JP6107147B2 - 車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 - Google Patents

車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法 Download PDF

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本発明は、運転者が操作する操作部と転舵輪を転舵する転舵部とを機械的に分離したステアバイワイヤシステムによる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法に関する。
従来、操舵輪(ステアリングホイール)と転舵輪との間のトルク伝達経路を機械的に分離した状態で、転舵モータを駆動制御し、転舵輪を、操舵輪の操作に応じた角度(目標転舵角)に転舵する操舵制御装置がある。このような操舵制御装置は、一般的に、ステアバイワイヤ(SBW)と呼称するシステム(SBWシステム)を形成する装置であり、例えば、特許文献1に記載のものがある。
特開平10−217988号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載のような操舵制御装置にあっては、据え切り時に、ステアリングホイールが自動的に振動する場合がある。この現象は、据え切り時に運転者がステアリングホイールから手を放したときに発生しやすい。
そこで、本発明は、据え切り時におけるステアリングホイールの振動を適切に抑制することができる車両用操舵制御装置及び車両用操舵制御方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、ステアリングホイールの操舵角に基づいて、前記ステアリングホイール自励振動を検出したとき、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減し、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出していないとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する処理をスキップする。
本発明によれば、ステアリングホイールの自励振動を検知したとき、ステアリングホイールに付与している操舵反力を低減するので、自励振動を誘発する要因を解消することができる。したがって、ステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
車両Aの構成を表す概念図である。 制御演算部11の構成を表すブロック図である。 目標操舵反力演算部11Aの構成を示すブロック図である。 ゲイン設定部122で実行するゲイン設定処理手順を示すフローチャートである。 ステアリングホイール1の自励振動の検出方法を説明する図である。 定常操舵反力演算部111の詳細な構成を表すブロック図である。 フィードフォワード軸力TFFの算出式の係数を説明するための図である。 横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。 フィードバック軸力TFB、および実際のステアリングラック軸力を表すグラフである。 軸力−操舵反力変換マップを表すグラフである。 本実施形態の動作を説明するタイムチャートである。 操舵反力低減制御の解除条件を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施の形態)
(構成)
本実施形態の車両Aは、ステアリングホイール1と前輪(転舵輪2)とが機械的に分離した、いわゆるステア・バイ・ワイヤ方式(SBW方式)の操舵制御装置を備える車両である。
図1は、本実施形態の車両Aの構成を表す概念図である。
図1に示すように、車両Aは、操舵角センサ3、転舵角センサ4、車速センサ5、横Gセンサ6、およびヨーレートセンサ7を備える。
操舵角センサ3は、ステアリングホイール1の操舵角δを検出する。そして、操舵角センサ3は、検出した操舵角δを後述する制御演算部11に出力する。
転舵角センサ4は、転舵輪2の転舵角θを検出する。転舵輪2の転舵角θの検出方法としては、ステアリングラックのラック移動量に基づいて算出する方法を採用できる。そして、転舵角センサ4は、検出した転舵角θを制御演算部11に出力する。
車速センサ5は、車両Aの車速Vを検出する。そして、車速センサ5は、検出した車速Vを制御演算部11に出力する。
横Gセンサ6は、車両Aの横方向加速度Gyを検出する。そして、横Gセンサ6は、検出した横方向加速度Gyを制御演算部11に出力する。
ヨーレートセンサ7は、車両Aのヨーレートγを検出する。そして、ヨーレートセンサ7は、検出したヨーレートγを制御演算部11に出力する。
なお、横Gセンサ6およびヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置する。
また、車両Aは、転舵制御部8、および反力制御部9を備える。
転舵制御部8は、転舵モータ8A、転舵電流検出部8B、および転舵モータ駆動部8Cを備える。
転舵モータ8Aは、減速機を介してピニオンシャフト10と連結する。そして、転舵モータ8Aは、転舵モータ駆動部8Cによって駆動され、ピニオンシャフト10を介してステアリングラックを左右に移動する。これにより、転舵モータ8Aは、転舵輪2を転舵する。転舵モータ8Aの駆動方法としては、転舵モータ8Aを駆動する電流(以下、転舵電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
転舵電流検出部8Bは、転舵電流を検出する。そして、転舵電流検出部8Bは、検出した転舵電流を転舵モータ駆動部8Cおよび制御演算部11に出力する。
転舵モータ駆動部8Cは、制御演算部11が算出する目標転舵電流に基づいて、転舵電流検出部8Bが検出する転舵電流が当該目標転舵電流と一致するように転舵モータ8Aの転舵電流を制御する。これにより、転舵モータ駆動部8Cは、転舵モータ8Aを駆動する。目標転舵電流とは、転舵モータ8Aを駆動する電流の目標値である。
反力制御部9は、反力モータ9A、反力電流検出部9B、および反力モータ駆動部9Cを備える。
反力モータ9Aは、減速機を介してステアリングシャフトと連結する。そして、反力モータ9Aは、反力モータ駆動部9Cによって駆動され、ステアリングシャフトを介してステアリングホイール1に回転トルクを付与する。これにより、反力モータ9Aは、操舵反力を発生する。反力モータ9Aの駆動方法としては、反力モータ9Aを駆動する電流(以下、反力電流とも呼ぶ)を制御する方法を採用できる。
反力電流検出部9Bは、反力電流を検出する。そして、反力電流検出部9Bは、検出信号を反力モータ駆動部9Cに出力する。
反力モータ駆動部9Cは、制御演算部11が算出する目標反力電流に基づいて、反力電流検出部9Bが検出する反力電流が当該目標反力電流と一致するように反力モータ9Aの反力電流を制御する。これにより、反力モータ駆動部9Cは、反力モータ9Aを駆動する。目標反力電流とは、反力モータ9Aを駆動する電流の目標値である。
また、車両Aは、制御演算部11を備える。
図2は、制御演算部11の構成を表すブロック図である。
図2に示すように、制御演算部11は、目標転舵角演算部11B、目標操舵反力演算部11A、および目標転舵電流演算部11Cを備える。
目標操舵反力演算部11Aは、操舵角センサ3が検出した操舵角δ、車速センサ5が検出した車速V、横Gセンサ6が検出した横方向加速度Gy、ヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγ、および転舵電流検出部8Bが検出した転舵電流に基づいて目標反力電流を算出する。そして、目標操舵反力演算部11Aは、算出結果を反力制御部9(反力モータ駆動部9C)に出力する。
図3は、目標操舵反力演算部11Aの構成を示すブロック図である。
ステアリングホイール1に付与する操舵反力としては、主に定常操舵反力(ステアリングラック軸力成分)がある。この定常操舵反力は、セルフアライニングトルク(SAT)反力指令成分を含み、操舵反力全体の大部分(8割〜9割)を占める。
その他の操舵反力としては、過渡操舵反力(フリクション成分)、演出操舵反力(オンセンター感成分、Connected Feel成分)、据え切り操舵反力(タイヤねじれ成分)がある。ここで、過渡操舵反力は、ばねフリクション成分、粘性成分及び粘性フリクション成分を含む。また、演出操舵反力は、角度ばね成分及びねじれ成分を含む。さらに、据え切り操舵反力は、低速ねじれ成分及び低速粘性フリクション成分を含む。
図3において、定常操舵反力演算部111は、先ず、転舵指令角や各種センサ値(ヨーレート、横G、転舵モータ実電流)からステアリングラック軸力を推定する。そして、推定したステアリングラック軸力から目標操舵力特性に合うように操舵反力を生成する。ここで、ステアリングラック軸力としては、ドライバ入力(操舵角)から推定するステアリングラック軸力(軸力FF)と、車両挙動・路面情報を反映するステアリングラック軸力(軸力FB)との2つを推定するものとする。この定常操舵反力演算部111の具体的な構成については後述する。
低速ねじれ演算部112は、据え切り時に、タイヤのねじれ量に応じて、操舵反力を生成する。
ばねフリクション演算部113は、保舵時に、そのときの操舵反力指令に応じて、操舵反力を減少する。
粘性演算部114は、過渡操舵時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を増加する。
粘性フリクション演算部115は、切り戻し時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を減少する。
低速粘性フリクション演算部116は、据え切り時に、ハンドル角速度に応じて、操舵反力を増加する。
ねじれ演算部117は、切り出し時に、シャフトねじれ量に応じて、操舵反力を増加する。
角度ばね演算部118は、転舵指令角に応じて、中立付近の操舵反力を増加する。
セレクトハイ部119は、定常操舵反力演算部111で生成した操舵反力と、低速ねじれ演算部112で生成した操舵反力とをセレクトハイする。
加算部120は、セレクトハイ部119、ばねフリクション演算部113、粘性演算部114、粘性フリクション演算部115、低速粘性フリクション演算部116、ねじれ演算部117及び角度ばね演算部118でそれぞれ生成した操舵反力を加算する。
目標反力電流演算部121は、加算部120から出力した目標操舵反力に所定のゲインを乗算し、目標反力電流を演算して反力モータ駆動部9Cに出力する。
ゲイン設定部122は、操舵反力を補正するためのゲインを設定する。本実施形態では、車両が停車中もしくは極低速走行中であるときに、ステアリングホイール1が自動的に定常的な振動を繰り返していること(以下、この現象を「自励振動」と称す)を検出したとき、ステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する処理(操舵反力低減制御)を行う。ゲイン設定部122では、この操舵反力低減制御で用いるゲインを設定する。
ここでは、自励振動を検出したときに低減する操舵反力を定常操舵反力とし、ゲイン設定部122で設定したゲインによって、定常操舵反力演算部111で生成する操舵反力を低減するようにする。
図4は、ゲイン設定部122で実行するゲイン設定処理手順を示すフローチャートである。
先ずステップS1で、ゲイン設定部122は、車両が走行中であるか否かを判定する。具体的には、車速センサ5で検出した車速Vが予め設定した設定車速Vthを超えているか否かを判定する。ここで、閾値Vthは、例えば10km/hとする。そして、V≦Vthである場合には停車中もしくは停車中であるとみなせる極低速走行中であると判定してステップS2に移行し、V>Vthである場合には車両が走行中であると判定してそのままゲイン設定処理を終了する。
ステップS2では、ゲイン設定部122は、ステアリングホイール1に自励振動が発生しているか否かを判定する。ここでは、図5に示すように、予め定めた一定期間ΔT内に操舵角速度dδ/dtの符号反転をN回以上繰り返しているとき、自励振動が発生していると判断する。ここで、一定期間ΔT及びカウント閾値Nは、自励振動として、ステアリングホイール1が例えば2deg/sec程度で定常的に振動する振動を検知可能な値に設定する。
このように、ステップS2では、ゲイン設定部122は、操舵角センサ3で検出した操舵角δに基づいて操舵角速度dδ/dtを算出し、一定期間ΔT内での符号反転回数をカウントすることで、自励振動が発生しているか否かを判定する。そして、自励振動が発生していると判定した場合にはステップS3に移行し、自励振動が発生していないと判定した場合にはそのままゲイン設定処理を終了する。
ステップS3では、ゲイン設定部122は、このとき操舵角センサ3で検出した操舵角δを操舵角記憶値δmとして記憶し、ステップS4に移行する。
ステップS4では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaを設定する。この補正ゲインGaは、操舵反力全体(フィードフォワード軸力TFFの項(軸力FF)とフィードバック軸力TFBの項(軸力FB))を下げるためのゲインであり、初期状態でGa=1に設定している。このステップS4では、補正ゲインGaを初期値1から徐々に0へ向けて小さくする。すなわち、現時点での補正ゲインGaから予め設定した変化量ΔGaを減算し、これを新たな補正ゲインGaとして定常操舵反力演算部111に出力する。
次にステップS5では、ゲイン設定部122は、ステアリングホイール1の自励振動が停止したか否かを判定する。ここでは、一定期間ΔT内に操舵角速度dδ/dtの符号反転がN回繰り返されない場合に、自励振動が停止したと判断する。そして、自励振動が停止していないと判断した場合には前記ステップS4に移行し、自励振動が停止したと判断した場合にはステップS6に移行する。
ステップS6では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaを現時点での値で保持し、ステップS7に移行する。
ステップS7では、ゲイン設定部122は、ステアリングホイール1に自励振動が発生しているか否かを判定する。ここでは、上述したステップS2と同様の方法により自励振動が発生しているか否かを判断する。そして、自励振動が発生していると判断した場合には、一度停止した自励振動が再発したと判断して前記ステップS4に移行し、自励振動が発生していないと判断した場合にはステップS8に移行する。
ステップS8では、ゲイン設定部122は、操舵角センサ3で検出した操舵角δを取得し、その操舵角δと前記ステップS3で記憶した操舵角記憶値δmとの差分の絶対値が閾値δth(例えば、2deg)を超えているか否かを判定する。そして、|δ−δm|≦δthである場合には前記ステップS6に移行し、|δ−δm|>δthである場合には、運転者がステアリングホイール1を自励振動が発生したときの角度から操作したと判断してステップS9に移行する。
ステップS9では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaを設定する。ここでは、補正ゲインGaを現時点での値から徐々に初期値1へ向けて大きくする。すなわち、現時点での補正ゲインGaに変化量ΔGaを加算し、これを新たな補正ゲインGaとして定常操舵反力演算部111に出力する。
次にステップS10では、ゲイン設定部122は、補正ゲインGaが初期状態に戻ったか否かを判定する。すなわち、Ga=1であるか否かを判定する。そして、補正ゲインGaが初期状態でない場合には前記ステップS9に移行し、補正ゲインGaが初期状態である場合には、ゲイン設定処理を終了する。
図6は、定常操舵反力演算部111の詳細な構成を表すブロック図である。
図6に示すように、定常操舵反力演算部111は、フィードフォワード軸力算出部11Aa、フィードバック軸力算出部11Ab、最終軸力算出部11Ac、補正後最終軸力算出部11Ad及び軸力−操舵反力変換部11Aeを備える。
フィードフォワード軸力算出部11Aaは、操舵角センサ3が検出した操舵角δ、および車速センサ5が検出した車速Vに基づき、下記(1)式に従ってステアリングラック軸力(以下、フィードフォワード軸力とも呼ぶ)TFFを算出する。ステアリングラック軸力とは、ステアリングラックに加わるラック軸力である。そして、フィードフォワード軸力算出部11Aaは、算出結果を最終軸力算出部11Acに出力する。
FF=(Ks+Css)/(Jr2+(Cr+Cs)s+Ks)・k・V/(1+A・V2)・θ+Ks(Jr2+Crs)/(Jr2+(Cr+Cs)s+Ks)・θ ………(1)
ここで、図7に示すように、Ksはピニオン剛性、Csはピニオン粘性、Jrはラック慣性、Crはラック粘性、k、Aは予め設定した定数である。これにより、フィードフォワード軸力算出部11Aaは、フィードフォワード軸力TFFとして、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映しないステアリングラック軸力を算出する。
ここで、上記(1)式は、予め設定した路面状態や車両状態において、ステアリングホイール1と転舵輪2とを機械的に接続した操舵機構を備える車両の運動方程式を基に導出した数式である。上記(1)式の右辺第1項は、フィードフォワード軸力TFFを構成する成分のうち、操舵角δと車速Vとに基づく成分を表すものであり、右辺第2項は、操舵角速度に基づく成分を表す項である。なお、上記(1)式では、操舵角加速度に基づく成分を表す項は、ノイズ成分を多く含み、フィードフォワード軸力TFFの算出結果に振動を誘発するため、除いてある。
フィードバック軸力算出部11Abは、横Gセンサ6が検出した横方向加速度Gy(車両Aの状態)に基づき、下記(2)式に従ってステアリングラック軸力(以下、横G軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(2)式では、まず、前輪荷重と横方向加速度Gyとを乗算し、乗算結果を転舵輪2にかかる軸力(軸方向の力)を算出する。続いて、下記(2)式では、算出した転舵輪2にかかる軸力と、リンクの角度やサスペンションに応じた定数(以下、リンク比とも呼ぶ)とを乗算し、乗算結果を横G軸力として算出する。
横G軸力=転舵輪2にかかる軸力×リンク比 ………(2)
転舵輪2にかかる軸力=前輪荷重×横方向加速度Gy
ここで、横方向加速度Gyは、転舵輪2が転舵され、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Abは、横方向加速度Gyに基づくことで、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(横G軸力)を算出できる。ここで、横Gセンサ6は、バネ上(車体)に配置したため、横方向加速度Gyの検出が遅れる。そのため、横G軸力は、図8に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
なお、本実施形態では、横G軸力を算出する際に、横Gセンサ6で検出した横方向加速度Gyを用いる例を示したが、他の構成を採用してもよい。例えば、ヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγに車速センサ5が検出した車速Vを乗算し、乗算結果γ×Vを横方向加速度Gyに代えて用いる構成としてもよい。
図6に戻り、フィードバック軸力算出部11Abは、転舵電流検出部8Bが検出した転舵電流(車両Aの状態)に基づき、下記(3)式に従ってステアリングラック軸力(以下、電流軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(3)式では、まず、転舵電流と、転舵電流を基に転舵モータ8Aの出力トルクを算出するためのトルク定数[Nm/A]と、転舵モータ8Aのモータトルクを伝達するためのモータギア比とを乗算する。続いて、下記(3)式では、乗算結果を転舵モータ8Aのピニオンギアのピニオン半径[m]で除算し、除算結果に、転舵モータ8Aの出力トルクが伝達される際の効率を乗算し、乗算結果を電流軸力として算出する。
電流軸力=転舵電流×モータギア比×トルク定数[Nm/A]/ピニオン半径[m]×効率 ………(3)
ここで、転舵電流は、ステアリングホイール1が操舵され、目標転舵角θ*が変動し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによって変動する。また、転舵電流は、転舵輪2が転舵され、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。さらに、転舵電流は、路面凹凸等によって転舵輪2に路面外乱が作用し、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じることによっても変動する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Abは、転舵電流に基づくことで、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(電流軸力)を算出できる。ここで、電流軸力は、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じた時点で発生する。そのため、電流軸力は、図8に示すように、実際のステアリングラック軸力や横G軸力に比べ、位相が進む。
図6に戻り、フィードバック軸力算出部11Abは、車速センサ5が検出した車速V(車両Aの状態)、およびヨーレートセンサ7が検出したヨーレートγ(車両Aの状態)に基づき、下記(4)式に従ってステアリングラック軸力(以下、ヨーレート軸力とも呼ぶ)を算出する。下記(4)式では、まず、前輪荷重と車速Vとヨーレートγとを乗算し、乗算結果を転舵輪2にかかる軸力を算出する。続いて、下記(4)式では、算出した転舵輪2にかかる軸力とリンク比とを乗算し、乗算結果をヨーレート軸力として算出する。
ヨーレート軸力=転舵輪2にかかる軸力×リンク比 ………(4)
転舵輪2にかかる軸力=前輪荷重×車速V×ヨーレートγ
ここで、ヨーレートγは、転舵輪2が転舵され、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用し、車両Aが旋回することによって発生する。それゆえ、フィードバック軸力算出部11Abは、ヨーレートγに基づくことで、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力(ヨーレート軸力)を算出できる。ここで、ヨーレートセンサ7は、バネ上(車体)に配置したため、ヨーレートγの検出が遅れる。そのため、ヨーレート軸力は、図8に示すように、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。
また、フィードバック軸力算出部11Abは、算出した横G軸力、電流軸力、およびヨーレート軸力に基づき、下記(5)式に従ってステアリングラック軸力(以下、「フィードバック軸力」とも呼ぶ)TFBを算出する。下記(5)式では、横G軸力に配分比率K1を乗算し、電流軸力に配分比率K2を乗算し、ヨーレート軸力に配分比率K3を乗算し、これらの乗算結果の和をフィードバック軸力TFBとして算出する。すなわち、横G軸力に配分比率K1を乗算した値、電流軸力に配分比率K2を乗算した値およびヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値に基づいて、フィードバック軸力TFBを算出する。そして、フィードバック軸力算出部11Abは、算出結果を最終軸力算出部11Acに出力する。
FB=横G軸力×K1+電流軸力×K2+ヨーレート軸力×K3 ………(5)
ここで、配分比率K1、K2、K3は横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の配分比率である。配分比率K1、K2、K3の大小関係は、K1>K2>K3とする。すなわち、横G軸力、電流軸力、ヨーレート軸力の順に配分比率を大きい値とする。例えば、配分比率K1、K2、K3のそれぞれは、K1=0.6、K2=0.3、K3=0.1に設定する。これにより、フィードバック軸力算出部11Abは、フィードバック軸力TFBとして、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映したステアリングラック軸力を算出する。
このように、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。ここで、図8に示すように、横G軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が遅れる。また、電流軸力は、実際のステアリングラック軸力に比べ、位相が進む。それゆえ、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、横G軸力に電流軸力を加えることで、図9に示すように、横G軸力による位相の遅れを補償でき、より適切なフィードバック軸力TFBを算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、フィードバック軸力TFBに基づいて、反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
さらに、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。ここで、車両Aは、路面凹凸等によって転舵輪2に路面外乱が作用し、転舵輪2にタイヤ横力Fdが作用した場合、目標転舵角θ*と実際の転舵角θとに差が生じる。それゆえ、本実施形態の制御演算部11は、横G軸力に電流軸力を加えることで、路面凹凸等によって転舵輪2に作用する路面外乱の影響をフィードバック軸力TFBに反映でき、より適切なフィードバック軸力TFBを算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、フィードバック軸力TFBに基づいて、反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
また、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、電流軸力の配分比率K2よりも横G軸力の配分比率K1を大きくする。それゆえ、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、電流軸力の配分比率を低減でき、例えば、電流軸力の推定精度が転舵モータ8Aの慣性やフリクションの影響によって実際のステアリングラック軸力よりも低下することがあったとしても、フィードバック軸力TFBの推定精度の低下を抑制できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、フィードバック軸力TFBに基づいて、反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
さらに、本実施形態のフィードバック軸力算出部11Abは、電流軸力に配分比率K2を乗算した値と横G軸力に配分比率K1を乗算した値とヨーレート軸力に配分比率K3を乗算した値とに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する。ここで、例えば、車両Aがスピン状態になった場合に、転舵電流および横方向加速度Gyが増大するため、横Gセンサ6の検出結果および転舵電流検出部8Bの検出結果はいずれも最大値(飽和値)となる。これに対し、ヨーレートγも増大するが、ヨーレートγの増大量は比較的小さいので、ヨーレートセンサ7の検出結果は最大値(飽和値)に到達しない。そのため、車両Aのスピン状態の度合いに応じてヨーレートセンサ7の検出結果は変動する。それゆえ、車両Aのスピン状態の度合いに応じてフィードバック軸力TFBを変動できる。その結果、本実施形態の制御演算部11は、フィードバック軸力TFBに基づいて、反力モータ9Aを駆動することで、より適切な操舵反力を付与できる。
図6に戻り、最終軸力算出部11Acは、フィードフォワード軸力算出部11Aaおよびフィードバック軸力算出部11Abからフィードフォワード軸力TFFおよびフィードバック軸力TFBを読み込む。続いて、最終軸力算出部11Acは、読み込んだフィードフォワード軸力TFFおよびフィードバック軸力TFBに基づき、下記(6)式に従ってステアリングラック軸力(以下、最終軸力)を算出する。そして、最終軸力算出部11Acは、算出結果を補正後最終軸力算出部11Aeに出力する。
最終軸力=フィードフォワード軸力TFF×GF−フィードバック軸力TFB×(1−GF) ………(6)
ここで、GFは、フィードフォワード軸力TFFの配分比率GFとフィードバック軸力TFBの配分比率(1−GF)を表す数値(以下、配分比率と呼ぶ)である。これにより、最終軸力算出部11Acは、配分比率GFに基づいて、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとをGF:(1−GF)の割合で合算させて、最終軸力を算出する。
このように、本実施形態の最終軸力算出部11Acは、フィードバック軸力TFBおよびフィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出する。ここで、フィードバック軸力TFBは、転舵輪2に作用するタイヤ横力Fdの影響を反映するため、路面状態の変化や車両状態の変化に応じて変化する。これに対し、フィードフォワード軸力TFFは、タイヤ横力Fdの影響を反映しないため、路面状態の変化等にかかわらず滑らかに変化する。それゆえ、最終軸力算出部11Acは、フィードバック軸力TFBに加え、フィードフォワード軸力TFFに基づいて最終軸力を算出することで、より適切な最終軸力を算出できる。そのため、本実施形態の制御演算部11は、より適切な操舵反力を付与できる。
ここで、配分比率GFの設定方法としては、軸力差分に対応した配分比率を配分比率GFとする方法を採用できる。軸力差分とは、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとの差である。具体的には、フィードフォワード軸力TFFからフィードバック軸力TFBを減算した減算結果である。配分比率GFは、例えば、軸力差分の絶対値が0以上で且つ第1設定値Z1(>0)未満の範囲では、軸力差分の大きさにかかわらず、配分比率(1−GF)より大きい値(例えば、1.0)に設定する。第1設定値Z1とは、フィードフォワード軸力TFFの推定精度が低下を開始する軸力差分(閾値)である。
また、配分比率GFは、軸力差分の絶対値が第2設定値Z2(>Z1)以上の範囲では、軸力差分の大きさにかかわらず、配分比率(1−GF)より小さい値(例えば、0)に設定する。第2設定値Z2とは、フィードフォワード軸力TFFの推定精度がフィードバック軸力TFBの推定精度よりも低下する軸力差分(閾値)である。さらに、配分比率GFは、軸力差分の絶対値が第1設定値Z1以上で且つ第2設定値Z2未満の範囲では、軸力差分の絶対値の増加に応じて配分比率GFを直線的に低下する。
補正後最終軸力算出部11Adは、最終軸力算出部11Acで算出した最終軸力と、ゲイン設定部122で設定した補正ゲインGaとを入力する。そして、補正ゲインGaによって最終軸力を補正し、補正後の最終軸力を算出する。補正後の最終軸力は、以下のようになる。
補正後の最終軸力=Ga×最終軸力 ………(7)
軸力−操舵反力変換部11Aeは、補正後最終軸力算出部11Adが算出した補正後の最終軸力に基づいて目標操舵反力を算出する。目標操舵反力とは、操舵反力の目標値である。目標操舵反力の算出方法としては、車速Vおよび最終軸力に対応した目標操舵反力を軸力−操舵反力変換マップから読み出す方法を採用できる。軸力−操舵反力変換マップとは、車速V毎に設定され、最終軸力に対応した目標操舵反力を登録したマップである。
図10は、軸力−操舵反力変換マップを表すグラフである。
図10に示すように、軸力−操舵反力変換マップは、車速V毎に設定される。また、軸力−操舵反力変換マップでは、最終軸力が大きいほど目標操舵反力を大きい値とする。
図3に戻り、目標転舵角演算部11Bは、操舵角センサ3が検出した操舵角δおよび車速センサ5が検出した車速Vに基づいて、転舵角θの目標値である目標転舵角θ*を算出する。
目標転舵電流演算部11Cは、目標転舵角演算部11Bが算出した目標転舵角θ*から転舵角センサ4が検出した転舵角θを減じた減算結果に基づいて目標転舵電流を算出する。そして、目標転舵電流演算部11Cは、算出結果を転舵モータ駆動部8Cに出力する。
(動作)
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
運転者が、車両Aを停車している状態で、ステアリングホイール1を操舵したとする。すると、制御演算部11は、操舵角δおよび車速Vに基づいて目標転舵角θ*を算出する(目標転舵角演算部11B)。続いて、制御演算部11は、算出した目標転舵角θ*から実際の転舵角θを減じた減算結果(θ*−θ)に基づいて目標転舵電流を算出する(目標転舵電流演算部11C)。これにより、転舵制御部8は、運転者の操舵操作に応じて転舵輪2を転舵する。
同時に、制御演算部11は、操舵角δおよび車速Vに基づいてフィードフォワード軸力TFFを算出する(フィードフォワード軸力算出部11Aa)。また、制御演算部11は、横G軸力、電流軸力及びヨーレート軸力を算出し、これらに基づいてフィードバック軸力TFBを算出する(フィードバック軸力算出部11Ab)。そして、フィードフォワード軸力TFFとフィードバック軸力TFBとに基づいて、最終軸力を算出する(最終軸力算出部11Ac)。
このとき、図11の時刻t0に示すように、補正ゲインGaは初期値であり、Ga=1である。そのため、算出した最終軸力がそのまま補正後の最終軸力となり、これに基づいて操舵反力を付与することになる。これにより、自然な操舵感を実現することができる。
このとき、運転者がステアリングホイール1から手を放すと、ステアリングホイール1がその位置で自動的に振動する自励振動が発生してしまう場合がある。
時刻t1でステアリングホイール1に自励振動が発生すると、制御演算部11はこれを検知し(図4のステップS2でYes)、そのときの操舵角δを記憶する(ステップS3)。その後、制御演算部11は、補正ゲインGaを徐々に減少し始める(ステップS4)。すなわち、制御演算部11は、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力を全体的に低減していく。
そして、時刻t2で、運転者がステアリングホイール1に手をかけるなどしてステアリングホイール1の自励振動が停止すると、制御演算部11は振動停止を検知する(ステップS5でYes)。すると、制御演算部11は、ゲインGaを現時点での値(ここではGa=Yとする)で保持する(ステップS6)。このように、自励振動の停止を検知したら、操舵反力の低減を停止する。
その後、時刻t3で運転者がステアリングホイール1から再び手を放すなどして自励振動が再発すると、制御演算部11はこれを検知する(ステップS7でYes)。すると、制御演算部11は、操舵反力を低減するための補正ゲインGaを、時刻t3での値Ga=Yから0へ向けて再び減少していく(ステップS4)。
そして、時刻t4で補正ゲインGa=0となると、ステアリングホイール1に付与する操舵反力は完全に0となる。そのため、確実にステアリングホイール1の振動は止まる。この時刻t4で、制御演算部11がステアリングホイール1の自励振動が停止したことを確認すると(ステップS5でYes)、制御演算部11は、この時点での補正ゲインGa(=0)を保持する(ステップS6)。
その後、時刻t5で、運転者がステアリングホイール1を自励振動が発生したときの角度から閾値δth(2deg)以上操作すると、制御演算部11はこれを検知し(ステップS8でYes)、補正ゲインGaを初期値に戻す処理を行う(ステップS9)。
そして、図11の時刻t6で、補正ゲインGaが初期値1となると、操舵反力低減制御が終了し、通常のSBW制御に復帰する。
すなわち、図12の実線で示すように、ステアリングホイール1に自励振動が発生すると、操舵角センサ3で検出した操舵角δはその時点での操舵角δmを跨いで定常的に変動する。そして、制御演算部11は、これを検知すると、図12の破線で示すように補正ゲインGaを徐々に低下してステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。その後、運転者がステアリングホイール1を操舵角δmから閾値δth(2deg)以上操作すると、操舵反力の低減を解除すべく、補正ゲインGaを1(初期値)に向けて増加する。
このように、本実施形態では、停車中(又は極低速走行中)にステアリングホイール1の自励振動を検知した場合に、操舵反力全体を0に向けて低減するので、ステアリングホイール1の自励振動を効果的に停止することができる。
また、ステアリングホイール1の自励振動を検知して操舵反力全体を低減する過程で、当該自励振動が停止したことを検知した場合には、操舵反力全体を低減する処理を停止し、そのときの低減量を保持する。したがって、不必要に操舵反力を低減するのを防止することができる。
なお、図1において、操舵角センサ3が操舵角検出部に対応し、車速センサ5が車速検出部に対応している。また、図2において、転舵モータ8A及び転舵モータ駆動部8Cが転舵アクチュエータに対応し、反力モータ9A及び反力モータ駆動部9Cが反力アクチュエータに対応している。
さらに、図4において、ステップS2,S5及びS7が振動検出部に対応し、ステップS4が操舵反力低減部に対応し、ステップS8及びS9が操舵反力低減解除部に対応している。
(効果)
第1の実施形態では、以下の効果が得られる。
(1)制御演算部11は、操舵角センサ3で検出した操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1が自動で定常的に振動する自励振動を検出する。また、制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。
これにより、自励振動を誘発する要因を解消することができる。したがって、ステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
(2)制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出したときに操舵角センサ3で検出した操舵角δを操舵角記憶値δmとして記憶する。また、制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出していないときに、ステアリングホイール1の操舵角δが、操舵角記憶値δmから操舵角閾値δth以上操作した角度となっているとき、操舵反力の低減を解除する。
このように、運転者がステアリング操作を行っているときには自励振動が発生しないことを利用し、適切に操舵反力の低減を解除することができる。また、運転者がステアリング操作を行っているときには操舵反力を低減しないようにするので、運転者に自然な操舵感を与えることができる。
(3)制御演算部11は、車速Vが、車両が停車中又は極低速走行中であることを示す車速であるときに、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、ステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。これにより、据え切り時におけるステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
(4)制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力を、自励振動を検出してからの時間経過に伴って徐々に零となる方向へ低減する。
このように、操舵反力を徐々に0に向けて低減するので、操舵反力の急変を抑制することができる。また、操舵反力が0になる前に自励振動が停止して操舵反力の低減を解除する場合に、当該低減解除を容易に行うことができる。そのため、適切に通常のSBW制御に復帰することができる。
(5)制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出していないとき、操舵反力の低減量を保持する。これにより、不必要に操舵反力を低減してしまうのを防止することができる。
(6)制御演算部11は、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、反力モータ9Aによってステアリングホイール1に付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分を低減する。このように、操舵反力全体の大部分を占めるSAT成分を低減することで、効果的にステアリングホイール1の自励振動を停止することができる。
(7)制御演算部11は、予め設定した一定期間ΔT内に、操舵角速度dδ/dtの符号反転を予め設定した回数N以上検出したとき、ステアリングホイール1の自励振動が発生していると判断する。
このように、一定時間ΔT内に操舵角速度dδ/dtの符号反転を何回行うかを監視するので、適切にステアリングホイール1の自励振動を検出することができる。特に、運転者がステアリングホイール1を操作したときの振動とは区別して検出することができるので、自励振動の誤検知により誤って操舵反力を低減してしまうのを防止することができる。
(8)ステアリングホイール1の操舵角δに基づいて、ステアリングホイール1の自励振動を検出したとき、ステアリングホイール1に付与する操舵反力を低減する。
これにより、自励振動を誘発する要因を解消することができる。したがって、ステアリングホイールの振動を効果的に抑制することができる。
(変形例)
(1)上記実施形態においては、操舵角速度dδ/dtを監視してステアリングホイール1の自励振動を検知する場合について説明したが、操舵角δを監視することで当該自励振動を検知することもできる。この場合、操舵角δが、操舵角速度2deg/sec程度で0を跨いで定常的に変動しているときに自励振動が発生していると判断する。この場合にも、適切にステアリングホイール1の自励振動を検出することができる。
(2)上記実施形態においては、自励振動を検知したとき、定常操舵反力を低減する場合について説明したが、それ以外の操舵反力を含む全体反力項を低減することもできる。この場合、例えば図3の加算部120で算出した操舵反力全体に対して補正ゲインGaを掛けるようにすればよい。このように全体反力項を低減することで、あらゆる要因で発生する自励振動をより効果的に低減することができる。
(3)上記実施形態においては、自励振動がハンドル手放し状態のときに発生することを考慮し、運転者がステアリングホイール1から手を放した状態であるか否かを判断する処理を追加することもできる。すなわち、自車両が停車中又は極低速走行中であり運転者がステアリングホイール1から手を放した状態であるときに、自励振動を検知したとき、自励振動を停止するための操舵反力低減制御を作動するようにしてもよい。これにより、操舵反力低減制御の誤作動をより適切に防止することができる。
(4)上記実施形態においては、操舵反力を低減制する手法として、最終軸力算出部11Adで算出した最終軸力を補正する手法を採用しているが、例えばゲイン操舵反力変換部11Afが出力する目標操舵反力を補正する手法を採用することもできる。
1…ステアリングホイール、2…転舵輪、5…車速センサ、6…横Gセンサ、7…ヨーレートセンサ、8A…転舵モータ、8C…転舵モータ駆動部、9A…反力モータ、9C…反力モータ駆動部、11…制御演算部、11A…目標操舵反力演算部、11Aa…フィードフォワード軸力算出部、11Ab…フィードバック軸力算出部、11Ac…最終軸力算出部、11Ad…補正後最終軸力算出部、11Ae…ゲイン操舵反力変換部、11B…目標転舵角演算部、11C…目標転舵電流演算部、111…定常操舵反力演算部、112…低速ねじれ演算部、113…ばねフリクション演算部、114…粘性演算部、115…粘性フリクション演算部、116…低速粘性フリクション演算部、117…ねじれ演算部、118…角度ばね演算部、119…セレクトハイ部、120…加算部、121…ゲイン設定部

Claims (10)

  1. 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
    前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイール自励振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減し、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出していないとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する処理をスキップする操舵反力低減部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したときに前記操舵角検出部で検出した操舵角を記憶する操舵角記憶部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出であり、前記操舵角検出部で検出した操舵角が、運転者がステアリングホイールを前記操舵角記憶部に記憶した角度から操作したことを示す操舵角閾値を超えているとき、前記操舵反力低減部による操舵反力の低減を解除する操舵反力低減解除部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両用操舵制御装置。
  3. 車速を検出する車速検出部を備え、
    前記操舵反力低減部は、前記車速検出部で検出した車速が、車両が停車中であることを示す車速、又は車両が停車中であるとみなせる極低速走行中であることを示す車速であるときに、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用操舵制御装置。
  4. 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を、前記自励振動を検出してからの時間経過に伴って徐々に零となる方向へ低減することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  5. 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、前記操舵反力の低減量を保持することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  6. 前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力のうち、少なくともセルフアライニングトルク成分の操舵反力を低減することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  7. 前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて操舵角速度を検出する操舵角速度検出部を備え、
    前記振動検出部は、予め設定した一定期間内に、前記操舵角速度検出部で検出した操舵角速度の符号反転を予め設定した回数以上検出したとき、前記ステアリングホイールの自励振動が発生していると判断することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の車両用操舵制御装置。
  8. 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵すると共に、前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する車両用操舵制御方法であって、
    前記ステアリングホイールの操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減し、
    前記ステアリングホイールの自励振動を検出していないとき、前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する処理をスキップすることを特徴とする車両用操舵制御方法。
  9. 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
    前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する操舵反力低減部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したときに前記操舵角検出部で検出した操舵角を記憶する操舵角記憶部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出であり、前記操舵角検出部で検出した操舵角が、運転者がステアリングホイールを前記操舵角記憶部に記憶した角度から操作したことを示す操舵角閾値を超えているとき、前記操舵反力低減部による操舵反力の低減を解除する操舵反力低減解除部と、を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
  10. 転舵輪と機械的に分離したステアリングホイールと、
    前記ステアリングホイールの操舵角を検出する操舵角検出部と、
    前記ステアリングホイールの操舵状態に基づいて、前記転舵輪を転舵する転舵アクチュエータと、
    前記転舵輪の転舵状態に基づいて、前記ステアリングホイールに操舵反力を付与する反力アクチュエータと、
    前記操舵角検出部で検出した操舵角に基づいて、前記ステアリングホイールの自励振動を検出する振動検出部と、
    前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動を検出したとき、前記反力アクチュエータによって前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を低減する操舵反力低減部と、を備え、
    前記操舵反力低減部は、前記振動検出部で前記ステアリングホイールの自励振動が非検出となったとき、前記操舵反力の低減量を保持することを特徴とする車両用操舵制御装置。
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