JP2004256067A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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JP2004256067A JP2003051538A JP2003051538A JP2004256067A JP 2004256067 A JP2004256067 A JP 2004256067A JP 2003051538 A JP2003051538 A JP 2003051538A JP 2003051538 A JP2003051538 A JP 2003051538A JP 2004256067 A JP2004256067 A JP 2004256067A
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Akihiro Nishiyama
明宏 西山
Yoshinobu Hiyamizu
由信 冷水
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Koyo Seiko Co Ltd
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Abstract

【課題】戻し操舵時のばね感を低減できるとともに、同じ方向へと切り込み続ける操舵を行うときの操舵感を改善する。
【解決手段】アシスト特性記憶部22に基本アシスト特性が記憶されている。シフト量演算部24は、操舵速度および車速に基づいて、基本アシスト特性をシフトして仮想的な修正アシスト特性を得るときのシフト量を可変設定する。このシフト量は、シフト量補正部26において補正される。シフト量補正部26は、トルク積算値演算部25によって所定時間毎に繰り返し演算される操舵トルク積算値が所定のしきい値以上のときに、シフト量の絶対値を時間とともに漸減させる。アシストトルク目標値設定部21は、操舵トルクおよび上記補正後のシフト量に基づいてアシスト特性記憶部22を検索することにより、修正アシスト特性に従うアシストトルク目標値を設定する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータが発生する駆動力を、ステアリング機構に操舵補助力として伝達する構成の電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動モータが発生する駆動力をギヤ機構(減速機構)やダイレクトドライブ方式によって機械的にステアリング機構に伝達することによって操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置が従来から用いられている。
このような電動パワーステアリング装置では、ステアリングホイールに加えられる操舵トルクと、電動モータからステアリング機構に与えられるアシストトルク目標値との関係を定めるアシスト特性が予め定められており、アシストマップとしてメモリに格納されている。そして、このアシストマップから操舵トルクに応じたアシストトルク目標値が読み出され、この読み出されたアシストトルク目標値に基づいて電動モータが駆動制御されるようになっている。
【0003】
アシスト特性は、図7に示すように、操舵トルクが大きいほどアシストトルク目標値が大きくなるように定められている。操舵トルクは、たとえば、右操舵方向に対して正の値が割り当てられ、左操舵方向に対して負の値が割り当てられている。アシスト特性は、操舵トルクの正の値に対して正の値のアシストトルク目標値を対応させ、操舵トルクの負の値に対して負の値のアシストトルク目標値を対応させるように定められている。
【0004】
アシストトルク目標値が正の値のとき、ステアリング機構には、舵取り車輪を右方向に転舵させようとする操舵補助力が作用する。これに対して、アシストトルク目標値が負の値のとき、ステアリング機構には、舵取り車輪を左方向に転舵させようとする操舵補助力が作用する。操舵トルクが零の近傍の不感帯内の値をとるとき、アシストトルク目標値は零とされる。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−58501号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このようなアシスト特性を適用した電動パワーステアリング装置においては、舵角中点に向かってステアリングホイールを回転させる戻し操舵を行うときに、運転者が意図するよりも強く舵角中点へと戻される操舵感(いわゆるばね感)が生じるという問題がある。すなわち、戻し操舵を行うときに、操舵トルクが小さくなるため、それに応じてアシスト力が小さくなり、車輪からの逆入力によって、舵取り車輪が舵角中点へと強く戻されることになるのである。
【0007】
この問題は、操舵トルクに対して、より大きなアシストトルク目標値が設定されるように、アシスト特性曲線の傾斜を大きくすることによって、解決することができる。しかし、この場合には、切り込み操舵時の手応え感が損なわれるという問題がある。
そこで、本願出願人は、先に提出した特願2002−160061号において、基本アシスト特性を操舵速度に基づいて修正し、それによって得られる修正アシスト特性に従って操舵補助する構成の電動パワーステアリング装置を提案した。この先願に係る電動パワーステアリング装置では、基本アシスト特性を操舵速度に応じて操舵トルク座標軸方向にシフトすることによって修正アシスト特性を得るようになっている。より具体的には、たとえば、操舵速度の方向(操舵方向に等しい)および大きさに応じて、基本アシスト特性のシフト方向およびシフト量が可変設定される。たとえば、操舵速度が正の値をとる場合には操舵トルク軸の正方向に基本アシスト特性をシフトさせ、操舵速度が負の値をとる場合には基本アシスト特性を操舵トルク軸の負方向へとシフトさせるとともに、操舵速度の絶対値に応じて単調に(たとえばリニアに)増加するようにシフト量を定めることによって、修正アシスト特性が求められる。
【0008】
このようにして得られる修正アシスト特性に従ってモータ駆動目標値を設定することにより、切り込み操舵時と戻し操舵時とで異なるアシスト特性を設定することができるようになる。これにより、切り込み操舵時においては充分な手応え感を得ることができるとともに、戻し操舵時においては、充分な操舵補助力がステアリング機構に伝達されることにより、運転者が意図するよりも中立位置へと強く戻されるような不所望な操舵感(ばね感)を解消することができる。
【0009】
ところが、このような構成では、シフト量が操舵速度のみに依存するために、Uターンを行う場合のように、同じ方向へと切り込み続ける操舵を行うと、操舵負担が重くなりすぎるという問題がある。
そこで、この発明の目的は、戻し操舵時のばね感を低減できるとともに、同じ方向へと切り込み続ける操舵を行うときの操舵感を改善することができる電動パワーステアリング装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、電動モータ(M)の駆動力をステアリング機構(3)に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、車両の操向のための操作部材(1)に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段(5)と、上記操作部材の操舵速度を検出する操舵速度検出手段(23)と、上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対するモータ駆動目標値の基本特性である基本アシスト特性を設定する基本アシスト特性設定手段(22)と、この基本アシスト特性設定手段によって設定された基本アシスト特性を操舵トルク座標軸方向にシフトさせて得られる修正アシスト特性に従って、上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対応するモータ駆動目標値を設定するモータ駆動目標値設定手段(21)と、上記基本アシスト特性に対する上記修正アシスト特性のシフト量を上記操舵速度検出手段によって検出される操舵速度に応じて可変設定する操舵速度適応シフト量設定手段(24)と、上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの所定時間毎の積算値を求める操舵トルク積算値演算手段(25)と、この操舵トルク積算値演算手段によって求められる操舵トルク積算値が所定値(C)以上のときに、上記操舵速度適応シフト量設定手段によって設定されたシフト量の絶対値を時間経過とともに減少(漸減)させるシフト量減少補正手段(26)と、上記モータ駆動目標値設定手段によって設定されたモータ駆動目標値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段(30)とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置である。なお、括弧内の英数字は後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
【0011】
この発明によれば、基本アシスト特性設定手段によって設定される基本アシスト特性を操舵速度に基づいて修正することによって得られる修正アシスト特性が、操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに適用される。すなわち、修正アシスト特性に従ってモータ駆動目標値が設定される。
基本アシスト特性の修正は、この基本アシスト特性を操舵速度に応じて操舵トルク座標軸方向にシフトすることによって行われる。
【0012】
より具体的には、たとえば、操舵速度の方向(操舵方向に等しい)および大きさに応じて、基本アシスト特性のシフト方向およびシフト量が可変設定される。たとえば、操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクが、右操舵方向に対して正の値をとり、左操舵方向に対して負の値をとり、基本アシスト特性において、操舵トルクの正の値に対してモータ駆動目標値の正の値が割り当てられ、負の値の操舵トルクに対しては負の値のモータ駆動目標値が設定されているものとする。また、操舵速度は、右操舵方向に対して正の値をとり、左操舵方向に対して負の値をとるものとする。
【0013】
この場合に、たとえば、操舵速度が正の値をとる場合には操舵トルク軸の正方向に基本アシスト特性をシフトさせ、操舵速度が負の値をとる場合には基本アシスト特性を操舵トルク軸の負方向へとシフトさせるとともに、操舵速度の絶対値に応じて単調に(たとえばリニアに)増加するようにシフト量を定めることによって、修正アシスト特性を得るようにしてもよい。すなわち、基本アシスト特性のシフト方向は、操舵速度の方向(操舵方向)と等しく定めればよい。また、シフト量の増加は、所定の上限値以下の範囲で行えばよい。さらに、操舵速度の絶対値が零の近傍の値の所定範囲は、シフト量を零とする不感帯とし、この不感帯外において、操舵速度に応じてシフト量を可変設定することが好ましい。
【0014】
このようにして得られる修正アシスト特性に従ってモータ駆動目標値を設定することにより、切り込み操舵時と戻し操舵時とで異なるアシスト特性を設定することができるようになる。これにより、切り込み操舵時においては充分な手応え感を得ることができるとともに、戻し操舵時においては、充分な操舵補助力がステアリング機構に伝達されることにより、運転者が意図するよりも中立位置へと強く戻されるような不所望な操舵感(ばね感)を解消することができる。
【0015】
さらに、この発明では、操舵トルクの所定時間毎の積算値(操舵トルク積算値)が求められる。所定時間内における操舵トルク積算値は、一方方向の操舵トルクが継続して操作部材に加えられている状況では大きな値をとる。具体的には、操作部材の操作による切り込み操舵が続けられている状況(たとえばUターン操舵の状況)である。そこで、この発明では、所定時間内における操舵トルク積算値が所定値以上のときには、シフト量の絶対値を時間とともに減少補正するようにしている。これにより、モータ駆動目標値を設定するための修正アシスト特性が基本アシスト特性へと徐々に戻されるから、操舵補助力を大きくでき、運転者の操舵負担を軽減できる。
【0016】
なお、上記電動パワーステアリング装置は、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の走行速度を検出する車速検出手段(6)と、この車速検出手段によって検出される車速に応じて、上記基本アシスト特性に対する上記修正アシスト特性のシフト量を可変設定する車速適応シフト量設定手段(24,S5,S6)とをさらに含んでいてもよい。
この構成によれば、基本アシスト特性のシフト量を、車速に応じて可変設定するようにしているから、たとえばUターン時などの操舵状況のように、低速走行中に大きなステアリング操作を行う場合であっても、操舵負担が重くなり過ぎたりすることがない。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。操作部材としてのステアリングホイール1に加えられた操舵トルクは、ステアリングシャフト2を介して、ラック軸を含むステアリング機構3に機械的に伝達される。ステアリング機構3には、電動モータMから操舵補助力が、ギヤ機構(減速機構)等の駆動力伝達機構を介して、またはダイレクトドライブ方式によって、機械的に伝達されるようになっている。
【0018】
ステアリングシャフト2は、ステアリングホイール1側に結合された入力軸2Aと、ステアリング機構3側に結合された出力軸2Bとに分割されていて、これらの入力軸2Aおよび出力軸2Bは、トーションバー4によって互いに連結されている。トーションバー4は、操舵トルクに応じてねじれを生じるものであり、このねじれの方向および量は、トルクセンサ5によって検出されるようになっている。
【0019】
トルクセンサ5は、たとえば、入力軸2Aと出力軸2Bとの回転方向の位置関係の変化に応じて変化する磁気抵抗を検出する磁気式のもので構成されている。このトルクセンサ5の出力信号は、コントローラ10(ECU:電子制御ユニット)に入力されている。
コントローラ10には、さらに、当該電動パワーステアリング装置が搭載される車両の走行速度を検出する車速センサ6の出力信号と、ステアリングホイール1の操舵角(たとえば、入力軸2Aの回転角)を検出する舵角センサ7の出力信号とが入力されている。
【0020】
コントローラ10は、トルクセンサ5によって検出される操舵トルク、車速センサ6によって検出される車速、および舵角センサ7の出力に基づいて求められる操舵角速度に応じて、電動モータMからステアリング機構3に与えるべきアシストトルク目標値を定め、操舵トルク等に応じた操舵補助力がステアリング機構3に与えられるように、電動モータMを駆動制御する。
コントローラ10は、マイクロコンピュータ20と、このマイクロコンピュータ20からの制御信号に基づいて電動モータMを駆動するモータドライバ30とを有している。
【0021】
マイクロコンピュータ20は、プログラム処理を実行することによって実現される機能処理部であるアシストトルク目標値設定部21と、マイクロコンピュータ20内のメモリの記憶領域により構成されるアシスト特性記憶部22とを備えている。アシスト特性記憶部22は、複数の車速域のそれぞれに対して予め定めた複数の基本アシスト特性にそれぞれ対応する複数の基本アシストマップを記憶している。基本アシスト特性は、操舵トルクに対するアシストトルク目標値の基本特性を定めたものであり、複数の操舵トルクの値に対応付けて、アシストトルク目標値の基本値がアシストマップ(テーブル)の形式でアシスト特性記憶部22に記憶されている。
【0022】
マイクロコンピュータ20は、さらに、機能処理部として、舵角センサ7の出力信号に基づいて操舵角速度を演算する操舵角速度演算部23と、基本アシスト特性を操舵トルク座標軸方向にシフトさせて仮想的な修正アシスト特性を得るときのシフト量を演算するシフト量演算部24と、トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTの所定時間(たとえば1秒)ごとの積算値(操舵トルク積算値)ΣTを繰り返し演算して出力するトルク積算値演算部25と、このトルク積算値演算部25によって求められた操舵トルク積算値ΣTが所定のしきい値(たとえばC=8Nm・秒)以上であることを条件に、シフト量演算部24によって求められたシフト量を、その絶対値が時間とともに減少するように補正するシフト量補正部26とを備えている。
【0023】
シフト量演算部24は、操舵角速度演算部23によって演算される操舵角速度ωと、車速センサ6によって検出される車速Vとに基づいて、基本アシスト特性を操舵トルク軸方向にシフトした仮想的な修正アシスト特性を得るためのシフト量を演算する。
アシストトルク目標値設定部21は、トルクセンサ5が検出する操舵トルクT、車速センサ6が検出する車速V、およびシフト量演算部24によって演算されたシフト量をシフト量補正部26において必要に応じて補正することによって得られるシフト量目標値ΔT(その符号によりシフト方向を表し、その絶対値によりシフト長を表す量)に基づいて、アシスト特性記憶部22から、修正アシスト特性に対応したアシストトルク目標値Taを読み出す。この読み出されたアシストトルク目標値Taに基づいて、モータドライバ30が、電動モータMに対して、必要充分な駆動電流を供給する。
【0024】
図2は、アシスト特性記憶部22に記憶された基本アシストマップに対応した基本アシスト特性と、これを操舵トルク軸方向にシフトして得られる修正アシスト特性とを説明するための図である。
トルクセンサ5によって検出される操舵トルクTは、ステアリングホイール1に右方向操舵のためのトルクが加えられているときには正の値をとり、ステアリングホイール1に左方向操舵のためのトルクが加えられているときには負の値をとる。基本アシスト特性は、図2において、曲線L0で示されている。この基本アシスト特性は、操舵トルクTの正の値に対してアシストトルク目標値Taの正の値を対応付け、操舵トルクTの負の値に対してアシストトルク目標値Taの負の値を対応付けるように定められている。上述のとおり、アシスト特性記憶部22には、複数の車速域に対応した複数の基本アシストマップが記憶されているが、説明を簡単にするために、図2においては、或る車速域において適用される1つの基本アシスト特性が示されている。
【0025】
曲線L0に示された基本アシスト特性において、操舵トルクT=0の近傍においては、操舵トルクTの値によらずにアシストトルク目標値Ta=0とされる。このような操舵トルク範囲が不感帯NSである。
この実施形態では、操舵角速度演算部23によって演算される操舵角速度ωおよび車速Vに基づいてシフト量演算部24によって演算されるシフト量ΔTだけ、基本アシスト特性を操舵トルクTの軸方向(正方向または負方向)にシフトさせた仮想的な修正アシスト特性(たとえば、曲線L11,L12で示す特性)に基づいて、アシストトルク目標値Taが設定されることになる。
【0026】
図3は、シフト量演算部24の働きを説明するための図であり、操舵角速度ωに対する基本シフト量ΔTの関係が示されている。シフト量演算部24は、この基本シフト量ΔTに後述の車速ゲインGを乗じることによって、シフト量ΔT(=G×ΔT)を求める。
シフト量演算部24は、たとえば図3に示された特性の曲線に対応したテーブルを記憶したメモリを有している。シフト量演算部24が設定する基本シフト量ΔTは、操舵角速度ωの正の値に対して基本シフト量ΔTの正の値を対応付け、操舵角速度ωの負の値に対応して基本シフト量ΔTの負の値を対応付けるように定められている。操舵角速度ωが零の近傍の不感帯内の値をとるときには、基本シフト量ΔTは零に保持される。また、基本シフト量ΔTは、不感帯外において、所定の下限値および上限値の間の範囲内で、操舵角速度ωの増加に対して単調に(この実施形態ではリニアに)増加するように定められるようになっている。
【0027】
基本シフト量ΔTがこのように定められることにより、操舵角速度ωが一定値以上の正の値をとるときには、基本アシスト特性を図2において操舵トルク軸の正方向にシフトさせた仮想的な修正アシスト特性(たとえば曲線L11で示すアシスト特性)に従って、操舵トルクTに対応したアシスト特性目標値Taが定められる。これに対して、操舵角速度ωが一定値以下の負の値をとるときには、基本アシスト特性を図2における操舵トルク軸に沿って負の方向へとシフトさせた仮想的な修正アシスト特性(たとえば曲線L12で示すアシスト特性)に従って、操舵トルクTに対応するアシストトルク目標値Taが定められることになる。
【0028】
具体的には、基本アシスト特性を関数fを用いてTa=f(T)と表わすとすると、トルクセンサ5が検出する操舵トルクTからシフト量ΔTを引いた値をアシストマップ検索用の操舵トルク値Tとして用い(すなわち、T=T−ΔT)、この検索用操舵トルク値Tを用いてアシスト特性記憶部22に記憶された基本アシストマップを検索すればよい。これによって、仮想的な修正アシスト特性に従って、アシストトルク目標値Ta(=f(T))を定めることができる。
【0029】
ステアリングホイール1を中立位置から離れる方向へと切り込む切り込み操舵時においては、操舵角速度ωは、操舵トルクTと同じ符号をとる(すなわち、操舵角速度ωと操舵トルクTの方向が一致する)ことになるから、これに応じて仮想的な修正アシスト特性は、基本アシスト特性を操舵トルク座標軸方向に沿って原点から離れる方向へとシフトさせた特性となる。このときのシフト量ΔTは、操舵角速度ωの絶対値が大きいほど大きい。これにより、操舵トルクTが同じ場合に、アシストトルク目標値Taは、基本アシスト特性の場合に比較してその絶対値が小さくなるから、電動モータMからステアリング機構3に与えられる操舵補助力が小さくなる。その結果、ステアリングホイール1を切り込むときに、良好な手応え感を運転者に与えることができる。
【0030】
一方、ステアリングホイール1を舵角中点に向かって操舵する戻し操舵時においては、操舵開始初期において、操舵トルクTの方向と操舵角速度ωの方向とが逆転し、その後は、操舵角速度ωの絶対値が増加していくのに対して、操舵トルクTは微小な値となる。これに応じて、仮想的な修正アシスト特性は、基本アシスト特性を操舵トルク軸方向に沿って原点に向かう方向へとシフトさせた特性となり、操舵角速度ωの絶対値の増加に伴ってそのシフト量ΔTが増加していく。これにより、操舵トルクTが同じ場合に、アシストトルク目標値Taの絶対値は、基本アシスト特性の場合よりも大きな値をとるから、戻し操舵時における操舵補助不足が生じることがない。それによって、運転者が意図するよりもステアリングホイールが強く戻されるといった感覚(ばね感)を解消することができる。
【0031】
しかも、曲線L11,L12のような修正アシスト特性に従ってアシストトルク目標値Taを定めることによって、不感帯NS内においても操舵補助を行うことができる。これによって、より一層油圧式パワーステアリング装置の操舵フィーリングに近づけることができる。
図4は、車速Vに対応したシフト量ΔTの可変設定について説明するための図である。シフト量演算部24は、図3に示された特性に従って基本シフト量ΔTを求め、さらに図4に示された特性に従って定められる車速ゲインGを基本シフト量ΔTに乗じることによって、シフト量ΔTを求める。このシフト量ΔTを用いて、アシストトルク目標値設定部21がアシスト特性記憶部22に記憶された基本アシストマップを検索することによって、操舵角速度ωおよび車速Vに応じて仮想的に定められる修正アシスト特性に従うアシストトルク目標値Taを読み出すことになる。
【0032】
車速ゲインGは、車速Vが零から所定速度までの範囲内において、車速Vの増加に伴って急増し、その後は緩やかに一定値に集束するように定められている。
これによって、低速走行時におけるアシスト特性のシフト量が少なく抑えられるから、たとえばUターン操作を行う場合のように、ステアリングホイール1を同じ方向に切り込み続ける場合であっても、操舵負担が重くなり過ぎるなどということがない。
【0033】
図5は、マイクロコンピュータ20の働きを説明するためのフローチャートである。車速センサ6によって検出される車速Vおよびトルクセンサ5によって検出される操舵トルクTが読み込まれる(ステップS1,S2)。さらに、舵角センサ7の出力信号が読み込まれて、操舵角速度演算部23によって操舵角速度ωが求められる(ステップS3)。この求められた操舵角速度ωに基づき、シフト量演算部24は、その操舵角速度ωに対応する基本シフト量ΔTを読み出すことになる(ステップS4)。さらに、シフト量演算部24は、車速センサ6が検出する車速Vに基づいて、車速ゲインGを求める(ステップS5)。そして、この求められた車速ゲインGを基本シフト量ΔTに乗じることによって、シフト量ΔTが演算される(ステップS6)。
【0034】
一方、シフト量補正部26は、シフト量ΔTに乗じるべきシフトゲインGs(0≦Gs≦1。たとえば、初期値は「1」。)を演算し、シフト量目標値ΔT(=Gs×ΔT)を演算し、このシフト量目標値ΔTをアシストトルク目標値設定部21に与える。
より具体的に説明すると、シフト量補正部26は、トルク積算値演算部25において所定時間毎に演算された操舵トルク積算値ΣTの最も新しい値を参照し(ステップS7)、この操舵トルク積算値ΣTと所定のしきい値Cとを大小比較する(ステップS8)。操舵トルク積算値ΣTがしきい値C未満であれば(ステップS8のYES)、シフト量補正部26は、シフトゲインGsを所定値だけインクリメントさせる(ステップS9)。ただし、シフトゲインGsのインクリメントは「1」を上限として行われ、インクリメントの結果が「1」を超える場合には、シフトゲインGsは「1」とされる(ステップS10,S11)。こうして、設定されたシフトゲインGsにシフト量ΔTを乗じることによってシフト量目標値ΔTが求められることになる(ステップS16)。
【0035】
一方、操舵トルク積算値ΣTがしきい値C以上であれば(ステップS8のNO)、シフト量補正部26は、シフトゲインGsと旋回時用基準シフトゲインGstとを大小比較する(ステップS12)。シフトゲインGsが旋回時用基準シフトゲインGst以下であれば(ステップS12のNO)、そのシフトゲインGsを用いてシフト量目標値ΔTが定められる(ステップS16)。その一方、シフトゲインGsが旋回時用基準シフトゲインGstを超えていれば(ステップS12のYES)、シフトゲインGsを所定値だけデクリメントする(ステップS13)。ただし、シフトゲインGsのデクリメントは「0」を下限として行われ、デクリメントの結果が「0」未満となる場合には、シフトゲインGsは「0」とされる(ステップS14,S15)。こうして、デクリメントされた後のシフトゲインGsにシフト量ΔTを乗じることによってシフト量目標値ΔTが求められる(ステップS16)。
【0036】
このようにして求められたシフト量目標値ΔTがアシストトルク目標値設定部21に与えられる。アシストトルク目標値設定部21は、T←T−ΔTとして、検索用の操舵トルク値Tを求め、この検索用操舵トルク値Tに基づいてアシスト特性記憶部22に記憶された基本アシストマップを検索する(ステップS17)。
このようにして、基本アシスト特性をシフト量目標値ΔTだけ操舵トルク軸方向に沿ってシフトさせて得られる仮想的な修正アシスト特性に従うアシストトルク目標値Taが、アシスト特性記憶部22から読み出されることになる。この読み出されたアシストトルク目標値Taに基づき、モータドライバ30が制御され、それに応じた駆動力をモータMが発生して、ステアリング機構3に与えることになる。
【0037】
図6は、通常操舵時と旋回操舵時(Uターン操舵時)とにおける操舵トルクの時間変化の一例を示す図である。旋回操舵時には、舵を一定方向に切り続ける状態となり、曲線L21で示すように、ステアリングホイール1に加えられる操舵トルクTは、比較的長い期間に渡って大きな値をとり続ける。これに対して、交差点でのターンや車線変更などのための通常操舵時には、ステアリングホイール1を一定方向に切り続ける時間は微小であり、比較的短い時間で、切り戻し操作が行われる。したがって、通常操舵時には、曲線L22で示すように、操舵トルクTは、立ち上がった後、大きな値を持続することなく、減少していく。
【0038】
そこで、所定時間tに渡る操舵トルクTの積算値ΣT(図6における斜線部分の面積に対応)を求めると、この操舵トルク積算値ΣTは、通常操舵時には小さな値(ΣT<C)をとり、旋回操舵時には大きな値(ΣT≧C)をとることになる。
よって、図5のフローチャートのステップS8における判断は、通常操舵時には肯定となり、旋回操舵時には否定となる。その結果、通常操舵時には、シフト量目標値ΔTは、シフト量ΔT(=G×ΔT)へと漸次的に導かれるのに対して、旋回操舵時には、時間経過とともに、零に向けて漸次的に減少していくことになる。
【0039】
つまり、旋回操舵時には、シフト量目標値ΔTは、シフト量演算部24が演算したシフト量ΔTに対して、このシフト量ΔTの絶対値を時間経過とともに漸減させる補正を施した値となり、アシストトルク目標値を定めるために適用される修正アシスト特性は、操舵トルク座標軸に沿って基本アシスト特性に近づく方向(原点方向)にシフトしていくことになる。
その結果、旋回操舵の初期には、基本アシスト特性を原点から離れる方向にシフトさせて得られる修正アシスト特性に従ってアシストトルク目標値が定められ、その後、ステアリングホイール1を切り込み続けることによって、そのシフト量の絶対値が減少して基本アシスト特性に近づいていく。よって、旋回操舵の初期には、操舵補助力を抑えて運転者に良好な手応え感を与えることができ、その後は、操舵補助力を増加させていくことによって、運転者の操舵負担を軽減することができる。
【0040】
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、上記の実施形態では、アシスト特性のシフト量ΔTに対して車速Vが加味されているが、車速Vに依存するシフト量の可変設定は必ずしも必要ではない。すなわち、上述の実施形態における基本シフト量ΔTをそのままシフト量ΔTとして用いてもよい。
また、上記の実施形態では、アシスト特性記憶部22に、基本アシスト特性に対応するアシストマップを記憶させておいて、このアシストマップからアシストトルク目標値Taを読み出す構成とされているが、関数演算によって、操舵トルクTに対応したアシストトルク目標値Taを定める構成としてもよい。
【0041】
シフト量演算部24についても同様であり、操舵角速度ωに対する基本シフト量ΔTの特性を予めメモリに記憶させておいてもよいし、関数演算によって、操舵角速度ωに対する基本シフト量ΔTを求める構成としてもよい。車速Vに対する車速ゲインGの演算についても同様のことが当てはまる。
また、上記の実施形態では、アシストトルク目標値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクに対するアシストトルク目標値の特性をアシスト特性として説明したが、本発明はこれに限らず、モータ電流目標値またはモータ電圧目標値をモータ駆動目標値とし、操舵トルクとこれらとの関係をアシスト特性としてもよい。
【0042】
さらに、上記の実施形態では、舵角センサ7が検出する操舵角を時間微分することによって操舵角速度を演算しているが、舵角センサを用いずに、電動モータMのモータ電流を求めるモータ電流検出回路の出力と、電動モータMの端子間電圧を検出する端子間電圧検出回路の出力とに基づいて、電動モータMの端子間に生じる逆起電力を求め、これに対応した操舵角速度を推定する構成を採用してもよい。
【0043】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る電動パワーステアリング装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】基本アシスト特性と、これを操舵トルク軸方向にシフトして得られる修正アシスト特性とを説明するための図である。
【図3】操舵角速度に対する基本シフト量の関係を示す図である。
【図4】車速に対するシフト量の可変設定について説明するための図である。
【図5】マイクロコンピュータによる電動モータの駆動制御に関連する処理を説明するためのフローチャートである。
【図6】通常操舵時と旋回操舵時(Uターン操舵時)とにおける操舵トルクの時間変化の一例を示す図である。
【図7】アシスト特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
3 ステアリング機構
5 トルクセンサ
6 車速センサ
7 舵角センサ
10 コントローラ
20 マイクロコンピュータ
21 アシストトルク目標値設定部
22 アシスト特性記憶部
23 操舵角速度演算部
24 シフト量演算部
25 トルク積算値演算部
26 シフト量補正部
30 モータドライバ
M 電動モータ

Claims (1)

  1. 電動モータの駆動力をステアリング機構に伝達して操舵補助する電動パワーステアリング装置であって、
    車両の操向のための操作部材に加えられる操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    上記操作部材の操舵速度を検出する操舵速度検出手段と、
    上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対するモータ駆動目標値の基本特性である基本アシスト特性を設定する基本アシスト特性設定手段と、
    この基本アシスト特性設定手段によって設定された基本アシスト特性を操舵トルク座標軸方向にシフトさせて得られる修正アシスト特性に従って、上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクに対応するモータ駆動目標値を設定するモータ駆動目標値設定手段と、
    上記基本アシスト特性に対する上記修正アシスト特性のシフト量を上記操舵速度検出手段によって検出される操舵速度に応じて可変設定する操舵速度適応シフト量設定手段と、
    上記操舵トルク検出手段によって検出される操舵トルクの所定時間毎の積算値を求める操舵トルク積算値演算手段と、
    この操舵トルク積算値演算手段によって求められる操舵トルク積算値が所定値以上のときに、上記操舵速度適応シフト量設定手段によって設定されたシフト量の絶対値を時間経過とともに減少させるシフト量減少補正手段と、
    上記モータ駆動目標値設定手段によって設定されたモータ駆動目標値に基づいて上記電動モータを駆動するモータ駆動手段とを含むことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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JP2007186169A (ja) * 2006-01-16 2007-07-26 Jtekt Corp 電動パワーステアリング装置

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