置される。第1押圧バネ759は、駆動側フランジ775に対して内側円筒カム774を長手外側方向LOへ相対移動させるように作用する。この第1押圧バネ759は、駆動側フランジ775に内部に設けられている。外側円筒カム770は、内側円筒カム774の長手外側方向LOへの移動を規制する。規制部材790は外側円筒カム770の長手外側方向LOへの移動を規制する。規制部材790はドラム軸受773に固定される。ドラム軸受773は駆動側フランジ775と、外側円筒カム770を回転可能に支持する。
図43(b)は、入力部材764が長手内側方向LIに向けて退避している状態(退避位置に位置する状態)を示す。この状態において、第1押圧バネ759の付勢力によって、内側円筒カム774が長手外側方向LOの向きへ力をうける。それにより、内側円筒カム774のカム774lが、外側円筒カム770の端面770gと当接する。これによって、外側円筒カム770が内側円筒カム774によって長手外側方向LOの向きへ力をうける。そして、外側円筒カム770の端面770aは、規制部材790の端面790aによって、長手外側方向LOへの移動を規制されている。第3押圧部材787は、入力部材764の(長手内側方向LIの)端面764nと内側円筒カム774の端面774mとが突き当たるように、入力部材764を長手内側方向LIに向けて付勢する。このとき、カップリング軸793の駆動力受け部としての係合部793b1と、入力部材764の駆動力伝達部としての係合部764fとの連結は解除されている(非係合状態になっている)。
したがって、このときは、入力部材764の回転駆動力はカップリング軸793に伝達不可能である。言い換えると、このときの入力部材764は(駆動力)非伝達位置に位置する。すなわち、入力部材764とカップリング軸793はクラッチとして機能する。
図43(a)は、入力部材764が長手外側方向LOに向けて突出している状態(突出位置あるいは進出位置に位置する状態)を示す。
レバー部材712によって、外側円筒カム770が所定の位相に回転する(図45(a)、(b)を参照)。すると、内側円筒カム774の端面774lが、外側円筒カム770の端面770hと当接した状態から、端面770nに当接した状態に移動する(図14も参照)。それにより、内側円筒カム774は直動カム第1押圧バネ759の付勢力により、長手外側方向LOへ移動する。内側円筒カム774の端面774mが入力部材764の(長手内側方向LIの)端面764nを押す。付勢部材としての第1押圧バネ759の付勢力は、付勢部材としての第3押圧部材787の付勢力よりも大きく設定されているので、入力部材764は長手外側方向LOへ移動する。このとき、カップリング軸793の駆動力受け部としての係合部793b1は、入力部材764の駆動力伝達部としての係合部764fと、係合(連結)している。その結果、入力部材764の回転駆動力はカップリング軸793に伝達可能となる。入力部材764とカップリング軸793は本実施例のカップリング部材を構成する。
カップリング軸793の先端部793bは、入力部材764が長手外側方向LOへ移動するのを規制する。
次に、図44で、入力部材764の位相制御機構について説明する。位相制御機構とは、入力部材764を、装置本体の駆動伝達部材81と係合しやすい位相に設定させる機構である。
図44(a)、図44(b)はカップリングユニットU3の断面図である。内側円筒カム774の軸774fが、ネジリバネ789の穴789aに挿入されることで、捻じりバネ789が支持される。ネジリバネ789の2つの内の一方(腕789c)は、内側円筒カム774の壁774hに当接している。
図44(a)は、画像形成終了後に、ある位相で入力部材764が停止した状態を示しているものである。ネジリバネ789の腕789bは入力部材764の略三角形状の角柱764eに当接している。より具体的に言うと腕789bは角柱764eの頂点764hの近傍と当接している。ここで、ネジリバネ789は、腕789bと腕789cが広がる方向に付勢力が働くように設定されている。よって、入力部材764が腕789bを介して受けるネジリバネ789の付勢力は、入力部材764を図44(a)の時計回りに回転させる方向に作用する。
実際には入力部材764が駆動伝達部材81と連結(係合)している状態では入力部材764が回転することはない。しかしながらユーザが装置本体Aの開閉扉13を開けた時(図12(a))、入力部材764が長手内側方向LIに向けて退避する。つまり入力部材764は進出位置(駆動伝達位置、突出位置:図43(a))から退避位置(非駆動伝達位置:図43(b))へ移動することで、入力部材764は駆動伝達部材81との係合を解消する。さらにこのとき入力部材764はカップリング軸793との係合も解消する。
つまりカップリング軸793の駆動力受け部としての係合部793b1と、入力部材764の駆動力伝達部としての係合部764fとが非係合状態になる。すると、入力部材764はカップリング軸793に対して自由に回転が可能となる。
そのためネジリバネ789の付勢力により入力部材764は回転し、図44(a)で示す位相から、図44(b)で示す位相となる。図44(b)で示した入力部材764の位相とは、腕789bが入力部材764の円弧部764pと当接する位相である。この状態では、入力部材764が捻じりバネ789から受ける回転モーメントが釣り合い、入力部材764の回転が停止する。つまり入力部材764は捻じりバネ789によって図44(b)で示す所定の位相に保持される。捻じりバネ789は、入力部材764を所定の位相に決めるための位相決め部材である。
入力部材764が有する角柱764eはほぼ三角形状であり、これは実質的に120度の回転対称な形状(対称形状)である。そのため、入力部材764は1周(360度)回転する中で、120度毎に捻じりバネによって回転が停止する。つまり、図44(b)で示された入力部材764の位相を0度とすると、入力部材764が120度、240度であるときにも、入力部材764が受ける回転モーメントがつり合い、入力部材764の回転が停止した状態となる。別の言い方をすると、入力部材764は、異なる3つの位相(本実施例では0度、120度、240度)のいずれかにおいて、ねじりバネ789によって保持される(回転が止められる)。
なお、位相制御手段は上記構成に限定するものではなく、他の構成でも構わない。たとえば、捻じりバネ789を本実施例では3つ設けたが、必ずしもこの数に限られるわけではなく、捻じりバネ789が1つ、あるいは2つであっても、入力部材764の位相を上記した3つの位相のいずれかに定めることができる。また入力部材764の角柱は120度の回転対称であったが、厳密な対称性までは要求されない。つまり、入力部材764が3つの位相のいずれかにおいて保持されるが、それらの位相が必ずしも厳密に0度、120度、240度であることまでは要求されない。
図45、図38、図44を用いてさらに説明する。図45は駆動伝達部を軸線方向LOから見た図である。本実施例においては、入力部材764aの略三角形状の角柱764eの3つの頂点764h(図38、図44)が配置された位相は、略三角形状の被駆動伝達部764aの3つの頂点764uが配置された位相とそれぞれ略同じである。その場合、各頂点764uが向く方向は各頂点764hが向く方向と略同じ方向となる。
上記のようなカップリング部材(入力部材)の位相制御を行うことによって、以下に説明するように装置本体Aの駆動伝達部材81とカートリッジBのカップリング部材(入力部材764)とを円滑に連結させている。
前述の実施例3の駆動伝達部材581と同様に、本実施例でも駆動伝達部材81をカートリッジ装着方向の下流側に傾けた状態に保持している(図34参照)。具体的には、開閉扉13が開いた状態(図12(a))において、駆動伝達部材81を図45(a)に示す矢印AZ方向に傾けている。矢印AZ方向は、ドラム62中心から現像ローラ32のへ引いた線を0°の基準線としたとき、この線をドラム62の回転方向下流側に41度傾けて示される方向である。なおドラム62の回転方向とは、画像形成時(トナー像形成時)においてドラム62が回転する方向であり、具体的に言うと、ドラム62の表面が帯電ローラ66(図3参照)、現像ローラ32の順に当接または近接していく方向(矢印AX方向)である。
駆動伝達部材81が傾斜しているためカートリッジBが装置本体Aに挿入された時点では、入力部材764の被駆動伝達部764a中心と駆動伝達部材81の駆動伝達部81a中心とは芯ずれしている。しかし前記した位相制御によって、ほぼ駆動伝達部材81が傾いたAZ方向に、入力部材764の被駆動伝達部764aである三角形状の3つの頂点764uのいずれか1つが位置する(図45(a))。言い換えると、被駆動伝達部764aにおいて、ドラム62中心から径方向にもっとも突出している部分(頂点764u)が、駆動伝達部材81が傾いたAZ方向に位置している。このような位相に入力部材764を保持することで、入力部材764と駆動伝達部材81とが芯ずれしていても両者を係合させやすい。
つまり図45(a)に示す状態から駆動伝達部材81を回転させると、駆動伝達部材81の駆動伝達部81aが有する略三角形状の位相が、入力部材764の被駆動伝達部764aが有するほぼ三角形状の位相に揃う(図45(b)参照)。そうすると駆動伝達部材81の駆動伝達部81aに入力部材764の被駆動伝達部764aが入り込み、係合が達成されることになる。
以下、位相制御をすることによって、入力部材764を傾斜した駆動伝達部材81と係合しやすくなる理由について図46(a)-(f)を用いて解説する。図46(a)、図46(b)、図46(d)、図46(e)、図46(f)は駆動伝達部を軸線方向LOから見た断面図である。図46(c)は駆動伝達部の軸線に垂直な方向から見た断面図である。
上記したように、本実施例では装置本体は駆動伝達部材81を有し、カートリッジはカ入力部材764を有し、これらは互いに連結するカップリングである。そして図46に示すように、これらのカップリング(81、764)はそれぞれの係合部として、実質的に三角形形状の凹部81a(図25、図46(a)等参照)と凸部764a(図38(a)、図46(a)参照)をそれぞれ有する。これら三角形状(81a、764a)の先端(角、頂点)は駆動力を伝達する部分なので、必要な強度を保つため丸くつぶされて円弧形状となっている。そして、図46(a)に示すように互いの三角形状が同軸状かつ位相が揃った状態で係合している場合、互いの三角形状の隙間を以下のように定義する。これら三角形状(81a、764a)の互いの先端の隙間(先端81rと先端764yの距離)をLBとし、これらの互いの辺の隙間(辺81sと辺764xの距離)をLAとする。すると、以下の関係がある。
LA>LB(式A)
つまり、これら三角形状(81a、764a)において、互いの辺の間の隙間LAのほうが、互いの先端の間の隙間LBよりも長い(隙間LAは隙間LBよりも余裕がある)。この場合、図46(d)、(e)、(f)に示すようにカートリッジ側の三角形状(凸部764a)の頂点764yを、駆動伝達部材81が傾斜する方向(図の左下AZ方向)に向けることが好ましい。これは駆動伝達部材81が傾斜するAZ方向とは反対側に、凸部764aの辺764xを向けることに相当する。これにより、傾斜した駆動伝達部材81の凹部81aに、入力部材764の凸部764aを円滑に係合させることができる。
図46(d)に示されるように、凹部81aと凸部764aが係合していない状態では両者の位相が揃っていない。この状態から駆動伝達部材81が図の時計方向に回転すると、図46(d)に示すように互いの三角形状81a、764aの位相が揃った状態となる。
ただし駆動伝達部材81がAZ方向に傾斜しているため、この傾斜方向に凹部81aが移動しており凹部81aと凸部764aの間の隙間が狭まる領域が生じている。しかしながら本実施例では隙間が狭まる領域(すなわち駆動伝達部材81が傾斜する方向とは反対側)には、凹部81aの辺と凸部764aの辺が位置することになる。これら凹部81aの辺と凸部764aの辺の間の隙間は、もともと(式A)および図46(a)で示したように比較的長い距離LAが確保されている。そのため、駆動伝達部材81の傾斜によってこの隙間が短くなったとしても、駆動伝達部材と入力部材の係合を達成するために必要な配置関係を維持できる。したがって凹部81aと凸部764aの位相が揃うと、第1押圧バネ759(図38(a)、(b)参照)の力によって、凹部81aの内部に凸部764aが進入することができる。さらに駆動伝達部材81は回転を続け、図46(d)のように凹部81aと凸部764aが係合し、凸部764aは凹部81aから駆動力を受けるようになる。
まとめると、駆動伝達部材81が傾斜することによって駆動伝達部材81と入力部材764の間の隙間が小さくなったとしても、駆動伝達部材81と入力部材764の隙間が一定以上確保されるように入力部材764の位相を設定している。本実施例においてこれは、入力部材764の三角形状(凸部764a)の辺を、駆動伝達部材81が傾斜する方向AZとは反対側(すなわち図46(d)における右上)に向けることに相当する。別の言い方をすると、入力部材764が有する三角形状(凸部764a)の3つの頂点764yのいずれかを、駆動伝達部材81の傾斜方向AZ(左下)に向けることに相当する。なお凸部764aの3頂点(3つの円弧部764y)は、駆動伝達部材81から駆動力を受けるための駆動力受け部に相当する。
なお(式A)、図46(a)で示したように辺間の隙間LAが、頂点間の隙間LBよりも大きく設定されていた理由を以下に説明する。
互いの三角形状(凸部81aと凹部764a)の間の隙間LAとLBは、凹部81aと凹部764aそれぞれの寸法公差を考慮して設定されている。ただし辺間の隙間LAに関しては、寸法公差だけでなく、回転する駆動伝達部材81に対して入力部材764をより係合させやすくすることを考慮して、より大きく設定される。
駆動伝達部材81が回転して、駆動伝達部材81の三角形状(凹部81a)の位相と入力部材764の三角形状(凸部764a)の位相の差が一定の角度よりも小さい状態では、駆動伝達部材81と入力部材764は係合可能な状態となる。図46(b)に示すように、凹部81aに対して凸部764aが実線で示される位相と破線で示される位相の間にあるとき凹部81aと凸部764aは係合可能である。そして凹部81aと凸部764aの互いの辺間の隙間LAが大きい方が、このような係合可能な位相差が大きくなり、凹部81aと凸部764aが係合しやすい。
ここで駆動伝達部材81が回転する際に、凹部81aと凸部764aの係合が不十分な段階では、駆動伝達部材81からカップリング部材764を遠ざける方向に力が作用する場合がある。つまり図46(c)に示すように凹部81aの面取り81pなどに入力部材764が当接し、入力部材764は駆動伝達部材81から係合を妨げる方向の力を受ける場合がある。このような力が生じないように上記の隙間LAを大きく設定している。隙間LAが大きいと駆動伝達部材81の回転時に、上記のような力が作用せず凹部81aと凸部764aとが係合可能な状態が長く続くようになるので、係合が促進される。
なお、駆動伝達部材81の傾き方向AZと入力部材764の三角形状の先端(円弧部764y)の向きが完全に一致する場合に、もっとも互いに係合しやすくなる。しかし、駆動伝達部材81の傾く方向に対して三角形状(凸部764a)の先端(円弧部764y)の向きが±30°の範囲内であれば、カップリング同士の係合を促進する効果が得られる。
上記したように駆動伝達部材91の傾斜方向(矢印AZ方向)は、ドラム62中心から現像ローラ32の中心へ引いた線をドラム62の回転方向下流側に41度傾けた方向である。これを考慮すると、凸部(突起部)764の頂点は、ドラム62の中心から現像ローラ32の中心へ向けて延ばした線に対して、ドラム62の回転方向下流側に11度から71度回転させた範囲に向けるとよい。
また、上記説明では駆動伝達部材81と入力部材764の互いの係合部(凹部81aと凸部764a)が互いに相似であり互いに実質的な正三角形であった。つまり凹部81aと凸部764aのそれぞれは120度の回転対称であった。
ただし互いの係合部がこのような形状をしていなくても基本的な考え方は同じであり、入力部材764の位相を制御することによって、本実施例と同様の効果が得られる。たとえば、凸部764aの形状が、一部が欠けた三角形状であってもよいし、三角形状でなくてもよいし、120度の回転対称でなくてもよい。
ただし凹部81aの形状が本実施例で説明したような略正三角形状(図25)であることを前提とする場合、凸部764aは凹部81aに対して3点で接触して駆動力を受けることが望ましい。さらに望ましくは、これら3点が均等に配置されている方がよい。つまり凸部764aの形状が本実施例と異なる場合でも、凸764aは本実施例の3つの頂点(円弧部764y)に対応するような位置に、それぞれ駆動力受け部を有することが望ましい。つまり隣り合った駆動力受け部の間隔が凸部764a(駆動力受け部)の軸線を基準として略120度であるのが好ましい。
<実施例5>
以後実施例5について説明する。本実施例で示すカップリング部材664は、カートリッジの外部から駆動力を受ける入力部材(駆動受け部材、駆動入力部材、入力部)610と、入力部材610の姿勢を規制する付勢部材(付勢部)620と、感光体ドラムの回転軸方向に進退可能な進退部材630を有している。
入力部材610と付勢部材620は、支持部材(支持部)640によって支持されており感光体ドラムの周方向(回転方向)に沿って3つずつ並べられている。
また、本実施例においても、操作部材(レバー部材12)によってカップリング部材664を進退移動させるための構成や、これらの動作は実施例1と同様である(図7、図9図10、図11、図12、図13参照)。これらの説明は省略する。
まず、図49を用いて、本実施例のカップリング部材664の構成部品について詳しく説明していく。
入力部材610の円柱形状611は、支持部材640aの凹形状641に係合して回動可能(搖動可能)に支持される。入力部材610は、円柱形状611を軸として傾斜角度を変更可能である。また、入力部材610の円柱形状612は、付勢部材620の一端621と係合し支持される。付勢部材620の他端622は支持部材640aの円柱形状642と係合し支持される。
支持部材640aと640bは、互いに結合関係にあり、入力部材610と付勢部材620を支持部材640aと640bの間で内包して支持することで、入力部材610と付勢部材620の配置位置を規制している。
付勢部材620は引きバネであり、この引きバネの力によって入力部材610は円柱形状611を軸として回転方向に規制される。
進退部材630は、進退時に入力部材610と当接可能な進退時当接箇所631を持つ進退部材630aと、前記レバー部材12による進退駆動を受ける進退部材630bから成る。これらの2つは溶着等で接合されていて互いに結合関係にある。進退部材630が進退することでカップリング部材664全体も進退駆動する。
そして、入力部材610は、前記装置本体Aの駆動伝達部材81と係合するための先端部(駆動受け部)613がある。入力部材610は先端部613を介して回転駆動を受けることで、自身を支持している支持部材640aに回転駆動を伝える。
支持部材640aの面640cと支持部材640bの面640dは、溶着等で接合されていて互いに結合関係にあり、支持部材640aと支持部材640bは支持部材640として一体的に回転する。
支持部材640bは第一回転受け部643を持ち、進退部材630bの持つ第二回転受け部632と係合して回転駆動を伝えることができる。すなわち、進退部材630と支持部材640は、互いにドラム軸線方向L1に相対的にスライド可能でありつつ、その一方では一体的に回転可能な構成となっている。
また、進退部材630bは第三回転受け部633を持ち、本実施例では前記駆動側フランジ75において第三回転受け部633に対応する第四回転受け部(図示なし)を設けることでこれと係合して回転駆動を伝えることができる。
これにより、前記回転体へ回転駆動を伝えることが可能な部品構成を持つ。
次に、前記レバー部材12に連動してカップリング部材664が進退する動きを、図50を用いて説明する。
図50は本実施例に係る装置本体Aの駆動伝達部材81とカップリング部材664の長手断面図であり、図14同様にレバー部材12の移動に連動してカップリング部材664が進退する動きを段階的に示した図(a)~(f)である。
図50(a)は、レバー部材12の移動に連動してカップリング部材664が前記カートリッジ内部に最も移動している退避位置の状態を示している。
図50(d)は、レバー部材12の移動に連動してカップリング部材664が前記カートリッジ外部に最も移動している進出位置の状態を示している。
図50(b)と図50(c)は、退避位置から進出位置へ移動中の状態と、進出位置から退避位置へ移動中の状態を示している。
図50(e)と図50(f)は、進出位置から退避位置へ移動中の状態を示している。カップリング部材664の進退1往復における状態変化の順番は、図50において、(a)→(b)→(c)→(d)→(e)→(f)→(a)または、(a)→(b)→(c)→(d)→(c)→(b)→(a)となる。
以降、上記状態変化の際におけるカップリング部材664の挙動について説明する。
先ず、挙動の概略を説明する。
進退部材630は、レバー12(図12参照)が操作されることによって円筒カム74が回転することにより、ドラム軸線上L1をスライド可能である。そして、進退部材630のスライドによって、支持部材640のドラム軸線上L1方向の位置と、入力部材610の先端613の開き量(径方向への移動量)とが変わる。
次に挙動の詳細を説明する。
[1] まず図50における(a)→(b)への状態変化について説明する。前記円筒カム部材74の長手規制部74dが図示H方向へ移動し、前記第一押圧部材59のバネ力を受けた進退部材630a、630bが進出することで、進退時当接箇所631が入力部材610と当接し、入力部材610は図示H方向へ押圧される。ドラム軸受部材73に設けられたストッパ形状698と支持部材640aとが当接する直前までは、入力部材610が、付勢部材620の引きバネの力により閉じる方向に付勢されているため、開かない。
そして、円柱形状611がそれを支持する支持部材640aの前記凹形状641を図示H方向へ押圧し、カップリング部材664全体が図示H方向へ進出する。つまり、ドラム軸受部材73に設けられたストッパ形状698と支持部材640aとが当接する直前までは、入力部材610の先端613が開かない状態で、支持部材640と入力部材610と進退部材630は一体となって図示H方向に移動する。その結果、駆動伝達部材81が持つ三角形状の凹部(駆動伝達部)81a(図25参照)に入力部材610の先端613が係合可能な第2の進出位置まで侵入する。
[2] 次に図50における(b)→(c)への状態変化について説明する。前記円筒カム部材74が図示H方向へ移動し、前記第一押圧部材59のバネ力を受けた進退部材630a、630bが進出する。このことで、進退時当接箇所631が入力部材610と当接し、図示H方向へ押圧する。この時、ドラム軸受部材73に設けられたストッパ形状698と支持部材640aが当接し、支持部材640aはそれ以上図示H方向へ進出しない。
これにより、入力部材610は、円柱形状611を軸として図示R方向へ回転しようとする力の方が、付勢部材620の引きバネの力より大きくなることにより回転し、図示R方向に傾斜角度が変化する。言い換えると、第2の進出位置で入力部材610の先端613が径方向外側に向かって開き始める。なお径方向とは、カップリング部材664の径方向(回転半径方向)である。つまり入力部材610の先端は、カップリング部材664の軸線から遠ざかり始める。
[3] 次に図50における(c)→(d)への状態変化について説明する。図50(c)の状態から進退部材630a、630bがさらに進出し、前記[2]同様に入力部材610が図示R方向に傾斜角度を変化させながら、前記カートリッジ外部に最も移動した進出位置へ到達する。図50(d)の状態において、入力部材610の先端613が径方向の外側に向かって開くことによって、入力部材610の先端613が駆動伝達部材81の三角形状の凹部(駆動伝達部)81a(図25参照)と係合する。これによって、駆動伝達可能状態となり、モーター(不図示)によって駆動伝達部材81が回転することにより、入力部材610に回転駆動が伝達される。
[4] 次に図50における(d)→(e)→(f)→(a)への状態変化において、説明する。進出位置から退避位置へ移動する際に、カップリング部材664全体が退避してから入力部材610の傾斜角度が図示L方向へ変化する。まず図50(d)→(e)への状態変化において、前記円筒カム部材74が図示G方向へ移動し、前記第一押圧部材59のバネは圧縮され、進退部材630a、630bが退避する。その際、付勢部材620のバネ力が進退時当接箇所631に図示L方向の押圧として掛かり、進退時当接箇所631における入力部材610と進退部材630の摩擦力が大きい場合、カップリング部材664全体が追従して図示G方向へ退避する。これにより、入力部材610の先端613と駆動伝達部材81が持つ三角形状の凹部(駆動伝達部)81a(図25参照)との係合が解除される。次に、図50(e)→(f)→(a)への状態変化について説明する。上記同様、進退部材630が退避し、カップリング部材664全体が退避しようとするが、支持部材640bとドラム軸受部材73に設けられたストッパ形状699が当接し、支持部材640bはそれ以上図示G方向へ退避しない。以降、進退部材630が退避することで、入力部材610と進退部材630の当接状態が変わり、入力部材610は付勢部材620の引きバネの力により円柱形状611を軸として回転し、図示L方向に傾斜角度が変化する。その結果、入力部材610の先端613は径方向の内側に向かって閉じる。つまりカップリング部材664の軸線に駆動伝達部材610の先端613が近づく。
[5] 図50(d)→(c)→(b)→(a)への状態変化について説明する。進出位置から退避位置へ移動する際に、先に進退部材630が退避して入力部材610の傾斜角度が図示L方向へ変化してから、支持部材640が退避する。まず、図50(d)→(c)への状態変化において、前記円筒カム部材74が図示G方向へ移動し、前記第一押圧部材59のバネは圧縮され、進退部材630a、630bが退避する。そして、入力部材610は付勢部材620の引きバネの力により円柱形状611を軸として回転し、図示L方向に傾斜角度が変化する。これにより、入力部材610の先端613と駆動伝達部材81が持つ三角形状の凹部(駆動伝達部)81a(図25参照)との係合が解除される。次に、図50(c)→(b)への状態変化において、上記同様、進退部材630が退避することで入力部材610の傾斜角度が図示L方向に変化する。そして、図50(b)→(a)への状態変化において、進退部材630が退避して行くと進退部材630bと支持部材640bが当接箇所697で当接し、以降、進退部材630が退避すると支持部材640bも追従して退避する。その結果、カップリング部材664全体が図示G方向へ退避し、第1の退避位置へ到達する。
なお、カップリング部材664全体が軸線方向に沿って進退可能な構成について説明してきた。しかし、図51(a)、(b)に示すように、カップリング部材664が全体として軸線方向に沿って進退しない構成においても駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと入力部材610を係合させることが可能である。
このような例を図51(a)、(b)に示す。これらの図に開示されるように、入力部材610の傾斜角度の変化量(図51(a)のP)を大きく設定すればよい。そうすれば入力部材610の先端が径方向外側に向かって動いた際に、入力部材610がカートリッジの外側へ突出する突出量(図51(b)のX)が大きくなる。軸線方向における駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと入力部材610との係合幅をより大きくすることができる。そうすればカップリング部材664の全体が軸線方向に沿ってスライド移動しなくても、入力部材610の傾動だけで、駆動伝達部材81と係合可能となる。
図51(a)、(b)では、カップリング部材664は、その一部のみ(すなわち入力部材610のみ)が移動(傾斜)することによって、進退移動する。すなわち入力部材610の傾斜動作(傾動)のみによって、カップリング部材664は、駆動伝達部材81と係合するための進出位置(図51(b))と、駆動伝達部材81との係合を解除するための退避位置(図51(a))とをとり得ることになる。
ただし入力部材610の傾動に加えて、図50における(a)→(b)への状態変化のように、カップリング部材664の全体が進退可能な構成を採用するほうが効果的である。
つまり駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと入力部材610との係合幅をより大きく確保することができる。したがって、カップリング部材664が進退可能な構成の方がより望ましい。
次に図52を用いて駆動伝達部材81の駆動伝達部(凹部)81aと、入力部材610の先端部(駆動受け部)613が係合するための条件を説明する。図52に示すように、3つの入力部材610のそれぞれの先端部613が付勢部材620によってカップリング部材664の回転軸線に最も近付いているとき、これら3つの先端613のなかで最も回転軸線から遠い点を通り回転軸線を中心とする円688を描く。円688は先端部613の外接円である。次に、駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aの中で、カップリング部材664の回転軸線にもっとも近い点を通る回転軸線を中心とする円686を描く。
この円686は駆動伝達部81aの内接円である。そして、円688、円686はともに回転軸線に対して垂直な図形である。
このとき、先端部613によって形成される円688が、駆動伝達部81aによって形成される円686よりも小さければよい。つまりこの場合、駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと、カップリング部材664の入力部材610との位相の組み合わせに関係なく、駆動伝達部81aの内部に入力部材610が進入する。その後、入力部材610の傾斜角度が変化することによって駆動伝達部材81と入力部材610の確実な係合が可能になる。
ただ、図52では駆動伝達部材81とカップリング部材664の回転軸線が一致している状態を例に説明した。実際には、図50(a)、(b)に示した駆動伝達部材81は実施例1の変形例等で示した駆動伝達部材と同様に、カップリング部材664の軸線に対して傾斜している。このような場合でも以下の条件を満たせば入力部材610は駆動伝達部材81と係合することが可能である。
説明をわかりやすくするために、図53に駆動伝達部材81を実際の構成以上に傾斜させた状態を示した。図53において、駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aの中で、カップリング部材664の回転軸線にもっとも近い点を通る円687を、カップリング部材664の回転軸線を中心に描く。この円687は回転軸線に対して垂直な図形である。駆動伝達部材81が傾斜しているので円687は、前述した円686(図52)よりも小さくなる。
この際、前記駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aによって形成される円687が、入力部材610の先端部613によって形成される円688より大きければよい。つまりこの場合、前記駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと、カップリング部材664の入力部材610との位相の組み合わせに関係なく、カップリング部材664の入力部材610が駆動伝達部81aに入り込むことができる。すなわちカップリング部材664が進出したのち入力部材610の傾斜角度が変化することによって、入力部材610が駆動伝達部材81と係合する。また入力部材610の傾斜角度の変化に伴って、駆動伝達部材81はその傾斜角度を小さくすることでカップリング部材664と略同軸状になる。駆動伝達部材81はカップリング部材664に調芯される。
また、前記駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aと、カップリング部材664の入力部材610との位相の組み合わせによっては、駆動伝達部81aと入力部材610の係合が完了する前に、入力部材610の傾斜角度の変化が途中停止する場合がある。つまり図54に示すように、駆動伝達部81aの最少内径部(円686)と入力部材610が接触するまで入力部材610の傾斜角度が変化した時点で入力部材610が一端停止する。
この時、レバー部材12がカップリング部材664を進出位置に保持している際の位置まで操作しても、第1押圧部材59がダンパの役割を果たし、進退部材630はそれ以上進出しない。そして、前記第1押圧部材59は進退部材630が進出する方向に圧縮反力を保持している。そのため、前記装置本体の駆動により前記駆動伝達部材81が回転し、前記駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aとカップリング部材664の入力部材610との位相が合った時に進退部材630が進出し、入力部材610の傾斜角度も変化する。つまり入力部材610の先端が前記駆動伝達部材81の凹部(駆動伝達部)81aの最大内径の円685に対応する位置に配置されるまで入力部材610の傾斜角度が変化する。これにより、前記駆動伝達部材81が入力部材610に付勢され、駆動伝達部材81がその傾斜角度を小さくするように回転(搖動)する。駆動伝達部材81が入力部材610に対して調芯され、駆動伝達部材81と入力部材610との確実な係合が可能になる。
本実施例の入力部材(駆動入力部材)610は実施例1の変形例で示した入力部材(カップリング部材64)とは移動方向が異なり、径方向にも移動する。このような構成であっても、入力部材610は、駆動伝達部材81の凹部の内面に向かって移動して駆動伝達部材81を付勢することによって、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。これによって入力部材610は実施例1の変形例で示したカップリング部材64と同様に、傾斜した駆動伝達部材81と係合可能である。
なお、本実施例で、同形状の入力部材610と引きバネを用いた付勢部材620を円周に沿って3つずつ配置しているが、この構成に限られるわけではない。また、進退部材630の形状も本実施例の形状に限られるものでは無い。また、実施例2のようにカップリング部材を進退させるための進退機構がカートリッジの非駆動側にあるものを本実施例に採用することも同様に可能である。
<実施例6>
次に実施例6について説明する。なお前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例1で説明した部材と対応しているものは、実施例1の部材と同様の名称を付すこととし、実施例1のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。
前述の実施例1では、カップリング部材64の被駆動伝達部64aは、断面が実質的に三角形で凸型の形状(凸部)を採用していた(図17参照)。しかし本実施例では被駆動伝達部を複数の部材で構成している(図55参照)。
この変更に伴って生じる、構成や作用の違いについて特に詳しく説明を行う。
まず本実施例に係るカップリング部材864について、図55、図56、図57を用いて説明する。
図55は、実施例6のカップリング部材864の外観を示す斜視図である。
図56は、実施例6の作動ユニットの構成を説明するための部分斜視図である。
図57は、実施例6に係るドラムユニット駆動側端部の部分長手断面図である。
図58は、実施例6のカップリングの動作を示す側面図である。
図59は、実施例6のカップリングの動作を示す係合部断面図である。
実施例1と同様に、ドラム軸受部材873は、クリーニングユニット860に支持されている。図55、図56に示すように、カップリング部材864は、複数の突起部801、突起支持部材(支持部材)802、突起押圧部材803、フタ部材858などから構成される。詳細は後述するが突起部801はカップリング部材864の外部から(すなわち装置本体の駆動伝達部材から)駆動力が入力される入力部材(駆動入力部材)である。
図56、図57に示すように、本実施例において、外側円筒カム部材870、及び内側円筒カム部材874は、実施例1と同様に、ドラム軸受部材873の外周部873bに支持されるよう構成した。
さらに、支持部材802の内側円筒面802cは、ドラム軸受部材873の穴部873aに支持されるように構成している。図56、図57に示すように、支持部材802の内周部には、複数の突起部801が設置されている。支持部材802は複数の突起部801を保持、支持するための保持部材(支持部材)である。
複数の突起部801には、駆動部側から、駆動伝達力を受けるための駆動受け部801a、および、長手位置規制面801b、加圧円筒軸801cがそれぞれ設置されている。
複数の突起部801の加圧円筒軸801cには、各々に突起押圧部材803が設置されている。突起押圧部材803の突起部801反対側は、フタ部材858に設置されている複数の円筒軸858aに支持されている。
フタ部材858は、駆動側フランジ部材875の端部875cに溶着等の手段で固定されている。
突起部801は、駆動受け部801aが係合穴802aに軸線方向に移動可能に係合支持される。
突起押圧部803の押圧力で矢印N方向へと押圧された突起部801は、長手位置規制面801bが、支持部材802の長手規制面802dとつきあたり、矢印N方向への移動が規制される。
また支持部材802の外側円筒面802bは、駆動フランジ875の内周面875bに矢印N方向に移動可能に支持されている。
複数の突起押圧部材803の押圧力を受けた複数の突起部801は、支持部材802を矢印N方向に押圧することとなる。支持部材802は、矢印N方向の押圧力を受けて、長手規制面802eが、内側円筒カム部材874の長手規制面874dと突き当たる。矢印N方向への押圧力を受けた内側円筒カム部材874は、外側円筒カム部材870と突き当たり、外側円筒カム部材870を矢印N方向へと押圧する。
外側円筒カム部材870は、軸線N方向でクリーニングユニット860に固定されたドラム軸受部材873と突き当たり、長手位置が規制される。
本実施例のカップリング部材864は、実施例1のカップリング部材64と同様に進出位置と退避位置の間を進退移動することができる。具体的には、カップリング部材864の支持部材802が、実施例1と同様の方法で進退移動することにより、カップリング部材864が進出位置と退避位置の間を移動する(実施例1の図13参照)。
本実施例では、図57に示すように、支持部材802は突起押圧部材803により駆動側(矢印N側)に付勢され、長手規制面802eが内側円筒カム部材874の長手規制面874dに押し付けられている。
カートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態では、内側円筒カム部材874は、突起押圧部材803の弾性力に抗して支持部材802をドラム内へ退避させるように配置されている。これはカップリング部材864の支持部材802が第一の位置(退避位置)にある状態である。
カートリッジBが装置本体Aに装着されたのちに開閉扉13が閉じられると、開閉扉13に設けられたカートリッジ押圧部材1がレバー部材12に当接する(図12(a)、(b)参照)。このレバー部材12の動きに連動して、カップリング部材864の支持部材802が前記第一の位置(退避位置)から駆動側の第二の位置(進出位置)に移動する。
すなわち内側円筒カム部材874の長手位置(長手方向の位置)に応じて、支持部材802の長手位置も決まるよう構成されている。なお突起押圧部材803は支持部材802を駆動側に作動させるものなので、突起押圧部材803を先述の作動ユニットの一部とみなすこともできる。本実施例では、突起押圧部材803として圧縮コイルばねを用いたが、その他の形状の弾性部材などを用いて支持部材802を付勢することも可能である。
本実施例の駆動伝達部材881は実施例1の変形例で示した駆動伝達部材81と同様に傾斜している。駆動伝達部材881が傾斜した状態では駆動伝達部材881とカップリング部材864とが同軸状に配置されていない。そこで次に、駆動伝達部材881の回転軸線L3と、カップリング部材864の回転軸線L1が係合する前に同軸上でない場合、カップリング部材864と駆動伝達部材881がどう係合していくかについて説明する。
図58は、本実施例に係る装置本体Aの駆動伝達部材881とカップリング部材864の長手断面図である。
ここで、図58(a)はプロセスカートリッジを装置本体Aに挿入した状態の長手断面図である。
図58(b)はプロセスカートリッジを装置本体Aに挿入した後、不図示の開閉扉13を閉じた状態の長手断面図である。
図58(c)は、装置本体Aに駆動力が入力され、駆動伝達部材881が回転し始め、カップリング部材864の突起部801の一部が駆動入力カップリング881の一部と係合しはじめた状態である。
図58(d)は駆動伝達部881aの位相とカップリング部材864の突起部801の位相が所定の範囲に収まった直後の図である。
図58(e)は、駆動伝達部材881の駆動伝達部881aとカップリング部材864の突起部801の係合が完了した状態の断面図である。
図58(c)、(d)、(e)では、カップリング部材864の複数の突起部801が駆動伝達部材881に順次係合を進めることに伴って、駆動伝達部材881の傾斜角度を小さくしながら、係合を完了する過程が示されている。
また、図59(a)~(e)は、図58(a)~(e)のタイミングに相当する駆動伝達部材881と、カップリング部材864の軸線垂直方向の断面図である。
実施例1と同様、駆動伝達部材881の支持は、駆動伝達部材支持部材85によって行われる。この時、駆動伝達部材881の被支持部881bと駆動伝達部材支持部材85の支持部85aにはφD1>φD2の関係により、隙間が設けられるよう構成されている。この隙間の範囲内で、駆動伝達部材881は移動可能である。この隙間の大きさを適切に設定すれば、駆動伝達部材881とカップリング部材864とが係合した際に、駆動伝達部材881の先端側の中心位置(駆動伝達部材881の先端側の芯の位置)を、カップリング部材864の中心位置に合わせることが可能である。その結果、駆動伝達部材881の回転軸線L3をカップリング部材864の回転軸線L1と精度良く一致させることができる。
駆動伝達部材881は、φD1>φD2の関係より、図58(a)に示すように、図中V方向に自重によって傾斜している。
装置本体Aの回転扉13を完全に閉じると、カップリング部材864の支持部材802は、レバー部材12、外側円筒カム部材870、内側円筒カム部材874を介して、第一の位置から第二の位置へ移動する。この際に、支持部材802に長手位置規制された複数の突起部801も、支持部材802の移動とともに矢印N方向へと突出する。
本変形例においては、図中V方向に傾斜した駆動伝達部材881に対し、複数の突起部材801の一部は、突起押圧部材803の押圧力で、駆動伝達部881aと突き当たり、一部は端面881cと突き当たる(図57(b)、図58(b))。
ここで、便宜上、複数(6つ)の突起部801を、それぞれ801A~801Fと定義する(図59(b)参照)。これら各突起部801は、それぞれ独立して進退移動することが可能である。
図58(b)、図59(b)に示す位置に駆動伝達部材881がある場合に、突起部801の内、突起部801B,801C、801Eは駆動伝達部881aに突き当たり、801A、801D、801Fは端面881cへと突き当たる。
その後、図58(c)、図59(c)に示すように、駆動伝達部材881が矢印R方向へ回転すると、突起部801Dの一部と、突起部801Fが、突起押圧部材803の加圧力によって、駆動伝達部881aに突き当たる。この状態から、さらに駆動伝達部材881が回転すると、駆動伝達部881aの面の一部(面881d)が突起部801Fと回転方向で係合する。この時に、駆動伝達部材881の面881dは、矢印HA方向への反力を受けて、駆動伝達部材881は矢印HA方向へと移動しようとする。同時に、駆動伝達部材881の別の面881g、881iが、突起部801C、801Dの一部と突き当たり、調芯方向外への移動が規制される。このため、駆動伝達部材881は、調芯方向である矢印HB方向へと移動しながら回転を続ける。
さらに、駆動伝達部材881が、矢印HB方向に移動しながら、矢印R方向へと回転することで、図58(d)、図59(d)に示すように、すべての突起部801が駆動伝達部881aに突き当たる。
さらに、駆動伝達部材881が回転することで、駆動伝達部である面881d、881e、881fでそれぞれ、突起部801A、801D、801Fと突き当たる。
この時、突起部801A、801D、801Fが適切な位置に配置されていることで、駆動伝達部材881は矢印HB方向へと調芯されながら、係合することとなる。
すなわち、駆動伝達部材881の回転軸L3と、カップリング部材864の回転軸L1を同軸上に配置した際に、複数の突起部801を、駆動伝達部材881の面881d、881e、881fと同時に突き当たる位置に配置する。これにより、調芯作用を得ることができる。
こうして、突起部881は突起部801によって調芯が完了されるとともに、駆動伝達可能な関係となる。
複数の突起部801のそれぞれが、対応するバネ(突起押圧部材803)によって付勢されているので、各突起部801は互いに独立して移動可能である。駆動伝達部材881の回転に応じて、各々の突起部801がそれぞれ進退移動し、順々に駆動伝達部材881に係合していく。すなわち、駆動伝達部材881と係合する突起部801の数が順次増えていく。これによって、駆動伝達部材881の傾斜角度が次第に小さくなり、最終的に駆動伝達部材881とカップリング部材864の係合(連結、カップリング)が完了する。この状態では、感光体ドラムに対する駆動伝達部材881の傾斜角度を0度に近い値にすることができる。つまり感光体ドラムに対して駆動伝達部材881を調芯できる。
また、カートリッジBを装置本体Aから取り出す際には、前述したレバー12が作動することで支持部材802が、図58(a)に示す矢印S方向へ移動する。すると突起部801が図58(a)、図59(a)の位置まで退避し、駆動伝達部材881との係合が解除される。
なお、以上の説明では、駆動伝達部材881の傾斜方向(V方向)は重力方向としたが、この傾斜方向はどの方向であっても良い。たとえば実施例3等で示した方向に駆動伝達部材881を傾斜させてもよい。
また、本実施例では複数の突起部(入力部材)801が6つの場合を示しているが、少なくとも3つの突起801があれば調芯作用を得ながら駆動伝達部材881との係合をすることが可能である。
さらに、前述したように、突起部801が駆動伝達部材881に対し、調芯の作用を示すためには、以下の関係を満たすとよい。すなわち駆動伝達部材881と、カップリング部材864とが同軸上に配置された際に、複数の突起部801の内、少なくとも3つが、駆動伝達部材881と同時に係合できる位置に設置されているとよい。
複数の突起801は、駆動伝達部材881の面881d、881e、881fの回転軌跡上に係合する突起以外の突起を配置されていると、駆動伝達部材881が係合する突起以外の突起と先に係合することで、調芯の効果が得にくくなる場合がある。本実施例では、カップリング部材864の複数の(6つの)突起801が略三角形を構成するように配置した(図59(e)参照)。これは駆動伝達部材881の凹部81a(図59(a)参照)がほぼ三角形なので、それに合わせて6つの突起部801を配置したものである。複数の突起部801を、駆動伝達部材881の凹部の形状に対応するように配置することで、駆動伝達部材881の回転に応じて、凹部81aに係合する突起部801の数が順次増えていく(図59(a)-(e)参照)。これによって、図58(a)-(e)で示すように駆動伝達部材881の傾斜量が小さくなって、駆動伝達部材881とカップリング部材864との連結を達成させることができる。
<実施例7>
次に実施例7について説明する。なお前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例1、実施例2で説明した部材と対応しているものは、実施例1、実施例2の部材と同様の名称を付すこととし、実施例1のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。
本実施例では、実施例1の変形例のように、駆動伝達部81が傾動可能(傾斜可能)に構成された場合について説明する。実施例1では、カップリング部材64の進退方向に対して面取り部64eを傾斜するように設けることで、駆動伝達部材81とカップリング部材64の角度差を小さくして、駆動伝達部材81とカップリング部材64との係合が可能となった。本実施例では、後に詳細に説明するが、調芯部材301を備える駆動入力ユニット300と駆動伝達部材81との係合が可能となる。駆動入力ユニット300は、本実施例におけるカップリング部材に相当する。
なお、当然のことながら、本実施例を用いれば、駆動伝達部材81と駆動入力ユニット300が係合する前、各々の回転軸が同軸上にある場合でも、係合可能である。
本実施例では実施例1のような操作部材(レバー部材12)をカートリッジBの駆動側に、実施例2のような操作部材(レバー部材212)をカートリッジBの非駆動側に配置している。後述するが、レバー部材12はピン受け部材303を、レバー部材212は調芯部材301を進退させる。ピン受け部材303と調芯部材301は互いに独立して進退移動が可能である。
本実施例において、調芯部材301とピン(突起、駆動入力部材、入力部)302とピン受け部材(支持部、出力部)303によって構成される駆動入力ユニット300を、図60、図61、図62、図63を用いて説明する。
図60は本実施例に係る調芯部材301の斜視図である。
図61は本実施例に係るピン受け部材303の斜視図である。
図62は本実施例に係る駆動入力ユニット300の斜視図である。
図63は本実施例に係る駆動入力ユニット300の部分長手断面図である。
図60に示すように、調芯部材301には、斜面301a、円筒部301b、切欠部301c、長手規制面301d、連結部材受け部301e、端面301fが設けられる。このとき、切欠部301cは、円筒部301bに沿って等間隔に3つ設けられている。
また、図61に示すように、ピン受け部材303には、ピン受け部303a、駆動伝達部303b、円筒受け部303c、穴部303d、溝部303e、バネ座面303f、長手規制面303hが設けられている。このときピン受け部303aは、円筒受け部303cに沿って等間隔に3つ設けられている。
図62、図63に示すように、本実施例における駆動入力ユニット300は、調芯部材301、ピン302、ピン受け部材303から構成される。ピン受け部材303の円筒受け部303cに、調芯部材301の円筒部301bが挿入され、係合している。またピン302が、ピン受け部材303のピン受け部303aに係合される。このときピン302は、長手規制面303hと接する位置まで挿入され、バネ座面303fの側から溝部303eに接着剤などを塗布することなどによって強固に固定されることが可能となっている。
なお、強固に固定する手段としては、圧入やビスなどの手段を用いても構わない。ここで、ピン302にはフランジ部302aが設けられており、ピン302はフランジ部302aで調芯部材301の切欠部301cと係合している。調芯部材301が後述の駆動入力ユニット連結部材304によって方向Vに付勢されたとき、調芯部材301の長手規制面301dとピン302のフランジ部302aが当接し、調芯部材301の長手が規制される。また、ピンは図62のように、調芯部材301の3つの切欠部に、それぞれ1つずつ設けられる。
また、駆動伝達部303bが、前述のように、ピン受け部材303に設けられている。実施例1のカップリング部材64の駆動伝達部64bが駆動側フランジ部材75に支持され駆動側フランジ部材75に駆動を伝達していたのと同様に、駆動伝達部303bが駆動側フランジ部材75に駆動を伝達する。駆動伝達部303bが駆動側フランジ部材75に支持される構成や、駆動側フランジ部材75が感光体ドラム62に支持される構成は、実施例1と同様である。
次に、本実施例に係る駆動側フランジユニット269及びドラムユニットと、調芯部材301の長手方向の進退移動を可能とする作動ユニットについて、図21、図23、図64、図65を用いて説明する。
図64は実施例7のドラムユニットの長手断面図、およびその部分拡大図である。図65は実施例7のドラムユニットの組立て方法を説明するための図である。
図64、図65に示すように、本実施例にかかる駆動側フランジユニット269は、調芯部材301とピン302とピン受け部材303から成る駆動入力ユニット300と、駆動側フランジ部材275、フタ部材258、第一押圧部材259等から構成される。駆動入力ユニット300は、実施例1のカップリング部材64や実施例2におけるカップリング部材264の代わりに設けられている。さらに、ドラムユニットは前記駆動側フランジユニット269と、駆動入力ユニット連結部材304、クッション部材255、非駆動側フランジ部材254、内側円筒カム部材274で構成される。駆動側フランジ部材275の構成は実施例1と同様であり、内側円筒カム部材274、非駆動側フランジ部材254、フタ部材258の構成は実施例2と同様である。
駆動入力ユニット連結部材304は、調芯部材支持部304a、クッション部材支持部304b、駆動入力ユニット300と内側円筒カム部材274を連結する連結部304c、内側円筒カム部材274に支持される被支持部304d等から構成される。
圧縮バネ等からなる第一押圧部材259はピン受け部材303のバネ座面303fとフタ部材258の間に設けられている。
駆動側フランジユニット269は実施例1と同様、感光体ドラム62に圧入やかしめ等の手段によって駆動側端部に固定される。さらに、図65に示すように、クッション部材255をクッション部材支持部304bで支持した駆動入力ユニット連結部材304が、非駆動側端部62bからドラム内部に挿入される。このとき、駆動入力ユニット連結部材304に支持されたクッション部材255がピン受け部材303のバネ座面303fと当接し、調芯部材支持部304aが調芯部材301の連結部材受け部301eと係合する。ここで、駆動入力ユニット連結部材304の調芯部材支持部304aと調芯部材301の連結部材受け部301eは、圧入やビス止め、接着剤などにより強固に固定される。そして、非駆動側フランジ部材254は内周部254bに内側円筒カム部材274が嵌められた状態で実施例1と同様にかしめ等の手段によって非駆動側ドラム端部62bに固定される。このとき、駆動入力ユニット連結部材304は、被支持部304dで、内側円筒カム部材274の連結部材支持部274bに回転可能に支持される。以上により、実施例7のドラムユニットが構成される。
また、実施例2と同様に、カートリッジ非駆動側の作動ユニットは外側円筒カム部材270、内側円筒カム部材274、レバー部材(操作部材)212、第二押圧部材214等から構成される(図21、図23)。このカートリッジ非駆動側の作動ユニットを非駆動側作動ユニットと呼ぶことにする。この非駆動側作動ユニットの構成や動作は実施例2の作動ユニットと同様である。実施例2と異なる点は、前述のように、連結部材261に支持されたクッション部材255が、カップリング部材264の代わりにピン受け部材303に当接していることである。駆動入力ユニット連結部材304の調芯部材支持部304aが調芯部材301と強固に固定されている。
実施例2では外側円筒カム部材270と内側円筒カム部材274と連結部材261によって、カップリング部材264の長手位置が決まるよう構成されていた。これと同様に、本実施例では、外側円筒カム部材270と内側円筒カム部材274と駆動入力ユニット連結部材304によって、調芯部材301の長手位置が決まるよう構成される。このとき調芯部材301は、図64のように、非駆動側作動ユニットのレバー部材212にカートリッジ押圧部材が当接する前の状態においては、最も非駆動側に位置するよう構成されている。調芯部材301が非駆動側に退避した状態の位置を調芯部材退避位置(調芯部材の退避位置、非作用位置)と呼ぶこととする。また、詳細は後述するが、開閉扉13が完全に閉じた時、非駆動側作動ユニットのレバー部材212にカートリッジ押圧部材1が当接する。すると内側円筒カム部材74と駆動入力ユニット300と調芯部材301は、クッション部材255の付勢力によって、最も駆動側に位置するよう構成される。このように調芯部材301が駆動側に進出する位置を本実施例では調芯部材進出位置(調芯部材の進出位置、作用位置)と呼ぶこととする。
また、ピン受け部材303の長手方向の進退移動を可能とする作動ユニットについて、図64、図66、図67を用いて説明する。
図66は、本実施例に係るクリーニングユニット60に設けられた作動ユニットと駆動入力ユニット300の構成を説明するための部分斜視図である。
図67は、本実施例に係る作動ユニットを説明するための部分斜視図である。
図64、図66、図67に示すように、実施例1と同様の作動ユニットが、ピン受け部材303に連結され、ピン受け部材303の移動(進退移動)を制御する制御機構(制御ユニット)として設けられる。ここで、この作動ユニットは実施例1と同様にカートリッジの駆動側に設けられている。このカートリッジの駆動側の作動ユニットを駆動側作動ユニットと呼ぶことにする。また、実施例1と同様に、駆動側作動ユニットは、外側円筒カム部材70、内側円筒カム部材74、レバー部材12、第二押圧部材(弾性部材、付勢部材)14などから構成される。
内側円筒カム部材74は、円筒カム部70b及び駆動入力ユニット300と当接することによって、実施例1ではカップリング部材長手位置規制面74dによってカップリング部材64の長手位置を規制していた。本実施例では、代わりに、内側円筒カム部材74は、カップリング部材長手位置規制面74dによって、駆動入力ユニット300の長手位置を規制する。
駆動側作動ユニットは内側円筒カム74において駆動入力ユニット300に接続しており、レバー部材12の操作によってピン受け部材303を進退(移動)させることができる。ピン受け部材303の移動に伴い、ピン受け部材303に強固に固定されているピン302も移動する。この動作の仕方は、実施例1における作動ユニットのカップリング部材64に対する仕方と同様である。
また、図64に示すように、カートリッジが装置本体Aに装着されていない状態では、内側円筒カム部材74は、第一押圧部材259の弾性力に抗してピン受け部材303をドラム内へ退避させるように配置されている。すなわち本体扉13が解放されている状態や、レバー部材12にカートリッジ押圧部材1が当接する前の状態においては、ピン受け部材303は最も非駆動側に位置するよう構成されている。ピン受け部材303が非駆動側に退避した状態の位置をピン受け部材退避位置と呼ぶこととする。図64に示すように、ピン受け部材303がピン受け部材退避位置にいるときは、ピン302と本体装置Aの駆動伝達部材81の駆動伝達部81aは長手方向でオーバーラップしないよう構成されている。つまり、プロセスカートリッジBの装置本体Aの着脱は、調芯部材301も同様に調芯部材退避位置にいる場合、ピン302と装置本体の駆動伝達部材81の干渉等がなく、スムーズに行うことができる。また、詳細は後述するが、開閉扉13が完全に閉じた時、駆動側作動ユニットのレバー部材12にカートリッジ押圧部材1が当接する。すると、内側円筒カム部材74とピン受け部材303とピン302は、第一押圧部材259の付勢力によって、最も駆動側に位置するよう構成される。このようにピン受け部材303が駆動側に進出する位置を本実施例ではピン受け部材進出位置と呼ぶこととする。ピン受け部材303は、退避位置と進出位置の間を、感光体ドラム62の軸線に沿って移動する。
また、図68を用いて、駆動側作動ユニットのレバー部材12と、非駆動側作動ユニットのレバー部材212の位置関係を説明する。
図68は、装置本体Aの開閉扉13を図中H方向に閉めていく過程で、カートリッジ押圧部材1がレバー部材12とレバー部材212に近づいていく状態の画像形成装置の、カートリッジ非駆動側から見た断面図である。図中では、駆動側に位置するレバー部材12を破線で示している。
2つのカートリッジ押圧部材1が、レバー部材12とレバー部材212に当接可能になるような位置に、それぞれ配置されている。つまり一方のカートリッジ押圧部材1はカートリッジ側の駆動側を押圧するように構成され他方のカートリッジ押圧部材1はカートリッジの被駆動側を押圧するように構成されている。
このように駆動側と非駆動側にそれぞれ配置された2つカートリッジ押圧部材1は、感光体ドラムの軸線に沿って見た際に、互いに重なるように配置される。図68に示すように、レバー部材212の被押圧部212aは、開閉扉13を図中H方向に閉めていく過程で、レバー部材12の被押圧部12aよりも先にカートリッジ押圧部材1に当接するように配置されている。そのため、開閉扉13を閉じていく過程で、非駆動側作動ユニットは駆動側作動ユニットよりも先に動作するようになっている。このため、後述するが、非駆動側作動ユニットによる調芯部材301の進退は、駆動側作動ユニットによるピン受け部材303の進退より先に動作することとなる。
次に図69、図70、図71を用いて、駆動伝達部材81と駆動入力ユニット300の回転軸L3、L1が互いに係合する前に同軸上でない場合、駆動入力ユニット300と駆動伝達部材81がどう係合していくかについて説明する。
ここで、図69(a)はカートリッジを装置本体Aに挿入し、開閉扉13が完全に開いている状態での、装置本体Aとカートリッジの長手断面図である。図69(b)はカートリッジを装置本体Aに挿入した後、開閉扉13を閉じていく過程で、非駆動側作動ユニットのレバー部材212がカートリッジ押圧部材1に押され始めた時の長手断面図である。図69(c)は開閉扉13をさらに閉じてレバー部材212がカートリッジ押圧部材1に押されて、調芯部材301が調芯部材進出位置に達した時の長手断面図である。図69(d)は駆動伝達部材81の駆動伝達部81aと駆動入力ユニット300のピン302の係合が完了した状態の長手断面図である。図69(d)が示すのは、開閉扉13が完全に閉じられて駆動側作動ユニットのレバー部材12がカートリッジ押圧部材1に押されており、さらに装置本体Aに駆動力が入力されることで、駆動伝達部材81が回転された後の状態である。これによって駆動伝達部81aとピン302の係合がなされている。
図69(a)、(b)、(c)、(d)では、駆動入力ユニット300の調芯部材301が調芯部材進出位置に移動することに伴って駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくしながら、駆動伝達部材81と係合する過程が示されている。
図70は、調芯部材301の斜面301aが駆動伝達部材81の端面81cに当接する箇所の、調芯部材301と駆動伝達部材81が当接する直前の部分拡大図である。
図71は、係合状態にある駆動伝達部材81と駆動入力ユニット300を、カートリッジの長手方向に垂直な図69(d)中の断面Zで切った断面図である。
ピン302と係合する前の駆動伝達部材81は、実施例1の場合と同様に、図69(a)に示すように、図中V方向に自重によって傾斜している。このとき、調芯部材301とピン302は退避位置にあり、いずれも駆動伝達部材81に当接していない。次に開閉扉13が閉じていく過程で、カートリッジ押圧部材1とレバー部材212の被押圧部212aが当接する。すると、外側円筒カム部材270が内側円筒カム部材274に乗り上げることにより、内側円筒カム部材274と駆動入力ユニット連結部材304と調芯部材301がカートリッジの駆動側に移動し始める。
このとき、図70に示すように、調芯部材301の斜面301aが駆動伝達部材81の駆動伝達部81aの稜線81dに当接する。その後、調芯部材301は、駆動伝達部材81を押しのけながら、駆動側に移動する。ここで、クッション部材255の押圧力を十分に大きく設けることによって、駆動伝達部材81が自重によって傾斜する方向に働くトルクに抗して、調芯部材301は駆動側に移動できるようになる。すると、図69(b)に示すように、調芯部材301は、駆動伝達部材81の図中W方向へ回転させ、すなわち駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくしながら、駆動側に移動する。その後、斜面301aが駆動伝達部材81の稜線81dを通過した後、次に調芯部材301の円筒部301bと駆動伝達部81aの稜線が当接する。ここで、円筒部301bと駆動伝達部81aが係合することにより、駆動伝達部材81の回転軸L3と駆動入力ユニット300の回転軸L1が一致する。その後、図69(c)に示すように、調芯部材301は駆動側に、調芯部材301の端面301fが駆動伝達部材81に当接するまで、すなわち調芯部材進出位置まで移動する。
次に、開閉扉13がさらに閉じられると、カートリッジ押圧部材1と駆動側作動ユニットのレバー部材12の被押圧部12aが当接する。そのとき、図69(d)に示すように、実施例1と同様に外側円筒カム70と内側円筒カム74が動作し、第一押圧部材259の付勢力によって、ピン302とピン受け部材303が一体にピン受け部材退出位置から駆動側に移動する。
このとき、図71のように、駆動伝達部81aの位相と駆動入力ユニット300のピン302の位相が合えばこの時点でピン302は駆動伝達部81aに係合する。しかしそれ以外の位相では、ピン302が駆動伝達部材81の端面81cに当接するまでピン302とピン受け部材303が駆動側に移動するにとどまる。しかしその場合にあっても、次に装置本体に駆動が入力されれば、駆動伝達部材81が回転することで、駆動伝達部81aの位相に対する駆動入力ユニット300のピン302の位相差が小さくなる。そして互いの位相が一致するとピン302が第一押圧部材59の付勢力によって駆動伝達部81aと係合する。
これによってピン302は、駆動伝達部81aから駆動力を受けられる状態となる。ピン302は駆動力が入力される入力部材(駆動入力部材)である。駆動時には、駆動伝達部81からの駆動力により、ピン302とピン受け部材303が回転するが、このとき調芯部材301は、ピン302のフランジ部302aから切欠部301cに駆動力を受けて回転する。このとき駆動入力ユニット連結部材304も調芯部材301と一体に、内側円筒カム部材274の連結部材支持部274bに対して摺動しながら回転する。
以上のように、調芯部材301の斜面301aと円筒部301bを駆動伝達部81aと係合させる。このことによって、駆動伝達部材81と駆動入力ユニット(カップリング部材)300の回転軸がずれている場合においても、精度よくそれぞれの回転軸を一致させることができる。
本実施例において、3つのピン(入力部材、入力部)302およびピン受け部材(出力部材、出力部、支持部)303がカップリング部材に相当する。ピン302に入力された駆動力は、ピン受け部材303に伝達され、ピン受け部材303から感光体ドラム62に向けて出力される。また、本実施例のカップリング部材も、フランジ部材75に移動可能に支持されることで、感光体ドラムの端部に配置されている。
なお、広義には、3つのピン202、ピン受け部材303だけでなく調芯部材301を含めたものをカップリング部材と呼ぶ場合がある。つまり駆動入力ユニット300から調芯部材301を除いたものをカップリング部材と呼んだが、広義には、駆動入力ユニット300全体をカップリング部材とよぶこともある。
実施例1の変形例では、カップリング部材64自体が、駆動伝達部材81の傾斜を小さくさせることにより、カップリング部材64は駆動伝達部材81と係合した。
これに対して本実施例では、カップリング部材の入力部材(ピン302)の近傍に配置された可動部材(調芯部材)301が、駆動伝達部材81に向かって退避位置(非作用位置)から進出位置(作用位置)へと移動する。これは図69(a)、(b)、(c)にて示される過程に相当する。このように調芯部材301が移動することに伴って、調芯部材301が駆動伝達部材81を付勢することで、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくする。
これによって、駆動入力部材(302)と駆動伝達部材81とが係合可能な状態とする。
これが図69(c)に示される状態である。
つまり調芯部材301が退避位置から進出位置に移動して駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくさせた後で、カップリング部材(ピン302と、ピン受け部材303)が退避位置から進出位置へ移動する(図69(d)参照)。これによってカップリング部材が、駆動伝達部材81と係合する。調芯部材301とカップリング部材(ピン302と、ピン受け部材303)は異なるタイミングで進退可能に構成されている。
実施例1の変形例や実施例2のように、カップリング部材64の面取り部64eによって駆動伝達部材81aの回転軸をドラムの回転軸に合わせる場合、面取り部64eを設けた分だけ、駆動伝達部材81とカップリング部材の係合する幅が小さくなる。しかし本実施例の方法によれば、駆動伝達部材81の駆動力を直接受ける部品がピン302であり、駆動伝達部材81の回転軸をドラムの回転軸に合わせるのは調芯部材301であるため、ピン302自体に面取り等を設ける必要がない。そのため十分な係合幅を設けることができ、さらに確実な駆動伝達を行うことができる。
<実施例7の変形例>
以下、本実施例の構成を一部変更した変形例について説明する。前述の説明(図69参照)では、調芯部材301の斜面301aと円筒部301bが駆動伝達部81の稜線81dに係合させた。このことにより、駆動伝達部材81を回転(搖動)させ、駆動伝達部材81の回転軸L3を駆動入力ユニット300の回転軸L1に合わせることを可能とした。しかしながら、駆動伝達部材81を回転させて駆動入力ユニット300と回転軸を合わせるためには、駆動伝達部81の凹部81aの稜線81dを用いなくてもよく、駆動伝達部外周81e(図25)を用いてもよい。以下、実施例7の調芯部材301の代わりに外周受け調芯部材305を設けて、外周受け調芯部材305と駆動伝達部外周81eを係合させて、駆動伝達部材81の回転軸L3を駆動入力ユニット300の回転軸L1に合わせる変形例について説明する。
まず外周受け調芯部材305と、それによって構成されるドラムユニットを、図72、図73を用いて説明する。
図72は本変形例に係る駆動入力ユニット300の斜視図である。
図73は本変形例に係るドラムユニットとドラム軸受73の部分長手断面図である。
図72、図73に示すように、外周受け調芯部材305には、斜面305a、円筒部305b、ベース部304c、穴部305dが設けられている。円盤上のベース部304cの中心に穴部305dが設けられている。また、ベース部304cに、穴部305dの径方向の外側に、3つの円筒305bが、円周方向に等間隔で設けられている。円筒部304bの端部には斜面305aが設けられている。斜面305aは、ベース部304cの径方向の内側に向かうにつれてベース部304cに近づくような斜面である。
また外周受け調芯部材305以外の部品の前述の実施例7との違いと、外周受け調芯部材305から構成されるドラムユニットについて説明する。駆動入力ユニット300には、調芯部材301の代わりに、外周受け調芯部材305が設けられている。
前述したように、駆動入力ユニット300から調芯部材305を除いた部分が本実施例のカップリング部材に相当するが、広義の意味で、駆動入力部材300の全体をカップリング部材と呼ぶこともある。
駆動入力ユニット連結部材304には、図73のようにベース支持部304eが設けられている。このベース支持部304に、外周受け調芯部材305の穴部305dが挿入され、ビスや接着剤などで強固に固定されている。ドラムユニットの組立時には、外周受け調芯部材305は駆動入力ユニット連結部材304に組付けられた状態で、ドラム内部に挿入される。
また、ピン受け部材303には、外側円筒受け部303iが設けられている。これは外周受け調芯部材305の円筒部305bに対応する位置に設けられており、駆動入力ユニット連結部材304が挿入されたときに位相を合わせることで係合可能となっている。フタ部材258も、外周受け調芯部材305の円筒部305bに対応する位置に円筒受け部258aが設けられている。このため外周受け調芯部材305の円筒部305bは、ドラム内部からフタ部材258の円筒受け部258aとピン受け部材303の外周円筒受け部303iを通ってドラム外部に突出するよう構成されている。またドラム軸受73はピン受け部材303ではなく、駆動側フランジ275を支持している。
この他、第一押圧部材259や外側円筒カム70、内側円筒カム74は、内径を大きくすることにより、外周受け調芯部材305を避けているが、基本的な構成は前述と同様である。ピン302、クッション部材255、非駆動側フランジ254の構成も前述と同様である。また、外周受け調芯部材305は前述の調芯部材301と同様に、非駆動側作動ユニットの動作に伴って、駆動入力ユニット連結部材304とともにカートリッジ長手方向に移動可能となっている。このとき、外周受け調芯部材305が最も駆動側に進出する位置を、本変形例においても、調芯部材進出位置と呼ぶこととする。
次に図74、図75を用いて駆動伝達部材81と駆動入力ユニット300の回転軸L3、L1が互いに係合する前に同軸上でない場合、駆動入力ユニット300と駆動伝達部材81がどう係合していくかについて説明する。
ここで、図74(a)はカートリッジを装置本体Aに挿入し、開閉扉13が完全に開いている状態での、装置本体Aとカートリッジの長手断面図である。図74(b)はカートリッジを装置本体Aに挿入した後、開閉扉13を閉じていく過程で、非駆動側作動ユニットのレバー部材212がカートリッジ押圧部材1に押され始めた時の長手断面図である。図74(c)は開閉扉13をさらに閉じてレバー部材212がカートリッジ押圧部材1に押されて、外周受け調芯部材305が調芯部材進出位置に達した時の長手断面図である。図74(d)は駆動伝達部材81の駆動伝達部81aと駆動入力ユニット300のピン302の係合が完了した状態の長手断面図である。図74(d)に示すのは、開閉扉13が完全に閉じられて駆動側作動ユニットのレバー部材12がカートリッジ押圧部材1に押され、さらに装置本体Aに駆動力が入力されることで、駆動伝達部材81が回転した後の状態である。
図74(a)、(b)、(c)、(d)では、駆動入力ユニット300の外周受け調芯部材305が調芯部材進出位置に移動することに伴って駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくしながら、駆動伝達部材81と係合する過程が示されている。
図75は外周受け調芯部材305の斜面305aが駆動伝達部材81の端面81cに当接する箇所の、外周受け調芯部材305と駆動伝達部材81が当接する直前の部分拡大図である。
ピン302と係合する前の駆動伝達部材81は、実施例1の場合と同様に、図74(a)に示すように、図中V方向に自重によって傾斜している。このとき、外周受け調芯部材305とピン302は退避位置にあり、いずれも駆動伝達部材81に当接していない。次に開閉扉13が閉じていく過程で、カートリッジ押圧部材1とレバー部材212の被押圧部212aが当接する。すると、外側円部材270が内側円筒カム部材274に乗り上げることにより、内側円筒カム部材274と駆動入力ユニット連結部材304と外周受け調芯部材305がカートリッジの駆動側に筒カム移動し始める。
このとき、図75に示すように、外周受け調芯部材305の斜面305aが駆動伝達部材81の駆動伝達部81aの外周稜線81fに当接する。その後、駆動伝達部材81を押しのけながら、調芯部材301が駆動側に移動する。ここで、クッション部材255の押圧力を十分に大きく設けることによって、駆動伝達部材81が自重によって傾斜する方向に働くトルクに抗して、調芯部材301は駆動側に移動できるようになる。すると、図69(b)に示すように、駆動伝達部材81は、駆動伝達部材81の図中W方向へ回転させ、すなわち駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくしながら、駆動側に移動する。その後、斜面305aが駆動伝達部材81の外周稜線81fを通過した後、次に調芯部材301の円筒部305bと駆動伝達部81の外周稜線81fが当接する。ここで、3つの円筒部305b(図72)と駆動伝達部81aが係合することにより、駆動伝達部材81の回転軸と駆動入力ユニット300の回転軸が一致する。その後、図74(c)に示すように、外周受け調芯部材305は駆動側に、外周受け調芯部材305の端面が駆動伝達部材81に当接するまで、すなわち調芯部材進出位置まで移動する。
外周受け調芯部材305が調芯部材進出位置まで移動した後の動作は、前述と同様である。開閉扉13がさらに閉じられると、駆動側作動ユニットの作用によりピン302とピ抜け部材303が一体にピン受け部材退出位置から駆動側に移動する。さらに本体装置Aに駆動が入力されると駆動伝達部81とピン302が係合する。
なお、駆動時には、駆動伝達部81からの駆動力により、ピン302とピン受け部材303が回転するが、このとき外周受け調芯部材305は、ピン受け部材303の外側円筒受け部303iから円筒部305bに駆動力を受けて回転する。このとき駆動入力ユニット連結部材304も外周受け調芯部材305と一体に、内側円筒カム部材274の連結部材支持部274bに対して摺動しながら回転する。
以上のように、調芯部材301の斜面301aと円筒部301bを駆動伝達部81aと係合させる。これにより、駆動伝達部材81と駆動入力ユニット300の回転軸がずれている場合においても、精度よくそれぞれの回転軸を一致させることができる。
本変形例は、駆動伝達部材81の駆動力を伝達する駆動伝達部81aとは別の箇所、すなわち外周稜線81fに、駆動伝達部材81の回転軸をドラムの回転軸と合わせる形状を設けている。そのため駆動伝達部材81から直接駆動力を受けるピン302は、形状の制約が小さくなり、ピン302の径を大きくしたり、駆動伝達部81aに合わせた形状を設けたりすることが可能となる。したがって本変形例によれば、ピン302の形状次第で、さらに確実な駆動伝達を行うことができ、かつピン302の強度も高めることができる可能性がある。
また、外周受け調芯部材305は3つの円筒部で調芯させているが、例えば、円管形状でも可能であり、調芯することができれば、その形状は限定されない。この場合でも、同様の効果を得ることができる。
<実施例8>
次に実施例8について説明する。本実施例の駆動伝達部材は、実施例1の変形例で示した駆動伝達部81と同様に傾動可能(傾斜可能)に構成されているものとする。
なお、前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示するカートリッジ側の要素のうち、実施例2で説明した部材と対応しているものについては、実施例2と同様の名称を記すこととし、実施例2のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。図76、図77は実施例8のプロセスカートリッジの斜視図である。本実施例でも装置本体から駆動力を受けるためのカップリング部材(駆動入力部材)264がカートリッジに設けられている。本実施例では実施例2と同様に、カップリング部材264を進退させるためのレバー212(図21参照)がカートリッジの非駆動側に設けられている。そのためカップリング部材64は、実施例2(図24(a)~(c)参照)で説明したカップリング部材264と同様に進退移動が可能である。
図76に示すように駆動側軸受部材401には制御部材402が設けられている。駆動側軸受部材401は、カートリッジの枠体の一部であり、カートリッジの駆動側において、感光体ドラムを回転可能に支持するための部材である。軸受部材401は、カートリッジの枠体の側面を構成する部分でもある。別の言い方をすると、駆動側軸受部材401は、感光体ドラムの軸線方向における枠体の端部を構成する部分である。
感光体ドラムの軸線方向において、制御部材402はカップリング部材64とカートリッジの同じ側(駆動側)に配置される。制御部材402は、感光体ドラムの軸線方向におけるカートリッジの枠体の端部(軸受部材401)の近傍に配置される。
制御部材402には図77に示すように規制部402a、当接部402b及び初期接触部402cが設けられている。制御部材402は軸MXを中心に回動可能に駆動側軸受部材401に設けられ、初期接触部402cと制御部材接触部401aが接触した状態で静止している。この時の制御部材402の位置を非作用位置(退避位置)と呼ぶ。図76で示されるように、制御部材402は感光体ドラムの軸線方向においてカップリング部材64の先端よりも外側(矢印LO)側に位置している。
図78はプロセスカートリッジを装置本体へ装着する際の駆動伝達部材とプロセスカートリッジの断面図である。図78(a)に示すように制御部材402はドラム62と現像ローラ32の回転軸を結んだ線M1よりも重力方向下流側に設けられている。また、制御部材402は軸MXを回転中心として自重で矢印MA方向のモーメントが作用しており、初期接触部402cが駆動側軸受部材401の制御部材接触部401aと当接している。
次に図78(b)に示すようにプロセスカートリッジを挿入していくと、制御部材402の当接部(カートリッジ側ガイド部)402bが装置本体Aに設けられた本体ガイド部403と接触する。さらにプロセスカートリッジを挿入していくと当接部402bは本体ガイド部403に沿って移動し、それに伴い制御部材402は軸MXを中心に矢印MB方向に回転する。さらにプロセスカートリッジを挿入していくと図78(c)に示すように規制部402aが駆動伝達部材81の側面81fと接触する。そして規制部(付勢部、作用部)402aが、駆動伝達部材の側面81fを矢印MC方向へ押圧・付勢する。
それにより駆動伝達部材81は実施例1と同様に図15に示す矢印W方向のモーメントが生じることにより、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。このときドラム回転軸と規制部402aとの距離L2は図78(a)の時のドラム回転軸と規制部402aの距離L1よりも短くなっている。この時の制御部材402の位置を作用位置(接触位置)と呼ぶ。
制御部材402は作用位置にある際、感光体ドラム62の軸線と直交する面において、制御部材402の規制部402aは感光体ドラム62の周面(外周面)の近傍に位置している。言い換えると、感光体ドラム62の軸線に沿ってカートリッジを見ると、制御部材402の規制部402aは感光体ドラム62の周面の近傍に位置している。
なお、規制部402aは、感光体ドラムの軸線までの距離が可変な部分であり、規制部材402の表面を構成する部分である。制御部材402が作用位置にある際に、感光体ドラム62軸線に沿って見ると、規制部402aは、感光体ドラムが位置する側に向かって面している。
図79は本実施例8の制御部材402と駆動側軸受部材401に初期化バネ404を設けた構成の斜視図である。初期化バネ404を設けることで制御部材402の初期接触部402cをより確実に駆動側軸受部材401の制御部材接触部401aに当接させることができる。そのためより安定して駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。
駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることで、駆動伝達部材81の軸線とカップリング部材64の軸線の間に生じる角度差が小さくなる。つまり駆動伝達部材81の先端に設けられた出力カップリング部81aの中心(図25参照)がカップリング部材264の中心に近づくので、出力カップリング部81aは、カップリング部材264と係合可能な状態になる。
前述したように、カップリング部材264は実施例2で示したカップリング部材264と同様に進退移動が可能である。そのため、図24(a)~(c)で示したカップリング部材264と同様に、本実施例でもカップリング部材264は駆動伝達部材81に近づくことで駆動伝達部材81と係合できる(図24(c)参照)。
制御部材402は、駆動伝達部材81の傾斜角度を変化させることで、カップリング部材264に対する駆動伝達部材81の調芯をアシスト(補助)する調芯補助部材(補助部材、調芯部材、可動部材)である。なお規制部402aは、駆動伝達部材81に接触し、駆動伝達部材81に作用する作用部(接触部)である。また規制部402aは、駆動伝達部材81を付勢することで力を加え、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくさせる付勢部である。
更に図78(d)を用いて制御部材402の移動軌跡を説明する。制御部材402は2つの位置の間を移動可能である。図78(d)に実線で示した制御部材402の位置は、駆動伝達部材81に作用する位置(上記した作用位置:図78(c)参照)である。感光体ドラムの軸線と直交する面において、制御部材402の規制部402aは、感光体ドラム62の周面の近傍に位置している。一方、図78(d)に破線で示した制御部材402の位置は、前記作用位置から退避した位置(上記した非作用位置、退避位置:図78(a)参照)である。制御部材402が非作用位置にある際に、制御部材402は、作用位置よりも感光体ドラム462の中心(軸線)から遠ざかっている。
制御部材402の作用位置(図78(c))と非作用位置(図78(a))について、一方を制御部材の第1の位置、他方を制御部材の第2の位置とよぶこともある。制御部材402の作用位置は、駆動伝達部材81に作用することによって、より具体的には駆動伝達部材81を付勢することによって、駆動伝達部材81の傾斜を小さくさせる位置である。
非作用位置は、作用位置から退避した位置である。
なお制御部材402の位置によらず、制御部材402は退避位置に位置するカップリング部材264の先端よりも、軸線方向において外側(図76の矢印LO方向側)に位置している。
ここで述べた実施例では制御部材402を初期位置(非作用位置、退避位置)に保持するための初期化バネ(弾性部材)として引張バネ404(図79参照)を示したが、制御部材の初期化を行える構成であれば良い。たとえば引張バネ以外のバネ(弾性部材)として圧縮バネ、ねじりコイルバネなどを設ける方法が考えられる。つまり、制御部材402を弾性部材(付勢部材)で矢印MA方向に付勢することによって、カートリッジの装着時に、制御部材402を所定の初期位置(非作用位置、退避位置:図78(a))に位置させればよい。
また別の方法としては制御部材の先端に重りをつけるなどして、その重みによってカートリッジの装着時に制御部材を初期位置に保持する構成も考えられる。その方法は限定されない。
また制御部材402は、感光体ドラム62の表面で行われる画像形成プロセスを妨げないように、感光体ドラム62の表面を覆ったり、表面に接触したりしないように配置されている。少なくとも制御部材402が作用位置(図78(c))に位置する際には、感光体ドラム62の表面を覆ったり、表面に接触したりしないように配置する。
<実施例8の変形例1>
次に上記した構成を一部変更した本実施例の変形例(実施例8に係る変形例1)について説明する。変形例1も前述と同様に駆動伝達部81が傾動可能(傾斜可能)に構成されているものとして説明する。
図80は、本変形例のプロセスカートリッジの断面図である。
図80に示すように制御部材412はクリーニング枠体71とドラム軸受73の間に矢印MD,ME方向にスライド可能に設けられている。
制御部材412はドラム62と現像ローラ32の回転軸を結んだ線M1よりも重力方向下流側に設けられている。
制御部材412には規制部(作用部、付勢部)412a、当接部412b、初期接触部412cが設けられている。制御部材412は自重により矢印ME方向に付勢され、初期接触部412cがドラム軸受73の当接部73gに当接した状態で静止している。これは制御部材412が非作用位置(退避位置)にある状態である。
図81はプロセスカートリッジを装置本体へ装着する際の駆動伝達部材とプロセスカートリッジの断面図である。図81(a)に示すように制御部材412は自重により初期接触部412cがドラム軸受73の当接部73gと当接している。
制御部材412はドラム62と現像ローラ32の回転軸を結んだ線M1よりも重力方向下流側に設けられている
プロセスカートリッジを挿入していくと図81(b)に示すように当接部412bが本体ガイド部413と接触する。
さらにプロセスカートリッジを挿入していくと図81(c)に示すように制御部材412は本体ガイド部413からの反力を受けて矢印MD方向に移動する。それに伴い規制部412aが駆動伝達部材81のカップリング部側面81gと接触する。さらにプロセスカートリッジを挿入していくと規制部412aがカップリング部側面81gを矢印MD方向に押圧する。それにより駆動伝達部材81は実施例1と同様に図15に示す矢印W方向のモーメントが生じることにより、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。
これは制御部材412が作用位置に位置する状態である。このときドラム回転軸と規制部412aとの距離L4は図81(a)の時のドラム回転軸と規制部412aの距離L3よりも短くなっている。この時、感光体ドラムの回転軸線と直交する面において、制御部材の規制部412aは、感光体ドラムの周面の近傍に位置する。図82は制御部材412とクリーニング枠体71の間に初期化バネ414を設けた構成の断面図である。初期化バネ414を設けることで、初期化バネ414が制御部材412をME方向に付勢している。
これにより制御部材412の初期接触部412cをより確実にドラム軸受73の当接部73gに当接させることができる。
実施例7では、調芯部材301が感光体ドラム62の端部に配置されていた。すなわち調芯部材301が、カップリング部材のピン(駆動入力部材)301の近傍に配置されていた(図62参照)。これに対して本実施例の制御部材412は、カップリング部材264の近傍に配置されているわけではなく、カートリッジの枠体に配置されている。このようにカップリング部材264から離れて配置された制御部材(調芯補助部材、可動部材、調芯部材)412であっても、駆動伝達部材81に向かって移動し、駆動伝達部材81を付勢することにより、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくさせることができる。これによって制御部材412は、駆動伝達部材81をカップリング部材264と係合、連結させることが可能である。
<実施例8の変形例2>
次に本実施例(実施例8)の構成を一部変更した別の変形例(変形例2)について説明する。本変形例も駆動伝達部81が傾動可能(傾斜可能)に構成されたものである。
図83は本変形例のプロセスカートリッジの斜視図である。また図84は装置本体へプロセスカートリッジを装着する際に図83におけるA-Aの線で断面を切った時の断面図である。また、図87は図83の長手断面図である。
図87に示すように制御部材422はドラム62と現像ローラ32の互いの回転軸線を結んだ線M1よりも重力方向下流側に設けられている。
図84(a)に示すようにクリーニング枠体71には初期規制部711、挿入後規制部771m、枠体側付勢力受け部71nが設けられている。また、クリーニング枠体71には制御部材422が軸MYを回転中心に回動可能に支持されている。また、制御部材422には規制部(作用部、付勢部)422a、当接部422b、初期接触部422c、挿入後接触部422d、制御部材側付勢力受け部422eが設けられている。また、制御部材側付勢力受け部422eと枠体側付勢力受け部71nには付勢部材としての引張バネ424が設けられている。
装置本体に挿入する前の制御部材422には引張バネ424から矢印MF方向の力が作用する。それにより制御部材422にはMG方向のモーメントが作用するので、制御部材422は軸MYを中心に回転し、初期接触部422cとクリーニング枠体71の初期規制部71lが当接した状態で静止している。これは制御部材422が非作用位置(退避位置)にある状態である。
次にプロセスカートリッジを挿入していくと、図84(b)に示すように制御部材422の当接部(カートリッジ側ガイド部)422bが本体フレーム(本体側ガイド部)423に当接する。制御部材422は当接部422bが本体ガイド部423から受ける反力により回転軸MYを中心に矢印MH方向に回転する。図84(c)に示すようにさらにプロセスカートリッジを挿入していくと、制御部材422は引張バネ424から受ける矢印MF方向の力によりMH方向に回転し、駆動伝達部材81の側面81fに接触し、駆動伝達部材81を矢印MI方向に押圧する。それにより駆動伝達部材81は実施例1と同様に図15に示す矢印W方向のモーメントが生じることにより、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。このとき制御部材422(制御部)は作用位置に位置する。
このとき図87に示すように図87(c)の時のドラム回転軸線と規制部422aとの距離L6は図87(a)の時のドラム回転軸線と規制部422aの距離L5よりも短くなっている。図87(c)で示すように、感光体ドラムの軸線と直交する面において、規制部422aはドラムの周面の近傍に位置している。なお制御部材422が作用位置(図84(c)、図87(c)参照)にある際、制御部材の少なくとも一部(すなわち当接部422b)は、カップリング部材264の先端よりも軸線方向の外側(LO方向)に位置している。
前述の実施例8や、実施例8の変形例1で説明した制御部材402(図77参照)や制御部材412(図80(a)参照)は感光体ドラムの軸線と直交する方向に沿って移動しており、感光体ドラムの軸線方向には変位しなかった。すなわち制御部材402は、感光体ドラムの軸線に平行な軸部MX(図77参照)を中心に回転していたし、制御部材412は、感光体ドラムの軸線と直交する方向に直線的にスライド移動していた(図80(a)参照)。
これに対して本変形例2では、制御部材442が非作用位置(図84(a))から作用位置(図84(c)移動する際に、制御部材442の規制部(作用部、付勢部)422aが、感光体ドラムの軸線方向に変位する。つまり制御部愛442が作用位置に移動することで、規制部422aは軸線方向の外側すなわち、図84(c)における左側に変位する。
<実施例8の変形例3>
さらに本実施例に係る別の変形例(変形例3)について説明する。本変形例も前述の構成と同様に駆動伝達部81が傾動可能(傾斜可能)に構成されている。
図85に示すように制御部材432には加圧部としての圧縮バネ435が設けられている。
図86はプロセスカートリッジを装置本体に装着していくときの断面図である。図86(a)に示すようにドラム軸受73には当接部73gが設けられている。プロセスカートリッジを装置本体に挿入していくと、図86(b)に示すように圧縮バネ435が本体ガイド部433に当接し、圧縮バネ435は制御部材432を矢印MJ方向へ付勢する。それにより制御部材432の当接部432bは駆動伝達部材81の側面81fと当接し、駆動伝達部材81を矢印MJ方向へ押圧する。それにより駆動伝達部材81は実施例1と同様に図15に示す矢印W方向のモーメントが生じ、駆動伝達部材81はドラム軸受73に設けられた規制部73gと当接することにより、駆動伝達部材81の傾斜角度を小さくすることができる。
プロセスカートリッジの装置本体への装着が完了し、駆動伝達部材81とカップリング部材64が係合すると、駆動伝達部材81とカップリング部材64の回転軸同士が一致する。この時駆動伝達部材81は図86(c)に示すように矢印MK方向に移動する。
なお、実施例3から実施例8はカップリングを進退させる機構として実施例1の機構もしくは実施例2で開示した機構を用いたが、進退方法はこの方法に限定するものではなく、他の方法でも構わない。
<実施例9>
次に、実施例9について説明する。なお、前述の実施例と同様の点については説明を省略することがある。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例8で説明した部材と対応しているものについては、実施例8と同様の名称を記すこととし、実施例8のものとは異なる点についてのみ説明する場合がある。
以下の本実施例では、実施例8と同様に駆動伝達部1081が傾動可能(傾斜可能)に構成され(図92)、さらに制御部材(調芯補助部材、可動部材、付勢部材、調芯部材)1001(図88)がカートリッジに設けられた構造について説明する。
なお実施例8を含む上記各実施例においては、現像ローラギア36が駆動側フランジ部材75に設けられたギア部75aと噛み合うことにより現像ローラ32に駆動力が伝達されていた(図27参照)。すなわち装置本体からカートリッジのカップリング部材(駆動入力部材)に入力された駆動力は、カートリッジの内部で分岐されることで感光体ドラムだけではなく現像ローラ32にも伝わっていた。しかしながらカートリッジや画像形成装置本体が必ずしもこのような構造をとる必要はない。つまり現像ローラ32が、感光体ドラム62とは別に画像形成装置本体から直接、駆動力を受けるような構造も考えられる。
その一例として本実施例では現像ローラギア36がカートリッジの外部に露出することにより、装置本体Aの駆動伝達部材1081と直接係合し、駆動伝達部材1081から直接駆動力を受け取る構造について示す。
また、実施例8を含む前述の複数の実施例においてカップリング部材64はドラム62に対して長手方向に進退可能な構成となっていたが(図6、図8参照)、必ずしもその必要はない。カップリング部材が感光体ドラムの端部に固定されていてもかまわない。そこで本実施例では感光体ドラムに固定されたカップリング部材を紹介する。
さらに、実施例8において駆動伝達部材81は図15に示す矢印V方向に自重によって傾斜していたが、必ずしもその必要はない。実施例3等でも説明したように、重力以外の力によって駆動伝達部材が傾斜することも考えられるし、また重力方向とは異なる方向に駆動伝達部材が傾けられることも考えられる。そこで本実施例では図92に示すように、駆動伝達部材1081を弾性力F22により矢印VV方向に傾斜させた。これにより、プロセスカートリッジBを装置本体Aに対して着脱する際の抵抗力を低減させることができる(詳細は後述する)。
(カップリング部材および制御部材の構成)
はじめに、図88乃至図91、図98を用いてカップリング部材1064および制御部材1001の構成について説明する。
図88(a)は本実施例に係るカートリッジBの斜視図である。図88(b)は本実施例に係るカートリッジBの分解斜視図である。図89(a)は本実施例に係るカートリッジBの側面図である。図89(b)は図89(a)においてカートリッジB駆動側端部のXX-XX断面図である。
図88(a)(b)に示すように、駆動伝達部材1081(図92)の姿勢を制御する部材である制御部材1001が、カートリッジの枠体の端部近傍に配置されている。制御部材1001は感光体ドラム62に対して移動可能な可動部材である。
この制御部材1001には、穴部1001cが設けられている。穴部1001cはクリーニング枠体1071に設けられた支持ボス1071aに支持される。また、ドラム軸受1073はクリーニング枠体1071に対して一体的に固定される。ドラム軸受1073やクリーニング枠体1071はカートリッジの枠体の一部を構成する。特に、ドラム軸受1071やクリーニング枠体1071はクリーニングユニット60(図4参照)を構成する枠体である。制御部材1001はドラム軸受1073に対して支持ボス1071aの軸線AAを中心に回転可能に取り付けられている。
また、支持ボス1071aには、ねじりコイルバネである付勢バネ1002が取付けられており、付勢バネ1002の一端1002aは制御部材1001の被押圧部1001dに当接している。また、付勢バネ1002の他端1002bはドラム軸受1073の被当接部1073cに当接している。そのため、制御部材1001は付勢バネ1002の付勢力FF1により矢印BB方向に付勢されている。
一方、ドラム軸受1073には制御部材1001の回転範囲を規定する制御部材当接部(停止部)1073aが設けられている。制御部材1001は付勢バネ1002により矢印BB方向に付勢されているため、制御部材1001の被当接部1001bは制御部材当接部1073aに当接した姿勢となる。つまり、制御部材当接部1073aが制御部材1001に当接することによって、制御部材1001の移動が止められる。
また、図89(a)に示すように、ドラム62の軸線に平行な矢印HH方向(図88(a)参照)から見て制御部材1001の規制部(付勢部、作用部)1001aはドラム62の表面62aの近傍、距離DAの位置に配置されている。この状態の制御部材1001の位置のことを制御部材の作用位置とよぶ。
また、図89(b)に示すように、制御部材1001の規制部1001aはカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aに対して長手方向外側、距離DBの位置に配置されている。
また、図98(a)(b)に示すように、制御部材1001の規制部1001aに対して、外力が加えられた際に、制御部材1001は軸線AAを中心にBB2方向に回転する事が可能である。その時、制御部材1001は付勢バネ1002の付勢力に抗して、BB2方向に回転される。その状態において、制御部材1001の被当接部1001bは、制御部材当接部1073aと当接しない。制御部材1001は矢印BB2方向に所定の角度の分、回転する事が可能である。
前述したように、実施例8においてカップリング部材64は駆動側フランジ部材75を介してドラム62に対して長手方向に進退可能に取り付けられていた(図6、図8参照)。
一方、本実施例においては、図89(b)に示すようにカップリング部材1064はドラム62対して一体的に固定される。そのため、カップリング部材1064はドラム62に対して長手方向に進退移動する機構を有していない。また、実施例1においてカップリング部材64は駆動側フランジ部材75のギア部75aを介して現像ローラギア36に駆動を伝達していた(図27参照)。一方、本実施例においてカップリング部材1064はギア部を有しておらず、現像ローラギア36に駆動を伝達しない。また、現像ローラギア36の歯面36aはカップリング部材1064に対し長手方向外側に位置しており、図88に示すように歯面36aはカートリッジBの外面に露出している。
一方、図90に示すように装置本体Aの駆動伝達部材1081は駆動伝達部(出力カップリング部)1081aおよびギア部(出力ギア部)1081bを有する。図91は本実施例に係るカップリング部材1064が駆動伝達部材1081と係合した状態を示している。画像形成時においては、図91に示すように、駆動伝達部材1081はドラム62と同軸上に配置される。そして、駆動伝達部1081aがカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aと噛み合い、同時にギア部1081bが現像ローラギア36の歯面(駆動入力部)36aと噛み合う。これにより、駆動伝達部材1081はカップリング部材1064および現像ローラギア36に同時に駆動力を伝達することができる。
現像ローラギア36は、カップリング部材1064と同様に、カートリッジBの外部(すなわち装置本体の駆動伝達部材1081)から駆動力が入力される駆動入力部材(ギア部材)である。特に現像ローラギア36を駆動入力ギア部材と呼ぶ場合がある。
(駆動伝達部材の構成)
次に、図89および図92を用いて装置本体Aの駆動伝達部材1081の構成について説明する。
実施例8同様、カートリッジBはガイドレール15h、15gに沿って装置本体Aの装着部に挿入される(図10、図11参照)。この時、図89(a)に示すようにカートリッジBが装置本体Aに対して最終的に装着される方向CCは、ドラム62の中心PPと現像ローラ32の中心QQを結んだ切断線XXに対して略直交になっている。
一方、図92は本実施例に係る駆動伝達部材1081の支持構成を示した断面図である。
図92は、装置本体AにカートリッジBが装着されておらず、かつ開閉扉13が開いている状態を示している。図92に示すように、円筒形状よりなる駆動伝達部材1081の被支持部1081fは、球形状よりなる駆動伝達部材支持部材1085の支持部1085aに支持されている。そのため、駆動伝達部材1081は支持部1085aの中心RRにおいて傾斜可能であると同時に、駆動伝達部材1081は被支持部1081fの円筒軸EEに沿って移動することが可能である。
さらに、駆動伝達部材1081には不図示の手段により開閉扉13の開閉動作に応じて矢印KK方向及び、矢印TT(図96(a))に移動可能な進退部材1003が取り付けられている。進退部材1003には圧縮バネである傾斜バネ1006が設けられており、被押圧部1081cにおいて駆動伝達部材1081を付勢力FF2で付勢している。この傾斜バネ1006による付勢力FF2により、駆動伝達部材1081の被当接部1081dは装置本体Aに設けられた突起1004に当接し、同時に被当接部1081eは突起1005に当接する。その結果、駆動伝達部材1081は矢印VV方向に傾斜した姿勢となる。
このとき、ドラム62の軸線に平行な方向である矢印HH方向から見た駆動伝達部材1081の傾斜方向が、図89(a)における切断線XXと平行な矢印GG方向成分を有する方向となる。突起1004、突起1005は駆動伝達部材1081の傾斜方向が矢印GGに対して、±45°の範囲内となる位置に設けられるのが好ましい(図93(b)、図94(b)参照)。
(カートリッジが装置本体に着脱される工程)
次に、図93~図96を用いてカートリッジBが装置本体Aに装着される工程、および制御部材1001の動作について説明する。なお、図93~図96において、制御部材1001を網掛け表示している。
図93(a)(b)は開閉ドア13を開き、カートリッジBが装置本体Aに装着される過程において、制御部材1001の制御部1001aが駆動伝達部材1081のギア部1081bに接触する直前の様子を示している。
図94(a)(b)は図93(a)(b)の状態から装置本体Aの装着部までカートリッジBを挿入した状態を示している。
図95(a)(b)は図94(a)(b)の状態から開閉扉13を閉めた状態を示している。
図96(a)(b)は図95(a)(b)の状態から駆動をかけた後の状態を示している。
制御部材1001の制御部1001aが駆動伝達部材1081のギア部1081bに接触する前は、図93(a)に示すように、カートリッジBが装置本体Aに装着されていない状態と同様、駆動伝達部材1081は矢印VV方向に傾斜している。また図93(b)に示すように、制御部材1001は、付勢バネ1002の付勢力FF1により矢印BB方向に付勢されており、制御部材1001の被当接部1001bはドラム軸受1073の制御部材当接部(停止部)1073aに当接している。つまり制御部材1001は作用位置に位置した状態で、制御部材当接部1073aによって移動が止められている。
ここからさらにカートリッジBを挿入すると、図94(a)(b)に示すように制御部材1001の制御部1001aは駆動伝達部材1081のギア部1081bに当接する。図94(a)に示すように、駆動伝達部材1081は制御部1001aより付勢力FF3を受けている。図93(a)(b)から図94(a)(b)に至る過程にわたって、付勢力FF2による矢印VV方向のRR周りのモーメントMM2(不図示)と付勢力FF3による矢印WWのRR周りのモーメントMM3(不図示)はMM2>MM3となっている。そのため、駆動伝達部材1081は矢印VV方向に傾斜した状態を維持する。そのため、駆動伝達部材1081のギア部1081bは現像ローラギア36の歯面36a対し、隙間LLをもって離間している。そのため、カートリッジBが装置本体Aの装着部に装着される過程を通して、駆動伝達部材1081のギア部1081bは現像ローラギア36の歯面36aと接触することはない。
一方、図94(b)に示すように、制御部1001aはギア部1081bより、FF3の反力FF4を受ける。図93(a)(b)から図94(a)(b)に至る過程にわたって、付勢力FF1による矢印BB方向のAA周りのモーメントMM1と反力FF4による矢印NNのAA周りのモーメントMM4はMM1<MM4となっている。そのため、制御部材1001は付勢バネ1002の付勢力FF1に抗して矢印NN方向に回転し、被当接部1001bは制御部材当接部1073aから離間する。このとき制御部材1001は、非作用位置(退避位置)に位置する。図94(a)に示すように制御部材1001の規制部1001aは感光体ドラムの軸線から遠ざかるように退避しており、駆動伝達部材1081が傾斜するのを許容している。
ここで開閉扉13を閉めると、図95(a)に示すように進退部材1003が開閉扉13の動作に連動して矢印KK方向へ移動する。そのため、傾斜バネ1006の圧縮量が減少し、付勢力FF2が減少する。この結果、付勢力FF2による矢印VV方向のRR周りのモーメントMM2と、制御部材1001の付勢力FF3による矢印WW方向のRR周りのモーメントMM3との関係は、MM2<MM3となる。この結果、駆動伝達部材1081は矢印WW方向に回転し、当接部1081eと突起1005は離間する。そして、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラ36の歯面36aは領域SSにおいて噛み合う。一方、図95(b)に示すように、付勢バネ1002の付勢力FF1による矢印BB方向のAA周りのモーメントMM1と、付勢力FF3の反力FF4による矢印NN方向のAA周りのモーメントMM4との関係はMM1>MM4となる。そのため、制御部材1001は図94(b)の状態から矢印BB方向に回転し、被当接部1001bがドラム軸受1073の制御部材当接部1073aに当接するまで移動する。
図95(a)、(b)に示される制御部材1001は作用位置に位置しており、制御部材1001の規制部1001aが駆動伝達部材1081に力F33を加えることで、感光体ドラムに対する駆動伝達部材1081の傾斜角度を小さくさせている。
ここで、駆動伝達部材1081に駆動がかかると、図96(a)に示すように駆動伝達部材1081は矢印KK方向に移動し、駆動伝達部1081aとカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが係合する。なお、この状態において制御部材1001の規制部1001aは駆動伝達部材1081のギア部1081bは接触せず、隙間UUを有している。図95(a)(b)から図96(a)(b)に至る動作の詳細は後述する。
次に、カートリッジBを装置本体Aから取り出す工程について説明する。この工程は、カートリッジBを装置本体Aに装着する工程と逆の工程をたどる。画像形成を終えた状態では、駆動伝達部材1081は図96(a)(b)の状態となっている。ここで開閉扉13を開くと、開閉扉13の動作に連動して進退部材1003が矢印TT方向に移動し、図94(a)(b)に示す状態となる。傾斜バネ1006の圧縮量が増加し、付勢力FF2が増加する。これによって、駆動伝達部材1081は図の左側に移動して、駆動伝達部材1081の出力カップリング部1081a(図90参照)とカップリング部材1064の係合が解消される。またこのとき、先述したように付勢力FF2による矢印VV方向のモーメントMM2と付勢力FF3による矢印WWのモーメントMM3はMM2>MM3となっている。そのため、駆動伝達部材1081は矢印VV方向に傾斜した状態となる。これに伴って、駆動伝達部材1081のギア部1081bは現像ローラギア36の歯面36a対し、隙間LLをもって離間する。
この状態でカートリッジBを装置本体Aから取り出すと、図93(a)(b)の状態を経由し、駆動伝達部材1081と現像ローラギア36が接触しない状態を維持しつつカートリッジBは装置本体Aから完全に取り出すことができる。つまりカートリッジBを取り外す前に、駆動伝達部材1081のギア部と現像ローラギア36の噛み合いが外れるので、小さな力でカートリッジBを取り外すことができる。
(本体駆動によるカップリング部材と駆動伝達部材の係合)
次に、図95(a)(b)で示した駆動伝達部材1081とカップリング部材1064が係合していない状態から、図96(a)(b)で示した駆動伝達部材1081とカップリング部材1064が係合した状態に至るまでの動作を詳細に説明する。
まず、駆動伝達部材1081が長手方向に移動する構成について説明する。図95(a)の領域SSにおいて、駆動伝達部材1081のギア部1081bは、現像ローラギア36の歯面36aと噛み合っている。その状態において、駆動伝達部材1081が装置本体Aに設けられた不図示のモータにより、図90に示す矢印CW方向(矢印Nの反対方向)に回転する。駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36aはハスバ歯車となっている。駆動伝達部材1081が回転した時、駆動伝達部材1081は現像ローラギア36から、現像ローラ32の回転負荷に起因する噛み合い力の反力を受ける。先述したようにギア部1081bおよび歯面36aはハスバ歯車となっているため、この反力は矢印KK方向の成分(感光体ドラムの軸線方向に沿った成分)を有する。それにより、駆動伝達部材1081は、図95(a)に示す位置から、矢印KK方向へ移動する。
次に、図97(a)(b)を用いて駆動伝達部材1081の支持構成について説明をする。図97(a)はカップリング部材1064の回転軸を通る断面図である。図97(b)は、図97(a)におけるYY-YY断面を模式的に示したものである。
図97(a)において、駆動伝達部材1081が矢印KK方向に移動する。駆動伝達部材1081の被支持部1081fは、駆動伝達部材支持部材1085が有する実質的に球形状の支持部1085aに支持されている。よって、駆動伝達部材1081の回転軸線EEは、駆動伝達部材1081の固定端1081g側を回転中心として、矢印VV方向に傾斜することができる。それにより、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081a側の端部1081a1(自由端、先端)は、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36aの噛み合い力方向である矢印FD方向(図97(b))に力を受ける。そして、駆動伝達部材1081は矢印FE方向へ移動する。その際、駆動伝達部材1081が有するギア部1081bの先端部1081b1(図97(a)、図90)が、規制部1073j(図97(a)、図88)に当接する。それにより、駆動伝達部材1081の傾斜が、所定の範囲に維持される。
次に、図93乃至図97を用いて駆動伝達部材1081がカップリング部材1064に係合する過程について説明する。図95(a)の状態において、更に駆動伝達部材1081が回転軸線EEを中心として回転する事により、駆動伝達部材1081は、傾斜が維持された状態で、より一層矢印KK方向へ移動する。駆動伝達部材1081の傾斜がある一定の範囲に維持されている事で、図96(a)に示すようにカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aの穴の内部に入り込む事が可能となる。
なお、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aは図88(a)に示すように略三角の凹形状をした凹部である。一方、カップリング部材1064の被駆動伝達部1064aは図90に示すように略三角の凸形状をした凸部である。そのため、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aの位相が、カップリング部材1064の被駆動伝達部1064aの位相と合っていない時は、被駆動伝達部1064aは駆動伝達部1081aの内部に入り込むことができない。そのため、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aの端部1081a1(自由端、先端)が、被駆動伝達部1064aの端部1064a1(自由端、先端)と当接する。その状態で、駆動伝達部材1081が回転軸線EEを中心として更に回転する。そして、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aの位相が、カップリング部材1064の被駆動伝達部1064aの位相と合った時に、カップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが、駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081aの内部に入り込む。
それにより、駆動伝達部材1081の凹部1081aとカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが係合する。その結果、駆動伝達部材1081がカップリング部材1064へ駆動力を伝達する事が可能となる。
駆動伝達部材1081の凹部1081aとカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが係合する過程で、駆動伝達部材1081の回転軸線EEが、カップリング部材1064の回転軸線LC9とほぼ一致する。
以上の動作によって、駆動伝達部材1081は、図96(a)(b)に示す、画像形成時の状態に至る。
本実施例では、制御部材1001は駆動伝達部材1081を付勢することで、カップリング部材1064に対する駆動伝達部材1081の調芯を補助するだけでなく、駆動伝達部材1081を現像ローラギア36に向けて付勢する。
つまり、開閉扉13が閉じることに伴って、制御部材1001は非作用位置(退避位置:図94(a)、(b))から作用位置(図95(a)、(b))に移動する。この際に制御部材1001は駆動伝達部材1081を付勢し、感光体ドラム62に対する駆動伝達部材1081の傾斜角度を小さくしている。これによって制御部材1001は、駆動伝達部材1081のギア部(出力ギア部)1081b(図90参照)を、現像ローラギア36の歯面(入力ギア部)36aに係合させている(図95(a)、(b)参照)。
駆動伝達部材1081が制御部材1001に付勢された状態で、駆動伝達部材1081のギア部1081bが、現像ローラギア36のギア部36aに係合して回転力を伝え始める(図95(a)に示される状態)。この際、ギア同士の噛み合いによって軸線方向への力が生じるため、駆動伝達部材1081がカップリング部材1064が向かって引き寄せられる。その結果、駆動伝達部材1081の凹部(出力カップリング部)1081aと、カップリング部材1064の被駆動伝達部(入力カップリング部、凸部)1064aとが係合する(図96(b)に示される状態)。
一方、開閉扉13が開くことに伴って、駆動伝達部材1081はカップリング部材1064から退避し、カップリング部材1064との係合を解消する。これと同じタイミングで制御部材1001は、作用位置(図95(a)、(b))から非作用位置(退避位置:図94(a)、(b))に移動する。これによって制御部材1001は駆動伝達部材1081が傾斜するのを許容している。感光体ドラム62に対する駆動伝達部材1081の傾斜角度が大きくなるので、駆動伝達部材1081のギア部と現像ローラギアの噛み合いを解消することができる。この状態では容易にカートリッジの取り外しをすることができる。
なお、制御部材1001は、感光体ドラム62の表面で行われる画像形成プロセスが妨げられないように配置されている。つまり感光体ドラム62の表面の一部は、カートリッジの枠体から露出しており、この露出部において、感光体ドラム62の表面に形成されているトナー像が画像形成装置本体に転写される。したがって、少なくとも制御部材1001が作用位置に位置する際(図88(a)参照)には、制御部材1001が感光体ドラム62の露出部を覆ったり、露出部に接触したりしないよう制御部材1001は配置されている。特に制御部材1001は、感光体ドラムの画像形成領域(トナー像が形成され得る領域)を覆ったり、接触したりしないように配置されている。
本実施例のカップリング部材1064は、実施例1のカップリング部材64(図15(a)-(d)参照)とは異なり、進出位置と退避位置の間を移動する構成ではない。しかし、上記のように駆動伝達部材1081が駆動を開始すると、駆動伝達部材1081はカップリング部材1064に近づくように移動するので、駆動伝達部材1081とカップリング部材1064は連結することができる。これは、駆動伝達部材1081のギア部(出力ギア部)1081aとカートリッジ側のギア部材(現像ローラギア)36がハスバギアであるためである。つまり駆動伝達部材1081の駆動時に、ギア同士の噛み合いによって、駆動伝達部材1081をカートリッジ側に引き寄せる力が生じるからである。
本実施例のこのような構成を前述、もしくは後述の別の実施例において採用してもよい。
たとえば前述の各実施例では、現像ローラのギア36は、感光体ドラムの端部に取り付けられたフランジ部材(75)のギア部と噛み合って、駆動力を受ける構成だった(図27参照)。このような構成を一部変更して、本実施例のように現像ローラのギア(ギア部材、ハス歯ギア)36をカートリッジの外部に一部露出させることで、画像形成装置本体の駆動伝達部材のギア部に直接係合させるようにしてもよい。
仮に、駆動伝達部材のギア部と直接噛み合うことができるギアをカートリッジが有していれば、駆動伝達部材の駆動時にギア同士の噛み合いによって生じる力によって、駆動伝達部材がカートリッジ側のカップリング部材に近づくように動く(図96参照)。駆動伝達部材とカップリング部材の連結をアシストできる。
また、本実施例では、駆動伝達部材1081と係合するカートリッジ側のギアが、現像ローラ32のシャフトに取り付けられた現像ローラギア36であった。しかしながら、これ以外の構成をとることも可能である。つまり、図88(a)に示されたカートリッジ側のギア36が、現像ローラ32に取り付けられたギアでなくてもよいし、現像ローラ32に駆動力を伝達させるためのギアでなくてもよい。つまり、駆動伝達部材1081のギア部1081aと噛み合うことができるギアをカートリッジが有していれば、それが現像ローラギアでなくてもよい。
その一例として、例えばカートリッジ側のギア36を現像ローラ32に接続させず、アイドラギア39や搬送部材ギア41(図3参照)を介して、ギア36から搬送部材34(図4参照)のみに駆動力を伝えるような構成も考えられる。このようにもしギア36が受けた駆動力を現像ローラ32に伝えない構成をとる場合には、前述の実施例1~8と同様に、カップリング部材1064が受けた駆動力を感光体ドラムだけでなく現像ローラ32にも伝達させればよい。
また、さらに本実施例を一部変更した別の例として次のものがある。現像ローラ32や、そのシャフトに直接的にギア36が取り付けられていない構成をとりつつ、別の駆動伝達手段(たとえばアイドラギア)を介して、ギア36から現像ローラ32に駆動力を伝達させるような構成も考えられる。
一方、本実施例においても、前述の実施例1や実施例8などと同様に、カップリング部材が進出位置と退避位置の間を移動するような構成(図14参照)をとることも可能である。
<実施例10>
次に、実施例10について説明する。本実施例では、実施例9と類似の構成について、さらに詳しく説明したものである。なお、前述の実施例と同様の点については説明を省略する。特に本実施例で開示する要素のうち、実施例9で説明した部材と対応しているものについては実施例9と同様の名称を記すこととし、実施例9のものとは異なる点についてのみ説明する。
(カップリング部材および制御部材の構成)
始めに、図99乃至図103を用いて制御部材1101の構成について説明する。
図99は本実施例に係るカートリッジの外観を示した斜視図である。
図100(a)および図100(b)は本実施例に係るカートリッジの分解斜視図である。
図101は本実施例に係るカートリッジにおいて、制御部材1101および付勢バネ1102の支持構成について説明した側面図である。
図102は本実施例に係るカートリッジの側面図である。
図103(a)は本実施例に係るカートリッジの、図102(a)切断線XX1における断面図である。
図99(a)に示すように、ドラム軸受1173はビス1107によってクリーニング枠体1171に一体的に固定されている。ドラム軸受1173やクリーニング枠体1171はカートリッジ枠体の一部を構成する。特に、ドラム軸受1173やクリーニング枠体1171はクリーニングユニット60(図4参照)を構成する枠体である。駆動伝達部材1081(図92参照)の姿勢を制御する部材である制御部材1101は、次に説明する構成によりドラム軸受1173に軸線AA1を中心に回転可能に取り付けられており、さらに矢印BB1方向に付勢されている。なお、図99(b)は、図99(a)の状態から制御部材1101を矢印BB1と逆の方向である矢印NN1方向へ回転させた状態を表している。
図100(a)(b)に示すように、本実施例においても、実施例9と同様に、カートリッジの駆動側(カップリング部材が配置された側)に、制御部材(可動部材)1101が配置されている。制御部材1101には、軸部1101aおよび軸部1101bが設けられている。軸部1101aおよび軸部1101bは同軸上に配置されている。一方、ドラム軸受1173には同軸上に穴部1173aおよび穴部1173bが設けられており、穴部1173aは軸部1101aを、穴部1173bは軸部1101bを軸線AA1においてそれぞれ回転可能に支持している。また、制御部材1101の内部1101cにはねじりコイルバネである付勢バネ1102が取り付けられている。
図101(a)に示すように制御部材1101の軸部1101bには付勢部材1102のコイル部1102cが挿入されており、付勢バネ1102の一端1102aは制御部材1101の被押圧部1101dに当接している。また、付勢バネの他端1102bはドラム軸受1173の被当接部1173cに当接している。そのため、制御部材1101は被押圧部1101dにおいて付勢バネ1102より付勢力FF11を受け、ドラム軸受1173に対して矢印BB1方向に付勢されている。また、図101(b)に示すように、制御部材1101は被ガイド部リブ1101e(突出部)を有している。被ガイド部リブ1101eは、感光体ドラムの軸線方向における外側に突出した突出部であり、ガイド部(制御部材側ガイド部)を構成する部分である。
一方、図99に示すように、ドラム軸受1173には制御部材1101の回転範囲を規定する制御部材当接部1173dが設けられている。制御部材1101は付勢バネ1102により矢印BB1方向に付勢されているため、制御部材1101の被当接部1101g(図100(b)参照)は制御部材当接部(停止部)1173dに当接した姿勢となる。このときの制御部材1101の姿勢を、ドラム軸受1173に対する正規姿勢と定義する。
図102(a)はカートリッジをドラム62の軸線PP1と平行な矢印HH1から見た状態を表している(図99(a)参照)。
前述のように被当接部1101gが制御部材1173dに当接した正規姿勢において、ドラム62の軸線PP1に沿って見ると、図102(a)に示すように、制御部材1101の規制部(作用部、付勢部)1101hはドラム62の表面62aの近傍に配置されている。これは制御部材1101が作用位置に位置する状態である。
この時、規制部1101hはドラム62の軸線PP1に対して距離DC1の位置となるように設定されている。本実施例では距離DC1はドラムの半径DA1に対し、「DC1<DA1×1.2」の関係を満たすように設定されている。DC1は、ドラムの半径の1.2倍よりも小さい。実施例8と同様に制御部材1101の作用位置とは、制御部材1101が駆動伝達部材に作用するための位置である(詳細は後述する)。
上記したように、制御部材1101が図102(a)で示される作用位置に位置し、規制部1101hがドラム62の周面の近傍に位置した状態で、制御部材1101の移動が停止部1173dによって停止されている。しなしながら必ずしもこのような構成に限られるわけではない。つまり、制御部材1101が作用位置で止まらず、規制部1101hが図102(a)で示される状態よりもさらにドラム62の軸線に近づくように移動し得るような構成も考えられる。制御部材1101の移動範囲の中に作用位置と後述の非作用位置(退避位置)が含まれていればよく、制御部材1101が作用位置で止まらない構成もあり得る。
図103(a)に示すように、制御部材1101の規制部1101hはカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aに対して長手方向外側(図における左側)、距離DB1の位置に配置されている。本実施例では、制御部材1101の全体が、カップリング部材1064の先端よりも長手方向の外側に位置する。
また制御部材1101が作用位置に位置する際に、制御部材1101は感光体ドラム62の表面で行われる画像形成プロセスを妨げないように配置されている。制御部材1101が感光体ドラム62の画像形成領域を覆ったり、画像形成領域に触れたりすることはない。
また、図102に示すように制御部材1101は軸線PP1に対して距離DE1の位置に退避部(凹部)1101fを有している。ここで、距離DE1と距離DC1とは
DE1>DC1
の関係になっている。退避部1101fは、制御部材1101の幅を小さくするように窪んだ凹部(小幅部)であり、制御部材1101が作用位置に位置する際に、感光体ドラムの軸線PP1から遠ざかるようにして窪んだ凹部である。
また、図102(b)に示すように、制御部材1101に対して外力が加えられた際に、制御部材1101は付勢バネ1102の付勢力FF11に抗して軸線AA1を中心に矢印NN1方向に回転することが可能である。この状態において、制御部材1101の被当接部1101gは、制御部材当接部1173dから離間した状態となる。すなわち、制御部材1101は矢印NN1方向に所定の角度の分、回転することが可能である。このとき制御部材1101の規制部1101hとドラム62の回転軸線PP1との距離DC2は、DC1<DC2となる。実施例8と同様に規制部1101hがドラム62の軸線PP1から離れるように制御部材1101が移動した位置を、実施例8,9と同様に非作用位置(退避位置)と呼ぶ。
制御部材1101が作用位置から非作用位置に移動することによって、制御部材1101の先端近傍の表面部分、すなわち規制部1101hは、ドラム62の軸線PP1から遠ざかるように構成されている。
制御部材1101は図101(b)に示す第一被ガイド部1101k、第二被ガイド部1101mの任意の箇所(図中点線箇所の領域)に外力を受けた場合でも、軸線AA1周りにスムーズに回転できる。これは、軸線AA1を中心とした第一被ガイド部1101kの任意の位置での圧力角θ11、第二被ガイド部1101mの任意の位置での圧力角θ12はそれぞれ
θ11<60°、θ12<60°
となるように形成されているためである。
第一被ガイド部1101kは、被ガイドリブ1101eの一部であり、第二被ガイド部1101mは、規制部1101hを含む部分である。これらは制御部材に設けられたガイド部(制御部材側ガイド部)である。
なお、圧力角とはカムの設計パラメータの一つである。制御部材1101の圧力角θ12を例に説明する。カム(制御部材1101)がある点1101m2において外力FF14を受けることで動作すると仮定する。このとき、その点1101m2が動く軌跡SS1(本実施例では軸線AA1を中心とした回転軌跡である)の接線と、外力FF14の方向(すなわちその点が存在する面の法線方向)とのなす角と定義される。一般的に、圧力角が小さいほどカムはスムーズに動作することができる。本実施例では、第一被ガイド部1101k、および規制部1101hを含む第二被ガイド部1101mの任意の箇所で圧力角が60度以下となるようにした。
図103(b)に示すように、制御部材1101は、軸部1101aおよび軸部1101bを有する固定端部(第一端部)1101Uと、規制部1101hを有する先端部(自由端部、第二端部)1101Sと、先端部と固定端部を繋ぐ中間部Tを有する。
被ガイドリブ1101eは、制御部材1101の中間部に配置されている。中間部1101Uは上記した退避部1101fを有しており、中間部1101Uは、退避部1101fにおいてその幅が狭くなっている。つまり退避部1101fは周囲よりも幅の小さな小幅部である。図103(b)において、退避部1101fの幅はLA1であり、退避部1101fから離れると制御部材1101の幅がLA1より大きくなる。固定端部1101Uの最大幅や、先端部1101Sの最大幅は、中間部1101Uの最少幅LA1よりも大きい。
なお、実施例9と同様、本実施例においてもカップリング部材1064はドラム62に対して一体的に固定されている。また、図99に示すように現像ローラギア36の歯面36aはカップリング部材1064に対し長手方向外側に位置しており、歯面36aはカートリッジBの外面に露出している。
なお、本実施例において駆動伝達部材1081の構成は実施例9と同様であるため(図90乃至図92参照)、本実施例では説明を省略する。
(CRG挿入時の動作)
次に、図104乃至図107を用いてカートリッジBが装置本体Aに装着される工程、およびその際の制御部材1101の動作について説明する。図104乃至図107は開閉ドア13を開き、カートリッジBが装置本体Aに装着される過程を示した図である。
図104(a)はカートリッジBが装置本体Aに装着される過程において、カートリッジBが最終装着位置に装着される前の所定のタイミングにおける側面図である。図104(b)は、駆動伝達部材およびカートリッジを図104(a)に示す矢印HH1方向から見た図である。図104(a)および図104(b)に示すように、カートリッジBが装置本体Aに対して矢印CC1方向に装着される際、制御部材1101の第一被ガイド部1101kは、装置本体Aに設けられた第一ガイド部1182に点1101k1において当接した状態をとっている。そのため制御部材1101はドラム軸受1173に対して正規姿勢から、軸線AA1を中心に矢印NN1方向に回転した姿勢をとっている。なお、図104において第一ガイド部1182は第一被ガイド部1101kの接触点1101kのみに接触しているが、これは特定の1点に限定されるものではない。装着の過程において、接触点1101k1は図101(b)で図示される点線で示した第一被ガイド部1101kの範囲内を移動する。
ここからさらに矢印CC1方向にカートリッジBを挿入すると、図105に示すように制御部材1101の第二被ガイド部1101m内の点1101m1が、装置本体Aの、駆動伝達部材1081の上部近傍に設けられた第二ガイド部1183に当接した状態となる。
そのため、図104の時と同様、制御部材1101は正規姿勢から矢印NN1方向に回転した姿勢を取っている。点1101k1と同様、接触点1101m1も特定の1点を限定するものではなく、装着の過程において図101(b)に図示される点線で示した第二被ガイド部1101m内を移動する。なお、この時第一被ガイド部1101kは第一ガイド1182から離間している。
さらにカートリッジBを矢印CC1方向に挿入し、印刷時の位置である装着最終位置にカートリッジBを装着する。この時、図106に示すように、制御部材1101の規制部1101hが駆動伝達部材1081のギア部1081bに接触した状態となる。ここで、前実施例にて図94を用いて説明したように、駆動伝達部材1081は矢印VV方向に傾斜した状態を維持している。制御部材1101は駆動伝達部材1081のギア部1081bより反力FF4、および反力FF4による矢印NN1周りのモーメントMM4を受ける。
このとき、制御部材1101が付勢バネ1102より受ける付勢力FF11(図101(a)参照)による矢印BB1周りのモーメントMM11と、反力FF4によるモーメントMM4はMM11<MM4となっている。そのため、制御部材1101は正規姿勢から付勢バネ1102の付勢力FF11に抗し、軸線AA1を中心に矢印NN1方向に回転した姿勢となっている。その結果、駆動伝達部材1081のギア部1081aは現像ローラギア36の歯面36aは隙間LL1をもって離間している。
ここで開閉扉13を閉じると、前実施例において図95を用いて説明した構成により、反力FF4が減少する。その結果、制御部材1101が受ける付勢力FF11による矢印BB1周りのモーメントMM11と、反力FF4によるモーメントMM4はMM11>MM4となる。その結果、制御部材1101は図107に示すように軸線AA1周りに矢印BB1方向に回転する。そして制御部材1101の被当接部1101gがドラム軸受1173の制御部材当接部1173dに当接し、制御部材1101はドラム軸受1173に対し正規姿勢となる。つまり制御部材1101は作用位置に位置した状態になる。これと同時に、駆動伝達部材1081は制御部材1101の規制部1101hから受ける当接力FF3により図95に示す矢印WW方向に回転するため、駆動伝達部材1081の傾斜角度が小さくなる。これに伴って駆動伝達部材1081のギア部(出力ギア部)1081aと現像ローラギア(ギア部材)36の歯面36aは領域SS1において噛み合う。あるいはこれらが噛み合い可能な状態となる。このように制御部材1101の作用位置とは、駆動伝達部材1081がカートリッジに連結できるように制御部材1101によって駆動伝達部材1081の傾斜角度を小さくさせるための位置である。
駆動伝達部材1081のギア部1081aと現像ローラギア36が噛み合い可能な状態で、駆動伝達部材1081に駆動がかると、前実施例と同様に駆動伝達部材1081は矢印KK(図96(a)参照)方向に力が加わる。これは、ハスバギア(ギア部81aとギア36)の噛み合いによって生じる力である。この力によって、駆動伝達部材1081矢印KK方向に移動し、駆動伝達部材1081aとカップリング部材1064の被駆動伝達部(駆動力受け部)1064aが係合する。
この時、制御部材1101はドラム軸受1173に対し正規姿勢を取っている。その結果、図108に示すように、この状態において制御部材1101の規制部1101hは駆動伝達部材1081のギア部1081bとは接触せず、隙間UU1を有している。これは駆動伝達部材1081の駆動(回転)に、規制部1101hが影響を及ぼさない点で好ましい。
このような構成をとれるのは、上記したように、制御部材1101が作用位置に位置する際(正規姿勢をとる際)に、制御部材1101の被当接部1101g(図100(b)参照)が停止部1173d(図100(a))に当接するからである。つまり停止部1173dは、被当接部1101gに当接することによって制御部材1101の移動を止め、規制部1101hが駆動伝達部材1081に接触しないようにしている。
しかしながら、必ずしもこのような構成をとる必要はない。もし停止部1173dがなかったり、停止部1173dの位置が異なったりすれば、制御部材1101は作用位置において移動が停止されない構成も考えられる。つまり、図108で示す位置よりもさらに、規制部1101hが感光体ドラムの軸線に近づくことも可能になる。このような構成では、規制部1101hが駆動伝達部材1081に接触した状態で、駆動伝達部材1081が駆動を行う。
つまり、本実施例では、制御部材1101の規制部1101hは最も感光体ドラムの軸線に近づいた際に、感光体ドラム62の周面62aに近接する(図102(a)参照)。しかしながら、これ以上に規制部1101hがドラム62の軸線に近づき得る構成をとることも可能である。
いずれにせよ、少なくとも規制部1101hが感光体ドラム62の周面に近接するまで制御部材1101が移動できれば、制御部材1101は、規制部1101hによって傾斜した駆動伝達部材1081を付勢できる(図107参照)。これによって駆動伝達部材1081のギア部1081aをカートリッジ側のギア36と噛み合わせることができる。本実施例では、最も規制部1101hが感光体ドラム62の軸線に近づいた際に、規制部1101hから感光体ドラムの軸線までの距離DC1をドラム62の半径DA1に対し、「DC1<DA1×1.25」を満たす。特に、本実施例では「DC1<DA1×1.2」を満たすようにした。
なお規制部1101hから感光体ドラム62の軸線までの距離とは、両者の最短距離である。つまり感光体ドラムの軸線と直交する方向に沿って、規制部1101hから感光体ドラム62の軸線までを測った距離である。
なお制御部材1101が作用位置に位置する際に感光体ドラムの軸線に沿って見ると、規制部1101hは、制御部材1101の中で最もドラム62の外周面に近接する部分となっている。
規制部1101hは、駆動伝達部材1081に作用する作用部である。より詳細にいうと規制部1101hは、駆動伝達部材1081を付勢する付勢部である。制御部材1101が作用位置に位置する際には、規制部1101hは感光体ドラム62の軸線がある側に面している(図103参照)。
なお、装置本体Aにおける駆動伝達部材1081の支持方法によっては、開閉扉13を閉じた直後は図109に示すように駆動伝達部材108が装着方向である矢印CC1の下流側に傾いている可能性がある。その場合、駆動伝達部材1081は現像ローラギア36と噛み合わず、制御部材1101の規制部1101hとサイドカバー1126に設けられた当接部1126aに挟まれた状態となることが推測される。
当接部1126aは、制御部材1101が作用位置に位置する際に、規制部1101hと対向する対向部(対構面)である。
ここで図108に示すように、当接部1126aの接線と制御部材1101の規制部1101hの接線との交点QQ1がドラム62の軸線PP1と現像ローラギア32の軸線RR1とを結んだ直線GG1に対して帯電ローラ66と反対側になるよう設定する。すなわち、当接部1126a接線と、規制部1101hの接線のそれぞれを帯電部材(帯電ローラ66)から遠ざけるように延ばすことで、これら2つの接線が交わる。
さらに当接部1126aと規制部1101hの互いの接線のなす角θ13が「θ13>25°」となるよう設定する。つまりθ13が25度よりも大きい。
この時、図109に示すように制御部材1101は付勢バネ1102によって矢印BB1方向に付勢されているため、駆動伝達部材1081は制御部材1101から当接力FF12を受ける。同時に、サイドカバー1126の当接部1126aより当接力FF13を受ける。この2つの当接力により、駆動伝達部材1081は矢印DD1方向に引き込まれ、ギア部1081bが現像ローラギア36の歯面36aと噛み合い、図107の状態となる。つまり制御部材1101と当接部1126aによって駆動伝達部材1081を挟み込むことによって、駆動伝達部材1081の傾斜角度を小さくさせて、駆動伝達部材1081を現像ローラギアや、カップリング部材1064に近づけている。当接部1126aは、駆動伝達部材1081を、自身と制御部材1101との間に挟み込むための挟み込み部である。
このように、駆動伝達部材1081の傾斜を小さくさせるための機構として、移動可能な制御部材1101だけでなく、固定された当接部1126aをさらにカートリッジに設けてもよい。
(CRG取り出し)
次に、装置本体AからカートリッジBを取り出す工程について説明する。前実施例と同様、この工程はカートリッジBを装置本体Aに装着する工程と逆の工程をたどる。画像形成を終えた状態では、駆動伝達部材1081は図96(a)、および図109の状態となっている。ここで開閉扉13を開くと、前実施例と同様の構成により駆動伝達部材1081は矢印VV方向(図94(a)参照)に傾斜し、図94(a)および図106の状態となる。つまり駆動伝達部材1081は傾斜する。これによって、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36aは隙間LL1をもって離間する。ギア部1081bと現像ローラギア36の噛み合いが解消されるので、カートリッジを画像形成装置本体から軽い負荷で取り外すことが可能な状態である。
ここからカートリッジBを矢印CC1と逆の方向である矢印EE1方向へ取り出すと、図105、次いで図104の状態を経由し、ギア部1081bと歯面36aが接触しない状態を維持しつつカートリッジBを装置本体Aから完全に取り出すことができる。
なお、図106では、制御部材1101は駆動伝達部材1081の傾斜を許容するように作用位置から非作用位置に向かって退避している。すなわち制御部材1101の規制部1101hを感光体ドラム62の軸線から遠ざけるように制御部材1101が移動している。本実施例では制御部材1101が非作用位置に移動した際の規制部1101hからドラム62の軸線までの距離DC2(図102(b)参照)が「DC2>1.25×DA1」を満たすようにしている。制御部材1101が非作用位置に移動することで、DC2は、ドラム62の半径の1.25倍よりも大きくなる。これは駆動伝達部材1081の傾斜を許容させるためである。
ただし、本実施例の制御部材1101は、この条件よりもさらに規制部1101hの可動範囲が大きくなる構成を採用した。つまり制御部材1101は、非作用位置(退避位置)に位置する際に、さらに規制部1101hを感光体ドラムの軸線から遠ざけることが可能である。なぜならば、図104(a)、図105(b)にて示したように、カートリッジの装着時や取り外し時に、制御部材1101を本体側ガイド(第一ガイド部1182、第二ガイド部1183)によってガイドさせて、制御部材1101を大きく移動させる構成を採用したからである。制御部材1101の先端近傍の表面部分(規制部1101h)を感光体ドラムの軸線から大きく遠ざけることで、カートリッジの装着時および取り外し時に、制御部材1101が駆動伝達部材1081の上方を通過できるようにしている。
このように制御部材1101のガイド部(第一被ガイド部1101k、第二被ガイド部1101m)が本体側ガイド(1182、1183)によって円滑にガイドされるために、本実施例ではさらに次の条件を満たすよう構成した。制御部材1101の規制部1101hからドラム62の軸線までの距離DC2がドラム62の半径DA1に対して、「DC2>1.5×DA1」を満たすように、制御部材1101が移動できるようにした。制御部材1101は、DC2がドラム62の半径の1.5倍よりも大きくなるような非作用位置(退避位置)に移動できる。特に本実施例では、「DC2>2×DA1」を満たすようにした。
なお、本実施例においては駆動伝達部材1081は、現像ローラ32に設けられた現像ローラギア36と噛み合うことで図94に示す矢印KK方向に移動した。しかしながら、上記したように、駆動伝達部材1081と噛み合うためのカートリッジ側のギア部材が、必ずしも現像ローラ32(図91参照)に設けられている必要はない。
また、本実施においては制御部材1101が軸線AA1を中心に回動する構成について説明したが、必ずしもこの構成を取る必要はない。例えば図110に示すように、ドラム軸受1173に支持された付勢バネ1102によって矢印BB2方向に付勢された制御部材1101が、ガイドレール1173eに沿って矢印AA2方向にスライドする構成を取っても良い。この構成では図110(a)に示す正規姿勢における規制部1101hとドラム62の軸線PP1との距離DC1と、図110(b)に示す制御部材1101が矢印AA2方向にスライドした姿勢における規制部1101hと軸線PP1との距離DC3がDC1<DC3
となっている。そのため、先述の制御部材1101が軸線AA1周りに回転可能な構成と同様の効果を得ることが可能である。
<実施例11>
前述の実施例では、図102に示すように制御部材1101に設けられた規制部1101hとドラム62の軸線PP1との距離DC1が変化する構成について説明した。本実施例では、図111に示すように制御部材1201がドラム62の軸線PP2を中心に回転可能な構成について説明する。本実施例の構成により、制御部材1201の規制部1201aと軸線PP2との距離DC4が変化しなくても、前述の実施例と同様の効果を得ることが可能である。
図112(a)は本実施例に係るカートリッジの分解斜視図である。図112(b)は本実施例に係るカートリッジの斜視図である。
図112(a)に示すように、制御部材1201はC字形状(円弧形状)であり、感光体の軸線方向において、カップリング部材と制御部材1201はカートリッジの同じ側(駆動側)の側面に配置されている。制御部材1201はカートリッジの側面からせり出すように配置されたせり出し部である。
制御部材1201には第一ボス1201aおよび第二ボス1201bが設けられている。
一方、ドラム軸受1273には、ドラム62の軸線PP2を中心とした円弧状のスリット1273aが設けられている。制御部材1201の第一ボス1201bおよび第二ボス1201cはこのスリット1273aに差し込まれている。そのため、図112(b)に示すように、制御部材1201はドラム軸受1273に対し、軸線PP2を中心に回転可能に支持されている。
一方、クリーニング枠体1271にはガイドリブ1271a、および一対のスライドリブ対1271gが設けられている。カム面1212dを有するレバー部材1212は、被ガイド部1212bをガイドリブ1271aに支持され、端部1212cをスライドリブ対1271gの間に配置されている。そのため、レバー部材1212はクリーニング枠体1271に対し、矢印DD2方向および矢印EE2方向にスライドすることができる。
図113は説明のため、ドラム軸受1273を非表示にした側面図である。図113(a)は制御部材(可動部材)1201が非作用位置(退避位置)に位置する状態を示し、図113(b)は制御部材1201が作用位置に位置する状態を示している。
図113(a)に示すように、制御部材1201の第二ボス1201cには引っ張りバネである付勢バネ1202の一端1202aが取り付けられ、制御部材1201は付勢バネ1202より付勢力FF21を受けている。そのため、制御部材1201は付勢力FF21により、軸線PP2を中心に矢印NN2方向のモーメントMM21を受けている。その結果、第一ボス1201bがレバー部材1212のカム面1212dの当接点1212d1で当接する。当接点1212d1においてレバー部材1212は第一ボス1201bより当接力FF22を受けるため、レバー部材1212は矢印DD2と逆の方向である矢印EE2方向にスライドし、突き当て部1212eがクリーニング枠体1271の被突き当て部1271cに突き当たって位置が決まる。なお、付勢バネ1202の他端1202bはクリーニング枠体1271のバネかけ部1271bに取り付けられている。
制御部材1201の感光体ドラムの軸線側に面する面が、本実施例における規制部(作用部、付勢部)1201aとなっている。本実施例における規制部1201aも、実施例10の規制部1101h(図106参照)と同様に、駆動伝達部材1081の傾斜角度を規制する部分である。
なお、制御部材1201の規制部1201aの端部1201a1は、ドラム62の軸線PP2と現像ローラギアの軸線RR2を結んだ直線GG2に対し、軸線PP2を中心に矢印NN2方向に角度θ21に位置している。矢印NNとは、画像形成時における感光体ドラムの回転方向(図3の矢印R参照)と同じ向きである。本実施例において角度θ21は「θ21>20°」を満たすようにした。別の言い方をすると、直線GG2から制規制部1201aの端部1201a1までを、ドラム62の軸線PP2を中心に角度を測ると、その角度は160度よりも小さくなる。
つまり、直線GG2からドラム62の回転方向の上流側(矢印NN2の反対方向)に向かって160度よりも小さい範囲内に、制御部材1201の端部1201aが位置する。
なお現像ローラギアの軸線RR2は、現像ローラ32の軸線でもある(図91参照)。
ここで、外力によりレバー部材(操作部材)1212の被押圧部1212aが矢印DD2方向に押圧されると、図113(b)に示すようにレバー部材1212は矢印DD2方向にスライドする。制御部材1201の第一ボス1201aはレバー部材1212のカム面1212dに当接しているため、レバー部材1212がスライドするのに連動して第一ボス1201bとの当接点1212d1はカム面1212dに沿って移動する。その結果、制御部材1201は軸線PP2を中心に矢印BB3方向に回動する。なお、規制面1201aの端部1201a1は直線GG2に対し、矢印BB3方向に角度θ22に位置している。矢印BB3方向とは画像形成時における感光体ドラムの回転方向R(図3参照)とは反対方向である。角度θ22はθ22>10°となっていることが望ましい。
つまり直線GG2からドラム62の回転方向の上流側に向かって190度を超える位置まで、制御部材1201の端部1201aは移動する。
このとき、制御部材1201の規制部1201aは軸線PP2を中心とした円弧状の軌跡を描くため、レバー部材1212を動作させても規制部1201aと軸線PP2との距離DC4は変化しない。あるいは距離が変化したとしてもその変化は小さい。
DC4の大きさは感光体ドラムの半径に対してやや大きいが、感光体ドラムの軸線に沿って見た際には制御部材1201の内面は、感光体ドラム1の周面の近傍に位置する。つまり感光体ドラムの軸線に沿って見た際には、制御部材1201は、感光体ドラム1の外周面の近傍を、感光体ドラム1の外周面に沿って移動する。 制御部材1201が非作用位置(図113(a))から作用位置(図113(b))へ移動する際に、制御部材1201は、直線GG2を横切るように構成されている。
制御部材1201が作用位置に位置する状態(図113(b))から、レバー部材1212の被押圧部1212aに加えられた外力を解除する。すると、先述したように制御部材1201とレバー部材1212は付勢バネ1202の付勢力FF21により、図113(a)の状態(すなわち非作用位置)へと戻る。
図114は開閉扉13が開いた状態の装置本体AにカートリッジBを装着中の所定のタイミングにおける側面図である。ここからカートリッジBを矢印CC2方向に装置本体A内の最終装着位置まで挿入すると、図115の状態に至る。このとき、前実施例によって説明したように駆動伝達部材1081は図94における矢印VV方向に傾斜しているため、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36とは隙間LL2をもって離間している。
この状態から開閉扉13を閉めると、図11および図12に示す構成と同様、開閉扉13に設けられたカートリッジ押圧部材1がレバー部材1212の被押圧部1212aを矢印DD2方向に押圧する。その結果、制御部材1201は軸線PP2を中心に矢印BB3方向に回動する。つまり制御部材1201は非作用位置から作用位置に移動する。先述したように、制御部材1201が作用位置まで回動しても、規制部1201aと軸線PP2中心との距離DC4は変化しない。しかし、規制部1201aの軌跡1201a1上に駆動伝達部材1081が存在しているため図116に示すように、駆動伝達部材1081のギア部1081bは制御部材1201の規制部1201aから当接力FF23を受ける。この当接力FF23により、駆動伝達部材1081は図94の矢印WW方向に傾斜する。そして、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36aは領域SS2において噛み合う。
本実施例では、制御部材1201が駆動伝達部材を確実に付勢できるように、次の条件を満たすようにした。制御部材1201が作用位置に位置する際(図116参照)に、制御部材1201の表面(規制部1201a)からドラム62の軸線までの距離DC4を「DC4<1.3×DA1」とした。特に本実施例では「DC4<1.2×DA1」とした。
なおDA1は感光体ドラム62の半径である(図113(a)参照)。つまり、DC4はドラムの半径の1.3倍よりも短く、より好ましくは1.2倍よりも短い。
ここで駆動伝達部材1081に駆動がかると、前実施例と同様に駆動伝達部材1081は矢印KK(図96(a)参照)方向に移動し、駆動伝達部材1081aとカップリング部材1064の被駆動伝達部1064aが係合する。そして、図117に示すように、この状態において制御部材1201の規制部1201aは駆動伝達部材1081のギア部1081bとは接触せず、隙間UU2を有している。これにより制御部材1201が駆動伝達部材1081の回転を妨げることを回避できる。
本実施例では、制御部材1201が非作用位置に位置する際に(図106参照)、制御部材1201が駆動伝達部材の回転を妨げないように、次の条件を満たすようにした。制御部材1201の表面(規制部1201a)からドラム62の軸線までの距離DC4が「DC4>1.06×DA1」を満たす。なおDA1は感光体ドラム62の半径である(図113(a)参照)。つまり、DC4が、ドラムの半径の1.06倍よりも大きい。
特に本実施例では「DA4>1.09×DA1」を満たすようにした。つまりDA4が、ドラムの半径の1.09倍よりも大きい。
次に、装置本体AからカートリッジBを取り出す工程について説明する。前実施例と同様、この工程はカートリッジBを装置本体Aに装着する工程と逆の工程をたどる。画像形成を終えた状態では、駆動伝達部材1081は図96(a)、および図117の状態となっている。ここで開閉扉13を開くと、カートリッジ押圧部材1による押圧が解除されるため、先述したように制御部材1201は軸線PP2を中心に矢印NN2方向に回転し非作用位置に移動する。さらに、前実施例と同様の構成により駆動伝達部材1081は矢印VV方向(図94(a)参照)に傾斜し、図115の状態となる。そして、駆動伝達部材1081のギア部1081bと現像ローラギア36の歯面36aは隙間LL2をもって離間する。ギア同士の噛み合いが解除されるので、カートリッジを取出ししやすい状態となる。
ここからカートリッジBを矢印CC2と逆の方向である矢印CC3方向へ取り出すと、図114の状態を経由し、ギア部1081bと歯面36aが接触しない状態を維持しつつカートリッジBを装置本体Aから完全に取り出すことができる。
なお、実施例10においては図104に示すように制御部材1101の回動動作を装置本体Aに設けられた第一ガイド部1182および第二ガイド部1183で行ったが、必ずしもその必要はない。例えば、図118に示すように、実施例10における制御部材1101を本実施例と同様の構成によりレバー部材1212に接続する。そして、レバー部材1212が矢印DD2および矢印DD2方向にスライドするのに連動して制御部材1101が軸線AA1を中心に矢印BB1方向に回動するよう構成する。さらに、開閉扉13に設けたカートリッジ押圧部材1によってレバー部材1212の被押圧部1212aを押圧するような構成を取ることでも、本実施例および実施例10と同様の効果を得ることができる。
<実施例12(実施例3の変形例)>
次に実施例12として、実施例3の変形例について説明する。
本変形例では、実施例3と異なる点について主に説明する。実施例3と同様の点については説明を省略する。また、実施例12で開示する要素のうち、実施例3で説明した部材と対応しているものについては同様の名称を記す。
図119は本実施例のプロセスカートリッジの斜視図である。
プロセスカートリッジは、実施例3と同様の構成からなるオルダムカップリング549を備える。オルダムカップリング549は、駆動入力部材564を有する。
プロセスカートリッジはカップリング支持部材1300とカップリング付勢部材1301を有する。
駆動入力部材564はカップリング支持部材1300に回転可能に支持される。
実施例12が実施例3と異なる点は、カップリング付勢部材1301によって、カップリング支持部材1300が付勢される方向である。
実施例3においては、図34(b)に示すように、カップリング支持部材552はカップリング付勢部材553によって矢印x5方向に向けて付勢される。
それに対して、実施例12のカップリング支持部材1300は、カップリング付勢部材1301により、図119に示す矢印x5b方向に向けて付勢される。
カップリング付勢部材1301はドラム軸受1302によって支持される。ドラム軸受1302が有するボス部1302cがカップリング付勢部材1301を保持する。カップリング付勢部材1301の腕の一端部がドラム軸受1302が有するボス部1302dと当接する。カップリング付勢部材1301の腕の他端部がカップリング支持部材1300が有する被当接部1300dと当接する。それによりカップリング付勢部材1301がカップリング支持部材1300を矢印x5b方向に付勢する。
カップリング支持部材1300がドラム軸受1302に対して傾斜可能とする為に、ドラム軸受1302は切欠き部1302aを有する。切欠き部1302aとカップリング支持部材1300が有する被係止部1300bの隙間関係は、実施例3と同じである。
実施例3と同様に、駆動入力部材564とカップリング支持部材1300は、ドラム軸受1302に対して、傾斜する事が可能である。
駆動入力部材564がドラム62に対して傾斜した時も、実施例3と同様のオルダムカップリング機構(図31、図35参照)により、駆動入力部材564がドラム62に駆動を伝達することが可能に構成されている。
更に、カップリング支持部材1300の付勢方向について、説明を行う。
図120は本実施例のプロセスカートリッジの側面図である。
ドラム62(点線)の回転軸中心c1から、現像ローラ32(点線)の回転中心c2に向けた方向をx6(実施例3と同様、図34(b))とする。駆動入力部材564がカップリング付勢部材1301によって付勢された時、ドラム62の回転中心c1から駆動入力部材564の先端部の中心c3に向けた方向をx5bとする。
本実施例において、x6とx5bの成す角度x7bを180度と設定した。x7bは厳密に180度でなくても良く、150~210度の範囲(±30度の範囲)となるようにしても良い。つまり駆動入力部材564の中心をドラム62の中心に対して変位させる方向X5bを、X6に対してドラム62の回転方向の上流側に向かって150度よりも大きく、210度よりも小さい範囲にしている。いずれにせよ、カップリング部材の入力部材564を、現像ローラ32から遠ざける方向に変位させている。
更に図121に示すように、本実施例におけるプロセスカートリッジは、駆動入力部材564(図120)をドラム軸線方向に進退移動させる為のレバー部材212を備える。レバー部材212はプロセスカートリッジの非駆動側に設けられる。レバー部材212によって駆動入力部材564を移動させる為の構成は、実施例2(図21参照)と同じである。
以上のような構成とする事で、実施例9に示したような本体の駆動伝達部材1081(図92~図96)に対して、駆動の伝達及び連結と解除を安定して行う事が可能となる。
<実施例13(実施例12の変形例)>
次に実施例13として、実施例12の変形例について説明する。本変形例では、実施例12と異なる点について主に説明する。実施例12と同様の点については説明を省略する。
また、実施例13で開示する要素のうち、実施例12で説明した部材と対応しているものについては同様の名称を記す。
図122、図123は、本実施例におけるカップリング機構の分解斜視図を示す。
図122は駆動側から見た図である。図123は非駆動側から見た図である。
駆動入力部材1312から感光ドラム62に駆動を伝達する構造が、実施例12と異なる。
図122を参照して説明する。
本実施例のカップリング部材も、入力部材(入力部)1312、中間体(中間部)1310、出力部材(出力部)1311を有する。入力部材1312に入力された駆動力が、出力部材1311から感光体ドラムに向かって出力される。
カップリング支持部材552は駆動入力部材(入力部材、入力部)1312を回転可能に支持する。ドラム軸受1302は駆動側フランジ部材575とカップリング付勢部材553を支持する。入力部材1312は一端部に被駆動伝達部1312aを有し、他端部に中間体1310との接続部を有する。
中間体(中間部材、中間部)1310は球1310a、球1310e、ピン1310b、ピン1310dを有する。出力部材1311は凹部1311c、凹部1311dを有する。
中間体1310が有する球1310eは、出力部材1311が有する凹部1311cに収容される。中間体1310が有するピン1310dは、出力部材(出力部)1311が有する凹部1311dに収容され、駆動伝達可能に連結される。
駆動側フランジ部材575の内部には、中間体1310と第1押圧部材559と出力部材1311とクッション部材255が収容される。駆動側フランジ部材575とフタ部材558が結合される。駆動側フランジ部材575と出力部材1311は、駆動伝達可能に連結される。第1押圧部材559は駆動側フランジ部材575と出力部材1311の間に設けられる。クッション部材255は出力部材1311と連結部材261の間に設けられる。連結部材261はドラム62に収容される。駆動側フランジ部材575はドラム62と駆動伝達可能に連結される。
図123を参照して更に説明をする。入力部材1312が有する凹部1312bに、中間体1310が有する球1310aが収容される。駆動入力部材1312が有する凹部1312cに、中間体1310が有するピン1310bが収容され、駆動伝達可能に連結される。
また、駆動側フランジ部材575が有する凹部575aに出力部材1311が有する円筒部1311aが収容される。駆動側フランジ部材575が有する凹部575bに、出力部材1311が有するピン1311bが収容され、駆動伝達可能に連結される。
次に、駆動側フランジユニットが組み立てられた状態を説明する。
図124は、駆動側フランジユニット1313の断面図である。
ドラムの回転軸線がL1、入力部材1312の回転軸線をLc、中間体1310の回転軸線をLdとする。
入力部材1312は、中間体1310に対して傾動可能に係合している。また中間体1310は出力部材1311に傾動可能に係合している。このような構成によって、感光体ドラム62が画像形成装置本体から回転駆動を受けている時には、各軸線L1とLcとLdは全てお互いに傾斜している。カップリング部材の出力部材1311は、感光体ドラムと略同軸状に配置されている。一方、中間体の軸線Ldは、カップリング部材の先端側(図の右側)に向かうにつれて、感光体ドラムや出力部材の軸線L1から遠ざかるように傾いている。つまり、軸線Ldは右上に向かうように傾いている。
入力部材1312の軸線Lcは、感光体ドラム62や出力部材1311の回転軸線L1に対してずれている。また、入力部材1312の軸線Lcは、カップリング部材の先端側(図の右側)に向かうにつれて、感光体ドラムの軸線L1に近づくように傾斜している。つまり、軸線Lcは、図の右下に向かうように傾いている。中間体1310の非駆動側である一端部は、出力部材1311に回転及び傾斜可能に支持される。中間体の1310の駆動側である他端部は、入力部材1312の端部に回転及び傾斜可能に結合される。
実施例12で説明したレバー212(図121)により、連結部材261は軸線L1方向に沿って、進退移動可能となっている。クッション部材(緩衝部材、ダンパー)255は圧縮コイルバネを一例とし、連結部材261と出力部材1311の間に圧縮された状態で備えられる。第1押圧部材559は圧縮コイルバネを一例とし、出力部材1311と駆動側フランジ部材575の間に圧縮された状態で備えられる。
連結部材261が感光体ドラムの軸線L1に沿って移動すると、出力部材1311も軸線L1に沿って移動する。これによって、カップリング部材(出力部材1311、中間体1310、入力部材1312)は、実施例3(図35(a)、(b)、(c)参照)と同じく退避位置と進出位置の間を進退移動可能である。
入力部材1312は、本体が有する駆動伝達部1081(図92も参照)から駆動力を受けて回転するように構成される。入力部材1312の回転軸線Lcは、駆動伝達部1081の回転軸EEとおおよそ平行となるように傾斜する事が可能となっている。よって、本体からドラム62に駆動を伝達している時には、ドラム62の回転負荷により入力部材1312と駆動伝達部1081が密着して、入力部材1312の回転軸線Lcと駆動伝達部1081の回転軸線EEはほぼ平行となる。
このような構成にする事で、駆動伝達部1081からドラム62への駆動伝達において、ドラム62の回転むらが生じる要因を少なくする事が出来る。
また、カップリング支持部材552をドラム軸受1302に対して移動可能とした。この事で、入力部材1312の被駆動伝達部1312aが駆動伝達部材1081の駆動伝達部1081a(図90も参照)に挿入される際に、入力部材1312が駆動伝達部材1081の位置に合わせて移動できるので、おたがいの係合をスムーズに行う事が出来る。
一方、別構成として、カップリング支持部材552をドラム軸受1302に移動不可能な状態に固定する事も可能である。その際は、カップリング付勢部材553は不要である。
画像形成装置本体の駆動伝達部材1081は、入力部材1312と係合する際に、入力部材1312の位置に合わせて移動する。それにより、入力部材1312と駆動伝達部材1081の傾斜量が固定されて、ドラム62の回転むらが軽減される。
前述した実施例3においても、カップリング支持部材552をドラム軸受573に固定する事が可能である。カップリング支持部材552をドラム軸受1302に対して移動可能にするか、固定するかは、必要に応じて適宜選択可能である。
以上説明したように、本願では、実施例1~13およびその変形例について説明した。これら各実施例やその変形例における構成は、それぞれ組み合わせて利用することができる。たとえば、上記した各実施例や各変形例で紹介したカートリッジは、傾斜した駆動伝達部材(図15等参照)にカートリッジのカップリング部材(駆動入力部材)を連結させることを目的とした特有の構成(特徴)をそれぞれ有していた。カートリッジが、異なる実施例で紹介したこれらの構成(特徴)を複数合わせ持っていてもよい。