JP5381536B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)がある。通常、このようなEPSでは、ステアリングシャフトの途中にトルクセンサが設けられており、操舵系に付与するアシスト力の制御は、その検出される操舵トルクに基づいて行なわれる。そのため、トルクセンサに何らかの異常が生じた場合、何の手立てもないとすれば、そのパワーアシスト制御を停止せざるを得なくなる。
そこで、従来、このようにトルクセンサに異常が生じた場合には、ステアリングセンサにより検出される操舵角に基づいて、代替的なアシスト制御を実行する様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1に記載のEPSは、操舵角及び操舵速度に基づいて操舵トルクに代替する制御目標値を演算する。また、特許文献2には、操舵角及びモータ角からトーションバーの捻れ角を演算することにより代替的に操舵トルクを検出する構成が開示されている。そして、このような操舵角に基づく代替アシスト制御を実行することにより、トルクセンサ異常時においても、継続して操舵系にアシスト力を付与することが可能となっている。
特開2004−338562号公報 特開2005−219573号公報
ところで、通常、ステアリングセンサによる操舵角の検出精度は、トルクセンサを構成する各回転角センサの検出精度と比較して著しく粗いものとなっている。これは、操舵角の微小変化が車両の走行状態に与える影響は極めて限定的であるため、一般的な車両制御においては、その検出精度が問題となることは極めて稀だからである。従って、上記特許文献2のように操舵角からトーションバーの捻れ角を演算しようとすれば、そのステアリングセンサに、通常時には過剰ともいえる検出精度を求めざるをえないことになる。
一方、上記特許文献1のように操舵角に基づいて代替的な制御目標値を演算する構成では、その制御目標値の演算は、主として、操舵角(及び操舵速度、並びにこれらの変化)に示される操舵状態を推定することにより行なわれる。このため、上記一般的な車両制御の場合と同様、そのステアリングセンサに過度の検出精度を要求とせず、その結果、検出精度を確保するためのコスト増を回避することができるという利点がある。
ところが、このような操舵状態の推定による制御目標値を用いた代替アシスト制御では、操舵系に付与したアシスト力が制御にフィードバックされないため、当該アシスト力に過不足が生ずる可能性がある。そして、特に、アシスト力が過剰である場合には、転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアの発生により、運転者に不安を与えてしまうおそれがある。
そこで、例えば、駆動源であるモータに設けられた回転角センサ(レゾルバ等)により、トーションバーよりも転舵輪側の回転角を検出する。そして、当該回転角の変化が操舵角の変化よりも先行する場合には、上記セルフステアが発生したものと判定して、その操舵系に対するアシスト力の付与を停止する方法が考えられる。
しかしながら、このような対策を施したとしても、その代替的なアシスト制御が操舵角に基づくものである以上、アシスト力付与の停止によるセルフステアの解消とともに、操舵系に対するアシスト力の付与が再開される。このため、そのアシスト力付与の再開によりセルフステアが再発した場合には、こうしたアシスト力の付与の停止及び再開が繰り返し行なわれることになる。その結果、ステアリングシャフトに設けられた上記トーションバーが共振し、ステアリングの振動を伴いつつ、そのセルフステアが進行してしまうおそれがあり、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、トルクセンサ異常時の代替的なアシスト制御時においても過剰アシストの発生を抑えて安定的にアシスト力付与を継続することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記トーションバーよりも転舵輪側において操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、検出される操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記トルクセンサの異常を検出する異常検出手段と、前記トーションバーよりもステアリング側の第1の舵角を検出する第1舵角検出手段と、前記トーションバーよりも転舵輪側の第2の舵角を検出する第2舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサの異常が検出された場合には、検出される第1の舵角に基づく代替アシスト制御を実行するとともに、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合には、前記操舵系に対するアシスト力の付与を停止する電動パワーステアリング装置において、前記ステアリングの回転状態に基づき前記ステアリング操作の状態が切り戻し状態であるか否かを判定する判定手段を備え、前記制御手段は、前記ステアリング操作の状態が切り戻し状態である場合には、前記操舵系に付与するアシスト力を低減すること、を要旨とする。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記操舵系に付与するアシスト力をゼロに低減すること、を要旨とする。
即ち、トーションバーの共振により第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する状況、即ちセルフステアが進行する場合には、そのステアリング操作の状態が、第1の舵角の絶対値を増大させる所謂「切り込み」と、同第1の舵角の絶対値を減少させる上記「切り戻し」との間で小刻みに切り替わる。ところが、通常、第1の舵角に基づく代替アシスト制御の実行時には、その第1の舵角の発生方向に対してアシスト力が付与される。そのため、ステアリング操作の方向に関わらず、セルフステアの解消とほぼ同時に、切り込み方向のアシスト力が付与されることになり、その結果、トーションバーの共振が助長される。
この点、上記各構成によれば、少なくとも切り戻し状態である場合には、その切り込み方向にセルフステアの発生させるアシスト力が低減される。その結果、トーションバーの共振を抑えることができ、ひいては、その切り込み方向におけるセルフステアの進行を抑制することができる。特に、請求項2のように、操舵系に付与するアシスト力をゼロに低減、或いは略ゼロに低減し、実質的にそのアシスト力付与を停止することで、より顕著な効果を得ることができる。そして、これにより、トルクセンサ異常時の代替的なアシスト制御時においても、安定的にアシスト力付与を継続することができるようになる。
請求項3に記載の発明は、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行するか否かの判定は、前記第1の舵角と前記第2の舵角との差分値に基づき行なわれるものであって、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合において、その先行状態を解消すべく実行されるアシスト力付与の停止及びその先行状態の解消によるアシスト力付与の再開により生ずる前記トーションバーの共振に対応する周波数帯域について、その制御の安定化を図るべく、前記差分値の位相補償制御を行なう位相補償手段を備えたこと、を要旨とする。
即ち、セルフステア抑制制御の基礎となる第1の舵角と前記第2の舵角との差分値について、その急峻な変化を抑えるように位相補償制御を行なうことで、制御の安定性を高めることができる。従って、上記構成によれば、トーションバーの共振を抑えて、セルフステアの進行を抑制することができる。
請求項4に記載の発明は、前記位相補償手段は、その位相補償制御として、位相進み遅れ補償を行なうこと、を要旨とする。
上記構成によれば、応答性の悪化を招くことなく、差分値の急峻な変化を抑えることができる。その結果、より効果的にトーションバーの共振を抑えて、セルフステアの進行を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記トーションバーよりも転舵輪側において操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、検出される操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記トルクセンサの異常を検出する異常検出手段と、前記トーションバーよりもステアリング側の第1の舵角を検出する第1舵角検出手段と、前記トーションバーよりも転舵輪側の第2の舵角を検出する第2舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサの異常が検出された場合には、検出される第1の舵角に基づく代替アシスト制御を実行するとともに、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合には、前記操舵系に対するアシスト力の付与を停止する電動パワーステアリング装置において、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行するか否かの判定は、前記第1の舵角と前記第2の舵角との差分値に基づき行なわれるものであって、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合において、その先行状態を解消すべく実行されるアシスト力付与の停止及びその先行状態の解消によるアシスト力付与の再開により生ずる前記トーションバーの共振に対応する周波数帯域について、その制御の安定化を図るべく、前記差分値の位相補償制御を行なう位相補償手段を備えたこと、を要旨とする。
即ち、セルフステア抑制制御の基礎となる第1の舵角と前記第2の舵角との差分値について、その急峻な変化を抑えるように位相補償制御を行なうことで、制御の安定性を高めることができる。従って、上記構成によれば、トーションバーの共振を抑えて、セルフステアの進行を抑制することができる。その結果、トルクセンサ異常時の代替的なアシスト制御時においても、安定的にアシスト力付与を継続することができるようになる。
本発明によれば、トルクセンサ異常時の代替的なアシスト制御時においても過剰アシストの発生を抑えて安定的にアシスト力付与を継続することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 EPSの制御ブロック図。 (a)(b)舵角差分値と抑制ゲインとが関連付けられたマップの概略構成図。 (a)位相遅れフィルタのゲイン特性を示す説明図、(b)位相進みフィルタの位相特性を示す説明図。 切り戻し時におけるアシスト力の停止についての処理手順を示すフローチャート。 切り戻し時におけるアシスト力の低減についての処理手順を示すフローチャート。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。そして、EPSアクチュエータ10は、モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
一方、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15及び第1舵角検出手段としてのステアリングセンサ(操舵角センサ)16が接続されている。そして、ECU11は、これら各センサの出力信号に基づいて、車速V、操舵トルクτ及び操舵角θsを検出する。
詳述すると、本実施形態では、コラムシャフト3aの途中、詳しくは、上記EPSアクチュエータ10を構成する減速機構13よりもステアリング2側にトーションバー17が設けられている。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、このトーションバー17の捩れに基づいて、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出可能なセンサ信号Sa,Sbを出力するセンサ素子14a,14bを備えて構成されている。
尚、このようなトルクセンサは、例えば、特開2003−149062号公報に示されるように、トーションバー17の捩れに基づき磁束変化を生ずるセンサコア(図示略)の外周に、二つの磁気検出素子(本実施形態ではホールIC)を上記各センサ素子14a,14bとして配置することにより形成することが可能である。
即ち、回転軸であるステアリングシャフト3に対するトルク入力によりトーションバー17が捻れることで、その各センサ素子14a,14bを通過する磁束が変化する。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、その磁束変化に伴い変動する各センサ素子14a,14bの出力電圧を、それぞれセンサ信号Sa,Sbとして、ECU11に出力する構成となっている。
また、本実施形態のステアリングセンサ16は、トルクセンサ14よりもステアリング2側においてコラムシャフト3aに固定された回転子18と、該回転子18の回転に伴う磁束変化を検出するセンサ素子(ホールIC)19とを備えた磁気式の回転角センサにより構成されている。
そして、ECU11は、これら検出される各状態量に基づいて目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち操舵系に付与するアシスト力を制御する構成となっている。
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えて構成されている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ23、及びモータ12の回転角θmを検出するための回転角センサ24(図1参照)が接続されている。そして、マイコン21は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ23及び回転角センサ24の出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及び回転角θmに基づいて、駆動回路22に出力するモータ制御信号を生成する。
尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン21が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン21は、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
詳述すると、マイコン21は、モータ12に対する電力供給の目標値である電流指令値I*を演算する電流指令値演算部25と、電流指令値演算部25により算出された電流指令値I*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部26とを備えている。
電流指令値演算部25には、上記アシスト力目標値の基礎成分としての基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部27が設けられており、本実施形態では、この基本アシスト制御部27には、車速V及び操舵トルクτが入力されるようになっている。
ここで、本実施形態では、トルクセンサ14が出力するセンサ信号Sa,Sbは、マイコン21に設けられた操舵トルク検出部29に入力されるようになっており、基本アシスト制御部27には、同操舵トルク検出部29において各センサ信号Sa,Sbに基づき検出される操舵トルクτが入力されるようになっている。そして、基本アシスト制御部27は、当該操舵トルクτの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力を付与すべき旨の基本アシスト制御量Ias*を演算する構成となっている。
また、本実施形態では、上記操舵トルク検出部29には、トルクセンサ14の出力するセンサ信号Sa,Sbに基づき同トルクセンサ14の異常を検出する異常検出手段としての機能が備えられており、同操舵トルク検出部29は、その検出結果を示す異常検出信号Strを電流指令値演算部25に出力する。そして、電流指令値演算部25は、その入力される異常検出信号Strが正常である旨を示すものである場合、即ちトルクセンサ14が正常に作動している通常時には、この基本アシスト制御量Ias*に基づく値を上記電流指令値I*として、モータ制御信号出力部26に出力する構成となっている。
一方、モータ制御信号出力部26には、この電流指令値演算部25が出力する電流指令値I*とともに、電流センサ23により検出された実電流値I、及び回転角センサ24により検出されたモータ12の回転角θmが入力される。そして、モータ制御信号出力部26は、この電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力の供給により回転するブラシレスモータが用いられている。そして、モータ制御信号出力部26は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値I*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部26に入力され、モータ制御信号出力部26は、回転角センサ24により検出された回転角θmに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部26は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
このようにして生成されたモータ制御信号は、マイコン21から駆動回路22へと出力され、同駆動回路22により当該モータ制御信号に基づく三相の駆動電力がモータ12へと供給される。そして、その操舵トルクτに基づくアシスト力目標値としての電流指令値I*に相当するモータトルクが発生することにより、当該アシスト力目標値に対応するアシスト力が操舵系に付与される構成となっている。
また、本実施形態では、上記電流指令値演算部25には、ステアリングセンサ16により検出される操舵角θsに基づいて代替アシスト制御量Isb*を演算する代替アシスト制御部30が設けられている。そして、本実施形態の電流指令値演算部25は、トルクセンサ14に何らかの異常が発生した場合には、この代替アシスト制御部30が演算する代替アシスト制御量Isb*に基づく値を、上記電流指令値I*としてモータ制御信号出力部26に出力する構成となっている。
詳述すると、本実施形態の代替アシスト制御部30には、操舵角θsに加え、操舵速度ωs及び車速Vが入力されるようになっている。そして、代替アシスト制御部30は、これらの各状態量に基づいて、その代替アシスト制御量Isb*の演算を実行する。尚、この代替アシスト制御量Isb*の演算の詳細については、例えば上記特許文献1に記載の内容を参照されたい。
また、本実施形態の電流指令値演算部25には、切替制御部31が設けられており、代替アシスト制御部30において演算された代替アシスト制御量Isb*は、上記基本アシスト制御部27において演算された基本アシスト制御量Ias*及び上記操舵トルク検出部29の出力する異常検出信号Strとともに、この切替制御部31に入力される。そして、同切替制御部31は、その入力される異常検出信号Strがトルクセンサ14の異常を示すものである場合には、上記基本アシスト制御量Ias*に代えて、代替アシスト制御量Isb*を出力する構成となっている。
ここで、上述のように、この操舵角θsに基づく代替アシスト制御は、基本的に当該操舵角θsを介した操舵状態の推定により、その操舵角θsの発生方向に対してアシスト力を付与するものである。このため、その操舵系に付与したアシスト力が当該代替アシスト制御にフィードバックされず、結果として、そのアシスト力に過不足が生ずる可能性がある。
そこで、本実施形態の電流指令値演算部25には、そのアシスト力過剰が引き起こす問題、即ち過剰アシスト力により転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアの発生を抑制すべくセルフステア抑制制御部32が設けられている。そして、セルフステアの発生時には、このセルフステア抑制制御部32の実行するセルフステア抑制制御によって、操舵系に対するアシスト力付与を停止することにより、そのセルフステアの抑制を図る構成となっている。
詳述すると、本実施形態のマイコン21には、モータ12の回転角θmを、ステアリングシャフト3におけるトーションバー17よりも転舵輪7側の回転角、即ち第2の舵角に換算した換算舵角θcnvを演算する換算舵角演算部33が設けられている。即ち、本実施形態では、この換算舵角演算部33及びモータ12に設けられた回転角センサ24により第2舵角検出手段が構成されている。そして、本実施形態のセルフステア抑制制御部32は、この換算舵角演算部33により演算される換算舵角θcnvと、トーションバー17よりもステアリング2側の第1の舵角、即ち上記ステアリングセンサ16により検出される操舵角θsとに基づいて、上記のようなセルフステアが発生しているか否かを判定する(セルフステア判定)。
即ち、セルフステアは、アシスト力の過剰によって、転舵がステアリング操作に先行する現象であり、当該セルフステアの発生時には、ステアリングシャフト3は、そのトーションバー17の転舵輪7側が、そのステアリング2側に先立って操舵方向に捩れることになる。従って、第1の舵角としての操舵角θsの変化と第2の回転角である換算舵角θcnvの変化との比較において、当該換算舵角θcnvの変化がトーションバー17を挟んでステアリング2側の回転角である操舵角θsの変化に先行する場合には、セルフステアが発生していると判定することが可能である。
また、セルフステア抑制制御部32は、上記のようなセルフステア判定の結果に基づいて、セルフステアを抑制すべく操舵系に付与するアシスト力を低減可能な抑制ゲインKslfを演算する。そして、本実施形態では、このセルフステア抑制制御部32が出力する抑制ゲインKslfを、乗算器34において、上記代替アシスト制御部30の出力する代替アシスト制御量Isb*の乗算することにより、そのセルフステア抑制制御として、セルフステア発生時におけるアシスト力の停止が実行されるようになっている。
具体的には、本実施形態のセルフステア抑制制御部32は、そのセルフステア判定の結果がセルフステアの発生を示すものである場合には、抑制ゲインKslfとして「0」を演算する。そして、その判定結果が、セルフステアの発生を否定するものである場合には、抑制ゲインKslfとして「1」を演算する。
即ち、セルフステアの発生時には、その抑制ゲインKslfを乗じた後の代替アシスト制御量Isb*が「0」となることで、電流指令値演算部25の出力する電流指令値I*も基本的に「0」となる。そして、この駆動電力の停止により操舵系に付与するアシスト力を急漸減し、そのセルフステアを引き起こす要因となるアシスト力過剰を解消することにより、当該セルフステアの発生を抑制する構成となっている。
尚、本実施形態では、セルフステア抑制制御部32には、上記操舵トルク検出部29の出力する異常検出信号Strが入力されるようになっており、セルフステア抑制制御部32は、この異常検出信号Strに基づいて、トルクセンサ14の異常を検知する。そして、トルクセンサ14に異常のない場合、即ち上記基本アシスト制御部27が出力する基本アシスト制御量Ias*に基づき電流指令値I*が演算される通常制御時には、抑制ゲインKslfとして「1」を出力するように構成されている。
さらに詳述すると、本実施形態のセルフステア抑制制御部32には、上記操舵トルク検出部29が出力する異常検出信号Str、操舵角θs及び換算舵角θcnvが入力される。また、本実施形態では、減算器35において、操舵角θsから換算舵角θcnvを減算することにより舵角差分値θdfが演算されるようになっており(θdf=θs−θcnv)、セルフステア抑制制御部32には、上記異常検出信号Str、操舵角θs及び換算舵角θcnvとともに、この舵角差分値θdf(θdf´)が入力される。そして、セルフステア抑制制御部32は、この舵角差分値θdfに示されるセルフステアの発生状態、即ち第1の舵角である操舵角θsの変化に対して第2の舵角である換算舵角θcnvの変化が先行する状況にあるか否かに基づいて、上記抑制ゲインKslfを演算する構成となっている。
具体的には、本実施形態のセルフステア抑制制御部32は、図3(a)(b)に示されるような上記舵角差分値θdfと抑制ゲインKslfとが関連付けられたマップ32a,32bを備えている。本実施形態では、図3(a)に示すマップ32aは、操舵角θsの発生方向が「右」である場合(右切り、操舵角θsの符号は「+」)に対応して設計され、図3(b)に示すマップ32bは、その操舵角θsの発生方向が「左」である場合(左切り、操舵角θsの符号は「−」)に対応して設計されている。そして、セルフステア抑制制御部32は、その操舵角θsの発生方向に応じて、これらの各マップ32a,32bを用いたマップ演算を行なうことにより、その抑制ゲインKslfを演算する。
即ち、セルフステアの発生を示す換算舵角θcnvの変化が操舵角θsの変化に「先行」する状態としては、例えば、「右切り時」、その操舵角θs及び換算舵角θcnvの変化方向がともに「右」である場合において、操舵角θsよりも換算舵角θcnvの方が「右」側にある場合がこれに該当する。そして、「右切り時」における操舵角θs及び換算舵角θcnvの符号はともに「+」であることから、上記のようなセルフステアが発生している状態においては、その舵角差分値θdfの符号は「−」となる。
本実施形態では、図3(a)に示される上記「右切時」用のマップ32aは、このような状況に対応して、その舵角差分値θdfの符号が「−」である場合(θdf<0)には、抑制ゲインKslfが「0」となるように、また、その符号が「+」又はその値が「0」である場合(θdf≧0)には、抑制ゲインKslfが「1」となるように設計されている。
同様に、「左切り時」には、その操舵角θs及び換算舵角θcnvの変化方向がともに「左」、且つ操舵角θsよりも換算舵角θcnvの方が「左」側にある場合が、セルフステアの発生を示す状態となり、「左切り時」に対応する符号は「−」であることから、この場合における舵角差分値θdfの符号は「+」となる。そして、図3(b)に示される上記「左切時」用のマップ32bは、このような状況に対応して、その舵角差分値θdfの符号が「+」である場合(θdf>0)には、抑制ゲインKslfが「0」となるように、また、その符号が「−」又はその値が「0」である場合(θdf≦0)には、抑制ゲインKslfが「1」となるように設計されている。
そして、本実施形態のセルフステア抑制制御部32は、このように構成された各マップ32a,32bを用いたマップ演算の実行により、そのセルフステア判定と抑制ゲインKslfの演算とを同時に処理する構成となっている。
(共振抑制制御)
次に、セルフステア抑制制御実行時におけるトーションバーの共振抑制制御について説明する。
上述のように、上記のようなセルフステア抑制制御の実行により、アシスト力の付与の停止及び再開が繰り返されることで、ステアリングシャフト3に設けられたトーションバー17が共振し、その結果、ステアリング2の振動を伴いつつ、そのセルフステアが進行してしまう可能性がある。
この点を踏まえ、図2に示すように、本実施形態のマイコン21(電流指令値演算部25)には、そのセルフステア抑制制御の基礎となる舵角差分値θdfの位相補償制御を実行する位相補償手段としての位相補償制御部36が設けられている。そして、本実施形態では、その位相補償後の舵角差分値θdf´に基づいて、上記セルフステア抑制制御を実行することにより、その安定性を高める構成となっている。
詳述すると、本実施形態の位相補償制御部36は、図4(a)に示されるようなゲイン特性を有する位相遅れフィルタ36a、及び図4(b)に示されるような位相特性を有する位相進みフィルタ36bを備えている。具体的には、図4(a)に示すように、位相遅れフィルタ36aは、トーションバー17の共振点(同図中、実線Lに示される周波数)を中心とする所定の周波数帯域(共振周波数帯域)において、そのゲインが下がるように設計されている。また、図4(b)に示すように、位相進みフィルタ36bは、同共振周波数帯域において、その位相が進むように設計されている。尚、本実施形態では、これらの共振点及び共振周波数帯域は、実験或いはシミュレーション等により、その車両(車種)毎に設定されている。そして、位相補償制御部36は、上記舵角差分値θdfに対し、これら位相遅れフィルタ36a及び位相進みフィルタ36bを用いた位相進み遅れ補償を実行することにより、上記のようなトーションバー17の共振が顕著となる共振周波数帯域における制御の安定化を図る構成となっている。
また、本実施形態では、上記セルフステア抑制制御部32は、その各マップ32a,32bを用いたセルフステア判定及び抑制ゲインKslfの演算に先立って、そのステアリング操作の状態(操舵状態)が、操舵角θsの絶対値を減少させる所謂「切り戻し」状態であるか否かを判定する。そして、切り戻し状態であると判定した場合には、セルフステアの如何に関わらず上記抑制ゲインKslfとして「0」を出力することにより、そのアシスト力付与を停止させるようになっている。
即ち、トーションバー17の共振によりステアリング2の振動を伴いつつセルフステアが進行する場合には、そのステアリング操作の状態が、操舵角θsの絶対値を増大させる所謂「切り込み」と上記「切り戻し」との間で小刻みに切り替わる状況となる。ここで、本来、「切り戻し」方向のステアリング操作は、切り込み方向に生じたセルフステアを解消させる作用を有している。ところが、操舵角θsに基づく代替アシスト制御の実行時には、そのステアリング操作の方向に関わらず、操舵角θsの発生方向に対してアシスト力が付与されるため、そのセルフステアの解消とほぼ同時に、切り込み方向のアシスト力が付与されることになる。そして、これにより、トーションバー17の共振が助長される結果、その切り込み方向のセルフステアが、より一層、進行してしまうのである。
しかしながら、上記のように、切り戻し状態である場合には、セルフステアの如何に関わらずアシスト力の付与を停止することで、その切り込み方向にセルフステアを発生させるアシスト力が低減される。そして、本実施形態では、これにより、トーションバーの共振を抑え、ひいては、その切り込み方向におけるセルフステアの進行を抑制することが可能となっている。
詳述すると、図5のフローチャートに示すように、セルフステア抑制制御部32は、操舵角θsの発生方向を判定すると(ステップ101)、続いて、そのステアリング操作の状態を判定する(操舵状態判定、ステップ102及びステップ103)。具体的には、この操舵状態判定を実行する判定手段としてのセルフステア抑制制御部32は、前回の演算周期において取得した操舵角θsの値を操舵角前回値θs_bとして保持する機能を有している。そして、上記ステップ102及びステップ103における操舵状態判定は、その操舵角θsと操舵角前回値θs_bとの差分(θs−θs_b)を求めることにより行なわれる。
即ち、上記ステップ101において、「右切り」と判定された場合(θs>0、ステップ101:YES)、そのステアリング操作の状態は、操舵角θsと操舵角前回値θs_bとの差分が「正」である場合(θs−θs_b>0)には「切り込み」であり、「負」である場合(θs−θs_b<0)には「切り戻し」となる。
また、上記ステップ101において、「左切り」と判定された場合(θs<0、ステップ101:NO)、そのステアリング操作の状態は、操舵角θsと操舵角前回値θs_bとの差分が「負」である場合(θs−θs_b<0)には「切り込み」であり、「正」である場合(θs−θs_b>0)には「切り戻し」となる。尚、本実施形態では、その差分の値が「0」である場合には、ステアリング操作の状態は「切り戻し」であるものとして取り扱われる。
そして、セルフステア抑制制御部32は、このステップ102及びステップ103の操舵状態判定において、ステアリング操作の状態が「切り戻し」であると判定した場合(ステップ102:NO、又はステップ103:NO)には、その抑制ゲインKslfとして「0」を演算する(ステップ104)。
また、右切り時(ステップ101:YES)、ステアリング操作の状態が「切り込み」であると判定した場合(ステップ102:YES)には、上記「右切時」用のマップ32a(図3(a)参照)を用いたマップ演算の実行により、抑制ゲインKslfを演算する(ステップ105)。そして、左切り時(ステップ101:NO)、ステアリング操作の状態が「切り込み」であると判定した場合(ステップ103:YES)には、上記「左切時」用のマップ32b(図3(b)参照)を用いたマップ演算の実行により、抑制ゲインKslfを演算する(ステップ106)。
そして、本実施形態では、このようにして上記ステップ104〜ステップ106の何れかにおいて演算された抑制ゲインKslfが、上記代替アシスト制御量Isb*に乗算されることにより、トーションバー17の共振を抑えつつ、そのセルフステア抑制制御が実行されるようになっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)マイコン21(セルフステア抑制制御部32)は、過剰アシスト力により転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアの有無を判定し、当該セルフステアが発生している場合には、抑制ゲインKslfとして「0」を演算することにより、その操舵系に付与するアシスト力を停止する。また、マイコン21は、上記セルフステア判定及び抑制ゲインKslfの演算に先立って、そのステアリング操作の状態(操舵状態)が、操舵角θsの絶対値を減少させる所謂「切り戻し」状態であるか否かを判定する。そして、切り戻し状態であると判定した場合には、セルフステアの如何に関わらず上記抑制ゲインKslfとして「0」を演算することにより、そのアシスト力付与を停止する。
即ち、トーションバー17の共振によりステアリング2の振動を伴いつつセルフステアが進行する場合には、そのステアリング操作の状態が、操舵角θsの絶対値を増大させる所謂「切り込み」と上記「切り戻し」との間でに切り替わる状況となる。しかしながら、操舵角θsに基づく代替アシスト制御の実行時には、その操舵角θsの発生方向に対してアシスト力が付与される。このため、ステアリング操作の方向に関わらずセルフステアの解消とほぼ同時に、切り込み方向のアシスト力が付与されることになり、その結果、トーションバー17の共振が助長され、その切り込み方向のセルフステアが、より一層、進行してしまう。
この点、上記構成によれば、少なくとも切り戻し状態である場合には、その切り込み方向にセルフステアの発生させるアシスト力は付与されない。その結果、トーションバーの共振を抑えることができ、ひいては、その切り込み方向におけるセルフステアの進行を抑制することができる。また、併せて、転舵輪7に作用する逆入力応力により生ずる操舵系の振動も抑えることができる。
(2)セルフステア抑制制御部32は、操舵角θsから換算舵角θcnvを減算した値である舵角差分値θdfに基づいて(θdf=θs−θcnv)、上記セルフステア判定及び抑制ゲインKslfを演算する。そして、マイコン21は、その舵角差分値θdfに対し、位相遅れフィルタ36a及び位相進みフィルタ36bを用いた位相補償制御(位相進み遅れ補償)を実行する位相補償制御部36を備える。
上記構成によれば、そのトーションバー17の共振が顕著となる共振周波数帯域における舵角差分値θdf´の急峻な変化を抑えることができ、これにより、制御の安定化を図ることができる。その結果、トーションバーの共振を抑えて、セルフステアの進行を抑制することができる。また、併せて、転舵輪7に作用する逆入力応力により生ずる操舵系の振動も抑えることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
・上記実施形態では、切り戻し状態であると判定した場合には、セルフステアの如何に関わらず上記抑制ゲインKslfとして「0」を演算することにより、そのアシスト力付与を停止することとした。しかし、「停止」に限らず、そのアシスト力付与の「低減」によっても、その低減の程度に応じた同様の効果を得ることができる。具体的には、その付与するアシスト力を「ゼロ」、即ち、停止に近い状態にまで低減した場合に、より顕著な効果を得ることができる。
また、その実行手順は、例えば、図6のフローチャートに示すようにするとよい。即ち、同図に示すように、操舵角θsに基づく代替アシスト制御が実行されている場合には(ステップ201:YES)、先ず、そのステアリング操作の状態が「切り込み」「切り戻し」(或いは「保舵」)の何れであるかを判定する(操舵状態判定、ステップ202)。そして、その操舵状態判定の結果が「切り戻し」である場合(ステップ203:YES)には、上記のようなアシスト力を低減する制御を実行する(ステップ204)。
尚、このステップ204におけるアシスト力の低減は、上記代替アシスト制御量Isb*に乗算する抑制ゲインKslfとして適当な値(1.0〜0)を演算してもよく、当該抑制ゲインKslfを乗算する前の段階において、別途、同様の低減ゲインを演算して掛け合わせる等、その他の方法により行なってもよい(図2参照)。
そして、セルフステア判定を実行し(ステップ205)、その判定結果がセルフステアの発生を示す場合(ステップ206:YES)には、操舵系に対するアシスト力付与を停止し(ステップ207)、セルフステアの発生を否定する場合には、そのアシスト力付与を継続するとよい(ステップ208)。
また、上記ステップ203において、その操舵状態判定の結果が「切り戻し」以外であると判定した場合(ステップ203:NO)には、上記ステップ204の処理は実行しない。そして、上記ステップ201において、通常制御中であると判定した場合(ステップ201:NO)には、上記ステップ202〜ステップ207の処理を実行することなく、ステップ208において、その操舵系に対するアシスト力付与を継続する(ステップ208)。尚、この場合において継続されるアシスト制御は、操舵トルクτを基礎として演算される基本アシスト制御量Ias*に基づくものであることはいうまでもない。
・上記実施形態では、操舵角θsの発生方向に対応して設計された二つのマップ32a,32bを用いてマップ演算を行なうことにより、そのセルフステア判定と抑制ゲインKslfとを同時に処理する構成とした。しかし、これに限らず、その他の任意の方法により、セルフステア判定、及び抑制ゲインKslfの演算を含むアシスト力の低減をそれぞれ行なう構成であってもよい。
・上記実施形態では、モータ12の回転角センサ24を用いて、トーションバー17よりも転舵輪7側の第2の舵角を検出する第2舵角検出手段を構成した。しかし、これに限らず、例えば、トルクセンサ14として、トーションバーの両端に設けられた一対のレゾルバからなる所謂ツインレゾルバ型を採用している場合において、その転舵輪7側の回転角センサが正常であることの確認が可能であれば、その回転角センサを用いて第2舵角検出手段を構成してもよい。
・上記実施形態では、操舵角θsの符号(θs=0がステアリング中立位置)に基づいて、「右切り」「左切り」を判定することした。しかし、これに限らず、例えば、ステアリング中立位置付近に不感帯を設定する等、その値を判定条件に用いてもよい。また、トルクセンサ14に異常が発生した後においても、その暫定的に操舵トルクの検出が可能である場合には、その暫定的に検出された操舵トルクを判定に用いてもよい。尚、このような状況は、例えば、特開2003−149062号公報に示されるような磁気検出素子とセンサ素子に用いたトルクセンサを採用し、且つそのセンサ素子の多重化により検出精度を担保している場合に起こり得る。即ち、このような構成であれば、何れかのセンサ素子が故障し、高精度の操舵トルク検出ができなくなった状況においても、精度さえ問わなければ、残るセンサ素子の出力信号を用いて暫定的に操舵トルクを検出することが可能である。
・上記実施形態では、そのステアリング操作の状態が、操舵角θsの絶対値を減少させる所謂「切り戻し」状態であるか否かの判定(操舵状態判定)は、前回の演算周期において取得した操舵角θsの値を操舵角前回値θs_bとして保持し、操舵角θsとその操舵角前回値θs_bとの差分(θs−θs_b)を求めることにより行なうこととした。しかし、これに限らず、操舵速度ωs、或いは上記暫定的に検出された操舵トルク等を操舵状態判定に用いてもよい。これにより、その判定精度を向上させることができる。
・上記実施形態では、切り戻し状態である場合には、アシスト力付与を停止させるとともに、そのセルフステア判定及び抑制ゲイン演算の基礎とする舵角差分値θdfについて(θdf=θs−θcnv)、位相遅れフィルタ36a及び位相進みフィルタ36bを用いた位相補償制御(位相進み遅れ補償)を実行することとした。しかし、これに限らず、上記切り戻し状態におけるアシスト力付与の停止、又は舵角差分値θdfについての位相補償制御の何れか一方のみを行なう構成としてもよい。
・また、位相補償制御を行なわない場合には、必ずしも、そのセルフステア判定及び抑制ゲインKslfの演算に舵角差分値θdfを用いなくともよい。即ち、セルフステア判定は、第1の舵角としての操舵角θsの変化と第2の回転角である換算舵角θcnvの変化との比較において、当該換算舵角θcnvの変化がトーションバー17を挟んでステアリング2側の回転角である操舵角θsの変化に先行する否かに基づいて実行可能であるからである。
・上記実施形態では、舵角差分値θdfに対する位相補償制御として位相進み遅れ補償を実行することとした。この点について、位相進み遅れ補償の方が、より好ましい結果が得られることはいうまでもないが、ローパスフィルタ等を用いた位相遅れ補償のみを行なうこととしても、舵角差分値θdfの急峻な変化を抑えて、トーションバーの共振防止、及びそれに伴うセルフステアの進行について、一定の効果を得ることができる。
・上記実施形態では、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12には、ブラシレスモータを用いることとした。しかし、これに限らず、ブラシ付の直流モータを用いる構成に適用してもよい。尚、その場合、第2舵角検出手段については、ツインレゾルバ型トルクセンサの転舵輪側の回転角センサを用いる、或いは車輪速に基づき推定される転舵輪の舵角を用いる等とすればよい。
・上記実施形態では、操舵角θsから換算舵角θcnvを減算することにより舵角差分値θdfが演算される(θdf=θs−θcnv)こととしたが、反対に、換算舵角θcnvから操舵角θsを減算することにより舵角差分値θdfを演算(θdf=θcnv−θs)する構成としてもよい。尚、この場合、上記実施形態との比較において、その符号の取り扱いが反転することはいうまでもない。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、3a…コラムシャフト、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、14a,14b…センサ素子、16…ステアリングセンサ、17…トーションバー、21…マイコン、22…駆動回路、24…回転角センサ、25…電流指令値演算部、26…モータ制御信号出力部、27…基本アシスト制御部、29…操舵トルク検出部、30…代替アシスト制御部、31…切替制御部、32…セルフステア抑制制御部、32a,32b…マップ、33…換算舵角演算部、34…乗算器、35…減算器、36…位相補償制御部、36a…位相遅れフィルタ、36b…位相進みフィルタ、I*…電流指令値、Ias*…基本アシスト制御量、Isb*…代替アシスト制御量、τ…操舵トルク、Sa,Sb…センサ信号、Str…異常検出信号、Kslf…抑制ゲイン、θs…操舵角、θs_b…操舵角前回値、θm…回転角、θcnv…換算舵角、θdf,θdf´…舵角差分値。

Claims (5)

  1. ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記トーションバーよりも転舵輪側において操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、検出される操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記トルクセンサの異常を検出する異常検出手段と、前記トーションバーよりもステアリング側の第1の舵角を検出する第1舵角検出手段と、前記トーションバーよりも転舵輪側の第2の舵角を検出する第2舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサの異常が検出された場合には、検出される第1の舵角に基づく代替アシスト制御を実行するとともに、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合には、前記操舵系に対するアシスト力の付与を停止する電動パワーステアリング装置において、
    前記ステアリングの回転状態に基づき前記ステアリング操作の状態が切り戻し状態であるか否かを判定する判定手段を備え、
    前記制御手段は、前記ステアリング操作の状態が切り戻し状態である場合には、前記操舵系に付与するアシスト力を低減すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記操舵系に付与するアシスト力をゼロに低減すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行するか否かの判定は、前記第1の舵角と前記第2の舵角との差分値に基づき行なわれるものであって、
    前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合において、その先行状態を解消すべく実行されるアシスト力付与の停止及びその先行状態の解消によるアシスト力付与の再開により生ずる前記トーションバーの共振に対応する周波数帯域について、その制御の安定化を図るべく、前記差分値の位相補償制御を行なう位相補償手段を備えたこと、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 請求項3に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記位相補償手段は、その位相補償制御として、位相進み遅れ補償を行なうこと、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  5. ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捻れに基づき操舵トルクを検出するトルクセンサと、前記トーションバーよりも転舵輪側において操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、検出される操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記トルクセンサの異常を検出する異常検出手段と、前記トーションバーよりもステアリング側の第1の舵角を検出する第1舵角検出手段と、前記トーションバーよりも転舵輪側の第2の舵角を検出する第2舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサの異常が検出された場合には、検出される第1の舵角に基づく代替アシスト制御を実行するとともに、前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合には、前記操舵系に対するアシスト力の付与を停止する電動パワーステアリング装置において、
    前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行するか否かの判定は、前記第1の舵角と前記第2の舵角との差分値に基づき行なわれるものであって、
    前記第1の舵角の変化に対して前記第2の舵角の変化が先行する場合において、その先行状態を解消すべく実行されるアシスト力付与の停止及びその先行状態の解消によるアシスト力付与の再開により生ずる前記トーションバーの共振に対応する周波数帯域について、その制御の安定化を図るべく、前記差分値の位相補償制御を行なう位相補償手段を備えたこと、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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