JP2018113836A - モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両 - Google Patents

モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両 Download PDF

Info

Publication number
JP2018113836A
JP2018113836A JP2017004623A JP2017004623A JP2018113836A JP 2018113836 A JP2018113836 A JP 2018113836A JP 2017004623 A JP2017004623 A JP 2017004623A JP 2017004623 A JP2017004623 A JP 2017004623A JP 2018113836 A JP2018113836 A JP 2018113836A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
motor
electrical angle
output shaft
phase
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017004623A
Other languages
English (en)
Inventor
紘一 南平
Koichi Nampei
紘一 南平
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2017004623A priority Critical patent/JP2018113836A/ja
Publication of JP2018113836A publication Critical patent/JP2018113836A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Control Of Ac Motors In General (AREA)

Abstract

【課題】モータ電気角を高い精度で推定することができるモータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両を提供すること。【解決手段】モータ制御装置は、モータの電気角を演算するモータ電気角演算部を備える。モータは、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイルを備える。複数のコイルは、スター結線で接続される。モータ電気角演算部は、モータに減速装置を介して接続される出力軸の回転角である出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算する。モータ電気角演算部は、モータの電流値と、モータの電圧値と、モータの電気角の単位時間当たりの変化量である電気角変化率と、に基づいてモータの誘起電圧を演算し、誘起電圧に基づいてモータ電気角推定値を補正する。【選択図】図11

Description

本発明は、モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両に関する。
車両には、モータで生じる補助操舵力によって操舵を補助する電動パワーステアリング装置が搭載される。電動パワーステアリング装置は、モータを制御するためのモータ制御装置を備える。例えば、特許文献1にはモータ制御装置の一例が記載されている。特許文献1に記載されるモータ制御装置は、誘起電圧に基づいてモータ電気角を推定し、推定されたモータ電気角に基づいてモータを制御する。これにより、モータ回転角センサ(レゾルバ等)がない場合、又はモータ回転角センサが故障した場合において、モータの制御が可能となる。
特開2012−232624号公報
しかしながら、モータ電気角が誘起電圧のみに基づいて演算される場合、モータ電気角の推定精度の向上には限界があった。このため、モータ回転角センサがない場合、又はモータ回転角センサが故障した場合においても、モータ電気角を高い精度で推定することができるモータ制御装置が求められていた。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、モータ電気角を高い精度で推定することができるモータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両を提供すること、を目的としている。
上記の目的を達成するため、本発明の一態様に係るモータ制御装置は、モータの電気角を演算するモータ電気角演算部を備え、前記モータは、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイルを備え、複数の前記コイルは、スター結線で接続され、前記モータ電気角演算部は、前記モータに減速装置を介して接続される出力軸の回転角である出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算し、前記モータの電流値と、前記モータの電圧値と、前記電気角の単位時間当たりの変化量である電気角変化率と、に基づいて前記モータの誘起電圧を演算し、前記誘起電圧に基づいて前記モータ電気角推定値を補正する。
これにより、モータ制御装置は、出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算するので、モータ回転角センサに異常が生じてもモータ電気角推定値を演算することができる。そして、モータ電気角推定値が誘起電圧により補正されるので、モータの制御に用いられるモータ電気角の精度が向上する。さらに、電流値、電圧値、及び電気角変化率によって誘起電圧が演算されるので、電流値を微分する場合に比較して、誘起電圧の精度が向上する。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータ回転角センサに依存せずにモータ電気角を高い精度で推定することができる。
モータ制御装置の望ましい態様として、前記モータ電気角演算部は、前記出力軸回転角を記憶し、記憶された前記出力軸回転角と現在の前記出力軸回転角との差に基づいて前記電気角変化率を演算することが好ましい。
出力軸回転角の変化率に対する電気角変化率は既知であるため、モータ電気角演算部は、電気角変化率を容易に演算することができる。このため、モータ制御装置が電気角変化率を演算する速度が向上する。
モータ制御装置の望ましい態様として、前記モータ電気角演算部は、前記電流値と、前記電圧値と、に基づいて前記電気角変化率を演算することが好ましい。
減速装置のウォームギヤのコンプライアンス特性は非線形かつヒステリシスを有するので、実際の電気角変化率と出力軸回転角に基づいて演算された電気角変化率との間には誤差が生じる可能性がある。これに対して、電気角変化率が電流値と、電圧値と、に基づいて演算されるため、実際の電気角変化率と演算された電気角変化率との間の誤差が抑制されやすい。
モータ制御装置の望ましい態様として、前記モータ電気角演算部は、演算した前記誘起電圧を記憶し、記憶された前記誘起電圧に基づいて前記電気角変化率を演算することが好ましい。
これにより、電気角変化率を演算するための数式が簡単になるので、モータ電気角演算部は、電気角変化率を容易に演算することができる。このため、モータ制御装置が電気角変化率を演算する速度が向上する。
モータ制御装置の望ましい態様として、前記モータ電気角演算部は、前記出力軸回転角を記憶し、記憶された前記出力軸回転角と現在の前記出力軸回転角との差に基づいて前記電気角変化率の符号を決定することが好ましい。
モータの回転方向は出力軸の回転方向と同じである。このため、モータ電気角演算部は、電気角変化率の符号を容易に決定することができる。
本発明の一態様に係る電動パワーステアリング装置は、上述したモータ制御装置を備える。言い換えると、電動パワーステアリング装置は、モータと、前記モータに減速装置を介して接続される出力軸の回転角である出力軸回転角を検出する出力軸回転角センサと、前記モータの電流値を検出する電流センサと、前記モータの電圧値を検出する電圧センサと、前記モータの電気角を演算し、前記モータを制御するモータ制御装置と、を備え、前記モータは、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイルを備え、複数の前記コイルは、スター結線で接続され、前記モータ制御装置は、前記出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算し、前記電流値と、前記電圧値と、前記電気角の単位時間当たりの変化量である電気角変化率と、に基づいて前記モータの誘起電圧を演算し、前記誘起電圧に基づいて前記モータ電気角推定値を補正する。
これにより、モータ制御装置は、モータ回転角センサに依存せずにモータ電気角を高い精度で推定することができる。したがって、電動パワーステアリング装置は、モータ回転角センサに異常が生じた場合であっても、適切な補助操舵トルクを出力軸に与えることができる。
本発明の一態様に係る車両は、上述した電動パワーステアリング装置を備える。当該車両によれば、モータ回転角センサに異常が生じた場合であっても、操作者は当該異常が生じる前の状態と同等の操舵力で車両を走行させることができる。
本発明によれば、モータ電気角を高い精度で推定することができるモータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。 図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。 図3は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。 図4は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す側面図である。 図5は、図4におけるA−A断面図である。 図6は、図4におけるB−B断面図である。 図7は、実施形態1に係るトルクセンサを機能ブロックを用いて示す模式図である。 図8は、実施形態1に係るトルクセンサを機能ブロックを用いて示す模式図である。 図9は、実施形態1に係るモータの断面図である。 図10は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。 図11は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す模式図である。 図12は、実施形態1に係るモータ電気角演算部を示す模式図である。 図13は、実施形態1に係る相対オフセット量推定部を示す模式図である。 図14は、実施形態1に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。 図15は、操舵力アシスト機構の機械要素の変形特性による、負荷トルクとモータ電気角の変化量との関係の一例を示す模式図である。 図16は、実施形態1に係る補正部によるモータ電気角推定値の補正を示す模式図である。 図17は、実施形態2に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。 図18は、実施形態3に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。
以下、発明を実施するための形態(以下、実施形態という)につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置を搭載した車両を模式的に示した斜視図である。図2は、実施形態1に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。図1に示すように、車両101は、電動パワーステアリング装置80を搭載している。図2に示すように、電動パワーステアリング装置80は、操作者から与えられる力が伝達する順に、ステアリングホイール81と、ステアリングシャフト82と、操舵力アシスト機構83と、ユニバーサルジョイント84と、ロアシャフト85と、ユニバーサルジョイント86と、を備え、ピニオンシャフト87に接合されている。また、電動パワーステアリング装置80は、モータ制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)90と、トルクセンサ94と、を備える。車速センサ95は、車体に備えられ、CAN(Controller Area Network)通信により信号として車速VをECU90に出力する。
図2に示すように、ステアリングシャフト82は、入力軸82aと、出力軸82bと、を備える。入力軸82aの一方の端部がステアリングホイール81に連結され、入力軸82aの他方の端部が出力軸82bに連結される。また、出力軸82bの一方の端部が入力軸82aに連結され、出力軸82bの他方の端部がユニバーサルジョイント84に連結される。本実施形態では、入力軸82a及び出力軸82bは、機械構造用炭素鋼(SC材(Carbon Steel for Machine Structural Use))又は機械構造用炭素鋼鋼管(いわゆるSTKM材(Carbon Steel Tubes for Machine Structural Purposes))等の一般的な鋼材等から形成される。
図2に示すように、ロアシャフト85は、ユニバーサルジョイント84を介して出力軸82bに連結される部材である。ロアシャフト85の一方の端部がユニバーサルジョイント84に連結され、他方の端部がユニバーサルジョイント86に連結される。また、ピニオンシャフト87の一方の端部がユニバーサルジョイント86に連結され、ピニオンシャフト87の他方の端部がステアリングギヤ88に連結される。
図2に示すように、ステアリングギヤ88は、ピニオン88aと、ラック88bと、を備える。ピニオン88aは、ピニオンシャフト87に連結される。ラック88bは、ピニオン88aに噛み合う。ステアリングギヤ88は、ピニオン88aに伝達された回転運動をラック88bで直進運動に変換する。ラック88bは、タイロッド89に連結される。
図2に示すように、操舵力アシスト機構83は、減速装置92と、モータ93と、を備える。モータ93は、例えばブラシレスモータである。モータ93は、正弦波駆動の三相交流モータである。減速装置92は、例えばウォーム減速装置である。モータ93で生じたトルクは、減速装置92の内部のウォームを介してウォームホイールに伝達され、ウォームホイールを回転させる。減速装置92は、ウォーム及びウォームホイール(ウォームギヤ)によって、モータ93で生じたトルクを増加させる。そして、減速装置92は、出力軸82bに補助操舵トルクを与える。電動パワーステアリング装置80は、コラムアシスト方式である。
出力軸82bを介して出力された操舵トルク(補助操舵トルクを含む)は、ユニバーサルジョイント84を介してロアシャフト85に伝達され、さらにユニバーサルジョイント86を介してピニオンシャフト87に伝達される。ピニオンシャフト87に伝達された操舵トルクは、ステアリングギヤ88を介してタイロッド89に伝達され、車輪を変位させる。
ECU90は、モータ93の動作を制御する装置である。イグニッションスイッチ98がオンの状態で、電源装置99(例えば車載のバッテリ)からECU90に電力が供給される。ECU90は、トルクセンサ94、車速センサ95及び回転検出部23a(図11参照)から信号を取得する。具体的には、ECU90は、トルクセンサ94から操舵トルクTを取得する。ECU90は、車速センサ95から車体の車速Vを取得する。ECU90は、回転検出部23aから出力される情報を動作情報Yとして取得する。ECU90は、操舵トルクTと車速Vと動作情報Yとに基づいて補助操舵指令値を算出する。そして、ECU90は、その算出された補助操舵指令値に基づいてモータ93へ供給する電力値Xを調節する。
図3は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す斜視図である。図4は、実施形態1に係るトルクセンサを模式的に示す側面図である。図5は、図4におけるA−A断面図である。図6は、図4におけるB−B断面図である。トルクセンサ94は、入力軸82aに伝達された操舵トルクTを検出する。具体的に、トルクセンサ94は、図3に示すように、トーションバー82cと、第1多極リング磁石10と、第2多極リング磁石11と、入力軸回転角センサ12と、出力軸回転角センサ13と、を備える。トーションバー82cは、例えば鋼材で形成された弾性部材である。トーションバー82cは、入力軸82a及び出力軸82bを連結している。
第1多極リング磁石10及び第2多極リング磁石11は、例えば交互に配置されたS極及びN極を外周面に有する。第1多極リング磁石10及び第2多極リング磁石11には、必要な磁束密度に応じて、例えば、ネオジム磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石等が用いられる。第1多極リング磁石10は、例えば入力軸82aの出力軸82b側の端部に取り付けられており、入力軸82aと共に回転する。第2多極リング磁石11は、例えば出力軸82bの入力軸82a側の端部に取り付けられており、出力軸82bと共に回転する。
入力軸回転角センサ12は、入力軸82aの回転角である入力軸回転角θis(第1多極リング磁石10の回転角)を検出する。入力軸回転角センサ12は、例えば車体に固定されている。入力軸回転角センサ12は、第1多極リング磁石10の回転角に応じてsin信号及びcos信号を出力する。入力軸回転角センサ12は、図3に示すように、第1sin磁気センサ14及び第1cos磁気センサ15を備える。第1sin磁気センサ14及び第1cos磁気センサ15は、第1多極リング磁石10の外周面に対向している。第1cos磁気センサ15は、第1sin磁気センサ14に対して、第1多極リング磁石10の電気角で90°の位相差を有するように配置されている。第1sin磁気センサ14は、第1多極リング磁石10の回転角に応じて、sinθisを出力する。第1cos磁気センサ15は、第1多極リング磁石10の回転角に応じて、cosθisを出力する。
出力軸回転角センサ13は、出力軸82bの回転角である出力軸回転角θos(第2多極リング磁石11の回転角)を検出する。出力軸回転角センサ13は、例えば車体に固定されている。出力軸回転角センサ13は、第2多極リング磁石11の回転角に応じてsin信号及びcos信号を出力する。出力軸回転角センサ13は、図3に示すように、第2sin磁気センサ16及び第2cos磁気センサ17を備える。第2sin磁気センサ16及び第2cos磁気センサ17は、第2多極リング磁石11の外周面に対向している。第2cos磁気センサ17は、第2sin磁気センサ16に対して、第2多極リング磁石11の電気角で90°の位相差を有するように配置されている。第2sin磁気センサ16は、第2多極リング磁石11の回転角に応じて、sinθosを出力する。第2cos磁気センサ17は、第2多極リング磁石11の回転角に応じて、cosθosを出力する。
第1sin磁気センサ14、第1cos磁気センサ15、第2sin磁気センサ16、及び第2cos磁気センサ17には、例えば、ホール素子、ホールIC、MR(Magneto Resistance effect)センサ等が用いられる。
図7及び図8は、実施形態1に係るトルクセンサを機能ブロックを用いて示す模式図である。図7に示すように、相対角度演算部18と、トルク演算部19と、を備える。
相対角度演算部18は、入力軸回転角センサ12及び出力軸回転角センサ13から入力される信号に基づき、入力軸82aに対する出力軸82bの相対角度(第1多極リング磁石10に対する第2多極リング磁石11の相対角度)を演算し、演算結果を相対角度Δθioとしてトルク演算部19に出力する。具体的には、相対角度演算部18は、図8に示すように、入力軸回転角演算部181と、出力軸回転角演算部182と、差分演算部183と、を備える。
入力軸回転角演算部181には、第1sin磁気センサ14から出力されたsinθis及び第1cos磁気センサ15から出力されたcosθisが入力される。入力軸回転角演算部181は、sinθisをcosθisで除した値の逆正接関数、すなわち下記式(1)により入力軸回転角θis(rad)を演算する。
Figure 2018113836
出力軸回転角演算部182には、第2sin磁気センサ16から出力されたsinθos及び第2cos磁気センサ17から出力されたcosθosが入力される。出力軸回転角演算部182は、sinθosをcosθosで除した値の逆正接関数、すなわち下記式(2)により出力軸回転角θos(rad)を演算する。
Figure 2018113836
差分演算部183には、入力軸回転角演算部181から出力された入力軸回転角θisと、出力軸回転角演算部182から出力された出力軸回転角θosが入力される。差分演算部183は、入力軸回転角θis及び出力軸回転角θosの差分を相対角度Δθioとしてトルク演算部19に出力する。
トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioに基づき、操舵トルクTを演算する。例えば、トルク演算部19は、トーションバー82cの特性によって決まる、相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係を記憶している。トルク演算部19は、相対角度演算部18から入力された相対角度Δθioと、記憶された相対角度Δθioと操舵トルクTとの関係と、に基づいて操舵トルクTを演算する。
図9は、実施形態1に係るモータの断面図である。図10は、実施形態1に係るモータの配線を示す模式図である。モータ93は、図9に示すように、ハウジング930と、ステータ931と、ロータ932と、を備える。ステータ931は、円筒状であるステータコア931と、複数の第1コイル37と、複数の第2コイル38を含む。ステータコア931は、環状のバックヨーク931aと、バックヨーク931aの内周面から突出する複数のティース931bと、を備える。ティース931bは、周方向に12個配置されている。ロータ932は、ロータヨーク932aと、マグネット932bとを含む。マグネット932bは、ロータヨーク932aの外周面に設けられている。マグネット932bの数は、例えば8つである。
図9に示すように、第1コイル37は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第1コイル37は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。全ての第1コイル37は、第1インバータ27(図11参照)によって励磁される系統である第1コイル系統に含まれる。第1コイル系統は、例えば第1コイル37を6つ含む。6つの第1コイル37は、2つの第1コイル37が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第1コイル37を1つのグループとした第1コイルグループGr1が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第1コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第1コイルグループGr1を備えている。なお、第1コイルグループGr1は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図9に示すように、第2コイル38は、複数のティース931bのそれぞれに集中巻きされている。第2コイル38は、ティース931bの外周にインシュレータを介して集中巻きされる。第2コイル38が集中巻きされるティース931bは、第1コイル37が集中巻きされるティース931bとは異なるティース931bである。全ての第2コイル38は、第2インバータ29(図11参照)によって励磁される系統である第2コイル系統に含まれる。第2コイル系統は、例えば第2コイル38を6つ含む。6つの第2コイル38は、2つの第2コイル38が周方向で互いに隣接するように配置されている。隣接する第2コイル38を1つのグループとした第2コイルグループGr2が、周方向に等間隔に3つ配置されている。すなわち、第2コイル系統は、周方向に等間隔に並べられた3つの第2コイルグループGr2を備えている。なお、第2コイルグループGr2は、必ずしも3つでなくてもよく、nを自然数としたときに周方向に等間隔に3n個配置されていればよい。また、nは奇数である方が望ましい。
図10に示すように、6つの第1コイル37は、第1U相電流I1uにより励磁される2つの第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubと、第1V相電流I1vにより励磁される2つの第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbと、第1W相電流I1wにより励磁される2つの第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbと、を含む。第1U相コイル37Ubは、第1U相コイル37Uaに対して直列に接続されている。第1V相コイル37Vbは、第1V相コイル37Vaに対して直列に接続されている。第1W相コイル37Wbは、第1W相コイル37Waに対して直列に接続されている。第1コイル37のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向である。また、第1U相コイル37Ub、第1V相コイル37Vb及び第1W相コイル37Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図10に示すように、6つの第2コイル38は、第2U相電流I2uにより励磁される2つの第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubと、第2V相電流I2vにより励磁される2つの第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbと、第2W相電流I2wにより励磁される2つの第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbと、を含む。第2U相コイル38Ubは、第2U相コイル38Uaに対して直列に接続されている。第2V相コイル38Vbは、第2V相コイル38Vaに対して直列に接続されている。第2W相コイル38Wbは、第2W相コイル38Waに対して直列に接続されている。第2コイル38のティース931bに対する巻き方向は、全て同じ方向であり、第1コイル37の巻き方向と同じである。また、第2U相コイル38Ub、第2V相コイル38Vb及び第2W相コイル38Wbは、スター結線(Y結線)で接合されている。
図9に示すように、3つの第1コイルグループGr1は、第1UVコイルグループGr1UVと、第1VWコイルグループGr1VWと、第1UWコイルグループGr1UWと、からなる。第1UVコイルグループGr1UVは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Ubおよび第1V相コイル37Vaを含む。第1VWコイルグループGr1VWは、周方向で互いに隣接する第1V相コイル37Vbおよび第1W相コイル37Waを含む。第1UWコイルグループGr1UWは、周方向で互いに隣接する第1U相コイル37Uaおよび第1W相コイル37Wbを含む。
図9に示すように、3つの第2コイルグループGr2は、第2UVコイルグループGr2UVと、第2VWコイルグループGr2VWと、第2UWコイルグループGr2UWと、からなる。第2UVコイルグループGr2UVは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Ubおよび第2V相コイル38Vaを含む。第2VWコイルグループGr2VWは、周方向で互いに隣接する第2V相コイル38Vbおよび第2W相コイル38Waを含む。第2UWコイルグループGr2UWは、周方向で互いに隣接する第2U相コイル38Uaおよび第2W相コイル38Wbを含む。
第1U相電流I1uにより励磁される第1コイル37は、第2U相電流I2uにより励磁される第2コイル38に、ステータコア931の径方向で対向している。以下の説明において、ステータコア931の径方向は、単に径方向と記載される。例えば、図9に示すように、径方向で第1U相コイル37Uaが第2U相コイル38Uaに対向し、第1U相コイル37Ubが第2U相コイル38Ubに対向している。
第1V相電流I1vにより励磁される第1コイル37は、第2V相電流I2vにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図9に示すように、径方向で第1V相コイル37Vaが第2V相コイル38Vaに対向し、第1V相コイル37Vbが第2V相コイル38Vbに対向している。
第1W相電流I1wにより励磁される第1コイル37は、第2W相電流I2wにより励磁される第2コイル38に、径方向で対向している。例えば、図9に示すように、径方向で第1W相コイル37Waが第2W相コイル38Waに対向し、第1W相コイル37Wbが第2W相コイル38Wbに対向している。
図11は、実施形態1に係るモータとECUとの関係を示す模式図である。図11に示すように、ECU90は、電流指令値演算部24と、モータ電気角演算部23と、第1ゲート駆動回路25と、第2ゲート駆動回路26と、第1インバータ27と、第2インバータ28と、を備えている。電流指令値演算部24は、モータ電流指令値を演算する。モータ電気角演算部23は、モータ電気角θを演算し、電流指令値演算部24に出力する。第1ゲート駆動回路25及び第2ゲート駆動回路26には、電流指令値演算部24から出力されるモータ電流指令値が入力される。
モータ93は、図11に示すように、モータ回転角センサとして回転検出部23aを備えている。回転検出部23aは、例えばレゾルバである。回転検出部23aの検出値がモータ電気角演算部23に供給される。モータ電気角演算部23は、回転検出部23aの検出値に基づいてモータ電気角θを演算し、電流指令値演算部24に出力する。
電流指令値演算部24には、トルクセンサ94で検出された操舵トルクTと、車速センサ95で検出された車速Vと、モータ電気角演算部23から出力されるモータ電気角θと、が入力される。電流指令値演算部24は、操舵トルクT、車速V及びモータ電気角θに基づいて電流指令値を算出し、第1ゲート駆動回路25及び第2ゲート駆動回路26に出力する。
第1ゲート駆動回路25は、電流指令値に基づいて第1パルス幅変調信号を演算し、第1インバータ27に出力する。第1インバータ27は、第1パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、三相の電流値となるように電界効果トランジスタをスイッチングして第1U相電流I1u、第1V相電流I1v及び第1W相電流I1wを含む三相交流を生成する。第1U相電流I1uが第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ubを励磁し、第1V相電流I1vが第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbを励磁し、第1W相電流I1wが第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbを励磁する。
第2ゲート駆動回路26は、電流指令値に基づいて第2パルス幅変調信号を演算し、第2インバータ28に出力する。第2インバータ28は、第2パルス幅調変信号のデューティ比に応じて、3相の電流値となるように電界効果トランジスタをスイッチングして第2U相電流I2u、第2V相電流I2v及び第2W相電流I2wを含む三相交流を生成する。第2U相電流I2uが第2U相コイル38Ua及び第2U相コイル38Ubを励磁し、第2V相電流I2vが第2V相コイル38Va及び第2V相コイル38Vbを励磁し、第2W相電流I2wが第2W相コイル38Wa及び第2W相コイル38Wbを励磁する。
図11に示すように、電動パワーステアリング装置80は、モータ93の各相の電流値を検出するための第1電流センサ31u、第1電流センサ31v、第1電流センサ31w、第2電流センサ33u、第2電流センサ33v及び第2電流センサ33wを備える。例えば、第1電流センサ31u、第1電流センサ31v、第1電流センサ31w、第2電流センサ33u、第2電流センサ33v及び第2電流センサ33wは、それぞれシャント抵抗を備える。第1電流センサ31uは、第1U相電流値Idct1U、を検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第1電流センサ31vは、第1V相電流値Idct1Vを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第1電流センサ31wは、第1W相電流値Idct1Wを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電流センサ33uは、第2U相電流値Idct2Uを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電流センサ33vは、第2V相電流値Idct2Vを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電流センサ33wは、第2W相電流値Idct2Wを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。
以下の説明において、第1U相電流値Idct1U、第1V相電流値Idct1V及び第1W相電流値Idct1Wを区別して説明する必要がない場合、第1電流値Id1と記載される場合がある。第2U相電流値Idct2U、第2V相電流値Idct2V及び第2W相電流値Idct2Wを区別して説明する必要がない場合、第2電流値Id2と記載される場合がある。第1電流センサ31u、第1電流センサ31v及び第1電流センサ31wを区別して説明する必要がない場合、1電流センサ31と記載される場合がある。第2電流センサ33u、第2電流センサ33v及び第2電流センサ33wを区別して説明する必要がない場合、第2電流センサ33と記載される場合がある。
図11に示すように、電動パワーステアリング装置80は、モータ93の各相電圧値を検出するための第1電圧センサ32u、第1電圧センサ32v、第1電圧センサ32w、第2電圧センサ34u、第2電圧センサ34v及び第2電圧センサ34wを備える。第1電圧センサ32uは、第1U相電圧値Vdct1Uを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第1電圧センサ32vは、第1V相電圧値Vdct1Vを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第1電圧センサ32wは、第1W相電圧値Vdct1Wを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電圧センサ34uは、第2U相電圧値Vdct2Uを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電圧センサ34vは、第2V相電圧値Vdct2Vを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。第2電圧センサ34wは、第2W相電圧値Vdct2Wを検出し、モータ電気角演算部23に出力する。
以下の説明において、第1U相電圧値Vdct1U、第1V相電圧値Vdct1V及び第1W相電圧値Vdct1Wを区別して説明する必要がない場合、第1電圧値Vd1と記載される場合がある。第2U相電圧値Vdct2U、第2V相電圧値Vdct2V及び第2W相電圧値Vdct2Wを区別して説明する必要がない場合、第2電圧値Vd2と記載される場合がある。第1電圧センサ32u、第1電圧センサ32v、第1電圧センサ32wを区別して説明する必要がない場合、第1電圧センサ32と記載される場合がある。第2電圧センサ34u、第2電圧センサ34v及び第2電圧センサ34wを区別して説明する必要がない場合、第2電圧センサ34と記載される場合がある。
図12は、実施形態1に係るモータ電気角演算部を示す模式図である。モータ電気角演算部23は、図12に示すように、メインモータ電気角演算部23bと、サブモータ電気角演算部23cと、電気角選択部23dと、RAM50と、ROM51と、を備えている。メインモータ電気角演算部23bは、角度演算部60と、回転検出異常診断部61と、を備えている。角度演算部60は、回転検出部23aから出力されるモータ93の回転角に応じたsin信号及びcos信号に基づいて第1モータ電気角θm1を演算する。そして、演算した第1モータ電気角θm1を電気角選択部23dに出力する。回転検出異常診断部61は、回転検出部23a及び角度演算部60の異常を検出し、異常検出信号SArを出力する。
サブモータ電気角演算部23cは、回転検出部23aから出力される情報を用いずに、推定値として第2モータ電気角θm2を算出する。サブモータ電気角演算部23cは、図12に示すように、相対オフセット量推定部62と、モータ電気角推定部63と、モータ電気角補正部64と、を備える。
相対オフセット量推定部62は、モータ電気角θの原点θmdに対する出力軸回転角θosの基準値θosrの相対オフセット量θoffを推定する。以下の説明において、モータ電気角θの原点θmdは、モータ電気角原点θmdと記載される場合がある。基準値θosrは、システム起動時(イグニッションスイッチ98がOFFからONになった時刻)の出力軸回転角θosである。そして、相対オフセット量推定部62は、推定した相対オフセット量θoffをモータ電気角推定部63に出力する。
図13は、実施形態1に係る相対オフセット量推定部を示す模式図である。相対オフセット量推定部62は、図13に示すように、第1相対オフセット量推定部621と、第2相対オフセット量推定部622と、相対オフセット量選択部623と、を備えている。第1相対オフセット量推定部621は、回転検出部23a及び角度演算部60が正常である場合に、出力軸回転角センサ13で検出される出力軸回転角θosと、メインモータ電気角演算部23bで検出される第1モータ電気角θm1とに基づき第1の相対オフセット量θoff1を推定する。そして、推定した第1の相対オフセット量θoff1をRAM50に記憶する。
回転検出部23a及び角度演算部60が正常であるときは、第1相対オフセット量推定部621は、モータ電気角原点θmdを取得することができるので、第1の相対オフセット量θoff1を容易に推定することできる。回転検出部23a又は角度演算部60に異常があるときには、第1相対オフセット量推定部621は、モータ電気角原点θmdを取得することができない。回転検出部23a又は角度演算部60に異常があるときのために、第2相対オフセット量推定部622及び相対オフセット量選択部623が設けられている。
第2相対オフセット量推定部622は、システム再起動時(イグニッションスイッチ98がOFF状態からON状態となる時刻)の回転検出異常診断部61による初期診断にて、異常検出信号SArが異常ありを示す値であったときに、第2の相対オフセット量θoff2を推定する。具体的には、第2相対オフセット量推定部622は、モータ電気角原点θmdを推定すると共に、推定したモータ電気角原点θmdに基づき第2の相対オフセット量θoff2を推定する。そして、推定した第2の相対オフセット量θoff2をRAM50に記憶する。
第2相対オフセット量推定部622は、システム再起動時にトルクセンサ94で検出される操舵トルクTをトルクオフセット量ToffとしてRAM50に記憶する。
次に、第2相対オフセット量推定部622は、現在のモータ電気角θを仮定モータ電気角θと仮定し、仮定モータ電気角θに対応するステップ波状の電流をモータ93に入力するように電流出力指令Ioiを電流指令値演算部24に出力する。電流指令値演算部24は、サブモータ電気角演算部23cからの電流出力指令Ioiの入力に応じて、仮定モータ電気角θに対応するステップ波状の電流をモータ93に入力する。第2相対オフセット量推定部622は、ステップ波状の電流のモータ93への入力に応じてトルクセンサ94で検出される操舵トルクTを取得する。
次に、第2相対オフセット量推定部622は、取得した操舵トルクTからトルクオフセット量Toffを減算する。システム起動時において、イグニッションスイッチ98がON状態になる際にドライバがステアリングホイール81に力をかけている場合等に、操舵トルクTが0でない可能性がある。第2相対オフセット量推定部622は、システム起動時の操舵トルクTをトルクオフセット量Toffとして予め記憶しておき、システム起動後に検出される操舵トルクTから差し引く。
次に、第2相対オフセット量推定部622は、トルクオフセット量Toffが減算された後の操舵トルクTについてトルク波形の対称性を判定する。第2相対オフセット量推定部622は、トルク波形の振幅が正負で同等か否かを判定する。第2相対オフセット量推定部622は、振幅が正負で同等であると判定した場合のモータ電気角θをモータ電気角原点θmdであると推定する。
一方、減算後の操舵トルクTにおいてトルク波形の振幅が正負で同等ではない(トルク指令通りの出力ではない)と判定した場合は、そのときのモータ電気角θはモータ電気角原点θmdではない。この場合、第2相対オフセット量推定部622は、振幅が正負で異なるトルク波形の形状から、仮定モータ電気角θを所定角度シフトさせて更新した仮定モータ電気角θとし、更新した仮定モータ電気角θに対応するステップ波状の電流をモータ93に入力するように電流出力指令Ioiを電流指令値演算部24に出力する。第2相対オフセット量推定部622は、このような処理をトルク波形の振幅が正負で同等と判定されるまで繰り返し実行する。
相対オフセット量選択部623は、システム起動中に異常検出信号SArが異常ありを示す値となった場合に、第1の相対オフセット量θoff1を選択する。相対オフセット量選択部623は、システム再起動後の初期診断で異常検出信号SArが異常ありを示す値となった場合に、第2の相対オフセット量θoff2を選択する。第1の相対オフセット量θoff1及び第2の相対オフセット量θoff2のうち選択した方をRAM50から読み出し、相対オフセット量θoffとしてモータ電気角推定部63に出力する。
モータ電気角推定部63は、出力軸回転角センサ13が検出した出力軸回転角θosと、ROM51に予め記憶された減速装置92(図2参照)の減速比RGr及びロータ932(図9参照)の極対数Pと、相対オフセット量推定部62で推定した相対オフセット量θoffとに基づきモータ電気角推定値θmeを算出する。そして、算出したモータ電気角推定値θmeをモータ電気角補正部64に出力する。
具体的に、モータ電気角推定部63は、下記式(3)にしたがって、モータ電気角推定値θme(rad)を算出する。
Figure 2018113836
モータ電気角補正部64は、モータ93の誘起電圧に基づきモータ電気角推定値θmeを補正する。そして、補正後のモータ電気角推定値を第2モータ電気角θm2として電気角選択部23dに出力する。
図14は、実施形態1に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。図15は、操舵力アシスト機構の機械要素の変形特性による、負荷トルクとモータ電気角の変化量との関係の一例を示す模式図である。図16は、実施形態1に係る補正部によるモータ電気角推定値の補正を示す模式図である。図14に示すように、モータ電気角補正部64は、誘起電圧算出部641と、ゼロクロスタイミング検出部642と、角度誤差算出部643と、補正部644と、を備えている。
出力軸82bとモータ93との間には減速装置92のウォームギヤ等の機械要素が介在している。例えば、ウォームギヤのコンプライアンス特性は、図15に示すように、非線形かつヒステリシスを有する。図15において、X軸は負荷トルク(モータ出力トルク)であり、Y軸はモータ電気角θの変化量δθである。このため、モータ電気角θは出力軸回転角θosと一対一で対応しない。モータ93の出力が増加するにつれて、モータ電気角推定値θmeと実際のモータ電気角θとの間の誤差が増大する。
ウォームギヤのコンプライアンス特性を考慮しない場合、モータ93の出力によって実際のモータ電気角θとモータ電気角推定値θmeとの間に乖離が生じる。そこで、モータ電気角補正部64が、モータ電気角推定値θmeを誘起電圧に基づき補正する。
誘起電圧算出部641は、U相とV相との間のUV相間誘起電圧eUVと、V相とW相との間のVW相間誘起電圧eVWと、W相とU相との間のWU相間誘起電圧eWUと、を演算する。
第1U相コイル37Ua及び第1U相コイル37Ub(図10)によるインダクタンスをL(H)、抵抗をR(Ω)とする。第1V相コイル37Va及び第1V相コイル37Vbによるインダクタンス及び抵抗、並びに第1W相コイル37Wa及び第1W相コイル37Wbによるインダクタンス及び抵抗は、L(H)及びR(Ω)と等しいとする。図11に示した第1U相電流値Idct1U、第1V相電流値Idct1V、及び第1W相電流値Idct1Wが、それぞれIdct1U(A)、Idct1V(A)及びIdct1W(A)であるとする。第1U相電圧値Vdct1U、第1V相電圧値Vdct1V、及び第1W相電圧値Vdct1Wが、それぞれVdct1U(V)、Vdct1V(V)、及びVdct1W(V)であるとする。このとき、UV相間誘起電圧eUV(V)は下記式(4)で表される。VW相間誘起電圧eVW(V)は下記式(5)で表される。WU相間誘起電圧eWU(V)は下記式(6)で表される。
Figure 2018113836
Figure 2018113836
Figure 2018113836
式(4)、式(5)及び式(6)は、電流検出値を微分する項を含んでいる。誘起電圧算出部641は、微分方程式を解く場合、微分方程式を差分方程式で近似することになる。しかしながら、微分方程式を差分方程式で近似する手法が、ノイズを含みやすい電流検出値に対して用いられると、誘起電圧算出部641による演算結果と実際の誘起電圧値との間の乖離が大きくなる可能性がある。
従来技術においては、微分の項が他の項に比べて十分に小さいとみなされ、無視されることがある。又は、差分方程式の解に対してローパスフィルタが用いられることがある。しかしながら、いずれの場合であっても、演算結果と実際の誘起電圧値との間の乖離を小さくすることには限界があった。
これに対して、実施形態1に係るモータ電気角演算部23は、式(4)、式(5)及び式(6)による演算結果と実際の誘起電圧値との間の乖離を小さくすることができる。
第1U相電流値Idct1U、第1V相電流値Idct1V、及び第1W相電流値Idct1wの波高値をIとし、モータ電気角をθ(rad)とする。このとき、第1U相電流値Idct1U(A)は下記式(7)で表される。第1V相電流値Idct1V(A)は下記式(8)で表される。第1W相電流値Idct1W(A)は下記式(9)で表される。
Figure 2018113836
Figure 2018113836
Figure 2018113836
式(7)及び式(8)を式(4)に適用すると、式(4)の右辺の最後の項は、下記式(10)のように変形される。式(10)において、Δθは、θを時間微分した項である。Δθはモータ93の電気角変化率(電気角の単位時間当たりの変化量)である。そして、式(10)を式(4)に代入すると、式(11)が得られる。このように、電流検出値を微分する項が、モータ93の電気角変化率Δθ(rad/s)に置き換えられる。同様に、式(8)及び式(9)を式(5)に代入すると、下記式(12)が得られる。式(7)及び式(9)を式(6)に代入すると、下記式(13)が得られる。
Figure 2018113836
Figure 2018113836
Figure 2018113836
Figure 2018113836
回転検出部23aが正常であれば、誘起電圧算出部641は、回転検出部23aから得られる情報に基づいて電気角変化率Δθを算出することができる。しかしながら、誘起電圧算出部641は、回転検出部23aに異常があるときに電気角変化率Δθを算出する必要がある。
誘起電圧算出部641は、例えばトルクセンサ94で検出される出力軸回転角θosに基づいて電気角変化率Δθを算出する。図14に示すように、誘起電圧算出部641には、トルクセンサ94の出力軸回転角演算部182(図8参照)から出力軸回転角θosが入力される。また、出力軸回転角θosは、RAM50に入力され記憶される。RAM50は、前回に記憶した出力軸回転角θosを、前回出力軸回転角θospとして誘起電圧算出部641に出力する。誘起電圧算出部641は、前回出力軸回転角θospと現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて電気角変化率Δθを算出する。具体的には、相対角度演算部18の演算周期をt(s)とすると、誘起電圧算出部641は、下記式(14)により電気角変化率Δθを算出する。
Figure 2018113836
誘起電圧算出部641は、式(14)を式(4)、式(5)及び式(6)に代入することで、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW、及びWU相間誘起電圧eWUを算出する。図16に示すように、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW、及びWU相間誘起電圧eWUは、互いに120°ずれた正弦波である。図14に示すように、誘起電圧算出部641は、算出したUV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW、及びWU相間誘起電圧eWUをゼロクロスタイミング検出部642に出力する。
ゼロクロスタイミング検出部642は、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUがそれぞれ基準の誘起電圧(例えば、0(V))となるタイミングであるゼロクロスタイミングを検出する。具体的には、ゼロクロスタイミング検出部642は、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUの符号が負から正又は正から負に変わるタイミングをゼロクロスタイミングとして検出する。そして、ゼロクロスタイミング検出部642は、検出したゼロクロスタイミングに対応するモータ電気角θmzをROM51から読み出し、読み出したモータ電気角θmzを角度誤差算出部643に出力する。なお、ゼロクロスタイミングを決定するための基準の誘起電圧は、0(V)に限られるものでなく、より高い電圧又はより低い電圧にシフトしてもよい。
UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUの各ゼロクロスタイミングに対応するモータ電気角θmzは、既知の値であり、ROM51に予め記憶されている。例えば、6つのモータ電気角θmz(モータ電気角θmz1からモータ電気角θmz6)がROM51に記憶されている。図16に示すように、モータ電気角θmz1は、UV相間誘起電圧eUVの符号が負から正に変わるゼロクロスタイミングZT1に対応する。モータ電気角θmz2は、WU相間誘起電圧eWUの符号が正から負に変わるゼロクロスタイミングZT2に対応する。モータ電気角θmz3は、VW相間誘起電圧eVWの符号が負から正に変わるゼロクロスタイミングZT3に対応する。モータ電気角θmz4は、UV相間誘起電圧eUVの符号が正から負に変わるゼロクロスタイミングZT4に対応する。モータ電気角θmz5は、WU相間誘起電圧eWUの符号が負から正に変わるゼロクロスタイミングZT5に対応する。モータ電気角θmz6は、VW相間誘起電圧eVWの符号が正から負に変わるゼロクロスタイミングZT6に対応する。
角度誤差算出部643は、ゼロクロスタイミング検出部642から入力されたモータ電気角θmzと、モータ電気角推定部63から入力されたモータ電気角推定値θmeとの差分を算出する。角度誤差算出部643は、算出した差分を角度誤差θerrとしてRAM50に記憶する。角度誤差算出部643は、ゼロクロスタイミング検出部642がゼロクロスタイミングを検出する毎に、RAM50に記憶された角度誤差θerrを更新する。
補正部644は、図14に示すように、モータ電気角推定部63から入力されたモータ電気角推定値θmeを、RAM50に記憶された角度誤差θerrで補正する。補正部644は、次のゼロクロスタイミングが検出されるまでは、現在RAM50に記憶されている角度誤差θerrによってモータ電気角推定値θmeを補正する。図16の上側のグラフ中の実線は、補正部644で補正された後のモータ電気角推定値θme(第2モータ電気角θm2)である。例えば、ゼロクロスタイミングにおける実線のピーク値とモータ電気角θmz(モータ電気角θmz1からモータ電気角θmz6)との差が角度誤差θerrである。補正部644は、補正したモータ電気角推定値θmeを第2モータ電気角θm2として電気角選択部23d(図12参照)に出力する。
電気角選択部23d(図12参照)は、回転検出異常診断部61から出力される異常検出信号SArが異常なしを示すときに、メインモータ電気角演算部23bから出力される第1モータ電気角θm1を選択する。電気角選択部23dは、第1モータ電気角θm1をモータ電気角θとして電流指令値演算部24(図11参照)に出力する。一方、電気角選択部23dは、異常検出信号SArが異常ありを示すときに、サブモータ電気角演算部23cから出力される第2モータ電気角θm2を選択する。電気角選択部23dは、第2モータ電気角θm2をモータ電気角θとして電流指令値演算部24(図11参照)に出力する。
そして、電流指令値演算部24は、操舵トルクT、車速V及びモータ電気角θ(第1モータ電気角θm1又は第2モータ電気角θm2)に基づいて電流指令値を算出する。これにより、仮に回転検出部23aに異常が生じた場合であっても、ECU90はモータ93を適切に制御することができる。
なお、誘起電圧算出部641は、必ずしも第1電流値Id1及び第1電圧値Vd1に基づいてUV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW、及びWU相間誘起電圧eWUを算出しなくてもよい。誘起電圧算出部641は、第1電流値Id1及び第1電圧値Vd1に代えて第2コイル系統の第2電流値Id2及び第2電圧値Vd2を用いてもよい。
なお、モータ93は、必ずしも第1コイル系統及び第2コイル系統を備えていなくてもよい。すなわち、モータ93が有するコイル系統の数が1つであってもよい。また、回転検出部23aは、必ずしもレゾルバでなくてもよく、例えばロータリーエンコーダ又はMRセンサ等の他のセンサであってもよい。
なお、ECU90は、必ずしも回転検出部23aを備えるモータ93の制御に適用されなくてもよく、回転検出部23aを有さないモータにも適用することができる。この場合、モータ電気角演算部23は、メインモータ電気角演算部23b及び電気角選択部23dを有していなくてもよい。
なお、誘起電圧算出部641は、必ずしも出力軸回転角θosに基づいて電気角変化率Δθを算出しなくてもよい。例えば、誘起電圧算出部641は、入力軸回転角θisに基づいて電気角変化率Δθを算出してもよい。この場合、誘起電圧算出部641は、前回入力軸回転角θispと現在の入力軸回転角θisとの差に基づいて電気角変化率Δθを算出する。具体的には、相対角度演算部18の演算周期をt(s)とすると、誘起電圧算出部641は、下記式(15)により電気角変化率Δθを算出することになる。
Figure 2018113836
以上で説明したように、実施形態1に係るモータ制御装置(ECU90)は、モータ93の電気角を演算するモータ電気角演算部23を備える。モータ93は、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイル(複数の第1コイル37又は複数の第2コイル38)を備える。複数のコイル(複数の第1コイル37又は複数の第2コイル38)は、スター結線で接続される。モータ電気角演算部23は、モータ93に減速装置92を介して接続される出力軸82bの回転角である出力軸回転角θosに基づいてモータ電気角推定値θmeを演算する。モータ電気角演算部23は、式(11)から式(13)に示すように、モータ93の電流値(第1電流値Id1又は第2電流値Id2)と、モータ93の電圧値(第1電圧値Vd1又は第2電圧値Vd2)と、モータ93の電気角変化率Δθと、に基づいてモータ93の誘起電圧を演算する。モータ電気角演算部23は、誘起電圧に基づいてモータ電気角推定値θmeを補正する。
これにより、モータ制御装置(ECU90)は、出力軸回転角θosに基づいてモータ電気角推定値θmeを演算するので、モータ回転角センサ(回転検出部23a)に異常が生じてもモータ電気角推定値θmeを演算することができる。そして、モータ電気角推定値θmeが誘起電圧により補正されるので、モータ93の制御に用いられるモータ電気角θの精度が向上する。さらに、電流値、電圧値、及び電気角変化率Δθによって誘起電圧が演算されるので、電流値を微分する場合に比較して、誘起電圧の精度が向上する。したがって、本実施形態に係るモータ制御装置は、モータ回転角センサに依存せずにモータ電気角θを高い精度で推定することができる。
また、モータ電気角演算部23は、出力軸回転角θosを記憶し、式(14)に示すように記憶された出力軸回転角θos(前回出力軸回転角θosp)と現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて電気角変化率Δθを演算する。
出力軸回転角θosの変化率に対する電気角変化率Δθは既知であるため、モータ電気角演算部23は、電気角変化率Δθを容易に演算することができる。このため、ECU90が電気角変化率Δθを演算する速度が向上する。
また、電動パワーステアリング装置80は、モータ93と、出力軸回転角センサ13と、電流センサ(第1電流センサ31又は第2電流センサ33)と、電圧センサ(第1電圧センサ32又は第2電圧センサ34)と、モータ制御装置(ECU90)と、を備える。出力軸回転角センサ13は、モータ93に減速装置92を介して接続される出力軸82bの回転角である出力軸回転角θosを検出する。電流センサは、モータ93の各相の電流値を検出する。電圧センサは、モータの各相の電圧値を検出する。モータ制御装置は、モータ93の電気角を演算し、モータ93を制御する。モータ93は、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイル(複数の第1コイル37又は複数の第2コイル38)を備える。複数のコイル(複数の第1コイル37又は複数の第2コイル38)は、スター結線で接続される。モータ制御装置は、出力軸回転角θosに基づいてモータ電気角推定値θmeを演算する。モータ制御装置は、電流値と、電圧値と、モータ電気角θの単位時間当たりの変化量である電気角変化率Δθと、に基づいてモータ93の誘起電圧を演算する。モータ制御装置は、誘起電圧に基づいてモータ電気角推定値θmeを補正する。
これにより、モータ制御装置(ECU90)は、モータ回転角センサに依存せずにモータ電気角を高い精度で推定することができる。したがって、電動パワーステアリング装置80は、モータ回転角センサに異常が生じた場合であっても、適切な補助操舵トルクを出力軸82bに与えることができる。また、電動パワーステアリング装置80を備える車両101によれば、モータ回転角センサに異常が生じた場合であっても、操作者は当該異常が生じる前の状態と同等の操舵力で車両101を走行させることができる。
(実施形態2)
図17は、実施形態2に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。実施形態2に係る誘起電圧算出部641Aは、電流値Id1及び電圧値Vd1を用いて電気角変化率Δθを算出する点で、上述した誘起電圧算出部641とは異なる。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
誘起電圧定数の実効値をK(V/rpm)とし、モータ回転数をω(rpm)とすると、下記式(16)が成り立つ。Kは、誘起電圧定数を2の平方根で除した値である。Kは、既知の値であり、ROM51に予め記憶されている。
Figure 2018113836
電気角変化率Δθ(rad/s)とモータ回転数ωとの関係は、モータ93の極対数をPとすると下記式(17)で表される。
Figure 2018113836
このため、式(16)及び式(17)から下記(18)が導かれる。
Figure 2018113836
上述した式(11)、式(12)、式(13)を式(18)に代入し、電気角変化率Δθについて整理すると式(19)が得られる。式(19)の左辺の最後の項は、式(20)で表される。
Figure 2018113836
Figure 2018113836
式(20)を電気角変化率Δθについて解くと、式(21)が得られる。
Figure 2018113836
式(21)中の複号(±)は、モータ93の回転方向で決まる。誘起電圧算出部641Aは、前回出力軸回転角θospと現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて、式(21)中の複号を決定する。例えば、出力軸回転角θosから前回出力軸回転角θospを減じた値が正の値であるときに、誘起電圧算出部641Aは式(21)中の複号をプラス(+)として、電気角変化率Δθを算出する。出力軸回転角θosから前回出力軸回転角θospを減じた値が負の値であるときに、誘起電圧算出部641Aは式(21)中の複号をマイナス(−)として、電気角変化率Δθを算出する。そして、誘起電圧算出部641Aは、算出した電気角変化率Δθを式(11)、式(12)及び式(13)に代入することで、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUを算出する。
なお、誘起電圧算出部641Aは、必ずしも前回出力軸回転角θospと現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて式(21)中の複号を決定しなくてもよい。例えば、誘起電圧算出部641Aは、前回入力軸回転角θispと現在の入力軸回転角θisとの差に基づいて式(21)中の複号を決定してもよい。また、誘起電圧算出部641Aは、出力軸回転角θos及び入力軸回転角θisの両方を用いて式(21)中の複号を決定してもよい。
以上で説明したように、実施形態2において、モータ電気角演算部23は、式(21)に示すように、電流値(第1電流値Id1又は第2電流値Id2)と、電圧値(第1電圧値Vd1又は第2電圧値Vd2)と、に基づいて電気角変化率Δθを演算する。
減速装置のウォームギヤのコンプライアンス特性は非線形かつヒステリシスを有するので、実際の電気角変化率Δθと実施形態1のように出力軸回転角θosに基づいて演算された電気角変化率Δθとの間には誤差が生じる可能性がある。これに対して、実施形態2においては、電気角変化率Δθが電流値と、電圧値と、に基づいて演算される。このため、実際の電気角変化率Δθと演算された電気角変化率Δθとの間の誤差が抑制されやすい。
また、モータ電気角演算部23は、出力軸回転角θosを記憶し、記憶された出力軸回転角θos(前回出力軸回転角θosp)と現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて電気角変化率Δθの符号を決定する。
モータ93の回転方向は出力軸82bの回転方向と同じである。このため、モータ電気角演算部23は、電気角変化率Δθの符号を容易に決定することができる。
(実施形態3)
図18は、実施形態3に係るモータ電気角補正部を示す模式図である。実施形態3に係る誘起電圧算出部641Bは、前回算出した誘起電圧に基づいて電気角変化率Δθを算出する点で実施形態1及び実施形態2とは異なる。なお、上述した実施形態1で説明したものと同じ構成要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図18に示すように、誘起電圧算出部641Bは、例えば上述した誘起電圧算出部641Aと同様に、式(11)、式(12)、式(13)及び式(21)に基づいて、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUを算出する。そして、算出されたUV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUは、RAM50に入力され記憶される。RAM50は、前回に記憶したUV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUを、それぞれ前回UV相間誘起電圧eUVp、前回VW相間誘起電圧eVWp及び前回WU相間誘起電圧eWUpとして誘起電圧算出部641Bに出力する。
上述した式(16)を変形すると、下記式(22)が得られる。式(22)中の複号(±)は、モータ93の回転方向で決まる。誘起電圧算出部641Bは、誘起電圧算出部641Aと同様に、前回出力軸回転角θospと現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて、式(22)中の複号を決定する。
Figure 2018113836
式(22)及び式(17)により、電気角変化率Δθは下記式(23)で表される。
Figure 2018113836
誘起電圧算出部641Bは、式(23)のeUVにeUVpを代入し、式(23)のeVWにeVWpを代入し、式(23)のeWUにeWUpを代入することで、電気角変化率Δθを算出する。そして、誘起電圧算出部641Bは、算出した電気角変化率Δθを式(11)、式(12)及び式(13)に代入することで、UV相間誘起電圧eUV、VW相間誘起電圧eVW及びWU相間誘起電圧eWUを算出する。
なお、誘起電圧算出部641Bは、必ずしも前回出力軸回転角θospと現在の出力軸回転角θosとの差に基づいて式(22)中の複号を決定しなくてもよい。例えば、誘起電圧算出部641Bは、前回入力軸回転角θispと現在の入力軸回転角θisとの差に基づいて式(22)中の複号を決定してもよい。また、誘起電圧算出部641Bは、出力軸回転角θos及び入力軸回転角θisの両方を用いて式(22)中の複号を決定してもよい。
なお、誘起電圧算出部641Bは、前回UV相間誘起電圧eUVp、前回VW相間誘起電圧eVWp及び前回WU相間誘起電圧eWUpを得るために、必ずしも誘起電圧算出部641Aの方法を用いなくてもよい。例えば、誘起電圧算出部641Bは、誘起電圧算出部641と同様の方法を用いてもよい。すなわち、誘起電圧算出部641Bは、出力軸回転角θosに基づいて電気角変化率Δθを算出し、電気角変化率Δθに基づいて前回UV相間誘起電圧eUVp、前回VW相間誘起電圧eVWp及び前回WU相間誘起電圧eWUpを算出してもよい。
以上で説明したように、実施形態3において、モータ電気角演算部23は、演算した誘起電圧を記憶し、式(23)に示すように記憶された誘起電圧に基づいて電気角変化率Δθを演算する。
これにより、電気角変化率Δθを演算するための数式が簡単になるので、モータ電気角演算部23は、電気角変化率Δθを容易に演算することができる。このため、ECU90が電気角変化率Δθを演算する速度が向上する。
10 第1多極リング磁石
11 第2多極リング磁石
12 入力軸回転角センサ
13 出力軸回転角センサ
23 モータ電気角演算部
23a 回転検出部
23b メインモータ電気角演算部
23c サブモータ電気角演算部
23d 電気角選択部
31、31u、31v、31w 第1電流センサ
32、32u、32v、32w 第1電圧センサ
33、33u、33v、33w 第2電流センサ
34、34u、34v、34w 第2電圧センサ
80 電動パワーステアリング装置
81 ステアリングホイール
82 ステアリングシャフト
82a 入力軸
82b 出力軸
82c トーションバー
90 ECU(モータ制御装置)
92 減速装置
93 モータ
94 トルクセンサ
95 車速センサ
98 イグニッションスイッチ
99 電源装置
101 車両

Claims (8)

  1. モータの電気角を演算するモータ電気角演算部を備え、
    前記モータは、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイルを備え、
    複数の前記コイルは、スター結線で接続され、
    前記モータ電気角演算部は、
    前記モータに減速装置を介して接続される出力軸の回転角である出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算し、
    前記モータの電流値と、前記モータの電圧値と、前記電気角の単位時間当たりの変化量である電気角変化率と、に基づいて前記モータの誘起電圧を演算し、
    前記誘起電圧に基づいて前記モータ電気角推定値を補正する
    モータ制御装置。
  2. 前記モータ電気角演算部は、前記出力軸回転角を記憶し、記憶された前記出力軸回転角と現在の前記出力軸回転角との差に基づいて前記電気角変化率を演算する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記モータ電気角演算部は、前記電流値と、前記電圧値と、に基づいて前記電気角変化率を演算する
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  4. 前記モータ電気角演算部は、演算した前記誘起電圧を記憶し、記憶された前記誘起電圧に基づいて前記電気角変化率を演算する
    請求項2又は3に記載のモータ制御装置。
  5. 前記モータ電気角演算部は、前記出力軸回転角を記憶し、記憶された前記出力軸回転角と現在の前記出力軸回転角との差に基づいて前記電気角変化率の符号を決定する
    請求項3又は4に記載のモータ制御装置。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置。
  7. モータと、
    前記モータに減速装置を介して接続される出力軸の回転角である出力軸回転角を検出する出力軸回転角センサと、
    前記モータの電流値を検出する電流センサと、
    前記モータの電圧値を検出する電圧センサと、
    前記モータの電気角を演算し、前記モータを制御するモータ制御装置と、
    を備え、
    前記モータは、正弦波駆動の三相交流モータであり、三相の各相が供給される複数のコイルを備え、
    複数の前記コイルは、スター結線で接続され、
    前記モータ制御装置は、
    前記出力軸回転角に基づいてモータ電気角推定値を演算し、
    前記電流値と、前記電圧値と、前記電気角の単位時間当たりの変化量である電気角変化率と、に基づいて前記モータの誘起電圧を演算し、
    前記誘起電圧に基づいて前記モータ電気角推定値を補正する
    電動パワーステアリング装置。
  8. 請求項6又は7に記載の電動パワーステアリング装置を備えた車両。
JP2017004623A 2017-01-13 2017-01-13 モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両 Pending JP2018113836A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017004623A JP2018113836A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017004623A JP2018113836A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018113836A true JP2018113836A (ja) 2018-07-19

Family

ID=62911462

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017004623A Pending JP2018113836A (ja) 2017-01-13 2017-01-13 モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018113836A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022190806A1 (ja) * 2021-03-11 2022-09-15 株式会社デンソー 回転電機
KR20230099484A (ko) * 2021-12-27 2023-07-04 디와이씨스 주식회사 모터제어방법 및 그 장치

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09322583A (ja) * 1996-05-30 1997-12-12 Aisin Aw Co Ltd モータ駆動装置及びその制御方法
JP2006050721A (ja) * 2004-08-02 2006-02-16 Hitachi Ltd ブラシレスモータ
JP2012116372A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 Honda Motor Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2013005624A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP2013085406A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Denso Corp 回転機の制御装置及び回転角算出装置
JP2015097471A (ja) * 2013-08-12 2015-05-21 日本精工株式会社 モータ制御装置、これを使用した電動パワーステアリング装置および車両
JP2016097839A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09322583A (ja) * 1996-05-30 1997-12-12 Aisin Aw Co Ltd モータ駆動装置及びその制御方法
JP2006050721A (ja) * 2004-08-02 2006-02-16 Hitachi Ltd ブラシレスモータ
JP2012116372A (ja) * 2010-12-01 2012-06-21 Honda Motor Co Ltd 電動パワーステアリング装置
JP2013005624A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Jtekt Corp 車両用操舵装置
JP2013085406A (ja) * 2011-10-12 2013-05-09 Denso Corp 回転機の制御装置及び回転角算出装置
JP2015097471A (ja) * 2013-08-12 2015-05-21 日本精工株式会社 モータ制御装置、これを使用した電動パワーステアリング装置および車両
JP2016097839A (ja) * 2014-11-21 2016-05-30 株式会社ジェイテクト 電動パワーステアリング装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2022190806A1 (ja) * 2021-03-11 2022-09-15 株式会社デンソー 回転電機
KR20230099484A (ko) * 2021-12-27 2023-07-04 디와이씨스 주식회사 모터제어방법 및 그 장치
KR102634428B1 (ko) 2021-12-27 2024-02-06 디와이씨스 주식회사 모터제어방법 및 그 장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6064207B2 (ja) ブラシレスモータ制御方法及びブラシレスモータ制御装置並びに電動パワーステアリング装置
JP5920769B2 (ja) ブラシレスモータ制御方法及びブラシレスモータ制御装置並びに電動パワーステアリング装置
JP4708992B2 (ja) 位置検出装置及びこれを用いた同期モータ駆動装置
US9214886B2 (en) Control apparatus for three-phase rotary machine
JP5622053B2 (ja) 多相回転機の制御装置、および、これを用いた電動パワーステアリング装置
JP5880793B1 (ja) 電動機、電動パワーステアリング装置および車両
JP5930131B2 (ja) 電動機制御装置、電動パワーステアリング装置および車両
CN107922000B (zh) 马达控制装置、电动助力转向装置及车辆
JP2011120444A (ja) モータ制御装置
KR20060120015A (ko) 전동 파워 스티어링 장치
WO2019216022A1 (ja) モータ制御装置及びこれを備えた電動パワーステアリング装置
US10298157B2 (en) Brushless motor and electric power steering apparatus
JP6669318B2 (ja) 電動パワーステアリング装置、及び電動パワーステアリング装置用モータの回転角検出方法
JP2017038498A5 (ja)
JP6825376B2 (ja) モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両
JP5665175B2 (ja) 電動車両駆動用モータの出力制御装置および出力制御方法
JP2007333658A (ja) 回転角検出装置
JP2018113836A (ja) モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両
JP2007333657A (ja) 操舵角検出装置
JP2008037255A (ja) 電動パワーステアリング装置
JP2006149146A (ja) 無結線式モータの駆動制御装置及び無結線式モータの駆動制御装置を使用した電動パワーステアリング装置
JP2015033265A (ja) モータ制御方法、モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
JP2009044913A (ja) モータ装置及び電動パワーステアリング装置
JP6772848B2 (ja) モータ制御装置、電動パワーステアリング装置及び車両
JP6583592B1 (ja) モータ制御装置及びこれを備えた電動パワーステアリング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200907

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200929

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210330