JP2009096263A - 車両制御装置 - Google Patents
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- B62D5/046—Controlling the motor
- B62D5/0472—Controlling the motor for damping vibrations
Abstract
【課題】車両旋回中の、左右輪のタイヤユニフォーミティ成分の差によって、車両の旋回性能が低下することを抑制する。
【解決手段】車両の旋回時、前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪のタイヤユニフォーミティ成分に基づき、それらのタイヤユニフォーミティ成分によって車両の回転方向に力が作用する場合には、その力と同じ方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させる。その結果、車両の旋回方向に力が作用したとき、両前輪はその旋回方向に転舵されやすくなるので、車両はより曲がりやすい、つまり旋回性能が向上した状態となる。一方、旋回方向と逆方向に力が作用したときには、両前輪は旋回方向と逆方向に転舵されやすくなるので、旋回しつつ、スムーズな走行を行うことができる。これらの作用により、車両の旋回性能の低下を抑制できる。
【選択図】図3
【解決手段】車両の旋回時、前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪のタイヤユニフォーミティ成分に基づき、それらのタイヤユニフォーミティ成分によって車両の回転方向に力が作用する場合には、その力と同じ方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させる。その結果、車両の旋回方向に力が作用したとき、両前輪はその旋回方向に転舵されやすくなるので、車両はより曲がりやすい、つまり旋回性能が向上した状態となる。一方、旋回方向と逆方向に力が作用したときには、両前輪は旋回方向と逆方向に転舵されやすくなるので、旋回しつつ、スムーズな走行を行うことができる。これらの作用により、車両の旋回性能の低下を抑制できる。
【選択図】図3
Description
本発明は車輪の回転速度の変動に起因した車両の旋回性能の低下を抑制する車両制御装置に関する。
例えば特許文献1に開示された装置は、車輪の回転速度に応じた車輪回転速度信号から、車輪の1回転中における車輪の回転速度の変動値であるタイヤユニフォーミティ成分を算出し、このタイヤユニフォーミティ成分に基づいて、タイヤの空気圧状態判定、磨耗判定、及びスタンディングウェーブ判定などを行う。
特開平8−132831号公報
ここで、タイヤユニフォーミティ成分について、簡単に説明する。
タイヤは、ゴムやスチールワイヤ等を巻いて製造され、真円に近いが完全な真円ではない。また、タイヤ1周の強度や密度にはアンバランス(ユニフォーミティの崩れ)が存在する。そのため、例えば各車輪のホイールに重量バランサなどを取り付けて、各車輪の重量重心のバランスを調整している。
しかしながら、重量バランサが取り付けられた場合であっても、円周上の重量分布が完全に均一化するわけではない。そのため、車両が見かけ上、一定速度で走行している場合であっても、タイヤの重量分布の不均一さなどにより各車輪の車輪速度には微小な変動が生じる。これが、タイヤユニフォーミティ成分が生じる原因である。この車輪速度の変動は、車輪の一回転を一周期として、最大値と最小値とを有する正弦波に近い時間波形となる。
このような車輪速度の変動の周期は、前後左右の各輪間で常に一定の位相関係に保たれているわけではなく、車両の旋回や加減速、路面からの外乱などにより、その位相関係が変化する。例えば、車両が旋回しているときに、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とにおいて、車輪速度の変動周期は、同位相になる場合もあれば、逆位相になる場合もある。
そして、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪との車輪速度の変動周期が逆位相になった場合、旋回方向外側の前輪の回転速度が旋回方向内側の後輪の回転速度よりも大きいときには、車両には、旋回方向にさらに車両を回転させる力が作用する。一方、旋回方向外側の前輪の回転速度が旋回方向内側の後輪の回転速度よりも小さいときには、車両には、旋回方向とは逆方法に車両を回転させる力が作用する。このように、車両の旋回方向及びその逆方向に周期的に力が作用することで、車両の旋回性能の低下を招くおそれがある。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、車両の旋回性能の低下を抑制することが可能な車両制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の車両制御装置は、
車両の前輪とその前輪に対して対角方向に位置する後輪の回転速度に応じた車輪速度信号をそれぞれ生成する速度信号生成手段と、
速度信号生成手段がそれぞれ生成する前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号に重畳した、車輪一回転を一周期とする正弦波状の振動成分を抽出する抽出手段と、
車両が旋回中であるか否かを検出する旋回検出手段と、
旋回検出手段によって車両が旋回中であることが検出されたとき、抽出手段によって抽出された車両の前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分に基づいて、当該正弦波状振動成分によって車両の回転方向に作用する力と同じ方向となる作用力を車両の両前輪の転舵方向に作用させて、車両の旋回性能を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
車両の前輪とその前輪に対して対角方向に位置する後輪の回転速度に応じた車輪速度信号をそれぞれ生成する速度信号生成手段と、
速度信号生成手段がそれぞれ生成する前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号に重畳した、車輪一回転を一周期とする正弦波状の振動成分を抽出する抽出手段と、
車両が旋回中であるか否かを検出する旋回検出手段と、
旋回検出手段によって車両が旋回中であることが検出されたとき、抽出手段によって抽出された車両の前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分に基づいて、当該正弦波状振動成分によって車両の回転方向に作用する力と同じ方向となる作用力を車両の両前輪の転舵方向に作用させて、車両の旋回性能を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
車両が旋回しているときに、対角方向に位置する前輪と後輪との車輪速度信号における正弦波状振動成分(タイヤユニフォーミティ成分)に差があると、そのタイヤユニフォーミティ成分の差に応じて、車両の旋回方向やその逆方向に力が作用する。そして、車両の旋回方向に力が作用したとき、車両の両前輪が、旋回のための所定の転舵角に維持されたままであると、旋回方向に生じた力を、車両を旋回させるために有効に活用することが困難である。一方、車両の旋回方向と逆方向に力が作用したときには、車両が旋回しづらい状態となる。このとき、車両の両前輪が旋回のための所定の転舵角に維持されたままであると、車両はスムーズな旋回走行を行い得ないおそれがある。
そこで、請求項1の車両制御装置では、車両が旋回しているとき、前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪のタイヤユニフォーミティ成分に基づいて、それらのタイヤユニフォーミティ成分によって車両の回転方向に力が作用する場合には、その力と同じ方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させる。すなわち、タイヤユニフォーミティ成分の差によって車両の旋回方向に力が作用する場合には、その旋回方向と同じ方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させ、車両の旋回方向と逆方向に力が作用する場合には、その旋回方向と逆方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させる。その結果、車両の旋回方向に力が作用したとき、両前輪はその旋回方向に僅かではあるが転舵されやすくなるので、車両はより曲がりやすい、つまり旋回性能が向上した状態となる。一方、旋回方向と逆方向に力が作用したときには、僅かではあるが、両前輪は旋回方向と逆方向に転舵されやすくなるので、旋回しつつ、スムーズな走行を行うことができる。これらの作用により、対角方向に位置する前輪及び後輪のタイヤユニフォーミティ成分の差によって車両の旋回方向及びその旋回方向と逆方向に周期的に力が作用する場合であっても、車両の旋回性能が低下することを抑制できる。
請求項2に記載したように、車両制御装置は、ドライバがステアリングホイールを操舵することによって車両の両前輪の転舵方向を変化させるとき、ステアリングホイールに対する操舵力をアシストするために、両前輪の転舵方向に作用する作用力を発生する電動パワーステアリング装置に組み込まれていることが好ましい。この場合、電動パワーステアリング装置が本来備えているアシスト力の調整機能を利用して、容易に、両前輪の転舵方向に作用する作用力を発生することができる。
請求項3に記載したように、電動パワーステアリング装置は、車両の走行速度と、ステアリングホイールに対するドライバの操舵力とに基づいて、アシストを行うための基本作用力を算出し、制御手段は、ステアリングホールに対してドライバの操舵力が作用して、車両が旋回しているとき、少なくとも車両の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、その前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分との位相のずれに基づいて、基本作用力を増減補正することにより、両前輪の転舵方向に作用する作用力を調整することが好ましい。これにより、電動パワーステアリング装置を用いて、運転者のステアリング操作のアシスト制御と、対角方向に位置する前輪及び後輪のタイヤユニフォーミティ成分の差に起因する旋回性能の低下を抑制するための抑制制御との両立を図ることができる。
請求項4に記載したように、制御手段は、車両の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、その前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分との位相が所定値以上ずれている場合に、作用力を調整することが好ましい。上述したように、タイヤユニフォーミティ成分は、車輪の一回転を一周期とする正弦波状の振動成分である。従って、対角方向に位置する前輪と後輪のタイヤユニフォーミティ成分の位相が所定値以上ずれた場合に、タイヤユニフォーミティ成分に差が生じて、車両の旋回方向及びその旋回方向と逆方向に周期的に力が作用する傾向が生じるためである。
請求項5に記載したように、制御手段は、対角方向に位置する前輪及び後輪として、車両の旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とを採用し、車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分とに基づいて、両前輪の転舵方向に作用する作用力を調整することが好ましい。車両の旋回時には、旋回方向外側の前輪に最も大きな荷重がかかり、その結果、その旋回方向外側の前輪と、その前輪と対角方向に位置する旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の差が、車両の旋回運動に大きな影響を持つためである。
請求項6に記載したように、車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分が、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分よりも大きい場合、制御手段は、両前輪の転舵方向に基本作用力よりも大きな作用力が作用するように、基本作用力を増加補正することが好ましい。旋回方向外側の前輪のタイヤユニフォーミティ成分が、旋回方向内側の前輪のタイヤユニフォーミティ成分よりも大きくなっているとき、これらタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違によって、車両の旋回方向と同じ方向に、車両を回転させる力が作用する。このとき、両前輪の転舵方向に、基本作用力よりも大きな作用力が作用するように基本作用力を増加補正すると、相対的に小さい力でも前輪は、転舵方向に向きを変え易くなる。このため、車両は旋回方向により曲がりやすい状態となるため、車両の旋回性能を向上することができる。
上述した請求項6の構成において、請求項7に記載したように、車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさが、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさよりも大きくなるほど、制御手段は、基本作用力を増加補正する際の補正量を大きくすることが好ましい。旋回方向外側の前輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさが、旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさよりも大きくなるほど、その旋回方向に向かって車体の回転方向に作用する力もより大きくなるためである。
請求項8に記載したように、車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分が、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分よりも小さい場合、制御手段は、両前輪の転舵方向に基本作用力よりも小さな作用力が作用するように、基本作用力を減少補正することが好ましい。この場合には、タイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違によって、車両の旋回方向とは逆方向に車両を回転させる力が作用する。従って、基本作用力を減少させることにより、両前輪は旋回方向と逆方向に転舵されやすくなるので、旋回しつつ、スムーズな走行を行うことができる。
上述した請求項8の構成において、請求項9に記載したように、車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさが、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさよりも小さくなるほど、制御手段は、基本作用力を減少補正する際の補正量を大きくすることが好ましい。旋回方向外側の前輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさが、旋回方向内側の前輪の正弦波振動成分の大きさよりも小さくなるほど、車両の旋回方向とは逆方向に車両を回転させる力の大きさがより大きくなるためである。
以下、本発明の好ましい実施形態による車両制御装置100について、図面に基づいて説明する。図1は、車両制御装置100の全体構成を示す構成図である。なお、本実施形態では、車両制御装置100は、電動パワーステアリング装置に組み込まれており、電動パワーステアリング装置におけるアシストトルクの調整機能を利用して、両前輪の転舵方向に作用力を作用させる。
図1に示すように、車両制御装置100は、公知の電動パワーステアリング装置と同様に、ステアリングホイール10、ステアリングシャフト11、ピニオンシャフト12、電動パワーステアリング(EPS)用モータ16、ラックシャフト17、コントローラ200等からなる。
コントローラ200は、各種のセンサ等からの信号に基づいてEPS用モータ16の駆動を制御することにより、ドライバのステアリングホイール10の操舵操作に対してアシスト力を発生する操舵アシスト制御を実行したり、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の差によって車体の回転方向に作用する力が発生したとき、その力と同じ向きに両前輪に対して作用力を付与して、車両の旋回性能の低下を抑制する旋回制御を実行したりする。なお、旋回制御については後に詳細に説明する。
ステアリングホイール10には、ステアリングシャフト11の一端が連結され、ステアリングシャフト11の他端は、ステアリングシャフト11とピニオンシャフト12とが一体的に回動するように、ピニオンシャフト12に連結されている。ピニオンシャフト12は、入力軸と出力軸とを有し、ピニオンシャフト12の入出力軸間にはトルクセンサ15が設けられている。
ピニオンシャフト12の出力軸の端部には、ピニオンギア(図示略)が形成されている。このピニオンギアは、ラックシャフト17に形成されたラック(図示略)と噛み合わされている。ラックシャフト17の両端には、図示しないタイロッドやナックルアームなどを介して左右前輪wfl、wfrのタイヤがそれぞれ連結されている。従って、ステアリングホイール10が操舵され、ピニオンシャフト12が回転されると、そのピニオンシャフト12の回転運動が、ラック・ピニオン機構によりラックシャフト17の直線運動に変換され、ラックシャフト17の直線運動変位に応じた角度だけ、左右前輪wfl、wfrが転舵される。
トルクセンサ15は、トーションバー14を備えている。すなわち、ピニオンシャフト12の入力軸と出力軸とは、トーションバー14を介して連結されている。このため、ステアリングホイール10が操舵されると、トーションバー14が捩れて、ピニオンシャフト12の入力軸と出力軸間には、相対的な回転角度差が生じる。トルクセンサ15は、この相対的な回転角度差に基づいて、ドライバの操舵操作により入力された操舵トルクに比例した信号をコントローラ200に出力する。
ドライバのステアリング操舵力を補助するアシストトルクを発生するEPS用モータ16は、上述したラック・ピニオン機構と同様の機構を介して、ラックシャフト17に連結されている。従って、EPS用モータ16が発生するアシストトルクは、ラックシャフト17に伝達されて、ドライバの操舵操作をアシストする。
18は、左右前輪wfl、wfr、及び左右後輪wrl、wrrにそれぞれ設けられた車輪速度センサである。この車輪速度センサ18は、車輪とともに回転する円盤状のロータ(図示略)及びそのロータに近接して配置されたピックアップコイルから構成される。ロータは磁性体材料からなり、その外周に多数の歯が等間隔で形成されたものである。ピックアップコイルは、そのロータの外周面に近接して配置され、外周に形成された歯がピックアップコイルの前面を通過することに伴う磁界変化に応じた正弦波状の検出信号を出力する。この車輪速度センサ18の検出信号は、ブレーキ制御装置300に出力され、ブレーキ制御装置300において、車輪速度や、車輪速度における正弦波状の振動成分であるタイヤユニフォーミティ成分が算出されるように構成されている。ただし、車輪速度やタイヤユニフォーミティ成分の算出は、コントローラ200が行っても良い。
ブレーキ制御装置300は、車輪速度センサ18が出力する検出信号(正弦波信号)を、まず、図示しない波形成形回路によってパルス信号に波形整形する。そして、パルス信号のパルスの時間間隔に基づいて、車輪速度を演算する。さらに、車輪が一回転する間における車輪速度の正弦波状振動成分(タイヤユニフォーミティ成分)を、演算された車輪速度から算出する。このタイヤユニフォーミティ成分の算出方法は後に説明する。また、ブレーキ制御装置300は、複数の車輪速度から車両速度を求め、この車両速度とタイヤユニフォーミティ成分とをコントローラ200に出力する。
次に、コントローラ200について、詳細に説明する。図2は、コントローラ200において実行される各処理を機能ブロックとして示す機能ブロック図である。
なお、上述したように、ブレーキ制御装置300は、タイヤユニフォーミティ成分を算出するタイヤユニフォーミティ算出部320、及びタイヤユニフォーミティ算出部320にて演算された各車輪速度から車両速度を算出する車両速度算出部330を有する。これらタイヤユニフォーミティ成分及び車両速度は、それぞれ、コントローラ200における車輪位相制御部221及びアシスト制御部220に出力される。また、トルクセンサ15が検出するドライバの操舵トルクは、コントローラ200における車輪位相制御部221、位相補償部222、微分演算部223に与えられる。
車輪位相制御部221は、ブレーキ制御装置300から得たタイヤユニフォーミティ成分と、トルクセンサ15によって検出された操舵トルクに基づいて、アシスト制御部220などによって算出されるアシストトルクを補正するための補正トルクを算出する。車輪位相制御部221が算出した補正トルクは、加算部228において、目標アシストトルクに加算される。
位相補償部222は、トルクセンサ15によって検出された操舵トルクに対して位相補償を行い、アシスト制御部220に出力する。アシスト制御部220は、車両速度と、位相補償された操舵トルクとに基づいて、予め設定された特性に従って、目標アシストトルクを算出する。
微分演算部223は、トルクセンサ15によって検出された操舵トルクの微分値を演算し、その演算した微分値を慣性補償部224に出力する。慣性補償部224は、入力された操舵トルクの微分値に基づき、予め設定された特性に従って、慣性補償トルクを算出する。この慣性補償トルクは、加算部228において、アシスト制御部220が算出した目標アシストトルクに加算される。
このように、加算部228は、車輪位相制御部221が算出した補正トルク、アシスト制御部220が算出した目標アシストトルク、及び慣性補償部224が算出した慣性補償トルクをそれぞれ加算した目標アシストトルクを算出し、電流指令演算部230に出力する。電流指令演算部230は、EPS用モータ16が、入力された目標アシストトルクに応じたアシストトルクを発生することができるように、その目標アシストトルクに基づいて、電流指令値Iqを算出して出力する。この電流指令値は電流制御部240に与えられ、電流制御部240は、EPS用モータ16に通電される電流値が、その電流指令値Iqとなるように、EPS用モータ16の通電電流を制御する。
なお、車輪位相制御部221で算出される値は、トルクに限定されるものではない。例えば、アシスト補正量として、補正電流量を算出し、電流指令演算部230にて目標アシストトルクに応じた電流値に補正電流量を加算するようにしても良い。あるいは、車輪位相制御部221が、補正係数を算出し、加算部228や電流指令演算部230が出力する出力値にその補正係数を乗じることによって、その出力値を増減補正するようにしても良い。
次に、図3のフローチャートに基づいて、本実施形態の車両制御装置100において実行される一連の制御処理について説明する。
イグニッションスイッチがオンされることにより、図3のフローチャートに示す処理が開始されると、まずステップS1において、車両速度が検出される。この車両速度は、上述したように、ブレーキ制御装置300にて各車輪速度に基づいて算出されるので、ブレーキ制御装置300から取得することによって検出される。次いで、ステップS2において、トルクセンサ15から出力される検出信号に基づいて、ドライバによりステアリングホイールに入力されている操舵トルクを検出する。なお、この操舵トルクの検出処理では、操舵トルクの位相補償処理も併せて実行される。
ステップS3では、ステップS2で検出した操舵トルクに基づいて、車両が旋回中であるか、直進中であるかを判別する。具体的には、ステアリングホイール10にドライバの操舵トルクが加わり、トルクセンサ15によってその操舵トルクが検出されている場合には、旋回中、検出されていない場合には、直進中であると判別される。ただし、別途、ステアリングホイールの操舵角度を検出するステアリングセンサを設けて、そのステアリングセンサの検出信号に基づいて、旋回中であるか、直進中であるかを判別しても良い。なお、旋回中と判断されたときには、その旋回方向が検出され、一時的に保存される。ステップS3において旋回中であると判別されるとステップS4の処理に進み、直進中であると判別されると図3に示すフローチャートの処理を終了する。
ステップS4では、ステップS1で検出した車両速度と、ステップS2で検出した操舵トルクとに基づいて、予め設定されている特性に従って、目標アシストトルクを算出する。続くステップS5では、操舵トルクの微分値を算出するとともに、算出した操舵トルクの微分値に基づいて、予め設定された特性に従い、慣性補償を行うための補償トルクを算出する。
次に、ステップS6では、左右前輪のタイヤユニフォーミティ成分をブレーキ制御装置300から取得する。このタイヤユニフォーミティ成分の演算方法について説明する。ただし、タイヤユニフォーミティ成分の演算方法は、例えば特開平8−132831号公報に詳しく説明されているので、ここでは簡単に説明する。
まず、車輪速度センサ18の検出信号を波形成形してパルス信号とし、そのパルス信号における各パルスの時間間隔(Δtn)を検出する。次に、ロータの1回転分のパルス間隔Δt1〜ΔtNの平均値((ΣΔtn)/N=ΔtM)を算出する。次いで、数式1より、タイヤユニフォーミティ成分Δθu(n)にロータの加工誤差情報Δθr(n)が加わった値であるΔθ(n)を求める。
数式1では、ロータ各歯の回転角分だけ車輪が回転する時間である各パルスの時間間隔Δtnを、ロータの1回転分の各パルス時間間隔の平均値ΔtMで除算している。これにより、各パルス時間間隔の平均値ΔtMに対する各パルスの時間間隔Δtnの変動を比率Δθ(n)として求めている。
なお、以下の数式2を用いて、各パルス時間間隔の平均値ΔtMに対する各パルスの時間間隔Δtnの変動比率をM回の平均値として求めても良い。
この場合、変動比率Δθ’(n)の精度を向上することができるが、その一方で、変動比率Δθ’(n)を求めるための時間が長くなる。つまり、各パルス時間間隔の平均値ΔtMに対する各パルスの時間間隔Δtnの変動比率をM回の平均値として求めるためには、ロータ(タイヤ)がM回だけ回転する必要があり、その分、変動比率Δθ’(n)を求めるための時間が長くなる。
ここで、ロータの加工誤差情報Δθr(n)は、各車両について既知の値であり、ロータ各歯の回転角θnを、全歯Nの回転角の平均値(2π/N)で割った回転角比で表すことができる(数式3参照)。この値は測定データとしてブレーキ制御装置300内に記憶させておく。
そして、以下の数式4に示すように、数式1又は数式2によって求めた、各パルス時間間隔の平均値ΔtMに対する各パルスの時間間隔Δtnの変動比率から、ロータの加工誤差情報Δθr(n)を減算することにより、タイヤユニフォーミティ成分Δθu(n)を求める。
なお、数式4において、変動比率Δθ(n)及びロータの加工誤差情報Δθr(n)から1を減じているのは、それぞれの値が、基準値に対する比率として算出されているためである。
また、ロータの加工誤差情報Δθr(n)を求めなくとも、例えば、変動比率Δθ(n)に対して、バタワース二次ローパスフィルタを適用することによって、ロータ加工精度情報の高周波成分を取り除くことができる。このようなフィルタを適用して、タイヤユニフォーミティ成分Δθu(n)を求めても良い。
次いで、ステップS7では、ステップS6にて取得した対角方向に位置する前輪と後輪のタイヤユニフォーミティ成分の位相のずれ及び大きさの相違を算出する。対角方向に位置する前輪と後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の位相のずれ及び大きさの相違に応じて、それらのタイヤユニフォーミティ成分により車体の回転方向に作用する力が変化するためである。
ここで、対角方向に位置する前輪及び後輪として、車両の旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とを採用することが好ましい。車両の旋回時には、旋回方向外側の前輪に最も大きな荷重がかかり、その結果、その旋回方向外側の前輪と、その前輪と対角方向に位置する旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の差が、車両の旋回運動に大きな影響を持つためである。従って、ステップS6では、旋回方向に応じて、旋回方向外側の前輪となる前輪のタイヤユニフォーミティ成分と、旋回方向内側の後輪となる後輪のタイヤユニフォーミティ成分とが取得される。
例えば、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側のタイヤユニフォーミティ成分の位相が所定値(例えば1/4周期)以上ずれて逆位相になっているとみなせる場合であって、旋回方向外側のタイヤユニフォーミティ成分が旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分よりも大きいときには、旋回方向に向かってさらに車体を回転させる力が作用する。逆に、旋回方向外側のタイヤユニフォーミティ成分が旋回方向内側のタイヤユニフォーミティ成分よりも小さいときには、車両の旋回方向とは逆方向に回転させる力が作用する。なお、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の位相のずれが所定値(例えば1/4周期)より小さく、同位相とみなせる場合、それらタイヤユニフォーミティ成分の差による車両を回転させる力は無視できる程度のものとなる。
このように、対角方向に位置する前輪と後輪のタイヤユニフォーミティ成分によって、車両の旋回方向及びその逆方向に周期的に力が作用すると、車両の旋回性能の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施形態では、ステップS8において、対角方向に位置する前輪及び後輪のタイヤユニフォーミティ成分、特に、旋回方向外側の前輪及び旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分が所定値(例えば1/4周期)以上ずれているか否かに基づいて、それらのタイヤユニフォーミティ成分が逆位相か同位相かを判別する。このとき、逆位相と判別されると、上述したように、タイヤユニフォーミティ成分の差によって車両を回転させる力が作用するので、ステップS9以降の処理に進んで、補正トルクを決定する。この補正トルクの決定手法については、後に詳細に説明する。一方、同位相と判別されると、それらタイヤユニフォーミティ成分の差による車両を回転させる力は無視できる程度のものであるため、図3のフローチャートに示す処理を終了する。
ステップS9では、旋回方向外側の前輪及び旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違に基づいて、補正トルクを、図5(a)、(b)に示すマップから決定する。この補正トルクは、基本的に、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分によって車両の回転方向に力が作用するとき、その力と同じ方向となる作用力を両前輪の転舵方向に作用させるように決定される。
ステップS9において決定された補正トルクは、ステップS10において、目標アシストトルク及び補償トルクに加算されて、最終目標アシストトルクが算出される。従って、電動パワーステアリング装置が、ドライバの操舵トルクに基づいて設定する基本となる目標アシストトルク(目標アシストトルクと補償トルクとの加算トルク)が、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違に基づいて設定された補正トルク分だけ補正される。このため、ドライバのステアリング操舵力のアシスト制御を行いつつ、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分により車両の回転方向に作用する力に応じて、車両の旋回性能の低下を抑制するように、両前輪の転舵方向に作用する作用力が調整される。
ステップS11では、ステップS10にて算出された最終目標アシストトルクに基づいて、モータ電流指令値Iqを算出する。そして、ステップS12において、モータ電流が電流指令値Iqに一致するように、EPS用モータ16への通電電流が制御される。
コントローラ200は、以上のような処理を所定の制御処理間隔(例えば12ms)毎に繰り返し実行し、イグニッションスイッチがオフされることにより、その処理を終了する。
次に、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とのタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違に基づく補正トルクの決定方法について具体例に基づいて説明する。なお、以下の説明では、理解を容易とするために、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分が完全に逆位相となっている場合を例にとって、補正トルクの決定方法を説明する。しかし、左右前輪のタイヤユニフォーミティ成分の位相関係が、完全に逆位相となっていなくとも、逆位相とみなせる場合には、以下の説明と同様の手法で補正トルクを決定することができる。
図4(a)〜(c)は、車両が旋回しているときに、旋回方向外側の前輪(右前輪wfr)と旋回方向内側の後輪(左後輪wrl)のタイヤユニフォーミティ成分が逆位相となっている場合の、右前輪wfr及び左後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwfr、Vwrl及び補正トルクを算出するための補正ゲインの変化の様子を示している。なお、補正トルクは、この補正ゲインを、トルクセンサ15によって検出された操舵トルクに乗じることによって求められ、補正ゲインの大きさは、補正トルクの大きさと相関している。
ブレーキ制御装置300において、図4(a)、(b)に示すようなタイヤユニフォーミティ成分Vwfr,Vwrlが算出されると、コントローラ200では、タイヤユニフォーミティ成分Vwfr,Vwrlの位相が所定値(例えば1/4周期)以上ずれているため、逆位相であると判別する。コントローラ200には、旋回方向外側の前輪wfrと旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwfr,Vwrlの位相が逆位相である場合に、補正ゲインを決定するためのマップが記憶されている。
図5(a)は、車両が左旋回しているときの、補正ゲインを算出するためのマップの一例を示し、図5(b)は、車両が右旋回しているときの、補正ゲインを決定するためのマップの一例を示している。なお、左旋回時と右旋回時とでは、タイヤユニフォーミティ成分の差を求める対象輪が異なる(左旋回時は、右前輪wfrと左後輪wrlであり、右旋回時は、左前輪wflと右後輪wrrである)ため、図5(a)、(b)において、左旋回用のマップと右旋回用のマップとを示している。ただし、両マップから得られる補正ゲインの値は共通であるため、1つのマップを左旋回時と右旋回時とで共用しても良い。
図4(a)〜(c)において、時刻t0〜t1の期間及び時刻t2〜t3の期間では、旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlよりも大きい。
旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlよりも大きくなっているとき、これらタイヤユニフォーミティ成分Vwfr、Vwrlの大きさの相違によって、車両の旋回方向にさらに車両を回転させる力が作用する。このような状態においては、電動パワーステアリング装置によって、ドライバの操舵トルクなどに応じた基本目標アシストトルクがそのまま、両前輪に作用すると、旋回方向にさらに車両を回転させるように生じた力を、車両の旋回に有効に活用することが困難である。
そのため、図4(c)に示すように、時刻t0〜t1の期間及び時刻t2〜t3の期間では、補正ゲインとして正の符号を持った補正ゲインを決定する。これにより、補正ゲイン(補正トルク)によって、電動パワーステアリング装置による基本目標アシストトルクが増加補正され、両前輪には、その基本目標アシストトルクよりも大きなアシストトルクが作用するようになる。すると、両前輪は、相対的に小さい力でも前輪は、転舵方向に向きを変え易くなる。このため、車両は旋回方向により曲がりやすい状態となるため、車両の旋回性能を向上することができる。
一方、時刻t1〜t2の期間及び時刻t3〜t4の期間では、旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlよりも小さい。
旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlよりも小さくなると、これらタイヤユニフォーミティ成分Vwfr、Vwrlの大きさの相違によって、車両の旋回方向とは逆方向に車両を回転させる力が作用する。このような状態においても、電動パワーステアリング装置によって、ドライバの操舵トルクなどに応じた基本目標アシストトルクがそのまま両前輪に作用して、車両の両前輪が旋回のための所定の転舵角に維持されたままであると、車両はスムーズな旋回走行を行い得ないおそれがある。
そのため、図4(c)に示すように、時刻t1〜t2の期間及び時刻t3〜t4の期間では、補正ゲインとして負の符号を持った補正ゲインを決定する。これにより、補正ゲイン(補正トルク)によって、電動パワーステアリング装置による基本目標アシストトルクが減少補正され、その基本目標アシストトルクよりも小さなアシストトルクが作用するようになる。これにより、両前輪は旋回方向と逆方向に転舵されやすくなるので、旋回しつつ、スムーズな走行を行うことができる。
なお、図4(c)に示すように、補正ゲインは、左右前輪のタイヤユニフォーミティ成分Vwfr、Vwrlの大きさの相違に応じて変化するように設定される。具体的には、車両の旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrの大きさが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlの大きさよりも大きくなるほど、補正ゲインは、正の方向に大きくなる(正の値として絶対値が大きくなる)。これは、旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrの大きさが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlの大きさよりも大きくなるほど、車両の旋回方向において車両をさらに回転させる力の大きさが大きくなるためである。また、車両の旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrの大きさが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlの大きさよりも小さくなるほど、補正ゲインは、負の方向に大きくなる(負の値として絶対値が大きくなる)。これは、旋回方向外側の前輪wfrのタイヤユニフォーミティ成分Vwfrの大きさが、旋回方向内側の後輪wrlのタイヤユニフォーミティ成分Vwrlの大きさよりも小さくなるほど、車両の旋回方向と逆方向に車両を回転させる力の大きさがより大きくなるためである。
旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違に応じて、上述したように補正ゲインを変化させるため、図5(a)、(b)に示すように、補正ゲイン決定マップは、旋回方向内側の後輪のタイヤユニフォーミティ成分から旋回方向外側の前輪のタイヤユニフォーミティ成分を減算した減算結果が、0から大きくなるに従い、補正ゲインが徐々に負の方向に大きくなり、逆に0から小さくなるに従い、補正ゲインが徐々に正の方向に大きくなるように設定されている。ただし、補正ゲインは、負の方向及び正の方向において、それぞれ限界値(例えば、−0.1、+0.1)が定められており、その限界値以内の範囲で変化する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
例えば、上述した実施形態においては、対角方向に位置する前輪及び後輪として、旋回方向外側の前輪と旋回方向内側の後輪とを用い、これらのタイヤユニフォーミティ成分の差から、電動パワーステアリング装置の基本アシストトルクを補正するための補正トルクを求めた。しかしながら、対角方向に位置する前輪及び後輪として、旋回方向内側の前輪及び旋回方向外側の前輪を用い、これらのタイヤユニフォーミティ成分から補正トルクを算出するようにしても良い。
また、上述した実施形態では、まず、対角方向に位置する前輪と後輪のタイヤユニフォーミティ成分が逆位相か否かを判断し、逆位相である場合に、それらの大きさの相違から補正トルクを求めた。しかしながら、例えば、対角方向に位置する前輪と後輪のタイヤユニフォーミティ成分の大きさの相違を求め、それが所定値よりも大きければ、その大きさの相違に基づいて補正トルクを算出するようにしても良い。
また、上述した実施形態では、車両制御装置100のコントローラ200における、アシスト制御部220、車輪位相制御部221、及び慣性補償部224がそれぞれモータのトルクを示す値を出力したが、そのトルクに対応する電流値を出力するものであっても良い。
10 ステアリングホイール
16 EPS用モータ
18 車輪速度センサ
100 車両制御装置
200 コントローラ
300 ブレーキ制御装置
16 EPS用モータ
18 車輪速度センサ
100 車両制御装置
200 コントローラ
300 ブレーキ制御装置
Claims (9)
- 車両の前輪とその前輪に対して対角方向に位置する後輪の回転速度に応じた車輪速度信号をそれぞれ生成する速度信号生成手段と、
前記速度信号生成手段がそれぞれ生成する前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号に重畳した、車輪一回転を一周期とする正弦波状の振動成分を抽出する抽出手段と、
前記車両が旋回中であるか否かを検出する旋回検出手段と、
前記旋回検出手段によって前記車両が旋回中であることが検出されたとき、前記抽出手段によって抽出された車両の前輪及びその前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分に基づいて、当該正弦波状振動成分によって車両の回転方向に作用する力と同じ方向となる作用力を前記車両の両前輪の転舵方向に作用させて、前記車両の旋回性能を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする車両制御装置。 - 前記車両制御装置は、ドライバがステアリングホイールを操舵することによって車両の両前輪の転舵方向を変化させるとき、前記ステアリングホイールに対する操舵力をアシストするために、前記両前輪の転舵方向に作用する作用力を発生する電動パワーステアリング装置に組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
- 前記電動パワーステアリング装置は、車両の走行速度と、前記ステアリングホイールに対するドライバの操舵力とに基づいて、アシストを行うための基本作用力を算出し、
前記制御手段は、前記ステアリングホールに対してドライバの操舵力が作用して、車両が旋回しているとき、少なくとも前記車両の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、その前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分との位相のずれに基づいて、前記基本作用力を増減補正することにより、前記両前輪の転舵方向に作用する作用力を調整することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。 - 前記制御手段は、前記車両の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、その前輪と対角方向に位置する後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分との位相が所定値以上ずれている場合に、前記作用力を調整することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
- 前記制御手段は、前記車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分と、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分とに基づいて、前記両前輪の転舵方向に作用する作用力を調整することを特徴とする請求項4に記載の車両制御装置。
- 前記車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分が、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分よりも大きい場合、前記制御手段は、前記両前輪の転舵方向に前記基本作用力よりも大きな作用力が作用するように、前記基本作用力を増加補正することを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
- 前記車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさが、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさよりも大きくなるほど、前記制御手段は、前記基本作用力を増加補正する際の補正量を大きくすることを特徴とする請求項6に記載の車両制御装置。
- 前記車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分が、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分よりも小さい場合、前記制御手段は、前記両前輪の転舵方向に前記基本作用力よりも小さな作用力が作用するように、前記基本作用力を減少補正することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の車両制御装置。
- 前記車両の旋回方向外側の前輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさが、旋回方向内側の後輪の車輪速度信号における正弦波状振動成分の大きさよりも小さくなるほど、前記制御手段は、前記基本作用力を減少補正する際の補正量を大きくすることを特徴とする請求項8に記載の車両制御装置。
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