JP5233197B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents
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Description
操向輪の転舵角に対する操舵手段の操舵角の比であるステアリングギア比を可変するギア比可変アクチュエータと、
前記操作手段の操作状態に応じた前記操向輪の目標転舵角を設定し、その目標転舵角に基づいて、前記ギア比アクチュエータへ供給する電力をPWM制御する電流制御手段と、
を備えた車両用操舵制御装置において、
前記目標転舵角と実際の転舵角との偏差が所定値以下の場合、前記PWM制御のデューティ指令値を、前記操向輪から前記ギア比可変アクチュエータへの逆入力負荷により生じる前記目標転舵角と前記実転舵角との微小な偏差に対し実回転角が変更されない程度の固定値に維持するデューティ指令値補正手段を備えることを特徴とする。
この結果、自励振動を効果的に抑制しつつ、自励振動抑制制御の解除時における転舵の応答遅れを最小限に抑えることができる。
図1は、実施例1の車両用操舵制御装置の全体システム図である。
ステアリングホイール(操舵手段)10と前輪(操向輪)11,11を操舵させる前輪操舵機構12とを連結するコラムシャフト13には、操舵角センサ1と前輪操舵アクチュエータ(ギア比可変アクチュエータ)5が設けられている。
操舵制御コントローラ3は、操舵角センサ1からのステアリング操舵角と車速センサ2からの車体速とに基づいて、目標前輪舵角(目標転舵角)を演算する。前輪操舵コントローラ4は、目標前輪舵角に対して実転舵角を一致させるように前輪操舵アクチュエータ5のモータに送る電流を制御する。
目標出力値生成部31は、操舵角センサ1からのステアリング操舵角と車速センサ2からの車体速に基づいて目標ヨーレートを生成する。生成した目標ヨーレートは、目標出力値生成部32へ出力される。目標出力値生成部32は、車速センサ2からの車体速と目標出力値生成部31からの目標ヨーレートとに基づいて、目標前輪舵角を生成する。
電流制御部42は、制御切り替え部45から出力されたデューティ指令値に基づいて前輪操舵アクチュエータ5へ供給する電力を制御する。
(1) 目標前輪舵角と実転舵角とがほぼ等しい状態が、一定時間継続した場合
(2) デューティ指令値が所定範囲内にある場合
(3) 前輪操舵アクチュエータ5の回転角指令値の変化率が小さい場合
(4) 操舵角速度が小さい場合
[車両モデル演算]
車両モデル演算部311では、以下に示す車両モデルを用いて車両パラメータを演算する。
目標値演算部312では、車体速V、車両パラメータと後述する目標値パラメータから目標ヨーレートψ'*を求める。
φ'*(s)=φ''*(s)/s …(8)
であり、目標前輪舵角θ*は、
φ''*=a11φ'*+a12Vy+bf1θ* …(9)
θ*=(φ''*+a11φ'*+a12Vy)/bf1 …(10)
と求められる。
図5は、実施例1の前輪操舵コントローラ4で実行される自励振動抑制制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
(a) 操舵角が所定値a以上変化した場合(aは運転者が操舵していることが示す値とする。)
(b) 目標前輪舵角に応じた回転角指令値が所定値b以上変化した場合(bは運転者の操舵または車速の変化による目標前輪舵角の変化を示す値とする。)
(c) 実回転角が所定値c以上変化した場合(cは路面からの逆入力負荷の変動を示す値とする。)
(d) PWM制御のゲインが所定値dよりも大きい場合
(e) デューティ比が所定値eよりも小さい場合(高ゲインを判定。)
(f) 回転角指令値が所定値fよりも大きい場合(直進走行時は対象外とする。)
(g) 目標前輪舵角(回転角指令値)と実転舵角(実回転角)との偏差が所定値gよりも小さい場合(ハンチングは偏差が小さい場合に発生するため。)
(h) 操舵角速度が所定値hよりも小さい場合(ハンチングはハンドル保持状態で発生するため。)
(i) 回転角指令値の変化率が所定値iよりも小さい場合(ハンチングは回転角指令値がほぼ一定のとき発生するため。)
(j) 前輪操舵アクチュエータ5の回転角速度が所定値jよりも小さい場合(ハンチングは実回転角がほぼ一定のとき発生するため。)
[自励振動発生のメカニズム]
角度サーボ系を構成する前輪操舵アクチュエータの自励振動は、例えば、定常旋回時等、操舵角および目標前輪舵角が一定の場合、操向輪から前輪操舵アクチュエータへの逆入力トルクが変動したときに発生する。以下にそのメカニズムを説明する。
(2) 前輪操舵アクチュエータの回転角指令値と実回転角との偏差が変化するため、これに応じて生成されるデューティ指令値(デューティ比=偏差×ゲイン)も変動する。
(3) デューティ指令値の変動に伴って逆入力トルクが変動するため、上記の(1)⇔(2)が繰り返され、振動が継続する。
特開2002−240734号公報に記載の車両用の伝達比可変操舵制御装置では、上記自励振動を抑制するために、モータの回転角指令値と実回転角とがほぼ等しくなった場合、モータの端子間を継続的に短絡させて発電モードとしている。また、この従来技術には、発電モードに代えて、モータの負荷を大きくしてロックする方法が開示されている。
これに対し、実施例1の車両用操舵制御装置では、旋回保舵中に目標前輪舵角と実転舵角とが一致した場合、デューティ指令値(デューティ比)が一定に維持される。すなわち、図5のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS6へと進む流れとなり、ステップS6では、デューティ指令値が指令補正値Bに固定される。
実施例1の車両用操舵制御装置では、以下に列挙する効果が得られる。
(e) デューティ比が所定値eよりも小さい場合
(g) 目標前輪舵角(回転角指令値)と実転舵角(実回転角)との偏差が所定値gよりも小さい状態が一定時間継続した場合
(h) 操舵角速度が所定値hよりも小さい場合
(j) 前輪操舵アクチュエータ5の回転角速度が所定値jよりも小さい場合
(α) 自励振動抑制制御中の操舵角が、自励振動抑制制御移行時の操舵角からある範囲以上変化した場合
(β) 自励振動抑制制御中の目標前輪舵角が、自励振動抑制制御移行時の目標前輪舵角からある範囲以上変化した場合
(γ) 自励振動抑制制御中の実転舵角が、自励振動判断中の実転舵角の最大値と最小値との間の範囲から逸脱した場合
(γ)' 自励振動抑制制御中の実転舵角が、前輪操舵アクチュエータ5の回転角速度の符号の反転が連続して発生したときの実転舵角の変化方向と同一方向に変化した場合、あるいは逆方向に所定値(前輪操舵アクチュエータ5のモータの実回転角を計測するセンサの分解能によって決まる2値の幅)以上変化した場合
この場合、復帰条件判断部433では、前輪操舵アクチュエータ5の回転角速度の符号の反転が連続して発生したときの前輪操舵アクチュエータ5の実転舵角の変化方向を記憶しておく。
なお、その他の構成は、図1〜図3に示した実施例1の構成と同様であるため、図示ならびに説明を省略する。
[通常制御復帰時における実転舵角変動抑制作用]
実施例2の復帰条件判断部433では、自励振動抑制制御中の実転舵角が、自励振動判断中の実転舵角の最大値と最小値との間の範囲から逸脱した場合、復帰判定フラグ=1を出力し、これにより、制御切り替えフラグ=0となり、通常制御へと復帰する。
実施例2の車両用操舵制御装置では、実施例1の効果(1)〜(9)に加え、以下に列挙する効果が得られる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1,2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
2 車速センサ
3 操舵制御コントローラ
4 前輪操舵コントローラ
5 前輪操舵アクチュエータ
10 ステアリングホイール
11,11 前輪
12 前輪操舵機構
13 コラムシャフト
14 コントローラ
31 目標出力値生成部
311 車両モデル演算部
312 目標値演算部
32 目標出力値生成部
41 デューティ指令演算部
42 電流制御部
43 アクチュエータ自励振動判断部
44 デューティ指令補正値演算部
45 制御切り替え部
Claims (13)
- 操向輪の転舵角に対する操舵手段の操舵角の比であるステアリングギア比を可変するギア比可変アクチュエータと、
前記操作手段の操作状態に応じた前記操向輪の目標転舵角を設定し、その目標転舵角に基づいて、前記ギア比アクチュエータへ供給する電力をPWM制御する電流制御手段と、
を備えた車両用操舵制御装置において、
前記目標転舵角と実際の転舵角との偏差が所定値以下の場合、前記PWM制御のデューティ指令値を、前記操向輪から前記ギア比可変アクチュエータへの逆入力負荷により生じる前記目標転舵角と前記実転舵角との微小な偏差に対し実回転角が変更されない程度の固定値に維持するデューティ指令値補正手段を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、目標転舵角と実転舵角との偏差が所定値以下にある状態が一定時間継続した場合、前記デューティ指令値を前記固定値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1または請求項2に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記デューティ指令値を、過去に演算された所定回分のデューティ指令値の平均値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記デューティ指令値が所定の範囲内にある場合、デューティ指令値を前記固定値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、目標転舵角に基づく前記ギア比可変アクチュエータの回転角指令値の変化率が小さい場合、前記デューティ指令値を前記固定値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、操舵角速度が小さい場合、前記デューティ指令値を前記固定値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記ギア比可変アクチュエータの回転角速度の符号の反転が連続して発生した場合、前記デューティ指令値を前記固定値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記ギア比可変アクチュエータの実回転角、ギア比可変アクチュエータの回転角指令値または操舵角が変化した場合、前記デューティ指令値の補正を解除することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項7に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記ギア比可変アクチュエータの回転角速度の符号の反転が連続して発生したときのギア比可変アクチュエータの回転角の最大値および最小値を記憶し、前記デューティ指令値の補正を実行中に、前記ギア比可変アクチュエータの実回転角が、前記最大値と最小値との間の範囲を超えた場合、前記デューティ指令値の補正を解除することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項9に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、過去一定時間内に検出された前記ギア比可変アクチュエータの実回転角のうち、最も大きな値を前記最大値とし、最も小さな値を前記最小値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項9に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記デューティ指令値の補正を開始する直前の、前記ギア比可変アクチュエータの回転角速度の符号が反転したときの2つの値を前記最大値および前記最小値とすることを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 請求項7に記載の車両用操舵制御装置において、
前記デューティ指令値補正手段は、前記ギア比可変アクチュエータの回転角速度の符号の反転が連続して発生したときのギア比可変アクチュエータの回転方向を記憶し、前記デューティ指令値の補正を実行中に、前記ギア比可変アクチュエータの実回転角が、前記回転方向と同一方向に変化した場合、または逆方向に所定値以上変化した場合、前記デューティ指令値の補正を解除することを特徴とする車両用操舵制御装置。 - 操向輪の転舵角に対する操舵手段の操舵角の比であるステアリングギア比を可変するギア比可変アクチュエータと、
前記操作手段の操作状態に応じた前記操向輪の目標転舵角を設定し、その目標転舵角に基づいて、前記ギア比アクチュエータへ供給する電力をPWM制御する電流制御手段と、
を備えた車両用操舵制御装置において、
前記操向輪の転舵状態と前記操作手段の操舵状態とに基づいて前記ギア比可変アクチュエータに自励振動が発生すると判断した場合、前記PWM制御のデューティ指令値を、前記操向輪から前記ギア比可変アクチュエータへの逆入力負荷により生じる前記目標転舵角と前記実転舵角との微小な偏差に対し実回転角が変更されない程度の固定値に維持するデューティ指令値補正手段を備えることを特徴とする車両用操舵制御装置。
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