JP6107149B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、このとき、中立位置においてステアリングホイールが自動的に振動する場合がある。この現象は、反力モータの位相遅れ等に起因するものである。
そこで、本発明は、中立位置におけるステアリングホイールの振動を適切に抑制することができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することを課題としている。
(第1の実施の形態)
(構成)
本実施形態の車両Aは、ステアリングホイール1と前輪(転舵輪2)とが機械的に分離した、いわゆるステア・バイ・ワイヤ方式(SBW方式)の操舵制御装置を備える車両である。
図1は、本実施形態の車両Aの構成を表す概念図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵角センサ3、転舵角センサ4、車速センサ5、横Gセンサ6、およびヨーレートセンサ7を備える。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール1の操舵角δを検出する。そして、操舵角センサ3は、検出した操舵角δを後述する制御演算部11に出力する。
車速センサ5は、車両Aの車速Vを検出する。そして、車速センサ5は、検出した車速Vを制御演算部11に出力する。
横Gセンサ6は、車両Aの横方向加速度Gyを検出する。そして、横Gセンサ6は、検出した横方向加速度Gyを制御演算部11に出力する。
ヨーレートセンサ7は、車両Aのヨーレートγを検出する。そして、ヨーレートセンサ7は、検出したヨーレートγを制御演算部11に出力する。
なお、横Gセンサ6およびヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置する。
転舵制御部8は、転舵モータ8A、転舵電流検出部8B、および転舵モータ駆動部8Cを備える。
転舵モータ8Aは、減速機を介してピニオンシャフト10と連結する。そして、転舵モータ8Aは、転舵モータ駆動部8Cによって駆動され、ピニオンシャフト10を介してステアリングラックを左右に移動する。これにより、転舵モータ8Aは、転舵輪2を転舵する。転舵モータ8Aの駆動方法としては、転舵モータ8Aを駆動する電流(以下、転舵電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
転舵モータ駆動部8Cは、制御演算部11が算出する目標転舵電流に基づいて、転舵電流検出部8Bが検出する転舵電流が当該目標転舵電流と一致するように転舵モータ8Aの転舵電流を制御する。これにより、転舵モータ駆動部8Cは、転舵モータ8Aを駆動する。目標転舵電流とは、転舵モータ8Aを駆動する電流の目標値である。
反力モータ9Aは、減速機を介してステアリングシャフトと連結する。そして、反力モータ9Aは、反力モータ駆動部9Cによって駆動され、ステアリングシャフトを介してステアリングホイール1に回転トルクを付与する。これにより、反力モータ9Aは、操舵反力を発生する。反力モータ9Aの駆動方法としては、反力モータ9Aを駆動する電流(以下、反力電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
反力モータ駆動部9Cは、制御演算部11が算出する目標反力電流に基づいて、反力電流検出部9Bが検出する反力電流が当該目標反力電流と一致するように反力モータ9Aの反力電流を制御する。これにより、反力モータ駆動部9Cは、反力モータ9Aを駆動する。目標反力電流とは、反力モータ9Aを駆動する電流の目標値である。
図2は、制御演算部11の構成を表すブロック図である。
図2に示すように、制御演算部11は、目標転舵角演算部11B、目標操舵反力演算部11A、および目標転舵電流演算部11Cを備える。
目標操舵反力演算部11Aは、操舵角センサ3が検出した操舵角δ、車速センサ5が検出した車速V、横Gセンサ6が検出した横方向加速度Gy、ヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγ、および転舵電流検出部8Bが検出した転舵電流に基づいて目標反力電流を算出する。そして、目標操舵反力演算部11Aは、算出結果を反力制御部9(反力モータ駆動部9C)に出力する。
ステアリングホイール1に付与する操舵反力としては、主に定常操舵反力(ステアリングラック軸力成分)がある。この定常操舵反力は、セルフアライニングトルク(SAT)反力指令成分を含み、操舵反力全体の大部分(8割〜9割)を占める。
その他の操舵反力としては、過渡操舵反力(フリクション成分)、演出操舵反力(オンセンター感成分、Connected Feel成分)、据え切り操舵反力(タイヤねじれ成分)がある。ここで、過渡操舵反力は、ばねフリクション成分、粘性成分及び粘性フリクション成分を含む。また、演出操舵反力は、角度ばね成分及びねじれ成分を含む。さらに、据え切り操舵反力は、低速ねじれ成分及び低速粘性フリクション成分を含む。
ばねフリクション演算部113は、保舵時に、そのときの操舵反力指令に応じて、操舵反力を減少する。
粘性演算部114は、過渡操舵時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を増加する。
粘性フリクション演算部115は、切り戻し時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を減少する。
低速粘性フリクション演算部116は、据え切り時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を増加する。
ねじれ演算部117は、切り出し時に、シャフトねじれ量に応じて、操舵反力を増加する。
セレクトハイ部119は、定常操舵反力演算部111で生成した操舵反力と、低速ねじれ演算部112で生成した操舵反力とをセレクトハイする。
加算部120は、セレクトハイ部119、ばねフリクション演算部113、粘性演算部114、粘性フリクション演算部115、低速粘性フリクション演算部116、ねじれ演算部117及び角度ばね演算部118でそれぞれ生成した操舵反力を加算する。
目標反力電流演算部121は、加算部120から出力した目標操舵反力に所定のゲインを乗算し、目標反力電流を演算して反力モータ駆動部9Cに出力する。
ここでは、自励振動を検出したときに低減する操舵反力を定常操舵反力とし、ゲイン設定部122で設定したゲインによって、定常操舵反力演算部111で生成する操舵反力を低減するようにする。
図4は、ゲイン設定部122で実行するゲイン設定処理手順を示すフローチャートである。
ステップS6では、ゲイン設定部122は、反力付加ゲインGbを設定する。この反力付加ゲインGbは、低減した操舵反力のうち軸力FFに対応する操舵反力のみを復活(低減を解除)するためのゲインであり、初期状態でGb=0に設定している。このステップS6では、反力付加ゲインGbを現時点での値(初期値は0)から徐々に上限値Xへ向けて大きくする。ここで、上限値X=1−Gaである。すなわち、現時点での反力付加ゲインGbに予め設定した変化量ΔGbを加算し、これを新たな反力付加ゲインGbとして定常操舵反力演算部111に出力する。
ステップS8では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaを設定する。ここでは、補正ゲインGaを現時点での値から徐々に0へ向けて小さくする。すなわち、現時点での補正ゲインGaから変化量ΔGaを減算し、これを新たな補正ゲインGaとして定常操舵反力演算部111に出力する。
次にステップS10では、ゲイン設定部122は、ステアリングホイール1の自励振動が停止したか否かを判定する。ここでは、上述したステップS4と同様の方法により自励振動が停止しているか否かを判定する。そして、自励振動が停止していないと判定したときには前記ステップS8に移行し、自励振動が停止していると判定したときには前記ステップS5に移行する。
ステップS12では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaを設定する。ここでは、補正ゲインGaを現時点での値から徐々に初期値1へ向けて大きくする。すなわち、現時点での補正ゲインGaに変化量ΔGaを加算し、これを新たな補正ゲインGaとして定常操舵反力演算部111に出力する。
次にステップS14では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGa及び反力付加ゲインGbが初期状態に戻ったか否かを判定する。すなわち、Ga=1、Gb=0であるか否かを判定する。そして、補正ゲインGa及び反力付加ゲインGbの少なくとも一方が初期状態でない場合には前記ステップS12に移行し、補正ゲインGa及び反力付加ゲインGbが共に初期状態である場合には、ゲイン設定処理を終了する。
図6に示すように、定常操舵反力演算部111は、フィードフォワード軸力算出部11Aa、フィードバック軸力算出部11Ab、最終軸力算出部11Ac、補正後最終軸力算出部11Ad及び軸力−操舵反力変換部11Aeを備える。
TFF=(Ks+Css)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・k・V/(1+A・V2)・θ+Ks(Jrs2+Crs)/(JrS2+(Cr+Cs)s+Ks)・θ ………(1)
ここで、図7に示すように、Ksはピニオン剛性、Csはピニオン粘性、Jrはラック慣性、Crはラック粘性、k、Aは予め設定した定数である。これにより、フィードフォワード軸力算出部11Aaは、フィードフォワード軸力TFFとして、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映しないステアリングラック軸力を算出する。
横G軸力=転舵輪2にかかる軸力×リンク比 ………(2)
転舵輪2にかかる軸力=前輪荷重×横方向加速度Gy
ここで、横方向加速度Gyは、転舵輪2が転舵され、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Abは、横方向加速度Gyに基づくことで、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(横G軸力)を算出できる。ここで、横Gセンサ6は、バネ上(車体)に配置したため、横方向加速度Gyの検出が遅れる。そのため、横G軸力は、図8に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
電流軸力=転舵電流×モータギア比×トルク定数[Nm/A]/ピニオン半径[m]×効率 ………(3)
ヨーレート軸力=転舵輪2にかかる軸力×リンク比 ………(4)
転舵輪2にかかる軸力=前輪荷重×車速V×ヨーレートγ
ここで、ヨーレートγは、転舵輪2が転舵され、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Abは、ヨーレートγに基づくことで、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(ヨーレート軸力)を算出できる。ここで、ヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置したため、ヨーレートγの検出が遅れる。そのため、ヨーレート軸力は、図8に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
TFB=横G軸力×K1+電流軸力×K2+ヨーレート軸力×K3 ………(5)
最終軸力=フィードフォワード軸力TFF×GF−フィードバック軸力TFB×(1−GF) ………(6)
ここで、GFは、フィードフォワード軸力TFFの配分比率GFとフィードバック軸力TFBの配分比率(1−GF)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、最終軸力算出部11Acは、配分比率GFに基づいて、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとをGF:(1−GF)の割合で合算させて、最終軸力を算出する。
補正後の最終軸力=Ga×最終軸力(全体)+Gb×最終軸力(軸力FF) ………(7)
図10に示すように、軸力−操舵反力変換マップは、車速V毎に設定される。また、軸力−操舵反力変換マップでは、最終軸力が大きいほど目標操舵反力を大きい値とする。
図3に戻り、目標転舵角演算部11Bは、操舵角センサ3が検出した操舵角δおよび車速センサ5が検出した車速Vに基づいて、転舵角θの目標値である目標転舵角θ*を算出する。
目標転舵電流演算部11Cは、目標転舵角演算部11Bが算出した目標転舵角θ*から転舵角センサ4が検出した転舵角θを減じた減算結果に基づいて目標転舵電流を算出する。そして、目標転舵電流演算部11Cは、算出結果を転舵モータ駆動部8Cに出力する。
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
運転者が、停車していた車両Aを発進させるとともに、ステアリングホイール1を僅かに操舵したとする。すると、制御演算部11は、操舵角δおよび車速Vに基づいて目標転舵角θ*を算出する(目標転舵角演算部11B)。続いて、制御演算部11は、算出した目標転舵角θ*から実際の転舵角θを減じた減算結果(θ*−θ)に基づいて目標転舵電流を算出する(目標転舵電流演算部11C)。これにより、転舵制御部8は、運転者の僅かな操舵操作に応じて転舵輪2を僅かに転舵する。
このとき、図11の時刻t0に示すように、補正ゲインGa及び反力付加ゲインGbは共に初期値であり、Ga=1、Gb=0である。そのため、算出した最終軸力がそのまま補正後の最終軸力となり、これに基づいて操舵反力を付与することになる。これにより、自然な操舵感を実現することができる。
時刻t1でステアリングホイール1に自励振動が発生すると、制御演算部11はこれを検知し(図4のステップS2でYes)、補正ゲインGaを徐々に減少し始める(ステップS3)。すなわち、制御演算部11は、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減していく。
また同時に、制御演算部11は、反力付加ゲインGbを初期値の0から徐々に増加していく(ステップS6)。このとき、補正ゲインGaはGa=Yで保持しているため、反力付加ゲインGbは、上限値(1−Y)に向けて増加していくことになる。このように、自励振動の停止を検知したら、操舵反力の一部である軸力FFに対応する操舵反力の付与を復活する。
その後、時刻t3で運転者がステアリングホイール1から再び手を放すなどして自励振動が再発すると、制御演算部11はこれを検知する(ステップS7でYes)。すると、制御演算部11は、補正ゲインGaを、時刻t3での値Ga=Yから0へ向けて再び減少していく(ステップS8)。また同時に、制御演算部11は、一部の操舵反力(軸力FFに対応する操舵反力)を付加するための反力付加ゲインGbを、時刻t3での値(1−Y)から上限値(1−Ga)に向けて増加していく。ここで、反力付加ゲインGbの変化量ΔGbが補正ゲインGaの変化量ΔGa以上であるとすると、反力付加ゲインGbは、補正ゲインGaが減少した分だけ増加することになる。
その後、時刻t5で、運転者がステアリングホイール1を閾値δth(2deg)以上操作すると、制御演算部11はこれを検知し(ステップS11でYes)、補正ゲインGa及び反力付加ゲインGbをそれぞれ初期値に戻す処理を行う(ステップS12及びS13)。
すなわち、図12の実線で示すように、ステアリングホイール1に自励振動が発生すると、操舵角センサ3で検出した操舵角δは0を跨いで定常的に変動する。そして、制御演算部11は、これを検知すると、図12の破線で示すように補正ゲインGaを徐々に低下してステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。その後、運転者がステアリングホイール1を中立位置から閾値δth(2deg)以上操作すると、操舵反力の低減を解除すべく、補正ゲインGaを1(初期値)に向けて増加する。
このように、本実施形態では、走行中に中立位置付近でステアリングホイール1の自励振動を検知した場合に、操舵反力全体を0に向けて低減するので、ステアリングホイール1の自励振動を効果的に停止することができる。
さらに、このとき同時に、自励振動に影響の無い軸力FFに関する操舵反力の低減を解除する処理を行う。したがって、自励振動が停止してから操舵反力低減制御を解除するまでの間の軽い操舵感を抑制し、運転者の違和感を抑制することができる。さらに、操舵反力低減制御を解除する前に、事前に一部の操舵反力の低減を解除した状態とすることで、通常の操舵反力付与制御に復帰する準備をしておくことができる。すなわち、運転者がステアリングホイール1を操作して通常の操舵反力付与制御への復帰条件が成立した場合には、ステアリング操作に応じた操舵反力を適切に付与することができる。また、反力付加ゲインGbに上限値(1−Ga)を設けるので、一部の操舵反力の低減を解除する際には、自励振動を誘発しないレベルまで当該操舵反力の低減を解除することができる。
なお、図1において、操舵角センサ3が操舵角検出部に対応し、車速センサ5が車速検出部に対応し、車速センサ5、横Gセンサ6及びヨーレートセンサ7が状態量検出部に対応している。また、図2において、転舵モータ8A及び転舵モータ駆動部8Cが転舵アクチュエータに対応し、反力モータ9A及び反力モータ駆動部9Cが反力アクチュエータに対応している。
さらに、図6において、フォードフォワード軸力算出部11Aaがフォードフォワード軸力演算部に対応し、フォードバック軸力算出部11Abがフォードバック軸力演算部に対応している。また、最終軸力算出部11Acが最終軸力設定部に対応し、ゲイン操舵反力変換部11Aeが駆動制御部に対応している。
第1の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)制御演算部11は、自車両が走行中であるときに、ステアリングホイール1の操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、ステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。
これにより、自励振動を誘発する要因を解消することができる。したがって、走行中における中立位置でのステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
このように、操舵反力を徐々に0に向けて低減するので、操舵反力の急変を抑制することができる。また、操舵反力が0になる前に自励振動が停止して操舵反力の低減を解除する場合に、当該低減解除を容易に行うことができる。そのため、適切に通常のSBW制御に復帰することができる。
このように、運転者がステアリング操作を行っているときには自励振動が発生しないことを利用し、適切に操舵反力の低減を解除することができる。また、運転者がステアリング操作を行っているときには操舵反力を低減しないようにするので、運転者に自然な操舵感を与えることができる。
(5)制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分を低減する。このように、操舵反力全体の大部分を占めるSAT成分を低減することで、効果的にステアリングホイール1の自励振動を停止することができる。
このように、ステアリングホイール1の自励振動が停止してから操舵反力低減制御を解除するまでの間、一部の操舵反力を復活させるので、この間の軽い操舵感を抑制し運転者の違和感を抑制することができる。また、復活させる操舵反力は、軸力FFに関する操舵反力とする。すなわち、自励振動に影響を及ぼさない操舵反力のみを復活することができる。
このように、ステアリングホイール1の自励振動が停止してから操舵反力低減制御を解除するまでの間に、一部の操舵反力を復活させる場合には、当該操舵反力の低減を徐々に解除するようにする。これにより、自励振動を誘発しないように慎重に一部の操舵反力の低減を解除することができる。
このように、一定時間ΔT内に操舵角速度dδ/dtの符号反転を何回行うかを監視するので、適切にステアリングホイール1の自励振動を検出することができる。特に、運転者がステアリングホイール1を操作したときの振動とは区別して検出することができるので、自励振動の誤検知により誤って操舵反力を低減してしまうのを防止することができる。
これにより、自励振動を誘発する要因を解消することができる。したがって、走行中における中立位置でのステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
(1)上記実施形態においては、補正ゲインGaを用いて操舵反力全体(軸力FFの項+軸力FBの項)を低減する場合について説明したが、少なくとも自励振動に影響のある操舵反力を低減できればよく、例えば補正ゲインGaを用いてSAT(軸力FB)に関する操舵反力のみを低減することもできる。この場合にも、効果的に自励振動を停止することができる。また、この場合、反力付加ゲインGbを用いた操舵反力の復活処理を省略することができる。
(5)上記実施形態においては、操舵反力を低減制する手法として、最終軸力算出部11Adで算出した最終軸力を補正する手法を採用しているが、例えばゲイン操舵反力変換部11Afが出力する目標操舵反力を補正する手法を採用することもできる。
Claims (13)
- 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
車速を検出する車速検出部と、
前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
前記車速検出部で検出した車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与し、前記車速検出部が検出した車速が前記設定車速を超えているときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出していないとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する処理をスキップする操舵反力低減部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を、前記自励振動を検出してからの時間経過に伴って徐々に零となる方向へ低減することを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出であり、前記操舵角検出部で検出した操舵角が、運転者がステアリングホイールを中立位置から操作したことを示す操舵角閾値を超えているとき、前記操舵反力低減部による操舵反力の低減を解除する操舵反力低減解除部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、前記操舵反力の低減量を保持することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分の操舵反力を低減することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵反力を生成する定常操舵反力演算部と、前記転舵輪に作用するタイヤ横力によって変動する車両の状態量を検出する状態量検出部と、を備え、
前記定常操舵反力演算部は、
前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードフォワード軸力を算出するフィードフォワード軸力演算部と、
前記状態量検出部が検出した車両の状態量に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードバック軸力を算出するフィードバック軸力演算部と、
前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力と前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力とを予め設定した配分比率で配分して、ステアリングラック軸力としての最終軸力を設定する最終軸力設定部と、
前記最終軸力設定部が設定した最終軸力に基づいて、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を算出し、前記反力アクチュエータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、
前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、低減した操舵反力のうち前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力に対応する操舵反力の低減を解除する特定操舵反力低減解除部を備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵制御装置。 - 前記特定操舵反力低減解除部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、前記フィードフォワード軸力に対応する操舵反力の低減を、前記自励振動が非検出となってからの時間経過に伴って徐々に解除することを特徴とする請求項6に記載の車両用操舵制御装置。
- 前記操舵反力を生成する定常操舵反力演算部と、前記転舵輪に作用するタイヤ横力によって変動する車両の状態量を検出する状態量検出部と、を備え、
前記定常操舵反力演算部は、
前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードフォワード軸力を算出するフィードフォワード軸力演算部と、
前記状態量検出部が検出した車両の状態量に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードバック軸力を算出するフィードバック軸力演算部と、
前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力と前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力とを予め設定した配分比率で配分して、ステアリングラック軸力としての最終軸力を設定する最終軸力設定部と、
前記最終軸力設定部が設定した最終軸力に基づいて、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を算出し、前記反力アクチュエータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、
前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力に対応する操舵反力を低減することを特徴とする請求項5に記載の車両用操舵制御装置。 - 前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて操舵角速度を検出する操舵角速度検出部を備え、
前記振動検出部は、予め設定した一定期間内に、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度の符号反転を予め設定した回数以上検出したとき、前記ステアリングホイールの自励振動が発生していると判断することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。 - 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵すると共に、前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する車両用操舵制御方法であって、
自車両の車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記ステアリングホイールの操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減し、
自車両の車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記ステアリングホイールの自励振動を検出していないとき、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する処理をスキップすることを特徴とする車両用操舵制御方法。 - 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
車速を検出する車速検出部と、
前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
前記車速検出部で検出した車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する操舵反力低減部と、を備え、
前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、前記操舵反力の低減量を保持することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
前記操舵反力を生成する定常操舵反力演算部と、
車速を検出する車速検出部と、
前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
前記車速検出部で検出した車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する操舵反力低減部と、
前記転舵輪に作用するタイヤ横力によって変動する車両の状態量を検出する状態量検出部と、を備え、
前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分の操舵反力を低減し、
前記定常操舵反力演算部は、
前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードフォワード軸力を算出するフィードフォワード軸力演算部と、
前記状態量検出部が検出した車両の状態量に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードバック軸力を算出するフィードバック軸力演算部と、
前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力と前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力とを予め設定した配分比率で配分して、ステアリングラック軸力としての最終軸力を設定する最終軸力設定部と、
前記最終軸力設定部が設定した最終軸力に基づいて、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を算出し、前記反力アクチュエータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、
さらに、前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、低減した操舵反力のうち前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力に対応する操舵反力の低減を解除する特定操舵反力低減解除部を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
前記操舵反力を生成する定常操舵反力演算部と、
車速を検出する車速検出部と、
前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
前記車速検出部で検出した車速が、車両が走行中であることを示す設定車速を超えているときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する操舵反力低減部と、
前記転舵輪に作用するタイヤ横力によって変動する車両の状態量を検出する状態量検出部と、を備え、
前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分の操舵反力を低減し、
前記定常操舵反力演算部は、
前記操舵角検出部が検出した操舵角に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードフォワード軸力を算出するフィードフォワード軸力演算部と、
前記状態量検出部が検出した車両の状態量に基づいて、ステアリングラック軸力であるフィードバック軸力を算出するフィードバック軸力演算部と、
前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力と前記フィードフォワード軸力演算部が算出したフィードフォワード軸力とを予め設定した配分比率で配分して、ステアリングラック軸力としての最終軸力を設定する最終軸力設定部と、
前記最終軸力設定部が設定した最終軸力に基づいて、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を算出し、前記反力アクチュエータを駆動制御する駆動制御部と、を備え、
さらに、前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、前記フィードバック軸力演算部が算出したフィードバック軸力に対応する操舵反力を低減することを特徴とする車両用操舵制御装置。
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