JP5856109B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents

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Description

本発明は、操舵用(操舵補助用)の電動モータを備えた車両用操舵装置に関する。
道路の幅方向(路肩方向)に傾斜がついたカント路を走行する際や横風の中を走行する際には、直進をしようとしても、カント路では重力により車両が傾斜方向の下側に流され、横風の中では風力により車両が風下側に流される。つまり車両の片流れが生じる。このため、車両の片流れに対抗して直進するには、運転者がステアリングハンドル(適宜「ハンドル」という)を傾斜方向上側や風上側に向けて切る必要がある。つまり、直進状態であっても、運転者はたえず流される方向(片流れの方向)とは逆向きに操舵力を与え続ける必要がある。
例えば、特許文献1では、車両挙動に影響を及ぼす外乱発生時(カント路走行時や横風走行時など…)に、その車両挙動に対する外乱の影響程度に対応する外乱影響値Dを求め、その外乱影響値Dに応じて操舵補助力Taを制御可能とした車両の操舵装置が開示されている。この特許文献1では、操舵トルクの中点を挟んで不感帯を設け、操舵トルクが不感帯を超える場合に操舵補助力を発生させ、外乱(カント路の傾斜や横風など)を打ち消すようにしている。
特開2001−1923号公報
しかし、特許文献1では、その図4などに示されるように操舵トルクの不感帯を設けて制御を行っているため、不感帯を超えるまでは運転者に負担をかけ、快適性を損なうこととなる。また、運転に不慣れな運転者の場合、旋回に対してハンドルを切り過ぎてしまう場合がある。このため、旋回終了時には、旋回方向とは反対方向へ多少操舵することがある。このとき、この反対方向への操舵もカント路面による影響とみてしまい、適切に片流れに対応する制御を行えない状況が生じうる。
そこで、本発明は、カント路などの車両の片流れが生じる状況において、適切に片流れを抑制できるような車両用操舵装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決した本発明の車両用操舵装置(1)は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する。そして、車両に生じる片流れを検出し、当該片流れを抑制するように前記電流値を補正する片流れ対応制御手段と、運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチと、を備え、前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態において、車両の旋回終了後から所定時間は、前記片流れ対応制御を制限又は禁止することを特徴とする。
旋回の立ち上がり時は、直進状態と判定されても、挙動が不安定となる場合があることから、旋回終了後から所定時間は、片流れ制御を制限又は禁止することで、適切な片流れ対応制御を実現する。
また、本発明の車両用操舵装置(2)は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する車両用操舵装置である。そして、舵角を検出する舵角検出手段と、車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、前記車両挙動と前記舵角とに応じて車両の直進状態を判定し、直進状態と判定されているときの前記操舵トルクの積算値を算出し、前記積算値と前記舵角とに基づき、車両に生じる片流れを抑制するように前記電流値を補正する補正電流値を算出する片流れ対応制御手段と、運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチとを、さらに有し、前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態、且つ旋回終了後であって、車両が前記直進状態と判定され始めてから所定時間は、あらたに前記補正電流値を算出しないことを特徴とする。
旋回の立ち上がり時は、直進状態と判定されても、挙動が不安定となる場合があることから、旋回終了後から所定時間は、補正電流値を算出しない。後記する実施形態では、トルクの積算を、旋回終了後も所定時間は積算をキャンセルすることで、補正電流値を算出しないようにする。
また、本発明の車両用操舵装置(3)は、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する車両用操舵装置である。そして、舵角を検出する舵角検出手段と、車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、前記車両挙動と前記舵角とに応じて車両の直進状態を判定し、直進状態と判定されているときの前記操舵トルクの積算値を算出し、前記積算値と前記舵角とに基づき、車両に生じる片流れを抑制するように前記電流値を補正する補正電流値を算出する片流れ対応制御手段と、運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチとを、さらに有し、前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態、且つ旋回終了後であって、車両が直進状態と判定され始めてから所定時間は、前記片流れ対応制御手段の制御量を減少させることを特徴とする。
旋回の立ち上がり時は、直進状態と判定されても、挙動が不安定となる場合があることから、旋回終了後から所定時間は、片流れ対応制御手段の制御量を減少させる。例えば、トルクの積算を旋回終了後は、所定時間、制御量である目標電流値(片流れ対応)の値が小さくなるようなマップなどを用いる。
また、本発明の車両用操舵装置(4)は、車両用操舵装置(1)〜(3)のいずれかに対して、夜間走行中には、前記片流れ対応制御手段が制御量を昼間走行時よりも減少する、または前記片流れ対応制御を停止することを特徴とする。
夜間は視界が悪く、運転者の目視による直進判定が甘くなり、修正蛇の頻度が増える。ところが、修正舵が増えれば、片流れ対応制御による舵角の中点の移動が頻繁に行われるので運転者に対して違和感を与える虞がある。そこで、片流れ対応制御手段の制御量を減少させる、または前記片流れ対応制御を停止することで、この違和感を抑制する。
また、本発明の車両用操舵装置(5)は、車両用操舵装置(4)のいずれかに対して、夜間走行中であるか否かをヘッドライトの点灯/消灯で判定することを特徴とする。
本発明によれば、カント路などの車両の片流れが生じる状況において、適切に片流れを抑制できるような車両用操舵装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態における車両用操舵装置を搭載した車両の全体構成を模式的に示す図である。 図1の車両におけるEPS_ECUやFI_ECUの概略構成と、両者の連携を示すブロック図である。 図2の保舵支援制御部の内部構成を示すブロック図である。 図3の中点移動制御部の内部構成を示すブロック図である。 運転者が、車両を運転して道路を走行している状況での、車体の傾斜、操舵トルク、運転者のハンドル操作負担などを示す図であり、左側の図が平坦路の場合を、中央の図がカント路において片流れ対応制御なしの場合(片流れ対応制御に入る前の場合)を、右側の図がカント路において片流れ対応制御ありの場合(片流れ対応制御に入った場合)をそれぞれ示している。 (a)が、カント路において車両Cに加わる外力と運転者の操舵を示す図であり、(b)が、車線によってカント路の傾斜が違うことを示す図である。 本実施形態でのクルーズコントロールと片流れ対応制御との連携を示す概略的なフローチャートである。 (a)はクルコンスイッチ位置の時間推移を、(b)は実舵角の時間推移を、(c)は時間t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、(d)は時間t2の時点での舵角0を初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。 旋回状態(図の左側)から、直進状態(図の右側)へ移行する際の、操舵トルク(細実線)、ヨーレート(太波線)、キャンセル信号(太二点鎖線)の変化を示している。 第2実施形態における連携を示すブロック図である。 第3実施形態の一例として、図3の保舵支援電流値設定部における舵角と電流値との対応関係の情報を調整することで片流れ対応制御の制御量を減少する例を示す図である。
次に、本発明を実施するための一形態(実施形態)について、添付の図面を参照し、詳細に説明する。
≪第1実施形態≫
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態における車両用操舵装置Sを搭載した車両Cの全体構成を模式的に示す図である。この図1に示すように、車両Cは、車輪Wを4つ備える四輪車である(符号WFは転舵輪を示す)。そして、この車両Cは、車両用操舵装置Sの要部として、EPS_ECU1や転舵用のモータ3をはじめとした、電動パワーステアリング装置の構成を備えている。この電動パワーステアリング装置は、ステアリングハンドル(ハンドル)Hから入力される運転者の操舵力を、モータ3を作動させることで軽減する周知の装置である。このため、電動パワーステアリング装置の詳細な説明は省略する。また、車両Cは、FI_ECU2を備えるが、これも周知のものであるので、その詳細な説明を省略する。
なお、EPSは、Electric Power Steering(電動パワーステアリング)の略である。また、FIは、Fuel Injectionの略である。また、ECUは、Electronic Control Unitの略である。
また、図1において、符号41は、舵角センサ(舵角検出手段)であり、本実施形態では、モータ3の角度を計測する角度センサで代用する。この舵角センサ3により、舵角のほか、モータ3の回転速度(モータ回転速度(=操舵速度))を検出する。また、符号42は、操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段、図1では「トルクセンサ」と記載)であり、運転者がハンドルHを介して入力する操舵トルク(手動操舵力)を検出する。また、符号43は、ヨーレートセンサ(車両挙動検出手段)であり、車両Cのヨーレート(旋回角度)を検出する。また、符号44は、車輪Wの回転速度(車輪速パルス)を検出する車輪速センサであり、この図1では、1つの車輪Wにのみ記載しているが、実際は4つの車輪Wに備わっている。ちなみに、車速は、4つの車輪Wに備わっている車輪速センサ44の検出値の平均値などや、従動輪となる車輪Wに備わっている車輪速センサ44の検出値の平均値などである。
なお、符号41の舵角センサ〜符号44の車輪速センサまでの各センサを総称するときは、センサ4と記載する。
また、図1において、符号SWは、クルーズコントロールスイッチ(スイッチ、以下クルコンスイッチ)であり(図1では「CCスイッチ」と記載)、ハンドルHに設置又はハンドルHの近傍に設置されて、高速道路などをクルーズコントロールで走行する際に、運転者によりON(オン)されるものである。以下の説明では、このクルコンスイッチSWはハンドルHに設置されているものとする。
ちなみに、このクルコンスイッチSWは、運転者によりOFFされる以外に、ブレーキペダルが踏み込まれるなど、所定の条件のときに自動的に解除(OFF)される。
また、図1において、EPS_ECU1、FI_ECU2、各センサ4、クルコンスイッチSWなどは、CAN(Control Area Network)のような通信線Nにより接続されている。
図2は、図1の車両におけるEPS_ECU1とFI_ECU2の概略構成と、両者の連携を示すブロック図である。
(EPS_ECU)
図2に示されるように、EPS_ECU1は、EPS制御部11、保舵支援制御部(片流れ対応制御手段)12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、加算器16、モータ駆動手段17を備え、EPS用のモータ3の駆動を制御する駆動制御手段である。ちなみに、EPS_ECU1のうち、保舵支制御部12、ゼロ電流値出力部13、切替器14、リミッタ15、および、加算器16が、本実施形態の特徴部分である。つまり、EPS制御部11やモータ駆動手段17は公知のものであり、このため、これらの具体的な説明は省略する。
保舵支援制御部12は、詳細は図3を参照して後記するが、カント路などの片流れが生じる状況での片流れを打ち消すための目標電流値(片流れ対応)を、後段の切替器14に出力する機能を有する機能部であり、「片流れ対応制御」をつかさどる。
なお、目標電流値(片流れ対応)は、「補正電流値」に相当する。
ゼロ電流値出力部13は、加算器16に供給する電流値(0)を、後段の切替器14に出力する機能を有する機能部である。
切替器14は、クルーズコントロール制御部(以下「クルコン制御部」という)21からの信号(クルコン制御中フラグ(CC制御中フラグ))に基づき、クルコンスイッチSWがONのときに、保舵支援制御部12からの目標電流値(片流れ対応)を後段のリミッタ15に出力し、一方、クルコンスイッチSWがOFFのときに、ゼロ電流出力部13からのゼロ電流値を後段のリミッタ15に出力する機能を有する機能部である。
リミッタ15は、切替器14から出力される電流値の絶対値が、例えば所定の制限値を超えるような場合に、リミットをかける構成を有する機能部である。例えば、クルコンスイッチSWがONのときに、保舵支援制御部12から出力される目標電流値(片流れ対応)の絶対値が所定の制限値を超えた場合に、その絶対値が制限値を超えないようにする。
加算器16は、EPS制御部11が出力する目標電流値にリミッタ15が出力する電流値(片流れ対応)を加算するものである。クルコンスイッチSWがONの場合は、EPS制御部11が出力する目標電流値に、保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)を加算してモータ駆動手段17に出力する機能を有する機能部である。
モータ駆動手段17は、演算装置やインバータなどを備え、加算器16から出力される加算処理後の目標電流値に基づいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、このPWM信号によりインバータを駆動してモータ3に供給する三相交流電流を生成し、モータ3をPWM駆動させる機能を有する機能部である。
(FI_ECU)
図2に示す、FI_ECU2は、エンジンECUとも言われ、点火時期や燃料噴射量などの制御を司るECUである。本実施形態の車両CのFI_ECU2は、クルコン制御部21を備えている。クルコン制御部21はハンドルHに設置されているクルコンスイッチSWがONのときに切替器14に信号(CC制御中フラグ)を出力して、保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)を後段のリミッタ15に出力させるようにする。
また、このクルコンスイッチSWがONされたときは、クルコン制御部21は、DBW(Drive By Wire)弁5を介してエンジン(原動機)の出力をコントロールし、一定車速で車両Cを走行させる。この機能を用いれば、例えば、信号機などがない長い直進路において、運転者が足でアクセルコントロールをすることなく(アクセルペダルから足を離しても)、車両Cを一定車速で走行させることができる。
ちなみに、クルコン制御部21と切替器14の連携構成について、クルコンスイッチSWがONであれば、片流れ対応制御(保舵支援制御)を行う場面が生じる可能性が高いとの想定で、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替え、片流れ対応制御(保舵支援制御)を有効なものとする。また、クルコンスイッチSWがONの状態であれば、大きな操舵もなく、片流れ対応制御が運転者の快適性の支障になる場面が生じる可能性が低いとの想定で、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替え、片流れ対応制御を有効なものとする。
(保舵支援制御部)
次に、保舵支援制御部12の詳細を、その内部構成を示すブロック図である図3を主に参照して説明する。
図3に示すように、保舵支援制御部12は、中点移動制御部120、減算部121、保舵支援電流値設定部122、ローパスフィルタ(LPF)123、第1レシオ出力部124、乗算部125、ダンパ電流値設定部126、第2レシオ出力部127、乗算部128、加算部129などを備える。
ちなみに、この実施形態での保舵支援制御部12は、カント路や横風などのように車両Cに片流れ(片流れ)を生じさせる力に対抗して、モータ3自身の動きを抑制するような目標電流値(片流れ対応)を出力する機能を有する機能部である。
中点移動制御部120は、ヨーレート、操舵トルク、出力電流値(保舵支援制御部12にて出力した電流値)を入力して、例えば、操舵トルクの積算値(トルク積算値)が閾値(中点移動判定閾値)を超えると、片流れを踏まえた所定の片流れ対応舵角値を出力する構成を備える。この中点移動制御部120については、後で、図4を参照して詳細に説明する。
ちなみに、片流れ対応舵角値の初期値は0deg、若しくはその時のステアリングホイール操舵角に設定される。この初期値は、所定舵角値未満であれば、その時のステアリングホイール操舵角を初期値とし、所定舵角値以上、若しくは、所定ヨーレート以上であれば、0degを初期値と設定することができる。
減算部121は、初期値である0deg、若しくは舵角センサ41から入力される現在の舵角を基準として、中点移動制御部120が出力する片流れ対応舵角値を減算する機能を有する機能部である。
保舵支援電流値設定部122は、減算部121が出力する値を入力して、片流れ対応舵角値と電流値との対応関係の情報に基づき、入力した片流れ対応舵角値を電流値(ベース電流値)に変換する機能を有する機能部である。なお、ここでの対応関係の情報は、舵角の絶対値が大きくなるほどベース電流値の絶対値が大きくなるように設定されている。これは、片流れの傾向が大きくなるほど運転者は舵角を大きくして保舵するからである。
補足すると、カント路などにおける車両Cを片流れさせようとする力に対抗して、モータ3の動きを抑制するような電流をモータ3に供給するように、対応関係の情報は設定されている。ちなみに、モータ3の動きが抑制されれば、自ずとハンドルHの動きも抑制され、結果、ハンドルHを保舵する運転者の負担が軽減される。
ちなみに、図3の電流値設定部122の枠内のグラフは、グラフの中央から右への舵角を(+の値)、左への舵角を(−の値)で示しており、例えば、右側への舵角(+の値)の場合は、電流値は(−)の値に設定される。
なお、保舵支援電流値設定部122における前記の対応関係は、片流れ対応舵角値の初期値を境に、電流を立ち上げたり立下げたりしている。これは、片流れ対応舵角値の初期値で立ち上げたり立下げたりすることで、センタ感を演出するためである。ちなみに、初期値は、例えば0degである。この初期値は、実験やシミュレーションなどの結果に基づいて、その値の大きさが適宜設定される。
なお、説明を省略しているが、EPS制御部11にもベース電流値やダンパ電流値が存在する。しかし、この保舵支援制御部12におけるベース電流値と後記するダンパ電流値は、片流れ対応制御(保舵支援)のためのものであり、基本的には、EPS制御部11におけるものとは別物である。
ローパスフィルタ123は、例えば、保舵支援電流値設定部122が出力するベース電流値の移動平均をとるなどして、ベース電流値をなます機能を有する機能部である。なお、保舵支援電流値設定部122をチューニングすることで、このローパスフィルタ123を省略することも可能である。
第1レシオ出力部は、操舵トルクセンサ42が出力する操舵トルクを入力して、操舵トルクと第1レシオの対応関係の情報に基づき、入力した操舵トルクを第1レシオに変換する機能を有する機能部である。なお、ここでの対応関係の情報は、車線変更などを容易にするため、概ね、操舵トルクの値が大きくなるほど第1レシオの値が小さくなるように設定されている。
乗算部125は、ローパスフィルタ123が出力するベース電流値に第1レシオ出力部124が出力する第1レシオを乗算して、ベース電流値を補正する機能を有する機能部である。
ダンパ電流値設定部126は、入力されるモータ回転速度、すなわち、この実施形態では、舵角の時間微分値を入力して、モータ回転速度と電流との対応関係の情報に基づき、入力したモータ回転速度を電流値(ダンパ電流値)に変換する機能を有する機能部である。ちなみに、ここでの対応関係の情報は、モータ回転速度が速くなれば、その動きを制止するようにモータ3に電流を供給すべく、ダンパ電流値を設定するものである。
なお、このダンパ電流値設定部126は、EPS制御部11における周知のダンパ制御のものとは異なる。EPS制御部11におけるダンパ制御は、車両Cの高速走行中において、ハンドルHがふらつくことを防止してどっしりとした安定感のある操舵フィールを運転者に与えるものであるが、このダンパ電流値設定部126におけるダンパ電流値は、片流れに対抗するものである。
第2レシオ出力部127は、操舵トルクセンサ42が出力する操舵トルクを入力して、操舵トルクと第2レシオの対応関係の情報に基づき、入力した操舵トルクを第2レシオに変換する機能を有する機能部である。なお、ここでの対応関係の情報は、前記の第1レシオと同様に、概ね、操舵トルクの値が大きくなるほど第2レシオの値が小さくなるように設定されている。これは、第1レシオと同様、車線変更などを容易にするためである。
乗算部128は、ダンパ電流値設定部126が出力するダンパ電流値に第2レシオ出力部127が出力する第2レシオを乗算して、ダンパ電流値を補正する機能を有する機能部である。第2レシオによるここでの補正は、前記のとおり、車線変更などを容易にするためである。
加算部129は、乗算部125が出力する電流値(ベース電流値)と乗算部128が出力する電流値(ダンパ電流値)とを加算して、目標電流値(片流れ対応)として出力するものである。本実施形態では、図2に示されるように、この目標電流値(片流れ対応)は、クルコン制御がONの場合に加算器16でEPS制御部11が出力する目標電流値(EPS制御における目標電流値)と加算される。そして、モータ3は、その加算後の目標電流値に応じて、不図示のバッテリから供給される電流に基づいて駆動される。
(中点移動制御部)
次に、中点移動制御部120を、中点移動制御部120の内部構成を示すブロック図である図4を主に参照して説明する。
図4に示すように、中点移動制御部120は、ローパスフィルタ(LPF)1201、トルク換算部1202、加算トルク算出部1203、中点移動キャンセル判定部1204、積算部1205、舵角中点移動量設定部1206などを備えている。
ちなみに、この加算トルク算出部1203は、トルク積算値を早く増大させ、中点移動を迅速に行うものである。
ローパスフィルタ1201は、操舵トルクセンサ42が出力する操舵トルクの高周波成分をカットして、低周波成分を後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する機能部である。このローパスフィルタ1201は、路面の凹凸による高周波成分をカットして、カント路を保舵する際の低周波成分の操舵トルクのみを後段の加算トルク算出部1203に出力する。
トルク換算部1202は、モータ3の出力電流(保舵支援制御部12にて出力した電流値)を入力し、この出力電流値に所定の換算係数を乗じて操舵トルクに換算し、後段の加算トルク算出部1203に出力する機能を有する機能部である。
加算トルク算出部1203は、ローパスフィルタ1201が出力する操舵トルクにトルク換算部1202が出力する値(保舵支援制御部12にて出力した電流値をトルクに換算した値)を加算して加算トルクを算出し、後段の積算部1205に出力する機能を有する機能部である。
操舵トルクに対して、保舵支援制御部12にて出力した電流値をトルクに換算した値を加算するので中点移動条件が成立しやすくなり、迅速に片流れに対応することが可能となる。
ちなみに、中点が移動されて片流れ対応制御が開始すると、モータ3の作動により、片流れに対応するための操舵トルクが減少していくので、この加算トルクはゼロに収束する方向になる。
中点移動キャンセル判定部1204は、(1)ヨーレートセンサ43から入力したヨーレートが所定の閾値を超えた場合、(2)舵角センサ41に基づくモータ回転速度が所定の閾値を超えた場合の、いずれかの場合にキャンセル条件が成立したとして、キャンセル信号を生成して後段の積算部1205に出力する機能を有する機能部である。つまり、車両挙動に応じて、キャンセル信号を生成する。
なお、旋回状態から直進状態に移行する際の旋回状態からの立ち上がりにおいて(旋回後の過渡領域において)、中点移動キャンセル判定部1204は、ヨーレートが所定の閾値以下となっても数秒間は旋回中と同様にキャンセル信号を積算部1205に出力し続けて中点移動を行わないようにする。つまり、キャンセル条件が成立していることにより、中点移動キャンセル判定部1204がキャンセル信号を出力している状況において、キャンセル条件が不成立になっても、すぐにキャンセル信号の出力を停止せずに、数秒間はキャンセル信号を出力し続ける(キャンセル条件成立→キャンセル条件不成立後、数秒間は成立扱い)。
これは、旋回後の過渡領域では、操舵トルクセンサ42で検出される操舵トルクが乱れる場合があり、積算部1205での加算トルクの積算値(トルク積算値)に妥当性が乏しいからである。例えば、運転者がカント路の傾斜に見合った舵角とする前に、片流れ対応制御が開始してしまうのは妥当ではないからである。
補足すると、運転に不慣れな運転者の場合、旋回に対してハンドルHを切り過ぎてしまう場合がある。このため、旋回終了時には、旋回方向とは反対方向へ多少操舵することがある。このとき、この反対方向への操舵もカント路面による影響とみてしまい(加算トルクを積算してしまい)、適切に片流れに対応する制御を行えない状況が生じうる。
ちなみに、中点移動キャンセル判定部1204において、ヨーレートを所定の閾値と比較することや、モータ回転速度を所定の閾値と比較することは、いわば直進状態(車両挙動)を判定しているといえ(直進状態の崩れを判定しているといえ)、この中点移動キャンセル判定部1204は、「直進状態判定手段」に相当するといえる。
積算部1205は、加算トルク算出部1203が出力する加算トルクを積算してトルク積算値とし、後段の舵角中点移動量設定部1206に出力する機能を有する機能部である。また、中点移動キャンセル判定部1204が出力するキャンセル信号を入力した場合は、トルク積算値を0にする機能(0クリアする機能)を有する。
例えば、旋回などで、中点移動がキャンセルとなった場合には、旋回以前の片流れ対応舵角値は保存されたまま、中点移動が停止される(キャンセルされる)。旋回中でも片流れ対応舵角値に応じた電流値は、モータに出力され続ける。
例えば、片流れ対応舵角値が、3degだったときに旋回に入った場合でも、3degという値は保持されたまま、旋回し、旋回中は片流れ対応舵角値の移動自体は行われず、旋回を終了した場合には、旋回終了後、さらに所定時間経過後から中点移動が行われるようになる。
片流れ対応舵角値がリセットされるのは、IG−ON/OFFなど、また、クルコンと連動されていればそのスイッチ ON/OFF時など、となる。
舵角中点移動量設定部1206は、積算部1205が出力するトルク積算値を入力して所定の閾値(中点移動判定閾値)と比較し、そして、トルク積算値が中点移動判定閾値を超える場合は、舵角の中点を移動させ、これを中点移動制御部120の出力として、減算部121(図3参照)に出力する機能を有する機能部である。
なお、この実施形態では、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えた場合に、所定の片流れ対応舵角値を設定する構成を説明しているが、トルク積算値に所定の係数を乗算などして、計算によりトルク積算値の大きさに応じた片流れ対応舵角値を設定してもよい。
(動作1)
以上では、車両Cの全体構成から、各部の具体的な構成を説明したが、次は、その動作を具体的に説明する。
図5は、運転者が、車両Cを運転して道路を走行している状況での、車体の傾斜、操舵トルク、などを示す図であり、左側の図が平坦路の場合を、中央の図がカント路において片流れ対応制御なしの場合(片流れ対応制御に入る前の場合)を、右側の図がカント路において片流れ対応制御ありの場合(片流れ対応制御に入った場合)をそれぞれ示している。
図6は、(a)がカント路において車両Cに加わる外力と運転者の操舵を示す図であり、(b)は車線によってカント路の傾斜が違うことを示す図である。
[平坦路]
図5の左側の図に示すように、直進(直線)の平坦路では、車両Cの車体は水平であり、ハンドルHもほぼ中央であり、操舵トルクもゼロを中心にして振動している状況となる(微小舵)。
なお、ここでの平坦路とは、路肩方向に目立った傾斜がないこと(つまりカント路ではないこと)を意味し、道路の進行方向に存在する上下のうねり(高低差)は問わない。
[カント路(片流れ対応制御なしの場合)]
図5の中央の図に示すように、道路の路肩方向に傾斜がついたカント路では、重力により車体流れ(車両Cに片流れ)が生じる。この図5の中央の図のように左側の路肩に向かって下る傾斜がついたカント路では、左側に向けて片流れ(車体流れ)が生じる。このため、運転者はハンドルHを右方向に傾けて保舵を行う。
本実施形態の車両用操舵装置Sのように電動パワーステアリング装置(EPS)が備わっていれば、操舵トルクに応じてEPS(EPS制御部11)が操舵トルクなどに見合う目標電流値を設定して、運転者の操舵力を補助する操舵補助力をモータ3に生じさせる。しかし、EPSは、交差点、曲線路、駐車場などにおける操舵を踏まえて作成されているため、カント路での片流れ対応、すなわち、さほど大きくない一方向の操舵トルクが長時間続く場合の対応が取れているとはいえない。つまり、さほど大きくない操舵トルクの場合は、操舵トルクの不感帯の関係などから、モータによる操舵補助力がほとんど発生されない。例えば、米国などには、道路の水はけを良くするために、カント路が続く場所があり、このような場所においては、通常のEPSでは運転者に大きな負担がかかり、快適性を損なってしまう。
なお、図6の(a)に示すように、左に下る傾斜のカント路では、「傾斜角に応じた外力」>「フリクションなどによる抵抗力」となった場合に、傾斜下方に車体流れ(片流れ)が生じる。これに対抗して直進するため、運転者は、若干右側にハンドルHを切って、その状態で保舵する。このため、運転者に負担がかかる。
また、図6(b)に示すように、車線によってカント路の傾斜が違うことがあるため、運転者は、ぞれぞれの傾斜に見合った運転をすることになる。
[カント路(片流れ対応制御ありの場合)]
図5の右側の図に示すように、同じカント路でも、片流れ対応制御がある場合は、図3に示す保舵支援制御部12の中点移動制御部120が舵角の中点を移動させる。そして、図3に示すように、EPS_ECU1は、保舵支援制御部12が出力する移動後の中点に基づく出力電流値(目標電流値(片流れ対応))をEPS制御部11が出力する目標電流値に加算(加算器16)し、モータ3に供給する実電流を生成する(モータ駆動手段17)。
この詳細は後記するが、この片流れ対応制御により、片流れ(車体流れ)が生じる状況においても、運転者がハンドルHを保舵する負担が大幅に軽減され、平坦路レベルの操舵負担を実現可能である。
(動作2)
次に、同じ図5を参照して、本実施形態の車両Cが、平坦路からカント路に侵入して片流れ対応制御が開始されるまでを時系列で説明する(適宜図2や図3など参照)。
[平坦路]
図5の左側の図に示す平坦路において、運転者がハンドルHに設置されているクルコンスイッチSWをONしたとする。すると、FI_ECU2の制御のもと、DBW弁5を制御して、定速走行を行う。これにより、運転者は、定速走行のためにアクセルペダルを操作する労力が省かれる。さらに、クルコンスイッチSWがONされたことにより、FI_ECU2では、クルコン制御部21が切替器14にクルコンスイッチSWがONされた旨の信号を出力する。この信号をトリガにして、切替器14が切り替わり、保舵支援制御部12から出力されている目標電流値を後段のリミッタ15へと通過させる。一方、切替器14は、ゼロ電流値出力部13が出力する0の電流値を遮断する。
クルコンスイッチSWがONされることにより、見かけ上、保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)は、加算器16において、EPS制御部11が出力する目標電流値に加算される。
但し、図5の左側の図に示されるように、操舵トルクの値は、0を中心に左右にほぼ均等である。このため、(図4参照)、積算部1205で積算される加算トルクは、舵角中点移動量設定部1206に設定されている閾値(中点移動判定閾値)を超えるほどの値には積算されない。
つまり、平坦路の微小舵では、舵角中点移動量設定部1206からは、片流れ対応舵角値は初期値の0degが出力される。このため(図3参照)、保舵支援電流値設定部122では、中点を移動されることのない片流れ対応舵角値をそのまま用いての制御を行う。さらに、前記のとおり直進の平坦路であることから、操舵トルク、舵角、モータ回転速度(舵角速度)はいずれも小さく、このため、保舵支援制御部12から出力される目標電流値(片流れ対応)は0か0に近い値である。
したがって、運転者によりクルコンスイッチSWがONされることでEPS制御部11が出力する目標電流値に保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)が加算されても、平坦路では、前記のとおり目標電流値(片流れ対応)は0か0に近い値である。
なお、図3〜図5により理解されるように、本実施形態の車両Cでは、常に保舵支援制御部12の各機能は作動していて、目標電流値(片流れ対応)を出力している。この点について、クルコンスイッチSWがONにされたことをトリガに、休止などしていた保舵支援制御部12の各機能が動作するようにしてもよい。
[カント路(片流れ対応制御に入る前)]
次に、車両Cが平坦路から図5の中央の図に示すカント路に侵入したとする。クルコンスイッチSWは、既に平坦路でONされているものとする。
運転者は、片流れに対応するため、ハンドルHをやや右側に切って保舵する。カント路による車両Cを左側に片流れ(車体流れ)させようとする力と、ハンドルHを右に切ったことにより車両Cの車体に生じる力とがバランスして車両Cは直進状態を保つ。当然、この状態が長く続けば、前記のように、運転者に負担をかける。
そして、ローパスフィルタ1201を通過する操舵トルクと、モータ3の出力電流をトルク換算部1202でトルクに換算した値との加算値が増大する。そして、積算部1205で積算される加算トルクは増加を続ける。
なお、中点移動キャンセル判定部1204では、(1)ヨーレートが所定の閾値を超えたこと、(2)舵角速度(モータ回転速度)が所定の閾値を超えたこと、というキャンセル条件の成立を監視しており、いずれかが超えた場合は、直進状態が崩れたとして(キャンセル条件が成立)、積算部1205にキャンセル信号を出力してトルク積算値を0にする。ちなみに、このようにキャンセル条件が成立するのは、車線変更や交差点での右左折などが考えられる。
舵角中点移動量設定部1206では、積算部1205が出力するトルク積算値が中点移動判定閾値を超えたかを監視し、超えた場合は、片流れ対応舵角値を移動(増減)させ、中点移動制御部120の出力として、減算部121(図3参照)に出力する。
なお、トルク積算値が中点移動判定閾値を超えるまでは、クルコンスイッチSWがONにされていても、保舵支援制御部12から出力される目標電流値(片流れ対応)は保舵を支援するほどではないので、運転者は保舵のための力が軽減されない。ちなみに、中点移動判定閾値を小さな値とすれば、片流れ対応制御に入るまでの時間は短くなる。
[カント路(片流れ対応制御に入った場合)]
図5の右側の図では、トルク積算値が舵角中点移動判定閾値を超え、これにより、片流れ対応舵角値が例えば増大して中点移動制御部120から出力される。この結果、保舵支援電流値設定部122では、移動後の中点により電流値が設定される。この保舵支援電流値設定部122が設定(出力)する電流値は、いわば目標電流値(片流れ対応)のベースとなる電流値(ベース電流値)である。前記のとおり、保舵支援電流値設定部122における舵角と電流値(ベース電流値)のマップ(つまり舵角と電流値との対応関係の情報)は、前記のように、舵角の0degを境に、電流を立ち上げたり立下げたりして、舵角のセンタ感を演出するようにしている。
また、本実施形態では、保舵支援電流値設定部122が出力し、ローパスフィルタ123による処理がなされたベース電流値には、第1レシオ出力部124が出力する第1レシオが乗算部125で乗算される。この第1レシオは、操舵トルクが小さい場合よりも大きい場合の方が、その値が小さくなるように設定されている。これは、右左折や車線変更や回避行動などの際に、保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)が支障とならないように、目標電流値(片流れ対応)を小さくするためである。
また、第1レシオが乗算された後のベース電流値には、ダンパ制御部126が出力するダンパ電流値が加算部129で加算される。このダンパ電流値は、モータ回転速度が0のときに絶対値が最少となるように設定されている。そして、このダンパ電流値には、第2レシオ出力部が出力する第2レシオが乗算部128で乗算される。乗算後のダンパ電流値は、速い操舵に対しては大きな値になるように、力強い操舵(右左折や車線変更や回避行動など)に対しては小さな値になるようにされ、加算部129においてベース電流値に加算される。
前記のとおり、保舵支援制御部12は、カント路や横風などの外力(さらには運転者の不意な軽い力の操舵)によってモータ3が回されないようにする電流を、換言すると運転者が保舵するハンドルHの位置が外力により動かされないようする電流を、モータ3に供給する制御を行うものである。
乗算部125により第1レシオが乗算され、かつ、加算部129によりダンパ電流値が加算されたベース電流値は、目標電流値(片流れ対応)として、保舵支援制御部12から出力される。そして、出力された目標電流値(片流れ対応)は、クルコンスイッチSWがONであることから、切替器14で選択されてリミッタ15を通過し、加算器16で加算される。
この片流れ対応制御により、本実施形態の車両Cでは、カント路や横風が吹く状況においても、運転者が決めたハンドルHの角度(切れ角)からの変位を、モータ3の力で抑制するようにされ、運転者の保舵における負担が、平坦路レベルにまで大幅に軽減される。
なお、この図5の右側の図の例では、運転者は、ハンドルHのセンタ(操舵トルク0の舵角)が中央よりも若干右側に移動したと感じる。
ちなみに、片流れ対応制御は、運転者のクルコンスイッチSWの操作により又は運転者のアクセルペダルの操作などによって、クルコンスイッチSWがOFFされたときに終了する。なお、運転者が車線変更などによりハンドルHを操舵したときは、中点移動キャンセル判定部1204の指示によって積算部1205における加算トルクを積算したトルク積算値が0クリアされ、保舵支援電流値設定部122での中点移動は行われなくなる。ただし、操舵後もカント路が続き、運転者がそのカント路に対応した保舵を継続すれば、再度、片流れ対応制御が開始して、中点移動が行われる。
[クルコン連携のフローチャート]
図7Aは、本実施形態でのクルーズコントロールと片流れ対応制御との連携を示す概略的なフローチャートである。また、図7Bは、(a)はクルコンスイッチ位置の時間推移を、(b)は実舵角の時間推移を、(c)は時間t2の時点での舵角θを初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を、(d)は時間t2の時点での舵角0を初期値とした片流れ対応舵角の時間推移を模式的に示す片流れ対応制御のタイムチャートである。
図7Aのフローチャートでは、EPS_ECU1が、クルコン(クルーズコントロール)制御中であるかどうか、つまりCC制御中フラグがクルコン制御部21から出力されているか否かを判定する(ステップS1)。運転者によりクルコンスイッチSWがONされていれば、クルコン制御中であり(ステップS1⇒Yes)、EPS_ECU1は、保舵支援制御(片流れ対応制御)をONにする(ステップS2)。つまり、EPS_ECU1の切替器14が、保舵支援制御部12が出力する目標電流値(片流れ対応)を選択するように切り替わる。これにより、片流れ対応制御(保舵支援制御)が有効化される。
一方、クルコンスイッチSWが運転者によりOFFされた場合やブレーキ操作などがされたためにOFFされた場合は(ステップS1⇒No)、クルコン制御部21からはCC制御中フラグが出力されないので、切替器14が、ゼロ電流値出力部13が出力するゼロ電流値を選択するように切り替わる。これにより、片流れ対応制御(保舵支援制御)が無効化される(ステップS3)。
ちなみに、本実施形態では、CC制御中フラグが出力されていなくても、図2〜図4に示されるように、積算部1205などの各部は機能している。このため、ステップS3では、片流れ対応制御の「システムON」かつ「システム・インアクティブ(INACTIVE)」の表示をインパネ(インストルメント・パネル)などに行い、一方、ステップS2では片流れ対応制御の「システムON」かつ「システム・アクティブ(ACTIVE)」などの表示をインパネなどに行うようにしてもよい。
図7Bの(a)のクルコンスイッチ位置_時間推移の図において、時間t1ではクルコンスイッチOFFであるが、時間t2で運転者がクルコンスイッチをONにした。このため、時間t2において、CC制御中フラグが出力される(ステップS1⇒Yes)。
図7Bの(b)の実舵角_時間推移の図において、波線で示されるように、時間t1になるまでは、運手者のハンドルHの操作による実舵角は0である。時間t1以降は、実舵角が上昇している。これは、車両Cがカント路に進入したために車体が片流れをし始めことに対応して、運転者がハンドルHを操作したことによる。
次に、図7Bの(c)片流れ対応舵角_時間推移の図において、時間t2でクルコンスイッチSWがONされたことに対応して、片流れ対応舵角が、中点移動制御部120から出力されることを示している。この例では、初期値が時間t2における実舵角θである。そして、この例では、実舵角の僅かずつの増加に対応して、段階的に片流れ対応舵角値が上昇している。このことにより、カント路における運転者によるハンドルHの保舵に要する労力が軽減される。ちなみに、この例では、時間t2において、トルク積算値>閾値となっている。
一方、図7Bの(d)片流れ対応舵角_時間推移の図において、この図は、前記の(c)の図とは異なり、片流れ対応舵角値の初期値が0degである。このため、時間t2において、中点移動制御部120が出力する片流れ対応舵角は0degからスタートし、その後、ステアリングハンドルHの僅かずつの切増しにより、前記の(c)の図と同様に、段階的に片流れ対応舵角が上昇している。
ちなみに、旋回途中に片流れ対応制御が始まるとした場合、実舵角を初期値とすると、過大な片流れ対応舵角値が設定されて運転者に違和感を与えてしまう可能性があるが、初期値が0degであれば、このような違和感を生じさせないですむ。
このように、時間t2において、運転者がクルコンスイッチSWをONにすると(図7B(a)参照)、これにより、CC制御中フラグが出力され、さらに、切替器14が、保舵支援制御部12からの目標電流値(片流れ対応)を、リミッタ15を経由して加算器16に出力する。これにより、片流れ対応制御が有効化されて操舵トルクが軽減され、運転者は、ハンドルHのセンタが移動したように感じる。
[旋回中の片流れ対応制御−1]
例えば、旋回中にクルコンスイッチSWがONされた場合を考える。旋回中であるので、操舵トルクが大きくかつトルク加算値も大きいといえる。
そして、時間t2において、運転者がクルコンスイッチSWをONしたとする。すると、目標電流値(片流れ対応)を加味した目標電流値によりモータ駆動手段17がモータ3を駆動する。
この状態で、すなわち、中点が移動された状態で、車両Cが旋回から直進に移行する立ち上がりの際、移動後の中点でモータ3の回転を抑制するように制御される。このため、直進に移行する立ち上がりの際に、ハンドルHの戻りが悪くなる(セルフアライメントトルクの効きが悪くなる)傾向が生じる。
しかし、本実施形態では、図4に示されるように、中点移動キャンセル判定部1204が、(1)ヨーレートが所定の閾値を超えたかや、(2)モータ回転速度(舵角速度)が所定の閾値を超えたかを監視して、いずれかが超えた場合はキャンセル条件が成立したとして、キャンセル信号を積算部1205に出力する。これにより、トルク積算値は0クリアされ、このため、舵角中点が移動されることはない。よって、クルコンスイッチSWがONされてEPS制御部11の目標電流値に保舵支援制御部12の目標電流値(片流れ対応)が加算されても、セルフアライメントトルクによるハンドルHの戻りを大きく阻害することはない。
[旋回中の片流れ対応制御−2]
なお、前記のように、直線からの立ち上がりで、ヨーレートが所定の閾値よりも小さくなっても、中点移動キャンセル判定部1204は、数秒間はキャンセル信号を出力し続ける。旋回からの立ち上がり後は、操舵トルクの乱れなどがあるので、この際のトルク加算値を積算部1205のトルク積算値に反映しないようにするためである。
この点を補足すると、カント路の途中に曲線部分があったとする。運転者は、曲線にあわせてハンドルHを操舵する。クルコンスイッチSWのONは、曲線(旋回中)でも解除されないが、中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートやモータ回転速度がそれぞれの閾値を超えているかを判定しており(直進判定)、閾値を超えていれば、トルク積算値を0クリアする。このため、中点移動はされず、操舵に違和感などの支障は生じない。
そして、そのまま曲線を抜けた場合、中点移動キャンセル判定部1204では、ヨーレートやモータ回転速度がそれぞれの閾値を下回る。そうすると、中点移動キャンセル判定部1204からはキャンセル信号が出力されなくなるので、積算部1205での積算が開始する。
しかし、運転に不慣れな場合や、夜間の場合など、又は、別の事情で、旋回に対してハンドルHを切り過ぎてしまう場合がある。このため、旋回終了後に、旋回方向とは反対方向へ多少操舵することがある。このとき、この反対方向への操舵もカント路面による影響とみてしまい、適切に片流れに対応する制御を行えない状況が生じうる。
図8を参照して説明すると、図8は旋回状態(図の左側)から、直進状態(図の右側)へ移行する際の、操舵トルク(細実線)、ヨーレート(太波線)、キャンセル信号(太二点鎖線)の変化を示している。なお、キャンセル信号は、太二点鎖線のラインが立ち上がることにより出力が停止(OFF)される。
この図8の例では、旋回終了あたりで(過渡領域で)、今までとは逆向きのトルクが検出されており、トルクが乱れている。これは、運転者が、切りすぎたハンドルHを修正しているためである。一方、ヨーレートは過渡領域でも直進状態を示している。なお、モータ回転速度(舵角速度)は示していないが、ほぼゼロである(閾値以内)。
ちなみに、この図8の例では、旋回の終了により、中点移動キャンセル判定部1204において、ヨーレート≦閾値、かつ、モータ回転速度≦閾値となっても(つまり直進判定に切替っても)、前記の理由により、直進判定後も数秒間、キャンセル信号を出力(ON)し続ける。これにより、前記したCC制御中フラグがONで片流れ対応制御が有効化されていようと、OFFで片流れ対応制御が無効化されていようと、片流れ対応制御は禁止される(トルク積算値が0クリアされ続ける)。この0クリアは、「あらたに補正電流値を算出しない」に相当する。
なお、この数秒間は、いわば所定時間であり、実験やシミュレーションなどにより過渡領域の時間の長さを考慮して適宜設定される時間とすることができ、また、操舵トルクの乱れに応じて動的に変化する時間として設定することもできる。
ちなみに、固定的であれ動的であれ、この設定された数秒間が過ぎると、キャンセル信号が出力されなくなるので(OFF)、積算部1205においてトルク加算値が積算されてトルク積算値が計算され、舵角中点移動量設置部1206においてその値が中点移動判定値を超えると判定されると、中点の移動が行われる。
(第1実施形態のまとめ)
以上説明した第1実施形態によれば、クルコン(クルーズコントロール)と連携して、従来のEPSでは適切に支援されなかったカント路や横風など、車両Cに片流れを生じさせる外力が生じている状況でも、適切な保舵支援が行われ、運転者の負担を大幅に軽減できる。
また、旋回からの立ち上がりに、車両挙動が直進状態と判定されても、数秒間は旋回状態のときと同様、キャンセル信号を出力し続ける。これにより、過渡領域時、仮にトルク積算値が中点移動判定閾値を超えるような状況になるとしても、実際にはトルク積算値が0クリアされ、この結果、片流れ対応制御が禁止されて(つまり補正電流値である目標電流値(片流れ対応)が算出されず)、適切な片流れ対応制御を行うことができる。
なお、本実施形態では、片流れ対応制御(保舵支援制御)をクルコンスイッチSWと連携して、クルコンスイッチSWがONになったときに、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて片流れ対応制御を有効にしていたが、これに替えて、片流れ対応制御を有効にするスイッチを設け、このスイッチがONされたときに切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えるようにしてもよい。
しかし、この片流れ対応制御を使用する場面とクルーズコントロールを使用する場面は、似通っており、そのため、本第1実施形態では、片流れ対応制御を有効にするスイッチを独立して設けず、クルコンスイッチSWと兼用することとした。これにより、部品点数が削減されるとともに、運転者の操作が簡略化される。
≪第2実施形態≫
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図9は、第2実施形態における連携を示す図である。
前記した第1実施形態(図2など参照)におけるFI_ECU2のクルコン制御部21とEPS_ECU2との連携は、クルコンスイッチSWがONのときは、片流れ対応制御(保舵支援制御)を行う場面が生じる可能性が高く、かつ、クルコンスイッチSWがONのときは、大きく操舵することが少なく、片流れ対応制御が運転者の快適性の支障になる場面が生じる可能性が低いとの想定のもと、クルコンスイッチSWのONをトリガにして、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて、片流れ対応制御を有効化していた。
しかし、この第2実施形態では、第1実施形態のような連携は行っていない一方、ナビゲーションシステムのECU(NAVI_ECU6)との連携を行っている。この連携は、NAVI_ECU6が、車両Cは直進路上にいると判定したときはその旨の信号(フラグ)を出力して、切替器14を保舵支援制御部12の側に切り替えて片流れ対応制御を有効化し、直線路上にいないと判定したときはその旨の信号(フラグ)を出力して、切替器14をゼロ電流値出力部13の側に切り替える(無効化する)というものである。その理由は、第1実施形態でのクルコン制御部21との連携と同様であるのでその説明は省略する。
また、ナビゲーションシステムは周知であるので、NAVI_ECU6の説明も省略する。
この第2実施形態でも、片流れ対応制御の有効・無効にかかわらず、保舵支援制御部12は機能しており、前記した第1実施形態と同様、旋回の終了により、中点移動キャンセル判定部1204において、ヨーレート≦閾値、かつ、モータ回転速度≦閾値となっても(つまり直進判定がされても)、直進判定後も数秒間、キャンセル信号を出力(ON)し続ける。これにより、片流れ対応制御が禁止される。
ちなみに、この第2実施形態は、第1実施形態とは異なる意味で、FI_ECU2のクルコン制御部21とEPS_ECU2が連携を行っている。以下、この第2実施形態でのクルコン制御部21との別の連携を説明する。
運転者によりクルコンスイッチSWがONされている状況は、運転者の操舵意思が低い状況といえる。このため、ハンドルHを握る力などが弱まっている可能性が高い。したがって、第2実施形態では、保舵支援制御部12が、クルコン制御部21との連携で、クルコン制御部21からCC制御中フラグ(第1実施形態で説明済み)が出力されていることを検知すると、片流れ対応制御の制御量(目標電流値(片流れ対応))を増大させるようにする(増大の仕方については後記する第3実施形態の逆の手法をとることで実現できる)。
このようにすることで、片流れ対応制御中にクルコンスイッチSWが運転者によりONされ、運転者がハンドルHを把持する力を弱めるなどしても、適切に保舵することができる。
なお、図9の符号SWのスイッチをクルコンスイッチとして説明しているが、この符号SWのスイッチをクルコンスイッチではなく、運転者がハンドルHを把持しているか否か(手離しをしているか否か)を検出する手離し検知センサとして置き換え、この手離し検知センサSWの信号を保舵支援制御部12で使用して、手離しのときなどには、片流れ対応制御の制御量を上げるようにしてもよい(つまりここでの符号SWは手離し検知センサである)。ちなみに、符号SWが、クルコンスイッチ又は手離し検知センサであると説明したが、両者は排他的な関係ではなく、両者が併存してもよいことはいうまでもない。
この第2実施形態でも、前記した第1実施形態と同様、特に、曲線状態から直線状態への移行の際に、適切な片流れ対応制御を行うことができる。また、この第2実施形態では、運転者の保舵力が弱まる状況に対して、適切な片流れ対応制御を行うことができる。
≪第3実施形態≫
前記した第2実施形態は、運転者の保舵力が弱まることに対応して、片流れ対応制御の制御量を増大する実施形態を説明したが、この第3実施形態では、逆に、片流れ対応制御の制御量(目標電流値(片流れ対応))を減少させたり、片流れ対応制御を停止させたりする実施形態を説明する。
図10は、第3実施形態の一例として、図3の保舵支援電流値設定部122における舵角と電流値との対応関係の情報を調整することで片流れ対応制御の制御量を減少する例を示す図である。
(極低車速時など)
極低車速時や停車時(アイドルストップ時)での操舵は、路面抵抗が大きく、大きな操舵力を必要とする。したがって、車輪速センサ44に基づく車速が例えば10Km/h以下の極低車速や、車速0の停車時は、片流れ対応制御の制御量(目標電流値(片流れ対応))を減少又は片流れ対応制御を停止するようにする。
その減少の仕方としては、(1) 図10に示すように、保舵支援電流値設定部122(図3参照)における舵角と電流値(ベース電流値)との対応関係の情報(マップ)についての舵角に対応する電流値(絶対値)を、実線のものから破線のもののように引下げることが考えられる。また、(2) 別の減少の仕方として、舵角中点移動量設定部1206(図4参照)で、舵角を0.2deg移動させていたが(絶対値)、つまり、片流れ対応舵角値を0degから0.2degへ移動としていたが、この移動を0.1degにすることが考えられる(ここでの角度は一例である)。また、(3) さらに別の減少の仕方として、舵角中点移動量設定部1206(図4参照)における中点移動判定閾値の値を高くすることなど、種々の仕方で片流れ対応制御の制御量の減少を実現できる。
また、片流れ対応制御の停止は、例えば、切替器14をゼロ電流値出力部13の側に切り替えることで実現できる。
(夜間)
また、夜間は、視界が悪くなるため(認識可能な前方の距離が減少するため)、運転者の目視による直進判定が甘くなる。このため、昼間であれば、運転者はカント路に対応した舵角にすぐにハンドルHを合わせられるが、夜間ではその精度が悪化する。すると、夜間では、修正舵の頻度が増える。
修正舵が増えれば、片流れ対応制御による舵角の中点の移動が頻繁に行われるので運転者に対して違和感を与える虞がある。このため、夜間は、前記と同様の手法で、片流れ対応制御量を減少又は片流れ対応制御を停止するようにする。これにより、この違和感を抑制することができる。
なお、この減少・停止の制御は、ヘッドライトのスイッチと連動させたり車両が備える時計と連動させたりして、舵角中点移動量設定部1206の片流れ対応舵角値を0.2degよりも小さくすることで実現できる(ここでの角度も一例である)。
(ウインカ操作など)
また、ウインカが操作されたときには、ウインカと連携して、片流れ対応制御の制御量を減少又は片流れ対応舵角値の移動を停止する構成とする。
また、ABS(Anti Brake Lock System)やVSA(Vehicle Stability Assist、登録商標)が作動するときや、障害物回避支援装置(追突防止装置)が作動するときは、これらと連携して、片流れ対応制御の制御量を減少又は片流れ対応舵角値の移動を停止する構成とする。なお、障害物回避装置などは、衝突余裕時間(Time To Collision;TTC)に応じて片流れ対応制御の制御量を可変させることができる。例えば、TTCが5秒のときよりも、TTCが2秒のときの方が、制御量(目標電流値(片流れ対応))が小さくなるようにする。
(曲線状態から直線状態への過渡状態)
前記の第1実施形態では、中点移動キャンセル判定部1204において、ヨーレート≦閾値、かつ、モータ回転速度≦閾値となった場合(つまり直進判定に切替った場合)、キャンセル信号を出力し続け、数秒間(しばらく)は片流れ対応制御を禁止する例を説明した。
しかし、片流れ対応制御を禁止するのではなく、前記の極低車速時、夜間、ウインカ操作などと同様の手法で、片流れ対応制御の制御量を減少することもできる。つまり、第3実施形態では、旋回後の過渡領域(図8参照)においてもキャンセル信号を出力せずに、トルク積算値を計算する(積算部1205)。そして、仮に、中点を移動しても、その制御量を減少する。
≪その他≫
以上、第1〜第3実施形態で説明した本発明は、以上の実施形態に限定されることなく実施することができる。例えば、第1実施形態での直進判定に相当する中点移動キャンセル判定部1204について、ナビゲーションシステムによって、車両Cが曲線路上や市街路上などを走行していることが分かれば、キャンセル信号を出力するようにしてもよい。
また、トルク積算値の大きさに応じて、または、トルク加算値の移動平均値の大きさに応じて、その値が大きくなるほど中点を移動させる量を大きくするようにしてもよい。この場合は、車両挙動が乱れたとき(ヨーレートや舵角などが変化したとき)は、トルク積算値を0クリアしたり移動平均値を0クリアしたりするようにすればよい。
また、切替器14やゼロ電流値出力部13は必須の構成ではなく、省略することも可能である。
また、前記の各実施形態では、保舵支援制御部12内での片流れ対応制御の制限や禁止を説明したが、禁止の例として、クルコンスイッチSWがOFFのときのように、切替器14をゼロ電流値出力部13の側に切り替えることにより片流れ対応制御を禁止するようにしてもよい。
また、低減の例として、保舵支援制御部12〜加算器16の間に目標電流値を制限する構成を設けてもよいことは言うまでもない。
また、片流れ対応制御の制限や禁止、さらには、補正電流値としての目標電流値(片流れ対応)を算出しない構成について、特定の手段や手法に限定されることもない。
また、本発明は、エンジンを備える車両Cにのみ適用可能なものではなく、電気自動車や燃料電池車など、あらゆる車種にも当然適用できるものである。ちなみに、電気自動車や燃料電池車の場合、クルーズコントロールは、例えば、走行モータ用のインバータの駆動を制御して、一定車速での走行を実現させる。また、クルーズコントロールは、アクセルに加えてブレーキも自動操作して、車間距離を所定に保つアダプティブクルーズコントロール(ACC)でも同じである。
さらには、船舶(小型船舶)などで、潮流や横風で船体が横方向に流されるような場合(片流れが生じる場足)においても、これに対応して船舶の舵取りハンドルを運転者が保舵するような状況にも適用することができる。すなわち、請求項の車両の語を船舶や乗り物に読み替えて適用することもできる。
1 EPS_ECU
11 EPS制御部
12 保舵支援制御部(片流れ対応制御手段)
120 中点移動処理部
1201 ローパスフィルタ
1202 トルク換算部
1203 差分トルク算出部
1204 中点移動キャンセル判定部
1205 積算部(積算手段)
1206 舵角中点移動量設定部(片流れ対応制御手段)
121 減算部
122 保舵支援電流値設定部
13 ゼロ電流値出力部
14 切替器
15 リミッタ
16 加算器
17 モータ駆動手段
2 FI_ECU
21 クルコン制御部(クルーズコントロール手段)
3 モータ(電動モータ)
4 センサ
41 舵角センサ(舵角検出手段)
42 操舵トルクセンサ(操舵トルク検出手段)
43 ヨーレートセンサ(車両挙動検出手段)
44 車輪速センサ
5 DBW
6 NAVI_ECU
C 車両
S 車両用操舵装置
H ハンドル(ステアリングハンドル)
SW クルコンスイッチ、手離し検出手段

Claims (5)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、
    前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する車両用操舵装置であって、
    車両に生じる片流れを検出し、当該片流れを抑制するように前記電流値を補正する片流れ対応制御手段と、
    運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチと、を備え、
    前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、
    前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態において、車両の旋回終了後から所定時間は、前記片流れ対応制御を制限又は禁止すること
    を特徴とする車両用操舵装置。
  2. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、
    前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する車両用操舵装置であって、
    舵角を検出する舵角検出手段と、
    車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
    前記車両挙動と前記舵角とに応じて車両の直進状態を判定し、直進状態と判定されているときの前記操舵トルクの積算値を算出し、
    前記積算値と前記舵角とに基づき、車両に生じる片流れを抑制するように前記電流値を補正する補正電流値を算出する片流れ対応制御手段と
    運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチとを、さらに有し、
    前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、
    前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態、且つ旋回終了後であって、車両が前記直進状態と判定され始めてから所定時間は、あらたに前記補正電流値を算出しないことを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段を有し、
    前記操舵トルクに基づき、電動モータに与える電流値を制御して操舵系にアシストトルクを付与する車両用操舵装置であって、
    舵角を検出する舵角検出手段と、
    車両挙動を検出する車両挙動検出手段と、
    前記車両挙動と前記舵角とに応じて車両の直進状態を判定し、直進状態と判定されているときの前記操舵トルクの積算値を算出し、
    前記積算値と前記舵角とに基づき、車両に生じる片流れを抑制するように前記電流値を補正する補正電流値を算出する片流れ対応制御手段と
    運転者が操作し、前記片流れ対応制御手段による片流れ対応制御を開始するスイッチとを、さらに有し、
    前記スイッチは、車両に備わるクルーズコントロール制御部によるクルーズコントロールを開始するクルーズコントロールスイッチを兼ねるものであり、
    前記片流れ対応制御手段は、前記スイッチのON状態、且つ旋回終了後であって、車両が直進状態と判定され始めてから所定時間は、前記片流れ対応制御手段の制御量を減少させることを特徴とする車両用操舵装置。
  4. 夜間走行中には、前記片流れ対応制御手段が制御量を昼間走行時よりも減少する、または前記片流れ対応制御を停止することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵装置。
  5. 夜間走行中であるか否かをヘッドライトの点灯/消灯で判定することを特徴とする請求項4に記載の車両用操舵装置。
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