JP2008037255A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 永久磁石同期モータのマグネットずれを簡単に検出し、マグネットずれによる振動を低減する。
【解決手段】 操舵トルク検出値Thの特定周波数における振動レベルAxが基準レベルA0より大きいときには(S12:YES)マグネットずれ異常であると判断して、回転角センサのオフセット値を振動レベルAxが低下する方向に調整する。オフセット調整を行っても振動レベルAxが基準レベルA0を上回る場合には、オフセット値を初期値に戻して異常データを記憶するとともに運転者に異常報知する(S21〜S23)。振動レベルAxが基準レベルA0以内におさまれば、調整したオフセット値を正規のオフセット値として記憶更新する(S20)。
【選択図】 図3

Description

本発明は、運転者による操舵ハンドルの操舵操作をアシストするための電動モータを備えた電動パワーステアリング装置に関する。
従来から、操舵ハンドルに付与される操舵トルクを検出し、検出した操舵トルクに応じた操舵アシストトルクを電動モータに発生させるようにした車両の電動パワーステアリング装置はよく知られている。
例えば、コントローラにより操舵ハンドルに加えられた操舵トルクと車速とに基づいて電動モータの目標電流値を算出し、この目標電流値と電流検出器により検出されるモータ電流値(実電流値)との偏差に基づいて、電動モータに通電する目標電圧値を演算する。そして、コントローラにより目標電圧値に応じたデューティ比でインバータをスイッチング制御することで、インバータから電動モータに目標の3相電源電圧が印加されて所望の操舵アシストトルクが得られる。
電動パワーステアリング装置の電動モータとしては、一般に、ブラシレスモータである永久磁石同期モータが使用される。ブラシレスモータは、ロータコアの外周面に複数のマグネット(永久磁石)を固定し、ステータに励磁コイルを巻回して構成される。こうしたブラシレスモータにおいては、マグネットのロータへの固定が緩んで、マグネットが所定位置からずれでしまうことがある。そこで、特許文献1に提案された電動パワーステアリング装置においては、ロータコアを形成する複数の電磁鋼板のうち両端部の電磁鋼板をマグネットの内径よりも大きな外径にすることにより、マグネットのずれ防止を図っている。
特開2006−25508
しかしながら、特許文献1に提案されたものでは、電動パワーステアリング装置に使用する電動モータの選択自由度が狭くなってしまい、汎用の電動モータを使用することができない。また、こうした電動モータであっても、必ずしもマグネットがずれないという保証もなく、使用中にマグネットずれが生じる可能性が残る。
本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、マグネットのずれといったモータ異常を簡単に検出することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構と、上記転舵機構に設けられ、上記操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータと、上記操舵ハンドルに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサと、少なくとも上記トルクセンサにて検出された操舵トルクに応じて目標アシスト制御値を算出し、上記算出された目標アシスト制御値に基づいて上記電動モータへの通電を制御するアシスト制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置において、上記トルクセンサの検出値あるいは上記算出された目標アシスト制御値に含まれる特定周波数の振動を検出する振動検出手段と、上記振動検出手段により検出した振動の振動レベルに基づいて、上記電動モータの異常の有無を判定するモータ異常判定手段とを備えたことにある。
上記のように構成した本発明によれば、アシスト制御手段が、トルクセンサにて検出した操舵トルクに応じて目標アシスト制御値を算出し、この目標アシスト制御値に基づいて電動モータの通電を制御する。例えば、電動モータとして永久磁石同期モータを使用した場合、マグネットずれが生じるおそれがある。マグネットずれ異常が生じた場合においては、モータ出力トルクが特定の周波数で振動する。この特定周波数の振動は、電動モータから転舵機構を介してトルクセンサに伝達され、トルクセンサの検出値における振動として現れる。また、このトルクセンサの検出値における振動は、目標アシスト制御値の振動としても現れる。
そこで、この発明では、振動検出手段によりトルクセンサの検出値あるいは目標アシスト制御値に含まれる特定周波数の振動を検出し、この検出した振動レベルに基づいて、モータ異常判定手段が電動モータの異常の有無を判定する。従って、マグネットずれ異常といったモータ異常を簡単に判定することができる。また、電動パワーステアリング装置に用いるアシスト用モータとして、特殊なモータを使用する必要もなく、設計自由度が狭くならない。
本発明の他の特徴は、上記異常判定手段により上記電動モータの異常が検出された場合には、上記電動モータの制御パラメータの値を変更するパラメータ変更手段を備えたことにある。
上記のように構成した本発明によれば、電動モータの異常が検出された場合には、パラメータ変更手段により電動モータの制御パラメータの値を変更するため、モータ異常による振動を低減することができる。この結果、運転者の操舵操作に対する違和感が低減される。
本発明の他の特徴は、上記電動モータの回転角を検出する回転角センサを備え、上記アシスト制御手段は、上記回転角センサにて検出された回転角に基づいて上記電動モータの通電を制御し、上記パラメータ変更手段は、上記電動モータの異常が検出された場合に、上記回転角センサのオフセット値を変更することにある。
電動モータは、回転角センサによりそのロータの回転角(即ち回転角位置)を検出し、その回転角に基づいて通電制御される。この電動モータをその回転角に同期させて適正に通電制御するためには、回転角センサにより検出される回転角と、電動モータの通電制御に使われる制御上での回転角(電気角)とを一致させる必要があり、そのために両者の基準回転角位置をあわせるための調整用制御パラメータとしてオフセット値が予め設定される。そこで、本発明においては、電動モータのマグネットずれといった異常を検出したときには、このオフセット値を変更することにより電動モータの通電を適正に行って振動を低減することができる。この結果、運転者の操舵操作に対する違和感が低減される。
また、本発明の他の特徴は、走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、上記モータ異常判定手段は、上記走行速度が所定速度以下となっているときの上記振動レベルに基づいて上記電動モータの異常の有無を判定することにある。
上記のように構成した本発明によれば、走行速度が所定速度以下となる低速走行時あるいは停止時における振動レベルに基づいて電動モータの異常の有無を判定するため、路面凹凸による振動ノイズの影響が少ない高精度な異常判定を行うことができる。
また、本発明の他の特徴は、上記モータ異常判定手段は、上記振動検出手段により検出した振動の振動レベルが、所定時間以上継続して基準レベルを超えているときに、上記電動モータが異常であると判定することにある。
悪路走行中においては、路面凹凸による振動ノイズがモータ異常判定精度に影響を与えるおそれがあるが、悪路走行による振動ノイズの発生は一時的なものであるため、基準レベルを超える振動が所定時間以上継続している場合には、悪路走行による振動ノイズではないと考えられる。従って、本発明によれば、基準レベルを超える振動の継続時間を判断することにより、路面凹凸による振動ノイズの影響が少ない高精度な異常判定を行うことができる。
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、本発明の第1実施系形態に係る車両の電動パワーステアリング装置を示す概略図である。
この車両の電動パワーステアリング装置は、大別すると、操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構10と、転舵機構10に組み付けられ操舵アシストトルクを発生する電動モータ15と、操舵ハンドルの操舵状態に応じて電動モータ15の作動を制御する電子制御ユニット30とから構成される。
転舵機構10は、操舵ハンドル11の回転操作により左右前輪FW1,FW2を転舵するための機構で、操舵ハンドル11に上端を一体回転するように接続したステアリングシャフト12を備え、同シャフト12の下端にはピニオンギヤ13が一体回転するように接続されている。ピニオンギヤ13は、ラックバー14に形成されたラック歯と噛み合ってラックアンドピニオン機構を構成する。ラックバー14の両端には、図示しないタイロッドおよびナックルアームを介して左右前輪FW1,FW2が操舵可能に接続されている。左右前輪FW1,FW2は、ステアリングシャフト12の軸線回りの回転に伴うラックバー14の軸線方向の変位に応じて左右に操舵される。従って、操舵ハンドル11、ステアリングシャフト12、ラックアンドピニオン機構13,14、タイロッド、ナックルアーム等により転舵機構10が構成される。
ラックバー14には、操舵アシスト用の電動モータ15が組み付けられている。電動モータ15は、永久磁石三相同期モータであるブラシレスモータによって構成されている。電動モータ15の回転軸は、ボールねじ機構16を介してラックバー14に動力伝達可能に接続されていて、その回転により左右前輪FW1,FW2の操舵をアシストする。ボールねじ機構16は、減速器および回転−直線変換器として機能するもので、電動モータ15の回転を減速するとともに直線運動に変換してラックバー14に伝達する。また、電動モータ15をラックバー14に組み付けるのに代えて、電動モータ15をステアリングシャフト12に組み付けて、電動モータ15の回転を減速器を介してステアリングシャフト12に伝達して同シャフト12を軸線周りに駆動するように構成してもよい。
ステアリングシャフト12には、操舵トルクセンサ21が設けられる。操舵トルクセンサ21は、操舵ハンドル11の回動操作によってステアリングシャフト12に作用する操舵トルクThを検出する。操舵トルクThは、正負の値により操舵ハンドル11の右方向および左方向の操舵時における操舵トルクの大きさをそれぞれ表す。
また、操舵トルクセンサ21をステアリングシャフト12に組み付けるのに代え、ラックバー14に組み付けて、ラックバー14の軸線方向の歪み量から操舵トルクThをそれぞれ検出するようにしてもよい。
電動モータ15には、回転角センサ23が設けられる。この回転角センサ23は、電動モータ15内に組み込まれ、電動モータ15の回転子の回転角度位置に応じた検出信号を出力するもので、例えば、レゾルバセンサにより構成される。レゾルバセンサは、電動モータ15のロータとともに回転する図示しないレゾルバロータと、モータケーシングに固定されるレゾルバステータとを備え、レゾルバロータには励磁コイルである1次巻線が設けられ、レゾルバステータにはπ/2だけ位相のずれた一対の検出用コイルである2次巻線が設けられる。そして1次巻線を正弦波信号により励磁することにより、2次巻線に2種類の誘起電圧信号を出力させる。
この回転角センサ23の検出信号は、電動モータ15の回転角θおよび回転角速度ωの計算に利用される。一方、この電動モータ15の回転角θは、操舵ハンドル11の操舵角に比例するものであるので、本明細書では、この回転角θは、操舵ハンドル11の操舵角としても共通に用いられる。また、電動モータ15の回転角速度ωは、操舵ハンドル11の操舵角速度に比例するものであるため、本明細書では、この回転角速度ωは、操舵ハンドル11の操舵角速度としても共通に用いられる。
次に、電動モータ15の作動を制御する電子制御ユニット30について説明する。
電子制御ユニット30は、CPU,ROM,RAM等からなるマイクロコンピュータを主要構成部品とするとともに、電動モータ15の駆動回路をも備えている。また、電子制御ユニット30は、操舵トルクセンサ21、回転角センサ23、車速センサ22を接続して各検出信号を入力する。車速センサ22は、車両の走行速度に応じた車速信号vxを出力する。また、電子制御ユニット30は、運転者に異常を知らせるためのウォーニングランプ24を接続する。
次に、電子制御ユニット30について詳細に説明する。図2は、プログラムの実行によって実現される前記マイクロコンピュータの機能を表す機能ブロックを含む電子制御ユニット30の全体ブロック図である。
電子制御ユニット30は、電動モータ15の回転方向をq軸とするとともに回転方向と直交する方向をd軸とする2相回転磁束座標系で記述されるベクトル制御によって電動モータ15の回転を制御する。尚、これらのq軸およびd軸について、表現方法を換えると、d軸が電動モータ15の永久磁石による界磁方向であり、q軸がそれに直交する方向、つまり電動モータ15のトルクの発生に起因する方向である。
電子制御ユニット30は、電動モータ15を通電制御して所望の操舵アシストトルクを発生させるアシスト制御機能部と、電動モータ15の異常を検出して異常処理を行う異常処理機能部とを備えるが、まず、操舵アシストトルクを発生させるアシスト制御機能部から説明する。
電子制御ユニット30は、基本アシストトルク演算部31および補償値演算部32を備えている。基本アシストトルク演算部31は、図5に示すように、操舵トルクThと車速vxとに応じて基本アシストトルクTasを設定するための基本アシストマップを記憶する。基本アシストトルク演算部31は、操舵トルクセンサ21からの操舵トルクTh情報及び車速センサ22からの車速vx情報を入力して、この基本アシストマップを参照することにより基本アシストトルクTasを計算する。この場合、基本アシストトルクTasは、操舵トルクThの増加にしたがって増加するとともに車速vxの増加にしたがって減少する。尚、本実施形態では、基本アシストトルクTasを基本アシストマップを用いて計算するようにしたが、基本アシストマップに代えて操舵トルクThおよび車速vxに応じて変化する基本アシストトルクTasを定義した関数を用意しておき、同関数を用いて基本アシストトルクTasを計算するようにしてもよい。
補償値演算部32は、前記車速vxと共に、電動モータ15の回転角θ(操舵ハンドル11の操舵角に相当)および回転角速度ω(操舵ハンドル11の操舵角速度に相当)を入力し、基本アシストトルクTasに対する補償値Trtを計算する。すなわち、補償値演算部32は、基本的には、操舵角に比例して大きくなるステアリングシャフト12の基本位置への復帰力と、操舵角速度に比例して大きくなるステアリングシャフト12の回転に対する抵抗力に対応した戻しトルクとの和を補償値Trtとして計算する。また、前記補償値Trtは、車速vxの増加に従って増加する。
これらの計算された基本アシストトルクTasおよび補償値Trtは演算部33に入力される。演算部33は、基本アシストトルクTasと補償値Trtを加算し、加算結果を目標指令トルクT*としてq軸目標電流演算部34に出力する。
q軸目標電流演算部34は、前記目標指令トルクT*に比例したq軸目標電流Iq*を計算する。このq軸目標電流Iq*は、前記2相回転磁束座標系で記述されるベクトル制御におけるq軸成分電流であり、電動モータ15によって発生される回転トルクの大きさを制御するものである。
電子制御ユニット30は、電動モータ15の効率化および小型高出力化のための弱め界磁制御に関係した弱め界磁制御パラメータ演算部35を備えている。弱め界磁制御パラメータ演算部35は、詳しくは後述する電動モータ15の回転角速度ω、電動モータ15に対するq軸指令電圧Vq*’および電動モータ15のq軸実電流Iqを入力し、第1〜第3パラメータマップを参照して、前記回転角速度ω、q軸指令電圧Vq*’およびq軸実電流Iqに応じた第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciを計算する。これらの第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciは、d軸目標電流演算部36に出力される。d軸目標電流演算部36は、第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciに正の係数kを乗算して、d軸目標電流Id*(=k・Cw・Cq・Ci)を計算する。このd軸目標電流Id*は、前記2相回転磁束座標系で記述されるベクトル制御におけるd軸成分電流であり、電動モータ15の界磁を弱めるためのものである。
次に、これらの第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciについて説明しておく。第1パラメータマップは、図6の特性グラフに示すように、モータ回転角速度ωが小さい部分では「0」を示し、モータ回転角速度ωの大きい部分ではほぼ一定の正の値を示す第1パラメータCwを記憶している。したがって、この特性に従って決定される第1パラメータCwは、電動モータ15の回転速度が大きな領域で弱め界磁電流を大きくすることを意味し、電動モータ15を出力トルク重視の特性から回転速度重視の特性に変更する。また、この第1パラメータCwは、電動モータ15の回転速度が遅いとき、すなわち操舵ハンドル11の回動速度が遅いときに、無駄な弱め界磁電流が流れることを防止する。
第2パラメータマップは、図7の特性グラフに示すように、電動モータ15のq軸指令電圧Vq*’が小さい部分では「0」を示し、q軸指令電圧Vq*’の大きい部分ではほぼ一定の正の値を示す第2パラメータCqを記憶している。このq軸指令電圧Vqが大きいことは、q軸指令電流ΔIqが大きいこと、すなわちq軸目標電流Iq*(補正q軸目標電流Iq*’)と電動モータ15の実q軸電流Iqとの偏差が大きいことを意味し、前記偏差が大きくなるに従って電動モータ15の弱め界磁電流は大きくなる。これにより、第2パラメータCqは、車両走行中に操舵ハンドル11をゆっくりかつ小さく回動操作した場合に、前記偏差が大きなときに弱め界磁制御を行って電動モータ15の回転速度を上昇させ、前記偏差が小さなときには無駄な弱め界磁電流が流れることを防止する。
第3パラメータマップは、図8の特性グラフに示すように、q軸実電流Iqの小さい部分ではほぼ一定の正の値を示すとともにq軸実電流Iqの大きい部分では「0」を示す第3パラメータCiを記憶している。この第3パラメータCiは、モータ回転角速度ωが大きな状態で、操舵ハンドル11をさらに速く回動操作した場合に、電動モータ15による操舵アシストトルクが減少制御されて、操舵ハンドル11の操舵トルクが増加することを回避する。尚、本実施形態では、これらの第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciを第1〜第3パラメータマップを用いて計算するようにしたが、これらのマップに代えてモータ回転角速度ω、q軸指令電圧Vq*’およびq軸実電流Iqに応じて変化する第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciをそれぞれ定義した関数を用意しておき、同関数を用いて第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciを計算するようにしてもよい。
前記計算されたq軸目標電流Iq*およびd軸目標電流Id*はq軸目標電流補正演算部37に出力される。q軸目標電流補正演算部37は、q軸目標電流演算部34からq軸目標電流Iq*を入力し、d軸目標電流演算部36からd軸目標電流Id*を入力する。そして、q軸目標電流補正演算部37は、図9に示す補正係数マップを参照して、d軸目標電流Id*に対応した補正係数αを算出するとともに、q軸目標電流Iq*をその補正係数αで除算することにより、q軸目標電流Iq*を補正した補正q軸目標電流Iq*’を計算して(Iq*’=Iq*/α)、その計算結果である補正q軸目標電流Iq*’を演算部38に出力する。
この補正係数マップは、q軸目標電流補正演算部37に設けられており、d軸目標電流Id*の増加に従って減少する正の補正係数αを記憶している。これにより、補正q軸目標電流Iq*’は、d軸目標電流Id*が大きくなる従ってq軸目標電流Iq*を大きくなる側に補正した値を示す。
尚、本実施形態では、補正係数αを補正係数マップを用いて計算するようにしたが、補正係数マップに代えてd軸目標電流Id*に応じて変化する補正係数αを定義した関数を用意しておき、同関数を用いて補正係数αを計算するようにしてもよい。
演算部38は、補正q軸目標電流Iq*’からq軸実電流Iqを減算し、減算結果をq軸指令電流ΔIqとして比例積分制御部(PI制御部)41に出力する。演算部39は、d軸目標電流Id*からd軸実電流Idを減算し、減算結果をd軸指令電流ΔIdとして比例積分制御部(PI制御部)42に出力する。比例積分制御部41および比例積分制御部42は、q軸指令電流ΔIqおよびd軸指令電流ΔIdに基づいて、q軸実電流Iqおよびd軸実電流Idが補正q軸目標電流Iq*’およびd軸目標電流Id*にそれぞれ追従するようにq軸指令電圧Vq*およびd軸指令電圧Vd*を計算する。
比例積分制御部41および比例積分制御部42により算出されたq軸指令電圧Vq*およびd軸指令電圧Vd*は、非干渉補正値演算部43及び演算部44,45により補正されてq軸補正指令電圧Vq*およびd軸補正指令電圧Vd*’として2相/3相座標変換部46に出力される。非干渉補正値演算部43は、q軸実電流Iqとd軸実電流Idとモータ回転角速度ωとに基づいて、q軸指令電圧Vq*およびd軸指令電圧Vd*のための非干渉補正値−ω・(φa+La・Id),ω・La・Iqを計算する。尚、前記インダクタンスLa及び磁束φaは、予め決められた定数である。
演算部44、45は、q軸指令電圧Vq*およびd軸指令電圧Vd*から非干渉補正値−ω・(φa+La・Id),ω・La・Iqをそれぞれ減算して、q軸補正指令電圧Vq*’(=Vq*+ω・(φa+La・Id))およびd軸補正指令電圧Vd*’(=Vd*−ω・La・Iq)を算出する。
2相/3相座標変換部46は、q軸補正指令電圧Vq*’およびd軸補正指令電圧Vd*’を3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に変換して、同変換した3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*をPWM電圧発生部47に出力する。PWM電圧発生部47は、3相指令電圧Vu*,Vv*,Vw*に対応したPWM制御電圧信号UU,VU,WVをインバータ回路48に出力する。インバータ回路48は、前記PWM制御電圧信号UU,VU,WVに対応した3相の励磁電圧Vu,Vv,Vwを発生して、同励磁電圧Vu,Vv,Vwを3相の励磁電流路を介して電動モータ15にそれぞれ印加する。
3相の励磁電流路のうちの2つには電流センサ51,52が設けられ、各電流センサ51,52は、電動モータ15に対する3相の励磁電流Iu,Iv,Iwのうちの2つの励磁電流Iu,Iwを検出して3相/2相座標変換部53に出力する。この3相/2相座標変換部53には、演算部54にて前記実電流Iu,Iwに基づいて計算された励磁電流Ivも出力されている。3相/2相座標変換部53は、これらの3相実電流Iu,Iv,Iwを2相実電流Id,Iqに変換する。この2相実電流値Id,Iqは、演算部38,39、非干渉補正値演算部43、および、弱め界磁制御パラメータ演算部35に出力される。
2相/3相座標変換部46および3相/2相座標変換部53による座標変換を行うためには、電動モータ15の電気角の検出が必要となる。そこで、電子制御ユニット30は、電気角変換部55を備えている。電気角変換部55は、回転角センサ23の検出信号を入力し、その検出信号に基づいて電動モータ15における回転子の固定子に対する電気角θを計算する。計算された電気角θは、2相/3相座標変換部46、3相/2相座標変換部53だけでなく、角速度変換部56補償値演算部32にも出力される。
角速度変換部56は、前記電気角θを微分して回転子の固定子に対する角速度ωを計算する。計算された角速度ωは、補償値演算部32、弱め界磁制御パラメータ演算部35、非干渉補正値演算部43、2相/3相座標変換部46および3相/2相座標変換部53に出力される。
次に、上記のように構成したアシスト制御機能部の動作について説明する。
運転者が操舵ハンドル11を回動操作すると、この回動操作は、ステアリングシャフト12およびピニオンギヤ13を介してラックバー14に伝達されて、ラックバー14の軸線方向の変位により左右前輪FW1,FW2が操舵される。これと同時に、操舵トルクセンサ21はステアリングシャフト12に付与される操舵トルクThを検出し、電動モータ15が電子制御ユニット30によりサーボ制御されて前記操舵トルクThに応じたアシストトルクでラックバー14を駆動するので、左右前輪FW1,FW2は電動モータ15の駆動力によりアシストされながら操舵される。
この電子制御ユニット30によるサーボ制御においては、基本アシストトルク演算部31、補償値演算部32及び演算部33が、前記検出操舵トルクTh、車速vx、電動モータ15の回転角(操舵ハンドル11の操舵角)θ及び電動モータ15の角速度(操舵ハンドル11の操舵角速度)ωに基づいて目標指令トルクT*を計算するとともに、q軸目標電流演算部34がこの目標指令トルクT*に基づいてq軸目標電流Iq*を計算する。また、d軸目標電流演算部36が、弱め界磁制御パラメータ演算部35にて電動モータ15の角速度ω、q軸指令電圧Vqおよびq軸実電流Iqに基づいて計算された第1〜第3パラメータCw,Cq,Ciを用いて、d軸目標電流Id*を計算する。
そして、演算部38,39、比例積分制御部41,42、2相/3相座標変換部46、PWM電圧発生部47及びインバータ回路48が、電流センサ51,52、3相/2相座標変換部53及び演算部54によってフィードバックされたd軸実電流Idおよびq軸実電流Iqを用いて、電動モータ15を制御する。また、非干渉補正値演算部43及び演算部44,45は、d,q軸間で干渉し合う速度起電力を打ち消すために比例積分制御部41,42からのq軸指令電圧Vq*およびd軸指令電圧Vd*を補正する。
電子制御ユニット30は、こうしたアシスト制御と並行して電動モータ15の異常の有無を判定し、異常が検出されたときに異常処理を行うモータ異常処理部60を備える。
このモータ異常処理部60は、図2に示すように、周波数分離フィルタ処理部61と、異常判定自動補正部62と、異常履歴記憶部63とから構成される。周波数分離フィルタ処理部61は、操舵トルクセンサ21の出力する操舵トルク信号から特定の周波数(周波数帯)における振動成分をフィルタリング処理により抽出する。
電動モータ15は、ロータに固定されたマグネットが緩んで正しい位置からずれると、その出力トルクが固有の周波数で振動する。この振動周波数は、モータステータ数、つまり、ステータのコイル数に応じた値となる。そして、この出力トルクの振動は、操舵トルクセンサ21により検出される操舵トルクTh検出値に現れる。そこで、本実施形態においては、電動モータ15のマグネットずれ異常を検出するために、周波数分離フィルタ処理部61により、操舵トルクThの出力信号から予め設定したマグネットずれ特有の特定周波数における振動成分を抽出する。
周波数分離フィルタ処理部61により抽出された特定周波数における振動成分は、異常判定自動補正部62に出力される。異常判定自動補正部62は、入力した特定周波数における振動成分の振動レベルから電動モータ15の異常の有無を判定する。そして、異常有りと判定した場合には、回転角センサ23のオフセット値を調整することにより振動低減を図り、振動レベルが基準値内におさまらない場合に、不揮発性メモリで構成される異常履歴記憶部63にモータ異常データを記憶する。
ここで、異常判定自動補正部62の処理について詳しく説明する。図3は、異常判定自動補正部62の実行する異常判定オフセット値変更制御ルーチンを表すフローチャートである。この制御ルーチンは、異常判定自動補正部62内に制御プログラムとして記憶されている。本制御ルーチンは、イグニッションスイッチがオンしているときに予め定められたタイミングで実施される。このタイミングは、任意に設定できるものである。また、この制御ルーチンが実行されるときには、それと並行して周波数分離フィルタ処理部61による特定周波数の振動成分抽出処理が行われる。
本制御ルーチンが起動すると、異常判定自動補正部62は、まず、ステップS11において、車速センサ22から車速vx情報を読み込み、車速vxが予め設定された基準速度v0以下であるか否かを判断する。このステップS11の判断処理は、車両が実質的に停止しているか否かを判断するものである。従って、基準速度v0は、零(vx=0)あるいは零近傍の所定値に設定される。
車速vxが基準車速v0より大きければ(S11:NO)、本制御ルーチンを終了し、車速vxが基準車速v0以下であれば(S11:YES)、その処理をステップS12に進める。
ステップS12においては、周波数分離フィルタ処理部61により抽出された特定周波数における振動成分を読み込み、この振動成分の振動レベルAx(振幅Ax)が予め設定した基準レベルA0より大きいか否かを判断する。つまり、ステップS12では、電動モータ15のマグネットずれによる特有の振動が発生しているか否かを判断する。
電動モータ15にマグネットずれが生じている場合には、特定周波数にてモータ出力トルクが振動する。この周波数(例えば、電気角1回転あたりの振動数)は、ステータコイル数に関係する。そこで、操舵トルクセンサ21にて検出した操舵トルク信号Thの特定周波数における振動成分を周波数分離フィルタ処理部61により抽出し、その抽出された振動成分の振動レベルAxの大きさに基づいて、マグネットずれ異常の有無を判断する。
悪路走行中においては、路面の凹凸により車輪に転舵力が働いて操舵トルクセンサ21により検出される操舵トルクThが振動する。従って、この振動がモータ異常判定にとってノイズとなる。そこで、先のステップS11において、車速vxが基準速度v0以下のとき、つまり、実質的に車両が走行していないときにモータ異常判定を行うようにしている。
ステップS12において、振動レベルAxが基準レベルA0以下であれば(S12:NO)、マグネットずれ異常が生じていないと判断して本制御ルーチンを終了する。一方、振動レベルAxが基準レベルA0より大きければ(S12:YES)、マグネットずれ異常が生じていると判断して、その処理をステップS13に進める。従って、このステップS12の判断処理が、本発明のモータ異常判定手段に相当する。
ステップS13においては、回転角センサ23のオフセット値を+側に所定値だけ変更指示するための変更指令Coff+を電気角変換部55に出力する。
回転角センサ23のオフセット値は、回転角センサ23により検出される電動モータ15のロータ回転角と、電動モータ15の通電制御に使われる制御上での回転角(電気角)との基準回転角位置を一致させるための調整用制御パラメータであり、電気角変換部55に予め適正な値に設定されている。そして、電気角変換部55は、異常判定自動補正部62からのオフセット値変更指令Coff+に従って、回転角センサ23のオフセット値を所定値だけ増す。
続いて、ステップS14において、再度、周波数分離フィルタ処理部61から特定周波数振動成分を読み込み、この振動成分の振動レベルAxが低下したかを判断する。つまり、回転角センサ23のオフセット値を+側に変更して振動低減効果が得られているか否かを判断する。そして、振動レベルAxの低下が検出されなければ、今度は、逆に、オフセット値を−側に変更指示するための変更指令Coff−を電気角変換部55に出力する(S15)。電気角変換部55は、異常判定自動補正部62からのオフセット値変更指令Coff−に従って、回転角センサ23のオフセット値を所定値だけ減らす。この場合、オフセット値は、初期設定値、つまり、ステップS13にて変更する前の値に対して所定値だけ減らされる。
次に、ステップS16において、このオフセット値の変更に対して振動レベルAxが低下したかを判断する。そして、振動レベルAxの低下が検出されなければ、つまり、オフセット値を+側に変更しても−側にも変更しても振動レベルAxが変化しない場合には、オフセット値を初期値に戻し(S21)、異常履歴記憶部63に操舵トルク振動異常が発生している旨のデータを記憶する(S22)。また、ウォーニングランプ24に点灯指令信号Wonを出力してウォーニングランプ24を点灯し運転者に異常を報知する(S23)。この異常報知処理を完了すると、本制御ルーチンを終了する。
一方、ステップS14あるいはステップS16において、オフセット値の変更により振動レベルAxの低下が確認された場合には、ステップS17の処理に移行し、オフセット値の変更量を1段階増加させる変更指令を電気角変換部55に出力する。例えば、オフセット値を+側に増大することで振動レベルAxの低下が確認されている場合には(S14:YES)、オフセット値を更に+側に1段階増大させる変更指令Coff+を出力する。逆に、オフセット値を−側に増大することで振動レベルAxの低下が確認されている場合には(S16:YES)、オフセット値を更に−側に1段階増大させる変更指令Coff−を出力する。
続いて、ステップS18において、振動レベルAxが低下したか否かを判断する。振動レベルAxが低下していれば、ステップS17の処理に戻り、更にオフセット値の変更量を増大する。このステップS17,S18の処理は繰り返され、振動レベルAxの低下が検出されなくなった時点で、次のステップS19の処理に進む。
このステップS19においては、振動レベルAxが基準レベルA0以下にまで低下しているか否かを判断する。そして、オフセット値の変更により振動レベルAxが基準レベルA0以下にまで低下した場合には(S19:YES)、調整されたオフセット値を正規のオフセット値として電気角変換部55に記憶更新させ、本制御ルーチンを終了する。従って、以降、電気角変換部55は、この更新されたオフセット値を使って電動モータ15の電気角θを算出する。
一方、ステップS19において、振動レベルAxが基準レベルA0より大きいと判断された場合、つまり、オフセット値を変更調整したにもかかわらず、振動レベルAxが基準レンベルA0を超えている場合には、上述したステップS21〜ステップS23の処理を行って本制御ルーチンを終了する。
以上説明した異常判定オフセット値変更制御ルーチンによれば、電動モータ15のマグネットずれ異常を操舵トルクTh信号の特定周波数における振動レベルに基づいて検出し、更に、異常が検出された場合には、回転角センサ23のオフセット値を変更して振動レベルを最小にする。そして、振動レベルが基準レベル以下になっていれば、振動レベルが最小となるオフセット値を正規のオフセット値として電気角変換部55に記憶更新する。また、オフセット値を変更しても振動レベルが基準レベル以下に達しない場合には、ウォーニングランプ24の点灯により運転者に異常を知らせるとともに異常履歴記憶部63に異常データを記憶する。サービスマンは、この異常履歴記憶部63に記憶された異常データにより異常内容を把握して適切な修理を行うことができる。
このように本実施形態の電動パワーステアリング装置によれば、電動モータ15のマグネットずれ異常を簡単に検出することができる。しかも、異常検出時には、回転角センサ23の検出値に対するオフセット値を変更設定することで、操舵トルク振動を最小にし、運転者の操舵操作にかかる違和感を低減した状態でアシスト制御を継続することができる。
また、車速vxが零あるいは零近傍である基準速度v0以下のときに、マグネットずれ異常を検出するようにしているため、路面凹凸により検出される振動ノイズの影響がなく精度良く異常判定を行うことができる。
また、電動パワーステアリング装置に用いるアシスト用モータとして、特殊なモータを使用する必要もなく、設計自由度が狭くならない。
尚、オフセット値を変更しても振動レベルが基準レベル以下に低下しない場合には、安全性を向上するために、パワーアシストを停止(操舵アシストトルクの発生を停止)あるいは操舵アシストトルクを低減するアシスト低減手段を設けるとよい。例えば、ステップS22の異常履歴記憶処理を行うときに、異常判定自動補正部62からPWM電圧発生部47に補正係数Kx信号を出力する。そして、PWM電圧発生部47は、この補正係数Kx信号に基づいて、インバータ回路48に出力する電圧指令に補正係数Kx(0≦Kx<1)を乗じることで、電動モータ15に印加する電圧を減らして、操舵アシストトルクを低減するように構成する。
また、この補正係数Kxは、振動レベルAxに応じて変化させるようにしてもよい。例えば、異常判定自動補正部62は、振動レベルAxが大きいほど補正係数Kxの値を小さな値に設定するマップ等の関係付けデータを記憶し、この関係付けデータに沿って補正係数Kxを算出する。これによれば、振動レベルAxが大きいほど、操舵アシストトルクの発生を抑えることができる。
また、上記異常判定オフセット値変更制御ルーチンにおいては、操舵トルクセンサ21の出力信号Thの特定周波数における振動レベルを検出したが、目標アシスト制御値の特定周波数における振動レベルを検出してもよい。例えば、目標アシスト制御値としては、基本アシストトルク演算部31により算出される基本アシストトルクTas、あるいは、補償値トルクTrtを加味した演算部33により算出される目標指令トルクT*、あるいは、q軸目標電流演算部34にて算出されるq軸目標電流Iq*などを利用することができる。この場合、周波数分離フィルタ処理部61は、目標アシスト制御値を入力し、目標アシスト制御値に含まれる特定周波数における振動を抽出する。尚、図2中においては、基本アシストトルク演算部31にて算出された基本アシストトルクTasを周波数分離フィルタ処理部61に入力して特定周波数における振動レベルを検出する変形例としての構成を、その信号ラインを破線を用いて示している。
また、上記異常判定オフセット値変更制御ルーチンにおいては、路面凹凸による振動ノイズがモータ異常判定に影響しないように、車速vxが基準速度v0以下となる状況において異常判定を行うようにしているが、振動の継続時間に基づいてモータ異常振動と路面ノイズ振動とを判別するようにしてもよい。その変形例について図4を用いて説明する。
図4は、変形例としての異常判定オフセット値変更制御ルーチンを表す。この変形例は、図3にて示した制御ルーチンにおいてステップS11の処理を省き、ステップS30の処理を追加したものである。他の処理については、先の制御ルーチンと同一であるため説明を省略する。
この制御ルーチンが起動すると、異常判定自動補正部62は、まず、ステップS12において、周波数分離フィルタ処理部61により抽出された特定周波数における振動成分を読み込み、この振動成分の振動レベルAx(振幅Ax)が予め設定した基準レベルA0より大きいか否かを判断する。そして、振動レベルAxが基準レベルA0以下であれば(S12:NO)、電動モータ15にマグネットずれ異常が発生していないと判断して本制御ルーチンを終了する。一方、振動レベルAxが基準レベルA0より大きければ(S12:YES)、ステップS30において、その状態が所定時間継続したか否か、つまり、振動レベルAxが基準レベルA0より大きい状態が所定時間継続したか否かを判断する。
振動レベルAxが基準レベルA0より大きいと判断された後、所定時間経過する前に振動レベルAxが基準レベルA0以内におさまった場合には、一時的な振動であるため、電動モータ15のマグネットずれ異常ではないと判断して本制御ルーチンを終了する。例えば、車両が悪路走行している場合には、路面の凹凸により車輪に転舵力が働き操舵トルクセンサ21により検出される操舵トルクTh、あるいは、それに伴う目標アシスト制御値が振動する場合がある。しかし、そうした現象は一時的なものであるため、ステップS30により振動の継続時間を判断することにより、振動発生が悪路走行によるものなのかマグネットずれ異常によるものなのかを判別する。
そして、ステップS30の判断が「YES」、つまり、振動レベルAxが所定時間継続して基準レベルA0より大きい場合には、電動モータ15のマグネットずれ異常であると判断して、以下、ステップS13からのオフセット値変更処理を行う。このステップS13以降のオフセット値変更処理は、図3に示した制御ルーチンと同様である。
以上本発明の実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態およびその変形例に限定されることなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
例えば、本実施形態においては、マグネットずれ異常が検出された場合に、オフセット値調整により振動レベルが基準レベル以下におさまったケースにおいては、ウォーニングランプ24を点灯しないように構成したが、オフセット値を調整した場合には、振動レベルが基準レベル以下におさまったケースであってもウォーニングランプ24を点灯するように構成してもよい。
また、本実施形態においては、オフセット値を調整して振動レベルが低下した場合であっても、その振動レベルが基準レベル以下にならなければオフセット値を更新記憶しなかったが、振動レベルの低下が検知された場合には、その振動レベルが基準レベルを上回っていても、そのときのオフセット値を正規のオフセット値として記憶更新するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、電動モータ15として永久磁石三相同期モータを使用したが、他の種類の電動モータであってもよい。マグネットずれ異常を検出する構成であれば、永久磁石同期モータを使用することになる。
更に、本実施形態においては、マグネットずれ異常を検出したときに、回転角センサ23のオフセット値を変更するようにしたが、他の制御パラメータを変更するようにしてもよいし、制御パラメータを変更せずに異常報知処理あるいは異常履歴記憶処理を行うようにしてもよい。
本発明の一実施形態に係る車両の電動パワーステアリング装置の概略図である。 実施形態に係る電子制御ユニットの機能を示す機能ブロック図である。 異常判定オフセット値変更制御ルーチンを表すフローチャートである。 変形例としての異常判定オフセット値変更制御ルーチンを表すフローチャートである。 操舵トルクと基本アシストトルクとの関係を示す特性グラフである。 電動モータの角速度と第1パラメータCwとの関係を示す特性グラフである。 電動モータのq軸指令電圧と第2パラメータCqとの関係を示す特性グラフである。 電動モータのq軸実電流と第3パラメータCiとの関係を示す特性グラフである。 電動モータのd軸目標電流と補正係数αとの関係を表すグラフである。
符号の説明
10…転舵機構、11…操舵ハンドル、15…電動モータ、21…操舵トルクセンサ、22…車速センサ、23…回転角センサ、24…ウォーニングランプ、30…電子制御ユニット、31…基本アシストトルク演算部、55…電気角変換部、60…モータ異常処理部、61…周波数分離フィルタ処理部、62…異常判定自動補正部、63…異常履歴記憶部、FW1,FW2…左右前輪(転舵輪)。

Claims (5)

  1. 操舵ハンドルの操舵により転舵輪を転舵する転舵機構と、
    上記転舵機構に設けられ、上記操舵ハンドルの操舵操作に対して操舵アシストトルクを発生する電動モータと、
    上記操舵ハンドルに加わる操舵トルクを検出するトルクセンサと、
    少なくとも上記トルクセンサにて検出された操舵トルクに応じて目標アシスト制御値を算出し、上記算出された目標アシスト制御値に基づいて上記電動モータへの通電を制御するアシスト制御手段と
    を備えた電動パワーステアリング装置において、
    上記トルクセンサの検出値あるいは上記算出された目標アシスト制御値に含まれる特定周波数の振動を検出する振動検出手段と、
    上記振動検出手段により検出した振動の振動レベルに基づいて、上記電動モータの異常の有無を判定するモータ異常判定手段と
    を備えたことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 上記異常判定手段により上記電動モータの異常が検出された場合には、上記電動モータの制御パラメータの値を変更するパラメータ変更手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 上記電動モータの回転角を検出する回転角センサを備え、
    上記アシスト制御手段は、上記回転角センサにて検出された回転角に基づいて上記電動モータの通電を制御し、
    上記パラメータ変更手段は、上記電動モータの異常が検出された場合に、上記回転角センサのオフセット値を変更することを特徴とする請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
  4. 走行速度を検出する走行速度検出手段を備え、
    上記モータ異常判定手段は、上記走行速度が所定速度以下となっているときの上記振動レベルに基づいて上記電動モータの異常の有無を判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 上記モータ異常判定手段は、上記振動検出手段により検出した振動の振動レベルが、所定時間以上継続して基準レベルを超えているときに、上記電動モータが異常であると判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3の何れか一項記載の電動パワーステアリング装置。
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