以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における車両用制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFを支持する複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2を車体フレームBFに懸架する複数の懸架装置4と、複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を操舵する操舵装置5とを主に備えて構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の前方側(矢印F方向側)に位置する左右の前輪2FL,2FRと、車両1の後方側(矢印B方向側)に位置する左右の後輪2RL,2RRとを備えている。なお、本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FRは、車輪駆動装置3により回転駆動される駆動輪として構成される一方、左右の後輪2RL,2RRは、車両1の走行に伴って従動される従動輪として構成されている。
また、車輪2は、図1に示すように、第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備え、各車輪2において、第1トレッド21が車両1の内側に配置され、第2トレッド22が車両1の外側に配置されている。なお、本実施の形態では、両トレッド21,22の幅(図1左右方向の寸法)が同一の幅に構成されている。
また、第1トレッド21及び第2トレッド22は、第2トレッド22が第1トレッド21よりも硬度の高い材料により構成され、第1トレッド21が第2トレッド22に比してグリップ力の高い特性(高グリップ特性)に構成される一方、第2トレッド22が第1トレッド21に比して転がり抵抗の小さい特性(低転がり特性)に構成されている。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FRを回転駆動するための装置であり、後述するように電動モータ3aにより構成されている(図3参照)。また、電動モータ3aは、図1に示すように、デファレンシャルギヤ(図示せず)及び一対のドライブシャフト31を介して左右の前輪2FL,2FRに接続されている。
運転者がアクセルペダル61を操作した場合には、車輪駆動装置3から左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力が付与され、それら左右の前輪2FL,2FRがアクセルペダル61の操作量に応じて回転駆動される。なお、左右の前輪2FL,2FRの回転差は、デファレンシャルギヤにより吸収される。
懸架装置4は、路面から車輪2を介して車体フレームBFに伝わる振動を緩和するための装置、いわゆるサスペンションとして機能するものであり、伸縮可能に構成され、図1に示すように、各車輪2に対応してそれぞれ設けられている。また、本実施の形態における懸架装置4は、車輪2のキャンバ角を調整するキャンバ角調整機構としての機能を兼ね備えている。
ここで、図2を参照して、懸架装置4の詳細構成について説明する。図2は、懸架装置4の正面図である。なお、ここでは、キャンバ角調整機構として機能する構成のみについて説明し、サスペンションとして機能する構成については周知の構成と同様であるので、その説明を省略する。また、各懸架装置4の構成は、各車輪2においてそれぞれ共通であるので、右の前輪2FRに対応する懸架装置4を代表例として図2に図示する。但し、図2では、理解を容易とするために、ドライブシャフト31等の図示が省略されている。
懸架装置4は、図2に示すように、ストラット41及びロアアーム42を介して車体フレームBFに支持されるナックル43と、駆動力を発生するFRモータ44FRと、そのFRモータ44FRの駆動力を伝達するウォームホイール45及びアーム46と、それらウォームホイール45及びアーム46から伝達されるFRモータ44FRの駆動力によりナックル43に対して揺動駆動される可動プレート47とを主に備えて構成されている。
ナックル43は、車輪2を操舵可能に支持するものであり、図2に示すように、上端(図2上側)がストラット41に連結されると共に、下端(図2下側)がボールジョイントを介してロアアーム42に連結されている。
FRモータ44FRは、可動プレート47に揺動駆動のための駆動力を付与するものであり、DCモータにより構成され、その出力軸44aにはウォーム(図示せず)が形成されている。
ウォームホイール45は、FRモータ44FRの駆動力をアーム46に伝達するものであり、FRモータ44FRの出力軸44aに形成されたウォームに噛み合い、かかるウォームと共に食い違い軸歯車対を構成している。
アーム46は、ウォームホイール45から伝達されるFRモータ44FRの駆動力を可動プレート47に伝達するものであり、図2に示すように、一端(図2右側)が第1連結軸48を介してウォームホイール45の回転軸45aから偏心した位置に連結される一方、他端(図2左側)が第2連結軸49を介して可動プレート47の上端(図2上側)に連結されている。
可動プレート47は、車輪2を回転可能に支持するものであり、上述したように、上端(図2上側)がアーム46に連結される一方、下端(図2下側)がキャンバ軸50を介してナックル43に揺動可能に軸支されている。
上述したように構成される懸架装置4によれば、FRモータ44FRが駆動されると、ウォームホイール45が回転すると共に、ウォームホイール45の回転運動がアーム46の直線運動に変換される。その結果、アーム46が直線運動することで、可動プレート47がキャンバ軸50を揺動軸として揺動駆動され、車輪2のキャンバ角が調整される。
なお、本実施の形態では、各連結軸48,49及びウォームホイール45の回転軸45aが、車体フレームBFから車輪2に向かう方向(矢印R方向)において、第1連結軸48、回転軸45a、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第1キャンバ状態と、回転軸45a、第1連結軸48、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第2キャンバ状態(図2に示す状態)とのいずれか一方のキャンバ状態となるように車輪2のキャンバ角が調整される。
これにより、車輪2のキャンバ角が調整された状態では、車輪2に外力が加わったとしても、アーム46を回動させる方向の力は発生せず、車輪2のキャンバ角を維持することができる。
また、本実施の形態では、第1キャンバ状態において、車輪2のキャンバ角がマイナス方向の所定の角度(本実施の形態では−3°、以下「第1キャンバ角」と称す)に調整され、車輪2にネガティブキャンバが付与される。これにより、第1キャンバ状態では、第2トレッド22の接地に対する第1トレッド21の接地比率が大きくなり、第1トレッド21の高グリップ特性を発揮させることができる。
一方、第2キャンバ状態(図2に示す状態)では、車輪2のキャンバ角が0°(以下「第2キャンバ角」と称す)に調整される。これにより、第2キャンバ状態では、キャンバスラストの影響を回避することができる。また、第2トレッド22は、第1トレッド21よりも硬度の高い材料により構成されているので、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角に調整された場合には、第1トレッド21の接地が第2トレッド22によって妨げられる。これにより、第1トレッド21の接地に対する第2トレッド22の接地比率が大きくなり、第2トレッド22の低転がり特性を発揮させることができる。
図1に戻って説明する。操舵装置5は、運転者によるステアリング63の操作を左右の前輪2FL,2FRに伝えて操舵するための装置であり、いわゆるラック&ピニオン式のステアリングギヤとして構成されている。
この操舵装置5によれば、運転者によるステアリング63の操作(回転)は、まず、ステアリングコラム51を介してユニバーサルジョイント52に伝達され、ユニバーサルジョイント52により角度を変えられつつステアリングボックス53のピニオン53aに回転運動として伝達される。そして、ピニオン53aに伝達された回転運動は、ラック53bの直線運動に変換され、ラック53bが直線運動することで、ラック53bの両端に接続されたタイロッド54が移動する。その結果、タイロッド54がナックル55を押し引きすることで、車輪2に所定の舵角が付与される。
アクセルペダル61及びブレーキペダル62は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル61,62の操作状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3が駆動制御される。ステアリング63は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(ステア角、ステア角速度など)に応じて、操舵装置5により左右の前輪2FL,2FRが操舵される。
同様に、疲労スイッチ89は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(操作位置など)に応じて、キャンバ角調整装置44が作動制御される。なお、疲労スイッチ89がオンされた状態は、運転者が疲れている状態に対応する。
車両用制御装置100は、上述したように構成される車両1の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62やステアリング63の操作状態に応じてキャンバ角調整装置44(図3参照)を作動制御する。
次いで、図3を参照して、車両用制御装置100の詳細構成について説明する。図3は、車両用制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置100は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図4から図7に図示されるフローチャートのプログラム)や固定値データ等を記憶する書き換え不能な不揮発性のメモリであり、図3に示すように、疲労状態閾値メモリ72aが設けられている。
疲労状態閾値メモリ72aは、運転者が疲れているか否かを判断するための判断基準となる閾値を記憶するメモリであり、後述する疲労状態検出装置82により検出される運転者の疲労状態に関する各種情報、継続走行状態検出装置83により検出される車両1の継続走行状態、アクセルペダルセンサ装置61a及びブレーキペダルセンサ装置62a並びにステアリングセンサ装置63aにより検出されるアクセルペダル61ブレーキペダル62並びにステアリング63の各操作量、等にそれぞれ対応する閾値が記憶されている。
RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図3に示すように、キャンバフラグ73a、状態量フラグ73b、疲労状態フラグ73c、偏摩耗荷重フラグ73d及び履歴メモリ73eが設けられている。
キャンバフラグ73aは、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあるか否かを示すフラグであり、CPU71は、このキャンバフラグ73aがオンである場合に、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあると判断する。
状態量フラグ73bは、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを示すフラグであり、後述する状態量判断処理(図4参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における状態量フラグ73bは、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この状態量フラグ73bがオンである場合に、車両1の状態量が所定の状態量以上であると判断する。
疲労状態フラグ73cは、運転者が疲れているか否かを示すフラグであり、後述する疲労状態判断処理(図5参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、この疲労状態フラグ73cがオンである場合に、運転者が疲れていると判断する。
偏摩耗荷重フラグ73dは、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角の状態、即ち、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、車輪2の接地荷重がタイヤ(第1トレッド21又は第2トレッド22)に偏摩耗を引き起こす恐れのある接地荷重(以下「偏摩耗荷重」と称す)であるか否かを示すフラグであり、後述する偏摩耗荷重判断処理(図6参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、この偏摩耗荷重フラグ73dがオンである場合に、車輪2の接地荷重がタイヤに偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であると判断する。
履歴メモリ73eは、各種データの所定の時間分の履歴を記憶するためのメモリであり、後述する疲労状態検出装置82により検出される運転者の疲労状態に関する各種情報、アクセルペダルセンサ装置61a及びブレーキペダルセンサ装置62a並びにステアリングセンサ装置63aにより検出されるアクセルペダル61ブレーキペダル62並びにステアリング63の各操作量、等の履歴をそれぞれ記憶可能に構成されている。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FR(図1参照)を回転駆動するための装置であり、それら左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与する電動モータ3aと、その電動モータ3aをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。但し、車輪駆動装置3は、電動モータ3aに限られず、他の駆動源を採用することは当然可能である。他の駆動源としては、例えば、油圧モータやエンジン等が例示される。
キャンバ角調整装置44は、各車輪2のキャンバ角を調整するための装置であり、上述したように、各懸架装置4の可動プレート47(図2参照)に揺動のための駆動力をそれぞれ付与する合計4個のFL〜RRモータ44FL〜44RRと、それら各モータ44FL〜44RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。
加速度センサ装置80は、車両1の加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後方向加速度センサ80a及び左右方向加速度センサ80bと、それら各加速度センサ80a,80bの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
前後方向加速度センサ80aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1矢印F−B方向)の加速度、いわゆる前後Gを検出するセンサであり、左右方向加速度センサ80bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1矢印L−R方向)の加速度、いわゆる横Gを検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ80a,80bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
また、CPU71は、加速度センサ装置80から入力された各加速度センサ80a,80bの検出結果(前後G、横G)を時間積分して、2方向(前後方向および左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで、車両1の走行速度を算出する。
ジャイロセンサ装置81は、車両1のロール角、ピッチ角、ヨー角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る基準軸(図1矢印F−B,L−R,F−B方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)をそれぞれ検出するジャイロセンサ(図示せず)と、そのジャイロセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、本実施の形態では、ジャイロセンサがサニャック効果により回転角速度および回転角を検出する光学式ジャイロセンサにより構成されている。但し、他の種類のジャイロセンサを採用することは当然可能である。他の種類のジャイロセンサとしては、例えば、機械式や流体式などのジャイロセンサが例示される。
また、CPU71は、ジャイロセンサ装置81から入力されたジャイロセンサの検出結果(ヨー角)を時間積分して、車両1の重心を通る鉛直軸(図1矢印U−D方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角速度(ヨーレート)を算出する。
疲労状態検出装置82は、運転者の疲労状態に関する情報を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、運転者のまばたきや目の動きを検出するアイカメラ82aと、運転者の姿勢を検出する姿勢カメラ82bと、運転者の体温を非接触で検出する体温センサ82cと、運転者の運転席(図示せず)への着座荷重を検出する着座荷重センサ82dと、それら各カメラ82a,82b及び各センサ82c,82dの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
CPU71は、疲労状態検出装置82から入力されたアイカメラ82aの検出結果に基づいて、所定の時間内における運転者のまばたきや目の動きが所定の回数以上となった場合に、運転者が疲れていると判断する。また、姿勢カメラ82bの検出結果に基づいて、運転者が肩や首を回したり体を左右に振ることで、運転者の姿勢が基本姿勢を示す輪郭から外れた場合に、運転者が疲れていると判断する。更に、CPU71は、疲労状態検出装置82から入力された体温センサ82cの検出結果に基づいて、運転者の体温が所定の温度以上となった場合に、運転者が疲れていると判断する。また、着座センサ82dの検出結果に基づいて、運転者が運転席への着座位置を変えることで、所定の時間内における着座荷重の変化が所定の回数以上となった場合に、運転者が疲れていると判断する。
継続走行状態検出装置83は、車両1の継続走行状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の継続走行距離を検出する継続走行距離検出部83aと、車両1の継続走行時間を検出する継続走行時間検出部83bと、それら各検出部83a,83bの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
但し、継続走行状態検出装置83は、新車時から積算した車両1の走行距離や走行時間を検出するものではなく、車両用制御装置100の電源が新たに投入されてから車両1が走行した乗車1回当たりでの走行距離や走行時間を検出するものであり、安全確認や信号待ち等のためによる一時的な停車も含め継続走行状態として検出可能に構成されている。
ナビゲーション装置84は、GPSを利用して車両1の現在位置を取得すると共に、車両1の現在位置における道路情報を取得するための装置であり、GPS衛星から電波を受信して車両1の現在位置を取得する現在位置取得部(図示せず)と、道路情報が記憶された地図データを取得する地図データ取得部(図示せず)と、その地図データ取得部により取得した地図データ及び現在位置取得部により取得した車両1の現在位置に基づいて、車両1の現在位置における道路情報を取得する道路情報取得部(図示せず)と、その道路情報取得部により取得した車両1の現在位置における道路情報を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
また、ナビゲーション装置84は、車両1の現在位置から目的地までの走行経路を案内するための機能を兼ね備えており、現在位置取得部により取得した車両1の現在位置および地図データ取得部により取得した地図データに基づいて、目的地までの走行経路を導出する走行経路導出部(図示せず)と、その走行経路導出部により導出された目的地までの走行経路および現在位置取得部により取得した車両1の現在位置に基づいて、目的地までの残りの走行距離および目的地に到着するまでに必要と推定される残りの走行時間を算出する走行条件算出部(図示せず)とを主に備えている。
交通情報取得装置85は、各種情報をFM文字多重放送や道路上の発信器からリアルタイムに送信するシステムを利用して交通情報を取得するための装置であり、信号を受信する受信部(図示せず)と、その受信部により受信した信号を処理して交通情報を取得する交通情報取得部(図示せず)と、その交通情報取得部により取得した交通情報を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
CPU71は、交通情報取得装置85から入力された交通情報およびナビゲーション装置84により取得した車両1の現在位置に基づいて、車両1の現在位置付近における渋滞情報を取得する。
サスストロークセンサ装置86は、各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各懸架装置4の伸縮量をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RRサスストロークセンサ86FL〜86RRと、それら各サスストロークセンサ86FL〜86RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各サスストロークセンサ86FL〜86RRがひずみゲージにより構成されており、これら各サスストロークセンサ86FL〜86RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
CPU71は、サスストロークセンサ装置86から入力された各サスストロークセンサ86FL〜86RRの検出結果(伸縮量)に基づいて、各車輪2の接地荷重を取得する。即ち、車輪2の接地荷重と懸架装置4の伸縮量とは比例関係を有しているので、懸架装置4の伸縮量をXとし、懸架装置4の減衰定数をkとすると、車輪2の接地荷重Fは、F=kXとなる。
接地荷重センサ装置87は、各車輪2の接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の接地荷重をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RR接地荷重センサ87FL〜87RRと、それら各接地荷重センサ87FL〜87RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各接地荷重センサ87FL〜87RRがピエゾ抵抗型の荷重センサとして構成されており、これら各接地荷重センサ87FL〜87RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
サイドウォール潰れ代センサ装置88は、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RRサイドウォール潰れ代センサ88FL〜88RRと、それら各サイドウォール潰れ代センサ88FL〜88RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各サイドウォール潰れ代センサ88FL〜88RRがひずみゲージにより構成されており、これら各サイドウォール潰れ代センサ88FL〜88RRは、各車輪2内にそれぞれ配設されている。
疲労スイッチセンサ装置89aは、疲労スイッチ89の操作状態を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、疲労スイッチ89の操作状態(操作位置)を検出するポジショニングセンサ(図示せず)と、そのポジショニングセンサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
アクセルペダルセンサ装置61aは、アクセルペダル61の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル61の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ブレーキペダルセンサ装置62aは、ブレーキペダル62の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ステアリングセンサ装置63aは、ステアリング63の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング63のステア角を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。また、CPU71は、各センサ装置61a,62a,63aから入力された各角度センサの検出結果(操作量)を時間微分して、各ペダル61,62及びステアリング63の操作速度を算出する。更に、CPU71は、算出した操作速度を時間微分して、各ペダル61,62及びステアリング63の操作加速度を算出する。
図3に示す他の入出力装置90としては、例えば、運転者の発汗量を検出する発汗量センサ、運転者の心拍数を検出する心拍数センサ、ワイパ(運転者の視界を確保するためにガラス面に付着した雨滴を払拭する装置)の作動を検出するワイパセンサ装置、路面がドライ路面であるかウェット路面であるかを非接触で検出する路面状況センサ装置、ヘッドライト(前照灯)の作動を検出するヘッドライトセンサ装置などが例示される。
次いで、図4を参照して、状態量判断処理について説明する。図4は、状態量判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、状態量判断処理に関し、まず、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量をそれぞれ取得し(S1、S2、S3)、それら取得した各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する(S4)。なお、S4の処理では、S1〜S3の処理でそれぞれ取得した各ペダル61,62及びステアリング63の操作量と、それら各ペダル61,62及びステアリング63の操作量にそれぞれ対応してROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回する場合に、車輪2がスリップする恐れがあると判断される限界値)とを比較して、現在の各ペダル61,62及びステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
その結果、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であると判断される場合には(S4:Yes)、状態量フラグ73bをオンして(S5)、この状態量判断処理を終了する。即ち、この状態量判断処理では、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合に、車両1の状態量が所定の状態量以上であると判断する。
一方、S4の処理の結果、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量のいずれもが所定の操作量より小さいと判断される場合には(S4:No)、状態量フラグ73bをオフして(S6)、この状態量判断処理を終了する。
次いで、図5を参照して、疲労状態判断処理について説明する。図5は、疲労状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、運転者が疲れているか否かを判断する処理である。
CPU71は、疲労状態判断処理に関し、まず、運転者の疲労状態に関する情報を疲労状態検出装置82により検出し(S11)、所定の時間内における運転者のまばたきや目の動きが所定の回数以上であるか否かを判断する(S12)。なお、S12の処理では、S11の処理でアイカメラ82aにより検出された運転者のまばたきや目の動きの所定の時間分の回数を履歴メモリ73eに記憶し、その履歴メモリ73eに記憶された回数と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、履歴メモリ73eに記憶された回数が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S12の処理の結果、所定の時間内における運転者のまばたきや目の動きが所定の回数以上であると判断される場合には(S12:Yes)、運転者が目の疲れを癒すためにまばたきや目を動かしている、即ち、運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S12の処理の結果、所定の時間内における運転者のまばたきや目の動きが所定の回数より少ないと判断される場合には(S12:No)、運転者の姿勢が基本姿勢であるか否かを判断する(S13)。なお、S13の処理では、S11の処理で姿勢カメラ82bにより検出された運転者の姿勢と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている基本姿勢を示す輪郭とを比較して、運転者の姿勢が基本姿勢を示す輪郭から外れていないか否かを判断する。即ち、運転者が肩や首を回したり体を左右に振ると、運転者の姿勢が基本姿勢を示す輪郭から外れ、運転者の姿勢が基本姿勢でないと判断される。
S13の処理の結果、運転者の姿勢が基本姿勢でないと判断される場合には(S13:No)、運転者が疲れを取るために肩や首を回したり体を左右に振っている、即ち、運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S13の処理の結果、運転者の姿勢が基本姿勢であると判断される場合には(S13:Yes)、運転者の体温が所定の温度以上であるか否かを判断する(S14)。なお、S14の処理では、S11の処理で体温センサ82cにより検出された運転者の体温と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、体温センサ82cにより検出された運転者の体温が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S14の処理の結果、運転者の体温が所定の温度以上であると判断される場合には(S14:Yes)、疲れにより運転者の体温が上昇している、即ち、運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S14の処理の結果、運転者の体温が所定の温度より低いと判断される場合には(S14:No)、所定の時間内における着座荷重の変化が所定の回数以上であるか否かを判断する(S15)。なお、S15の処理では、S11の処理で着座センサ82dにより検出された運転者の運転席への着座荷重の所定の時間分の変化回数を履歴メモリ73eに記憶し、その履歴メモリ73eに記憶された回数と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、履歴メモリ73eに記憶された回数が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S15の処理の結果、所定の時間内における着座荷重の変化が所定の回数以上であると判断される場合には(S15:Yes)、運転者が疲れを感じて何度も着座姿勢を変えている、即ち、運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S15の処理の結果、所定の時間内における着座荷重の変化が所定の回数より少ないと判断される場合には(S15:No)、車両1の継続走行状態を継続走行状態検出装置83により検出し(S16)、車両1の継続走行距離が所定の距離以上であるか否かを判断する(S17)。なお、S17の処理では、S16の処理で継続走行距離検出部83aにより検出された車両1の継続走行距離と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、継続走行距離検出部83aにより検出された車両1の継続走行距離が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S17の処理の結果、車両1の継続走行距離が所定の距離以上であると判断される場合には(S17:Yes)、運転を続けたことにより運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S17の処理の結果、車両1の継続走行距離が所定の距離より少ないと判断される場合には(S17:No)、車両1の継続走行時間が所定の時間以上であるか否かを判断する(S18)。なお、S18の処理では、S16の処理で継続走行時間検出部83bにより検出された車両1の継続走行時間と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、継続走行時間検出部83bにより検出された車両1の継続走行時間が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S18の処理の結果、車両1の継続走行時間が所定の時間以上であると判断される場合には(S18:Yes)、運転を続けたことにより運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S18の処理の結果、車両1の継続走行時間が所定の時間より短いと判断される場合には(S18:No)、車両1の現在位置付近が渋滞しているか否かを判断する(S19)。なお、S19の処理では、交通情報取得装置85により取得した交通情報およびナビゲーション装置84により取得した車両1の現在位置に基づいて、車両1の現在位置付近が渋滞しているか否かを判断する。
S19の処理の結果、車両1の現在位置付近が渋滞していると判断される場合には(S19:Yes)、渋滞により運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S19の処理の結果、車両1の現在位置付近が渋滞していないと判断される場合には(S19:No)、所定の時間内におけるアクセルペダル61の操作が所定の回数以上であるか否かを判断する(S20)。なお、S20の処理では、アクセルペダルセンサ装置61aにより検出されたアクセルペダル61の操作の所定の時間分の操作回数を履歴メモリ73eに記憶し、その履歴メモリ73eに記憶された回数と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、履歴メモリ73eに記憶された回数が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S20の処理の結果、所定の時間内におけるアクセルペダル61の操作が所定の回数以上であると判断される場合には(S20:Yes)、アクセルペダル61の頻繁な操作により運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S20の処理の結果、所定の時間内におけるアクセルペダル61の操作が所定の回数より少ないと判断される場合には(S20:No)、所定の時間内におけるブレーキペダル62の操作が所定の回数以上であるか否かを判断する(S21)。なお、S21の処理では、ブレーキペダルセンサ装置62aにより検出されたブレーキペダル62の操作の所定の時間分の操作回数を履歴メモリ73eに記憶し、その履歴メモリ73eに記憶された回数と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、履歴メモリ73eに記憶された回数が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S21の処理の結果、所定の時間内におけるブレーキペダル62の操作が所定の回数以上であると判断される場合には(S21:Yes)、ブレーキペダル62の頻繁な操作により運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S21の処理の結果、所定の時間内におけるブレーキペダル62の操作が所定の回数より少ないと判断される場合には(S21:No)、所定の時間内におけるステアリング63の操作が所定の回数以上であるか否かを判断する(S22)。なお、S22の処理では、ステアリングセンサ装置63aにより検出されたステアリング63の操作の所定の時間分の操作回数を履歴メモリ73eに記憶し、その履歴メモリ73eに記憶された回数と、疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、履歴メモリ73eに記憶された回数が疲労状態閾値メモリ72aに記憶されている閾値以上であるか否かを判断する。
S22の処理の結果、所定の時間内におけるステアリング63の操作が所定の回数以上であると判断される場合には(S22:Yes)、ステアリング63の頻繁な操作により運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S22の処理の結果、所定の時間内におけるステアリング63の操作が所定の回数より少ないと判断される場合には(S22:No)、疲労スイッチ89がオンであるか否かを判断する(S23)。なお、S23の処理では、疲労スイッチセンサ装置89aにより検出された疲労スイッチ89の操作状態に基づいて、疲労スイッチ89がオンであるか否かを判断する。
S23の処理の結果、疲労スイッチ89がオンであると判断される場合には(S23:Yes)、運転者により疲れていることが申告された、即ち、運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S23の処理の結果、疲労スイッチ89がオフであると判断される場合には(S23:No)、疲労状態フラグ73cをオフして(S25)、この疲労状態判断処理を終了する。
次いで、図6を参照して、偏摩耗荷重判断処理について説明する。図6は、偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、車輪2の接地荷重がタイヤ(第1トレッド21又は第2トレッド22)に偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、偏摩耗荷重判断処理に関し、まず、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する(S31)。なお、S31の処理では、サスストロークセンサ装置86により各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出された各懸架装置4の伸縮量と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する。
その結果、各懸架装置4の内の少なくとも1の懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量より大きいと判断される場合には(S31:No)、その伸縮量の大きい懸架装置4に対応する車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きく、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S31の処理の結果、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であると判断される場合には(S31:Yes)、車両1の前後Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する(S32)。なお、S32の処理では、加速度センサ装置80(前後方向加速度センサ80a)により検出された車両1の前後Gと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の前後Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1の前後Gが所定の加速度より大きいと判断される場合には(S32:No)、左右の前輪2FL,2FR又は左右の後輪2RL,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S32の処理の結果、車両1の前後Gが所定の加速度以下であると判断される場合には(S32:Yes)、車両1の横Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する(S33)。なお、S33の処理では、加速度センサ装置80(左右方向加速度センサ80b)により検出された車両1の横Gと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の横Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1の横Gが所定の加速度より大きいと判断される場合には(S33:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S33の処理の結果、車両1の横Gが所定の加速度以下であると判断される場合には(S33:Yes)、車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であるか否かを判断する(S34)。なお、S34の処理では、ジャイロセンサ装置81により検出された車両1のヨー角を時間微分して算出される車両1のヨーレートと、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1のヨーレートが所定のヨーレートより大きいと判断される場合には(S34:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S34の処理の結果、車両1のヨーレートが所定のヨーレート以下であると判断される場合には(S34:Yes)、車両1のロール角が所定のロール角以下であるか否かを判断する(S35)。なお、S35の処理では、ジャイロセンサ装置81により検出された車両1のロール角と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1のロール角が所定のロール角以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1のロール角が所定のロール角より大きいと判断される場合には(S35:No)、左右の前輪2FL,2FR又は左右の後輪2RL,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S35の処理の結果、車両1のロール角が所定のロール角以下であると判断される場合には(S35:Yes)、各車輪2の接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する(S36)。なお、S36の処理では、接地荷重センサ装置87により検出された各車輪2の接地荷重と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各車輪2の接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する。
その結果、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと判断される場合には(S36:No)、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S36の処理の結果、各車輪2の接地荷重が所定の荷重以下であると判断される場合には(S36:Yes)、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する(S37)。なお、S37の処理では、サイドウォール潰れ代センサ装置88により検出された各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する。
その結果、各車輪2の内の少なくとも1の車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代より大きいと判断される場合には(S37:No)、その潰れ代の大きい車輪2の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S37の処理の結果、各車輪2のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であると判断される場合には(S37:Yes)、アクセルペダル61の操作量(踏み込み量)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S38)。なお、S38の処理では、アクセルペダルセンサ装置61aにより検出されたアクセルペダル61の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図4に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断するためのアクセルペダル61の操作量より小さい値)とを比較して、現在のアクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
その結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S38:No)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S38の処理の結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S38:Yes)、ブレーキペダル62の操作量(踏み込み量)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S39)。なお、S39の処理では、ブレーキペダルセンサ装置62aにより検出されたブレーキペダル62の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図4に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断するためのブレーキペダル62の操作量より小さい値)とを比較して、現在のブレーキペダル62の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
その結果、ブレーキペダル62の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S39:No)、左右の前輪2FL,2FRの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S39の処理の結果、ブレーキペダル62の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S39:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S40)。なお、S40の処理では、ステアリングセンサ装置63aにより検出されたステアリング63の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図4に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断するためのステアリング63の操作量より小さい値)とを比較して、現在のステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S40:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S40の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S40:Yes)、ステアリング63の操作速度(ステア角速度)が所定の速度以下であるか否かを判断する(S41)。なお、S41の処理では、ステアリング63の操作量を時間微分して算出されるステアリング63の操作速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のステアリング63の操作速度が所定の速度以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作速度が所定の速度より大きいと判断される場合には(S41:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S41の処理の結果、ステアリング63の操作速度が所定の速度以下であると判断される場合には(S41:Yes)、ステアリング63の操作加速度(ステア角加速度)が所定の加速度以下であるか否かを判断する(S42)。なお、S42の処理では、ステアリング63の操作速度を時間微分して算出されるステアリング63の操作加速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のステアリング63の操作加速度が所定の加速度以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作加速度が所定の加速度より大きいと判断される場合には(S42:No)、左の前後輪2FL,2RL又は右の前後輪2FR,2RRのいずれかの接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S42の処理の結果、ステアリング63の操作加速度が所定の加速度以下であると判断される場合には(S42:Yes)、偏摩耗荷重フラグ73dをオフして(S44)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
次いで、図7を参照して、キャンバ制御処理について説明する。図7は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を調整する処理である。
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、状態量フラグ73bがオンであるか否かを判断し(S51)、状態量フラグ73bがオンであると判断される場合には(S51:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S52)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S52:No)、FL〜RRモータ44FL〜44RRを作動させて、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、各車輪2にネガティブキャンバを付与して(S53)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の状態量以上である場合、即ち、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であり、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回すると車輪2がスリップする恐れがあると判断される場合には、車輪2にネガティブキャンバを付与することで、車輪2に発生するキャンバスラストを利用すると共に、第1トレッド21の高グリップ特性を発揮させて、車両1の走行安定性を確保することができる。
一方、S52の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S52:Yes)、車輪2のキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S53の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S51の処理の結果、状態量フラグ73bがオフであると判断される場合には(S51:No)、疲労状態フラグ73cがオンであるか否かを判断し(S54)、疲労状態フラグ73cがオンであると判断される場合には(S54:Yes)、車両1の走行速度を取得し(S55)、その取得した車両1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判断する(S56)。なお、S56の処理では、S55の処理で取得した車両1の走行速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の走行速度が所定の速度以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1の走行速度が所定の速度より大きいと判断される場合には(S56:No)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S57)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S57:No)、FL〜RRモータ44FL〜44RRを作動させて、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、各車輪2にネガティブキャンバを付与して(S58)、S59の処理を実行する。
これにより、運転者が疲れていると共に車両1の走行速度が所定の速度より大きい場合、即ち、運転者が疲れており車両1が比較的高速で走行している場合には、車輪2にネガティブキャンバを付与することで、車輪2に発生するキャンバスラストを利用すると共に、第1トレッド21の高グリップ特性を発揮させて、車両1の走行安定性を確保することができる。
一方、S57の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S57:Yes)、車輪2のキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S58の処理をスキップして、偏摩耗荷重フラグ73dがオンであるか否かを判断する(S59)。その結果、偏摩耗荷重フラグ73dがオンであると判断される場合には(S59:Yes)、FL〜RRモータ44FL〜44RRを作動させて、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、各車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除して(S60)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車輪2の接地荷重が偏摩耗荷重である場合、即ち、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行すると、タイヤ(第1トレッド21又は第2トレッド22)に偏摩耗を引き起こす恐れがある場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制できると共に、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの接地面が不均一となるのを防止することができる。よって、タイヤの寿命を向上させると共に車両1の走行安定性を確保できる。更に、タイヤの偏摩耗を抑制できるので、その分、省燃費化を図ることができる。
一方、S59の処理の結果、偏摩耗荷重フラグ73dがオフであると判断される場合には(S59:No)、車輪2の接地荷重は偏摩耗荷重ではなく、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行しても、タイヤ(第1トレッド21又は第2トレッド22)が偏摩耗する恐れはないと判断されるので、S60の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S54の処理の結果、疲労状態フラグ73cがオフであると判断される場合(S54:No)、及び、車両1の走行速度が所定の速度以下であると判断される場合には(S56:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S61)。その結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S61:Yes)、FL〜RRモータ44FL〜44RRを作動させて、各車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、各車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除して(S62)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、運転者が疲れていない場合や運転者が疲れていても車両1の走行速度が所定の速度以下である場合、即ち、車両1の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。更に、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、車輪2の転がり抵抗を低減すると共に、第2トレッド22の低転がり特性を発揮させて、省燃費化を図ることができる。
一方、S61の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S61:No)、車輪2のキャンバ角は既に第2キャンバ角に調整されているので、S62の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
以上説明したように、第1実施の形態によれば、運転者が疲れていると判断される場合に、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整され、車輪2にネガティブキャンバが付与されるので、車輪2へのネガティブキャンバの付与により車両1の走行安定性が確保されることで、路面の凹凸や轍などによる車両1の微小な揺れ(姿勢変化)やその影響による操舵の修正などが低減され、運転者の疲労を軽減させることができる。一方、運転者が疲れていないと判断される場合には、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角より絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、車輪2へのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。更に、運転者が疲れていないと判断される場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、車輪2の転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができる。
また、車両1の状態量が所定の状態量以上であると判断される場合に、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角(第2キャンバより絶対値が大きいキャンバ角)に調整されるので、例えば、ブレーキペダル62やステアリング63等の操作量が大きく、車両1の制動や旋回などの度合いが大きい場合には、運転者が疲れているかの判断に関わらず、車輪2に発生するキャンバスラストを増加させて、車両1の走行安定性を確保することができる。
また、車両1の走行速度が所定の速度以下であると判断され、且つ、運転者が疲れていると判断される場合に、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角より絶対値が小さいキャンバ角)に調整されるので、車両1の走行速度が所定の速度以下である場合、即ち、車両1が路面の凹凸や轍などの影響を受け難い場合には、運転者が疲れていると判断される場合でも、タイヤの寿命を向上させると共に省燃費化を図ることができる。
なお、図4に示すフローチャート(状態量判断処理)において、請求項2記載の状態量取得手段としてはS1〜S3の処理が、状態量判断手段としてはS4の処理が、図5に示すフローチャート(疲労状態判断処理)において、請求項1記載の疲労状態情報取得手段としてはS11及びS16の処理が、疲労状態判断手段としてはS12〜S15及びS17〜S23の処理が、請求項4記載の継続走行状態取得手段としてはS16の処理が、継続走行状態判断手段としてはS17及びS18の処理が、図7に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載の第1キャンバ角調整手段としてはS58の処理が、第2キャンバ角調整手段としてはS62の処理が、請求項2記載の第3キャンバ角調整手段としてはS53の処理が、請求項3記載の走行速度取得手段としてはS55の処理が、走行速度判断手段としてはS56の処理が、第4キャンバ角調整手段としてはS62の処理が、それぞれ該当する。
次いで、図8から図12を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、車両用制御装置100の制御対象である車両1が、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRを含む全ての車輪2のキャンバ角をキャンバ角調整装置44により調整可能に構成される場合を説明したが、第2実施の形態における車両201は、左右の後輪202RL,202RRのみのキャンバ角がキャンバ角調整装置244により調整可能とされ、左右の前輪202FL,202FRについてはキャンバ角の調整を行わない構成とされている。
また、第1実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRを含む全ての車輪2が同じ構成とされる場合を説明したが、第2実施の形態における車両201は、左右の前輪202FL,202FRと左右の後輪202RL,202RRとが異なる構成とされている。なお、第1実施の形態と同一の部分については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8は、第2実施の形態における車両用制御装置200が搭載される車両201を模式的に示した模式図である。なお、図8の矢印U−D,L−R,F−Bは、車両201の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
まず、車両201の概略構成について説明する。図8に示すように、車両201は、複数(本実施の形態では4輪)の車輪202を備え、それら車輪202は、車両201の前方側(矢印F方向側)に位置する左右の前輪202FL,202FRと、車両201の後方側(矢印B方向側)に位置する左右の後輪202RL,202RRとを備えている。なお、本実施の形態では、左右の前輪202FL,202FRは、車輪駆動装置3により回転駆動される駆動輪として構成される一方、左右の後輪202RL,202RRは、車両201の走行に伴って従動される従動輪として構成されている。
車輪202は、左右の前輪202FL,202FRが互いに同じ形状および特性に構成されると共に、左右の後輪202RL,202RRが互いに同じ形状および特性に構成されている。また、左右の前輪202FL,202FRは、そのトレッドの幅(図8左右方向の寸法)が、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅よりも広い幅に構成されている。なお、左右の前輪202FL,202FRのトレッドと左右の後輪202RL,202RRのトレッドとは同じ特性に構成されている。
また、車輪202は、左右の前輪202FL,202FRが懸架装置204により車体フレームBFに懸架される一方、左右の後輪202RL,202RRが懸架装置4により車体フレームBFに懸架されている。なお、懸架装置204は、左右の前輪202FL,202FRのキャンバ角を調整する機能が省略されている点(即ち、図2に示す懸架装置4において、FRモータ44FRによる伸縮機能が省略されている点)を除き、その他の構成は懸架装置4と同じ構成であるので、その説明を省略する。
このように、第2実施の形態における車両201は、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅が、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くされているので、前輪202FL,202FRの路面に対する摩擦係数を、後輪202RL,202RRの路面に対する摩擦係数よりも大きくすることができる。その結果、制動力の向上を図ることができる。また、左右の前輪202FL,202FRが駆動輪とされる本実施の形態においては、加速性能の向上を図ることができる。
一方、左右の後輪202RL,202RRの転がり抵抗を、左右の前輪202FL,202FRの転がり抵抗よりも小さくできるので、その分、省燃費化を図ることができる。また、左右の後輪202RL,202RRにキャンバ角を付与できるので、車両201の旋回時には、左右の後輪202RL,202RRの対地キャンバ角を補正できると共に、車両201の旋回特性をアンダステア傾向とすることができ、車両201の旋回安定性を確保することができる。更に、車両201の直進時には、左右の後輪202RL,202RRの横剛性を利用して、車両201の直進安定性を確保することができる。
車両用制御装置200は、上述したように構成される車両201の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62やステアリング63の操作状態に応じてキャンバ角調整装置244(図9参照)を作動制御する。
次いで、図9を参照して、車両用制御装置200の詳細構成について説明する。図9は、車両用制御装置200の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置200は、主に、第1実施の形態における車両用制御装置100のキャンバ角調整装置44に代えて、キャンバ角調整装置244を備えている。
キャンバ角調整装置244は、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を調整するための装置であり、左右の後輪202RL,202RRにキャンバ角をそれぞれ付与する合計2個のRL,RRモータ44RL,44RRと、それら各モータ44RL,44RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。即ち、第2実施の形態におけるキャンバ角調整装置244は、第1実施の形態におけるキャンバ角調整装置44の一部(左右の前輪202FL,202FRに対応するFL,FRモータ44FL,44FR)を省略して構成されている。
サスストロークセンサ装置286は、各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各懸架装置4の伸縮量をそれぞれ検出するRL,RRサスストロークセンサ86RL,86RRと、それら各サスストロークセンサ86RL,86RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。即ち、第2実施の形態におけるサスストロークセンサ装置286は、第1実施の形態におけるサスストロークセンサ装置86の一部(左右の前輪202FL,202FRに対応するFL,FRサスストロークセンサ86FL,86FR)を省略して構成されている。
接地荷重センサ装置287は、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重をそれぞれ検出するRL,RR接地荷重センサ87RL,87RRと、それら各接地荷重センサ87RL,87RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。即ち、第2実施の形態における接地荷重センサ装置287は、第1実施の形態における接地荷重センサ装置87の一部(左右の前輪202FL,202FRに対応するFL,FR接地荷重センサ87FL,87FR)を省略して構成されている。
サイドウォール潰れ代センサ装置288は、左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代をそれぞれ検出するRL,RRサイドウォール潰れ代センサ88RL,88RRと、それら各サイドウォール潰れ代センサ88RL,88RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。即ち、第2実施の形態におけるサイドウォール潰れ代センサ装置288は、第1実施の形態におけるサイドウォール潰れ代センサ装置88の一部(左右の前輪202FL,202FRに対応するFL,FRサイドウォール潰れ代センサ88FL,88FR)を省略して構成されている。
次いで、図10を参照して、第2実施の形態における疲労状態判断処理について説明する。図10は、第2実施の形態における疲労状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、運転者が疲れているか否かを判断する処理である。なお、第1実施の形態における疲労状態判断処理と同一の処理については同一の符号を付して、その説明を省略する。
CPU71は、第2実施の形態における疲労状態判断処理に関し、S23の処理の結果、疲労スイッチ89がオフであると判断される場合には(S23:No)、目的地までの残りの走行距離が所定の距離以上であるか否かを判断する(S226)。なお、S226の処理では、ナビゲーション装置84により算出された目的地までの残りの走行距離と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、ナビゲーション装置84により算出された目的地までの残りの走行距離が閾値以上であるか否かを判断する。
S226の処理の結果、目的地までの残りの走行距離が所定の距離より少ないと判断される場合には(S226:No)、目的地までの運転を続けたことにより運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S226の処理の結果、目的地までの残りの走行距離が所定の距離以上であると判断される場合には(S226:Yes)、目的地までの残りの走行時間(目的地に到着するまでに必要と推定される時間)が所定の時間以上であるか否かを判断する(S227)。なお、S227の処理では、ナビゲーション装置84により算出された目的地までの残りの走行時間と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、ナビゲーション装置84により算出された目的地までの残りの走行時間が閾値以上であるか否かを判断する。
S227の処理の結果、目的地までの残りの走行時間が所定の時間より短いと判断される場合には(S227:No)、目的地までの運転を続けたことにより運転者が疲れていると判断されるので、疲労状態フラグ73cをオンして(S24)、この疲労状態判断処理を終了する。
一方、S227の処理の結果、目的地までの残りの走行時間が所定の時間以上であると判断される場合には(S227:Yes)、疲労状態フラグ73cをオフして(S25)、この疲労状態判断処理を終了する。
次いで、図11を参照して、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理について説明する。図11は、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両201が走行する場合に、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であるか否かを判断する処理である。なお、第1実施の形態における偏摩耗荷重判断処理と同一の処理については同一の符号を付して、その説明を省略する。
CPU71は、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理に関し、まず、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する(S231)。なお、S231の処理では、サスストロークセンサ装置286により各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出された各懸架装置4の伸縮量と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であるか否かを判断する。
その結果、各懸架装置4の内の少なくとも1の懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量より大きいと判断される場合には(S231:No)、その伸縮量の大きい懸架装置4に対応する車輪202(左右の後輪202RL,202RR)の接地荷重が所定の接地荷重より大きく、かかる車輪202の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S231の処理の結果、各懸架装置4の伸縮量が所定の伸縮量以下であると判断される場合には(S231:Yes)、車両1の前後Gが所定の加速度以下であるか否かを判断する(S32)。
また、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理では、S35の処理の結果、車両1のロール角が所定のロール角以下であると判断される場合には(S35:Yes)、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する(S236)。なお、S236の処理では、接地荷重センサ装置287により検出された左右の後輪202RL,202RRの接地荷重と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の左右の後輪202RL,202RRの接地荷重が所定の接地荷重以下であるか否かを判断する。
その結果、左右の後輪202RL,202RRの内の少なくとも1の車輪202の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと判断される場合には(S236:No)、かかる車輪202の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S236の処理の結果、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重が所定の荷重以下であると判断される場合には(S236:Yes)、左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する(S237)。なお、S237の処理では、サイドウォール潰れ代センサ装置288により検出された左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であるか否かを判断する。
その結果、左右の後輪202RL,202RRの内の少なくとも1の車輪202のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代より大きいと判断される場合には(S237:No)、その潰れ代の大きい車輪202の接地荷重が所定の接地荷重より大きいと推定され、かかる車輪202の接地荷重が偏摩耗荷重であると判断されるので、偏摩耗荷重フラグ73dをオンして(S43)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S237の処理の結果、左右の後輪202RL,202RRのタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の潰れ代以下であると判断される場合には(S237:Yes)、アクセルペダル61の操作量(踏み込み量)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S38)。
また、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理では、S38の処理の結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S38:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S40)。即ち、第2実施の形態における偏摩耗荷重判断処理では、第1実施の形態における偏摩耗荷重判断処理でのS39の処理が省略されている。
次いで、図12を参照して、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理について説明する。図12は、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を調整する処理である。なお、第1実施の形態におけるキャンバ制御処理と同一の処理については同一の符号を付して、その説明を省略する。
CPU71は、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理に関し、S52の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S52:No)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバを付与して(S253)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両201の状態量が所定の状態量以上である場合、即ち、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であり、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両201が加速、制動または旋回すると左右の後輪202RL,202RRがスリップする恐れがあると判断される場合には、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバを付与することで、左右の後輪202RL,202RRに発生するキャンバスラストを利用して、車両201の走行安定性を確保することができる。
また、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理では、S57の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S57:No)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバを付与して(S258)、S59の処理を実行する。
これにより、運転者が疲れていると共に車両201の走行速度が所定の速度より大きい場合、即ち、運転者が疲れており車両201が比較的高速で走行している場合には、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバを付与することで、左右の後輪202RL,202RRに発生するキャンバスラストを利用して、車両201の走行安定性を確保することができる。
また、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理では、S59の処理の結果、偏摩耗荷重フラグ73dがオンであると判断される場合には(S59:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除して(S260)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、左右の後輪202RL,202RRの接地荷重が偏摩耗荷重である場合、即ち、左右の後輪202RL,202RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両201が走行すると、タイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れがある場合には、左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制できると共に、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの接地面が不均一となるのを防止することができる。よって、タイヤの寿命を向上させると共に車両201の走行安定性を確保できる。更に、タイヤの偏摩耗を抑制できるので、その分、省燃費化を図ることができる。
また、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理では、S61の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S61:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪202RL,202RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除して(S262)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両201が比較的高速で走行していない場合や運転者が疲れていない場合、即ち、車両201の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制できると共に、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの接地面が不均一となるのを防止することができる。よって、タイヤの寿命を向上させると共に車両201の走行安定性を確保できる。更に、タイヤの偏摩耗を抑制できるので、その分、省燃費化を図ることができる。また、左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、キャンバスラストの影響を回避して、省燃費化を図ることができる。
なお、図10に示すフローチャート(疲労状態判断処理)において、請求項1記載の疲労状態情報取得手段としてはS11及びS16の処理が、疲労状態判断手段としてはS12〜S15、S17〜S23、S226及びS227の処理が、請求項4記載の継続走行状態取得手段としてはS16の処理が、継続走行状態判断手段としてはS17及びS18の処理が、図12に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載の第1キャンバ角調整手段としてはS258の処理が、第2キャンバ角調整手段としてはS262の処理が、請求項2記載の第3キャンバ角調整手段としてはS253の処理が、請求項3記載の走行速度取得手段としてはS55の処理が、走行速度判断手段としてはS56の処理が、第4キャンバ角調整手段としてはS262の処理が、それぞれ該当する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記各実施の形態で説明した第1キャンバ角および第2キャンバ角の値は任意に設定することができる。
上記各実施の形態では、車輪2,202のキャンバ角を調整するキャンバ制御処理において、運転者が疲れていると判断される場合および車両1,201の状態量が所定の状態量以上であると判断される場合に、車輪2,202のキャンバ角をいずれも第1キャンバ角に調整する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車両1,201の状態量が所定の状態量以上であると判断される場合には、少なくとも運転者が疲れていないと判断される場合に調整する第2キャンバ角より絶対値が大きくなるように、車輪2,202のキャンバ角を調整すれば良い。これにより、タイヤの偏摩耗を抑制するよりも優先して、車両1,201の走行安定性を確保することができる。
同様に、上記各実施の形態では、車輪2,202のキャンバ角を調整するキャンバ制御処理において、運転者が疲れていないと判断される場合および運転者が疲れていると判断されても車両1,201の走行速度が所定の速度以下であると判断される場合に、車輪2,202のキャンバ角をいずれも第2キャンバ角に調整する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、運転者が疲れていると判断されても車両1,201の走行速度が所定の速度以下であると判断される場合には、少なくとも運転者が疲れていると判断される場合に調整する第1キャンバ角より絶対値が小さくなるように、車輪2,202のキャンバ角を調整すれば良い。これにより、車両1,201の走行安定性を確保するよりも優先して、タイヤの寿命を向上させると共に省燃費化を図ることができる。
上記各実施の形態では、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量に基づいて、車両1,201の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量に代えて、他の状態量に基づいて車両1,201の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断することは当然可能である。他の状態量としては、例えば、各ペダル61,62及びステアリング63の操作速度や操作加速度のように、運転者により操作される操作部材の状態を示すものでも良く、或いは、車両1,201自体の状態量を示すものでも良い。車両1,201自体の状態量を示すものとしては、車両1,201の前後G、横G、ヨーレート、ロール角などが例示される。
上記各実施の形態では説明を省略したが、運転者が疲れているか否かを判断する疲労状態判断処理において、他の入出力装置90として例示した発汗量センサにより検出された運転者の発汗量や心拍数センサにより検出された運転者の心拍数に基づいて、運転者が疲れているか否かを判断しても良い。この場合には、運転者の発汗量が所定の量以上である場合や心拍数が所定の回数以上である場合に、運転者が疲れていると判断する。また、他の入出力装置90として例示したワイパセンサ装置により検出されたワイパの作動や路面状況センサ装置により検出された路面状況に基づいて、運転者が疲れているか否かを判断しても良い。この場合には、ワイパが作動されている場合やウェット路面である場合に、雨天時の運転により運転者が疲れていると判断する。更に、他の入出力装置90として例示したヘッドライトセンサ装置により検出されたヘッドライトの作動に基づいて、運転者が疲れているか否かを判断しても良い。この場合には、ヘッドライトが作動されている場合に、夜間の運転により運転者が疲れていると判断する。なお、運転者が疲れているか否かを判断するためのこれらの手法を、上記各実施の形態で説明した手法に代えて、或いは、加えて採用することは当然可能である。
上記各実施の形態では、運転者が疲れているか否かを判断する疲労状態判断処理において、疲労状態検出装置82により検出された運転者の疲労に関する情報および継続走行状態検出手段83により検出された車両1の継続走行状態に基づいて、運転者が疲れているか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、疲労状態検出装置82により検出された運転者の疲労に関する情報または継続走行状態検出手段83により検出された車両1,201の継続走行状態のいずれかに基づいて、運転者が疲れているか否かを判断しても良い。なお、継続走行状態検出手段83により検出された車両1,201の継続走行状態に基づいて、運転者が疲れているか否かを判断する構成においては、車両1,201の継続走行状態が所定の継続走行状態であると判断される場合、即ち、車両1,201の継続走行距離が所定の距離以上である場合や継続走行時間が所定の時間以上である場合に、運転者が疲れていると判断することで、疲労状態検出装置82により検出された運転者の疲労に関する情報に基づいて、運転者が疲れているかを直接的に判断する場合と比較して、簡単な構造で運転者が疲れているかを判断することができる。また、車両1,201の継続走行状態が所定の継続走行状態である場合に、運転者が疲れていると判断するので、運転者の身体に疲労が表れていなくても、車両1,201の継続走行状態が所定の継続走行状態となれば、運転者が疲れていると判断し、確実に車両1,201の走行安定性を確保することができる。
上記各実施の形態では、車両1,201の走行速度が所定の速度以上であると共に運転者が疲れている場合に、車輪2,202にネガティブキャンバを付与する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、運転者が疲れている場合には、車両1,201の走行速度に関わらず、車輪2,202にネガティブキャンバを付与するように構成しても良い。また、車両1,201の走行速度に代えて、或いは加えて、他の情報に基づいて車輪2,202にネガティブキャンバを付与するように構成しても良い。他の情報としては、例えば、ナビゲーション装置84により取得される車両1,201の現在位置などが例示される。この場合には、所定の区間において車両1,201が直進すると判断される地図データの直線道路上に車両1,201が位置するか否かを判断し、車両1,201が直線道路上に位置しないと共に運転者が疲れている場合に、車輪2,202にネガティブキャンバを付与することで、運転者の疲労を軽減させることができる。一方、車両1,201が直線道路上に位置する場合や運転者が疲れていない場合、即ち、車両1,201の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を行わず、その分、タイヤの寿命を向上させると共に省燃費化を図ることができる。
上記各実施の形態では、車両1,201の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断する状態量判断処理において、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断するための判断基準が、それぞれROM72に予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、天候や路面の状況を取得し、その取得した天候や路面の状況に応じて各判断基準を変更する構成としても良い。この場合には、天候や路面の状況に応じて車両1,201の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断することができるので、車両1,201の走行安定性を向上させることができる。
同様に、上記各実施の形態では、運転が疲れているか否かを判断する疲労状態判断処理において、疲労状態検出装置82及び継続走行状態検出装置83の検出結果が所定値以上であるか否かを判断するための判断基準が、それぞれ疲労状態閾値メモリ72aに予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、天候や路面の状況を取得し、その取得した天候や路面の状況に応じて各判断基準を変更する構成としても良い。この場合には、天候や路面の状況に応じて運転者が疲れているか否かを判断することができるので、車両1,201の走行安定性を向上させることができる。
同様に、上記各実施の形態では、車輪2,202の接地荷重が偏摩耗荷重であるか否かを判断する偏摩耗荷重判断処理において、懸架装置4の伸縮量、車両1,201の前後G、横G、ヨーレート、ロール角、車輪2,202の接地荷重、タイヤサイドウォールの潰れ代、アクセルペダル61の操作量、ブレーキペダル62の操作量、ステアリング63の操作量、操作速度、操作加速度が所定値以下であるかを判断するための判断基準が、それぞれROM72に予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、天候や路面の状況を取得し、その取得した天候や路面の状況に応じて各判断基準を変更する構成としても良い。この場合には、天候や路面の状況に応じて車輪2,202の接地荷重が偏摩耗荷重であるか否かを判断することができるので、車両1,201の走行安定性を向上させることができる。
上記各実施の形態では説明を省略したが、キャンバ制御処理のS62及びS262の処理において、各車輪2又は左右の後輪202RL,202RRへのネガティブキャンバの付与を解除する場合に、所定時間(例えば3秒など)の経過を待ってから解除しても良い。この場合には、山道などの車両1,201が頻繁に旋回する道路状況において、車両1,201が旋回するたびにキャンバ角調整装置44,244を作動させてしまうことがなく、キャンバ角の頻繁な切り替わりを防止することができる。
上記各実施の形態では説明を省略したが、各実施の形態における車両1,201の車輪2,202の一部または全部を、他の実施の形態における車輪2,202の一部または全部と置換しても良い。例えば、第1実施の形態における車両用制御装置100により制御される車両1の車輪2を、第2実施の形態における車両201の車輪202に変更しても良い。
上記第1実施の形態では、車両用制御装置100の制御対象である車両1の車輪2が、第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1トレッド21、第2トレッド22及び第3トレッドの3種類のトレッドを備える構成としても良い。この場合には、各車輪2において、第1トレッド21を車両1の内側に配置すると共に、第3トレッドを車両1の外側に配置し、第2トレッド22を第1トレッド21と第3トレッドとの間に配置する。また、第2トレッド22を第1トレッド21及び第3トレッドよりも硬度の高い材料により構成して、第2トレッド422を、少なくとも第3トレッドに比して、転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)に構成することで、上記第1実施の形態と同様の効果を奏することができる。
上記第2実施の形態では、左右の後輪202RL,202RRを、左右の前輪202FL,202FRよりも低転がり抵抗とするための手法として、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くする手法を一例として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の手法を採用しても良い。
例えば、他の手法としては、左右の後輪202RL,202RRのトレッドを、左右の前輪202FL,202FRのトレッドよりも硬度の高い材料から構成し、左右の前輪202FL,202FRのトレッドを左右の後輪202RL,202RRのトレッドよりもグリップ力の高い特性(高グリップ性)とする一方、左右の後輪202RL,202RRのトレッドを左右の前輪202FL,202FRのトレッドよりも転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)とする第1の手法、左右の後輪202RL,202RRのトレッドのパターンを、左右の前輪202FL,202FRのトレッドのパターンよりも低転がり抵抗のパターンとする(例えば、左右の後輪202RL,202RRのトレッドのパターンをラグタイプ又はブロックタイプとし、左右の後輪202RL,202RRのトレッドのパターンをリブタイプとする)第2の手法、左右の後輪202RL,202RRの空気圧を、左右の前輪202FL,202FRの空気圧よりも高圧とする第3の手法、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの厚み寸法を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの厚み寸法よりも薄い寸法とする第4の手法、或いは、これら第1から第4の手法および第2実施の形態における手法(トレッドの幅を異ならせる手法)の一部または全部を組み合わせる第5の手法、が例示される。
上記第2実施の形態では、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅と同一の幅としても良い。この場合でも、かかる構成に上述した第1から第4の手法の一部または全部を組み合わせることで、左右の後輪202RL,202RRを、左右の前輪202FL,202FRよりも低転がり抵抗とすることができる。よって、車両1の走行安定性と省燃費化との両立を図ることができる。
また、上記第2実施の形態では、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅が、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くされる場合を説明したが、これに加え、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅を次のように構成することが好ましい。即ち、タイヤ幅L([mm])をタイヤ外径R([mm])で除した値(L/R)を0.1より大きく、かつ、0.4より小さくすることが好ましく(0.1<L/R<0.4)、0.1より大きく、かつ、0.3より小さくすることが更に好ましい(0.1<L/R<0.3)。これにより、車両201の走行安定性を確保しつつ、転がり抵抗を小さくして、省燃費化の向上を図ることができる。なお、トレッドの幅は、リム幅よりも大きくタイヤ幅よりも小さな値となる。
上記第2実施の形態では、左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭く構成する場合を説明した。この場合の左右の後輪202RL,202RRのトレッドの幅の設定方法について説明する。
図13は、懸架装置4に支持された後輪1202RL,1202RRの正面図であり、図14は、懸架装置4に支持された後輪202RL,202RRの正面図である。なお、これら図13及び図14は、図2に対応する正面図であり、右の後輪1202RR,202RRのみを図示すると共に、懸架装置4の図示が簡略化されている。また、図13及び図14では、車体Bの外形を通る鉛直線(矢印U−D方向線、図2参照)を外形線S(即ち、車両201の全幅を示す線)として二点鎖線を用いて図示している。
後輪1202RL,1202RRは、第2実施の形態で説明した前輪202FL,202FRと同一の幅に構成された車輪である。ここで、車両201は、前後の全車輪202を懸架装置204により支持する既存の車両に対し、後輪側の懸架装置204にのみRL,RRモータ44RL,44RRによる伸縮機能を追加して懸架装置4とすることで構成された車両である。よって、車両201は、図13(a)に示すように、少なくともキャンバ角が定常角(=0°)においては、後輪1202RL,1202RRを外形線Sから外側に突出させない(即ち、保安基準を満たす)ように装着可能とされている。
しかしながら、後輪1202RL,1202RRのキャンバ角を調整する制御を行う場合には、図13(b)に示すように、後輪1202RL,1202RRが外形線Sを越えて外側へ突出し、保安基準を満たすことができないという問題点があった。そのため、後輪1202RL,1202RRのキャンバ角を調整可能な範囲が限定され、十分な角度のキャンバ角を付与することができないという問題点があった。
この場合、懸架装置4自体の配設位置を車両201の内側(図13(a)右側)へ移動させることで、キャンバ角の調整可能範囲を確保することも考えられるが、車両201に大幅な構造の変更を加えることが必要となるため、コストが嵩み、現実的でない。一方、後輪1202RL,1202RRのホイールオフセットを車輪中心線Cから車両201の外側(図13(a)左側)に移動させることで、車両201への構造の変更を行うことなく、比較的大きな角度のキャンバ角を後輪1202RL,1202RRに付与することが可能となる。しかしながら、この場合には、ホイールオフセットの分だけ、後輪1202RL,1202RR自体が車両201の内側へ移動することとなるので、車体Bとの干渉が避けられない。
そこで、本願出願人は、図14に示すように、後輪202RL,202RRのタイヤ幅Wlを狭くすることで、既存の車両(車両201)に大幅な構造の変更を加えることを不要とし、かつ、保安基準を満たしながら、キャンバ角の調整可能範囲を十分に確保することを可能とする構成に想到した。
後輪202RL,202RRのタイヤ幅Wlの設定方法について、図13から図15を参照して説明する。図15は、懸架装置4に支持された車輪の正面図を模式的に図示した模式図であり、キャンバ角θのネガティブキャンバが付与された状態が図示されている。
図15に示すように、車輪の幅寸法をタイヤ幅Wと、直径をタイヤ径Rと、タイヤ中心線(車輪中心線)Cからホイール座面Tまでの距離をホイールオフセットAと、それぞれ規定する。この場合、車輪が外側へ最も突出する位置であるタイヤ外側端Mから、車輪の回転軸とホイール座面Tとの交点である原点Oまでの水平方向の距離である距離Lは次のように算出される。
即ち、図15に示すように、車輪の回転軸と車輪の外側面との交点である位置Pと原点Oとを結ぶ距離は、タイヤ幅Wの半分の値からホイールオフセットAを除算した値(W/2−A)となるので、位置Pから原点Oまでの水平方向の距離である距離Jは、三角比の関係から、J=(W/2−A)・cosθとなる。
一方、位置Pとタイヤ外側端Mとを結ぶ距離は、タイヤ径Rの半分の値(R/2)となるので、タイヤ外側端Kから位置Pまでの水平方向の距離である距離Kは、三角比の関係から、K=(R/2)・sinθとなる。
よって、距離Lは、距離Jと距離Kとの和であるので、これらを加算して、L=(W/2−A)・cosθ+(R/2)・sinθとなる。この関係式をタイヤ幅Wでまとめると、W=2A−R・tanθ+2L/cosθとなる。
車輪のタイヤ外側端Mが車両201の外形線Sを越えて外側へ突出せず、保安基準を満たすためには、距離Lが、原点Oから外形線Sまでの水平方向の距離である距離Z(図13(b)及び図14(b)参照)より小さくなれば良い。よって、タイヤ幅Wを定める上記の式に対し、距離Lの最大値(即ち、距離Z)と、車輪に付与するキャンバ角θの最大値(例えば、3°)とを当てはめることで、車輪のタイヤ幅Wの最大値を決定することができる。
即ち、図13に示す後輪1202RL,1202RRについては、タイヤ外側端Mが外形線Sを越えて外側に突出しないための最大のキャンバ角をθwとすると、そのタイヤ幅Wwは、W=2A−R・tanθw+2Z/cosθwとなり、図14に示す後輪302RL,302RRについては、タイヤ外側端Mが外形線Sを越えて外側に突出しないための最大のキャンバ角をθlとすると、そのタイヤ幅Wlは、W=2A−R・tanθl+2Z/cosθlとなる。
なお、各車輪のトレッドの幅は、タイヤ幅Wを越えない範囲に設定される。なお、タイヤ幅Wの最小値は、タイヤ外側端Mをホイール座面Tよりも内側へ配置できないことから、ホイールオフセットAの2倍の値となる。
以上のように、タイヤ幅Wを定める上記の式によれば、車輪のタイヤ幅W(即ち、トレッドの幅)を狭くすることで、車輪に付与するキャンバ角θの最大値を大きくすることができる。即ち、第2実施の形態で説明したように、後輪202RL,202RRのトレッドの幅(タイヤ幅W)を、前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くすることで、既存の車両(車両201)に大幅な構造の変更を加えることを不要とし、かつ、保安基準を満たしつつ、後輪202RL,202RRにおけるキャンバ角の調整可能範囲を確保することができる。
なお、この場合には、前輪202FL,202FRのトレッドの幅を広くすることができるので、制動力の向上を図ることができる。特に、前輪202FL,202FRが駆動輪とされる第2実施の形態においては、加速性能の向上を図ることができる。一方、後輪202RL,202RRのトレッドの幅を、左右の前輪202FL,202FRのトレッドの幅よりも狭くすることで、これら後輪202RL,202RRの転がり抵抗を、前輪202FL,202FRの転がり抵抗よりも小さくすることができ、その分、省燃費化を図ることができる。