JP5570401B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、電動パワーステアリング装置に関し、特に、電動機(モータ)の回転子(ロータ)の回転角を検出する回転角センサが故障したときに、その後にも電動機による補助トルクを適切に発生させることが可能な電動パワーステアリング装置に関する。
電動パワーステアリング装置は、電動機が操舵トルクの大きさに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをステアリング系に伝達して、運転者が操舵する操舵力を軽減するものである。操舵トルクと車速によって定まるベース電流(アシストトルク)を、ステアリング系のイナーシャ(慣性)で補償したり、ダンピング補正したりし、この補償及び補正された電流を目標電流として電動機を制御する技術が開示されている(特許文献1,2参照)。
なお、特許文献2の慣性補償電流値決定手段には、操舵トルクセンサからの出力のみが入力されており車速信号が入力されていない。
また、特許文献3には、電動機(ブラシレスモータ)の回転子の回転角を検出する回転角センサが故障したときに、ブラシレスモータのコイルの誘起電圧に基づいて、回転子の回転角を推定し、電動パワーステアリングの制御を行う技術が開示されている。そして、特許文献3の技術においては、コイルの誘起電圧最大値が所定値未満のときは、操舵トルクセンサの検出した操舵方向を判定し、操舵方向に対応した回転方向に回転磁界が発生するように電動機を駆動制御する技術が開示されている。
また、特許文献4には、ブラシレスモータの回転制御に回転角センサを用いないセンサレス制御の技術が開示され、特に、ブラシレス直流モータの停止状態から回転駆動させるための技術が開示されている。
特開2002−59855号公報(図2) 特開2000−177615号公報(図2) 特開2009−46015号公報(図2) 特開2009−142073号公報
しかしながら、特許文献3に記載の技術においては、ブラシレスモータのコイルの誘起電圧最大値が所定値未満の場合は、操舵トルクセンサの検出した操舵方向を判定し、操舵方向に対応した回転方向に回転磁界が発生するように制御するため、ブラシレスモータの回転角速度と、回転磁界の回転速度が一致しなかったときや、回転角センサの故障でモータの回転制御を切替えた直後の回転磁界の生成する磁界が回転子の磁極に対して、不適切なときは、運転者に操舵反力の不連続な変化を感じさせる。しかも、回転角センサの故障による電動パワーステアリング制御の故障と運転手が感じていないので、余計に違和感を与えることになる。
特許文献4に記載の技術は、ブラシレスモータの回転制御において、何らかの理由でインバータからの出力が停止されたときに、回転中のブラシレスモータの回転制御を再開するための技術であり、電動パワーステアリング装置において、そのブラシレスモータの回転角センサが故障したときに、回転角センサからの信号を用いないで、電動パワーステアリング装置の制御を再開する目的には、直接用いることができない。
ちなみに、特許文献4には、拡張誘起電圧オブザーバを用いた技術が開示されている。
本発明は、電動パワーステアリング装置の電動機の回転角センサの故障時に、推定された回転角を用いて電動機の制御を行える電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る電動パワーステアリング装置は、操舵輪に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、操舵輪の操作を補助トルクを発生して補助する電動機と、電動機の回転角を検出する回転角センサと、回転角センサの故障を検出する故障検出手段と、電動機の誘起電圧に基づいて電動機の回転角を推定する回転角推定手段と、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出されない場合は、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルク及び回転角センサによって検出された回転角に基づいて電動機を駆動制御し、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出された場合は、操舵トルクセンサにより検出された操舵トルク及び回転角推定手段によって推定された回転角に基づいて電動機を駆動制御する電動機駆動制御手段と、を備えるものにおいて、
電動機駆動制御手段は、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出されない場合には、操舵トルクに対して電動機を駆動しない不感帯を、第1の上限値及び第1の下限値を幅とする第1の不感帯として設定し、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出された場合には、前記不感帯を、第2の上限値及び第2の下限値を幅とする第2の不感帯として、上限値及び下限値とも第1の不感帯よりも幅を拡大設定し、回転角推定手段は、検出された操舵トルクが拡大された第2の不感帯の第2の上限値又は第2の下限値を超える際に、運転者の操舵輪の操作による電動機の回転によって生じる誘起電圧に基づいて回転角を推定し、電動機駆動制御手段が、推定された回転角に基づいて電動機の駆動制御を開始し、電動機駆動制御手段は、車速の増大に応じて、前記不感帯を、第3の不感帯として、上限値及び下限値とも第1の不感帯よりも拡大設定し、該第3の不感帯の拡大設定に係る限度幅は、第2の不感帯の幅に基づいて定められ、第3の不感帯の幅が第2の不感帯の幅を超える場合に、第3の不感帯の拡大設定が禁止されることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、電動機駆動制御手段は、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出されない場合には、操舵トルクに対して電動機を駆動しない不感帯を、第1の上限値及び第1の下限値を幅とする第1の不感帯として設定し、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出された場合には、操舵トルクに対して電動機を駆動しない不感帯を、第2の上限値及び第2の下限値を幅とする第2の不感帯として、上限値及び下限値とも第1の不感帯よりも幅を拡大設定する。そして、回転角推定手段は、検出された操舵トルクが拡大された第2の不感帯の第2の上限値又は第2の下限値を超える際に、運転者の操舵輪の操作による電動機の回転によって生じる誘起電圧に基づいて回転角を推定する。
従って、故障検出手段によって回転角センサの故障が検出された場合には、運転者が操舵輪を手動操作して検出された操舵トルクが拡大された第2の不感帯の第2の上限値又は第2の下限値を超える際に、第1の上限値及び第1の下限値より大きな絶対値の操舵トルクの発生により電動機が操舵輪の手動操作に伴いより高回転速度となる。その結果、電動機の生じるより大きな値の誘起電圧に基づいて回転角をより精度良く推定できる。
そして、検出された操舵トルクが第2の上限値又は第2の下限値を超える際に、推定された精度の良い回転角に基づいて電動機駆動制御手段が、電動機の駆動制御を開始することにより、運転者の操舵輪の操作方向と逆方向の補助トルクを発生することなく、精度良く推定された回転角によって電動機を駆動制御することができる。
請求項1に記載の発明によれば、特許文献3に記載の技術において、誘起電圧最大値が所定値未満の場合は、操舵トルクが示す操舵輪の操作方向を判定して、一定の回転磁界を発生させる制御のため、例えば、電動機の実際の回転角速度よりも回転磁界の回転速度が遅いとき、逆に操舵反力が増加するというような違和感を運転者に与えるということが解消される。
また、請求項1に係る発明によれば、電動機駆動制御手段は、車速の増大に応じて、前記不感帯を、第3の不感帯として、上限値及び下限値とも第1の不感帯よりも拡大設定し、該第3の不感帯の拡大設定に係る限度幅は、第2の不感帯の幅に基づいて定められ、第3の不感帯の幅が第2の不感帯の幅を超える場合に、第3の不感帯の拡大設定が禁止されるため、車速が高速域、かつ、回転角センサの故障時において、操舵輪の操作感が過度に重くなることを抑止し、これをもって、違和感のない快適な操舵フィーリングを運転者に提供することができる。
請求項2に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、電動機駆動制御手段は、操舵トルクセンサにおいて第2の不感帯を超える操舵トルクを検出している状態で、故障検出手段にて回転角センサの故障が検出された場合には、検出された操舵トルク及び推定された回転角に基づいて電動機の駆動制御を行わないことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、電動機駆動制御手段は、操舵トルクセンサにおいて第2の不感帯を超える操舵トルクを検出している状態で、故障検出手段にて回転角センサの故障が検出された場合は、検出された操舵トルク及び推定された回転角に基づいて電動機の駆動制御を行わない。
従って、故障検出手段にて回転角センサの故障を検出したとき、電動機による補助トルクの出力が喪失したことを、操舵反力の急増により運転者に感じさせて、回転角センサの故障を認知させることができる。
前記した特許文献3に記載の技術のような電動機の駆動制御とする場合は、電動機駆動制御手段が、回転角センサが故障していると判定されるまでは、回転角センサからの電動機の回転角に基づいてそれまで電動機の駆動制御をしていたものが、回転角センサが故障していると判定された直後以降において急に回転角推定手段から出力された推定された電動機の回転角に基づいて電動機の駆動制御を行うことになり、駆動制御の不連続性が生じて、運転者に操舵輪から操舵反力の不連続を感じさせることになる。
よって、請求項2に記載の発明によれば、そのような駆動制御の不連続性が生じて、運転者に操舵輪から操舵反力の不連続を感じさせることを防止でき、確実に運転者に回転角センサが故障したことを認知させることができる。
もちろん、その後、操舵トルクの絶対値が減少して、第2の不感帯の範囲内に入り、その後、操舵トルクが第2の不感帯の第2の上限値又は下限値を超えたとき、操舵トルク及び推定された回転角に基づいて電動機の駆動制御を開始することができる。
請求項3に係る電動パワーステアリング装置は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、回転角推定手段は、電動機の回転子の回転に伴って生じる誘起電圧を演算して検出する拡張誘起電圧オブザーバを含むことを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、回転角推定手段は、電動機の回転子の回転に伴って生じる誘起電圧を演算して検出する拡張誘起電圧オブザーバを含むので、故障検出手段において回転角センサの故障を検出した後、運転手が手動のみで操舵輪を操作することで電動機の回転子が回転することにより生じる誘起電圧を拡張誘起電圧オブザーバによって演算して検出し、回転角推定手段は電動機の回転角を誘起電圧に基づいて算出することができる。
本発明によれば、電動パワーステアリング装置の電動機の回転角センサの故障時に、誘起電圧に基づいて精度良く回転角の推定を行い、それ以後、推定された回転角を用いて電動機の制御を行える電動パワーステアリング装置を提供することができる。
本発明の実施形態である電動パワーステアリング装置の構成図である。 実施形態の制御装置の機能ブロック構成図である。 ベース信号演算部が第1ベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図である。 ベース信号演算部が第2ベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図である。 ダンパ補正信号演算部がダンパテーブルを用いてダンパ補正電流値の設定をする方法の説明図である。 レゾルバが故障したことを検出した場合の電動パワーステアリング装置の制御の流れを示すフローチャートである。 図6のフローチャートの続きである。 図7のフローチャートの続きである。 車両の停止状態におけるレゾルバが正常時と故障時とのそれぞれの場合における操舵に伴う電動パワーステアリング装置の電動機の駆動制御の説明図であり、(a)は、操舵トルクの時間推移の説明図、(b)は、電動機の回転角速度及び電動機駆動電流の時間推移の説明図である。
本発明の実施形態である電動パワーステアリング装置を、図1、図2を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態である電動パワーステアリング装置の構成図であり、図2は、実施形態の制御装置の機能ブロック構成図である。
《電動パワーステアリング装置の全体構成》
図1において、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル(操舵輪)2が設けられたメインステアリングシャフト3と、シャフト1と、ピニオン軸5とが、2つのユニバーサルジョイント(自在継手)4,4によって連結されている。また、ピニオン軸5の下端部に設けられたピニオンギア7は、車幅方向に往復運動可能なラック軸8のラック歯8aに噛合し、ラック軸8の両端には、タイロッド9,9を介して左右の転舵輪10,10が連結されている。この構成により、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2の操舵時に車両の進行方向を変えることができる。
ここで、ラック軸8、ラック歯8a、タイロッド9,9は転舵機構を構成する。
なお、ピニオン軸5は、その下部、中間部、上部を軸受6a,6b,6cを介してステアリングギアボックス20に支持されている。
また、電動パワーステアリング装置100は、操向ハンドル2による操舵力を軽減するための補助トルクを供給する電動機11を備えており、この電動機11の出力軸に設けられたウォームギア12が、ピニオン軸5に設けられたウォームホイールギア13に噛合している。すなわち、ウォームギア12とウォームホイールギア13とで減速機構が構成されている。
ここで、電動機11の回転子と電動機11に連結されているウォームギア12とウォームホイールギア13とピニオン軸5とラック軸8とラック歯8aとタイロッド9,9等により、ステアリング系が構成される。
電動機11は、複数の界磁コイルを備えた固定子(図示せず)とこの固定子の内部で回動する回転子(図示せず)からなる3相ブラシレスモータである。
また、電動パワーステアリング装置100は、制御装置200、電動機11を駆動するインバータ60、レゾルバ(回転角センサ)50、ピニオン軸5に加えられるピニオントルク、つまり、操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ30と、操舵トルクセンサ30の出力を増幅する差動増幅回路40と、車速センサ35とを備えている。
インバータ60は、例えば、3相のFETブリッジ回路のような複数のスイッチング素子を備え、制御装置200からのDUTY(図2中では、「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)信号を用いて、矩形波電圧を生成し、電動機11を駆動するものである。また、インバータ60は、例えば、ホール素子等の電流センサSIu,SIv,SIw(図2参照)を用いて3相の実電流値I(図2中では、「Iu」,「Iv」,「Iw」と表示)を検出して制御装置200に入力する機能を有している。
インバータ60は、電動機11が駆動制御されずに操向ハンドル2の操作により連れ回し回転されるときに生じる誘起電圧値Vu,Vv,Vwをそれぞれ個別に検出する電圧センサSVuvwを内蔵し、前記電圧センサSVuvwからの電圧信号は制御装置200の図示しないA/Dポート(アナログ・デジタル変換ポート)に入力され、後記する回転角推定部291の連れ回し時回転角推定部291bに入力される。
ちなみに、電動機11の界磁コイルは図示してないがスター結線されており、インバータ60が駆動電流を出力していないときに、操向ハンドル2を運転者が手動力のみで操作すると電動機11が回転駆動されて3相の各相の誘起電圧値Vu,Vv,Vwが発生するのを個別に検出することができる。図2では、3相の各相の誘起電圧値Vu,Vv,Vwをそれぞれ個別に検出する電圧センサをまとめて電圧検出センサSVuvwで代表して表示してある。
また、図2では、インバータ60に内蔵されている電流センサSIu,SIv,SIw及び電圧センサSVuvwを分かり易いように、便宜的にインバータ60の外部に記載してある。
レゾルバ50は、電動機11の回転子の回転角θMを検出し、それに対応する角度信号を出力するものであり、例えば、周方向に等間隔の複数の凹凸部を設けた磁性回転体に磁気抵抗変化を検出する検出回路を近接させた可変リラクタンス型のレゾルバである。
図2においてレゾルバ50の励磁巻線は省略してあり、sin出力巻線50a、cos出力巻線50bを示してある。レゾルバ50に含まれる回転角演算部50cは、sin出力巻線50a及びcos出力巻線50bからの出力信号に基づいてarctan演算により、回転角θMを算出して、制御装置200に入力する。
図1に戻って、操舵トルクセンサ30は、ピニオン軸5に加えられるピニオントルク、つまり、操舵トルクTを検出するものであり、例えば、ピニオン軸5の軸方向2箇所に逆方向の異方性となるように磁性膜が被着され、各磁性膜の表面に検出コイルがピニオン軸5に離間して挿入されている。差動増幅回路40は、検出コイルがインダクタンス変化として検出した2つの磁歪膜の透磁率変化の差分を増幅し、操舵トルクTを示す信号を制御装置200に入力する。
車速センサ35は、車両の車速VSを単位時間あたりのパルス数として検出するものであり、車速VSを示す信号を出力する。
《制御装置》
次に、図2を参照しながら、適宜、図1、図3、図4、図5を参照して、制御装置200の構成と機能について説明する。図3は、ベース信号演算部が第1ベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図、図4は、ベース信号演算部が第2ベーステーブルを用いてベース目標電流値の設定をする方法の説明図、図5は、ダンパ補正信号演算部がダンパテーブルを用いてダンパ補正電流値の設定をする方法の説明図である。
制御装置200は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory )等を備えるマイクロコンピュータ、インタフェース回路及びROMに格納されたプログラムからなり、図2の機能ブロック構成図に記載される機能を実現する。
図2の制御装置200は、ベース信号演算部220、イナーシャ補償信号演算部210、ダンパ補正信号演算部225、q軸PI制御部240、d軸PI制御部245、2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265、d軸電流生成部285、故障検出部(故障検出手段)290、回転角推定部(回転角推定手段)291、回転角信号切替部292、回転角速度演算部293等を有する。
ここで、イナーシャ補償信号演算部210、ベース信号演算部220、ダンパ補正信号演算部225、q軸PI制御部240、d軸PI制御部245、加算器250、減算器251,252,253、2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265、回転角信号切替部292、回転角速度演算部293は、特許請求の範囲に記載の「電動機駆動制御手段」を構成する。
(ベース信号演算部220)
ベース信号演算部220は、差動増幅回路40(図1参照)からの操舵トルクTを示す信号と、車速センサ35(図1参照)からの車速VSを示す信号に基づいて、電動機11(図1参照)の出力する補助トルクの基準となる目標値であるベース目標電流値IBを生成する。このベース目標電流値IBの生成は、操舵トルクTと車速VSとに基づいて、予め実験測定等によって設定された、レゾルバ50からの回転角θMの信号が正常に受信されている場合に用いられる第1ベーステーブル220a、又は、レゾルバ50からの回転角θMの信号が正常に受信されていない場合に用いられる第2ベーステーブル220bを参照することによって行われる。
なお、ベース信号演算部220は、第2ベーステーブル220bの車速VSに応じた後記する不感帯上限トルク|±TNR2|を回転角信号切替部292に入力する。
図3に、第1ベーステーブル220aに格納されているベース目標電流値IBの関数を示す。図3では、操舵トルクTの値が正の場合の例で示してあるが、操舵トルクTが負の場合は、ベース目標電流値IBの値は負になり、不感帯RNR1の幅も負側に設定される。右側への転舵操作の操舵トルクTを正(+)、左側への転舵操作の操舵トルクTを負(−)としたとき、以下の説明では、左右の操舵トルクTによる違いは、±の符号のみであるので、代表して+側(右側)の説明を行い、左側(−側)については、適宜省略する。
ちなみに、不感帯上限トルク、不感帯下限トルクも±符号の違いであるので、不感帯下限トルクの説明も適宜省略する。
図3に即して操舵トルクTが正値の場合を例に説明すると、ベース信号演算部220は、故障検出部290からレゾルバ50が故障しているとの信号を受信しない限り、レゾルバ50は正常と判定し、第1ベーステーブル220aを用い、操舵トルクTの正値が小さいときはベース目標電流値IBがゼロに設定される正値側の不感帯RNR1が設けられ、操舵トルクTの値がこの不感帯RNR1の正値の上限値である不感帯上限トルクTNR1以上になると、ベース目標電流値IBがゲインG1で直線的に増加する特性を備えている。また、ベース信号演算部220は、所定の操舵トルク値で出力はゲインG2で増加し、さらに操舵トルク値が増加すると出力が所定の正の飽和値に達する特性を備えている。
ここで、正値側の不感帯RNR1及び負値側の不感帯RNR1を合わせて、特許請求の範囲に記載の「第1の不感帯」に対応し、以後、単に、「正常時の不感帯RNR1」と称する。また、不感帯上限トルクTNR1及び不感帯下限トルク−TNR1は、特許請求の範囲に記載の「第1の上限値」及び「第1の下限値」に対応する。以後、不感帯上限トルクTNR1及び不感帯下限トルク−TNR1を、正負を区別しないで絶対値で表示するとき「不感帯上限トルク|±TNR1|」と称する。
また、一般に車両は、走行速度に応じて路面の負荷(路面反力)が異なるため、車速VSにより不感帯上限トルク|±TNR1|の値、ゲインG1,G2、ベース目標電流値|IB|の飽和値が調整される。車速ゼロの据え切り操作時が最も負荷が重く中低速では比較的負荷が軽くなる。このため、ベース信号演算部220は、車速VSが大きく高速になるにしたがってゲイン(G1,G2)及び飽和値の絶対値を低く、かつ、不感帯上限トルク|±TNR1|を大きく設定して、マニュアルステアリング領域を大きくとって路面情報を運転者に与える。
すなわち、車速VSの増大に応じてしっかりとした操舵トルクTの手応え感が付与される。
図4に、第2ベーステーブル220bに格納されているベース目標電流値IBの関数を示す。図4には、例示として車速VSが0km/hの場合の第2ベーステーブル220bのベース目標電流値IBの関数を示してある。図4では、操舵トルクTの値が正の場合の例で示してあるが、操舵トルクTの値が負の場合は、ベース目標電流値IBの値は負になり、不感帯RNR1、不感帯RNR2の幅も負側に設定される。先ず、図4に即して操舵トルクTが正値の場合を例に説明すると、ベース信号演算部220は、故障検出部290(図2参照)からレゾルバ50(図2参照)が故障しているとの信号を受信したとき、レゾルバ50の故障と判定し、第2ベーステーブル220bを用い、操舵トルクTの正値が小さいときはベース目標電流値IBがゼロに設定される正値側の不感帯RNR2が設けられ、操舵トルクTの値がこの不感帯RNR2の正値の上限値である不感帯上限トルクTNR2以上になると、図4に示すように不感帯上限トルクTNR2から直線で所定の正の飽和値にまで増加する。図4では簡単化して不感帯上限トルクTNR2から直線で所定の正の飽和値にまで増加する表示としているが、図3のように複数の直線を組み合わせゲインG1,G2で直線的に増加して、所定の正の飽和値に達する特性としても良い。
ここで、正値側の不感帯RNR2及び負値側の不感帯−RNR2を合わせて、特許請求の範囲に記載の「第2の不感帯」に対応し、以後、単に、「故障時の不感帯RNR2」と称する。また、不感帯上限トルクTNR2及び不感帯下限トルク−TNR2は、特許請求の範囲に記載の「第2の上限値」及び「第2の下限値」に対応する。以後、不感帯上限トルクTNR2及び不感帯下限トルク−TNR2を、正負を区別しないで絶対値で表示するとき「不感帯上限トルク|±TNR2|」と称する。
図4には、比較のため、正常時の不感帯RNR1を示している。このように、同一車速VSに対して不感帯上限トルク|±TNR2|の値は、不感帯上限トルク|±TNR1|の値より大きく設定されている。
なお、第2ベーステーブル220bに格納されているベース目標電流値IBの関数は、例えば、車速VSに対しては不感帯上限トルク|±TNR2|を固定とするとともに、ゲイン及び所定の飽和値の絶対値を小さくするように設定されているが、車速VSの所定の値以上、例えば、40km/h以上では、不感帯上限トルク|±TNR2|は、正常時の不感帯RNR1の不感帯上限トルク|±TNR1|の値と同じ値が設定されており、それより早い車速VSに対応するベース目標電流値IBの関数は設定されていない。これは、ベース信号演算部220は、後記するように、所定の条件が満たされた場合に、レゾルバ50故障時に用いる第2ベーステーブル220bを、再度、第1ベーステーブル220aに持ち替える制御をするためである。
なお、前記したように各車速VSに対して不感帯上限トルク|±TNR2|の値は固定値とすることに限定されない。不感帯上限トルク|±TNR2|の値は、操向ハンドル2を電動機11の駆動制御無しで、電動機11を連れ回しながら運転者が操作するときに、電動機11が誘起電圧を生じて、前記した三相の誘起電圧値Vu,Vv,Vwを精度良く検出可能となる電動機11の回転子の回転角速度になるように、車速VS=0の場合を考えて実験的に設定されているものである。しかし、車両が停止状態よりも、走行状態の場合の方が転舵輪10の操舵抵抗が小さいので、電動機11による補助トルク無しの状態での操舵に必要な操舵トルクTの絶対値は小さくなり、各車速VSに対応する不感帯上限トルク|±TNR2|の値を、不感帯上限トルク|±TNR1|の値よりも大きな値であって、かつ、車速VSの増加に応じてその値が低減されるように設定しても良い。
(ダンパ補正信号演算部225)
図2に戻り、ダンパ補正信号演算部225は、ステアリング系が備える粘性を補償するため、また車両が高速走行時に収斂性が低下する際にこれを補正するステアリングダンパ機能を有するために設けられるものであり、電動機11の回転角速度ωMを用いて、ダンパ補正信号演算部225のダンパテーブル225aを参照して演算される。図5は、ダンパテーブル225aに格納されているダンパ補正電流値IDの関数を示す。図5は、電動機11の回転角速度ωMの値が正の場合で示してあるが、回転角速度ωMの値が負の場合は、ダンパ補正電流値IDの値は負になる。先ず、図5に即して回転角速度ωMの値が正の場合を例に説明すると、電動機11の回転角速度ωMが増加するほどダンパ補正電流値IDが直線的に増加し、所定の回転角速度ωMでダンパ補正電流値が急激に増加し車速VSに応じた所定の正の飽和値となる特性を備えている。
同様に、回転角速度ωMの値が負の場合は、電動機11の回転角速度ωMが負値方向に増加するほどダンパ補正電流値IDが直線的に負値方向に増加し、所定の回転角速度ωMでダンパ補正電流値が負値方向に急激に増加し車速VSに応じた所定の負の飽和値となる特性を備えている。
また、車速VSの値が高いほど、ゲイン、飽和値の絶対値の両方を大きくして電動機11の回転角速度、すなわち、操舵速度に応じて電動機11の出力する補助トルクを、減算器251でベース目標電流値IBからダンパ補正電流値IDを減算することで減衰させている。
言い換えれば、切り増し時には、操向ハンドル2の回転速度が高くなるに従って、電動機11への切り増し方向の補助トルク電流の値を小さくして操向ハンドル2の操舵感を重く切りづらくし、操向ハンドル2の戻し時には電動機11へ戻し操作に対する反力方向の電流を大きくして戻りづらくしている。このステアリングダンパ効果により、操向ハンドル2の収斂性を向上させ、車両の旋回運動特性を安定化させることができる。
(減算器251)
再び図2に戻り、減算器251は、ベース信号演算部220のベース目標電流値IBからダンパ補正信号演算部225のダンパ補正電流値IDを減算し、その結果を加算器250に入力する。
(イナーシャ補償信号演算部210)
イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性による影響を補償するものであり、電動機11の回転角速度ωM(又は後記する回転角速度ωeM)及び操舵トルクTを用いて、イナーシャ補償信号演算部210のイナーシャテーブル210aを参照して、前記したイナーシャ補償電流値IIを演算する。
イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転子の慣性による応答性の低下をも補償している。言い換えれば、電動機11は正回転から逆回転に、または、逆回転から正回転に回転方向を切り替える際、慣性によってその状態を持続させようとするので直ぐには回転方向が切り替わらない。そこで、イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転方向の切り替わりが操向ハンドル2の回転方向が切り替わるタイミングに一致するように制御している。このようにして、イナーシャ補償信号演算部210は、ステアリング系の慣性や粘性による操舵の応答遅れを改善してすっきりした操舵感を付与している。また、FF(Front engine Front wheel drive)やFR(Front engine Rear wheel drive)車、RV(Recreation Vehicle)やセダン等の車両特性や車速、路面などの車両状態によって異なる操舵特性に対して、実用上十分な特性が付与される。
(加算器250、減算器252、q軸PI制御部240)
加算器250は、減算器251からの入力とイナーシャ補償信号演算部210のイナーシャ補償電流値IIとを加算するものである。加算器250の出力信号であるq軸目標電流値Iq*は、電動機11の出力トルクを規定するq軸電流の目標信号であり、減算器252に入力される。
減算器252には、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scの信号が入力可能に構成されており、レゾルバ50が正常であると検出されている場合、演算停止の指令Scは入力されない。レゾルバ50が故障と検出されたとき、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが入力される。そして、演算停止の指令Scにより減算器252における減算演算が停止された後、制御装置200により駆動制御されていない電動機11が運転者の操向ハンドル2(図1参照)の操作により強制的に連れ回し回転させられ、回転角推定部291の後記する連れ回し時回転角推定部291bにおいて電動機11の回転子の回転角θMがほぼ正確に推定可能になった場合に、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが解除される。その結果、減算器252は、再びq軸目標電流値Iq*から3相2軸変換部265が出力したq軸実電流値Iqを減算し、その結果の偏差値ΔIq*をq軸PI制御部240に入力する。
ちなみに、図2において回転角推定部291の連れ回し時回転角推定演算部291b又は回転角推定演算部291cにおいて推定され、回転角信号切替部292から出力された回転角は、推定された回転角θeMとして、レゾルバ50で検出された回転角θMと区別して表示してある。
減算器252に回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが入力されている場合は、前記したq軸目標電流値Iq*からq軸実電流値Iqの減算演算をせず、q軸PI制御部240に制御信号である偏差値ΔIq*としては0(ゼロ)信号が入力される。
q軸PI制御部240は、偏差値ΔIq*が減少するように、P(比例)制御及びI(積分)制御のフィードバック制御を行い、q軸目標信号であるq軸目標電圧値Vq*を得て、2軸3相変換部262及び回転角推定部291の後記する拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
(d軸電流生成部285、減算器253、d軸PI制御部245)
d軸電流生成部285は、電動機11のd軸目標電流値Id*の目標値として「0」を生成するが、必要に応じd軸目標電流値Id*を設定することにより、弱め界磁制御を行うことができる。
減算器253には、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scの信号が入力可能に構成されている。レゾルバ50が正常であると検出されている場合、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scは入力されない。レゾルバ50が故障と検出されたとき、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが入力され、減算器253における減算演算が停止される。その後、制御装置200により駆動制御されていない電動機11が運転者の操向ハンドル2(図1参照)の操作により強制的に連れ回し回転させられ、回転角推定部291において電動機11の回転子の回転角θMがほぼ正確に推定可能になった場合に、回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが解除される。その結果、減算器253は、再びd軸磁電流生成部285から入力されたd軸目標電流値Id*から3相2軸変換部265から入力されたd軸実電流値Idの減算処理を行い、その結果の偏差値ΔId*をd軸PI制御部245に入力する。
減算器253に回転角信号切替部292からの演算停止の指令Scが入力されている場合は、前記したd軸目標電流値Id*からd軸実電流値Idの減算演算をせず、d軸PI制御部245に制御信号である偏差値ΔId*としては0(ゼロ)信号が入力される。
d軸PI制御部245は、偏差値ΔId*が減少するように、P(比例)制御及びI(積分)制御のPIフィードバック制御を行い、d軸目標信号であるd軸目標電圧値Vd*を得て、2軸3相変換部262及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
(2軸3相変換部262、PWM変換部263)
2軸3相変換部262は、入力されたq軸目標電圧値Vq*及びd軸目標電圧値Vd*を、回転角θM又は推定回転角θeMを用いてd−q座標系から、3相信号Uu*,Uv*,Uw*に変換する。ここで、d−q座標系は、磁極軸であるd軸と、このd軸に対して電気的に90度回転した軸であるq軸との2軸の、回転子に固定されて回転する固定座標系である。
PWM変換部263は、3相信号Uu*,Uv*,Uw*の大きさに比例したパルス幅のON/OFF信号[PWM(Pulse Width Modulation)信号]であるDUTY信号(図2中では「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)を生成する。
なお、2軸3相変換部262及びPWM変換部263には、回転角信号切替部292から電動機11の回転角θM又は推定された回転角θeMを示す信号が入力され、回転子の回転角θM又は推定された回転角θeMに応じた演算や制御がなされる。
以下では、推定された回転角θeMは、単に「推定回転角θeM」と称する。ここで、「推定回転角θeM」が、特許請求範囲に記載の「推定された回転角」に対応する。
(3相2軸変換部265)
3相2軸変換部265は、インバータ60の電流センサSIu,SIv,SIwが検出する電動機11の3相の実電流値Iu,Iv,Iwを、回転角θM又は推定回転角θeMを用いてd−q座標系のd軸実電流値Id及びq軸実電流値Iqに変換し、d軸実電流値Idを減算器253及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力し、q軸実電流値Iqを減算器252及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
ちなみに、電動機11の発生トルクはq軸電流に比例し、d軸実電流値Idは弱め界磁電流であり、磁石磁界にかける反磁界を表す。
(故障検出部290)
故障検出部290は、回転角演算部50cに入力されるsin出力巻線50a及びcos出力巻線50bからの出力信号に基づいて、レゾルバ50からの出力信号が正常状態であるか、故障状態であるかを監視し、故障状態を検出したときは、ベース信号演算部220及び回転角信号切替部292にレゾルバ故障を示す信号を入力する。
故障検出部290におけるレゾルバ50の故障判定は、公知技術であり、詳細な説明は省略する。例えば、特開2009−12664号公報の段落[0017]〜[0023]にレゾルバ50の故障判定方法の技術の記載がある。
(回転角推定部291)
回転角推定部291は、前記した拡張誘起電圧オブザーバ291a、連れ回し時回転角推定演算部291b及び回転角推定演算部291cを含んでいる。
回転角推定部291は、故障検出部290からのレゾルバ50の故障判定を受けて、回転角信号切替部292から演算開始の指令Sdが入力されるとその機能がスタートし、レゾルバ50が正常と判定されている間は、その機能は、待機状態になされている。このようにすることでレゾルバ50が正常の場合は、制御装置200のマイクロコンピュータのCPUは、回転角推定部291の機能の演算を行うことなく、負荷が軽減される。
回転角信号切替部292から演算開始の指令Sdを受けて、回転角推定部291は、演算をスタートさせる。具体的には、次のような2段階の処理となる。
先ず、第1段階では、回転角信号切替部292から演算開始の指令Sdを受けて、連れ回し時回転角推定演算部291bは、電圧センサSVUVWからの3相の誘起電圧をフィルタリング処理し、矩形波信号から正弦波信号を抽出してモータ回転角θMの推定演算を開始する。ここでは、連れ回し時回転角推定演算部291bで推定演算されたモータ回転角θMを、推定回転角θeM1と称する。推定回転角θeM1は、回転角信号切替部292に出力される。連れ回し時回転角推定演算部291bによる3相の誘起電圧から推定回転角θeM1を推定演算する方法は公知であり詳細な説明は省略する。
回転角信号切替部292は、連れ回し時回転角推定演算部291bからの推定回転角θeM1の入力を受けて、操舵トルクTがベース信号演算部220から入力された不感帯上限トルク|±TNR2|の値以上になったことを確認して、演算停止の指令Scを解除する指令を減算器252,253及び回転角速度演算部293に出力するとともに、連れ回し時回転角推定演算部291bから入力された推定回転角θeM1を推定回転角θeMとして、回転角速度演算部293、2軸3相変換部262及びPWM変換部263に入力する。
この後、q軸PI制御部240及びd軸PI制御部245には、それぞれ偏差値ΔIq*、偏差値ΔId*が入力され、q軸目標電圧値Vq*、d軸目標電圧値Vd*を演算し、それが拡張誘起電圧オブザーバ291aへ再びCPUにおける一定周期で入力開始される。
拡張誘起電圧オブザーバ291aには、CPUにおける一定周期での繰り返し演算における1ステップ前のd軸目標電圧値Vd*及びq軸目標電圧値Vq*が2軸3相変換部262から入力され、また、CPUにおける一定周期での繰り返し演算における1ステップ前の回転角速度演算部293で演算された推定回転角速度ωeMが入力される。更に、拡張誘起電圧オブザーバ291aには、d軸実電流値Id及びq軸実電流値Iqが3相2軸変換部265から入力される。
そして、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、次式(1)により、d軸の誘起電圧eedと、q軸の誘起電圧eeqを算出し、回転角推定演算部291cに入力する。
Figure 0005570401
そして、ここで、
Vd :d軸電圧値
Vq :q軸電圧値
Ra :固定子の巻線抵抗
P :微分演算子
Ld :d軸インダクタンス
Lq :q軸インダクタンス
Ke :速度起電力係数
ωM :回転角速度
ed :d軸の誘起電圧
eq :q軸の誘起電圧
である。
減算器252,253及び回転角速度演算部293が演算を再開すると、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、繰り返し計算により、次のようにd軸の誘起電圧eed、q軸の誘起電圧eeqを演算して、回転角推定演算部291cに出力する。回転角推定演算部291cは、d軸の誘起電圧eed、q軸の誘起電圧eeqに基づいて、電動機11のモータ回転角を推定演算して(以下、この推定演算されたモータ回転角を推定回転角θeM2と称する)回転角信号切替部292に入力する。
式(1)において、d軸電圧値Vd及びq軸電圧値Vqを、CPUにおける一定周期での繰り返し演算において2軸3相変換部262が出力する1ステップ前のd軸目標電圧値Vd*及びq軸目標電圧値Vq*と読み替え、ωMを回転角速度演算部293から入力される1ステップ前の角速度ωMに読み替えることにより、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとが容易に拡張誘起電圧オブザーバ291aで算出でき、回転角推定演算部291cに入力できる。
そして、第2段階として、回転角推定演算部291cにおいて、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとに基づいてarctan(逆正接関数)演算をして推定回転角θeM2を算出し、回転角信号切替部292に入力する。ちなみに、式(1)の右辺第2を一般に「拡張誘起電圧」と称する。
但し、式(1)は、推定誤差が存在している前提の例であるが、推定誤差が存在しない場合は、式(1)の第2項が式(2)のようにq軸成分にのみ誘起電圧が発生する。但し、Eexは式(3)に記載のものである。
回転角推定演算部291cは、拡張誘起電圧オブザーバ291aからのd軸の誘起電圧eed及びq軸の誘起電圧eeqに基づいて、推定回転角θeM2を算出して回転角信号切替部292に出力開始したことを示す信号を連れ回し時回転角推定演算部291bに入力し、連れ回し時回転角推定演算部291bにおける推定回転角θeM1の推定演算を停止させる。
(回転角信号切替部292、回転角速度演算部293)
回転角信号切替部292は、レゾルバ50からの回転角θMを示す信号と、連れ回し時回転角推定演算部291bからの推定回転角θeM1を示す信号と、回転角推定演算部291cからの推定回転角θeM2を示す信号と、故障検出部290からのレゾルバ50の故障検出をした場合の故障検出信号と、操舵トルクセンサ30(図1参照)からの操舵トルクTを示す信号が入力される。
そして、レゾルバ50の故障を検出した信号が故障検出部290から入力されない場合は、回転角推定部291に対して演算停止の待機状態にするように指令するとともに、レゾルバ50から入力された回転角θMを回転角速度演算部293、2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265及びに入力する。
回転角速度演算部293は、入力された回転角θMを時間微分して回転角速度ωMを算出し、ダンパ補正信号演算部225に入力するとともに、回転角推定部291にも入力する。ちなみに、回転角推定部291は、待機状態なので、回転角速度ωMを入力されるだけで何等演算しない。
回転角信号切替部292は、レゾルバ50の故障を検出した信号が入力されると、減算器252,253及び回転角速度演算部293に演算停止の指令Scを出力し、電動機11の駆動制御を一旦停止させるとともに、回転角推定部291に対して演算開始の指令Sdを出力する。その後、第1段階として回転角信号切替部292は、操舵トルクTの絶対値が、前記した第2ベーステーブル220bに基づいて、そのときの車速VSに応じて決まる不感帯上限トルク|±TNR2|を下回った状態から不感帯上限トルク|±TNR2|以上になったとき、連れ回し時回転角推定演算部291bから入力された推定演算された推定回転角θeM1を推定回転角θeMとして2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265及び回転角速度演算部293出力開始する。同時に、減算器252,253及び回転角速度演算部293へ出力していた演算停止の指令Scを解除し、演算を再開させ、駆動制御の状態に戻す。つまり、推定回転角θeM及び推定回転角速度ωeMに基づいて、電動機11の駆動制御を再開させる。
その後、第2段階として回転角推定演算部291cからの推定回転角θeM2が入力された時点から、回転角推定演算部291cからの推定演算された推定回転角θeM2を推定回転角θeMとして、2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265及び回転角速度演算部293出力切り替えし、推定回転角θeM及び推定回転角速度ωeMに基づいた電動機11の駆動制御を継続させる。
以後、回転角推定部291による電動機11のセンサレス駆動制御がなされるが、回転角信号切替部292は、電動機11の回転が停止したとき、つまり、推定回転角速度ωeMがゼロを示したときは、再び、前記したレゾルバ50の故障を検出した信号が入力された状態に戻る。
次に、図6から図9を参照しながら、適宜、図2を参照して、レゾルバ50が故障した場合の電動機11の駆動制御の方法について説明する。図6から図8は、レゾルバが故障したことを検出した場合の電動パワーステアリング装置の制御の流れを示すフローチャートである。図9は、車両の停止状態における回転角センサが正常時と故障時とのそれぞれの場合における操舵操に伴う電動パワーステアリング装置の電動機の駆動制御の説明図であり、(a)は、操舵トルクの時間推移の説明図、(b)は、電動機の回転角速度及び電動機駆動電流の時間推移の説明図である。
ステップS01では、回転角信号切替部292は、故障検出部290からレゾルバ故障の信号を受信したか否かをチェックする。レゾルバ故障の信号を受信した場合(Yes)は、ステップS04へ進み、レゾルバ故障の信号を受信しない場合(No)は、ステップS02へ進む。
ステップS02では、制御装置200は、通常の電動パワーステアリング制御を実行する(「EPS制御を実行する」)。
つまり、回転角信号切替部292は、レゾルバ50から入力される回転角θMを回転角速度演算部293に出力して回転角速度ωMを算出させる。イナーシャ補償信号演算部210は、電動機11の回転角速度ωM及び操舵トルクTを用いてイナーシャテーブル210aを参照し、イナーシャ補償電流値IIを演算して、加算器250に入力する。
ベース信号演算部220は、故障検出部290からレゾルバ故障の信号を受信していないので、操舵トルクT及び車速VSを用いて、第1ベーステーブル220aを参照してベース目標電流値IBを演算して減算器251に出力する。ダンパ補正信号演算部225は、回転角速度ωMを用いてダンパテーブル225aを参照し、ダンパ補正電流値IDを演算し、減算器251に入力する。
減算器251は、ベース目標電流値IBからダンパ補正電流値IDを減算して、加算器250に入力する。加算器250では、イナーシャ補償電流値IIとダンパ補正電流値IDで補正されたベース目標電流値IBを加算して、q軸目標電流値Iq*として減算器252に入力する。
減算器252では、q軸目標電流値Iq*からq軸実電流値を減算して偏差値ΔIq*を算出して、q軸PI制御部240に入力する。q軸PI制御部240は、q軸目標電圧値Vq*を演算して2軸3相変換部262に入力する。
また、d軸電流生成部285は、弱め界磁制御でない場合は、d軸目標電流値Id*として「ゼロ」を減算器253に入力し、減算器253は、d軸目標電流値Id*からd軸実電流値Idを減算して偏差値ΔId*を算出して、d軸PI制御部245に入力する。d軸PI制御部245は、d軸目標電圧値Vd*を演算して2軸3相変換部262に入力する。
2軸3相変換部262は、回転角θMを用いて3相信号Uu*,Uv*,Uw*に変換し、PWM変換部263に入力する。ちなみに、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、待機状態であり、d軸目標電圧値Vd*とq軸目標電圧値Vq*を入力されるだけで何等演算はしない。
PWM変換部263は、回転角θMを用いて3相信号Uu*,Uv*,Uw*の大きさに応じたDUTY信号(図2中では「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)を生成し、インバータ60に入力する。インバータ60は、DUTY信号に応じた3相の実電流値Iu,Iv,Iwの各相電流を電動機11に供給し、駆動する。
3相2軸変換部265は、回転角θMを用いて電流センサSIu,SIv,SIwで検出された3相の実電流値Iu,Iv,Iwに基づいてd軸実電流値Id、q軸実電流値Iqを算出し、d軸実電流値Idを減算器253及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力するとともに、q軸実電流値Iqを減算器252及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
ちなみに、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、待機状態であり、d軸実電流値Id、及びq軸実電流値Iqが入力されるだけで何等演算はしない。
レゾルバ50は回転角θMを検出して、回転角信号切替部292に入力し、回転角信号切替部292は、その入力された回転角θMを2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265、及び回転角速度演算部293に入力する。回転角速度演算部293は、回転角θMを時間微分して回転角速度ωMを算出し、ダンパ補正信号演算部225及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
ちなみに、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、待機状態であり、回転角速度ωMを入力されるだけで何等演算はしない。
そして、ステップS03では、制御装置200は、イグニッション・オフを検出したか否かをチェックする。このイグニッション・オフ信号は、図2において図示しないエンジンECUからのCAN(Controller Area Network)通信で取得される。イグニッション・オフを検出した場合(Yes)は、制御を終了し、検出しなかった場合(No)はステップS01に戻る。
ステップS01からステップS04に進むと、回転角信号切替部292は、電動アシストを停止させ、回転角推定部291の機能を起動させる。具体的には、回転角信号切替部292は、減算器252,253及び回転角速度演算部293に演算停止の指令Scを入力し、演算を停止させる。更に、回転角信号切替部292は、回転角θMの2軸3相変換部262、PWM変換部263への出力も停止する。これにより、PWM変換部263に入力される信号の元となる偏差値ΔIq*,ΔId*が生成されず、2軸3相変換部262、及びPWM変換部263に回転角θM又は推定回転角θeMも入力されないので、それらも演算を停止、インバータ60から電動機11への3相の駆動電流は供給されない。つまり、電動アシストが停止される。
また、回転角信号切替部292は、回転角推定部291に演算開始の指令Sdを入力しその機能をそれまでの待機状態から演算実行状態に移行させる。
電動パワーステアリング装置100(図1参照)の電動アシストがステップS04において停止されても、運転者が操向ハンドル2(図1参照)を操作して、電動機11を連れ回し回転させることにより、電動機11の3相巻き線には、誘起電圧が発生し、それが回転角推定部291に入力されることにより、ステップS05では、連れ回し時回転角推定演算部291bは、電圧センサSVuvwが検出した3相の誘起電圧に基づき、推定回転角θeM1の推定演算を開始する。推定演算された推定回転角θeM1は、回転角信号切替部292入力される。
この段階では、まだ電動機11の回転角速度が小さいため、連れ回し時回転角推定部291bにおいては、精度の良い推定回転角θeM1の値が得られておらず、回転角信号切替部292は、推定回転角θeMとして2軸3相変換部262、PWM変換部263、回転角速度演算部293に出力しない。
ステップS06では、ベース信号演算部220は、故障検出部290からのレゾルバ故障の信号を受信して、ベーステーブルを第1ベーステーブル220aから第2ベーステーブル220bに持ち替える。そして、操舵トルクTを用いて第2ベーステーブル220bを参照してベース目標電流値IBを演算する。その演算された結果のベース目標電流値IBを減算器251に出力する。また、そのときの車速VSに応じた第2ベーステーブル220bの不感帯上限トルク|±TNR2|の値を回転角信号切替部292に入力する。
ステップS07では、回転角信号切替部292は、操舵トルクTの絶対値が第2ベーステーブル220bの不感帯上限トルク|±TNR2|未満に下回った状態から不感帯上限トルク|±TNR2|以上を示したか(|T|≧|±TNR2|?)をチェックする。操舵トルクTの絶対値が第2ベーステーブル220bの不感帯上限トルク|±TNR2|未満に下回った状態から不感帯上限トルク|±TNR2|以上を示した場合(Yes)は、ステップS08へ進み、そうでない場合(No)は、ステップS07を繰り返す。
ステップS08では、回転角信号切替部292は、連れ回し時回転角推定部291bからの推定回転角θeM1を推定回転角θeMとして、2軸3相変換部262、PWM変換部263、回転角速度演算部293に出力開始するとともに、回転角速度演算部293、減算器252,253に出力していた演算停止の指令Scを解除する。
ステップS09では、回転角速度演算部293は、ステップS08で入力された推定回転角θeMを時間微分して推定回転角速度ωeMを演算する。演算された推定回転角速度ωeMは、回転角速度ωMの代替値としてイナーシャ補償信号演算部210及びダンパ補正信号演算部225に入力される。
ステップS10では、ベース信号演算部220が、第2ベーステーブル220bを用いて、操舵トルクTと車速VSに基づいてベース目標電流値IBを演算して、減算器251に入力する。
ステップS11では、ダンパ補正信号演算部225が、ダンパテーブル225aを用いて、推定回転角速度ωeM、車速VSに基づいてダンパ補正電流値IDを演算し、減算器251に出力し、減算器251においてベース目標電流値IBからダンパ補正電流値IDを減算し、その結果を加算器250に出力する。
ステップS12では、イナーシャ補償信号演算部210が、イナーシャテーブル210aを用いて、推定回転角速度ωeM、操舵トルクTに基づいてイナーシャ補償電流値IIを演算し、加算器250に入力する。その後、結合子(A)に従って、図7のステップS13へ進む。
ステップS13では、加算器250は、ステップS11における減算器251の結果と、ステップS12におけるナーシャ補償電流値IIとを加算し、q軸目標電流値Iq*を得る。ステップS14では、減算器252が、q軸目標電流値Iq*から3相2軸変換部265より入力されたq軸実電流値Iq(この繰り返しの最初の段階では、まだq軸実電流値Iq=0)を減算して、偏差値ΔIq*を得て、q軸PI制御部240に入力する。そして、ステップS15では、q軸PI制御部240がq軸目標電圧値Vq*を演算し、2軸3相変換部262、拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する(「q軸目標電圧値Vq*を演算」)。
d軸電流生成部285は、弱め界磁制御でない場合は、d軸目標電流値Id*として「ゼロ」を減算器253に入力し、ステップS16では、減算器253が、d軸目標電流値Id*から3相2軸変換部265から入力されたd軸実電流値Id(この繰り返しの最初の段階では、まだd軸実電流値Id=0)を減算して、偏差値ΔId*を得て、d軸PI制御部245に入力する。そして、ステップS17では、d軸PI制御部245がd軸目標電圧値Vd*を演算し、2軸3相変換部262、拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する(「d軸目標電圧値Vd*を演算」)。
その後、ステップS18では、電動機11を駆動開始する。具体的には、3相2軸変換部265は、推定回転角θeMを用いて3相信号Uu*,Uv*,Uw*の大きさに応じたDUTY信号(図2中では「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)を生成し、インバータ60に入力する。そして、インバータ60は、DUTY信号に応じた3相の実電流値Iu,Iv,Iwの各相電流を電動機11に供給し、駆動を開始する。3相2軸変換部265は、推定回転角θeMを用いて電流センサSIu,SIv,SIwで検出された3相の実電流値Iu,Iv,Iwに基づいてd軸実電流値Id、q軸実電流値Iqを算出し、d軸実電流値Idを減算器253及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力するとともに、q軸実電流値Iqを減算器252及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
ステップS19では、拡張誘起電圧オブザーバ291aと回転角推定演算部291cにおいて、推定回転角θeM2の演算を開始し、回転角信号切替部292に入力する。そして、回転角信号切替部292は推定回転角θeM2を推定回転角θeMとして出力を開始する(「推定回転角θeM2の演算開始」)。具体的には、拡張誘起電圧オブザーバ291aが、q軸PI制御部240及びd軸PI制御部245からそれぞれ入力されたq軸目標電圧値Vq*、d軸目標電圧値Vd*並びに3相2軸変換部265から入力されたd軸実電流値Id、q軸実電流値Iqに基づいて、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとを演算し、回転角推定演算部291cに入力する。そして、回転角推定演算部291cは、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとに基づいて推定回転角θeM2を演算開始する。このとき、回転角推定演算部291cからの推定回転角θeM2を演算開始の信号を受け連れ回し時回転角推定演算部291bは、推定回転角θeM1の演算を停止する。
その後、ステップS20では、推定回転角θeM、推定回転角速度ωeMに基づいて電動機11のセンサレス制御を実行する。
具体的には、ベース信号演算部220においてベーステーブルとして第2ベーステーブル220bが用いられ、q軸PI制御部240は、q軸目標電圧値Vq*を演算し、2軸3相変換部262及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。d軸PI制御部245は、d軸目標電圧値Vd*を演算して3相2軸変換部262及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
2軸3相変換部262は、推定回転角θeMを用いてd軸目標電圧値Vd*とq軸目標電圧値Vq*に基づいて3相信号Uu*,Uv*,Uw*に変換し、PWM変換部263及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに出力する。PWM変換部263は、推定回転角θeMを用いて3相信号Uu*,Uv*,Uw*の大きさに応じたDUTY信号(図2中では「DUTYu」,「DUTYv」,「DUTYw」と表示)を生成し、インバータ60に入力する。インバータ60は、DUTY信号に応じた3相の実電流値Iu,Iv,Iwの各相電流を電動機11に供給し、駆動する。
3相2軸変換部265は、推定回転角θeMを用いて電流センサSIu,SIv,SIwで検出された3相の実電流値Iu,Iv,Iwに基づいてd軸実電流値Id及びq軸実電流値Iqに座標変換演算し、d軸実電流値Idを減算器253及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力するとともに、q軸実電流値Iqを減算器252及び拡張誘起電圧オブザーバ291aに入力する。
そして、拡張誘起電圧オブザーバ291aは、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとを演算し回転角推定演算部291cに入力する。回転角推定演算部291cは、d軸の誘起電圧eedとq軸の誘起電圧eeqとに基づいてarctan(逆正接関数)演算をして推定回転角θeMを算出し、回転角信号切替部292に入力する。回転角信号切替部292は、回転角速度演算部293、2軸3相変換部262、PWM変換部263、3相2軸変換部265及びに推定回転角θeMを示す信号を入力する。このように、回転角推定部291による電動機11のセンサレス駆動制御がなされる。
ステップS21では、回転角推定演算部291cから入力される推定回転角速度ωeMがゼロになったか否かをチェックする(「ωeM=0?」)。具体的には、推定回転角速度ωeMの絶対値がゼロに近い所定の閾値よりも小さくなったときにωeM=0と判定する。ωeM=0の場合(Yes)は、結合子(B)に従って、図6のステップS01へ戻り、そうでない場合(No)は、ステップS22へ進む。
ステップS22では、制御装置200は、イグニッション・オフを検出したか否かをチェックする。イグニッション・オフを検出した場合(Yes)は、制御を終了し、検出しなかった場合(No)は、結合子(C)に従って、図8のステップS23に進む。
ステップS23では、ベース信号演算部220は、車速VSが増加して、第1ベーステーブル220aの不感帯上限トルク|±TNR1|が第2ベーステーブル220bの不感帯上限トルク|±TNR2|以上になったか否かをチェックする。第1ベーステーブル220aの不感帯上限トルク|±TNR1|が第2ベーステーブル220bの不感帯上限トルク|±TNR2|以上になった場合(Yes)は、ステップS24へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(D)に従って、図7のステップS20へ戻る。
ステップS24では、ベース信号演算部220は、操舵トルクTの絶対値が第1ベーステーブル220aの不感帯上限トルク|±TNR1|未満か否かをチェックする(|T|<|±TNR1|?)。操舵トルクTの絶対値が第1ベーステーブルの不感帯上限トルク|±TNR1|未満の場合(Yes)は、ステップS25へ進み、そうでない場合(No)は、結合子(D)に従って、図7のステップS20へ戻る。
ステップS25では、ベース信号演算部220は、ベーステーブルを第2ベーステーブル220bから第1ベーステーブル220aに持ち替える。
ステップS26では、推定回転角θeM、推定回転角速度ωeMに基づいて電動機11のセンサレス制御によるEPS制御を実行する。このステップS26の処理は、「ベース信号演算部220においてベーステーブルとして第2ベーステーブル220bが用いられ、q軸PI制御部240は、q軸目標電圧値Vq*を演算し、」を、「ベース信号演算部220においてベーステーブルとして第1ベーステーブル220aが用いられ、q軸PI制御部240は、q軸目標電圧値Vq*を演算し、」に読み替え、前記したステップS20の処理を行うものであるので重複する説明を省略する。
ステップS27では、回転角推定演算部291cから入力される推定回転角速度ωeMがゼロになったか否かをチェックする(「ωeM=0?」)。このステップS27は前記したステップS21と同じ内容の処理である。ωeM=0の場合(Yes)は、結合子(B)に従って、図6のステップS01へ戻り、そうでない場合(No)は、ステップS28へ進む。
ステップS28では、制御装置200は、イグニッション・オフを検出したか否かをチェックする。イグニッション・オフを検出した場合(Yes)は、制御を終了し、検出しなかった場合(No)はステップS26を続ける。
次に、図9を参照しながら、適宜、図1、図2、図4を参照してレゾルバ50(図2参照)が正常時と故障時のベース信号演算部220における補助トルクを出力させる(アシストする)制御の説明をする。図9は、車両の停止状態におけるレゾルバが正常時と故障時とのそれぞれの場合における操舵に伴う電動パワーステアリング装置の電動機の駆動制御の説明図であり、(a)は、操舵トルクの時間推移の説明図、(b)は、電動機の回転角速度及び電動機駆動電流の時間推移の説明図である。ここでは、車速VSが0km/hの操向ハンドル2(図1参照)の据え切り操作の場合の例である。
レゾルバ50が正常時の場合、図9の(a)に時間t2で運転者が操向ハンドル2の操舵を開始すると、中太実線で示すように操舵トルクTの絶対値が時間t2から増加する。操舵トルクTの絶対値がベース信号演算部220の第1ベーステーブル220a(図2参照)の車速VS=0km/hに対応した不感帯RNR1(図4参照)の不感帯上限トルク|±TNR1|以上になった時間t3から、ベース信号演算部220は、ベース目標電流値IBを出力し始める。つまり、図9の(b)に破線で示すように時間t3から電動機駆動電流が立ち上がる。そして、この電動機駆動電流が立ち上がるときの電動機11(図2参照)の回転角速度ωMは、図9の(b)にωM1で示した値である。
そして、レゾルバ50が故障時の場合、図2の(a)において時間t1で故障が発生したとすると、ベース信号演算部220は第2ベーステーブル220b(図2参照)を用いるように切り替わり、時間t2で運転者が操向ハンドル2の操舵を開始すると、中太実線で示すように操舵トルクTが時間t2から増加する。操舵トルクTがベース信号演算部220の第2ベーステーブル220bの車速VS=0km/hに対応した不感帯RNR2(図4参照)の不感帯上限トルク|±TNR2|以上になった時間t4から、ベース信号演算部220は、ベース目標電流値IBを出力し始める。つまり、図9の(b)に中太実線で示すように時間t4から電動機駆動電流が立ち上がる。そして、この電動機駆動電流が立ち上がるときの電動機11(図2参照)の回転角速度ωMは、図9の(b)にωM3で示した値である。
回転角推定部291の連れ回し時推定回転角演算部291b(図2参照)において演算された推定回転角θeM1の値が、実験的に精度良く演算できる回転角速度ωM2(図9の(b)参照)に対して、ωM3が十分上回るように不感帯上限トルク|±TNR2|の値を試験データに基づいて設定する。その結果、回転角速度ωM3は十分大きな値となり、連れ回し時回転角推定部291bは推定回転角θeM1を精度良く演算できる。
ちなみに、車両が走行を開始すると据え切り状態よりも電動機11の補助トルク無しでの操舵トルクTの絶対値は、前記した推定回転角θeM1の値が実験的に精度良く演算できる回転角速度ωM2のときの操舵トルクTの絶対値よりも低減するので、不感帯上限トルク|±TNR2|の値を低く設定できる。従って、前記したように車速VSが増大しても不感帯上限トルク|±TNR2|の値は、不感帯上限トルク|±TNR1|の値のように車速VSに応じて操舵感を重く運転者に感じさせるように車速VSの増大に応じて増加させる必要はなく、そのまま固定値とするか、逆に低下させるように設定可能である。従って、フローチャートのステップS18,S19のように不感帯上限トルク|±TNR1|の値が不感帯上限トルク|±TNR2|の値以上になり、ベーステーブルを第2ベーステーブル220bから第1ベーステーブル220aに持ち替えることができる。
本実施形態によれば、制御装置200(図2参照)は、故障検出部290(図2参照)によってレゾルバ50(図2参照)の故障が検出されない場合には、ベース信号演算部220は、操舵トルクTに対して電動機11を駆動しない不感帯を、不感帯上限トルクTNR1及び不感帯下限トルク−TNR1を幅とする正常時の不感帯RNR1として設定し、故障検出部290によってレゾルバ50の故障が検出された場合には、操舵トルクTに対して電動機11を駆動しない不感帯を、不感帯上限トルクTNR2及び不感帯下限トルク−TNR2を幅とする故障時の不感帯RNR2として、不感帯上限トルク及び不感帯下限トルクとも第1の不感帯RNR1よりも幅を拡大設定する。
従って、故障検出部290によってレゾルバ50の故障が検出された場合には、運転者が操向ハンドル2を手動操作して検出された操舵トルクTが拡大された第2の不感帯RNR2の不感帯上限トルクTNR2及び不感帯下限トルク−TNR2を超える際に、第1の不感帯RNR1の不感帯上限トルクTNR1及び不感帯下限トルク−TNR1を超える際より大きな絶対値の操舵トルクTの発生により電動機11をより高回転速度とする。その結果、電動機11の生じるより大きな値の誘起電圧に基づいて回転角推定部291の連れ回し時回転角推定演算部291bにおいて推定回転角θeM1をより精度良く推定演算できる状態となる。
そして、検出された操舵トルクTの絶対値が不感帯上限トルク|±TNR2|を超える際に、推定回転角θeM1を推定回転角θeMとし、それに基づいて制御装置200が、電動機11の駆動制御を再開することにより、精度の良い推定回転角θeMによって運転者の操向ハンドル2の操作方向と逆方向の補助トルクを発生することなく、電動機11を駆動制御することができる。
本実施形態によれば、特許文献3に記載の技術において、電動機11の誘起電圧最大値が所定値未満の場合は、操舵トルクTが示す操向ハンドル2の操作方向を判定して、一定の回転磁界を発生させる制御のため、例えば、電動機の実際の回転角速度よりも回転磁界の回転速度が遅いとき、逆に操舵反力が増加するというような違和感を運転者に与えるということが解消される。
また、制御装置200は、フローチャートの図6のステップS08に示したように操舵トルクセンサ30(図1参照)において不感帯上限トルク|±TNR2|以上の操舵トルクTの絶対値を検出している状態で、故障検出部290にてレゾルバ50の故障が検出された場合は、検出された操舵トルクT及び推定回転角θeMに基づいて電動機11の駆動制御を行わない。
従って、故障検出部290にてレゾルバ50の故障を検出したとき、電動機11による補助トルクの出力が喪失したことを、操舵反力の急増により運転者に感じさせて、レゾルバ50の故障を認知させることができる。
前記した特許文献3に記載の技術のような電動機の駆動制御とする場合は、制御装置200は、レゾルバ50が故障していると判定されるまでは、レゾルバ50からの回転角θMに基づいてそれまで電動機11の駆動制御をしていたものが、レゾルバ50が故障していると判定された直後以降において急に回転角推定部291から出力された推定回転角θeMに基づいて電動機11の駆動制御を行うことになり、電動機11の駆動制御の不連続性が生じて、運転者に操向ハンドル2から操舵反力の不連続を感じさせることになる。
よって、本実施形態によれば、そのような駆動制御の不連続性が生じて、運転者に操向ハンドル2から操舵反力の不連続を感じさせることを防止でき、確実に運転者にレゾルバ50が故障したことを認知させることができる。
もちろん、その後、操舵トルクTの絶対値が減少して、不感帯上限トルク|±TNR2|未満となり、故障時の不感帯RNR2の操舵トルクの幅の範囲に入った後、操舵トルクTの絶対値が不感帯上限トルク|±TNR2|の値を超えたとき、操舵トルクT及び推定回転角θeMに基づいて電動機11の駆動制御を開始することができる。
制御装置200は、少なくとも正常時の不感帯RNR1の操舵トルク幅を、車速VSの増大に応じて拡大設定し、レゾルバ50の故障が検出された場合に適用される故障時の不感帯RNR2の上限値である不感帯上限トルク|±TNR2|に対し、正常時の不感帯RNR1の上限値である不感帯上限トルク|±TNR1|がそれ以上の値になったとき、故障時の不感帯RNR2として正常時の不感帯RNR1を用いる。
もし、制御装置200が、レゾルバ50が故障と判定されて、推定回転角θeM及び操舵トルクTに基づいて電動機11の駆動制御を継続している場合に、従来から車速VSに応じて車速VSが増大するほど正常時の不感帯RNR1の幅を拡大するように設定されているものを、同一の車速VSに対して故障時の不感帯RNR2を正常時の不感帯RNR1よりも操舵トルク幅の広いものに設定することにすると、つまり、同一の車速VSに対して故障時の不感帯RNR2の不感帯上限トルク|±TNR2|を正常時の不感帯RNR1の不感帯上限トルク|±TNR1|より大きな設定とすると、車速VSが中、高車速の領域で、レゾルバ50が故障時の推定回転角θeMを電動機11の駆動制御に用いていると、通常時の操舵感覚に対し運転者に操舵力を重く感じさせ違和感を与えることになる。
従って、本実施形態によれば、それを防止することができる。例えば、高速走行中のレーンチェンジ時の操向ハンドル2の操作において、レゾルバ50が正常に動作して、操舵トルクT及び回転角θMに基づいて、電動機11の駆動制御がなされる場合と、レゾルバ50が故障していて、操舵トルクT及び推定回転角θeMに基づいて、電動機11の駆動制御がなされる場合とで運転者に与える操作感覚を同じにできる。
更に、本実施形態では、回転角推定部291は、電動機11の回転子の回転に伴って生じる誘起電圧を演算して検出する拡張誘起電圧オブザーバ291aを含むので、故障検出部290においてレゾルバ50の故障を検出した後、運転手が手動のみで操向ハンドル2を操作することによって電動機11の回転子が回転することによって生じる誘起電圧を拡張誘起電圧オブザーバ291aによって演算して検出し、回転角推定部291は電動機11の推定回転角θeMを誘起電圧に基づいて、繰り返し計算により正確に算出することができる。
本実施形態では、レゾルバ50が正常な場合、回転角推定部291は、演算動作せず待機状態としたが、それに限定されるものではなく、回転角推定部291は演算しているが、回転角信号切替部292において回転角推定部291からの出力である推定回転角θeM2を推定回転角θeMとして採用し出力することをしないとしても良い。
2 操向ハンドル(操舵輪)
10 転舵輪
11 電動機
30 操舵トルクセンサ
35 車速センサ
50 レゾルバ(回転角センサ)
60 インバータ
100 電動パワーステアリング装置
200 制御装置
210 イナーシャ補償信号演算部(電動機駆動制御手段)
220 ベース信号演算部(電動機駆動制御手段)
220a 第1ベーステーブル
220b 第2ベーステーブル
225 ダンパ補正信号演算部(電動機駆動制御手段)
240 q軸PI制御部(電動機駆動制御手段)
245 d軸PI制御部(電動機駆動制御手段)
250 加算器(電動機駆動制御手段)
251,252,253 減算器(電動機駆動制御手段)
262 2軸3相変換部(電動機駆動制御手段)
263 PWM変換部(電動機駆動制御手段)
265 3相2軸変換部(電動機駆動制御手段)
280 電動機速度演算部(電動機駆動制御手段)
290 故障検出部(故障検出手段)
291 回転角推定部(回転角推定手段)
291a 拡張誘起電圧オブザーバ
291b 連れ回し時推定回転角演算部
291c 推定回転角演算部
292 回転角信号切替部(電動機駆動制御手段)
293 回転角速度演算部(電動機駆動制御手段)
NR1 正常時の不感帯(第1の不感帯)
NR2 故障時の不感帯(第2の不感帯)
−TNR1 不感帯下限トルク(第1の下限値)
NR1 不感帯上限トルク(第1の上限値)
−TNR2 不感帯下限トルク(第2の下限値)
NR2 不感帯上限トルク(第2の上限値)

Claims (3)

  1. 操舵輪に入力される操舵トルクを検出する操舵トルクセンサと、
    前記操舵輪の操作を、補助トルクを発生して補助する電動機と、
    前記電動機の回転角を検出する回転角センサと、
    該回転角センサの故障を検出する故障検出手段と、
    前記電動機の誘起電圧に基づいて前記電動機の回転角を推定する回転角推定手段と、
    前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出されない場合は、前記操舵トルクセンサにより検出された前記操舵トルク及び前記回転角センサによって検出された前記回転角に基づいて前記電動機を駆動制御し、前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出された場合は、前記操舵トルクセンサにより検出された前記操舵トルク及び前記回転角推定手段によって推定された前記回転角に基づいて前記電動機を駆動制御する電動機駆動制御手段と、を備える電動パワーステアリング装置において、
    前記電動機駆動制御手段は、
    前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出されない場合には、前記操舵トルクに対して前記電動機を駆動しない不感帯を、第1の上限値及び第1の下限値を幅とする第1の不感帯として設定し、
    前記故障検出手段によって前記回転角センサの故障が検出された場合には、前記不感帯を、第2の上限値及び第2の下限値を幅とする第2の不感帯として、上限値及び下限値とも前記第1の不感帯よりも拡大設定し、
    前記回転角推定手段は、
    前記検出された操舵トルクが前記拡大された前記第2の不感帯の前記第2の上限値又は前記第2の下限値を超える際に、運転者の操舵輪の操作による前記電動機の回転によって生じる誘起電圧に基づいて前記回転角を推定し、
    前記電動機駆動制御手段が、前記推定された回転角に基づいて前記電動機の駆動制御を開始し、
    前記電動機駆動制御手段は、車速の増大に応じて、前記不感帯を、第3の不感帯として、上限値及び下限値とも前記第1の不感帯よりも拡大設定し、
    前記第3の不感帯の拡大設定に係る限度幅は、前記第2の不感帯の幅に基づいて定められ、前記第3の不感帯の幅が前記第2の不感帯の幅を超える場合に、前記第3の不感帯の拡大設定が禁止されることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記電動機駆動制御手段は、
    前記操舵トルクセンサにおいて前記第2の不感帯を超える操舵トルクを検出している状態で、前記故障検出手段にて前記回転角センサの故障が検出された場合には、前記検出された操舵トルク及び前記推定された回転角に基づいて前記電動機の駆動制御を行わないことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記回転角推定手段は、
    前記電動機の回転子の回転に伴って生じる誘起電圧を演算して検出する拡張誘起電圧オブザーバを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置。
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