JP2000142433A - パワーステアリング方法およびパワーステアリング装置 - Google Patents

パワーステアリング方法およびパワーステアリング装置

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JP2000142433A JP10363346A JP36334698A JP2000142433A JP 2000142433 A JP2000142433 A JP 2000142433A JP 10363346 A JP10363346 A JP 10363346A JP 36334698 A JP36334698 A JP 36334698A JP 2000142433 A JP2000142433 A JP 2000142433A
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torque
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徳久 伊藤
Nobuhiko Uryu
信彦 瓜生
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    • B62LAND VEHICLES FOR TRAVELLING OTHERWISE THAN ON RAILS
    • B62DMOTOR VEHICLES; TRAILERS
    • B62D5/00Power-assisted or power-driven steering
    • B62D5/04Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear
    • B62D5/0457Power-assisted or power-driven steering electrical, e.g. using an electric servo-motor connected to, or forming part of, the steering gear characterised by control features of the drive means as such
    • B62D5/046Controlling the motor
    • B62D5/0463Controlling the motor calculating assisting torque from the motor based on driver input

Abstract

(57)【要約】 【課題】 保舵時および緩操舵時にはハンドルに微振動
が加わることがなく、急操舵時には素早いパワーアシス
トモータの応答性が得られて、操舵感覚が改善されるパ
ワーステアリング方法およびパワーステアリング装置を
提供すること。 【解決手段】 本発明のパワーステアリング装置は、ス
テアリングシャフトの操舵速度信号|dθ/dt|を生
成する操舵速度検知手段(3,4)と、ステアリングシ
ャフトのトルク信号τを生成するトルクセンサ1と、上
記操舵速度信号が大きくなるにつれて徐々にゲインが高
くなり位相進みが大きくなる伝達特性で操舵信号Yを生
成する操舵信号生成手段(2,5,6)と、操舵信号Y
に基づいて操舵力を補助するパワーアシスト用電動モー
タ9とを有する。保舵状態および緩操舵状態ではゲイン
および位相進みが小さく安定した操舵応答特性が得ら
れ、逆に急操舵状態では鋭敏な操舵応答特性が得られる
ので、操舵感覚が改善される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステアリング力を
補助する(パワーアシストを行う)自動車用のパワース
テアリング装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】この種のパワーステアリング装置に関す
る従来技術としては、特公平3−11943号公報に
「電動式パワステアリング装置の制御装置」が開示され
ている。このパワーステアリング装置には、ステアリン
グシャフトのトルクセンサの出力信号(トルク信号)の
微分値に比例する信号を発する位相補償部がもうけられ
ている。この位相補償部は、トルク信号から操舵系の摩
擦等によって生じる制御系伝達特性の遅れを補償するた
めに設けられたものである。すなわち、この位相補償部
には、トルク信号の位相を変化させて、制御系の安定を
図ったりパワーアシスト用電動モータの慣性による遅れ
を打ち消したりする作用がある。この位相補償部は、ア
ナログ回路またはデジタル演算回路によって構成されて
おり、その周波数応答特性は、トルク信号の周波数の増
加に伴って、何ら補償をしない場合よりもゲインおよび
位相進みが増大する特徴を持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来技術においては、トルク信号の微分値を取ることをし
ているので、位相補償部で補償されたトルク信号にはノ
イズが乗りやすく、位相補償部のゲインが高まった周波
数領域でノイズが増幅されて電流指令値となる。それゆ
え、位相補償部のゲインが高い場合には、この電流指令
値に基づいて駆動される電動モータの出力にノイズ出力
が含まれるようになってしまう。その結果、ハンドル
(ステアリング・ホイール)を介して運転者の手に微振
動が伝わって、保舵時および緩操舵時には運転者の手に
不快な振動を感じさせ、操舵感覚に悪影響を与えてしま
う傾向が生じる。
【0004】かといって、逆に位相補償部のゲインを低
くしてしまうと、これに伴って位相進みが減少するの
で、パワーステアリング制御系が十分に素早い応答特性
を失ってしまう。その結果、急操舵時にはパワーアシス
ト用の電動モータの応答が遅れてハンドルが重くなり、
電動モータの引きずり感を運転者に与えて応答性の良さ
が感じられなくなってしまい、やはり操舵感覚に悪影響
がある。
【0005】そこで本発明は、保舵時および緩操舵時に
はハンドルに微振動が加わることがなく、急操舵時には
素早いパワーアシストモータの応答性が得られて、操舵
感覚が改善されるパワーステアリング方法およびパワー
ステアリング装置を提供することを解決すべき課題とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは数多くのパワーステアリングに関する実
験を行い、自ら被験者となってパワーステアリング装置
の応答特性等の性能を評価した。その結果発明者らは、
ハンドルを操作する回転速度である操舵速度とハンドル
に加わる微振動に対する運転者の触覚との間に関係があ
ることを体験的に発見し、さらなる追試によってその発
見が正しいことを確認した。
【0007】発明者らの発見とは、操舵速度の絶対値が
小さいうちには、ハンドルに生じる微振動に対する運転
者の手の触覚は鋭敏であるが、操舵速度の絶対値が大き
くなるにつれて、ハンドルに生じる微振動に対する触覚
は鈍くなっていくということである。すなわち、ステア
リングシャフトの操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態
である場合には、運転者は鋭敏にハンドルの微振動を感
じ取ることができ、ハンドルに微振動が生じていると不
快感を催す。しかし逆に、操舵状態が急操舵状態である
場合には、運転者はハンドルの微振動に対して鈍感にな
り、その結果、ハンドルに微振動が生じていても運転者
はあまり気が付かず、操舵感覚に不快感を生じない。
【0008】発明者らは、このような新たな発見に基づ
き、上記課題を解決するために以下の手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、請求項1記載のパワ
ーステアリング方法である。すなわち、本手段のパワー
ステアリング方法は、ステアリングシャフトにかかるね
じりトルクに応じて車輪への操舵力を補助するパワーア
シストモータへの電流制御を行い、パワーアシストモー
タの出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助し、
ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場
合には、操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場
合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをねじりト
ルクに与える補償を行って、パワーアシストモータへの
電流制御を行う方法である。
【0009】本手段では、ステアリングシャフトの操舵
状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合には、大き
なゲインおよび位相進みをねじりトルクに与える補償は
行われない。それゆえ、この状態では操舵応答性はあま
り素早くない代わりに、パワーアシストモータからステ
アリングシャフトを介してハンドルに微振動が生じるこ
とがない。ただし、前述のようにこの状態では操舵応答
性はあまり素早くないが、操舵状態が急操舵状態ではな
いので鋭敏な応答性は要求されず、操舵感覚が悪くなる
ことはない。むしろ、前述のように運転者が握るハンド
ルに微振動がかかることがないので、運転者が感じる操
舵感覚は良好に保たれる。
【0010】逆に、ステアリングシャフトの操舵状態が
急操舵状態である場合には、前述の操舵状態が保舵状態
ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲイン
および位相進みをねじりトルクに与える補償が行われ
る。そして、より大きなゲインおよび位相進みを与えら
れて補償されたステアリングシャフトのねじりトルクに
基づいて、パワーアシストモータへの電流制御が行われ
る。それゆえ、パワーアシストモータの応答時間が短く
なり応答ゲインも大きくなるので、パワーアシストモー
タの応答特性が鋭敏になり、ハンドルの急操舵に対応し
た急激なパワーアシストが行われる。その結果、軽快で
きびきびとした操舵が可能になるので、急操舵時のハン
ドルの切れが良いと運転者には感じ取られる。
【0011】ここで、前述のようにより大きなゲインお
よび位相進みをねじりトルクに与える補償が行われるの
で、ハンドルには微振動が生じる可能性がある。しか
し、このような急操舵時には運転者の手の触覚が鈍くな
っているので、たとえハンドルに微振動が加わっても、
運転者は微振動に気が付くことがなく不快に感じること
もない。その結果、操舵感覚にハンドルの微振動が悪影
響を及ぼすことが防止されているので、急操舵状態での
操舵感覚も良好に保たれる。
【0012】したがって、本手段のパワーステアリング
方法によれば、保舵時および緩操舵時にはハンドルに微
振動が加わることがなく、逆に、急操舵時には素早いパ
ワーアシストモータの応答性が得られる。その結果、ス
テアリングシャフトの操舵状態が、保舵状態ないし緩操
舵状態であっても、あるいは逆に急操舵状態であって
も、良好な操舵感覚が保たれるという効果がある。
【0013】なお、パワーアシストモータとしては、電
動モータを採用することを主に想定しているが、油圧モ
ータや電動アクチュエータまたは油圧シリンダなど、電
動モータ以外の駆動手段を採用しても良い。 (第2手段)本発明の第2手段は、請求項2記載のパワ
ーステアリング方法である。
【0014】本手段では、保舵状態および緩操舵状態
は、ステアリングシャフトまたはパワーアシストモータ
の操舵速度の絶対値が所定値未満である状態を指す。同
様に、急操舵状態は、ステアリングシャフトまたはパワ
ーアシストモータの操舵速度の絶対値が所定値以上であ
る状態を指す。ただし、上記二つの所定値は、互いに等
価である必要はなく、緩操舵状態と急操舵状態との間に
中間的な操舵状態があっても良い。
【0015】操舵速度は、たとえば、ステアリングシャ
フトやパワーアシストモータに取り付けられた回転角セ
ンサが生じるパルスを、所定時間内でいくつあるかパル
スカウンタで数えることにより、容易に求めることがで
きる。それゆえ操舵速度によって操舵状態を判定するこ
とは、実際上容易に実施できるうえに信頼性が高いもの
と考えられる。
【0016】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、実施が容易になると共に信頼性が向
上するという効果がある。なお、回転角センサがステア
リングシャフトに取り付けられている場合には、ステア
リングシャフトから直接操舵角を検出できるので、操舵
系の応答時間が短縮されると共に、時間遅れがより小さ
くなるので自励振動がおきにくくなるという効果があ
る。逆に、パワーアシストモータに回転角センサが取り
付けられている場合には、減速機を介してパワーアシス
トモータがステアリングシャフトに接続されているの
で、回転角センサの分解能が高くなるという効果があ
る。
【0017】また、パワーアシストモータの端子間の電
圧およびパワーアシストモータに流れる電流から、操舵
速度の推定値を求め、同推定値をもって操舵速度とする
ことも可能である。本構成によれば、回転角センサを取
り付ける必要がなくなるので、より安価に本手段のパワ
ーステアリング方法を実施することができるという効果
がある。
【0018】(第3手段)本発明の第3手段は、請求項
3記載のパワーステアリング方法である。本手段では、
ステアリングシャフトにかかるねじりトルクからパワー
アシストモータへの電流制御に至るまでのゲインおよび
位相に関する補償の切替えは、操舵速度の絶対値の大小
によって段階的ないし連続的に行われる。それゆえ、保
舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまで、多
段階的にまたは連続的に、ゲインおよび位相の補償が切
替えられる。その結果、補償の切り替わりによる操舵特
性の変化が、操舵速度のある閾値を境にして不連続に急
変するような不都合は回避され、運転者には、保舵状態
ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまでほぼ連続し
た操舵感覚が得られる。
【0019】したがって本手段によれば、前述の第2手
段の効果に加えて、保舵状態ないし緩操舵状態から急操
舵状態へ至るまでほぼ連続した操舵感覚が得られるとい
う効果がある。 (第4手段)本発明の第4手段は、請求項4記載のパワ
ーステアリング装置である。
【0020】すなわち、本手段のパワーステアリング装
置は、操舵速度検知手段と、ねじりトルク検知手段と、
操舵信号生成手段と、パワーアシストモータとを有す
る。ここで、操舵速度検知手段は、ステアリングシャフ
トの操舵速度を検知してこの操舵速度の絶対値である操
舵速度信号を生成する検知手段ないしセンサーである。
一方、ねじりトルク検知手段は、ステアリングシャフト
にかかるねじりトルクを検知してトルク信号を生成する
検知手段ないしトルクセンサーである。
【0021】また、操舵信号生成手段は、操舵速度信号
が小さい場合には、低ゲインで位相進みがないまたは少
ない伝達特性で操舵信号を生成し、操舵速度信号が大き
くなるにつれて、徐々にゲインが高くなり位相進みが大
きくなる伝達特性でこの操舵信号を生成する手段であ
る。さらに、パワーアシストモータは、上記操舵信号に
基づいて駆動され車輪に対する操舵力を補助する駆動手
段であり、普通は電動モータであるが、油圧モータなど
の他の駆動手段であっても良い。
【0022】本手段では、操舵速度検知手段によって、
ステアリングシャフトの操舵速度が直接的または間接的
に検知され、検知された操舵速度の絶対値である操舵速
度信号が生成される。ここで、ステアリングシャフトの
操舵速度は、ステアリングシャフトまたはパワーアシス
トモータに取り付けられた回転角センサ等によって直接
的に計測されても良いし、パワーアシストモータへの電
圧や電流等から間接的に推定されても良い。一方、ねじ
りトルク検知手段によって、ステアリングシャフトにか
かるねじりトルクが検知され、検知されたねじりトルク
に基づいてトルク信号が生成される。
【0023】また、操舵信号生成手段によってトルク信
号から操舵信号が生成され、この操舵信号に基づいてパ
ワーアシストモータが駆動される。ここで、操舵信号生
成手段によって生成される操舵信号は、操舵速度信号が
小さい場合には、トルク信号から低ゲインで位相進みが
ないまたは少ない伝達特性で生成される。すなわち、操
舵信号は、操舵速度信号が小さい場合には、ほとんど補
償を受けずに、(ステアリングシャフトにかかるねじり
トルクから通常の一時遅れ系の伝達特性によって生成さ
れる)トルク信号からほぼ直接的に生成される。その結
果、操舵速度信号が小さい場合には、ステアリングシャ
フトにかかるねじりトルクから操舵信号の生成に至るま
での応答特性があまり鋭敏ではない代わりに、微振動成
分が混入することなしに操舵信号が生成される。
【0024】しかしながら、操舵速度信号がある程度大
きくなってくると、操舵信号は、操舵速度信号が大きく
なるにつれて徐々にゲインが高くなり位相進みが大きく
なる伝達特性をへて補償を受けて生成される。すなわ
ち、操舵信号は、操舵速度信号が大きくなるにつれて、
トルク信号に対してより大きなゲインとより大きな位相
進みとをもって補償がなされて生成される。その結果、
操舵速度信号が大きい場合には、大きなゲインおよび位
相進みの補償を受けるので、操舵信号に微振動成分が混
入しやすくなる代わりに、トルク信号から操舵信号に至
る応答特性が鋭敏になる。また、この応答特性の変化
は、操舵速度信号が大きくなるにつれて徐々に起こるの
で、運転者に応答特性の変化が操舵感覚の不連続な急変
として感じ取られることはない。
【0025】最後に、パワーアシストモータは、上記操
舵信号に基づいて駆動され、車輪に対する運転者の操舵
力を補助する駆動手段であるから、パワーアシストモー
タのトルク出力には、上記操舵信号の特性が反映され
る。すなわち、操舵速度信号が小さい場合には、パワー
アシストモータの応答特性は緩やかであるが、パワーア
シストモータの出力に微振動が混入することは防止され
ている。それゆえ、保舵状態ないし緩操舵状態では、パ
ワーアシストモータから微振動がステアリングシャフト
に加わることがないので、ハンドルを握る運転者の手に
微振動が加わって運転者に不快感を与えるような不都合
がない。また、操舵速度信号が小さい保舵状態ないし緩
操舵状態にあるので、パワーアシストモータの応答特性
が緩やかであることは問題にならない。
【0026】しかしながら、操舵速度信号が大きくなる
につれて、パワーアシストモータの応答特性は徐々に鋭
敏になっていき、わずかにではあるがパワーアシストモ
ータの出力に微振動が含まれるようになってくる。そし
て操舵速度信号が十分に大きい場合には、ステアリング
シャフトにかかる操舵トルクに対するパワーアシストモ
ータの応答特性は鋭敏であり、その代わりパワーアシス
トモータの出力には微振動が含まれてしまう。すなわ
ち、急操舵状態では、パワーアシストモータの応答特性
が鋭敏であるので、運転者はハンドルを軽く切ることが
でき、きびきびとした良好な操舵応答特性を感じ取るこ
とができる。この際、ハンドルに微振動が加わっている
のであるが、急操舵状態では運転者の手は触覚が鈍感に
なるので、この微振動が不快な操舵特性として運転者に
感じ取られるような不都合は、防止されている。
【0027】以上をまとめると、本手段のパワーステア
リング装置では、ステアリングシャフトの操舵状態が保
舵状態または緩操舵状態にある場合には、パワーアシス
トモータの応答は緩やかであるが、ハンドルに微振動が
加わることがない。それゆえ、応答特性が緩やかであっ
てもハンドル操作が緩やかであるから、運転者は応答特
性が鈍いと感じることはなく、また、ハンドルを握る運
転者の手に微振動が加わらないので、保舵状態ないし緩
操舵状態では良好な操舵感覚が得られる。そして、急操
舵状態になるに従って、徐々にハンドルに微振動が加わ
ってくるようになるが、同時に徐々に素早いパワーアシ
ストモータの応答性が得られる様にもなる。それゆえ、
徐々にハンドルの切れが良くきびきびとした操舵応答特
性が得られるようになっていきながら、同時に運転者の
手の触覚が鈍っていくのでハンドルに加わる微振動が不
快に感知されることはなく、やはり良好な操舵感覚が得
られ続ける。
【0028】したがって、本手段のパワーステアリング
装置によれば、ステアリングシャフトの操舵状態が、保
舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、い
かなる操舵状態であっても良好な操舵感覚が保たれると
いう効果がある。 (第5手段)本発明の第5手段は、請求項5記載のパワ
ーステアリング装置である。
【0029】本手段では、前述の第4手段において、操
舵信号生成手段は、位相補償部と、内分比演算部と、周
波数応答可変演算部とを有する。ここで、位相補償部に
は、トルク信号の所定の周波数領域においてゲインが大
きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもって、トル
ク信号の補償を行う作用がある。また、内分比演算部に
は、操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、操舵速度信号
が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設
定された内分比Gを出力して、トルク信号と補償された
トルク信号とのそれぞれについて重み付けを行う作用が
ある。
【0030】この重み付けは、周波数応答可変演算部に
おいてトルク信号と補償されたトルク信号との線形結合
を取る際に使用される。すなわち、周波数応答可変演算
部では、トルク信号U1と、位相補償部を介して伝達さ
れたトルク信号の補償出力U2との線形結合として、操
舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算する作用
を有する。こうして、トルク信号U1とその補償出力U
2とを適正に重み付けして線形結合した操舵信号Yに基
づいて、前述のパワーアシストモータが駆動される。
【0031】ここで、内分比Gは、最も広く設定しても
0≦G≦1の範囲にあり、前述のように、操舵速度の絶
対値である操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵
速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するよう
に予め設定されている。それゆえ、保舵時には、操舵信
号Y=G・U1+(1−G)・U2においてGが比較的
大きいので、補償されていない生のトルク信号U1に対
してより多くの重みがかかる。その結果、パワーステア
リング装置の応答特性は比較的鈍いが、微振動の発生は
押さえられている。
【0032】保舵状態から操舵状態に移行し、操舵速度
信号が増大していくと、それに伴って内分比Gの値も減
少していくので、操舵時の操舵信号Y=G・U1+(1
−G)・U2において、補償出力U2の影響がトルク信
号U1の影響に比べて増大していく。それにつれて、パ
ワーステアリング装置の応答特性が鋭敏になり、短時間
で素早く応答するように応答特性が変化していくととも
に、微振動が徐々に発生しやすくなっていく。
【0033】そして、操舵速度信号が大きくなって急操
舵状態にまでなると、操舵信号Y=G・U1+(1−
G)・U2において(1−G)が比較的大きくなって、
補償出力U2が操舵信号Yの大半を決定するようにな
る。すなわち、ゲインおよび位相進みを大きくして補償
された補償出力U2が、操舵信号Yの生成において支配
的になるので、パワーステアリング装置の応答特性は鋭
敏になり、パワーアシストモータの出力はステアリング
シャフトのねじりトルクを十分に素早くアシストするよ
うになる。ただし、応答特性が鋭敏になるのに伴ってパ
ワーアシストモータの出力に微振動成分が混入するよう
になるが、急操舵中の運転者はハンドルの微振動に鈍感
になっており微振動に気が付くことがないので、微振動
は問題とはならない。
【0034】したがって本手段によれば、前述の第4手
段の効果に加えて、第4手段をより具体的に実施できる
ようになるという効果がある。 (第6手段)本発明の第6手段は、請求項6記載のパワ
ーステアリング装置である。本手段では、前述の第5手
段において、操舵信号生成手段は、車速センサから得ら
れる車速信号と前記トルク信号とのうち一方に基づい
て、装備車両が略停止中であるか走行中であるかを判定
する走行状態判定手段をもつ。そして、この走行状態判
定手段によってこの装備車両が走行中であると判定され
た場合には、前述の第5手段の内分比Gが強制的にゼロ
に設定される。
【0035】それゆえ、装備車両が停車中ないし極低速
走行中である略停止中であるときには、中立状態からい
きなり急操舵に近い急激な据え切り操作を行った場合
に、内分比Gが適正に調整されるので、前述のように良
好な操舵感覚が得られる。すなわち、中立状態から急激
に据え切りを始めた場合でも、適正な位相補償がなされ
るので、パワーアシストの遅れがなくなる。その結果、
同遅れに起因する自励振動のせいでハンドルに不快な振
動が加わるような不都合はなくなって、据え切り時の操
舵感覚が向上する。
【0036】逆に走行中であるときには、内分比Gが変
わらず適正な位相補償が行われたままの状態が続くの
で、内分比Gの急変に起因するアシストトルクの変動が
起こらず、操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感
覚が保たれる。なお、前述の従来技術と同様に、急操舵
時に位相を進める微分要素をもった位相補償に起因し、
微分ノイズによって微振動や微小な異音が生じることは
ある。しかし、走行中にはエンジンの振動および騒音だ
けではなく、走行の伴う振動および騒音が加わるので、
微分ノイズに起因する微振動等が運転者に感知されるこ
とはなく、不都合を起こすことはない。
【0037】したがって本手段によれば、前述の第5手
段の効果に加えて、据え切り時の操舵感覚が向上する上
に、走行時の操舵感覚に不連続性がなく操舵状態の如何
にかかわらず滑らかな操舵感覚が保たれるという効果が
ある。 (第7手段)本発明の第7手段は、請求項7記載のパワ
ーステアリング装置である。
【0038】本手段では、操舵信号生成手段は、第1位
相補償部および第2位相補償部と、内分比演算部と、周
波数応答可変演算部とを有する。第1位相補償部は、ト
ルク信号の比較的低い周波数領域においてゲインが大き
くなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信
号の補償手段である。一方、第2位相補償部は、トルク
信号の比較的高い周波数領域においてゲインが大きくな
り位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号の
補償手段である。第1位相補償部と第2位相補償部と
は、ゲインおよび位相進みが大きくなる周波数帯域が異
なり、このような周波数帯域は、第1位相補償部よりも
第2位相補償部の方が高い。それゆえ定性的に述べるな
らば、第1位相補償部には、操舵状態が緩操舵状態であ
る場合にも、ゲインおよび位相進みを増大させる作用が
あり、逆に第2位相補償部には、急操舵状態になってか
らゲインおよび位相進みを増大させる作用がある。
【0039】内分比演算部には、操舵速度信号|dθ/
dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつれて
不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出
力して重み付けを行う作用があり、おおむね前述の第5
手段の内分比演算部と同様である。周波数応答可変演算
部には、第1位相補償部を介して伝達されたトルク信号
の第1補償出力U1と、第2位相補償部を介して伝達さ
れたトルク信号の第2補償出力U2との線形結合とし
て、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算す
る作用がある。すなわち、保舵状態および緩操舵では、
第1位相補償部を介して伝達されたトルク信号の第1補
償出力U1が支配的になって操舵信号Yが定まる。
【0040】しかしながら、保舵状態から急操舵状態に
移行する途中の緩操舵状態にあっては、トルク信号の周
波数はある程度高いので、第1位相補償部で大きなゲイ
ンおよび位相進みの応答特性による補償が得られる。そ
れゆえ、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩操
舵状態にあっても、鋭敏な操舵応答特性が得られる点
が、前述の第5手段と異なっている。なお、急操舵状態
になってしまえば、第2位相補償部を介して伝達された
トルク信号の第2補償出力U2が支配的になって操舵信
号Yが定まるので、前述の第5手段と同様に、急操舵状
態では鋭敏な操舵応答特性が得られる。
【0041】したがって本手段によれば、前述の第5手
段の効果に加えて、保舵状態から急操舵状態に移行する
途中の緩操舵状態であっても、鋭敏な操舵応答特性が得
られるという効果がある。 (第8手段)本発明の第8手段は、請求項8記載のパワ
ーステアリング装置である。
【0042】本手段では、操舵信号生成手段は、トルク
信号の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合にこのトル
ク信号をもって操舵信号に代えるバイパス手段を有す
る。それゆえ、ステアリングが中立付近で小刻みに左右
に操舵する際にも、利得や位相が補償された操舵信号が
出力されず、トルク信号が操舵信号として出力されるの
で、補償成分の頻繁な切替えによって起こる操舵感覚の
劣化が起こらない。
【0043】したがって本手段によれば、前述の第4手
段の効果に加えて、ステアリングが中立付近で小刻みに
左右に操舵する際にも、良好な操舵感覚が得られるとい
う効果がある。 (第9手段)本発明の第9手段は、請求項9記載のパワ
ーステアリング装置である。
【0044】本手段では、デジタル演算を行うマイクロ
コンピュータが装備されており、同マイクロコンピュー
タには操舵信号生成手段が内蔵されている。それゆえ、
前述の第5手段や第6手段を実施するにあたって、操舵
信号生成手段がマイクロコンピュータに内蔵されていれ
ば、内分比Gの演算にあたってはメモリを利用して短時
間で正確な演算が可能になる。また、周波数応答可変演
算部の線形結合演算[操舵信号Y=G・U1+(1−
G)・U2]にあたっても、同様に素早く正確な演算が
可能であるから、操舵応答特性が俊敏かつ正確になる。
同様に、第7手段を実施するにあたっても、ハードウェ
アとして差分器やスイッチング回路を導入するよりも、
高速で正確なバイパス信号経路の形成をすることができ
る。さらに、処理の高速化や精密化だけではなく、近年
ではマイクロコンピュータが低廉化しているので、同様
の演算機能をもつアナログ演算回路等のハードウェアを
採用するよりも、コストダウンができるという効果もあ
る。
【0045】したがって本手段によれば、前述の第4手
段の効果に加えて、俊敏かつ正確な操舵特性が得られる
ようになりながら、同時にコストダウンが可能になると
いう効果がある。
【0046】
【発明の実施の形態】本発明のパワーステアリング装置
およびパワーステアリング方法の実施の形態について
は、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実
施例で明確かつ十分に説明する。 [実施例1] (実施例1のパワーステアリング装置)本発明の実施例
1としてのパワーステアリング装置は、図1に示すよう
に、操舵速度検知手段としての回転角センサ3および操
舵速度演算部4と、ねじりトルク検知手段としてのトル
クセンサ1と、操舵信号生成手段(2,5,6,7)
と、電動モータ駆動部8と、パワーアシストモータとし
ての電動モータ9とを有する。
【0047】操舵速度検知手段としての回転角センサ3
および操舵速度演算部4は、ステアリングシャフトの操
舵角θをもとに操舵速度を検知して、操舵速度の絶対値
である操舵速度信号|dθ/dt|を生成する手段であ
る。回転角センサ3は、電動モータ9の回転軸の回転に
応じてパルスを生成するセンサであり、電動モータ9に
取り付けられている。電動モータ9は、ステアリングシ
ャフトに減速機を介して接続されているので、ステアリ
ングシャフトの回転角度に関する分解能は極めて高い。
操舵速度演算部4は、回転角センサ3から発生する上記
パルスが所定時間内にいくつあったかを計数するパルス
カウンターであり、デジタル演算回路で構成されてい
る。
【0048】ねじりトルク検知手段としてのトルクセン
サ1は、メカニカルにねじれを検出する非接触型磁気セ
ンサであって、ステアリングシャフトにかかるねじりト
ルクTを検知してトルク信号τを生成する。トルクセン
サ1の伝達特性は、ステアリングシャフトにかかるねじ
りトルクTを入力としトルク信号τを出力とする伝達関
数τ(s)/T(s)に相当し、図2に示すように、お
おむね一時遅れ系の伝達特性をもっている。
【0049】操舵信号生成手段は、再び図1に示すよう
に、位相補償部2と、内分比演算部5と、周波数応答可
変演算部6と、電流指令値演算部7とからなるデジタル
演算回路である。この操舵信号生成手段は、操舵速度信
号|dθ/dt|が小さい場合には、低ゲインで位相進
みがないまたは少ない伝達特性で操舵信号を生成し、操
舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、徐々
にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性で操
舵信号Yを生成する。この操舵信号生成手段の作用効果
については、後ほど詳しく述べることにする。
【0050】電動モータ駆動部8は、パワーMOS等か
ら構成されており、電流指令値演算部7の出力である電
流指令値Aを、図示しないD/A変換器を介して電圧と
して受け取り、電動モータ9を駆動する電流を制御する
駆動電源回路である。一方、パワーアシストモータとし
ての電動モータ9は、操舵信号Yに基づいて電動モータ
駆動部8によって駆動され、操舵車輪に対する操舵力を
補助する直流モータである。
【0051】ここで、前述の操舵信号生成手段の構成と
作用について詳しく説明する。すなわち操舵信号生成手
段は、前述のように、位相補償部2と、内分比演算部5
と、周波数応答可変演算部6と、電流指令値演算部7と
からなるデジタル演算回路である。位相補償部2には、
トルク信号τの所定の周波数領域においてゲインが大き
くなり位相進みが大きくなる伝達特性をもって、トルク
信号の補償を行う作用がある。すなわち、位相補償部2
の伝達関数は、U2(s)/τ(s)=g(s−z 1
/{(s−p1)(s+p2)}のように、微分要素を含
む二次系であり、極ゼロは適正に設定されている。入力
信号が低周波から高周波に移行する際には、上記伝達関
数のうち先ず微分要素が効いてきて、ゲインおよび位相
進みを高める伝達特性が発揮される。それゆえ、ステア
リングシャフトにかかるねじりトルクTからトルクセン
サ1を経て位相補償部2の出力である補償出力U1に至
るまでの伝達関数U1(s)/T(s)に相当する伝達
特性は、図3に示すように、所定の周波数領域でゲイン
が高まり位相も進んでいる。
【0052】内分比演算部5は、操舵速度信号|dθ/
dt|を入力として受け入れ、操舵速度信号|dθ/d
t|に対応する内分比Gを出力するメモリおよび演算回
路からなる演算手段である。内分比演算部5には、操舵
速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵速度信号が大き
くなるにつれて不変ないし減少するように予め設定され
た内分比Gを出力して、トルク信号τ=U1と補償され
たトルク信号である補償出力U2とのそれぞれについて
重み付けを行う作用がある。より具体的には、内分比演
算部5は、再び図1に示すように、操舵速度信号|dθ
/dt|に対応する内分比Gを記録したメモリと同メモ
リの呼び出し機能をもつ演算手段であって、図1中のブ
ロック5に示されたグラフのように内分比Gを出力す
る。
【0053】すなわち、操舵速度信号|dθ/dt|が
ゼロから所定値までの保舵状態から緩操舵までの状態で
は、内分比演算部5はG=0.8を出力する。操舵速度
信号|dθ/dt|が、緩操舵状態を越えるほど大きい
と、操舵状態は中間的な操舵状態にあると判定され、操
舵速度信号|dθ/dt|が増えるに従って、内分比G
は0.8からゼロへ向かって単純減少する。そして、操
舵速度信号|dθ/dt|が、急操舵状態と判定される
所定値を超えると、内分比Gはゼロに設定されて一定に
なる。
【0054】ここで、操舵速度信号|dθ/dt|がゼ
ロのときG=0.8と設定することは、保舵状態から急
操舵へ移行する中間段階としての緩操舵状態にあって
も、比較的鋭敏な操舵応答特性が得られるように、実験
的に定められた。また、位相補償部2の伝達関数と内分
比演算部5のグラフとは、ノウハウを含む設計事項であ
って、自動車の車種ごとに実験的に適正に定められるべ
きものである。
【0055】周波数応答可変演算部6は、前述のトルク
信号τ=U1と、補償出力U2と、内分比Gとを入力と
して、操舵信号Yを出力するデジタル演算回路である。
前述の内分比Gによる重み付けは、周波数応答可変演算
部6においてトルク信号τ=U1と補償されたトルク信
号である補償出力U2との線形結合を取る際に使用され
る。すなわち、周波数応答可変演算部6では、トルク信
号U1と、位相補償部を介して伝達されたトルク信号の
補償出力U2との線形結合として、操舵信号Y=G・U
1+(1−G)・U2がデジタル演算され、出力され
る。
【0056】電流指令値演算部7は、周波数応答可変演
算部6から出力された操舵信号Yを入力として受け入
れ、操舵信号Yに対応する電流指令値Aを出力する演算
手段である。電流指令値演算部7には、図1中のブロッ
ク7にグラフで模式的に示すように、操舵信号Yに対応
する電流指令値Aを演算するためのメモリとデジタル演
算回路とが備わっている。
【0057】電流指令値演算部7を受け取る電動モータ
駆動部8と、電動モータ駆動部8に駆動される電動モー
タ9については、前述したとおりである。こうして、ト
ルク信号U1とその補償出力U2とを適正に重み付けし
て線形結合した操舵信号Yに基づき、電流指令値演算部
7と電動モータ駆動部8とを介して、前述のパワーアシ
ストモータとしての電動モータ9が駆動される。
【0058】ここで、内分比Gは、0≦G≦0.8の範
囲に設定されており、前述のように、操舵速度の絶対値
である操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵速度
信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予
め設定されている。それゆえ、操舵速度信号|dθ/d
t|=0の保舵時には、操舵信号Y=G・U1+(1−
G)・U2においてGが比較的大きいので、補償されて
いない生のトルク信号U1に多くの重みがかかり、操舵
信号Yの生成においてトルク信号τ=U1が支配的であ
る。その結果、パワーステアリング装置の応答特性は比
較的鈍いが、微振動の発生は押さえられている。
【0059】保舵状態ないし緩操舵状態から中間的な操
舵状態に移行し、操舵速度信号|dθ/dt|が増大し
ていくと、それに伴って内分比Gの値も減少していく。
それゆえ、操舵時の操舵信号Y=G・U1+(1−G)
・U2において、補償出力U2の影響がトルク信号U1
の影響に比べて増大していく。それにつれて、パワース
テアリング装置の応答特性が鋭敏になり、短時間で素早
く応答するように応答特性が変化していくとともに、微
振動が徐々に発生しやすくなっていく。
【0060】そして、操舵速度信号|dθ/dt|が十
分に大きくなって急操舵状態にまでなると、内分比Gは
ゼロになってしまう。それゆえ、操舵信号Y=G・U1
+(1−G)・U2において、補償出力U2が操舵信号
Yの全てを決定するようになる。すなわち、ゲインおよ
び位相進みを大きくして補償された補償出力U2が、操
舵信号Yの生成において支配的になるので、パワーステ
アリング装置の応答特性は鋭敏になり、電動モータ9の
出力はステアリングシャフトのねじりトルクTを十分に
素早くアシストするようになる。ただし、応答特性が鋭
敏になるのに伴って電動モータ9の出力に微振動成分が
混入するようになるが、急操舵中の運転者はハンドルの
微振動に鈍感になっており微振動に気が付くことがない
ので、微振動は操舵感覚上の問題とはならない。
【0061】次に、以上の作用を、よりいっそう詳しく
説明する。すなわち、本実施例のパワーステアリング装
置では、操舵速度検知手段である回転角センサ3および
操舵速度演算部4によって、ステアリングシャフトの操
舵速度がされ、検知された操舵速度の絶対値である操舵
速度信号|dθ/dt|が生成される。一方、ねじりト
ルク検知手段としてのトルクセンサ1によって、ステア
リングシャフトにかかるねじりトルクTが検知され、検
知されたねじりトルクに基づいてトルク信号τが生成さ
れる。
【0062】また、位相補償部2、内分比演算部5およ
び周波数応答可変演算部6からなる操舵信号生成手段に
よって、操舵速度信号|dθ/dt|およびトルク信号
τから操舵信号Yが生成され、操舵信号Yに基づいて電
動モータ9が駆動される。ここで、上記操舵信号生成手
段によって生成される操舵信号Yは、操舵速度信号|d
θ/dt|が小さい場合には、主にステアリングシャフ
トにかかるねじりトルクTから低ゲインで位相進みがな
いまたは少ない伝達特性で生成される。すなわち、操舵
信号Yは、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合に
は、ほとんど補償を受けずに、(ステアリングシャフト
にかかるねじりトルクTから通常の一時遅れ系の伝達特
性によって生成される)トルク信号τからほぼ直接的に
生成される。その結果、操舵速度信号|dθ/dt|が
小さい場合には、ステアリングシャフトにかかるねじり
トルクTから操舵信号Yの生成に至るまでの応答特性が
あまり鋭敏ではない代わりに、微振動成分が混入するこ
となしに操舵信号Yが生成される。
【0063】しかしながら、操舵速度信号|dθ/dt
|がある程度大きくなってくると、操舵信号Yは、操舵
速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて徐々にゲ
インが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性を経て補
償を受けて生成される。すなわち、操舵信号Yは、操舵
速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、トルク
信号τに対してより大きなゲインとより大きな位相進み
とをもって補償がなされて生成される。その結果、操舵
速度信号|dθ/dt|が大きい場合には、大きなゲイ
ンおよび位相進みの補償を受けるので、操舵信号Yに微
振動成分が混入しやすくなる代わりに、ステアリングシ
ャフトにかかるねじりトルクTから操舵信号Yに至るま
での応答特性が鋭敏になる。
【0064】また、この応答特性の変化は、操舵速度信
号|dθ/dt|が大きくなるにつれて徐々に起こるの
で、運転者に応答特性の変化が操舵感覚の急変として感
じ取られることはない。ここで、ステアリングシャフト
にかかるねじりトルクTから操舵信号Yに至るまでの応
答特性は、図4に示すように、操舵速度信号|dθ/d
t|が大きくなるにつれて、G=0.8からG=0に至
るまで連続的に変化する。
【0065】最後に、パワーアシストする電動モータ9
は、再び図1に示すように、操舵信号Yに基づいて駆動
され、操舵車輪に対する運転者の操舵力を補助する駆動
手段であるから、電動モータ9のトルク出力には、操舵
信号Yの特性が反映される。すなわち、操舵速度信号|
dθ/dt|が小さい場合には、電動モータ9の応答特
性は緩やかであるが、パワーアシストモータの出力に微
振動が混入することは防止されている。それゆえ、保舵
状態ないし緩操舵状態では、電動モータ9から微振動が
ステアリングシャフトに加わることがないので、ハンド
ルを握る運転者の手に微振動が加わって運転者に不快感
を与えるような不都合がない。また、操舵速度信号|d
θ/dt|が小さいということは、操舵状態が保舵状態
ないし緩操舵状態にあるということなので、電動モータ
9の応答特性が緩やかであることは、操舵感覚上の問題
にはならない。
【0066】しかしながら、再び図4に示すように、操
舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、電動
モータ9の応答特性は徐々に鋭敏になっていき、わずか
にではあるが電動モータ9の出力に微振動が含まれるよ
うになってくる。そして、操舵速度信号|dθ/dt|
が十分に大きい場合には、ステアリングシャフトにかか
る操舵トルクTに対する電動モータ9の応答特性は鋭敏
であり、その代わり電動モータ9の出力には微振動が含
まれてしまう。すなわち、急操舵状態では、ステアリン
グシャフトから電動モータ9に至るまでの応答特性が鋭
敏であるので、運転者はハンドルを軽く切ることがで
き、きびきびとした良好な操舵応答特性を感じ取ること
ができる。この際、ハンドルに微振動が加わっているの
であるが、急操舵状態では運転者の手は触覚が鈍感にな
るので、この微振動が不快な操舵特性として運転者に感
じ取られるような不都合は、防止されている。
【0067】以上をまとめると、本実施例のパワーステ
アリング装置では、ステアリングシャフトの操舵状態が
保舵状態または緩操舵状態にある場合には、電動モータ
9の応答は緩やかであるが、ハンドルに微振動が加わる
ことがない。それゆえ、応答特性が緩やかであってもハ
ンドル操作が緩やかであるから、運転者は応答特性が鈍
いと感じることはなく、また、ハンドルを握る運転者の
手に微振動が加わらないので、保舵状態ないし緩操舵状
態では良好な操舵感覚が得られる。そして急操舵状態に
なるに従って、徐々にハンドルに微振動が加わってくる
ようになるが、同時に徐々に素早い電動モータ9の応答
性が得られるようにもなる。それゆえ、徐々にハンドル
の切れが良くきびきびとした操舵応答特性が得られるよ
うになっていきながら、同時に運転者の手の触覚が鈍っ
ていくので、ハンドルに加わる微振動が不快に感知され
ることはなく、やはり良好な操舵感覚が得られ続ける。
【0068】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ装置によれば、ステアリングシャフトの操舵状態が、
保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、
いかなる操舵状態であっても良好な操舵感覚が保たれる
という効果がある。なお、本実施例のパワーステアリン
グ装置には、主要な制御装置として、デジタル演算を行
うマイクロコンピュータ10が装備されており、トルク
センサ1の出力であるトルク信号τは、図示しないA/
D変換器を介してマイクロコンピュータ10に取り込ま
れる。マイクロコンピュータ10には、位相補償部2、
操舵速度演算部4、内分比演算部5、周波数応答可変演
算部6および電流指令値演算部7が内蔵されている。そ
れゆえ、位相補償部2をアナログ回路で構成する必要が
なくなり、また、内分比Gの演算にあたってはメモリを
利用して短時間で正確な演算が可能になる。さらに、周
波数応答可変演算部の線形結合演算[操舵信号Y=G・
U1+(1−G)・U2]にあたっても、同様に素早く
正確な演算が可能であるから、操舵応答特性が俊敏かつ
正確になる。同様に、電流指令値演算部7での演算にあ
たっては、メモリを利用して短時間で正確な演算が可能
になる。近年ではマイクロコンピュータが低廉化してい
るので、同様の演算機能をもつアナログ演算回路を採用
するよりも、ずっとコストダウンができるという効果も
ある。
【0069】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ装置によれば、前述のように優れた操舵特性が得られ
るようになりながら、同時にコストダウンが可能になる
という効果もある。 (実施例1のパワーステアリング方法)本実施例のパワ
ーステアリング方法は、以上のような本実施例のパワー
ステアリング装置の作用としてとらえることができる
が、以下に改めて方法発明として説明する。
【0070】本発明の実施例1としてのパワーステアリ
ング方法は、再び図1に示すように、電動モータ9によ
ってステアリングシャフトにかかるねじりトルクTのパ
ワーアシストを行うパワーステアリング方法である。す
なわち、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクT
に応じて車輪への操舵力を補助するパワーアシストモー
タとしての電動モータ9への電流制御を行い、電動モー
タ9の出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助す
る方法である。
【0071】本実施例のパワーステアリング方法の第1
の特徴は、ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状
態である場合には、操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状
態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進み
をトルク信号τに与える補償を行って、電動モータ9へ
の電流制御を行うことである。すなわち、ステアリング
シャフトの操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である
場合には、再び図2に伝達特性を示すように、大きなゲ
インおよび位相進みをねじりトルクTないしトルク信号
τに与える補償は行われない。それゆえ、この状態では
操舵応答性はあまり素早くない代わりに、電動モータ9
からステアリングシャフトを介してハンドルに微振動が
生じることがない。ただし、前述のようにこの状態では
操舵応答性はあまり素早くないが、操舵状態が急操舵状
態ではないので鋭敏な応答性は要求されず、操舵感覚が
悪くなることはない。むしろ、前述のように運転者が握
るハンドルに微振動がかかることがないので、運転者が
感じる操舵感覚は良好に保たれる。
【0072】逆に、ステアリングシャフトの操舵状態が
急操舵状態である場合には、再び図3に伝達特性を示す
ように、前述の操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態で
ある場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをね
じりトルクTに与える補償が行われる。そして、より大
きなゲインおよび位相進みを与えられて補償されたステ
アリングシャフトのねじりトルクTに基づいて、電動モ
ータ9への電流制御が行われる。それゆえ、電動モータ
9の応答時間が短くなり応答ゲインも大きくなるので、
ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから電動
モータ9に至るまでの応答特性が鋭敏になり、ハンドル
の急操舵に対応した急激なパワーアシストが行われる。
その結果、軽快できびきびとした操舵が可能になるの
で、急操舵時のハンドルの切れが良いと運転者には感じ
取られる。
【0073】ここで、急操舵状態にある場合には、前述
のようにより大きなゲインおよび位相進みをねじりトル
クTに与える補償が行われるので、ハンドルには微振動
が生じる可能性がある。しかし、このような急操舵時に
は運転者の手の触覚が鈍くなっているので、たとえハン
ドルに微振動が加わっても、運転者は微振動に気が付く
ことがなく不快に感じることもない。その結果、操舵感
覚にハンドルの微振動が悪影響を及ぼすことが防止され
ているので、急操舵状態での操舵感覚も良好に保たれ
る。
【0074】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ方法によれば、保舵時および緩操舵時にはハンドルに
微振動が加わることがなく、逆に、急操舵時には素早い
パワーアシストモータとしての電動モータ9の応答性が
得られる。その結果、ステアリングシャフトの操舵状態
が、保舵状態ないし緩操舵状態であっても、あるいは逆
に急操舵状態であっても、良好な操舵感覚が保たれると
いう効果がある。
【0075】本実施例のパワーステアリング方法の第2
の特徴は、保舵状態および緩操舵状態は、電動モータ9
の操舵速度の絶対値すなわち操舵速度信号|dθ/dt
|が所定値未満である状態を指すことである。同様に、
急操舵状態は、操舵速度信号|dθ/dt|が所定値以
上である状態を指す。ただし、上記二つの所定値は、互
いに等価ではなく、緩操舵状態と急操舵状態との間に中
間的な操舵状態が存在する。操舵速度信号|dθ/dt
|の検出は容易であり、操舵速度信号|dθ/dt|が
所定の値である場合に、その操舵状態を判定することも
技術的に容易である。
【0076】すなわち、操舵速度信号|dθ/dt|
は、電動モータ9に取り付けられた回転角センサ3が生
じるパルスを、所定時間内でいくつあるかパルスカウン
タである操舵速度演算部4で数えることにより、容易に
求めることができる。それゆえ、操舵速度信号|dθ/
dt|によって操舵状態を判定することは、メモリをも
ちデジタル演算を行うマイクロコンピュータ10の使用
によって、実際上容易に実施できるうえに、その信頼性
はかなり高いものと考えられる。
【0077】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ方法によれば、実施が容易になると共に信頼性が向上
するという効果もある。本実施例のパワーステアリング
方法の第3の特徴は、ステアリングシャフトにかかるね
じりトルクTから操舵信号Yに至るまでのゲインおよび
位相に関する補償の切替えは、操舵速度信号|dθ/d
t|の大小によって連続的に行われる。それゆえ、再び
図4に示すように、緩操舵状態から急操舵状態へ至るま
で、連続的にゲインおよび位相の補償が切替えられる。
その結果、補償の切り替わりによる操舵特性の変化が操
舵速度のある閾値を境に急変するような不都合は回避さ
れ、運転者には、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵
状態へ至るまでほぼ連続した操舵感覚が得られる。
【0078】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ方法によれば、さらに、保舵状態ないし緩操舵状態か
ら急操舵状態へ至るまで、連続した操舵感覚が得られる
という効果もある。 (実施例1の効果)以上詳述したように、本実施例のパ
ワーステアリング装置およびパワーステアリング方法に
よれば、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至
るまで、連続して優れた操舵感覚が保たれるという効果
がある。
【0079】すなわち、保舵状態ないし緩操舵状態で
は、ハンドルに微振動が加わることがなく、やや緩やか
ではあるが安定した操舵感覚が得られる。逆に、急操舵
状態では、鋭敏な操舵応答特性が得られ、ハンドルが軽
く回すことができてきびきびとした操舵が可能である。
ここで、急操舵状態ではハンドルに微振動が加わること
があるが、急操舵状態では運転者の手の触覚が鈍ってお
り微振動を感じ取ることができないので、微振動による
操舵感覚の劣化はない。また、保舵状態ないし緩操舵状
態から急操舵状態に至るまで、連続的に伝達特性が変化
していき、伝達特性が不連続に急変することはないの
で、操舵特性が急変して操舵感覚が劣化することもな
い。
【0080】ここで、自動車の購入者がスポーティーな
運転を好む運転者である場合には、操舵特性の安定性と
俊敏性とが両立して操舵感覚が良好であることは、購入
するか否かの重要な判断材料である。それゆえ、本実施
例のパワーステアリング装置を装備した自動車には、自
動車を購入する消費者の購買意欲をかき立てる効果も十
分に期待できる。
【0081】なお、前述のようにマイクロコンピュータ
10を主要な制御装置として採用することにより、本実
施例のパワーステアリング装置はコストダウンが可能で
あるので、自動車の価格競争においても有利である。 [実施例2] (実施例2のパワーステアリング装置)本発明の実施例
2としてのパワーステアリング装置は、図5に示すよう
に、第1位相補償部2’および第2位相補償部2”の両
方を有する点と、内分比演算部5’の設定数値が異なっ
ている点とが実施例1のパワーステアリング装置と異な
る。実施例2のパワーステアリング装置は、その他の点
については実施例1のパワーステアリング装置と同様で
ある。
【0082】すなわち、本実施例のパワーステアリング
装置では、操舵信号生成手段は、第1位相補償部2’お
よび第2位相補償部2”と、内分比演算部5’と、周波
数応答可変演算部6とを有する。第1位相補償部2’
は、図6に示すように、トルク信号τの比較的低い周波
数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくな
る伝達特性をもつ、トルク信号τの補償手段である。一
方、第2位相補償部2”は、図7に示すように、トルク
信号τの比較的高い周波数領域においてゲインが大きく
なり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号
τの補償手段である。
【0083】図6と図7とを比較して分かるように、第
1位相補償部2’と第2位相補償部2”とは、ゲインお
よび位相進みが大きくなる周波数帯域が異なり、このよ
うな周波数帯域は、第1位相補償部2’よりも第2位相
補償部2”の方が高い。それゆえ、第1位相補償部2’
には、トルク信号τの周波数がある程度立ち上がってき
ている状態、たとえば操舵状態が急操舵状態に移行しつ
つある緩操舵状態である場合にも、ゲインおよび位相進
みを増大させる作用がある。逆に、第2位相補償部2”
には、トルク信号τの周波数が十分に高い急操舵状態に
なってからゲインおよび位相進みを増大させる作用があ
る。
【0084】内分比演算部5’には、操舵速度信号|d
θ/dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつ
れて不変ないし減少するように予め設定された内分比G
を出力して重み付けを行う作用がある。この点において
はおおむね前述の実施例1の内分比演算部5と同様であ
るが、操舵速度信号|dθ/dt|がゼロ付近である際
にも、内分比Gが0.5でしかない点が実施例1と異な
っている。
【0085】それゆえ、周波数応答可変演算部6では、
操舵速度信号|dθ/dt|がゼロ付近である保舵状態
ないし緩操舵状態においても、G=0.5であって、操
舵信号YはY=0.5U1+0.5U2で定まる。すな
わち、図8のG=0.5の実線で示すように、保舵状態
ないし緩操舵状態では、トルク信号τの周波数領域があ
る程度低い領域からかなり高い領域にまでの広い周波数
領域において、高いゲインと位相進みとをもつ伝達特性
が得られる。したがって、操舵速度信号|dθ/dt|
が低い緩操舵状態であっても、保舵状態から急操舵状態
に移行する途中での緩操舵のように、トルク信号τの周
波数がある程度立ち上がっていれば、高いゲインと大き
な位相進みによる補償が得られる。その結果、保舵状態
から急操舵状態に移行する際の操舵応答特性の立ち上が
りが良くなり、保舵状態から急操舵状態に移行する際の
初期から、前述の実施例1よりも鋭敏な操舵応答特性が
得られるようになっている。
【0086】そして、操舵速度信号|dθ/dt|が十
分に大きくなって急操舵状態に移ってしまうと、図8中
でのG=0の破線に示すように、トルク信号τに対する
操舵信号Yの応答特性は、比較的高い周波数領域で大き
なゲインおよび位相進みを生じる。急操舵状態では、操
舵速度信号|dθ/dt|ばかりではなく、通常、トル
ク信号τの周波数も高いので、実施例1と同様に俊敏な
操舵応答特性が得られる。このような急操舵状態では、
ゲインおよび位相進みが大きく取られるので、電動モー
タ9から微振動成分が生じてハンドルに微振動がかか
る。しかしながら、急操舵状態では運転者の手の触覚が
鈍感になっているので、ハンドルの微振動が運転者に感
知されることがない点も、前述の実施例1と同様であ
る。
【0087】また、緩操舵状態から急操舵状態に移行す
る中間的な操舵状態では、操舵速度信号|dθ/dt|
の変化に従って内分比Gが連続的に変化していくので、
操舵応答特性に不連続な変化が生じることがない。それ
ゆえ、緩操舵状態と急操舵状態との間を移行する際に
も、連続的に(次第に)変化する操舵応答特性が得られ
るので、運転者に操舵感覚の不連続感を与えることがな
い点も、前述の実施例1と同様である。
【0088】周波数応答可変演算部6の構成は、実施例
1の周波数応答可変演算部6の構成と全く変わるところ
がないので、ここでの説明は省略する。なおここで、図
6は、トルク信号τから第1補償出力U1に至る伝達関
数U1(s)/τ(s)に相当する第1位相補償部2’
の伝達特性であり、ねじりトルクTから第1補償出力U
1に至る伝達特性ではない点に留意されたい。同様に、
図7は、トルク信号τから第2補償出力U2に至る伝達
関数U2(s)/τ(s)に相当する第2位相補償部
2”の伝達特性であり、ねじりトルクTから第1補償出
力U1に至る伝達特性ではない。また、図8は、内分比
Gをパラメータとして変化するトルク信号τから操舵信
号Yに至る伝達関数Y(s)/τ(s)に相当する伝達
特性であり、操舵信号生成手段(2’,2”,5’,
6)全体の伝達特性を示すものである。
【0089】また、本実施例のパワーステアリング装置
では、デジタル演算を行うマイクロコンピュータが1
0’装備されており、同マイクロコンピュータには、操
舵速度演算部4と、操舵信号生成手段(2’,2”,
5’,6)と、電流指令値演算部7とが内蔵されてい
る。それゆえ、実施例1と同様に、素早く正確な演算が
可能になっているので、操舵応答特性が俊敏かつ正確に
なっていると共に、パワーステアリング装置のコストダ
ウンができるという効果もある。
【0090】(実施例2のパワーステアリング方法)本
発明の実施例2としてのパワーステアリング方法は、以
上で説明した本実施例のパワーステアリング装置の作用
としてとらえることができるので、ここでの説明は省略
する。 (実施例2の効果)以上詳述したように、本実施例のパ
ワーステアリング装置によれば、前述の実施例1の効果
に加えて、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩
操舵状態であっても鋭敏な操舵応答特性が得られ、操舵
感覚がさらに改善されるという効果がある。
【0091】自動車の購入者が、スポーティーな運転を
好む運転者である場合には、安定性と俊敏性とが両立し
ているうえに急操舵時の操舵応答特性の立ち上がりが良
く、さらに優れた操舵感覚が得られることは、購入にあ
たっての重要な判断材料である。それゆえ、本実施例の
パワーステアリング装置には、消費者の購買意欲をさら
にかき立てる効果もある。
【0092】[実施例3] (実施例1の不都合)前述の実施例1では、ステアリン
グが中立付近で小刻みに左右に操舵する際に、良好な操
舵感覚がいくらか損なわれるという不都合が生じること
がある。すなわち、図9に示すように、ステアリング操
舵角(回転角)θが小さい範囲で左右に細かくかつ頻繁
に切り返されると、操舵角θの絶対値は小さくとも、比
較的大きな操舵速度θドットを生じる。すると、前述の
実施例1のパワーステアリング装置(図1参照)では、
操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるので、内分比
Gが頻繁に最小値と最大値との間で切り替わる。それゆ
え、位相補償を受けない生のトルク信号τ=U1が主成
分になる操舵信号Yと、位相補償部2で位相補償部2を
受けた信号U2が主成分になる操舵信号Y(図9の破
線)とが、操舵角θの切り返しの度に切り替わる。その
結果、操舵信号Yは、図9の最下段のグラフに示すよう
に、絶対値や傾きが不連続な信号になってしまい、操舵
感覚に微妙な不快感を与えるようになってしまう。この
ような現象は、高速直進時に走行レーンを正確に守って
走ろうとして、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく
切替えるような際に起きやすい。
【0093】そこで発明者らは、前述の実施例1の効果
を保ちながら、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく
切替える場合にも操舵感覚が劣化することがないパワー
ステアリング装置を提供することを課題として、以下に
実施例3を提示する。なお、実施例3のパワーステアリ
ング装置は、発明者らが、ステアリングを中立付近で頻
繁に細かく切替える場合にはトルク信号τの絶対値が小
さいことを発見し、その発見に基づいて走行シミュレー
ションをしたうえで開発されたものである。
【0094】(実施例3のパワーステアリング装置)本
実施例では、操舵信号生成手段は、図10に示すよう
に、トルク信号の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合
にこのトルク信号τをもって操舵信号Y’に代えるバイ
パス手段90を有する。バイパス手段90は、トルク信
号τの絶対値と所定の閾値τth(>0)との大小関係を
判定する判定手段99と、その判定結果に基づいて操舵
信号Y’を切替えるスイッチング手段98とからなる。
【0095】判定手段99が|τ|≧τthと判定したと
き、すなわち操舵角θが大きいときには、前述の実施例
1と同様に、周波数応答可変演算部6の出力Yが操舵信
号Y’として電流指令値演算部7に入力される。それゆ
え、操舵角θが大きいときには実施例1と同様に操舵感
覚が向上する。しかしながら逆に、判定手段99が|τ
|<τthと判定したとき、すなわちステアリングが中立
付近にあるときには、補償を受けていない生のトルク信
号τが操舵信号Y’として電流指令値演算部7に入力さ
れる。それゆえ、ステアリングが中立付近にありトルク
信号τの絶対値が小さいときには、運転者が細かくステ
アリングの切り返しを行っても、操舵信号Y’の波形に
は絶対値や傾きの不連続が生じない。その結果、ステア
リングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、操
舵感覚が劣化することが回避される。
【0096】ここで、バイパス手段90は、マイクロコ
ンピュータ10の内部でソフトウェアとして構成されて
おり、差分器やスイッチング回路等のハードウェアを別
途必要とはしない。それゆえ、バイパス手段90の作動
が迅速で正確であるばかりではなく、本実施例のパワー
ステアリング装置は実施例1に比べてほとんどコストア
ップを招くことがない。
【0097】(実施例3の効果)それゆえ、ステアリン
グが中立付近で小刻みに左右に操舵する際には、利得や
位相が補償された操舵信号Yが出力されず、補償を受け
ていないトルク信号τが操舵信号Y’として出力される
ので、補償成分の頻繁な切替えによって起こる操舵感覚
の劣化が起こらない。その結果、本実施例のパワーステ
アリング装置によれば、前述の実施例1の効果を保ちな
がら、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく切替える
場合にも操舵感覚が劣化することがない。
【0098】したがって本実施例によれば、前述の実施
例1の効果に加えて、ステアリングが中立付近で小刻み
に左右に操舵する際にも、良好な操舵感覚が得られると
いう効果がある。 (実施例3の変形態様1)実施例1の不都合の項で述べ
た不都合と同様の不都合は、前述の実施例2のパワース
テアリング装置に置いても起こりうる。それゆえ、本実
施例の変形態様1として、実施例2に対しても、実施例
1に対する実施例3に相当しバイパス手段90をマイク
ロコンピュータ10のソフトウェアに含むパワーステア
リング装置の実施が可能である。したがって、本変形態
様によれば、前述の実施例2の効果に加えて、ステアリ
ングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、良好
な操舵感覚が得られるという効果がある。
【0099】[実施例4] (実施例4の構成)本発明の実施例4としてのパワース
テアリング装置は、図11に示すように、内分比演算部
5と周波数応答可変演算部6との間に、走行状態判定手
段51等が配設されている点で実施例1と構成が異なっ
ている。
【0100】すなわち、本実施例のパワーステアリング
装置は、車速センサ100と、車速演算部101および
切替え手段102とからなる走行状態判定手段51と、
乗算手段50とを有する。車速センサ100は、ABS
用車速センサを用い、ABS用車速センサから生じるパ
ルスがマイクロコンピュータ10に取り込まれて、車速
演算部101に供給される。ここで、車速センサ100
は、スピードメータ用のものをもって代えることもでき
る。
【0101】車速演算部101と切替え手段102とか
らなる走行状態判定手段51は、車速センサ100から
の入力信号に基づき、搭載車両が完全に停止しているか
停止に近い状態にある場合には、略停止中と判定して1
を出力する。しからざる場合は、逆に搭載車両が走行中
であると判定してゼロを出力する。切替え手段102か
らの出力である1またはゼロは、乗算手段50に伝達さ
れ、内分比演算部5からの出力である内分比Gと掛け合
わせられて新たな内分比G’とされる。そして、乗算手
段50からの出力である新たな内分比G’は、実施例1
の内分比Gに代わって周波数応答可変演算部6に入力さ
れ、周波数応答可変演算部6での演算が行われる。
【0102】すなわち、本実施例の操舵信号生成手段
(マイクロコンピュータ10)は、車速センサ100か
ら得られる車速信号に基づいて、装備車両が略停止中で
あるか走行中であるかを判定する走行状態判定手段51
をもつ。そして、走行状態判定手段51によってこの装
備車両が走行中であると判定された場合には、前述の実
施例1の内分比Gに相当する内分比G’が、強制的にゼ
ロに設定される。
【0103】なお、走行状態判定手段51および乗算手
段50は、マイクロコンピュータ10内でプログラムに
よりデジタル演算処理されるので、ハードウェアとして
マイクロコンピュータ10の他にカウンタやリレー等が
必要になるわけではない。また、車速センサ100もす
でに搭載車両に装備済みのものから信号を分配してもら
うだけであるから、本実施例の構成によっても、実施例
1と比べて大きなコストアップを伴うことはない。
【0104】(実施例4の作用効果)それゆえ、装備車
両が停車中か極めて低い速度である略停止中であるとき
に、中立状態からいきなり急操舵に近い急激な据え切り
操作を行った場合には、内分比演算部5により内分比
G’が適正に調整されるので、良好な操舵感覚が得られ
る。すなわち、停車中に急激に据え切りを始めた場合に
は、位相補償部2により適正な位相補償がなされるの
で、パワーアシストが遅れてハンドルに不快な振動が加
わるような不都合はなくなり、据え切り時の操舵感覚が
向上する。停車中に逆にゆっくりと据え切りした場合に
は、トルク信号τの位相補償が行われなくてもパワーア
シストが遅れることがないので、やはり微振動が生じる
ような不都合は起こらない。
【0105】逆に走行中であるときには、内分比Gが変
わらず適正な位相補償が行われたままの状態が続くの
で、内分比Gの急変に起因するアシストトルクの変動が
起こらず、操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感
覚が保たれる。また、走行中には、急操舵時に位相を進
める微分要素をもった位相補償に起因し、微分ノイズに
よって微振動や微小な異音が生じることはある。しか
し、走行中には、トルク信号τが小さくなる上に、エン
ジンの振動および騒音だけではなく走行の伴う振動およ
び騒音が加わるので、微分ノイズに起因する微振動等が
運転者に感知されることはなく、不都合を起こすことは
ない。
【0106】したがって、本実施例のパワーステアリン
グ装置によれば、前述の実施例1の効果に加えて、走行
時の操舵感覚に不連続性がなく操舵状態の如何にかかわ
らず滑らかな操舵感覚が保たれるという効果がある。ま
た、このような効果が、主にソフトウェアの簡単な改修
で得られ、新たな速度センサ等のハードウェアを付け加
えることなしに得られるので、あまりコストアップを伴
わないことも、本実施例の利点である。
【0107】[実施例5] (実施例5の構成)本発明の実施例5としてのパワース
テアリング装置は、図12に示すように、車速の代わり
にトルク信号τの絶対値の大小で停車中か走行中かを判
定するように、マイクロコンピュータ10が構成されて
いる点が前述の実施例4と異なる。その他の構成につい
ては、ほとんど前述の実施例4と同等である。
【0108】すなわち、マイクロコンピュータ10によ
って実現される操舵信号生成手段は、トルク信号τに基
づいて搭載車両が略停止中であるか走行中であるかを判
定する走行状態判定手段52をもつ。走行状態判定手段
52は、実施例1でもすでにトルクセンサからマイクロ
コンピュータ10に取り込まれているトルク信号τを利
用して、トルク信号τの絶対値|τ|が所定の閾値|τ
th|を超えているか否かをもって判定基準とする。すな
わち、トルク信号の絶対値|τ|が同閾値を超えている
場合には、ハンドルが重い据え切り状態にあるから略停
車中であるものと判定し、切替え手段102からは乗算
手段50に1が送られる。しからざる場合には、ハンド
ルが軽いから走行状態にあるものと見なされ、切替え手
段102からは乗算手段50にゼロが送られる。乗算手
段50と乗算結果として得られる新たな内分比G’に基
づいて演算する周波数応答可変演算部6の構成および作
用は、前述の実施例4と同様である。
【0109】(実施例5の作用効果)本発明のパワース
テアリング装置は、以上のように構成されているので、
外部から新たに車速信号を取り込むことなしに、前述の
実施例4とほぼ同様の作用効果を発揮することができ
る。そのうえ、マイクロコンピュータ10は、実施例1
のソフトウェアの簡単な改修だけで済み、車速信号を取
り込むための入力インターフェースをもたずに済むの
で、実施例4よりもさらに安価に実施することができる
という効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のパワーステアリング装置の構成を
示すブロック図
【図2】 実施例1のトルクセンサの周波数応答特性を
示すボード線図
【図3】 実施例1の位相補償部出力の周波数応答特性
を示すボード線図
【図4】 実施例1の周波数応答可変演算部の作用を示
すボード線図
【図5】 実施例2のパワーステアリング装置の構成を
示すブロック図
【図6】 実施例2の第1位相補償部の周波数応答特性
を示すボード線図
【図7】 実施例2の第2位相補償部の周波数応答特性
を示すボード線図
【図8】 実施例2の周波数応答可変演算部の作用を示
すボード線図
【図9】 実施例3がより望ましい理由を示すグラフ
【図10】実施例3のパワーステアリング装置の構成を
示すブロック図
【図11】実施例4のパワーステアリング装置の構成を
示すブロック図
【図12】実施例5のパワーステアリング装置の構成を
示すブロック図
【符号の説明】
1:トルクセンサ(ねじりトルク検知手段として) 2:位相補償部(実施例1の) 2’,2”:第1位相補償部および第2位相補償部(実
施例2の) 3:回転角センサ 4:操舵速度演算部 (3+
4:操舵速度検知手段) 5,5’:内分比演算部 6:周波数応答可変演算部 7:電流指令値演算部 8:電動モータ駆動部 9:電動モータ(パワーアシストモータとして) 10:マイクロコンピュータ 50:乗算手段 51,52:走行状態判定手段 90:バイパス手段 98:スイッチング手段 98:判定手段 100:車速センサ 101:車速演算部 10
2:切替え手段 θ:ステアリングシャフトの回転角度 T:ステアリングシャフトにかかるねじりトルク τ:トルク信号(トルクセンサの出力信号) τth:トルク信号τの閾値 |θドット|=|dθ/dt|:操舵速度信号 G,
G’:内分比 U1:トルク信号τ(実施例1)または第1補償出力
(実施例2) U2:補償出力(実施例1)または第2補償出力(実施
例2) Y,Y’:操舵信号 A:電流指令値
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B62D 119:00 (72)発明者 杉原 靖彦 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3D032 CC08 CC12 CC48 DA03 DA09 DA15 DA23 DA63 DC03 DC17 DC33 DC34 DD06 DD07 EB11 EC23 GG01 3D033 CA03 CA13 CA16 CA19 CA20 CA21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステアリングシャフトにかかるねじりトル
    クに応じて、車輪への操舵力を補助するパワーアシスト
    モータへの電流制御を行い、このパワーアシストモータ
    の出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助するパ
    ワーステアリング方法において、 前記ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態であ
    る場合には、この操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態
    である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みを
    このねじりトルクに与える補償を行って前記パワーアシ
    ストモータへの前記電流制御を行うことを特徴とする、 パワーステアリング方法。
  2. 【請求項2】前記保舵状態および前記緩操舵状態は、前
    記ステアリングシャフトまたは前記パワーアシストモー
    タの操舵速度の絶対値が所定値未満である状態であり、 前記急操舵状態は、このステアリングシャフトまたはこ
    のパワーアシストモータのこの操舵速度のこの絶対値が
    所定値以上である状態である、 請求項1記載のパワーステアリング方法。
  3. 【請求項3】前記ステアリングシャフトにかかる前記ね
    じりトルクから前記パワーアシストモータへの前記電流
    制御に至るまでの前記補償の切替えは、前記操舵速度の
    前記絶対値の大小によって段階的ないし連続的に行われ
    る、 請求項2記載のパワーステアリング方法。
  4. 【請求項4】ステアリングシャフトの操舵速度を検知し
    てこの操舵速度の絶対値である操舵速度信号を生成する
    操舵速度検知手段と、 このステアリングシャフトにかかるねじりトルクを検知
    してトルク信号を生成するねじりトルク検知手段と、 この操舵速度信号が小さい場合には、低ゲインで位相進
    みがないまたは少ない伝達特性で操舵信号を生成し、こ
    の操舵速度信号が大きくなるにつれて、徐々にゲインが
    高くなり位相進みが大きくなる伝達特性でこの操舵信号
    を生成する操舵信号生成手段と、 この操舵信号に基づいて駆動され車輪に対する操舵力を
    補助するパワーアシストモータと、 を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 【請求項5】前記操舵信号生成手段は、 前記トルク信号の所定の周波数領域において、ゲインが
    大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ位相補
    償部と、 前記操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度
    信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予
    め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う内分比
    演算部と、 前記トルク信号U1と、この位相補償部を介して伝達さ
    れたこのトルク信号の補償出力U2との線形結合とし
    て、前記操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演
    算する周波数応答可変演算部とを有する、 請求項4記載のパワーステアリング装置。
  6. 【請求項6】前記操舵信号生成手段は、車速センサから
    得られる車速信号と前記トルク信号とのうち一方に基づ
    いて装備車両が略停止中であるか走行中であるかを判定
    する走行状態判定手段をもち、この走行状態判定手段に
    よってこの装備車両が走行中であると判定された場合に
    は、前記内分比Gを強制的にゼロにする、 請求項5記載のパワーステアリング装置。
  7. 【請求項7】前記操舵信号生成手段は、 前記トルク信号の比較的低い周波数領域において、ゲイ
    ンが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ第
    1位相補償部と、 このトルク信号の比較的高い周波数領域において、ゲイ
    ンが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ第
    2位相補償部と、 前記操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度
    信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予
    め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う内分比
    演算部と、 この第1位相補償部を介して伝達されたこのトルク信号
    の第1補償出力U1と、この第2位相補償部を介して伝
    達されたこのトルク信号の第2補償出力U2との線形結
    合として、前記操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U
    2を演算する周波数応答可変演算部とを有する、 請求項4記載のパワーステアリング装置。
  8. 【請求項8】前記操舵信号生成手段は、前記トルク信号
    の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合にこのトルク信
    号をもって前記操舵信号に代えるバイパス手段を有す
    る、 請求項4記載のパワーステアリング装置。
  9. 【請求項9】前記操舵信号生成手段が内蔵されているマ
    イクロコンピュータを有する、 請求項4記載のパワーステアリング装置。
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