JP6662187B2 - 運転支援方法及び運転支援装置 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載の車両用操舵制御装置は、車両が目標走行軌道から離れるほど、目標走行軌道から離れる方向へ付与される運転者の操舵操作に対する操舵反力を大きくする。
本発明は、目標走行軌道から離れるほど車両を目標走行軌道に戻す方向へステアリングホイールに付与する操舵反力を増加させる車両において、車両が目標走行軌道上を走行している間の運転者が意図しない操舵による操舵角の変動を抑制することを目的とする。
(構成)
図1を参照する。本実施形態に係る運転支援装置を搭載した車両は、操舵部1と、転舵部2と、バックアップクラッチ3と、SBWコントローラ4とを備える。車両は、運転者の操舵入力を受け付ける操舵部1と、転舵輪である左右前輪5FL、5FRを転舵する転舵部2とが機械的に切り離されたSBW式の転舵機構を備える。
ステアリングホイール1aは、運転者の操舵入力を受けて回転する。
コラムシャフト1bは、ステアリングホイール1aと一体に回転する。
操舵トルクセンサ1cは、ステアリングホイール1aからコラムシャフト1bに伝達する操舵トルクを検出する。この操舵トルクセンサ1cは、例えばトーションバーの捩れ角変位をポテンショメータで検出することで操舵トルクを検出する。操舵トルクセンサ1cは、検出した操舵トルクをSBWコントローラ4に出力する。
反力モータ駆動回路1eは、電流センサ1gが検出した反力モータ1dの電流値から推定される実際の操舵反力トルクと、SBWコントローラ4から出力される指令操舵反力トルクとを一致させるトルクフィードバックにより、反力モータ1dへ出力する指令電流を制御する。
操舵角センサ1fは、コラムシャフト1bの回転角、すなわち、ステアリングホイール1aの操舵角(ハンドル角度)を検出する。そして、操舵角センサ1fは、検出した操舵角をSBWコントローラ4に出力する。
ステアリングギア2bは、ピニオンシャフト2aの回転に応じて、左右前輪5FL、5FRを転舵する。ステアリングギア2bとして、例えば、ラック・アンド・ピニオン式のステアリングギア等を採用してよい。
転舵角センサ2eは、転舵モータ2cの回転角を検出し、検出した回転角に基づいて左右前輪5FL、5FRの転舵角を検出する。
転舵モータ駆動回路2dは、転舵角センサ2eにより検出される実際の転舵角とSBWコントローラ4からの指令転舵角とを一致させる角度フィードバックにより、転舵モータ2cへの指令電流を制御する。
さらに車両は、カメラ6と、車速センサ7を備える。
カメラ6は、車両前方の走行路の画像を検出する。カメラ6は、検出した画像をSBWコントローラ4に出力する。
車速センサ7は、車両の車速を検出する。車速センサ7は、検出した車速をSBWコントローラ4に出力する。
SBWコントローラ4は、コントローラエリアネットワーク(CAN:Controller Area Network)バスを介して、操舵角、操舵トルク、反力モータ1dの電流値、走行路の画像、車速を受信してもよい。
なお、画像処理部11、車両状態設定部12、制御状態設定部13、転舵制御部14、及び反力制御部15は、はそれぞれ独立した回路又は装置であってもよい。
また、道路白線が存在しない又は検出し難い場合には、道路白線の代わりに、路肩や縁石、側溝、ガードレール、防護柵、防音壁、擁壁、中央分離帯等を、走行路区分線として検出するようにしてもよい。
画像処理部11は、走行車線の左右の走行路区分線の検出結果を車両状態設定部12及び反力制御部15に出力する。以下、走行車線の左右の走行路区分線の検出結果を「白線情報」と表記することがある。
また、画像処理部11は、走行路区分線の検出可否の判定結果を制御状態設定部13へ出力する。
車両状態設定部12は、操舵トルク、反力モータ1dの電流値、車速、ウインカ作動信号、白線情報に基づき、転舵制御部14による転舵制御、反力制御部15による操舵反力制御、車線維持(レーンキープ(LK:Lane Keep))支援制御に用いる下記変数を算出する。
操舵反力制御では、操舵角又は転舵角に応じてステアリングホイール1aへ付与する操舵反力が制御される。
LK支援制御では、転舵制御部14が、運転者により操舵操作されるステアリングホイール1aの操舵角及び操舵角速度に加えて、車両の横位置及びヨー角に応じて転舵角を制御し、車両を目標走行軌道に戻す方向へ操向輪を転舵させる。目標走行軌道は、例えば車両が走行する走行車線の中央であってもよく、中央から所定距離だけ離れた軌道であってもよい。
以下の説明において、車両が所定の遅延時間だけ前方に走行した場合の移動距離を「予定走行距離」と表記することがある。また、車両が現在位置から所定の遅延時間だけ前方へ走行した場合、すなわち現在位置から予定走行距離だけ走行した場合に到達する予定位置を「予定到達位置」と表記することがある。また、予定到達位置との目標走行軌道との間の横方向距離を単に「横位置」と表記する。
車両が目標走行軌道上を走行しており運転者による操舵操作がない場合には、第1操舵反力が小さくなる。このため、例えば車両が路面の凹凸や小石などの上を走行する等により車体が揺れ、運転者の姿勢の変化により運転者が意図しない操舵がステアリングホイール1aに入力されると操舵角が変動しやすくなる可能性がある。
第2操舵反力を発生させることにより、運転者による操舵操作がなく第1操舵反力が小さい状態で運転者が意図しない操舵操作が行われても、この操舵操作を戻す方向に操舵反力が付与されるので操舵角の変動を抑制できる。
反力制御部15は、運転者による操舵操作がない期間が短い場合よりも操舵操作がない期間が長い場合の第2操舵反力が大きくなるように、第2操舵反力を増大させてもよい。
ゲイン算出部12aは、第1車速感応ゲイン、第2車速感応ゲイン、第3車速感応ゲイン、第4車速感応ゲイン、ウインカ作動に応じたゲイン、第1車速感応レートリミッタ及び第2車速感応レートリミッタを算出する。
第1車速感応ゲインは、LK支援制御において車両の横位置に応じて変化させる転舵角の変化量を、車速に応じて増減させるゲインである。
第3車速感応ゲインは、ステアリングホイール1aの操舵角速度に応じて変化させる転舵角の変化量を、車速に応じて増減させるゲインである。
第4車速感応ゲインは、LK支援制御において車両の横位置及び車線到達時間の少なくとも一方に応じてステアリングホイール1aに与える第1操舵反力を、車速に応じて増減させるゲインである。
ゲイン算出部12aは、予め定めた車速と第1〜4車速感応ゲインとの間の関係をそれぞれ定める車速感応ゲインマップに基づいて、第1〜4車速感応ゲインをそれぞれ算出する。例えば、車速感応ゲインマップは、車速がゼロから第1車速閾値の間でゲインが最大値となり、第1車速閾値から第2車速閾値まで車速が大きくなるほど減少し、車速が第2車速閾値で最小値(例えば0)となるマップであってよい。
ウインカ作動に応じたゲインは、例えばウインカが作動を開始してから一定時間(例えば3秒)経過後に0になる。
ゲイン算出部12aは、第1〜3車速感応ゲイン、ウインカ作動に応じたゲイン、及び第1車速感応レートリミッタを転舵制御部14へ出力する。
ゲイン算出部12aは、第4車速感応ゲイン、ウインカ作動に応じたゲイン、及び第2車速感応レートリミッタを反力制御部15へ出力する。
横位置演算部12cは、車両の横位置を演算する。横位置演算部12cは、所定の遅延時間に車速を乗じて予定走行距離を算出する。横位置演算部12cは、予定走行距離にヨー角を乗じて、目標走行軌道からの距離に加算することにより横位置を算出する。横位置演算部12cは、演算した横位置を転舵制御部14及び反力制御部15へ出力する。
操舵意図判定部12eは、操舵トルクセンサ1cが検出した操舵トルクに応じて運転者の操舵意図の有無を判定する。例えば操舵意図判定部12eは、操舵トルクが閾値以上である場合に操舵意図があると判定し、操舵トルクが閾値未満である場合に操舵意図がないと判定する。操舵意図判定部12eは、操舵意図の判定結果を制御状態設定部13に出力する。
例えば、操舵操作判定部12fは、CANバスを経由して、電流センサ1gが検出した反力モータ1dの電流値を受信し、受信した電流値に基づき反力モータ1dが発生させる操舵トルクの方向を判断してよい。
操舵操作判定部12fは、反力モータ1dが発生させる操舵トルクの方向とステアリングホイール1aの操舵角の方向とが同じである場合に、運転者による操舵操作が有ると判定してよい。操舵操作判定部12fは、反力モータ1dによる操舵トルクの方向との操舵角の方向とが同じでない場合に、運転者による操舵操作が無いと判定してよい。
操舵操作判定部12fは、運転者による操舵操作の判定結果を操舵感応ゲイン設定部12gに出力する。
また、所定低減幅Δ1と所定増加幅Δ2は同じであっても異なっていてもよい。所定低減幅Δ1は所定増加幅Δ2よりも大きくてもよい。運転者による操舵操作が有る場合における操舵感応ゲインの減少速度、すなわち単位時間当たりの低減量は、運転者による操舵操作が無い場合における操舵感応ゲインの増加速度、すなわち単位時間当たりの増加量よりも大きくてよい。例えば、所定低減幅Δ1と所定増加幅Δ2はそれぞれ「5」及び「2」であってよい。
また、所定増加幅Δ2を所定低減幅Δ1より小さくすることによって、運転者による操舵操作が短期間なくても第2操舵反力が大きくならず、第2操舵反力による操舵フィーリングの低下を防止できる。
操舵感応ゲイン設定部12gは、操舵感応ゲインを反力制御部15へ出力する。
(A1)レーンキープスイッチがオンである。
(A2)走行車線の左右の走行路区分線が検出されている。
(A3)車速が閾値以上である。
(A4)ウインカが作動していない。
(A5)SBWシステムの異常が検知されていない。
(A6)道路曲率が閾値よりも小さい。
(A7)横加速度が閾値より小さい。
(A8)VDC及びABSのいずれも動作していない。
(A9)ブレーキランプが点灯していない。
(A10)運転者の操舵意図がある。
制御状態設定部13は、LK支援制御フラグを転舵制御部14及び反力制御部15へ出力する。
LK支援制御フラグがオフである場合、転舵制御部14は、操舵角と操舵角速度に基づき算出した基本指令転舵角を指令転舵角として転舵モータ駆動回路2dへ出力する。すなわち、転舵制御部14は、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作に応じて操向輪である左右前輪5FL、5FRを転舵する。
すなわち、転舵制御部14は、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作に応じて左右前輪5FL、5FRを転舵するとともに、車両を目標走行軌道に戻す方向へ左右前輪5FL、5FRを転舵する。転舵制御部14の詳細は後述する。
LK支援制御フラグがオフである場合、反力制御部15は、操舵角又は転舵角に応じてラック軸力を演算し、ラック軸力に基づいて演算した目標反力トルクを指令操舵反力トルクとして反力モータ駆動回路1eに出力する。
LK支援制御フラグがオンである場合、反力制御部15は、操舵角又は転舵角に応じて演算したラック軸力を、車速と道路曲率とに応じてオフセットすることにより、道路曲率に応じて操舵角を保持するための反力を発生させる。反力制御部15は、オフセット後のラック軸力に基づき目標反力トルクを演算する。
反力制御部15は、補正後の目標反力トルクを指令操舵反力トルクとして反力モータ駆動回路1eに出力する。反力制御部15の詳細は後述する。
ゲイン乗算部20は、操舵角センサ1fが検出した操舵角にゲインを乗じて加算器25へ出力する。
操舵角速度演算部21は、操舵角センサ1fが検出した操舵角に基づきステアリングホイール1aの操舵角速度を演算し、微分ステアゲイン乗算部22へ出力する。微分ステアゲイン乗算部22は、操舵角速度に微分ステアゲインを乗じて乗算器24へ出力する。乗算器24は、微分ステアゲイン乗算部22の演算結果に第3車速感応ゲインを乗じて加算器25へ出力する。
LK支援制御フラグがオンである場合、加算器25は、ゲイン乗算部20の演算結果、乗算器24の演算結果及びLK指令転舵角を加えて指令転舵角を算出し、転舵モータ駆動回路2dへ出力する。
第1反発力演算部40は、車両の横位置、第1車速感応ゲイン、ウインカ作動に応じたゲインを受信する。第1反発力演算部40は、受信したこれら情報に基づいて横位置フィードバック制御を行う。
図5を参照する。第1反発力演算部40は、ゲイン乗算部40aと乗算器40bを備える。ゲイン乗算部40aは、車両の横位置に基本ゲインを乗じて演算結果を乗算器40bへ出力する。
乗算器40bは、ゲイン乗算部40aの演算結果と、第1車速感応ゲインと、ウインカ作動に応じたゲインを乗じて、横位置に応じた反発力を演算する。
乗算器41bは、ゲイン乗算部41aの演算結果と、第2車速感応ゲインと、ウインカ作動に応じたゲインを乗じて、ヨー角に応じた反発力を演算する。
目標ヨーモーメント演算部43は、加算器42が出力した横方向反発力に基づいて、目標ヨーモーメントを算出する。具体的には、目標ヨーモーメント演算部43は、横方向反発力、ホイールベースWHEELBASE、後輪軸重、及び前輪軸重に基づき、下記の式(1)式に従って目標ヨーモーメントM*を算出する。そして、目標ヨーモーメント演算部43は、算出結果を目標ヨー加速度演算部44に出力する。
M*=横方向反発力×(後輪軸重/(前輪軸重+後輪軸重))×WHEELBASE ……(1)
目標ヨーレート演算部45は、目標ヨー加速度演算部44が出力した目標ヨー加速度に基づいて、ヨー角の変化速度である目標ヨーレートを算出する。具体的には、目標ヨーレート演算部45は、目標ヨー加速度に所定の遅延時間を乗算する。そして、目標ヨーレート演算部45は、乗算結果を目標ヨーレートとして指令転舵角演算部46に出力する。
δst*=(φ*×WHEELBASE×(1+(V/Vch)2)×180)/(V×MPI) ……(2)
なお、MPIは、予め定めた係数である。
ラック軸力演算部60は、操舵角と車速に基づき、操舵角−軸力変換マップ(MAP)を参照してラック軸力を推定する。すなわち、ラック軸力演算部60は、操舵角及び車速と、操舵角−軸力変換マップとに基づいてラック軸力を推定する。
例えば、操舵角−軸力変換マップは、予め実験等で算出したコンベンショナルな操舵装置における車速毎の操舵角とラック軸力との関係を表すマップである。ラック軸力演算部60は、演算結果を減算器62に出力する。
軸力オフセット量は、道路曲率に応じて操舵角を保持するための操舵反力が発生するように、ラック軸力演算部60により演算されたラック軸力をオフセットするためのオフセット量である。ラック軸力をオフセットすることにより、ステアリングホイール1aの操舵角と、この操舵角に応じてステアリングホイール1aに付与すべき操舵反力との関係を示す操舵反力特性曲線がオフセットされる。
オフセット量演算部61は、道路が曲がる方向へ転舵する転舵角の方向と同じ方向へ操舵反力特性曲線をオフセットし、道路白線の曲率が大きいほど軸力オフセット量の絶対値を大きくする。
上下限リミッタ61aは、車速センサ7が出力した車速に上下限リミッタ処理を行う。上下限リミッタ処理では、例えば、車速が0〜V(>0)の範囲で車速が大きくなるほど増大し、車速がV以上の範囲で最大値とする。そして、上下限リミッタ61aは、上下限リミッタ処理後の車速をSATゲイン演算部61bに出力する。
曲率演算部61cは、画像処理部11が出力した白線情報に基づいて、予定到達位置での道路白線の曲率(所定の遅延時間(0.5秒)経過後の車両の位置の道路白線の曲率)を算出する。そして、曲率演算部61cは、算出結果を乗算器61dに出力する。
リミッタ処理部61eは、乗算器61dが出力した軸力オフセット量の最大値及び変化率の上限を制限する。軸力オフセット量の最大値は、1000Nとする。また、軸力オフセット量の変化率の上限は、600N/sとする。そして、リミッタ処理部61eは、制限後の軸力オフセット量を減算器62に出力する。
目標反力トルク演算部63は、減算器62が出力した算出結果に基づき、軸力−操舵反力変換マップを参照して、オフセット後のラック軸力によって発生する操舵反力トルクを算出する。すなわち、目標反力トルク演算部63は、オフセット後のラック軸力と、軸力−操舵反力変換マップとに基づいて、オフセット後のラック軸力によって発生する操舵反力トルクを算出する。
目標反力トルク演算部63は、操舵反力トルクを加算器65に出力する。
反力トルク補正値は、車両を目標走行軌道に戻す方向へ付与する第1操舵反力と、運転者による操舵操作がなくなったときその後の運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作を戻す方向に付与する第2操舵反力と、を発生させる補正値である。
第1反力演算部64aは、横位置演算部12cが出力した横位置に基づいて横位置−反力マップ64iを参照して、横位置に応じた反力N_THWを演算する。すなわち第1反力演算部64aは、横位置演算部12cが出力した横位置と横位置−反力マップ64iに基づいて横位置に応じた反力N_THWを演算する。
図示のとおり、横位置に応じた反力N_THWの符号は、横位置Δxの符号がプラスであるときにプラスになり、横位置Δxの符号がマイナスであるときにマイナスになる。
また、予定到達位置と目標走行軌道との差である横位置Δxの絶対値が小さい場合よりも大きい場合の横位置に応じた反力N_THWの絶対値がより大きい。
したがって、横位置に応じた反力N_THWは、目標走行軌道からの車両の逸脱量が増加するほど増加するとともに、車両を目標走行軌道に戻す方向へ付与される第1操舵反力の一例である。
図9を参照する。第1反力演算部64aは、横位置に応じた反力N_THWを選択部64cに出力する。
図11に、車線到達時間−反力マップ64jの一例を示す。ここでは、車両が目標走行軌道の右側に逸脱しているときプラスとなり、左側に逸脱しているときにマイナスとなるように車線到達時間TLCの符号が定められている。また、左に転舵する方向に(すなわち反時計回り方向に)加える反力の符号がプラスに定められ、右に転舵する方向に(すなわち時計回り方向に)加える反力の符号がマイナスに定められている。
図示のとおり、横位置に応じた車線到達時間に応じた反力N_TLCは、車線到達時間TLCの符号がプラスであるときにプラスになり、車線到達時間TLCの符号がマイナスであるときにマイナスになる。
また、車線到達時間TLCの絶対値が小さいときは大きいときよりも車線到達時間TLCの変化量に対する車線到達時間に応じた反力N_TLCの変化量を大きくする。
したがって、車線到達時間に応じた反力N_TLCは、目標走行軌道からの車両の逸脱量が増加するほど増加するとともに、車両を目標走行軌道に戻す方向へ付与される第1操舵反力の一例である。
図9を参照する。第2反力演算部64bは、車線到達時間に応じた反力N_TLCを選択部64cに出力する。
乗算器64dは、第1反力指令値に、第4車速感応ゲインとウインカ作動に応じたゲインを乗じて第1反力トルク指令値を演算し、リミッタ処理部64eへ出力する。
リミッタ処理部64eは、第1反力トルク指令値の変化速度の上限を第2車速感応レートリミッタにより制限する。またリミッタ処理部64eは、第1反力トルク指令値の最大値を制限する。リミッタ処理部64eは、制限後の第1反力トルク指令値を加算器64gへ出力する。
上述のとおり、操舵感応ゲインは、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作が無い場合に漸増する。
第2反力トルク指令値は、操舵トルクに操舵感応ゲインを乗じて生成している。このため、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作が無いと判断されて操舵感応ゲインが増加し、その後にステアリングホイール1aに加わる操舵トルクが検出されたときに第2操舵反力が発生する。
乗算器64fは、第2反力トルク指令値を加算器64gへ出力する。
図7を参照する。加算器65は、目標反力トルク演算部63が演算した操舵反力トルクに、反力トルク補正値演算部64が演算した反力トルク補正値を加えて指令操舵反力トルクを算出し、反力モータ駆動回路1eへ出力する。
次に、本実施形態に係る運転支援装置の動作を説明する。図12を参照する。
ステップS1においてSBWコントローラ4は、CANバスを経由して、操舵角センサ1f、操舵トルクセンサ1c、電流センサ1g、カメラ6、車速センサ7からそれぞれ出力された操舵角、操舵トルク、反力モータ1dの電流値、車両前方の走行路の画像、車速を受信する。
ステップS2において車両状態設定部12は、SBWコントローラ4が有する記憶装置から、各種ゲイン定数やゲインを決定するためのマップを読み込む。
また、車両状態設定部12は、第1車速感応ゲイン、第2車速感応ゲイン、第3車速感応ゲイン、第4車速感応ゲイン、ウインカ作動に応じたゲイン、第1車速感応レートリミッタ及び第2車速感応レートリミッタを算出する。
ステップS4において制御状態設定部13は、上記のLK支援制御許可条件(A1)〜(A10)が全て満たされる場合にLK支援制御フラグをオンに設定する。制御状態設定部13は、LK支援制御許可条件(A1)〜(A10)のいずれかが満たされない場合にLK支援制御フラグをオフに設定する。
また、LK支援制御フラグがオンである場合、操舵操作判定部12fは、運転者による操舵操作が有るか否かを判定する。操舵感応ゲイン設定部12gは、操舵操作判定部12fの判定結果に応じて操舵感応ゲインを設定する。反力トルク補正値演算部64は、操舵トルクセンサ1cから出力される操舵トルクに、操舵感応ゲインを乗じることにより第2反力トルク指令値を算出する。反力トルク補正値演算部64は、リミッタ処理部64eにより制限された第1反力トルク指令値に第2反力トルク指令値を加算して反力トルク補正値を算出する。
LK支援制御フラグがオフである場合、反力トルク補正値演算部64は、反力トルク補正値を演算しない。
ステップS8において反力制御部15は、コラムシャフト1bに付与する操舵反力トルクを制御する指令操舵反力トルクを算出する。LK支援制御フラグがオフである場合、反力制御部15は、操舵角又は転舵角に応じてラック軸力を演算し、ラック軸力に基づいて演算した目標反力トルクを指令操舵反力トルクとして演算する。
ステップS9において転舵制御部14は、指令転舵角を転舵モータ駆動回路2dへ出力して転舵制御を行う。また、反力制御部15は、指令操舵反力トルクを反力モータ駆動回路1eに出力して反力制御を行う。その後に処理は終了する。
ステップS20において操舵操作判定部12fは、反力モータ1dが発生させる操舵トルクの方向とステアリングホイール1aの操舵角の方向とが同じであるか否かを判断する。操舵トルクの方向と操舵角の方向が同じである場合(ステップS20:Y)に処理はステップS21へ進む。操舵トルクの方向と操舵角の方向が同じでない場合(ステップS20:N)に、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作がないと判断して、処理はステップS23へ進む。
ステップS22において操舵感応ゲイン設定部12gは、操舵感応ゲインを所定低減幅Δ1ずつ低減する。その後に処理は終了する。
ステップS23において操舵感応ゲイン設定部12gは、操舵感応ゲインを所定増加幅Δ2ずつ増加させる。その後に処理は終了する。
(1)機械的に切り離された操向輪とステアリングホイール1aとを有する車両において、転舵制御部14は、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作に応じて操向輪を転舵する。横位置演算部12c及び車線到達時間演算部12dは、車両が目標走行軌道から外れる逸脱量を検出する。第1反力演算部64a、第2反力演算部64b、選択部64c、乗算器64d、リミッタ処理部64e及び加算器64gは、目標走行軌道からの車両の逸脱量が増加するほど、車両を目標走行軌道に戻す方向へステアリングホイールに付与する第1操舵反力を増加させる。操舵操作判定部12fは、運転者によるステアリングホイールの操舵操作の有無を判断する。操舵感応ゲイン設定部12g、乗算器64f及び加算器64gは、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作が無いと判断した場合、その後の運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作を戻す方向へステアリングホイール1aに付与する第2操舵反力を増大させる。
このように第2操舵反力が付与されることにより、運転者による操舵操作がなく第1操舵反力が小さい状態で運転者が意図しない操舵操作が行われても、この操舵操作を戻す方向に操舵反力が付与されるので操舵角の変動を抑制できる。
このとき、車両が目標走行軌道上を走行していると、車両を目標走行軌道に戻す方向へステアリングホイール1aに付与する第1操舵反力が小さいので、運転者が意図しない操舵によるステアリングホイール1aの操舵角が変動しやすくなり、直進性が低下する虞がある。
このため、運転者による操舵操作がないと判断された場合には、その後に行われる操舵操作は運転者が意図していない操作であることがあると想定して、この操舵操作に対してはステアリングホイール1aに発生させる第2操舵反力を増加する。これにより、運転者が意図しない操舵操作によるステアリングホイール1aの操舵角の変動を抑制できる。
このように、操舵トルクに応じて第2反力トルク指令値を発生させることにより、この操舵トルクによるステアリングホイール1aの実際の操舵量が大きくなる前に第2反力トルク指令値を付与することができる。これにより、運転者が意図しない操舵操作による操舵角の変動を早期に抑制できる。
また、操向輪とステアリングホイールが機械的に切り離されているために、操向輪から入力された力がコラムシャフト1bやステアリングホイール1aに伝わず、運転者からステアリングホイール1aに伝わる操舵トルクを正確に検出できる。このため、操向輪から入力された力により第2反力トルク指令値が誤って発生するのを防止できる。
これにより、運転者の意図しない突発的な操舵操作があった瞬間には第2操舵反力を発生させる一方で、運転者が意図して連続する操舵操作を行えば第2操舵反力を低減させることができる。これにより、第2操舵反力による操舵フィーリングの低下を防止できる。
操舵トルクに応じて第2反力トルク指令値を発生させることにより、この操舵トルクによるステアリングホイール1aの実際の操舵量が大きくなる前に第2反力トルク指令値を付与することができる。これにより、運転者が意図しない操舵操作による操舵角の変動を早期に抑制できる。
また、操向輪とステアリングホイールが機械的に切り離されているために、操向輪から入力された力がコラムシャフト1bやステアリングホイール1aに伝わず、運転者からステアリングホイール1aに伝わる操舵トルクを正確に検出できる。このため、操向輪から入力された力により第2反力トルク指令値が誤って発生するのを防止できる。
操向輪とステアリングホイールが機械的に切り離されているために、操向輪から入力された力がコラムシャフト1bやステアリングホイール1aに伝わらない。このため、反力モータ1dにより加えられる操舵トルクの方向を用いて判断することにより、運転者によるステアリングホイール1aの操舵操作の有無を正確に判断できる。
(1)反力トルク補正値演算部64は、操舵トルクの代わりに、ステアリングホイール1aに生じる操舵角速度に操舵感応ゲインを乗じて第2操舵反力に対応する第2反力トルク指令値を決定してもよい。操舵角速度に応じて第2反力トルク指令値を発生させることにより、ステアリングホイール1aの実際の操舵量が大きくなる前に第2反力トルク指令値を付与することができる。これにより、運転者が意図しない操舵操作による操舵角の変動を早期に抑制できる。
また、操向輪とステアリングホイールが機械的に切り離されているために、操向輪から入力された力がコラムシャフト1bやステアリングホイール1aに伝わず、運転者の操舵操作により生じたステアリングホイール1aの角速度を正確に検出できる。このため、操向輪から入力された力により第2反力トルク指令値が誤って発生するのを防止できる。
Claims (8)
- ステアバイワイヤ式の転舵機構を備える車両の運転支援方法であって、
ステアリングホイールの操舵操作に応じて操向輪を転舵し、
前記車両が目標走行軌道から外れる逸脱量を検出し、
前記逸脱量が増加するほど、前記車両を前記目標走行軌道に戻す方向へ前記ステアリングホイールに付与する第1操舵反力を増加させ、
前記ステアリングホイールの操舵操作の有無を判断し、
前記ステアリングホイールの操舵操作が無いと判断した場合、前記ステアリングホイールへのその後の操舵操作に対して発生させる第2操舵反力を増加させる、
ことを特徴とする運転支援方法。 - 前記ステアリングホイールの操舵操作が無い期間が短い場合よりも、前記ステアリングホイールの操舵操作が無い期間が長い場合の前記第2操舵反力をより大きくすることを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
- 前記ステアリングホイールに加わる操舵トルク及び前記ステアリングホイールに生じる操舵角速度のいずれか一方に可変ゲインを乗じて前記第2操舵反力を決定し、
前記ステアリングホイールの操舵操作が無い期間が短い場合より、前記ステアリングホイールの操舵操作が無い期間が長い場合の前記可変ゲインをより大きくする、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。 - 前記ステアリングホイールの操舵操作が無いと判断し且つ前記第2操舵反力を増加させた後、前記ステアリングホイールの操舵操作が有る期間が短い場合よりも、前記ステアリングホイールの操舵操作が有る期間が長い場合の前記第2操舵反力をより小さくする、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の運転支援方法。
- 前記ステアリングホイールに加わる操舵トルク及び前記ステアリングホイールに生じる操舵角速度のいずれか一方に可変ゲインを乗じて前記第2操舵反力を決定し、
前記ステアリングホイールの操舵操作が有る期間が短い場合よりも、前記ステアリングホイールの操舵操作が有る期間が長い場合の前記可変ゲインをより小さくする、
ことを特徴とする請求項4に記載の運転支援方法。 - 前記ステアリングホイールの操舵操作が無いと判断した後に、前記ステアリングホイールに加わる操舵トルク及び前記ステアリングホイールに生じる操舵角速度のいずれか一方を検出した場合に、前記第2操舵反力を付与することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の運転支援方法。
- 前記ステアリングホイールに付与する操舵反力を発生させる反力モータが生じる操舵トルクの方向と前記ステアリングホイールの操舵角の方向とが同じ場合に、前記ステアリングホイールの操舵操作が有ると判断することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の運転支援方法。
- ステアバイワイヤ式の転舵機構を備える車両の運転支援装置であって、
ステアリングホイールに対する操舵操作の有無を検出する操舵センサと、
前記車両が目標走行軌道から外れる逸脱量を検出する走行状態センサと、
ステアリングホイールの操舵操作に応じて操向輪を転舵し、前記逸脱量が増加するほど、前記車両を前記目標走行軌道に戻す方向へ前記ステアリングホイールに付与する第1操舵反力を増加させ、前記ステアリングホイールの操舵操作の有無を判断し、前記ステアリングホイールの操舵操作が無いと判断した場合、前記ステアリングホイールへのその後の操舵操作に対して発生させる第2操舵反力を増加させる、コントローラと、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
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