JP5240778B2 - パーソナルビークル制御装置 - Google Patents

パーソナルビークル制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5240778B2
JP5240778B2 JP2009038987A JP2009038987A JP5240778B2 JP 5240778 B2 JP5240778 B2 JP 5240778B2 JP 2009038987 A JP2009038987 A JP 2009038987A JP 2009038987 A JP2009038987 A JP 2009038987A JP 5240778 B2 JP5240778 B2 JP 5240778B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle body
wheel
vehicle
sensor
right wheel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009038987A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010193939A (ja
Inventor
忠夫 結城
優 佐々木
治 松本
陽滋 山田
清 小森谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2009038987A priority Critical patent/JP5240778B2/ja
Publication of JP2010193939A publication Critical patent/JP2010193939A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5240778B2 publication Critical patent/JP5240778B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

本発明は電動式の車いす等のパーソナルビークルの走行を制御するためのパーソナルビークル制御装置に関する。
車いす等のパーソナルビークルは、使用者が着座する着座部を有する車体と、車体に設けられ着座部に着座する使用者の右側の右車輪と、車体に設けられ着座部に着座する使用者の左側の左車輪とを有する(特許文献1〜5)。パーソナルビークルの車体には、車体の走行および/または旋回に関する指令値および車体の旋回に関する指令値が入力される操作部が設けられている。
ところで、傾斜している路面を横切る方向にビークルが直進走行(いわゆるカント走行)するように、使用者により操作部が操作されているときであっても、路面が傾斜しておりビークルのロール軸に対するロール角が大きいときには、ビークルが路面を直進走行するように操作部が操作されているにもかかわらず、路面において車体のずり落ちが発生し、ビークルの直進走行性が損なわれるおそれがある。
実用新案登録第3077814号 特開2001-212181号公報 特開2006-280616号公報 特開2001-314450号公報 特開2004-202264号公報
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、傾斜している路面を横切る方向にビークルがカント走行するにあたり、ビークルのロール角が大きい場合であっても、操作部が直進するように操作されている限り、傾斜している路面における車体のずり落ちが抑制され、ビークルの直進走行性が確保されるパーソナルビークル制御装置を提供することを課題とする。
様相1の発明に係るパーソナルビークル制御装置は、(i)使用者が着座する着座部を有する車体と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の右側の右車輪と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の左側の左車輪とを有するパーソナルビークル(単にビークルともいう)を制御するパーソナルビークル制御装置であって、(ii)パーソナルビークルの車体に装備され、車体の走行および/または旋回に関する指令値および車体の旋回に関する指令値が入力され、入力された指令値の信号を制御部に出力する操作部と、(iii)車体のロール軸に対するロール角に関する物理量および車体のヨー軸に対するヨー角に関する物理量を検知するためのセンサと、(iv)車体の右車輪の回転速度に関する物理量を検知するための右車輪センサと、(v)車体の左車輪の回転速度に関する物理量を検知するための左車輪センサと、(vi)センサで検知された車体のロール角が所定値以上であるとき、操作部に基づいて入力された車体の旋回角度に関する指令値と、センサで検知されたヨー軸に対する車体の旋回角度に関する物理量とを求め、両者の物理量の差に基づいてカント走行時における車体のずり落ちの有無を推定し、差を小さくさせるように、右車輪の走行および/または旋回に関する指令値、左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第1補正処理を実施する制御部とを具備することを特徴とする。
右車輪センサは、車体の右車輪の回転速度に関する物理量(例えば回転速度、回転角度など)を検知する。左車輪センサは、車体の左車輪の回転速度に関する物理量(例えば回転速度、回転角度など)を検知する。
傾斜している路面をビークルが横切る方向に直進走行(カント走行)するように操作部が操作されているとき、右車輪の走行および/または旋回に関する指令値と、左車輪の走行および/または旋回に関する指令値とが車体のカント走行を確保するように、使用者等により操作部から出力されている。ここで、車体のロール角が所定値以上であるとき、路面が傾斜していることになる。車体のロール角が所定値以上であるときには、車体が路面を直進走行(カント走行)するように操作部が操作されているときであっても、路面において車体のずり落ちが重力により発生するおそれがある。この場合、ビークルの直進走行性は損なわれる。
そこで様相1によれば、制御部は、操作部に基づいて入力された車体の旋回に関する指令値(例えば旋回角速度または駆動トルク)と、センサで検知されたヨーク軸に対する車体の旋回角度に関する物理量(例えば旋回角速度または駆動トルク)とを求める。そして、制御部は、両者の物理量(例えば旋回角速度または駆動トルク)の差に基づいて、カント走行時における車体のずり落ちの有無を推定する。差が相対的に大きい場合には、ビークルのずり落ちが発生し易い。そして、差を小さくさせるように、制御部は、右車輪の走行および/または旋回に関する指令値(例えば右車輪の角速度指令値または駆動トルク指令値)と、左車輪の走行および/または旋回に関する指令値(例えば左車輪の角速度指令値または駆動トルク指令値)とを補正する第1補正処理を実施する。このように右車輪および左車輪について使用者が指令している指令値が制御部により補正される。
このため、傾いている路面をビークルが直進走行(カント走行)するとき、路面上の車体のロール角が所定値以上であっても、路面における車体のずり落ちが抑制されたまま、車体は路面をカント走行することができる。
様相2の本発明に係るパーソナルビーグル制御装置によれば、センサは、レートジャイロおよび加速度センサであり、制御部はレートジャイロおよび加速度センサの信号をフィルタリングした値に基づき、車体のロール角とヨー角とピッチ角の少なくとも一つを求めることを特徴とする。
様相の本発明に係るパーソナルビークル制御装置によれば、センサは、レートジャイロであり、右車輪センサおよび左車輪センサは右車輪および左車輪の回転角度センサ(例えばエンコーダ)であることを特徴とする。レートジャイロによれば、ピッチ軸に対する車体のピッチ方向の角速度、ロール方向の角速度、ヨー方向に角速度がそれぞれ検知される。エンコーダ等の回転角度センサにより求められた右車輪および左車輪の回転角度と回転半径との乗算に基づいて、ビークルの走行速度が求められる。
右車輪および左車輪にアンバランスが発生していたり、車体のフレームに歪みが発生していたりすることがある。右車輪および左車輪を構成するタイヤの空気圧による右車輪および/または左車輪の径の変動、タイヤの摩耗による径の変動等が挙げられる。上記した場合、車体が平地直進しているときであっても、車体の平地直進性は損なわれるおそれがある。
そこで様相の本発明に係るパーソナルビークル制御装置によれば、制御部は、車体が平地直進していると判定されるとき、センサで検知されたヨー軸に対する車体の旋回に関する物理量と、右車輪センサおよび左車輪センサに基づいて求められた車体の旋回に関する物理量とを求め、両者の差または比率が所定値以上で且つ所定時間以上継続するとき、右車輪の径および左車輪の径のアンバランスまたは車体のフレームのアンバランスが発生していると推定し、右車輪および左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第2補正処理を実施することを特徴とする。
このように様相によれば、車体が平地を直進しているとき、制御部は、センサ(例えばレートジャイロ)で検知されたヨー軸に対する車体の走行および/または旋回に関する物理量(例えば旋回角速度)と、右車輪センサおよび左車輪センサに基づいて求められた車体の走行および/または旋回に関する物理量(例えば旋回角速度)とを求める。そして制御部は、両者の差または両者の比率が所定値以上で且つ所定時間以上継続するとき、右車輪の径および左車輪の径のアンバランスまたは車体のフレームのアンバランスが発生していると推定し、右車輪および左車輪の走行および/または旋回に関する指令値(例えば角速度指令値または駆動トルク指令値)を補正する第2補正処理を実施する。これにより車体の平地直進性が確保される。
またパーソナルビークルによれば、走行安全などのため、車体走行速度の最高速度リミット値が規定されていることが多い。ここで、パーソナルビークルに搭載されている右車輪および/または左車輪の車輪径が変化することがある。例えば、車輪が摩耗したり、車輪の空気圧が変化したり、車輪を交換させたりする等の理由による。このような場合には、車輪径が変化するため、車輪の角速度が同一であっても車体走行速度が変化するおそれがある。結果として、ビークルの車体走行速度の最高速度リミット値が変化してしまうおそれがある。
そこで様相の本発明に係るパーソナルビークル制御装置によれば、車体の走行の加速度を検知する加速度計が設けられており、制御部は、加速度計の計測値を積分した積分値に基づく車体走行速度と、右車輪センサおよび左車輪センサに基づいて求めた車体走行速度とを求め、両者の差が存在し、差が一定時間以上継続するとき、右車輪および/または左車輪の車輪径が変化したと推定し、車輪径の変化に応じて車体走行速度の最高速度リミット値を補正することを特徴とする。
加速度計は、車体が傾斜しているときにおける重力加速度を検知できる路面の傾斜角度を検知する傾斜計として利用できるが、車体が傾斜しているときに変化する重力加速度の影響を受けるため、それが誤差の要因となり易い。そこで、加速度計の計測値を積分した積分値に基づく車体走行速度Vaccと、右車輪センサおよび左車輪センサに基づいて求めた車体走行速度Venとを併用している。そして、車体走行速度Vaccと車体走行速度Venとの差、または、比率に基づいて、車輪径が変化したと推定する。そして、車輪径の変化に応じて車体走行速度の最高速度リミット値を補正する。
本発明によれば、路面が傾斜しておりビークルのロール角が大きい場合であっても、ビークルが路面を直進走行(カント走行)するように操作部が操作されていれば、右車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正し、且つ、左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第1補正処理が実施される。従って、路面において車体のずり落ちが抑制される。故に、カント走行におけるビークルの直進走行性が良好に確保される。
パーソナルビークルの側面を模式的に示す図である。 パーソナルビークルの側面を模式的に示す図である。 制御系を示すブロック図である。 加速度信号およびレートジャイロ信号に基づいた物理量をフィルタ処理する形態を示す図である。 パーソナルビークルがカント走行している状態を示す図である。 制御部が実行する制御則1を示すフローチャートである。 制御部が実行する制御則2を示すフローチャートである。 制御部が実行する制御則3を示すフローチャートである。
(実施形態1)
本実施形態のパーソナルビークル1は電動式の車いすに相当する。前方(矢印Fx方向)は、ビークル1に正規に着座している使用者の顔面が向いている方向を示し、ビークル1が進行する方向を示す。後方(矢印Rx方向)は、ビークル1に正規に着座している使用者の顔面が背向している方向を示し、ビークル1が後退する方向を示す。
側面視である図1に示すように、ビークル1は、使用者が着座する着座部10をもつ車体11と、車体11に左右に取り付けられた回転可能な駆動輪である左右の車輪12(12R,12L)と、車輪12を回転駆動させる駆動源としての車輪モータ13(13R,13L)と、車輪モータ13(13R,13L)の駆動を制御する操作部14と、車輪12の前方に位置して車体11に取り付けられた回転可能な左右の前輪15と、車輪12の後方に向けて延びるように車体11に取り付けられたサポート部材16と、サポート部材16の先端部16eに取り付けられた回転可能な後輪17とを備えている。着座部10は、使用者の腰部を支える座部10aと、使用者の背中を支える背もたれ部10cとを備える。
車輪12は、右の車輪12Rと左の車輪12Lとで形成されている。車輪モータ13は、右の車輪12Rを回転駆動させる右の車輪モータ13Rと,左の車輪12Lを回転駆動させる左の車輪モータ13Lとで形成されている。 ここで、右の車輪12R,左の車輪12Lを区別する必要があるときには、車輪12R,車輪12Lと称する。右の車輪12R,左の車輪12Lをまとめるときには、車輪12と称することがある。
操作部14は、着座部10に着座している使用者が操作できるように、着座部10付近に設けられている。車輪12の回転中心12e(図2参照)は、ビークル1の前後方向において重心位置Gの直下またはその付近に配置されている。前輪15は車輪12R,12Lの径よりも小さい径をもち、キャスターである。前輪15は左右に設けられているが、場合によっては車幅方向の中央に設けた単数でも良い。後輪17は車体11の左右方向にも移動可能なオムニホィールが例示されるが、これに限定されない。なお、後輪17は車幅方向の中央に配置されているが、車幅方向の左右に設けても良く、後輪17の数は特に限定されない。
図3に示すように、制御部2は、インターフェース機能をもつAD変換器21と、カウンタ22と、単数または複数のCPU23と、インターフェース機能をもつDA変換器25とを備える。AD変換器21には、操作部14およびセンサ系からの信号が入力される。カウンタ22は、左の車輪エンコーダ55Lおよび右の車輪エンコーダ55Rからの信号が入力される。左の車輪エンコーダ55Lは、左の車輪12Lに対する角速度を検知する左車輪センサ、回転数センサ、ビークル1の速度センサとして機能することができる。右の車輪エンコーダ55Rは、右の車輪12Rに対する角速度を検知する右車輪センサ、回転数センサ、ビークル1の速度センサとして機能することができる。
車輪駆動系は、右の車輪モータ13R(第1駆動源)と、CPU23からの指令に基づき右の車輪モータ13Rを駆動するための右の車輪モータドライバ131と、左の車輪モータ13L(第2駆動源)と、CPU23からの指令に基づき左の車輪モータ13Lを駆動するための左の車輪モータドライバ132とを備えている。右の車輪モータドライバ131により右の車輪モータ13Rが制御され、右の車輪12Rの回転駆動が制御される。左の車輪モータドライバ132により左の車輪モータ13Lが制御され、左の車輪12Lの回転駆動が制御される。
操作部14は、着座部10に着座している着座者が操作し易いように、車体11のうち着座部10付近に保持されていることが好ましいが、車体11から分離するリモコン方式でも良い。操作部14は例えばジョイスティックで形成されており、ビークル1の速度を使用者が指令する速度指令部142と、ビークル1の旋回角速度を使用者が指令する旋回角度指令部143とを備えている。なお、操作部14を前方に傾けると、前進指令が出力され、後方に傾けると、後退指令が出力され、そして、傾き角度に応じて速度目標が増加する方式が採用されている。操作部14を左方に傾けると、車体11を左旋回させる指令が出力され、右方に傾けると車体11を右旋回させる指令が出力され、そして、傾き角度に応じてビークル1の旋回角度の目標値が増加する方式が採用されている。但し、操作部14はこの方式に限定されるものではない。
着座部10に着座している使用者が操作部14(例えばジョイスティック)を操作すると、操作部14の操作に応じて、ビークル1の直進速度指令値Vrefと旋回角速度指令値ωrefが制御部2により検知される。ここで、右車輪12Rの回転角度をθRとし、左車輪12Lの回転角度をθLとする。回転角度θR,θLを時間で微分すると、回転角速度が得られる。このため、右車輪12Rの回転角度θR、左車輪12Lの回転角度θLを時間でそれぞれ微分すると、右車輪12Rの角速度θドットR、左車輪12Lの角速度θドットLが得られる。ドットは微分値を意味する。
上記した使用者等により指令されたビークル1の直進速度指令値Vrefおよび旋回角速度指令値ωrefは、次の式(1)に基づいて右車輪12Rの角速度指令値(θドットR_ref)に変換され、且つ、式(2)に基づいて左車輪12Lの角速度指令値(θドットL_ref)に変換される。ここで、式(1)(2)において、Tは右車輪12Rと左車輪12Lとの間の距離(トレッド)を示す。R_rは右車輪12Rの半径を示す。R_lは左車輪12Lの半径を示す。
Figure 0005240778
Figure 0005240778
上記した式(1)(2)によれば、使用者等により操作部14から指令された直進速度指令値Vrefが大きいほど、且つ、右車輪12Rの半径R_rおよび左車輪12Lの半径R_lが小さいほど、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refおよび左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refは増加する。
図3に示すように、センサ系は、車体11に設けられたレートジャイロ52と、車体11に設けられた加速度計53と、右の車輪12Rの回転速度および/または回転角度を検知するために車体11に設けられた右の車輪エンコーダ55Rと、左の車輪12Lの回転速度および/または回転角度を検知するために車体11に設けられた左の車輪エンコーダ55Lとを備えている。各センサ、各車輪エンコーダ55R,55Lの信号は、それぞれカウンタ22を介して制御部2のCPU23に入力される。レートジャイロ52によれば、ピッチ方向の車体11の重心位置Gの角速度、ロール方向の車体11の重心位置Gの角速度、ヨー方向の車体11の重心位置Gの角速度がそれぞれ検知される。
加速度計53は、ビークル1の車体11の前進後退方向(x方向)における加速度、車体11の左右移動方向(y方向)における加速度、車体11の上下方向(z方向)における加速度をそれぞれ検知することができる。加速度計53の出力値は、ビークル1がピッチ方向に傾斜しているとき、重力加速度gの影響で、ビークル1の重心位置Gのピッチ方向のピッチ角度θ1(図2参照)に応じた加速度を検知することができる。
このような加速度計53およびレートジャイロ52は、図2において、水平線に対する路面90の路面傾斜角度α、および/または、車体11のピッチ方向の傾斜角度θ1を求めるセンサとして機能することができる。ピッチ方向とは、ビークル1の前進方向(矢印Fx,Rx方向)において、車輪12の径方向の中心12eに対する傾斜角度を意味する。なお、車輪12の径方向の中心12eは、ピッチ方向の運動の中心であるピッチ軸に相当する。
路面傾斜角度αの検知形態について説明を加える。図4に示すように、制御部2は、一方のセンサとしての加速度計53から求めたビークル1の加速度の出力accに基づいて、重力加速度gを考慮し、sin−1(acc/g)の値を求める。更にその値をローパスフィルタ(カットオフ周波数fc)によるフィルタリングにより高周波域のノイズを除去した値θHL1を求める。また、制御部2は、他方のセンサとしてのレートジャイロ52の出力値である角速度θgドットを時間積分した積分値を求め、その積分値をハイパスフィルタ(カットオフ周波数fc)によるフィルタリングにより低周波域のノイズを除去した値θHL2を求める。
制御部2はθHL1およびθHL2を加算してαを求める。上記したように加速度計53の出力値に基づくθHL1については、ローパスフィルタによりフィルタリングしている。これに対して、レートジャイロ52の出力値に基づくθHL2については、ハイパスフィルタによりフィルタリングしている。これは、高周波域で精度が充分ではない加速度計53と、低周波域で精度が充分ではないレートジャイロ52の時間に関する積分値とのそれぞれのセンサ特性を考慮しているためである。これにより低い周波数域〜高い周波数域において路面傾斜角度αの検知精度を高めることができる。なお、ローパスフィルタのカットオフ周波数fcはハイパスフィルタのカットオフ周波数と同値である。
さて、上記した右車輪12Rの回転の角速度指令値θドットR_ref、左車輪12Lの回転の角速度指令値θドットL_refが式(1)(2)に基づいて、制御部2により求められる。更に、下記の式(3)に基づいて右車輪12Rの駆動トルクTRが制御部2により求められる。下記の式(4)に基づいて左車輪12Lの駆動トルクTLが制御部2により求められる。
Figure 0005240778
Figure 0005240778
ここで、式(3)(4)において、KVRは右車輪12Rの角速度フィードバックゲインを示し、KVLは左車輪12Lの角速度フィードバックゲインを示す。KPRは右車輪12Rの角度フィードバックゲインを示し、KPLは左車輪12Lの角度フィードバックゲインを示す。θRは右車輪12Rの回転角度を示し、θLは左車輪12Lの回転角度を示す。θドットRは右車輪12Rの回転角度を時間で微分した回転角速度を示す。θドットLは左車輪12Lの回転角度を時間で微分した回転角速度を示す。
式(3)によれば、検知された右車輪12Rの回転角速度θドットRと、使用者が指令する右車輪12Rの回転角速度指令値θドットR_refとの差が大きいほど、右車輪12Rの駆動トルクTRが大きい。また式(4)によれば、検知された左車輪12Lの回転角速度θドットLと、使用者が指令する右車輪12Lの回転角速度指令値θドットL_refとの差が大きいほど、左車輪12Lの駆動トルクTLが大きい。
このように求められた右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLに基づいて、ビークル1の前進後進の制御および旋回の制御が制御部2により実現される。すなわち、右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLが基本的に同一であれば、ビークル1は直進する。右車輪12Rの駆動トルクTRが左車輪12Lの駆動トルクTLよりも大きければ、ビークル1は左方に旋回する。左車輪12Lの駆動トルクTLが右車輪12Rの駆動トルクTRがよりも大きければ、ビークル1は右方に旋回する。
なお、右車輪12Rおよび左車輪12Lの車輪径は、基本的には通常ほぼ同じ長さであると考えられるため、次の式(5)が成立する。従って式(1)(2)において式(5)を代入して使用しても良い。
Figure 0005240778
ところで、通常、電動車いす等のパーソナルビークル1の走行速度は、次のように制御部2により求められる。すなわち、右車輪12Rの回転角速度および左車輪12Lの回転角速度は、何らかのセンサ(本実施形態では車輪エンコーダ55R,55L)にて検知されており、回転角速度と車輪半径とを乗じることで、ビークル1の走行速度Venは車輪エンコーダ55R,55Lの検知信号に基づいて制御部2により算出される。しかし、タイヤ空気圧変化、タイヤ磨耗、タイヤ交換等によってタイヤ径の変化が発生しているおそれがある。この場合、車輪エンコーダ55R,55Lに基づいて算出されたビークル1の走行速度Venに誤差が生じるおそれがある。この場合、ビークル1の実際の走行速度が法定の制限速度を超えてしまうおそれがある。例えば、電動車いす等のパーソナルビークルにおいては、法定最高速度が6km/h以下となるように規定されているので、法定最高速度を超えて走行することを回避する必要がある。
そこで時間による加速度の積分は速度に対応するため、加速度計53により得られるビークル1の走行加速度accを積分することにより、ビークル1の走行速度Vaccを推定することが考えられる。ただし、加速度計53はビークル1が走行する路面90の路面傾斜角度α(図2参照)による重力加速度gの影響を受けるおそれがあり、重力加速度gの影響をキャンセルすることが好ましい。路面90の路面傾斜角度αが大きい方が、重力加速度gの影響を受け易い。そこで、路面90の路面傾斜角度αを精度よく推定する方法について以下に述べる。
ここで、本電動車いす等のパーソナルビークルにおいては、車体11のピッチ方向の回転を検知するセンサとして、車体11の前進後進の加速度を検知する加速度計53と、ピッチ軸回りの角速度を検知するレートジャイロ52とが取り付けられている。この加速度計53は車体11が傾斜したときに変化する重力加速度gを検知できるため、傾斜計としての利用が可能である。しかしながら加速度計53は、車体11の前後進の加速度の影響を受けるため、それが加速度計53における計測誤差の要因となる。これに対して、レートジャイロ52が求めたレートジャイロ信号を計算機上で積分することによりピッチ角度情報(図2に示す路面傾斜角度α)が得られるが、積分によるドリフトの累積誤差が問題となる。そのため図4に示すようなフィルタ処理を行うことにより、ビークル1が走行する路面の路面斜度αを精度良く求めることができる。
ここで、車体11の進行方向の加速度計53が出力した加速度出力accは、重力加速度gの影響で路面90の傾斜角度αに応じた加速度を検知する。このため、次の式(6)のように、重力加速度gの影響を回避すべく、重力加速度gの影響による加速度成分をキャンセルし、1階積分を行うことにより、加速度計53の加速度出力accに基づいて車体11の走行速度Vaccが推定される。
Figure 0005240778
ここで、式(6)においてaccは加速度計53からの加速度出力を示す。Vaccは、加速度計53からの加速度出力accを時間で積分して求めたビークル1の走行速度を示す。この場合、前述したように積分誤差が累積するという問題が避けられないおそれがあるため、車輪エンコーダ55R,55Lから検知したビークル1の走行速度Venが0のとき、つまり、ビークル1が停止している停止状態において走行速度Vaccを初期化して0とする。そして、ビークル1の加速が認められてから一定時間aの間のみ、加速度計53の加速度出力accに基づいてビークル1の走行速度Vaccを計算し、Vacc/Venを求める。そして閾値βを考慮し、次の式(8)および式(9)の比較を行う。なお、ビークル1の直進走行時には式(7)が成立する。
Figure 0005240778
Figure 0005240778
Figure 0005240778
すなわち、加速度計53の出力値に基づいた求めたビークル1の走行速度Vaccと、車輪回転角度センサである車輪エンコーダ55R,55Lに基づいて求めたビークル1の走行速度Venとの比の値(Vacc/Ven)を求める。走行速度Vaccおよび走行速度Venに差があるとき、Vacc/Venは1にならない。その値(Vacc/Ven)と一定の値(1+β)または(1−β)とを比較する。そして、その値(Vacc/Ven)が一定の値(1+β)よりも大きいか、その値(Vacc/Ven)が一定の値(1−β)よりも小さいかを判定する。βにより値(Vacc/Ven)の判定感度が調整される。
上記した式(8)(9)を満足させることが所定時間bを超えているとき、右車輪12Rおよび左車輪12Lにおける車輪タイヤ径が変化しており、ビークル1の直進速度追従性が低下していると制御部2により判断される。ここで、式(8)(9)において、Vaccは加速度計53から求めたビークル1の走行速度を示す。Venは車輪エンコーダ55R,55Lから求めたビークル1の走行速度を示す。βは車輪12R,12Lのタイヤ径の変化検知のための閾値を示し、過剰な判定感度になることを抑える。その際、車輪12R,12Lの車輪半径の平均値を更新した車輪半径の更新値R_newを式(10)に基づいて求める。式(10)において、Rは更新された車輪半径を意味する。
Figure 0005240778
このように車輪半径の更新値R_newとして、右車輪12Rの半径R_rおよび左車輪12Lの半径R_lが補正される。従って、補正された右車輪12Rの半径R_rおよび左車輪12Lの半径R_lが上記した式(1)(2)に代入される。よって右車輪12Rの角速度指令値(θドットR_ref)および左車輪12Lの角速度指令値(θドットL_ref)が補正される。ひいては、上記の式(3)に基づいて、右車輪12Rの駆動トルクTRが制御部2により補正され、下記の式(4)に基づいて左車輪12Lの駆動トルクTLが制御部2により補正される。このように補正された右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLに基づいて、ビークル1の前進後進の制御および旋回の制御が実現される。これによりビークル1の走行速度は、法定最高速度のリミット値を超えないように補正される。
(制御則2)
本実施形態が実施する制御則2は次のようである。パーソナルビークルによれば、右車輪12Rおよび左車輪12Lにアンバランスが発生していたり、車体11のフレームに歪みが発生していたりすることがある。その要因としては、右車輪12Rおよび左車輪12Lを構成するタイヤの空気圧による右車輪12Rおよび/または左車輪12Lの径の変動、タイヤの摩耗による径の変動等が挙げられる。上記した場合には、車体11が平地直進するように使用者により操作部14で操作されているときであっても、車体11の平地直進性は損なわれるおそれがある。
そこで本実施形態に係るパーソナルビークル制御装置は、制御則2を実施する。すなわち、レートジャイロ52(センサ)の信号によってビークル1が平地直進していると制御部2により判定されるとき、レートジャイロ52(センサ)で検知されたヨー軸に対する車体11の旋回に関する物理量(旋回角速度ωgyro)と、車輪エンコーダ55R(右車輪センサ)および車輪エンコーダ55L(左車輪センサ)に基づいて求められた車体11の旋回に関する物理量(旋回角速度ωen)とを求める。そして両者の差または両者の比率が所定値以上で、且つ、所定時間d以上継続するとき、右車輪12Rの径および左車輪12Lの径のアンバランスまたは車体11のフレームのアンバランスが発生していると制御部2は推定する。これにより右車輪12Rおよび左車輪12Lの旋回に関する指令値を補正する第2補正処理が制御部2により実施される。これにより車体11の平地直進性が確保される。
以下、上記した制御則2について説明を更に加える。すなわち、レートジャイロ52から求めたビークル1の旋回角速度ωgyroを求め、且つ、車輪エンコーダ55R,55Lから計算で求めたビークル1の旋回角速度ωenと求める。更に両者の差の絶対値|ωgyro−ωen|を求め、その差の絶対値と閾値βωとを(式11)に基づいて、制御部2は監視する。なお、βωは、右車輪12Rおよび左車輪12Lのタイヤ径のアンバランスを検知するための閾値を示す。
Figure 0005240778
上記した式(11)が所定時間d以上継続する場合には、右車輪12Rおよび左車輪12Lのタイヤ径のアンバランスが生じていると制御部2により判断される。ここで、旋回角速度の差(ωgyro−ωen)が大きいほど、右車輪12Rの車輪半径と左車輪12Lの車輪半径との差が大きく、平地におけるビークル1の直進走行性が損なわれていると考えられる。なお、右車輪12Rの車輪半径と左車輪12Lの車輪半径との差R_diff_newは、式(12)に基づいて求められる。
Figure 0005240778
なお、式(10)(12)において計算された値を用いて、右車輪12Rの半径R_rは、下記の式(13)のように補正されて更新される。
Figure 0005240778
Figure 0005240778
左車輪12Lの半径R_lは、下記の式(14)のように補正されて更新される。そして、右車輪12Rの半径R-_r、左車輪12Lの半径R_lが前記した式(1)(2)に代入されることにより、右車輪12Rの回転の角速度指令値θドットR_refが補正され、且つ、左車輪12Lの回転の角速度指令値θドットL_refが補正される。これにより前記した式(3)(4)に基づいて、右車輪12Rの車輪径および左車輪12Lの車輪径に応じて、右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLが制御部2により補正され、平地におけるビークル1の直進走行性が補正される。
(制御則3)
制御則3は、カント走行時に行うビークル1のずり落ちを防止する制御である。図5に示すように路面90のロール角度が大きいとき、ビークル1が図5の紙面の垂直方向に沿って走行(つまりカント走行)する場合には、ビークル1のヨー軸回りのモーメントが発生するおそれがある。この場合、ビークル1に着座している使用者が操作部14(ジョイスティック)により路面90を横切る方向(図5の紙面の垂直方向)に直進走行指令を制御部2に出力させているにもかかわらず、路面90の斜面下方へ向けてビークル1が重力の影響で落ち込むおそれがある。
そこで、レートジャイロ52により検知されるビークル1の旋回角速度ωが制御部2により求められる。更に、使用者が操作する操作部14に基づく旋回角速度指令値ωrefが求められる。更に、旋回角速度指令値ωrefと旋回角速度ωとの差(ωref−ω)を求める。差(ωref−ω)が大きいほど、路面90をカント走行するビークル1は落ち込むおそれがある。
そして、式(15)は、差(ωref−ω)を考慮しつつ、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refを求める。更に、式(16)は、差(ωref−ω)を考慮しつつ、左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refを求める。ここで、制御部2は、差(ωref−ω)を減少させるように(好ましくは0にさせるように)、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refを補正し、且つ、左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refを補正する。
これにより前記した式(3)(4)に基づいて、右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLが制御部2により補正される。従って、カント走行におけるビークル1の直進走行性が補正され、路面90をカント走行するビークル1のずり落ちが抑制される。
ここで、式(15)(16)に基づけば、差(ωref−ω)が大きいほど、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refと左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refとの差が増加する。且つ、差(ωref−ω)が小さいほど、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refと左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refとの差が減少する。このためカント走行のときには、差(ωref−ω)を減少させるように、好ましくは0にさせるようにすることが好ましい。
Figure 0005240778
Figure 0005240778
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を奏する。制御部2は次の制御則1(図6参照)、制御則2(図7参照)および制御則3(図8参照)を実施する。
(制御則1)
車輪12R,12Lが交換されるときには、車輪径が変化するおそれがある。このため、車輪エンコーダ55R,55Lに基づいて算出されるビークル1の走行速度Venは、前述したようにビークル1の真実の速度を示さないおそれがある。そこで、図6に示すように、ビークル1の電源がオンされると(ステップS102のYES)、車輪エンコーダ55R,55Lに基づいて算出されるビークル1の走行速度Venが0か否か制御部2は判定(ステップS104)する。車輪エンコーダ55R,55Lに基づいて算出されるビークル1の走行速度Venが0であるとき(ステップS104のYES)、制御部2は、加速度計53の出力値の積分により得られるビークル1の走行加速度Vaccを初期化させる(ステップS106)。
更に、レートジャイロ52により、ビークル1が平地直進の最高速度以内か否かを判定する(ステップS108)。ビークル1が平地直進の最高速度以内であれば(ステップS108のYES)、前記した式(6)のように、重力加速度gの影響による加速度成分をキャンセルし、1階積分を行うことにより、加速度出力accの積分値に基づいてビークル1の走行速度Vaccを制御部2は求める(ステップS110)。次に、初期化からの経過時間が所定時間a以内か制御部2は判定する(ステップS112)。次に、制御部2は、車輪エンコーダ55R,55Lの出力値に基づいてビークル1の走行速度Venを求める(ステップS114)。次に、走行加速度Vaccと走行速度Venとの間における差分または比率を求める(ステップS116)。差分は、Vacc−Venとすることができる。比率は、Vacc/Venとすることができる。
差分または比率が初期値または前回値と差があるか否か、制御部2は判定する(ステップS118)。差があれば(ステップS118のYES)、所定時間b以上継続するか否かを判定する(ステップS120)。所定時間b以上継続していれば(ステップS120のYES)、右車輪12Rおよび/または左車輪12Lにおける車輪タイヤ径が変化しており、ビークル1の車体走行速度が変化していると、制御部2は判断する。次に、ビークル1の車体走行速度の最高速度リミット値が制限速度を越えないように、最高速度リミット値を補正する(ステップS122)。具体的には、前記した式(10)に基づいて、車輪半径の更新値R_newとして、右車輪12Rの半径R_rおよび左車輪12Lの半径R_lが補正される。従って、補正された右車輪12Rの半径R_rおよび左車輪12Lの半径R_lが上記した式(1)(2)に代入される。よって右車輪12Rの角速度指令値(θドットR_ref)および左車輪12Lの角速度指令値(θドットL_ref)が補正される。ひいては、上記の式(3)に基づいて、右車輪12Rの駆動トルクTRが制御部2により補正され、下記の式(4)に基づいて左車輪12Lの駆動トルクTLが制御部2により補正される。このように補正された右車輪12Rの駆動トルクTRおよび左車輪12Lの駆動トルクTLに基づいて、ビークル1の前進後進の制御が実現される。これによりビークル1の走行速度は、法定最高速度のリミット値を超えないように補正される。
(制御則2)
パーソナルビークルによれば、右車輪12Rおよび左車輪12Lにアンバランスが発生していたり、車体11のフレームに歪みが発生していたりすることがある。その要因としては、右車輪12Rおよび左車輪12Lを構成するタイヤの空気圧による右車輪12Rおよび/または左車輪12Lの径の変動、タイヤの摩耗による径の変動等が挙げられる。上記した場合には、ビークル1が平地直進するように操作されているときであっても、ビークル1の平地直進性は損なわれるおそれがある。
そこで本実施形態に係るパーソナルビークル制御装置は制御則2(図7参照)を実施する。すなわち、制御部2は操作部14の操作指令信号を読み込む(ステップS202)。制御部2は、ビークル1が平地直進指令か否かを判定する(ステップS204)。平地直進指令であれば(ステップS204のYES)、制御部2は、レートジャイロ52の出力値から旋回角速度ωgyRoを求め(ステップS206)、且つ、車輪エンコーダ55R,55Lの出力値から旋回角速度ωenを求める(ステップS208)。更に、制御部2は、旋回角速度ωgyroと旋回角速度ωenとの間における差分または比率を求める(ステップS210)。その差分または比率が初期値または前回測定値(閾値)と差があるか否か、制御部2は判定する(ステップS212)。さらに所定時間d以上継続しているか否かを、制御部2は判定する(ステップS214)。そして、所定時間d以上継続していれば(ステップS214のYES)、右車輪12Rおよび左車輪12Lのタイヤ径のアンバランスが生じていると判断される。このため右の車輪12Rの車輪径と左の車輪12Lの車輪径との差R_diff_newを、制御部2は求める(ステップS216)。
右車輪12Rの半径R_lは、前記の式(13)のように補正されて更新され、且つ、左車輪12Lの半径R_lは、前記の式(14)のように補正されて更新される(ステップS218)。そして、制御部2は、右車輪12Rの補正した半径R-_r、左車輪12Lの補正した半径R_lを前記した式(1)(2)に代入することにより、右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refを補正し、且つ、左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refを補正する(ステップS220)。更に、制御部2は、式(3)(4)に基づいて、右車輪12Rの駆動トルクTRを補正し、且つ、左車輪12Lの駆動トルクTLを補正する(ステップS222)。これによりビークル1が平地を直進走行するときにおいて、ビークル1の走行速度やビークル1の直進走行性を補正することができる。
(制御則3)
カント走行時に行うビークルの1のずり落ちを防止する制御について説明する。前述したように、図5に示すような路面90のロール角度が大きいカント走行をする場合には、ビークル1のヨー軸回りのモーメントが発生するおそれがある。ビークル1に着座している使用者が操作部14(例えばジョイスティック)により、ビークル1を直進走行させる指令させているにもかかわらず、路面90の斜面下方へビークル1がずり落ちることが発生するおそれがある。
そこで、制御部2は図8に示す制御則3を実施し、路面90のロール角度を読み込む(ステップS302)。路面90のロール角度が一定以上であれば(ステップS304のYES)、制御部2は、レートジャイロ52により検知されるビークル1の旋回角速度ωを求める(ステップS304)。次に、制御部2は、操作部14に基づく旋回角速度指令値ωrefを求める(ステップS306)。更に、制御部2は、操作部14に基づく旋回角速度指令値ωrefとレートジャイロ52により検知されるビークル1の旋回角速度ωとの差または比率を求める(ステップS308)。そして、差または比率が一定値以上あれば(ステップS310のYES)、制御部2は、上記した式(15)に基づいて、使用者が指令した右車輪12Rの角速度指令値θドットR_refを補正し、且つ、式(16)に基づいて、使用者が指令した左車輪12Lの角速度指令値θドットL_refを補正する(ステップS312)。更に、制御部2は、前記した式(3)(4)に基づいて、右車輪12Rの駆動トルクTRを補正し、且つ、左車輪12Lの駆動トルクTLを補正する(ステップS314)。これにより路面90においてカント走行しているビークル1のずり落ちが抑制される。
(実施形態3)
本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。本実施形態は上記した制御則2および制御則3を実施する。
(実施形態4)
本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。本実施形態は上記した制御則3を実施する。
(実施形態5)
本実施形態は前記した実施形態1,2と基本的には同様の構成および同様の作用効果を奏する。本実施形態は上記した制御則2を実施する。
(その他)本明細書の記載からの次の技術的思想も把握できる。
[付記項1]使用者が着座する着座部を有する車体と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の右側の右車輪と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の左側の左車輪とを有するパーソナルビークルを制御するパーソナルビークル制御装置であって、パーソナルビークルの前記車体に装備され、前記車体の走行および/または旋回に関する指令値および前記車体の旋回に関する指令値が入力される操作部と、車体のロール軸に対するロール角に関する物理量および車体のヨー軸に対するヨー角に関する物理量を検知するためのセンサと、車体の右車輪の回転速度に関する物理量を検知するための右車輪センサと、車体の左車輪の回転速度に関する物理量を検知するための左車輪センサと、制御部とを具備するパーソナルビークル制御装置。
[付記項2]付記項1において、制御部は、車体が平地直進していると判定されるとき、センサで検知されたヨー軸に対する前記車体の旋回に関する物理量と、右車輪センサおよび左車輪センサに基づいて求められた車体の旋回に関する物理量とを求め、両者の差または比率が所定値以上で且つ所定時間以上継続するとき、右車輪の径および左車輪の径のアンバランスまたは車体のフレームのアンバランスが発生していると推定し、右車輪および左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第2補正処理を実施することを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
[付記項3]付記項1または2において、車体の走行の加速度を検知する加速度計が設けられおり、制御部は、加速度計の計測値を積分した積分値に基づく車体走行速度と、右車輪センサおよび左車輪センサに基づく車体走行速度とを求め、両者の差が存在し、差が一定時間以上継続するとき、右車輪および/または左車輪の車輪径が変化したと推定し、車輪径の変化に応じて車体走行速度の最高速度リミット値を補正することを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
本発明は、電動式の車いす、個人用乗物等に代表されるパーソナルビークルに利用することができる。
1はビークル1、10は着座部、11は車体、12は車輪、12Rは右の車輪、12Lは左の車輪、13は車輪モータ(駆動源)、14は操作部、15は前輪、2は制御部、23はCPU、13Rは右の車輪モータ(第1駆動源)、13Lは左の車輪モータ(第2駆動源)、14は操作部、142は速度指令部、143は旋回角度指令部、52はレートジャイロ(センサ)、53は加速度計(センサ)、55Rは右の車輪エンコーダ(車輪センサ)、55Lは左の車輪エンコーダ(車輪センサ)を示す。

Claims (5)

  1. 使用者が着座する着座部を有する車体と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の右側の右車輪と、前記車体に設けられ前記着座部に着座する使用者の左側の左車輪とを有するパーソナルビークルを制御するパーソナルビークル制御装置であって、
    前記パーソナルビークルの前記車体に装備され、前記車体の走行および/または旋回に関する指令値および前記車体の旋回に関する指令値が入力され、入力された指令値の信号を制御部に出力する操作部と、
    前記車体のロール軸に対するロール角に関する物理量および前記車体のヨー軸に対するヨー角に関する物理量を検知するためのセンサと、
    前記車体の前記右車輪の回転速度に関する物理量を検知するための右車輪センサと、
    前記車体の前記左車輪の回転速度に関する物理量を検知するための左車輪センサと、
    前記センサで検知された前記車体のロール角が所定値以上であるとき、前記操作部に基づいて入力された前記車体の旋回角度に関する指令値と、前記センサで検知されたヨー軸に対する車体の旋回角度に関する物理量とを求め、両者の物理量の差に基づいてカント走行時における前記車体のずり落ちの有無を推定し、前記差を小さくさせるように、前記右車輪の走行および/または旋回に関する指令値、前記左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第1補正処理を実施する制御部とを具備することを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
  2. 請求項1において、前記センサは、レートジャイロおよび加速度センサであり、
    前記制御部は、前記レートジャイロおよび前記加速度センサの信号をフィルタリングした値に基づき、前記車体のロール角とヨー角とピッチ角の少なくとも一つを求めることを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
  3. 請求項1において、前記センサは、レートジャイロであり、前記右車輪センサおよび前記左車輪センサは前記右車輪および前記左車輪の回転角度を検知する回転角度センサであることを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
  4. 請求項1〜のうちの一項において、前記制御部は、
    前記車体が平地直進していると判定されるとき、前記センサで検知されたヨー軸に対する前記車体の旋回に関する物理量と、前記右車輪センサおよび前記左車輪センサに基づいて求められた前記車体の旋回に関する物理量とを求め、両者の差または比率が所定値以上で且つ所定時間以上継続するとき、前記右車輪の径および前記左車輪の径のアンバランスまたは前記車体のフレームのアンバランスが発生していると推定し、前記右車輪および前記左車輪の走行および/または旋回に関する指令値を補正する第2補正処理を実施することを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
  5. 請求項1〜のうちの一項において、前記車体の走行の加速度を検知する加速度計が設けられおり、前記制御部は、前記加速度計の計測値を積分した積分値に基づく車体走行速度と、前記右車輪センサおよび前記左車輪センサに基づく車体走行速度とを求め、両者の差が存在し、前記差が一定時間以上継続するとき、前記右車輪および/または前記左車輪の車輪径が変化したと推定し、車輪径の変化に応じて車体走行速度の最高速度リミット値を補正することを特徴とするパーソナルビークル制御装置。
JP2009038987A 2009-02-23 2009-02-23 パーソナルビークル制御装置 Active JP5240778B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009038987A JP5240778B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 パーソナルビークル制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009038987A JP5240778B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 パーソナルビークル制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010193939A JP2010193939A (ja) 2010-09-09
JP5240778B2 true JP5240778B2 (ja) 2013-07-17

Family

ID=42819320

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009038987A Active JP5240778B2 (ja) 2009-02-23 2009-02-23 パーソナルビークル制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5240778B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2486179B (en) 2010-12-03 2014-12-17 Penny & Giles Controls Ltd Front wheel drive motorised vehicle control using acceleration measurements
JP6115893B2 (ja) * 2012-03-26 2017-04-19 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル制御装置
WO2014045859A1 (ja) * 2012-09-18 2014-03-27 株式会社村田製作所 手押し車
JP6120370B2 (ja) * 2013-07-26 2017-04-26 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル
JP6119483B2 (ja) * 2013-07-26 2017-04-26 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル
JP6115776B2 (ja) * 2013-07-26 2017-04-19 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル
JP6156691B2 (ja) * 2013-07-26 2017-07-05 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル
JP6115775B2 (ja) * 2013-07-26 2017-04-19 アイシン精機株式会社 パーソナルビークル
WO2017037898A1 (ja) * 2015-09-02 2017-03-09 ヤマハ発動機株式会社 電動アシスト車椅子および電動アシスト車椅子の制御方法
US10118543B2 (en) * 2016-11-11 2018-11-06 Bendix Commercial Vehicle Systems Llc Apparatus and method for controlling a vehicle trailer directional motion indicator
WO2019053859A1 (ja) 2017-09-14 2019-03-21 ヤマハ発動機株式会社 電動アシスト車いす、車いす用電動アシストユニット、電動アシスト車いすの制御装置、電動アシスト車いすの制御方法、プログラム、及び端末

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH01215655A (ja) * 1988-02-24 1989-08-29 Sumitomo Electric Ind Ltd 自動車用ブレーキ制御システム
JP2780887B2 (ja) * 1992-01-31 1998-07-30 本田技研工業株式会社 車両のタイヤ空気圧判定装置
JPH0999017A (ja) * 1995-10-02 1997-04-15 Aisin A W Kogyo Kk 電動補助動力付き車椅子
JPH11262112A (ja) * 1998-03-13 1999-09-24 Yaskawa Electric Corp 電動台車
JP2000014714A (ja) * 1998-07-01 2000-01-18 Sony Corp 移動装置
JP2003052760A (ja) * 2001-08-09 2003-02-25 Fuji Heavy Ind Ltd 車椅子の補助動力制御装置
JP2004009895A (ja) * 2002-06-06 2004-01-15 Sumitomo Metal Ind Ltd 車体傾斜制御のフェール検知装置及び鉄道車両
JP3922554B2 (ja) * 2002-09-25 2007-05-30 松下電工株式会社 パワーアシスト付運搬車
JP2004148910A (ja) * 2002-10-29 2004-05-27 Honda Motor Co Ltd 空気圧低下の検知装置およびこれを用いて行われるセンサの補正方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010193939A (ja) 2010-09-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6115893B2 (ja) パーソナルビークル制御装置
JP5240778B2 (ja) パーソナルビークル制御装置
JP5752379B2 (ja) 乗物のバンク角検出装置
US10330469B2 (en) Bank angle detection device for vehicle
WO2013031796A1 (ja) シート装置
JPWO2003095261A1 (ja) 車両制御方法及び車両制御装置
JP4127062B2 (ja) 横加速度センサのドリフト量推定装置、横加速度センサの出力補正装置及び路面摩擦状態推定装置
JP6120370B2 (ja) パーソナルビークル
US10852315B2 (en) Ground speed detection device for vehicle
WO2008032587A1 (fr) Vehicule
JP6603953B2 (ja) 車両
JP6715341B2 (ja) ステアリングトルク推定装置
JP2010095354A (ja) フォークリフトの速度制限装置
US10981617B2 (en) Inverted pendulum type vehicle
US10625777B2 (en) Attitude control system
JP6032871B2 (ja) 自走車両
GB2415174A (en) Automatic vehicle steering system for traversing obtacles
CN112930297B (zh) 方向盘角度控制装置
JP5460325B2 (ja) 車輪を選択的に制動する第1手段と、後輪を旋回させる第2手段とを備えた自動車の進路を補正する装置
JP2009067377A (ja) 車両判定装置
JP5146427B2 (ja) 車両用制御装置
JP6115775B2 (ja) パーソナルビークル
JP6056142B2 (ja) 車両姿勢判定装置
WO2022044074A1 (ja) 電動パワーステアリング装置、電動パワーステアリング装置用の制御装置及びプログラム
JP2006282065A (ja) 車両挙動制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110801

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20110801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121218

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130214

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130312

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130327

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160412

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5240778

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250