JP5412790B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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本発明は、電動パワーステアリング装置に関するものである。
従来、車両用のパワーステアリング装置には、モータを駆動源とした電動パワーステアリング装置(EPS)がある。そして、こうしたEPSでは、その高い制御性を利用して、より優れた操舵フィーリングを実現すべく様々な提案がなされている。
例えば、通常、EPSは、ステアリングシャフトに設けられたトーションバーの捩れ角に基づき検出される操舵トルクに応じたアシスト力付与を実行する。そして、多くの場合、その操舵トルクの変化に対する基本アシスト成分の変化の割合(アシスト勾配)は、検出される操舵トルクの値が大きいほど大となるように設定されている。しかしながら、このように操舵トルクτに応じてアシスト勾配が変化するということは、そのトーションバーのバネ定数が変化するということに等しく、当該アシスト勾配が大となるほどシステムの安定性が低下することになる。
この点を踏まえ、特許文献1に記載のEPSは、そのアシスト勾配の変化に基づき各種補償制御の特性を変更する(アシスト勾配補償制御、主に、検出される操舵トルクの位相補償制御、及び操舵トルクの微分値に基づく補償制御等といったシステム安定性への寄与度の高い補償制御)。そして、その基本的な操舵特性変化に合わせた各種補償制御の最適化によって、より良好な操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
また、特許文献2には、上記基本アシスト成分(基本アシスト制御量)を演算する前段階において、その演算の基礎となる操舵トルクの値を補正する構成が開示されおり、これにより、簡素な構成にて、その操舵状態に応じた異なるアシスト特性を実現することが可能になる(操舵トルクシフト制御)。
例えば、運転者によるステアリング操作の状態(操舵状態)には、大別すると、操舵角を増大させる「切り込み」、その操舵角を維持する「保舵」、及び操舵角を減少させる「切り戻し」の3つの操舵状態があり、操舵フィーリングは、これらの各操舵状態に応じて変化する。この点に着目し、上記特許文献2に記載のEPSは、「保舵」時及び「切り戻し」時には、その基本アシスト制御量(の絶対値)が大きくなるように、当該操舵トルクシフト制御を実行する。そして、これにより、「保舵」に要する運手者の負担を軽減するとともに、「保舵」から「切り戻し」への移行時における違和感の発生を抑えて、より良好な操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
特開2006−131191号公報 特開2006−142932号公報
しかしながら、上記二つの補償制御を併用した場合には、一つの問題が生ずることになる。即ち、アシスト勾配補償制御による各種補償制御の最適化は、システム全体としての安定性向上を図るものであるのに対し、上記操舵トルクシフト制御は、特定の操舵状態における操舵フィーリングの向上を目的とするものである。従って、操舵トルクシフト制御による補正後の操舵トルクに基づくアシスト勾配を基礎として上記アシスト勾配補償制御を実行することにより、かえってシステムの不安定化を招くおそれがある。とりわけ、操舵トルクシフト制御により操舵トルクが大きな値へと補正された場合には、本来、行なわれるべきシステムの安定化が十分に行なわれなくなり、ひいては、それに伴う発振等により、良好な操舵フィーリングが損なわれる可能性があることから、この点において、なお改善の余地を残すものとなっていた。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、アシスト力の基礎成分を演算する前段階における操舵トルクの補正時においても高い安定性を確保することのできる電動パワーステアリング装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、検出された操舵トルクを、操舵に関する状態量に応じて補正し、補正後の操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するものであって、補正後の前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配を、補正前の前記操舵トルク及び補正後の前記操舵トルクに基づき補正し、補正後のアシスト勾配に基づきその補償制御の特性を変更すること、を要旨とする。
上記構成によれば、実際にシステムとして考慮した場合における正しいアシスト勾配を用いて、そのアシスト勾配補償制御が実行される。その結果、アシスト力の基礎成分を演算する前段階において操舵トルクの補正が実行された場合であっても、適切なアシスト勾配補償の実行を担保して、より高い安定性を確保することができるようになる。
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記操舵トルクを増大する補正が行なわれた場合には、前記アシスト勾配を増大させる補正を行なうこと、を要旨とする。
即ち、アシスト力の基礎成分を演算する前段階における操舵トルクの補正がシステムの安定性に及ぼす影響は、上述のように、その操舵トルク(の絶対値)を増大する補正が行なわれた場合に最も顕著に現れる。従って、このような場合にアシスト勾配補正を実行することで、効率良く、システムの安定化を図ることができる。
請求項3に記載の発明は、前記アシスト勾配の補正は、補正前の前記操舵トルクに対する補正後の前記操舵トルクの補正倍率に基づき行なわれること、を要旨とする。
上記構成によれば、実際にシステムとして考慮した場合における正しいアシスト勾配を求めることができる。
請求項4に記載の発明は、モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、検出された操舵トルクを、操舵に関する状態量に応じて補正し、補正後の操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するものであって、補正前の前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配に基づきその補償制御の特性を変更すること、を要旨とする。
上記構成によれば、補正前の操舵トルクに基づいて、そのアシスト勾配に基づいた各種補償制御の特性変更が実行される。その結果、アシスト力の基礎成分を演算する前段階において操舵トルクの補正が実行された場合であっても、適切なアシスト勾配補償の実行を担保して、高い安定性を確保することができるようになる。
本発明によれば、アシスト力の基礎成分を演算する前段階における操舵トルクの補正時においても高い安定性を確保することが可能な電動パワーステアリング装置を提供することができる。
図1は、本実施形態のEPS1の概略構成図である。同図に示すように、ステアリングホイール(ステアリング)2が固定されたステアリングシャフト3は、ラックアンドピニオン機構4を介してラック5に連結されており、ステアリング操作に伴うステアリングシャフト3の回転は、ラックアンドピニオン機構4によりラック5の往復直線運動に変換される。そして、このラック5の往復直線運動により転舵輪6の舵角が変更されるようになっている。
また、EPS1は、操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置としてのEPSアクチュエータ10と、該EPSアクチュエータ10の作動を制御する制御手段としてのECU11とを備えている。
本実施形態のEPSアクチュエータ10は、その駆動源であるモータ12がラック5と同軸に配置された所謂ラック型のEPSアクチュエータであり、モータ12が発生するアシストトルクは、ボールねじ機構(図示略)を介してラック5に伝達される。尚、本実施形態のモータ12は、ブラシレスモータであり、ECU11から三相(U,V,W)の駆動電力の供給を受けることにより回転する。そして、モータ制御装置としてのECU11は、このモータ12が発生するアシストトルクを制御することにより、操舵系に付与するアシスト力を制御する(パワーアシスト制御)。
本実施形態では、ECU11には、トルクセンサ14及び車速センサ15が接続されている。尚、本実施形態では、トルクセンサ14には、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトーションバーの捻れ角を一対の角度センサ(レゾルバ)により検出する所謂ツインレゾルバ型トルクセンサが採用されている。そして、ECU11は、これらトルクセンサ14及び車速センサ15によりそれぞれ検出される操舵トルクτ(τ_na)及び車速Vに基づいて、EPSアクチュエータ10の作動、即ちパワーアシスト制御を実行する。
次に、本実施形態のEPSの電気的構成について説明する。
図2は、本実施形態のEPSの制御ブロック図である。同図に示すように、ECU11は、モータ制御信号を出力するモータ制御信号出力手段としてのマイコン17と、モータ制御信号に基づいてモータ12に三相の駆動電力を供給する駆動回路18とを備えている。
本実施形態では、ECU11には、モータ12に通電される実電流値Iを検出するための電流センサ20、及びモータ回転角θを検出するための回転角センサ21が接続されている。そして、マイコン17は、上記各車両状態量、並びにこれら電流センサ20及び回転角センサ21の出力信号に基づき検出されたモータ12の実電流値I及びモータ回転角θに基づいて、駆動回路18に出力するモータ制御信号を生成する。
詳述すると、マイコン17は、操舵系に付与するアシスト力の目標値、即ち目標アシスト力に対応した電流指令値Iq*を演算する電流指令値演算部22と、電流指令値演算部22により算出された電流指令値Iq*に基づいてモータ制御信号を出力するモータ制御信号出力部23とを備えている。
電流指令値演算部22が出力する電流指令値Iq*は、電流センサ20により検出された実電流値I、及び回転角センサ21により検出されたモータ回転角θとともに、モータ制御信号出力部23に入力される。そして、モータ制御信号出力部23は、この目標アシスト力に対応する電流指令値Iq*に実電流値Iを追従させるべくフィードバック制御を実行することによりモータ制御信号を演算する。
具体的には、本実施形態では、モータ12には、三相(U,V,W)の駆動電力の供給により回転するブラシレスモータが用いられている。そして、モータ制御信号出力部23は、実電流値Iとして検出されたモータ12の相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q座標系のd,q軸電流値に変換(d/q変換)することにより、上記電流フィードバック制御を行う。
即ち、電流指令値Iq*は、q軸電流指令値としてモータ制御信号出力部23に入力され、モータ制御信号出力部23は、回転角センサ21により検出されたモータ回転角θに基づいて相電流値(Iu,Iv,Iw)をd/q変換する。また、モータ制御信号出力部23は、そのd,q軸電流値及びq軸電流指令値に基づいてd,q軸電圧指令値を演算する。そして、そのd,q軸電圧指令値をd/q逆変換することにより相電圧指令値(Vu*,Vv*,Vw*)を演算し、当該相電圧指令値に基づいてモータ制御信号を生成する。
そして、本実施形態のECU11は、上記のように生成されたモータ制御信号をマイコン17が駆動回路18に出力し、該駆動回路18がそのモータ制御信号に基づく三相の駆動電力をモータ12に供給することにより、EPSアクチュエータ10の作動を制御する構成となっている。
次に、電流指令値演算部22による電流指令値演算の詳細について説明する。
本実施形態の電流指令値演算部22は、EPSアクチュエータ10に発生させるべきアシスト力の基礎成分である基本アシスト制御量Ias*を演算する基本アシスト制御部25と、その補償成分として、操舵トルクτの微分値(操舵トルク微分値dτ)に基づくトルク慣性補償量Iti*を演算するトルク慣性補償制御部26とを備えている。
本実施形態では、トルクセンサ14の出力する検出信号としての操舵トルクτ_naは、先ず、位相補償制御部27に入力される。そして、電流指令値演算部22には、この位相補償制御部27において位相補償処理(フィルタ処理)が施された後の操舵トルクτが入力される。
また、本実施形態の電流指令値演算部22には、操舵トルクシフト制御部28が設けられており、基本アシスト制御部25には、車速Vとともに、この操舵トルクシフト制御部28において補正された後の操舵トルクτ´が入力される。尚、本実施形態の操舵トルクシフト制御部28には、操舵トルクτとともに、車速V及びモータ12の回転角が入力されるようになっており、操舵トルクシフト制御部28は、これらの各状態量に基づき推定される操舵状態に応じて、その操舵トルクシフト制御を実行する。
そして、図3に示すように、基本アシスト制御部25は、その入力される操舵トルクτ´の絶対値が大きいほど、また車速Vが小さいほど、より大きな絶対値を有する基本アシスト制御量Ias*を演算する。尚、本実施形態では、特に操舵トルクτ´との関係において、当該操舵トルクτ´が大きいほど、その操舵トルクτの変化に対する基本アシスト制御量Ias*の変化の割合であるアシスト勾配Raが大きくなるように設計されている。
一方、本実施形態のトルク慣性補償制御部26には、操舵トルク微分値dτに加え、車速Vが入力される。そして、トルク慣性補償制御部26は、これらの各状態量に基づいてトルク慣性補償制御を実行する。尚、「トルク慣性補償制御」は、モータやアクチュエータ等、EPSの慣性による影響を補償する制御、即ちステアリング操作における「切り始め」時の「引っ掛かり感(追従遅れ)」、及び「切り終わり」時の「流れ感(オーバーシュート)」を抑制するための制御である。そして、このトルク慣性補償制御には、転舵輪6に対する逆入力応力の印加により操舵系に生じた振動を抑制する効果がある。
具体的には、図4に示すように、本実施形態のトルク慣性補償制御部26は、操舵トルク微分値dτと基礎補償量εtiとが関連付けられたマップ26a、及び車速Vと補間係数Aとが関連付けられたマップ26bを備えている。マップ26aにおいて、基礎補償量εtiは、入力される操舵トルク微分値dτの絶対値が大きいほど、基本アシスト制御部25において演算された基本アシスト制御量Ias*(の絶対値)をより増加させる値となるように設定されている。また、マップ26bにおいて、補間係数Aは、低車速領域では車速Vが大きくなるほど大きな値となるように、高車速領域では、車速が大きくなるほど小さな値となるように設定されている。そして、トルク慣性補償制御部26は、これらの各マップ26a,26bを参照することにより求められた基礎補償量εti及び補間係数Aを乗ずることによりトルク慣性補償量Iti*を演算する。
更に、本実施形態の電流指令値演算部22には、アシスト勾配補償制御部30が設けられており、同アシスト勾配補償制御部30には、上記のアシスト勾配Ra(Ra´)が入力される。尚、本実施形態では、基本アシスト制御部25が出力するアシスト勾配Ra(演算される基本アシスト制御量Ias*に対応する値)は、後述するアシスト勾配補正演算部33に入力されるようになっており、アシスト勾配補償制御部30には、同アシスト勾配補正演算部33において補正された後のアシスト勾配Ra´が入力されるようになっている。そして、アシスト勾配補償制御部30は、その入力されるアシスト勾配Ra´に応じて各種補償制御の特性を変更すべく、当該各補償制御に対応した制御信号を生成する(アシスト勾配補償制御)。
さらに詳述すると、本実施形態のアシスト勾配補償制御部30には、フィルタ定数Afを演算するフィルタ定数演算部31と、アシスト勾配ゲインKaを演算するアシスト勾配ゲイン演算部32とが備えられており、アシスト勾配補償制御部30は、これらのフィルタ定数Af及びアシスト勾配ゲインKaを上記特性変更のための制御信号として出力する。そして、本実施形態では、位相補償制御部27及びトルク慣性補償制御部26が、これら各フィルタ定数Af及びアシスト勾配ゲインKaに基づいて、その位相補償処理及びトルク慣性補償制御の特性を変更する構成となっている。
即ち、上述のように、アシスト勾配の変化は、ステアリングシャフト3の途中に設けられたトルクセンサ14を構成するトーションバー(図示略)のバネ定数の変化と等価である。従って、アシスト勾配が大きくなるほど、振動が発生しやすくなる傾向があるが、こうしたアシスト勾配の上昇に伴う振動増大の問題は、位相補償制御の特性変更、具体的には、その位相補償処理におけるフィルタ特性のゲインを低く抑えることにより抑制することが可能である。そして、本実施形態では、上記フィルタ定数演算部31が、図5に示されるような、アシスト勾配Raの上昇に応じてフィルタ特性のゲインを低減するようなフィルタ定数Afを演算することにより、アシスト勾配Raの上昇に伴う振動増大を抑制する構成となっている。
また、操舵トルク微分値dτに基づくトルク慣性補償制御には、逆入力応力の印加により操舵系に生じた振動を抑制する効果があるものの、その過大なアシストトルクの立ち上がりにより、操舵フィーリングが悪化する(所謂切り始めの「抜け感」)、或いは制御上の不安定化(振動)が引き起こされるおそれがある。
この点を踏まえ、本実施形態では、アシスト勾配ゲイン演算部32が、図6に示されるような、急速にアシストトルクを立ち上げる必要性の低いアシスト勾配の小さいな領域では、トルク慣性補償量Iti*を低減するアシスト勾配ゲインKaを出力する。そして、これにより、上記位相補償制御の特性変更と併せ、良好な操舵フィーリングの実現を図る構成となっている。
図2に示すように、基本アシスト制御部25において演算された基本アシスト制御量Ias*、及びトルク慣性補償制御部26において演算されたトルク慣性補償量Iti*は、加算器35に入力される。そして、電流指令値演算部22は、この加算器35において基本アシスト制御量Ias*にトルク慣性補償量Iti*を加算した値に基づき電流指令値Iq*を演算し、該電流指令値Iq*をモータ制御信号出力部23に出力する。
(アシスト勾配補正)
次に、本実施形態におけるアシスト勾配補正の態様について説明する。
上述のように、アシスト勾配補償制御による各種補償制御の最適化は、システム全体としての安定性向上を図るものであるのに対し、上記操舵トルクシフト制御は、特定の操舵状態における操舵フィーリングの向上を目的とするものである。従って、操舵トルクシフト制御による補正後の操舵トルクに基づくアシスト勾配を基礎として上記アシスト勾配補償制御を実行することにより、かえってシステムの不安定化を招くおそれがある。
この点を踏まえ、図2に示すように、本実施形態では、上記基本アシスト制御部25とアシスト勾配補償制御部30との間には、アシスト勾配補正演算部33が設けられている。そして、アシスト勾配補償制御部30は、このアシスト勾配補正演算部33において補正された後のアシスト勾配Ra´を基礎として、そのアシスト勾配補償制御を実行する。
詳述すると、本実施形態の基本アシスト制御部25は、上記アシスト勾配Raとともに、その操舵トルクシフト補正制御による操舵トルクの補正比率、即ち当該補正前の操舵トルクτに対する補正後の操舵トルクτ´の補正倍率Cを出力する(C=τ´/τ)。そして、アシスト勾配補正演算部33は、この補正倍率Cに基づいて、上記操舵トルクシフト補正制御による補正前の操舵トルクτに換算したアシスト勾配Ra0を演算する。
具体的には、本実施形態のアシスト勾配補正演算部33は、次の(1)式に基づいて、当該補正前の操舵トルクτに換算したアシスト勾配Ra0を演算する。
Ra0=Ra×C×α ・・・(1)
尚、上記(1)式中、「α」は、図3に示されるような操舵トルクと基本アシスト制御量との関係性を示す特性係数である。
そして、本実施形態では、アシスト勾配補正演算部33が、そのアシスト勾配Ra0を補正後のアシスト勾配Ra´としてアシスト勾配補償制御部30に出力し、アシスト勾配補償制御部30が、その補正後のアシスト勾配Ra´に基づいて、そのアシスト勾配補償制御を実行することにより、システムの高い安定性を確保する構成となっている。
即ち、例えば、図7に示す例では、操舵トルクシフト補正制御の実行により、その補正後の操舵トルクτ´が当該補正前の操舵トルクτよりも大きくなっており、これに伴い、上記基本アシスト制御部25では、その補正後の操舵トルクτ´に基づいて、アシスト勾配Raが演算される(同図中、点P1)。
しかしながら、トルクセンサ14により検出された値は、あくまで補正前の操舵トルクτであり、実際にシステムとして考慮した場合のアシスト勾配は、操舵トルクτと基本アシスト制御量Ias*との関係(図3参照)において、その傾きがより大きな関係が選択された場合に当該補正前の操舵トルクτを用いて演算される値(図7中、点P0)である。つまり、補正後の操舵トルクτ´に基づき演算されるアシスト勾配Raは、多くの場合、実際にシステムとして考慮した場合のアシスト勾配よりも低い値となる。従って、そのアシスト勾配Raを基礎としたアシスト勾配補償制御では、十分にシステムの安定化を図ることができないという問題がある。
この点、本実施形態では、補正前の操舵トルクτに対する補正後の操舵トルクτ´の補正倍率Cに基づいて、当該補正前の操舵トルクτに換算したアシスト勾配Ra´(Ra0)を演算することにより、実際にシステムとして考慮した場合の正しいアシスト勾配が演算される。その結果、上記操舵トルクシフト制御の実行時においても、十分なアシスト勾配補償の実行を担保して、より高い安定性を確保することができるようになっている。
(1)基本アシスト制御部25とアシスト勾配補償制御部30との間には、アシスト勾配補正演算部33が設けられる。アシスト勾配補正演算部33は、操舵トルクシフト補正制御による補正前の操舵トルクτに換算したアシスト勾配Ra0を演算し、これを補正後のアシスト勾配Ra´とする。そして、アシスト勾配補償制御部30は、このアシスト勾配補正演算部33において補正された後のアシスト勾配Ra´を基礎として、そのアシスト勾配補償制御を実行する。
即ち、トルクセンサにより検出される値は、あくまで補正前の操舵トルクτであり、実際にシステムとして考慮した場合のアシスト勾配は、この補正前の操舵トルクに基づくものである。この点、上記構成によれば、実際にシステムとして考慮した場合における正しいアシスト勾配を用いて、そのアシスト勾配補償制御が実行される。その結果、アシスト力の基礎成分を演算する前段階において操舵トルクの補正が実行された場合であっても、適切なアシスト勾配補償の実行を担保して、高い安定性を確保することができるようになる。
(2)アシスト勾配補償制御部30は、補正前の操舵トルクτに対する補正後の操舵トルクτ´の補正倍率Cに基づいて、当該補正前の操舵トルクτに換算したアシスト勾配Ra´(Ra0)を演算する。これにより、実際にシステムとして考慮した場合における正しいアシスト勾配を求めることができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・本実施形態では、補正前の操舵トルクτに対する補正後の操舵トルクτ´の補正倍率Cに基づき、アシスト勾配Raの補正を実行することとした。しかし、これに限らず、例えば、より単純に、実行された操舵トルクシフト制御が、操舵トルクτ(の絶対値)を増大する補正であれば、補正後のアシスト勾配Ra´を増加させるべくアシスト勾配補正を実行し、操舵トルクτを低減させる操舵トルクシフト制御が実行された場合には、補正後のアシスト勾配Ra´を低減する等としてもよい。尚、この場合の増加量、低減量の演算は、所定量を加減算、或いは乗算する等、どのような方法を用いてもよい。
・また、本実施形態では、特に言及しなかったが、図8のフローチャートに示すように、実行された操舵トルクシフト制御が、操舵トルクτ(の絶対値)を増大する補正である場合(|τ´|>|τ|、ステップ101:YES)に、補正後のアシスト勾配Ra´を増加させるべくアシスト勾配Raの補正を実行する構成としてもよい(ステップ102)。
即ち、操舵トルクシフト制御がシステムの安定性に及ぼす影響は、上述のように、その操舵トルクτ(の絶対値)を増大する補正が行なわれた場合に最も顕著に現れる。従って、このような場合にアシスト勾配補正を実行することで、効率良く、システムの安定化を図ることができる。
・更に、図9に示すように、アシスト勾配補正演算部33に代えて、補正前の操舵トルクτに基づきアシスト勾配Raを演算するアシスト勾配演算部36を設け、その演算されるアシスト勾配Raに基づきアシスト勾配補償制御を実行する構成としてもよい。尚、この場合、例えば、上記の別例のように、操舵トルクτ(の絶対値)を増大する補正である場合に、補正後のアシスト勾配Ra´を増加させるべくアシスト勾配Raの補正を実行する構成(図8参照)とすればよい。
・また、本実施形態では、本発明を、上記基本アシスト成分(基本アシスト制御量)を演算する前段階において、その基礎となる操舵トルクを補正する補償制御の一例として、操舵トルクシフト制御部28は、これらの各状態量に基づき推定される操舵状態に応じて、その操舵トルクシフト制御を実行するものに具体化した。しかし、これに限らず、本発明は、例えば、カム機構を用いて偏心配置された第1軸及び第2軸を連結することにより、その操舵角に応じて入出力比を変更可能なステアリング装置(例えば特開平6−48308号参照)において、そのアシスト力付与を最適化するための操舵トルクシフト制御を実行するもの等、その他の構成について適用してもよい。
電動パワーステアリング装置(EPS)の概略構成図。 本実施形態におけるEPSの制御ブロック図。 基本アシスト制御演算及びアシスト勾配の概要を示す説明図。 トルク慣性補償制御部の制御ブロック図。 位相補償処理についてのアシスト勾配補償制御の態様を示す説明図。 アシスト勾配とアシスト勾配ゲインとの関係を示す説明図。 操舵トルクシフト制御の実行に伴うアシスト勾配の変化を示す説明図。 別例のアシスト勾配補正の態様を示す説明図。 補正前の操舵トルクに基づくアシスト勾配演算の態様を示す制御ブロック図。
符号の説明
1…電動パワーステアリング装置(EPS)、10…EPSアクチュエータ、11…ECU、12…モータ、14…トルクセンサ、17…マイコン、18…駆動回路、22…電流指令値演算部、23…モータ制御信号生成部、25…基本アシスト制御部、26…トルク慣性補償制御部、27…位相補償制御部、30…アシスト勾配補償制御部、31…フィルタ定数演算部、32…アシスト勾配ゲイン演算部、33…アシスト勾配補正演算部、τ,τ´,τ_na…操舵トルク、Ias*…基本アシスト制御量、Iti*…トルク慣性補償量、Ra,Ra´,Ra0…アシスト勾配、Af…フィルタ定数、Ka…アシスト勾配ゲイン。

Claims (4)

  1. モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、検出された操舵トルクを、操舵に関する状態量に応じて補正し、
    補正後の操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するものであって、
    補正後の前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配を、補正前の前記操舵トルク及び補正後の前記操舵トルクに基づき補正し、
    補正後のアシスト勾配に基づきその補償制御の特性を変更すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 請求項1に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記制御手段は、前記操舵トルクを増大する補正が行なわれた場合には、前記アシスト勾配を増大させる補正を行なうこと、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電動パワーステアリング装置において、
    前記アシスト勾配の補正は、補正前の前記操舵トルクに対する補正後の前記操舵トルクの補正倍率に基づき行なわれること、を特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. モータを駆動源として操舵系にステアリング操作を補助するためのアシスト力を付与する操舵力補助装置と、
    操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、
    前記操舵力補助装置の作動を制御する制御手段と、を備え、
    前記制御手段は、検出された操舵トルクを、操舵に関する状態量に応じて補正し、
    補正後の操舵トルクに基づき前記操舵力補助装置に発生させるべき前記アシスト力の基礎成分を演算するものであって、
    補正前の前記操舵トルクの変化に対する前記基礎成分の変化の割合であるアシスト勾配に基づきその補償制御の特性を変更すること、
    を特徴とする電動パワーステアリング装置。
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