JP5321177B2 - 車両用操舵装置及び車両用操舵方法 - Google Patents

車両用操舵装置及び車両用操舵方法 Download PDF

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本発明は、車両の片流れを抑制する片流れ抑制制御を行う車両用操舵装置の技術分野に属する。
従来の車両用操舵装置は、横風や路面カント、悪路走行といった入力を動的外乱として推定し、推定した外乱分を補償するように操舵補助力を制御している(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−1923号公報
ところで、車両の片流れには、車両起因の定常的な外乱によるものと、横風などの外乱によるものとがある。しかしながら、この車両用操舵装置にあっては、動的外乱分を補償することは可能であるが、車両起因の定常的な外乱に対しては考慮されていない。
そこで、実際に車両に発生しているヨーレートを検出し、検出したヨーレートをもとに車両が直進走行状態であるか否かを判定し、車両が直進走行状態と判定されている時の操舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の操舵トルクを打ち消す方向へ片流れ抑制操舵補助力を付与することにより、車両起因の定常的な外乱を補償する方法が考えられる。しかしながら、この場合、ヨーレートを検出するためのヨーレートセンサを別途設ける必要があるため、コストが嵩む。
そこで、本発明は、ヨーレートセンサを設けることなく車両の片流れの抑制を精度良く行うことができる車両用操舵装置及び車両用操舵方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、本発明に係る車両用操舵装置は、各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定する。推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する。そして、車両が直進走行状態であると判定したときに転舵部に発生している転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行う。
このとき、車輪速度の履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差として、左右の車輪速度検出値の差異を推定し、推定した左右の車輪速度検出値の差異をなくす方向に車輪速度を補正する。そして、補正した後の左右の車輪速度の差に基づいて車両のヨーレートを算出し、算出したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとする。
また、左右の車輪速度の差に基づいて車両のヨーレートを算出し、算出したヨーレートの履歴の平均値を、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差としてのヨーレート算出値の誤差として推定してもよい。そして、推定したヨーレート算出値の誤差を補正し、補正したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとしてもよい。
本発明によれば、車輪速度に基づいて車両のヨーレートを推定するので、ヨーレートセンサ等を別途設ける必要がない。また、ヨーレートの推定に際し、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正するので、車両の直進判定を適正に行うことができる。したがって、簡易な構成で片流れ抑制の精度を向上することができる。
第1の実施形態における車両用操舵装置の概略構成図である。 第1の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 電流指令値算出マップである。 第1の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。 本実施形態の動作を説明するための図である。 第2の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。 第3の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。 第4の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。 駆動トルク推定マップである。 トルク増減分算出マップである。 トルク増減分算出処理手順を示すフローチャートである。 第5の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。 第6の実施形態におけるコントローラの構成を示すブロック図である。 第6の実施形態における片流れ抑制制御部で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
《第1の実施の形態》
《構成》
図1は、本発明の第1の実施形態における車両用操舵装置の構成を示す図である。
この車両用操舵装置は、運転者が操作するステアリングホイール1と、ステアリングホイール1の操作量に応じて前輪(操向輪)2を転舵する舵取り機構3とを備える。
ステアリングシャフト(ステアリングコラム)4は、ステアリングホイール1と一体結合している。ステアリングシャフト4上には、トルクセンサ5と減速器6とを設ける。また、減速器6を介してモータ7を接続する。モータ電流センサ15は、モータ7に供給している実際の電流(モータ電流)を検出する。
ステアリングシャフト4の先端には、ラック・アンド・ピニオン機構のピニオン8を連結する。ピニオン8に噛合して車幅方向に往復運動し得るラック9の両端には、タイロッド10を介して左右の前輪2のナックルアームをそれぞれ連結する。
また、車輪速センサ16FL〜16RRは、各車輪の車輪回転数を検出し、検出した車輪回転数とROM等に格納したタイヤ動半径の設計値とから各車輪速を検出する。ここで、車輪速[m/s]=車輪回転数[rpm]/60×タイヤ動半径の設計値[m]である。
コントローラ11は、トルクセンサ5及び車速センサ13からの情報を入力する。そして、これらの情報に基づいて、運転者の操舵力を補助する操舵補助力を生成する。さらに、当該操舵補助力に応じた指令値によりモータ7を駆動する。このようにして、操舵補助制御を実施する。
さらにコントローラ11は、モータ電流センサ15及び車輪速センサ16FL〜16RRからの情報を入力する。そして、これらの情報に基づいて、車両が直進しているときの転舵トルク(ピニオン軸回りトルク)をメモリ(不図示)に保存し、メモリの履歴の平均値を算出する。そして、算出した値を片流れ抑制に必要なトルクとして操舵補助力の指令値に加える片流れ抑制制御を実施する。
本実施形態では、各輪の車輪速度に基づいて車両に発生しているヨーレートを推定する。そして、推定したヨーレートに基づいて車両の直進走行状態を判定する。
ところで、実際のタイヤ動半径(車輪動半径)は、タイヤの空気圧や摩耗状態によって変化する。左右のタイヤ動半径が異なる場合、実際に左右の車輪に発生している速度が異なる場合でも、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した左右輪の車輪速(車輪回転数×タイヤ動半径の設計値)が等しくなる場面が生じる。
そこで、本実施形態では、各車輪のタイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異を算出し、その差異分、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した各車輪速度を補正する。そして、補正した車輪速度に基づいて車両に発生しているヨーレートを算出する。
(コントローラの構成)
図2は、コントローラ11の構成を示すブロック図である。
コントローラ11は、通常の操舵補助制御を行う操舵補助制御部21と、車両の片流れ抑制制御を行う片流れ抑制制御部22と、電流指令値補正部23と、を備える。
操舵補助制御部21は、操舵トルクTおよび車速Vに基づいて、図3に示す電流指令値算出マップを参照し、モータ電流指令値Iaを算出する。算出したモータ電流指令値Iaは、電流指令値補正部23に出力する。
片流れ抑制制御部22は、操舵トルクT、モータ電流Im及び車輪速Vi(i=FL〜RR)に基づいて、片流れ抑制用のモータ電流指令値Ibを算出する。算出した電流指令値Ibは、電流指令値補正部23に出力する。なお、モータ電流指令値Ibの算出方法については後述する。
電流指令値補正部23は、操舵補助制御部21で算出したモータ電流指令値Iaと、片流れ抑制制御部22で算出したモータ電流指令値Ibとを加算し、最終的な電流指令値Iを算出する。算出したモータ電流指令値Iはモータ7へ出力する。
次に、片流れ抑制制御部22の構成について、具体的に説明する。
片流れ抑制制御部22は、ピニオントルク推定部221と、片流れ抑制トルク算出部222と、片流れ抑制電流指令値算出部223と、車輪速履歴記憶部224と、動半径差異算出部225と、車輪速補正部226と、ヨーレート算出部227と、直進判定部228と、を備える。
ピニオントルク推定部221は、操舵トルクT及びモータ電流Imを入力し、これらに基づいて次式をもとにピニオントルクTpを推定する。
Tp=T+KM×Im ………(1)
ここで、KMはモータ電流Imを操舵補助トルクに換算するための係数である。
なお、温度依存や速度依存特性等が強い場合には、マップを用いてピニオントルクTpを推定する。
片流れ抑制トルク算出部222は、ピニオントルク推定部221で推定したピニオントルクTpと、後述する直進判定部228の判定結果である直進判定フラグFLGとを入力する。そして、直進判定フラグFLGが、車両が直進走行状態であることを示す“1”であるときのピニオントルクTpを、片流れを抑制するためのトルク(片流れ抑制操舵補助トルク)Tbとして出力する。
片流れ抑制電流指令値算出部223は、片流れ抑制トルク算出部222で出力した片流れ抑制トルクTbを操舵部に付加するためのモータ電流指令値Ibを算出する。算出したモータ電流指令値Ibは、電流指令値補正部23に出力する。
車輪速履歴記憶部224は、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した各車輪速VFL〜VRRの履歴を記憶する。
動半径差異算出部225は、車輪速履歴記憶部224で記憶した車輪速の履歴を統計処理し、タイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異(以下、単に「動半径の差異」という)を推定する。
車輪速補正部226は、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した各車輪速VFL〜VRRを、動半径差異算出部225で推定した動半径の差異に基づいて補正し、出力する。
ヨーレート算出部227は、車輪速補正部226で補正した車輪速VFL〜VRRに基づいて、車両に発生するヨーレートφを算出する。
直進判定部228は、ヨーレート算出部227で算出したヨーレートφに基づいて、車両が直進走行しているか否かを判定する。そして、直進走行していると判定したときには直進判定フラグFLG=1を出力し、直進走行していないと判定したときには直進判定フラグFLG=0を出力する。
(片流れ抑制制御処理手順)
次に、片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図4は、片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、走行中(車速センサ13が車速≠0を検出したとき)、所定の制御周期で繰り返し実行する。
先ずステップS1では、片流れ抑制制御部22は、各種センサからの信号を読み込む。具体的には、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した車輪速Vi、トルクセンサ5で検出した操舵トルクT、及びモータ電流センサ15で検出したモータ電流Imを取得する。
次にステップS2では、片流れ抑制制御部22は、車輪速Viを履歴として記録しステップS3に移行する。
ステップS3では、片流れ抑制制御部22は、車輪速Viの履歴を十分取得したか否かを判定する。ここでは、履歴を所定期間(例えば、30分間)取得したとき、車輪速Viの履歴を十分取得したと判定し、ステップS4に移行する。一方、車輪速Viの履歴を十分取得していないと判定したときには、後述するステップS6に移行する。なお、上記所定期間は、動半径の差異の算出精度が信頼できる程度に十分長い期間に設定する。
ステップS4では、片流れ抑制制御部22は、車輪速Viの履歴を統計処理して、動半径の差異を算出する。
まず、左側の前後輪と右側の前後輪とで、車輪速の履歴の平均値をそれぞれ算出する。このとき、異常値を取り除くために、最大のn個のデータと最小のn個のデータとを除いて平均してもよい。次に、統計処理で算出した右側の車輪速VFR,VRRの平均値と、左側の車輪速VFL,VRLの平均値との差(=右側車輪速の平均値−左側車輪速の平均値)を算出する。そして、算出した値をタイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異(動半径の差異)とする。
なお、ここでは車輪速の平均値の差を求める場合について説明したが、右側車輪速の平均値と左側車輪速の平均値との比(=右側車輪速の平均値/左側車輪速の平均値)を、タイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異(動半径の差異)とすることもできる。
次に、ステップS5では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS4で算出した動半径の差異を用いて、前記ステップS1で取得した車輪速VFL〜VRRをそれぞれ補正する。このとき、算出した動半径の差異分を、右側の車輪速VFR,VRRから常に差し引く補正を行う。もしくは、算出した動半径の差異分を、左側の車輪速VFL,VRLに常に加算する補正を行う。
なお、右側車輪速の平均値と左側車輪速の平均値との比を用いて動半径の差異を算出する場合には、右側の車輪速VFR,VRRを、算出した動半径の差異で常に割る補正を行う。もしくは、左側の車輪速VFL,VRLに、算出した動半径の差異を常に乗じる補正を行う。
次に、ステップS6では、片流れ抑制制御部22は、車輪速Viに基づいて、車両に発生するヨーレートφを算出する。ヨーレートφは次式を用いて算出する。
φ=(右側の車輪速の平均値−左側の車輪速の平均値)/トレッド ………(2)
このとき、前記ステップS5で車輪速Viの補正を行っている場合には、補正後の車輪速Viを用いてヨーレートφを算出する。一方、車輪速Viの履歴を十分取得しておらず、車輪速Viを補正していない場合には、前記ステップS1で取得した車輪速Viを用いてヨーレートφを算出する。
次にステップS7に移行して、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS6で算出したヨーレートφの絶対値|φ|が、ヨーレート閾値φth未満であるか否かを判定する。そして、|φ|<φthであるときにはステップS8に移行し、|φ|≧φthであるときには後述するステップS11に移行する。ここで、ヨーレート閾値φthは、車両が直進状態にあると判断できる程度の値に設定する。
ステップS8では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS1で取得した操舵トルクT及びモータ電流Imに基づいて、前記(1)式をもとにピニオントルクTpを推定し、ステップS9に移行する。
ステップS9では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS8で推定したピニオントルクTpを履歴に記録し、ステップS10に移行する。
ステップS10では、片流れ抑制制御部22は、ピニオントルクTpの履歴を統計処理して、片流れを抑制するための片流れ抑制トルクTbを算出する。ここでは、ピニオントルクTpの履歴を平均し、その結果を片流れ抑制トルクTbとする。このとき、異常値を取り除くために、最大のn個のデータと最小のn個のデータとを除いて平均してもよい。
次に、ステップS11で、片流れ抑制制御部22は、片流れ抑制トルクTbを操舵部に付加するためのモータ電流指令値Ibを算出する。このとき、車両が直進走行している場合には(ステップS7でYes)、前記ステップS10で算出した片流れ抑制トルクTbをもとにモータ電流指令値Ibを算出し、出力する。一方、車両が直進走行していない場合には(ステップS7でNo)、前回の制御周期で算出したモータ電流指令値Ibをそのまま出力する。
このように、左右車輪速の履歴の平均値に基づいて、左右のタイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異を算出し、算出した車輪速検出値の差異を補正する。そして、補正後の車輪速に基づいて算出したヨーレートφに基づいて車両の直進状態を判定し、片流れ抑制制御を実施する。
《動作》
次に、第1の実施形態の動作について説明する。
ここでは、図5(a)に示すように、ハンドル手放し状態において左側へ片流れする車両について説明する。この車両の左右輪のタイヤ動半径は等しいものとする。
左右輪のタイヤ動半径が等しい場合、直進走行時における左右の車輪速検出値は等しい。そのため、左右車輪速の履歴の平均値の差は0となる。これは、車輪速の履歴を取得する前記所定期間において、直進路を走行する場面が最も多いことに起因する。
これにより、動半径差異算出部225は、左右のタイヤ動半径の差異を0とする(ステップS4)。したがって、車輪速補正部226は、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した車輪速VFL〜VRRをそのまま補正後の車輪速とする(ステップS5)。
次に、ヨーレート算出部227は、補正後の車輪速(=センサ検出値)からヨーレートφを算出する(ステップS6)。直進判定部228は、ヨーレート算出部227で算出したヨーレートφがヨーレート閾値φth未満であるときに車両が直進走行していると判定する(ステップS7)。
そして、片流れ抑制トルク算出部222は、この時点でのピニオントルクTpを履歴に記録し(ステップS8,S9)、この履歴を統計処理して片流れ抑制トルクTbを算出する(ステップS10)。また、片流れ抑制電流指令値算出部223は、片流れ抑制トルク算出部222で算出した片流れ抑制トルクTbを操舵部に付加するためのモータ電流指令値Ibを算出する(ステップS11)。
算出したモータ電流指令値Ibは、電流指令値補正部23に出力する。電流指令値補正部23は、操舵補助制御部21で算出した電流指令値Iaに電流指令値Ibを加算することで、電流指令値Iaを補正する。そして、電流指令値I(=Ia+Ib)でモータ7を駆動制御する。
このようにして片流れ抑制制御を実施する。これにより、操向輪は片流れを抑制する右方向に切れ、図5(b)に示すように、ハンドル手放し状態となっても車両は直進状態を維持することになる。
一方、左右のタイヤ動半径が異なる(右側>左側)場合には、車両が直進走行しており実際に車輪が発生している速度が同じであっても、左側の車輪回転数が右側より大きいため、車輪速センサは左側の車輪速を右側より大きい値に検出してしまう。このような車両の場合、左旋回を行っているときに左右の車輪回転数が等しくなるため、車輪速センサは左旋回時に左右の車輪速を等しく検出してしまう。
図5(c)に示すように、左右のタイヤ動半径が異なる(右側>左側)車両で、ハンドル手放し状態に左側へ片流れする車両の場合、車輪速センサの検出値をそのまま用いて片流れ抑制制御を実施すると、図5(d)に示すように、車両はさらに左に流れてしまう。
車輪速センサの検出値をそのまま用いて車両の直進判定を行うと、上述した理由により、左旋回時を直進走行時であると誤判定してしまう。そのため、左旋回時のピニオントルクTpを片流れ抑制トルクTbとして設定してしまう。その結果、片流れ抑制制御を実施することにより、操向輪は左方向に切れ、車両の片流れを助長してしまう。
これに対して、本実施形態では、左右のタイヤ動半径の差異によって発生する車輪速センサの検出値の差異を推定し、この差異を補正した車輪速に基づいて車両の直進判定を行う。これにより、車両が直進走行しているときに直進していると適正に判定することができ、安定して車両の片流れを抑制することができる。
右側のタイヤ動半径が左側のタイヤ動半径より大きい場合、車輪速センサで検出した車輪速の履歴の平均値は、左側の方が大きくなる。そのため、右側車輪速の平均値−左側車輪速の平均値<0となる。動半径差異算出部225は、(右側車輪速の平均値−左側車輪速の平均値)の算出結果を左右のタイヤ動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異(動半径の差異)とする(ステップS4)。そして、車輪速補正部226は、車輪速センサ16FL,16FRで検出した右側の車輪速VFL,VFRら動半径の差異分を差し引く(ステップS5)。これにより、右側の車輪速VFL,VFRを増加補正する。
ヨーレート算出部227は、補正後の車輪速からヨーレートφを算出する(ステップS6)。補正後の車輪速は、車両が直進走行しているときに左右車輪速差が0になるように補正している。したがって、このヨーレート算出部227は、車両が直進走行しているとき、ヨーレートφを0に算出する。そのため、直進判定部228は、車両が直進走行しているときに直進走行していると適正に判定することができる。
そして、片流れ抑制制御の実施により、操向輪は片流れを抑制する右方向に切れ、図5(e)に示すように、ハンドル手放し状態となっても車両は直進状態を維持することになる。
なお、図1において、車輪速センサ16FL〜16RRが車輪速度検出手段を構成している。また、図2において、ピニオントルク推定部221が転舵トルク検出手段を構成し、片流れ抑制トルク算出部222及び片流れ抑制電流指令値算出部223が片流れ抑制制御手段を構成し、車輪速履歴記憶部224、動半径差異算出部225、車輪速補正部226及びヨーレート算出部227がヨーレート推定手段を構成し、直進判定部228が直進走行状態判定手段を構成している。
さらに、図4において、ステップS2〜ステップS4が誤差推定手段を構成し、ステップS5が誤差補正手段を構成し、ステップS6がヨーレート算出手段を構成している。
《効果》
(1)ヨーレート推定手段は、車輪速度検出手段で検出した各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定する。直進走行状態判定手段は、ヨーレート推定手段で推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する。
転舵トルク検出手段は、操向輪を転舵する転舵部の転舵トルクを検出する。片流れ抑制制御手段は、直進走行状態判定手段で車両が直進走行状態であると判定したときの転舵トルク検出手段で検出した転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行う。
このように、車輪速度に基づいて車両のヨーレートを推定するので、ヨーレートセンサ等を別途設ける必要がない。したがって、その分コストを削減することができる。また、ヨーレートの推定に際し、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正するので、車両の直進判定を適正に行うことができる。したがって、簡易な構成で片流れ抑制の精度を向上することができる。
(2)誤差推定手段は、車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差として左右の車輪速度検出値の差異を推定する。誤差補正手段は、誤差推定手段で推定した車輪速度検出値の差異を補正する。ヨーレート算出手段は、誤差補正手段で補正した車輪速度に基づいて、車両のヨーレートを算出する。
これにより、ヨーレートの推定に際し、左右の車輪動半径の差異によって発生する左右の車輪速検出値の差異を補正することができる。その結果、車両の直進判定を適正に行うことができる。
(3)誤差推定手段は、車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、右輪の車輪速度の平均値と左輪の車輪速度の平均値とを算出し、これら平均値の差を車輪速度検出値の差異とする。
したがって、車両が直進走行しているときの左右輪の車輪速検出値の差異を推定し、これを補正することができる。そのため、車両が直進走行しているときに直進走行していると適正に判定することができる。
(4)誤差推定手段は、車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、右輪の車輪速度の平均値と左輪の車輪速度の平均値とを算出し、これら平均値の比を左右の車輪速度検出値の差異とする。
したがって、車両が直進走行しているときの左右輪の車輪速検出値の差異を推定し、これを補正することができる。そのため、車両が直進走行しているときに直進走行していると適正に判定することができる。
(5)誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定する。ヨーレート推定手段は、履歴の取得開始から所定期間が経過するまでの間、車輪速度検出手段で検出した車輪速度から直接車両のヨーレートを算出する。
これにより、履歴の取得開始から所定期間が経過するまでの間は、車輪速検出値を信頼して片流れ抑制制御を実施する。これにより、片流れ抑制制御を実施しない期間を作ることがない。
(6)各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定する。推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する。車両が直進走行状態であると判定したときに転舵部に発生している転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行う。
したがって、直進判定を適正に行って、車両の片流れの抑制を精度良く行うことができる。
《第2の実施の形態》
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
この第2の実施形態は、動半径の差異を記憶する外部メモリを設け、イグニッションスイッチのオフ時に前回の制御周期で算出した動半径の差異を記憶するようにしたものである。
《構成》
第2の実施形態における車両用操舵装置の全体構成は、図1に示す前述した第1の実施形態と同様である。
(片流れ抑制制御処理手順)
第2の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図6は、第2の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、図4に示す片流れ抑制制御処理において、ステップS21〜S24を追加したことを除いては、図4と同様の処理を行う。したがって、図4との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS21では、片流れ抑制制御部22は、イグニッションスイッチのオン・オフ状態を判定する。ここで、イグニッションスイッチがオン状態(IGNON)からオフ状態(IGNOFF)へ切り替わったと判定すると、ステップS22に移行する。
ステップS22では、片流れ抑制制御部22は、前回の制御周期で算出した動半径の差異を外部メモリに記憶し、そのまま片流れ抑制制御処理を終了する。
また、前記ステップS21で、イグニッションスイッチがオフ状態からオン状態へ切り替わったと判定すると、ステップS23に移行する。そして、ステップS23では、片流れ抑制制御部22は、外部メモリに記憶した動半径の差異を読み出し、前記ステップS1に移行する。
一方、前記ステップS21で、イグニッションスイッチがオン状態を維持していると判定すると、そのまま前記ステップS1に移行する。
また、前記ステップS3で、車輪速Viの履歴を十分取得していないと判定すると、ステップS24に移行する。そして、ステップS24では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS23で外部メモリから読み出した動半径の差異を用いて、前記ステップS1で取得した車輪速VFL〜VRRをそれぞれ補正する。車輪速VFL〜VRRの補正方法については、前述したステップS5における補正方法と同様である。
このような構成により、イグニッションスイッチをオフ状態からオン状態へ切り替えてから、車輪速の履歴を十分取得するまでの期間、外部メモリに記憶した動半径の差異を用いて車輪速検出値を補正し、片流れ抑制制御を実施することができる。
なお、図6において、ステップS22が記憶手段を構成している。
《効果》
(7)誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定する。記憶手段は、イグニッションスイッチがオン状態からオフ状態へ遷移したとき、誤差推定手段で推定した左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を記憶する。誤差補正手段は、履歴の取得開始から所定期間が経過するまでの間、記憶手段で記憶した左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正する。
これにより、車輪速の履歴を十分に取得する以前であっても、イグニッションスイッチをオン状態に切り替えた時点から車両の片流れを抑制することができる。
《第3の実施の形態》
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
この第3の実施形態は、動半径の差異の算出に用いる車輪速の履歴を選別するようにしたものである。
《構成》
第3の実施形態における車両用操舵装置の全体構成は、図1に示す前述した第1の実施形態と同様である。
(片流れ抑制制御処理手順)
第3の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図7は、第3の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、図4に示す片流れ抑制制御処理において、ステップS2の前にステップS31を追加したことを除いては、図4と同様の処理を行う。したがって、図4との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS31では、片流れ抑制制御部22は、車輪速Viの履歴の選別を行う。
ここでは、車輪速Viの微分値をそれぞれ求め、そのうちの少なくとも1つが所定の閾値以上であるとき、選別条件を満たさないと判断して履歴から除外する。ここで、上記閾値は、車両が砂利路などの悪路を走行していると判断できる程度の車輪速に設定する。
また、車輪速Viの微分値が上記閾値以上である状態から上記閾値未満となってから所定期間(悪路が継続している可能性がある期間)は、履歴から除外する。
さらに、4輪の車輪速Viの平均値を基準とし、その基準値と各輪の車輪速Viとを比較した結果、両者の差が所定値以上となるなどの異常値を示している車輪速Viが存在する場合は、履歴から除外する。
また、車両が極低速走行している場合(例えば、車速が10km/h未満)は、履歴から除外する。
上記以外にも、悪路を走行していたり車輪がスリップしていたりする可能性があると判断した場合には、選別条件を満たさないと判断して履歴から除外するものとする。
そして、履歴の選別条件を満たす場合のみ前記ステップS2に移行し、履歴の選別条件を満たさない場合にはそのまま片流れ抑制制御処理を終了する。
このような構成により、砂利路などの悪路を走行しているときの車輪速を履歴に含めないようにすることができる。そのため、信頼性の高い値のみを用いて動半径の差異を算出することができる。
なお、図7において、ステップS31が選別手段を構成している。
《効果》
(8)選別手段は、車輪速度検出手段で検出した車輪速度を選別する。ヨーレート推定手段は、選別手段の選別条件を満たした車輪速度に基づいて、車両のヨーレートを推定する。
これにより、より正確な直進判定が可能となる。
《第4の実施の形態》
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態は、駆動輪のタイヤ動半径に差異がある場合に、片流れ抑制トルクTbを増減補正するようにしたものである。
《構成》
第4の実施形態における車両用操舵装置の全体構成は、図1に示す前述した第1の実施形態と同様である。
(片流れ抑制制御処理手順)
第4の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図8は、第4の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、図4に示す片流れ抑制制御処理において、ステップS41〜S43を追加したことを除いては、図4と同様の処理を行う。したがって、図4との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS41では、片流れ抑制制御部22は、駆動輪のタイヤ動半径に差異があるか否かを判定する。そして、駆動輪のタイヤ動半径に差異があると判定した場合にはステップS42に移行し、それ以外の場合には前記ステップS11に移行する。
ここでは、先ず、左前輪と右前輪の車輪速の履歴を前述した第1の実施形態と同様の方法で統計処理する。同時に、左後輪と右後輪の車輪速の履歴を前述した第1の実施形態と同様の方法で統計処理する。
また、前輪と後輪のうち、どちらが従動輪でどちらが駆動輪であるのかは、予めデータとして記憶しておき、記憶したデータを読み出して判断する。
このようにして、駆動輪のタイヤ動半径に差異があるか否かを判定する。
ステップS42では、片流れ抑制制御部22は、片流れ抑制トルクTbを増減補正するためのトルク増減分ΔTを算出する(トルク増減分算出処理)。ここでは、駆動輪のタイヤ動半径に差異により発生する車両の旋回モーメントを打ち消すために必要なピニオントルクを、上記トルク増減分ΔTとする。
以下、トルク増減分ΔTの算出方法について具体的に説明する。
先ず、概念について説明する。
横すべり角β、車速Vで走行する車両の重心点まわりの回転運動は、二輪モデルを用いて次式で表される。
Iφ´=−2Lff(β+Lfφ/V−δ)+2Lrr(β−Lrφ/V) ………(3)
ここで、各記号は、以下のパラメータを表している。
I:車両のヨー慣性モーメント,
f:重心から前軸までの長さ,
r:重心から後軸までの長さ,
f:前輪コーナリングパワー,
r:後輪コーナリングパワー,
δ:実転舵角
駆動輪のタイヤ動半径の違いによってもたらされるヨーモーメントをMとすると、上記(3)式は次式のようになる。
Iφ´=−2Lff(β+Lfφ/V−δ)+2Lrr(β−Lrφ/V)+M ………(4)
車両が直進し続けるには、ヨーモーメントMの影響を打ち消す実転舵角δを求める必要がある。そこで、上記(4)式にφ´=0、φ=0を代入し、実転舵角δについて解く。
δ=(1−Lrr/Lff)β−1/Lff−M ………(5)
上記(5)式で求めた実転舵角δを車両に与えれば、駆動輪のタイヤ動半径が変化しても車両は直進することになる。ここで、Lf,Lr,Kf,Krは定数であるため、ROM等に保持しておく。また、横すべり角βは、例えば、速度センサで検出した前後方向の車速Vxと横方向の車速Vyとにより、次式をもとに推定する。
β=Vy/Vx ………(6)
次に、ヨーモーメントMの推定方法について説明する。
通常、デファレンシャル・ギヤを介して、左右輪には等しい駆動トルクTが伝えられる。ここで、タイヤ−地面間に発生する駆動力Fは、次式で与えられる。
F=T/R ………(7)
なお、Rはタイヤ動半径である。
したがって、タイヤ動半径Rの左右差があると、左右の駆動力Fにも差が生じ、ヨーモーメントMが発生する。このとき発生するヨーモーメントMは、次式で表される。
M=(FR−FL)/W=(T/RR−T/RL)/W ………(8)
ここで、FRは右輪駆動力、FLは左輪駆動力、RRは右輪タイヤ動半径、RLは左輪タイヤ動半径、Wはトレッドである。なお、トレッドWは定数であるため、ROM等に保持しておく。
また、駆動トルクTは、図9に示す駆動トルク推定マップを参照し、車速Vとシフト位置とに基づいて推定する。なお、図9の破線に示す双曲線を用いて、車速Vより駆動トルクTを推定することもできる。このとき、車速−駆動トルク特性は、二輪駆動の場合は1輪あたり、四輪駆動の場合は2輪あたりの駆動トルクTに加工しておく。
次に、左右輪のタイヤ動半径RR,RLの推定方法について説明する。
本動作アルゴリズムを実施する以前に「動半径の差異分に相当するもの」として、「直進時の各車輪速」または「直進時における左前後輪の車輪速の平均と右前後輪の車輪速の平均」を統計処理によって推定している。それらと、車両の駆動方法(二輪駆動、四輪駆動)とを組み合わせて、左右輪のタイヤ動半径RR,RLを推定する。
二輪駆動の場合で、直進時における車輪速の4輪分の平均を用いる場合、下記(9),(10)式を用いて左右輪のタイヤ動半径RR,RLを推定する。
R=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の4輪分の平均)/(直進時の車輪速の右駆動輪分) ………(9)
L=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の4輪分の平均)/(直進時の車輪速の左駆動輪分) ………(10)
また、二輪駆動の場合で、直進時における車輪速の従動輪分の平均を用いる場合、下記(11),(12)式を用いて左右輪のタイヤ動半径RR,RLを推定する。
R=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の従動輪分の平均)/(直進時の車輪速の右駆動輪分) ………(11)
L=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の従動輪分の平均)/(直進時の車輪速の左駆動輪分) ………(12)
一方、四輪駆動の場合は、下記(13),(14)式を用いて左右輪のタイヤ動半径RR,RLを推定する。
R=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の四輪分の平均)/(直進時における車輪速の前後右駆動輪分の平均) ………(13)
L=(タイヤ動半径の設計値)×(直進時における車輪速の四輪分の平均)/(直進時における車輪速の前後左駆動輪分の平均) ………(14)
ここまでで、ヨーモーメントMの影響を打ち消す実転舵角δが得られる。この実転舵角δを発生するためのトルク増減分ΔTは、図10に示すトルク増減分算出マップを参照して決定する。
図10に示す特性線は、タイヤのセルフアライニングトルクの特性により求める。セルフアライニングトルクの特性は、摩擦係数μと車重とに依存するが、ここでは低μ、低車重として、トルク増減分ΔTが比較的小さい値となるように設定しておく。
なお、実際に制御で用いるのは、主に図10の特性線における線形域であるため、計算によりトルク増減分ΔTを算出するようにしてもよい。
図11は、図8のステップS42で実行するトルク増減分算出処理手順を示すフローチャートである。
先ず、ステップS421で、各種情報を取得する。ここでは、ROM等に保持した車両のヨー慣性モーメントI、重心から前軸までの長さLf、重心から後軸までの長さLr、前輪コーナリングパワーKf、後輪コーナリングパワーKr、トレッドW、タイヤ動半径の設計値を読み出す。また、速度センサで検出した前後方向の車速Vxと横方向の車速Vyを取得すると共に、シフト位置を取得する。
次に、ステップS422では、上記(9)〜(14)式を用いてタイヤ動半径RR,RLを推定し、ステップS423に移行する。
ステップS423では、上記(8)式と図9とを用いて、タイヤ動半径の違いによってもたらされるヨーモーメントMを推定する。
次に、ステップS424では、上記(6)式を用いて横すべり角βを推定し、ステップS425に移行する。
ステップS425では、上記(5)式を用いて、ヨーモーメントMの影響を打ち消す実転舵角δを推定し、ステップS426に移行する。
ステップS426では、図10を用いて、実転舵角δをもたらすトルク増減分ΔTを算出する。
図8に戻って、ステップS43では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS42で算出したトルク増減分ΔTを、前記ステップS10で算出した片流れ抑制トルクTbに付加し、最終的な片流れ抑制トルクを算出する。そして、この最終的な片流れ抑制トルクを操舵部に付加するためのモータ電流指令値Ibを算出し、出力する。
このような構成により、タイヤ動半径の差異が駆動輪に生じている場合には、このタイヤ動半径の差異によって発生するヨーモーメントMを打ち消すように、片流れ抑制トルクTbを補正することができる。
なお、図8において、ステップS41が判定手段を構成し、ステップS42及びS43がトルク補正手段を構成している。
《効果》
(9)判定手段は、左右の車輪動半径の差異が駆動輪に発生しているか否かを判定する。トルク補正手段は、判定手段で左右の車輪動半径の差異が駆動輪に発生していると判定したとき、駆動輪の車輪動半径の差異によって発生するヨーモーメントを打ち消す方向に片流れ抑制操舵補助トルクを補正する。
これにより、駆動輪のタイヤ動半径の差異が生じた場合であっても、適正に片流れ抑制トルクを付加することができ、車両の片流れを抑制することができる。
《第5の実施の形態》
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
この第5の実施形態は、タイヤ動半径に差異があり、且つ車輪速の履歴が十分取得できていないとき、片流れ抑制制御を保持状態とするようにしたものである。
《構成》
第5の実施形態における車両用操舵装置の全体構成は、図1に示す前述した第1の実施形態と同様である。
(片流れ抑制制御処理手順)
第5の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図12は、第5の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、図4に示す片流れ抑制制御処理において、ステップS51及びS52を追加したことを除いては、図4と同様の処理を行う。したがって、図4との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
車輪速Viの履歴の取得を開始してから所定期間が経過していない場合、動半径の差異を精度良く算出できないと判断して、前記ステップS3でNoと判定し、ステップS51に移行する。
ステップS51では、片流れ抑制制御部22は、現時点で取得している車輪速Viの履歴に基づいてタイヤ動半径に差異があるか否かを判定し、ステップS52に移行する。このステップS51では、前記ステップS4と同様に、車輪速Viの履歴を統計処理してタイヤ動半径に差異があるか否かを判定する。
ステップS52では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS51の判定結果を受け、タイヤ動半径の差異がないと判断した場合には前記ステップS6に移行する。一方、タイヤ動半径の差異があると判断した場合には、そのまま片流れ抑制制御処理を終了する。
このような構成により、車輪速の履歴を十分取得している場合には、車輪速の履歴を統計処理して動半径の差異を算出し、その結果に基づいて車輪速を補正する。一方、車輪速の履歴を十分取得していない場合で、タイヤ動半径の差異がないと判定した場合には、車輪速の補正は行わず、車輪速検出値をそのまま用いてヨーレートを推定し片流れ抑制制御を実施する。また、車輪速の履歴を十分取得していない場合で、タイヤ動半径の差異があると判定した場合には、ピニオントルクの履歴の更新を行わず、前回の制御周期で算出した片流れ抑制トルクTbをそのまま付加する、つまり片流れ抑制制御を保持状態とする。
これにより、車輪速Viの履歴を十分に取得するまでの間も、車両の片流れを抑制することができる。また、車輪速Viの履歴を十分に取得する前に、急激にタイヤ動半径の差異が生じた場合には、片流れ抑制制御を保持状態とすることができるので、片流れ抑制制御を実施することで車両の片流れを逆に助長してしまうのを防止することができる。
《効果》
(10)誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定する。差異判定手段は、履歴の取得開始から所定期間が経過するまでの間、取得した履歴に基づいて左右の車輪動半径に差異が発生しているか否かを判定する。
片流れ抑制制御手段は、差異判定手段で左右の車輪動半径に差異が発生していると判定したとき、片流れ抑制制御の制御量の更新を停止する保持状態とする。ヨーレート推定手段は、差異判定手段で左右の車輪動半径に差異が発生していないと判定したとき、車輪速度検出手段で検出した車輪速度から直接車両のヨーレートを算出する。
これにより、車輪速の履歴の取得を開始してから当該履歴を十分に取得するまでの間において、適切な片流れ抑制制御を行うことができる。
《第6の実施の形態》
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
この第6の実施形態は、タイヤ動半径の差異によって発生するヨーレートの推定誤差を算出し、その誤差を補正して直進判定を行うようにしたものである。
《構成》
第6の実施形態における車両用操舵装置の全体構成は、図1に示す前述した第1の実施形態と同様である。
図13は、第6の実施形態におけるコントローラ11の構成を示すブロック図である。
この第6の実施形態のコントローラ11は、図2の車輪速履歴記憶部224、動半径差異算出部225、車輪速補正部226及びヨーレート算出部227に代えて、ヨーレート推定部229、ヨーレート履歴記憶部230、ヨーレートずれ算出部231及びヨーレート補正部232を備える。
ヨーレート推定部229は、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した車輪速VFL〜VRRに基づいてヨーレートφを推定する。推定したヨーレートφは、ヨーレート履歴記憶部230及びヨーレート補正部232に出力する。
ヨーレート履歴記憶部230は、ヨーレート推定部229で推定したヨーレートφの履歴を記録する。
ヨーレートずれ算出部231は、ヨーレート履歴記録部230で記録したヨーレート履歴を取得し、統計処理によりヨーレートφのずれ(タイヤ動半径の差異により発生するヨーレートφの推定誤差)を算出する。
ヨーレート補正部232は、ヨーレート推定部229で推定したヨーレートφのずれ分を補正し、補正後のヨーレートφを直進判定部228に出力する。
(片流れ抑制制御処理手順)
第6の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順について説明する。
図14は、第6の実施形態の片流れ抑制制御部22で実行する片流れ抑制制御処理手順を示すフローチャートである。この片流れ抑制制御処理は、図4に示す片流れ抑制制御処理において、ステップS2〜S7をステップS61〜S66に置換したことを除いては、図4と同様の処理を行う。したがって、図4との対応部分には同一符号を付し、処理の異なる部分を中心に説明する。
ステップS61では、片流れ抑制制御部22は、車輪速センサ16FL〜16RRで検出した車輪速VFL〜VRRに基づいて、前記(2)式をもとにヨーレートφを推定する。
次に、ステップS62では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS61で推定したヨーレートφを履歴として記録しステップS63に移行する。
ステップS63では、片流れ抑制制御部22は、ヨーレートφの履歴を十分取得したか否かを判定する。ここでは、履歴を所定期間(例えば、30分間)取得したとき、ヨーレートφの履歴を十分取得したと判定し、ステップS64に移行する。一方、ヨーレートφの履歴を十分取得していないと判定したときには、後述するステップS66に移行する。
ステップS64では、片流れ抑制制御部22は、ヨーレートφの履歴を統計処理して、タイヤ動半径の差異によるヨーレートφの推定値のずれを算出する。ここでは、ヨーレートφの履歴の平均値を算出し、これをヨーレートφの推定値のずれとする。
車両が直進走行している場合、ヨーレートは理論的には0となる。したがって、このステップS64で算出した値は、そのままヨーレートφの推定誤差となる。
次に、ステップS65では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS64で算出したヨーレートφのずれを用いて、前記ステップS61で推定したヨーレートφを補正する。このとき、前記ステップS61で推定したヨーレートφから、前記ステップS64で算出したずれ分を常に差し引く補正を行う。
次に、ステップS66では、片流れ抑制制御部22は、前記ステップS65で補正したヨーレートφの絶対値|φ|が、ヨーレート閾値φth未満であるか否かを判定する。そして、|φ|<φthであるときには前記ステップS8に移行し、|φ|≧φthであるときには前記ステップS11に移行する。
このような構成により、タイヤ動半径の差異によってヨーレートφの推定値にずれが生じる場合であっても、そのずれを補正して適正に直進判定を行うことができる。
なお、図14において、ステップS61がヨーレート算出手段を構成し、ステップS62〜S64が誤差推定手段を構成し、ステップS65が誤差補正手段を構成している。
《効果》
(11)ヨーレート算出手段は、車輪速度検出手段で検出した車輪速度に基づいて、車両のヨーレートを算出する。誤差推定手段は、ヨーレート算出手段で算出したヨーレートの履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差としてヨーレート算出値の誤差を推定する。誤差補正手段は、誤差推定手段で推定したヨーレート算出値の誤差を補正する。
これにより、タイヤ動半径の差異が生じていても直進判定を誤らず、適切な片流れ抑制制御を行うことができる。
(12)誤差推定手段は、ヨーレート算出手段で算出したヨーレートの履歴の平均値をヨーレート算出値の誤差とする。
これにより、左右の車輪動半径の差異によって発生するヨーレート算出値の誤差を補正することができる。その結果、車両の直進判定を適正に行うことができる。
《変形例》
(1)上記第1,3,4の実施形態においては、図4,図7及び図8のステップS3でNoと判定したとき、そのまま片流れ抑制制御処理を終了することもできる。これにより、車輪速の履歴を十分取得してタイヤ動半径の差異により発生する車輪速のずれを補正してから、片流れ抑制制御を開始することができる。
また同様に、上記第6の実施形態においては、図14のステップS63でNoと判定したとき、そのまま片流れ抑制制御処理を終了することもできる。これにより、ヨーレートの履歴を十分取得してタイヤ動半径の差異により発生するヨーレートのずれを補正してから、片流れ抑制制御を開始することができる。
このように、履歴を十分に取得するまでの間、片流れ抑制制御を保持状態とするので、補正前の車輪速や補正前のヨーレートを用いて片流れ抑制制御を実施するのを防止することができ、車両の片流れを助長するのを防止することができる。
また、タイヤ動半径に差異が生じている状態でINGOFFとした場合、IGNOFF中にタイヤ交換等によりタイヤ動半径の差異が生じていない状態となることが考えられる。したがって、履歴を十分に取得するまでの間、前回のINGOFF時におけるタイヤ動半径の差異を引き継いで片流れ抑制制御を実施するのではなく、片流れ抑制制御を保持状態とすることで、片流れの発生を防止することができる。
(2)上記第6の実施形態においては、上記第2の実施形態のように、INGOFF時のタイヤ動半径の差異(ヨーレートの推定誤差)を記憶することもできる。また、上記第3の実施形態のように、車輪速を選別する機能を設けることもできる。さらに、上記第4の実施形態のように、駆動輪にタイヤ動半径が発生している場合に、片流れ抑制トルクTbを増減補正することもできる。また、上記第5の実施形態のように、履歴を十分取得していないとき、現時点で取得した履歴に基づいてタイヤ動半径の差異があると判定した場合に、片流れ抑制制御を保持状態とすることもできる。
(3)上記各実施形態においては、ピニオントルク推定部221で、操舵トルクTとモータ電流Imとに基づいてピニオントルクTpを推定する場合について説明したが、モータ電流Imに代えて電流指令値補正部23から出力した電流指令値Iを用いることもできる。この場合、モータ電流センサ15を設ける必要がなくなり、その分コストを削減することができる。
(4)上記各実施形態においては、EPS(電動パワーステアリング)による前輪の操舵アシスト例を示したが、制駆動力を用いたDYCや各輪左右独立制御、後輪操舵など、車両の操舵が可能な他のシステムにおいても応用可能である。
(5)上記各実施形態においては、操舵部と転舵部とを機械的に連結したシステムに本発明を適用する場合について説明したが、例えば、ステアバイワイヤシステム等に本発明を適用することもできる。この場合、直進状態における転舵トルクの履歴に基づいて算出した片流れ抑制操舵補助トルクに相当する操舵反力を操舵部に付与する。
1 ステアリングホイール
2 前輪
3 舵取り機構
4 ステアリングシャフト
5 トルクセンサ
6 減速器
7 モータ
8 ピニオン
9 ラック
10 タイロッド
11 コントローラ
13 車速センサ
15 モータ電流センサ
16FL〜16RR 車輪速センサ

Claims (12)

  1. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出した各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定するヨーレート推定手段と、
    前記ヨーレート推定手段で推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する直進走行状態判定手段と、
    操向輪を転舵する転舵部の転舵トルクを検出する転舵トルク検出手段と、
    前記直進走行状態判定手段で車両が直進走行状態であると判定したときの前記転舵トルク検出手段で検出した転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行う片流れ抑制制御手段と、を備え、
    前記ヨーレート推定手段は、
    前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差として、左右の車輪速度検出値の差異を推定する誤差推定手段と、
    前記誤差推定手段で推定した前記左右の車輪速度検出値の差異をなくす方向に、前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度を補正する誤差補正手段と、
    前記誤差補正手段で補正した後の左右の車輪速度の差に基づいて、車両のヨーレートを算出するヨーレート算出手段と、を備え、
    前記ヨーレート算出手段で算出したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとすることを特徴とする車両用操舵装置。
  2. 各車輪の車輪速度を検出する車輪速度検出手段と、
    前記車輪速度検出手段で検出した各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定するヨーレート推定手段と、
    前記ヨーレート推定手段で推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定する直進走行状態判定手段と、
    操向輪を転舵する転舵部の転舵トルクを検出する転舵トルク検出手段と、
    前記直進走行状態判定手段で車両が直進走行状態であると判定したときの前記転舵トルク検出手段で検出した転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行う片流れ抑制制御手段と、を備え、
    前記ヨーレート推定手段は、
    前記車輪速度検出手段で検出した左右の車輪速度の差に基づいて、車両のヨーレートを算出するヨーレート算出手段と、
    前記ヨーレート算出手段で算出したヨーレートの履歴の平均値を、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差としてヨーレート算出値の誤差として推定する誤差推定手段と、
    前記誤差推定手段で推定した前記ヨーレート算出値の誤差を補正する誤差補正手段と、を備え、
    前記誤差補正手段で補正したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとすることを特徴とする車両用操舵装置。
  3. 前記誤差推定手段は、前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、右輪の車輪速度の平均値と左輪の車輪速度の平均値とを算出し、これら平均値の差を前記左右の車輪速度検出値の差異とすることを特徴とする請求項に記載の車両用操舵装置。
  4. 前記誤差推定手段は、前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度の履歴に基づいて、右輪の車輪速度の平均値と左輪の車輪速度の平均値とを算出し、これら平均値の比を前記左右の車輪速度検出値の差異とすることを特徴とする請求項に記載の車両用操舵装置。
  5. 前記誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定するものであり、
    前記ヨーレート推定手段は、前記履歴の取得開始から前記所定期間が経過するまでの間、前記車輪速度検出手段で検出した左右の車輪速度の差から直接車両のヨーレートを算出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  6. 前記誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定するものであり、
    前記片流れ抑制制御手段は、前記履歴の取得開始から前記所定期間が経過するまでの間、前記片流れ抑制制御の制御量の更新を停止する保持状態とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  7. 前記誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定するものであり、
    イグニッションスイッチがオン状態からオフ状態へ遷移したとき、前記誤差推定手段で推定した左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を記憶する記憶手段を備え、
    前記誤差補正手段は、前記履歴の取得開始から前記所定期間が経過するまでの間、前記記憶手段で記憶した左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  8. 前記誤差推定手段は、所定期間取得した前記履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を推定するものであり、
    前記履歴の取得開始から前記所定期間が経過するまでの間、取得した前記履歴に基づいて左右の車輪動半径に差異が発生しているか否かを判定する差異判定手段を備え、
    前記片流れ抑制制御手段は、前記差異判定手段で左右の車輪動半径に差異が発生していると判定したとき、前記片流れ抑制制御の制御量の更新を停止する保持状態とし、
    前記ヨーレート推定手段は、前記差異判定手段で左右の車輪動半径に差異が発生していないと判定したとき、前記車輪速度検出手段で検出した左右の車輪速度の差から直接車両のヨーレートを算出することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  9. 前記車輪速度検出手段で検出した車輪速度を選別する選別手段を備え、
    前記ヨーレート推定手段は、前記選別手段の選別条件を満たした車輪速度に基づいて、車両のヨーレートを推定することを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  10. 左右の車輪動半径の差異が駆動輪に発生しているか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段で左右の車輪動半径の差異が駆動輪に発生していると判定したとき、駆動輪の車輪動半径の差異によって発生するヨーモーメントを打ち消す方向に前記片流れ抑制操舵補助トルクを補正するトルク補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1〜の何れか1項に記載の車両用操舵装置。
  11. 各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定し、推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定し、車両が直進走行状態であると判定したときに転舵部に発生している転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行うに際し、
    前記車輪速度の履歴に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差として、左右の車輪速度検出値の差異を推定し、推定した前記左右の車輪速度検出値の差異をなくす方向に前記車輪速度を補正し、補正した後の左右の車輪速度の差に基づいて車両のヨーレートを算出し、算出したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとすることを特徴とする車両用操舵方法。
  12. 各車輪の車輪速度に基づいて、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正した車両のヨーレートを推定し、推定したヨーレートに基づいて、車両が直進走行状態であるか否かを判定し、車両が直進走行状態であると判定したときに転舵部に発生している転舵トルクの履歴に基づいて、直進走行時の転舵トルクを打ち消す片流れ抑制操舵補助トルクを操舵部に付加する片流れ抑制制御を行うに際し、
    左右の前記車輪速度の差に基づいて車両のヨーレートを算出し、算出したヨーレートの履歴の平均値を、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差としてのヨーレート算出値の誤差として推定し、推定した前記ヨーレート算出値の誤差を補正し、補正したヨーレートを、左右の車輪動半径の差異によって発生する誤差を補正したヨーレートとすることを特徴とする車両用操舵方法。
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