JP3951205B2 - パワーステアリング方法およびパワーステアリング装置 - Google Patents

パワーステアリング方法およびパワーステアリング装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステアリング力を補助する(パワーアシストを行う)自動車用のパワーステアリング装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
この種のパワーステアリング装置に関する従来技術としては、特公平3−11943号公報に「電動式パワステアリング装置の制御装置」が開示されている。このパワーステアリング装置には、ステアリングシャフトのトルクセンサの出力信号(トルク信号)の微分値に比例する信号を発する位相補償部がもうけられている。この位相補償部は、トルク信号から操舵系の摩擦等によって生じる制御系伝達特性の遅れを補償するために設けられたものである。すなわち、この位相補償部には、トルク信号の位相を変化させて、制御系の安定を図ったりパワーアシスト用電動モータの慣性による遅れを打ち消したりする作用がある。この位相補償部は、アナログ回路またはデジタル演算回路によって構成されており、その周波数応答特性は、トルク信号の周波数の増加に伴って、何ら補償をしない場合よりもゲインおよび位相進みが増大する特徴を持っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、トルク信号の微分値を取ることをしているので、位相補償部で補償されたトルク信号にはノイズが乗りやすく、位相補償部のゲインが高まった周波数領域でノイズが増幅されて電流指令値となる。それゆえ、位相補償部のゲインが高い場合には、この電流指令値に基づいて駆動される電動モータの出力にノイズ出力が含まれるようになってしまう。その結果、ハンドル(ステアリング・ホイール)を介して運転者の手に微振動が伝わって、保舵時および緩操舵時には運転者の手に不快な振動を感じさせ、操舵感覚に悪影響を与えてしまう傾向が生じる。
【0004】
かといって、逆に位相補償部のゲインを低くしてしまうと、これに伴って位相進みが減少するので、パワーステアリング制御系が十分に素早い応答特性を失ってしまう。その結果、急操舵時にはパワーアシスト用の電動モータの応答が遅れてハンドルが重くなり、電動モータの引きずり感を運転者に与えて応答性の良さが感じられなくなってしまい、やはり操舵感覚に悪影響がある。
【0005】
そこで本発明は、保舵時および緩操舵時にはハンドルに微振動が加わることがなく、急操舵時には素早いパワーアシストモータの応答性が得られて、操舵感覚が改善されるパワーステアリング方法およびパワーステアリング装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、発明者らは数多くのパワーステアリングに関する実験を行い、自ら被験者となってパワーステアリング装置の応答特性等の性能を評価した。その結果発明者らは、ハンドルを操作する回転速度である操舵速度とハンドルに加わる微振動に対する運転者の触覚との間に関係があることを体験的に発見し、さらなる追試によってその発見が正しいことを確認した。
【0007】
発明者らの発見とは、操舵速度の絶対値が小さいうちには、ハンドルに生じる微振動に対する運転者の手の触覚は鋭敏であるが、操舵速度の絶対値が大きくなるにつれて、ハンドルに生じる微振動に対する触覚は鈍くなっていくということである。すなわち、ステアリングシャフトの操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合には、運転者は鋭敏にハンドルの微振動を感じ取ることができ、ハンドルに微振動が生じていると不快感を催す。しかし逆に、操舵状態が急操舵状態である場合には、運転者はハンドルの微振動に対して鈍感になり、その結果、ハンドルに微振動が生じていても運転者はあまり気が付かず、操舵感覚に不快感を生じない。
【0008】
発明者らは、このような新たな発見に基づき、上記課題を解決するために以下の手段を発明した。
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載のパワーステアリング方法である。
すなわち、本手段のパワーステアリング方法は、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクに応じて車輪への操舵力を補助するパワーアシストモータへの電流制御を行い、パワーアシストモータの出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助し、ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場合には、操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクに与える補償を行って、パワーアシストモータへの電流制御を行う方法である。
【0009】
本手段では、ステアリングシャフトの操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合には、大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクに与える補償は行われない。それゆえ、この状態では操舵応答性はあまり素早くない代わりに、パワーアシストモータからステアリングシャフトを介してハンドルに微振動が生じることがない。ただし、前述のようにこの状態では操舵応答性はあまり素早くないが、操舵状態が急操舵状態ではないので鋭敏な応答性は要求されず、操舵感覚が悪くなることはない。むしろ、前述のように運転者が握るハンドルに微振動がかかることがないので、運転者が感じる操舵感覚は良好に保たれる。
【0010】
逆に、ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場合には、前述の操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクに与える補償が行われる。そして、より大きなゲインおよび位相進みを与えられて補償されたステアリングシャフトのねじりトルクに基づいて、パワーアシストモータへの電流制御が行われる。それゆえ、パワーアシストモータの応答時間が短くなり応答ゲインも大きくなるので、パワーアシストモータの応答特性が鋭敏になり、ハンドルの急操舵に対応した急激なパワーアシストが行われる。その結果、軽快できびきびとした操舵が可能になるので、急操舵時のハンドルの切れが良いと運転者には感じ取られる。
【0011】
ここで、前述のようにより大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクに与える補償が行われるので、ハンドルには微振動が生じる可能性がある。しかし、このような急操舵時には運転者の手の触覚が鈍くなっているので、たとえハンドルに微振動が加わっても、運転者は微振動に気が付くことがなく不快に感じることもない。その結果、操舵感覚にハンドルの微振動が悪影響を及ぼすことが防止されているので、急操舵状態での操舵感覚も良好に保たれる。
【0012】
したがって、本手段のパワーステアリング方法によれば、保舵時および緩操舵時にはハンドルに微振動が加わることがなく、逆に、急操舵時には素早いパワーアシストモータの応答性が得られる。その結果、ステアリングシャフトの操舵状態が、保舵状態ないし緩操舵状態であっても、あるいは逆に急操舵状態であっても、良好な操舵感覚が保たれるという効果がある。
【0013】
なお、パワーアシストモータとしては、電動モータを採用することを主に想定しているが、油圧モータや電動アクチュエータまたは油圧シリンダなど、電動モータ以外の駆動手段を採用しても良い。
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載のパワーステアリング方法である。
【0014】
本手段では、保舵状態および緩操舵状態は、ステアリングシャフトまたはパワーアシストモータの操舵速度の絶対値が所定値未満である状態を指す。同様に、急操舵状態は、ステアリングシャフトまたはパワーアシストモータの操舵速度の絶対値が所定値以上である状態を指す。ただし、上記二つの所定値は、互いに等価である必要はなく、緩操舵状態と急操舵状態との間に中間的な操舵状態があっても良い。
【0015】
操舵速度は、たとえば、ステアリングシャフトやパワーアシストモータに取り付けられた回転角センサが生じるパルスを、所定時間内でいくつあるかパルスカウンタで数えることにより、容易に求めることができる。それゆえ操舵速度によって操舵状態を判定することは、実際上容易に実施できるうえに信頼性が高いものと考えられる。
【0016】
したがって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加えて、実施が容易になると共に信頼性が向上するという効果がある。
なお、回転角センサがステアリングシャフトに取り付けられている場合には、ステアリングシャフトから直接操舵角を検出できるので、操舵系の応答時間が短縮されると共に、時間遅れがより小さくなるので自励振動がおきにくくなるという効果がある。逆に、パワーアシストモータに回転角センサが取り付けられている場合には、減速機を介してパワーアシストモータがステアリングシャフトに接続されているので、回転角センサの分解能が高くなるという効果がある。
【0017】
また、パワーアシストモータの端子間の電圧およびパワーアシストモータに流れる電流から、操舵速度の推定値を求め、同推定値をもって操舵速度とすることも可能である。本構成によれば、回転角センサを取り付ける必要がなくなるので、より安価に本手段のパワーステアリング方法を実施することができるという効果がある。
【0018】
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載のパワーステアリング方法である。
本手段では、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクからパワーアシストモータへの電流制御に至るまでのゲインおよび位相に関する補償の切替えは、操舵速度の絶対値の大小によって段階的ないし連続的に行われる。それゆえ、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまで、多段階的にまたは連続的に、ゲインおよび位相の補償が切替えられる。その結果、補償の切り替わりによる操舵特性の変化が、操舵速度のある閾値を境にして不連続に急変するような不都合は回避され、運転者には、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまでほぼ連続した操舵感覚が得られる。
【0019】
したがって本手段によれば、前述の第2手段の効果に加えて、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまでほぼ連続した操舵感覚が得られるという効果がある。
(第4手段)
本発明の第4手段は、請求項4記載のパワーステアリング装置である。
【0020】
すなわち、本手段のパワーステアリング装置は、操舵速度検知手段と、ねじりトルク検知手段と、操舵信号生成手段と、パワーアシストモータとを有する。
ここで、操舵速度検知手段は、ステアリングシャフトの操舵速度を検知してこの操舵速度の絶対値である操舵速度信号を生成する検知手段ないしセンサーである。一方、ねじりトルク検知手段は、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクを検知してトルク信号を生成する検知手段ないしトルクセンサーである。
【0021】
また、操舵信号生成手段は、操舵速度信号が小さい場合には、低ゲインで位相進みがないまたは少ない伝達特性で操舵信号を生成し、操舵速度信号が大きくなるにつれて、徐々にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性でこの操舵信号を生成する手段である。さらに、パワーアシストモータは、上記操舵信号に基づいて駆動され車輪に対する操舵力を補助する駆動手段であり、普通は電動モータであるが、油圧モータなどの他の駆動手段であっても良い。
【0022】
本手段では、操舵速度検知手段によって、ステアリングシャフトの操舵速度が直接的または間接的に検知され、検知された操舵速度の絶対値である操舵速度信号が生成される。ここで、ステアリングシャフトの操舵速度は、ステアリングシャフトまたはパワーアシストモータに取り付けられた回転角センサ等によって直接的に計測されても良いし、パワーアシストモータへの電圧や電流等から間接的に推定されても良い。一方、ねじりトルク検知手段によって、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクが検知され、検知されたねじりトルクに基づいてトルク信号が生成される。
【0023】
また、操舵信号生成手段によってトルク信号から操舵信号が生成され、この操舵信号に基づいてパワーアシストモータが駆動される。
ここで、操舵信号生成手段によって生成される操舵信号は、操舵速度信号が小さい場合には、トルク信号から低ゲインで位相進みがないまたは少ない伝達特性で生成される。すなわち、操舵信号は、操舵速度信号が小さい場合には、ほとんど補償を受けずに、(ステアリングシャフトにかかるねじりトルクから通常の一時遅れ系の伝達特性によって生成される)トルク信号からほぼ直接的に生成される。その結果、操舵速度信号が小さい場合には、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクから操舵信号の生成に至るまでの応答特性があまり鋭敏ではない代わりに、微振動成分が混入することなしに操舵信号が生成される。
【0024】
しかしながら、操舵速度信号がある程度大きくなってくると、操舵信号は、操舵速度信号が大きくなるにつれて徐々にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性をへて補償を受けて生成される。すなわち、操舵信号は、操舵速度信号が大きくなるにつれて、トルク信号に対してより大きなゲインとより大きな位相進みとをもって補償がなされて生成される。その結果、操舵速度信号が大きい場合には、大きなゲインおよび位相進みの補償を受けるので、操舵信号に微振動成分が混入しやすくなる代わりに、トルク信号から操舵信号に至る応答特性が鋭敏になる。また、この応答特性の変化は、操舵速度信号が大きくなるにつれて徐々に起こるので、運転者に応答特性の変化が操舵感覚の不連続な急変として感じ取られることはない。
【0025】
最後に、パワーアシストモータは、上記操舵信号に基づいて駆動され、車輪に対する運転者の操舵力を補助する駆動手段であるから、パワーアシストモータのトルク出力には、上記操舵信号の特性が反映される。すなわち、操舵速度信号が小さい場合には、パワーアシストモータの応答特性は緩やかであるが、パワーアシストモータの出力に微振動が混入することは防止されている。それゆえ、保舵状態ないし緩操舵状態では、パワーアシストモータから微振動がステアリングシャフトに加わることがないので、ハンドルを握る運転者の手に微振動が加わって運転者に不快感を与えるような不都合がない。また、操舵速度信号が小さい保舵状態ないし緩操舵状態にあるので、パワーアシストモータの応答特性が緩やかであることは問題にならない。
【0026】
しかしながら、操舵速度信号が大きくなるにつれて、パワーアシストモータの応答特性は徐々に鋭敏になっていき、わずかにではあるがパワーアシストモータの出力に微振動が含まれるようになってくる。そして操舵速度信号が十分に大きい場合には、ステアリングシャフトにかかる操舵トルクに対するパワーアシストモータの応答特性は鋭敏であり、その代わりパワーアシストモータの出力には微振動が含まれてしまう。すなわち、急操舵状態では、パワーアシストモータの応答特性が鋭敏であるので、運転者はハンドルを軽く切ることができ、きびきびとした良好な操舵応答特性を感じ取ることができる。この際、ハンドルに微振動が加わっているのであるが、急操舵状態では運転者の手は触覚が鈍感になるので、この微振動が不快な操舵特性として運転者に感じ取られるような不都合は、防止されている。
【0027】
以上をまとめると、本手段のパワーステアリング装置では、ステアリングシャフトの操舵状態が保舵状態または緩操舵状態にある場合には、パワーアシストモータの応答は緩やかであるが、ハンドルに微振動が加わることがない。それゆえ、応答特性が緩やかであってもハンドル操作が緩やかであるから、運転者は応答特性が鈍いと感じることはなく、また、ハンドルを握る運転者の手に微振動が加わらないので、保舵状態ないし緩操舵状態では良好な操舵感覚が得られる。そして、急操舵状態になるに従って、徐々にハンドルに微振動が加わってくるようになるが、同時に徐々に素早いパワーアシストモータの応答性が得られる様にもなる。それゆえ、徐々にハンドルの切れが良くきびきびとした操舵応答特性が得られるようになっていきながら、同時に運転者の手の触覚が鈍っていくのでハンドルに加わる微振動が不快に感知されることはなく、やはり良好な操舵感覚が得られ続ける。
【0028】
したがって、本手段のパワーステアリング装置によれば、ステアリングシャフトの操舵状態が、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、いかなる操舵状態であっても良好な操舵感覚が保たれるという効果がある。
(第5手段)
本発明の第5手段は、請求項5記載のパワーステアリング装置である。
【0029】
本手段では、前述の第4手段において、操舵信号生成手段は、位相補償部と、内分比演算部と、周波数応答可変演算部とを有する。ここで、位相補償部には、トルク信号の所定の周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもって、トルク信号の補償を行う作用がある。また、内分比演算部には、操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して、トルク信号と補償されたトルク信号とのそれぞれについて重み付けを行う作用がある。
【0030】
この重み付けは、周波数応答可変演算部においてトルク信号と補償されたトルク信号との線形結合を取る際に使用される。すなわち、周波数応答可変演算部では、トルク信号U1と、位相補償部を介して伝達されたトルク信号の補償出力U2との線形結合として、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算する作用を有する。こうして、トルク信号U1とその補償出力U2とを適正に重み付けして線形結合した操舵信号Yに基づいて、前述のパワーアシストモータが駆動される。
【0031】
ここで、内分比Gは、最も広く設定しても0≦G≦1の範囲にあり、前述のように、操舵速度の絶対値である操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定されている。それゆえ、保舵時には、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2においてGが比較的大きいので、補償されていない生のトルク信号U1に対してより多くの重みがかかる。その結果、パワーステアリング装置の応答特性は比較的鈍いが、微振動の発生は押さえられている。
【0032】
保舵状態から操舵状態に移行し、操舵速度信号が増大していくと、それに伴って内分比Gの値も減少していくので、操舵時の操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2において、補償出力U2の影響がトルク信号U1の影響に比べて増大していく。それにつれて、パワーステアリング装置の応答特性が鋭敏になり、短時間で素早く応答するように応答特性が変化していくとともに、微振動が徐々に発生しやすくなっていく。
【0033】
そして、操舵速度信号が大きくなって急操舵状態にまでなると、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2において(1−G)が比較的大きくなって、補償出力U2が操舵信号Yの大半を決定するようになる。すなわち、ゲインおよび位相進みを大きくして補償された補償出力U2が、操舵信号Yの生成において支配的になるので、パワーステアリング装置の応答特性は鋭敏になり、パワーアシストモータの出力はステアリングシャフトのねじりトルクを十分に素早くアシストするようになる。ただし、応答特性が鋭敏になるのに伴ってパワーアシストモータの出力に微振動成分が混入するようになるが、急操舵中の運転者はハンドルの微振動に鈍感になっており微振動に気が付くことがないので、微振動は問題とはならない。
【0034】
したがって本手段によれば、前述の第4手段の効果に加えて、第4手段をより具体的に実施できるようになるという効果がある。
(第6手段)
本発明の第6手段は、請求項6記載のパワーステアリング装置である。
本手段では、前述の第5手段において、操舵信号生成手段は、車速センサから得られる車速信号と前記トルク信号とのうち一方に基づいて、装備車両が略停止中であるか走行中であるかを判定する走行状態判定手段をもつ。そして、この走行状態判定手段によってこの装備車両が走行中であると判定された場合には、前述の第5手段の内分比Gが強制的にゼロに設定される。
【0035】
それゆえ、装備車両が停車中ないし極低速走行中である略停止中であるときには、中立状態からいきなり急操舵に近い急激な据え切り操作を行った場合に、内分比Gが適正に調整されるので、前述のように良好な操舵感覚が得られる。すなわち、中立状態から急激に据え切りを始めた場合でも、適正な位相補償がなされるので、パワーアシストの遅れがなくなる。その結果、同遅れに起因する自励振動のせいでハンドルに不快な振動が加わるような不都合はなくなって、据え切り時の操舵感覚が向上する。
【0036】
逆に走行中であるときには、内分比Gが変わらず適正な位相補償が行われたままの状態が続くので、内分比Gの急変に起因するアシストトルクの変動が起こらず、操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感覚が保たれる。なお、前述の従来技術と同様に、急操舵時に位相を進める微分要素をもった位相補償に起因し、微分ノイズによって微振動や微小な異音が生じることはある。しかし、走行中にはエンジンの振動および騒音だけではなく、走行の伴う振動および騒音が加わるので、微分ノイズに起因する微振動等が運転者に感知されることはなく、不都合を起こすことはない。
【0037】
したがって本手段によれば、前述の第5手段の効果に加えて、据え切り時の操舵感覚が向上する上に、走行時の操舵感覚に不連続性がなく操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感覚が保たれるという効果がある。
(第7手段)
本発明の第7手段は、請求項7記載のパワーステアリング装置である。
【0038】
本手段では、操舵信号生成手段は、第1位相補償部および第2位相補償部と、内分比演算部と、周波数応答可変演算部とを有する。
第1位相補償部は、トルク信号の比較的低い周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号の補償手段である。一方、第2位相補償部は、トルク信号の比較的高い周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号の補償手段である。第1位相補償部と第2位相補償部とは、ゲインおよび位相進みが大きくなる周波数帯域が異なり、このような周波数帯域は、第1位相補償部よりも第2位相補償部の方が高い。それゆえ定性的に述べるならば、第1位相補償部には、操舵状態が緩操舵状態である場合にも、ゲインおよび位相進みを増大させる作用があり、逆に第2位相補償部には、急操舵状態になってからゲインおよび位相進みを増大させる作用がある。
【0039】
内分比演算部には、操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う作用があり、おおむね前述の第5手段の内分比演算部と同様である。
周波数応答可変演算部には、第1位相補償部を介して伝達されたトルク信号の第1補償出力U1と、第2位相補償部を介して伝達されたトルク信号の第2補償出力U2との線形結合として、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算する作用がある。すなわち、保舵状態および緩操舵では、第1位相補償部を介して伝達されたトルク信号の第1補償出力U1が支配的になって操舵信号Yが定まる。
【0040】
しかしながら、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩操舵状態にあっては、トルク信号の周波数はある程度高いので、第1位相補償部で大きなゲインおよび位相進みの応答特性による補償が得られる。それゆえ、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩操舵状態にあっても、鋭敏な操舵応答特性が得られる点が、前述の第5手段と異なっている。なお、急操舵状態になってしまえば、第2位相補償部を介して伝達されたトルク信号の第2補償出力U2が支配的になって操舵信号Yが定まるので、前述の第5手段と同様に、急操舵状態では鋭敏な操舵応答特性が得られる。
【0041】
したがって本手段によれば、前述の第5手段の効果に加えて、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩操舵状態であっても、鋭敏な操舵応答特性が得られるという効果がある。
(第8手段)
本発明の第8手段は、請求項8記載のパワーステアリング装置である。
【0042】
本手段では、操舵信号生成手段は、トルク信号の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合にこのトルク信号をもって操舵信号に代えるバイパス手段を有する。それゆえ、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、利得や位相が補償された操舵信号が出力されず、トルク信号が操舵信号として出力されるので、補償成分の頻繁な切替えによって起こる操舵感覚の劣化が起こらない。
【0043】
したがって本手段によれば、前述の第4手段の効果に加えて、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、良好な操舵感覚が得られるという効果がある。
(第9手段)
本発明の第9手段は、請求項9記載のパワーステアリング装置である。
【0044】
本手段では、デジタル演算を行うマイクロコンピュータが装備されており、同マイクロコンピュータには操舵信号生成手段が内蔵されている。それゆえ、前述の第5手段や第6手段を実施するにあたって、操舵信号生成手段がマイクロコンピュータに内蔵されていれば、内分比Gの演算にあたってはメモリを利用して短時間で正確な演算が可能になる。また、周波数応答可変演算部の線形結合演算[操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2]にあたっても、同様に素早く正確な演算が可能であるから、操舵応答特性が俊敏かつ正確になる。同様に、第7手段を実施するにあたっても、ハードウェアとして差分器やスイッチング回路を導入するよりも、高速で正確なバイパス信号経路の形成をすることができる。さらに、処理の高速化や精密化だけではなく、近年ではマイクロコンピュータが低廉化しているので、同様の演算機能をもつアナログ演算回路等のハードウェアを採用するよりも、コストダウンができるという効果もある。
【0045】
したがって本手段によれば、前述の第4手段の効果に加えて、俊敏かつ正確な操舵特性が得られるようになりながら、同時にコストダウンが可能になるという効果がある。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明のパワーステアリング装置およびパワーステアリング方法の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
[実施例1]
(実施例1のパワーステアリング装置)
本発明の実施例1としてのパワーステアリング装置は、図1に示すように、操舵速度検知手段としての回転角センサ3および操舵速度演算部4と、ねじりトルク検知手段としてのトルクセンサ1と、操舵信号生成手段(2,5,6,7)と、電動モータ駆動部8と、パワーアシストモータとしての電動モータ9とを有する。
【0047】
操舵速度検知手段としての回転角センサ3および操舵速度演算部4は、ステアリングシャフトの操舵角θをもとに操舵速度を検知して、操舵速度の絶対値である操舵速度信号|dθ/dt|を生成する手段である。回転角センサ3は、電動モータ9の回転軸の回転に応じてパルスを生成するセンサであり、電動モータ9に取り付けられている。電動モータ9は、ステアリングシャフトに減速機を介して接続されているので、ステアリングシャフトの回転角度に関する分解能は極めて高い。操舵速度演算部4は、回転角センサ3から発生する上記パルスが所定時間内にいくつあったかを計数するパルスカウンターであり、デジタル演算回路で構成されている。
【0048】
ねじりトルク検知手段としてのトルクセンサ1は、メカニカルにねじれを検出する非接触型磁気センサであって、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTを検知してトルク信号τを生成する。トルクセンサ1の伝達特性は、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTを入力としトルク信号τを出力とする伝達関数τ(s)/T(s)に相当し、図2に示すように、おおむね一時遅れ系の伝達特性をもっている。
【0049】
操舵信号生成手段は、再び図1に示すように、位相補償部2と、内分比演算部5と、周波数応答可変演算部6と、電流指令値演算部7とからなるデジタル演算回路である。この操舵信号生成手段は、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合には、低ゲインで位相進みがないまたは少ない伝達特性で操舵信号を生成し、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、徐々にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性で操舵信号Yを生成する。この操舵信号生成手段の作用効果については、後ほど詳しく述べることにする。
【0050】
電動モータ駆動部8は、パワーMOS等から構成されており、電流指令値演算部7の出力である電流指令値Aを、図示しないD/A変換器を介して電圧として受け取り、電動モータ9を駆動する電流を制御する駆動電源回路である。一方、パワーアシストモータとしての電動モータ9は、操舵信号Yに基づいて電動モータ駆動部8によって駆動され、操舵車輪に対する操舵力を補助する直流モータである。
【0051】
ここで、前述の操舵信号生成手段の構成と作用について詳しく説明する。すなわち操舵信号生成手段は、前述のように、位相補償部2と、内分比演算部5と、周波数応答可変演算部6と、電流指令値演算部7とからなるデジタル演算回路である。
位相補償部2には、トルク信号τの所定の周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもって、トルク信号の補償を行う作用がある。すなわち、位相補償部2の伝達関数は、U2(s)/τ(s)=g(s−z1 )/{(s−p1)(s+p2)}のように、微分要素を含む二次系であり、極ゼロは適正に設定されている。入力信号が低周波から高周波に移行する際には、上記伝達関数のうち先ず微分要素が効いてきて、ゲインおよび位相進みを高める伝達特性が発揮される。それゆえ、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTからトルクセンサ1を経て位相補償部2の出力である補償出力U1に至るまでの伝達関数U1(s)/T(s)に相当する伝達特性は、図3に示すように、所定の周波数領域でゲインが高まり位相も進んでいる。
【0052】
内分比演算部5は、操舵速度信号|dθ/dt|を入力として受け入れ、操舵速度信号|dθ/dt|に対応する内分比Gを出力するメモリおよび演算回路からなる演算手段である。内分比演算部5には、操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して、トルク信号τ=U1と補償されたトルク信号である補償出力U2とのそれぞれについて重み付けを行う作用がある。より具体的には、内分比演算部5は、再び図1に示すように、操舵速度信号|dθ/dt|に対応する内分比Gを記録したメモリと同メモリの呼び出し機能をもつ演算手段であって、図1中のブロック5に示されたグラフのように内分比Gを出力する。
【0053】
すなわち、操舵速度信号|dθ/dt|がゼロから所定値までの保舵状態から緩操舵までの状態では、内分比演算部5はG=0.8を出力する。操舵速度信号|dθ/dt|が、緩操舵状態を越えるほど大きいと、操舵状態は中間的な操舵状態にあると判定され、操舵速度信号|dθ/dt|が増えるに従って、内分比Gは0.8からゼロへ向かって単純減少する。そして、操舵速度信号|dθ/dt|が、急操舵状態と判定される所定値を超えると、内分比Gはゼロに設定されて一定になる。
【0054】
ここで、操舵速度信号|dθ/dt|がゼロのときG=0.8と設定することは、保舵状態から急操舵へ移行する中間段階としての緩操舵状態にあっても、比較的鋭敏な操舵応答特性が得られるように、実験的に定められた。また、位相補償部2の伝達関数と内分比演算部5のグラフとは、ノウハウを含む設計事項であって、自動車の車種ごとに実験的に適正に定められるべきものである。
【0055】
周波数応答可変演算部6は、前述のトルク信号τ=U1と、補償出力U2と、内分比Gとを入力として、操舵信号Yを出力するデジタル演算回路である。前述の内分比Gによる重み付けは、周波数応答可変演算部6においてトルク信号τ=U1と補償されたトルク信号である補償出力U2との線形結合を取る際に使用される。すなわち、周波数応答可変演算部6では、トルク信号U1と、位相補償部を介して伝達されたトルク信号の補償出力U2との線形結合として、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2がデジタル演算され、出力される。
【0056】
電流指令値演算部7は、周波数応答可変演算部6から出力された操舵信号Yを入力として受け入れ、操舵信号Yに対応する電流指令値Aを出力する演算手段である。電流指令値演算部7には、図1中のブロック7にグラフで模式的に示すように、操舵信号Yに対応する電流指令値Aを演算するためのメモリとデジタル演算回路とが備わっている。
【0057】
電流指令値演算部7を受け取る電動モータ駆動部8と、電動モータ駆動部8に駆動される電動モータ9については、前述したとおりである。
こうして、トルク信号U1とその補償出力U2とを適正に重み付けして線形結合した操舵信号Yに基づき、電流指令値演算部7と電動モータ駆動部8とを介して、前述のパワーアシストモータとしての電動モータ9が駆動される。
【0058】
ここで、内分比Gは、0≦G≦0.8の範囲に設定されており、前述のように、操舵速度の絶対値である操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、同操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定されている。
それゆえ、操舵速度信号|dθ/dt|=0の保舵時には、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2においてGが比較的大きいので、補償されていない生のトルク信号U1に多くの重みがかかり、操舵信号Yの生成においてトルク信号τ=U1が支配的である。その結果、パワーステアリング装置の応答特性は比較的鈍いが、微振動の発生は押さえられている。
【0059】
保舵状態ないし緩操舵状態から中間的な操舵状態に移行し、操舵速度信号|dθ/dt|が増大していくと、それに伴って内分比Gの値も減少していく。それゆえ、操舵時の操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2において、補償出力U2の影響がトルク信号U1の影響に比べて増大していく。それにつれて、パワーステアリング装置の応答特性が鋭敏になり、短時間で素早く応答するように応答特性が変化していくとともに、微振動が徐々に発生しやすくなっていく。
【0060】
そして、操舵速度信号|dθ/dt|が十分に大きくなって急操舵状態にまでなると、内分比Gはゼロになってしまう。それゆえ、操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2において、補償出力U2が操舵信号Yの全てを決定するようになる。すなわち、ゲインおよび位相進みを大きくして補償された補償出力U2が、操舵信号Yの生成において支配的になるので、パワーステアリング装置の応答特性は鋭敏になり、電動モータ9の出力はステアリングシャフトのねじりトルクTを十分に素早くアシストするようになる。ただし、応答特性が鋭敏になるのに伴って電動モータ9の出力に微振動成分が混入するようになるが、急操舵中の運転者はハンドルの微振動に鈍感になっており微振動に気が付くことがないので、微振動は操舵感覚上の問題とはならない。
【0061】
次に、以上の作用を、よりいっそう詳しく説明する。
すなわち、本実施例のパワーステアリング装置では、操舵速度検知手段である回転角センサ3および操舵速度演算部4によって、ステアリングシャフトの操舵速度がされ、検知された操舵速度の絶対値である操舵速度信号|dθ/dt|が生成される。一方、ねじりトルク検知手段としてのトルクセンサ1によって、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTが検知され、検知されたねじりトルクに基づいてトルク信号τが生成される。
【0062】
また、位相補償部2、内分比演算部5および周波数応答可変演算部6からなる操舵信号生成手段によって、操舵速度信号|dθ/dt|およびトルク信号τから操舵信号Yが生成され、操舵信号Yに基づいて電動モータ9が駆動される。
ここで、上記操舵信号生成手段によって生成される操舵信号Yは、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合には、主にステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから低ゲインで位相進みがないまたは少ない伝達特性で生成される。すなわち、操舵信号Yは、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合には、ほとんど補償を受けずに、(ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから通常の一時遅れ系の伝達特性によって生成される)トルク信号τからほぼ直接的に生成される。その結果、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合には、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから操舵信号Yの生成に至るまでの応答特性があまり鋭敏ではない代わりに、微振動成分が混入することなしに操舵信号Yが生成される。
【0063】
しかしながら、操舵速度信号|dθ/dt|がある程度大きくなってくると、操舵信号Yは、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて徐々にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性を経て補償を受けて生成される。すなわち、操舵信号Yは、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、トルク信号τに対してより大きなゲインとより大きな位相進みとをもって補償がなされて生成される。その結果、操舵速度信号|dθ/dt|が大きい場合には、大きなゲインおよび位相進みの補償を受けるので、操舵信号Yに微振動成分が混入しやすくなる代わりに、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから操舵信号Yに至るまでの応答特性が鋭敏になる。
【0064】
また、この応答特性の変化は、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて徐々に起こるので、運転者に応答特性の変化が操舵感覚の急変として感じ取られることはない。ここで、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから操舵信号Yに至るまでの応答特性は、図4に示すように、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、G=0.8からG=0に至るまで連続的に変化する。
【0065】
最後に、パワーアシストする電動モータ9は、再び図1に示すように、操舵信号Yに基づいて駆動され、操舵車輪に対する運転者の操舵力を補助する駆動手段であるから、電動モータ9のトルク出力には、操舵信号Yの特性が反映される。すなわち、操舵速度信号|dθ/dt|が小さい場合には、電動モータ9の応答特性は緩やかであるが、パワーアシストモータの出力に微振動が混入することは防止されている。それゆえ、保舵状態ないし緩操舵状態では、電動モータ9から微振動がステアリングシャフトに加わることがないので、ハンドルを握る運転者の手に微振動が加わって運転者に不快感を与えるような不都合がない。また、操舵速度信号|dθ/dt|が小さいということは、操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態にあるということなので、電動モータ9の応答特性が緩やかであることは、操舵感覚上の問題にはならない。
【0066】
しかしながら、再び図4に示すように、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるにつれて、電動モータ9の応答特性は徐々に鋭敏になっていき、わずかにではあるが電動モータ9の出力に微振動が含まれるようになってくる。そして、操舵速度信号|dθ/dt|が十分に大きい場合には、ステアリングシャフトにかかる操舵トルクTに対する電動モータ9の応答特性は鋭敏であり、その代わり電動モータ9の出力には微振動が含まれてしまう。すなわち、急操舵状態では、ステアリングシャフトから電動モータ9に至るまでの応答特性が鋭敏であるので、運転者はハンドルを軽く切ることができ、きびきびとした良好な操舵応答特性を感じ取ることができる。この際、ハンドルに微振動が加わっているのであるが、急操舵状態では運転者の手は触覚が鈍感になるので、この微振動が不快な操舵特性として運転者に感じ取られるような不都合は、防止されている。
【0067】
以上をまとめると、本実施例のパワーステアリング装置では、ステアリングシャフトの操舵状態が保舵状態または緩操舵状態にある場合には、電動モータ9の応答は緩やかであるが、ハンドルに微振動が加わることがない。それゆえ、応答特性が緩やかであってもハンドル操作が緩やかであるから、運転者は応答特性が鈍いと感じることはなく、また、ハンドルを握る運転者の手に微振動が加わらないので、保舵状態ないし緩操舵状態では良好な操舵感覚が得られる。そして急操舵状態になるに従って、徐々にハンドルに微振動が加わってくるようになるが、同時に徐々に素早い電動モータ9の応答性が得られるようにもなる。それゆえ、徐々にハンドルの切れが良くきびきびとした操舵応答特性が得られるようになっていきながら、同時に運転者の手の触覚が鈍っていくので、ハンドルに加わる微振動が不快に感知されることはなく、やはり良好な操舵感覚が得られ続ける。
【0068】
したがって、本実施例のパワーステアリング装置によれば、ステアリングシャフトの操舵状態が、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、いかなる操舵状態であっても良好な操舵感覚が保たれるという効果がある。
なお、本実施例のパワーステアリング装置には、主要な制御装置として、デジタル演算を行うマイクロコンピュータ10が装備されており、トルクセンサ1の出力であるトルク信号τは、図示しないA/D変換器を介してマイクロコンピュータ10に取り込まれる。マイクロコンピュータ10には、位相補償部2、操舵速度演算部4、内分比演算部5、周波数応答可変演算部6および電流指令値演算部7が内蔵されている。それゆえ、位相補償部2をアナログ回路で構成する必要がなくなり、また、内分比Gの演算にあたってはメモリを利用して短時間で正確な演算が可能になる。さらに、周波数応答可変演算部の線形結合演算[操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2]にあたっても、同様に素早く正確な演算が可能であるから、操舵応答特性が俊敏かつ正確になる。同様に、電流指令値演算部7での演算にあたっては、メモリを利用して短時間で正確な演算が可能になる。近年ではマイクロコンピュータが低廉化しているので、同様の演算機能をもつアナログ演算回路を採用するよりも、ずっとコストダウンができるという効果もある。
【0069】
したがって、本実施例のパワーステアリング装置によれば、前述のように優れた操舵特性が得られるようになりながら、同時にコストダウンが可能になるという効果もある。
(実施例1のパワーステアリング方法)
本実施例のパワーステアリング方法は、以上のような本実施例のパワーステアリング装置の作用としてとらえることができるが、以下に改めて方法発明として説明する。
【0070】
本発明の実施例1としてのパワーステアリング方法は、再び図1に示すように、電動モータ9によってステアリングシャフトにかかるねじりトルクTのパワーアシストを行うパワーステアリング方法である。すなわち、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTに応じて車輪への操舵力を補助するパワーアシストモータとしての電動モータ9への電流制御を行い、電動モータ9の出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助する方法である。
【0071】
本実施例のパワーステアリング方法の第1の特徴は、ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場合には、操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをトルク信号τに与える補償を行って、電動モータ9への電流制御を行うことである。
すなわち、ステアリングシャフトの操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合には、再び図2に伝達特性を示すように、大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクTないしトルク信号τに与える補償は行われない。それゆえ、この状態では操舵応答性はあまり素早くない代わりに、電動モータ9からステアリングシャフトを介してハンドルに微振動が生じることがない。ただし、前述のようにこの状態では操舵応答性はあまり素早くないが、操舵状態が急操舵状態ではないので鋭敏な応答性は要求されず、操舵感覚が悪くなることはない。むしろ、前述のように運転者が握るハンドルに微振動がかかることがないので、運転者が感じる操舵感覚は良好に保たれる。
【0072】
逆に、ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場合には、再び図3に伝達特性を示すように、前述の操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクTに与える補償が行われる。そして、より大きなゲインおよび位相進みを与えられて補償されたステアリングシャフトのねじりトルクTに基づいて、電動モータ9への電流制御が行われる。それゆえ、電動モータ9の応答時間が短くなり応答ゲインも大きくなるので、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから電動モータ9に至るまでの応答特性が鋭敏になり、ハンドルの急操舵に対応した急激なパワーアシストが行われる。その結果、軽快できびきびとした操舵が可能になるので、急操舵時のハンドルの切れが良いと運転者には感じ取られる。
【0073】
ここで、急操舵状態にある場合には、前述のようにより大きなゲインおよび位相進みをねじりトルクTに与える補償が行われるので、ハンドルには微振動が生じる可能性がある。しかし、このような急操舵時には運転者の手の触覚が鈍くなっているので、たとえハンドルに微振動が加わっても、運転者は微振動に気が付くことがなく不快に感じることもない。その結果、操舵感覚にハンドルの微振動が悪影響を及ぼすことが防止されているので、急操舵状態での操舵感覚も良好に保たれる。
【0074】
したがって、本実施例のパワーステアリング方法によれば、保舵時および緩操舵時にはハンドルに微振動が加わることがなく、逆に、急操舵時には素早いパワーアシストモータとしての電動モータ9の応答性が得られる。その結果、ステアリングシャフトの操舵状態が、保舵状態ないし緩操舵状態であっても、あるいは逆に急操舵状態であっても、良好な操舵感覚が保たれるという効果がある。
【0075】
本実施例のパワーステアリング方法の第2の特徴は、保舵状態および緩操舵状態は、電動モータ9の操舵速度の絶対値すなわち操舵速度信号|dθ/dt|が所定値未満である状態を指すことである。同様に、急操舵状態は、操舵速度信号|dθ/dt|が所定値以上である状態を指す。ただし、上記二つの所定値は、互いに等価ではなく、緩操舵状態と急操舵状態との間に中間的な操舵状態が存在する。操舵速度信号|dθ/dt|の検出は容易であり、操舵速度信号|dθ/dt|が所定の値である場合に、その操舵状態を判定することも技術的に容易である。
【0076】
すなわち、操舵速度信号|dθ/dt|は、電動モータ9に取り付けられた回転角センサ3が生じるパルスを、所定時間内でいくつあるかパルスカウンタである操舵速度演算部4で数えることにより、容易に求めることができる。それゆえ、操舵速度信号|dθ/dt|によって操舵状態を判定することは、メモリをもちデジタル演算を行うマイクロコンピュータ10の使用によって、実際上容易に実施できるうえに、その信頼性はかなり高いものと考えられる。
【0077】
したがって、本実施例のパワーステアリング方法によれば、実施が容易になると共に信頼性が向上するという効果もある。
本実施例のパワーステアリング方法の第3の特徴は、ステアリングシャフトにかかるねじりトルクTから操舵信号Yに至るまでのゲインおよび位相に関する補償の切替えは、操舵速度信号|dθ/dt|の大小によって連続的に行われる。それゆえ、再び図4に示すように、緩操舵状態から急操舵状態へ至るまで、連続的にゲインおよび位相の補償が切替えられる。その結果、補償の切り替わりによる操舵特性の変化が操舵速度のある閾値を境に急変するような不都合は回避され、運転者には、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまでほぼ連続した操舵感覚が得られる。
【0078】
したがって、本実施例のパワーステアリング方法によれば、さらに、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態へ至るまで、連続した操舵感覚が得られるという効果もある。
(実施例1の効果)
以上詳述したように、本実施例のパワーステアリング装置およびパワーステアリング方法によれば、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、連続して優れた操舵感覚が保たれるという効果がある。
【0079】
すなわち、保舵状態ないし緩操舵状態では、ハンドルに微振動が加わることがなく、やや緩やかではあるが安定した操舵感覚が得られる。逆に、急操舵状態では、鋭敏な操舵応答特性が得られ、ハンドルが軽く回すことができてきびきびとした操舵が可能である。ここで、急操舵状態ではハンドルに微振動が加わることがあるが、急操舵状態では運転者の手の触覚が鈍っており微振動を感じ取ることができないので、微振動による操舵感覚の劣化はない。また、保舵状態ないし緩操舵状態から急操舵状態に至るまで、連続的に伝達特性が変化していき、伝達特性が不連続に急変することはないので、操舵特性が急変して操舵感覚が劣化することもない。
【0080】
ここで、自動車の購入者がスポーティーな運転を好む運転者である場合には、操舵特性の安定性と俊敏性とが両立して操舵感覚が良好であることは、購入するか否かの重要な判断材料である。それゆえ、本実施例のパワーステアリング装置を装備した自動車には、自動車を購入する消費者の購買意欲をかき立てる効果も十分に期待できる。
【0081】
なお、前述のようにマイクロコンピュータ10を主要な制御装置として採用することにより、本実施例のパワーステアリング装置はコストダウンが可能であるので、自動車の価格競争においても有利である。
[実施例2]
(実施例2のパワーステアリング装置)
本発明の実施例2としてのパワーステアリング装置は、図5に示すように、第1位相補償部2’および第2位相補償部2”の両方を有する点と、内分比演算部5’の設定数値が異なっている点とが実施例1のパワーステアリング装置と異なる。実施例2のパワーステアリング装置は、その他の点については実施例1のパワーステアリング装置と同様である。
【0082】
すなわち、本実施例のパワーステアリング装置では、操舵信号生成手段は、第1位相補償部2’および第2位相補償部2”と、内分比演算部5’と、周波数応答可変演算部6とを有する。
第1位相補償部2’は、図6に示すように、トルク信号τの比較的低い周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号τの補償手段である。一方、第2位相補償部2”は、図7に示すように、トルク信号τの比較的高い周波数領域においてゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ、トルク信号τの補償手段である。
【0083】
図6と図7とを比較して分かるように、第1位相補償部2’と第2位相補償部2”とは、ゲインおよび位相進みが大きくなる周波数帯域が異なり、このような周波数帯域は、第1位相補償部2’よりも第2位相補償部2”の方が高い。それゆえ、第1位相補償部2’には、トルク信号τの周波数がある程度立ち上がってきている状態、たとえば操舵状態が急操舵状態に移行しつつある緩操舵状態である場合にも、ゲインおよび位相進みを増大させる作用がある。逆に、第2位相補償部2”には、トルク信号τの周波数が十分に高い急操舵状態になってからゲインおよび位相進みを増大させる作用がある。
【0084】
内分比演算部5’には、操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う作用がある。この点においてはおおむね前述の実施例1の内分比演算部5と同様であるが、操舵速度信号|dθ/dt|がゼロ付近である際にも、内分比Gが0.5でしかない点が実施例1と異なっている。
【0085】
それゆえ、周波数応答可変演算部6では、操舵速度信号|dθ/dt|がゼロ付近である保舵状態ないし緩操舵状態においても、G=0.5であって、操舵信号YはY=0.5U1+0.5U2で定まる。すなわち、図8のG=0.5の実線で示すように、保舵状態ないし緩操舵状態では、トルク信号τの周波数領域がある程度低い領域からかなり高い領域にまでの広い周波数領域において、高いゲインと位相進みとをもつ伝達特性が得られる。したがって、操舵速度信号|dθ/dt|が低い緩操舵状態であっても、保舵状態から急操舵状態に移行する途中での緩操舵のように、トルク信号τの周波数がある程度立ち上がっていれば、高いゲインと大きな位相進みによる補償が得られる。その結果、保舵状態から急操舵状態に移行する際の操舵応答特性の立ち上がりが良くなり、保舵状態から急操舵状態に移行する際の初期から、前述の実施例1よりも鋭敏な操舵応答特性が得られるようになっている。
【0086】
そして、操舵速度信号|dθ/dt|が十分に大きくなって急操舵状態に移ってしまうと、図8中でのG=0の破線に示すように、トルク信号τに対する操舵信号Yの応答特性は、比較的高い周波数領域で大きなゲインおよび位相進みを生じる。急操舵状態では、操舵速度信号|dθ/dt|ばかりではなく、通常、トルク信号τの周波数も高いので、実施例1と同様に俊敏な操舵応答特性が得られる。このような急操舵状態では、ゲインおよび位相進みが大きく取られるので、電動モータ9から微振動成分が生じてハンドルに微振動がかかる。しかしながら、急操舵状態では運転者の手の触覚が鈍感になっているので、ハンドルの微振動が運転者に感知されることがない点も、前述の実施例1と同様である。
【0087】
また、緩操舵状態から急操舵状態に移行する中間的な操舵状態では、操舵速度信号|dθ/dt|の変化に従って内分比Gが連続的に変化していくので、操舵応答特性に不連続な変化が生じることがない。それゆえ、緩操舵状態と急操舵状態との間を移行する際にも、連続的に(次第に)変化する操舵応答特性が得られるので、運転者に操舵感覚の不連続感を与えることがない点も、前述の実施例1と同様である。
【0088】
周波数応答可変演算部6の構成は、実施例1の周波数応答可変演算部6の構成と全く変わるところがないので、ここでの説明は省略する。
なおここで、図6は、トルク信号τから第1補償出力U1に至る伝達関数U1(s)/τ(s)に相当する第1位相補償部2’の伝達特性であり、ねじりトルクTから第1補償出力U1に至る伝達特性ではない点に留意されたい。同様に、図7は、トルク信号τから第2補償出力U2に至る伝達関数U2(s)/τ(s)に相当する第2位相補償部2”の伝達特性であり、ねじりトルクTから第1補償出力U1に至る伝達特性ではない。また、図8は、内分比Gをパラメータとして変化するトルク信号τから操舵信号Yに至る伝達関数Y(s)/τ(s)に相当する伝達特性であり、操舵信号生成手段(2’,2”,5’,6)全体の伝達特性を示すものである。
【0089】
また、本実施例のパワーステアリング装置では、デジタル演算を行うマイクロコンピュータが10’装備されており、同マイクロコンピュータには、操舵速度演算部4と、操舵信号生成手段(2’,2”,5’,6)と、電流指令値演算部7とが内蔵されている。それゆえ、実施例1と同様に、素早く正確な演算が可能になっているので、操舵応答特性が俊敏かつ正確になっていると共に、パワーステアリング装置のコストダウンができるという効果もある。
【0090】
(実施例2のパワーステアリング方法)
本発明の実施例2としてのパワーステアリング方法は、以上で説明した本実施例のパワーステアリング装置の作用としてとらえることができるので、ここでの説明は省略する。
(実施例2の効果)
以上詳述したように、本実施例のパワーステアリング装置によれば、前述の実施例1の効果に加えて、保舵状態から急操舵状態に移行する途中の緩操舵状態であっても鋭敏な操舵応答特性が得られ、操舵感覚がさらに改善されるという効果がある。
【0091】
自動車の購入者が、スポーティーな運転を好む運転者である場合には、安定性と俊敏性とが両立しているうえに急操舵時の操舵応答特性の立ち上がりが良く、さらに優れた操舵感覚が得られることは、購入にあたっての重要な判断材料である。それゆえ、本実施例のパワーステアリング装置には、消費者の購買意欲をさらにかき立てる効果もある。
【0092】
[実施例3]
(実施例1の不都合)
前述の実施例1では、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際に、良好な操舵感覚がいくらか損なわれるという不都合が生じることがある。
すなわち、図9に示すように、ステアリング操舵角(回転角)θが小さい範囲で左右に細かくかつ頻繁に切り返されると、操舵角θの絶対値は小さくとも、比較的大きな操舵速度θドットを生じる。すると、前述の実施例1のパワーステアリング装置(図1参照)では、操舵速度信号|dθ/dt|が大きくなるので、内分比Gが頻繁に最小値と最大値との間で切り替わる。それゆえ、位相補償を受けない生のトルク信号τ=U1が主成分になる操舵信号Yと、位相補償部2で位相補償部2を受けた信号U2が主成分になる操舵信号Y(図9の破線)とが、操舵角θの切り返しの度に切り替わる。その結果、操舵信号Yは、図9の最下段のグラフに示すように、絶対値や傾きが不連続な信号になってしまい、操舵感覚に微妙な不快感を与えるようになってしまう。このような現象は、高速直進時に走行レーンを正確に守って走ろうとして、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく切替えるような際に起きやすい。
【0093】
そこで発明者らは、前述の実施例1の効果を保ちながら、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく切替える場合にも操舵感覚が劣化することがないパワーステアリング装置を提供することを課題として、以下に実施例3を提示する。なお、実施例3のパワーステアリング装置は、発明者らが、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく切替える場合にはトルク信号τの絶対値が小さいことを発見し、その発見に基づいて走行シミュレーションをしたうえで開発されたものである。
【0094】
(実施例3のパワーステアリング装置)
本実施例では、操舵信号生成手段は、図10に示すように、トルク信号の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合にこのトルク信号τをもって操舵信号Y’に代えるバイパス手段90を有する。バイパス手段90は、トルク信号τの絶対値と所定の閾値τth(>0)との大小関係を判定する判定手段99と、その判定結果に基づいて操舵信号Y’を切替えるスイッチング手段98とからなる。
【0095】
判定手段99が|τ|≧τthと判定したとき、すなわち操舵角θが大きいときには、前述の実施例1と同様に、周波数応答可変演算部6の出力Yが操舵信号Y’として電流指令値演算部7に入力される。それゆえ、操舵角θが大きいときには実施例1と同様に操舵感覚が向上する。
しかしながら逆に、判定手段99が|τ|<τthと判定したとき、すなわちステアリングが中立付近にあるときには、補償を受けていない生のトルク信号τが操舵信号Y’として電流指令値演算部7に入力される。それゆえ、ステアリングが中立付近にありトルク信号τの絶対値が小さいときには、運転者が細かくステアリングの切り返しを行っても、操舵信号Y’の波形には絶対値や傾きの不連続が生じない。その結果、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、操舵感覚が劣化することが回避される。
【0096】
ここで、バイパス手段90は、マイクロコンピュータ10の内部でソフトウェアとして構成されており、差分器やスイッチング回路等のハードウェアを別途必要とはしない。それゆえ、バイパス手段90の作動が迅速で正確であるばかりではなく、本実施例のパワーステアリング装置は実施例1に比べてほとんどコストアップを招くことがない。
【0097】
(実施例3の効果)
それゆえ、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際には、利得や位相が補償された操舵信号Yが出力されず、補償を受けていないトルク信号τが操舵信号Y’として出力されるので、補償成分の頻繁な切替えによって起こる操舵感覚の劣化が起こらない。その結果、本実施例のパワーステアリング装置によれば、前述の実施例1の効果を保ちながら、ステアリングを中立付近で頻繁に細かく切替える場合にも操舵感覚が劣化することがない。
【0098】
したがって本実施例によれば、前述の実施例1の効果に加えて、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、良好な操舵感覚が得られるという効果がある。
(実施例3の変形態様1)
実施例1の不都合の項で述べた不都合と同様の不都合は、前述の実施例2のパワーステアリング装置に置いても起こりうる。それゆえ、本実施例の変形態様1として、実施例2に対しても、実施例1に対する実施例3に相当しバイパス手段90をマイクロコンピュータ10のソフトウェアに含むパワーステアリング装置の実施が可能である。したがって、本変形態様によれば、前述の実施例2の効果に加えて、ステアリングが中立付近で小刻みに左右に操舵する際にも、良好な操舵感覚が得られるという効果がある。
【0099】
[実施例4]
(実施例4の構成)
本発明の実施例4としてのパワーステアリング装置は、図11に示すように、内分比演算部5と周波数応答可変演算部6との間に、走行状態判定手段51等が配設されている点で実施例1と構成が異なっている。
【0100】
すなわち、本実施例のパワーステアリング装置は、車速センサ100と、車速演算部101および切替え手段102とからなる走行状態判定手段51と、乗算手段50とを有する。
車速センサ100は、ABS用車速センサを用い、ABS用車速センサから生じるパルスがマイクロコンピュータ10に取り込まれて、車速演算部101に供給される。ここで、車速センサ100は、スピードメータ用のものをもって代えることもできる。
【0101】
車速演算部101と切替え手段102とからなる走行状態判定手段51は、車速センサ100からの入力信号に基づき、搭載車両が完全に停止しているか停止に近い状態にある場合には、略停止中と判定して1を出力する。しからざる場合は、逆に搭載車両が走行中であると判定してゼロを出力する。
切替え手段102からの出力である1またはゼロは、乗算手段50に伝達され、内分比演算部5からの出力である内分比Gと掛け合わせられて新たな内分比G’とされる。そして、乗算手段50からの出力である新たな内分比G’は、実施例1の内分比Gに代わって周波数応答可変演算部6に入力され、周波数応答可変演算部6での演算が行われる。
【0102】
すなわち、本実施例の操舵信号生成手段(マイクロコンピュータ10)は、車速センサ100から得られる車速信号に基づいて、装備車両が略停止中であるか走行中であるかを判定する走行状態判定手段51をもつ。そして、走行状態判定手段51によってこの装備車両が走行中であると判定された場合には、前述の実施例1の内分比Gに相当する内分比G’が、強制的にゼロに設定される。
【0103】
なお、走行状態判定手段51および乗算手段50は、マイクロコンピュータ10内でプログラムによりデジタル演算処理されるので、ハードウェアとしてマイクロコンピュータ10の他にカウンタやリレー等が必要になるわけではない。また、車速センサ100もすでに搭載車両に装備済みのものから信号を分配してもらうだけであるから、本実施例の構成によっても、実施例1と比べて大きなコストアップを伴うことはない。
【0104】
(実施例4の作用効果)
それゆえ、装備車両が停車中か極めて低い速度である略停止中であるときに、中立状態からいきなり急操舵に近い急激な据え切り操作を行った場合には、内分比演算部5により内分比G’が適正に調整されるので、良好な操舵感覚が得られる。すなわち、停車中に急激に据え切りを始めた場合には、位相補償部2により適正な位相補償がなされるので、パワーアシストが遅れてハンドルに不快な振動が加わるような不都合はなくなり、据え切り時の操舵感覚が向上する。停車中に逆にゆっくりと据え切りした場合には、トルク信号τの位相補償が行われなくてもパワーアシストが遅れることがないので、やはり微振動が生じるような不都合は起こらない。
【0105】
逆に走行中であるときには、内分比Gが変わらず適正な位相補償が行われたままの状態が続くので、内分比Gの急変に起因するアシストトルクの変動が起こらず、操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感覚が保たれる。また、走行中には、急操舵時に位相を進める微分要素をもった位相補償に起因し、微分ノイズによって微振動や微小な異音が生じることはある。しかし、走行中には、トルク信号τが小さくなる上に、エンジンの振動および騒音だけではなく走行の伴う振動および騒音が加わるので、微分ノイズに起因する微振動等が運転者に感知されることはなく、不都合を起こすことはない。
【0106】
したがって、本実施例のパワーステアリング装置によれば、前述の実施例1の効果に加えて、走行時の操舵感覚に不連続性がなく操舵状態の如何にかかわらず滑らかな操舵感覚が保たれるという効果がある。また、このような効果が、主にソフトウェアの簡単な改修で得られ、新たな速度センサ等のハードウェアを付け加えることなしに得られるので、あまりコストアップを伴わないことも、本実施例の利点である。
【0107】
[実施例5]
(実施例5の構成)
本発明の実施例5としてのパワーステアリング装置は、図12に示すように、車速の代わりにトルク信号τの絶対値の大小で停車中か走行中かを判定するように、マイクロコンピュータ10が構成されている点が前述の実施例4と異なる。その他の構成については、ほとんど前述の実施例4と同等である。
【0108】
すなわち、マイクロコンピュータ10によって実現される操舵信号生成手段は、トルク信号τに基づいて搭載車両が略停止中であるか走行中であるかを判定する走行状態判定手段52をもつ。走行状態判定手段52は、実施例1でもすでにトルクセンサからマイクロコンピュータ10に取り込まれているトルク信号τを利用して、トルク信号τの絶対値|τ|が所定の閾値|τth|を超えているか否かをもって判定基準とする。すなわち、トルク信号の絶対値|τ|が同閾値を超えている場合には、ハンドルが重い据え切り状態にあるから略停車中であるものと判定し、切替え手段102からは乗算手段50に1が送られる。しからざる場合には、ハンドルが軽いから走行状態にあるものと見なされ、切替え手段102からは乗算手段50にゼロが送られる。乗算手段50と乗算結果として得られる新たな内分比G’に基づいて演算する周波数応答可変演算部6の構成および作用は、前述の実施例4と同様である。
【0109】
(実施例5の作用効果)
本発明のパワーステアリング装置は、以上のように構成されているので、外部から新たに車速信号を取り込むことなしに、前述の実施例4とほぼ同様の作用効果を発揮することができる。そのうえ、マイクロコンピュータ10は、実施例1のソフトウェアの簡単な改修だけで済み、車速信号を取り込むための入力インターフェースをもたずに済むので、実施例4よりもさらに安価に実施することができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のパワーステアリング装置の構成を示すブロック図
【図2】 実施例1のトルクセンサの周波数応答特性を示すボード線図
【図3】 実施例1の位相補償部出力の周波数応答特性を示すボード線図
【図4】 実施例1の周波数応答可変演算部の作用を示すボード線図
【図5】 実施例2のパワーステアリング装置の構成を示すブロック図
【図6】 実施例2の第1位相補償部の周波数応答特性を示すボード線図
【図7】 実施例2の第2位相補償部の周波数応答特性を示すボード線図
【図8】 実施例2の周波数応答可変演算部の作用を示すボード線図
【図9】 実施例3がより望ましい理由を示すグラフ
【図10】実施例3のパワーステアリング装置の構成を示すブロック図
【図11】実施例4のパワーステアリング装置の構成を示すブロック図
【図12】実施例5のパワーステアリング装置の構成を示すブロック図
【符号の説明】
1:トルクセンサ(ねじりトルク検知手段として)
2:位相補償部(実施例1の)
2’,2”:第1位相補償部および第2位相補償部(実施例2の)
3:回転角センサ 4:操舵速度演算部 (3+4:操舵速度検知手段)
5,5’:内分比演算部 6:周波数応答可変演算部
7:電流指令値演算部 8:電動モータ駆動部
9:電動モータ(パワーアシストモータとして)
10:マイクロコンピュータ
50:乗算手段 51,52:走行状態判定手段
90:バイパス手段
98:スイッチング手段 98:判定手段
100:車速センサ 101:車速演算部 102:切替え手段
θ:ステアリングシャフトの回転角度
T:ステアリングシャフトにかかるねじりトルク
τ:トルク信号(トルクセンサの出力信号)
τth:トルク信号τの閾値
|θドット|=|dθ/dt|:操舵速度信号 G,G’:内分比
U1:トルク信号τ(実施例1)または第1補償出力(実施例2)
U2:補償出力(実施例1)または第2補償出力(実施例2)
Y,Y’:操舵信号 A:電流指令値

Claims (9)

  1. ステアリングシャフトにかかるねじりトルクに応じて、車輪への操舵力を補助するパワーアシストモータへの電流制御を行い、このパワーアシストモータの出力によって車輪への操舵力を操舵方向に補助するパワーステアリング方法において、
    前記ステアリングシャフトの操舵状態が急操舵状態である場合には、この操舵状態が保舵状態ないし緩操舵状態である場合よりも、より大きなゲインおよび位相進みをこのねじりトルクに与える補償を行って前記パワーアシストモータへの前記電流制御を行うことを特徴とする、
    パワーステアリング方法。
  2. 前記保舵状態および前記緩操舵状態は、前記ステアリングシャフトまたは前記パワーアシストモータの操舵速度の絶対値が所定値未満である状態であり、
    前記急操舵状態は、このステアリングシャフトまたはこのパワーアシストモータのこの操舵速度のこの絶対値が所定値以上である状態である、
    請求項1記載のパワーステアリング方法。
  3. 前記ステアリングシャフトにかかる前記ねじりトルクから前記パワーアシストモータへの前記電流制御に至るまでの前記補償の切替えは、前記操舵速度の前記絶対値の大小によって段階的ないし連続的に行われる、
    請求項2記載のパワーステアリング方法。
  4. ステアリングシャフトの操舵速度を検知してこの操舵速度の絶対値である操舵速度信号を生成する操舵速度検知手段と、
    このステアリングシャフトにかかるねじりトルクを検知してトルク信号を生成するねじりトルク検知手段と、
    この操舵速度信号が小さい場合には、低ゲインで位相進みがないまたは少ない伝達特性で操舵信号を生成し、この操舵速度信号が大きくなるにつれて、徐々にゲインが高くなり位相進みが大きくなる伝達特性でこの操舵信号を生成する操舵信号生成手段と、
    この操舵信号に基づいて駆動され車輪に対する操舵力を補助するパワーアシストモータと、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 前記操舵信号生成手段は、
    前記トルク信号の所定の周波数領域において、ゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ位相補償部と、
    前記操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う内分比演算部と、
    前記トルク信号U1と、この位相補償部を介して伝達されたこのトルク信号の補償出力U2との線形結合として、前記操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算する周波数応答可変演算部とを有する、
    請求項4記載のパワーステアリング装置。
  6. 前記操舵信号生成手段は、車速センサから得られる車速信号と前記トルク信号とのうち一方に基づいて装備車両が略停止中であるか走行中であるかを判定する走行状態判定手段をもち、この走行状態判定手段によってこの装備車両が走行中であると判定された場合には、前記内分比Gを強制的にゼロにする、
    請求項5記載のパワーステアリング装置。
  7. 前記操舵信号生成手段は、
    前記トルク信号の比較的低い周波数領域において、ゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ第1位相補償部と、
    このトルク信号の比較的高い周波数領域において、ゲインが大きくなり位相進みが大きくなる伝達特性をもつ第2位相補償部と、
    前記操舵速度信号|dθ/dt|に応じ、この操舵速度信号が大きくなるにつれて不変ないし減少するように予め設定された内分比Gを出力して重み付けを行う内分比演算部と、
    この第1位相補償部を介して伝達されたこのトルク信号の第1補償出力U1と、この第2位相補償部を介して伝達されたこのトルク信号の第2補償出力U2との線形結合として、前記操舵信号Y=G・U1+(1−G)・U2を演算する周波数応答可変演算部とを有する、
    請求項4記載のパワーステアリング装置。
  8. 前記操舵信号生成手段は、前記トルク信号の絶対値が所定の閾値よりも小さい場合にこのトルク信号をもって前記操舵信号に代えるバイパス手段を有する、
    請求項4記載のパワーステアリング装置。
  9. 前記操舵信号生成手段が内蔵されているマイクロコンピュータを有する、
    請求項4記載のパワーステアリング装置。
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