JP2011079459A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トルクセンサ故障時の代替的なアシスト制御時においても適切且つ安定的にアシスト力付与を継続することのできる電動パワーステアリングを提供すること。
【解決手段】マイコン21は、トルクセンサの故障を判定した後においても同トルクセンサの出力する各センサ信号Sa,Sbの何れかが正常である場合には、その残存する正常なセンサ信号に基づいて暫定的に操舵トルクを検出する。そして、その暫定的な操舵トルクとして検出された暫定トルクτ_prvに基づいて、操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb*を可変する。
【選択図】図2
【解決手段】マイコン21は、トルクセンサの故障を判定した後においても同トルクセンサの出力する各センサ信号Sa,Sbの何れかが正常である場合には、その残存する正常なセンサ信号に基づいて暫定的に操舵トルクを検出する。そして、その暫定的な操舵トルクとして検出された暫定トルクτ_prvに基づいて、操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb*を可変する。
【選択図】図2
Description
本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とする電動パワーステアリング装置(EPS)がある。通常、このようなEPSでは、ステアリングシャフトの途中にトルクセンサが設けられており、操舵系に付与するアシスト力の制御は、その検出される操舵トルクに基づいて行なわれる。そのため、トルクセンサに何らかの異常が生じた場合、何の手立てもないとすれば、そのパワーアシスト制御を停止せざるを得なくなる。
そこで、従来、このようにトルクセンサに異常が生じた場合においても、ステアリングの舵角(操舵角)に基づく代替的なアシスト制御の実行により、その操舵系に対するアシスト力付与を継続し得る様々な方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、操舵角及びモータ角からトーションバーの捻れ角を演算することにより代替的に操舵トルクを検出する構成が開示されている。そして、特許文献2には、操舵角(及び車速等)に基づいて操舵トルクに代替する制御目標値を演算する構成が開示されている。
しかし、通常、ステアリングセンサによる操舵角の検出精度は、トルクセンサを構成する各回転角センサの検出精度と比較して著しく粗いものとなっている。これは、操舵角の微小変化が車両の走行状態に与える影響は極めて限定的であるため、一般的な車両制御においては、その検出精度が問題となることは極めて稀だからである。従って、上記特許文献1のように操舵角からトーションバーの捻れ角を演算しようとすれば、そのステアリングセンサに、通常時には過剰ともいえる検出精度を求めざるをえないことになる。
また、上記特許文献2のように操舵角に基づいて代替的な制御目標値を演算する構成では、その制御目標値の演算は、主として、操舵角(及び操舵速度、並びにこれらの変化)に示される操舵状態を推定することにより行なわれる。このため、上記一般的な車両制御の場合と同様、そのステアリングセンサに過度の検出精度を要求とせず、その結果、検出精度を確保するためのコスト増を回避することができるという利点がある。
しかしながら、このような操舵角に基づく操舵状態の推定による代替アシスト制御では、操舵系に付与したアシスト力が制御にフィードバックされない。そのため、当該アシスト力に過不足が生ずる可能性があり、特に、アシスト力が過剰である場合には、転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアの発生によって運転者に不安を与えてしまうおそれがある。
そこで、例えば、特許文献3に示されるように、操舵角及び車速に基づく車両モデル演算の実行により、そのラック軸に作用する軸力を推定する。そして、その軸力推定値に基づくパワーアシスト制御の実行により、より安定的且つ適切なアシスト力を付与することが可能となる。
しかしながら、上記のような車両モデルもまた、刻々と変化する路面状態には対応できない。即ち、例えば、凍結路等の低μ路においては、その路面摩擦力に応じたセルフアライニングトルク(SAT)の低下により、そのラック軸に作用する軸力の減少に合わせてステアリング操作に必要なアシスト力も低下する。そのため、最も多く走行する高μ路(乾いた舗装路等)に合わせて最適化されたアシスト力は過剰なものとなりやすく、その結果、上記のようなセルフステアが発生する可能性が高くなる。そして、このような状況では、上記車両モデル演算においても過大な軸力推定値がされやすいことに変わりなく、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、トルクセンサ故障時の代替的なアシスト制御時においても適切且つ安定的にアシスト力付与を継続することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づくセンサ信号を出力するトルクセンサと、前記センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記センサ信号の異常を検出することにより前記トルクセンサの故障を判定する故障判定手段と、ステアリングに生じた操舵角を検出する操舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサが故障した場合には、前記操舵角に対応した前記アシスト力を発生させるべく代替アシスト制御を実行する電動パワーステアリング装置において、前記トルクセンサは、独立した複数の前記センサ信号を出力するものであって、前記トルク検出手段は、前記トルクセンサの故障後においても正常な前記センサ信号が残存する場合には、その残存するセンサ信号に基づいて前記操舵トルクを検出するとともに、前記制御手段は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づいて、前記操舵角に対応した前記アシスト力を付与するための代替アシスト成分を可変すること、を要旨とする。
即ち、例えば、磁気式のトルクセンサでは、独立した複数系統のセンサ信号を用いた補正処理(温度特性や空間磁束密度分布の歪み等)を行なうことにより、高精度のトルク検出が担保されている。このため、その検出精度さえ問わなければ、トルクセンサの故障が判定された後においても、その残存するセンサ信号に基づいて、暫定的に、操舵トルクを検出することが可能であり、これを利用して走行路の路面摩擦力(路面μ)を推定することができる。従って、上記構成によれば、低μ路走行時には、その残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づいて、操舵系に付与するアシスト力を低減することができる。そして、これにより、走行路面の状態に関わらず、適切なアシスト力を付与することができ、その結果、転舵がステアリング操作に先行するセルフステアの発生を抑えて、より安定的に、その代替アシスト制御を継続することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクの絶対値が所定の閾値以下である場合には、前記代替アシスト成分をゼロとすること、を要旨とする。
上記構成によれば、より効果的にアシスト力の過剰を抑えることができる。また、これにより、運転者がステアリングから手を離した状態、即ち所謂手放し時において、その操舵角に対応したアシスト力付与を要因とするセルフステアの発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、前記制御手段は、車速に応じて前記閾値を可変すること、を要旨とする。
即ち、ステアリング操作に必要なアシスト力は、車速の上昇に応じて低下することから、車速が速いほど、セルフステアは発生しやすい。そして、そのセルフステアの発生が与える影響(運転者に与える不安感の大きさ、或いは修正舵の必要性等)もまた、その車速が速いほど大となる。従って、上記構成によれば、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができる。
即ち、ステアリング操作に必要なアシスト力は、車速の上昇に応じて低下することから、車速が速いほど、セルフステアは発生しやすい。そして、そのセルフステアの発生が与える影響(運転者に与える不安感の大きさ、或いは修正舵の必要性等)もまた、その車速が速いほど大となる。従って、上記構成によれば、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができる。
請求項4に記載の発明は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクの位相を補償する位相補償手段を備えること、を要旨とする。
即ち、残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく代替アシスト成分の可変によって、操舵系に付与するアシスト力が急峻に変化する場合があり、これにより制御が不安定となるおそれがある。そして、特に、代替アシスト成分をゼロとして操舵角に対応するアシスト力付与を停止する構成では、その存するセンサ信号により検出される操舵トルクが閾値の近傍で推移することで制御が不安定化しやすく、これにより生ずる振動がセルフステアを引き起こすおそれがある。しかしながら、上記構成によれば、その位相補償により制御の安定化を図り、振動の発生を抑えることができる。その結果、より効果的にセルフステアの発生を抑制することができるようになる。
即ち、残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく代替アシスト成分の可変によって、操舵系に付与するアシスト力が急峻に変化する場合があり、これにより制御が不安定となるおそれがある。そして、特に、代替アシスト成分をゼロとして操舵角に対応するアシスト力付与を停止する構成では、その存するセンサ信号により検出される操舵トルクが閾値の近傍で推移することで制御が不安定化しやすく、これにより生ずる振動がセルフステアを引き起こすおそれがある。しかしながら、上記構成によれば、その位相補償により制御の安定化を図り、振動の発生を抑えることができる。その結果、より効果的にセルフステアの発生を抑制することができるようになる。
請求項5に記載の発明は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルク及び前記操舵角に基づいてステアリング操作の状態が切り戻しであるか否かを判定する操舵状態判定手段を備え、前記制御手段は、前記切り戻しである場合には、前記代替アシスト成分をゼロとすること、を要旨とする。
即ち、切り戻し時には、その操舵角の発生方向へのアシスト力を付与するための代替アシスト成分そのものがセルフステアの発生要因となる。しかしながら、上記構成によれば、このような切り戻し時の代替アシスト成分を発生要因としたセルフステアを抑制することができる。そして、その残存するセンサ信号により検出される操舵トルクを用いることにより、精度よく切り戻し状態を特定することができ、その結果、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができるようになる。
請求項6に記載の発明は、前記制御手段は、前記ステアリングを中立位置に復帰させるべくステアリング戻し制御を実行するとともに、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく前記代替アシスト成分の可変に応じて、前記ステアリングを中立位置に復帰させるためのステアリング戻し成分を可変すること、を要旨とする。
上記構成によれば、ステアリング中立位置への復帰性、即ち所謂ステアリング戻り性を向上させることができる。そして、これにより、手放し時の残留舵角を排除することができる。また、その操舵角に対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分と、ステアリングを中立位置に復帰させるためのステアリング戻し成分との干渉を防ぐことができる。その結果、より良好な操舵フィーリングを実現することができる。
請求項7に記載の発明は、前記制御手段は、前記操舵角の急変を抑えるべく操舵速度に応じたダンピング補償制御を実行するとともに、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく前記代替アシスト成分の可変に応じて、前記操舵角の急変を抑えるためのダンピング補償成分を可変すること、を要旨とする。
即ち、残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく代替アシスト成分の可変により、その操舵角の発生方向へのアシストが減少することによって、ステアリング中立方向への戻り速度が過大となるおそれがある。そして、特に、手放し時には、この傾向が顕著なものとなる。しかしながら、上記構成によれば、その過大な戻り速度を抑えることができる。その結果、より良好な操舵フィーリングを実現することができる。
本発明によれば、トルクセンサ故障時の代替的なアシスト制御時においても適切且つ安定的にアシスト力付与を継続することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
[第1の実施形態]
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、本実施形態の電動パワーステアリング装置(EPS)1において、ステアリング2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック軸5と連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック軸5の往復直線運動に変換される。尚、本実施形態のステアリングシャフト3は、コラムシャフト3a、インターミディエイトシャフト3b、及びピニオンシャフト3cを連結してなる。そして、このステアリングシャフト3の回転に伴うラック軸5の直線運動が、同ラック軸5の両端に連結されたタイロッド6を介して図示しないナックルに伝達されることにより、転舵輪7の舵角、即ち車両の進行方向が変更される。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、駆動源であるモータ12が減速機構13を介してコラムシャフト3aと駆動連結された所謂コラム型のEPSアクチュエータとして構成されている。そして、EPSアクチュエータ10は、モータ12の回転を減速してコラムシャフト3aに伝達することにより、そのモータトルクをアシスト力として操舵系に付与する構成となっている。
一方、ECU11には、トルクセンサ14、車速センサ15及びステアリングセンサ(操舵角センサ)16が接続されている。そして、ECU11は、これら各センサの出力信号に基づいて、操舵トルクτ、車速V及び操舵角θsを検出する。即ち、本実施形態では、ステアリングセンサ16及びECU11により操舵角検出手段が構成されている。
詳述すると、本実施形態では、コラムシャフト3aの途中、詳しくは、上記EPSアクチュエータ10を構成する減速機構13よりもステアリング2側にトーションバー17が設けられている。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、このトーションバー17の捩れに基づいて、ステアリングシャフト3を介して伝達される操舵トルクτを検出可能なセンサ信号Sa,Sbを出力するセンサ素子14a,14bを備えて構成されている。
尚、このようなトルクセンサは、例えば、特開2003−149062号公報に示されるように、トーションバー17の捩れに基づき磁束変化を生ずるセンサコア(図示略)の外周に、二つの磁気検出素子(本実施形態ではホールIC)を上記各センサ素子14a,14bとして配置することにより形成することが可能である。
即ち、回転軸であるステアリングシャフト3に対するトルク入力によりトーションバー17が捻れることで、その各センサ素子14a,14bを通過する磁束が変化する。そして、本実施形態のトルクセンサ14は、その磁束変化に伴い変動する各センサ素子14a,14bの出力電圧を、それぞれセンサ信号Sa,Sbとして、ECU11に出力する構成となっている。
また、本実施形態のステアリングセンサ16は、トルクセンサ14よりもステアリング2側においてコラムシャフト3aに固定された回転子18と、該回転子18の回転に伴う磁束変化を検出するセンサ素子(ホールIC)19とを備えた磁気式の回転角センサにより構成されている。
そして、ECU11は、これら検出される各状態量に基づいて目標アシスト力を演算し、当該目標アシスト力をEPSアクチュエータ10に発生させるべく、その駆動源であるモータ12への駆動電力の供給を通じて、該EPSアクチュエータ10の作動、即ち操舵系に付与するアシスト力を制御する構成となっている。
次に、本実施形態のEPSにおけるアシスト制御の態様について説明する。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えて構成されている。
図2に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するマイコン21と、そのモータ制御信号に基づいて、EPSアクチュエータ10の駆動源であるモータ12に駆動電力を供給する駆動回路22とを備えて構成されている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ23、及びモータ12の回転角θmを検出するための回転角センサ24(図1参照)が接続されている。そして、マイコン21は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ23及び回転角センサ24の出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及び回転角θmに基づいて、駆動回路22に出力するモータ制御信号を生成する。
尚、以下に示す各制御ブロックは、マイコン21が実行するコンピュータプログラムにより実現されるものである。そして、同マイコン21は、所定のサンプリング周期で上記各状態量を検出し、所定周期毎に以下の各制御ブロックに示される各演算処理を実行することにより、モータ制御信号を生成する。
詳述すると、マイコン21は、モータ12に対する電力供給の目標値である電流指令値I*を演算する電流指令値演算部25と、電流指令値演算部25により算出された電流指令値I*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部26とを備えている。
電流指令値演算部25には、上記アシスト力目標値の基礎成分としての基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部27が設けられている。本実施形態では、トルクセンサ14が出力するセンサ信号Sa,Sbは、マイコン21に設けられた操舵トルク検出部29に入力されるようになっている。そして、基本アシスト制御部27には、この操舵トルク検出部29において各センサ信号Sa,Sbに基づき検出される操舵トルクτとともに、車速センサ15により検出される車速Vが入力されるようになっている。
即ち、上記のように、本実施形態のトルクセンサ14は、そのセンサ素子(14a,14b)に磁気検出素子(ホールIC)を用いた磁気式のトルクセンサである。そのため、本実施形態では、上記操舵トルク検出部29において、トルクセンサ14が出力する二系統のセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理(温度特性や温度特性や空間磁束密度分布の歪み等)を行なうことにより、その高精度な操舵トルクτの検出が担保されている。そして、基本アシスト制御部27は、当該操舵トルクτの絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きなアシスト力を付与すべき旨の基本アシスト制御量Ias*を演算する構成となっている。
また、本実施形態では、上記操舵トルク検出部29には、トルクセンサ14の出力するセンサ信号Sa,Sbの異常を検出することにより、同トルクセンサ14の故障を判定する故障判定手段としての機能が備えられている。
具体的には、本実施形態の操舵トルク検出部29は、トルクセンサ14から入力された各センサ信号Sa,Sbについて、その値が、それぞれ正常時に取り得る値を逸脱するものであるか否かの判定、並びに両者の値及び単位時間の変化量等の比較判定を行なうことにより、これら各センサ信号Sa,Sbの異常を検出する。尚、このような複数系統(二系統)のセンサ信号についての異常検出についての詳細は、例えば、特開2000−185657号公報の内容等を参照されたい。そして、本実施形態の操舵トルク検出部29は、これら各センサ信号Sa,Sbに異常が検出され、その対応する各センサ素子14a,14bの少なくとも何れか一方が故障したと判断される場合には、同トルクセンサ14が故障したものと判定する構成となっている。
本実施形態の操舵トルク検出部29は、この故障判定の結果を異常検出信号Strとして電流指令値演算部25に出力する。そして、電流指令値演算部25は、その入力される異常検出信号Strが正常である旨を示すものである場合、即ちトルクセンサ14が正常に作動している通常時には、この基本アシスト制御量Ias*に基づく値を上記電流指令値I*として、モータ制御信号出力部26に出力する構成となっている。
一方、モータ制御信号出力部26には、この電流指令値演算部25が出力する電流指令値I*とともに、電流センサ23により検出された実電流値I、及び回転角センサ24により検出されたモータ12の回転角θmが入力される。そして、モータ制御信号出力部26は、この電流指令値I*に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力の供給により回転するブラシレスモータが用いられている。そして、モータ制御信号出力部26は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値I*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部26に入力され、モータ制御信号出力部26は、回転角センサ24により検出された回転角θmに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部26は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
このようにして生成されたモータ制御信号は、マイコン21から駆動回路22へと出力され、同駆動回路22により当該モータ制御信号に基づく三相の駆動電力がモータ12へと供給される。そして、その操舵トルクτに基づくアシスト力目標値としての電流指令値I*に相当するモータトルクが発生することにより、当該アシスト力目標値に対応するアシスト力が操舵系に付与される。
また、本実施形態では、上記電流指令値演算部25には、ステアリングセンサ16により検出される操舵角θsに基づいて代替アシスト制御量Isb*を演算する代替アシスト制御部30が設けられている。そして、本実施形態の電流指令値演算部25は、トルクセンサ14に故障が発生した場合には、この代替アシスト制御部30が演算する代替アシスト制御量Isb*を、その代替アシスト制御における目標アシスト力の基礎成分として、モータ制御信号出力部26に出力する電流指令値I*を生成する構成になっている。
詳述すると、本実施形態の代替アシスト制御部30には、操舵角θsとともに、車速Vが入力されるようになっている。そして、代替アシスト制御部30は、これらの各状態量に基づいて、その代替アシスト制御量Isb*の演算を実行する。
具体的には、図3に示すように、本実施形態では、代替アシスト制御部30は、操舵角θsの絶対値が大きいほど、また車速Vが遅いほど、その操舵角θsの発生方向に対して、より大きなアシスト力を付与すべき旨の代替アシスト制御量Isb*を演算する。尚、本実施形態では、その操舵角θsの発生方向が「右」である場合には、当該操舵角θsの符号が「+」となるように、「左」である場合には、その符号が「−」となるように設定されている。
また、本実施形態の電流指令値演算部25には、切替制御部31が設けられており、代替アシスト制御部30において演算された代替アシスト制御量Isb*は、上記基本アシスト制御部27において演算された基本アシスト制御量Ias*及び上記操舵トルク検出部29の出力する異常検出信号Strとともに、この切替制御部31に入力される。そして、その入力される異常検出信号Strがトルクセンサ14の故障を示すものである場合には、同切替制御部31が、上記基本アシスト制御量Ias*に代えて、代替アシスト制御量Isb*(Isb**)を出力することにより、その操舵角θsに基づく代替アシスト制御が実行される構成となっている。
(代替アシスト制御時におけるアシスト力可変制御)
次に、代替アシスト制御時におけるアシスト力可変制御の態様について説明する。
上述のように、操舵角θsに基づく代替アシスト制御では、操舵系に付与したアシスト力が制御にフィードバックされないため、当該アシスト力に過不足が生ずる可能性がある。そして、特に、低μ路(例えば、凍結路等)においては、その路面摩擦力の減少によりステアリング操作に必要なアシスト力が低下することでアシスト力が過剰なものとなりやすく、これにより、転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアが発生する可能性が高くなるという問題がある。
次に、代替アシスト制御時におけるアシスト力可変制御の態様について説明する。
上述のように、操舵角θsに基づく代替アシスト制御では、操舵系に付与したアシスト力が制御にフィードバックされないため、当該アシスト力に過不足が生ずる可能性がある。そして、特に、低μ路(例えば、凍結路等)においては、その路面摩擦力の減少によりステアリング操作に必要なアシスト力が低下することでアシスト力が過剰なものとなりやすく、これにより、転舵がステアリング操作に先行する所謂セルフステアが発生する可能性が高くなるという問題がある。
この点を踏まえ、本実施形態では、トルク検出手段及び故障判定手段としてマイコン21に設けられた操舵トルク検出部29は、上記のようにトルクセンサ14の故障を判定した後においても、同トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbの何れかが正常である場合には、その残存する正常なセンサ信号に基づいて暫定的に操舵トルクを検出する。そして、本実施形態のマイコン21は、その暫定的な操舵トルクとして検出された暫定トルクτ_prvに基づいて、その操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分、即ち上記代替アシスト制御量Isb*を可変することにより、上記セルフステアを引き起こす要因となる過剰なアシスト力の発生を抑える構成となっている。
詳述すると、図4のフローチャートに示すように、操舵トルク検出部29は、トルクセンサ14の出力する各センサ信号Sa,Sbを取得すると(ステップ101)、上記のように当該各センサ信号Sa,Sbの異常を検出することによりトルクセンサ14(を構成する各センサ素子14a,14b)の故障判定を実行する(ステップ102)。そして、その故障判定の結果を異常検出信号Strとして電流指令値演算部25に出力する(ステップ103)。
次に、操舵トルク検出部29は、上記ステップ102における故障判定の結果がトルクセンサ14の故障を示すものであったか否かを判定する(ステップ104)。そして、故障を示すものであった場合(ステップ104:YES)、その故障判定において各センサ信号Sa,Sbの何れか一方が正常であったか否か、即ちトルクセンサ14の故障後においても正常なセンサ信号が残存している否かを判定する(ステップ105)。
そして、正常なセンサ信号が残存している場合(ステップ105:YES)には、その残存するセンサ信号に基づき暫定的に検出される操舵トルクを、暫定トルクτ_prvとして、上記電流指令値演算部25に出力する(操舵トルク暫定出力、ステップ106)。
尚、本実施形態では、このステップ106において電流指令値演算部25に出力する暫定トルクτ_prvに対しては、上記のような通常時における二つのセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理は実行されない。そして、上記ステップ105における「残存する正常なセンサ信号があるか否かの判定」は、一方のセンサ信号の値が明らかに異常である場合(例えば、極端に大きな値、或いは極端に変化がない等)に、他方のセンサ信号の値が、それと同等に「明らかに異常な範囲」にあるか否かにより行なわれる。即ち、他方のセンサ信号の値が、明らかに異常な範囲内にない場合には、そのセンサ信号は正常であると判定する。
また、上記ステップ104において、トルクセンサ14に故障はないと判定した場合(ステップ104:NO)、操舵トルク検出部29は、上記のように、その正常な二つのセンサ信号Sa,Sbを用いた操舵トルクτの検出及び電流指令値演算部25への出力を実行する(操舵トルク通常出力、ステップ107)。そして、上記ステップ105において、正常なセンサ信号が残存していないと判定した場合(ステップ105:NO)には、その操舵トルクの検出及び出力を停止する(τ=0,τ_prv=0、ステップ108)。
図2に示すように、本実施形態では、操舵トルク検出部29の出力する暫定トルクτ_prvは、電流指令値演算部25に設けられたトルクゲイン演算部33に入力されるようになっており、同トルクゲイン演算部33は、その暫定トルクτ_prvに基づくトルクゲインKtqを演算する。そして、本実施形態のマイコン21(電流指令値演算部25)は、このトルクゲインKtqを、乗算器34において代替アシスト制御部30の出力する代替アシスト制御量Isb*に乗ずることにより、その上記代替アシスト成分としての代替アシスト制御量Isb*を可変する。
具体的には、図5に示すように、本実施形態のトルクゲイン演算部33は、その入力される暫定トルクτ_prvの絶対値が所定の閾値τth以下である場合(|τ_prv|≦τth)には、トルクゲインKtqとして「0」を演算し、同閾値τthによりも大きい場合(|τ_prv|>τth)には、トルクゲインKtqとして「1」を演算する。
また、本実施形態では、トルクゲイン演算部33には、車速Vが入力されるようになっており、トルクゲイン演算部33は、その車速Vに応じて、上記閾値τthを可変する。具体的には、予め設定された所定範囲内(τ1≦τth≦τ2)において、車速Vが速いほど、その閾値τthを大きな値に変更とする。そして、本実施形態では、これにより、凍結路等の低μ路走行時におけるセルフステアの発生を抑えるようになっている。
以上、本実施形態によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、そのトルクセンサ14の出力する独立した二系統のセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理(温度特性や空間磁束密度分布の歪み等)を行なうことにより、高精度のトルク検出が担保されている。そのため、正常なセンサ信号が残存している場合、その検出精度さえ問わなければ、トルクセンサ14の故障が判定された後においても、その残存するセンサ信号に基づいて、暫定的に、操舵トルクを検出することが可能である。
(1)本実施形態では、そのトルクセンサ14の出力する独立した二系統のセンサ信号Sa,Sbを用いた補正処理(温度特性や空間磁束密度分布の歪み等)を行なうことにより、高精度のトルク検出が担保されている。そのため、正常なセンサ信号が残存している場合、その検出精度さえ問わなければ、トルクセンサ14の故障が判定された後においても、その残存するセンサ信号に基づいて、暫定的に、操舵トルクを検出することが可能である。
従って、上記構成のように、その暫定的な操舵トルクとして検出された暫定トルクτ_prvを用いた比較判定(閾値τth)により、走行路面が上記セルフステアの発生しやすい低μ路であるか否かを推定し、セルフステアの発生しやすい低μ路であると推定される場合(|τ_prv|≦τth)には、トルクゲインKtqとして「0」を演算する。そして、同トルクゲインKtqを代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb*に乗算して、その操舵角θsに対応するアシスト力付与を停止することにより、走行路面の状態(路面μ)に関わらず、上記セルフステアの発生を抑えることができる。
また、代替アシスト成分としての代替アシスト制御量Isb*は、基本的に操舵角θsに対応するアシスト力を付与すべく演算される。このため、運転者がステアリング2から手を離した状態、即ち所謂手放し時においても、その操舵角θsの発生方向にアシスト力が付与されることになり、これによりセルフステアが発生する。しかしながら、上記構成によれば、このような手放し時にも、そのトルクゲインKtqが「0」となる。その結果、その操舵角に対応したアシスト力付与を要因とする手放し時のセルフステアを抑制することができる。
(2)更に、ステアリング操作に必要なアシスト力は、車速Vの上昇に応じて低下することから、車速Vが速いほど、セルフステアは発生しやすい。そして、そのセルフステアの発生が与える影響(運転者に与える不安感の大きさ、或いは修正舵の必要性等)もまた、車速Vが速いほど大となる。従って、上記構成のように、車速Vに応じて、上記トルクゲインKtqを「0」とする閾値τth、即ち操舵角θsに対応したアシスト付与を停止する閾値τthを可変することにより、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
以下、本発明を具体化した第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第1の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、本実施形態では、マイコン21(電流指令値演算部25)には、位相補償手段としての位相補償制御部35が設けられており、電流指令値演算部25に入力された暫定トルクτ_prvは、先ず、この位相補償制御部35に入力される。そして、同位相補償制御部35により位相補償処理が施された後の暫定トルクτ_prv´、トルクゲイン演算部36へと入力される。
具体的には、本実施形態の位相補償制御部35は、図7(a)(b)に示されるようなゲイン特性及び位相特性を有する位相進み遅れフィルタを用いることにより、入力された暫定トルクτ_prvの位相を補償する。そして、トルクゲイン演算部36は、その位相補償処理後の暫定トルクτ_prv´に基づいて上記トルクゲインKtqの演算を実行する。
ここで、図8に示すように、本実施形態のトルクゲイン演算部36は、その入力される暫定トルクτ_prv´の絶対値が、所定値τ3以下である場合(|τ_prv´|≦τ3)には、トルクゲインKtqとして「0」を演算する。即ち、本実施形態では、この所定値τ3が上記第1の実施形態における所定の閾値τthに相当する。また、暫定トルクτ_prv´の絶対値が、所定値τ4以上である場合(|τ_prv´|≧τ4)には、トルクゲインKtqとして「1」を演算する。そして、暫定トルクτ_prv´の絶対値が、所定値τ3から所定値τ4までの範囲にある場合(τ3<|τ_prv´|<τ4)には、当該暫定トルクτ_prv´の絶対値が大となるほど、より大きな値のトルクゲインKtqを演算する構成となっている(0<Ktq<1)。
また、図6に示すように、本実施形態では、マイコン21(電流指令値演算部25)には、逆出力防止処理部37が設けられており、トルクゲイン演算部36の出力するトルクゲインKtqは、この逆出力防止処理部37に入力される。そして、操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分として代替アシスト制御部30が出力する代替アシスト制御量Isb*には、この逆出力防止処理部37において処理された後のトルクゲインKtq´が乗算されるようになっている。
詳述すると、逆出力防止処理部37には、操舵角θs及び暫定トルクτ_prvが入力されるようになっており、逆出力防止処理部37は、これら操舵角θs及び暫定トルクτ_prvに基づいて、そのステアリング操作の状態(操舵状態)が操舵角θsの絶対値が減少する方向の操舵、即ちステアリング2を中立位置に戻す所謂切り戻しであるか否かを判定する。即ち、本実施形態では、この逆出力防止処理部37が操舵状態判定手段を構成する。そして、逆出力防止処理部37は、ステアリング操作の状態が切り戻しである場合には、その逆出力防止処理として、上記乗算器34に出力するトルクゲインKtq´を「0」とする。
具体的には、図9のフローチャートに示すように、逆出力防止処理部37は、操舵角θs及び暫定トルクτ_prvを取得すると(ステップ201)、これら操舵角θs及び暫定トルクτ_prvの符号が異なるか否か、即ちその発生方向が互いに逆向きである否かを判定する(ステップ202)。そして、操舵角θs及び暫定トルクτ_prvが異符号である場合(ステップ202:YES)には、そのステアリング操作の状態が切り戻しであると判定して、その出力するトルクゲインKtq´を「0」とする(ステップ203)。
そして、上記ステップ202において、操舵角θs及び暫定トルクτ_prvが同符号である場合(ステップ202:NO)、即ちそのステアリング操作の状態が切り戻しではない場合(切り込み又は保舵)には、入力されたトルクゲインKtqが、そのまま逆出力防止処理後のトルクゲインKtq´として出力される構成となっている(ステップ204)。
以上、本実施形態によれば、上記第1の実施形態に加え、以下のような作用・効果を得ることができる。
(3)マイコン21(電流指令値演算部25)は、暫定トルクτ_prvの位相を補償する位相補償制御部35を備える。そして、トルクゲイン演算部36は、その位相補償処理後の暫定トルクτ_prv´に基づいてトルクゲインKtqを演算する。
(3)マイコン21(電流指令値演算部25)は、暫定トルクτ_prvの位相を補償する位相補償制御部35を備える。そして、トルクゲイン演算部36は、その位相補償処理後の暫定トルクτ_prv´に基づいてトルクゲインKtqを演算する。
即ち、暫定トルクτ_prv(τ_prv´)の絶対値が所定の閾値τth(所定値τ3)以下である場合にトルクゲインKtqを「0」として操舵角θsに対応するアシスト力付与を停止する構成では、その暫定トルクτ_prvの絶対値が閾値τthの近傍で推移することにより、制御が不安定化しやすい。そして、これにより生ずる振動がセルフステアを引き起こすおそれがある。しかしながら、上記構成のように、暫定トルクτ_prvの位相を補償することで、制御の安定化を図り、振動の発生を抑えることができる。その結果、より効果的にセルフステアの発生を抑制することができるようになる。
(4)トルクゲイン演算部36は、暫定トルクτ_prv´の絶対値が、トルクゲインKtqとして「0」を演算する所定値τ3(閾値τth)からトルクゲインKtqとして「1」を演算する所定値τ4までの範囲にある場合(τ3<|τ_prv´|<τ4)には、当該暫定トルクτ_prv´の絶対値が大となるほど、より大きな値のトルクゲインKtqを演算する。
即ち、暫定トルクτ_prv´の絶対値が大きいほど、より路面摩擦力(路面μ)が大きくセルフステアが発生にくい状態であると推定することができる。従って、上記構成によれば、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができる。
また、セルフステアは、その操舵系に付与するアシスト力が急峻に変化する場合に発生しやすい。従って、上記構成のように、そのアシスト力付与を停止する範囲(Ktq=0、|τ_prv´|≦τ3)とアシスト力付与を実行する範囲(Ktq=1、|τ_prv´|≧τ4)との間に、当該トルクゲインKtqを徐々に変更する範囲(徐変範囲、Ktq=0〜1、τ3<|τ_prv´|<τ4)を設けることで、より効果的にセルフステアの発生を抑えることができる。
(5)マイコン21(電流指令値演算部25)は、逆出力防止処理部37を備える。そして、逆出力防止処理部37は、操舵角θs及び暫定トルクτ_prvに基づいて、そのステアリング操作の状態(操舵状態)が切り戻しであるか否かを判定し、切り戻しである場合には、その出力するトルクゲインKtq´を「0」とする。
即ち、代替アシスト成分としての代替アシスト制御量Isb*は、基本的に操舵角θsに対応するアシスト力を付与すべく演算される。このため、切り戻し時には、その操舵角θsの発生方向へのアシスト力付与がセルフステアを発生させることになる。
しかしながら、上記構成のように、切り戻し時には、トルクゲインKtq´を「0」として、その操舵角θsに対応するアシスト力付与を停止することにより、上記のような切り戻し時のセルフステアを抑制することができる。そして、その操舵状態判定に暫定トルクτ_prvを用いることにより、精度よく切り戻し状態を特定することができ、その結果、そのステアリング操作を補助するためのアシスト力付与を行なう範囲を拡大しつつ、効果的にセルフステアの発生を抑えることができるようになる。
[第3の実施形態]
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
以下、本発明を具体化した第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10に示すように、本実施形態では、マイコン21(電流指令値演算部25)には、上記第2の実施形態の構成に加えて、ステアリング2を中立位置に復帰(θs=0)させるべくステアリング戻し制御(アクティブリターン制御)を実行するステアリング戻し制御部38が設けられている。
詳述すると、本実施形態のステアリング戻し制御部38には、操舵角θsが入力されるようになっており、同ステアリング戻し制御部38は、その操舵角θsに基づいて、ステアリング2を中立位置に復帰させるためのステアリング戻し成分としてのステアリング戻し制御量Iar*を演算する。具体的には、その操舵角θsの絶対値が大きいほど、より強くステアリング2を中立位置に復帰させる値を有したステアリング戻し制御量Iar*を演算する。そして、本実施形態では、操舵角θsに基づく代替アシスト制御時には、その代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb**に対して、このステアリング戻し制御量Iar*(Iar**)が重畳されるようになっている。
ここで、本実施形態では、上記トルクゲイン演算部36の出力するトルクゲインKtqは、その最大値に相当する所定値、即ち「1」とともに減算器39に入力される。そして、ステアリング戻し制御部38の出力するステアリング戻し制御量Iar*は、この減算器39において「1」からトルクゲインKtqを減算することにより生成される反転トルクゲインKtq_rとともに乗算器40に入力されるようになっている。
即ち、本実施形態では、このように反転トルクゲインKtq_rをステアリング戻し制御量Iar*に乗算することにより、その暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト成分(代替アシスト制御量Isb*)の可変に応じて、ステアリング戻し成分であるステアリング戻し制御量Iar*を可変する。
具体的には、暫定トルクτ_prvに基づくトルクゲインKtqが大きく、代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb*の低減幅が小さい場合には、反転トルクゲインKtq_rが小さくなることで、ステアリング戻し成分であるステアリング戻し制御量Iar*の低減幅は大となる。そして、トルクゲインKtqが小さく、代替アシスト制御量Isb*の低減幅が大きい場合には、反転トルクゲインKtq_rが大きくなることで、ステアリング戻し制御量Iar*の低減幅は小となる。
本実施形態では、この乗算器40において反転トルクゲインKtq_rを乗算した後のステアリング戻し制御量Iar**が加算器41に入力される。そして、上記切替制御部31(図2参照)には、このステアリング戻し制御量Iar**を重畳(加算)した後の代替アシスト制御量Isb***が入力されるようになっている。
以上、本実施形態によれば、上記第2の実施形態に加え、以下のような作用・効果を得ることができる。
(6)マイコン21(電流指令値演算部25)は、ステアリング2を中立位置に復帰(θs=0)させるべくステアリング戻し制御(アクティブリターン制御)を実行するステアリング戻し制御部38を備える。
(6)マイコン21(電流指令値演算部25)は、ステアリング2を中立位置に復帰(θs=0)させるべくステアリング戻し制御(アクティブリターン制御)を実行するステアリング戻し制御部38を備える。
上記構成によれば、ステアリング2の中立位置への復帰性、即ち所謂ステアリング戻り性を向上させることができる。そして、これにより、手放し時の残留舵角を排除することができる。
(7)トルクゲインKtqの最大値に相当する「1」からトルクゲインKtqを減算することにより反転トルクゲインKtq_rが生成される。そして、この反転トルクゲインKtq_rをステアリング戻し制御量Iar*に乗算することにより、その暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト成分(代替アシスト制御量Isb*)の可変に応じて、ステアリング戻し成分であるステアリング戻し制御量Iar*を可変する。
上記構成によれば、その操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分と、ステアリング2を中立位置に復帰させる補償成分、即ち当該操舵角θsの絶対値を減少させるためのステアリング戻し成分との干渉を防ぐことができる。その結果、より良好な操舵フィーリングを実現することができる。
[第4の実施形態]
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
以下、本発明を具体化した第4の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜のため、上記第2の実施形態と同一の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態では、マイコン21(電流指令値演算部25)には、上記第2の実施形態の構成に加えて、その操舵角θsの急変を抑えるべく操舵速度ωsに応じたダンピング補償制御を実行するダンピング制御部42が設けられている。
具体的には、ダンピング制御部42は、操舵速度ωsの絶対値に応じて、その操舵速度ωsの発生方向とは反対方向のダンピング制御量Idp*を演算する。そして、本実施形態では、操舵角θsに基づく代替アシスト制御時には、その代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb**に対して、このダンピング制御量Idp*(Idp**)が重畳されるようになっている。
ここで、本実施形態では、上記逆出力防止処理部37において処理された後のトルクゲインKtq´は、その最大値に相当する所定値、即ち「1」とともに減算器43に入力される。そして、ダンピング制御部42の出力するダンピング制御量Idp*は、この減算器43において「1」からトルクゲインKtqを減算することにより生成される反転トルクゲインKtq_r´とともに乗算器44に入力されるようになっている。
即ち、本実施形態では、このように反転トルクゲインKtq_r´をダンピング制御量Idp*に乗算することにより、その暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト成分(代替アシスト制御量Isb*)の可変に応じて、ステアリング戻し成分であるダンピング制御量Idp*を可変する。
具体的には、暫定トルクτ_prvに基づくトルクゲインKtq´が大きく、代替アシスト成分である代替アシスト制御量Isb*の低減幅が小さい場合には、反転トルクゲインKtq_r´が小さくなることで、ダンピング補償成分であるダンピング制御量Idp*の低減幅は大となる。そして、トルクゲインKtq´が小さく、代替アシスト制御量Isb*の低減幅が大きい場合には、反転トルクゲインKtq_r´が大きくなることで、ダンピング制御量Idp*の低減幅は小となる。
本実施形態では、この乗算器44において反転トルクゲインKtq_r´を乗算した後のダンピング制御量Idp**が加算器41に入力される。そして、上記切替制御部31(図2参照)には、このダンピング制御量Idp**を重畳(加算)した後の代替アシスト制御量Isb***が入力されるようになっている。
以上、本実施形態によれば、上記第2の実施形態に加え、以下のような作用・効果を得ることができる。
(8)マイコン21(電流指令値演算部25)は、操舵角θsの急変を抑えるべく操舵速度ωsに応じたダンピング補償制御を実行するダンピング制御部42を備える。また、トルクゲインKtq´の最大値に相当する「1」からトルクゲインKtq´を減算することにより反転トルクゲインKtq_r´が生成される。そして、この反転トルクゲインKtq_r´をダンピング制御量Idp*に乗算することにより、その暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト成分(代替アシスト制御量Isb*)の可変に応じて、ダンピング補償成分であるダンピング制御量Idp*を可変する。
(8)マイコン21(電流指令値演算部25)は、操舵角θsの急変を抑えるべく操舵速度ωsに応じたダンピング補償制御を実行するダンピング制御部42を備える。また、トルクゲインKtq´の最大値に相当する「1」からトルクゲインKtq´を減算することにより反転トルクゲインKtq_r´が生成される。そして、この反転トルクゲインKtq_r´をダンピング制御量Idp*に乗算することにより、その暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト成分(代替アシスト制御量Isb*)の可変に応じて、ダンピング補償成分であるダンピング制御量Idp*を可変する。
即ち、暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト制御量Isb*の可変により、その操舵角θsの発生方向へのアシストが減少することによって、ステアリング中立方向への戻り速度が過大となるおそれがある。そして、特に、手放し時には、この傾向が顕著なものとなる。しかしながら、上記構成によれば、その過大な戻り速度を抑えることができる。その結果、より良好な操舵フィーリングを実現することができる。
なお、上記各実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
・上記各実施形態では、本発明を所謂コラム型のEPS1に具体化したが、本発明は、所謂ピニオン型やラックアシスト型のEPSに適用してもよい。
・上記各実施形態では、トルクセンサ14は、二系統のセンサ信号Sa,Sbを出力することとした。しかし、これに限らず、本発明は、三系統以上の独立したセンサ信号を出力するトルクセンサを備えるものにおいて、そのトルクセンサの故障後においても正常な前記センサ信号が残存する場合に適用してもよい。
・上記各実施形態では、磁気検出素子をセンサ素子とする磁気式のトルクセンサ14を用いることとしたが、独立した複数系統のセンサ信号を出力可能なものであれば必ずしも磁気式でなくともよい。
・上記各実施形態では、ステアリング2に生じた操舵角θsは、操舵角検出手段としてのステアリングセンサ16及びECU11により検出されることとした。しかし、操舵角θsは、必ずしもこのような実測値でなくともよく、モータ12の回転角θmを用いた換算値や、車輪速(後輪車輪速)に基づく推定値を用いる等としてもよい。
尚、車輪速に基づく舵角推定については、次式を用いるとよい。
θt=(2×WB×(Wl−Wr))/(RW×(Wl+Wr))×(180/π)
但し、上式中、「θt」は、転舵輪の舵角、「WB」は車両のホイールベース長、「RW」は車両のトレッド長、そして「Wl」「Wr」がそれぞれ左右の車輪速(後輪車輪速)である。
θt=(2×WB×(Wl−Wr))/(RW×(Wl+Wr))×(180/π)
但し、上式中、「θt」は、転舵輪の舵角、「WB」は車両のホイールベース長、「RW」は車両のトレッド長、そして「Wl」「Wr」がそれぞれ左右の車輪速(後輪車輪速)である。
・上記各実施形態に開示した構成は、任意の組み合わせにより、又は各々独立して適用してもよい。具体的には、第1の実施形態においては、車速Vに応じたトルクゲインKtqの可変(図5参照)がこれに相当する。また、第2の実施形態においては、暫定トルクτ_prvについての位相補償(図6参照、位相補償制御部35)、トルクゲインKtqについての徐変範囲の設定(図8参照、Ktq=0〜1、τ3<|τ_prv´|<τ4)、及び切り戻し時の逆出力防止制御(図9参照)がこれに相当する。更に、第3の実施形態においては、暫定トルクτ_prvに基づく代替アシスト制御量Isb*の可変に応じたステアリング戻し制御量Iar*を可変がこれに相当する(図10参照)。そして、第4の実施形態においては、同様に、代替アシスト制御量Isb*の可変に応じたダンピング制御量Idp*の可変がこれに相当する(図11参照)。
そして、上記各実施形態に開示された以外の組み合わせとしては、例えば、図12に示すように、これらの全てを組み合わせた構成とするとよい。
・また、暫定トルクτ_prvに基づくトルクゲインKtqの演算については、図13に示すように、トルクゲインKtqの徐変範囲と一体に、そのトルクゲインKtqを「0」とする閾値τthを車速Vに応じて可変(τ5<τth<τ6)してもよい。
・また、暫定トルクτ_prvに基づくトルクゲインKtqの演算については、図13に示すように、トルクゲインKtqの徐変範囲と一体に、そのトルクゲインKtqを「0」とする閾値τthを車速Vに応じて可変(τ5<τth<τ6)してもよい。
・上記各実施形態では、図3に示すように、操舵角θsに対応したアシスト力を付与するための代替アシスト成分としての代替アシスト制御量Isb*は、操舵角θs及び車速Vに基づき直接的に演算することした。しかし、これに限らず、例えば、上記特許文献3に示されるような操舵角及び車速に基づく車両モデル演算を用いたラック軸の軸力推定により演算する構成としてもよい。
・上記第1の実施形態では、車速Vに応じて、上記トルクゲインKtqを「0」とする閾値τthを可変することしたが、車速Vに関わらず固定としてもよい。
・上記第2の実施形態では、図7(a)(b)に示されるようなゲイン特性及び位相特性を有する位相進み遅れフィルタを用いて暫定トルクτ_prvの位相を補償することとした。しかし、これに限らず、制御の安定化を図り、振動の発生を抑制可能なものであれば、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、或いはその組み合わせ等により位相補償を行なう構成であってもよい。
・上記第2の実施形態では、図7(a)(b)に示されるようなゲイン特性及び位相特性を有する位相進み遅れフィルタを用いて暫定トルクτ_prvの位相を補償することとした。しかし、これに限らず、制御の安定化を図り、振動の発生を抑制可能なものであれば、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、或いはその組み合わせ等により位相補償を行なう構成であってもよい。
・上記第3の実施形態では、操舵角θsの絶対値が大きいほど、より強くステアリング2を中立位置に復帰させる値を有したステアリング戻し制御量Iar*を演算することにより、そのステアリング戻し制御を実行することとした。しかし、これに限らず、操舵速度ωsをフィードバックしてステアリング戻し制御を行なうものに具体化してもよい。
・上記第3及び第4の実施形態では、その補償成分であるステアリング戻し制御量Iar*(Iar**)及びダンピング制御量Idp*(Idp**)は、それぞれ、切替制御部31に入力される前の段階において、代替アシスト制御量Isb*(Isb**)に重畳(加算)されることとした。しかし、これに限らず、これらは、切替制御部31から出力された後に加算されるものであってもよい。即ち、操舵トルクτに基づく基本アシスト制御量Ias*を用いた通常制御時におけるステアリング戻し制御及びダンピング制御を共用するものであってもよい。
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、2…ステアリング、3…ステアリングシャフト、3a…コラムシャフト、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、14a,14b…センサ素子、15…車速センサ、16…ステアリングセンサ、17…トーションバー、21…マイコン、22…駆動回路、25…電流指令値演算部、26…モータ制御信号出力部、27…基本アシスト制御部、29…操舵トルク検出部、30…代替アシスト制御部、31…切替制御部、33,36,46…トルクゲイン演算部、34,40,44…乗算器、35…位相補償制御部、37…逆出力防止処理部、38…ステアリング戻し制御部、39,43…減算器、41…加算器、I*…電流指令値、Ias*…基本アシスト制御量、Isb*,Isb**,Isb***…代替アシスト制御量、Iar*,Iar**…ステアリング戻し制御量、Idp*,Idp**…ダンピング制御量、τ…操舵トルク、Sa,Sb…センサ信号、Str…異常検出信号、τ_prv,τ_prv´…暫定トルク、τth…閾値、τ1〜τ6…所定値、Ktq,Ktq´…トルクゲイン、Ktq_r,Ktq_r´…反転トルクゲイン、V…車速、θs…操舵角、ωs…操舵速度。
Claims (7)
- モータを駆動源として操舵系にアシスト力を付与する操舵力補助装置と、ステアリングシャフトの途中に設けられたトーションバーの捩れに基づくセンサ信号を出力するトルクセンサと、前記センサ信号に基づき操舵トルクを検出するトルク検出手段と、前記操舵トルクに基づいて前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、前記センサ信号の異常を検出することにより前記トルクセンサの故障を判定する故障判定手段と、ステアリングに生じた操舵角を検出する操舵角検出手段とを備え、前記制御手段は、前記トルクセンサが故障した場合には、前記操舵角に対応した前記アシスト力を発生させるべく代替アシスト制御を実行する電動パワーステアリング装置において、
前記トルクセンサは、独立した複数の前記センサ信号を出力するものであって、
前記トルク検出手段は、前記トルクセンサの故障後においても正常な前記センサ信号が残存する場合には、その残存するセンサ信号に基づいて前記操舵トルクを検出するとともに、
前記制御手段は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づいて、前記操舵角に対応した前記アシスト力を付与するための代替アシスト成分を可変すること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクの絶対値が所定の閾値以下である場合には、前記代替アシスト成分をゼロとすること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、車速に応じて前記閾値を可変すること、
を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクの位相を補償する位相補償手段を備えること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルク及び前記操舵角に基づいてステアリング操作の状態が切り戻しであるか否かを判定する操舵状態判定手段を備え、
前記制御手段は、前記切り戻しである場合には、前記代替アシスト成分をゼロとすること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、前記ステアリングを中立位置に復帰させるべくステアリング戻し制御を実行するとともに、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく前記代替アシスト成分の可変に応じて、前記ステアリングを中立位置に復帰させるためのステアリング戻し成分を可変すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の電動パワーステアリング装置において、
前記制御手段は、前記操舵角の急変を抑えるべく操舵速度に応じたダンピング補償制御を実行するとともに、前記残存するセンサ信号により検出される操舵トルクに基づく前記代替アシスト成分の可変に応じて、前記操舵角の急変を抑えるためのダンピング補償成分を可変すること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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2009
- 2009-10-08 JP JP2009234446A patent/JP2011079459A/ja active Pending
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