JP4525257B2 - 車両用操舵制御装置 - Google Patents

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本発明は、ステアリングギア比を変化させるステアリングギア比可変手段と、運転者の操舵力を補助する操舵補助力発生手段とを備えた車両用操舵制御装置の技術分野に属する。
従来の車両用操舵制御装置は、ステアリングホイールの操舵角、車速等に基づいて設定した目標ステアリングギア比が得られるよう、ステアリングギア比可変手段により、操向輪の転舵角を変化させている。同時に、操舵補助力発生手段により、ステアリングホイールに加わる操舵トルクに基づいて、運転者の操舵力を補助する操舵補助力を発生させている(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−78945号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、操舵トルクにステアリングギア比可変手段の反力が作用するため、ステアリングギア比制御を実施しない場合の操舵トルクに対してズレが生じ、この操舵トルクの変動により運転者に違和感を与えるという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ステアリングギア比の可変制御に伴い発生する操舵トルクの変動を抑制し、運転者に与える違和感を低減する車両用操舵制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、操向輪の転舵角に対するステアリング操作手段の操舵角の比であるステアリングギア比を、走行状態に応じて変化させるステアリングギア比可変手段と、前記ステアリング操作手段に入力される操舵トルクに応じた操舵補助力を付加する操舵補助力発生手段と、を備えた車両用操舵制御装置において、車両パラメータに基づいて操舵補助力を位相進み補償する位相補償手段を設けたことを特徴とする。
本発明の車両用操舵制御装置にあっては、位相補償手段により操舵補助力が位相進み補償され、ステアリングギア比制御により発生する操舵トルクの変動が抑制されるため、運転者に与える違和感を低減できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜8に基づいて説明する。
(実施例1)
まず、構成を説明する。
図1は実施例1の車両用操舵制御装置を示す全体システム図であり、車両用操舵制御装置は、ステアリングホイール(ステアリング操作手段)1と、コラムシャフト2と、前輪転舵アクチュエータ(ステアリングギア比可変手段)3と、電動PSアクチュエータ(操舵補助力発生手段)4と、ステアリングギア5と、ステアリングラック6と、前輪(操向輪)7,7と、操舵角センサ8と、トルクセンサ(操舵トルク検出手段)9と、車速センサ(車速検出手段)10と、前輪転舵コントローラ11と、電動PSコントローラ12と、を備えている。
ステアリングホイール1は、図示しない車室内の運転者と対向する位置に、コラムシャフト2の軸周りに回動可能に設けられている。コラムシャフト2の回転は、ステアリングギア5を介してステアリングラック6に入力される。ステアリングラック6は、図示しない車両前部に、左右方向摺動可能に固定されており、その両端は、左右のタイロッドを介して前輪7,7へ連結されている。
前輪転舵アクチュエータ3は、例えばモータ等の発生トルクをコラムシャフト2の回転トルクに変換する図外の減速器を介して、コラムシャフト2のステアリングホイール1側に結合されている。この前輪転舵アクチュエータ3は、前輪転舵コントローラ11からの舵角指令値により、コラムシャフト2を介して入力される回転を可変ギア比により減速してステアリングギア5へ出力するもので、これにより、前輪7,7の舵角に対するステアリングホイール1の操舵角の比であるステアリングギア比を可変に制御する。この前輪転舵アクチュエータ3に供給される電流は、前輪転舵コントローラ11により制御されている。
電動PSアクチュエータ4は、例えばモータ等の発生トルクをコラムシャフト2の回転トルクに変換する図外の減速器を介して、コラムシャフト2のステアリングギア5側に結合されている。この電動PSアクチュエータ4に供給される電流は、電動PSコントローラ12により制御されている。
操舵角センサ8は、例えばパルスエンコーダ等を用いて、ステアリングホイール1の操舵角を検出する。検出された操舵角は、前輪転舵コントローラ11へ出力される。トルクセンサ9は、例えばトーションバー等を用いて、コラムシャフト2に入力される操舵トルクを検出する。検出された操舵トルクは、電動PSコントローラ12へ出力される。車速センサ10は、例えば車輪速センサ等を用いて、車体速を検出する。検出された車体速は、前輪転舵コントローラ11と電動PSコントローラ12へ出力される。
前輪転舵コントローラ11は、操舵角と車体速に基づいて、目標前輪転舵角を算出し、実転舵角が目標前輪転舵角となるように前輪転舵アクチュエータ3の駆動電流を制御する。電動PSコントローラ12は、操舵トルク信号と車体速信号に基づいて、目標アシストトルクを算出し、実操舵トルクが目標アシストトルクとなるように電動PSアクチュエータ4の駆動電流を制御する。
図2は、前輪転舵コントローラ11の制御ブロック図であり、前輪転舵コントローラ11は、目標値生成部13と、目標出力値生成部14とを備えている。
目標値生成部13は、操舵角と車体速に基づいて目標ヨーレートと目標横速度を算出し、目標出力値生成部14へ出力する。目標出力値生成部14は、目標ヨーレートと目標横速度に基づいて目標前輪転舵角を算出し、前輪転舵コントローラ11へ出力する。
前輪転舵コントローラ11は、目標前輪転舵角と、図外の転舵角センサ等により検出された実際の前輪転舵角である前輪転舵角値とに基づいて、目標前輪転舵角と前輪転舵角値とが一致するような転舵角指令値を算出し、この転舵角指令値に応じた駆動電流を前輪転舵アクチュエータ3へ供給する。
図3は目標値生成部13の制御ブロック図、図4は目標出力値生成部14の制御ブロック図である。
目標値生成部13は、車両モデル演算部13aと目標値演算部13bとを備えている。車両モデル演算部13aは、操舵角と車体速から2輪モデルを用いて車両パラメータを演算する。目標値演算部13bは、車両パラメータから車両の目標ヨーレートと目標横速度を決定する。
目標出力値生成部14は、目標前輪演算部14aを備え、この目標前輪演算部14aは、目標ヨーレートと目標横速度から、目標前輪転舵角を決定する。
図5は、電動PSコントローラ12の制御ブロック図であり、電動PSコントローラ12は、アシストトルク演算部15と、車速感応ゲイン演算部16と、車速補正処理部17と、位相補償部18とを備えている。
アシストトルク演算部15は、操舵トルクから第1補正前アシストトルクを演算し、車速補正処理部17へ出力する。
車速感応ゲイン演算部16は、車体速から車速ゲインを演算し、位相補償部18へ出力する。
車速補正処理部17は、第1補正前アシストトルクと車速ゲインから第2補正前アシストトルクを演算し、位相補償部18へ出力する。
位相補償部(位相補償手段)18は、第2補正前アシストトルクと車体速から、図6に示す車速対応位相進み特性マップ18aに基づいて、アシストトルクを演算する。
次に、作用を説明する。
[車両モデル演算]
車両モデル演算部13aで実行される車両パラメータ演算について説明する。
一般に、2輪モデルを仮定すると、車両のヨーレートと横速度は、下記の式(1)で表せる。

ここで、

である。
状態方程式より前輪操舵に対するヨーレート、横速度の伝達関数を求めると、下記の式(3),(4)となる。


ヨーレート伝達関数は、式(3)より下記の式(5)と表される。

ここで、

である。
同様に、横速度伝達関数は、式(4)より下記の式(7)と表される。

ここで、

である。
以上から、車両パラメータ

が求められる。
[目標値演算]
目標値演算部13bで実行される目標値演算について説明する。
まず、車体速、車両パラメータと後述する目標値パラメータから、目標ヨーレートψ'*と目標横速度Vy *を求める。
目標ヨーレートψ'*は、式(5)から下記の式(9)により表される。
目標横速度Vy *は、式(7)から下記の式(10)により表される。
ここで、目標ヨーレートψ'*のパラメータは、下記の式(11)で表される。

ただし、yrate_gain_map,yrate_omegn_map,yrate_zeta_map,yrate_zero_mapはチューニングパラメータである。
また、目標横速度Vy *のパラメータは、下記の式(12)で表される。

ただし、vy_gain_map,vy_omegn_map,vy_zeta_map,vy_zero_mapはチューニングパラメータである。
次に、目標ヨーレートψ'*と目標横速度Vy *から、目標前輪操舵角θ*を算出する。

から、
よって、目標前輪操舵角θ*は、下記の式(15)となる。
[補正前アシストトルク演算]
電動PSコントローラ12によるアシストトルクの演算について説明する。
第2補正前アシストトルクは、操舵トルクTDと車体速Vxから算出する。第1補正前アシストトルクTA1は、アシストトルク演算部15のマップ(図5参照)に示すように、操舵トルクTDに比例する。
車速ゲインKVは、車速感応ゲイン演算部16のマップ(図5参照)に示すように、車体速ゼロからある車体速までは一定となり、その他の領域では車体速Vxに反比例するよう設定される。
車速補正処理部17では、第1補正前アシストトルクTA1と車速ゲインKVから、下記の式(16)を用いて第2補正前アシストトルクを算出する。
TA2=TA1×KV …(16)
[位相補償]
位相補償部18で実行される位相補償について説明する。
位相補償部18では、目標車両挙動を決定する車両パラメータ(yrate_gain_map,yrate_omegn_map,yrate_zeta_map,yrate_zero_map等)に応じて、第2補正前アシストトルクTA2に位相進み要素を付加し、アシストトルクTAを算出する。入力TA2に対する出力TAは、位相進み要素の伝達関数P(s)とおくと、
TA(s)=P(s)TA2(s) …(17)
である。
ここで、位相進み要素の伝達関数P(s)は、ゲインをKA、時定数をT1,T2とおくと、
P(s)=KA(1+T1×s)/{1+T2×s} …(18)
で表される。ゲインKA、時定数T1,T2は、車両パラメータyrate_gain_map,yrate_omegn_map,yrate_zeta_map,yrate_zero_mapに応じて設定する。
また、位相進み要素の伝達関数P(s)は、図6に示すように、車体速に依存し、車体速が高くなるほど大きくなるように、ゲインKA、時定数T1,T2が設定されている(車速対応補償特性変更手段に相当)。
[位相補償制御作用]
図7に、ステアリングギア比制御を実施しない場合の操舵力特性、図8に従来のステアリングギア比制御を実施した場合の操舵力特性を示す。なお、車速を120km/h、操舵入力を±30°、1/3Hzのsin操舵とした走行条件を想定している。
図7(c)と図8(c)を比較すると、従来のステアリングギア比制御では、切り増し操舵時と切り戻し操舵時における操舵トルクのヒステリシス幅が、ステアリングギア比制御を実施しない場合と比較して、全ての操舵領域で全体的に大きくなる。
これは、図9に示すように、前輪転舵アクチュエータ3と電動PSアクチュエータ4を用いてステアリングギア比制御とアシスト制御を行うシステムにおいて、操舵トルクに前輪転舵アクチュエータ3の反力トルクが作用することに起因している。言い換えると、操舵角センサ8の出力に基づくステアリングギア比制御に対し、トルクセンサ9の出力に基づくアシストトルク制御に位相ズレが生じることに起因する。
図9において、ステアリングギア比制御を実施しない場合、ステアリングホイール1に加わる操舵トルクは、前輪7,7からコラムシャフト2へ入力される路面反力トルクから、電動PSアクチュエータ4が出力するアシストトルクを除いたものとなる。
ところが、ステアリングギア比制御を実施した場合、操舵トルクに前輪転舵アクチュエータ3の反力トルクが作用するため、切り増し操舵時には、正の反力トルクにより操舵トルクが大きくなる。一方、切り戻し操舵時には、負の反力トルクにより操舵トルクが小さくなる。
したがって、このステアリングギア比制御に起因する操舵トルクの変動により、運転者に対し、切り増し操舵時にはステアリングが重く、切り戻し操舵時にはステアリングが軽いという違和感を与えてしまう。
これに対し、実施例1の車両用操舵制御装置では、位相補償部18において、車両パラメータに基づいて位相進み要素の伝達関数P(s)のゲインKA、時定数T1,T2を設定し、この伝達関数P(s)に基づいて第2補正前アシストトルクTA2をゲイン・位相進み補償してアシストトルクTAを算出する。これにより、アシストトルクTAの即応性と定常特性を改善でき、位相ズレに起因する操舵トルクの変動を抑制できる。
図10は、実施例1の操舵力特性であり、図10(c)に示すように、切り増し操舵時と切り戻し操舵時における操舵トルクのヒステリシス幅は、ステアリングギア比制御を実施しない場合とほぼ一致しており、ほぼ同一の操舵特性を実現している。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用操舵制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) 位相補償部18は、車両パラメータに応じて、第2補正前アシストトルクTA2に位相進み要素を付加し、アシストトルクTAを算出するため、アシストトルクTAの即応性と定常特性が改善され、位相ズレに起因する操舵トルクの変動を運転者に与えることなく、ステアリングギア比制御を実施しないときに近い操舵感を保つことができる。
(2) 位相補償部18は、位相進み要素の伝達関数P(s)を車体速に応じて変化させるため、あらゆる速度領域において、操舵トルクの変動を運転者に与えることなく、ステアリングギア比制御を実施しないときに近い操舵感を保つことができ、かつ、車両運動制御には影響を与えない。
(実施例2)
実施例2では、進み位相補償要素の特性をステアリングギア比に基づいて変化させる点で実施例1と異なる。
図11は、実施例2の位相補償部の構成を示すブロック図であり、位相補償部19のギア比対応位相進み特性マップ19aにおいて、位相進み要素の伝達関数P(s)は、ステアリングギア比に比例して大きくなるように、ゲインKA、時定数T1,T2が設定されている(ギア比対応補償特性変更手段に相当)。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両用操舵制御装置にあっては、実施例1の(1),(2)の効果に加え、下記の効果が得られる。
(4) 位相補償部19は、位相進み要素の伝達関数P(s)を、ステアリングギア比に応じて変化させるため、ステアリングギア比が大きい場合でも、ステアリングギア比制御をしないときに近い操舵感を保つことができる。
(参考例1)
まず、構成を説明する。
図12は参考例1の車両用操舵制御装置を示す全体システム図であり、車両用操舵制御装置は、ステアリングホイール(ステアリング操作手段)1と、コラムシャフト2と、前輪転舵アクチュエータ(ステアリングギア比可変手段)3と、ステアリングギア5と、ステアリングラック6と、前輪7,7と、操舵角センサ8と、車速センサ10と、油圧パワーステアリング(油圧PS)機構20と、パワーステアリング油圧センサ21と、エンジンコントロールユニット22と、前輪転舵コントローラ11と、を備えている。なお、図1に示した実施例1と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
油圧PS機構20は、エンジンにより駆動される図外のオイルポンプの発生油圧(PS油圧)を用いて、運転者のステアリング操舵力を軽減するもので、PS油圧によりパワーシリンダ内に設けられたピストンを移動させることで、このピストンと連結したステアリングラック6を移動させ、アシストトルクを付加する。
また、前輪転舵コントローラ11は、前輪転舵アクチュエータ3の実電流値をモニタリングし、指令舵角とPS油圧から求められるアシストトルクとから、前輪転舵アクチュエータ3の電流値を推定し、この推定電流値と実電流値の偏差を求める。そして、その電流値偏差に応じたアイドルアップ指令を、エンジンコントロールユニット22へ出力することで、油圧PS機構20のアシストトルク低下分のゲインを補償する(ゲイン補償手段)。ここで、所定値α1は、油圧PS機構20の負荷が大きくPS油圧のアップが必要と判断される電流値偏差である。また、Nemaxは、図15に示すように、PS油圧が最大となるときのエンジン回転数である。
エンジンコントロールユニット22は、前輪転舵コントローラ11からアイドルアップ指令を受けたとき、パワーステアリング油圧センサ21により検出される油圧、すなわち油圧PS機構20の発生可能最大油圧がNemaxに一致するように、エンジン回転数を制御する。
図16は、電流値偏差に対するエンジン回転数設定マップであり、前輪転舵コントローラ11は、電流値偏差がα1以下のときエンジン回転数をNeoとし、α2を超えたときエンジン回転数をNemaxとし、α1とα2の間の領域にあるときエンジン回転数を電流値偏差に比例して上昇させるようなアイドルアップ指令を出力する。
なお、電動パワーステアリングに適用した場合には、前輪転舵アクチュエータの電流偏差に応じた、アシストトルクのゲインアップ指令を電動PSコントローラへ出力し、電動パワーステアリングのアシストトルク低下分のゲインを補償するようにする。
次に、作用を説明する。
[目標値演算]
参考例1の前輪転舵コントローラ11では、車体速、車両パラメータと目標値パラメータから、目標ヨーレートψ'*と目標横速度Vy *を求め、これらから目標前輪操舵角θ*と目標後輪舵角δ*を算出する。なお、目標ヨーレートψ'*、目標横速度Vy *、および目標前輪操舵角θ*の算出方法は、実施例1に示した式(1)〜(15)と同様であるため、説明を省略する。
目標後輪舵角δ*は、下記の式(19)となる。
[アイドル回転数上昇制御処理]
図17は、参考例1の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、所定の周期毎に実行される。
ステップS1では、操舵角センサ8からの操舵角と車速センサ10からの車体速から目標ヨーレートと目標横速度を算出し、目標ヨーレートと目標横速度に基づく目標前輪転舵角が得られるように前輪転舵アクチュエータ3を駆動するステアリングギア比制御を実行し、ステップS2へ移行する。
ステップS2では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iを算出し、ステップS3へ移行する。
ステップS3では、ステップS2で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが、α1以下、α1よりも大きくかつα2以下か、α2よりも大きいかを判断する。α1以下の場合にはステップS6へ移行し、α1よりも大きくかつα2以下の場合にはステップS4へ移行し、α2よりも大きい場合にはステップS5へ移行する。
ステップS4では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*が下記の式(20)となるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
Ne*={(Nemax−Neo)/(α2−α1)}(I−α1)+Neo …(20)
ステップS5では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*がNemaxとなるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS6では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*がNeoとなるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
すなわち、ステップS4〜ステップS6のいずれかの処理を経てエンジンコントロールユニット22へアイドルアップ指令が出力されることで、エンジンコントロールユニット22では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iに応じた目標アイドル回転数制御が実施される(ゲイン補償手段に相当)。
図18は、据え切り時における参考例1のアイドル回転数上昇制御作用を示すタイムチャートである。
時点t0から時点t1まで期間は、図17のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS6へと進む流れとなる。すなわち、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1以下であるため、目標アイドル回転数Ne*はNeoとされる。
時点t1からt2までの期間は、図17のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなる。すなわち、電流値偏差Iがα1を超えるため、目標アイドル回転数Ne*は、Neoから電流値偏差Iに比例して徐々に上昇していく。
このとき、PS油圧は、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iに比例して大きくなる。
よって、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1を超えて、PS油圧のアップが必要と判断される場合には、エンジンの目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、PS油圧低下を検知する前に精度良くアイドル回転数を上昇させ、PS油圧低下を防止できる。また、電流値偏差Iに比例して目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、過剰なエンジン回転数の上昇が抑えられ、燃費悪化を防止できる。
時点t2からt3までの期間は、図17のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS5へと進む流れとなる。すなわち、電流値偏差Iがα2を超えるため、目標アイドル回転数Ne*はNemaxとなる。このとき、PS油圧は、最大PS油圧となる。
よって、目標アイドル回転数Ne*の上限値を、最大PS油圧が得られる最小のエンジン回転数Nemaxとしたため、PS油圧低下を防止しつつ、エンジンの吹け上がりを防ぐことができる。
時点t3からt4までの期間は、図17のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS4へと進む流れとなる。すなわち、電流値偏差Iがα2以下となるため、目標アイドル回転数Ne*は、Nemaxから電流値偏差Iに比例して徐々に低下する。
時点t4以降は、図17のフローチャートにおいて、ステップS1→ステップS2→ステップS3→ステップS6へと進む流れとなる。すなわち、電流値偏差Iがα1以下となるため、目標アイドル回転数Ne*はNeoとなる。
次に、効果を説明する。
参考例1の車両用操舵制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(5) 前輪7,7の転舵角に対するステアリングホイール1の操舵角の比であるステアリングギア比を、走行状態に応じて変化させる前輪転舵アクチュエータ3と、ステアリングホイール1に操舵補助力を付加する油圧PS機構20と、を備えた車両用操舵制御装置において、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが油圧PS機構20の負荷が大きく油圧アップが必要と判断される値を超えたとき、エンジンの目標アイドル回転数Ne*を上昇させるゲイン補償手段を設けたため、油圧PS機構20の油圧低下を検出する前に、精度良くアイドル回転数Neをアップさせることで、ステアリングギア比可変制御に伴うPSアシストトルクのゲイン不足を防止できる。
(6) ゲイン補償手段は、前輪転舵アクチュエータ3に供給される電流値偏差Iに応じて、目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、過剰なエンジン回転数の上昇が抑えられ、燃費悪化を防止できる。
(7) ゲイン補償手段は、油圧PS機構20の油圧が最大となるエンジン回転数Nemaxを上限値として目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、PS油圧低下を防止しつつ、エンジンの吹け上がりを防ぐことができる。
(参考例2)
参考例2は、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値α1を超えたとき、エンジンの目標アイドル回転数Ne*をNemaxとする例である。なお、参考例2の構成は参考例1と同一であるため、説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[アイドル回転数上昇制御処理]
図19は、参考例2の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図17に示した参考例1と同一処理を行うステップには、同一符号を付して説明を省略する。
ステップS11では、ステップS2で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1よりも大きいかどうかを判定する。YESの場合にはステップS12へ移行し、NOの場合にはステップS13へ移行する。
ステップS12では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*がNemaxとなるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS13では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*がNeoとなるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
よって、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1を超えて、PS油圧のアップが必要と判断される場合には、エンジンの目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、PS油圧低下を検知する前に精度良くアイドル回転数を上昇させ、PS油圧低下を防止できる。
また、目標アイドル回転数Ne*の上限値を、最大PS油圧が得られる最小のエンジン回転数Nemaxとしたため、PS油圧低下を防止しつつ、エンジンの吹け上がりを防ぐことができる。
従って、参考例2の車両用操舵制御装置にあっては、参考例1の効果(5),(7)と同一の効果が得られる。
(参考例3)
参考例3は、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値α1を超えたとき、エンジンの目標アイドル回転数Ne*を電流値偏差Iに比例して上昇させる例である。なお、参考例3の構成は参考例1と同一であるため、説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[アイドル回転数上昇制御処理]
図20は、参考例3の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図17に示した参考例1と同一処理を行うステップには、同一符号を付して説明を省略する。
ステップS14では、ステップS2で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1よりも大きいかどうかを判定する。YESの場合にはステップS15へ移行し、NOの場合にはステップS16へ移行する。
ステップS15では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*が上述の式(20)となるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
ステップS16では、エンジンコントロールユニット22に対し、目標アイドル回転数Ne*がNeoとなるようなアイドルアップ指令を出力し、リターンへ移行する。
よって、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iがα1を超えて、PS油圧のアップが必要と判断される場合には、エンジンの目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、PS油圧低下を検知する前に精度良くアイドル回転数を上昇させ、PS油圧低下を防止できる。また、電流値偏差Iに比例して目標アイドル回転数Ne*を上昇させるため、過剰なエンジン回転数の上昇が抑えられ、燃費悪化を防止できる。
従って、参考例3の車両用操舵制御装置にあっては、参考例1の効果(5),(6)と同一の効果が得られる。
(参考例4)
まず、構成を説明する。
図21は、参考例4の車両用操舵制御装置を示す全体システム図である。なお、図12に示した参考例1と同一の構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
ブレーキアクチュエータ30は、前輪7,7と後輪32,32にそれぞれ設けられたブレーキ装置31に供給するブレーキ油圧を、それぞれ独立して制御する。
VDC(ビークルダイナミクスコントロール)コントロールユニット33は、運転者の操舵量やブレーキ操作量から目標ヨーレートおよび目標横滑り量を演算し、車速センサ10や横Gセンサ34などの情報から演算した車両のヨーレートおよび横滑り量と比較する。
そして、両者の差に応じてブレーキアクチュエータ30を駆動し、各輪の制動力を独立に制御する。
前輪転舵コントローラ11は、車両の旋回時、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、図22の片輪目標液圧指令マップに基づいて、旋回内側前輪のブレーキ液圧を増大させるヨーレート補正指令を、VDCコントロールユニット33へ出力する。図22の片輪目標液圧指令マップは、電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、車輪をロックさせない範囲で、旋回内側前輪のブレーキ装置31に対するブレーキ液圧指令を大きくするように設定されている。
VDCコントロールユニット33は、ヨーレート補正指令に基づいて、ブレーキアクチュエータ30に対し、旋回内側前輪のブレーキ装置31へのブレーキ液圧を増大させる指令を出力する。
次に、作用を説明する。
[ブレーキ片効き制御処理]
図23は、参考例4の前輪転舵コントローラ11で実行されるブレーキ片効き制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、この制御処理は、所定周期毎に繰り返される。
ステップS20では、操舵角センサ8からの操舵角と車速センサ10からの車体速から目標ヨーレートと目標横速度を算出し、目標ヨーレートと目標横速度に基づく目標前輪転舵角が得られるように前輪転舵アクチュエータ3を駆動するステアリングギア比制御を実行し、ステップS2へ移行する。
ステップS21では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iを検出し、ステップS22へ移行する。
ステップS22では、ステップS21で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが、β以上であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS23へ移行し、NOの場合にはステップS24へ移行する。
ステップS23では、図22のマップに基づく片輪目標液圧指令値を算出するとともに、VDCコントロールユニット33へ出力し、リターンへ移行する。
ステップS24では、片輪目標液圧指令値をゼロとしてVDCコントロールユニット33へ出力し、リターンへ移行する。
すなわちステップS23の処理を経てVDCコントロールユニット33へ片輪目標液圧指令値が出力されることで、VDCコントロールユニット33では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iに応じたブレーキ片効き制御が実施される(制動力制御手段に相当)。
そして、参考例4では、図24のタイムチャートに示すように、時点t1で前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、図22のマップに応じて旋回内側前輪のブレーキ装置31に対するブレーキ液圧指令値を増大させるため、転舵トルクの発生により前輪の転舵力が補助され、電流値偏差Iの増加が抑制される。
次に、効果を説明する。
参考例4の車両用操舵制御装置にあっては、以下の効果が得られる。
(8) 目標ヨーレートに応じて各走行輪の制動力を独立に制御するVDCコントローラ33を設け、このVDCコントローラ33は、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、電流値偏差Iに応じて旋回内側前輪の制動力を旋回外側前輪の制動力よりも大きくするため、電流値偏差Iの増加が抑制され、転舵の引っ掛かりを防止できる。
(参考例5)
参考例5は、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、旋回内側への発生ヨーレートが大きくなるように目標ヨーレートを補正する例である。なお、参考例5の構成は、図21に示した参考例4の構成と同一であるため、説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[目標ヨーレート補正制御処理]
図25は、参考例5の前輪転舵コントローラ11で実行される目標ヨーレート補正制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図23に示した参考例4と同一処理を行うステップには、同一符号を付して説明を省略する。
ステップS25では、ステップS21で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが、β以上であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS23へ移行し、NOの場合にはステップS24へ移行する。
ステップS26では、図26の補正ヨーレート算出マップに基づいて補正ヨーレートを算出し、ヨーレート補正指令をVDCコントロールユニット33へ出力し、リターンへ移行する。図26の補正ヨーレート算出マップは、電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、電流値偏差Iに比例して補正ヨーレートが大きくなるように設定されている。
ステップS27では、補正ヨーレートをゼロとしてVDCコントロールユニット33へ出力し、リターンへ移行する。
すなわち、ステップS26の処理を経てVDCコントロールユニット33へヨーレート補正指令が出力されることで、VDCコントロールユニット33では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iに応じた目標ヨーレートの補正が実施される(目標ヨーレート補正手段に相当)。
そして、参考例5では、図27のタイムチャートに示すように、時点t1で前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、電流値偏差Iに比例して目標ヨーレートを大きくするため、転舵トルクの発生により前輪7,7の転舵力が補助され、電流値偏差Iの増加を抑制しつつ、所望の車両挙動が得られる。
次に、効果を説明する。
参考例5の車両用操舵制御装置にあっては、以下の効果が得られる。
(9) 前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値を超えたとき、旋回内側への発生ヨーレートが大きくなるように目標ヨーレートを補正する目標ヨーレート補正手段を設けたため、電流値偏差Iの増加が抑制され、転舵の引っ掛かりを防止できる。
(参考例6)
まず、構成を説明する。
図28は、参考例6の車両用操舵制御装置を示す全体システム図であり、車両用操舵制御装置は、ステアリングホイール(ステアリング操作手段)1と、コラムシャフト2と、前輪転舵アクチュエータ(ステアリングギア比可変手段)3と、ステアリングギア5と、ステアリングラック6と、前輪7,7と、操舵角センサ8と、車速センサ10と、油圧パワーステアリング(油圧PS)機構20と、後輪転舵機構40と、後輪転舵アクチュエータ41と、前後輪転舵コントローラ42と、を備えている。
後輪転舵機構40は、図示しない車両後部に、左右方向摺動可能なラック軸40aを備え、このラック軸40aの両端は、左右のタイロッドを介して後輪32,32へ連結されている。後輪転舵アクチュエータ41は、例えばモータ等の発生トルクによりラック軸40aを左右方向へ摺動させることにより、後輪32,32を転舵させる。この後輪転舵アクチュエータ41に供給される電流は、前後輪転舵コントローラ42により制御されている。
操舵角センサ8は、例えばパルスエンコーダ等を用いて、ステアリングホイール1の操舵角を検出する。検出された操舵角は、前後輪転舵コントローラ42へ出力される。車速センサ10は、例えば車輪速センサ等を用いて、車体速を検出する。検出された車体速は、前後輪転舵コントローラ42へ出力される。
前後輪転舵コントローラ42は、操舵角と車体速に基づいて、目標ヨーレートと目標横速度を算出する。そして、算出した目標ヨーレートと目標横速度に基づいて目標前輪転舵角と目標後輪転舵角を算出し、実転舵角が目標値と一致するように前輪転舵アクチュエータ3と後輪転舵アクチュエータ41の駆動電流をそれぞれ制御する。
ここで、目標後輪転舵角は、低車速域では、旋回性能を向上させるために目標前輪転舵角と逆相に設定されている。一方、高車速域では、車両の安定性を確保するために、目標後輪転舵角と同相に設定されている。
また、前後輪転舵コントローラ42は、前輪転舵アクチュエータ3の実電流値をモニタリングし、指令舵角とPS油圧から求められるアシストトルクとから、前輪転舵アクチュエータ3の電流値を推定し、この推定値と実電流値の偏差を求める。そして、その電流値偏差に応じて目標ヨーレートを補正する。そして、補正後の目標ヨーレートに基づいて、目標前輪転舵角および目標後輪転舵角を算出する。
次に、作用を説明する。
[目標ヨーレート補正制御処理]
図29は、参考例6の前後輪転舵コントローラ42で実行される目標ヨーレート補正制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
ステップS31では、操舵角センサ8からの操舵角と車速センサ10からの車体速から目標ヨーレートと目標横速度を算出し、目標ヨーレートと目標横速度に基づく目標前輪舵角と目標後輪舵角が得られるように前輪転舵アクチュエータ3と後輪転舵アクチュエータ41を駆動するステアリングギア比制御を実行し、ステップS32へ移行する。
ステップS32では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iを検出し、ステップS33へ移行する。
ステップS33では、ステップS32で検出した前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが、β以上であるかどうかを判定する。YESの場合にはステップS34へ移行し、NOの場合にはステップS35へ移行する。
ステップS34では、図26のマップにより目標ヨーレート補正値を算出し、目標ヨーレートを補正する。そして、補正した目標ヨーレートに基づいて、目標前輪舵角と目標後輪舵角を算出し、前輪転舵アクチュエータ3と後輪転舵アクチュエータ41を駆動する。
ステップS35では、目標ヨーレート補正値をゼロとし、目標ヨーレートの補正を実行しない。
すなわち、ステップS34の処理を経て目標ヨーレートを増加させることにより、前後輪転舵コントローラ42では、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iに応じて後輪32,32を前輪7,7に対し逆相側に転舵させる制御が実施される(後輪転舵角制御手段に相当)。
よって、参考例6では、図30のタイムチャートに示すように、時点t1で前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、電流値偏差Iに比例して目標ヨーレートを大きくするため、後輪32,32が前輪7,7に対し逆相側により大きく転舵される。従って、前輪転舵の引っ掛かりのため狙い通りに出ないヨーレートを補正することができる。
次に、効果を説明する。
参考例6の車両用操舵制御装置にあっては、以下の効果が得られる。
(10) 後輪32,32を転舵させる後輪転舵機構40と、前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差Iが所定値βを超えたとき、後輪32,32の転舵角を前輪7,7と逆相に転舵させる後輪転舵角制御手段と、を設けたため、前輪転舵の引っ掛かりのためねらい通りに出ないヨーレートを補正できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1及び2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は実施例1及び2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、位相進み要素の伝達関数P(s)を、実施例1では車体速(車速)に応じて、実施例2ではステアリングギア比に応じてそれぞれ変化させたが、車体速とステアリングギア比に応じて変化させてもよい。
実施例1の車両用操舵制御装置を示す全体システム図である。 前輪転舵コントローラの制御ブロック図である。 目標値生成部の制御ブロック図である。 目標出力値生成部の制御ブロック図である。 電動PSコントローラの制御ブロック図である。 実施例1の位相補償部の構成を示すブロック図である。 ステアリングギア比制御を実施しない場合の操舵力特性を示す図である。 従来のステアリングギア比制御を実施した場合の操舵力特性を示す図である。 ステアリングギア比制御を実施するシステムで発生する操舵トルクを示す説明図である。 実施例1の操舵力特性を示す図である。 実施例2の位相補償部の構成を示すブロック図である。 参考例1の車両用操舵制御装置を示す全体システム図である。 車速に応じたステアリングギア比設定マップである。 低速走行時におけるステアリング操舵角とタイヤ転舵角(前輪7,7の転舵角)との関係を示す図である。 エンジン回転数とPS油圧の関係を示す図である。 前輪転舵アクチュエータ3の電流値偏差に対するエンジン回転数設定マップである。 参考例1の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートである。 据え切り時における参考例1のアイドル回転数上昇制御作用を示すタイムチャートである。 参考例2の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートである。 参考例3の前輪転舵コントローラ11で実行されるアイドル回転数上昇制御処理の流れを示すフローチャートである。 参考例4の車両用操舵制御装置を示す全体システム図である。 電流値に対する片輪目標液圧指令マップである。 参考例4の前輪転舵コントローラ11で実行されるブレーキ片効き制御処理の流れを示すフローチャートである。 据え切り時における参考例4のブレーキ片効き作用を示すタイムチャートである。 参考例5の前輪転舵コントローラ11で実行される目標ヨーレート補正制御処理の流れを示すフローチャートである。 電流値偏差に対する補正ヨーレート算出マップである。 据え切り時における参考例5の目標ヨーレート補正作用を示すタイムチャートである。 参考例6の車両用操舵制御装置を示す全体システム図である。 参考例6の前後輪転舵コントローラ42で実行される目標ヨーレート補正制御処理の流れを示すフローチャートである。 据え切り時における参考例6の目標ヨーレート補正作用を示すタイムチャートである。
1 ステアリングホイール
2 コラムシャフト
3 前輪転舵アクチュエータ
4 アクチュエータ
5 ステアリングギア
6 ステアリングラック
7 前輪
8 操舵角センサ
9 トルクセンサ
10 車速センサ
11 前輪転舵コントローラ
12 コントローラ
13 目標値生成部
13a 車両モデル演算部
13b 目標値演算部
14 目標出力値生成部
14a 目標前輪演算部
15 アシストトルク演算部
16 車速感応ゲイン演算部
17 車速補正処理部
18 位相補償部
18a 車速対応位相進み特性マップ
19 位相補償部
19a ギア比対応位相進み特性マップ

Claims (3)

  1. 操向輪の転舵角に対するステアリング操作手段の操舵角の比であるステアリングギア比を、走行状態に応じて変化させるステアリングギア比可変手段と、
    前記ステアリング操作手段に入力される操舵トルクに応じた操舵補助力を付加する操舵補助力発生手段と、
    を備えた車両用操舵制御装置において、
    車両パラメータに基づいて操舵補助力を位相進み補償する位相補償手段を設けたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記位相補償手段の補償特性を、車速に応じて変化させる車速対応補償特性変更手段と、
    を設けたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両用操舵制御装置において、
    前記位相補償手段の補償特性を、ステアリングギア比に応じて変化させるギア比対応補償特性変更手段を設けたことを特徴とする車両用操舵制御装置。
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