JP2011116161A - 車両用制御装置 - Google Patents

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Takashi Naka
敬史 仲
Munehisa Horiguchi
宗久 堀口
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Abstract

【課題】タイヤの寿命を向上させることができる車両用制御装置を提供すること。
【解決手段】左右の後輪2RL,2RRの車輪周方向に対する接地面Sの寸法Lと、左右の後輪2RL,2RRが車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量Xとに基づいた車速Vvに応じた第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角に調整されるので、タイヤ(トレッド)の摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。
【選択図】図8

Description

本発明は、車輪のキャンバ角を調整するキャンバ角調整装置を備えた車両に用いられる車両用制御装置に関し、特に、タイヤの寿命を向上させることができる車両用制御装置に関するものである。
従来より、車両の走行状態に応じて車輪のキャンバ角を調整することで、車両の操縦安定性を確保する技術が知られている。この種の技術に関し、例えば、特許文献1には、車速を検出し、所定の車速以上において車輪のキャンバ角を調整することで、コーナリング走行時における車両の限界性能を向上させる技術が開示されている。
特開昭60−193781号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示される技術は、単に車速に応じて車輪のキャンバ角を調整するものであり、タイヤの寿命を向上させるには不十分であるという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、タイヤの寿命を向上させることができる車両用制御装置を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段および発明の効果
請求項1記載の車両用制御装置によれば、第1キャンバ制御手段によりキャンバ角調整装置が作動されて、車輪のキャンバ角が調整される。この場合、車速取得手段により取得された車両の走行速度に応じた第1調整速度で車輪のキャンバ角が調整されるので、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができるという効果がある。
即ち、車輪のキャンバ角が調整されると、通常、車輪の接地面は車両幅方向へ移動する。よって、車輪のキャンバ角が調整される場合に、車両の走行速度に対してキャンバ角の調整速度が速いと(例えば、車両が停車した状態で車輪のキャンバ角が調整されると)、接地面を無理に車両幅方向へ移動させようとするため、接地面が路面に引き摺られて、タイヤに摩耗が生じてしまう。
これに対し、請求項1記載の車両用制御装置によれば、車両の走行速度に応じた第1調整速度で車輪のキャンバ角が調整されるので、路面に対する接地面の引き摺りを抑制することができる。これにより、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。
なお、請求項1記載の「車両の走行速度」とは、車両の路面に対する速度(対地速度)に限られず、例えば、車輪の周速度などを含む趣旨である。
請求項2記載の車両用制御装置によれば、請求項1記載の車両用制御装置の奏する効果に加え、第1キャンバ制御手段は、車速取得手段により取得された車両の走行速度で車輪の車輪周方向に対する接地量だけ車両が進行する時間内において、車輪が車輪幅方向に変位する変位量を、車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量とする第1調整速度で車輪のキャンバ角を調整する、即ち、車輪の車輪周方向に対する接地量だけ車両が進行するまでの車輪の車輪幅方向に対する変位量を、車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量とする第1調整速度で車輪のキャンバ角を調整するので、タイヤの寿命を向上させつつも、車輪のキャンバ角を最大限に素早く調整することができるという効果がある。
即ち、車輪のキャンバ角が調整される場合、車輪は、まず、接地面と路面との間の摩擦力により、接地面が路面に接地した状態で車輪幅方向へ変位する。そして、その変位量が、車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量に達すると、車輪はそれ以上弾性変形できなくなるので、接地面が路面に対して滑りを生じる。その結果、接地面が路面に引き摺られて、タイヤに摩耗が生じてしまう。従って、タイヤの摩耗を抑制するためには、車輪の車輪幅方向に対する変位量が弾性変形可能な最大の変位量に達する前に、車輪の車輪周方向に対する接地量だけ車両が進行すれば良い。
これに対し、請求項2記載の車両用制御装置によれば、車輪の車輪周方向に対する接地量だけ車両が進行するまでの車輪の車輪幅方向に対する変位量を、車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量とする第1調整速度で車輪のキャンバ角が調整されるので、車輪が弾性変形域で変位している間に接地面を新たな接地面に一新させることができる。その結果、路面に対する接地面の引き摺りを防止することができる。これにより、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。
また、車輪の車輪周方向に対する接地量だけ車両が進行するまでの車輪の車輪幅方向に対する変位量を、車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量とする第1調整速度で車輪のキャンバ角が調整されるので、第1調整速度を可能な限り大きくして、車輪のキャンバ角を最大限に素早く調整することができる。
請求項3記載の車両用制御装置によれば、請求項1又は2に記載の車両用制御装置の奏する効果に加え、状態量取得手段により取得された車両の状態量が所定の閾値を超えた場合に、第2キャンバ制御手段によりキャンバ角調整装置が作動されて、キャンバ角調整装置により調整可能な最大の第2調整速度で車輪のキャンバ角が調整されるので、車両の状態量が所定の閾値を超えた場合、例えば、車両の加速、制動または旋回の度合いが比較的大きい場合には、車両の操縦安定性を素早く確保することができるという効果がある。
なお、請求項3記載の「車両の状態量」とは、例えば、運転者により操作される操作部材(アクセルペダル、ブレーキペダル又はステアリング等)の操作量や車両の状態量(前後加速度や横加速度など)等が例示される。
請求項4記載の車両用制御装置によれば、請求項3記載の車両用制御装置の奏する効果に加え、第1キャンバ制御手段は、第1状態量判断手段により車両の状態量が第1閾値を超えていると判断される場合に、第1調整速度で車輪のキャンバ角を調整するので、車両の走行時における快適性を高めるための安定キャンバを付与する場合、即ち、車輪のキャンバ角を調整すべき緊急性が比較的低い場合には、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤ寿命の向上を図ることができるという効果がある。
また、第2キャンバ制御手段は、第2状態量判断手段により車両の状態量が第2閾値を超えていると判断される場合に、第2調整速度で車輪のキャンバ角を調整するので、車両の挙動限界における走行安定性を高めるための限界キャンバを付与する場合、即ち、車輪のキャンバ角を調整すべき緊急性が高い場合には、車両の操縦安定性を素早く確保することができるという効果がある。
車両用制御装置が搭載される車両を模式的に示した模式図である。 懸架装置の正面図である。 車両用制御装置の電気的構成を示したブロック図である。 状態量判断処理を示すフローチャートである。 走行状態判断処理を示すフローチャートである。 偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。 キャンバ制御処理を示すフローチャートである。 (a)は、左の後輪の接地面を模式的に示した模式図であり、(b)は、第1調整速度と車速との関係を表すグラフであり、(c)は、車両の正面から視た左の後輪のトレッドを模式的に示した模式図である。 車両を模式的に示した模式図である。 車両を模式的に示した模式図である。 懸架装置に支持された後輪の正面図である。 懸架装置に支持された後輪の正面図である。 懸架装置に支持された車輪の正面図を模式的に図示した模式図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態における車両用制御装置100が搭載される車両1を模式的に示した模式図である。なお、図1の矢印U−D,L−R,F−Bは、車両1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示している。
まず、車両1の概略構成について説明する。車両1は、図1に示すように、車体フレームBFと、その車体フレームBFを支持する複数(本実施の形態では4輪)の車輪2と、それら複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を回転駆動する車輪駆動装置3と、各車輪2を車体フレームBFに懸架する複数の懸架装置4と、複数の車輪2の内の一部(本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR)を操舵する操舵装置5とを主に備えて構成されている。
次いで、各部の詳細構成について説明する。車輪2は、図1に示すように、車両1の前方側(矢印F方向側)に位置する左右の前輪2FL,2FRと、車両1の後方側(矢印B方向側)に位置する左右の後輪2RL,2RRとを備えている。なお、本実施の形態では、左右の前輪2FL,2FRは、車輪駆動装置3により回転駆動される駆動輪として構成される一方、左右の後輪2RL,2RRは、車両1の走行に伴って従動される従動輪として構成されている。
また、車輪2は、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRが全て同じ形状および特性に構成され、それら左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅(図1左右方向の寸法)が全て同じ幅に構成されている。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FRを回転駆動するための装置であり、後述するように電動モータ3aにより構成されている(図3参照)。また、電動モータ3aは、図1に示すように、デファレンシャルギヤ(図示せず)及び一対のドライブシャフト31を介して左右の前輪2FL,2FRに接続されている。
運転者がアクセルペダル61を操作した場合には、車輪駆動装置3から左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力が付与され、それら左右の前輪2FL,2FRがアクセルペダル61の操作量に応じて回転駆動される。なお、左右の前輪2FL,2FRの回転差は、デファレンシャルギヤにより吸収される。
懸架装置4は、路面から車輪2を介して車体フレームBFに伝わる振動を緩和するための装置、いわゆるサスペンションとして機能するものであり、伸縮可能に構成され、図1に示すように、左右の前輪2FL,2FRに対応して設けられる懸架装置4FL,4FRと、左右の後輪2RL,2RRに対応して設けられる懸架装置4RL,4RRとを備えている。また、左右の後輪2RL,2RRに対応して設けられる懸架装置4RL,4RRは、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整するキャンバ角調整機構としての機能を兼ね備えている。
ここで、図2を参照して、懸架装置4RL,4RRの詳細構成について説明する。図2は、懸架装置4RRの正面図である。なお、ここでは、キャンバ角調整機構として機能する構成のみについて説明し、サスペンションとして機能する構成については周知の構成と同様であるので、その説明を省略する。また、懸架装置4RL,4RRの構成はそれぞれ共通であるので、懸架装置4RRを代表例として図2に図示する。
懸架装置4RRは、図2に示すように、ショックアブソーバ41及びロアアーム42を介して車体フレームBFに支持されるナックル43と、駆動力を発生するRRモータ44RRと、そのRRモータ44RRの駆動力を伝達するウォームホイール45及びアーム46と、それらウォームホイール45及びアーム46から伝達されるRRモータ44RRの駆動力によりナックル43に対して揺動駆動される可動プレート47とを主に備えて構成されている。
ナックル43は、車輪2を操舵可能に支持するものであり、図2に示すように、上端(図2上側)がショックアブソーバ41に連結されると共に、下端(図2下側)がボールジョイントを介してロアアーム42に連結されている。
RRモータ44RRは、可動プレート47に揺動駆動のための駆動力を付与するものであり、DCモータにより構成され、その出力軸44aにはウォーム(図示せず)が形成されている。
ウォームホイール45は、RRモータ44RRの駆動力をアーム46に伝達するものであり、RRモータ44RRの出力軸44aに形成されたウォームに噛み合い、かかるウォームと共に食い違い軸歯車対を構成している。
アーム46は、ウォームホイール45から伝達されるRRモータ44RRの駆動力を可動プレート47に伝達するものであり、図2に示すように、一端(図2右側)が第1連結軸48を介してウォームホイール45の回転軸45aから偏心した位置に連結される一方、他端(図2左側)が第2連結軸49を介して可動プレート47の上端(図2上側)に連結されている。
可動プレート47は、車輪2を回転可能に支持するものであり、上述したように、上端(図2上側)がアーム46に連結される一方、下端(図2下側)がキャンバ軸50を介してナックル43に揺動可能に軸支されている。
上述したように構成される懸架装置4RRによれば、RRモータ44RRが駆動されると、ウォームホイール45が回転すると共に、ウォームホイール45の回転運動がアーム46の直線運動に変換される。その結果、アーム46が直線運動することで、可動プレート47がキャンバ軸50を揺動軸として揺動駆動され、車輪2のキャンバ角が調整される。即ち、車輪2は、キャンバ軸50を中心としてキャンバ角が調整される。
なお、本実施の形態では、各連結軸48,49及びウォームホイール45の回転軸45aが、車体フレームBFから車輪2に向かう方向(矢印R方向)において、第1連結軸48、回転軸45a、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第1キャンバ状態と、回転軸45a、第1連結軸48、第2連結軸49の順に一直線上に並んで位置する第2キャンバ状態(図2に示す状態)とのいずれか一方のキャンバ状態となるように車輪2のキャンバ角が調整される。
また、本実施の形態では、第1キャンバ状態において、車輪2のキャンバ角がマイナス方向(車輪2の中心線が垂直線に対して車両1内側に傾いた状態)の所定の角度(本実施の形態では−3°、以下「第1キャンバ角」と称す)に調整され、車輪2にネガティブキャンバが付与される。一方、第2キャンバ状態(図2に示す状態)では、車輪2のキャンバ角が0°(以下「第2キャンバ角」と称す)に調整される。
なお、左右の前輪2FL,2FRに対応して設けられる懸架装置4FL,4FRは、左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を調整する機能が省略されている点(即ち、図2に示す懸架装置4RRにおいて、RRモータ44RRが省略されている点)を除き、その他の構成は懸架装置4RL,4RRと同一の構成であるので、その説明を省略する。
図1に戻って説明する。操舵装置5は、運転者によるステアリング63の操作を左右の前輪2FL,2FRに伝えて操舵するための装置であり、いわゆるラック&ピニオン式のステアリングギヤとして構成されている。
この操舵装置5によれば、運転者によるステアリング63の操作(回転)は、まず、ステアリングコラム51を介してユニバーサルジョイント52に伝達され、ユニバーサルジョイント52により角度を変えられつつステアリングボックス53のピニオン53aに回転運動として伝達される。そして、ピニオン53aに伝達された回転運動は、ラック53bの直線運動に変換され、ラック53bが直線運動することで、ラック53bの両端に接続されたタイロッド54が移動する。その結果、タイロッド54がナックル55を押し引きすることで、車輪2に所定の舵角が付与される。
アクセルペダル61及びブレーキペダル62は、運転者により操作される操作部材であり、各ペダル61,62の操作状態(踏み込み量、踏み込み速度など)に応じて、車両1の走行速度や制動力が決定され、車輪駆動装置3が駆動制御される。ステアリング63は、運転者により操作される操作部材であり、その操作状態(ステア角、ステア角速度など)に応じて、操舵装置5により左右の前輪2FL,2FRが操舵される。
車両用制御装置100は、上述したように構成される車両1の各部を制御するための装置であり、例えば、各ペダル61,62やステアリング63の操作状態に応じてキャンバ角調整装置44(図3参照)を作動制御する。
次いで、図3を参照して、車両用制御装置100の詳細構成について説明する。図3は、車両用制御装置100の電気的構成を示したブロック図である。車両用制御装置100は、図3に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を備え、それらがバスライン74を介して入出力ポート75に接続されている。また、入出力ポート75には、車輪駆動装置3等の装置が接続されている。
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラム(例えば、図4から図7に図示されるフローチャートのプログラム)や固定値データ等を記憶する書き換え不能な不揮発性のメモリであり、図3に示すように、閾値メモリ72aが設けられている。
閾値メモリ72aは、車両1の状態量(本実施の形態では、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量)が所定の状態量以上であるかを判断するための判断基準となる閾値、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるかを判断するための判断基準となる閾値、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある接地荷重(以下「偏摩耗荷重」と称す)であるかを判断するための判断基準となる閾値などを記憶するメモリである。
RAM73は、制御プログラムの実行時に各種のデータを書き換え可能に記憶するためのメモリであり、図3に示すように、操縦安定キャンバフラグ73a、直進安定キャンバフラグ73b、状態量フラグ73c、直進状態フラグ73d、偏摩耗荷重フラグ73e、車速リングバッファメモリ73f、ステア角リングバッファメモリ73gが設けられている。
操縦安定キャンバフラグ73aは、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が操縦安定キャンバ角(本実施の形態では第1キャンバ角)に調整された状態であるか否かを示すフラグであり、CPU71は、この操縦安定キャンバフラグ73aがオンである場合に、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が操縦安定キャンバ角に調整された状態であると判断する。
直進安定キャンバフラグ73bは、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角(本実施の形態では、操縦安定キャンバ角と同じ第1キャンバ角)に調整された状態であるか否かを示すフラグであり、CPU71は、この直進安定キャンバフラグ73bがオンである場合に、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角に調整された状態であると判断する。
状態量フラグ73cは、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを示すフラグであり、後述する状態量判断処理(図4参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。なお、本実施の形態における状態量フラグ73cは、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合にオンに切り替えられ、CPU71は、この状態量フラグ73cがオンである場合に、車両1の状態量が所定の状態量以上であると判断する。
直進状態フラグ73dは、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるか否かを示すフラグであり、後述する走行状態判断処理(図5参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、この直進状態フラグ73dがオンである場合に、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であると判断する。
偏摩耗荷重フラグ73eは、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であるか否かを示すフラグであり、後述する偏摩耗荷重判断処理(図6参照)の実行時にオン又はオフに切り替えられる。CPU71は、この偏摩耗荷重フラグ73eがオンである場合に、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重であると判断する。
車速リングバッファメモリ73fは、車両1の走行速度(以下「車速」と称す)の履歴を記憶するリングバッファであり、後述する加速度センサ装置80の検出結果に基づいて算出された車速が所定の時間間隔で順次書き込まれる。この車速リングバッファメモリ73fへの書き込みは、リングバッファの先頭アドレスから順に行われ、その書き込みがリングバッファの最終アドレスに至ると、再度、リングバッファの先頭アドレスに戻って、先頭アドレスから書き込みが継続される。なお、本実施の形態では、約10分間の履歴を書き込み可能な容量がリングバッファに確保されている。CPU71は、この車速リングバッファメモリ73fの内容に基づいて、所定の時間内(本実施の形態では直近の3分間)における車速の平均値を算出する。
ステア角リングバッファメモリ73gは、ステアリング63の操作量(ステア角)の履歴を記憶するリングバッファであり、後述するステアリングセンサ装置63aにより検出されたステアリング63の操作量の絶対値が所定の時間間隔で順次書き込まれる。このステア角リングバッファメモリ73gへの書き込みは、リングバッファの先頭アドレスから順に行われ、その書き込みがリングバッファの最終アドレスに至ると、再度、リングバッファの先頭アドレスに戻って、先頭アドレスから書き込みが継続される。なお、本実施の形態では、約10分間の履歴を書き込み可能な容量がリングバッファに確保されている。CPU71は、このステア角リングバッファメモリ73gの内容に基づいて、所定の時間内(本実施の形態では直近の3分間)におけるステアリング63の操作量の平均値を算出する。
車輪駆動装置3は、上述したように、左右の前輪2FL,2FR(図1参照)を回転駆動するための装置であり、それら左右の前輪2FL,2FRに回転駆動力を付与する電動モータ3aと、その電動モータ3aをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。但し、車輪駆動装置3は、電動モータ3aに限られず、他の駆動源を採用することは当然可能である。他の駆動源としては、例えば、油圧モータやエンジン等が例示される。
キャンバ角調整装置44は、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整するための装置であり、上述したように、懸架装置4RL,4RRの可動プレート47(図2参照)に揺動のための駆動力をそれぞれ付与するRL,RRモータ44RL,44RRと、それら各モータ44RL,44RRをCPU71からの指示に基づいて駆動制御する駆動制御回路(図示せず)とを主に備えている。
加速度センサ装置80は、車両1の加速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、前後方向加速度センサ80a及び左右方向加速度センサ80bと、それら各加速度センサ80a,80bの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
前後方向加速度センサ80aは、車両1(車体フレームBF)の前後方向(図1矢印F−B方向)の加速度、いわゆる前後Gを検出するセンサであり、左右方向加速度センサ80bは、車両1(車体フレームBF)の左右方向(図1矢印L−R方向)の加速度、いわゆる横Gを検出するセンサである。なお、本実施の形態では、これら各加速度センサ80a,80bが圧電素子を利用した圧電型センサとして構成されている。
また、CPU71は、加速度センサ装置80から入力された各加速度センサ80a,80bの検出結果(前後G、横G)を時間積分して、2方向(前後方向および左右方向)の速度をそれぞれ算出すると共に、それら2方向成分を合成して車速を算出する。
ジャイロセンサ装置81は、車両1の重心を通る基準軸回りの車両1の回転角を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、車両1の重心を通る前後方向軸、左右方向軸、鉛直軸(図1矢印F−B,L−R,F−B方向軸)回りの車両1(車体フレームBF)の回転角、いわゆるロール角、ピッチ角およびヨー角を検出するジャイロセンサ81aと、そのジャイロセンサ81aの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
また、ジャイロセンサ装置81は、ジャイロセンサ81aの検出結果(回転角)を時間微分して、車両1の重心を通る基準軸回りの車両1(車体フレームBF)の回転角速度、いわゆるロールレート、ピッチレート及びヨーレートを算出する演算回路(図示せず)を備えており、その演算回路の算出結果を出力回路により処理してCPU71に出力可能に構成されている。
なお、本実施の形態では、ジャイロセンサ81aがサニャック効果により回転角速度および回転角を検出する光学式ジャイロセンサにより構成されている。但し、他の種類のジャイロセンサを採用することは当然可能である。他の種類のジャイロセンサとしては、例えば、機械式や流体式などのジャイロセンサが例示される。
サスストロークセンサ装置82は、各懸架装置4の伸縮量(以下「サスストローク」と称す)を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各懸架装置4のサスストロークをそれぞれ検出する合計4個のFL〜RRサスストロークセンサ82FL〜82RRと、それら各サスストロークセンサ82FL〜82RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各サスストロークセンサ82FL〜82RRがひずみゲージにより構成されており、これら各サスストロークセンサ82FL〜82RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ41(図2参照)にそれぞれ配設されている。
CPU71は、サスストロークセンサ装置82から入力された各サスストロークセンサ82FL〜82RRの検出結果(サスストローク)に基づいて、各車輪2の接地荷重を算出する。即ち、サスストロークと車輪2の接地荷重とは比例関係にあるので(本実施の形態では、各懸架装置4において同じ比例関係にあり、その関係を表す比例定数をkとする)、車輪2の接地荷重Fを、F=k・Lと算出する。但し、接地荷重を算出する車輪2に対応する懸架装置4のサスストロークをLとする。
接地荷重センサ装置83は、各車輪2の接地荷重を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の接地荷重をそれぞれ検出する合計4個のFL〜RR接地荷重センサ83FL〜83RRと、それら各接地荷重センサ83FL〜83RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各接地荷重センサ83FL〜83RRがピエゾ抵抗型の荷重センサとして構成されており、これら各接地荷重センサ83FL〜83RRは、各懸架装置4のショックアブソーバ41にそれぞれ配設されている。
サイドウォール潰れ代センサ装置84は、左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代をそれぞれ検出するRL,RRサイドウォール潰れ代センサ84RL,84RRと、それら各サイドウォール潰れ代センサ84RL,84RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各サイドウォール潰れ代センサ84RL,84RRがひずみゲージにより構成されており、これら各サイドウォール潰れ代センサ84RL,84RRは、左右の後輪2RL,2RR内にそれぞれ配設されている。
車輪回転速度センサ装置85は、各車輪2の回転速度を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、各車輪2の回転速度をそれぞれ検出する4個のFL〜RR回転速度センサ85FL〜85RRと、それら各回転速度センサ85FL〜85RRの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを備えている。
なお、本実施の形態では、各回転速度センサ85FL〜85RRが各車輪2に設けられ、各車輪2の角速度を回転速度として検出する。即ち、各回転速度センサ85FL〜85RRは、各車輪2に連動して回転する回転体と、その回転体の周方向に多数形成された歯の有無を電磁的に検出するピックアップとを備えた電磁ピックアップ式のセンサとして構成されている。
CPU71は、車輪回転速度センサ装置85から入力された各回転速度センサ85FL〜85RRの検出結果(回転速度)と、ROM72に予め記憶されている各車輪2の外径とに基づいて、各車輪2の周速度を算出する。
アクセルペダルセンサ装置61aは、アクセルペダル61の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、アクセルペダル61の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ブレーキペダルセンサ装置62aは、ブレーキペダル62の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ブレーキペダル62の踏み込み量を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
ステアリングセンサ装置63aは、ステアリング63の操作量を検出すると共に、その検出結果をCPU71に出力するための装置であり、ステアリング63のステア角を検出する角度センサ(図示せず)と、その角度センサの検出結果を処理してCPU71に出力する出力回路(図示せず)とを主に備えている。
なお、本実施の形態では、各角度センサが電気抵抗を利用した接触型のポテンショメータとして構成されている。また、CPU71は、各センサ装置61a,62a,63aから入力された各角度センサの検出結果(操作量)を時間微分して、各ペダル61,62及びステアリング63の操作速度を算出すると共に、算出した操作速度を時間微分して、各ペダル61,62及びステアリング63の操作加速度を算出する。
図3に示す他の入出力装置90としては、例えば、GPSを利用して車両1の現在位置を取得すると共にその取得した車両1の現在位置を地図データに対応付けて取得するナビゲーション装置、ワイパ(運転者の視界を確保するためにガラス面に付着した雨滴を払拭する装置)の作動を検出するワイパセンサ装置、路面がドライ路面であるかウェット路面であるかを非接触で検出する路面状況センサ装置などが例示される。
次いで、図4を参照して、状態量判断処理について説明する。図4は、状態量判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、状態量判断処理に関し、まず、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量をそれぞれ取得し(S1、S2、S3)、それら取得した各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する(S4)。なお、S4の処理では、S1〜S3の処理でそれぞれ取得した各ペダル61,62及びステアリング63の操作量と、それら各ペダル61,62及びステアリング63の操作量にそれぞれ対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が第2キャンバ角に調整された状態で車両1が加速、制動または旋回した場合に、左右の後輪2RL,2RRがスリップする恐れのある値)とを比較して、現在の各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断する。
その結果、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であると判断される場合には(S4:Yes)、状態量フラグ73cをオンして(S5)、この状態量判断処理を終了する。即ち、この状態量判断処理では、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上である場合に、車両1の状態量が所定の状態量以上であると判断する。
一方、S4の処理の結果、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量のいずれも所定の操作量より小さいと判断される場合には(S4:No)、状態量フラグ73cをオフして(S6)、この状態量判断処理を終了する。
次いで、図5を参照して、走行状態判断処理について説明する。図5は、走行状態判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、走行状態判断処理に関し、まず、所定の時間内(本実施の形態では直近の3分間)における車速の平均値を算出し(S11)、その算出した平均値が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S12)。なお、S12の処理では、S11の処理で算出した車速の平均値と、その車速の平均値に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(例えば、80km/h)とを比較して、所定の時間内における車速の平均値が所定の閾値以上であるか否かを判断する。
その結果、算出した平均値が所定の閾値より小さいと判断される場合には(S12:No)、直進状態フラグ73dをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
一方、算出した平均値が所定の閾値以上であると判断される場合には(S12:Yes)、所定の時間内(本実施の形態では直近の3分間)におけるステアリング63の操作量(ステア角)の平均値を算出し(S13)、その算出した平均値が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S14)。なお、S14の処理では、S13の処理で算出したステアリング63の操作量の平均値と、そのステアリング63の操作量の平均値に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(例えば、3°)とを比較して、所定の時間内におけるステアリング63の操作量の平均値が所定の閾値以上であるか否かを判断する。
その結果、算出した平均値が所定の閾値以下であると判断される場合には(S14:Yes)、直進状態フラグ73dをオンして(S15)、この走行状態判断処理を終了する。
即ち、この走行状態判断手段では、直近の3分間における車速の平均値が所定の閾値以上であり、且つ、直近の3分間におけるステアリング63の操作量の平均値が所定の閾値以下である場合に、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であると判断する。
一方、S14の処理の結果、算出した平均値が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S14:No)、直進状態フラグ73dをオフして(S16)、この走行状態判断処理を終了する。
次いで、図6を参照して、偏摩耗荷重判断処理について説明する。図6は、偏摩耗荷重判断処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重がタイヤ(トレッド)に偏摩耗を引き起こす恐れのある偏摩耗荷重であるか否かを判断する処理である。
CPU71は、偏摩耗荷重判断処理に関し、まず、懸架装置4RL,4RRのサスストロークが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S21)。なお、S21の処理では、サスストロークセンサ装置82により検出された懸架装置4RL,4RRのサスストロークと、そのサスストロークに対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、懸架装置4RL,4RRのサスストロークと左右の後輪2RL,2RRの接地荷重との比例関係に基づいて、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の懸架装置4RL,4RRのサスストロークが所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、懸架装置4RL,4RRの少なくとも一方のサスストロークが所定の閾値より大きいと判断される場合には(S21:No)、左右の後輪2RL,2RRのいずれか一方の接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S21の処理の結果、懸架装置4RL,4RRのサスストロークがいずれも所定の閾値以下であると判断される場合には(S21:Yes)、車両1の前後Gが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S22)。なお、S22の処理では、加速度センサ装置80(前後方向加速度センサ80a)により検出された車両1の前後Gと、その前後Gに対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急加速などして左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の車両1の前後Gが所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1の前後Gが所定の閾値より大きいと判断される場合には(S22:No)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S22の処理の結果、車両1の前後Gが所定の閾値以下であると判断される場合には(S22:Yes)、車両1の横Gが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S23)。なお、S23の処理では、加速度センサ装置80(左右方向加速度センサ80b)により検出された車両1の横Gと、その横Gに対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急旋回などして左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の車両1の横Gが所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1の横Gが所定の閾値より大きいと判断される場合には(S23:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S23の処理の結果、車両1の横Gが所定の閾値以下であると判断される場合には(S23:Yes)、車両1のヨーレートが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S24)。なお、S24の処理では、ジャイロセンサ装置81により算出された車両1のヨーレートと、そのヨーレートに対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急旋回などして左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の車両1のヨーレートが所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1のヨーレートが所定の閾値より大きいと判断される場合には(S24:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S24の処理の結果、車両1のヨーレートが所定の閾値以下であると判断される場合には(S24:Yes)、車両1のロール角が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S25)。なお、S25の処理では、ジャイロセンサ装置81により検出された車両1のロール角と、そのロール角に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1がロールして左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の車両1のロール角が所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、車両1のロール角が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S25:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S25の処理の結果、車両1のロール角が所定の閾値以下であると判断される場合には(S25:Yes)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が所定値以下であるか否かを判断する(S26)。なお、S26の処理では、接地荷重センサ装置83により検出された左右の後輪2RL,2RRの接地荷重と、その接地荷重に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値とを比較して、現在の左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、左右の後輪2RL,2RRの少なくとも一方の接地荷重が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S26:No)、左右の後輪2RL,2RRのいずれか一方の接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S26の処理の結果、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重がいずれも所定の閾値以下であると判断される場合には(S26:Yes)、左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S27)。なお、S27の処理では、サイドウォール潰れ代センサ装置84により検出された左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代と、そのタイヤサイドウォールの潰れ代に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代と左右の後輪2RL,2RRの接地荷重との相関に基づいて、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在の左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の閾値以下であるか否かを判断する。
その結果、左右の後輪2RL,2RRの内の少なくとも一方のタイヤサイドウォールの潰れ代が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S27:No)、左右の後輪2RL,2RRのいずれか一方の接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S27の処理の結果、左右の後輪2RL,2RRのタイヤサイドウォールの潰れ代がいずれも所定の閾値以下であると判断される場合には(S27:Yes)、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S28)。なお、S28の処理では、アクセルペダルセンサ装置61aにより検出されたアクセルペダル61の操作量と、そのアクセルペダル61の操作量に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急加速して左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在のアクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
その結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S28:No)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S28の処理の結果、アクセルペダル61の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S28:Yes)、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する(S29)。なお、S29の処理では、ステアリングセンサ装置63aにより検出されたステアリング63の操作量と、そのステアリング63の操作量に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急旋回して左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在のステアリング63の操作量が所定の操作量以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量より大きいと判断される場合には(S29:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S29の処理の結果、ステアリング63の操作量が所定の操作量以下であると判断される場合には(S29:Yes)、ステアリング63の操作速度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S30)。なお、S30の処理では、ステアリング63の操作量を時間微分して算出されるステアリング63の操作速度と、そのステアリング63の操作速度に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急旋回して左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在のステアリング63の操作速度が所定値以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作速度が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S30:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S30の処理の結果、ステアリング63の操作速度が所定の閾値以下であると判断される場合には(S30:Yes)、ステアリング63の操作加速度が所定の閾値以下であるか否かを判断する(S31)。なお、S31の処理では、ステアリング63の操作速度を時間微分して算出されるステアリング63の操作加速度と、そのステアリング63の操作加速度に対応して閾値メモリ72aに予め記憶されている閾値(本実施の形態では、車両1が急旋回して左の後輪2RL又は右の後輪2RRの接地荷重が偏摩耗荷重となる値)とを比較して、現在のステアリング63の操作加速度が所定値以下であるか否かを判断する。
その結果、ステアリング63の操作加速度が所定の閾値より大きいと判断される場合には(S31:No)、左の後輪2RL又は右の後輪2RRのいずれかの接地荷重が偏摩耗荷重であるので、偏摩耗荷重フラグ73eをオンして(S32)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
一方、S31の処理の結果、ステアリング63の操作加速度が所定の閾値以下であると判断される場合には(S31:Yes)、偏摩耗荷重フラグ73eをオフして(S33)、この偏摩耗荷重判断処理を終了する。
次いで、図7を参照して、キャンバ制御処理について説明する。図7は、キャンバ制御処理を示すフローチャートである。この処理は、車両用制御装置100の電源が投入されている間、CPU71によって繰り返し(例えば、0.2秒間隔で)実行される処理であり、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整する処理である。
CPU71は、キャンバ制御処理に関し、まず、状態量フラグ73cがオンであるか否かを判断し(S41)、状態量フラグ73cがオンであると判断される場合には(S41:Yes)、操縦安定キャンバフラグ73aがオンであるか否かを判断する(S42)。その結果、操縦安定キャンバフラグ73aがオフであると判断される場合には(S42:No)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、それらRL,RRモータ44RL,44RRにより調整可能な最大の第2調整速度で左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を操縦安定キャンバ角(本実施の形態では第1キャンバ角)に調整し(S43)、左右の後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に、操縦安定キャンバフラグ73aをオンする一方、直進安定キャンバフラグ73bをオフして(S44)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の状態量以上である場合、即ち、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量の内の少なくとも1の操作量が所定の操作量以上であり、車両1の加速、制動または旋回の度合いが比較的大きい場合(特に、本実施の形態では、左右の後輪2RL,2RRが第2キャンバ角に調整された状態で車両1が加速、制動または旋回すると、左右の後輪2RL,2RRがスリップする恐れのある場合)には、左右の後輪2RL,2RRに発生するキャンバスラストを増加させて、車両1の操縦安定性を確保することができる。
一方、S42の処理の結果、操縦安定キャンバフラグ73aがオンであると判断される場合には(S42:Yes)、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に操縦安定キャンバ角に調整されているので、S43及びS44の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S41の処理の結果、状態量フラグ73cがオフであると判断される場合には(S41:No)、直進状態フラグ73dがオンであるか否かを判断し(S45)、直進状態フラグ73dがオンであると判断される場合には(S45:Yes)、直進安定キャンバフラグ73bがオンであるか否かを判断する(S46)。その結果、直進安定キャンバフラグ73bがオフであると判断される場合には(S46:No)、RRモータ44RL,44RRを作動させて、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を直進安定キャンバ角(本実施の形態では第1キャンバ角)に調整し(S47)、左右の後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与すると共に、直進安定キャンバフラグ73bをオンする一方、操縦安定キャンバフラグ73bをオフして(S48)、S49の処理を実行する。
これにより、車両1の走行状態が所定の直進走行状態である場合、即ち、直近3分間における車速の平均値が所定の閾値以上であり、且つ、直近3分間におけるステアリング63の操作量の平均値が所定の閾値以下である場合には、車輪2に発生するキャンバスラストを増加させて、車両1が受ける外乱(横風や轍などの影響)に起因する車両1の挙動変化を抑制することができる。よって、車両1の直進安定性を確保することができる。
ここで、図8を参照して、第1調整速度Vcについて説明する。なお、本実施の形態では、第1調整速度Vcは左右の後輪2RL,2RRにおいてそれぞれ同じであるので、図8(a)及び図8(c)では左の後輪2RLを代表例として図示する。
図8(a)は、左の後輪2RLの接地面Sを模式的に示した模式図であり、図8(b)は、第1調整速度Vcと車速Vvとの関係を表すグラフであり、図8(c)は、車両1の正面から視た左の後輪2RLのトレッドTを模式的に示した模式図である。
上述したように、左右の後輪2RL,2RRはキャンバ軸50(図2参照)を中心としてキャンバ角が調整されるので、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角に調整されると、図8(a)に示すように、左右の後輪2RL,2RRの接地面Sは、破線で示す状態から車両1の幅方向外側(図8(a)左側)へ移動して実線で示す状態となる。また、車両1が車速Vvで走行しつつ、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1調整速度Vcで直進安定キャンバ角に調整されると、接地面S内における点Pは、車速Vvに応じて左右の後輪2RL,2RRの回転方向(図8(a)下側)へ移動しつつ、第1調整速度Vcに応じて車両1の幅方向外側へと移動する。
この場合、車速Vvに対して第1調整速度Vcが速いと(例えば、車両1が停車した状態で左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が調整されると)、接地面Sを無理に車両1の幅方向外側へ移動させようとするため、接地面Sが路面に引き摺られて、左右の後輪2RL,2RRのタイヤに摩耗が生じてしまう。従って、タイヤの摩耗を抑制するためには、第1調整速度Vcを、Vc≦a・Vvとする必要がある。即ち、図8(b)に示すように、第1調整速度Vcを、関係式Vc=a・Vvを表す線上を含む斜線の領域内とする必要がある。
ここで、係数aは、左右の後輪2RL,2RRの車輪周方向(図8(a)上下方向)に対する接地面Sの寸法Lと、左右の後輪2RL,2RRが車輪幅方向(図8(c)左右方向)に対して弾性変形可能な最大の変位量Xとに基づいて決定される定数である。
図8(c)に示すように、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角に調整される場合、左右の後輪2RL,2RRのトレッドTは、破線で示す状態から車輪幅方向(図8(c)左側)へ変位して実線で示す状態となる。即ち、トレッドTは、まず、接地面Sと路面Gとの間の摩擦力により、接地面Sが路面Gに接地した状態で車輪幅方向(図8(c)左右方向)へ変位する。そして、その変位量がXに達すると、トレッドTはそれ以上弾性変形できなくなるので、接地面Sが路面Gに対して滑りを生じる。その結果、接地面Sが路面Gに引き摺られて、タイヤ(トレッドT)に摩耗が生じてしまう。従って、タイヤの摩耗を抑制するためには、車両1が寸法Lだけ進行するまでのトレッドTの変位量をX以下とすれば良い、即ち、車速Vvで寸法Lだけ車両1が進行する時間内において、トレッドTの変位量をX以下とすれば良いので、第1調整速度Vcを、Vc≦X/(L/Vv)とする必要がある。
なお、本実施の形態では、第1調整速度Vcを、Vc=X/(L/Vv)とする。これにより、タイヤ(トレッドT)の摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させつつも、第1調整速度Vcを可能な限り大きくして、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を最大限に素早く調整することができる。
図7に戻って説明する。S46の処理の結果、直進安定キャンバフラグ73bがオンであると判断される場合には(S46:Yes)、車輪2のキャンバ角は既に直進安定キャンバ角に調整されているので、S47及びS48の処理をスキップして、偏摩耗荷重フラグ73eがオンであるか否かを判断する(S49)。その結果、偏摩耗荷重フラグ73eがオンであると判断される場合には(S49:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し(S50)、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に、操縦安定キャンバフラグ73a及び直進安定キャンバフラグ73bをいずれもオフして(S51)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重である場合、即ち、左右の後輪2RL,2RRのタイヤ(トレッド)が偏摩耗する恐れがある場合には、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。また、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、車輪の転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができる。
一方、S49の処理の結果、偏摩耗荷重フラグ73eがオフであると判断される場合には(S49:No)、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重は偏摩耗荷重ではないので、S50及びS51の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
これに対し、S45の処理の結果、直進状態フラグ73dがオフであると判断される場合には(S45:No)、操縦安定キャンバフラグ73a又は直進安定キャンバフラグ73bがオンであるか否かを判断する(S52)。その結果、操縦安定キャンバフラグ73a又は直進安定キャンバフラグ73bの少なくとも一方がオンであると判断される場合には(S52:Yes)、RL,RRモータ44RL,44RRを作動させて、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し(S53)、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除すると共に、操縦安定キャンバフラグ73a及び直進安定キャンバフラグ73bをいずれもオフして(S54)、このキャンバ制御処理を終了する。
これにより、車両1の状態量が所定の状態量より小さく、且つ、車両1の走行状態が所定の直進走行状態ではない場合、即ち、車両1の操縦安定性や直進安定性を優先して確保する必要がない場合には、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、タイヤの偏摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。また、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除することで、左右の後輪2RL,2RRの転がり抵抗を低減して、省燃費化を図ることができる。
一方、S52の処理の結果、操縦安定キャンバフラグ73a及び直進安定キャンバフラグ73bがいずれもオフであると判断される場合には(S52:No)、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角は既に第2キャンバ角に調整されているので、S53及びS54の処理をスキップして、このキャンバ制御処理を終了する。
以上説明したように、本実施の形態によれば、車速Vvに応じた第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が直進安定キャンバ角に調整されるので、タイヤ(トレッド)の摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。このように、車両1の走行時における快適性を高めるための安定キャンバを付与する場合、即ち、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整すべき緊急性が比較的低い場合には、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤ寿命の向上を図ることができる。
一方、車両1の状態量が所定の状態量以上である場合には、RL,RRモータ44RL,44RRにより調整可能な最大の第2調整速度で左右の後輪2RL,2RRが操縦安定キャンバ角に調整されるので、例えば、車両1の加速、制動または旋回の度合いが比較的大きい場合には、車両1の操縦安定性を素早く確保することができる。このように、車両1の挙動限界における走行安定性を高めるための限界キャンバを付与する場合、即ち、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整すべき緊急性が高い場合には、車両1の操縦安定性を素早く確保することができる。
また、本実施の形態によれば、従動輪である左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角がキャンバ角調整装置44により調整可能とされ、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1調整速度Vcで直進安定キャンバ角に調整されるので、駆動輪である左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を調整可能とし、左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を第1調整速度Vcで直進安定キャンバ角に調整する場合と比較して、タイヤの摩耗を高精度かつ容易に抑制することができる。
即ち、駆動輪である左右の前輪2FL,2FRは、車輪幅方向への変位に加え、車輪周方向へも変位するので、車輪幅方向への変位量が小さくなる。従って、車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量に基づいた第1調整速度Vcで左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整すると、接地面が路面に引き摺られて、タイヤに摩耗が生じてしまう。また、左右の前輪2FL,2FRの車輪周方向への変位量は、左右の前輪2FL,2FRが駆動される駆動力の変化に伴い一定ではないので、車輪幅方向への変位量も変化する。よって、車輪幅方向への変位量に基づいて第1調整速度Vcを設定することは困難である。
これに対し、本実施の形態によれば、従動輪である左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角が第1調整速度Vcで直進安定キャンバ角に調整されるので、タイヤの摩耗を高精度かつ容易に抑制することができる。
なお、図4に示すフローチャート(状態量判断処理)において、請求項3記載の状態量取得手段としてはS1〜S3の処理が、図7に示すフローチャート(キャンバ制御処理)において、請求項1記載の第1キャンバ制御手段としてはS47の処理が、請求項3記載の第2キャンバ制御手段としてはS43の処理が、請求項4記載の第1状態量判断手段としてはS45の処理が、請求項4記載の第2状態量判断手段としてはS41の処理が、それぞれ該当する。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
上記実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。例えば、上記実施の形態で説明した第1キャンバ角および第2キャンバ角の値は任意に設定することができる。
上記実施の形態では、アクセルペダル61、ブレーキペダル62及びステアリング63の操作量に基づいて、車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量に代えて、他の状態量に基づいて車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断することは当然可能である。他の状態量としては、例えば、各ペダル61,62及びステアリング63の操作速度や操作加速度のように、運転者により操作される操作部材の状態量を示すものでも良く、或いは、車両1自体の状態量を示すものでも良い。車両1自体の状態量を示すものとしては、車両1の前後G、横G、ヨーレート、ロール角などが例示される。
上記実施の形態では、車速の平均値およびステアリング63の操作量の平均値に基づいて、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるか否かを判断する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車速の平均値またはステアリング63の操作量の平均値のいずれか一方に基づいて、車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるか否かを判断しても良い。また、ステアリング63の操作量の平均値に代えて、他の状態量に基づいて車両1の走行状態が所定の直進走行状態であるか否かを判断することは当然可能である。他の状態量としては、例えば、ステアリング63の操作速度や操作加速度のように、ステアリング63の操作状態の平均値を示すものでも良く、或いは、車両1自体の状態量の平均値を示すものでも良い。車両1自体の状態量としては、車両1の前後G、横G、ヨーレート、ロール角などが例示される。
上記実施の形態では、各ペダル61,62及びステアリング63の操作量が所定の操作量以上であるか否かを判断するための判断基準が、それぞれ閾値メモリ72aに予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、他の入出力装置90として例示したワイパセンサ装置や路面状況センサ装置により天候や路面の状況を取得し、その取得した天候や路面の状況に応じて各判断基準を変更する構成としても良い。この場合には、天候や路面の状況に応じて車両1の状態量が所定の状態量以上であるか否かを判断することができるので、車両1の操縦安定性を向上させることができる。
同様に、上記実施の形態では、懸架装置4RL,4RRのサスストローク、車両1の前後G、横G、ヨーレート、ロール角、左右の後輪2RL,2RRの接地荷重、タイヤサイドウォールの潰れ代、アクセルペダル61の操作量、ステアリング63の操作量、操作速度、操作加速度が所定の閾値以下であるかを判断するための判断基準が、それぞれ閾値メモリ72aに予め記憶された一定値である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、他の入出力装置90として例示したワイパセンサ装置や路面状況センサ装置により天候や路面の状況を取得し、その取得した天候や路面の状況に応じて各判断基準を変更する構成としても良い。この場合には、天候や路面の状況に応じて左右の後輪2RL,2RRの接地荷重が偏摩耗荷重であるか否かを判断することができるので、タイヤの寿命を一層向上させると共に更なる省燃費化を図ることができる。
上記実施の形態では説明を省略したが、キャンバ制御処理のS53の処理(図7参照)において、左右の後輪2RL,2RRを第2キャンバ角に調整し、左右の後輪2RL,2RRへのネガティブキャンバの付与を解除する場合に、所定時間(例えば3秒など)の経過を待ってから解除しても良い。この場合には、山道などの車両1が頻繁に旋回する道路状況において、車両1が旋回するたびにキャンバ角調整装置44を作動させてしまうことがなく、キャンバ角の頻繁な切り替わりを防止することができる。
上記実施の形態では、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整することに代えて、或いは、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整することに加えて、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整しても良い。この場合にも、タイヤの摩耗を抑制して、タイヤの寿命を向上させることができる。
上記実施の形態では、第1調整速度Vcを、Vc=X/(L/Vv)としたが、必ずしもこれに限られるものではなく、Vc<X/(L/Vv)を満たす値であれば良い。この場合には、第1調整速度Vcを小さくするほど、RL,RRモータ44RL,44RRのエネルギ消費量を小さくすることができる。
上記実施の形態では、車速Vvに基づいて第1調整速度Vcを算出したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車速Vvに代えて、左右の後輪2RL,2RRの周速度Vwに基づいて第1調整速度Vcを算出しても良い。この場合、タイヤの摩耗を抑制するためには、第1調整角度Vcを、Vc≦X/(L/Vw)とする必要がある。
上記実施の形態では、左右の後輪2RL,2RRのみのキャンバ角がキャンバ角調整装置44により調整可能とされ、左右の前輪2FL,2FRについてはキャンバ角の調整を行わない構成とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、左右の後輪2RL,2RRに加えて、左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を調整可能とし、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRの全てのキャンバ角の調整を行う構成としても良い。この場合には、第1調整速度Vcで左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整すると共に、第1調整速度Vcよりも小さな調整速度で左右の前輪2FL,2FRのキャンバ角を直進安定キャンバ角に調整することで、従動輪としての左右の後輪2RL,2RRに対して車輪幅方向への変位量が小さくなる駆動輪としての左右の前輪2FL,2FRの摩耗を抑制して、車両1全体としてのタイヤの寿命を向上させることができる。
上記実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRが全て同じ構成とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図9に示すように、左右の後輪2RL,2RRに第1トレッド21及び第2トレッド22の2種類のトレッドを備える構成としても良い。この場合には、第1トレッド21を車両1の内側に配置し、第2トレッド22を車両1の外側に配置すると共に、第2トレッド22を第1トレッド21よりも硬度の高い材料により構成し、第1トレッド21を第2トレッド22に比してグリップ力の高い特性(高グリップ特性)に構成する一方、第2トレッド22を第1トレッド21に比して転がり抵抗の小さい特性(低転がり特性)に構成することが好ましい。これにより、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第1キャンバ角に調整し、左右の後輪2RL,2RRにネガティブキャンバを付与することで、第1トレッド21の高グリップ特性を発揮させて、車両1の操縦安定性を確保することができる。一方、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を第2キャンバ角に調整し、車輪2へのネガティブキャンバの付与を解除することで、第2トレッド22の低転がり特性を発揮させて、省燃費化を図ることができる。なお、図9は、車両1を模式的に示した模式図である。
上記実施の形態では、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRが全て同じ構成とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、図10に示すように、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅を、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅よりも広い幅に構成しても良い。この場合には、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅が、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅よりも広くされるので、左右の前輪2FL,2FRの路面に対する摩擦係数を左右の後輪2RL,2RRの路面に対する摩擦係数よりも大きくすることができる。その結果、制動力の向上を図ることができる。また、左右の前輪2FL,2FRが駆動輪とされる場合には、加速性能の向上を図ることができる。一方、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅が、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅よりも狭くされるので、左右の後輪2RL,2RRの転がり抵抗を左右の前輪2FL,2FRの転がり抵抗よりも小さくすることができ、その分、省燃費化を図ることができる。なお、図10は、車両1を模式的に示した模式図である。
また、左右の後輪2RL,2RRを、左右の前輪2FL,2FRよりも低転がり抵抗とするための手法としては、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅よりも狭くする手法に限られるものではなく、他の手法を採用しても良い。
例えば、他の手法としては、左右の後輪2RL,2RRのトレッドを、左右の前輪2FL,2FRのトレッドよりも硬度の高い材料から構成し、左右の前輪2FL,2FRのトレッドを左右の後輪2RL,2RRのトレッドよりもグリップ力の高い特性(高グリップ性)とする一方、左右の後輪2RL,2RRのトレッドを左右の前輪2FL,2FRのトレッドよりも転がり抵抗の小さい特性(低転がり抵抗)とする第1の手法、左右の後輪2RL,2RRのトレッドのパターンを、左右の前輪2FL,2FRのトレッドのパターンよりも低転がり抵抗のパターンとする(例えば、左右の後輪2RL,2RRのトレッドのパターンをラグタイプ又はブロックタイプとし、左右の後輪2RL,2RRのトレッドのパターンをリブタイプとする)第2の手法、左右の後輪2RL,2RRの空気圧を、左右の前輪2FL,2FRの空気圧よりも高圧とする第3の手法、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの厚み寸法を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの厚み寸法よりも薄い寸法とする第4の手法、或いは、これら第1から第4の手法および上記の手法(トレッドの幅を異ならせる手法)の一部または全部を組み合わせる第5の手法、が例示される。
上記実施の形態では、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅と同一の幅とする場合を説明したが、この場合でも、かかる構成に上述した第1から第5の手法の一部または全部を組み合わせることで、左右の後輪2RL,2RRを、左右の前輪2FL,2FRよりも低転がり抵抗とすることができる。
また、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅よりも狭くする場合には、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅を次のように構成することが好ましい。即ち、タイヤ幅L([mm])をタイヤ外径R([mm])で除した値(L/R)を0.1より大きく、かつ、0.4より小さくすることが好ましく(0.1<L/R<0.4)、0.1より大きく、かつ、0.3より小さくすることが更に好ましい(0.1<L/R<0.3)。これにより、車両1の操縦安定性を確保しつつ、転がり抵抗を小さくして、省燃費化の向上を図ることができる。なお、トレッドの幅は、リム幅よりも大きくタイヤ幅よりも小さな値となる。
ここで、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅よりも狭くする場合の左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅の設定方法について説明する。
図11は、懸架装置4に支持された後輪2RL,2RRの正面図であり、図12は、懸架装置4に支持された後輪1002RL,1002RRの正面図である。なお、これら図11及び図12は、図2に対応する正面図であり、右の後輪2RR,1002RRのみを図示すると共に、懸架装置4の図示が簡略化されている。また、図11及び図12では、車体Bの外形を通る鉛直線(矢印U−D方向線、図2参照)を外形線S(即ち、車両1の全幅を示す線)として二点鎖線を用いて図示している。
後輪2RL,2RRは、上記実施の形態で説明した前輪2FL,2FRと同一の幅に構成された車輪である。ここで、車両1は、左右の前輪2FL,2FR及び左右の後輪2RL,2RRの全てを懸架装置4により支持する既存の車両に対し、左右の後輪2RL,2RRに対応する懸架装置4RL,4RRにのみRL,RRモータ44RL,44RRによる伸縮機能を追加して懸架装置4とすることで構成された車両である。よって、車両1は、図11(a)に示すように、少なくともキャンバ角が第2キャンバ角(=0°)においては、後輪2RL,2RRを外形線Sから外側に突出させない(即ち、保安基準を満たす)ように装着可能とされている。
しかしながら、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整する制御を行う場合には、図11(b)に示すように、左右の後輪2RL,2RRが外形線Sを越えて外側へ突出し、保安基準を満たすことができないという問題点があった。そのため、左右の後輪2RL,2RRのキャンバ角を調整可能な範囲が限定され、十分な角度のキャンバ角を付与することができないという問題点があった。
この場合、懸架装置4自体の配設位置を車両1の内側(図11(a)右側)へ移動させることで、キャンバ角の調整可能範囲を確保することも考えられるが、車両1に大幅な構造の変更を加えることが必要となるため、コストが嵩み、現実的でない。一方、左右の後輪2RL,2RRのホイールオフセットを車輪中心線Cから車両1の外側(図11(a)左側)に移動させることで、車両1への構造の変更を行うことなく、比較的大きな角度のキャンバ角を左右の後輪2RL,2RRに付与することが可能となる。しかしながら、この場合には、ホイールオフセットの分だけ、左右の後輪2RL,2RR自体が車両1の内側へ移動することとなるので、車体Bとの干渉が避けられない。
そこで、本願出願人は、図12に示すように、左右の後輪1002RL,1002RRのタイヤ幅Wlを狭くすることで、既存の車両(車両1)に大幅な構造の変更を加えることを不要とし、かつ、保安基準を満たしながら、キャンバ角の調整可能範囲を十分に確保することを可能とする構成に想到した。
左右の後輪1002RL,1002RRのタイヤ幅Wlの設定方法について、図11から図13を参照して説明する。図13は、懸架装置4に支持された車輪の正面図を模式的に図示した模式図であり、キャンバ角θのネガティブキャンバが付与された状態が図示されている。
図13に示すように、車輪の幅寸法をタイヤ幅Wと、直径をタイヤ径Rと、タイヤ中心線(車輪中心線)Cからホイール座面Tまでの距離をホイールオフセットAと、それぞれ規定する。この場合、車輪が外側へ最も突出する位置であるタイヤ外側端Mから、車輪の回転軸とホイール座面Tとの交点である原点Oまでの水平方向の距離である距離Lは次のように算出される。
即ち、図13に示すように、車輪の回転軸と車輪の外側面との交点である位置Pと原点Oとを結ぶ距離は、タイヤ幅Wの半分の値からホイールオフセットAを除算した値(W/2−A)となるので、位置Pから原点Oまでの水平方向の距離である距離Jは、三角比の関係から、J=(W/2−A)・cosθとなる。
一方、位置Pとタイヤ外側端Mとを結ぶ距離は、タイヤ径Rの半分の値(R/2)となるので、タイヤ外側端Kから位置Pまでの水平方向の距離である距離Kは、三角比の関係から、K=(R/2)・sinθとなる。
よって、距離Lは、距離Jと距離Kとの和であるので、これらを加算して、L=(W/2−A)・cosθ+(R/2)・sinθとなる。この関係式をタイヤ幅Wでまとめると、W=2A−R・tanθ+2L/cosθとなる。
車輪のタイヤ外側端Mが車両1の外形線Sを越えて外側へ突出せず、保安基準を満たすためには、距離Lが、原点Oから外形線Sまでの水平方向の距離である距離Z(図11(b)及び図12(b)参照)より小さくなれば良い。よって、タイヤ幅Wを定める上記の式に対し、距離Lの最大値(即ち、距離Z)と、車輪に付与するキャンバ角θの最大値(例えば、3°)とを当てはめることで、車輪のタイヤ幅Wの最大値を決定することができる。
即ち、図11に示す左右の後輪2RL,2RRについては、タイヤ外側端Mが外形線Sを越えて外側に突出しないための最大のキャンバ角をθwとすると、そのタイヤ幅Wwは、W=2A−R・tanθw+2Z/cosθwとなり、図12に示す後輪1002RL,1002RRについては、タイヤ外側端Mが外形線Sを越えて外側に突出しないための最大のキャンバ角をθlとすると、そのタイヤ幅Wlは、W=2A−R・tanθl+2Z/cosθlとなる。
なお、各車輪のトレッドの幅は、タイヤ幅Wを越えない範囲に設定される。なお、タイヤ幅Wの最小値は、タイヤ外側端Mをホイール座面Tよりも内側へ配置できないことから、ホイールオフセットAの2倍の値となる。
以上のように、タイヤ幅Wを定める上記の式によれば、車輪のタイヤ幅W(即ち、トレッドの幅)を狭くすることで、車輪に付与するキャンバ角θの最大値を大きくすることができる。即ち、左右の後輪2RL,2RRのトレッドの幅(タイヤ幅W)を、左右の前輪2FL,2FRのトレッドの幅よりも狭くすることで、既存の車両(車両1)に大幅な構造の変更を加えることを不要とし、かつ、保安基準を満たしつつ、左右の後輪2RL,2RRにおけるキャンバ角の調整可能範囲を確保することができる。
100 車両用制御装置
1 車両
2 車輪
2FL 左の前輪(車輪の一部)
2FR 右の前輪(車輪の一部)
2RL 左の後輪(車輪の一部)
2RR 右の後輪(車輪の一部)
44 キャンバ角調整装置
44RL RLモータ(キャンバ角調整装置の一部)
44RR RRモータ(キャンバ角調整装置の一部)

Claims (4)

  1. 車輪と、その車輪のキャンバ角を調整するキャンバ角調整装置と、を備えた車両に用いられる車両用制御装置であって、
    前記車両用制御装置は、
    前記車両の走行速度を取得する車速取得手段と、
    前記キャンバ角調整装置を作動させて、前記車速取得手段により取得された前記車両の走行速度に応じた第1調整速度で前記車輪のキャンバ角を調整する第1キャンバ制御手段と、を備えていることを特徴とする車両用制御装置。
  2. 前記第1キャンバ制御手段は、前記車速取得手段により取得された前記車両の走行速度で前記車輪の車輪周方向に対する接地量だけ前記車両が進行する時間内において、前記車輪が車輪幅方向に変位する変位量を、前記車輪が車輪幅方向に対して弾性変形可能な最大の変位量とする前記第1調整速度で前記車輪のキャンバ角を調整することを特徴とする請求項1記載の車両用制御装置。
  3. 前記車両の状態量を取得する状態量取得手段と、
    その状態量取得手段により取得された前記車両の状態量が所定の閾値を超えた場合に、前記キャンバ角調整装置を作動させて、前記キャンバ角調整装置により調整可能な最大の第2調整速度で前記車輪のキャンバ角を調整する第2キャンバ制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用制御装置。
  4. 前記状態量取得手段により取得された前記車両の状態量が、前記車両の走行時における快適性を高めるための安定キャンバの付与に関する付与基準である第1閾値を超えているかを判断する第1状態量判断手段と、
    前記状態量取得手段により取得された前記車両の状態量が、前記車両の挙動限界における走行安定性を高めるための限界キャンバの付与に関する付与基準である第2閾値を超えているかを判断する第2状態量判断手段を備え、
    前記第1キャンバ制御手段は、前記第1状態量判断手段により前記車両の状態量が前記第1閾値を超えていると判断される場合に、前記第1調整速度で前記車輪のキャンバ角を調整すると共に、前記第2キャンバ制御手段は、前記第2状態量判断手段により前記車両の状態量が前記第2閾値を超えていると判断される場合に、前記第2調整速度で前記車輪のキャンバ角を調整することを特徴とする請求項3記載の車両用制御装置。
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