JP2004017898A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Harutaka Tamaizumi
玉泉 晴天
Takanobu Takamatsu
高松 孝修
Akihiro Nishiyama
西山 明宏
Masahiko Sakamaki
酒巻 正彦
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Abstract

【課題】往き操舵時と戻し操舵時とでヒステリシスを有するアシスト特性を適用でき、かつ、舵角中点付近における操舵フィーリングも良好な電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】この装置は、電動モータMの駆動力をステアリング機構3に伝達することによって、操舵補助を行う。アシスト特性記憶部22に基本アシスト特性が記憶されており、アシストトルク目標値設定部21は、往き操舵時には、基本アシスト特性に従ってアシストトルク目標値を定め、戻し操舵時には、ヒステリシス係数を基本アシスト特性に乗じてアシストトルク目標値を定める。ヒステリシス係数目標値設定部23は、操舵トルクに応じたヒステリシス係数目標値を定める。不感帯の端部付近では、往き操舵時と戻し操舵時とでアシスト特性がほぼ等しくなる。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力を、ステアリング機構に操舵補助力として伝達する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータが発生する駆動力をギヤ機構(減速機構)などを介して機械的にステアリング機構に伝達することによって操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。
このような電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクと、電動モータからステアリング機構に与えられるアシストトルク目標値との関係を定めるアシスト特性が予め定められており、アシストマップとしてメモリに格納されている。そして、このアシストマップから操舵トルクに応じたアシストトルク目標値が読み出され、この読み出されたアシストトルク目標値に基づいて電動モータが駆動制御されるようになっている。
【0003】
アシスト特性は、図10に示すように、操舵トルクが大きいほどアシストトルク目標値が大きくなるように定められている。操舵トルクは、たとえば、右操舵方向に対して正の値が割り当てられ、左操舵方向に対して負の値が割り当てられている。アシスト特性は、操舵トルクの正の値に対して正の値のアシストトルク目標値を対応させ、操舵トルクの負の値に対して負の値のアシストトルク目標値を対応させるように定められている。
【0004】
アシストトルク目標値が正の値のとき、ステアリング機構には、舵取り車輪を右方向に転舵させようとする操舵補助力が作用する。これ対して、アシストトルク目標値が負の値のとき、ステアリング機構には、舵取り車輪を左方向に転舵させようとする操舵補助力が作用する。操舵トルクが零の近傍の不感帯内の値をとるとき、アシストトルク目標値は零とされる。
このようなアシスト特性を適用した電動パワーステアリング装置においては、舵角中点に向かってステアリングホイールを回転させる戻し操舵を行うときに、運転者が意図するよりも強く舵角中点へと戻される操舵感(いわゆるばね感)が生じるという問題がある。すなわち、戻し操舵を行うときに、操舵トルクが小さくなるため、それに応じてアシスト力が小さくなり、車輪からの逆入力によって、舵取り車輪が舵角中点へと強く戻されることになるのである。
【0005】
この問題は、操舵トルクに対して、より大きなアシストトルク目標値が設定されるように、アシスト特性曲線の傾斜を大きくすることによって、解決することができる。しかし、この場合には、切り込み操舵時の手応え感が損なわれるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、舵角中点から離れる方向への操舵である往き操舵時と、舵角中点に向かう戻し操舵時とで異なるアシスト特性を適用することが考えられる。すなわち、戻し操舵時には、往き操舵時よりも、絶対値の大きなアシストトルク目標値を設定する。これにより、往き操舵時には充分な手応え感が得られるとともに、戻し操舵時におけるばね感を改善することができる。
【0007】
より具体的には、メモリに格納された基本アシスト特性に一定のゲイン(ヒステリシス係数)を乗じることによって、戻し操舵時に適用すべきアシスト特性を得ることができる。すなわち、往き操舵時には基本アシスト特性を用い、戻し操舵時には1よりも大きなヒステリシス係数を乗じた修正アシスト特性を用いることにより、ヒステリシス幅を有する操舵補助を実現でき、操舵フィーリングを改善できる。
【0008】
ところが、一定のヒステリシス係数を基本アシスト特性に乗じる手法では、戻し操舵時において、不感帯の両端付近の操舵トルク域におけるアシストトルク(操舵補助力)の連続性が悪くなり、舵角中点付近における操舵フィーリングの悪化をもたらす。
そこで、この発明の目的は、往き操舵時と戻し操舵時とでヒステリシスを有するアシスト特性を適用でき、かつ、舵角中点付近における操舵フィーリングも良好な電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(M)の駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(5)と、この操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対してヒステリシス特性を有するモータ駆動目標値を設定するモータ駆動目標値設定手段(21〜24)と、上記モータ駆動目標値設定手段における上記ヒステリシス特性を上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに応じて変更する操舵トルク適応ヒステリシス特性変更手段(231)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0010】
この発明によれば、モータ駆動目標値設定手段は、操舵トルクに対してヒステリシス特性を有するモータ駆動目標値を設定するので、舵角中点から離れる方向への操舵である往き操舵時と、舵角中点へ向かう戻し操舵時とで、操舵トルクに対するモータ駆動目標値の特性を異ならせることができる。これによって、同じ操舵トルクの値に対して、往き操舵時には比較的小さな絶対値のモータ駆動目標値を設定するとともに、戻し操舵時には比較的大きな絶対値のモータ駆動目標値を設定すれば、往き操舵時において十分な手応え感を運転者に与えることができるとともに、戻し操舵時におけるアシスト不足を解消することができる。したがって、戻し操舵時において、運転者が意図するよりも強くステアリング操作が行われる操舵感(ばね感)を軽減することができる。
【0011】
さらに、この発明では、モータ駆動目標値設定手段におけるヒステリシス特性が操舵トルクに応じて変更されるようになっている。したがって、たとえば、操舵トルクに対するモータ駆動目標値の特性であるアシスト特性において、操舵トルクの零の近傍の値に対してモータ駆動目標値の値を零とする不感帯が設定されている場合であっても、この不感帯の両端付近の操舵トルク値に対応するヒステリシス幅を小さくしておくことにより、特に戻し操舵時において、操舵補助力の連続性を確保できる。これによって、操舵フィーリングをさらに改善することができる。
【0012】
ヒステリシスを有するアシスト特性は、たとえば、基本アシスト特性をメモリに記憶しておくとともに、この基本アシスト特性に対して往き操舵時と戻し操舵時とで異なるゲイン(ヒステリシス係数)(k)を乗じてモータ駆動目標値を設定することによって実現できる。すなわち、往き操舵時に適用されるゲイン(k)よりも、戻し操舵時に適用されるゲインを大きく定めておけば、同じ操舵トルク値に対して、往き操舵時には小さな絶対値のモータ駆動目標値が設定され、戻し操舵時には大きな絶対値のモータ駆動目標値が設定される。これにより、ヒステリシスを有するアシスト特性を実現でき、往き操舵時における手応え感の付与と、戻し操舵時におけるばね感の解消とを両立することができる。
【0013】
より具体的には、往き操舵に対して適用されるゲインを「1」として、往き操舵時には基本アシスト特性をそのまま適用するとともに、戻し操舵時に適用されるゲインを「1」よりも大きな値(操舵トルクに応じて可変される値)とし、戻し操舵時には、基本アシスト特性よりも大きな絶対値のモータ駆動目標値が設定されるようにすればよい。
基本アシスト特性は、たとえば、操舵トルクが零の近傍の不感帯(NS)内の値のとき、操舵トルクによらずにモータ駆動目標値を零に定め、不感帯外の操舵トルク値に対しては、操舵トルクの増加に対して単調に(たとえばリニアまたは2次関数的に)増加するモータ駆動目標値を設定する特性であってもよい。
【0014】
検出される操舵トルクの値に応じたヒステリシス特性の変更は、たとえば戻し操舵時において、操舵トルクに応じて上記のゲインを変更することによって実現することができる。たとえば、不感帯の近傍ではゲインを小さく(往き操舵時用ゲイン(k)にほぼ等しく)設定するとともに、不感帯から離れるに従って大きくなるようにゲインを設定すればよい。ただし、ゲインが過度に大きくならないように、所定の上限値以下の範囲でゲインの変更を行うことが好ましい。
【0015】
より具体的には、戻し操舵時において、不感帯両端における操舵トルク境界値に対してゲインを「1」とし、この操舵トルク境界値から不感帯外へと離れていくに従って、ゲインを「1」から所定の上限値まで漸増させるようにすればよい。操舵トルク値に対するゲインの増加は、不感帯近傍では緩やかであり、不感帯から離れるに従って上限値まで急増するようにしておくことが好ましい。
請求項2記載の発明は、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速を検出する車速検出手段(6)と、この車速検出手段によって検出される車速に応じて、上記モータ駆動目標値設定手段における上記ヒステリシス特性を変更する車速適応ヒステリシス特性変更手段(27,232)をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置である。
【0016】
この発明によれば、車速に応じてヒステリシス特性が変更されるから、たとえば、高速走行中においては、戻し操舵時であっても大きなモータ駆動目標値が設定されないようにすることができる。すなわち、低速走行時にはステアリングホイール等の操作部材(1)が大きく操作されるのに対して、高速走行時には、操作部材の操作量は、低速走行時と比較して小さくなる。そのため、アシスト特性におけるヒステリシス幅は、低速走行時には大きく設定されるのが好ましいのに対して、高速走行時には低速走行時と比較して小さく設定する方が好ましいといえる。
【0017】
そこで、この発明では、車速に応じてヒステリシス特性を変更することによって、操舵フィーリングのさらなる向上を実現している。
より具体的には、基本アシスト特性にゲイン(G)を乗じてモータ駆動目標値を求める際に、このゲインを車速に応じて可変設定すればよい。車速に対するゲインの可変設定は、第1の所定車速以下の低速域においては第1の所定ゲインとし、第2の所定車速(>第1の所定車速)以上の高速域においては第2の所定ゲインに定めるとともに、第1および第2の所定車速間の中速域においては、車速の増加に対して第1の所定ゲインから第2の所定ゲインへと単調に減少(たとえばリニアに減少)するように定めればよい。
【0018】
なお、基本アシスト特性に乗じてモータ駆動目標値を求めるためのゲインは、予め目標ゲイン(kobj)を定め、現在のゲインの値から当該目標ゲインに向かって漸次的に変化させるように制御し、ゲインの急変に伴う操舵補助力の急変が生じないようにすることが好ましい。
請求項3記載の発明は、操舵速度の微分値を演算する操舵速度微分値演算手段(29)をさらに含み、上記モータ駆動目標値設定手段は、上記操舵速度微分値演算手段によって演算される操舵速度微分値に応じた速さで、モータ駆動目標値を、往き操舵時の値と戻し操舵時の値との間で漸次的に変更する手段(24,25)を含むことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置である。
【0019】
この発明によれば、モータ駆動目標値を往き操舵時の値と戻し操舵時の値との間で変化させる速さ、すなわち、往き操舵時のアシスト特性と戻し操舵時のアシスト特性との間での切り換えの速さは、操舵速度微分値に応じて定められ、この定められた速さでモータ駆動目標値(アシスト特性)の切り換えが漸次的に進行する。たとえば、操舵速度微分値が大きいほどモータ駆動目標値の切り換えを速く行わせる。より具体的には、モータ駆動目標値を往き操舵時の値と戻し操舵時の値との間で漸次的に変更する際の速さは、所定の上限値以下の範囲で、操舵速度微分値の増加に対して単調に(たとえばリニアに)増加するように定めることが好ましい。
【0020】
これによって、操舵速度の大小によらずに、往き操舵時と戻し操舵時とでアシスト特性を確実に所望の特性に切り換えることができるので、操舵の仕方によらずに良好な操舵フィーリングを実現できる。
具体的には、基本アシスト特性に乗じてモータ駆動目標値を求める際のゲインを、操舵速度微分値に応じた速さで現在のゲインから目標値に向かって漸次的に変化させるようにすればよい。
【0021】
ヒステリシス特性を有するモータ駆動目標値の設定は、上記のように基本アシスト特性に乗じるゲインを往き操舵時と戻し操舵時とで変化させることによって実現できるほか、往き操舵時と戻し操舵時とに対応した複数のアシスト特性(L1,L2)をメモリに記憶させておき、これらの複数のアシスト特性を切り換えて用いることによっても実現できる。そして、戻し操舵時に適用されるアシスト特性については、不感帯の両端付近において不感帯におけるアシスト特性に滑らかに連続するようにモータ駆動目標値を定めておけばよい。これにより、操舵トルク値に対応してヒステリシス特性(ヒステリシス幅)を変更できる。
【0022】
往き操舵状態か戻し操舵状態かの判定は、たとえば、操舵トルクの絶対値が増加傾向(操舵トルクと操舵トルク微分値との符号が等しい場合)であれば往き操舵と判定し、操舵トルクの絶対値が減少傾向(操舵トルクと操舵トルク微分値との符号が異なる場合)であれば戻し操舵であると判定することにより行える。
なお、ステアリングを大きく切り込む際に、操舵速度が速い場合には、運転者が粘性感(摩擦感)を感じて、操舵フィーリングが悪化する場合があるので、これを解消すべく、往き操舵時には操舵速度に応じた補償値(Tc)を加えてモータ駆動目標値を定めることが好ましい。この補償値は、操舵速度が零付近の所定の不感帯内においては零に定められ、この不感帯外では所定の上限値および下限値の値で操舵速度の増加に応じて単調に(たとえばリニアに)増加するように定められてもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ラック軸を含むステアリング機構3に機械的に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから操舵補助力が、ギヤ機構(減速機構)等の駆動力伝達機構を介して機械的に伝達されるようになっている。
【0024】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。
【0025】
トルクセンサ5は、たとえば、入力軸2Aと出力軸2Bとの回転方向の位置関係の変化に応じて変化する磁気抵抗を検出する磁気式のもので構成されている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(ECU:電子制御ユニット)に入力されている。
コントローラ10には、さらに、当該電動パワーステアリング装置が搭載される車両の走行速度を検出する車速センサ6の出力信号と、ステアリングホイール1の操舵角(たとえば、入力軸2Aの回転角)を検出する舵角センサ7の出力信号とが入力されている。
【0026】
コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルク、車速センサ6によって検出される車速、および舵角センサ7の出力に基づいて求められる操舵速度に応じて、電動モータMからステアリング機構3に与えるべきアシストトルク目標値を定め、操舵トルク等に応じた操舵補助力がステアリング機構3に与えられるように、電動モータMを駆動制御する。
コントローラ10は、マイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20からの制御信号に基づいて電動モータMを駆動するモータドライバ30とを有している。
【0027】
マイクロコンピュータ20は、プログラム処理を実行することによって実現される機能処理部であるアシストトルク目標値設定部21と、マイクロコンピュータ20内のメモリの記憶領域により構成されるアシスト特性記憶部22とを備えている。アシスト特性記憶部22は、複数の車速域のそれぞれに対して予め定めた複数の基本アシスト特性にそれぞれ対応する複数の基本アシストマップを記憶している。基本アシスト特性は、操舵トルクに対するアシストトルク目標値の基本特性を定めたものであり、複数の操舵トルクの値に対応付けて、アシストトルク目標値の基本値がアシストマップ(テーブル)の形式でアシスト特性記憶部22に記憶されている。
【0028】
マイクロコンピュータ20は、さらに、アシスト特性記憶部22に記憶された基本アシスト特性に基づいてヒステリシスを有する操舵補助を実現するためのヒステリシス係数目標値kobjを設定するヒステリシス係数目標値設定部23と、このヒステリシス係数目標値設定部23によって設定されるヒステリシス係数目標値kobjに基づいて、基本アシスト特性に乗じるべきヒステリシス係数kを設定するヒステリシス係数設定部24とを備えている。このヒステリシス係数設定部24は、変動速度設定部25によって設定される速さで、現在のヒステリシス係数からヒステリシス係数目標値kobjへと、ヒステリシス係数kを漸次的に変化させていく。
【0029】
このヒステリシス係数設定部24によって設定されるヒステリシス係数kが、アシストトルク目標値設定部21において、基本アシスト特性に従って定められる基本アシストトルク目標値Taに乗じられることになる。
ヒステリシス係数目標値設定部23は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクThと、トルク微分値演算部26によって演算される操舵トルクThの微分値Th′とに基づいて、往き操舵状態か戻し操舵状態かを判定する操舵状態判定部230を備えている。ヒステリシス係数目標値設定部23は、さらに、操舵状態判定部230による判定結果と操舵トルクThとに基づいて基本ヒステリシス係数kを定める基本ヒステリシス係数設定部231と、車速ゲイン演算部27によって定められる車速ゲインGを基本ヒステリシス係数設定部231によって定められる基本ヒステリシス係数kに乗じることによって、ヒステリシス係数目標値kobjを導出する乗算部232とを備えている。ただし、乗算部232は、操舵状態判定部230が往き操舵状態と判定しているときには、車速ゲイン演算部27が演算する車速ゲインGによらずに、一定のゲイン(たとえば「1」)を基本ヒステリシス係数kに乗じてヒステリシス係数目標値kobjを求める。
【0030】
トルク微分値演算部26は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクを時間微分することによって、トルク微分値dt/dtを求める。また、車速ゲイン演算部27は、車速センサ6によって検出される車速に対応した車速ゲインGを設定する。
基本ヒステリシス係数設定部231は、ステアリングホイール1を舵角中点に向かって操作する戻し操舵時において、操舵トルクThに応じた基本ヒステリシス係数kを設定する。これに対して、ステアリングホイール1を舵角中点から離れる方向へと切り込む往き操舵が行われているときには、操舵トルクThによらずに一定の往き操舵用ヒステリシス係数k(たとえばk=1)を設定する。往き操舵時には、乗算部232は車速によらずに一定のゲイン「1」を基本ヒステリシス係数kに乗じるので、結局、ヒステリシス係数目標値設定部23は、往き操舵用ヒステリシス係数kをヒステリシス係数目標値kobjとして設定することになる。
【0031】
マイクロコンピュータ20には、さらに、舵角センサ7が検出する舵角を時間微分して操舵速度を演算する操舵速度演算部28と、この操舵速度演算部28によって求められた操舵速度をさらに時間微分する操舵速度微分値演算部29とが備えられている。この操舵速度微分値演算部29の出力に基づいて、変動速度設定部25は、現在のヒステリシス係数からヒステリシス係数目標値kobjへとヒステリシス係数kを漸次的に変化させていく際の速度を決定する。
【0032】
また、マイクロコンピュータ20には、操舵速度演算部28によって求められた操舵速度に基づいて補償値Tcを求める補償値演算部35が備えられている。この補償値演算部35は、ステアリングホイール1が舵角中点から離れる方向へと切り込まれる際に、操舵速度に応じた補償値Tcを生成する。この補償値Tcは、加算部36において、アシストトルク目標値設定部21によって設定されるアシストトルク目標値k×Taに加算され、この加算された後のアシストトルク目標値Ta(=k×Ta+Tc)に基づいてモータドライバ30が制御されることになる。
【0033】
図2は、アシスト特性記憶部22に記憶された基本アシスト特性と、アシストトルク目標値設定部21によって設定されることになるアシスト特性とを示す図である。トルクセンサ5によって検出される操舵トルクThには、右操舵方向トルクに対して正の符号が与えられ、左操舵方向トルクに対して負の値が与えられている。基本アシスト特性は、操舵トルクThの正の値に対して基本アシストトルク目標値Taの正の値を対応づけ、操舵トルクThとの負の値に対して基本アシストトルク目標値Taの負の値を対応づけるようになっている。操舵トルクThが零の近傍の不感帯NS内の値をとるとき、基本アシストトルク目標値Taは、操舵トルクThの値によらずに零に保持される。
【0034】
基本アシストトルク目標値Taは、不感帯NSの範囲外において、所定の下限値(負の値)と、所定の上限値(正の値)との間で単調に増加するように定められている。
電動モータMは、アシストトルク目標値Taが正の値のときには、舵取り車輪を右方向に転舵させる方向の操舵補助力をステアリング機構3に伝達するよう駆動制御され、アシストトルク目標値Taが負の値をとるときには、舵取り車輪を左方向に転舵させる方向の操舵補助力をステアリング機構3に与えるように駆動制御される。
【0035】
ステアリングホイール1を舵角中点から離れる方向へと切り込む往き操舵が行われるときには、基本アシスト特性(曲線L1)を用いて電動モータMの制御が行われる。これに対して、ステアリングホイール1を舵角中点に戻す戻し操舵が行われるときには、図2において曲線L2で示す修正アシスト特性に従って、電動モータMを駆動するためのアシストトルク目標値が定められる。
修正アシスト特性は、アシスト特性記憶部22に記憶された基本アシスト特性に対してヒステリシス係数kを乗じることによって得られる。より具体的には、アシストトルク目標値設定部21は、トルクセンサ5が検出する操舵トルクThおよび車速センサ6が検出する車速Vに対応した基本アシストトルク目標値Taをアシスト特性記憶部22から読み出し、この基本アシストトルク目標値Taに対してヒステリシス係数設定部24が設定するヒステリシス係数kを乗じる。
【0036】
ヒステリシス係数kは、たとえば、往き操舵時においては、「1」に設定されるのに対して、戻し操舵時においては、「1」よりも大きな値に定められる。そのため、同じ操舵トルクThに対して、戻し操舵時には、往き操舵時よりも大きなアシストトルク目標値Taが設定されることになる。こうして、ヒステリシス特性を有するアシストトルク目標値Taの設定が可能になる。これにより、往き操舵時にはステアリングホイール1を介して運転者に良好な手応え感を与えることができるとともに、戻し操舵時におけるアシスト不足に起因するばね感を解消することができる。
【0037】
図3は、基本ヒステリシス係数設定部231の働きを説明するための図である。基本ヒステリシス係数設定部231は、たとえば、図3に示す特性曲線に対応したテーブルを記憶したメモリで構成することができる。基本ヒステリシス係数設定部231は、往き操舵時には、往き操舵用ヒステリシス係数k(たとえば、k=1)を出力するのに対して、戻し操舵時には、図3に示す特性に従い、操舵トルクの絶対値|Th|に応じた基本ヒステリシス係数kを出力する。
【0038】
この戻し操舵時に適用される基本ヒステリシス係数kは、往き操舵用ヒステリシス係数kと、それよりも大きな戻し操舵時用ヒステリシス係数k(たとえばk=1.3)との間で単調に増加するように定められる。より詳細に言えば、不感帯NS内およびこの不感帯NSの端部近傍の操舵トルク値に対しては、基本ヒステリシス係数k=kとされ、不感帯NS外においては、操舵トルクの絶対値|Th|に対する基本ヒステリシス係数kの増加の割合が、不感帯NSの近傍において小さく、不感帯NSから離れるに従って大きくなるようになっている。
【0039】
基本アシスト特性(曲線L1)と修正アシスト特性(曲線L2)との差異であるヒステリシス幅は、往き操舵用ヒステリシス係数kと、図3の特性に従って設定される戻し操舵時用の基本ヒステリシス係数kとの差によって表わすことができる。したがって、操舵トルクThに応じてヒステリシス幅が変動することになる。
図3の例では、不感帯NS内およびその近傍においてk=kであるので、図4に拡大して示すように、不感帯NSの端部近傍において、往き操舵時に適用される基本アシスト特性と戻し操舵時に適用される修正アシスト特性とがほぼ一致することになる。その結果、戻し操舵時には、大きなアシストトルク目標値Taを設定して操舵補助の不足が生じないようにすることができるとともに、不感帯NSの端部近傍における操舵補助の連続性を確保して、良好な操舵フィーリングを達成できる。
【0040】
図5は、車速ゲイン演算部27の働きを説明するための図である。車速ゲイン演算部27は、たとえば、図5に示す特性曲線に対応したテーブルを記憶するメモリによって構成することができる。車速ゲイン演算部27は、戻し操舵時に適用される車速ゲインGを、所定の上限値(たとえば1)と所定の下限値(たとえば0.8)との間で車速Vに応じて設定するものである。たとえば、第1の所定車速(たとえば40km/h)以下の低速域においてはG=1とされ、第2の所定車速(たとえば100km/h)以上の高速域においてはG=0.8とされ、第1および第2の所定車速の間の中速域(たとえば40km/h〜100km/h)においては上記上限値および下限値の間(1〜0.8)で単調に減少(たとえばリニアに減少)するように車速ゲインGが定められる。
【0041】
車速ゲインGと基本ヒステリシス係数kとの乗算結果として得られるヒステリシス係数目標値kobjは、往き操舵用ヒステリシス係数kを下限値として、この下限値よりも大きな範囲でkobj=G×kとして定められる。
車速ゲインGを図5の曲線に従って定めることにより、低速走行中は、戻し操舵時に大きな操舵補助力がステアリング機構3に与えられるのに対し、中速域においては、車速Vが大きいほど、戻し操舵時にステアリング機構3に与えられる操舵補助力が小さくなり、高速走行中には、戻し操舵時における操舵補助力が小さな値に維持されることが理解される。このようにして、戻し操舵時の操舵補助力が、車速Vに応じて適切に定められることになる。
【0042】
図6は、変動速度設定部25の働きを説明するための図である。変動速度設定部25は、たとえば、操舵速度微分値の絶対値に対する変動速度の特性を表わす図6の曲線に対応するテーブルを記憶したメモリで構成することができる。変動速度設定部25は、所定の下限値および上限値の間で、操舵速度微分値の絶対値の増加に対して単調に増加するように変動速度を設定する。
具体的には、ヒステリシス係数設定部24において、ヒステリシス係数kの現在値からその目標値kobjへと変動幅Δkで制御周期ごとにヒステリシス係数kを更新していく場合に、この変動幅Δkを操舵速度微分値の絶対値に応じて可変設定することによって、ヒステリシス係数kの変動速度を可変させる。この場合、変動速度設定部25は、図6に示すように、操舵速度微分値の絶対値に対する変動幅Δkの特性を表わすマップを記憶したメモリによって構成することができる。
【0043】
図6から理解されるとおり、変動速度設定部25は、所定の下限値と上限値との間で、操舵速度微分値の絶対値の増加に伴って単調に(たとえばリニアに)増加するように変動幅Δk(変動速度)を設定する。
なお、ヒステリシス係数kの変動速度の可変設定は、変動幅Δkを微小な一定値としておく一方で、ヒステリシス係数kを変化させる制御ループ数(ステップ数)Nを可変設定するようにしてもよい。すなわち、Nステップに一回の割合で変動幅Δkだけヒステリシス係数kを変化させる。この場合に、操舵速度微分値の絶対値が大きいほど少なくなるようにステップ数Nを可変設定すれば、操舵速度微分値の絶対値が大きいほどヒステリシス係数kの変動速度を速くすることができる。
【0044】
図7は補償値演算部35の働きを説明するための図である。補償値演算部35は、戻し操舵時には補償値Tc=0と定めるのに対して、ステアリングホイール1を切り込む往き操舵時においては、図7に示す特性に従い、補償値Tcを設定する。すなわち、往き操舵時に適用される補償値Tcは、操舵速度が零の近傍の所定の不感帯内の値をとるときにはTc=0とされ、この不感帯外の操舵速度値に対しては、所定の下限値および上限値の間で単調に(この例ではリニアに)増加するように定められる。補償値演算部35は、図7に示す曲線に対応したマップを記憶するメモリで構成することができる。
【0045】
このような補償値Tcがアシストトルク目標値設定部21によって設定されるアシストトルク目標値k×Taに加算されることにより、ステアリングホイール1を切り込むときの粘性感(摩擦感)が補償され、すっきりとした良好な操舵フィーリングを実現できる。
図8は、マイクロコンピュータ20の働きを説明するためのフローチャートである。車速センサ6からの車速V、トルクセンサ5からの操舵トルクThおよび舵角センサ7からの舵角がそれぞれ取り込まれ(ステップS1,S2,S3)、トルク微分値演算部26においてトルク微分値Th′が演算され(ステップS4)、操舵速度演算部28において操舵速度が演算され(ステップS5)、さらに操舵速度微分値演算部29において操舵速度微分値が演算される(ステップS6)。この操舵速度微分値に基づき、変動速度設定部25によりヒステリシス係数kの変動幅Δkが設定される(ステップS7)。
【0046】
一方、アシストトルク目標値設定部21は、操舵トルクThおよび車速Vに基づき、アシスト特性記憶部22から、基本アシスト特性に従う基本アシストトルク目標値Taを読み出す(ステップS8)。さらに、操舵状態判定部230において、操舵状態が調べられる(ステップS9)。すなわち、往き操舵が行われているのか、または戻し操舵状態(保舵状態を含む)であるのかが判断される(ステップS9)。
【0047】
ヒステリシス係数目標値設定部23は、往き操舵が行われているときは、ヒステリシス係数目標値kobj=kに設定する(ステップS10)。
これに対して、戻し操舵時には、基本ヒステリシス係数設定部231により、操舵トルクThに応じた基本ヒステリシス係数kが求められ(ステップS11)、さらに車速ゲイン演算部27によって車速Vに対応した車速ゲインGが求められて(ステップS12)、乗算部232においてこれらを乗じることによって、ヒステリシス係数目標値kobj=G×kが求められる(ステップS13)。
【0048】
このようにして求められたヒステリシス係数目標値kobjが、ヒステリシス係数設定部24に与えられることになる。
ヒステリシス係数設定部24では、現在のヒステリシス係数kとヒステリシス係数目標値kobjとが大小比較され、ヒステリシス係数の現在値kがその目標値kobjよりも大きければ(ステップS14のYES)、現在のヒステリシス係数kの値から変動幅Δkを減じた値を新たなヒステリシス係数kに設定する(ステップS15)。一方、ヒステリシス係数kの現在値がその目標値kobjよりも小さければ(ステップS14のNO、ステップS16のYES)、現在のヒステリシス係数kに変動幅Δkを加えた値を新たなヒステリシス係数kに設定する(ステップS17)。ヒステリシス係数kの現在値とその目標値kobjとが等しければ、ヒステリシス係数kを現在値に維持する(ステップS14のNO、ステップS16のNO)。
【0049】
その後、補償値演算部35における補償値演算処理が行われ(ステップS18)、アシストトルク目標値設定部21が生成する値k×Taと補償値Tcとが加算部36において加算されて(ステップS19)、この加算後の値がアシストトルク目標値Taとされる。このアシストトルク目標値Taを用いてモータドライバ30の制御が行われることになる。
このような処理が、所定の制御周期ごとに繰り返されることによって、ヒステリシス係数kは変動幅Δkずつヒステリシス係数目標値kobjへと漸次的に変化していくことになる。変動幅Δkが操舵速度微分値に基づいて定められるので、ステアリングホイール1が緩慢に操作されるときにはヒステリシス係数kの変動が緩慢に生じ、これに対して、急操舵が行われると、変動幅Δkが大きく設定されることにより、ヒステリシス係数kの速やかな変化が生じることになる。
【0050】
ステップS9における操舵状態の判断は、たとえばトルクセンサ5によって検出される操舵トルクThとトルク微分値演算部26によって演算されるトルク微分値Th′とを用いて行うことができる。すなわち、操舵トルクThとその微分値Th′との符号が等しければ往き操舵状態であると判断でき、これらの符号が異なっていれば戻し操舵状態であると判断することができる。
図9は、図8のステップS18における補償値演算処理を説明するためのフローチャートである。補償値演算部35は、トルク微分値演算部26によって演算されるトルク微分値Th′と、操舵速度演算部28が求める操舵速度とを用いて往き操舵状態であるか否かを判断する。すなわち、トルク微分値Th′および操舵速度の各符号が等しければ往き操舵状態と判断する(ステップS21〜S24)。往き操舵状態と判断されると(ステップS22のYESまたはステップS24のYES)、補償値演算部35は、操舵速度に応じた補償値Tcを求めて出力する(ステップS25)。これに対して、往き操舵状態でないときには(ステップS24のNOまたはステップS23のNO)、補償値Tc=0と設定する(ステップS26)。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、戻し操舵時には、往き操舵時よりも大きな操舵補助力をステアリング機構3に与えることができるので、運転者が意図するよりも強く舵角中点へとステアリングホイールが戻されるといった操舵感(ばね感)を抑制することができる。しかも、戻し操舵時において、不感帯NSの端部近傍に対応する操舵トルクThの値に対しては、往き操舵時と戻し操舵時とでほぼ等しいアシスト特性となり、不感帯NSの端部における操舵補助力の連続性が確保されるから、ヒステリシスを有するアシストトルク目標値Taを設定しているにもかかわらず、操舵違和感が生じることがない。
【0052】
さらに、戻し操舵時におけるヒステリシス幅を車速に応じて可変設定するようにしているので、低速走行には十分な操舵補助力をステアリング機構3に与えることができるとともに、大きな操舵補助が不要な高速走行時ほどヒステリシス幅を小さくして良好な操舵フィーリングを実現できる。
また、操舵速度微分値に応じてヒステリシス係数kの変動幅Δkを可変設定することによって、ステアリングホイール1が緩慢に操作されるときと急操舵が行われるときとのいずれの場合であっても往き操舵に対応したアシスト特性と戻し操舵に対応したアシスト特性との間の切り換えを、違和感を生じさせることなく良好に行える。これによって、操舵フィーリングがさらに向上されている。
【0053】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、アシスト特性記憶部22に記憶されている基本アシスト特性に対してヒステリシス係数kを乗じることによって、ヒステリシス特性を有するアシストトルク目標値Taの設定を実現しているが、往き操舵時用のアシスト特性(曲線L1)および戻し操舵時用のアシスト特性(曲線L2)をいずれもアシスト特性記憶部22に記憶させておき、これらを切り換えて用いることにより、アシストトルク目標値Taに関するヒステリシス特性を実現してもよい。この場合、操舵トルクThの絶対値が増加傾向にあるときには往き操舵時用のアシスト特性(曲線L1)を用い、操舵トルクThの絶対値が減少傾向にあるときには戻し操舵時用のアシスト特性(曲線L2)を用いて、アシストトルク目標値Taを定めればよい。操舵トルクThの絶対値が増加も減少もしていないとき(たとえば前制御周期と今制御周期の操舵トルクThが等しい場合)、アシストトルク目標値Taを前回値に等しく設定すればよい。
【0054】
また、上記の実施形態では、補償値演算処理(ステップS18)において、操舵状態の判定をトルク微分値および操舵速度を用いて行っているが、ステップS9における操舵状態の判定を補償値演算処理においても用いることとしてもよい。
また、上記の実施形態では、保舵状態のときには、戻し操舵状態と同様な操舵補助が行われることとしたが、保舵状態のときには、往き操舵用ヒステリシス係数kよりも大きく、戻し操舵時用ヒステリシス係数kよりも小さな所定の保舵状態用ヒステリシス係数kを用いることとしてもよい。
【0055】
さらに、上記の実施形態では、アシストトルク目標値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクに対するアシストトルク目標値の特性をアシスト特性として説明したが、本発明はこれに限らず、モータ電流目標値またはモータ電圧目標値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクとこれらとの関係をアシスト特性として用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】アシスト特性記憶部に記憶された基本アシスト特性と、アシストトルク目標値設定部によって設定されることになるアシスト特性とを示す図である。
【図3】基本ヒステリシス係数設定部の働きを説明するための図である。
【図4】不感帯の端部近傍におけるアシスト特性曲線を拡大して示す図である。
【図5】車速ゲイン演算部の働きを説明するための図である。
【図6】変動速度設定部の働きを説明するための図である。
【図7】補償値演算部の働きを説明するための図である。
【図8】マイクロコンピュータの働きを説明するためのフローチャートである。
【図9】補償値演算処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】一般的なアシスト特性を説明するための図である。
【符号の説明】
1   ステアリングホイール
2   ステアリングシャフト
3   ステアリング機構
5   トルクセンサ
6   車速センサ
7   舵角センサ
10  コントローラ
20  マイクロコンピュータ
21  アシストトルク目標値設定部
22  アシスト特性記憶部
23  ヒステリシス係数目標値設定部
24  ヒステリシス係数設定部
25  変動速度設定部
26  トルク微分値演算部
27  車速ゲイン演算部
28  操舵速度演算部
29  操舵速度微分値演算部
30  モータドライバ
35  補償値演算部
36  加算部
230 操舵状態判定部
231 基本ヒステリシス係数設定部
232 乗算部
M   電動モータ

Claims (3)

  1. 電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    この操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対してヒステリシス特性を有するモータ駆動目標値を設定するモータ駆動目標値設定手段と、
    上記モータ駆動目標値設定手段における上記ヒステリシス特性を上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに応じて変更する操舵トルク適応ヒステリシス特性変更手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の車速を検出する車速検出手段と、
    この車速検出手段によって検出される車速に応じて、上記モータ駆動目標値設定手段における上記ヒステリシス特性を変更する車速適応ヒステリシス特性変更手段をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 操舵速度の微分値を演算する操舵速度微分値演算手段をさらに含み、
    上記モータ駆動目標値設定手段は、上記操舵速度微分値演算手段によって演算される操舵速度微分値に応じた速さで、モータ駆動目標値を、往き操舵時の値と戻し操舵時の値との間で漸次的に変更する手段を含むことを特徴とする請求項1または2記載の電動パワーステアリング装置。
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