JP5061436B2 - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Description
ドライバの操舵入力を受ける操舵部と、操舵に応じて操向輪を転舵する転舵部とが機械的に切り離され、
路面から前記転舵部へ入力される路面反力値を検出する路面反力検出手段と、
前記検出される路面反力値に応じた操舵反力と、前記操舵部の操舵状態量に応じた操舵反力と、車両挙動状態量に応じた操舵反力と、をそれぞれ所定の反映率で加算した和を操舵反力として前記操舵部に付与する操舵反力付与手段と、
を有する車両用操舵装置において、
前記検出される路面反力値の異常を判定する路面反力値異常判定手段を備え、
前記操舵状態量は、ハンドル角度を含み、
前記操舵反力付与手段は、
前記検出される路面反力値が異常と判定されない場合、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率を、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率および前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率よりも大きくし、
前記検出される路面反力値が異常と判定された場合、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率を小さくし、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率と前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率とを大きくして、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率および前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率を、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率よりも大きくするとともに、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率を前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率よりも小さな値とすることを特徴とする。
図1は、実施例1の車両用操舵装置を適用したステア・バイ・ワイヤシステムの全体構成図である。実施例1のステア・バイ・ワイヤシステムは、ハンドル1と、ハンドル角度センサ2と、操舵反力モータ3と、操舵反力モータ角度センサ4と、転舵モータ5と、転舵モータ角度センサ6と、ピニオン角度センサ7と、タイロッド軸力センサ(路面反力検出手段)8と、メカニカルバックアップクラッチ9と、コントローラ&駆動回路(操舵反力付与手段であり、以下、コントロールユニットと称す。)10と、タイヤ(操向輪)11,11と、車両状態パラメータ12と、舵取り機構13と、を備え、メカニカルバックアップクラッチ9によりハンドル1、操舵反力モータ3等を備えた操舵部と、舵取り機構13、転舵モータ5等を備えた転舵部とが機械的に分離されている。
[操舵反力制御処理]
図2は、実施例1のコントロールユニット10で実行される操舵反力制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
通常の操舵反力指令値T*の生成式を、下記の式(1)に示す。
T*=aGFF+bGθθ+cGdθθ'+dGγγ+eGy"y" …(1)
ここで、Fはラック軸力、θはハンドル角度、θ'はハンドル角速度、γはヨーレート、y"は横加速度である。上述したように、実施例1では、ラック軸力Fを、タイロッド軸力センサ8の検出値から推定する。
また、a:GFF,b:Gθθ,c:Gdθθ',d:dGγγ,e:Gy"y"と定義する。
a,b,c,d,eは反映率である。また、GF,Gθ,Gdθ,Gγ,Gy"は操舵反力変換係数となる。
実施例1では、軸力異常が検知されたとき、式(1)の各反映率a,b,c,d,eのうち、ラック軸力Fの反映率aを小さくするとともに、ハンドル角度θおよび車両状態量(ヨーレートγ、横加速度y")の反映率b,d,eを大きくし、操舵反力指令の変動がドライバへ及ぼす影響を抑える。
a+b+c+d+e=1 …(2)
ここでは、操舵反力指令値の総計を1という値とし、各項がどのくらいの割合で影響しているのかを振り分けるものとする。
a=0.7,b=0.1,c=0.1,d=0.05,e=0.05 …(α)
すなわち、上記の各反映率a,b,c,d,eは、操舵反力の大半をラック軸力Fベースとして生成しており、ハンドル角度θとハンドル角速度θ'の値で必要な部分を補正しているということを意味する。
1. ハンドル角度への振り分け例
図3に、ハンドル角度θのみによって振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、ハンドル角度θの影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。このとき、ハンドル角度θだけではそのときの路面状態が判別しにくいので、例えば、転舵モータ5のモータ電流や車両状態量などから推定した路面摩擦力を掛けておくことで、より厳密な状態遷移が可能となる。
図5に、横加速度y"のみによって振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、横加速度y"の影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。また、横加速度y"によって切り替える場合、ラック軸力相当への変換は、図6のように設定する方法が考えられる。図6は横加速度y"とラック軸力F、上下加速度(またはストローク量)とラック軸力Fとの関係を示したものである。上記では横加速度y"について記載しているが、この箇所は上下加速度(またはストローク量)を用いても対応できる。これは、横加速度y"によるロール発生により、荷重移動によりラック軸力Fが変化することを示している。なお、加速度による変換は、この後に示す例にすべてを適応できるものとする。
図7に、ヨーレートγのみによって振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、ヨーレートγの影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。ヨーレート−ラック軸力に関する変換も、上述のハンドル角度θ、横加速度y"同様にある変換係数(図8)を持っているものとする。なお、ヨーレートγの変換はこの後で示す例にすべて適応できるものとする。
図9に、ハンドル角度θとヨーレートγのみによって振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、ハンドル角度θとヨーレートγの影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。
このとき、基本はヨーレートγの項の影響度を強くし、ヨーレートγのみで反力を生成するが、ハンドル角度θは、例えば、ヨーレートγが十分に出ない操舵中立付近のみに影響するように設定する。そのため、ヨーレートγの反映率dを高くし、ハンドル角度θの反映率bはそれよりも小さい値とする。
図10に、ハンドル角度θと横加速度y"によってのみ振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、ハンドル角度θと横加速度y"の影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。
このとき、基本は横加速度y"の項の影響度を強くし、横加速度y"のみで反力を生成するが、ハンドル角度θは、例えば、横加速度y"が十分に出ない操舵中立付近のみに影響するように設定する。そのため、横加速度y"の反映率eを高くし、ハンドル角度θの反映率bはそれよりも小さい値とする。
図11に、ハンドル角度θ、横加速度y"およびヨーレートγによってのみ振り分けた例を示す。すなわち、軸力異常と判定された後で、ラック軸力Fの影響度を下げ、ハンドル角度θ、横加速度y"およびヨーレートγの影響度を上げるものである。その他はそのままの影響度で遷移する。
このとき、基本は横加速度y"とヨーレートγの項の影響を強くし、横加速度y"とヨーレートγのみで反力を生成するが、ハンドル角度θは、例えば、横加速度y"およびヨーレートγが十分出ない操舵中立付近のみに影響するように設定する。そのため、横加速度y"、ヨーレートγの反映率d,eを高くし、ハンドル角度の反映率bはそれよりも小さい値とする。
ハンドルとタイヤの間が機械的に連結されておらず、ハンドルとタイヤの動作を任意に設定可能なステア・バイ・ワイヤシステムが考案されている。このステア・バイ・ワイヤシステムでは、ハンドルとタイヤの駆動用にそれぞれ電動モータ等のアクチュエータを備え、そのアクチュエータを制御することにより、車両の操舵を行う。
ところが、上記従来技術では、操舵トルクセンサと転舵反力センサの2つの路面反力検出手段を備え、一方の路面反力検出手段が故障したとき、他方の検出値から操舵反力指令値を補完して操舵反力変動を抑制する構成であるため、部品点数が多く、コストが嵩むという問題があった。
これに対し、実施例1の車両用操舵装置では、タイロッド軸力センサ8の検出値から推定されるラック軸力Fの値が異常であると判定されたとき、操舵反力指令値T*を算出する式(1)において、ラック軸力Fに応じた項aGFFを減少させるとともに、ハンドル角度θに応じた項bGθθ、ハンドル角速度θ'に応じた項cGdθθ'、ヨーレートγに応じた項dGγγまたは横加速度y"に応じた項eGy"y"のうち、少なくとも1つを増加させる。
実施例1の車両用操舵装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
なお、実施例2の構成については、図1に示した実施例1と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
[操舵反力制御処理]
図12は、実施例2のコントロールユニット10で実行される操舵反力制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。
図13に、軸力異常確定から所定時間が経過するまでの各反映率を示す。図13に示すように、反映率は、基本的に、ラック軸力Fの異常確定後、サンプリング時間間隔(図12の1制御周期)でカウントが行われ、カウント値が上がるにつれて滑らかに遷移するものとし、所定時間で所望の操舵反力に切り替わる。
次に、ドライバがハンドル1を保舵している状態での操舵反力の遷移について、図14を用いて説明する。図14は、ドライバがハンドル1を保舵している状態で、ラック軸力Fの検知フェール(センサの最大値張り付き)が起こったときの、操舵反力指令の遷移を示すタイミングチャートである。
実施例2の車両用操舵装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)に加え、以下に列挙する効果が得られる。
なお、実施例3の構成については、図1に示した実施例1と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
[操舵反力制御処理]
図15は、実施例3のコントロールユニット10で実行される操舵反力制御処理の流れを示すフローチャートで、以下、各ステップについて説明する。なお、図12に示した実施例2と同一の処理を行うステップには、同一のステップ番号を付して説明を省略する。
図16は、ドライバがハンドル1を切り増ししている状態で、ラック軸力Fの検知フェールが起こったときの、操舵反力指令の遷移を示すタイミングチャートである。なお、フェールは実施例2と同様、センサの最大値張り付きとする。
実施例3の車両用操舵装置にあっては、実施例1の効果(1),(2)に加え、以下に列挙する効果が得られる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1〜3に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1〜3に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
2 ハンドル角度センサ
3 操舵反力モータ
4 操舵反力モータ角度センサ
5 転舵モータ
6 転舵モータ角度センサ
7 ピニオン角度センサ
8 タイロッド軸力センサ
9 メカニカルバックアップクラッチ
10 コントロールユニット
11,11 タイヤ
12 車両状態パラメータ
13 舵取り機構
Claims (3)
- ドライバの操舵入力を受ける操舵部と、操舵に応じて操向輪を転舵する転舵部とが機械的に切り離され、
路面から前記転舵部へ入力される路面反力値を検出する路面反力検出手段と、
前記検出される路面反力値に応じた操舵反力と、前記操舵部の操舵状態量に応じた操舵反力と、車両挙動状態量に応じた操舵反力と、をそれぞれ所定の反映率で加算した和を操舵反力として前記操舵部に付与する操舵反力付与手段と、
を有する車両用操舵装置において、
前記検出される路面反力値の異常を判定する路面反力値異常判定手段を備え、
前記操舵状態量は、ハンドル角度を含み、
前記操舵反力付与手段は、
前記検出される路面反力値が異常と判定されない場合、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率を、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率および前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率よりも大きくし、
前記検出される路面反力値が異常と判定された場合、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率を小さくし、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率と前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率とを大きくして、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率および前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率を、前記検出される路面反力値に応じた操舵反力の反映率よりも大きくするとともに、前記ハンドル角度に応じた操舵反力の反映率を前記車両挙動状態量に応じた操舵反力の反映率よりも小さな値とする
ことを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記路面反力値異常判定手段は、前記路面反力値の異常を所定時間継続して検出したとき、前記路面反力値の異常を確定し、
前記操舵反力付与手段は、前記路面反力値異常判定手段により前記路面反力値の異常が検出されたとき、異常と確定されるまでの間、異常検出前の前記操舵反力を維持することを特徴とする車両用操舵装置。 - 請求項1に記載の車両用操舵装置において、
前記路面反力値異常判定手段は、前記路面反力値の異常を所定時間継続して検出したとき、前記路面反力値の異常を確定し、
前記操舵反力付与手段は、前記路面反力値異常判定手段により前記路面反力値の異常が検出されたとき、異常と確定されるまでの間、異常検出前の操舵反力変化に応じて前記操舵反力を付与することを特徴とする車両用操舵装置。
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