JP6135317B2 - 車両の操舵角推定装置 - Google Patents
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Description
四輪駆動性能を向上させるためには、エンジントルクに応じた駆動力配分量の決定(フィードフォワード制御)を追加して行う必要があるが、フィードフォワード制御を採用するためには操舵角を検出する必要がある。これは、操舵角が大きいときには駆動力配分量を減少させ、タイトコーナーブレーキングの発生を抑制することにより、タイトコーナーブレーキングに伴う旋回性能の低下や騒音、振動の発生及び駆動系への過負荷を防止するためである。
そのため、車両走行安定補助システムを備えていない舵角センサの無い車両においてはフィードフォワード制御を採用することができなかった。
この方法により、舵角センサがない車両でもフィードフォワード制御を採用することが可能となり、フィードバック制御のみを採用した四輪駆動方式に対して四輪駆動性能を向上させることが可能となった。
そこで、本発明は、前後左右のいずれか1輪に他の3輪に対して異径のタイヤが取り付けられた場合でも、異径輪の回転速度を補正して、誤差のない操舵角の推定値を算出できる車両の操舵角推定装置を提供することを目的としている。
また、異径な車輪の判定精度を上げることができるとともに、補正の信頼性を向上させることができる。
図1において、車両1は四輪駆動方式の車両であり、前部にエンジン2とトランスミッション3とを横置き状態に搭載し、フロントディファレンシャル4(図中ではトランスファ9の下部に位置する)に主駆動軸である前側左車軸5及び前側右車軸6の内端を連結し、前側左車軸5及び前側右車軸6の外端にそれぞれ主駆動輪である前側左車輪7及び前側右車輪8を取り付けている。
また、車両1は、トランスミッション3にトランスファ9を連結し、トランスファ9にプロペラシャフト10の前端を連結している。
リアディファレンシャル12には、副駆動軸である後側左車軸13及び後側右車軸14の内端を連結し、後側左車軸13及び後側右車軸14の外端にそれぞれ副駆動輪である後側左車輪15及び後側右車輪16を取り付けている。
そのエンジン2の発生する駆動トルクは、トランスファ9で取り出され、プロペラシャフト10により駆動力配分手段であるトルク配分用クラッチ11に伝達される。
トルク配分用クラッチ11により後側左車輪15及び後側右車輪16へと配分された駆動力は、リアディファレンシャル12を介して後側左車軸13及び後側右車軸14に伝達され、後側左車輪15及び後側右車輪16を副駆動輪として駆動する。
車両用制御装置17には、駆動選択スイッチ24が直接に接続されている。
アンチロックブレーキ制御装置27は、車輪7、8、15、16がロック傾向になったとき、あるいは車輪7、8、15、16がスリップしたときに制動力を減少させる制御を行うようになっている。
電動パワーステアリング制御装置28は、車両1の操舵力をモータによって軽減するようになっている。この電動パワーステアリング制御装置28は、運転者によるステアリングホイール40の操舵をアシストするモータ41の回転角を検出するレゾルバ42からの回転角情報を受信し、車両用制御装置17に出力するようになっている。
そして、車両用制御装置17は、予め格納されている制御プログラムを実行して設定パラメータや各種センサの検出情報に基づいて、車両1の各部を制御して安定した走行を実現させるようになっている。
また、車両用制御装置17は、車両運動協調制御部20により操舵をアシストするモータ41の駆動力・ブレーキやエンジン出力・トルク配分用クラッチ11の締結力を協調制御し、車両1の走行を安定させる。
旋回判定部45としては、各車輪速検出センサ36〜39が検出した各車輪7、8、15、16の回転速度に基づいて車両1が旋回中か否かを判定するようになっている。
車輪速補正部46としては、異径率算出部44が異径と判定した車輪の回転速度を、異径率算出部44が算出した異径率に基づいて補正するようになっている。
推定操舵角計算部43としては、車輪速補正部46が補正した回転速度に基づいて推定操舵角を算出するようになっている。
詳細には、まず、旋回判定部45は、以下の式(1)が成立しているか否かにより右旋回状態か否かを判定する(ステップS11)。
前側左車輪回転速度>後側左車輪回転速度>前側右車輪回転速度>後側右車輪回転速度…(1)
式(1)が成立している場合、旋回判定部45は、旋回判定右フラグに「1」を設定し(ステップS12)、成立していない場合は、旋回判定右フラグに「0」を設定する(ステップS13)。
前側左車輪回転速度<後側左車輪回転速度<前側右車輪回転速度<後側右車輪回転速度…(2)
式(2)が成立している場合、旋回判定部45は、旋回判定左フラグに「1」を設定し(ステップS15)、成立していない場合は、旋回判定左フラグに「0」を設定する(ステップS16)。
次いで、旋回判定部45は、算出した車速が、所定車速以上であるか否かを判定する(ステップS18)。
ステップS19において、旋回判定右フラグが「0」であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定右Hカウンタの値を「1」減算する(ステップS21)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定右Hカウンタの値が第1カウント数以上であるか否かを判定する(ステップS22)。
ステップS22において、旋回判定右Hカウンタの値が第1カウント数未満であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定右Hフラグに「0」を設定する(ステップS24)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定左フラグが「1」であるか否かを判定し(ステップS25)、「1」であると判定した場合、旋回判定左Hカウンタの値を「1」加算する(ステップS26)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定左Hカウンタの値が第1カウント数以上であるか否かを判定する(ステップS28)。
旋回判定左Hカウンタの値が第1カウント数以上であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定左Hフラグに「1」を設定する(ステップS29)。
このステップS19からステップS30の処理により車速が所定車速以上の場合の右旋回または左旋回の検出を行っている。ステップS11、ステップS14での右旋回または左旋回の判定の差が第1カウント数以上となると旋回していると判断しフラグを「1」にしている。
ステップS18において、車速が所定車速未満であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定右フラグが「1」であるか否かを判定し(ステップS31)、「1」であると判定した場合、旋回判定右Lカウンタの値を「1」加算する(ステップS32)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定右Lカウンタの値が第2カウント数以上であるか否かを判定する(ステップS34)。
旋回判定右Lカウンタの値が第2カウント数以上であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定右Lフラグに「1」を設定する(ステップS35)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定左フラグが「1」であるか否かを判定し(ステップS37)、「1」であると判定した場合、旋回判定左Lカウンタの値を「1」加算する(ステップS38)。
次いで、旋回判定部45は、旋回判定左Lカウンタの値が第2カウント数以上であるか否かを判定する(ステップS40)。
旋回判定左Lカウンタの値が第2カウント数以上であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定左Lフラグに「1」を設定する(ステップS41)。
このステップS31からステップS42の処理により車速が所定車速未満の場合の右旋回または左旋回の検出を行っている。ステップS11、ステップS14での右旋回または左旋回の判定の差が第2カウント数以上となると旋回していると判断しフラグを「1」にしている。なお、判定回数の差の第2カウント数の値は、適宜変更可能である。車速が比較的遅い場合に旋回と判定するのに十分な回数であればよい。
いずれかが「1」であると判定した場合、旋回判定部45は、旋回判定フラグに「1」を設定する(ステップS44)。
以上のような処理により、旋回判定部45は、旋回中と判定した場合には旋回判定フラグに「1」を設定し、旋回中でないと判定した場合には旋回判定フラグに「0」を設定する。この旋回判定フラグは、並行して実行される異径率算出部44の異径率算出処理で参照される。
具体的には、まず、異径輪の判定を実施するか否かの条件の判定を行う(ステップS51)。
(ア)後輪左右回転平均値>所定回転平均値
異径率算出部44は、後輪左右回転平均値として、後側左車輪速検出センサ38により検出された後側左車輪速と、後側右車輪速検出センサ39により検出された後側右車輪速と、を加算して2で割った値を算出して判定する。
異径率算出部44は、トランスミッション制御装置26が検出したシフトポジション情報から判定する。低速走行用のギアポジションではないとは、例えば、1速や2速といった低速走行用のギアが選択されていないことである。これは、低速走行用のギアポジションの選択時に、駆動トルクが大きいときに前輪が早く回る状況での判定を除外するためである。
上記のシフトポジション判定は、エンジン回転速度および車速といった車両情報からシフトポジションを判定する方法であってもよい。
(ウ)アクセル開度<所定アクセル開度
異径率算出部44は、アクセル開度センサ33によるアクセル開度情報から判定する。
異径率算出部44は、旋回判定部45が判定して設定した旋回判定フラグを判定する。
(オ)前輪左右回転差比率<前輪左右回転差比率許容値(図5のグラフのように後輪車速に応じた値)
異径率算出部44は、前輪左右回転差比率として、前側左車輪速検出センサ36が検出した前側左車輪速と、前側右車輪速検出センサ37が検出した前側右車輪速と、により(3)の式を使って前輪左右回転差比率を算出して判定する。
前輪左右回転差比率=ABS(1−前側右車輪速/前側左車輪速)…(3)
ABS(x)は、xの絶対値を表す。
上記(ア)〜(オ)のいずれかを満たさないと判定した場合、異径輪の判定は実施せず今回の処理を終了する。
ここでは、前側左車輪速検出センサ36が検出した前側左車輪速と、前側右車輪速検出センサ37が検出した前側右車輪速と、を加算して2で割った値を前輪左右回転平均値として算出する。
後輪左異径率=ABS(1−後側左車輪速/前輪左右回転平均値)…(4)
後輪右異径率=ABS(1−後側右車輪速/前輪左右回転平均値)…(5)
ABS(x)は、xの絶対値を表す。
ステップS52において、後側左車輪15が異径であると判定した場合、異径率算出部44は、後側右車輪16に対する異径率の平均値である異径率平均値を算出し、今回の異径率と異径率平均値との差分(絶対値)の平均値である異径率差分平均値を算出し、異径率平均値から補正量として異径比率を求め、異径率差分平均値により異径率の離散度合いを判定する。
次いで、異径率算出部44は、後側左車輪速検出センサ38が検出した後側左車輪速を、後側右車輪速検出センサ39が検出した後側右車輪速で割った値を左後輪異径率瞬時値として算出し(ステップS54)、左後輪異径率瞬時値を積算する左後輪異径率瞬時値積算値に今回の左後輪異径率瞬時値を加算する(ステップS55)。
次いで、異径率算出部44は、ステップS56で算出した左後輪異径率平均値からステップS54で算出した今回の左後輪異径率瞬時値を引いた値の絶対値を左後輪異径率差分瞬時値として算出し(ステップS57)、左後輪異径率差分瞬時値を積算する左後輪異径率差分瞬時値積算値に今回の左後輪異径率差分瞬時値を加算する(ステップS58)。
次いで、異径率算出部44は、1からステップS56で算出した左後輪異径率平均値を引いた値の絶対値を左後輪異径比率として算出する(ステップS60)。
すなわち、異径率算出部44は、後側右車輪16が異径と判定した回数を積算する右後輪異径判定回数積算値を「1」カウントアップし(ステップS61)、後側右車輪速を後側左車輪速で割って右後輪異径率瞬時値を算出し(ステップS62)、右後輪異径率瞬時値積算値に今回の値を加算し(ステップS63)、右後輪異径率瞬時値積算値を右後輪異径判定回数積算値で割った値を右後輪異径率平均値として前回までの値を更新する(ステップS64)。
左後輪および右後輪のどちらの積算回数も第1積算回数に満たないと判定した場合、異径率算出部44は、左後輪および右後輪のどちらも異径ではないとし、今回の処理を終了する。
異径率算出部44は、異径率の離散度合いを示す異径率差分平均値を参照し、異径率差分平均値が第1異径率差分平均値より小さい場合は補正を行い、異径率差分平均値が第2異径率差分平均値(第2異径率差分平均値>第1異径率差分平均値)より大きい場合は補正を行わず記憶している値をリセットする。異径率差分平均値が第1異径率差分平均値以上第2異径率差分平均値以下の場合は補正を行うには異径率の離散度合いが若干大きいので積算回数を第2積算回数(第2積算回数>第1積算回数)まで延ばして離散度合いが収束するかを判断する。
異径率差分平均値が第1異径率差分平均値より小さいと判定した場合、異径率算出部44は、車輪速補正部46に補正対象の車輪の識別情報やその車輪の異径比率などの情報を入力して異径とした車輪の回転速度を補正し(ステップS71)、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS74)、今回の処理を終了する。なお、車輪速補正部46による補正処理の詳細については後述する。
異径率差分平均値が第2異径率差分平均値より大きいと判定した場合、異径率算出部44は、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS74)、今回の処理を終了する。
積算回数が第2積算回数以上であると判定した場合、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS74)、今回の処理を終了する。
ところで、車輪速補正部46は、異径率算出部44から入力される補正対象の車輪の識別情報やその車輪の異径比率などの情報に基づいて補正対象の車輪の車輪速を補正する。
なお、各実行時にその時の補正量を記憶しておき次回実行時に前回実行時の値として利用するようになっており、補正量は各車輪毎に記憶するようになっている。また、前回補正量の初期値は「1」であり、前回補正量が「1」であれば初回補正時であり、前回補正量リセット時には「1」を設定するようになっている。
異径比率が第1異径比率以上と判定した場合、車輪速補正部46は、記憶している前回の補正対象の車輪の補正量を参照し、前回補正量が1であれば初回補正時として今回の異径率平均値を補正量とする。
補正量=0.8×異径率平均値+(1−0.8)×前回補正量…(6)
これは、2回目以降の補正時には、前回の補正量を加味しての補正が行われる。なお、0.8の値は適宜変更可能である。今回の異径率平均値と前回の補正量との配分が適切になるような値であればよい。
例えば、後側左車輪15が異径であると判定された場合、以下の式(7)により車輪速を補正する。
後側左車輪速/補正量=補正後後側左車輪速…(7)
ステップS82において、補正を行わない側の車輪の補正量は1とする。
ステップS81において、異径比率が第1異径比率に満たないと判定した場合、車輪速補正部46は、異径比率が第2異径比率以上か否かを判定する(ステップS83)。なお、第2異径比率の値は適宜変更可能である。今後補正が必要になりそうかどうかの境界値であればよい。
ステップS83において、異径比率が第2異径比率に満たないと判定した場合、車輪速補正部46は、補正の必要は無く、今後も補正の可能性は低いと判断し、異径と判定された車輪の車輪速の補正は行わないとともに、補正対象の車輪の前回補正値に1を設定して補正量のリセットを行う(ステップS85)。
なお、後側左車輪速検出センサ38により検出された後側左車輪速と、後側右車輪速検出センサ39により検出された後側右車輪速には、異径率算出部44で異径と判定されていれば異径輪補正部46で補正された回転速度が設定されている。
具体的には、推定操舵角計算部43は、前側左車輪速検出センサ36により検出された前側左車輪速と、前側右車輪速検出センサ37により検出された前側右車輪速とから、前側左右輪回転差を算出する。
また、後側左車輪速から車速を仮に算出し、後側右車輪速からも車速を仮に算出し、後側左車輪速から算出した車速と、後側右車輪速から算出した車速と、の平均値を車速とする。
推定操舵角=後側左右輪回転差/(変換係数×車速)…(8)
ここで、式中の「変換係数」は、車両1によって決まる定数である。
次に、推定操舵角計算部43は、図7のフローチャートに示すように、まず、車速が予め設定された閾値を越えているか否かにより極低速判定を行う(ステップS91)。
次いで、推定操舵角計算部43は、前側左右輪回転差と後側左右輪回転差の差分が予め設定された閾値未満か否かによりグリップ限界判定を行う(ステップS93)。閾値以上であればグリップ限界以上であり、閾値未満であればグリップ限界内であると判定する。
全ての条件が成立している場合(車速が閾値を超えており、且つ変化率が閾値未満であり、且つ前側左右輪回転差と後側左右輪回転差の差分が閾値未満である場合)、推定操舵角計算部43は、推定操舵角を更新し(ステップS95)、いずれかの条件が成立していなかった場合(車速が閾値以下か、または変化率が閾値以上か、または前側左右輪回転差と後側左右輪回転差の差分が閾値以上である場合)、推定操舵角を更新せずに前回の値を保持する(ステップS96)。
なお、本実施形態においては、後輪の左右輪回転差により操舵角を推定したが、前輪の左右輪回転差により、同様に操舵角を推定することもできる。
次に、図8は本発明の第2実施形態に係る操舵角推定装置を示す図である。ここで、本実施形態は上述実施形態と略同様に構成されているので、図面を流用して同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
図1における異径率算出部44は、各車輪速検出センサ36〜39が検出した各車輪7、8、15、16の回転速度に基づいて前側左右車輪7、8の異径率を算出し、前側左右車輪7、8のどちらが異径かを判定するようになっている。
まず、異径率算出部44は、上述の実施形態と同様に、異径輪の判定を実施するか否かの(ア)〜(オ)の条件の全てを満たしているか否かの判定を行う(ステップS51)。
(ア)〜(オ)の全てを満たすと判定した場合、異径率算出部44は、前側左車輪7と前側右車輪8のどちらが異径か異径輪の判定を行う(ステップS101)。
ここでは、後側左車輪速検出センサ38が検出した後側左車輪速と後側右車輪速検出センサ39が検出した後側右車輪速と、を加算して2で割った値を後輪左右回転平均値として算出する。
前輪左異径率=ABS(1−前側左車輪速/後輪左右回転平均値)…(9)
前輪右異径率=ABS(1−前側右車輪速/後輪左右回転平均値)…(10)
ABS(x)は、xの絶対値を表す。
具体的には、異径率算出部44は、前側左車輪7が異径と判定した回数を積算する左前輪異径判定回数積算値を「1」カウントアップする(ステップS102)。
次いで、異径率算出部44は、ステップS104で算出した左前輪異径率瞬時値積算値を、ステップS102で算出した左前輪異径判定回数積算値で割った値を左前輪異径率平均値とし、前回までの値を更新する(ステップS105)。
次いで、異径率算出部44は、ステップS106で算出した左前輪異径率差分瞬時値積算値を、ステップS102で算出した左前輪異径判定回数積算値で割った値を左前輪異径率差分平均値とし、前回までの値を更新する(ステップS108)。
ステップS101において、前側右車輪8が異径であると判定した場合、異径率算出部44は、ステップS102からステップS109と同様の処理を前側右車輪8について実行して、異径比率と異径率差分平均値を算出する。
左前輪および右前輪のどちらの積算回数も第1積算回数に満たないと判定した場合、左後輪および右後輪のどちらも異径ではないとし、異径率算出部44は、今回の処理を終了する。
ステップS118において、左前輪または右前輪の積算回数が第1積算回数以上と判定した場合、積算回数が第1積算回数以上となっている車輪を異径であるとし、異径率算出部44は、これ以降の処理を積算回数が第1積算回数以上となっている車輪について実行する。
異径率差分平均値が第1異径率差分平均値より小さいと判定した場合、異径率算出部44は、上述実施形態と同様に車輪速補正部46に補正対象の車輪の識別情報やその車輪の異径比率などの情報を入力して異径とした車輪の回転速度を補正し(ステップS71)、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS122)、今回の処理を終了する。
異径率差分平均値が第2異径率差分平均値より大きいと判定した場合、異径率算出部44は、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS122)、今回の処理を終了する。
積算回数が第2積算回数以上であると判定した場合、異径率算出部44は、記憶している積算値や平均値の値を全てゼロにリセットし(ステップS122)、今回の処理を終了する。
したがって、各車輪の回転速度から前輪左右の車輪の異径率を算出し、その異径率に基づいて異径な車輪を判定し、算出した異径率に基づいて異径な車輪の回転速度を補正しているので、補正された回転速度で操舵角の推定を行うことができ、推定操舵角の誤差を抑えることができる。
本発明の実施形態を開示したが、当業者によっては本発明の範囲を逸脱することなく変更が加えられうることは明白である。すべてのこのような修正及び等価物が次の請求項に含まれることが意図されている。
8 前側右車輪
15 後側左車輪
16 後側右車輪
17 車両用制御装置
25 エンジン制御装置
26 トランスミッション制御装置
27 アンチロックブレーキ制御装置
28 電動パワーステアリング制御装置
36 前側左車輪速検出センサ
37 前側右車輪速検出センサ
38 後側左車輪速検出センサ
39 後側右車輪速検出センサ
43 推定操舵角計算部
44 異径率算出部
45 旋回判定部
46 車輪速補正部
Claims (1)
- 前側左車輪の回転速度を検出する前側左車輪速検出部と、
前側右車輪の回転速度を検出する前側右車輪速検出部と、
後側左車輪の回転速度を検出する後側左車輪速検出部と、
後側右車輪の回転速度を検出する後側右車輪速検出部と、を備える車両に搭載され、
前側または後側の左右の車輪の回転速度に基づいて操舵角を推定する推定操舵角計算部を備える操舵角推定装置であって、
前記前後左右の各車輪の回転速度に基づいて異径率を算出して異径な車輪を判定する異径率算出部と、
前記異径率算出部が算出した異径率に基づいて前記異径な車輪の回転速度を補正する車輪速補正部と、を備え、
前記異径率算出部は、予め設定された時間間隔で前記異径率の算出を行い、前記前後左右の各車輪が異径であると判定した回数をカウントし、前記カウントの値が予め設定された値以上となり、前記異径率の離散度合いが予め設定された値より小さい場合、前記車輪速補正部により前記異径率の平均値を用いて異径な車輪の回転速度を補正することを特徴とする車両の操舵角推定装置。
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