実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置について図1から図5までを参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置を適用した電動パワーステアリング制御装置の構成を示す斜視図である。なお、以降では、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1において、この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置を適用した電動パワーステアリング制御装置は、ステアリング機構(操舵機構とも言う)10と、後述するステアリング軸2に取り付けたトルクセンサ11と、ステアリング軸2に取り付けたアシストモータ(以下単にモータとも言う)12と、アシストモータ12を制御する制御ユニット(ECU)100とが設けられている。なお、これらを接続するケーブルも含む。また、電源装置も含むが自明なのでここでは説明を省略する。
このステアリング機構10は、ハンドル1と、ステアリング軸2と、ステアリングギアボックス3と、ラックとピニオン機構4と、タイヤ5とを含んでいる。
図2は、図1の制御ユニット(ECU)の構成を示すブロック図である。
制御ユニット(ECU)100は、車速検出器101と、操舵トルク検出器102と、操舵角速度検出器103と、操舵角加速度検出器104と、路面反力トルク検出器105と、車両挙動状態推定手段200と、第1制御量演算手段106と、第2制御量演算手段107と、アシストトルク決定ブロック108と、モータ電流決定器109と、モータ電流比較器110と、モータ駆動器111と、モータ電流検出器112とが設けられている。
この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置は、車速検出器101と、操舵角速度検出器103と、路面反力トルク検出器105と、車両挙動状態推定手段200と、第1制御量演算手段106と、第2制御量演算手段107とから構成される。
図3は、図2の車両挙動状態推定手段の構成を示すブロック図である。
図3において、車両挙動状態推定手段200は、路面反力トルク勾配演算手段201と、規範路面反力トルク変化率演算手段202と、実路面反力トルク変化率演算手段203と、第1不安定状態検出手段204と、第2不安定状態検出手段300とが設けられている。
また、第2不安定状態検出手段300は、符号変化判定手段301と、信号保持手段302とを含む。
つぎに、この実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置を適用した電動パワーステアリング制御装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図1において、ハンドル1は、運転者が操舵する自動車のステアリングハンドルであり、ステアリング軸2の上端に連結されている。ハンドル1には、運転者による操舵トルクThdlが加えられ、この操舵トルクThdlはステアリング軸2に伝達される。
トルクセンサ11は、ステアリング軸2に結合され、操舵トルクThdlに応じた操舵トルク検出信号Thdl(s)を発生する。アシストモータ12は、電動モータであり、これもステアリング軸2に図示しない減速ギアを介して結合され、操舵トルクThdlをアシストするアシストトルクTassistをステアリング軸2に与える。
ステアリングギアボックス3は、ステアリング軸2の下端に設けられている。ステアリング軸2に与えられる操舵トルクThdlとアシストトルクTassistとを加え合わせた合成トルクが、ステアリングギアボックス3を通じて数倍にされ、ラックとピニオン機構4を通じて、タイヤ5を操作する。
図1の電動パワーステアリング制御装置は、ステアリング機構10に電気的に組み合わせたEPS(Electric Power Steering)用制御ユニット100を有する。この制御ユニット100には、トルクセンサ11からの操舵トルク検出信号Thdl(s)と、アシストモータ12からのモータ駆動電流検出信号Imtr(s)と、モータ駆動電圧検出信号Vmtr(s)とが入力される。この制御ユニット100は、アシストモータ12に対して、制御信号Imtr(t)を供給する。この制御信号Imtr(t)は、アシストモータ12に対する駆動目標電流である。
図1において、路面反力トルクTalignは、タイヤ5に与えられ、ステアリング軸反力トルクTtranは、この路面反力トルクTalignに基づき、ステアリング軸2に作用する。また、ステアリング軸反力トルクTtranは、ステアリング軸2に換算された路面反力トルクである。ステアリング機構10の摩擦トルクTfrpは、アシストモータ12の摩擦トルクTmfricを除いたものである。
図1に示す電動パワーステアリング制御装置は、運転者がハンドル1を切った時の操舵トルクThdlをトルクセンサ11で操舵トルク検出信号Thdl(s)として検出し、その操舵トルク検出信号Thdl(s)に応じて、操舵トルクThdlを補助するアシストトルクTassistを発生させることを主な機能とする。
制御ユニット100は、アシストモータ12の駆動電流Imtrを検出した検出信号Imtr(s)と、アシストモータ12の駆動電圧Vmtrを検出した検出信号Vmtr(s)と、操舵トルク検出信号Thdl(s)とに基づき、アシストトルクTassistを発生するための制御信号Imtr(t)を演算し、この制御信号Imtr(t)をアシストモータ12に供給する。
力学的には、操舵トルクThdlとアシストトルクTassistの和が、ステアリング軸反力トルクTtranに抗してステアリング軸2を回転させる。また、ハンドル1を回転させるときには、アシストモータ12の慣性項も作用するので、ステアリング軸反力トルクTtranは、次の式(1)で与えられる。
Ttran=Thdl+Tassist−J・d/dt (1)
ただし、アシストモータ12の慣性トルクをJ・d/dtとする。
また、アシストモータ12によるアシストトルクTassistは、次の式(2)で与えられる。
Tassist=Ggear・Kt・Imtr (2)
ただし、Ggearは、アシストモータ12とステアリング軸2との間の減速ギアの減速ギア比である。Ktは、アシストモータ12のトルク定数である。
また、ステアリング軸反力トルクTtranは、路面反力トルクTalignとステアリング機構10内の摩擦トルクTfricとの和であり、次の式(3)で与えられる。
Ttran=Talign+Tfric
=Talign+(Ggear・Tmfric+Tfrp) (3)
ただし、Tmfricは、アシストモータ12における摩擦トルクである。また、Tfrpは、このアシストモータ12における摩擦トルクTmfricを除く、ステアリング機構10の摩擦トルクである、Tmfric・Ggear+Tfrp=Tfricである。
電動パワーステアリング制御装置の制御ユニット(ECU)100は、アシストモータ12の駆動電流Imtrに対する目標値を演算して制御信号Imtr(t)を発生する。この制御信号Imtr(t)に対して、アシストモータ12の実際の駆動電流Imtrが一致するように電流制御がなされて、アシストモータ12は駆動電流値にトルク定数とギア比(アシストモータ12、ステアリング軸2間)を乗じた所定のトルクを発生し、運転者が操舵するときの操舵トルクThdlをアシストする。
また、本実施の形態1において、制御ユニット100は、運転者の操舵時のアシストトルクを制御する機能だけでなく、車両挙動状態を推定する機能(車両挙動状態推定装置)も有する。
図2において、路面反力トルク検出器105は、車両走行時のタイヤ5にかかる路面反力トルクの検出を行う。この路面反力トルクは、式(3)から、次の式(4)のとおり変形できる。
Talign=Ttran−Tfric (4)
この式(4)に、式(1)及び(2)を代入して整理すると、次の式(5)となり、式(5)において路面反力トルクTalignを表すことができる。
Talign=Thdl+Ggear・Kt・Imtr−J・d/dt−Tfric
(5)
しかし、一般的に式(5)において摩擦項であるTfricの影響を直接除去することは困難である為に、路面反力トルク検出器105では、例えば電動パワーステアリング制御装置の機能を用いることにより、特開2003−312521号公報において公知の技術であるローパスフィルタによる推定を行うなどの手段を用い、推定路面反力トルクTalign_estを算出すれば得られる。以降の実施の形態では特に記載しない限り電動パワーステアリング制御装置の機能を用いて路面反力トルクを導出する公知技術が適用されるものとする。
次に、図3を参照しながら車両挙動状態推定手段200について説明する。車両挙動状態推定手段200は、車速検出器101から出力される車速信号V(s)と、操舵角速度検出器103から出力される操舵角速度信号Smtr(s)と、路面反力トルク検出器105から出力される路面反力トルクTalign_act(s)を入力としている。
路面反力トルク勾配演算手段201は、車速信号V(s)から路面反力トルク勾配信号Kalign(s)を演算する。規範路面反力トルク変化率演算手段202は、路面反力トルク勾配信号Kalign(s)と操舵角速度信号Smtr(s)から規範路面反力トルクの変化率dTalign_ref/dt(s)を演算する。ここで、規範路面反力トルクは、ハンドル角θと路面反力トルク勾配信号Kalign(s)を用いて表すと、次の式(6)となる。
Talign_ref=Kalign(s)×θ (6)
すなわち、規範路面反力トルクの変化率は、次の式(7)で表せる。
dTalign_ref/dt=Kalign×dθ/dt
=Kalign(s)×Smtr(s) (7)
この式(7)より、規範路面反力トルクの変化率は、路面反力トルク勾配信号Kalign(s)と操舵角速度信号Smtr(s)より得られることが解る。なお、ハンドル角に対する路面反力トルク勾配信号Kalign(s)は、車速に応じて変わるパラメータであり、マップとしてメモリに記憶してもよく、車速に対する演算式としてもよい。
実路面反力トルク変化率演算手段203は、路面反力トルクTalign_act(s)を入力し、時間微分して得られる路面反力トルク変化率dTalign_act/dt(s)を演算する。第1不安定状態検出手段204は、規範路面反力トルク変化率演算手段202の出力である規範路面反力トルク変化率dTalign_ref/dt(s)と、実路面反力トルク変化率演算手段203の出力である路面反力トルク変化率dTalign_act/dt(s)との比率αを演算する。この比率αは、次の式(8)で表せる。
α={dTalign_ref/dt(s)}/{dTalign_act/dt(s)} (8)
この式(8)で演算した比率の値に応じて、第1不安定状態検出手段204は、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力する。なお、比率αは、分子項に路面反力トルク変化率dTalign_act/dt(s)、分母項に規範路面反力トルク変化率dTalign_ref/dt(s)としてもよい。
ここで、第1不安定状態検出手段204により規範路面反力トルク変化率信号と路面反力トルク変化率信号の比率αを演算することで車両挙動の不安定状態を判定しているが、規範路面反力トルク変化率信号と路面反力トルク変化率信号の差分などでも同様の効果が得られる。また、差分信号と比率信号を組み合わせて判定してもよい。
図3に示す第2不安定状態検出手段300は、第1不安定状態検出手段204の出力である第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)と、実路面反力トルク変化率演算手段203の出力である路面反力トルク変化率dTalign_act/dt(s)とに基づいて、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
符号変化判定手段301は、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)を入力し、路面反力トルク変化率信号の符号変化を検出し、符合が変化したときの路面反力トルク変化率信号を出力する。信号保持手段302は、符号変化判定手段301の出力と第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき、符号変化判定手段301が成立且つ第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が成立時に第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力し、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が不成立となったときに第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)の出力を停止する。
次に、車両の走行状態(挙動状態)が安定状態、不安定予兆状態、あるいは不安定状態であることを推定する方法に関して、図4を参照しながら説明する。図4は、この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置の動作を示すタイミングチャートである。
図4(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)と、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)が検出されたとする。このとき、式(6)で演算できる規範路面反力トルクと、路面反力トルク検出器105の出力は、図4(a)のようになる。なお、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)は、路面反力トルク検出器105の出力である路面反力トルク信号を、図3に示す実路面反力トルク変化率演算手段203で時間微分して得られる。また、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)は、車速信号V(s)を入力し路面反力トルク勾配演算手段201から得られる路面反力トルク勾配信号Kalign(s)と、操舵角速度信号Smtr(s)を入力とし規範路面反力トルク変化率演算手段202の演算結果である。
時刻t1からt2までの区間は、図4(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号と規範路面反力トルク変化率信号は一致しており、式(8)で演算される比率αは1となり、車両の走行状態は安定状態であることを示す。
次に、時刻t2からt3までの区間は、図4(a)に示すように、路面反力トルクが飽和に達するので、図4(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号が規範路面反力トルク変化率信号に比べ低下し、図4(c)に示すように、比率αは1以上となり、車両の走行状態は不安定予兆状態であることを示し、比率の値に応じて第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力する。
次に、時刻t3から先の区間は、図4(a)に示すように、路面反力トルクが時刻t3で飽和後、減少しているので、図4(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の向きは規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)の向きと反対方向となり、車両の走行状態は不安定状態であることを示し、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)と、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の符号の変化に基づいて、図4(c)に示すように、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
ここで、比率演算を式(8)により行っているが実際にはゼロ割を防止するため、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)、及び規範路面反力トルク変化率dTalign_ref/dt(s)は、それぞれの絶対値を取り下限値を設けているため、比率の値は、図4(c)のようになる。
図2に示す第1制御量演算手段106は、車両挙動状態推定手段200の出力である第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき、電動パワーステアリング制御装置のアシストトルクを補正する。また、第2制御量演算手段107は、車両挙動状態推定手段200の出力である第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき、電動パワーステアリング制御装置のアシストトルクを補正する。具体的には、電動パワーステアリング制御装置の制御器の1つであるハンドル戻し制御器により、運転者のハンドル戻しトルク制御の補償量を第1制御量演算手段106の出力、及び第2制御量演算手段107の出力に応じて変更することにより、運転者が車両を安定化するための動作を補助することが可能となる。
続いて、車両挙動状態推定装置を適用した電動パワーステアリング制御装置の動作を図5のフローチャートに基づいて説明する。図5は、この発明の実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置の動作を示すフローチャートである。この図5は、スタート(START)とエンド(END)の間に、ステップS101からS110までを含んでいる。
まず、ステップS101において、車両挙動状態推定手段200は、車速信号V(s)と、操舵角速度信号Smtr(s)と、路面反力トルク信号Talign_act(s)を入力し、制御ユニット100を構成するマイクロコンピューターのメモリ(図示しない)に記憶する。
次に、ステップS102において、車速信号V(s)と操舵角速度信号Smtr(s)より規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)を演算してメモリに記憶する。
次に、ステップS103において、路面反力トルク信号Talign_act(s)の時間微分値信号である路面反力トルク変化率dTalign_act/dt(s)を演算してメモリに記憶する。
次に、ステップS104において、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)と規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)の比率である比率信号α(s)を演算してメモリに記憶する。
次に、ステップS105において、車両挙動状態推定手段200は、比率信号α(s)に基づいて車両挙動状態推定を行い、不安定予兆状態を表す第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力する。
次に、ステップS106において、車両挙動状態推定手段200は、第2不安定状態検出手段300により、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が不安定予兆状態を表しているかどうか判定し、表していない場合は、ステップS109へ進み、表している場合には、次のステップS107へ進む。
次に、ステップS107において、第2不安定状態検出手段300により、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の符号に変化があったかどうか判定し、符号に変化がなかった場合は、ステップS109へ進み、変化があった場合には、次のステップS108へ進む。
次に、ステップS108において、車両挙動状態推定手段200は、第2不安定状態検出手段300により、不安定状態を示す第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
次に、ステップS109において、第1制御量演算手段106は、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき、第1制御量Trq_comp1(s)の演算を行う。
そして、ステップS110において、第2制御量演算手段107は、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき、第2制御量Trq_comp2(s)の演算を行う。
このようにして、この実施の形態1に係る車両挙動状態推定装置を適用した電動パワーステアリング制御装置は、規範路面反力トルク変化率と路面反力トルク変化率に基づく比率から第1車両挙動状態を推定するとともに、第1車両挙動状態推定信号と路面反力トルク変化率の符号の変化に基づいて第2車両挙動状態を推定することで、更に正確に車両の不安定状態を検出し、第1車両挙動状態推定信号に基づき第1制御量、第2車両挙動状態推定信号に基づき第2制御量を演算し、車両を安定させるようにアシストトルクを付加することにより更に車両を安定させることが可能である。
ここで、この実施の形態1において、操舵角速度検出器103は、ブラシレス電動パワーステアリング制御装置に関してはレゾルバなどセンサを用いればよく、ブラシ付き電動パワーステアリング制御装置においてもモータの端子間電圧信号やモータに発生する電流などからモータ速度を演算しても実現可能となる。
また、この実施の形態1において、車両挙動状態推定手段200の構成を図3のように示したが、路面反力トルクが電気ノイズなどの影響で振動的な場合は、ローパスフィルタなど公知の特定周波数除去手段を用いた構成としてもよい。これにより、本実施の形態1の高周波外乱特性が向上する効果がある。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置について図6から図8までを参照しながら説明する。図6は、この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の車両挙動状態推定手段の第2不安定状態検出手段の構成を示すブロック図である。なお、この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段以外の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
図6において、この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段300Aは、絶対値演算手段303と、閾値304と、比較器305と、信号保持手段302とが設けられている。
この実施の形態2は、上記の実施の形態1に対して、図6に示すように、第2不安定状態検出手段300Aの構成を変更したものである。
つぎに、この実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の動作について図面を参照しながら説明する。
図6に示すように、絶対値演算手段303は、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dtの絶対値を演算する。比較器305は、絶対値演算手段303の出力と閾値304と比較する。信号保持手段302は、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)と比較器305の出力に基づき、比較器305が成立且つ第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が成立時に、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力し、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が不成立となったときには、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)の出力を停止する。
次に、車両の走行状態(挙動状態)が安定状態、不安定予兆状態、あるいは不安定状態であることを推定する方法に関して、図7を参照しながら説明する。図7は、この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の動作を示すタイミングチャートである。
図7(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)と、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)が検出されたとする。このとき、式(6)で演算できる規範路面反力トルクと、路面反力トルク検出器105の出力は、図7(a)のようになる。なお、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)は、路面反力トルク検出器105の出力である路面反力トルク信号を、図3に示す実路面反力トルク変化率演算手段203で時間微分して得られる。また、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)は、車速信号V(s)を入力し路面反力トルク勾配演算手段201から得られる路面反力トルク勾配信号Kalign(s)と、操舵角速度信号Smtr(s)を入力とし規範路面反力トルク変化率演算手段202の演算結果である。
時刻t1からt2までの区間は、図7(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号と規範路面反力トルク変化率信号は一致しており、図7(c)に示すように、式(8)で演算される比率αは1となり、車両の走行状態は安定状態であることを示す。
次に、時刻t2からt3までの区間は、図7(a)に示すように、路面反力トルクが飽和に達するので、図7(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号が規範路面反力トルク変化率信号に比べ低下し、図7(c)に示すように、比率αは1以上となり、車両の走行状態は不安定予兆状態であることを示し、比率の値に応じて第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力する。
次に、時刻t3から先の区間は、図7(a)に示すように、路面反力トルクが時刻t3で飽和後、減少しているので、図7(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)は負となり、路面反力トルク変化率信号の絶対値を演算する。この絶対値が予めメモリに記憶された閾値より小さければ、車両の走行状態は不安定状態であることを示し、図7(c)に示すように、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)と、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値に基づいて第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
ここで、比率演算を式(8)により行っているが実際にはゼロ割を防止するため、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)、及び規範路面反力トルク変化率dTalign_ref/dt(s)はそれぞれの絶対値を取り下限値を設けているため、比率の値は図7(c)のようになる。
この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段の動作について図8を参照しながら説明する。図8は、この発明の実施の形態2に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段の動作を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、図5のフローチャートの変更部分であるステップS106からS108までについてのみを記載している。図8は、スタートとエンドの間に、ステップS201からS204までを含んでいる。
まず、ステップS201において、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が成立しているか、否か判定する。成立して否かったらエンドを進み、成立していたら次のステップS202へ進む。
次に、ステップS202において、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値を演算する。
次に、ステップS203において、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値が予めメモリに記憶された閾値より小さいか判定する。閾値より大きければ、エンドへ進み、閾値より小さければ、次のステップS204へ進む。
次に、ステップS204において、不安定状態を示す第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力し、エンドへ進み終了する。
このように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値を予めメモリに記憶した閾値と比較し、図7に示すように、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力している状態で、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値が閾値より小さければ、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力することで、上記の実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置について図9から図11までを参照しながら説明する。図9は、この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の車両挙動状態推定手段の第2不安定状態検出手段の構成を示すブロック図である。なお、この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段以外の構成は、上記の実施の形態1と同様である。
図9において、この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段300Bは、絶対値演算手段303と、閾値304と、比較器305と、カウンタ手段306、信号保持手段302とが設けられている。
この実施の形態3は、上記の実施の形態1及び実施の形態2に対して、図9に示すように、第2不安定状態検出手段300Bの構成を変更し、カウンタ手段306を追加したものである。
つぎに、この実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の動作について図面を参照しながら説明する。
絶対値演算手段303は、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dtの絶対値を演算する。比較器305は、絶対値演算手段303の出力と閾値304を比較する。カウンタ手段306は、比較器305の比較結果の出力の後、所定時間をカウントし、比較結果を所定時間遅延する。信号保持手段302は、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)とカウンタ手段306の出力に基づき第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
次に、車両の走行状態(挙動状態)が安定状態、不安定予兆状態、あるいは不安定状態であることを推定する方法に関して、図10を参照しながら説明する。図10は、この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の動作を示すタイミングチャートである。
図10(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)と、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)が検出されたとする。このとき、式(6)で演算できる規範路面反力トルクと、路面反力トルク検出器105の出力は、図10(a)のようになる。なお、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)は、路面反力トルク検出器105の出力である路面反力トルク信号を、図3に示す実路面反力トルク変化率演算手段203で時間微分して得られる。また、規範路面反力トルク変化率信号dTalign_ref/dt(s)は、車速信号V(s)を入力し路面反力トルク勾配演算手段201から得られる路面反力トルク勾配信号Kalign(s)と、操舵角速度信号Smtr(s)を入力とし規範路面反力トルク変化率演算手段202の演算結果である。
時刻t1からt2までの区間は、図10(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号と規範路面反力トルク変化率信号は一致しており、図10(c)に示すように、式(8)で演算される比率αは1となり、車両の走行状態は安定状態であることを示す。
次に、時刻t2からt3までの区間は、図10(a)に示すように、路面反力トルクが飽和に達するので、図10(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号が規範路面反力トルク変化率信号に比べ低下し、図10(c)に示すように、比率αは1以上となり、車両の走行状態は不安定予兆状態であることを示し、比率の値に応じて第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)を出力する。
次に、時刻t3から先の区間は、図10(a)に示すように、路面反力トルクが時刻t3で飽和後、減少しているので、図10(b)に示すように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)は負となり、路面反力トルク変化率信号の絶対値を演算する。この絶対値が予めメモリに記憶された閾値より小さく、所定時間以上経過すれば、車両の走行状態は不安定状態であることを示し、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)と、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値が所定時間以上閾値以下であることに基づいて第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力する。
ここで、比率演算を式(8)で行っているが実際にはゼロ割を防止するため、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)、及び規範路面反力トルク変化率dTalign_ref/dt(s)はそれぞれの絶対値を取り下限値を設けているため、比率の値は図7(c)のようになる。
この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段の動作について図11を参照しながら説明する。図11は、この発明の実施の形態3に係る車両挙動状態推定装置の第2不安定状態検出手段の動作を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、図5のフローチャートの変更部分であるステップS106からS108までについてのみを記載している。図11は、スタートとエンドの間に、ステップS301からS305までを含んでいる。
まず、ステップS301において、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が成立しているか、否か判定する。成立して否かったらエンドを進み、成立していたら次のステップS302へ進む。
次に、ステップS302において、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値を演算する。
次に、ステップS303において、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値が予めメモリに記憶された閾値より小さいかを判定する。閾値より大きければ、エンドへ進み、閾値より小さければ、次のステップS304へ進む。
次に、ステップS304において、所定時間以上経過したか判定し、所定時間以上経過したならば、次のステップS305へ進み、所定時間以内ならばステップS303へ戻る。
次に、ステップS305において、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力し、エンドへ進み終了する。
このように、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値を予めメモリに記憶した閾値と比較し、所定時間以上経過したか判断することで、図10に示すように、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)が成立している状態で、路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値が閾値より小さく所定時間を経過すれば、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力することで、上記の実施の形態1と同様の効果を得ることができ、更に路面反力トルク変化率信号dTalign_act/dt(s)の絶対値の変動に影響されず、安定した第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)を出力することができる。
ここでは、上記の実施の形態2の構成に対して説明したが、上記の実施の形態1の図3の符号変化判定手段301の出力にカウンタ手段306を備えれば同様の効果が得られることは明らかである。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4に係る車両挙動状態推定装置について説明する。
上記の実施の形態1〜実施の形態3では、車両用制御装置として、ハンドルとタイヤが連結機構で繋がった所謂電動パワーステアリング制御装置に適用した車両挙動状態推定装置について説明した。
しかし、本車両挙動状態推定装置は、車両挙動の不安定状態またその予兆を推定した状態量を得ることに特徴があるため、車両用制御装置として、例えば車両前輪の角度を制御することが可能な所謂ステアバイワイヤや可変ギアシステムなどを備えた車両においては、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき第1制御量を決定し、車両挙動が安定するように前輪舵角を制御し、さらに、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき第2制御量を決定し、前輪舵角を制御することで走行安定性が向上する。
このように、前輪舵角を制御可能なアクチュエータを有する車両であれば、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき車両を安定化することが可能となる。
ここで、この実施の形態4の第1制御量演算手段106及び第2制御量演算手段107は、ステアバイワイヤや可変ギアシステムで備えてもよく、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき制御量を決定すればよく、以下の実施の形態においても同様である。
実施の形態5.
この発明の実施の形態5に係る車両挙動状態推定装置について説明する。
上記の実施の形態1〜実施の形態3では、ハンドルとタイヤが連結機構で繋がった所謂電動パワーステアリング制御装置に適用した車両挙動状態推定装置について説明した。また、上記の実施の形態4では、前輪舵角の角度制御が可能なステアバイワイヤシステムや可変ギアシステムに適用した車両挙動状態推定装置について説明した。
しかし、本車両挙動状態推定装置は、車両挙動の不安定状態またその予兆を推定した状態量を得ることに特徴があるため、車両用制御装置として、例えば車両後輪の角度を制御することが可能な所謂後輪操舵制御装置を備えた車両においては、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき第1制御量を決定し、車両挙動が安定するように後輪舵角を制御し、さらに、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき第2制御量を決定し、後輪舵角を制御することで走行安定性が向上する。
このように、後輪操舵制御アクチュエータを有する車両であれば、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき車両を安定化することが可能となる。
実施の形態6.
この発明の実施の形態6に係る車両挙動状態推定装置について説明する。
上記の実施の形態1〜実施の形態3では、ハンドルとタイヤが連結機構で繋がった所謂電動パワーステアリング制御装置に適用した車両挙動状態推定装置について説明した。また、上記の実施の形態4では、前輪舵角の角度制御が可能なステアバイワイヤシステムや可変ギアシステムに適用した車両挙動状態推定装置について説明した。さらに、上記の実施の形態5では、後輪操舵制御装置に適用した車両挙動状態推定装置について説明した。
しかし、本車両挙動状態推定装置は、車両挙動の不安定状態またその予兆を推定した状態量を得ることに特徴があるため、車両用制御装置として、例えば4輪の制動力を制御することが可能な所謂ESC(Electronic Stability Control)システムを備えた車両においては、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき第1制御量を決定し、車両挙動が安定するように制動力を制御し、さらに、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき第2制御量を決定し、制動力を制御することで走行安定性が向上する。
このように、車両の制動力を制御するアクチュエータを有する車両であれば、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき車両を安定化することが可能となる。
実施の形態7.
この発明の実施の形態7に係る車両挙動状態推定装置について説明する。
上記の実施の形態1〜実施の形態6において、車両挙動の不安定状態またその予兆を推定し、ステアリング系やブレーキ系に適用して車両を安定化する車両挙動状態推定装置について説明した。
しかし、本車両挙動状態推定装置は、車両挙動の不安定状態またその予兆を推定した状態量を得ることに特徴があるため、車両用制御装置として、例えば駆動力を制御することが可能なアクチュエータを備えた車両においては、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき第1制御量を決定し、車両挙動が安定するように駆動力を制御し、さらに、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき第2制御量を決定し、駆動力を制御することで走行安定性が向上する。
このように、車両の駆動力を制御するアクチュエータを有する車両であれば、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき車両を安定化することが可能となる。
なお、本実施の形態7では、実現手段として、エンジン出力を制御することや、オートマッチクトランスミッションのギア比を変えることや、電気自動車などモータで駆動する車両においてはその駆動力など前方方向の駆動力を変えることができる車両全般に対して適用が可能となる。
また、本実施の形態7では、車両前後の駆動力配分について説明したが、車両の左右輪の駆動力を制御するアクチュエータを有する車両であれば、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき車両を安定化することも可能である。
実施の形態8.
この発明の実施の形態8に係る車両挙動状態推定装置について説明する。
上記の実施の形態1〜実施の形態7において、車両挙動の不安定状態またその予兆を検出し、ステアリング系や制動力、駆動力を制御することにより車両挙動を安定化する車両挙動状態推定装置を説明した。
この実施の形態8では、運転者に不安定状態を知らせる警報装置に適用した車両挙動状態推定装置について説明する。
運転者に不安定状態であることを伝える警報装置を備えた車両においては、第1車両挙動状態推定信号Stability1(s)に基づき、第1警報手段により運転者に不安定状態であること警報し、さらに、第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき、第2警報手段により運転者に不安定状態であることを警報する。第1警報手段と第2警報手段別々に警報することにより、さらに運転者に不安定状態であることを伝えることが可能であり、より注意して車両を運転することが可能となる。
この実施の形態8の第1及び第2の警報手段は、運転者に警報を与えるものであって、光や音などで運転者に警報してもよく、ステアリング装置を用いて振動させたりして警報してもよく、第1車両挙動状態推定信号stability1(s)及び第2車両挙動状態推定信号Stability2(s)に基づき運転者に警報することが可能なものであれば、何でもよい。
実施の形態1によれば、ハンドル角センサなどの新たなセンサを追加することなく、従来ある電動パワーステアリング制御装置の構成のみで、車両挙動状態を推定することが可能となり、車両安定化制御へと反映することが可能となる。また、路面反力トルク変化率の符号を用いることで、更に正確に路面反力トルクの飽和が検出可能となる。
実施の形態2によれば、路面反力トルク変化率の絶対値を用いることで、上記の実施の形態1と同様の効果を得ることが可能である。
実施の形態3によれば、第2不安定状態検出手段300Bに、所定時間を演算するカウンタ手段306を備え、路面反力トルク変化率の符号の変化もしくは路面反力トルク変化率の絶対値が所定時間以上経過したこと演算することで、更に正確に車両の不安定状態を検出することが可能である。
実施の形態1〜実施の形態8によれば、規範路面反力トルク変化率と路面反力トルク変化率の大きさに応じて第1車両挙動状態推定信号及び第2車両挙動状態推定信号を演算するため、車両の不安定度合いを演算することが可能になり、その結果を用いて車両安定化制御を適切に行うことが可能になる。
1 ハンドル、10 ステアリング機構、11 トルクセンサ、12 アシストモータ、100 制御ユニット、101 車速検出器、102 操舵トルク検出器、103 操舵角速度検出器、104 操舵角加速度検出器、105 路面反力トルク検出器、106 第1制御量演算手段、107 第2制御量演算手段、108 アシストトルク決定ブロック、109 モータ電流決定器、110 モータ電流比較器、111 モータ駆動器、112 モータ電流検出器、200 車両挙動状態推定手段、201 路面反力トルク勾配演算手段、202 規範路面反力トルク変化率演算手段、203 実路面反力トルク変化率演算手段、204 第1不安定状態検出手段、300 第2不安定状態検出手段、300A 第2不安定状態検出手段、300B 第2不安定状態検出手段、301 符号変化判定手段、302 信号保持手段、303 絶対値演算手段、304 閾値、305 比較器、306 カウンタ手段。