JP3908102B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者がハンドル(ステアリング・ホイール)を所定の中立位置に戻そうとする際に、その出力が期待されるハンドル戻しトルクTR の値を算出するハンドル戻し制御手段を有する電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のタイプの電動パワーステアリング装置としては、例えば、公開特許公報「特開2000−289639:電動パワーステアリング装置」(以下、公知例1と言う。)に記載されているもの等が一般に広く知られている。これらの従来技術は、回転角センサを持たないモータ制御装置により制御される電動パワーステアリング装置に有用である。
【0003】
これらの従来技術に基づいたハンドル戻し制御手段の制御ブロックダイヤグラムを図15に例示する。例えばこの様な従来技術に基づいたハンドル戻し制御手段においては、操舵トルクτと操舵角速度ω(推定値)の各値を入力して、ハンドル戻しトルクTR の出力要否に関する要否判定フラグS(=ON/OFF)を出力する戻しトルク要否判定手段と、車速uと操舵角速度ωの各値を入力して、ハンドル戻しトルクの中間結果TR ′を出力するハンドル戻しトルク演算部とを備え、これらの出力値(S,TR ′)に基づいて、ハンドル戻しトルクTR の値を制御している。
【0004】
例えば、図15の戻し制御中止手段においては、S=ONの時TR =TR ′を出力し、S=OFFの時TR =0を出力している。
また、戻しトルク要否判定手段の終了判定部では、ハンドルの操舵角速度ω(推定値)の値に基づいて、ハンドル戻しトルクTR の出力の終了すべきタイミングを判定している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図16、図17、図18は、上記の従来技術に基づいた操舵系に関する、各操舵状況(操舵トルクτ,ハンドル戻しトルクTR ,絶対操舵角)の測定データを例示するグラフである。
以下、中立点をゼロ点(基準点)とし、右向き(時計回り)を負の向き、左向き(反時計回り)を正の向きとする。
【0006】
例えば、図16、図18に例示される様な操舵が行われた場合、上記の公知例1などの従来技術においては、ハンドルの操舵角速度ω(推定値)の値のみに基づいてハンドル戻しトルクTR (図17)の出力の終了時期が判定されるため、図17、図18に例示する様に、ハンドル戻しトルクTR の出力の終了すべきタイミングの判定が遅れがちとなり、時にはこの出力期間が不当に延長されて、図18に例示する様にハンドルが約30°程度もオーバーシュートしてしまう恐れが有る。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、モータを有するパワーステアリング装置において、ハンドル戻しトルクTR の出力値の過不足が生じ難い、より良好なハンドル戻し制御を実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、本発明の第1の手段は、車両の操舵機構に補助トルクを付与するモータと、このモータを駆動制御するモータ制御装置と、運転者がハンドル(ステアリング・ホイール)を所定の中立位置に戻そうとする際にモータによる出力が期待されるハンドル戻しトルクTR の値を算出するハンドル戻し制御手段とを有する電動パワーステアリング装置において、ハンドルの角速度ωと運転者がハンドルに付与する操舵トルクτの両変数の変動形態に基づいてハンドル戻しトルクTR の出力の必要期間を判定する戻しトルク要否判定手段と、この戻しトルク要否判定手段が出力する所定の判定結果(否)に基づいて、ハンドル戻しトルクTR の出力を中止する戻し制御中止手段とを備え、上記の戻しトルク要否判定手段における上記の必要期間の終了判定に操舵トルクτの値又は符号を用い、ハンドル戻し制御手段によりハンドルが戻された角度の絶対値であるハンドル戻り角θ(≧0)をハンドルの角速度ωに関する時間積分演算を用いて算出する戻り角算出手段と、ハンドル戻し制御手段により算出されたハンドル戻しトルクT R に対して、更に、調整係数(ゲインG2)を掛けるスケール調整手段とを設け、スケール調整手段では、ハンドル戻り角θを独立変数とする関数h(θ)を用いて調整係数(ゲインG2)を算出することである。
上記の時間積分の開始時刻は、ハンドル戻し制御により戻しトルクT R (≠0)の出力を開始する時刻で良い。
【0009】
即ち、上記の必要期間の終了判定に、従来から用いられている操舵角速度ωと運転者がハンドルに付与する操舵トルクτの双方を利用するのである。
操舵トルクτは、運転者の操舵意志を最も直接的、端的かつ忠実に表している物理量であるため、操舵トルクτ又はその微分値(dτ/dt)等の操舵トルク関連値を上記の終了判定に用いることにより、より的確な終了判定を実施することが容易又は可能となる。
【0010】
したがって、本発明の第1の手段によれば、前記の様な終了判定の遅延等が効果的に防止でき、よって、オーバーシュート等の不具合を効果的に、防止、解消、或いは緩和することが、容易又は可能となると共に、操舵系に必要なハンドル戻しトルクTR を適度に付与できる。
また、例えば、操舵系の慣性量(イナーシャ等)が比較的大きい場合や、操舵系に働く摩擦(機械系の内部摩擦や路面との外部摩擦等)が比較的小さい場合等には、ハンドル戻しトルクT R は、ハンドルを戻し始めてから、そのハンドル戻り角が最初の10°〜30°付近に至るまでの間に、比較的大きければ十分であることが少なくない。
本発明の第1の手段によれば、車種等に依存する各種の操舵系の具体的な特性に応じて、ハンドル戻り角θに依存した形で、ハンドル戻しトルクT R の値を最適化することが可能となる。これにより、従来よりも的確にハンドル戻しトルクT R の値を算定することが可能になる。
以下、より具体的に説明する。
【0011】
即ち、本発明の第2の手段は、上記の第1の手段の戻しトルク要否判定手段において、操舵トルクτの操舵方向の反転事象を検出する反転事象検出手段を設けることである。
ハンドル戻しの操舵意志の消滅時期や、オーバーシュートを防止しようとする際には、通常、運転者による操舵方向の反転操作が見られる。
したがって、本発明の第1の手段によれば、従来より早いタイミングでハンドル戻しトルクTR の出力の必要期間を判断することが可能となり、よって、効果的にオーバーシュート等の不具合を防止或いは緩和することが可能となる。
【0012】
また、第3の手段は、上記の第1又は第2の手段の戻しトルク要否判定手段において、操舵トルクτの絶対値の時間微分の値を判別する変動勾配判定手段を設けることである。
【0013】
例えば、ハンドル戻しの操舵中に操舵トルクτの絶対値がある程度以上の値を持っている時には、比較的強い操舵意志が有るものと判断されるが、そのτの絶対値が急速に減少しつつある時には、ハンドル戻しトルクTR の出力の必要性も急速に減衰していくものと推定できる。
したがって、本発明の第3の手段によれば、ハンドル戻し制御の必要期間を比較的高い精度で推定或いは予測することが可能となり、よって、効果的にオーバーシュート等の不具合を防止或いは緩和することが可能となる。
【0014】
また、第4の手段は、上記の第1乃至第3の何れか1つの手段の戻しトルク要否判定手段において、操舵トルクτとハンドルの角速度ωとの積値τωが、所定の適正範囲に収まるか否かを判定する積値適正判定手段を設け、この積値τωが適正範囲に留まる期間の少なくとも一部分をハンドル戻しトルクTR の必要な期間と判定することである。即ち、運転者の仕事率を基準に判定するのである。
【0015】
前記の公知例1では、極めて複雑な制御処理手順により、ハンドル戻し制御を実現する実施形態が開示されている。この様に制御処理手順が複雑となる主な原因は次の通りである。
(原因1)制御を左右別々に分けて実行している。
(原因2)よって、「戻り中判定タイマ」をも左右別々に設置している。
(原因3)よって、「戻り中判定タイマ」の更新処理が複雑。
【0016】
しかしながら、本発明の第4の手段によれば、これらの制御処理を左右別々に分けることなく、運転者の仕事率τωと言う上位概念により、これらの制御処理をより統一的に構成することが可能となるため、プログラムの開発ステップ数や実行時のダイナミックステップ数を大幅に削減することができる。
したがって、本発明の第4の手段によれば、電動パワーステアリング装置の生産性や実行性能を効果的に向上させることができる。
尚、この実施形態については、本発明の第2実施例でより詳しく例示する。
【0017】
また、第5の手段は、上記の第1乃至第4の何れか1つの手段のハンドル戻し制御手段において、ハンドルの角速度ω及び車両の車速uを独立変数とする関数F(ω,u)によりハンドル戻しトルクTR を算出し、この関数F(ω,u)を関数f(ω)と関数g(u)との積で表し、更に、関数f(ω)を、f(−ω)=−f(ω)を満たし、かつ、最大値を与える角速度ω1(>0)に対して、−ω1≦ω≦ω1では広義の単調増加関数、ω1≦|ω|では広義の単調減少関数とすることである。
【0018】
ただし、ここで、広義の単調増加関数とは、所定の定義域において「a<b⇒f(a)≦f(b)」なる関数のことを言う。また、広義の単調減少関数とは、同様に、所定の定義域において「a<b⇒f(a)≧f(b)」なる関数のことを言う。
【0019】
この様な関数fの設定形態は、上記の公知例1にも見られるが、この様な関数fの設定形態と上記の各手段との組み合わせ(本発明の第5の手段)により、従来よりも効果的にハンドル戻しトルクTR の過大化を阻止することができる。したがって、本発明の第5の手段によれば、オーバーシュートを従来よりも更に効果的に防止又は緩和することが可能となる。
【0022】
また、例えば、操舵系の慣性量(イナーシャ)が比較的大きい場合や、操舵系に働く摩擦(機械系の内部摩擦や、路面との外部摩擦等)が比較的小さい場合等には、以下の手段が有効となる。
即ち、本発明の第6の手段は、上記の第1乃至第5の何れか1つの手段において、上記の関数h(θ)を広義の単調減少関数にすることである。
例えばこの様な手段により、ハンドル戻しトルクTR の過大化減少を効果的に阻止することが可能である。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔第1実施例〕
図1は、本発明の各実施例に係わる電動パワーステアリング装置100のシステム構成図である。
【0024】
図1のステアリングシャフト10の一端には、ハンドル(ステアリングホイール)11が取り付けられ、他端にはギヤボックス12に軸承されたピニオン軸13が結合されている。ピニオン軸13は、ギヤボックス12に嵌装されたラック軸14に噛合され、また図示していないが、このラック軸14の両端はボールジョイント等を介して図略の操向車輪に連結されている。また、ステアリングシャフト10には、アシストトルクを付与するモータMが、減速比Giを有する2つの歯車17を介して連結されている。
【0025】
モータ制御装置110は、CPU111、ROM112b、RAM112a、駆動回路113、A/D変換器や測定信号退避レジスタ等を有する入力インターフェイス(IF)114、モータ電流Iを検出する電流検出器115、及び、モータ電圧Vを検出する電圧検出器116等から構成されている。また、電流検出器115、及び電圧検出器116は、チョッパ制御や、或いはモータMの駆動(回転)等により発生する高周波ノイズを取り除く図略のローパスフィルタ回路を有する。
【0026】
駆動回路113は、バッテリー、PWM変換器(113a)、PMOS駆動回路等から構成され(図2参照)、公知のチョッパ制御によりモータ電流IをモータMに供給する。即ち、このモータMには、指令電圧Vn に基づいてモータ制御装置110の駆動回路113より、電流検出器115と電圧検出器116を介してモータ電流Iが供給される。
【0027】
更に、ステアリングシャフト10には、運転者からステアリングホイール(ハンドル)11に加えられたマニュアル操舵力の大きさ及びその方向(操舵トルクτ)を検出するためのトルク検出器15が設けられている。
【0028】
モータ制御装置110のCPU111には、ハンドルの操舵トルクτの検出に利用されるトルクセンサ15や、車速uの算出に利用される車速計50等からの出力信号(実時間測定値)や、上記のモータMに関する検出値I,V,Θが入力インターフェイス(IF)114を介して入力される。CPU111は、これらの入力値から所定のトルク計算に基づいて、モータMが出力すべきトルク値(指令トルクT)を決定し、更に、この指令トルクTに基づいて指令電流In が決定される。
【0029】
図2は、電動パワーステアリング装置100が有するモータ制御装置110の制御ブロックダイヤグラムである。本図2のトルク電流変換部280は、指令電流In を上記の指令トルクTに基づいて決定する制御ブロックであり、主にIn −Tマップ(テーブルデータ)等から構成されている。このIn −Tマップは、指令電流In の上限値及び下限値を規定する「電流指令リミッタ」の役割をも同時に果たしている。
【0030】
PI制御部290は、公知の比例積分制御(或いは、比例制御、比例積分微分制御)により、電流偏差ΔI(≡In −I)に基づいて、モータMに印加すべき電圧の指令値Vn を算出する。
また、回転速度演算部190は、モータMの電流I、電圧V、インピーダンスZに基づいて、モータMの回転速度Ωを算出する。
【0031】
指令トルク演算部200は、操舵トルク演算部170により算出されたハンドルの操舵トルクτや、車速演算部160により算出された車速uや、回転速度演算部190により算出されたモータMの回転速度Ω等に基づいて、出力すべき所望のトルク指令値(指令トルクT)を算出する。
【0032】
指令トルク演算部200は、主に、アシスト・トルクTA を算出するアシストトルク演算部210と、慣性補償トルクTK を算出する慣性補償トルク演算部220と、ダンパー・トルクTD を算出するダンパー・トルク演算部230と、ハンドル戻しトルクTR を算出するハンドル戻しトルク演算部240等から構成されている。指令トルク演算部200は、次式(1)に従って、指令トルクTを算出する。
【数1】
T=TA +TK +TD +TR …(1)
【0033】
図3は、指令トルク演算部200が有するハンドル戻し制御手段240の制御ブロックダイヤグラムである。本図3は、前述の図15と構成が似通っているが、終了判定部243においても、運転者がハンドル11に付与する操舵トルクτを入力(参照)している点が、公知例1等に代表される従来技術(図15)と本質的に大きく異なっている。
【0034】
即ち、本図3の戻しトルク要否判定手段241の一部を構成している終了判定部243においては、ハンドル戻しトルクTR の出力の必要期間の終了判定条件に操舵トルクτの値をも用いて終了判定を実行している。
トルク要否判定手段241や終了判定部243等に関するより具体的な説明は、後で図5を用いて例示的に詳述する。また、戻し制御中止手段248に関するより具体的な説明についても、後で図6を用いて例示的に詳述する。
【0035】
上記のハンドル戻しトルク演算部246(図3、図4)においては、公知或いは任意の適当な手順により、操舵角速度ω、及び車速uに基づいて、ハンドル戻しトルクTR ′(TR を算出する際の中間結果)の好適値を求める。
図4に、このハンドル戻しトルク演算部246の制御ブロックダイヤグラムを例示する。
【0036】
車速uの低速領域や、路面とタイヤの摩擦係数μが小さい場合等には、モータMをも含めた操舵系に発生する摩擦抵抗に比して路面反力(セルフアライニングトルク)が比較的小さく成ってしまう傾向がある。そこで、このハンドル戻しトルクTR ′は、例えば図4に示す様に、路面反力が得られ難い低速領域において、モータMの回転方向に作用する様に設定する。もちろん摩擦係数μに応じた設定を行っても良い。
【0037】
図5は、本第1実施例における戻しトルク要否判定手段241を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャートである。
(記号)
S … 要否判定フラグ(S=ONの期間が、TR の出力の必要期間)
τ … 操舵トルク
τ0 … S=ON設定時の操舵トルクτの値の退避領域
ω … 操舵角速度
ω0 … S=ON設定時の操舵角速度ωの値の退避領域
【0038】
ただし、上記の操舵角速度ωは、次式(2)〜(4)に基づいて算出される推定値を用いるものとする。
【数2】
ω = Ω/Gi …(2)
【数3】
Ω =(V−ZI)/Ke …(3)
【数4】
Z = ρ + λS …(4)
(記号定義)
Gi : 減速比(モータとピニオン軸とのギヤ比)
e : モータの逆起電力定数
V : モータ電圧(実時間測定値)
I : モータ電流(実時間測定値)
Z : モータのインピーダンス
ρ : モータの電気子抵抗
λ : モータのインダクタンス
【0039】
また、フラグSの初期値はOFF、カウンタnの初期値は0とし、これらはシステム(電動パワーステアリング装置100)の起動時(電源投入時)に初期化しておく。定数Nの値は、本ルーチンの実行周期と、τやωの各センサの測定精度と信頼性に基づいて決定する。τやωの測定精度が高く、更にノイズ等による測定誤差が小さいシステムにおいては、所定の実行周期に対してNの値を比較的小さく設定することができる。ε1,ε2,ε3は0以下の所定の定数で、Nの値と同様に経験的に最適値を求めることができる。例えば、トルクセンサ15の不感帯が広い場合には、それに応じてε2の絶対値も大きくすると良い。ε1やε3についても同様である。
【0040】
また、例えば、このルーチンを20ミリ秒周期で呼び出して実行する場合、一般に普及している操舵トルクなどの各種のセンサを用いて構成したシステム構成下では、若干のノイズが想定される場合であっもNの値を例えば3程度にすることができる。即ち、この設定によれば、ステップ410に示す判定条件が60msec以上継続的に検出された場合に限り、ハンドル戻し操舵中であると判定され、この場合にのみ要否判定フラグSの値がONに設定される。
以上の図5等に示される構成により、戻しトルク要否判定手段241を実現した場合、以下の作用を得ることができる。
【0041】
(作用1)S=OFFの時、開始判定部242を具現するステップ410〜ステップ460の動作により、運転者の仕事率τωが、確実に負値になったと認知された場合に、要否判定フラグSがONに変更される。
(作用2)S=ONの時、終了判定部243を具現するステップ470〜ステップ490の動作により、運転者の仕事率τωが、確実に正値に復帰したと認知された場合に、要否判定フラグSがOFFに変更される。
【0042】
(作用3)したがって、操舵角速度ωの値が0に達したり、操舵角速度ωの向きが反転したりする以前であっても、操舵トルクτの値が0に達したり、操舵トルクτの向きが反転したりしていれば、要否判定フラグSの値をONからOFFに変更することができる。このタイミングは、運転者のハンドル戻し操作の意志(即ち、ハンドル戻しトルクTR の必要性)が消滅したタイミングと解釈できるものである。
【0043】
したがって、上記の構成に従えば、終了判定の遅延等が効果的に防止でき、よって、オーバーシュート等の不具合を効果的に防止、或いは緩和することができると共に、操舵系に必要なハンドル戻しトルクTR を適度に付与できる。
【0044】
図6は、本発明の第1実施例(及び第3実施例)におけるハンドル戻し制御手段240が有する戻し制御中止手段248を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャートである。ステップ510〜530は、配列TR ′(k) (1≦k≦K)で表される退避領域をラップアラウンド動作によりサイクリックに使用するための処理である。カウンタkの初期値は、前述のカウンタnの初期値と同様に設定される。
【0045】
ステップ550のサブルーチンは、図4のハンドル戻しトルク演算部246により実現される。また、ステップ540とステップ560の作用により、要否判定フラグSがONからOFFに変更され次第、ハンドル戻しトルクTR ′の出力が中止される。
【0046】
ステップ570では、出力値のなまし処理を実現する。本処理は操舵感覚が急変することにより生じる違和感を緩和するために実施するものである。即ち、最近のK件のハンドル戻しトルクTR ′(中間結果)の平均値を、最終的に出力すべきハンドル戻しトルクTR の値とする。もちろん、この出力値のなまし処理としては、その他の公知或いは任意のものを用いても良い。上記の整数Kは、このなまし処理の滑らかさを表すパラメータとなる。このなまし処理の作用は、例えば図8等からも読み取ることができる。
【0047】
図7、図8、図9は、本発明の第1実施例における電動パワーステアリング装置100を有する車両の操舵系に関する操舵状況(操舵トルクτ、ハンドル戻しトルクTR 、絶対操舵角)の測定データを例示するグラフである。
これらのグラフからも容易に判る様に、本発明によれば、ハンドル戻しトルクTR の出力が必要となる期間が的確に判定できるため、モータMの出力トルク(TR )に基づくハンドルの戻り過ぎ(オーバーシュート)等の不具合を効果的に防止、或いは緩和することができると共に、操舵系に必要なハンドル戻しトルクTR を適度に付与できる。
【0048】
尚、この様な本発明の実施形態は、例えば、公開特許公報「特開2002−136182:モータ制御装置」に記載されている電動パワーステアリング装置等を始めとして、トルクセンサやブラシレスDCモータを備えたその他の任意の電動パワーステアリング装置にも適用することが可能である。
【0049】
例えば、上記の第1実施例は、以下の様に修正しても良い。
即ち、上記の第1実施例においては、操舵角速度ωの算出式として、サブルーチンSBR1のステップ410(図4)において前記の式(2)を用いたが、操舵角速度ωの算出式としては、前記の式(2)の代わりに次式(5)を用いても良い。
【数5】
ω = Ω/Gi + αdτ/dt …(5)
【0050】
ただし、ここで、dτ/dtは操舵トルクτの時間微分であり、αはトルクセンサ15が有する図略のトーション・バーのバネ定数の逆数である。
即ち、この操舵速度ωは、操舵トルクτの変化量より算出されるトーション・バーのピニオン軸13に対する回転角速度(αdτ/dt)と、前記の式(2)より算出されるピニオン軸13の回転角速度(Ω/Gi)の和として算出されるものである。
【0051】
この様な補正手段によれば、トルクセンサ15が有する図略のトーション・バーの変形量の影響を無視することなく、前記の第1実施例よりも更に正確に操舵角速度ωを算出することが可能となる。従って、ステップ410において上記の式(5)を用いれば、本発明の作用・効果をより確実に得ることができる。
この様な補正は、定数αの値が大きい場合、即ち、トーション・バーのバネ定数が比較的小さい場合に特に有効である。
【0052】
〔第2実施例〕
図10に、本発明の第2実施例におけるハンドル戻し制御手段240を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャートを示す。ステップ630は、前記の第1実施例のステップ410(図5)と同様の判定を行うものである。また、整数Nについても図5の整数Nと略同程度の値で良い。また、カウンタm,nはシステム起動時(電源投入直後)に0に初期化しておくものとする。
【0053】
例えばこの様な構成(アルゴリズム)に従えば、ステップ650が前記の第1実施例のステップ490(図5)と略同等の作用を奏し、ステップ660が前記の第1実施例のステップ540(図6)と略同等の作用を奏するため、この様な処理手順(アルゴリズム)によっても、第1実施例と略同等の作用・効果を有するハンドル戻し制御手段240を実現することができる。
また、この処理手順に従えば、従来よりも遥かに少ない開発ステップ数で、従来よりも遥かにオーバーシュートの生じ難い電動パワーステアリング装置を構成することができる。
【0054】
ただし、図10に例示した本第2実施例の処理手順においては、時間変化に伴うTR のなまし処理は省略した。本第2実施例の処理手順においても、時間変化に伴うTR のなまし処理をも同時に実施する際には、図10のステップ680,690を図6のステップ550〜570に置き換えると共に、図10のサブルーチン(アルゴリズム)の最初で、配列の引数nの更新処理(ステップ600〜620)と同様の方法で、配列の引数kの更新処理(例:ステップ510〜530)をも同時に実施すれば良い。
【0055】
〔第3実施例〕
本実施例では、前述の第1及び第2実施例と同様のハードウェア(図1の電動パワーステアリング装置100)を用い、操舵トルクτや操舵トルクτの時間変位に基づいてハンドル戻しトルクTR の要否判定を行う例を示す。
即ち、例えば、ハンドルを左向きから中立位置に戻す際に、ハンドル戻しトルクTR が必要となる条件を次式(6)及び次式(7)により規定する。
【0056】
【数6】
τ>τ1 (τ1≧0) …(6)
【数7】
dτ<−dτ1 (dτ1≧0) …(7)
ただし、ここで、dτは前回の操舵トルクを基準とした今回の操舵トルクτの時間変位量(差分値)であり、τ1,dτ1はそれぞれ個別に定めた適当な定数である。この判定条件は、比較的大きい操舵トルクτが比較的急速に減衰しつつあることを示しており、ハンドルを左向きから中立位置に戻す際に観測される条件に一致している。
【0057】
また、同様に、ハンドルを右向きから中立位置に戻す際に、ハンドル戻しトルクTR が必要となる条件は、次式(8)及び次式(9)により表わすことができる。
【0058】
【数8】
τ<−τ1 …(8)
【数9】
dτ>dτ1 …(9)
【0059】
図11は、本第3実施例における戻しトルク要否判定手段241を実現する処理手順(アルゴリズム)を表している。
(記号)
R … 要否判定フラグ(左から中立点への戻しトルクの要否判定用)
i … カウンタ(同上)
L … 要否判定フラグ(右から中立点への戻しトルクの要否判定用)
j … カウンタ(同上)
また、カウンタi,jは、システム起動時に0に初期化するものとする。また、整数Nは第1又は第2実施例と同等の作用を奏するものであるので、第1又は第2実施例の整数Nと同様の定数で良い。
例えば、この様な処理手順により、ハンドルを左向きから中立位置に戻す際に、ハンドル戻しトルクTR が必要となる時には、R=ONと設定され、ハンドルを右向きから中立位置に戻す際に、ハンドル戻しトルクTR が必要となる時には、L=ONと設定される。
【0060】
図12は、本発明の第3実施例における終了判定部243を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャートである。この終了判定部243においても、操舵トルクτや操舵トルクτの時間変位に基づいてハンドル戻しトルクTR の要否判定を行う。
即ち、例えば、ハンドルを左向きから中立位置に戻す際に、ハンドル戻しトルクTR を不要と判定するタイミングは、次式(10),次式(11)又は次式(12)の何れかが成立した時である。
【0061】
【数10】
τ<−τ2 (τ2≧0) …(10)
【数11】
τ≦τ0−TF, (TF≧0)
dτ<−dτ2 (dτ2≧0) …(11)
【数12】
dτ>dτ3 (dτ3≧0) …(12)
ただし、ここで、τ2,dτ2(戻し方向閾値),dτ3(切り込み方向閾値)はそれぞれ個別に定めた適当な定数である。また、τ0はステップ775にて記憶した、ハンドル戻し制御開始時の操舵トルクτの値であり、定数TFは操舵系での摩擦を加味するための所定のトルク値である。
【0062】
各条件の物理的な意味は、以下の通りである。
(a)式(10)は、ある一定値(=dτ2≧0)よりも大きな操舵力でハンドル戻し方向へ(:左から戻る時に右方向へ)操舵した場合か、或いは、手をハンドルから放してオーバーシュートし、右方向へ切れ始めた場合を意味する。
(b)式(11)は、戻りきる前に逆方向への切り込み操舵が開始された場合を意味する。
(c)式(12)は、切り戻し中に再度左方向に操舵する場合や、或いは、戻し終了後に左方向へ操舵が開始された場合を意味する。この操舵は、オーバーシュートを未然に防ごうとする運転者の意志を示している。
【0063】
したがって、本第3実施例においては、上記の(a),(b),(c)の何れの場合においても、ハンドル戻しトルクTR のその後の出力が中止(抑止)されるため、効果的にオーバーシュートを防止することができると共に、例えば左側からの戻し操作の途中で再度左にハンドルを切り込む必要が生じた場合等にも、過剰なハンドル戻しトルクTR の抑止制御に基づいた良好な操舵感を得ることができる。
【0064】
尚、図11のステップ730で呼び出して実行するサブルーチンLfineも、先にも断わった「中立点をゼロ点(基準点)とし、右向き(時計回り)を負の向き、左向き(反時計回り)を正の向きとする」前提を想起して、左右の対称性に注意すれば、上記のサブルーチンRfineと全く同様に構成することができる。
【0065】
以上の各処理手順に従って設定される上記の要否判定フラグR,Lの値を前述の要否判定フラグSと同様に使用することにより、前記の第1実施例と略同様の作用・効果を得ることができる。例えば、ハンドル戻しトルクTR の算出結果の出力に図6のサブルーチンを用いる際には、このサブルーチン(図6)の先頭か又はステップ540の直前に、S=OR(L,R)なる論理演算処理を追加(挿入)してこのサブルーチンを実行すれば良い。
【0066】
〔その他の変形例1〕
図13に、ハンドル戻しトルク演算部246の変形例を例示する。このグラフは、図4のハンドル戻しトルク演算部246が実現する次式(13)の関数Fのω依存性を表す関数fの形を変形したものである。
【数13】
Figure 0003908102
ただし、この変形例1においても、f(−ω)=−f(ω)なる対称性が満たされるものとする。この様な関数fの設定形態により、操舵角速度ωが大きい場合に、運転者の操舵意志に反して必要以上にハンドル戻しトルクが出力されることが防止されるため、従来よりも効果的にハンドル戻しトルクTR の過大化を阻止することができる。
【0067】
また、操舵角速度ωの絶対値が、ω1≦ω2なる適当な所定値ω2に達した時点で、S=OFFとしても良い。この様なω2の値としては、例えば、図13に例示したω2の値や、或いは、図18のS=ONなる期間内における操舵角(絶対操舵角)の変曲点付近で観測される操舵角速度ωの絶対値等を用いることができる。
この様な構成により、上記の実施例と略同等以上の作用・効果が得られる場合があることは、例えば、図9と図18の両グラフの対比により容易に推察することができる。
【0068】
また、ωの絶対値がω2に達した時点でS=OFFと設定する上記のタイミングや、或いは、S=ONとなっている期間中にdω/dtの符号が反転するタイミング等において、上記の様にS=OFFと設定する代わりに、例えば次式(14)の様にハンドル戻しトルクTR ′に掛ける新たなもう一つのゲイン(調整係数G3)の値を、より小さい値(定数)に設定し直す(0≦G3<1とする)様にしても良い。
【0069】
【数14】
Figure 0003908102
【0070】
ただし、ハンドル戻り制御開始当初は、この初期値をG3=1に設定しておくものとする。上記のタイミングでG3=0と再設定すれば、この方式はωの絶対値がω2に達した時点でS=OFFと設定した前述の方式に帰着する。もちろん、0<G3<1なる適当な正定数に設定しても良い。この値の最適値は、操舵系の慣性量(イナーシャ)や機械的な内部摩擦等に依存するが、経験的に最適値を求めておくことが可能であり、例えば1/2程度の適当な定数でも良い。
【0071】
この様な調整係数(ゲインG3)を介在させることにより、良好なタイミングでゲインG3を変更することができ、これによりハンドル戻しトルクTR が過大となることを効果的に阻止できるので、上記の方式によれば、効果的にオーバーシュートを防止又は緩和することができると共に、操舵系に随時適切なハンドル戻しトルクTR を付与できる。
【0072】
また、上記のS=ONとなっている期間中に、再度dω/dtの符号が反転する等の新たな契機(状況変化)が観測された場合には、G3の値を再度1に復帰させたり、或いはその他の適当な定数(0<G3<1)に変更したりする等の各種の応用なども有効となる場合が有る。
【0073】
尚、dω/dtの符号の反転に伴い、ゲインG3の値(よって、図13のグラフのωに対するTR ″、又はTR ′の値)を変更することは、図13のグラフにヒステリシス特性を与えることに相当する。例えば、ωの値がω2に達した時点でG3=0と再設定すれば、そのときのヒステリシスループは、横軸を帰路とするループに一致する。言い換えれば、上記のゲインG3はこの様なヒステリシス特性を決定するパラメータであると言うこともできる。
【0074】
例えば、G3=1/2と設定した場合に、図13のω1の値にまで操舵角速度ωが達し、かつ、そこでのみdω/dtの符号が反転したとすると、この時のヒステリシスループは、原点に戻る途中、ω=ω1の所でのみ不連続となる。しかしながら、この様な場合にも、前述の図8に例示される様ななまし処理の作用により、実際に最終的に出力されるハンドル戻しトルクTR の値は、概ね連続的になる。したがって、実質的には、dω/dtの符号反転時(或いは、例えば、ω=ω3(ω1≦ω3≦ω2)成立時等)における、一つの制御パラメータ(ゲインG3)の変更処理のみで、閉じたヒステリシスループを形成することが可能となる。
【0075】
〔その他の変形例2〕
図14は、本発明の第7の手段の実施形態を例示するグラフである。例えば、第1実施例で示した電動パワーステアリング装置100では、ハンドル戻り角θ(>0)は、次式(15)の様にして求めることができる。
【数15】
θ=|∫ωdt| (積分開始時刻は、S=ON設定時刻) …(15)
【0076】
そこで、図6のステップ550で図4に従って、TR ′(k) =F(ω,u)と設定する代わりに、このステップ550のTR ′(k) の値を、次式(16)に従って決定する。(更に調整係数(ゲインG2)を掛けるスケール調整手段)
【数16】
R ′(k) =G2・F(ω,u),
G2=h(θ)=κ1(1+exp(−θ/θ1)) …(16)
【0077】
ただし、上記の式(16)の関数hの代わりに下記に例示する式(17)又は式(18)の関数h等を用いても良い。κ1,κ2,κ3,κ4及びθ1は、適当な定数である。
【数17】
G2=h(θ)=κ2・exp(−θ/θ1) …(17)
【数18】
G2=h(θ)=κ3(1/(1+κ4・θ)) …(18)
【0078】
例えばこの様に、関数hを単調減少関数に設定すると都合がよい場合が多い。特に、低μ路では、戻し始める際にセルフアライニングトルクが得難いため、最初は比較的大きめのハンドル戻しトルクTR が必要となる。しかし、一端順調に戻り出すと、その後は路面とタイヤの間の動摩擦が小さいため、比較的小さめのハンドル戻しトルクTR で十分となる。したがって、低μ路では、ゲインG2の変動を大きめに設定するとより効果的となる。また、この傾向は、操舵系の慣性量(イナーシャ等)が大きいか、又は操舵系の摩擦(機械的な内部摩擦や路面タイヤ間の外部摩擦)が小さい時程大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施例に係わる電動パワーステアリング装置100のシステム構成図。
【図2】電動パワーステアリング装置100が有するモータ制御装置110の制御ブロックダイヤグラム。
【図3】指令トルク演算部200が有するハンドル戻し制御手段240の制御ブロックダイヤグラム。
【図4】ハンドル戻し制御手段240が有するハンドル戻しトルク演算部246の制御ブロックダイヤグラム。
【図5】本発明の第1実施例における戻しトルク要否判定手段241を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャート。
【図6】本発明の第1実施例及び第3実施例におけるハンドル戻し制御手段240が有する戻し制御中止手段248を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャート。
【図7】本発明の第1実施例における電動パワーステアリング装置100を有する操舵系に関する操舵状況(操舵トルクτ)の測定データを例示するグラフ。
【図8】本発明の第1実施例における電動パワーステアリング装置100を有する操舵系に関する操舵状況(ハンドル戻しトルクTR )の測定データを例示するグラフ。
【図9】本発明の第1実施例における電動パワーステアリング装置100を有する操舵系に関する操舵状況(絶対操舵角)の測定データを例示するグラフ。
【図10】本発明の第2実施例におけるハンドル戻し制御手段240を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャート。
【図11】本発明の第3実施例における戻しトルク要否判定手段241を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャート。
【図12】本発明の第3実施例における終了判定部243を実現する処理手順(アルゴリズム)を表すフローチャート。
【図13】ハンドル戻しトルク演算部246の変形例を例示するグラフ。
【図14】本発明の第7の手段の実施形態を例示するグラフ。
【図15】従来技術に基づいたハンドル戻し制御手段の制御ブロックダイヤグラム。
【図16】従来技術に基づいた操舵系に関する操舵状況(操舵トルクτ)の測定データを例示するグラフ。
【図17】従来技術に基づいた操舵系に関する操舵状況(ハンドル戻しトルクTR )の測定データを例示するグラフ。
【図18】従来技術に基づいた操舵系に関する操舵状況(絶対操舵角)の測定データを例示するグラフ。
【符号の説明】
100 … パワーステアリング装置
110 … モータ制御装置
200 … 指令トルク演算部
240 … ハンドル戻し制御手段
241 … 戻しトルク要否判定手段
242 … 開始判定部
243 … 終了判定部
246 … ハンドル戻しトルク演算部
248 … 戻し制御中止手段
M … モータ
S … 要否判定フラグ
R … 要否判定フラグ(左から中立点への戻し)
L … 要否判定フラグ(右から中立点への戻し)
τ … 操舵トルク
ω … 操舵角速度
u … 車速
Ω … モータMの回転角速度
R … ハンドル戻しトルク(出力値)
R ′… ハンドル戻しトルク(中間結果)
R ″… ハンドル戻しトルク(中間結果)
x(n) … 変数xを格納する配列(1≦n≦N)
y(k) … 変数yを格納する配列(1≦k≦K)
F … 関数(TR ′=F(ω,u))
f … 関数(TR ″=f(ω))
g … 関数(G1=g(u))
h … 関数(G2=h(θ))
θ … ハンドル戻り角(=|∫ωdt|)

Claims (6)

  1. 車両の操舵機構に補助トルクを付与するモータと、前記モータを駆動制御するモータ制御装置と、運転者がハンドル(ステアリング・ホイール)を所定の中立位置に戻そうとする際に前記モータによる出力が期待されるハンドル戻しトルクTR の値を算出するハンドル戻し制御手段とを有する電動パワーステアリング装置において、
    前記ハンドルの角速度ωと前記運転者が前記ハンドルに付与する操舵トルクτの両変数の変動形態に基づいて、前記ハンドル戻しトルクTR の出力の必要期間を判定する戻しトルク要否判定手段と、
    前記戻しトルク要否判定手段が出力する所定の判定結果(否)に基づいて、前記ハンドル戻しトルクTR の出力を中止する戻し制御中止手段とを有し、
    前記戻しトルク要否判定手段は、前記必要期間の終了判定に前記操舵トルクτの値又は符号を用い
    更に、前記ハンドル戻し制御手段により前記ハンドルが戻された角度の絶対値であるハンドル戻り角θ(≧0)を前記ハンドルの角速度ωに関する時間積分演算を用いて算出する戻り角算出手段と、
    前記ハンドル戻し制御手段により算出された前記ハンドル戻しトルクT R に対して、更に、調整係数(ゲインG2)を掛けるスケール調整手段とを有し、
    前記スケール調整手段は、前記ハンドル戻り角θを独立変数とする関数h(θ)を用いて前記調整係数を算出することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記戻しトルク要否判定手段は、前記操舵トルクτの操舵方向の反転事象を検出する反転事象検出手段を有することを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記戻しトルク要否判定手段は、前記操舵トルクτの絶対値の時間微分の値を判別する変動勾配判定手段を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 前記戻しトルク要否判定手段は、前記操舵トルクτと前記ハンドルの角速度ωとの積値τωが、所定の適正範囲に収まるか否かを判定する積値適正判定手段を有し、
    前記積値τωが前記適正範囲に留まる期間の少なくとも一部分を前記ハンドル戻しトルクTR の必要な期間と判定することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記ハンドル戻し制御手段は、前記ハンドルの角速度ω及び前記車両の車速uを独立変数とする関数F(ω,u)により前記ハンドル戻しトルクTR を算出し、
    前記関数F(ω,u)は、関数f(ω)と関数g(u)との積で表され、
    前記関数f(ω)は、f(−ω)=−f(ω)を満たし、かつ、最大値を与える角速度ω1(>0)に対して、−ω1≦ω≦ω1では広義の単調増加関数であり、ω1≦|ω|では広義の単調減少関数であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記関数h(θ)は、広義の単調減少関数であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電動パワーステアリング装置。
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