JPWO2016136308A1 - パワーステアリング装置およびその制御装置 - Google Patents

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Abstract

パワーステアリング装置1が、コントロールユニット33に設けられた異常検出回路50を備えている。上記異常検出回路50は、20〜25Hzの周波数範囲内で周期的に変化する操舵トルクTr等の周波数成分のピークレベルTrplが所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断している。

Description

本発明は、車両に適用されるパワーステアリング装置およびその制御装置に関する。
特許文献1には、パワーステアリング装置が開示されており、該パワーステアリング装置では、水滴センサが、ギアハウジング端部内周に設置されている。この水滴センサによりラックバーに付着した水滴を検出すると、上記パワーステアリング装置に異常が発生したものとして運転者に知らせるようになっている。
特開2006−111032号公報
しかし、特許文献1のようなパワーステアリング装置では、水滴の侵入による異常検出のために付加的な水滴センサが必要であるため、上記装置のコストが増加し、異常検出回路が複雑になってしまう。
本発明は、特に、操舵トルク、電動モータの指令信号、または電動モータに流れるモータ電流である操舵力情報の値が第1周波数以上、第2周波数以下となる所定周波数範囲内で周期的に変化し、かつ上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断する異常検出回路を有することを特徴としている。
本発明によれば、上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きい状態を装置の異常として異常検出を行うようにしたことから、水滴センサのような別の構成要素を用いることなく、上記操舵力情報の値の変化に基づいて装置の異常を精度良く検出することができる。
即ち、操舵機構に錆が生じて、上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が増加して上記所定値よりも大きくなったときに装置の異常と判断されるので、装置の異常を精度良く検出することができる。
本発明に係るパワーステアリング装置の概略図である。 図1に示すパワーステアリング装置を矢印A方向から見た図である。 図2のB−B線に沿ったパワーステアリング装置の断面図である。 図1の制御ユニットの制御ブロック図である。 (a)新品のボールねじ機構を有したパワーステアリング装置を台上に設置して実験したときのデータを示すグラフ、および(b)錆が生じたボールねじ機構を有したパワーステアリング装置を台上に設置して実験したときのデータを示すグラフである。 (a)〜(c)は、それぞれ舗装路面上で実験したときのデータを示すグラフであり、(d)〜(f)は、それぞれ砂利を有した路面上で実験したときのデータを示すグラフである。 図4における錆検出部の制御の第1の実施例を示すフローチャートである。 図4における錆検出部の制御の第2の実施例を示すフローチャートである。 図4における錆検出部の制御の第3の実施例を示すフローチャートである。
以下、本発明に係るパワーステアリング装置1の実施例を、図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、車両の運転室内に配置されたステアリングホイール2と、車両の前輪である操舵輪3A,3Bとが、操舵機構4によって機械的に連結されている。上記操舵機構4は、中間軸5および自在継手6を介して一体的に回転するように連結された操舵軸7と、上記操舵軸7に図示しないトーションバーを介して連結された鉄系金属材料(鋼材)からなるピニオン軸8と、上記ピニオン軸8の外周に設けられたピニオン8Aと噛み合うラック9Aが外周に設けられた鉄系金属材料(鋼材)からなるラックバー9と、を備えている。そして、ラックバー9の両端部は、それぞれボールジョイント10,11、タイロッド12,13およびナックルアーム14,15等を介して対応する操舵輪3A,3Bに連結されている。
このような構成により、運転者がステアリングホイール2を回転操作すると、これに伴って中間軸5および操舵軸7が軸回りに回転して上記トーションバーが捩られ、これにより生じるトーションバーの弾性力によって、ピニオン軸8が操舵軸7に追従して回転する。そして、上記ピニオン軸8の回転運動が上記のラック9Aおよびピニオン8Aからなるラック&ピニオン機構によりラックバー9の軸方向に沿う直線運動に変換され、ボールジョイント10,11およびタイロッド12,13を介してナックルアーム14,15が車幅方向へと引っ張られることによって、操舵輪3A,3Bの向きが変更される。
また、上記操舵軸7およびピニオン軸8を収容するセンサハウジング16には、各種の情報を検出するセンサとして、操舵軸7の操舵角を検出する操舵角センサ17(図4)と、上記トーションバーの捩れによる操舵軸7とピニオン軸8の相対回転角度差に基づいて操舵軸7に入力された操舵トルクを検出するトルクセンサ18(図4)と、が設けられている。
さらに、上記ラックバー9を収容するギアハウジング19の軸方向両端には、それぞれタイロッド12,13の一端側外周を覆う蛇腹状のブーツ20,21が設置されている。上記蛇腹状のブーツ20,21は、例えば合成ゴム材料等により所定の可撓性を確保するように形成され、上記ラックバー9や後述するボールねじ機構22への水や埃等の侵入を防止している。
操舵機構4に操舵力を付与する電動モータ23は、特に図3に示すように、その出力軸24の先端部外周に固設された入力プーリ25と、ラックバー9の外周に固設された出力プーリ26と、がベルト27を介して接続されることで、上記ラックバー9と連係されている。なお、両プーリ25,26およびベルト27をもって、伝達機構が構成されている。そして、上記出力プーリ26とラックバー9との間には、減速機である螺旋状の溝形状を有するボールねじ機構22が介装されている。
上記ボールねじ機構22は、ラックバー9の外周面に設けられ、螺旋状の溝形状を有するラックバー側ボールねじ溝28と、上記ラックバー9を包囲するように環状に設けられ、ラックバー9に対し回転自在に設けられた鉄系金属材料からなるナット29と、該ナット29の内周面に設けられ、ラックバー側ボールねじ溝22と共にボール循環溝30を構成する螺旋状の溝形状を有するナット側ボールねじ溝31と、上記ボール循環溝30内に設けられた鉄系金属材料からなる複数のボール32と、ナット29の径方向外側に設けられ、ボール32がボール循環溝30の一端側から他端側へ循環可能にボール循環溝30の一端側と他端側とを接続する鉄系金属材料からなる図示外のチューブ(循環部材)と、から構成され、ベルト27を介して伝達される電動モータ23の回転が減速されながらラックバー9の直線運動に変換されるようになっている。
コントロールユニットとしての制御ユニット(ECU)33は、電動モータ23と一体に構成され、各種制御処理を記憶および実行する機能を有し、上記操舵角、操舵トルクおよび車速等の情報に基づいて、上記操舵機構4に操舵アシストトルクを付与する電動モータ23を駆動制御する。かかる制御ユニット33の具体的な構成については、以下に、図4に基づいて詳述する。
図4は、上記制御ユニット33の制御構成の詳細を示す制御ブロック図である。
上記制御ユニット33は、トルクセンサ18が検出した操舵トルクの信号である操舵トルク信号Tr(以下、「操舵トルクTr」と称する。)や、例えば図外のデファレンシャルギアに設置された車速センサ34が検出した車速信号Vs(以下、「車速Vs」と称する。)等に基づいて電動モータ23を駆動させる駆動電流Ioを演算し、これを電動モータ23側へと出力するアシスト電流指令部35と、操舵トルクTr等に基づいて上記パワーステアリング装置1の異常を検出して、上記アシスト電流指令部35等を制御する異常検出指令部36と、から構成されている。ここで、トルクセンサ18は、トルクセンサ18からの操舵トルクTrを受信する、上記制御ユニット33に設けられた操舵トルク信号受信部37に接続されている。車速センサ34は、該車速センサ34からの車速Vsを受信する、同じく制御ユニット33に設けられた車速信号受信部38に接続されている。
上記アシスト電流指令部35は、車速Vsと操舵角センサ17が検出した操舵角信号θang(以下、「操舵角θang」と称する。)と操舵トルクTrとに基づいて電動モータ23を駆動制御するモータ指令電流信号TRr(以下、「モータ指令電流TRr」と称する。)を演算するアシスト電流演算部39と、上記モータ指令電流TRrが所定上限値以下となるように制限する制限回路40と、上記モータ指令電流TRrに基づいて電動モータ23に対するモータ駆動信号Dを生成するモータ制御部41と、上記モータ駆動信号Dに応じて電動モータ23に対してモータ駆動電流Ioを通電させるモータ駆動部42と、から構成される。また、モータ駆動部42と電動モータ23との間に介在するモータ電流検出部43によって、上記電動モータ23に実際に流れる電流であるモータ実電流Irがモータ制御部41にフィードバックされるようになっている。
また、上記電動モータ23には、出力軸24の回転速度信号Ms(以下、「回転速度Ms」と称する。)を検出するモータ回転速度センサ44が取り付けられている。モータ回転速度センサ44は、制御ユニット33に設けられたモータ制御部41および操舵速度演算部45の双方に接続されている。上記モータ制御部33は、モータ回転速度センサ44が検出した回転速度Msに基づいてモータ駆動信号Dを調整し、これにより、上記電動モータ23に流れるモータ実電流Irの量を制御する。また、上記操舵速度演算部45は、上記回転速度Msに基づいて、ステアリングホイール2の回転速度である操舵速度Ssを演算する。また、操舵速度演算部45は、制御ユニット33に設けられた操舵速度信号受信部46に接続されており、該操舵速度信号受信部46は、上記操舵速度演算部45からの操舵速度Ssを受信する。
上記異常検出指令部36は、錆検出部47と、該錆検出部47の処理に応じて図外のワーニングランプ(警告灯)に警告表示する警告指令部48と、同じく錆検出部47の処理に応じて電動モータ23の通電を遮断する電源遮断部49と、から構成され、上記ラックバー9およびボールねじ機構22における錆の発生に基づく異常を検出して運転者に知らせることによって、注意を喚起するようになっている。
上記錆検出部47は、操舵速度Ssと、操舵トルクTrである操舵力情報とに基づいてパワーステアリング装置1の異常を判断する異常検出回路50を備えている。なお、操舵トルクTrが増加すれば、これに応じてモータ指令電流TRrも増加し、さらに、モータ指令電流TRrが増加すれば、これに応じてモータ実電流Irも増加するので、上記操舵力情報としてモータ指令電流TRrまたはモータ実電流Irを用いてもよい。上記錆検出部47は、制限回路40によりモータ指令電流TRrを制限している場合には、操舵トルクTrが上昇するため、上記操舵力情報を異常判断に用いないようにしている。
上記異常検出回路50は、制御ユニット33の図示しないマイクロコンピュータ内に設けられたプログラムを有してなる回路である。上記マイクロコンピュータ内では、操舵力情報がデジタルデータとして処理される。また、上記異常検出回路50は、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの周波数範囲でそれぞれ周期的に変化する操舵力情報の周波数成分を抽出する第1〜第3のバンドパスフィルタ(フィルタ回路)51a,51b,51cを備えている。また、上記20〜25Hzの周波数範囲の上限値である25Hzは、デジタルデータである上記操舵力情報の分解能または上記マイクロコンピュータの分解能以下の値となっている。
なお、上記20Hzおよび25Hzは、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1の周波数および第2の周波数に対応している。
図5(a)は、新品のラックバー9およびボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1を台上に設置して操舵速度30度/秒で操舵したときのトーションバーのトルク変動に係る操舵トルクTrの周波数成分のピークレベルTrplを、時間毎にプロットして示したグラフである。上記ピークレベルTrplは、操舵トルクTrを20〜25Hzの周波数範囲でバンドパスフィルタ処理してトルク変動に係る周波数成分を抽出し、この周波数成分のピーク値Trpの平均値をとったものである。上記ピークレベルTrplは、周期的に変化しており、ピークレベルTrplの値が高いほど、20〜25Hzの周波数範囲が多く含まれていることになる。
また、図5(b)は、塩水に9日間浸して錆を生じさせたラックバー9およびボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1を台上に設置して同じく操舵速度30度/秒で操舵したときのトーションバーのトルク変動に係る操舵トルクTrの周波数成分のピークレベルTrplを、時間毎にプロットして示したグラフである。上記ピークレベルTrplは、操舵トルクTrを同じく20〜25Hzの周波数範囲でバンドパスフィルタ処理してトルク変動に係る周波数成分を抽出し、この周波数成分のピーク値Trpの平均値をとったものである。
図5(a)と図5(b)とを比較すると、20〜25Hzの周波数範囲で周期的に変化する周波数成分のピークレベルTrplについて、錆を有するラックバー9およびボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1の値の方が、新品のボールねじ機構22を有したものの値よりも高くなっている。つまり、ラックバー9およびボールねじ機構22に錆が生じたことにより、20〜25Hzの周波数範囲で、トーションバーのトルク変動が大きくなったといえる。
なお、他の周波数範囲、即ち8〜12Hzおよび40〜50Hzについても上記図5(a)および図5(b)と同様の実験を実施したが、新品のボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1と、錆を有するラックバー9およびボールねじ機構22を有したものとでは、周波数成分のピークレベルの差はほとんど無かった。
図6(a)〜(c)は、それぞれ、新品のラックバー9およびボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1を車両に搭載し、舗装路面上で所定操舵速度で操舵したときのトーションバーのトルク変動に係る操舵トルクTrの周波数成分のピークレベルTrplを、それぞれ時間毎にプロットして示したグラフである。図6(a)〜(c)の周波数成分のピークレベルTrplは、操舵トルクTrを8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの周波数範囲でそれぞれバンドパスフィルタ処理してトルク変動に係る周波数成分を抽出し、この周波数成分のピーク値Trpの平均値をとったものである。
また、図6(d)〜(f)は、それぞれ、新品のラックバー9およびボールねじ機構22を有したパワーステアリング装置1を車両に搭載し、砂利を有した路面上で所定操舵速度で操舵したときのトーションバーのトルク変動に係る操舵トルクTrの周波数成分のピークレベルTrplを、それぞれ時間毎にプロットして示したグラフである。図6(d)〜(f)の周波数成分のピークレベルTrplは、操舵トルクTrを同じく8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの周波数範囲でそれぞれバンドパスフィルタ処理してトルク変動に係る周波数成分を抽出し、この周波数成分のピーク値Trpの平均値をとったものである。
図6(a)と図6(d)とを比較すると、8〜12Hzの周波数範囲で周期的に変化する周波数成分のピークレベルTrplについて、砂利を有した路面上で操舵したときの値の方が、舗装路面上で操舵したときの値よりも高くなっている。
同様に、図6(b)と図6(e)とを比較してみると、20〜25Hzの周波数範囲で周期的に変化する周波数成分のピークレベルTrplについて、砂利を有した路面上で操舵したときの値の方が、舗装路面上で操舵したときの値よりも高くなっている。
同様に、図6(c)と図6(f)とを比較してみると、40〜50Hzの周波数範囲で周期的に変化する周波数成分のピークレベルTrplについて、砂利を有した路面上で操舵したときの値の方が、舗装路面上で操舵したときの値よりも高くなっている。
このように、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの周波数範囲のいずれにおいても、周波数成分のピークレベルTrplが、砂利を有した路面の凹凸から受ける振動の影響により増加する。しかし、20〜25Hzの周波数範囲については、周波数成分のピークレベルTrplが、ラックバー9およびボールねじ機構22の錆に起因した振動によっても増加する。従って、本実施例では、路面の凹凸により車両の振動が所定未満生じる路面例えば舗装路面を良路とし、さらに、路面の凹凸により車両の振動が所定以上生じる路面例えば砂利を有した路面を悪路として路面状況を予め判断しておき、良路走行中に、20〜25Hzの周波数範囲における操舵トルクの周波数成分のピークレベルTrplの変化に基づいて、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆の発生に基づく異常を検出していく。
ここで、良路および悪路の判断基準について説明する。
車両の直進走行中に、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの3つの周波数範囲でそれぞれ周期的に変化する操舵トルクの周波数成分のピークレベルTrpl全てが0.5Nmよりも小さいときには、良路であると判断される。ここで、車両の直進走行の条件は、車速Vsが15km/hよりも大きく、操舵トルクTrが1Nmよりも小さく、操舵角θangが30度よりも小さく、かつ操舵速度Ssが5度/秒よりも小さいことである。上述した3つの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrpl全てが0.5Nmよりも小さい状態が2秒間継続した場合には、錆検出部の後述する制御において、良路カウンタ値Cntgを「1」とする。
また、車両の直進走行中に、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの3つの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrplの少なくとも1つが、0.5Nm以上であるときには、悪路であると判断される。このとき、上記制御では、良路カウンタ値Cntgを「0」とする。なお、例えば高速道路の継ぎ目部分を含む波状路に関しては、操舵トルクTrの周波数成分が10Hzの次数(トーションバー共振周波数の次数成分)で変動するので、8〜12Hzの周波数範囲における悪路の判断により、上記波状路を検出することができる。
次に、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆の発生に基づく異常検出の判断基準について説明する。車両の良路走行中に操舵速度30〜90度/秒で操舵したときに、8〜12Hz,40〜50Hzの2つの周波数範囲における操舵トルクの周波数成分のピークレベルTrplの双方が0.5Nmよりも小さく、かつ20〜25Hzの周波数範囲における操舵トルクの周波数成分のピークレベルTrplが0.8Nmよりも大きいときに、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆が発生したと判断される。このような状態が0.5秒間継続した場合には、錆検出カウンタ値Cntrをカウントアップする。なお、操舵速度30度/秒および操舵速度90度/秒は、それぞれ特許請求の範囲に記載の第1の操舵速度および第2の操舵速度に対応している。
また、車両の良路走行中に操舵速度30〜90度/秒で操舵したときに、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの3つの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrpl全てが0.5Nmよりも小さいときには、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆が発生していないものとして、錆検出カウンタ値Cntrをカウントダウンする。
また、車両の良路走行中に操舵速度30〜90度/秒で操舵したときに、8〜12Hz,40〜50Hzの2つの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrplの少なくとも1つが0.5Nm以上であるときには、悪路であると判断して、前回の錆検出カウンタ値Cntrを維持する。
なお、上記異常検出の処理は、車速Vsが15km/hよりも大きく、かつトーションバーのトルクの方向が、操舵速度方向と一致しているときに行われる。また、8〜12Hzの周波数範囲の下限値である8Hzは、人為的に操舵可能な周波数よりも高い値である。
次に、図7を参照して、錆検出部47の制御の第1の実施例を説明する。
まず、操舵角センサ17からの操舵角θangを取り込み(ステップ1)、トルクセンサ18からの操舵トルクTrを取り込む(ステップ2A)。そして、操舵トルクTrを、8〜12Hzの周波数範囲(ステップ3)、20〜25Hzの周波数範囲(ステップ4)および40〜50Hzの周波数範囲(ステップ5)でバンドパスフィルタ処理して、トルク変動に係る操舵トルクTrの周波数成分を抽出する。次に、各周波数範囲における周波数成分のピークレベルTrplを算出する(ステップ6)。そして、車速センサ34からの車速Vsを取り込み(ステップ7)、車速Vsが所定値即ち15km/hよりも大きいかを判断し(ステップ8)、15km/h以下の場合には、錆検出カウンタ値Cntrが所定値、例えば「5」以上であるかを判断する(ステップ13)。錆検出カウンタ値Cntrが「5」以上の場合には、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆の発生に基づく異常と確定し(ステップ14)、運転者に報知する。また、錆検出カウンタ値Cntrが「5」よりも小さい場合には、上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆が発生していないものとして、処理を終了する。
また、ステップ8において車速が15km/hよりも大きい場合には、車両が直進走行中であるかを判断する(ステップ9)。直進走行中である場合には、車両が悪路走行中であるかを判断する(ステップ10)。悪路走行中の場合には、良路カウンタ値Cntgをクリアし(ステップ11)、良路走行タイマTntgをクリアして(ステップ12)、ステップ13に進む。
また、ステップ10において、良路走行中の場合には、20〜25Hzの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrplが所定値即ち0.8Nmよりも大きいか判断する(ステップ15)。0.8Nmよりも大きい場合には、ピークレベルTrplの増加は錆によるものではなく他の原因によるものであったとして、錆検出カウンタ値Cntrをカウントダウンまたはクリアし(ステップ19)、ステップ13に進む。また、ステップ15において、ピークレベルTrplが0.8Nm以下の場合には、良路走行タイマTntgをインクリメントし(ステップ16)、良路走行タイマTntgが所定値以上であるか判断する(ステップ17)。所定値以上である場合には、良路カウンタ値Cntgをカウントアップし(ステップ18)、ステップ13に進む。また、所定値よりも小さい場合には、ステップ13に進む。
また、ステップ9において、車両が直進走行中でない場合(つまり操舵が行われている場合)には、操舵速度Ssが所定範囲内即ち30〜90度/秒の範囲内にあるかを判断する(ステップ20)。30〜90度/秒の範囲内にないときには、ステップ13に進む。また、30〜90度/秒の範囲内にあるときには、良路カウンタ値Cntgが所定値即ち「1」以上であるか判断する(ステップ21)。「1」よりも小さい場合には、ステップ13に進む。「1」以上の場合には、8〜12Hz,20〜25Hz,40〜50Hzの3つの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrpl全てが所定値即ち0.5Nmよりも小さいか判断する。3つのピークレベルTrpl全てが0.5Nmよりも小さい場合には、錆検出カウンタ値Cntrをカウントダウンまたはクリアし(ステップ27)、錆検出タイマTntrをクリアし(ステップ28)、ステップ13に進む。
また、ステップ22において、3つのピークレベルTrpl全てが0.5Nmよりも小さいという条件を満たさない場合には、20〜25Hzの周波数範囲のみの周波数成分のピークレベルTrplが所定値即ち0.8Nmよりも大きいか判断する(ステップ23)。0.8Nm以下の場合には、錆検出タイマTntrをクリアし(ステップ28)、ステップ13に進む。0.8Nmよりも大きい場合には、錆検出タイマTntrをインクリメントし(ステップ24)、錆検出タイマTntrが所定値、例えば「5」以上であるか判断する(ステップ25)。「5」以上である場合には、ステップ13に進む。「5」よりも小さい場合には、錆検出カウンタ値Cntrをカウントアップし(ステップ26)、ステップ13に進む。
なお、上記実施例では、車速が15km/hよりも大きい場合に上記ラックバー9およびボールねじ機構22の錆の発生に基づく異常を検出するようにしてあるが、車速が比較的高い所定車速、例えば高速道路走行中の80km/h以上の車速のときには20〜25Hzの周波数範囲の周波数成分のピークレベルTrplを異常判断に用いないようにすることが望ましい。これは、例えば高速道路走行中のような所定車速以上のときには操舵操作がほとんど行われていない可能性が高いため、このときのピークレベルTrplの値を異常判断に用いないようにするためである。これにより、異常判断の精度を向上させることができる。
なお、上記比較的高い所定車速は、特許請求の範囲に記載の所定車速に対応している。
以上のように構成されたパワーステアリング装置1によれば、所定周波数範囲内における操舵力情報の値が所定値よりも大きい状態を装置の異常として異常判断を行うようにしたことから、水滴センサのような別の構成要素を用いることなく、上記操舵力情報の値の変化に基づいて装置の異常を精度良く判断することができる。
即ち、操舵機構に錆が生じて、所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が増加して上記所定値よりも大きくなったときに装置の異常が判断されるので、装置の異常を精度良く判断することができる。
また、錆の発生に基づく装置の異常判断に、所定周波数範囲における周波数成分のピークレベルTrpl即ちピーク値Trpの平均値を用いるようにしたことから、ノイズ等の影響により周波数成分が増加してしまうことによる誤判断を抑制することができる。
さらに、上記実施例では、路面状況の判断に20Hzよりも低い周波数を用いないようにしたことから、運転者への注意喚起用の路面上の凹凸部を走行する際に生じる20Hzよりも低い周波数による誤判断を抑制し、装置の異常判断の精度を向上させることができる。
また、上記20Hzよりも低い周波数は人為的に操舵可能な周波数よりも高いので、運転者により周期的な操舵操作が行われた場合の操舵速度による誤判断を抑制することができる。
さらに、上記実施例では、錆の発生に基づく装置の異常判断に25Hzよりも高い周波数を用いないようにしたことから、より狭い周波数範囲で錆の発生を検出することにより、装置の異常判断の精度を向上させることができる。
また、上記実施例では、操舵速度Ssが30度/秒よりも小さいときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにしてある。これは、車両の直進状態やステアリングホイール2の保舵状態のように操舵速度Ssが比較的低い状態においては、装置の異常に起因する操舵力情報の値の周期的な変化は出にくいため、このときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにするためである。これにより、錆の発生以外の原因、例えば路面の凹凸等の振動による誤判断を抑制し、異常判断の精度を向上させることができる。
さらに、上記実施例では、車両が直進状態のときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにしてある。これは、車両が直進状態であっても、排水溝付きの路面を走行しているときには、この路面による操舵力情報の値の変化が所定周波数範囲内に入ってくる可能性があるため、このときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにするためである。これにより、排水溝付きの路面による誤判断を抑制することができる。
また、上記実施例では、電動モータ23の回転速度に基づいて操舵速度Ssを演算するようにしたことから、別途、センサ等を設けることなく、操舵速度Ssを得ることができる。
さらに、上記実施例では、操舵速度Ssが90度/秒よりも大きいときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにしてある。これは、操舵速度Ssが比較的大きい急操舵時においては、装置の異常の有無に拘わらず操舵力情報の値が上昇する傾向があるため、このときの操舵力情報の値を異常判断に用いないようにするためである。これにより、異常判断の精度を向上させることができる。
さらに、上記実施例では、20〜25Hzの周波数範囲の上限値である25Hzは、デジタルデータである上記操舵力情報の分解能または上記マイクロコンピュータの分解能以下の値となっている。これは、上記上限値を上記操舵力情報の分解能または上記マイクロコンピュータの分解能よりも高くした場合に、マイクロコンピュータでは、上記上限値を適切に判断することができないため、上限値を上述のような値にしたのである。これにより、マイクロコンピュータの能力の範囲以内で適切に異常判断を行うことができる。
また、上記実施例では、上記操舵力情報の値が上記所定周波数範囲内において上記所定値よりも大きいときに、装置の異常を直ぐに判断するのではなく、異常判断カウンタのカウンタ値が増加して所定値に到達したときに装置の異常と判断するようになるから、ノイズ等による誤判断を抑制することができる。
さらに、上記実施例では、上記操舵力情報の値が錆の発生とは関係ない値に戻った場合にカウンタ値を減少させることにより、ノイズによるカウンタ値の蓄積を抑制することができる。
また、上記実施例では、制限回路40における電動モータ23のモータ指令電流TRrを制限しているときには操舵トルクTrが上昇するため、このときの操舵力情報の値を用いないようにすることにより、異常判断の精度を向上させることができる。
さらに、上記実施例では、上記フィルタ回路を用いて、容易にかつ適切に所定周波数範囲内の操舵力情報を抽出することができる。
図8は、錆検出部47の制御の第2の実施例を示している。この制御は、図7の第1の実施例の制御からステップ15,19を省略したものである。
また、図9は、錆検出部47の制御の第3の実施例を示している。この制御は、図7の第1の実施例の制御からステップ15,19を省略し、さらに、図7の制御のステップ2Aの「操舵トルク取り込み」を、ステップ2Bの「モータ回転速度取り込み」として置き換えたものである。上述したように、パワーステアリング装置1の異常を判断する操舵力情報として操舵トルクTrの代わりにモータ実電流Irを用いることができる。上記モータ実電流Irは、図4の実施例で説明したように、モータ回転速度センサ44からの回転速度Msにより制御されるものである。従って、ステップ2Bにおいて、操舵トルクTrの代わりにモータ回転速度Msを取り込むことにより、制御されたモータ実電流Irが得られ、これを操舵力情報として用いることができる。
なお、上記各制御を、車両のイグニッションオンからイグニッションオフまでの期間を1トリップとしたときの複数トリップに亘って異常が検出された場合に、パワーステアリング装置1の異常を確定するように用いることができる。従って、より多くの情報に基づいて装置の異常を判断することになるので、異常判断の精度を向上させることができる。
以上説明した実施例に基づくパワーステアリング装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
パワーステアリング装置は、その一つの態様において、ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、上記操舵軸の回転に応じて軸方向運動すると共に鉄系金属材料からなるラックバーと、を有する操舵機構と、上記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、上記操舵機構と上記電動モータとの間に設けられ、上記電動モータの回転力を上記操舵機構に伝達する減速機であって、上記ラックバーの外周側に設けられ螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、上記ラックバーを包囲するように環状に設けられ、上記ラックバーに対し回転自在に設けられた鉄系金属材料からなるナットと、上記ナットの内周側に設けられ螺旋状の溝形状を有し上記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、上記ボール循環溝内に設けられた鉄系金属材料からなる複数のボールと、上記ナットの回転軸に対する径方向において上記ナットの外側に設けられ、上記複数のボールが上記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環可能に上記ボール循環溝の一端側と他端側とを接続する循環部材と、から構成されるボールねじ機構と、上記電動モータを駆動制御するコントロールユニットと、を有している。上記コントロールユニットには、上記操舵機構に発生する操舵トルクの信号を受信する操舵トルク信号受信部と、上記操舵トルクの信号に基づいて上記電動モータの指令信号を演算する指令信号演算部と、上記操舵トルク、電動モータの指令信号、または上記電動モータに流れるモータ電流である操舵力情報の値が第1の周波数以上、第2の周波数以下となる所定周波数範囲内で周期的に変化し、かつ上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断する異常検出回路と、が設けられている。
上記パワーステアリング装置の好ましい態様において、上記異常検出回路は、上記操舵トルク、上記電動モータの指令信号、または上記モータ電流の所定周波数範囲内における値のピーク値の平均値に基づいて装置の異常を判断する。
別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常検出回路は、上記第1の周波数よりも低い値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記コントロールユニットは、上記ステアリングホイールの回転速度である操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備えており、上記第1の周波数は、人為的に操舵可能な周波数よりも高い値に設定されている。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常検出回路は、上記第2の周波数よりも高い値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、パワーステアリング装置は、操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備えており、上記異常検出回路は、上記操舵速度が第1の操舵速度よりも小さいときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常検出回路は、車両が直進走行中のときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記操舵速度の信号は、上記電動モータの回転速度に基づいて演算される。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記コントロールユニットは、操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備えており、上記異常検出回路は、上記操舵速度が第2の操舵速度以上のときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常検出回路は、上記操舵力情報の値が所定周波数範囲内において上記所定値よりも大きいときに、異常判断用のカウンタ値をカウントアップし、異常判断カウンタのカウンタ値が所定カウンタ値に到達したときに、装置の異常と判断する異常判断カウンタを有している。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常判断カウンタは、上記操舵力情報の値が所定周波数範囲内において所定値よりも小さくなったとき、上記異常判断用のカウンタ値を減少させる。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、車両のイグニッションオンからイグニッションオフまでの期間を1トリップとするとき、上記異常検出回路は、複数トリップに亘って装置の異常が検出されたときに、装置の異常を確定する。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記コントロールユニットは、上記電動モータの指令信号が所定上限値以下となるように制限する制限回路を備えており、上記異常検出回路は、上記制限回路が上記電動モータの指令信号を制限しているときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記異常検出回路は、上記所定周波数範囲内の上記操舵力情報を抽出するフィルタ回路を備えている。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記コントロールユニットは、車速の信号が入力される車速信号受信部を備えており、上記異常検出回路は、上記車速が所定車速以上のときの上記操舵力情報は、異常判断に用いない。
さらに別の好ましい態様では、上記パワーステアリング装置の態様のいずれかにおいて、上記コントロールユニットは、マイクロコンピュータを備えており、上記異常検出回路は、上記マイクロコンピュータ内に設けられたプログラムを有する回路であって、上記操舵力情報は、上記マイクロコンピュータ内でデジタルデータとして処理され、上記第2の周波数は、デジタルデータである上記操舵力情報の分解能または上記マイクロコンピュータの分解能以下の値となっている。
また、以上説明した実施例に基づくパワーステアリング装置の制御装置としては、例えば、以下に述べる態様のものが考えられる。
パワーステアリング装置は、ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、上記操舵軸の回転に応じて軸方向運動すると共に鉄系金属材料からなるラックバーと、を有する操舵機構と、上記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、上記操舵機構と上記電動モータとの間に設けられ、上記電動モータの回転力を上記操舵機構に伝達する減速機であって、上記ラックバーの外周側に設けられ螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、上記ラックバーを包囲するように環状に設けられ、上記ラックバーに対し回転自在に設けられた鉄系金属材料からなるナットと、上記ナットの内周側に設けられ螺旋状の溝形状を有し上記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、上記ボール循環溝内に設けられた鉄系金属材料からなる複数のボールと、上記ナットの回転軸に対する径方向において上記ナットの外側に設けられ、上記複数のボールが上記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環可能に上記ボール循環溝の一端側と他端側とを接続する循環部材と、から構成されるボールねじ機構と、を備えている。このパワーステアリング装置の制御装置は、上記操舵機構に発生する操舵トルクの信号を受信する操舵トルク信号受信部と、上記操舵トルクの信号に基づいて上記電動モータの指令信号を演算する指令信号演算部と、上記操舵トルク、上記電動モータの指令信号、または上記電動モータに流れるモータ電流である操舵力情報の値が第1の周波数以上、第2の周波数以下となる所定周波数範囲内で周期的に変化し、かつ上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断する異常検出回路と、を有している。
上記パワーステアリング装置の制御装置の好ましい態様において、上記異常検出回路は、上記第2の周波数よりも高い値を異常判断に用いない。

Claims (18)

  1. ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、上記操舵軸の回転に応じて軸方向運動すると共に鉄系金属材料からなるラックバーと、を有する操舵機構と、
    上記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、
    上記操舵機構と上記電動モータとの間に設けられ、上記電動モータの回転力を上記操舵機構に伝達する減速機であって、上記ラックバーの外周側に設けられ螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、上記ラックバーを包囲するように環状に設けられ、上記ラックバーに対し回転自在に設けられた鉄系金属材料からなるナットと、上記ナットの内周側に設けられ螺旋状の溝形状を有し上記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、上記ボール循環溝内に設けられた鉄系金属材料からなる複数のボールと、上記ナットの回転軸に対する径方向において上記ナットの外側に設けられ、上記複数のボールが上記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環可能に上記ボール循環溝の一端側と他端側とを接続する循環部材と、から構成されるボールねじ機構と、
    上記電動モータを駆動制御するコントロールユニットと、
    上記コントロールユニットに設けられ、上記操舵機構に発生する操舵トルクの信号を受信する操舵トルク信号受信部と、
    上記コントロールユニットに設けられ、上記操舵トルクの信号に基づいて上記電動モータの指令信号を演算する指令信号演算部と、
    上記コントロールユニットに設けられ、上記操舵トルク、電動モータの指令信号、または上記電動モータに流れるモータ電流である操舵力情報の値が第1の周波数以上、第2の周波数以下となる所定周波数範囲内で周期的に変化し、かつ上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断する異常検出回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、上記操舵トルク、上記電動モータの指令信号、または上記モータ電流の所定周波数範囲内における値のピーク値の平均値に基づいて装置の異常を判断することを特徴とするパワーステアリング装置。
  3. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、上記第1の周波数よりも低い値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載のパワーステアリング装置において、上記コントロールユニットは、上記ステアリングホイールの回転速度である操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備え、
    上記第1の周波数は、人為的に操舵可能な周波数よりも高い値に設定されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  5. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、上記第2の周波数よりも高い値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  6. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備え、
    上記異常検出回路は、上記操舵速度が第1の操舵速度よりも小さいときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  7. 請求項6に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、車両が直進走行中のときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  8. 請求項7に記載のパワーステアリング装置において、上記操舵速度の信号は、上記電動モータの回転速度に基づいて演算されることを特徴とするパワーステアリング装置。
  9. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記コントロールユニットは、操舵速度の信号を受信する操舵速度信号受信部を備え、
    上記異常検出回路は、上記操舵速度が第2の操舵速度以上のときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  10. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、上記操舵力情報の値が所定周波数範囲内において上記所定値よりも大きいときに、異常判断用のカウンタ値をカウントアップし、異常判断カウンタのカウンタ値が所定カウンタ値に到達したときに、装置の異常と判断する異常判断カウンタを有することを特徴とするパワーステアリング装置。
  11. 請求項10に記載のパワーステアリング装置において、上記異常判断カウンタは、上記操舵力情報の値が所定周波数範囲内において所定値よりも小さくなったとき、上記異常判断用のカウンタ値を減少させることを特徴とするパワーステアリング装置。
  12. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、車両のイグニッションオンからイグニッションオフまでの期間を1トリップとするとき、
    上記異常検出回路は、複数トリップに亘って装置の異常が検出されたときに、装置の異常を確定することを特徴とするパワーステアリング装置。
  13. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記コントロールユニットは、上記電動モータの指令信号が所定上限値以下となるように制限する制限回路を備え、
    上記異常検出回路は、上記制限回路が上記電動モータの指令信号を制限しているときの上記操舵力情報の値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  14. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記異常検出回路は、上記所定周波数範囲内の上記操舵力情報を抽出するフィルタ回路を備えることを特徴とするパワーステアリング装置。
  15. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記コントロールユニットは、車速の信号が入力される車速信号受信部を備え、
    上記異常検出回路は、上記車速が所定車速以上のときの上記操舵力情報は、異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置。
  16. 請求項1に記載のパワーステアリング装置において、上記コントロールユニットは、マイクロコンピュータを備え、
    上記異常検出回路は、上記マイクロコンピュータ内に設けられたプログラムを有する回路であって、
    上記操舵力情報は、上記マイクロコンピュータ内でデジタルデータとして処理され、
    上記第2の周波数は、デジタルデータである上記操舵力情報の分解能または上記マイクロコンピュータの分解能以下の値となっていることを特徴とするパワーステアリング装置。
  17. ステアリングホイールの回転に伴い回転する操舵軸と、上記操舵軸の回転に応じて軸方向運動すると共に鉄系金属材料からなるラックバーと、を有する操舵機構と、上記操舵機構に操舵力を付与する電動モータと、上記操舵機構と上記電動モータとの間に設けられ、上記電動モータの回転力を上記操舵機構に伝達する減速機であって、上記ラックバーの外周側に設けられ螺旋状の溝形状を有する転舵軸側ボールねじ溝と、上記ラックバーを包囲するように環状に設けられ、上記ラックバーに対し回転自在に設けられた鉄系金属材料からなるナットと、上記ナットの内周側に設けられ螺旋状の溝形状を有し上記転舵軸側ボールねじ溝と共にボール循環溝を構成するナット側ボールねじ溝と、上記ボール循環溝内に設けられた鉄系金属材料からなる複数のボールと、上記ナットの回転軸に対する径方向において上記ナットの外側に設けられ、上記複数のボールが上記ボール循環溝の一端側から他端側へ循環可能に上記ボール循環溝の一端側と他端側とを接続する循環部材と、から構成されるボールねじ機構と、を備えるパワーステアリング装置の制御装置であって、
    上記操舵機構に発生する操舵トルクの信号を受信する操舵トルク信号受信部と、
    上記操舵トルクの信号に基づいて上記電動モータの指令信号を演算する指令信号演算部と、
    上記操舵トルク、上記電動モータの指令信号、または上記電動モータに流れるモータ電流である操舵力情報の値が第1の周波数以上、第2の周波数以下となる所定周波数範囲内で周期的に変化し、かつ上記所定周波数範囲内における上記操舵力情報の値が所定値よりも大きいときに、装置の異常と判断する異常検出回路と、
    を有することを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
  18. 請求項17に記載のパワーステアリング装置の制御装置において、上記異常検出回路は、上記第2の周波数よりも高い値を異常判断に用いないことを特徴とするパワーステアリング装置の制御装置。
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