JP5012258B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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また、上記特許文献2に記載の従来例にあっては、電動パワーステアリング装置としては、位置検出センサが異常となったときに、予め決められたパターンでモータを駆動した場合、運転者の意図に反してステアリングホイール回転する可能性があり、運転者の意志に従ったモータ駆動を行うことができないという未解決の課題がある。
えることを完全に防止することはできない、このため、特許文献3に記載の従来例をモータ回転角検出異常時の代替制御装置として使用することが考えられるが、この場合には、通常の制御回路構成以外にPLL回路等を設けてセンサレス駆動を前提としたアナログ回路構成が必要となるか、それと同等の演算が可能な高性能な演算処理装置を必要とし、部品点数が増加すると共に、コストが嵩むという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、部品点数の増加やコストアップを抑制した簡素な構成のモータ相対角度検出手段を使用して運転者に不快感を与えることを抑制することができる電動式パワーステアリング装置を提供することを目的としている。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は通常の車両に搭載されているバッテリであって、このバッテリ1から出力されるバッテリ電圧Vbがヒューズ2を介して制御装置3に入力される。この制御装置3は、ヒューズ2を介して入力されるバッテリ電圧Vbが図3中に示すリレー4を介して入力された操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータ5を駆動するモータ駆動手段としてのモータ駆動回路6を有する。
ト12がラックピニオン機構14に連結され、このラックピニオン機構14がタイロッド等の連結機構15を介して左右の転舵輪16に連結されている。
このマイクロコンピュータ30には、電動モータ5の各相電流を検出する電流検出回路7から入力される各相電流検出値Ia〜Icと、電動モータ5の各相の端子電圧を検出する端子電圧検出回路8から入力される各相端子電圧Va〜Vcとが入力されると共に、操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルク信号がA/D変換回路31を介して入力され、レゾルバ18の出力信号が入力されたモータ回転角信号を出力するモータ回転角検出回路32からのモータ回転角信号sinθ及びcosθ が入力端子に入力され、さらに車速
Vsを検出する車速センサ33から出力される車速検出値Vsが入力される。
ここで、モータ回転角検出回路32は、所定の周波数を有する搬送波信号sinωtをレゾルバ18に供給して、この搬送波信号sinωtを正弦波sinθで振幅変調した波形を有する正弦波信号(sinωt・sinθ)及び搬送波信号sinωtを余弦波cosθで振幅変調した波形を有する余弦波信号(sinωt・cosθ)を発生させ、これら正弦波信号(sinωt・sinθ)及び余弦波信号(sinωt・cosθ)をA/D変換器35及び36を介してマイクロコンピュータ30に入力すると共に、搬送波sinωtの例えば正のピーク時期を検出してピーク検出パルスPpをマイクロコンピュータ30に入力する。
す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して電流指令値でなる操舵補助トルク指令値IM *を算出する。
この操舵補助トルク指令値算出マップは、図6に示すように、横軸に操舵トルクTsをとり、縦軸に操舵補助トルク指令値IM *をとると共に、車速Vsをパラメータとした放物線状の曲線で表される特性線図で構成され、操舵トルクTsが“0”からその近傍の設定値Ts1までの間は操舵補助トルク指令値IM *が“0”を維持し、操舵トルクTが設定値Ts1を超えると最初は操舵補助指令値IM *が操舵トルクTの増加に対して比較的緩やかに増加するが、さらに操舵トルクTが増加すると、その増加に対して操舵補助トルク指令値IM *が急峻に増加するように設定され、この特性曲線が車速の増加に従って傾きが小さくなるように設定されている。
また、その際、電動モータ5の慣性J及び摩擦(静摩擦)Frによってステアリングホイール1の操舵の抵抗となるトルクが生じる。これらの力の釣り合いを考えると、下記(1)式のような運動方程式が得られる。
ここで、上記(1)式を初期値ゼロとしてラプラス変換し、セルフアライニングトルクSATについて解くと下記(2)式が得られる。
SAT(s) = Tm(s) + T(s) − J・α(s) + Fr・sign(ω(s)) …(2)
上記(2)式から分かるように、電動モータ5の慣性J及び静摩擦Frを定数として予め求めておくことで、モータ角速度ω、回転角加速度α、アシストトルクTm及び操舵トルクTよりセルフアライニングトルクSATを推定することができる。ここで、アシストトルクTmは操舵補助電流指令値IM *に比例するので、アシストトルクTmに代えて操舵補助電流指令値IM *を適用する。
されて指令補償値Icomが算出され、この指令補償値Icomが操舵補助トルク指令値演算部42Aから出力される操舵補助トルク指令値IM *に加算器56で加算されて補償後トルク指令値IM *′が算出され、この補償後トルク指令値IM *′がd−q軸電流指令値演算部42Cに出力される。
Vab=Va−Vb ……(3)
Vbc=Vb−Vc ……(4)
Vca=Vc−Va ……(5)
次いで、算出した線間電圧Vab、Vbc、Vcaと、電流検出回路7から入力される各相電流検出値Ia〜Icとに基づいて下記(6)式〜(8)式の演算を行って各線間逆起電圧EMFab、EMFbc、EMFcaを算出する。
EMFbc=Vbc−{(Rb+s・Lb)・Ib−(Rc+s・Lc)・Ic}…(7)
EMFca=Vca−{(Rc+s・Lc)・Ic−(Ra+s・La)・Ia}…(8)ここで、Ra、Rb、Rcはモータの巻線抵抗、La、Lb、Lcはモータのインダクタンス、sはラプラス演算子で、ここでは微分演算(d/dt)を表している。
さらにまた、角速度・角加速度演算部48は、図8に示すように、逆起電圧演算部46から入力される逆起電圧EMFに基づいて相対角速度ωeeを演算する相対角速度演算部48aと、操舵トルクセンサ17から入力される操舵トルクTsに基づいて回転方向を表す符号を取得する符号取得部48bと、角速度演算部48aで演算した相対角速度ωeeに符号取得部48bで取得した符号を乗算する乗算部48cと、この乗算部48cから出力される相対角速度ωeeの急激な変化を抑制するレイトリミッタ部48dと、このレイトリミッタ部48dで急激な変化が抑制された相対角速度ωeeが零近傍の角速度領域即ちωe=0を含むその近傍値±Δωの不感帯内であるか否かを判定し、ωee<−Δω又はωee>+Δωであって不感帯外であるときには相対角速度ωeeをそのまま出力し、ω−Δω≦ωee≦+Δωであって不感帯内であると判定されたときに相対角速度ωeeを予め設定した正負の相対角度情報オフセット値±Δωdに所定間隔で交互に設定して相対角速度ωeeが“0”以外の値となるように設定する相対角度情報補完部としての相対角度情報オフセット処理部48eと、相対角度情報オフセット処理部48eから出力される相対角速度ωeeを前回のモータ回転角θe(n-1)に加算して相対回転角θeeを算出する加算部48fと、この加算部48fから出力される相対回転角θeeとモータ回転角演算部47から入力される実回転角θerとをフェールセーフ信号SFに基づいて選択する選択手段としての回転角選択部48gと、モータ回転角演算部47から入力される実回転角θerを微分して実角速度ωerを算出する角速度演算部48hと、この角速度演算部48hから入力される実角速度ωerと相対角度情報オフセット処理部48eから出力される相対角速度ωeeとをフェールセーフ信号SFに基づいて選択する角速度選択部48iと、角速度選択部48iで選択された角速度ωeを微分して角加速度αを算出する角加速度演算部48jとで構成されている。ここで、逆起電圧演算部46、角速度演算部48a、符号取得部48b及び乗算部48cで相対角度情報演算部が構成されている。
ωee=EMF/Ke …………(9)
ここに、Keはモータの逆起電圧定数[V/rpm]である。
また、逆起電圧演算部46内の図示しない不感帯設定部では、前述した各線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaを算出する(6)式〜(8)式のモータの巻線抵抗Ra〜Rcとして、実際の抵抗値の代わりに抵抗のモデル値を採用するため、相対角速度ωeeには誤差が生じ、その誤差はモータ電流に比例したオフセット誤差となることに基づいて電流に比例した不感帯設定を行って推定誤差を取り除くためのものである。すなわち、相対角速度ωeeは電流(逆起電圧量)に比例し、誤差も電流(逆起電圧量)に比例するためである。このため、不感帯の設定値は電流指令値IM *に応じた値に設定する。
さらにまた、相対角度オフセット処理部48eの不感帯幅±Δωは、相対角度が0若しくはその近傍の領域を規定する設定値である。モータを相対角度で駆動するため、モータ相対角速度が±Δωで示される領域内で、モータのステータとロータ間の磁界拘束力が大きい場合、次に運転者がステアリングホイールを操舵して相対角度情報(この場合逆起電圧)が得られなくなり、所謂ステアリング(ハンドル)ロックとなってしまう。
そして、マイクロコンピュータ30は、各入力信号に基づいて指令値算出部42に相当する図11に示す操舵補助制御処理を実行する。
操舵補助制御処理は、図11に示すように、先ず、ステップS1で、操舵トルクセンサ17、車速センサ33等の各種センサの検出値及び角速度・角加速度演算部48で算出した回転角θe、角速度ωe及び角加速度αを読込み、次いでステップS2に移行して、操舵トルクTをもとに前述した図6に示す操舵補助トルク指令値算出マップを参照して操舵補助トルク指令値IM *を算出してからステップS3に移行する。
このステップS4では、慣性補償部52と同様に、モータ角加速度αに基づいて慣性補償値Iiを算出し、次いでステップS5に移行してSAT推定フィードバック部53と同様にモータ角速度ωe及びモータ角加速度αをもとに前述した(2)式の演算を行ってセルフアライニングトルクSATを算出する。
この相対角速度演算処理は、所定時間(例えば1msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS31で、逆起電圧演算部46で演算した逆起電圧EMFを読込み、次いでステップS32に移行して、逆起電圧EMFに基づいて前述した(9)式の演算を行って相対角速度ωeeを算出し、次いでステップS33に移行して、操舵トルクTsの符号を取得して相対角速度ωeeに付加してからステップS34に移行する。
このステップS40では、モータ相対回転角θeeに対する角度変化が1加算周期当り例えば±2degとなる値に設定された相対角度情報オフセット値Δωdを現在の相対角速度ωeeとして設定し、次いでステップS41に移行して、現在の時間係数値tに“1”を加算して新たな時間係数値tを算出し、次いでステップS42に移行して、時間係数値tが所定値ts(例えば20msec相当)を超えたか否かを判定し、t>tsであるときには、ステップS43に移行して、現在の相対角度情報オフセット値Δωdに−を乗算して符号反転を行ってからステップS44に移行する。
また、前記ステップS39の判定結果が、ωee<−Δω又はωee>+Δωであるときには不感帯外であるものと判断してそのままタイマ割込を終了し、前記ステップS42の判定結果がt≦tsであるときにもそのままタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図3に示すイグニッションスイッチ37をオン状態とすることにより、制御装置3にバッテリ1からの電源が投入されて、制御装置3内のマイクロコンピュータ30で、図9に示すモータ回転角異常検出処理、図11に示す操舵補助制御処理及び図12に示す相対角速度算出処理等が実行開始される。
この車両の停車状態から車両を発進させて走行状態とし、この状態でステアリングホイール11を操舵する通常操舵状態では、車速の増加に応じて必要とする操舵補助トルクが小さくなることから、ステアリングホイール11に伝達される操舵トルクも小さい値となり、これが操舵トルクセンサ17で検出されてマイクロコンピュータ30に入力される。このため、操舵補助指令値IM *も小さい値となり、電動モータ5で発生される操舵補助トルクは据切り時の操舵補助トルクに比較して小さくなる。
このとき、逆起電圧演算部46で、前述した(3)式〜(5)式の演算を行って各線間電圧Vab、Vbc及びVcaを算出し、次いで前記(6)〜(8)式の演算を行うことにより、線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaを算出し、これらを加算して逆起電圧EMFを算出する。
次いで、算出した相対角速度ωeeに操舵トルクセンサ17で検出した操舵トルクTsの符号を付加することにより、電動モータ5の回転方向に応じた符号を有する現在の相対角速度ωee(n)が算出される。
このため、加算部48fで、相対角速度ωeeを前回の回転角θer(n-1)に加算することにより、相対回転角θeeを算出する。
この算出された相対回転角θeeが回転角選択部48gで選択されて回転角θeとして電流指令値算出部42に出力されると共に、相対角速度ωee(n)が角速度選択部48iで選択されて角速度ωeとして電流指令値算出部42に出力され、さらに角速度ωeを角加速度演算部48jで微分して角加速度αを算出し、この角加速度αも電流指令値算出部42に出力される。
すなわち、不感帯内となると、所定時間(例えば20msec)に達する毎に、相対角速度ωeeとしてモータ相対回転角θeeに対する角度変化が1加算周期当り±2degとなる値に設定された相対角度情報オフセット値±Δωdを設定することを繰り返すことにより、相対角速度ωeeを“0”以外の値に設定することを繰り返す。
すなわち、ブラシレスモータのロータとステータとの磁界ベクトル相対角誤差とロータに発生するエネルギーの絶対値との関係は図13に示すようになる。
ここで、ロータ位置を考慮せずにステータに固定の電流を流すと、図13の「状態1」に示すように、ロータとステータの磁界ベクトルが一致する所までモータはトルクを発生して回転する。
ωee=2×{max(|ea|,|eb|,|ec|)}/Ke ……(11)
この場合、中点電圧を検出する場合に代えて、中点電圧はモータ駆動回路印加電圧の1/2となることから、モータ駆動回路印加電圧1/2の値を中点電圧Vnとして相電圧Vah〜Vchを算出するようにしてもよい。
Vn=(Va+Vb+Vc+……+Vx)÷モータ相数) ……(12)
また、逆起電圧eiを算出する場合に、上記(10)式に代えて、下記(13)式に示すように、電流制御部45から出力される電圧指令値Vi*(i=a〜c)に基づいてFETゲート駆動回路22で算出されるデューティ比Diとバッテリ電圧Vbatとモータ電流Iiとに基づいて逆起電圧eiを算出するようにしてもよい。
この場合には、モータ端子電圧Va〜Vcを使用することなく逆起電圧eiを算出することができるので、上記(13)式に基づいて逆起電圧eiを算出する逆起電圧演算部を前述した逆起電圧演算部46に代えて設けることにより、モータ端子電圧検出部8を省略することができ、この分制御装置3の構成を簡略化することができる。
また、上記第1の実施形態においては、相対角速度演算部48aで演算した相対角速度ωeeが不感帯内であるときに相対角度情報オフセット処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、相対角速度ωeeが不感帯内であるか否かにかかわらず常時相対角度情報オフセット処理を行うようにしてもよい。また、この場合には、不感帯外であるときに相対角度情報オフセット値を小さくし、不感帯内であるときに相対角度情報オフセット値を大きくするようにしてもよい。
さらに、上記第1の実施形態においては、0速度領域からの不感帯にある状態で、相対角速度ωeeを相対角度情報オフセット値±Δωdに設定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば逆起電圧演算部46内の図示しない不感帯設定部で設定される巻線抵抗Ra〜Rcとして実際の抵抗値の変わりに抵抗のモデル値を採用することにより、相対角速度ωeeの誤差を除去する不感帯幅を意図的に小さなものとし、本来角度情報として無視する情報を、あえて制御で使用することにより、相対角度情報オフセット値±Δωd相当の値を設定することもできる。
によりモータ回転角θeeを算出する場合について説明したが、線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaは正弦波となるので、この線間逆起電圧EMFab、EMFbc及びEMFcaの0クロス点を検出し、0クロス点を検出した時点で一意に決まるモータ回転角(電気角)でモータ回転角θeeを下記表1に示すように補正することにより、より正確なモータ回転角θeeを算出することができる。
この第2の実施形態では、相対角速度ωeeが“0”角速度領域にあるときに、相対角度情報オフセット処理を行って相対角度の補完を行う場合に代えて、操舵トルクTsに基づいて補完用相対角速度ωee′を算出する補完用相対角度情報演算部を設けるようにしたものである。
このステップS52では、読込んだ操舵トルクTsを含むそれ以前の所定数(例えば32個)分の操舵トルクTsの平均値TsMを算出する平均化処理を行ってからステップS53に移行する。
ステップS57では、下記(13)式の演算を行ってモータ相対角度変化量ΔθMを算出してからステップS58に移行する。
ここで、Kmは相対角度情報算出用ゲインである。
ステップS58では、ステップS57で算出したモータ相対角度変化量ΔθMと前回のサンプリング時に算出したモータ相対角度θMP(n-1)とを加算して、今回のモータ相対角度θMP(n)を算出してからステップS59に移行する。
この図15の処理と角速度・角加速度演算部48の選択部48nとが相対角度情報補完部に対応している。
なお、モータ相対角度情報算出用ゲインKmは一定値でもよいが、車速Vsに応じて変更するようにしてもよく、このために車速Vsに基づいてモータ相対角度情報演算のゲイン等のモータ進角を調整可能なパラメータを変化させるパラメータ設定手段を設けるようにしてもよい。
先ず、補完用相対角度情報演算部70では、図15の補完用相対角度算出処理を実行し、タイマ割込処理によって、所定時間毎に操舵トルクTsを読込み、次いで、今回読込んだ操舵トルクTsを含む過去の所定数の操舵トルクTs(n)〜Ts(n-31)を平均化処理して操舵トルク平均値TsM(n)を算出する(ステップS52)。この平均化処理を行うことにより、操舵トルクセンサ17から出力される操舵トルクTをA/D変換器31でデジタル信号に変換した際に生じる数LSBのバタつきがノイズ成分として使用されることを確実に防止することができる。
一方、操舵トルク平均値TsM(n)が不感帯外であるときには、そのままステップS55に移行する。
このため、図17の角速度・角加速度演算部48で、モータ回転角検出系統が正常である場合には、前述した第1の実施形態と同様に、回転角選択部48gでモータ回転角演算部47によって演算された実回転角θerが選択されると共に、角速度選択部48iで角速度演算部48hで算出される実角速度ωerを選択し、選択した実角速度ωerを角加速度演算部48jで微分して角加速度αを算出し、実回転角θer、実角速度ωer及び角加速度αを電流指令値算出部42に供給することにより、これらに基づいて正確な相目標電流Ia*〜Ic*を算出し、この相目標電流Ia*〜Ic*と電流検出値Ia〜Icとの偏差ΔIa〜ΔIcを算出し、この偏差ΔIa〜ΔIcをPI制御処理して電圧指令値Va*〜Vc*を算出し、これら電圧指令値Va*〜Vc*をモータ駆動回路6のFETゲート駆動回路22に出力することにより、電動モータ5に三相駆動電流を供給して操舵補助力を発生させる。
そして、算出した相対角速度ωeeが不感帯外であるときには、不感帯検出部48mで論理値“0”の不感帯検出信号SDが第2の回転角選択部48m及び第2の角速度選択部48pに出力され、この第2の回転角選択部48nで加算部48fによって算出された相対回転角θeeが選択されると共に、第2の角速度選択部48pでレイトリミッタ部48dから出力される相対角速度ωeeが選択されて、逆起電圧EMFに基づいて算出される相対回転角θee、相対角速度ωee及び相対角加速度αに基づいて電流指令算出部42で3相電流指令値Ia*〜Ic*が算出され、電動モータ5が駆動制御されて電動モータ5から操舵補助力が発生されることにより、操舵補助制御処理が継続される。
なおさらに、上記第2の実施形態においては、操舵トルクTsを平均化した操舵トルク平均値TsMを使用して相対回転角変化量ΔθMを算出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、操舵トルクTsそのものを入力値として相対回転変化量ΔθMを算出するようにしてもよく、要は操舵トルクTsに基づく値であれば任意の演算値を適用することができる。
この第3の実施形態では、前述した第1及び第2の実施形態では、運転者の操舵量に応じたブラシレスモータの相対角度情報を算出する場合に、ブラシレスモータの逆起電圧に基づいて相対角度情報を構成する相対角速度を算出するようにしているので、ブラシレスモータの逆起電圧を正常に検出することができない状態となったときには相対角度情報を得ることができない状態となり、操舵補助制御を中止せざるを得ない。このため、第3の実施形態では、ブラシレスモータの逆起電圧を正常に検出することができない状態となったときでも操舵補助制御を継続することができるようにしたものである。
この相対角度演算処理は、所定時間(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行され、先ず、ステップS81で、レゾルバ18及びモータ回転角演算部47で検出されるモータ回転角θerが正常であるか否かを判定する。この判定は、前述した図9のモータ回転角異常検出処理で出力されるフェールセーフ信号SFを読込み、これが論理値“0”であるか否かを判断することにより行う。
このステップS83では、運転者の操舵量に応じた相対角度情報を正常に算出することができるか否かを判定する。この相対角度情報の算出が正常であるか否かの判定は、例えばモータ端子電圧検出部8で検出したモータ端子電圧が正常であるか否かを判断することにより行い、相対角度情報の算出が正常である場合には、ステップS84に移行して、前述した第1の実施形態と同様の相対角度情報検出処理を実行してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰し、相対角度情報の算出が異常であるときには、ステップS85に移行して、前述した第2の実施形態における補完用相対角度情報演算部70で実行する図15の補完用相対角度情報演算処理と同様の処理を行う相対角度情報検出処理を実行してからタイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
また、上記第3の実施形態においては、逆起電圧に基づく相対角度演算処理が行えない場合に、操舵トルクに基づく相対角度演算処理を行う場合について説明したが、これに限定されるものではなく、逆起電圧に基づく相対角度演算処理が行えない場合に、他の処理に使用する操舵角センサを使用して、操舵角センサから得た操舵角の角度変化量に基づいて相対角度を算出するようにしてもよく、さらに操舵角に基づく相対角度演算処理が行えない場合に操舵トルクに基づく相対角度演算処理を行うようにしてもよく、これら3つの操舵角演算処理の組合せは故障率等で決定するようにしてもよい。
また、モータの回転位置検出手段として、図19に示すように、通常の三相ブラシレスモータに設けられるa相、b相及びc相の極位置を検出するホールセンサ等の3つの極位置センサ101a、101b及び101cを適用する場合には、これら極位置センサ101a、101b及び101cから出力される相検出信号Sa、Sb及びScが図20に示すように120度の位相差を有することから、これら相検出信号Sa、Sb及びScに基づいて異常となった1つの極位置センサ101i(i=a、b、c)を検出することができる。
この状態で、例えばa相の極位置センサ101aがハイレベルで固着した場合には、図21に示すように、オンオフ状態で表される通電状態が“4”、“5”及び“6”と新たなa相検出信号Saがハイレベル、b相検出信号Sbがハイレベル、c相検出信号Scがハイレベルとなる通電状態“7”とが所定の順序で繰り返されることになり、通電状態“7”となったところで、異常を検出することができるが、本来a相検出信号Saがハイレベルとなる0度〜180度の範囲では、正常時とパターンが変わらない。ここで、通電状態“4”は0度〜360度の範囲で、1度だけ現れる一意な通電状態であり、この通電状態“4”は通電状態“5”又は“6”となるエッジ部では正しく角度を読み取ることができる。同様に、b相検出信号Sb及びc相検出信号Scがハイレベルで固着した場合には、夫々通電状態“2”及び“1”が一意に角度を検出できる領域として存在し、同様に角度を正しく認識できる点が存在する。
さらに、上記第1〜第3の実施形態においては、マイクロコンピュータ30で操舵補助制御処理を実行し、FETゲート駆動回路22でパルス幅制御処理を実行する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、マイクロコンピュータ30で操舵補助制御処理及びパルス幅制御処理の双方を実行するようにし、このマイクロコンピュータ30でインバータ回路21を直接駆動制御するようにしてもよい。
Claims (3)
- 操舵系に対して操舵補助力を発生する電動モータと、該電動モータの回転角を検出するモータ回転角検出手段と、前記操舵系に伝達される操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、該操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて操舵補助指令値を算出し、算出した操舵補助指令値及び前記モータ回転角検出手段で検出したモータ回転角とに基づいて前記電動モータを駆動制御するモータ制御手段とを備えた電動パワーステアリング装置であって、
前記モータ回転角検出手段の異常を検出するモータ回転角異常検出手段と、運転者の前記操舵系に対する操舵量に応じた前記電動モータの相対角度情報を算出するモータ相対角度情報算出部とを有するモータ相対角度検出手段とを備え、
前記モータ制御手段は、前記モータ回転角異常検出手段で前記モータ回転角異常検出手段の異常を検出していないときに、当該回転角検出手段で検出したモータ回転角情報を選択し、前記モータ回転角異常検出手段で、前記モータ回転角検出手段の異常を検出したときに、前記モータ相対角度検出手段で検出した相対角度情報を選択し、選択した前記モータ回転角情報又は相対角度情報に基づいて前記電動モータを駆動制御するように構成され、
前記モータ回転角検出手段は、多相の極位置信号を出力する極位置センサで構成され、
前記モータ回転角異常検出手段は、前記極位置センサから出力される極位置信号に基づいて1つの極位置センサの異常を検出し、
前記モータ相対角度算出部は、算出したモータ相対角度の実角度に対する誤差が増加する要補正状態であることを検出する要補正状態検出手段と、該要補正状態検出手段で要補正状態を検出したときに前記相対角度情報を補正する相対角度情報補正手段を備え、
前記要補正状態検出手段は、極位置センサの異常状態に応じて360度のうち一意に決まる極位置信号配列となったときに、要補正状態であることを検出し、前記相対角度情報補正手段は、要補正状態であるときに、該当する極位置信号配列の実角度で、前記相対角度情報を補正するように構成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記モータ制御手段は、前記相対角度情報に基づいて前記電動モータを駆動制御する時に、初期角度を設定することなく任意の実角度から駆動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
- 前記モータ相対角度情報算出部は、前記モータの逆起電圧演算部から入力される逆起電圧に基づいて相対角速度を演算し、演算した相対角速度の符号を前記操舵トルク検出手段で検出した操舵トルクに基づいて決定するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動パワーステアリング装置。
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