JP2012011890A - 車両用制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させると共に車両の走行安定性を確保することができる車両用制御装置を提供すること。
【解決手段】車輪にスリップが発生すると判断される場合に、車輪のキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角よりも絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、車輪へのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの偏摩耗を抑制できる。即ち、車輪にスリップが発生するとタイヤの摩耗が進行し易いので、車輪のスリップが発生する場合に、車輪へのネガティブキャンバの付与を解除することで、接地面積を広げてタイヤの偏摩耗を抑制できる。その結果、タイヤの寿命を向上させることができる。また、タイヤの偏摩耗を抑制することで、タイヤの接地面が不均一となるのを防止して、車両の走行安定性を確保できる。
【選択図】図7
【解決手段】車輪にスリップが発生すると判断される場合に、車輪のキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角よりも絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、車輪へのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの偏摩耗を抑制できる。即ち、車輪にスリップが発生するとタイヤの摩耗が進行し易いので、車輪のスリップが発生する場合に、車輪へのネガティブキャンバの付与を解除することで、接地面積を広げてタイヤの偏摩耗を抑制できる。その結果、タイヤの寿命を向上させることができる。また、タイヤの偏摩耗を抑制することで、タイヤの接地面が不均一となるのを防止して、車両の走行安定性を確保できる。
【選択図】図7
Description
本発明は、車輪のキャンバ角を調整するキャンバ角調整装置を備えた車両に用いられる車両用制御装置に関し、特に、タイヤの偏摩耗を抑制してタイヤの寿命を向上させると共に、車両の走行安定性を確保できる車両用制御装置に関するものである。
従来より、車両の走行状態に応じて車輪のキャンバ角を調整することで、車両の走行安定性を確保する技術が知られている。この種の技術に関し、例えば、特許文献1には、車速を検出し、所定の車速以上において車輪にネガティブキャンバを付与することでコーナリング走行時における車両の限界性能を向上させる技術が開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1に開示される技術では、高速道路や幹線道路などを車両が所定の車速以上で長時間走行する場合、その間、車輪にネガティブキャンバが付与され続けるため、タイヤが偏摩耗してタイヤの寿命が短くなると共に、タイヤの接地面が不均一となって車両の走行安定性が低下するおそれがあるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、タイヤの偏摩耗を抑制してタイヤの寿命を向上させると共に、車両の走行安定性を確保できる車両用制御装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために請求項1記載の車両用制御装置によれば、第1スリップ判断手段により車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合に、第1キャンバ角調整手段により、少なくとも絶対値が減少するように車輪のキャンバ角が調整されるので、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。即ち、車輪にスリップが発生する第1条件を満たすときは、タイヤと路面との間に滑りが発生してタイヤの摩耗が進行し易くなる。従って、車輪にスリップが発生する第1条件を満たす場合には、少なくとも絶対値が減少するように車輪のキャンバ角を調整することで、タイヤの接地面積を増加させてタイヤの偏摩耗を抑制することができる。その結果、タイヤの寿命を向上させることができるという効果がある。また、タイヤの偏摩耗を抑制することで、タイヤの接地面が不均一となるのを防止して、車両の走行安定性を確保できるという効果がある。更に、タイヤの偏摩耗を抑制できるので、その分、省燃費化を図ることができるという効果がある。
請求項2記載の車両用制御装置によれば、走行時にタイヤが変形すると、タイヤと路面との間が滑っていなくてもスリップ率が大きくなるが、タイヤの変形率を考慮してスリップ率を算出することで、タイヤと路面との間の滑りと、タイヤの変形とを判別できる。これにより、スリップ率に基づいて判断することにより、タイヤと路面との間の滑りを検出でき、請求項1の効果に加え、タイヤの偏磨耗を確実に抑制できる効果がある。
請求項3記載の車両用制御装置によれば、状態量判断手段により車両の状態量が所定の条件を満たすと判断される場合に、第2キャンバ角調整手段により前輪にポジティブキャンバ又は後輪にネガティブキャンバが付与されるので、例えば、車両の前後方向加速度や横方向加速度が大きく、車両が急加速、急制動または急旋回している場合には、車輪に発生するキャンバスラストを利用して、車両の走行安定性を確保できる。また、状態量判断手段により車両の状態量が所定の条件を満たしていないと判断され、且つ、第1スリップ判断手段により車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合には、第1キャンバ角調整手段により、少なくとも第2キャンバ角調整手段により調整されるキャンバ角よりも絶対値が小さくなるように車輪のキャンバ角が調整されるので、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。よって、請求項1又は2の効果に加え、走行安定性の確保とタイヤの偏摩耗の抑制との両立を図ることができるという効果がある。
なお、請求項3記載の「車両の状態量」とは、上述した車両の前後方向加速度や横方向加速度のように、車両自体の状態を示すものに限られず、運転者により操作される操作部材の状態を示すもの、例えば、アクセルペダルやブレーキペダルの踏み込み量、ステアリングの操作量などでも良い。
請求項4記載の車両用制御装置によれば、走行状態判断手段により車両の走行状態が所定の直進状態であると判断される場合に、第3キャンバ角調整手段により前輪にポジティブキャンバ又は後輪にネガティブキャンバが付与されるので、例えば、比較的直線の多い高速道路や幹線道路などを車両が走行する場合には、車輪の横剛性を利用して、車両の直進安定性を確保できる。また、走行状態判断手段により車両の走行状態が所定の直進状態であると判断され、且つ、第1スリップ判断手段により車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合には、第1キャンバ角調整手段により、少なくとも第3キャンバ角調整手段により調整されるキャンバ角よりも絶対値が小さくなるように車輪のキャンバ角が調整されるので、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。よって、請求項1から3のいずれかの効果に加え、直進安定性の確保とタイヤの偏摩耗の抑制との両立を図ることができるという効果がある。
なお、請求項4記載の「所定の直進状態」とは、車両の横方向加速度やヨーレート等が所定値以下である場合、車両の進行方向を左右に転換するために運転者により操作される操作部材(例えば、ステアリング等)の操作量が所定の操作量以下である場合、車両の現在位置が地図データの高速道路上や幹線道路上など所定の区間において車両が直進すると判断される直線道路上に位置する場合などが例示される。
請求項5記載の車両用制御装置によれば、第2スリップ判断手段により車輪にスリップが発生する第2条件を満たすか判断され、維持手段は、走行状態判断手段により車両の走行状態が所定の直進状態であると判断され、且つ、第1スリップ判断手段により第1条件を満たすと判断される場合であっても、第2スリップ判断手段により第2条件を満たさないと判断される場合には、第3キャンバ角調整手段により調整されるキャンバ角を維持する。これにより、請求項4の効果に加え、第3キャンバ角調整手段により車輪のキャンバ角が調整された状態において、車輪にスリップが発生する第1条件を満たすたびにキャンバ角調整装置が作動して車輪のキャンバ角が調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる効果がある。
請求項6記載の車両用制御装置によれば、走行状態判断手段により車両の走行状態が所定の直進状態であると判断される場合であっても、待機手段により、第3キャンバ角調整手段による車輪のキャンバ角の調整の開始が待機される。これにより、請求項4又は5の効果に加え、第3キャンバ角調整手段によりキャンバ角調整装置が駆動され車輪のキャンバ角が調整される場合に、キャンバ角調整装置が頻繁に作動して車輪のキャンバ角が頻繁に調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における車両用制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFを支持する複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2を車体フレームBFに懸架する複数の懸架装置4,40と、複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を操舵する操舵装置5とを主に備えて構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の前方側(矢印F方向側)に位置する左右の前輪2FL,2FRと、車両1の後方側(矢印B方向側)に位置する左右の後輪2RL,2RRとを備えている。なお、本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FRは、車輪駆動装置3により回転駆動される駆動輪として構成される一方、左右の後輪2RL,2RRは、車両1の走行に伴って従動される従動輪として構成されている。
また、車輪2は、図1に示すように、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRが全て同じ形状および特性に構成され、そのトレッドの幅(図1左右方向の寸法)が同一の幅に構成されている。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FRを回転駆動するための装置であり、後述するように電動モータ3aにより構成されている(図3参照)。また、電動モータ3aは、図1に示すように、デファレンシャルギヤ(図示せず)及び一対のドライブシャフト31を介して左右の前輪2FL,2FRに接続されている。
運転者がアクセルペダル61を操作した場合には、車輪駆動装置3から左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力が付与され、それら左右の前輪2FL,2FRがアクセルペダル61の操作量に応じて回転駆動される。なお、左右の前輪2FL,2FRの回転差は、デファレンシャルギヤにより吸収される。
懸架装置4,40は、路面から車輪2を介して車体フレームBFに伝わる振動を緩和するための装置、いわゆるサスペンションとして機能するものであり、伸縮可能に構成され、図1に示すように、後輪2RL,2RRに対応して懸架装置4が、前輪2FL,2FRに対応して懸架装置40がそれぞれ設けられている。また、本実施の形態における懸架装置4は、車輪2のキャンバ角を調整するキャンバ角調整機構としての機能を兼ね備えている。
ここで、図2を参照して、懸架装置4の詳細構成について説明する。図2は、懸架装置4の正面図である。なお、ここでは、キャンバ角調整機構として機能する構成のみについて説明し、サスペンションとして機能する構成については周知の構成と同様であるので、その説明を省略する。また、各懸架装置4の構成は、左右の後輪2RL,2RRにおいてそれぞれ共通であるので、右の後輪2RRに対応する懸架装置4を代表例として図2に図示する。但し、図2では、理解を容易とするために、ドライブシャフト31等の図示が省略されている。
懸架装置4は、図2に示すように、ストラット41及びロアアーム42を介して車体フレームBFに支持されるナックル43と、駆動力を発生するRRモータ44RRと、そのRRモータ44RRの駆動力を伝達するウォームホイール45及びアーム46と、それらウォームホイール45及びアーム46から伝達されるRRモータ44RRの駆動力によりナックル43に対して揺動駆動される可動プレート47とを主に備えて構成されている。
ナックル43は、車輪2を操舵可能に支持するものであり、図2に示すように、上端(図2上側)がストラット41に連結されると共に、下端(図2下側)がボールジョイントを介してロアアーム42に連結されている。
RRモータ44RRは、可動プレート47に揺動駆動のための駆動力を付与するものであり、DCモータにより構成され、その出力軸44aにはウォーム(図示せず)が形成されている。
ウォームホイール45は、RRモータ44RRの駆動力をアーム46に伝達するものであり、RRモータ44FRの出力軸44aに形成されたウォームに噛み合い、かかるウォームと共に食い違い軸歯車対を構成している。
アーム46は、ウォームホイール45から伝達されるRRモータ44RRの駆動力を可動プレート47に伝達するものであり、図2に示すように、一端(図2右側)が第1連結軸48を介してウォームホイール45の回転軸45aから偏心した位置に連結される一方、他端(図2左側)が第2連結軸49を介して可動プレート47の上端(図2上側)に連結されている。
可動プレート47は、車輪2を回転可能に支持するものであり、上述したように、上端(図2上側)がアーム46に連結される一方、下端(図2下側)がキャンバ軸50を介してナックル43に揺動可能に軸支されている。
上述したように構成される懸架装置4によれば、RRモータ44RRが駆動されると、ウォームホイール45が回転すると共に、ウォームホイール45の回転運動がアーム46の直線運動に変換される。その結果、アーム46が直線運動することで、可動プレート47がキャンバ軸50を揺動軸として揺動駆動され、車輪2のキャンバ角が調整される。
なお、本実施の形態では、各連結軸48,49及びウォームホイール45の回転軸45aが、車体フレームBFから車輪2に向かう方向(矢印R方向)において、第1連結軸48、回転軸45a、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第1キャンバ状態と、回転軸45a、第1連結軸48、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第2キャンバ状態(図2に示す状態)とのいずれか一方のキャンバ状態となるように車輪2のキャンバ角が調整される。これにより、車輪2のキャンバ角が調整された状態では、車輪2に外力が加わったとしても、アーム46を回動させる方向の力は発生せず、車輪2のキャンバ角を維持することができる。
また、本実施の形態では、第1キャンバ状態において、車輪2のキャンバ角がマイナス方向の所定の角度(本実施の形態では−4°、以下「第1キャンバ角」と称す)に調整され、車輪2にネガティブキャンバが付与される。一方、第2キャンバ状態(図2に示す状態)では、車輪2のキャンバ角が−1°(以下「第2キャンバ角」と称す)に調整される。
懸架装置40は、左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を調整する機能が省略されている点(即ち、図2に示す懸架装置4において、RRモータ44RRによる伸縮機能が省略されている点)を除き、その他の構成は懸架装置4と同じ構成であるので、その説明を省略する。これにより、第1実施の形態における車両1は、後輪2RL,2RRのみのキャンバ角がキャンバ角調整装置44により調整可能とされ、前輪2FL,2FRについてはキャンバ角の調整を行わない構成とされている。
図1に戻って説明する。操舵装置5は、運転者によるステアリング63の操作を前輪2FL,2FRに伝えて操舵するための装置であり、いわゆるラック&ピニオン式のステアリングギヤとして構成されている。
この操舵装置5によれば、運転者によるステアリング63の操作(回転)は、まず、ステアリングコラム51を介してユニバーサルジョイント52に伝達され、ユニバーサルジョイント52により角度を変えられつつステアリングボックス53のピニオン53aに回転運動として伝達される。そして、ピニオン53aに伝達された回転運動は、ラック53bの直線運動に変換され、ラック53bが直線運動することで、ラック53bの両端に接続されたタイロッド54が移動する。その結果、タイロッド54がナックル55を押し引きすることで、車輪2に所定の舵角が付与される。
アクセルペダル61及びブレーキペダル62は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル61,62の操作状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3が駆動制御される。ステアリング63は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(ステア角、ステア角速度など)に応じて、操舵装置5により前輪2FL,2FRが操舵される。
車両用制御装置100は、上述したように構成される車両1の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62やステアリング63の操作状態に応じてキャンバ角調整装置44(図3参照)を作動制御する。
次いで、図3を参照して、車両用制御装置100の詳細構成について説明する。図3は、車両用制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置100は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置であり、ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図4から図7に図示されるフローチャートのプログラム)や固定値データ等を記憶する書き換え不能な不揮発性のメモリである。
RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図3に示すように、キャンバフラグ73a、状態量フラグ73b、走行状態フラグ73c及びスリップフラグ73dが設けられている。
キャンバフラグ73aは、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあるか否かを示すフラグであり、CPU71は、このキャンバフラグ73aがオンである場合に、車輪2のキャンバ角が第1キャンバ角に調整された状態にあると判断する。
状態量フラグ73bは、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを示すフラグであり、後述する状態量判断処理(図4参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における状態量フラグ73bは、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この状態量フラグ73bがオンである場合に、車両1の状態量が所定の条件を満たしていると判断する。
走行状態フラグ73bは、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを示すフラグであり、後述する走行状態判断処理(図5参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における走行状態フラグ73cは、車両1の走行速度が所定の走行速度以上であり、且つ、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この走行状態フラグ73cがオンである場合に、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断する。
スリップフラグ73dは、タイヤと路面との間の滑り(スリップ)が発生するおそれがあるか否かを示すフラグであり、後述するスリップ判断処理(図6参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、このスリップフラグ73dがオンである場合に、スリップが発生するおそれがあると判断する。
車輪駆動装置3は、上述したように、前輪2FL,2FR(図1参照)を回転駆動するための装置であり、前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与する電動モータ3aと、その電動モータ3aをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。但し、車輪駆動装置3は、電動モータ3aに限られず、他の駆動源を採用することは当然可能である。他の駆動源としては、例えば、油圧モータやエンジン等が例示される。
キャンバ角調整装置44は、各車輪2のキャンバ角を調整するための装置であり、上述したように、各懸架装置4の可動プレート47(図2参照)に揺動のための駆動力をそれぞれ付与する合計2個のRL,RRモータ44RL,44RRと、それら各モータ44RL,44RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。
加速度センサ装置80は、車両1の加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後方向加速度センサ80a及び左右方向加速度センサ80bと、それら各加速度センサ80a,80bの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
前後方向加速度センサ80aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1矢印F−B方向)の加速度、いわゆる前後Gを検出するセンサであり、左右方向加速度センサ80bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1矢印L−R方向)の加速度、いわゆる横Gを検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ80a,80bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
また、CPU71は、加速度センサ装置80から入力された各加速度センサ80a,80bの検出結果(前後G、横G)を時間積分して、2方向(前後方向および左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで、車両1の走行速度を取得することができる。
ヨーレートセンサ装置81は、車両1のヨーレートを検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る鉛直軸(図1矢印U−D方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角速度を検出するヨーレートセンサ81aと、そのヨーレートセンサ81aの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ロール角センサ装置82は、車両1のロール角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る前後軸(図1矢印F−B方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角を検出するロール角センサ82aと、そのロール角センサ82aの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、本実施の形態では、ヨーレートセンサ81a及びロール角センサ82aがサニャック効果により回転角速度および回転角を検出する光学式ジャイロセンサにより構成されている。但し、他の種類のジャイロセンサを採用することは当然可能である。他の種類のジャイロセンサとしては、例えば、機械式や流体式などのジャイロセンサが例示される。
サスストロークセンサ装置83は、各懸架装置4の伸縮量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各懸架装置4の伸縮量をそれぞれ検出する合計2個のFR,RRサスストロークセンサ83RL,83RRと、それら各サスストロークセンサ83RL,83RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各サスストロークセンサ83RL,83RRがひずみゲージとして構成されており、これら各サスストロークセンサ83RL,83RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
CPU71は、サスストロークセンサ装置83から入力された各サスストロークセンサ83RL,83RRの検出結果(伸縮量)に基づいて、各車輪2の接地荷重を取得する。即ち、車輪2の接地荷重と懸架装置4の伸縮量とは比例関係を有しているので、懸架装置4の伸縮量をXとし、懸架装置4の減衰定数をkとすると、車輪2の接地荷重Fは、F=kXとなる。
接地荷重センサ装置84は、各車輪2の接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、後輪2RL,2RRの接地荷重をそれぞれ検出する合計2個のRL,RR接地荷重センサ84RL,84RRと、それら各接地荷重センサ84RL,84RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各接地荷重センサ84RL,84RRがピエゾ抵抗型の荷重センサとして構成されており、これら各接地荷重センサ84RL,84RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ(図示せず)にそれぞれ配設されている。
駆動電力検出装置85は、電動モータ3aの駆動に要する駆動電力を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、電動モータ3aに供給される駆動電圧および駆動電流を検出する検出装置(図示せず)と、その検出装置の検出結果を処理してCPU71に出力する出力装置(図示せず)とを備えている。CPU71は、取得した駆動電力を時間微分して、駆動電力の変化率を取得することができる。
車輪速度センサ装置86は、車輪2の回転速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、左の前輪2FL、右の前輪2FR、左の後輪2RL、右の後輪2RRの各回転速度を検出するFLセンサ〜RRセンサ86FL〜86RRと、それらFLセンサ〜RRセンサ86FL〜86RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
アクセルペダルセンサ装置61aは、アクセルペダル61の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル61の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ブレーキペダルセンサ装置62aは、ブレーキペダル62の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ステアリングセンサ装置63aは、ステアリング63の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング63のステア角を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。また、CPU71は、各センサ装置61a,62a,63aから入力された各角度センサの検出結果(操作量)を時間微分して、各ペダル61,62の踏み込み速度およびステアリング63のステア角速度を取得することができる。更に、CPU71は、取得したステアリング63のステア角速度を時間微分して、ステアリング63のステア角加速度を取得することができる。
図3に示す他の入出力装置90としては、例えば、GPSを利用して車両1の現在位置を取得すると共にその取得した車両1の現在位置を道路に関する情報が記憶された地図データに対応付けて取得するナビゲーション装置などが例示される。
次いで、図4を参照して、状態量判断処理について説明する。図4は、状態量判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の状態量が所定の条件を満たすかを判断する処理である。
CPU71は、状態量判断処理に関し、まず、アクセルペダル61の操作量(踏み込み量)、ブレーキペダル62の操作量(踏み込み量)及びステアリング63の操作量(ステア角)をそれぞれ取得し(S1、S2、S3)、それら取得した各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する(S4)。なお、S4の処理では、S1〜S3の処理でそれぞれ取得した各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量と、それら各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量にそれぞれ対応してROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回する場合に、車輪2がスリップする恐れがあると判断される限界値)とを比較して、現在の各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
その結果、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であると判断される場合には(S4:Yes)、状態量フラグ73bをオンして(S5)、この状態量判断処理を終了する。即ち、この状態量判断処理では、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合に、車両1の状態量が所定の条件を満たすと判断する。
一方、S4の処理の結果、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量のいずれもが所定の操作量より小さいと判断される場合には(S4:No)、状態量フラグ73bをオフして(S6)、この状態量判断処理を終了する。
次いで、図5を参照して、走行状態判断処理について説明する。図5は、走行状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、走行状態判断処理に関し、まず、車両1の走行速度を取得し(S11)、その取得した車両1の走行速度が所定の速度以上であるか否かを判断する(S12)。なお、S12の処理では、S11の処理で取得した車両1の走行速度と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在の車両1の走行速度が所定の速度以上であるか否かを判断する。
その結果、車両1の走行速度が所定の速度より小さいと判断される場合には(S12:No)、走行状態フラグ73cをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
一方、S12の処理の結果、車両1の走行速度が所定の速度以上であると判断される場合には(S12:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)を取得し(S13)、その取得したステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S14)。なお、S14の処理では、S13の処理で取得したステアリング63の操作量と、ROM72に予め記憶されている閾値(本実施の形態では、図4に示す状態量判断処理において、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断するためのステアリング63の操作量より小さい値)とを比較して、現在のステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S14:Yes)、走行状態フラグ73cをオンして(S15)、この走行状態判断処理を終了する。即ち、この走行状態判断手段では、車両1の走行速度が所定の速度以上であり、且つ、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下である場合に、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断する。
一方、S14の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S14:No)、走行状態フラグ73cをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
次いで、図6を参照して、スリップ判断処理について説明する。図6は、スリップ判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車輪2にネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、車輪2(タイヤ)と路面との間に滑り(スリップ)が発生しタイヤ(トレッド)に偏摩耗が発生するおそれがあるか否かを判断する処理である。
CPU71は、スリップ判断処理に関し、まず、車両1の走行速度Vvを取得する(S21)。なお、S21の処理では、加速度センサ装置80から入力された各加速度センサ80a,80bの検出結果(前後G、横G)を時間積分して、2方向(前後方向および左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成することで車両1の走行速度Vvを取得する。
次にCPU71は、車輪速度センサ装置86により車輪2(左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR)の回転速度(車輪速度Vw)を取得し(S22)、取得した車両1の走行速度Vv及び車輪速度Vwから、以下の式(1)に基づいて、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RR各々のスリップ率Sを算出する(S23)。
S=(Vv−Vw)/Vv … 式(1)
次いでCPU71は、算出されたスリップ率と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のスリップ率が所定のスリップ率以下であるか否かを判断する(S24)。なお、この閾値は、車両1の走行時におけるタイヤの変形率を考慮して定めることが望ましい。走行時にタイヤが変形すると、タイヤと路面との間が滑っていなくてもスリップ率が大きくなるが、タイヤの変形率を考慮してスリップ率(閾値)を定めることで、タイヤと路面との間の滑り(スリップ率が閾値より大きい)と、タイヤの変形(スリップ率が閾値以下)とを判別できる。
次いでCPU71は、算出されたスリップ率と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、現在のスリップ率が所定のスリップ率以下であるか否かを判断する(S24)。なお、この閾値は、車両1の走行時におけるタイヤの変形率を考慮して定めることが望ましい。走行時にタイヤが変形すると、タイヤと路面との間が滑っていなくてもスリップ率が大きくなるが、タイヤの変形率を考慮してスリップ率(閾値)を定めることで、タイヤと路面との間の滑り(スリップ率が閾値より大きい)と、タイヤの変形(スリップ率が閾値以下)とを判別できる。
その結果、車輪2の内の少なくとも1のスリップ率、特に後輪2RL,2RRのいずれかのスリップ率が所定のスリップ率より大きいと判断される場合には(S24:No)、そのスリップ率の大きい車輪2にスリップが発生すると判断されるので、スリップフラグ73dをオンして(S27)、このスリップ判断処理を終了する。
一方、S24の処理の結果、算出されたスリップ率が所定のスリップ率以下であると判断される場合には(S24:Yes)、電動モータ3aの駆動電力の変化率を取得し(S25)、取得された駆動電力の変化率が所定の変化率以下であるかを判断する(S26)。なお、S26の処理では、駆動電力検出装置85により検出された駆動電力を時間微分した変化率と、ROM72に予め記憶されている閾値とを比較して、電動モータ3aの駆動電力の変化率が所定の変化率以下であるか否かを判断する。
その結果、電動モータ3aの駆動電力の変化率が所定の変化率より大きいと判断される場合には(S26:No)、電動モータ3aの駆動電力の変化率が大きくなる結果、車輪2にスリップが発生する可能性が高いと判断されるので、スリップフラグ73dをオンして(S27)、このスリップ判断処理を終了する。一方、S26の処理の結果、電動モータ3aの駆動電力の変化率が所定の変化率以下であると判断される場合には(S26:Yes)、スリップフラグ73dをオフして(S28)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
次いで、図7を参照して、キャンバ制御処理について説明する。図7は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、各車輪2(左右の後輪2RL,2RR)のキャンバ角を調整する処理である。
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、状態量フラグ73bがオンであるか否かを判断し(S41)、状態量フラグ73bがオンであると判断される場合には(S41:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S42)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S42:No)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に(S43)、キャンバフラグ73aをオンして(S44)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の条件を満たす場合、即ち、各ペダル61,62の操作量およびステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であり、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回すると車輪2がスリップする恐れがあると判断される場合には、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与することで、後輪2RL,2RRに発生するキャンバスラストを利用して、車両1の走行安定性を確保することができる。
一方、S42の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S42:Yes)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S43及びS44の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S41の処理の結果、状態量フラグ73bがオフであると判断される場合には(S41:No)、走行状態フラグ73cがオンであるか否かを判断し(S45)、走行状態フラグ73cがオンであると判断される場合には(S45:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S46)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S46:No)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に(S47)、キャンバフラグ73aをオンして(S48)、S49の処理を実行する。
これにより、車両1の走行状態が所定の直進状態である場合、即ち、車両1の走行速度が所定の速度以上であると共にステアリング63の操作量が所定の操作量以下であり、車両1が比較的高速で直進している場合には、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与することで、車輪2の横剛性を利用して、車両1の直進安定性を確保することができる。
一方、S46の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S46:Yes)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S47及びS48の処理をスキップして、スリップフラグ73dがオンであるか否かを判断する(S49)。その結果、スリップフラグ73dがオンであると判断される場合には(S49:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S50)、キャンバフラグ73aをオフして(S51)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車輪2にスリップが発生する場合、即ち、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行すると、タイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れがある場合には、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、接地面積を広くしてタイヤの偏摩耗を抑制することができる。
一方、S49の処理の結果、スリップフラグ73dがオフであると判断される場合には(S49:No)、車輪2にスリップは発生せず、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行しても、タイヤ(トレッド)が偏摩耗する恐れはないと判断されるので、S50及びS51の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S45の処理の結果、走行状態フラグ73cがオフであると判断される場合には(S45:No)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S52)。その結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S52:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S53)、キャンバフラグ73aをオフして(S54)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の条件を満たしておらず車両1の走行状態が所定の直進状態でない場合、即ち、車両1の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、キャンバスラストの影響を回避して、省燃費化を図ることができる。
一方、S52の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S52:No)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第2キャンバ角に調整されているので、S53及びS54の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
以上説明したように、第1実施の形態によれば、車輪2に発生するスリップに関する情報に基づき、即ち、スリップ率が所定のスリップ率より大きい又は電動モータ3aの駆動電流の変化率が所定の変化率より大きいと判断される場合に、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角よりも絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの接地面積を広げて、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。即ち、車輪2にスリップが発生するとタイヤの摩耗が進行し易いので、車輪2にスリップが発生する場合には、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。その結果、タイヤの寿命を向上させることができる。また、タイヤの偏摩耗を抑制することで、タイヤの接地面が不均一となるのを防止して、車両1の走行安定性を確保することができる。更に、タイヤの偏摩耗を抑制できるので、その分、省燃費化を図ることができる。
また、第1実施の形態によれば、車両1の状態量が所定の条件を満たすと判断される場合に、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整され、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与されるので、後輪2RL,2RRに発生するキャンバスラストを利用して、車両1の走行安定性を確保することができる。また、車両1の状態量が所定の条件を満たしていないと判断され、且つ、車輪2にスリップが発生しないと判断される場合には、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角よりも絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。よって、走行安定性の確保とタイヤの偏摩耗の抑制との両立を図ることができる。
また、第1実施の形態によれば、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断される場合に、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整され、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与されるので、車輪2の横剛性を利用して車両1の直進安定性を確保できる。また、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断され、且つ、車輪2にスリップが発生しないと判断される場合には、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角(第1キャンバ角よりも絶対値が小さいキャンバ角)に調整され、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与が解除されるので、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。よって、直進安定性の確保とタイヤの偏摩耗の抑制との両立を図ることができる。
なお、図4に示すフローチャート(状態量判断処理)において、請求項2記載の状態量取得手段としてはS1〜S3の処理が該当する。図5に示すフローチャート(走行状態判断処理)において、請求項3記載の走行状態取得手段としてはS11及びS13の処理が該当する。図6に示すフローチャート(スリップ判断処理)において、請求項1記載のスリップ情報取得手段としてはS21〜S23の処理およびS25の処理が該当する。図7に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載の第1スリップ判断手段としてはS39の処理が、第1キャンバ角調整手段としてはS40の処理が、請求項2記載の状態量判断手段としてはS31の処理が、第2キャンバ角調整手段としてはS33の処理が、請求項3記載の走行状態判断手段としてはS35の処理が、第3キャンバ角調整手段としてはS37の処理が、それぞれ該当する。
次いで、図8から図11を参照して、第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断され、且つ、車輪2にスリップが発生する(第1条件を満たす)と判断される場合に、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角に調整される場合について説明した。これに対し、第2実施の形態では、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断されると共に、車輪2にスリップが発生する(第1条件を満たす)と判断され、且つ、車輪2にスリップが発生する所定の条件を満たさない(第2条件を満たさない)と判断される場合に、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に維持される場合について説明する。また、第2実施の形態で説明する車両用制御装置200は、第1実施の形態における車両1に搭載される車両用制御装置100に代えて搭載されるものとして説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
まず、図8を参照して、第2実施の形態における車両用制御装置200の電気的構成について説明する。図8は車両用制御装置200の電気的構成を示したブロック図である。計時装置87は時間を計測するための装置であり、各計時装置は、CPU71からの指示に基づいて時間を計測する計時回路(図示せず)と、その計時回路により計測された時間を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。なお、第1計時装置87aは後述する走行状態判断処理(図9参照)において時間を計測する装置であり、第2計時装置87bは後述するスリップ判断処理(図10参照)において時間を計測する装置であり、第3計時装置87cは後述するキャンバ制御処理(図11参照)において時間を計測する装置である。
RAM273は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図8に示すように、キャンバフラグ73a、状態量フラグ73b、走行状態フラグ73c、スリップフラグ73dに加え、第1計時フラグ273e及び第2計時フラグ273fが設けられている。
第1計時フラグ273eは、第1計時装置87aが時間を計時中か否かを示すフラグであり、走行状態判断処理(図9参照)の実行中にオン又はオフに切り替えられる。第2計時フラグ273fは、第2計時装置87bが時間を計時中か否かを示すフラグであり、スリップ判断処理(図10参照)の実行中にオン又はオフに切り替えられる。
次いで、図9を参照して、第2実施の形態における走行状態判断処理について説明する。図9は、走行状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、走行状態判断処理に関し、まず、車両1の走行速度を取得し(S11)、その取得した車両1の走行速度が所定の速度以上であるか否かを判断する(S12)。その結果、車両1の走行速度が所定の速度以上であると判断される場合には(S12:Yes)、ステアリング63の操作量(ステア角)を取得し(S13)、その取得したステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S14)。その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S14:Yes)、第1計時フラグ273eがオンであるか否かを判断する(S41)。その結果、第1計時フラグ273eがオフであると判断される場合には(S41:No)、第1計時装置87aにより計時を開始し(S42)、第1計時フラグ273eをオンして(S43)、この走行状態判断処理を終了する。
一方、S41の処理の結果、第1計時フラグ273eがオンであると判断される場合には(S41:Yes)、第1計時装置87aにより計時が開始されてから所定の時間が経過したか否かを判断する(S44)。この所定の時間は予め設定されROM72に記憶されている。その結果、所定の時間が経過していると判断される場合には(S44:Yes)、走行状態フラグ73cをオンすると共に(S45)、第1計時装置87aによる計時を終了して(S46)、第1計時フラグ273eをオフし(S47)、この走行状態判断処理を終了する。即ち、この走行状態判断処理では、車両1の走行速度が所定の速度以上であると共に、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断され、且つ、この状態が所定時間継続したと判断される場合に、走行状態フラグ73cがオンされる。
これに対し、S12の処理の結果、車両1の走行速度が所定の速度より小さいと判断される場合(S12:No)、S14の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S14:No)、第1計時装置87aによる計時を終了すると共に(S48)、第1計時フラグ273eをオフし(S49)、走行状態フラグ73cをオフして(S50)、この走行状態判断処理を終了する。また、S44の処理の結果、第1計時装置87aにより計時が開始されてから所定の時間が経過していないと判断される場合には(S44:No)、走行状態フラグ73cをオフして(S50)、この走行状態判断処理を終了する。
次いで、図10を参照して、第2実施の形態におけるスリップ判断処理について説明する。図10は、スリップ判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、後輪2RL,2RRにスリップが発生するか否かを判断する処理である。なお、図10に示すスリップ判断処理のうちS21〜S26の処理は、第1実施の形態におけるスリップ判断処理と同一なので、同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示すS24又はS26の処理の結果、後輪2RL,2RRにスリップが発生すると判断される場合には(S24又はS26:No)、CPU71は第2計時フラグ273fがオンであるか否かを判断する(S51)。その結果、第2計時フラグ273fがオフであると判断される場合には(S51:No)、第2計時装置87bにより計時を開始すると共に(S52)、第2計時フラグ273fをオンして(S53)、このスリップ判断処理を終了する。
一方、S51の処理の結果、第2計時フラグ273fがオンであると判断される場合には(S51:Yes)、第2計時装置87bにより計時が開始されてから所定の時間が経過したか否かを判断する(S54)。この所定の時間は予め設定されROM72に記憶されている。その結果、所定の時間が経過していると判断される場合には(S54:Yes)、スリップフラグ73dをオンすると共に(S55)、第2計時装置87bによる計時を終了して(S56)、第2計時フラグ273fをオフし(S57)、このスリップ判断処理を終了する。即ち、このスリップ判断処理では、後輪2RL,2RRにスリップが発生する状態が所定時間継続したと判断される場合に、スリップフラグ73dをオンする。
これに対し、S26の処理の結果、駆動電力の変化率が所定の変化率以下であると判断される場合には(S26:Yes)、第2計時装置87bによる計時を終了すると共に(S58)、第2計時フラグ273fをオフし(S59)、スリップフラグ73dをオフして(S60)、このスリップ判断処理を終了する。また、S54の処理の結果、第2計時装置87bにより計時が開始されてから所定の時間が経過していないと判断される場合には(S54:No)、スリップフラグ373fをオフして(S60)、このスリップ判断処理を終了する。
次いで、図11を参照して、第2実施の形態におけるキャンバ制御処理について説明する。図11は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置200の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整する処理である。
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、状態量フラグ73bがオンであるか否かを判断し(S31)、状態量フラグ73bがオンであると判断される場合には(S31:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S32)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S32:No)、RL及びRRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に(S33)、キャンバフラグ73aをオンして(S34)、第3計時装置87cによる計時を終了して(S61)、このキャンバ制御処理を終了する。
一方、S32の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S32:Yes)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S33及びS34の処理をスキップし、第3計時装置87cによる計時を終了して(S61)、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S31の処理の結果、状態量フラグ73bがオフであると判断される場合には(S31:No)、走行状態フラグ73cがオンであるか否かを判断し(S35)、走行状態フラグ73cがオンであると判断される場合には(S35:Yes)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S36)。その結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S36:No)、RL及びRRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に(S37)、キャンバフラグ73aをオンし(S38)、第3計時装置87cによる計時を開始して(S62)、S39の処理を実行する。これにより、車両1の走行状態が所定の直進状態である場合、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与することで、後輪2RL,2RRの横剛性を利用して、車両1の直進安定性を確保できる。
一方、S36の処理の結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S36:Yes)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第1キャンバ角に調整されているので、S37,S38及びS62の処理をスキップして、スリップフラグ73dがオンであるか否かを判断する(S39)。その結果、スリップフラグ73dがオンであると判断される場合には(S39:Yes)、第3計時装置87cにより計時が開始されてから所定の時間が経過したか否かを判断し(S63)、所定の時間が経過していると判断される場合には(S63:Yes)、RL及びRRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S40)、キャンバフラグ73aをオフし(S41)、第3計時装置87cによる計時を終了して(S64)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、後輪2RL,2RRにスリップが発生する場合、即ち、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行すると、タイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れがある場合には、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制することができる。
これに対し、S39の処理の結果、スリップフラグ73dがオフであると判断される場合には(S39:No)、後輪2RL,2RRにスリップは発生せず、後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行しても、タイヤ(トレッド)が偏摩耗するおそれはないと判断されるので、第3計時装置87cによる計時を終了し(S61)、S63,S40,S41及びS64の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
また、S63の処理の結果、所定の時間が経過していないと判断される場合には(S63:No)、S40,S41及びS64の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。このように、スリップフラグ73dがオンであると判断される場合であっても(S39:Yes)、S63の処理の結果、所定の時間が経過していないと判断される場合に(S63:No)、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を維持することで、後輪2RL,2RRのキャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる。
一方、S35の処理の結果、走行状態フラグ73cがオフであると判断される場合には(S35:No)、キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S42)。その結果、キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S42:Yes)、RL及びRRモータ44RL,44RRを作動させて、後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に(S43)、キャンバフラグ73aをオフし(S44)、第3計時装置87cによる計時を終了して(S64)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の条件を満たしておらず車両1の走行状態が所定の直進状態でない場合、即ち、車両1の走行安定性を優先して確保する必要がない場合には、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、キャンバスラストの影響を回避して、省燃費化を図ることができる。
一方、S42の処理の結果、キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S42:No)、後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第2キャンバ角に調整されているので、S43及びS44の処理をスキップして、第3計時装置87cによる計時を終了し(S64)、このキャンバ制御処理を終了する。
以上説明したように、第2実施の形態によれば、スリップ判断処理において(図10参照)、車輪2にスリップが発生すると判断されるのに加え、第2計時装置87bによる計時により所定の時間が経過した(車両1に所定の状態が継続している)と判断される場合に(S54:Yes)、スリップフラグ73dがオンされる(S55)。そのため、キャンバ制御処理(図11参照)において、S40の処理の実行により車輪2のキャンバ角が頻繁に第2キャンバ角に調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる。これにより、路面の継ぎ目や部分的な舗装等による不連続な凹凸によって、電動モータ3aの駆動電力やスリップ率が突発的に変化するような場合に、車輪2のキャンバ角を第1キャンバ角に維持できる。
また、第2実施の形態によれば、キャンバ制御処理(図11参照)において走行状態フラグ73cがオンである場合(S35)、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整されてから、第3計時装置87cによる計時により所定の時間が経過したと判断される場合に(S63:Yes)、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角に調整される(S40)。一方、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整されてから、第3計時装置87cによる計時により所定の時間が経過していない(後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整された所定の状態が車両1に継続している)と判断される場合には(S63:No)、S40の処理がスキップされる。これにより、後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1キャンバ角に調整されてから所定の時間が経過するまでは、第1キャンバ角が維持される。この場合も、車輪2にスリップが発生すると判断されるたびにキャンバ角調整装置44が作動して後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角に調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる。
また、第2実施の形態によれば、走行状態判断処理において(図9参照)、車両1の走行状態が所定の直進状態であると判断される場合であっても、第1計時装置87aによる計時により所定の時間が経過したと判断される場合に(S44:Yes)、走行状態フラグ73cがオンされる(S45)。そのため、キャンバ制御処理(図11参照)のS37の処理が実行されて、キャンバ角調整装置44が作動して後輪2RL,2RRのキャンバ角が頻繁に第1キャンバ角に調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる。
なお、図9に示すフローチャート(走行状態判断処理)において、請求項6記載の待機手段としてはS44の処理の結果、実行されるS60の処理が該当する。図10に示すフローチャート(スリップ判断処理)において、請求項5記載の第2スリップ判断手段としてはS54の処理が該当する。図11に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項5記載の第2スリップ判断手段としてはS63の処理が、維持手段としてはS63の処理の結果S40の処理をスキップする処理が、それぞれ該当する。
次いで、図12から図13を参照して、第3実施の形態について説明する。第2実施の形態ではスリップ判断処理(図10参照)において、スリップフラグ73dをオンするか否か(第2条件を満たすか否か)を、所定の時間が経過するか否かを考慮して判断する場合について説明した。これに対し、第3実施の形態では、走行状態を示す所定期間内の状態値が所定条件を満たすか否かを、第2条件として判断する場合について説明する。また、第3実施の形態で説明する車両用制御装置300は、第1実施の形態における車両1に搭載される車両用制御装置100に代えて搭載されるものとして説明する。なお、第1実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
まず、図12を参照して、第3実施の形態における車両用制御装置300の電気的構成について説明する。RAM373は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図12に示すように、キャンバフラグ73a、状態量フラグ73b、走行状態フラグ73c、スリップフラグ73dに加え、リングバッファメモリ373eが設けられている。
リングバッファメモリ373eは、後輪2RL,2RRのスリップ率の履歴を記憶するリングバッファであり、CPU71により算出されたスリップ率が所定のレートでサンプリングされ、スリップ率がサンプリング時間に対応付けられて順次書き込まれる。このリングバッファメモリ373eへの書き込みは、リングバッファの先頭アドレスから順に行われ、その書き込みがリングバッファの最終アドレスへ至ると、再度リングバッファの先頭アドレスに戻って、その先頭アドレスから書き込みが継続される。
CPU71は、リングバッファメモリ373eから所定時間内のスリップ率を読み出し、ROM72に記憶された所定の閾値(スリップ率)と比較し、閾値を超えたスリップ率のサンプリング数をカウントする。閾値を超えたスリップ率のサンプリング数が少ない場合は、後輪2RL,2RRにスリップが突発的に生じていると推定できる。
次いで、図13を参照して、第3実施の形態におけるスリップ判断処理について説明する。図13は、スリップ判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置300の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪2RL,2RRにネガティブキャンバが付与された状態で車両1が走行する場合に、後輪2RL,2RRにスリップが発生するか否かを判断する処理である。なお、状態量判断処理、走行状態判断処理およびキャンバ制御処理は、第1実施の形態または第2実施の形態と同様にできるので、説明を省略する。
図13に示すS24又はS26の処理の結果、後輪2RL,2RRのいずれかにスリップが発生すると推定される判断される場合には(S24又はS26:No)、CPU71は、リングバッファメモリ373eから所定時間内のスリップ率を読み出し、所定時間内のスリップ率が所定の閾値(スリップ率)を超えたサンプリング数をカウントする(S71)。次いで、CPU71はそのサンプリング数と、ROM72に記憶された所定の閾値(サンプリング数)とを比較する(S72)。その結果、カウントされたサンプリング数が閾値以上であると判断される場合は(S72:Yes)、後輪2RL,2RRにスリップが発生する所定の状態が継続しており、偏摩耗を引き起こすおそれがあると判断されるので、スリップフラグ73dをオンして(S27)、このスリップ判断処理を終了する。
一方、S72の処理の結果、カウントされたサンプリング数が閾値未満であると判断される場合は(S72:No)、後輪2RL,2RRに発生するスリップは突発的であり、偏摩耗を引き起こすおそれがないと判断されるので、スリップフラグ73dをオフして(S28)、このスリップ判断処理を終了する。
以上説明したように第3実施の形態によれば、スリップ判断処理において(図13参照)、車輪2にスリップが発生するとの判断に加え、カウントされたサンプリング数が閾値以上であり車両1に所定の状態が継続していると判断される場合に(S72:Yes)、スリップフラグ73dがオンされる(S27)。そのため、キャンバ制御処理おいて、キャンバ角調整装置44が作動して後輪2RL,2RRのキャンバ角が頻繁に第2キャンバ角に調整されることを回避でき、キャンバ角の頻繁な切り替わりを抑制できる。これにより、路面の継ぎ目や部分的な舗装等による不連続な凹凸によって後輪2RL,2RRに突発的にスリップが発生するような場合に、車輪2のキャンバ角を第1キャンバ角に維持できる。なお、図13に示すフローチャート(スリップ判断処理)において、請求項5記載の第2スリップ判断手段としてはS72の処理が該当する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記各実施の形態で説明した第1キャンバ角および第2キャンバ角の値は任意に設定することができる。
上記各実施の形態では、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量に基づいて、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量に代えて、他の状態量に基づいて車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断することは当然可能である。他の状態量としては、例えば、各ペダル61,62及びステアリング63の操作速度や操作加速度のように、運転者により操作される操作部材の状態を示すものでも良く、或いは、車両1自体の状態を示すものでも良い。車両1自体の状態を示すものとしては、車両1の前後G、横G、ヨーレート、ロール角などが例示される。
上記各実施の形態では、車両1の走行速度およびステアリング63の操作量に基づいて、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ステアリング63の操作量のみに基づいて、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断しても良い。また、ステアリング63の操作量に代えて、ステアリング63の操作速度や操作加速度のように、ステアリング63の操作状態に基づいて、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断しても良く、或いは、車両1の横G、ヨーレートなどのように、車両1自体の状態量に基づいて、車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断しても良い。また、車両1の走行速度およびステアリング63の操作量に代えて、他の情報に基づいて車両1の走行状態が所定の直進状態であるか否かを判断することは当然可能である。他の情報としては、例えば、他の入出力装置90として例示したナビゲーション装置により取得される情報であって、車両1の現在位置が地図データの高速道路上や幹線道路上など所定の区間において車両1が直進すると判断される直線道路上に位置する場合などが例示される。この場合には、直線道路の先にカーブが存在したり右左折を必要とする道路状況において、車両1が旋回するたびにキャンバ角調整装置44を作動させてしまうことがなく、キャンバ角の頻繁な切り替わりを防止することができる。
上記各実施の形態では、車両1の状態量が所定の条件を満たすか否かを判断する状態量判断処理において、アクセルペダル61の操作量、ブレーキペダル62の操作量およびステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断するための各操作量の判断基準を、車輪2のキャンバ角が第2キャンバ角の状態で車両1が加速、制動または旋回する場合に、車輪2がスリップする恐れがあると判断される限界値とする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、単に車両1の状態量(例えば、各ペダル61,62の操作量やステアリング63の操作量など)に基づいて設定しても良い。
また、上記各実施の形態では、車輪2にスリップが発生するか否かを判断するスリップ判断処理において、駆動電力の変化率およびスリップ率が所定値以下であるかを判断するための判断基準が、それぞれROM72に予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、天候や路面の状況、積載重量、走行速度を取得し、その取得した天候や路面の状況、積載重量、走行速度に応じて判断基準を変更する構成としても良い。
上記各実施の形態では説明を省略したが、キャンバ制御処理のS43の処理において、後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除する場合に、所定時間(例えば3秒など)の経過を待ってから解除しても良い。この場合には、山道などの車両1が頻繁に旋回する道路状況において、車両1が旋回するたびにキャンバ角調整装置44を作動させてしまうことがなく、キャンバ角の頻繁な切り替わりを防止することができる。
上記各実施の形態では、スリップ判断処理において、第1条件を満たすか否かを、電動モータ3aの駆動電力の変化率やスリップ率に基づいて判断する場合について説明したが、必ずしもこれらに限られるものではなく、他の要素に基づいて判断することも可能である。他の要素としては、例えば、他の入出力装置90として例示したナビゲーション装置により取得される情報であって、車両1の現在位置における車両1の進行方向に対する路面の勾配、電動モータ3aのトルク指令値などが例示される。
上記各実施の形態では、スリップ率を車両1の走行速度Vvと車輪速度Vwとの差を走行速度Vvで除すことにより算出したが(式(1)参照)、必ずしもこれに限られるものではなく、他の算出方法を採用することも可能である。他の算出方法としては、例えば、特開2009−142108号公報に開示された走行速度Vvを用いることなくスリップ率を算出(推定)する方法などが挙げられる。
上記第3実施の形態では、所定期間内の状態値(スリップ率)と予め設定された閾値とを比較する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、他の形態とすることも可能である。他の形態としては、例えば、所定期間内の状態値(スリップ率)の平均値を求め、この平均値を閾値とし、サンプリングした状態値と比較するものが挙げられる。
上記各実施の形態では、後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整して後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整するのに代えて、若しくは後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整するのに加えて、前輪2FL,2FRのキャンバ角を調整して前輪2FL,2FRにポジティブキャンバを付与することも可能である。
ここで、図14を参照して、前輪2FL,2FRにポジティブキャンバを付与するための懸架装置104の詳細構成について説明する。図14は、懸架装置104の正面図である。なお、ここでは、キャンバ角調整機構として機能する構成のみについて説明し、サスペンションとして機能する構成については周知の構成と同様であるので、その説明を省略する。また、各懸架装置104の構成は、左右の前輪2FL,2FRにおいてそれぞれ共通であるので、右の前輪2FRに対応する懸架装置104を代表例として図14に図示する。但し、図14では、理解を容易とするために、ドライブシャフト31等の図示が省略されている。また、第1実施の形態と同一の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
アーム146は、ウォームホイール45から伝達されるFRモータ44FRの駆動力を可動プレート47に伝達するものであり、図14に示すように、一端(図14右側)が第1連結軸148を介してウォームホイール45の回転軸45aから偏心した位置に連結される一方、他端(図2左側)が第2連結軸49を介して可動プレート47の上端(図14上側)に連結されている。
懸架装置104によれば、FRモータ44FRが駆動されると、ウォームホイール45が回転すると共に、ウォームホイール45の回転運動がアーム146の直線運動に変換される。その結果、アーム146が直線運動することで、可動プレート47がキャンバ軸50を揺動軸として揺動駆動され、車輪2のキャンバ角が調整される。
なお、本実施の形態では、各連結軸148,49及びウォームホイール45の回転軸45aが、車体フレームBFから車輪2に向かう方向(矢印R方向)において、回転軸45a、第1連結軸148、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第1キャンバ状態と、第1連結軸148、回転軸45a、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第2キャンバ状態(図14に示す状態)とのいずれか一方のキャンバ状態となるように車輪2のキャンバ角が調整される。これにより、車輪2のキャンバ角が調整された状態では、車輪2に外力が加わったとしても、アーム146を回動させる方向の力は発生せず、車輪2のキャンバ角を維持することができる。
また、本実施の形態では、第1キャンバ状態において、車輪2のキャンバ角がプラス方向の所定の角度(第1キャンバ角)に調整され、車輪2にポジティブキャンバが付与される。一方、第2キャンバ状態(図14に示す状態)では、車輪2のキャンバ角が0°(第2キャンバ角)に調整される。前輪2FL,2FR(車輪2)がプラス方向の所定の角度に調整されて、前輪2FL,2FRにポジティブキャンバが付与されると、発生するキャンバスラストを利用して車両1の走行安定性を確保できる。
100,200,300 車両用制御装置
1 車両
2 車輪
2FL 左の前輪(車輪の一部)
2FR 右の前輪(車輪の一部)
2RL 左の後輪(車輪の一部)
2RR 右の後輪(車輪の一部)
4,104 懸架装置
44 キャンバ角調整装置
44FL FLモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44FR FRモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44RL RLモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44RR RRモータ(キャンバ角調整装置の一部)
BF 車体フレーム(車体)
1 車両
2 車輪
2FL 左の前輪(車輪の一部)
2FR 右の前輪(車輪の一部)
2RL 左の後輪(車輪の一部)
2RR 右の後輪(車輪の一部)
4,104 懸架装置
44 キャンバ角調整装置
44FL FLモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44FR FRモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44RL RLモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44RR RRモータ(キャンバ角調整装置の一部)
BF 車体フレーム(車体)
Claims (6)
- 車輪としての前輪および後輪と、その車輪のキャンバ角を調整するキャンバ角調整装置と、を備えた車両に用いられる車両用制御装置であって、
前記車輪に発生するスリップに関する情報を取得するスリップ情報取得手段と、
そのスリップ情報取得手段により取得された前記車輪に発生するスリップに関する情報に基づいて、前記車輪にスリップが発生する第1条件を満たすかを判断する第1スリップ判断手段と、
その第1スリップ判断手段により前記車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合に、前記キャンバ角調整装置を作動させて、少なくとも絶対値が減少するように、前記車輪のキャンバ角を調整する第1キャンバ角調整手段と、を備えていることを特徴とする車両用制御装置。 - 前記車輪に発生するスリップに関する情報は、スリップ率であることを特徴とする請求項1記載の車両用制御装置。
- 前記車両の状態量を取得する状態量取得手段と、
その状態量取得手段により取得された前記車両の状態量が所定の条件を満たすかを判断する状態量判断手段と、
その状態量判断手段により前記車両の状態量が所定の条件を満たすと判断される場合に、前記キャンバ角調整装置により前記車輪のキャンバ角を調整して前記前輪にポジティブキャンバ又は前記後輪にネガティブキャンバを付与する第2キャンバ角調整手段と、を備え、
前記第1キャンバ角調整手段は、前記状態量判断手段により前記車両の状態量が所定の条件を満たしていないと判断され、且つ、前記第1スリップ判断手段により前記車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合に、少なくとも前記第2キャンバ角調整手段により調整するキャンバ角よりも絶対値が小さくなるように、前記車輪のキャンバ角を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御装置。 - 前記車両の走行状態を取得する走行状態取得手段と、
その走行状態取得手段により取得された前記車両の走行状態が所定の直進状態であるかを判断する走行状態判断手段と、
その走行状態判断手段により前記車両の走行状態が所定の直進状態であると判断される場合に、前記キャンバ角調整装置により前記車輪のキャンバ角を調整して前記前輪にポジティブキャンバ又は前記後輪にネガティブキャンバを付与する第3キャンバ角調整手段と、を備え、
前記第1キャンバ角調整手段は、前記走行状態判断手段により前記車両の走行状態が所定の直進状態であると判断され、且つ、前記第1スリップ判断手段により前記車輪にスリップが発生する第1条件を満たすと判断される場合に、少なくとも前記第3キャンバ角調整手段により調整するキャンバ角よりも絶対値が小さくなるように、前記車輪のキャンバ角を調整することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用制御装置。 - 前記スリップ情報取得手段により取得された前記車輪に発生するスリップに関する情報に基づいて、前記車輪にスリップが発生する第2条件を満たすかを判断する第2スリップ判断手段を備え、
前記第1キャンバ角調整手段は、前記走行状態判断手段により前記車両の走行状態が所定の直進状態であると判断されると共に、前記第1スリップ判断手段により第1条件を満たすと判断され、且つ、前記第2スリップ判断手段により第2条件を満たさないと判断される場合に、前記第3キャンバ角調整手段により調整されるキャンバ角を維持する維持手段を備えていることを特徴とする請求項4記載の車両用制御装置。 - 前記第3キャンバ角調整手段は、前記車輪のキャンバ角の調整の開始を待機する待機手段を備えていることを特徴とする請求項4又は5に記載の車両用制御装置。
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Cited By (1)
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CN116476587A (zh) * | 2023-04-21 | 2023-07-25 | 小米汽车科技有限公司 | 车辆的悬架调节方法、装置及车辆 |
-
2010
- 2010-06-30 JP JP2010150417A patent/JP2012011890A/ja active Pending
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CN116476587A (zh) * | 2023-04-21 | 2023-07-25 | 小米汽车科技有限公司 | 车辆的悬架调节方法、装置及车辆 |
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