JP5011757B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、システムの簡易化と、車両起因による片流れの安定した抑制との両立を図ることを課題としている。
操舵入力手段から操向輪に至る操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する車両用操舵装置であって、
操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出手段と、
前記操舵入力手段の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
直進走行状態を維持するための操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段と、
運転者の保舵状態を検出する保舵状態検出手段と、
運転者が前記操舵入力手段を所定値以上の力で保舵している場合には、直進走行状態を維持する操舵角での操舵トルクの履歴に基づいて、直進走行状態を維持する操舵角での操舵トルクをゼロまたはゼロに近づくように片流れ抑制操舵補助力を制御し、運転者が前記操舵入力手段を所定値未満の力で軽保舵している場合、または前記操舵入力手段から手を離している場合には、操舵トルクがゼロ近傍の所定値以下であったときの操舵角履歴の平均値が、直進走行状態を維持するための操舵角に近づく方向へ片流れ抑制操舵補助力を制御する2つのロジックを用いて前記片流れ抑制操舵補助力を制御する片流れ抑制制御手段と、を備えることを特徴とする。
(実施例1)
(構成)
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両用操舵装置の構成を示す図である。実施例1の車両用操舵装置は、運転者に操作されるハンドル(操舵入力手段)1と、ハンドル1の操作量に応じて前輪(操向輪)2,2を転舵する舵取り機構3とを備えている。
また、コントローラ11は、直進走行状態検出器12、車速センサ13からの情報に基づいて、車両が直進しているとき、トルクセンサ5で計測した操舵トルクをメモリに保存し、メモリの履歴の平均値を算出し、算出した値を片流れ抑制に必要なトルクとして操舵補助力の指令値に加える片流れ抑制制御を実施する。
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図2は、実施例1のコントローラ11で実行される片流れ抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、走行中(車速センサ13が速度≠0を検出したとき)、所定の制御周期で繰り返し実行される。
ステップS101では、コントローラ11は、車両挙動情報(例えばヨーレイトなど)を基に、直進走行状態検出器12で車両が直進状態であるか否かを判定する(直進走行状態検出手段に相当)。YESの場合には、ステップS102へ移行し、NOの場合には、ステップS101を繰り返す。
ステップS103では、コントローラ11は、メモリに記憶された操舵トルクの履歴の平均値を算出し、ステップS104へ移行する。ただし、ここで算出する履歴の平均値は、外乱などによる瞬間的な入力の影響が相対的に無視できるほど十分に長い時間の履歴データを用いる。
このように、直進状態での操舵トルクの平均値を片流れ抑制トルクとして操舵補助力をオフセットさせることで、図3に示すように、定常的な片流れが発生する車両において、操舵力補助制御と干渉することなく、片流れにより発生するトルクのみを抑制することが可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1)操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(トルクセンサ5)と、車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出手段(ステップS101)と、車両の直進走行状態における操舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向へ片流れ抑制操舵補助力を付与するコントローラ11と、を備える。よって、瞬間毎に動的な補正を行うのではなく、長期的な履歴を用いて車両の特性自体を定常的に操舵力補助制御することで、システムの簡易化と車両起因による片流れの安定した抑制とを両立できる。
(3)操舵トルク検出手段として、ステアリングコラム上で運転者の入力操舵トルクを計測するトルクセンサ5を用いるため、既存の一般的な操舵力補助制御機能を有する車両用操舵装置であれば、そのまま本発明によるシステムを適用することができる。
(構成)
実施例2は、車両の直進状態を操舵角履歴の平均値に基づいて判断する例である。
まず、構成を説明する。
図4は、実施例2の車両用操舵装置の構成を示す図である。なお、図1に示した実施例1と同一の構成部分には同一の符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
実施例2の車両用操舵装置は、モータ7に操舵角を検出するエンコーダ(操舵角検出手段)14が接続されている。コントローラ11は、トルクセンサ5とエンコーダ14と車速センサ13からの情報に基づいてモータ7を駆動制御し、操舵力補助制御および片流れ抑制制御を実施する。
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図5は、実施例2のコントローラ11で実行される片流れ抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図3に示した実施例1と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS201では、コントローラ11は、車両の直進状態を判定する所定操舵角を算出すると共に、エンコーダ14で計測した操舵角が、所定操舵角であるか否かを判定する。YESの場合には、前記ステップS102へ移行し、NOの場合には、ステップS201を繰り返す。
図6は、図5のステップS201で実行される所定操舵角算出制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この制御処理は、直進走行状態を維持するための所定操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段に相当する。
ステップS201−1では、コントローラ11は、エンコーダ14で計測した操舵角をメモリに記録し、ステップS201−2へ移行する。
ステップS201−2では、コントローラ11は、メモリに記憶された操舵角履歴の平均値を算出し、ステップS201−3へ移行する。
ステップS201−3では、コントローラ11は、ステップS201−2で算出した操舵角履歴の平均値を、所定操舵角として設定し、ステップS201−1へ移行する。
よって、実施例2の車両用操舵装置では、図7に示すように、ステアリング中立位置と中立トルクとが共にずれている場合においても、簡単に片流れの抑制を行うことができる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(7)ハンドルの操舵角を検出するエンコーダ14と、直進走行状態を維持するための操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段と、を備え、コントローラ11は、直進走行状態を維持する所定操舵角での操舵トルクをゼロまたはゼロに近づくように片流れ抑制操舵補助力を制御する。よって、操舵トルク履歴に合わせて操舵角も見ることで、ステアリング中立位置ずれを考慮した中立トルクずれの補正を行うことが可能となる。
(8)直進維持操舵角算出手段は、操舵角の履歴の平均値を、直進を維持するための所定操舵角とするため、操舵角以外の情報を用いることなく、直進を維持するための所定操舵角を設定できる。
(構成)
実施例3は、手放し時や軽保舵時に、車両が流れて行く方向を検出し、これを抑制する方向に操舵補助力を付与する例である。なお、構成については、図4に示した実施例2と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図8は、実施例3のコントローラ11で実行される片流れ抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図3に示した実施例1と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS302では、コントローラ11は、エンコーダ14で計測した操舵角をメモリに記録し、ステップS303へ移行する。
ステップS304では、コントローラ11は、ステップS303で算出した操舵角履歴の平均値から、車両が左右にどの程度流れているかを判断し、偏向を抑制する方向に所定の操舵補助力を加算し、ステップS301へ移行する。
つまり、車両を直進させるときの操舵角と、操舵トルクが作用しないときの操舵角とにずれがあったとき、これを打ち消す方向に操舵補助力にオフセットが与えられるが、ずれが生じている間は、オフセット値が徐々に増加していき、釣り合った時点で増加が停止し、定常状態となる。
次に、効果を説明する。
実施例3の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(9)コントローラ11は、操舵トルクがゼロ近傍の所定値以下であったときの操舵角履歴の平均値が、直進走行状態を維持するための所定操舵角に近づく方向へ片流れ抑制操舵補助力を制御する。よって、舵角の履歴を見ることで、手放し時や軽保舵時のような操舵トルクが入力されない場合においても、車両起因による片流れの安定した抑制を実現できる。
(構成)
実施例4は、運転者もしくは車両整備者のスイッチ操舵により、操舵補助力の中立点を設定する例である。
まず、構成を説明する。
図10は、実施例4の車両用操舵装置の構成を示す図である。なお、図1に示した実施例1と同一の構成部分には、同一の符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
実施例4の車両用操舵装置は、運転者または車両整備者が操作し、操舵補助力の中立点を設定するスイッチ15を備えている。コントローラ11は、トルクセンサ5とスイッチ15からの情報に基づいて、モータ7を制御し、操舵補助力を生成する。
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図11は、実施例4のコントローラ11で実行される片流れ抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS401では、コントローラ11は、車両が直進状態であるか否かを判定する。YESの場合には、ステップS402へ移行し、NOの場合には、ステップS401を繰り返す。なお、このステップS401を省略し、直進状態の判定は、運転者または車両整備者が行うこともできる。
ステップS403では、コントローラ11は、トルクセンサ5で計測した操舵トルクを、片流れ抑制トルクとして設定し、リターンへ移行する。
すなわち、実施例4では、走行中、横風などの突発的な外乱がなく、かつ車両が直進している場合にスイッチ15が押されると、このとき操舵系にかかっているトルクを片流れ抑制トルクに設定し、片流れ抑制操舵補助力を定常的にモータ7に出力させる。
次に、効果を説明する。
実施例4の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(10)運転者もしくは車両整備者が操作し、前記操舵補助力の中立点を設定するスイッチ15を備え、コントローラ11は、スイッチ15が操作されたときの操舵トルクを片流れ抑制操舵補助力とする。よって、直進走行状態の検出を運転者、もしくは車両整備者に委ねることで、制御システムとしては最も簡単な構成で、車両起因による片流れの安定した抑制ができる。さらに、このシステムは操舵補助力機能がある全ての車種に適用可能であり、生産ラインでの調整時間短縮や、車両販売後に発生した車両特性のずれもすぐ補正することが可能である。
(構成)
実施例5は、操舵角履歴の頻度分布のピーク値を、車両を直進させるための所定操舵角として設定する点で実施例2と異なる。なお、構成については、実施例2と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
[所定操舵角算出制御処理]
図13は、実施例5の所定操舵角算出制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図6に示した実施例2と同一処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。この制御処理は、直進走行状態を維持するための所定操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段に相当する。
ステップS502では、コントローラ11は、ステップS501で算出した頻度ピークとなる操舵角を、車両を直進させるための所定操舵角に設定し、ステップS201−1へ移行する。
これに対し、実施例5の車両用操舵装置では、図14のように操舵角履歴を頻度分布として処理し、その頻度ピークとなる舵角を、車両を直進させるために必要な所定舵角とすることで、左折と右折の頻度が異なる場合であっても、車両を直進させるための操舵角を正確に設定できる。
次に、効果を説明する。
実施例5の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(11)直進維持操舵角算出手段は、操舵角の履歴を頻度分布として処理し、その頻度ピーク時の操舵角を、直進を維持するための所定操舵角とするため、操舵角以外の情報を必要とせず、かつ運転者の癖や使用環境による影響を受けずに直進を維持するための所定操舵角を正確に設定できる。
(構成)
実施例6は、ヨーレイトと横加速度が共にゼロまたはゼロ近傍の所定値のときの操舵角を、車両を直進させるための所定操舵角とする例である。
まず、構成を説明する。
図15は、実施例6の車両用操舵装置の構成を示す図である。なお、図4に示した実施例2と同一の構成部分には、同一の符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
実施例6の車両用操舵装置は、車両のヨーレイトを計測するヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段)16と、車両の横加速度を計測する横加車速センサ(横加速度検出手段)17を備えている。
コントローラ11は、トルクセンサ5、エンコーダ14、ヨーレイトセンサ16、横加車速センサ17および車速センサ13からの情報に基づいて、モータ7を制御し、操舵補助力を生成する。
次に、作用を説明する。
[所定操舵角算出制御処理]
図16は、実施例6の所定操舵角算出制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS601では、コントローラ11は、ヨーレイトセンサ16と横加車速センサ17により、それぞれヨーレイトγと横加速度Gyを計測し、両者の値が共にゼロもしくはゼロ近傍の所定値以下であるか否かを判定する。YESの場合には、ステップS602へ移行し、NOの場合には、ステップS601を繰り返す。
すなわち、実施例6では、ヨーレイトγと横加速度Gyとから直進状態を判定し、このときの操舵角を、車両を直進させるために必要な所定操舵角とするため、より短時間で所定操舵角を設定できる。
次に、効果を説明する。
実施例6の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(12)車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ16と、車両の横加速度を検出する横加速度センサ17と、を備え、コントローラ11は、ヨーレイトγと横加速度Gyが共にゼロ近傍の所定値以下のときの操舵角を、直進を維持するための所定操舵角とする。よって、操舵角または操舵トルクの履歴を用いる実施例1〜実施例3、実施例5の方法と比較して、片流れ抑制操舵補助力の決定にかかる時間を短縮することができる。
(構成)
実施例7は、操舵角がゼロまたはゼロ近傍の所定値である時間が所定時間継続したときの操舵角を、車両を直進させるための所定操舵角とする例である。なお、構成については、図4に示した実施例2と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
[所定操舵角算出制御処理]
図17は、実施例7の所定操舵角算出制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。この制御処理は、直進走行状態を維持するための所定操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段に相当する。
ステップS702では、コントローラ11は、タイマーをカウントし、ステップS704へ移行する。
ステップS704では、コントローラ11は、操舵角θと操舵角速度θ´が共にゼロもしくはゼロ近傍の所定値以下である時間が所定時間経過したか否かを、タイマーのカウント値から判定する。YESの場合には、ステップS705へ移行し、NOの場合には、ステップS701へ移行する。
すなわち、実施例7では、操舵角θがゼロ近傍の所定値以下の一定値を示している時間が所定時間継続したときの操舵角を、車両を直進させるために必要な所定操舵角とする。これにより、より短時間で所定操舵角を設定できる。
次に、効果を説明する。
実施例7の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(13)直進維持操舵角算出手段は、操舵角がゼロ近傍の所定値以下である状態が所定時間継続したときの操舵角を、直進を維持するための操舵角とするため、操舵角以外の情報が不要であり、操舵角履歴の蓄積も不要であるため、片流れ抑制操舵補助力の決定にかかる時間を短縮することができる。
(構成)
実施例8は、操舵状態に応じて2つの制御ロジックを使い分け、片流れを抑制するための操舵補助力をそれぞれに求め、2つの制御指令に重み付けを行った上で平均をとり、片流れを抑制するためのモータ指令値とする例である。なお、構成については、図4に示した実施例2と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図18は、実施例8の所定操舵角算出制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS802では、コントローラ11は、エンコーダ14で計測された操舵角をメモリに記憶し、ステップS803へ移行する。
ステップS804では、コントローラ11は、ステップS803で算出した操舵角履歴のピーク値から、車両が左右にどの程度流れているのかを判断し、偏向を抑制するアシスト方向を決定し、ステップS805へ移行する。
ステップS806では、コントローラ11は、ステップS805で算出したモータ指令値Bを、操舵角履歴の分散に応じた重み付けにより補正し、ステップS812へ移行する。
ステップS808では、コントローラ11は、トルクセンサ5で計測した操舵トルクをメモリに記録し、ステップS809へ移行する。
ステップS810では、コントローラ11は、ステップS809で算出した頻度ピーク値を、片流れ抑制トルクとするモータ指令値Aを算出し、ステップS811へ移行する。
ステップS811では、コントローラ11は、ステップS810で算出したモータ指令値Aを、操舵トルク履歴の分散に応じた重み付けにより補正し、ステップS812へ移行する。
すなわち、実施例8では、トルクセンサ5がゼロ近傍の所定値より大きな値を返したとき、操舵トルク履歴の頻度分布(図19)のピーク値がモータ指令値Aとして設定される。モータ指令値Aは、これを生成する際に用いた操舵トルク履歴の頻度分布分散値に応じて重み付けが行われる。具体的には、図20に示すように、分散が小さいときは指令値Aをそのまま用い、分散が大きいときは指令値Aより小さい値を返す。これは、分散によって用いる頻度ピークの信頼性を評価している。
次に、効果を説明する。
実施例8の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(14)運転者の保舵状態を検出する保舵状態検出手段(ステップS801)を備え、コントローラ11は、運転者がハンドル1を所定値以上の力で保舵している場合には、直進走行状態を維持する操舵角での操舵トルクをゼロまたはゼロに近づくように片流れ抑制操舵補助力を制御し、運転者がハンドル1を所定値未満の力で軽保舵している場合、またはハンドル1から手を離している場合には、操舵トルクがゼロ近傍の所定値以下であったときの操舵角履歴の平均値が、直進走行状態を維持するための操舵角に近づく方向へ片流れ抑制操舵補助力を制御する2つのロジックを用いて片流れ抑制操舵補助力を制御する。よって、2つのロジックを組み合わせて用いることで、システムエラーを低減させることができる。また、保舵時と軽保舵(または手放し)時の両方に対応でき、車両状態のデータ取得率が向上し、その結果、片流れ抑制操舵補助力の決定にかかる時間を短縮することができる。
(16)コントローラ11は、操舵トルクの履歴から片流れ抑制操舵補助力を算出する際、操舵トルクの履歴を頻度分布として処理し、この頻度ピークを片流れ抑制操舵補助力とするため、簡単なシステムでありながら、運転者の癖や使用環境による影響を受けずに片流れ抑制操舵補助力を短時間で設定できる。
(構成)
実施例9は、ラック軸力に基づいて片流れトルクを算出する例である。
まず、構成を説明する。
図21は、実施例9の車両用操舵装置の構成を示す図である。なお、図1に示した実施例1と同一の構成部分には、同一の符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
実施例9の車両用操舵装置は、ラック9に作用するラック軸力を測定するラック軸力センサ(操舵トルク検出手段)18を備えている。コントローラ11は、ラック軸力センサ18、直進走行状態検出器12、車速センサ13からの情報に基づいて、モータ7を制御し、操舵補助力を生成する。
次に、作用を説明する。
実施例9では、ラック軸力センサ18から片流れトルクを算出することにより、ステアリング系のフリクションの影響を受ける前の路面反力を直に測定できるため、より正確な片流れ補正トルクを生成することが可能となる。
(実施例9の効果)
次に、効果を説明する。
実施例9の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる
(19)操舵トルク検出手段として、路面反力によるトルクを計測するラック軸力センサ18を用いるため、ステアリング系に存在する機械的フリクションの影響を受けず、精度良く片流れトルクを計測することができる。
(構成)
実施例10は、路面反力と運転者からの入力とによる2つのトルクを別々に計測し、2重の操舵力補助制御を行う例である。
まず、構成を説明する。
図22は、実施例10の車両用操舵装置の構成を示す図であり、実施例10の車両用操舵装置は、図21に示した実施例9の構成に対し、トルクセンサ5を追加した点で異なる。
コントローラ11は、ラック軸力センサ18、トルクセンサ5、直進走行状態検出器12、車速センサ13からの情報に基づいて、モータ7を制御し、操舵補助力を生成する。
次に、作用を説明する。
[片流れ抑制制御処理]
図23は、実施例10のコントローラ11で実行される片流れ抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS1001では、コントローラ11は、車両挙動情報を基に、直線走行状態検出器12で車両が直進状態であるか否かを判定する。YESの場合には、ステップS1002へ移行し、NOの場合には、ステップS1003へ移行する。
ステップS1002では、コントローラ11は、ラック軸力センサ18で計測したラック軸力トルクを路面からのトルクとしてメモリに記録し、ステップS1004へ移行する。
ステップS1004では、コントローラ11は、メモリに記録された路面からのトルクの履歴の平均値を算出し、ステップS1005へ移行する。
ステップS1005では、コントローラ11は、ステップS1004で算出した履歴の平均値を、片流れ抑制に必要なトルクとしてモータ7を駆動し、ステップS1006へ移行する。
ステップS1007では、コントローラ11は、フラグがONであるか否かを判定する。YESの場合には、ステップS1008へ移行し、NOの場合には、ステップS1007を繰り返す。
ステップS1009では、コントローラ11は、メモリに記憶された操舵トルクの履歴の平均値を算出し、ステップS1010へ移行する。
ステップS1010では、コントローラ11は、ステップS1009で算出した履歴の平均値を、片流れ抑制に必要なトルクとしてモータ7を駆動し、ステップS1007へ移行する。
このように、路面反力と運転者からの入力とによる2つのトルクを別々に計測することにより、2重の操舵力補助制御をかけることが可能となり、常に制御の妥当性を確認しながら補正量の修正をかけることが可能となる。
次に、効果を説明する。
実施例10の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(20)操舵トルク検出手段として、ステアリングシャフト4上で運転者の入力操舵トルクを計測するトルクセンサ5と、路面反力によるトルクを計測するラック軸力センサ18の両方を用いるため、上記センサを組み合わせることにより、路面から受ける片流れトルクと、運転者に伝わる操舵反力トルクの比較が可能となり、この比較結果より操舵補助力の補正を行うことも可能となる。
(21)コントローラ11は、片流れ抑制操舵補助力の妥当性を確認し、妥当でない場合には、片流れ抑制操舵補助力を修正するため、誤アシストを減らし、また理想的な状態への収束を早め、かつ片流れ抑制操舵補助力が発散するのを防止できる。
(構成)
実施例11は、実施例2の片流れ抑制制御を適用した後、その制御が妥当であるか否かを確認する例である。なお、構成については、図4に示した実施例2と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
[操舵補助力修正制御処理]
図24は、実施例11のコントローラ11で実行される操舵補助力修正制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、トルクセンサ5と車速センサ13により、車両が軽保舵(もしくは手放し)かつ低速で走行中であると判断できる場合に実行される。
ステップS1102では、コントローラ11は、エンコーダ14等から車両状態を検出し、モータ5のアシスト方向と逆方向に片流れが発生しているか否かを判定する。YESの場合には、ステップS1103へ移行し、NOの場合には、ステップS1104へ移行する。
ステップS1103では、コントローラ11は、片流れ抑制のための操舵補助力を発生させ、リターンへ移行する。
ステップS1104では、コントローラ11は、メモリに蓄積された履歴データをリセットし、ステップS1101へ移行する。
次に、効果を説明する。
実施例11の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(22)コントローラ11は、片流れ抑制操舵補助力を一時的に増減させたときの車両挙動変化に基づいて、片流れ抑制操舵補助力の妥当性を判定するため、制御量を意図的に増減させたときの車両挙動変化を観察することで、補正量の妥当性が確認できる。
(構成)
実施例12は、直進走行状態における操舵トルクの履歴に基づいて、車両に入力される外乱を推定し、その外乱の大きさに応じて片流れ抑制操舵補助力を付与する例であり、さらに、上記片流れ抑制操舵補助力を操舵トルクの大きさに応じて変更するようにしたものである。
図25は、実施例12の車両用操舵装置の構成を示す図である。なお、図4に示した実施例2と同一の構成部分には、同一の符号を付し、構成の異なる部分を中心に説明する。
実施例12の車両用操舵装置は、車両のヨーレイトを計測するヨーレイトセンサ(ヨーレイト検出手段)16を備えている。そして、コントローラ11は、トルクセンサ5、エンコーダ14、ヨーレイトセンサ16および車速センサ13からの情報に基づいて、モータ7を制御し、片流れ抑制操舵補助力を生成する。
次に、作用を説明する。
図26は、実施例12のコントローラ11で実行される処理の流れを示すブロック図である。
この制御ブロックは、目標トルク演算部101と、目標電流演算部102と、制御電圧演算部103と、駆動電流制御部104と、片流れ抑制制御部105とから構成されている。
目標トルク演算部101では、コントローラ11は、トルクセンサ5からの操舵トルク及び車速センサ13からの車速が入力され、予め格納されたアシスト制御マップを参照して必要アシスト量に相当する基本トルク指令値を算出する。
制御電圧演算部103では、コントローラ11は、目標電流演算部102で算出されたモータ電流指令値に基づいて、モータPWM制御におけるモータ印加電圧指令値を算出する。
片流れ抑制制御部105では、以下に示す手順で片流れ抑制制御処理を実行する。
先ず、直進走行状態検出部105Aで、コントローラ11は、車両が直進状態であるか否かを判定する。具体的には、エンコーダ14で計測した操舵角の絶対値|θ|が所定値Aより小さく、且つヨーレイトセンサ16で計測したヨーレイトの絶対値|γ|が所定値Bより小さいか否かを判定する。
なお、本実施形態では、操舵角及びヨーレイトを用いて直進状態判断を行う場合について説明したが、その他車両挙動である横加速度や車体スリップ、各輪の車輪速度差等を用いることもできる。
平均値算出部105Cでは、コントローラ11は、メモリに記録された操舵トルクの履歴の平均値を算出し、これを車両の片流れ現象を引き起こす定常外乱の推定値として出力する。
また、トルク補償量算出部105Dで、コントローラ11は、トルクセンサ5で計測された操舵トルクに基づいて、予め格納されたトルク補償量算出マップを参照し、トルク補償量C1を算出する。
トルク補償部105Eでは、コントローラ11は、平均値算出部105Cで算出した定常外乱推定値からトルク補償量算出部105Dで算出したトルク補償量を減算し、その結果を外乱補償部105Fに出力する。
ここで、ゲインL1は、車速センサ13で計測された車速に基づいて、予め格納されたゲイン算出マップを参照して算出される。ゲイン算出マップは、停車付近の車速ではゲインL1が0に算出され、車速が上がるにつれてゲインL1が比例的に1まで増加するように設定されている。これにより、車両走行速度が低いほど、片流れ抑制操舵補助力が小さく設定されることになる。
すなわち、実施例12では、直進状態での操舵トルクの平均値を車両の片流れ現象を引き起こす定常外乱値とし、操舵補助力を、直進状態での操舵トルクを打ち消す方向へ定常外乱分オフセットする。このとき、操舵トルクの絶対値が大きいほど、上記オフセット量を低下する。
次に、実施例12の動作について説明する。
図27は、操舵トルクの大きさに応じて上記オフセット量を変更しない場合の操舵トルクに対するモータ電流(アシスト電流)を示す図である。この図27において、破線は外乱補償前の特性、実線は外乱補償後の特性を示している。また、図28は、操舵トルクの大きさに応じて上記オフセット量を変更しない場合のタイムチャートであり、(a)は操舵トルクの時系列変化、(b)はアシスト電流の時系列変化、(c)はモータ温度の時系列変化である。
図31は、横加速度と操舵トルクとの関係を示す図である。本実施例では、操舵トルクの絶対値が大きいほど上記オフセット量を低下させるので、図31に示すように、ステアリングの右切りと左切りとで操舵力の差をなくすことができる。
次に、効果を説明する。
実施例12の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(24)操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクが、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向に大きいほど、片流れ抑制操舵補助力を小さくする。
したがって、車両に片流れ現象を引き起こす定常外乱が入力されている場合で、この定常外乱を抑制する方向に片流れ抑制操舵補助力を付与している場合には、直進走行時の車両片流れを抑制して運転者の違和感を抑制しつつ、定常外乱の抑制方向と同じ方向へ高トルクまで操舵するような場合に、消費電流を抑制して、燃費を向上することができる。また、熱保護回路の頻繁な作動を抑制することができるので、温度上昇を抑制することができる。
(26)車両走行速度が低いほど、片流れ抑制操舵補助力を小さくするので、片流れの発生しやすい走行時に当該片流れを抑制する制御を実行することができる。また、車両挙動が発生せず外乱推定が困難である停車時には、片流れ抑制操舵補助力を零に設定することで、誤動作に伴う運転者の違和感を防止することができる。
(構成)
実施例13は、保舵状態から操舵状態となったとき、操舵方向が片流れ抑制操舵補助力の付与方向と一致しているか否かに応じて、当該片流れ抑制操舵補助力を変化させる例である。なお、構成については、図25に示した実施例12と同様である。
(作用)
次に、作用を説明する。
図32は、実施例13のコントローラ11で実行される処理の流れを示すブロック図である。なお、図26に示した実施例12と同一の処理部分には、同一の符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
片流れ抑制制御部105の操舵角速度算出部105Gでは、エンコーダ14で計測された操舵角θを微分して、操舵角速度dθを算出する。
保舵状態判断部105Hでは、コントローラ11は、操舵角速度算出部105Gで算出された操舵角速度dθに基づいて、運転者によるハンドル1の操作状態が保舵から保舵までの間であるか否かを判断する。この保舵状態判断部105Hは、先ず、処理部aで操舵角速度の絶対値|dθ|が所定値Cより小さい保舵状態であるか否かを判断し、次に処理部bで処理部aの処理結果をもとに操舵から保舵へ変わったか否かを判断する。そして、操舵から保舵へ変わった場合に判断フラグを“1”に設定する。
操舵方向判断部105Iでは、コントローラ11は、運転者による操舵方向と外乱入力方向とが一致しているか否かを判断し、一致している場合には1、それ以外では0を出力する。具体的には、トルクセンサ5で計測された操舵トルクの極性(正の場合に1、負の場合に−1)と、外乱推定値の極性(正の場合に1、負の場合に−1)との積をとり、その結果が1、即ち操舵トルクの極性と外乱推定値の極性とが一致している場合に“1”、それ以外の場合に“0”を出力する。
すなわち、実施例13では、直進状態での操舵トルクの平均値を車両の片流れ現象を引き起こす定常外乱値とし、操舵補助力を、直進状態での操舵トルクを打ち消す方向へ定常外乱分オフセットする。このとき、保舵から保舵までの間に、運転者により直進状態での操舵トルクを打ち消す方向とは逆方向の操舵が行われた場合には、外乱補償量を所定量(応答性補償量)低下させる。
次に、実施例13の動作について説明する。
図33は、操舵状態変化に伴うアシストトルク変化を示すタイムチャートである。ここで、(a)は応答性補償を行わない場合のタイムチャート、(b)は本実施例の応答性補償を行った場合のタイムチャートである。
定常外乱による片流れを抑制する制御が行われている状態において、ステアリングを中立位置に保持した保舵状態から、運転者が時刻t1で外乱補正量の付加方向と同じ方向へ操舵したものとする。この場合には、図33(a)のa部及び図33(b)のb部に示すように、アシスト電流が流れると同時にアシストトルクが発生し、操舵応答性の良い自然な操舵特性が得られる。
したがって、時刻t2で外乱補正量の付加方向とは異なる方向へ操舵された場合には、片流れ抑制制御のためのアシスト電流が所定量小さくされて、図33(b)のd部に示すように、操舵応答性を向上することができる。その結果、操舵応答性を左右で平準化することができる。
なお、本実施例においては、保舵状態判断部105Hが保舵状態検出手段を構成している。
次に、効果を説明する。
実施例13の車両用操舵装置にあっては、以下の効果が得られる。
(27)保舵状態から直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向とは逆方向への操舵入力があったとき、片流れ抑制操舵補助力を、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向への操舵入力があったときより小さくするので、減速機のガタが存在することに起因する操舵応答性の遅れを改善して、操舵応答性が左右で平準化された自然な操舵特性とすることができる。
なお、上記実施例13においては、応答性補正量を操舵トルクの微分値に基づいて算出することもできる。
図34は、応答性補正量を操舵トルクの微分値に基づいて算出する場合のコントローラ11で実行される処理の流れを示すブロック図である。なお、図32に示した実施例13と同一の処理部分には、同一の符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
操舵方向判断部105Lでは、運転者による操舵方向と外乱入力方向とが一致しているか否かを判断し、一致している場合には1、それ以外では−1を出力する。具体的には、トルクセンサ5で計測された操舵トルクの極性(正の場合に1、負の場合に−1)と、外乱推定値の極性(正の場合に1、負の場合に−1)との積をとり、その結果を出力する。
応答性補正量算出部105Nでは、操舵トルクの微分値と操舵方向判断部105Lの出力結果との積を、応答性補正量として出力する。
この場合にも、保舵から保舵までの間に外乱補償方向とは逆方向に操舵されたとき、操舵トルク微分値がアシスト電流に加算されるので、操舵トルク微分値に応じてアシストトルクが急激に立ち上がり、上述した実施例13と同様に、操舵応答性を改善することができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜13に基づいて説明したが、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例1では、直進走行状態検出器12が直進中であると判断したときの操舵トルクの履歴を計測することとしたが、直進走行状態検出器12を用いず、常に操舵トルクの履歴を計測し、その履歴データを頻度分布として処理したときの頻度ピークを車両起因により発生する片流れトルクと判断することもできる。
実施例2では、操舵角の平均値から車両の直進状態を判断したが、操舵角に代えて、ヨーレイトなど他の物理量を用いることも可能である。
実施例1〜13では、EPS(電動パワーステアリング)による前輪の操舵アシスト例を示したが、制駆動力を用いたDYCや各輪左右独立制御、後輪操舵など、車両の操舵が可能な他のシステムにおいても応用可能である。
2 前輪
3 舵取り機構
4 ステアリングシャフト
5 トルクセンサ
6 減速器
7 モータ
8 ピニオン
9 ラック
10 タイロッド
11 コントローラ
12 直進走行状態検出器
13 車速センサ
14 エンコーダ
15 スイッチ
16 ヨーレイトセンサ
17 横加速度センサ
18 ラック軸力センサ
Claims (19)
- 操舵入力手段から操向輪に至る操舵系に運転者の操舵負担を軽減する操舵補助力を付与する車両用操舵装置であって、
操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
車両の直進走行状態を検出する直進走行状態検出手段と、
前記操舵入力手段の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
直進走行状態を維持するための操舵角を算出する直進維持操舵角算出手段と、
運転者の保舵状態を検出する保舵状態検出手段と、
運転者が前記操舵入力手段を所定値以上の力で保舵している場合には、直進走行状態を維持する操舵角での操舵トルクの履歴に基づいて、直進走行状態を維持する操舵角での操舵トルクをゼロまたはゼロに近づくように片流れ抑制操舵補助力を制御し、運転者が前記操舵入力手段を所定値未満の力で軽保舵している場合、または前記操舵入力手段から手を離している場合には、操舵トルクがゼロ近傍の所定値以下であったときの操舵角履歴の平均値が、直進走行状態を維持するための操舵角に近づく方向へ片流れ抑制操舵補助力を制御する2つのロジックを用いて前記片流れ抑制操舵補助力を制御する片流れ抑制制御手段と、
を備えることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記直進維持操舵角算出手段は、操舵角の履歴の平均値を、前記直進を維持するための操舵角とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記直進維持操舵角算出手段は、操舵角の履歴を頻度分布として処理し、その頻度ピーク時の操舵角を、前記直進を維持するための操舵角とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
車両のヨーレイトを検出するヨーレイト検出手段と、
車両の横加速度を検出する横加速度検出手段と、
を備え、
前記直進維持操舵角算出手段は、ヨーレイトと横加速度が共にゼロ近傍の所定値以下のときの操舵角を、前記直進を維持するための操舵角とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記直進維持操舵角算出手段は、操舵角がゼロ近傍の所定値以下である状態が所定時間継続したときの操舵角を、前記直進を維持するための操舵角とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
運転者もしくは車両整備者が操作し、前記操舵補助力の中立点を設定するスイッチを備え、
前記片流れ抑制制御手段は、前記スイッチが操作されたときの操舵トルクを前記片流れ抑制操舵補助力とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、他の操舵力補助制御とはソフトウェア的に独立して前記片流れ抑制操舵補助力を制御することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、2つのロジックから算出される片流れ抑制操舵補助力に対し、それぞれのロジックで用いた履歴数に応じた重み付けを行った上で、両者の平均値を片流れ抑制操舵補助力とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、操舵トルクの履歴から前記片流れ抑制操舵補助力を算出する際、操舵トルクの履歴を頻度分布として処理し、この頻度ピークを前記片流れ抑制操舵補助力とすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、操舵トルクの履歴から前記片流れ抑制操舵補助力を算出する際、操舵トルクの履歴を頻度分布として処理し、この頻度分布の分散値に応じて前記片流れ抑制操舵補助力に重み付けを行うことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、操舵角の履歴から前記片流れ抑制操舵補助力を算出する際、操舵角の履歴を頻度分布として処理し、この頻度分布の分散値に応じて前記片流れ抑制操舵補助力に重み付けを行うことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記操舵トルク検出手段として、ステアリングコラム上で運転者の入力操舵トルクを計測するセンサと、路面反力によるトルクを計測するセンサの少なくとも一方を用いることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項12に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、前記操舵トルクとして前記路面反力によるトルクを用いて算出した前記片流れ抑制操舵補助力を付与したときの前記運転者の入力操舵トルクに基づいて、前記片流れ抑制操舵補助力の妥当性を確認し、妥当でない場合には、片流れ抑制操舵補助力を修正することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、前記片流れ抑制操舵補助力を一時的に増減させたときの車両挙動変化に基づいて、片流れ抑制操舵補助力の妥当性を判定し、妥当でない場合には、片流れ抑制操舵補助力を修正することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項14に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、軽操舵時もしくは手放し時で、かつ車両走行速度が低いとき、前記片流れ抑制操舵補助力の妥当性を確認することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、前記操舵トルク検出手段で検出された操舵トルクが、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向へ大きいほど、当該片流れ抑制操舵補助力を小さくすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項16に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、前記操舵トルク検出手段で検出された操舵トルクの絶対値が大きいほど、前記片流れ抑制操舵補助力を小さくすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項17の何れか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、保舵状態から直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向とは逆方向への操舵入力があったとき、前記片流れ抑制操舵補助力を、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向への操舵入力があったときより小さくすることを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の車両用操舵装置において、
前記片流れ抑制制御手段は、車両走行速度が低いほど、前記片流れ抑制操舵補助力を小さくすることを特徴とする車両用操舵装置。
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